JP2008255135A - インク及び画像形成方法並びにその装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】転写不良や転写ムラを防ぐことができ、耐擦性や耐水性などの画像の堅牢性を維持し、ノズルからの吐出速度のばらつきに起因する画像品位の低下を防止するとともに、転写体に付着したインクのクリーニングを容易にし、高沸点溶媒起因の画像の光沢ムラを防止できるインク及び画像形成方法並びにその装置を提供する。
【解決手段】
少なくとも樹脂成分と色材とを含むインクを中間転写体12上に吐出したのちに、該インクから溶媒成分を吸収し記録媒体36へ転写する画像形成方法において、樹脂成分は、25℃での破断伸びが25%以上であるとともに、記録媒体36へ転写する際の中間転写体12の温度を、25℃以上樹脂成分の最低造膜温度未満とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、インク及び画像形成方法並びにその装置に係り、特に、中間転写体上に画像を形成してから、その中間転写体上に形成された画像を記録媒体に転写することで記録媒体上に画像を形成するインク及びそのインクを用いる画像形成方法並びにその装置に関する。
近年、デジタルカメラを初めとするデジタル画像技術とインクジェット技術の急速な発展により、銀塩写真を凌駕する高画質写真プリントを一般家庭でも手軽に得ることができるようになった。一方、工業・印刷分野を初めさまざまな分野でもインクジェット技術の応用・適用が始まっている。しかしながら、工業印刷の分野では生産性の観点から高速化が必須であるが、銀塩プリントのような高画質を高速で印刷できるようなインクや画像記録方法は未だない。そこで、高速高画質な画像を提供するさまざまな記録方法が検討されている。
従来のインクを直接記録媒体に打滴して記録する直接記録は、インクの溶媒成分が記録媒体に浸透してしまうために、インクの滲みによって印字品位が損なわれてしまうという問題がある。また、記録媒体の種類の違いによって、印字品質が異なるといった問題も存在した。
このような問題に対して、特許文献1では、インク像をいったん転写体上に形成し、インク像中の水分を蒸発させた後に、記録媒体に転写するという中間転写型の装置を提案している。これによって、滲みによる印字品位の低下、記録媒体差による印字品質の違いは解決された。
また、特許文献1では、インクに最低造膜温度が50℃以上の樹脂エマルジョンを含んだインクを、表面温度を前記最低造膜温度以上に加熱した転写体上に記録することで、転写体上のインク像の膜強度と接着力を向上させ、低圧での転写を可能にするとともに、使用環境温度が高まることにより、ヘッドノズルでの樹脂エマルジョンの造膜を防ぎノズル目詰まりの防止を可能にしている。更には、転写時のインク像の加熱膜化により耐水性などの堅牢性をも確保している。
特開平7−32721号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、転写体を最低造膜温度以上に加熱してしまうと、インク像の膜強度と接着力が増すのと同時に、転写体とインク像との付着力も増してしまう。これにより、低圧での転写率は向上する反面、インク付与量が多くなるベタ画像部では、転写体とインク像の付着力が必要以上に増し、転写されない部分が局部的に生じるという転写ムラが生じてしまう。そしてこの転写ムラにより転写体に残留したインク像のクリーニングのために過大な負荷が発生してしまう。また、転写体の温度を50〜150℃の範囲に設定するので過大にエネルギーを消費するが、このような温度で転写体を繰り返し加熱し続けると、転写不良により転写体上に残留したインク像は付着力が高いままであるので、記録回数を重ねると残留物が転写体表面にこびり付いたままとなり、長期的信頼性が得られない。そして、転写体を冷却してこの問題を回避しようとしても、さらに過剰なエネルギーを必要とせねばならず、加熱と冷却を繰りかえすシステムは非常にエネルギー効率が悪い。
また、特許文献1の方法では、最低造膜温度が50℃以上の樹脂エマルジョンを用いることで、ノズルの目詰まりを回避できるが、転写体加熱の影響でノズルでのインク液自体の増粘は避けられず、ノズル箇所によって吐出速度がばらつき、インク滴を本来打滴すべき部分に打滴できない問題が存在し、打滴するべき部分に付着しなかったインク滴は違う場所に付着し、結果として画像品位を損なうという問題があり、特に白抜け発生や粒状感が問題となる。
更に、通常水性インクジェット用インクではノズルの溶媒成分揮発防止のためにグリセリンなどの保湿剤を加えるが、特許文献1のように溶媒成分を転写体の加熱によって蒸発させることによって除去する方法だと、水などの低沸点溶媒は除去できるが、50〜150℃程度の加熱では、グリセリンなどの高沸点溶媒は容易には揮発せずインク像中に残留したままとなる。この高沸点溶媒成分がインク像の強度を弱め、転写性、耐擦性などの諸特性に悪影響を及ぼす。そして、グリセリンなどの保湿剤がインク像表面近傍に多く残留している場合は画像部分の光沢に影響を及ぼし、光沢ムラが発生する。尚、光沢ムラとは、画像部分と非画像部分(白地部分)との間、あるいは画像部分でも色材の種類や付着量が異なる部分間などで光沢差が生じる現象である。光沢ムラは、光沢度の高いインクジェット記録用紙、いわゆる光沢系インクジェット記録用紙を使用した場合に特に問題となるが、この種類の記録用紙でベタ画像を形成すると、場所によって光沢差が生じ、反射率が高い部分には多量の高沸点溶媒が残留している。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、中間転写型の記録方式において、転写不良や転写ムラを防ぐことができ、耐擦性や耐水性などの画像の堅牢性を維持し、ノズルからの吐出速度のばらつきに起因する画像品位の低下を防止するとともに、転写体に付着したインクのクリーニングを容易にし、高沸点溶媒起因の画像の光沢ムラを防止できる
インク及び画像形成方法並びにその装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、少なくとも樹脂成分と色材とを含み、中間転写体上に吐出したのちに記録媒体へ転写する画像形成に用いるインクであって、前記樹脂成分は、25℃での破断伸びが25%以上であることを特徴とするインクを提供する。
また、前記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、少なくとも樹脂成分と色材とを含むインクを中間転写体上に吐出したのちに、該インクから溶媒成分を吸収し記録媒体へ転写する画像形成方法において、前記樹脂成分は、25℃での破断伸びが25%以上であるとともに、前記記録媒体へ転写する際の前記中間転写体の温度を、25℃以上前記樹脂成分の最低造膜温度未満とすることを特徴とする画像形成方法を提供する。
本発明に係るインクでは、インク中に含有される樹脂成分をフィルム成型し、25℃の環境下で引張試験を実施した際の破断伸びが25%以上であるものを含有する。
また、画像形成において、中間転写体上のインクから溶媒成分を吸収したインクを記録媒体へ転写する際の前記中間転写体の温度を、25℃以上樹脂成分の最低造膜温度(MFTα)未満に設定する。この温度の範囲に転写体温度を設定することによって、樹脂の表面のみを融着させ、周囲の色材粒子や樹脂成分と接着し、インク像内部のみでの膜強度および接着力を高める効果がある。ここで、最低造膜温度(MFTα)以上では、粒子形状をとどめない程にまで造膜が進行しすぎ、インク膜と転写体との付着力が高くなりすぎるため転写ムラ発生を招き好ましくない。また、画像形成環境の温度も高くなり、ノズル部でのインク増粘を引き起こし、吐出速度を低下させ好ましくない。
そして、この樹脂の表面での融着による接着効果を発現させるために、破断伸びが25%以上の樹脂成分を用いることが重要である。引張試験を実施する際に全く伸びず、脆い性質をもつ樹脂成分では融着したときに、延性効果が全く期待できないために、意味を成さない。破断伸びが25%未満のわずかに伸びる樹脂であっても、粒子同士の接着力を高め、インク像内部全体の凝集力を増強させるには不十分であり、転写時にインク膜に加わるせん断力あるいは、転写体とインク膜の付着力と記録媒体とインク膜の付着力の相互作用によりインク膜を両方から引っ張る力により、インク膜内部の分裂が引き起こされ、かえって転写率が低下する。このインク膜内部の分裂を生じさせないほどの接着力を付与し、良好に転写を行うためには少なくとも25%以上の破断伸びが必要である。また、定着画像の耐擦性に対しても、延性の効果が多分に発揮される。
また、インクを記録媒体へ転写する前に溶媒成分を除去することが重要である。インク像から非固形分を積極的に除去することによって、インク像を濃縮し、色材や樹脂成分からなる粒子同士を接触させることによってはじめて、粒子同士の接着力の向上を期待することができる。粒子間に溶媒成分が存在すると、表面が融着しにくく本発明の効果が発揮されない。溶媒成分を除去する手段はインク像に当接させる吸収ローラーのような直接的手段がより好ましい。転写体加熱あるいは熱風吹き付けによる溶媒成分の蒸発させることで、除去する方法では、高沸点溶媒がインク像中に残りやすくなるので、低沸点成分・高沸点成分に関係なく、溶媒成分そのものの量を直接的に吸収する形態がより望ましい。
本発明の請求項1又は請求項2によれば、中間転写型の記録方式において、転写不良や転写ムラを防ぐことができ、耐擦性や耐水性などの画像の堅牢性を維持し、ノズルからの吐出速度のばらつきに起因する画像品位の低下を防止するとともに、転写体に付着したインクのクリーニングを容易にし、高沸点溶媒起因の画像の光沢ムラを防止できるインク又は画像形成方法を得ることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記転写時の中間転写体温度を、前記樹脂成分の造膜開始温度以上に設定することを特徴とする。
請求項3によれば、転写時の中間転写体温度をさらに造膜開始温度(MFTβ)以上に設定することによって、粒子同士の接着効果をさらに高めることができる。本発明では、造膜開始温度(MFTβ)とは樹脂成分が造膜し始める温度のことを指し、最低造膜温度(MFTα)とは、完全に造膜が完了する温度のことを指す。尚、定性的には、造膜開始温度(MFTβ)は最低造膜温度(MFTα)よりも低い値として測定される。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の発明において、前記転写時の記録媒体の温度を、前記樹脂成分の造膜開始温度以上に加熱することを特徴とする。
請求項4によれば、記録媒体の温度が、造膜開始温度(MFTβ)以上に設定することによって、樹脂の表面融着効果を、転写体側からだけでなく記録媒体側からも促進させることができるので転写性を向上させることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4の何れか1に記載の発明において、前記転写時の記録媒体の温度を、前記樹脂成分の最低造膜温度以上に加熱することを特徴とする。
請求項5によれば、転写される記録媒体を予め最低造膜温度(MFTα)以上に加熱しておくことで、記録媒体とインク膜との付着力を向上させることができる。さらに定着後の記録媒体とインク像の接触面積が増加するので、アンカー効果により定着性が向上する。
但し、必要以上に高い加熱温度に設定することは、転写体温度の上昇にもつながり好ましくない。適切な記録媒体の加熱温度としては、最低造膜温度(MFTα)の10〜20℃高い温度が目安である。そして、適切な加熱温度は、記録媒体の種類、例えば、上質紙やコート紙では記録媒体表層の塗工層の厚みや空隙率が異なるので、適宜調節することが必要である。
請求項6に記載の発明は、請求項2〜5の何れか1に記載の発明において、前記樹脂成分の最低造膜温度が40℃以上70℃未満であることを特徴とする。
請求項6によれば、定着処理や装置駆動エネルギーなどで画像形成する環境の温度が高くなり、転写部においても室温よりやや高めの温度(およそ30〜40℃)で転写が行なわれることを考慮すると、樹脂成分の最低造膜温度が40℃以上70℃未満であることで、特に転写体の加熱を必要とせずとも、インク膜強度を高めることができ、良好に転写を行うことができる。ここで、最低造膜温度が25℃の室温程度以下になり低くなりすぎると、ノズル部での造膜進行スピードが格段に上がるので、ノズル目詰まりを引き起こし、さらにインク飛翔方向の安定性が損なわれ好ましくない。そして、25〜40℃の範囲でも、ノズルへの影響が懸念される。また、70℃以上では樹脂の表面融着効果を発現させるために少なくとも50℃程度以上の高温が必要となり、この場合も転写性とインク吐出速度維持の両立が難しくなる上、加熱にエネルギーを消費してしまう。
請求項7に記載の発明は、請求項2〜6の何れか1に記載の発明において、前記樹脂成分と色材とを含むインク中の分散微粒子の粒径分布(体積平均粒径Mv/数平均粒径Mn)が1.35以上であることを特徴とする。
請求項7によれば、インク中の分散微粒子の粒径分布(Mv/Mn)が1.35以上であることで、粒子分布が多分散傾向となり、大粒子の空隙間を小粒子が埋めることができるために、粒子同士の接触面積が増加する。よって、微粒子同士の接着効果をより高めることができる。
請求項8に記載の発明は、請求項2〜7の何れか1に記載の発明において、前記樹脂成分の25℃での破断強度が5MPa以上であることを特徴とする。
請求項8によれば、25℃の環境下で引張試験を実施した際の破断強度が5MPa以上の樹脂成分を用いることで、インク膜を適度に硬質化できるので、転写体加熱により転写体とインク膜の間に発現する粘着効果による付着力増加を阻害することができる。また、転写体上にインク像がわずかに残留してしまった場合でも、インク膜を適度に硬質化できることで、効率的にクリーニングを実施できる。このように、破断強度を大きくすることによってインク膜の強度をより強化できるため、破断伸びが25%以上である延性付与効果と組み合わせることで、耐擦性に対してより効果的である。双方の値は大きければ大きいほど良いが、破断伸びと破断強度は一般的にトレードオフの関係にあり、両方をともに大きくすることは難しい。よって、双方のバランスの取れた樹脂を選択及び設計することが必要である。破断伸びを大きくしすぎても、応力がはたらかなくなるために、破断強度は低下する。そして、破断強度を大きくしすぎても、延性が損なわれ支障をきたす。また、破断伸びを大きくすることは、樹脂成分の最低造膜温度(MFTα)の低下につながるため、25℃を下回らないように調節することが必要である。
請求項9に記載の発明は、請求項2〜8の何れか1に記載の発明において、前記樹脂成分中に対イオンが金属イオン又は有機アミンイオンであるイオン結合を含むことを特徴とする。
請求項9によれば、転写体上のインク像内部にイオン結合を有することがより好ましい。イオン結合は結合の方向性が少なく、静電引力が最適化され最密充填のような密な構造をとりやすいため、樹脂微粒子同士の接着効果をより高めることができ効果的である。そして、イオン結合は水素結合やファンデルワールス力と比較して、結合力のオーダーが非常に大きい。このため、本来硬質で延性がない樹脂素材であっても、分子(鎖)間をイオン架橋させることで、イオン架橋点がバネのようなはたらきをし、延性を付与することができる。このような樹脂素材の典型的なものとしてアイオノマー樹脂が挙げられる。
請求項10に記載の発明は、請求項2〜9の何れか1に記載の発明において、前記中間転写体上に前記インクを吐出する前に処理液を付与するとともに、該処理液と前記インクとの反応によって固形成分と溶媒成分を分離することを特徴とする。
請求項10によれば、処理液を付与するとともに、該処理液とインクとの反応によって固形成分と溶媒成分を分離することで、樹脂微粒子同士の接着効果をより高めることができ効果的である。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、前記処理液中に金属イオン又は有機アミンイオンが含まれるとともに、前記インクの色材あるいは樹脂成分がアニオン性基を有することを特徴とする。
請求項11によれば、請求項9の発明のようにインクの樹脂成分中にイオン結合を有していなくても、インクの樹脂微粒子表面にスルホン酸基やカルボン酸基などのアニオン性基を有し、これを処理液に含有させた多価金属塩や有機アミンなどのカチオン成分とイオン結合させ凝集させることによって、樹脂微粒子間にイオン結合を付与することができる。従って、インクの樹脂微粒子同士の接着効果をより高めることができる。
前記目的を達成するために、請求項12に記載の発明は、少なくとも樹脂成分と着色材とを含むインクを中間転写体上に吐出したのちに、該インクを記録媒体へ転写する画像形成装置において、前記樹脂成分が25℃での破断伸びが25%以上である前記インクを供給する液体供給手段と、前記液体供給手段から供給される前記インクを前記中間転写体に対して液滴状に吐出する液体吐出手段と、前記液体吐出手段によって前記中間転写体上に付与された前記インクの溶媒成分を吸収する溶媒吸収手段と、前記中間転写体上のインクから溶媒成分を吸収したインクを記録媒体へ転写する際の前記中間転写体の温度を、25℃以上前記樹脂成分の最低造膜温度未満の範囲で加熱する加熱手段と、前記加熱手段で加熱された前記インクを加圧し前記記録媒体に転写させる加圧手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置を提供する。
請求項12によれば、中間転写型の画像形成装置において、転写不良や転写ムラを防ぐことができ、耐擦性や耐水性などの画像の堅牢性を維持し、ノズルからの吐出速度のばらつきに起因する画像品位の低下を防止するとともに、転写体に付着したインクのクリーニングを容易にし、高沸点溶媒起因の画像の光沢ムラを防止することができる。
尚、本明細書において、「記録媒体」とは、一般的な装置で用いられる紙だけでなく、布、金属、板、ガラス、セラミックス、木材、プラスチックフィルム、皮革等を含む。
そして、本明細書において、樹脂成分の「破断伸び」、「破断強度」の機械的特性は、JISK−6760に基づく引張試験により求めている。
また、本明細書において、「最低造膜温度(MFTα)」とは、樹脂成分を水に分散させて得られた樹脂エマルジョンをアルミやステンレスなどの金属板の上に薄く塗布し、温度を上昇させていったときに透明な連続フィルムの形成が完全に終了する温度のことをいい、「造膜開始温度(MFTβ)」とは、透明な連続フィルムの形成がはじまる温度のことをいう。具体的には、樹脂成分の分散液を、温度勾配をつけたステンレス板に200μm厚に塗布する。そして、乾燥剤としてシリカゲルを設置し、透明プラスチック製の蓋で周囲を覆う。塗膜が乾燥した後、一様な連続フィルム部分と白濁している部分の境界部の温度を読み取る。白濁部分が現れ始めた温度を「造膜開始温度(MFTβ)」、白濁部分が完全に消え完全にフィルム化した状態の温度を「最低造膜温度(MFTα)」とする。
本発明によれば、転写不良や転写ムラを防ぐことができ、耐擦性や耐水性などの画像の堅牢性を維持し、ノズルからの吐出速度のばらつきに起因する画像品位の低下を防止するとともに、転写体に付着したインクのクリーニングを容易にし、高沸点溶媒起因の画像の光沢ムラを防止できるインク及び画像形成方法並びにその装置を提供することができる。
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
本発明のインクは、少なくとも樹脂成分と色材とを含み、中間転写体上に吐出したのちに記録媒体へ転写する画像形成に用いるインクであって、前記樹脂成分は、25℃での破断伸びが25%以上であることを特徴とする。
そして、本発明の画像形成方法は、少なくとも樹脂成分と色材とを含むインクを中間転写体上に吐出したのちに、該インクから溶媒成分を吸収し記録媒体へ転写する画像形成方法において、前記樹脂成分は、25℃での破断伸びが25%以上であるとともに、前記記録媒体へ転写する際の前記中間転写体の温度を、25℃以上前記樹脂成分の最低造膜温度未満とすることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、少なくとも樹脂成分と着色材とを含むインクを中間転写体上に吐出したのちに、該インクを記録媒体へ転写する画像形成装置において、前記樹脂成分が25℃での破断伸びが25%以上である前記インクを供給する液体供給手段と、前記液体供給手段から供給される前記インクを前記中間転写体に対して液滴状に吐出する液体吐出手段と、前記液体吐出手段によって前記中間転写体上に付与された前記インクの溶媒成分を吸収する溶媒吸収手段と、前記中間転写体上のインクから溶媒成分を吸収したインクを記録媒体へ転写する際の前記中間転写体の温度を、25℃以上前記樹脂成分の最低造膜温度未満の範囲で加熱する加熱手段と、前記加熱手段で加熱された前記インクを加圧し前記記録媒体に転写させる加圧手段と、を備えたことを特徴とする。
尚、本実施形態では中間転写体上にインクを吐出する前に処理液を付与する画像形成方法及びその装置について説明するが、それに限定するものではない。
まず、本発明に係るインクと処理液に関して詳細に説明する。
〔インク〕
本発明において用いられるインクは、少なくとも顔料、ポリマー微粒子、水溶性溶媒、及び水を含有する。
[色材]
従って、インクに使用される色材は、顔料あるいは染料と顔料とを混合して用いることができる。処理液との接触時における凝集性の観点から、インク中で分散状態にある顔料の方がより効果的に凝集するため好ましい。顔料の中でも、分散剤により分散されている顔料、自己分散顔料、樹脂により顔料表面を被覆された顔料(マイクロカプセル顔料)、及び高分子グラフト顔料が特に好ましい。また、顔料凝集性の観点から、解離度の小さいカルボキシル基によって修飾されている形態がより好ましい。
前記樹脂は、自己分散能あるいは溶解するものであっても、又はその機能が何らかの手段によって付加されたものであってもよい。例えば、有機アミンやアルカリ金属を用いて中和することにより、カルボキシル基、スルホン酸基、またはホスホン酸基等のアニオン性基を導入されてなる樹脂であってもよい。また、同種または異種の一又は二以上のアニオン性基が導入された樹脂であってもよい。本発明にあっては、塩基をもって中和されて、カルボキシル基が導入された樹脂が好ましくは用いられる。
本発明に用いる顔料としては、特に限定はされないが、具体例としては、オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等が挙げられる。 レッドまたはマゼンタ用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
また、ブラック用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
本発明に用いるインクに含まれる色材の濃度は、使用する色材により最適な値を選択すればよいが、インクの全重量に対し、0.1重量%〜40質量%の範囲にするのが好ましい。より好ましくは、1重量%〜30質量%、さらに好ましくは2重量%〜20質量%である。この範囲より少なすぎると、十分な画像濃度が得られず、多すぎるとインク粘度が高くなりすぎる。
顔料粒子の体積平均粒径は、インク吐出性を損なわなければ特に限定はされないが、30〜150nmの範囲が特に好ましい。顔料の微粒子化によって、得られる画像の記録媒体上での発色性や透明性向上などの効果が見込める反面、耐光性の低下、インク粘度の増加などのデメリットがあるので、上記のような範囲に調整することが望ましい。
[樹脂]
本発明に係るインクには、着色剤を含まない樹脂を添加することが好ましい。特に、アニオン性の樹脂をインクに含有せしめることにより、分散性・安定性の高いインクが得られる。
樹脂の種類によっては、樹脂が被記録材で皮膜を形成し、画像の耐擦性、耐水性をも向上させる効果を有する。
本発明で用いられる樹脂成分の添加形態は樹脂成分単独からなるポリマー微粒子として、インク中に分散されていてもよいし、顔料表面を覆って色材と樹脂が一体化した微粒子、すなわちマイクロカプセル顔料粒子として、インク中に含まれていても良い。
樹脂のインク中での分散方法はエマルジョンに限定するものではなく、半ば溶解していても、コロイダルディスパージョン状態で存在していてもよい。
樹脂成分は、乳化剤を用いて樹脂微粒子の形態として分散させたものであっても、また、乳化剤を用いないで分散させたものであってもよい。乳化剤としては、通常、低分子量の界面活性剤が用いられているが、高分子量の界面活性剤を乳化剤として用いることもできる。外殻がアクリル酸、メタクリル酸などにより構成されたカプセル型の樹脂微粒子(粒子の中心部と外縁部で組成を異にしたコア・シェルタイプのポリマー微粒子)を用いることも好ましい。
分散手法として、低分子量の界面活性剤を用いていない樹脂微粒子は、高分子量の界面活性剤を用いたポリマー微粒子、乳化剤を使用しないポリマー微粒子を含めてソープフリーラテックスと呼ばれている。例えば上記に記述した、スルホン酸基、カルボキシル基等の水に可溶な基を有するポリマー(可溶化基がグラフト結合しているポリマー、可溶化基を持つ単量体と不溶性の部分を持つ単量体とから得られるブロックポリマー)を乳化剤として用いた樹脂微粒子もこれに含まれる。
本発明では、特にこのソープフリーラテックスを用いることが好ましく、ソープフリーラテックスは従来の乳化剤用いて重合した樹脂微粒子にくらべ、乳化剤が樹脂微粒子の造膜を阻害したり、遊離した乳化剤が樹脂微粒子の造膜後に表面に移動し、顔料と樹脂微粒子の混合した画像膜と記録媒体との接着性すなわち定着性を低下させる懸念がない。また、耐水性の悪化も防ぐことができる。
インクに添加する樹脂成分としては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、スチレンイソプレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−ウレタン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、エチレン−アクリル系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、アイオノマー樹脂などが挙げられるが、これに限定するものではない。
画像定着性付与の観点から、解離度の小さいカルボキシル基を有するものがより好ましい。
樹脂成分は、親水性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体であるのが好ましい。疎水性部分を有することで、樹脂微粒子の形態にあるときに、内側に疎水部分が配向し、外側に親水部分が効率よく外側に配向され、ノズルの撥水面に対して、好ましい反親和効果を付与することができ、ノズル孔周辺部でのインクぬれを防ぐ。
親水性のアニオン性基は、マイナスの電荷を有するものであればいずれでもよいが、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基またはカルボキシル基であることが好ましく、カルボキシル基であることがさらに好ましい。
また、pH変化を用いて凝集させる場合は、アニオン性基だけでなく、カチオン性基を含んでいることがさらに望ましく、インクpH変化後に色材粒子表面のアニオン性基と引力を発生させ、より凝集力を高めることができる。
市販の樹脂の例としては、ジョンクリル(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、ジョンソンポリマー株式会社製)、ジュリマーET−410(アクリル系樹脂エマルジョン、日本純薬株式会社製)、A−104(アクリル系樹脂エマルジョン、東亞合成株式会社製)、ザイクセン(エチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、住友精化株式会社製)、ケミパール(エチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、三井化学株式会社製)などが挙げられるが、これに限定するものではない。
樹脂成分のインクに対する添加量は2〜40重量%が好ましい、より好ましくは4〜20重量%である。2重量%より少ないと、本発明の効果が不足する。また、40重量%より多いと、インク粘度が高くなりすぎ、吐出信頼性を損なう。
顔料に対する樹脂成分の添加量の重量比率は2:1から1:10が好ましい、より好ましくは1:1から1:5である。顔料に対する樹脂成分添加量の重量比率は2:1より少ないと、樹脂の融着による効果が不足し、耐擦性に対して十分な効果が得られない。また、添加量が1:10より多くてもインクの粘度が高くなりすぎ、吐出信頼性などが悪化する。
インクに添加する樹脂成分の分子量は融着したときの接着力を鑑みて、5,000以上が好ましい。5,000未満だと、画像の耐擦性および定着性に効果が不足する。
本発明で用いる樹脂成分の最低造膜温度(MFTα)は吐出性と定着性両立の観点から、40℃以上70℃未満であることが好ましい。一般的に、最低造膜温度とは樹脂成分を水に分散させて得られた樹脂エマルジョンをアルミやステンレスなどの金属板の上に薄く塗布し、温度を上昇させていったときに透明な連続フィルムの形成が完全に終了する温度のことをいう。最低造膜温度以下の温度領域では、フィルムは形成されず、白色の粉末状となる。
本発明において、造膜開始温度(MFTβ)とは、透明な連続フィルムの形成がはじまる温度のことを指す。上記の方法で、最低造膜温度を測定すると、最低造膜温度(MFTα)と造膜開始温度(MFTβ)にはギャップが生じ、造膜開始温度は最低造膜温度より低く測定される。
本発明においては、樹脂成分の分散液を、温度勾配をつけたステンレス板に200μm厚に塗布する。そしてその直後に、乾燥剤としてシリカゲルを設置し、透明プラスチック製の蓋で周囲を覆う。塗膜が乾燥した後、一様な連続フィルム部分と白濁している部分の境界部の温度を読み取り、最低造膜温度とする。
本発明において、上記白濁部分が現れ始めた温度を造膜開始温度(MFTβ)、白濁部分が完全に消え完全にフィルム化した状態の温度を最低造膜温度(MFTα)と定義している。
また、本発明では樹脂成分を、インク内に2種以上混合して含有させて使用してもよい。それぞれの樹脂成分が各々単独でインク中に分散していてもよいし、コア部とシェル部からなるコアシェル構造をとってもよい。また、シェル部がコア部を完全に被覆している形態のみならず、コア部の一部を被覆している形態であってもよい。また、第一の樹脂成分の層中に第二の樹脂成分の層が島状に分散して包まれている形態でもよいし、第一の樹脂層が表層を形成する表面に、第二の樹脂粒子を点分散させた形態でもよい。
本発明においては、樹脂成分の25℃における破断伸びが25%以上であることが必要である。25%未満では、インク像内部で、樹脂表面が融着したときに、十分な接着力を発揮できない。転写性や耐擦性向上の観点からは、100%以上がより好ましい。
樹脂成分の高靭性化により、耐擦性をより付与するため、また、樹脂成分を適度に硬質化し粘着性を低下せしめることによって、転写体のクリーニング負荷を低減するためには、破断強度が5MPa以上であることが好ましい。5MPa未満だと、転写体を長期間使用した場合にクリーニングの負荷が増える懸念がある。
また耐擦性の観点からは、インク像が特に強く擦られたときに、あまりに塑性的であると、画像が伸びて、画像品質がわずかではあるが損なわれる場合がある。これを防止するために、破断伸び・破断強度双方が大きい値である特性すなわち、高靭性である樹脂を用いることが望ましい。
樹脂成分の破断伸び、破断強度などの機械的特性は、JISK−6760に基づく引張試験により求めることができる。フィルム成型はポリマー微粒子液を凍結乾燥し、ヒートプレス機によって成膜させてもよいし、板上に所定の膜厚になるようにコーティングし、加熱処理して成膜しても良い。
本発明で用いた破断伸び・破断強度の各値は、ヒートプレス機によって、樹脂成分を100μmの厚さにフィルム成型したもの、1cm×3cmサイズの試験片サイズにし、25℃・湿度50%の条件下で、テンシロンにて100mm/minの引張速さで測定したものを用いた。
樹脂成分を分散粒子形態でインクに添加する場合、分散粒子の体積平均粒径は、特に限定はされないが、100nm以下が特に好ましい。粒径が小さいとインク像がより密な状態になり、樹脂粒子表面の融着効果を効果的に発現させることができる。
樹脂微粒子の体積平均粒径は、顔料粒子の体積平均粒子径より小さいことが好ましい。樹脂微粒子サイズが顔料粒子サイズよりも小さいと、顔料粒子間に樹脂微粒子が入り込みやすくなり、インク像のパッキング密度を向上させることができる。これにより、顔料粒子間を、表面が融着した樹脂微粒子を介して連結し、インク像全体の凝集力を向上させる効果がより高まる。
上記効果を鑑みて、顔料の体積平均粒子径と樹脂微粒子の体積平均粒子径の比は1:1〜10:1が好ましく、より好ましくは3:1〜10:1である。10:1を越え、顔料粒子サイズが大きくなりすぎると、樹脂微粒子による顔料粒子間の接着効果が不足する。
インク中の分散粒子の粒径分布に関しては、体積平均粒径と数平均粒径との比(体積平均粒径/数平均粒径)で、1以上1.35以上が好ましい。粒子径分布が多分散、すなわち粒子サイズの異なる粒子がインク中に多数存在している状態だと、単分散の場合に比べ、インク液の粘度を低下させる効果があり、その分、樹脂などの固形分量を多めに添加することができ、本発明の効果がより高まる。また、溶媒除去後、溶媒成分が除去された状態の転写体上のインク像では、内部の構造粒子の充填構造をより密にすることができ、接着効果を助ける効果がある。インク打滴前にインク中の分散粒子と反応させる目的で、転写体上に処理液を付与することで、この充填密度増加の効果をより高めることができるので、より好ましい。
前記体積平均粒径、数平均粒径を含む粒度分布の測定方法としては、静的光散乱法、動的光散乱法、遠心沈降法が挙げられる。その中でも、レーザードップラー効果を利用した動的光散乱法は、小サイズまで粒径測定が可能であり、特に好ましい。動的光散乱法による粒径測定は、例えば、マイクロトラックUPA(日機装(株)製)を用いて行うことができる。体積平均粒径とは、粒子体積で重み付けした平均粒径であり、粒子の集合において、個々の粒子の直径にその粒子の体積を乗じたものの総和を、粒子の総体積で割ったものであり、下記式Aで表される。
体積平均粒径 Mv = ΣFiMi/ ΣFiMi …(式A)
(但し、Fi:粒系がMiである粒子の数(分率))
数平均粒径とは、粒子の集合において、個々の粒子の直径の総和を、粒子の総数で割ったものであり、下記式Bで表される。
式B;数平均粒径 Mn = ΣFiMi / ΣFi …(式B)
(但し、Fi:粒系がMiである粒子の数(分率))
体積平均粒径と数平均粒径との関係としては、体積平均粒径Mvが、数平均粒径Mnと等しい又は数平均粒径Mnより大きい関係(体積平均粒径≧数平均粒径)にある。従って、完全に粒径が同一の粒子の集合において、両者の値は等しくなり、体積平均粒径Mvと数平均粒径Mnとの比(体積平均粒径Mv/数平均粒径Mn)は1となる。また、体積平均粒径Mvと数平均粒径Mnとの比が大きくなるほど、粒径分布が広いことを表す。なお、体積平均粒径及び数平均粒径については、室井 宗一著「高分子ラテックスの化学」高分子刊行会、119頁に記載がある。
インク中の樹脂微粒子に粗大粒子が存在する場合、インクの吐出信頼性に非常に大きな影響を与えることがある。特に本発明のように室温で造膜性を有する樹脂を用いる場合は、粗大粒子の影響が顕著になる。すなわち、粗大粒子が多い(≒粒度分布形状がブロード)と、ヘッドのノズルにおいて吐出不良を起こしたり、吐出不良までにはいたらずとも、粗大粒子によりノズル近傍にインク残留物が形成されて、インク滴の吐出方向にバラツキが生じる。
これらの粗大粒子を除去する方法としては、公知の遠心分離法、精密濾過法等を用いることができる。
遠心分離法としては、市販の遠心分離器を用いることができる。加える遠心力の大きさは重力加速度の10倍〜1000000倍が好ましい。
精密濾過法に用いるフィルターとしては、様々な材質の物を用いることができる。即ち、セルロース、アセチルセルロース、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、グラスファイバー、ポリプロピレン等が好適に挙げられる。また、フィルターの形態も、メンブレンフィルター及びデプスフィルターのいずれも、好ましく用いられる。濾過に用いる前記フィルターの孔径は、0.1〜10μmが好ましく、0.2〜5μmがより好ましく、0.2〜0.5μmが最も好ましい。また、濾過を行う際に、孔径の大きなフィルターで濾過した後、より孔径の小さなフィルターで再度濾過することが好ましい。
粗大粒子が多く、ろ過性が悪い場合は、分散液に分散剤を添加してろ過性を向上させることができる。
本発明のインクは、乾燥によってインクジェットヘッドのノズルが詰まるのを防止する目的から、水溶性有機溶媒を含有することが好ましい。このような水溶性有機溶媒には、湿潤剤及び浸透剤が含まれる。
水溶性有機溶媒としては、処理液の場合と同様に、例えば、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が挙げられる。具体例としては、多価アルコール類では、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等が挙げられる。多価アルコール誘導体としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。含窒素溶媒としては、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等が、アルコール類としてはエタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類が、含硫黄溶媒としては、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルフォラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。その他、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等を用いることもできる。
本発明のインクには、界面活性剤を含有することができる。
界面活性剤の例としては、炭化水素系では脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。
更に、特開昭59−157636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。また、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載されているようなフッ素(フッ化アルキル系)系、シリコーン系の界面活性剤も用いることができる。 これら表面張力調整剤は消泡剤としても使用することができ、フッ素系、シリコーン系化合物やEDTAに代表されるキレート剤等も使用することができる。
表面張力を下げて中間転写体上での又は処理液上でのぬれ性を高め、二液の接触面積の増加により効果的に凝集作用がすすむ。
本発明のインクの表面張力は、10〜50mN/mであることが好ましく、直接記録を行う場合には浸透性記録媒体への浸透性、また中間転写方式によって記録を行う場合には中間転写体上でのぬれ性と液滴の微液滴化および吐出性の両立の観点からは、15〜45mN/mであることが更に好ましい。
本発明のインクの粘度は、1.0〜20.0cPであることが好ましい。
その他必要に応じ、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、等も添加することができる。
〔処理液〕
本発明に用いられる処理液の好ましい例として、多価金属塩あるいはポリアリルアミンを添加した処理液を挙げることができる。これらの化合物は、1種類で使用されてもよく、2種類以上併用されてもよい。架橋点の観点からは3価のアルミイオンがより好ましく用いられる。
また、インクのpHを変化させることにより、インクに含有される顔料およびポリマー微粒子を凝集させ、凝集物を生じさせるような処理液も好ましい。
処理液の成分として、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等の中から選ばれることが好ましい。
本発明に係る処理液はインクとのpH凝集性能の観点からpHは1〜6であることが好ましく、pHは2〜5であることがより好ましく、pHは3〜5であることが特に好ましい。
本発明に係る処理液に中における、インクの顔料およびポリマー微粒子を凝集させる成分の添加量としては、液体の全重量に対し、0.01重量%以上20重量%以下であることが好ましい。0.01重量%以下の場合は処理液とインクが接触時に、濃度拡散が十分に進まずpH変化による凝集作用が十分に発生しないことがある。また20重量%以上であると、インクジェットヘッドからの吐出性が悪化することがある。
これらの溶媒は、水,その他添加剤と共に単独若しくは複数を混合して用いることができる。
水、その他添加剤溶性有機溶媒の含有量は処理液の全重量に対し、60重量%以下であることが好ましい。60重量%以上よりも多い場合は処理液の粘度が増加し、インクジェットヘッドからの吐出性が悪化することがある。
処理液には、定着性および耐擦性を向上させるため、樹脂成分をさらに含有してもよい。樹脂成分は、処理液をインクジェット方式によって打滴する場合ヘッドからの吐出性を損なわないもの、保存安定性があるものであればよく、水溶性樹脂や樹脂エマルジョンなどを自由に用いることができる。
インクと逆極性のポリマー微粒子を処理液に含ませ、インク中の顔料及びポリマー微粒子と凝集させることによってさらに凝集性を高めてもよい。
また、インクに含まれるポリマー微粒子成分に対応した硬化剤を処理液に含有し、二液が接触後、インク成分中の樹脂エマルジョンが凝集するとともに架橋又は重合するようにして、凝集性を高めてもよい。
本発明に係る処理液は、界面活性剤を含有することができる。
界面活性剤の例としては、炭化水素系では脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。
更に、特開昭59−157636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。また、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載されているようなフッ素(フッ化アルキル系)系、シリコーン系の界面活性剤も用いることができる。これら表面張力調整剤は消泡剤としても使用することができ、フッ素系、シリコーン系化合物やEDTAに代表されるキレート剤等も使用することができる。
本発明に係る処理液の表面張力は、10〜50mN/mであることが好ましく、直接記録を行う場合には浸透性記録媒体への浸透性、また中間転写方式によって記録を行う場合には、中間転写体上でのぬれ性と液滴の微液滴化および吐出性の両立の観点からは、15〜45mN/mであることが更に好ましい。
本発明に係る処理液の粘度は、1.0〜20.0cPであることが好ましい。
その他必要に応じ、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線、吸収剤、等も添加することができる。
処理液とインクのpHの差が3以下だと、処理液中の凝集成分の拡散移動が十分におこらず、効果を発揮するのに十分な凝集作用が得られないことがある。このような場合、中和によるインク中の分散粒子の表面電位低下が遅れ、インク中の粒子の分散状態が十分に破壊されない。その結果、顔料が転写体上で流動することによる転写体上での画像乱れや、転写段階で凝集体が十分な凝集力をもてないことによる転写不良が引き起こされる。処理液とインクのpHの差が3以上であれば、十分な拡散移動がおこり、好ましい凝集作用が得られる。
離型性付与、あるいはインク膜内部の接着力付与による転写性向上観点から、本発明で用いる処理液にはワックスを添加してもよい。エマルジョン形態で添加することがより好ましい。その添加量は、良好な離型効果とインク膜内部の接着強度を得る為に、エマルジョン中の固形分がインク全固形分に対し、重量比で0.05重量%以上であることが好ましい。0.05%未満であると、十分な離型効果が得られない。ただしエマルジョンの添加量を増加させていくことで、インクの信頼性が低下していくので、固形分はインク全体に対し30重量%程度に抑えるのが好ましい。
ワックスとしては、カルナバワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、アルコールワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、PTFEワックス、合成酸化ワックス、αオレフィン−無水マレイン酸共重合体等を用いることが出来る。
また、これらのワックスは処理液あるいはインクを付与する前に転写体上に別途付与されていてもよく、乾燥によって、もしくは処理液・インクとの接触による凝集によって層を形成していることも望ましい形態である。
〔画像形成装置の全体構成〕
図1は本実施形態の画像形成装置の例である、インクジェット記録装置の概略構成を示した模式図である。図示するように、本実施形態のインクジェット記録装置10は、中間転写体12、処理液付与部14、インク吐出部16、及び転写部18を主たる構成とし、更に、溶媒除去部20、転写体加熱部21、クリーニング部22、及び画像定着部24を備えている。
中間転写体12は所定幅を有する無端状のベルトで構成され、複数のローラー26に巻き掛けられた構造となっている。本実施形態では、一例として4つのローラー26A〜26Dが用いられている。中間転写体12としてドラム状部材や板状部材を用いる態様もある。
複数のローラー26のうち少なくとも1つの主ローラーにはモータ(不図示)の動力が伝達され、このモータの駆動により中間転写体12が各ローラー26(26A〜26D)の外側を図1の反時計回りの方向(以下、「転写体回転方向」という。)に回転するように構成されている。
処理液付与部14には、処理液(S)に対応する記録ヘッド(処理液用ヘッド)30Sが設けられている。処理液用ヘッド30Sは中間転写体12に対向する吐出面から処理液を吐出する。これにより、中間転写体12の記録面12a上に処理液が付与される。
インク吐出部16は、処理液付与部14の転写体回転方向下流側に配置される。インク吐出部16には、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の各色インクに対応する記録ヘッド(インク用ヘッド)30K、30C、30M、30Yが設けられている。各インク用ヘッド30K、30C、30M、30Yは中間転写体12に対向する吐出面からそれぞれ対応する各色インクを吐出する。これにより、中間転写体12の記録面12a上に各色インクが付与される。尚、ここで、各色インクは、上述したように樹脂と着色材とを含むインクである。
処理液用ヘッド30S、及びインク用ヘッド30K、30C、30M、30Yはいずれも、中間転写体12上に形成される画像の最大記録幅(最大記録幅)に渡って多数の吐出口(ノズル)が形成されたフルラインヘッドとなっている。中間転写体12の幅方向(図1の紙面表裏方向)に短尺のシャトルヘッドを往復走査しながら記録を行うシリアル型のものに比べて、中間転写体12に対して高速に画像記録を行うことができる。もちろん、シリアル型であっても比較的高速記録が可能な方式、例えば、1回の走査で1ラインを形成するワンパス記録方式に対しても本発明は好適である。
本実施形態では、各記録ヘッド(処理液用ヘッド30S、及びインク用ヘッド30K、30C、30M、30Y)は全て同一構造であり、以下では、これらを代表して符号30で記録ヘッドを表すものとする。尚、本発明の実施に際しては、各記録ヘッドが全て同一構造である態様に限定されず、例えば、処理液用ヘッド30Sとインク用ヘッド30K、30C、30M、30Yが別構造であってもよい。
処理液用ヘッド30Sから中間転写体12に向かって処理液が吐出されると、中間転写体12の回転に伴って、中間転写体12の処理液が付与された領域は各インク用ヘッド30K、30C、30M、30Yの真下に順次移動し、各インク用ヘッド30K、30C、30M、30Yからそれぞれ対応する各色インクが吐出される。処理液はインク中の溶媒不溶性材料(色材等)を凝集させる機能を有している。
処理液付与量とインク付与量は必要に応じて調節することが好ましい。例えば、転写する記録媒体に応じて、処理液とインクが混合してできる凝集体の粘弾性等の物性を調節するため等のために処理液の付与量を変えてもよい。
また、処理液はインクに先立って付与されてもよく、インク打滴の後に付与されていてもよい。
溶媒除去部20は、インク吐出部16の転写体回転方向下流側に配置される。溶媒除去部20には、中間転写体12を挟んでローラー26Aに対向する位置に溶媒除去ローラー32が設けられている。溶媒除去ローラー32はローラー状の多孔質体で構成され、中間転写体12の記録面12aに当接させるように配置されている。他の態様として、エアナイフで余剰な溶媒を中間転写体12から取り除く方式、加熱して溶媒を蒸発させ除去する方式等がある。
溶媒除去部20では、溶媒除去ローラー32によって中間転写体12の記録面12a上の溶媒を除去する。このため、中間転写体12の記録面12a上に処理液が多く付与されるような場合でも、溶媒除去部20で溶媒が除去されるため、転写部18で記録媒体34に多量の溶媒(分散媒)が転写されることはない。従って、記録媒体34として紙が用いられるような場合でも、カール、カックルといった水系溶媒に特徴的な問題が発生しない。
溶媒除去部20によって、インク凝集体から溶媒を除去することによって、凝集体を濃縮しより内部凝集力を高めることができる。これにより凝集体に含まれる樹脂粒子の融着が効果的に促進され、転写工程までにより強い内部凝集力を凝集体に付与することができる。さらに、溶媒除去によるインク凝集体の効果的な濃縮により、記録媒体に転写後も良好な定着性や光沢性を画像に付与することができる。
転写体加熱部21では、中間転写体の温度を、25℃以上前記樹脂の最低造膜温度未満の範囲になるように加熱する。この温度の範囲に中間転写体12の温度を設定することによって、上述の通り、樹脂の表面のみを融着させ、周囲の色材粒子や樹脂成分と接着し、インク像内部のみでの膜強度および接着力を高める効果がある。
転写部18は、溶媒除去部20の転写体回転方向下流側に配置される。転写部18には、中間転写体12を挟んでローラー26Bに対向する位置に加圧ローラー36が設けられている。加圧ローラー36の内部には加熱ヒータが設けられており、この加熱ヒータによって加圧ローラー36の外周面の温度が上昇するようになっている。記録媒体34は中間転写体12と加圧ローラー36の間を通過するように図1の左側から右側に搬送される。中間転写体12と加圧ローラー36の間を通過する際、中間転写体12の記録面12aに記録媒体34の表面側を接触させ、記録媒体34の裏面側から加圧ローラー36で加圧することで、中間転写体12の記録面12aに形成された画像が記録媒体34上に転写形成される。
また、本発明においては、加熱部を転写体の転写部のみに限定する構造ではなく、記録媒体34の温度をインク転写時において、インクの樹脂成分の造膜開始温度以上、好ましくはインクの樹脂成分の最低造膜温度以上にするために、記録媒体34が転写部に到着する前の部分に記録媒体加熱部25を設けることが好ましい。
このように、インク像に直接接触する記録媒体34がすでに所望の転写温度に達していることにより、より転写ニップ時の短時間の間に、熱伝達を効率よく行うことができる。また、転写ニップ時のみで加熱する場合に比べ、予め記録媒体を所望の転写温度にしておくことで、インク凝集体と記録媒体表面が接触する記録媒体の加熱温度を樹脂微粒子の、好ましくは造膜開始温度(MFTβ)以上、より好ましくは最低造膜温度(MFTα)とすることで、転写時の加熱による樹脂の融着速度をさらに飛躍的に向上させることができ、さらに媒体表面が予め加熱されていることによって、転写ニップ時、インク像と記録媒体表面が接触時、直ちにインク像中の樹脂成分が溶融し、記録媒体表面の凹凸や毛管内に入り込み、接触面積増大による投錨効果によって記録媒体とインク像との接着力が向上し、その結果、転写が良好に行われ、転写後も画像に良好な定着性を付与することができる。
この加熱温度は、記録媒体34の種類によって自由に調節することができる。この温度制御によりインク像の粘着性を制御することも可能である。普通紙や上質紙など表面にパルプ繊維による凹凸が多く、インク像と記録媒体表面との間にアンカー効果を期待することができる場合は、インク像の粘着性を転写部での加熱温度だけでなく、直接転写時に接する記録媒体表面の加熱温度を制御して調節することにより、最適なインク像の粘着力で普通紙や上質紙などに良好な定着性を付与することができる。例えば、塗工紙などの表面が平滑な記録媒体は、表面部分での熱伝達効率がよいため、加熱温度を低めに設定できる。対して、上質紙など表面に凹凸がある記録媒体はインク像との間に空気層が介在しやすくなるため、加熱温度を高めに設定したほうが樹脂成分の粘着力増加によるアンカー効果も期待できるので好ましい。尚、転写時の圧力は記録媒体や印字条件等によって好適な条件に自由に調節してよい。
また、中間転写体12の表面には、必要に応じて離型性の表面層を有する構造にすることもできる。離型性付与転写体表面においては、表面エネルギーが低く、離型性が高い性質を有していることから、高い転写率を実現することが可能である。本発明においては、特に離型性を付与しなくても十分な転写率を得ることができるが、クリーニング負荷などの観点から中間転写体表面に離型性を付与しても何ら問題はない。ここで、本発明で表記する離型性表面とは、臨界表面張力が30 m N/m 以下、若しくは水に対する接触角が75° 以上の表面を指す。離型性を有する素材を画像記録前に別途付与しても構わない。
中間転写体12の表面層に用いられる好ましい材料としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂等の公知の材料が挙げられる。また、これらの樹脂をブレンドした材料を用いてもよく、具体的には、フロロシリコーン樹脂やシリコーン変性ポリイミド樹脂などが挙げられるが、これに限定するものではない。
上質紙、コピー用紙などの表面形状の粗い記録媒体に対して良好な転写を行うためには、転写体表面を記録媒体の表面形状に追随させることが好ましく、ゴム素材を用いることがより好ましい。具体的にはシリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトロブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴムなどが挙げられるがこれに限定するものではない。
そして、加熱された中間転写体12は、転写後に転写部18の転写体回転方向下流側の転写体冷却部23で冷却される。
クリーニング部22は、転写体冷却部23の転写体回転方向下流側であって、処理液付与部14の転写体回転方向上流側に配置される。クリーニング部22には、中間転写体12を挟んでローラー26Cに対向する位置にクリーニングローラー38が設けられ、中間転写体12の記録面12aに当接させるように配置され、中間転写体12の記録面12a上の転写後の残留物等の除去を行う。
クリーニングローラー38としては、柔軟性ある多孔質部材からなり、洗浄液付与手段にて洗浄液を染み込みながら中間転写体表面(記録面12a)を洗浄する方式,表面にブラシを備え、洗浄液を中間転写体表面に付与しながらブラシで中間転写体表面のゴミを除去する方式、また、柔軟性のあるブレードをローラー表面に備えて中間転写体表面の残留物を掻き落とす方式などがある。クリーニングローラー38表面の線速は中間転写体表面の線速と等しくするよりも、遅く、または速く設定した方が残留物の除去率を高くすることができる。クリーニングローラー38表面と中間転写体表面の速度差にしたがって中間転写体表面にせん断力が生じ、残留物を効率的に除去することが可能となる。
本発明においては、インク凝集体を転写後、記録媒体により強固な定着性を付与するために別途必要に応じて、画像定着部24を設けてもよい。
画像定着部24は、転写部18の記録媒体排出側(図1の右側)に配置される。画像定着部24には、記録媒体34の表裏面に2つの定着ローラー40A、40Bが設けられており、これら定着ローラー40A、40Bで記録媒体34上に転写形成された画像を加圧、加熱することで、記録媒体34上の記録画像の定着性を向上させることができる。尚、定着ローラー40A、40Bとしては、1個の加圧ローラーと1個の加熱ローラーからなる一対のローラー対が好ましいが、これに限定されるものではない。
本実施形態では、処理液用ヘッド30Sから処理液を吐出することによって中間転写体12上に処理液を付与する態様としたが、本発明の実施に際しては、処理液の付与方法は特に限定されるものではない。本実施形態の変形例として、処理液用ヘッド30Sに代えて、塗布ローラーを用いて中間転写体12上に処理液を塗布する態様もある。中間転写体12上のインク滴が着弾する画像領域を含むほぼ全面に処理液を容易に付与することができる。本変形例において、好ましくは、中間転写体12上の処理液の厚みを1〜5μmとする。中間転写体12上の処理液の厚みを一定にする手段を設けてもよい。例えば、エアナイフを用いる方法や、尖鋭な角を有する部材を処理液厚みの規定量のギャップを中間転写体12との間に設けて設置する方法がある。また、中間転写体12上に処理液を塗布しなくてもよい。
以上のような中間転写型の画像形成装置において、インクの樹脂成分は、25℃での破断伸びが25%以上であることを満たすインクを用いることで、転写不良や転写ムラを防ぐことができ、耐擦性や耐水性などの画像の堅牢性を維持し、ノズルからの吐出速度のばらつきに起因する画像品位の低下を防止するとともに、転写体に付着したインクのクリーニングを容易にし、高沸点溶媒起因の画像の光沢ムラを防止することできる。
尚、樹脂成分の最低造膜温度(MFTα)は、40℃以上70℃未満であることが好ましい。定着処理や装置駆動エネルギーなどで画像形成する環境の温度が高くなり、転写部においても室温よりやや高めの温度(およそ30〜40℃)で転写が行なわれることを考慮すると、樹脂成分の最低造膜温度が40℃以上70℃未満であることで、特に転写体の加熱を必要とせずとも、インク膜強度を高めることができ、良好に転写を行うことができる。ここで、最低造膜温度が25℃の室温程度以下になり低くなりすぎると、ノズル部での造膜進行スピードが格段に上がるので、ノズル目詰まりを引き起こし、さらにインク飛翔方向の安定性が損なわれ好ましくない。そして、25〜40℃の範囲でも、ノズルへの影響が懸念される。また、70℃以上では樹脂の表面融着効果を発現させるために少なくとも50℃程度以上の高温が必要となり、この場合も転写性とインク吐出速度維持の両立が難しくなる上、加熱にエネルギーを消費してしまう。
更に樹脂成分の25℃での破断強度が5MPa以上であることが好ましい。25℃の環境下で引張試験を実施した際の破断強度が5MPa以上の樹脂成分を用いることで、インク膜を適度に硬質化できるので、転写体加熱により転写体とインク膜の間に発現する粘着効果による付着力増加を阻害することができる。また、転写体上にインク像がわずかに残留してしまった場合でも、インク膜を適度に硬質化できることで、効率的にクリーニングを実施できる。このように、破断強度を大きくすることによってインク膜の強度をより強化できるため、破断伸びが25%以上である延性付与効果と組み合わせることで、耐擦性に対してより効果的である。双方の値は大きければ大きいほど良いが、破断伸びと破断強度は一般的にトレードオフの関係にあり、両方をともに大きくすることは難しい。よって、双方のバランスの取れた樹脂を選択及び設計することが必要である。破断伸びを大きくしすぎても、応力がはたらかなくなるために、破断強度は低下する。そして、破断強度を大きくしすぎても、延性が損なわれ支障をきたす。また、破断伸びを大きくすることは、樹脂成分の最低造膜温度(MFTα)の低下につながるため、25℃を下回らないように調節することが必要である。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明で使用するインク、処理液を後述の組成に従い、作製した。
(インクの顔料分散物の作製)
下記組成の成分を全量が500質量部になるように混合し、さらに重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2質量部添加し、窒素ガス置換を十分に行い、樹脂合成混合液を得た。
・ステアリルメタクリレート 20質量%
・スチレンマクロマー 5質量%
・スチレン 10質量%
・ポリプロピレングリコール(9)メタクリレート 10質量%
・メタクリル酸 10質量%
・2−メルカプトエタノール 0.1質量%
・イオン交換水 残部
尚、上記の名称は、以下のことを意味する。
スチレンマクロマー:東亜合成(株)製、商品名:AS−6(スチレン単独重合マクロマー、数平均分子量:6000、重合性官能基:メタクリロイルオキシ基)
ポリプロピレングリコール(9)メタクリレート:日本油脂(株)製、商品名:ブレンマーPP−500(プロピレンオキシド付加モル数:9)
次に、メチルエチルケトン500質量部を窒素雰囲気下で撹拌しながら75℃まで昇温させた。75℃、攪拌状態で上記樹脂合成混合液を4時間にわたって滴下した。さらに75℃、攪拌状態で6時間反応を続けた。その後、反応合成物を25℃まで自然冷却した後、固形分が50%になるようにメチルエチルケトンを加えて希釈し、平均分子量19000の分散樹脂溶液を得た。
得られた50%共重合体溶液15質量部に5mol/L水酸化ナトリウム水溶液2質量部を加えて中和し、さらにPigment Red 122〔チバスペシャルティケミカルズ(株)製、商品名:CROMOPHTAL Jet Magenta DMQ〕7.5質量部を加え、ロールミルで必要に応じて2〜8時間混練した。混練物をイオン交換水100質量部に分散した。得られた分散物から減圧下、60℃で有機溶媒を完全に除去し、更に水を除去することにより濃縮し、固形分濃度が20質量%の顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散物を得た。
そして、下記の各成分を混合してインク組成物を得た。
(インク1〜7及び10〜12)
・Pigment RED 122 4重量%
・樹脂成分1〜10 8重量%
・グリセリン 20重量%

・ジエチレングリコール 10重量%
・オルフィンE1010(日信化学工業製) 1重量%
・イオン交換水 残部
尚、上記の樹脂成分1〜10については以下のものを用いた。
樹脂成分1,8,9,10,及び12については下の表1のモノマー成分を記載の各重量比にて、乳化重合により合成したものを用いた。
合成例:
樹脂成分1(スチレン-アクリロニトリル−ブチルアクリレート−アクリル酸[41/21/35/3=w/w/w])の合成攪拌装置、還流冷却管を装着した1リットル三口フラスコに、パイオニンA−43s(竹本油脂社製)8.1g、蒸留水236.0gを入れ、窒素気流下70℃に加熱攪拌した。スチレン4.1g、アクリロニトリル2.1g、n−ブチルアクリレート3.5g、アクリル酸0.3g、過硫酸アンモニウム1.0g、蒸留水40gを添加し、30分間攪拌した後、スチレン77.9g、アクリロニトリル39.9g、n−ブチルアクリレート66.5g、アクリル酸5.7gからなるモノマー溶液を2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、過硫酸アンモニウム0.5g、蒸留水20gからなる水溶液を加え、70℃で4時間攪拌した後、85℃に昇温して更に2時間攪拌を続けた。反応液を冷却し、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調整した後、75μmフィルターで濾過して目的の樹脂成分1を505g得た。
また、モノマー組成、開始剤量、界面活性剤量を変更したり、連鎖移動剤を添加することにより各種物性値を制御した樹脂成分を合成した。
樹脂成分2〜7,及び11については市販製品を用いた。
Figure 2008255135
(インク1,8,及び9)
インク1,8,9のMv/Mnの値に関しては、インク作製後の粗大粒子をろ過する際に遠心分離法を用いる場合においては回転数や回転時間、もしくは精密濾過法を用いる場合においては、アセチルセルロース製メンブレンフィルターで、フィルターの孔径サイズやろ過回数によって、値を調整した。
(処理液1の作製)
・グリセリン 12.5重量%
・ジエチレングリコール 10重量%
・2−ピロリドン−5−カルボン酸 10重量%
・水酸化リチウム 1.95重量%
・オルフィンE1010 1.5重量%
・イオン交換水 残部
(処理液2の作製)
・グリセリン 12.5重量%
・ジエチレングリコール 10重量%
・硫酸マグネシウム 5重量%
・オルフィンE1010 1.5重量%
・イオン交換水 残部
(処理液3の作製)
・グリセリン 12.5重量%
・ジエチレングリコール 10重量%
・硫酸アルミニウムアンモニウム 5重量%
・オルフィンE1010 1.5重量%
・イオン交換水 残部
インク1〜14を用いて、図2〜4の表2〜4のプロセス条件下(溶媒除去の実施の有無、中間転写体の温度、及び記録媒体の加熱温度)で以下の評価を行った。
また、処理液1〜3を用いて、図2の表2の実験No.8のプロセス条件下(溶媒除去の実施の有無、中間転写体の温度、及び記録媒体の加熱温度)で以下の評価を行った(図5の表5)。
(評価)
描画機としてセイコーエプソン社製のPX−G930の改造機を使用し、転写体上に評価インクを7plの打滴量で打滴し、5mm×5mmサイズのベタ領域100個からなる画像を形成した。
転写体としてシリコーンゴムシートSRシリーズ0.5mm膜厚(タイガースポリマー社製)を用いた。
転写部での圧力は1MPa、搬送速度は100m/sに設定し、転写体を加熱する場合は適宜、加熱温度を設定した。
溶媒除去は、ローラー状の多孔質体(炭化珪素)を転写体に当接させ、吸引させることで実施した。
記録媒体は特菱アート(三菱製紙)を用いた。記録媒体を予め加熱する場合は適宜、加熱温度を設定した。
「転写評価」
[オフセット]
5mm×5mmサイズのベタ領域100個中、転写体側と記録媒体側にインク像が分裂している箇所をカウントして評価した。
◎:3個未満
○:3個以上10個未満
△:10個以上20個未満
×:20個以上
[転写ムラ]
5mm×5mmサイズのベタ領域100個中、転写体側にインク像が残っている箇所をカウントして評価した。
◎:3個未満
○:3個以上10個未満
△:10個以上20個未満
×:20個以上
「転写画像の画像品位」
転写後のベタ画像を目視で観察して、官能的に評価した。オフセット・転写ムラ発生により、転写性に問題がある場合は、転写体上に形成された画像で評価した。
[白抜け]
◎:全く気にならない
○:ほとんど気にならない
△:少し目立つが許容範囲内
×:非常に目立ち許容範囲外
[粒状感]
◎:全く気にならない
○:ほとんど気にならない
△:少し目立つが許容範囲内
×:非常に目立ち許容範囲外
「クリーニング性」
転写体に形成した評価画像を転写せずに、ウレタン製のブレードで掻きとって、インク像の転写体への残り度合いを評価した。
◎:全く残っていない
○:ほとんど残っていない
△:少量残留している。
×:多量に残留している。
「耐擦性」
転写されたベタ画像の上に、特菱アート紙を上から被せ、1.5kg/cm2 の加重で20往復擦り、塗布サンプルの色材剥れ状態を評価した。また、擦ったアート紙に付着した色材濃度(マゼンタの光学濃度OD(M))をエックスライトで測定することでも定量的に評価した。測定した濃度はアート紙白地の値込みである。
◎:擦った部分で全く色材剥れがわからない。OD(M)値が0.15未満
○:擦った部分でほとんど色材剥れがわからず、見た目上問題ない。OD(M)値が0.15以上0.25未満
△:擦った部分で色材剥れが多少確認されるが、許容範囲。OD(M)値が0.25以上0.35未満
×:アート紙表面の白地まで露出している部分があり、許容範囲外。OD(M)値が0.35以上
「光沢ムラ」
記録媒体として、PM写真用紙<光沢>(セイコーエプソン社製)を用い、転写した後のベタ画像内の光沢差を目視で観察して、官能的に評価した。
○:光沢差がほとんどみられず、最大光沢度差が5未満である。
×:光沢差がみられ、最大光沢度差が5以上である。
(結果)
図2の表2の実験1〜17から分かるように、インクの樹脂成分は、25℃での破断伸びが25%以上であるとともに、中間転写体上のインクから溶媒成分を吸収し、その溶媒成分を吸収したインクを記録媒体へ転写する際の前記中間転写体の温度を、25℃以上樹脂製分の最低造膜温度(MFTα)未満としたものは、全ての評価において○以上の結果が得られている。また、実験No.8と9、及び、実験No.10と11の比較から、転写時の転写体温度をインクの樹脂成分の造膜開始温度(MFTβ)以上にするほうが好ましいことが分かる。
そして、実験No.1と18と20、及び、実験No.5と19と21の比較から、転写時の記録媒体の温度を、インクの樹脂成分の造膜開始温度(MFTβ)以上に加熱することが好ましく、インクの樹脂成分の最低造膜温度(MFTα)以上に加熱することがさらに好ましいことが分かる。
また、実験No.22〜24の比較から、インクの樹脂成分の最低造膜温度(MFTα)が40℃以上70℃未満の範囲であることが好ましいことが分かる。
そして、図3の表3の実験No.8と25と26の比較から分かるように、インク中の分散微粒子の粒径分布(Mv/Mn)が1.35以上であることが好ましい。
また、図4の表4の実験No.8、14、27及び28の比較から、インクの樹脂成分の25℃での破断強度が5MPa以上であるが好ましいことが分かる。
更に、図5の表5の実験No.5及び29〜32の比較から、中間転写体上にインクを吐出する前に処理液を付与し、処理液とインクとの反応によって固形成分と溶媒成分を分離したほうが好ましいことが分かる。
インクジェット記録装置の概略構成を示した模式図 測定結果の説明図 測定結果の説明図 測定結果の説明図 測定結果の説明図
符号の説明
10…インクジェット記録装置、12…中間転写体、14…処理液付与部、16…インク吐出部、18…転写部、20…溶媒除去部、22…クリーニング部、24…画像定着部、26…溶媒除去ローラー、30…記録ヘッド、30S…記録ヘッド(処理液用ヘッド)、30K、30C、30M、30Y…記録ヘッド(インク用ヘッド)、34…記録媒体、36…加圧ローラー、38…クリーニングローラー、40A、40B…定着ローラー

Claims (12)

  1. 少なくとも樹脂成分と色材とを含み、中間転写体上に吐出したのちに記録媒体へ転写する画像形成に用いるインクであって、前記樹脂成分は、25℃での破断伸びが25%以上であることを特徴とするインク。
  2. 少なくとも樹脂成分と色材とを含むインクを中間転写体上に吐出したのちに、該インクから溶媒成分を吸収し記録媒体へ転写する画像形成方法において、
    前記樹脂成分は、25℃での破断伸びが25%以上であるとともに、
    前記記録媒体へ転写する際の前記中間転写体の温度を、25℃以上前記樹脂成分の最低造膜温度未満とすることを特徴とする画像形成方法。
  3. 前記転写時の中間転写体温度を、前記樹脂成分の造膜開始温度以上に設定することを特徴とする請求項2に記載の画像形成方法。
  4. 前記転写時の記録媒体の温度を、前記樹脂成分の造膜開始温度以上に加熱することを特徴とする特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成方法。
  5. 前記転写時の記録媒体の温度を、前記樹脂成分の最低造膜温度以上に加熱することを特徴とする請求項2〜4の何れか1に記載の画像形成方法。
  6. 前記樹脂成分の最低造膜温度が40℃以上70℃未満であることを特徴とする請求項2〜5の何れか1に記載の画像形成方法。
  7. 前記樹脂成分と色材とを含むインク中の分散微粒子の粒径分布(体積平均粒径Mv/数平均粒径Mn)が1.35以上であることを特徴とする請求項2〜6の何れか1に記載の画像形成方法。
  8. 前記樹脂成分の25℃での破断強度が5MPa以上であることを特徴とする請求項2〜7の何れか1に記載の画像形成方法。
  9. 前記樹脂成分中に対イオンが金属イオン又は有機アミンイオンであるイオン結合を含むことを特徴とする請求項2〜8の何れか1に記載の画像形成方法。
  10. 前記中間転写体上に前記インクを吐出する前に処理液を付与するとともに、該処理液と前記インクとの反応によって固形成分と溶媒成分を分離することを特徴とする請求項2〜9の何れか1に記載の画像形成方法。
  11. 前記処理液中に金属イオン又は有機アミンイオンが含まれるとともに、前記インクの色材あるいは樹脂成分がアニオン性基を有することを特徴とする請求項10に記載の画像形成方法。
  12. 少なくとも樹脂成分と着色材とを含むインクを中間転写体上に吐出したのちに、該インクを記録媒体へ転写する画像形成装置において、
    前記樹脂成分が25℃での破断伸びが25%以上である前記インクを供給する液体供給手段と、
    前記液体供給手段から供給される前記インクを前記中間転写体に対して液滴状に吐出する液体吐出手段と、
    前記液体吐出手段によって前記中間転写体上に付与された前記インクの溶媒成分を吸収する溶媒吸収手段と、
    前記中間転写体上のインクから溶媒成分を吸収したインクを記録媒体へ転写する際の前記中間転写体の温度を、25℃以上前記樹脂成分の最低造膜温度未満の範囲で加熱する加熱手段と、
    前記加熱手段で加熱された前記インクを加圧し前記記録媒体に転写させる加圧手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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