JP2008251433A - 電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】外装缶を負極とした場合であっても軽量化を図りつつサイクル特性を向上させることのできる電池を提供する。
【解決手段】正極21と負極22とセパレータ23との積層構造を有する電池素子20が外装缶11に収容されている。外装缶11は、アルミニウムを含む金属材料によって構成され、その内面には銅またはニッケルなどからなる反応抑制層31が設けられている。反応抑制層31により、セパレータ23に保持された電解質に含まれるリチウムと外装缶11に含まれるアルミニウムとの合金化反応が抑制される。また、外装缶11の内面は、反応抑制層31およびセパレータ23を介し、電池素子20の巻回外周側の端部に位置する正極集電体21Aと対向しているので、破損などの異常時には過度な発熱が抑制される。
【選択図】図1

Description

本発明は、正極、負極および電解質がアルミニウムを含む材料からなる外装缶に収容された電池に関する。
近年、携帯電話,PDA(Personal Digital Assistant;個人用携帯型情報端末機器)あるいはノート型コンピュータに代表される携帯型電子機器の小型化、軽量化が精力的に進められ、その一環として、それらの駆動電源である電池、特に二次電池のエネルギー密度の向上が強く望まれている。高エネルギー密度を得ることができる二次電池としては、負極に炭素材料などのリチウム(Li)を吸蔵および離脱することが可能な材料を用いたリチウムイオン二次電池が商品化され、その市場が拡大している。
リチウムイオン二次電池では、正極と負極とを隔てるセパレータとして、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどからなる合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミック製の多孔質膜が用いられている。セパレータは両極の接触による電流の短絡を防止する一方、電解質を保持することでリチウムイオンを通過させ、両極間での電池反応を可能としている。
また、高エネルギー密度を得ることができる他の二次電池としては、負極にリチウム金属を用い、負極反応にリチウム金属の析出および溶解反応のみを利用したリチウム金属二次電池がある。リチウム金属二次電池は、リチウム金属の理論電気化学当量が2054mAh/cm3 と大きく、リチウムイオン二次電池で用いられる黒鉛の2.5倍にも相当するので、リチウムイオン二次電池を上回る高いエネルギー密度を得られるものと期待されている。これまでも、多くの研究者等によりリチウム金属二次電池の実用化に関する研究開発がなされている(例えば、非特許文献1参照。)。
最近では負極の容量がリチウムの吸蔵および離脱による容量成分と、リチウムの析出および溶解による容量成分とを含み、かつその和により表される二次電池が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。これは、負極にリチウムを吸蔵および離脱することが可能な炭素材料を用い、充電の途中においてその炭素材料の表面にリチウムを析出させるようにしたものである。この二次電池によれば、リチウム金属二次電池と同様に高エネルギー密度を達成させることが期待できる。
一方、このような二次電池においては、正極や負極を収容する容器としてステンレス鋼よりも比重の小さなアルミニウムからなる外装缶を用いることで、軽量化が検討されている(例えば、特許文献2参照)。
ジャンポール・ガバノ(Jean-Paul Gabano)編,「リチウム・バッテリーズ(Lithium Batteries )」,ロンドン,ニューヨーク,アカデミック・プレス(Academic Press),1983年 国際公開第01/22519号パンフレット 特開平6−163025号公報
しかしながら、電池反応物質としてのリチウムは、アルミニウムと合金化反応を生じる性質を有している。このため、アルミニウムによって構成した外装缶を負極とした場合には外装缶自体が浸食され、機械的強度が低下し、電池としての信頼性を損なうおそれがある。さらに、リチウムとアルミニウムとの充放電効率は比較的低いことから、サイクル特性の劣化を招く原因ともなる。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、外装缶を負極とした場合であっても軽量化を図りつつサイクル特性を向上させることのできる電池を提供することにある。
本発明の電池は、リチウムを吸蔵および放出可能な材料を含む正極と、リチウムを吸蔵および離脱可能な材料を含む負極とを有する電池素子と、この電池素子を収容する外装缶とを備えるようにしたものである。ここで、外装缶はアルミニウムを含む金属材料からなると共に負極と短絡しており、かつ、その内面にアルミニウムとリチウムとの反応を抑制する反応抑制層を有している。
本発明の電池では、反応抑制層によって、電池反応物質としてのリチウムと、負極と接続された外装缶を構成するアルミニウムとの合金化反応が抑制される。特に、正極が正極集電体の上に正極活物質層が選択的に設けられた構造を有し、外装缶の内面と対向するように正極集電体が露出して配置される場合には、異常時における電池の安全性が向上する。
本発明の電池によれば、外装缶の内面にアルミニウムとリチウムとの反応を抑制する反応抑制層を設けるようにしたので、外装缶を負極と短絡させる場合であっても、その外装缶の構成材料としてアルミニウムを含む金属材料を用いることができる。このため、設計上の自由度が広がるうえ、軽量化を図りつつサイクル特性を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、各図は、各構成要素について本発明が理解できる程度の形状、大きさおよび配置関係を概略的に示したものであり、実寸とは必ずしも一致するものではない。
図1および図2は、本発明の一実施の形態としての二次電池の断面構造を表すものである。図1に示された断面と図2に示された断面とは、互いに直交する位置関係にある。すなわち、図2は、図1に示したII−II線に沿った矢視方向における断面図である。この二次電池は、いわゆる角型といわれるものであり、ほぼ中空直方体形状をなす外装缶11の内部に、扁平状の電池素子20を収容したものである。
外装缶11は、少なくともアルミニウム(Al)を含む金属材料により構成されており、負極端子としての機能も有している。具体的には、アルミニウムの単体のほか、アルミニウムに銅(Cu),ケイ素(Si),マンガン(Mn),マグネシウム(Mg),亜鉛(Zn)などの元素を適宜添加した合金を用いて外装缶11を構成することができる。外装缶11の内面には、全体に亘って反応抑制層31が設けられている。この反応抑制層31は、耐薬品性や耐還元性に優れたものであり、例えば銅の単体もしくはその合金、またはニッケル(Ni)の単体もしくはその合金などの、リチウムと合金を形成しない金属によって構成され、例えば3μm以上100μm以下の厚みを有している。リチウムと合金を形成しない金属としては、銅およびニッケルのほか、鉄(Fe)やコバルト(Co)などが挙げられる。また、反応抑制層31を構成する材料としては、上記のような金属のほか樹脂や金属酸化物等も用いることができ、さらにはそれらを複合化したものも適用可能である。具体的には、酸化アルミニウムおよび二酸化硅素などの酸化物、フッ素樹脂、ポリアミドイミド,ポリイミドおよびエポキシ樹脂などのポリマー材料、ならびに、これらを含む複合材料によって反応抑制層31を構成することもできる。その場合、例えば5μm以上100μm以下の厚みとするとよい。
この外装缶11は、一端部が閉鎖され他端部が開放されており、開放端部に絶縁板12および電池蓋13が取り付けられることにより内部が密閉された構造となっている。絶縁板12は、ポリプロピレンなどにより構成され、電池素子20の上に巻回周面に対して垂直に配置されている。電池蓋13は、例えば、外装缶11と同様の材料により構成され、外装缶11と共に負極端子としての機能も有している。電池蓋13の外側には、正極端子となる端子板14が配置されている。また、電池蓋13の中央付近には貫通孔が設けられ、この貫通孔に、端子板14に電気的に接続された正極ピン15が挿入されている。端子板14と電池蓋13との間は絶縁ケース16により電気的に絶縁され、正極ピン15と電池蓋13との間はガスケット17により電気的に絶縁されている。絶縁ケース16は、例えばポリブチレンテレフタレートにより構成されている。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
電池蓋13の周縁付近には開裂弁18および電解液注入孔19が設けられている。開裂弁18は、電池蓋13と電気的に接続されており、内部短絡あるいは外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合に開裂して内圧の上昇を抑えるようになっている。電解液注入孔19は、例えばステンレス鋼球よりなる封止部材19Aにより塞がれている。
電池素子20は、正極21と負極22とが、セパレータ23を間にして積層されて渦巻き状に巻回されたものであり、外装缶11の形状に合わせて扁平な形状に成形されている。電池素子20の最外周にはセパレータ23が位置しており、そのすぐ内側には正極21が位置している。図2では、正極21および負極22の積層構造を簡略化して示している。また、電池素子20の巻回数は、図1および図2に示したものに限定されず、任意に設定可能である。正極21の端部(例えば内終端部)にはアルミニウムなどよりなる正極リード24が接続されており、負極22(例えば外終端部)にはニッケルなどよりなる負極リード25が接続されている。正極リード24は正極ピン15の下端に溶接されることにより端子板14と電気的に接続されており、負極リード25は外装缶11に溶接され電気的に接続されている。
図3は図1および図2に示した正極21を展開した断面図である。この正極21は、帯状の正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bを選択的に設けたものである。詳細には、正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bが存在する正極被覆領域21Cと、正極被覆領域21Cを挟むように巻回中心側および巻回外周側の端部に位置し、正極集電体21Aの両面とも正極活物質層21Bが存在せずに露出した状態である正極露出領域21DS,21DEとを有している。正極リード24は、巻回中心側の正極露出領域21DSに接合されている。なお、正極被覆領域21Cおよび正極露出領域21DS,DEは、正極集電体21Aの両面において一致している必要はなく、片面のみに正極活物質層21Bが設けられた領域が存在していてもよい。
正極集電体21Aは、例えば、厚みが5μm〜50μm程度であり、アルミニウム箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。
正極活物質層21Bは、例えば、正極活物質として、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて炭素材料などの導電材およびポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んでいてもよい。 リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウムあるいはそれらを含む固溶体(Li(Nix Coy Mnz )O2 ;x、yおよびzの値はそれぞれ0<x<1,0<y<1,0<z<1,x+y+z=1である。)や、スピネル構造を有するマンガン酸リチウム(LiMn2 4 )あるいはその固溶体(Li(Mn2-v Niv )O4 ;vの値はv<2である。)などのリチウム複合酸化物が挙げられる。また、正極材料としては、例えば、リン酸鉄リチウム(LiFePO4 )などのオリビン構造を有するリン酸化合物も挙げられる。高いエネルギー密度が得られるからである。なお、正極材料は、上記した他、例えば、酸化チタン、酸化バナジウムあるいは二酸化マンガンなどの酸化物や、二硫化鉄、二硫化チタンあるいは硫化モリブデンなどの二硫化物や、硫黄や、ポリアニリンあるいはポリチオフェンなどの導電性高分子であってもよい。
図4は、図1および図2に示した負極22を展開した断面図である。負極22は、帯状の負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが選択的に設けられたものである。詳細には、負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが存在する負極被覆領域22Cと、負極被覆領域22Cを挟むように巻回中心側および巻回外周側の端部に位置し、負極集電体22Aの両面とも負極活物質層22Bが存在せずに露出した状態である正極露出領域22DS,22DEとを有している。負極リード25は、巻回外周側の負極露出領域22DEに接合されている。なお、負極被覆領域22Dおよび負極露出領域22DS,DEは、負極集電体22Aの両面において一致している必要はなく、片面のみに負極活物質層22Bが設けられた領域が存在していてもよい。
負極集電体22Aは、例えば、銅箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。この負極集電体22Aの厚みは、例えば5μm〜50μmである。
負極活物質層22Bは、負極活物質として、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種あるいは2種以上を含んでおり、必要に応じて結着剤や導電剤などを含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、リチウムを吸蔵および放出することが可能であると共に金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として有する材料が挙げられる。高いエネルギー密度が得られるからである。この負極材料は、金属元素あるいは半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、またはそれらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有するものでもよい。なお、本発明における合金には、2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素および1種以上の半金属元素を含むものも含まれる。もちろん、上記した合金は、非金属元素を含んでいてもよい。この組織には、固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物あるいはそれらの2種以上が共存するものがある。
この負極材料を構成する金属元素および半金属元素としては、例えば、リチウムと合金を形成することが可能な金属元素および半金属元素が挙げられる。具体的には、マグネシウム、ホウ素(B)、アルミニウム、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ケイ素、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)、亜鉛、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)あるいは白金(Pt)などが挙げられる。中でも、特に好ましいのは、ケイ素およびスズのうちの少なくとも1種である。リチウムを吸蔵および放出する能力が大きいため、高いエネルギー密度が得られるからである。
ケイ素およびスズのうちの少なくとも1種を含む負極材料としては、例えば、ケイ素の単体、合金、あるいは化合物、またはスズの単体、合金、あるいは化合物、またはこれらの1種あるいは2種以上の相を少なくとも一部に有する材料が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、複数種が混合されて用いられてもよい。
ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ、ニッケル、銅、鉄、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛、インジウム、銀、チタン(Ti)、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン(Sb)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。スズの合金としては、例えば、スズ以外の第2の構成元素として、ケイ素、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンおよびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
ケイ素の化合物あるいはスズの化合物としては、例えば、酸素(O)あるいは炭素(C)を含むものが挙げられ、ケイ素またはスズに加えて、上記した第2の構成元素を含んでいてもよい。
金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を有する材料の具体例としては、スズを第1の構成元素とし、それに加えて第2および第3の構成元素を含むものが好ましい。第2の構成元素は、コバルト、鉄、マグネシウム、チタン、バナジウム(V)、クロム、マンガン、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ジルコニウム、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、銀、インジウム、セリウム(Ce)、ハフニウム、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ビスマスおよびケイ素からなる群のうちの少なくとも1種である。第3の構成元素は、ホウ素、炭素、アルミニウムおよびリン(P)からなる群のうちの少なくとも1種である。これらの第2および第3の元素を含むことにより、優れたサイクル特性が得られるからである。
中でも、スズ、コバルトおよび炭素を構成元素として含み、炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下の範囲内であると共にスズおよびコバルトの合計に対するコバルトの割合(Co/(Sn+Co))が30質量%以上70質量%以下の範囲内であるCoSnC含有材料が好ましい。このような組成範囲において、高いエネルギー密度が得られると共に、サイクル特性が向上するからである。
このCoSnC含有材料は、必要に応じて、さらに他の構成元素を含んでいてもよい。他の構成元素としては、例えばケイ素、鉄、ニッケル、クロム、インジウム、ニオブ、ゲルマニウム、チタン、モリブデン、アルミニウム、リン、ガリウムあるいはビスマスなどが好ましく、それらの2種以上を含んでいてもよい。エネルギー密度およびサイクル特性がより向上するからである。
なお、CoSnC含有材料は、スズ、コバルトおよび炭素を含む相を有しており、この相は結晶性の低い非晶質な構造を有していることが好ましい。また、CoSnC含有材料では、構成元素である炭素の少なくとも一部が、他の構成元素である金属元素あるいは半金属元素と結合していることが好ましい。サイクル特性の低下は、スズなどが凝集あるいは結晶化することによるものであると考えられるが、炭素が他の元素と結合することにより、そのような凝集または結晶化が抑制されるからである。
元素の結合状態を調べる測定方法としては、例えばX線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy;XPS)が挙げられる。このXPSでは、金原子の4f軌道(Au4f)のピークが84.0eVに得られるようにエネルギー較正された装置において、グラファイトであれば、炭素の1s軌道(C1s)のピークは284.5eVに現れる。また、表面汚染炭素であれば、284.8eVに現れる。これに対して、炭素元素の電荷密度が高くなる場合、例えば、炭素が金属元素あるいは半金属元素と結合している場合には、C1sのピークは284.5eVよりも低い領域に現れる。すなわち、CoSnC含有材料について得られるC1sの合成波のピークが284.5eVよりも低い領域に現れる場合には、CoSnC含有材料に含まれる炭素の少なくとも一部が他の構成元素である金属元素あるいは半金属元素と結合している。
なお、XPSでは、例えば、スペクトルのエネルギー軸の補正に、C1sのピークを用いる。通常、表面には表面汚染炭素が存在しているので、表面汚染炭素のC1sのピークを284.8eVとし、これをエネルギー基準とする。XPSにおいて、C1sのピークの波形は、表面汚染炭素のピークとCoSnC含有材料中の炭素のピークとを含んだ形として得られるので、例えば、市販のソフトウエアを用いて解析することにより、表面汚染炭素のピークと、CoSnC含有材料中の炭素のピークとを分離する。波形の解析では、最低束縛エネルギー側に存在する主ピークの位置をエネルギー基準(284.8eV)とする。
また、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、炭素材料も挙げられる。この炭素材料としては、例えば、易黒鉛化炭素、(002)面の面間隔が0.37nm以上の難黒鉛化炭素あるいは(002)面の面間隔が0.34nm以下の黒鉛などが挙げられる。より具体的には、熱分解炭素類、コークス類、グラファイト類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭あるいはカーボンブラック類などがある。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークスあるいは石油コークスなどがあり、有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂などを適当な温度で焼成し、炭素化したものをいう。炭素材料は、リチウムの吸蔵および放出に伴う結晶構造の変化が非常に少ないため、例えば、その他の負極材料と共に用いることにより、高エネルギー密度を得ることができると共に優れたサイクル特性を得ることができる上、さらに導電剤としても機能するので好ましい。
さらに、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、リチウムを吸蔵および放出することが可能な金属酸化物あるいは高分子化合物なども挙げられる。金属酸化物としては、例えば、酸化鉄、酸化ルテニウムあるいは酸化モリブデンなどが挙げられ、高分子化合物としては、例えば、ポリアセチレン、ポリアニリンあるいはポリピロールなどが挙げられる。
なお、正極21および負極22の結着剤としては、例えば、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムあるいはエチレンプロピレンジエンなどの合成ゴムや、ポリフッ化ビニリデンなどの高分子材料が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、複数種が混合されて用いられてもよい。ただし、図1に示したように、正極21および負極22が巻回されている場合には、柔軟性に富むスチレンブタジエン系ゴムあるいはフッ素系ゴムなどを用いることが好ましい。
また、正極21および負極22の導電剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラックあるいはケッチェンブラックなどの炭素材料が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、複数種が混合されて用いられてもよい。なお、導電剤は、導電性を有する材料であれば、金属材料あるいは導電性高分子などであってもよい。
もちろん、上記した一連の負極材料は、複数種が混合されて用いられてもよい。特に、CoSnC含有材料および炭素材料を併用すれば、エネルギー密度およびサイクル特性がより向上する。
この二次電池では、正極活物質と負極活物質との間で量を調整することにより、正極活物質による充電容量よりも負極活物質の充電容量の方が大きくなっている。これにより、完全充電時においても負極22にリチウム金属が析出しないようになっている。
セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離し、両極の接触に起因する電流の短絡を防止しながら電極反応物質のイオンを通過させるものである。このセパレータ23は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどの合成樹脂からなる多孔質膜や、セラミックからなる多孔質膜などにより構成されており、これらの2種以上の多孔質膜が積層されたものであってもよい。セパレータ23の表面には高分子化合物層(図示せず)が設けられており、セパレータ23は、これを介して正極21および負極22と接着されている。
高分子化合物層は、溶媒に電解質塩が溶解された電解液と、この電解液を保持する高分子化合物とを含むものである。ここで、高分子化合物が電解液を「保持する」とは、電解液に高分子化合物が膨潤した状態のほか、電解液と高分子化合物とが相互作用することなく混在した状態をも含む概念である。すなわち、高分子化合物層は、電解液に高分子化合物が膨潤したいわゆるゲル状の電解質であってもよいし、剛直な高分子化合物の空隙に電解液が相互作用を生ずることなく存在した状態の電解質であってもよい。なお、電解液は、正極21、負極22またはセパレータ23に含浸されていてもよい。
電解液に含まれる溶媒としては、各種の高誘電率溶媒および低粘度溶媒を用いることができる。例えば高誘電率溶媒としては、エチレンカーボネートのほか、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(フルオロエチレンカーボネート)、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(クロロエチレンカーボネート)、およびトリフルオロメチルエチレンカーボネートなどの環状カーボネートが好適に用いられる。高誘電率溶媒としては、上記のような環状カーボネートの代わりに、またはこれと併用して、γ−ブチロラクトン,γ−バレロラクトン,δ−バレロラクトンもしくはε−カプロラクトンなどのラクトン、N−メチルピロリドンなどのラクタム、N−メチルオキサゾリジノンなどの環状カルバミン酸エステル、テトラメチレンスルホンなどのスルホン化合物なども使用可能である。一方、低粘度溶媒としては、ジエチルカーボネートのほか、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびメチルプロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチルおよびトリメチル酢酸エチルなどの鎖状カルボン酸エステル、N,N−ジメチルアセトアミドなどの鎖状アミド、N,N−ジエチルカルバミン酸メチルおよびN,N−ジエチルカルバミン酸エチル等の鎖状カルバミン酸エステル、ならびに1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランおよび1,3−ジオキソランなどのエーテルを用いることができる。
なお、溶媒としては、上述の高誘電率溶媒および低粘度溶媒のうちの1種を単独で、またが2種以上を任意に混合して用いることができるが、20〜50質量%の環状カーボネートと50〜80質量%の低粘度溶媒とを含むものが好ましく、特に低粘度溶媒として、沸点が130℃以下の鎖状カーボネートを含むものが好ましい。このような溶媒を用いることにより、少量の電解液で、高分子化合物を良好に膨潤させることができ、電池の膨れ抑制や漏れ防止と高いイオン伝導性との両立を図ることができる。ここで、電解液を占める低粘度溶媒の含有率が高すぎると誘電率の低下を招くこととなり、低粘度溶媒の含有率が低すぎると粘度の低下を招くこととなり、いずれの場合においても十分なイオン伝導度が得られず、良好な電池特性が得られなくなるおそれがある。
電解質塩としては、溶媒に溶解してイオンを生ずるものであればいずれを用いてもよく、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。例えばリチウム塩であれば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 )、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6 )、六フッ化アンチモン酸リチウム(LiSbF6 )、過塩素酸リチウム(LiClO4 )、四塩化アルミニウム酸リチウム(LiAlCl4 )等の無機リチウム塩や、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3 SO3 )、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド(LiN(CF3 SO2
2 )、リチウムビス(ペンタフルオロメタンスルホン)イミド(LiN(C2 5 SO2 2 )、およびリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホン)メチド(LiC(CF3 SO2 3 )などのパーフルオロアルカンスルホン酸誘導体のリチウム塩などが使用可能である。なかでも、六フッ化リン酸リチウムや四フッ化ホウ酸リチウムは、酸化安定性の点から好ましい。
なお、このような電解質塩の濃度は、溶媒1dm3 に対して0.1mol以上3.0mol以下であることが好ましく、特に、溶媒1dm3 に対して0.5mol以上2.0mol以下であることが好ましい。このような範囲においてより高いイオン伝導性を得ることができるからである。
高分子化合物層を構成する高分子化合物としては、電解液を保持してイオン伝導性を発揮する限り特に限定されるものではないが、アクリロニトリルの共重合体が50%以上(特に80%以上)であるアクリロニトリル系重合体、芳香族ポリアミド、アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、アクリレートもしくはメタクリレートの単独重合体または共重合体よりなるアクリル系重合体、アクリルアミド系重合体、フッ化ビニリデンなどの含フッ素ポリマー、ポリスルホン、ポリアリルスルホン、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース類を挙げることができる。特にアクリロニトリルの共重合量が50%以上の重合体は、その側鎖にCN基を有しているため誘電率が高く、イオン伝導性の高いゲル状の電解質を形成可能である。これら重合体に対する電解液の担持性向上や電解質のイオン伝導性を向上させるため、アクリルニトリルとアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等のビニルカルボン酸、アクリルアミド、メタクリルスルホン酸、ヒドロキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、アルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、各種(メタ)アクリレートなどを好ましくは50%以下、特に好ましくは20%以下の割合で共重合したものも用いることができる。また、芳香族ポリアミドは高耐熱性ポリマーであることから、高耐熱性が要求される場合には好適である。
高分子化合物層を構成する高分子化合物としては、上記のほか、ブタジエンなどを共重合させた架橋構造を有する重合体も挙げられる。さらに、構成成分としてフッ化ビニリデンを含む重合体、すなわち単独重合体、共重合体および多元共重合体についても高分子化合物として使用可能である。具体的には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF−HFP)、およびポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(PVdF−HEP−CTFE)を挙げることができる。特に、酸化還元安定性の点からは、ポリフッ化ビニリデンあるいはビニリデンフルオライドとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体などのフッ素系高分子化合物が望ましい。高分子化合物層26には、さらに、安全性向上を目的として酸化アルミニウム(Al2 3),酸化チタン(TiO2)あるいは酸化硅素(SiO2 )などの絶縁性粒子を含有させるようにしてもよい。
セパレータ23が高分子化合物層を介して正極21および負極22と接着されていることにより、電池反応に実質的に関与しない余剰の電解液を低減することができ、電解液が正極活物質層21Bおよび負極活物質層22Bの周囲に効率よく供給される。したがって、本実施の形態の二次電池は、電解液の総量を低減しつつ、優れたサイクル特性を発揮するものであるうえ、耐漏液性にも優れることになる。ここでは、正極集電体21Aの正極露出領域21DS,21DEおよび負極集電体22Aの負極露出領域22DS,22Eの各々と、セパレータ23との剥離強度が1mN/mm以上であることが望ましく、10mN/mm以上であることが特に望ましい。なお、この剥離強度とは、セパレータ23を支持台上に固定配置し、正極集電体21Aまたは負極集電体22Aを、セパレータ23から剥がすように10cm/分の速度で180°方向に引っ張った際、引っ張り始めてから6秒から25秒の間に、それらを剥離するのに必要とされた力の平均値を意味する。
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極21からリチウムイオンが放出され、セパレータ23の上の高分子化合物層に保持された電解液を介して負極22に吸蔵される。放電を行うと、例えば、負極22からリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極21に吸蔵される。
この二次電池は、例えば、以下の手順により製造される。
まず、正極21を作製する。具体的には、正極活物質と、結着剤と、導電剤とを混合して正極合剤としたのち、有機溶剤に分散させることによりペースト状の正極合剤スラリーとする。続いて、ドクタブレードあるいはバーコータなどを用いて正極合剤スラリーを正極集電体21Aに塗布したのち、乾燥させる。最後に、必要に応じて加熱しながらロールプレス機などを用いて圧縮成型することにより、正極活物質層21Bを形成する。この場合には、圧縮成型を複数回に渡って繰り返してもよい。
次に、負極22を作製する。具体的には、負極活物質と、結着剤とを混合して負極合剤としたのち、有機溶剤に分散させることによりペースト状の負極合剤スラリーとする。こののち、負極合剤スラリーを負極集電体22Aに塗布して乾燥させたのちに圧縮成型することにより、負極活物質層22Bを形成する。ここで、ケイ素やスズ、またはリチウムを含む負極活物質によって負極活物質層22Bを形成する場合には、必要に応じて圧縮成型やアニール処理を行うなどして負極集電体22Aと負極活物質層22Bとの密着性を向上させることが望ましい。こうすることで負極集電体22Aからの負極活物質層22Bの剥離を抑制し、良好なサイクル特性が得られるからである。
次に、正極集電体21Aおよび負極集電体22Aの所定位置にそれぞれ正極リード24および負極リード25を溶接などにより取り付ける。その一方で、セパレータ23の片面または両面に高分子化合物層を選択的に形成する。具体的には、まず、セパレータ23の片面または両面に、ポリフッ化ビニリデンやカルボキシメチルセルロースなどの高分子化合物をN−メチル−2−ピロリドンや水などの溶剤に溶解した高分子溶液を塗布する。その際、巻回体20の最外周における外側の面となる領域、すなわち、外装缶11と対向する面となる領域には塗布しないようにするとよい。次いで、塗布した高分子溶液を乾燥させて溶剤を除去することで高分子化合物層を選択的に形成する。こののち、正極21と負極22とを高分子化合物層が形成されたセパレータ23を間にして積層し、図3および図4に示した巻回方向Rに複数回巻回したのち成形することで扁平な形状の巻回体20を得る。
さらに、内面が反応抑制層31によって覆われた外装缶11を用意する。反応抑制層31については、その種類に応じて例えば以下の方法で形成することができる。まず、銅やニッケルからなる反応抑制層31を形成するには、無電解めっき法を用いるとよい。その場合、めっき処理を行う前に外装缶11の内面に亜鉛皮膜を形成するジンケート処理(亜鉛置換)を行うことが望ましい。これは、外装缶11を構成するアルミニウムが、その表面に強固な酸化皮膜を形成することにより銅やニッケルなどのめっき膜との接着性を弱めてしまう性質を有しているので、その接着性を向上させることを目的として行うものである。
フッ素樹脂を含有する酸化アルミニウムによって反応抑制層31を形成するには、以下のようにする。まず、硫酸水溶液中において外装缶11を陽極として通電することにより、外装缶11の内面に酸化アルミニウム層を形成する(アルマイト処理)。次いで、酸化アルミニウム層を形成した外装缶11を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)水性分散液(ディスパージョン)に浸漬させつつ熱処理を行うことで、フッ素樹脂含有酸化アルミニウムからなる反応抑制層31を形成する。
また、ポリイミドからなる反応抑制層31を形成するには、ポリアミド酸を有機溶媒(N−メチル−2−ピロリドンなど)に分散させたものを外装缶11の内面にスプレーコートし、アルゴン雰囲気において熱処理を行うようにすればよい。その他の種類の樹脂からなる反応抑制層31についても同様である。
最後に、二次電池を組み立てる。具体的には、反応抑制層31を有する外装缶11の内部に電池素子20を収納したのち、その電池素子20上に絶縁板12を配置する。続いて、溶接などにより、正極リード24を正極ピン15に接続すると共に負極リード25を外装缶11に接続させたのち、レーザ溶接などにより外装缶11の開放端部に電池蓋13を固定する。最後に、注入孔19から外装缶11の内部に電解液を注入してセパレータ23に含浸させたのち、その注入孔19を封止部材19Aで塞ぐ。これにより、図1および図2に示した二次電池が完成する。
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極21からリチウムイオンが放出され、セパレータ23に保持された電解液を経由して負極22に吸蔵される。一方、放電を行うと、例えば、負極22からリチウムイオンが放出され、セパレータ23に保持された電解液を経由して正極21に吸蔵される。
この二次電池によれば、外装缶11の内面に反応抑制層31を設けるようにしたので、電池反応物質としてのリチウムと、負極22と接続された外装缶11を構成するアルミニウムとの合金化反応が抑制される。その結果、軽量化を図りつつサイクル特性を向上させることができる。なお、従来においては、使用時における外装缶自体の浸食という問題を回避するため、アルミニウムを用いた外装缶を正極と短絡させる必要があったが、本実施の形態の二次電池によれば、そのような制約条件が解消され、設計上の自由度を広げることができる。さらに、正極集電体21Aが外装缶11の内面と対向するように配置したので、反応抑制層31が導電性を有する場合には、破損などの異常時における電池の安全性をいっそう向上させることができる。すなわち、外装缶11を負極22と短絡させ、そのすぐ内側にセパレータ23を介して正極集電体21Aを露出させた正極21を配置するようにしたので、電池が圧壊するなどの異常時には負極端子としての外装缶11が正極21と短絡することで速やかに電池反応が収束する。この結果、電池素子20の過度な発熱や発火を防止することができる。
次に、第2および第3の電池について説明するが、第1の電池と共通の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
(第2の電池)
第2の電池は、負極22の構成が異なる点を除き、第1の電池と同様の構成、作用および効果を有しており、同様の手順により製造される。
負極22は、第1の電池と同様に、負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが設けられたものである。負極活物質層22Bは、例えば、ケイ素あるいはスズを構成元素として含む負極活物質を含有している。具体的には、例えば、ケイ素の単体、合金あるいは化合物、またはスズの単体、合金あるいは化合物を含有しており、それらの2種以上を含有していてもよい。
この負極活物質層22Bは、気相法、液相法、溶射法あるいは焼成法、またはそれらの2種以上の方法を任意に用いて形成されたものであり、負極活物質層22Bと負極集電体22Aとが界面の少なくとも一部において合金化していることが好ましい。具体的には、界面において負極集電体22Aの構成元素が負極活物質層22Bに拡散し、あるいは負極活物質層22Bの構成元素が負極集電体22Aに拡散し、またはそれらの構成元素が互いに拡散し合っていることが好ましい。充放電に伴う負極活物質層22Bの膨張および収縮による破壊を抑制することができると共に、負極活物質層22Bと負極集電体22Aとの間の電子伝導性を向上させることができるからである。
なお、気相法としては、例えば、物理堆積法あるいは化学堆積法、具体的には真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、熱化学気相成長(CVD;Chemical Vapor Deposition )法あるいはプラズマ化学気相成長法などが挙げられる。液相法としては、電気鍍金あるいは無電解鍍金などの公知の手法を用いることができる。焼成法とは、例えば、粒子状の負極活物質を結着剤などと混合して溶剤に分散させることにより塗布したのち、結着剤などの融点よりも高い温度で熱処理する方法である。焼成法に関しても公知の手法が利用可能であり、例えば、雰囲気焼成法、反応焼成法あるいはホットプレス焼成法が挙げられる。
第2の電池では、上記第1の電池のように塗布法により形成した場合と比べて、負極集電体22Aと負極活物質層22Bとの密着性がより強固であることから、一旦形成された負極活物質層22Bを負極集電体22Aの上から選択的に除去することは極めて困難である。また、予め不要な領域には形成しないよう高精度なマスキングを施して選択的に負極活物質層22Bを形成することは、工程数や処理時間の増加を招き、生産性を低下させる原因となる。したがって、外装缶11を正極21と短絡させ、そのすぐ内側にセパレータ23を介して負極集電体22Aを露出させた負極22を配置するのではなく、図1に示したように、外装缶11を負極22と短絡させ、そのすぐ内側にセパレータ23を介して正極集電体21Aを露出させた正極21を配置することで電池の安全性を確保することが製造上、望ましい。なお、負極集電体22Aの一端に負極リード25を取り付ける際には、負極活物質層22Bを除去せずに、負極リード25を負極活物質層22Bの上から強く押し付ける(かしめる)ことにより負極集電体22Aと圧接接合させるようにすればよい。
この二次電池によれば、上記第1の電池と同様に、軽量化を図りつつサイクル特性を向上させることができ、かつ、高い安全性を確保することができる。
(第3の電池)
第3の電池は、負極22の容量がリチウムの析出および溶解に基づく容量成分により表される二次電池(いわゆるリチウム金属二次電池)である。この二次電池は、負極活物質層22Bが金属リチウムにより構成されている点を除き、第1または第2の電池と同様の構成を有している。
この二次電池は、負極活物質として金属リチウムを用いることで、より高いエネルギー密度を得ることができるようになっている。
負極活物質層22Bとしては例えば金属リチウム箔を用い、これを銅箔などの負極集電体22Aと貼り合わせるようにする。あるいは、気相法や液相法などを利用して、負極集電体22Aの上に金属リチウムからなる負極活物質層22Bを形成することもできる。
この二次電池では、充電を行うと、正極21からリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極集電体22Aの表面に金属リチウムとなって析出する。一方、放電を行うと、負極活物質層22Bから金属リチウムがリチウムイオンとなって溶出し、電解液を介して正極21に吸蔵される。
なお、負極活物質層22Bについては組み立て段階において設けるようにしてもよいが、組み立て時には設けずに、充電時に析出した金属リチウムによって構成するようにしてもよい。また、金属リチウム箔そのものを負極活物質層22Bと共に負極集電体22Aとしても利用することにより、負極集電体22Aとしての銅箔を省略するようにしてもよい。
この二次電池によれば、負極22の容量がリチウムの析出および溶解に基づく容量成分により表される場合に、上記第1および第2の電池と同様に、軽量化を図りつつサイクル特性を向上させることができ、かつ、高い安全性を確保することができる。
次に、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
(実施例1−1〜1−10)
本実施例として、図1および図2に示した角型の二次電池を作製した。但し、負極22については以下に述べるタイプA〜Dの4種類とし、外装缶11の内面に設けた反応抑制層31については以下に述べるタイプI〜IVの4種類とした。さらに、セパレータ23には高分子化合物層を設けることなく、電解液をセパレータ23に直接含浸させるようにした。
まず、正極21を作製した。具体的には、炭酸リチウム(Li2 CO3 )と炭酸コバルト(CoCO3 )とを、Li2 CO3 :CoCO3 =0.5:1のモル比で混合し、空気中において900℃で5時間焼成して、正極活物質としてのリチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2 )を得た。次いで、このリチウム・コバルト複合酸化物91質量部と、導電剤であるグラファイト6質量部と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合して正極合剤を調整した。続いて、この正極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極合剤スラリーとし、厚み12μmのアルミニウム箔よりなる正極集電体21Aの両面に選択的に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して正極活物質層21Bを形成し正極21を作製した。この際、正極21の巻回中心側および巻回外周側にそれぞれ正極露出領域21DS,21DE(図3)を設けるようにした。続いて、正極露出領域21DSの正極集電体21Aにアルミニウム製の正極リード24を取り付けた。
次に、以下のようにしてタイプA〜Dの負極22をそれぞれ作製した。
<タイプA>
まず、1μmの平均粒径を有する純度99%のケイ素粉末と、6μmの平均粒径を有する鱗片状人造黒鉛粉末と、ポリアミド酸とを80:10:10の質量比で混合して負極合剤を調整した。続いて、この負極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて負極合剤スラリーとし、電解銅箔よりなる負極集電体22Aの両面に均一に塗布して乾燥させた。ここで、電解銅箔としては、15μmの厚みを有すると共に、表面粗度がRa値で0.4μmのものを用いた。乾燥後、アルゴン雰囲気中において350℃の温度下で12時間に亘って熱処理を行うことで、ケイ素、黒鉛およびポリイミドが混合してなる負極活物質層22Bを負極集電体22Aの上に形成した。さらに、負極集電体22Aの一端に、ニッケル製の負極リード25を取り付けた。この際、負極リード25を負極活物質層22Bの上から強く押し付ける(かしめる)ことにより負極集電体22Aと圧接接合させた。
<タイプB>
電解銅箔からなる負極集電体21Aの両面に、電子ビーム蒸着法を用いて7μmの厚みを有するケイ素の薄膜を蒸着したのち、アルゴン雰囲気中において300℃の温度下で6時間に亘る熱処理を行うことで負極活物質層22Bを形成した。ここでは、電解銅箔として、15μmの厚みを有すると共に、表面粗度がRa値で0.3μmのものを用いた。さらに、タイプAと同様にして、負極集電体21Aの一端に、ニッケル製の負極リード25を取り付けた。
<タイプC>
電解銅箔からなる負極集電体21Aの両面に、電解めっき法を用いて6μmの厚みを有するスズのめっき膜を形成し、そのめっき膜の上に、電子ビーム蒸着法を用いて2μmの厚みを有するコバルト(Co)の薄膜を蒸着した。こののち、アルゴン雰囲気中において200℃の温度下で24時間に亘る熱処理を行うことで負極活物質層22Bを形成した。ここでは、電解銅箔として、15μmの厚みを有すると共に、表面粗度がRa値で0.3μmのものを用いた。さらに、タイプAと同様にして、負極集電体21Aの一端に、ニッケル製の負極リード25を取り付けた。
<タイプD>
平均粒子径が25μmの球状人造黒鉛の粒子と、黒鉛化気相成長炭素繊維と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデンとを90:3:7の質量比で混合して負極合剤を調整した。続いて、この負極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて負極合剤スラリーとし、電解銅箔よりなる負極集電体22Aの両面に選択的に塗布して乾燥させた。ここで、電解銅箔としては、15μmの厚みを有すると共に、表面粗度がRa値で0.1μmのものを用いた。乾燥後、ロールプレス機でプレス成型することで負極活物質層22Bを形成した。そののち、負極活物質層22Bに覆われていない負極集電体22Aの一端にニッケル製の負極リード25を取り付けた。
正極21および負極22を作製したのち、アルミニウム合金製の角型の外装缶11(0.3mm厚)を用意し、その内面にタイプI〜IVの反応抑制層31を以下のようにしてそれぞれ作製した。
<タイプI>
まず、外装缶11をトリクロロエチレンで脱脂洗浄したのち、硝酸浴中で洗浄した。次いで、市販の亜鉛合金置換剤を用いて外装缶11の内面に亜鉛皮膜を形成するジンケート処理を行い、一旦、硝酸浴に浸漬させたのち、再び同様のジンケート処理を行った。こののち、85℃に保持された塩化ニッケル、次亜リン酸ナトリウムおよびオキシ酢酸ナトリウムの混合溶液に浸漬させ、無電解めっき法により20μmの厚みを有するニッケルめっき膜からなる反応抑制層31を形成した。
<タイプII>
まず、硫酸水溶液中において外装缶11を陽極として通電することにより、外装缶11の内面に酸化アルミニウム層を形成した(アルマイト処理)。次いで、酸化アルミニウム層を形成した外装缶11を、0.3μmの平均粒径を有するポリテトラフルオロエチレン水性分散液に浸漬させつつ熱処理を行うことで、フッ素樹脂含有酸化アルミニウムからなる反応抑制層31を形成した。熱処理については、アルゴン雰囲気中において350℃の温度下で12時間に亘って実施した。なお、ここでの反応抑制層31の厚みは30μmとした。
<タイプIII>
ポリアミド酸をN−メチル−2−ピロリドンに分散させたものを外装缶11の内面にスプレーコートしたのち、アルゴン雰囲気において熱処理を行い、再度、スプレーコートおよび熱処理の操作を繰り返し行うことで、ポリイミドからなる反応抑制層31を形成した。最初の熱処理については300℃の温度下で3時間に亘って実施し、2回目の熱処理については450℃の温度下で12時間に亘って実施した。なお、ここでの反応抑制層31の厚みは20μmとした。
<タイプIV>
まず、硫酸水溶液中において外装缶11を陽極として通電することにより、外装缶11の内面に酸化アルミニウム層を形成した(アルマイト処理)。次いで、酸化アルミニウム層を形成した外装缶11の内面に、ペルヒドロポリシラザン(PHPS)を10重量%含むキシレン溶液をスプレーしたのち、大気中の水分とペルヒドロポリシラザンとを反応させることにより二酸化硅素層を形成し、酸化アルミニウム層と二酸化硅素層との積層構造からなる反応抑制層31を得た。なお、ここでの反応抑制層31の厚みは40μmとした。
反応抑制層31を形成したのち、16μm厚の微孔性ポリエチレンフィルムよりなるセパレータ23を用意し、正極21および負極22を、セパレータ23を介して積層して積層体を形成したのち、この積層体を渦巻状に複数回巻回し、扁平な形状に成型することで電池素子20を得た。この際、正極集電体21Aの正極露出領域21DEが負極22よりも電池素子20の外周側に位置するようにした。
次に、電池素子20を外装缶11の内部に収容したのち、電池素子20の上に絶縁板12を配置し、負極リード25を外装缶11に溶接すると共に、正極リード24を正極ピン15の下端に溶接して、外装缶11の開放端部に電池蓋13をレーザ溶接により固定した。そののち、注入孔19から外装缶11の内部に電解液を注入した。電解液には、炭酸エチレン30体積%と炭酸ジエチル70体積%とを混合した溶媒に、電解質塩としてLiPF6 を1mol/dm3 の濃度で溶解させたものを用いた。最後に、注入孔19を封止部材19Aで塞ぐことにより、角型の二次電池を得た。
各実施例における負極22および反応抑制層31の各タイプについては表1(後出)に示した通りである。
実施例1−1〜1−10に対する比較例1−1〜1−8として、反応抑制層を形成しなかったことを除き、他は実施例1−1〜1−8と同様にして電池を作製した。但し、比較例1−5〜1−8については、外装缶11を正極と短絡させるようにすると共に、電池素子20の最外周に負極22が位置するように作製した。なお、各比較例における負極22のタイプについては表1に示した通りである。
得られた各実施例および各比較例の二次電池について、2mA/cm2 の電流密度を維持しつつ電池電圧が4.2Vに達するまで定電流充電を行ったのち、4.2Vの定電圧で定電圧充電を行い、電流密度が0.2mA/cm2 に達した時点で停止した。引き続き、2mA/cm2 の電流密度で電池電圧が2.5Vに達するまで定電流放電を行い、初回の充放電効率(初回の放電容量/初回の充電容量)を求めた。その結果を表1に示す。
Figure 2008251433
表1に示したように、実施例1−1〜1−10では、外装缶11の内面に反応抑制層31を形成することで、これを設けなかった比較例1−1〜1−4よりも大幅に初回充放電効率が向上した。すなわち、実施例1−1〜1−10では、アルミニウムを含む外装缶11自体が負極端子として電池反応を生じることなく、外装缶11を正極と短絡させた比較例1−5〜1−8とほぼ同等の性能を維持することができた。
(実施例2−1〜2−3)
次に、釘刺試験を行って状態変化を観察することにより、電池破損時の安全性を調べた。結果を表2に示す。
この釘刺試験では、常温下で設計定格容量の1Cに相当する電流で4.2Vまで定電流定電圧充電を行い満充電状態としたのち、外装缶11のほぼ中央を貫通するように釘(Φ2.5mm)を突き刺し、その30秒後の外装缶11の表面温度を計測すると共に外観を観察するようにした。ここでは、外観および表面温度の変化に基づいて、試験後の電池状態を3段階(レベル0〜レベル2)に分類評価した。レベル0は表面温度50℃以下で発煙・発火なし、レベル1は表面温度90℃以下で発煙・発火なし、レベル2は表面温度90℃以上で発煙・発火ありの状態をそれぞれ表している。このうち、発煙・発火が生じなかったレベル0,1が電池破損時の安全性として許容可能なレベルである。
実施例2−1〜2−3の電池では、外装缶11を負極22と短絡させ、負極22の構成を上記のタイプBとし、外装缶11の内面には上記のタイプIの反応抑制層31を形成した。さらに、実施例2−1では、負極集電体22Aの露出部および正極集電体21Aの露出部を設けないようにした。実施例2−2では、図1のように、負極集電体22Aの露出部を設けずに、電池素子20の巻回外周側端部において正極集電体21Aの露出部を設けるようにした。実施例2−3では、電池素子20の巻回外周側端部において、負極集電体22Aおよび正極集電体21Aの双方について露出部を設けるようにした。
実施例2−1〜2−3に対する比較例2−1〜2−2,2−4として、外装缶11を正極と短絡させると共に反応抑制層を形成しなかったことを除き、他は実施例2−1〜2−3と同様にして電池を作製した。さらに、比較例2−3として、正極集電体21Aの露出部を設けずに、電池素子20の巻回外周側端部において負極集電体22Aの露出部を設けるようにしたことを除き、他は比較例2−4と同様にして電池を作製した。なお、比較例2−1〜2−4では、いずれも、実施例2−1〜2−3とは逆に、電池素子20の最外周が負極22となるように作製した。
Figure 2008251433
表2に示したように、本実施例では、レベル0またはレベル1であり、いずれも許容可能なレベルとなった。特に、正極集電体21Aの露出部を設け、負極端子としての外装缶11の内面と対向するようにした実施例2−2,2−3ではレベル0となり、より良好な結果が得られた。また、実施例2−2と実施例2−3との比較により、負極集電体22Aの露出部を敢えて設けなくとも十分に高い安全性を確保することができることがわかった。一方、外装缶11を正極21と短絡させた場合には、負極集電体22Aの露出部を設けないとレベル2となる(比較例2−1,2−2)ので、十分な安全性を確保するには比較例2−3,2−4のように負極集電体22Aの露出部を設ける必要がある。すなわち、本実施例のように負極端子としての外装缶11を機能させることにより、負極活物質層22Bを除去、あるいは選択的な負極活物質層22Bの形成という煩雑な作業を行わなくとも十分な安全性の確保が実現可能であることがわかった。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記した実施の形態および実施例において説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記した実施の形態および実施例では、電解液を高分子化合物に保持させたゲル状電解質を用いる場合、および電解液をセパレータに含浸させて用いる場合について説明したが、他の種類の電解質を用いるようにしてもよい。他の電解質としては、例えば、高分子化合物に保持しない電解液のほか、イオン伝導性セラミックス、イオン伝導性ガラスあるいはイオン性結晶などのイオン伝導性無機化合物と電解液とを混合したものや、他の無機化合物と電解液とを混合したものや、これらの無機化合物とゲル状電解質とを混合したものなどが挙げられる。
また、上記した実施の形態および実施例では、本発明の電池として、負極の容量がリチウムの吸蔵および放出に基づく容量成分により表されるリチウムイオン二次電池、あるいは負極活物質にリチウム金属を用い、負極の容量がリチウムの析出および溶解に基づく容量成分により表されるリチウム金属二次電池について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。本発明の電池は、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料の充電容量を正極の充電容量よりも小さくすることにより、負極の容量がリチウムの吸蔵および放出に基づく容量成分とリチウムの析出および溶解に基づく容量成分とを含み、かつ、それらの容量成分の和により表される二次電池についても同様に適用可能である。
また、上記した実施の形態または実施例では、正極の最外周部分において正極活物質層を設けずに正極集電体の両面を露出させるようにしたが、これに限定されるものではない。例えば図5の第1の変形例のように、最外周部分の正極集電体21Aのうち、その内側に位置する負極22の最外周部分と対向する面には負極活物質層22Bと対応する位置に正極活物質層21Bを設けるようにすることが望ましい。こうすることで、より電池容量を向上させることができる。また、最外周部分の正極集電体の両面を露出させた場合には、例えば図6に示した第2の変形例のように、正極集電体21Aの最外周部分と対向する負極集電体22Aを露出させるようにするとよい。こうすることで、異常時には、外装缶11と正極集電体21Aの最外周面とが接触することに加え、正極集電体21Aおよび負極集電体22Aの最外周部分同士の接触がなされるので、より迅速に電池反応を収束させることができ、安全性の面でいっそう有利なものとなる。
また、上記した実施の形態または実施例では、本発明の電池の電池構造として、角型を例に挙げて説明したが、本発明の電池は、円筒型、ラミネートフィルム型、コイン型あるいはボタン型などの他の電池構造を有する二次電池についても同様に適用可能である。さらに、上記した実施の形態または実施例では巻回型の電池素子を例示して説明したが、積層型の電池素子を用いた二次電池についても同様に適用可能である。また、本発明の電池は、二次電池に限らず、一次電池などの他の種類の電池についても同様に適用可能である。
本発明における一実施の形態としての電池を表す断面図である。 図1に示した電池のII−II線に沿った構成を表す断面図である。 図1に示した正極を展開した断面図である。 図1に示した負極を展開した断面図である。 図1に示した電池の第1の変形例の構成を表す断面図である。 図1に示した電池の第2の変形例の構成を表す断面図である。
符号の説明
11…外装缶、12…絶縁板、13…電池蓋、14…端子板、15…正極ピン、16…絶縁ケース、17…ガスケット、18…開裂弁、19…注入孔、19A…封止部材、20…電池素子、21…正極、21A…正極集電体、21B…正極活物質層、22…負極、22A…負極集電体、22B…負極活物質層、23…セパレータ、24…正極リード、25…負極リード、31…反応抑制層。

Claims (9)

  1. リチウム(Li)を吸蔵および放出可能な材料を含む正極と、リチウムを吸蔵および離脱可能な材料を含む負極とを有する電池素子と、
    前記電池素子を収容する外装缶とを備え、
    前記外装缶はアルミニウム(Al)を含む金属材料からなると共に前記負極と短絡しており、かつ、その内面にアルミニウムとリチウムとの反応を抑制する反応抑制層を有している
    ことを特徴とする電池。
  2. 前記反応抑制層はリチウムと合金を形成しない金属を含む
    ことを特徴とする請求項1記載の電池。
  3. 前記反応抑制層は銅(Cu)およびニッケル(Ni)のうちの少なくとも一方を含む
    ことを特徴とする請求項2記載の電池。
  4. 前記反応抑制層はポリアミドイミド,ポリイミド,フッ素含有樹脂,エポキシ樹脂のうちの少なくとも一種を含む
    ことを特徴とする請求項1記載の電池。
  5. 前記反応抑制層は金属酸化物を含むことを特徴とする請求項1記載の電池。
  6. 前記正極は、正極集電体のうちの前記外装缶の内面と対向する対向面以外の面の少なくとも一部を覆うように正極活物質層が設けられたものであり、
    前記正極集電体の前記対向面は、セパレータによって前記外装缶の内面と隔てられている
    ことを特徴とする請求項1記載の電池。
  7. 前記電池素子は、前記正極および負極がセパレータを介して積層された積層構造を有する巻回体であり、
    前記正極の最外周部分は前記負極の最外周部分と前記外装缶との間に位置し、
    前記負極は、負極集電体における最外周面以外の面の少なくとも一部を覆うように負極活物質層が設けられたものであり、
    前記正極は、正極集電体における最外周部分の両面以外の面の少なくとも一部を覆うように正極活物質層が設けられたものであり、
    前記外装缶の内面と前記正極集電体の最外周面とは、前記セパレータによって隔てられている
    ことを特徴とする請求項1記載の電池。
  8. 前記負極は、負極集電体の上に、ケイ素(Si)およびスズ(Sn)のうちの少なくとも一方または金属リチウムを含む負極活物質層が設けられたものである
    ことを特徴とする請求項1記載の電池。
  9. 前記負極集電体と前記負極活物質とは、界面の少なくとも一部において合金化している
    ことを特徴とする請求項8記載の電池。
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