JP2008227190A - 静電チャック、静電チャックの製造方法および基板処理装置 - Google Patents

静電チャック、静電チャックの製造方法および基板処理装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2008227190A
JP2008227190A JP2007064122A JP2007064122A JP2008227190A JP 2008227190 A JP2008227190 A JP 2008227190A JP 2007064122 A JP2007064122 A JP 2007064122A JP 2007064122 A JP2007064122 A JP 2007064122A JP 2008227190 A JP2008227190 A JP 2008227190A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrostatic chuck
film
dielectric substrate
insulator film
deposition method
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007064122A
Other languages
English (en)
Inventor
Ryoichi Nishimizu
亮市 西水
Hironori Hatono
広典 鳩野
Akihiko Matsumura
暁彦 松村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toto Ltd
Original Assignee
Toto Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toto Ltd filed Critical Toto Ltd
Priority to JP2007064122A priority Critical patent/JP2008227190A/ja
Publication of JP2008227190A publication Critical patent/JP2008227190A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Container, Conveyance, Adherence, Positioning, Of Wafer (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、電気絶縁に対する信頼性が高く、かつ、載置面の面内温度の制御性、均一性に優れた静電チャック、静電チャックの製造方法、および基板処理装置を提供する。
【解決手段】載置面を有する誘電体基板を備えた静電チャックであって、前記誘電体基板の前記載置面と対向する側の主面に形成された電極と、前記電極を覆うように形成された脆性材料の多結晶からなる絶縁体膜と、を備え、前記絶縁体膜における結晶同士の界面にはガラス相からなる粒界層が実質的に存在しないこと、を特徴とする静電チャックが提供される。
【選択図】図1

Description

本発明は、静電チャック、静電チャックの製造方法および基板処理装置に関する。
エッチング、CVD (Chemical Vapor Deposition)、スパッタリング、イオン注入、アッシング、露光、検査などを行う基板処理装置において、被処理物である半導体基板やガラス基板などを吸着保持する手段として静電チャックが用いられている。
このような静電チャックにおいては、吸着保持された被処理物の面内温度の均一性を向上させるために、静電チャックの下部に温度制御部を設ける技術が提案されている(特許文献1を参照)。
特許文献1に提案されている技術では、内部に電極を保持した絶縁層を温度制御部上に接着するようにしているが、この絶縁層は2枚のグリーンシートを重ね合わせそれを焼成することで形成させるようにしている。そのため、厚さを薄くすることが難しく熱伝達性を悪化させ、載置面、ひいては被処理物の面内温度の均一性を悪化させるおそれがあった。
そこで、溶射法を用いて電極の全面に絶縁性溶射膜を形成させることで薄厚化を図る技術が提案されている(特許文献2、3を参照)。
しかしながら、溶射法を用いて電極上に絶縁性溶射膜を形成させると、電極と絶縁性溶射膜との界面や絶縁性溶射膜内にポア(微小な空洞)が発生しやすく、このポアを基点とした放電が起こりやすくなる。そのため、電気絶縁に対する信頼性を確保する必要から、絶縁性溶射膜の厚さをさらに薄くするには限界があった。
特開2001−338970号公報 特開平11−135602号公報 特開2004−79588号公報
本発明は、電気絶縁に対する信頼性が高く、かつ、載置面の面内温度の制御性、均一性に優れた静電チャック、静電チャックの製造方法、および基板処理装置を提供する。
本発明の一態様によれば、載置面を有する誘電体基板を備えた静電チャックであって、前記誘電体基板の前記載置面と対向する側の主面に形成された電極と、前記電極を覆うように形成された脆性材料の多結晶からなる絶縁体膜と、を備え、前記絶縁体膜における結晶同士の界面にはガラス相からなる粒界層が実質的に存在しないこと、を特徴とする静電チャックが提供される。
また、本発明の他の一態様によれば、基台を形成するとともに、誘電体基板の一方の主面に電極を形成し、前記電極を覆うように絶縁体膜を形成し、前記電極が設けられた主面と、前記基台と、を接合する静電チャックの製造方法であって、前記絶縁体膜をエアロゾルデポジション法により形成すること、を特徴とする静電チャックの製造方法が提供される。
また、本発明の他の一態様によれば、上記の静電チャックを備えたこと、を特徴とする基板処理装置が提供される。
本発明によれば、電気絶縁に対する信頼性が高く、かつ、載置面の面内温度の制御性、均一性に優れた静電チャック、静電チャックの製造方法、および基板処理装置が提供される。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明をする。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る静電チャックを説明するための模式図である。 図1に示すように、静電チャック1には、基台2、誘電体基板3、電極4が設けられている。
誘電体基板3の一方の主面(載置面側)には、脆性材料からなる多結晶体膜7が形成されている。また、誘電体基板3の他方の主面には電極4が形成され、電極4を覆うように脆性材料の多結晶からなる絶縁体膜6が形成されている。この多結晶体膜7の上面が、半導体ウェーハ等の被処理物の載置面となる。そして、絶縁体膜6を介して誘電体基板3と、基台2とが接着剤で接着されている。この接着剤が硬化したものが接合層5となる。絶縁体膜6、多結晶体膜7は、エアロゾルデポジション法により形成させることができるが、エアロゾルデポジション法については後述する。
尚、多結晶体膜7は必ずしも必要ではなく、誘電体基板3の主面を載置面とすることもできる。ただし、耐プラズマ性の観点からは、多結晶体膜7が設けられていた方が好ましい。
電極4と電源10a、電源10bとは、電線9で接続されている。尚、電線9は基台2を貫通するようにして設けられているが、電線9と基台2とは絶縁されている。図1に示したものは、正極、負極の電極を互いに隣接する状態に形成させたいわゆる双極型静電チャックであるが、これに限定されるわけではなく、1つの電極を形成させたいわゆる単極型静電チャックであってもよいし、三極型、その他多極型であってもよい。また、電極の数や配置も適宜変更することができる。
基台2は、例えば、アルミニウム合金や銅などの熱伝導率の高い金属で構成することができ、その内部には冷却液または加熱液が流れる流路8を設けることができる。尚、流路8は必ずしも必要ではないが、被処理物の温度制御の観点からは設けられていた方が好ましい。
絶縁体膜6は、熱伝導率を2W/mK以上とすることが好ましい。このようにすれば、熱伝達性が良好となり、被処理物の温度制御性や面内温度の均一性が一層向上するからである。絶縁体膜6は、例えば、アルミナ(Al)やイットリア(Y)等の多結晶体で構成することができる。
このような多結晶体は、例えば、エアロゾルデポジション法により形成させることができる。この場合、エアロゾルデポジション法で形成させる多結晶体にはガラス質からなる粒界層が実質的に存在しない。尚、エアロゾルデポジション法については後述する。
ここで、本発明における粒界層とは、界面あるいは焼結体で言う粒界に位置する厚み(通常nm〜数μm)を持つ層をいい、通常は結晶粒内の結晶構造とは異なるアモルファス構造をとり、また場合によっては不純物の偏析を伴う。
また、絶縁体膜6には、電気絶縁の信頼性と高い熱伝達性が求められるが、これらを両立させる為には、緻密な薄膜でかつ絶縁耐圧が高いことが必要となる。このような絶縁体膜6は、エアロゾルデポジション法を用いて形成させることができる。エアロゾルデポジション法を用いるものとすれば、誘電体基板3や電極4の表面を粗面化するなどの前処理を行うことなく、これら異なる材料の上に、それぞれ高い密着力で、かつ緻密で絶縁性の高い膜を形成させることができる。
また、エアロゾルデポジション法を用いて絶縁体膜6を形成させるものとすれば、緻密で非常に薄い膜を得ることができるので、被処理物の温度制御性と面内温度の均一性を一層向上させることができる。具体的には、エアロゾルデポジション法により絶縁体膜6を形成させるものとすれば、非常に緻密な膜とすることができるので、室温大気中での膜の体積抵抗率を1014Ωcm以上とすることができる。そのため、同じ絶縁耐圧値の膜でも、膜の厚さを特許文献2や特許文献3に開示されている溶射法によるものより薄くすることができるので、熱伝達性を一層向上させることができる。この際、電気絶縁の信頼性と熱伝達性を考慮して絶縁体膜6の厚さを10μm以上100μm以下とすることが好ましい。
絶縁体膜6により絶縁性が確保されている為、接合層5としては、絶縁性に関わりなく熱伝導率が高いものを選択することが好ましい。具体的には、熱伝導率が1W/mK以上のものを選択することが好ましく、1.6W/mK以上とすればより好ましい。このような熱伝導率を有する接着剤は、例えば、シリコーン樹脂等にアルミナや窒化アルミニウムをフィラーとして添加することで得ることができ、また、添加の割合で熱伝導率を調整することもできる。
尚、接合層5は、前述の接着剤により形成されるものに限定されるわけではなく、基台2(金属材料)と絶縁体膜6(無機材料)とが接合でき、かつ熱伝導率が高いものであればよい。例えば、はんだ付け、ロー付け、 鉛フリーはんだ合金(例えば、錫−銀−ビスマス−インジュウム系合金など)などによる接合であってもよい。
ここで、接合層5の厚みは、熱伝達性を考慮すればできるだけ薄い方が好ましい。一方、基台2と絶縁体膜6との間における熱膨張率の差に起因する熱せん断応力により、接合層5が剥離することなどを考慮すれば、接合層5の厚みはできるだけ厚い方が好ましい。そのため、接合層5の厚みはこれらを考慮して0.1mm以上、0.3mm以下とすることが好ましい。
誘電体基板3としては、静電チャックに求められる様々な要求により種々の材料を用いることができるが、熱伝達性、電気絶縁の信頼性を考慮すると、セラミック焼結体を用いることが好ましい。セラミック焼結体の具体例を例示すれば、アルミナ、イットリア、窒化アルミニウム、炭化珪素などを挙げることができる。このとき、ハロゲンガスプラズマ環境下で使用されることを考慮すれば、ハロゲンガスプラズマに対する耐性に優れているイットリア(Y)とすることがより好ましく、イットリア(Y)の含有量を90wt%以上とすることがより好ましい。この誘電体基板3の材料の体積抵抗率を、使用温度領域で1014Ωcm以上とすればクーロン型静電チャックとすることができ、10〜1011Ωcmとすればジョンセン−ラーベック型静電チャックとすることができる。尚、体積抵抗率は任意に選択が可能ではあるが、体積抵抗率を1014Ωcm以上とすれば、高いクーロン力が発生し、仮に、後述するエアロゾルデポジション法により誘電体基板3上に形成された多結晶体膜7の一部に欠陥が発生した場合であっても、吸着特性に大きな支障が生じることはない。
また、誘電体基板3は、平均粒子径が2μm以下のセラミック焼結体とすることが好ましい。後述の図6で説明をするように、平均粒子径が2μm以下のセラミック焼結体を用いれば、多結晶体膜7の一部が仮に侵食されることがあっても、誘電体基板3自体の耐プラズマ性が高く、また、大きなサイズの脱粒が起きることをも抑制することができるからである。
ここで、後述するエアロゾルデポジション法を用いてセラミックス焼結体(誘電体基板3)上に成膜をする場合、エアロゾルデポジション法固有の特徴として、セラミックス焼結体のポア(開気孔)の有無に関わらずフラットな成膜が行われるため、絶縁破壊(異常放電)の起点となり得るポア(開気孔)がエアロゾルデポジション法による膜とセラミックス焼結体との界面に残存してしまうことがある。
本発明者は検討の結果、後述するエアロゾルデポジション法により多結晶体膜7、絶縁体膜6が形成される誘電体基板3の主面の表面粗さをRa0.1μm以下とすれば、ポア(開気孔)の残存を抑制することができるとの知見を得た。
特に、絶縁体膜6が形成される側の面の表面粗さをRa0.1μm以下とすれば、電気絶縁性に対する信頼性を大幅に向上させることができる。
クーロン型静電チャックの場合、実用的な電圧範囲(±1000V〜±5000V好ましくは、±2000V〜±5000V)で使用するためには、吸着力を確保するために誘電体基板3の厚みを0.5mm以下にすることが好ましい。また、製作の容易さを考慮すれば誘電体基板3の厚みは0.2mm以上(より好ましくは0.3mm以上)とすることが好ましい。
ジョンセン−ラーベック型静電チャックの場合、実用的な電圧範囲(±500V〜±2000V)で使用するためには、誘電体基板3の厚みを1.5mm以下にすることが好ましい。また、製作の容易さを考慮すれば誘電体基板3の厚みは0.2mm以上(より好ましくは0.3mm以上)とすることが好ましい。
また、誘電体基板3、接合層5、絶縁体膜6のトータル厚みは、0.5mm以上2.0mm以下であることが好ましい。このような厚みにすることで、被処理物と電極との間の電気絶縁性および電極と基台との間の電気絶縁性が確保でき、また、基台から被処理物ヘの熱伝達性が良好な静電チャックを得ることができる。さらに、誘電体からなる被処理物と基台との間のインピーダンスを抑えるため、トータルの厚みを1.5mm以下にすることがより好ましい。
電極4の材料としては、酸化チタン、チタンの単体あるいはチタンと酸化チタンの混合体、窒化チタン、炭化チタン、タングステン、金、銀、銅、アルミニウム、クロム、ニッケル、金−白金などを例示することができる。
多結晶体膜7の材料としては、アルミナやイットリア等の多結晶体材料を例示することができるが、ハロゲンガスプラズマに対する耐性に優れるイットリア(Y)を用いることが好ましく、その含有量を90wt%以上とすることがより好ましい。
また、多結晶体膜7にはガラス質からなる粒界層が実質的に存在しないようにすることが好ましい。ガラス質からなる粒界層が実質的に存在しなければ、プラズマ雰囲気に曝されても粒界層を起点とした侵食が進行することがなく、また、それに伴う脱粒をも抑制・低減することができるからである。そして、表面の凹凸がプラズマによる侵食の起点となり得るため、表面粗さをRa0.05μm以下とすることが好ましく、さらに、Ra0.03μm以下とすればより好ましい。このような構造の膜は、例えば、エアロゾルデポジション法により形成させることができる。尚、エアロゾルデポジション法については後述する。
次に、本実施の形態に係る静電チャックの作用について説明をする。
静電チャック1の多結晶体膜7の上面に、被処理物(例えば、半導体ウェーハ等)を載置し、電源10a、電源10bにより電圧を電極4に印加する。このとき、クーロン型静電チャックでは、被処理物と電極4にそれぞれ異なる極性の電荷が発生し、この電荷間に働くクーロン力によって被処理物が吸着固定される。一方、ジョンセン−ラーベック型静電チャックでは、被処理物と静電チャック1の表面にそれぞれ異なる極性の電荷が発生し、この電荷間に働くジョンセン−ラーベック力によって被処理物が吸着固定される。
被処理物の処理においては、静電チャック1を介して被処理物の温度制御が行われる場合がある。本実施の形態に係る静電チャック1では、流路8に冷却液や加熱液を流すことで被処理物の温度制御を行うことができる。この際、前述したようにエアロゾルデポジション法により絶縁体膜6、多結晶体膜7を形成させるものとすれば、緻密でかつ非常に薄い膜とすることができるので、被処理物の温度制御性と面内温度の均一性を一層向上させた処理をすることができる。尚、説明の便宜上、冷却液や加熱液を流し温度制御を行う場合を説明したが、ヒータなどの他の温度制御手段を設けるようにしてもよい。その場合であっても、絶縁体膜6、多結晶体膜7は緻密でかつ非常に薄い膜とすることができるので、被処理物の温度制御性と面内温度の均一性を一層向上させた処理をすることができる。
次に、本実施の形態に係る静電チャックの製造方法について説明をする。
図2は、静電チャックの製造方法を説明するためのフローチャートである。
まず、誘電体基板3の形成方法を説明する。
静電チャック1がクーロン型静電チャックの場合においては、例えば、まず、原料として酸化イットリウム(Y)粉末と酸化ホウ素(B)粉末とを用い、酸化イットリウム(Y)粉末に、酸化ホウ素(B)粉末を0.02wt%以上、10wt%以下の割合で添加し、この混合粉末を成形した後、1300℃以上、1600℃以下、望ましくは1400℃以上、1500℃以下で焼成する。
次に、HIP処理(熱間等方圧加圧)を行う。HIP処理の条件はArガス1000気圧以上とし、温度は1200℃以上、1500℃以下とする。このような条件によれば、相対密度が99%以上と極めて緻密で、20±3℃のときに体積抵抗率が1014Ωcm以上の誘電体基板3が得られる(ステップ1a)。
また、静電チャック1がジョンセン−ラーベック型静電チャックの場合においては、例えば、まず、原料として平均粒子径0.1μm、純度99.99%以上のアルミナ原料粉末を用い、これに0.2wt%を超え、0.6wt%以下の酸化チタン(TiO)を混合粉砕し、アクリル系バインダーを添加、調整後スプレードライヤーで造粒し、顆粒粉を製造する。
次に、CIP(ラバープレス)またはメカプレス成形後、所定の形状に加工し、1150℃〜1350℃の還元雰囲気下で焼成する。その後、HIP処理(熱間等方圧加圧)を行う。HIP処理の条件はArガス1000気圧以上とし、温度は焼成温度と同じ1150℃〜1350℃とする。このような条件によれば、相対密度が99%以上と極めて緻密で、構成粒子の平均粒子径が2μm以下、20±3℃のときに体積抵抗率が10〜1011Ωcm以上、熱伝導率が30W/mK以上の誘電体基板3が得られる(ステップ1b)。
尚、ここにいう平均粒子径とは、以下のプラニメトリック法で求められた粒子径である。まず、走査型電子顕微鏡 (SEM;scanning electron microscope) で誘電体基板3の写真を撮り、この写真上に面積がAの既知の円を描き、円内の粒子数ncと円周にかかった粒子数niから下記の(1)式によって単位面積当たりの粒子数NGを求める。

ここで示すmは写真の倍率である。1/ NGが1個の粒子の占める面積であるから、平均粒子径は円相当径の下記の(2)式により求めることができる。

次に、誘電体基板3の一方の主面を研削加工した後に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法やPVD(Physical Vapor Deposition)法などにより前述の炭化チタンやチタンなどからなる導電膜を形成し、この形成した膜をサンドブラスト法やエッチング法により所定の形状に成形して、所望の形状の電極4を形成する(ステップS2)。尚、電極4には電線9が適宜配線される。
次に、エアロゾルデポジション法を用いて、電極4を覆うように脆性材料の多結晶体からなる絶縁体膜6を形成する(ステップS3)。
次に、誘電体基板3の電極4が設けられた主面と対向する側の主面に、エアロゾルデポジション法を用いて多結晶体膜7を形成する(ステップS4)。尚、後述の図12で説明をする突起部32をさらに形成するようにしてもよい。
一方、切削加工などにより流路8を備えた基台2を作成する(ステップS5)。
次に、図4に示すように、絶縁体膜6を介して誘電体基板3と、基台2とを接着剤を用いて接合する(ステップS6)。この際、電極4と電源10a、電源10bとが、電線9で接続できるように、基台2を貫通させるようにして電線9を通しておく。接着剤が硬化したものが接合層5となる。
図3は、静電チャックの製造方法の他の具体例を説明するためのフローチャートである。 図2で説明をしたものとは、多結晶体膜7の形成手順が異なる。すなわち、基台2と誘電体基板3の接合後に、エアロゾルデポジション法により誘電体基板3の上面(電極が設けられた主面と対向する主面)に多結晶体膜7を形成するようにする。尚、後述の図12で説明をする突起部32をさらに形成するようにしてもよい。その他の手順や内容は、図2で説明をしたものと同様のため、その説明は省略する。
ここで、エアロゾルデポジション法による多結晶体膜7、絶縁体膜6の形成を説明する。 図5は、エアロゾルデポジション法を実施することのできる処理装置の模式構成図である。
図5に示すように、処理装置70には、形成室75が設けられている。形成室75の内部には、ノズル76とX−Yステージ77が設けられ、ノズル76から噴射されるエアゾルが、X−Yステージ77に載置、保持されている誘電体基板3の被処理面に当たるようになっている。ノズル76の一端(供給口)にはエアロゾル搬送管74の一端が接続され、エアロゾル搬送管74の他端はエアロゾル発生器73に接続されている。また、エアロゾル発生器73とガスボンベ71とがガス配管72を介して接続されている。そして、形成室75には真空ポンプ79が接続されている。ここで、ノズル76の開口寸法を例示するものとすれば、縦0.4〜1mm程度、横10〜20mm程度とすることができる。また、エアロゾル発生器73に収納されている原料の微粒子(例えば、セラミック微粒子)の平均粒径は0.1〜5μm程度とすることができる。
次に、処理装置70を用いた処理(エアロゾルデポジション法)について説明をする。 まず、真空ポンプ79を稼動させて、形成室75の内部を数Pa〜数kPa程度とし、これを維持するようにする。
次に、ガスボンベ71を開栓し、流量3〜20L/min程度の窒素ガスまたはヘリウムガスなどを、ガス配管72を介してエアロゾル発生器73に導入する。導入された窒素ガスまたはヘリウムガスなどと、予め収納されていた原料の微粒子(例えば、イットリア微粒子)とでエアロゾルが発生する。
発生したエアロゾルは、エアロゾル搬送管74を介してノズル76へと送られ、ノズル76の開口部より誘電体基板3の被処理面に向けて高速で噴射される。このとき、原料の微粒子(例えば、イットリア微粒子)が誘電体基板3の被処理面に衝突し、微細断片粒子に破砕・変形されるなどした後、瞬時に再結合して微細な結晶子の接合物として誘電体基板3の被処理面に多結晶体膜7または絶縁体膜6を形成する。
このようにして形成された多結晶体膜7または絶縁体膜6は、その平均結晶子径が原料の微粒子のそれに比べて極めて小さく、その径を5nm程度とすることも可能である。ここで、パーティクルとして通常問題とされるものの粒子径は0.3μm程度のため、結晶子が脱粒するようなことがあっても、半導体装置や液晶表示装置などの精密電子部品の品質に影響を与えるようなことはない。尚、半導体装置や液晶表示装置などの精密電子部品の微細化の程度に応じて平均結晶子径を選択することもできる。例えば、半導体装置の配線パターン幅がデザインルールで90nmの場合は平均結晶子径を70nm未満とし、配線パターン幅がデザインルールで65nmの場合は平均結晶子径を50nm未満とし、配線パターン幅がデザインルールで45nmの場合は平均結晶子径を30nm未満とし、配線パターン幅がデザインルールで32nmの場合は平均結晶子径を20nm未満とすることができる。
また、脆性材料の結晶同士の界面にはガラス相からなる粒界層が実質的に存在しないので、プラズマ雰囲気に曝されても粒界層を起点とした侵食が進行することがなく、それに伴う脱粒をも抑制・低減することができる。
また、後述の図6で説明をするように、誘電体基板3に平均粒子径が2μm以下のセラミック焼結体を用いれば、長期的にプラズマに曝される事で、多結晶体膜7の一部が仮に侵食されることがあっても、誘電体基板3自体の耐プラズマ性が高く、また、大きなサイズの脱粒が起きることを抑制することもできるので、パーティクル汚染の低減と、静電チャックとしての安定的な耐プラズマ性や吸着脱離特性を維持することができる。
また、多結晶体膜7または絶縁体膜6の一部は基材表面に食い込むアンカー部となっているため、剥離しにくい強固な膜とすることができる。
また、イットリア微粒子を用いて多結晶体膜7または絶縁体膜6を形成するようにすれば、前述の効果とあいまってハロゲンガスプラズマに対する耐性を大幅に向上させることができる。
また、このようにして形成した膜は、緻密でありその厚さを極めて薄くしても電気絶縁の信頼性や耐プラズマ性を低下させることがない。そのため、絶縁体膜6の厚さを極めて薄くすることができるので、熱伝達性が向上し、被処理物の温度制御性と面内温度の均一性を大幅に向上させることができる。
次に、エアロゾルデポジション法により形成させた膜の平均結晶子径の測定について説明をする。
前述の処理装置70を用いてイットリア多結晶体とアルミナ多結晶体の試料を作成した。具体的には、イットリア微粒子の平均粒径を0.4μmとし、搬送ガスである高純度窒素ガスを流量7L/minで導入し、アルミニウム基板上に形成高さ40μm、形成面積20mm×20mmのイットリア多結晶体からなるイットリア膜(層状構造物)を形成させた。同様にして、アルミナ微粒子の平均粒径を0.2μmとし、搬送ガスである高純度窒素ガスを流量7L/minで導入し、アルミニウム基板上に形成高さ40μm、形成面積20mm×20mmのアルミナ多結晶体からなるアルミナ膜(層状構造物)を形成させた。
このようにして形成させたイットリア膜及びアルミナ膜の平均結晶子径を、X線回折(マックスサイエンス製/MXP−18、XPRESS)を用いて、Scherrer法により測定・算出した。
その結果を表1に示す。表1から分かるように、エアロゾルデポジション法により形成させたイットリア膜の平均結晶子径は19.2nm、アルミナ膜の平均結晶子径も16.0nmと非常に小さな結晶から構成されていることが確認できた。

次に、エアロゾルデポジション法により形成させた膜の耐プラズマ性の評価について説明をする。
前述の処理装置70を用いてイットリア多結晶体の試料を作成した。具体的には、イットリア微粒子の平均粒径を0.4μmとし、搬送ガスである高純度窒素ガスを流量7L/minで導入し、石英基板上に形成高さ5μm、形成面積20mm×20mmのイットリア多結晶体からなるイットリア膜(層状構造物)を形成させた。
耐プラズマ性を評価する為に、石英基板上に形成させたイットリア多結晶体(A)、平均粒子径5〜50μmのアルミナ誘電体基板(B)、平均粒子径が2μm以下のアルミナ誘電体基板(C)の各試料を用意し、RIE型エッチャー装置(日電アネルバ社製/DEA−506)において、反応ガスとしてCF:40sccmとO:10sccmとの混合ガスを用い、マイクロ波出力を1KW、照射時間を3、5、6、8時間として、各試料をプラズマ雰囲気に曝した。
試料をプラズマ雰囲気に曝した後、表面粗さ形状測定器(東京精密社製/SURFCOM 130A)を用いて試料表面の表面粗さ(Ra)を評価した。その結果を図6に示す。
尚、評価はJIS規格(JIS B0601:2001)に基づいて行った。
図6は、プラズマ照射時間と表面粗さの関係を説明するためのグラフ図である。
図6から分かるように、平均粒子径が5〜50μmのアルミナ誘電体基板(B)の表面粗さは、プラズマ照射前が0.2μmであったが、5時間のプラズマ照射後は0.55μmと約2.5倍の悪化をみた。尚、平均粒子径が5〜50μmのアルミナ誘電体基板は、プラズマ処理装置に備えられる静電チャックなどの部材として一般的に使用されているものである。
また、平均粒子径2μm以下のアルミナ誘電体基板(C)の表面粗さは、プラズマ照射前が0.02μmと表面状態が良好であったが、5時間の照射後に0.06μmと約3倍の悪化をみた。ただし、一般的に使用されている平均粒子径が5〜50μmのアルミナ誘電体基板(B)よりは、耐プラズマ性が高く、また、粒子径のサイズも小さいので、大きなサイズの脱粒が起きることを抑制することができる。そのため、パーティクル汚染の低減と、安定的な耐プラズマ性や吸着脱離特性を維持することができる。
しかしながら、エアロゾルデポジション法により形成させた膜であるイットリア多結晶体(A)は、6時間のプラズマ照射前後でも0.02μmから0.027μmとほとんど変化が無く、ハロゲンガスプラズマに対する耐性がさらに優れていることが確認できた。また、前述したように、粒子径のサイズが極めて小さいため、仮に脱粒が起きてもパーティクル汚染が問題となるようなこともない。
次に、耐プラズマ性の評価としてプラズマ照射前後の表面状態を観察した。
試料としては、前述の石英基板上に形成させたイットリア多結晶体(A)、高純度アルミナ焼結体、イットリア焼結体(HIP処理品)を用いた。そして、これらの試料を同時にハロゲンガスプラズマ環境下に曝し、プラズマ照射前後の表面状態を走査型電子顕微鏡(日立製作所製/S−4100)で観察した。その観察結果を図7〜図9に示す。
図7は、プラズマ照射前後のイットリア多結晶体(A)の表面状態を表す顕微鏡写真である。図7(a)はプラズマ照射前、図7(b)はプラズマ照射後の表面状態を表す顕微鏡写真である。
図8は、プラズマ照射前後の高純度アルミナ焼結体の表面状態を表す顕微鏡写真である。図8(a)はプラズマ照射前、図8(b)はプラズマ照射後の表面状態を表す顕微鏡写真である。
図9は、プラズマ照射前後のイットリア焼結体(HIP処理品)の表面状態を表す顕微鏡写真である。図9(a)はプラズマ照射前、図9(b)はプラズマ照射後の表面状態を表す顕微鏡写真である。
プラズマ照射前においては、図7(a)、図8(a)、図9(a)から分かるように、高純度アルミナ焼結体やイットリア焼結体(HIP処理品)の表面には数μmのポアが観察されるが、エアロゾルデポジション法により形成させたイットリア多結晶体(A)の表面にはこのようなポアは観察されない。これは、エアロゾルデポジション法により形成させた膜の表面が平滑であることを示し、この平滑さがプラズマ照射による侵食と脱粒の抑制・低減や、異常放電の抑制に寄与することをも意味する。また、形成された膜が緻密であるため薄膜化を図ることができ、熱伝達性を向上させることができることを意味する。そのため、エアロゾルデポジション法によれば、耐プラズマ性や電気絶縁性に対する信頼性が高く、熱伝達性に優れた膜を得ることができる。
プラズマ照射後においては、図7(b)、図8(b)、図9(b)から分かるように、高純度アルミナ焼結体やイットリア焼結体(HIP処理品)の表面には、プラズマ照射前より大きさが大きく、また数も多いポアが観察される。これは、プラズマ照射により表面の侵食と脱粒が起こったことを意味している。これに比べ、エアロゾルデポジション法により形成させたイットリア多結晶体(A)の表面は、プラズマ照射後もほとんど変わらずポアも観察されない。
次に、エアロゾルデポジション法により形成させた膜の結晶構造を観察した。
まず、前述の処理装置70を用いてアルミナ多結晶体の試料を作成した。具体的には、アルミナ微粒子の平均粒径を0.2μmとし、搬送ガスである高純度窒素ガスを流量7L/minで導入し、アルミニウム基板上に形成高さ40μm、形成面積20mm×20mmのアルミナ多結晶体からなるアルミナ膜(層状構造物)を形成させた。
次に、この試料の膜の断面の結晶構造観察を透過型電子顕微鏡(日立製作所製/H−9000UHR)により行った。その観察結果を図10に示す。
図10は、エアロゾルデポジション法により形成させたアルミナ多結晶体膜断面の顕微鏡写真である。
図10から分かるように、エアロゾルデポジション法により形成させたアルミナ多結晶体では、結晶同士の界面にガラス相からなる粒界層が実質的に存在せず、数nm〜数十nmの結晶子からなる構造となっていることが確認できた。尚、説明の便宜上、アルミナ多結晶体で説明をしたが、エアロゾルデポジション法により形成させた他の膜(例えば、イットリア多結晶体)でも同様のことがいえる。
このように、結晶同士の界面にガラス相からなる粒界層が実質的に存在しなければ、プラズマ雰囲気に曝されても粒界層を起点とした侵食が進行することがなく、それに伴う脱粒も抑制・低減させることができる。
次に、エアロゾルデポジション法により形成させた膜の密着強度の評価について説明をする。
前述の処理装置70を用いてイットリア多結晶体とアルミナ多結晶体の試料を作成した。 具体的には、イットリア微粒子の平均粒径を0.5μmとし、搬送ガスである高純度窒素ガスを流量5L/minで導入し、アルミナ基板上に形成高さ20μm、形成面積20mm×20mmのイットリア多結晶体からなるイットリア膜(層状構造物)を形成させた。同様にして、アルミナ微粒子の平均粒径を0.6μmとし、搬送ガスである高純度窒素ガスを流量7L/minで導入し、アルミ合金基板およびアルミナ基板上に形成高さ20μm、形成面積20mm×20mmのアルミナ多結晶体からなるアルミナ膜(層状構造物)を形成させた。
このようにして形成させたそれぞれの多結晶体膜と、直径8mm、長さ60mmのステンレス製ロッドとをエポキシ樹脂で接着し、120℃で1時間過熱して前記樹脂を硬化させた。
このようにして得られたイットリア膜およびアルミナ膜の試料を、オートグラフ(島津製作所製/EZ Graph)を用いて、引き倒し法により測定・算出することで、密着強度を評価した。
図11は、引き倒し法の様子を例示するための模式図である。
尚、比較材として、アルミ合金上およびアルミナ焼結体上に形成させたアルミナ溶射膜を用いた。
その結果を表2に示す。

表2から分かるように、エアロゾルデポジション法により形成させたイットリア膜の密着強度はアルミナ基板上において80MPa、アルミナ膜の密着強度はアルミ合金上において75MPa、アルミナ基板上において65MPaであった。 このように、いずれの場合においても、エアロゾルデポジション法により形成させた膜は、溶射膜に比べて高い密着力を有していることが分かる。
そのため、エアロゾルデポジション法を用いて形成させた膜は、溶射膜に比べて大幅な脱粒の抑制・低減をさせることができる。
また、誘電体基板3や電極4の表面を粗面化するなどの前処理を行うことなく、これら異なる材料の上に、それぞれ高い密着力で、かつ緻密で絶縁性の高い膜を形成させることができる。
次に、エアロゾルデポジション法により形成させたイットリア膜の絶縁耐圧の測定について説明する。
前述の処理装置70を用いてイットリア多結晶体の試料を作成した。具体的には、イットリア微粒子の平均粒径を0.5μmとし、搬送ガスである高純度窒素ガスを流量5L/minで導入し、アルミ合金基板上に形成高さ10μm、形成面積20mm×20mmのイットリア多結晶体からなるイットリア膜(層状構造物)を形成させた。
このようにして得られたイットリア膜の試料を、耐圧試験器(KIKUSUI製/TOS 5101)を用いて、測定・算出した。
その結果、エアロゾルデポジション法により形成させたイットリア膜の絶縁耐圧は、350V/μmと高い値を示した。
そのため、エアロゾルデポジション法を用いて形成させた膜は、同じ厚さの溶射膜などに比べて高い電気絶縁性を確保することができる。また、同じ絶縁耐圧における膜の厚さを薄くすることができるため、熱伝達性を向上させることができる。そして、前述したように界面におけるポアの少なさや、その平滑性により異常放電を抑制することができるので電気絶縁に対する信頼性も向上させることができる。
図12は、本発明の第2の実施の形態に係る静電チャックを説明するための模式図である。
尚、図1で説明をしたものと同様の部分には同じ符号を付し説明は省略する。
図12に示すように、静電チャック30には誘電体基板3が設けられ、誘電体基板3の一方の主面(載置面側)にはエアロゾルデポジション法により脆性材料からなる多結晶体膜7が形成されている。そして、さらに多結晶体膜7の上面(載置面側)にはエアロゾルデポジション法により脆性材料からなる突起部32が形成されている。この突起部32の上面が、半導体ウェーハ等の被処理物の載置面となる。
また、静電チャック30の中心を貫通するように貫通孔31が設けられている。貫通孔31の一端は多結晶体膜7の上面に開口し、他端は図示しない圧力制御手段や流量制御手段を介して、これも図示しないガス供給手段と接続されている。図示しないガス供給手段はヘリウムガスまたはアルゴンガスなどを供給するためのものであり、突起部32により形成される溝部32aが供給されたガスの通路となる。溝部32a同士はそれぞれ連通し、供給されたガスが全体にいきわたるようになっている。
図示しないガス供給手段から供給されたガス(例えば、ヘリウムガス)は、図示しない圧力制御手段や流量制御手段により圧力や流量が調整された後、貫通孔31を通って溝部32aに導入される。導入されたガスは溝部32aを通り、多結晶体膜7の上面全体にいきわたる。そして、導入されたガスは突起部32と被処理物との間にも導かれ、互いの熱伝導率を著しく高めることから、基台2の温度を被処理物に効果的に伝えることができる。
本実施の形態に係る静電チャック30では、前述したように絶縁体膜6や多結晶体膜7の厚さが極めて薄い、そのため熱伝達性がさらに向上し、被処理物の温度制御性と面内温度の均一性を大幅に向上させることができる。
図13は、本発明の第3の実施の形態に係る静電チャックを説明するための模式図である。
尚、図1や図12で説明をしたものと同様の部分には同じ符号を付し説明は省略する。
図13に示すように、静電チャック40には誘電体基板3が設けられている。そして、誘電体基板3の一方の主面(載置面側)には、エアロゾルデポジション法により脆性材料からなる多結晶体膜7が形成され、誘電体基板3の他方の主面には電極4が形成されている。
また、エアロゾルデポジション法により、電極4を覆うように脆性材料の多結晶体からなる絶縁体膜6aが形成されている。ここで、絶縁体膜6aで覆われる範囲は、電極4を覆うのに充分な範囲とされ、電極4が形成された側の誘電体基板3主面の全域までは覆われていない。
この場合、絶縁体膜6aで覆われる範囲を制限しても、電極4が絶縁体膜6aで覆われている限りは、前述した絶縁破壊に対する信頼性や熱伝達性などが低下することはない。その上、絶縁体膜6aで覆われる範囲を少なくすることで、処理時間やコストを低下させることができる。
図14は、本発明の実施の形態に係る静電チャックを備えた基板処理装置を説明するための模式図である。
基板処理装置100は、処理容器101、上部電極110、本発明にかかる静電チャック1を備えている。処理容器101の天井には処理ガスを内部に導入するための処理ガス導入口102が設けられ、その底板には内部を減圧排気するための排気口103が設けられている。また、上部電極110、静電チャック1には高周波電源104が接続され、上部電極110と静電チャック1より構成される一対の電極が、互いに所定の間隔を隔てて平行に対峙するようになっている。このように構成される基板処理装置100において、上部電極110と静電チャック1に高周波電圧が印加されると、高周波放電が起こり処理容器101内に導入された処理ガスがプラズマにより励起、活性化されて、被処理物Wが処理されることになる。尚、被処理物Wとしては半導体基板(ウェーハ)を例示することができるが、これに限定されるわけではなく、例えば、液晶表示装置に用いられるガラス基板等であってもよい。
基板処理装置100のような構成の装置は、一般に平行平板型RIE(Reactive Ion Etching)装置と呼ばれるが、本発明にかかる静電チャックはこの装置への適用に限定されるわけではない。例えば、ECR(Electron Cyclotron Resonance) エッチング装置、誘電結合プラズマ処理装置、ヘリコン波プラズマ処理装置、プラズマ分離型プラズマ処理装置、表面波プラズマ処理装置、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition )装置などのいわゆる減圧処理装置に広く適応することができるし、露光装置や検査装置のように大気圧下で処理や検査が行われる基板処理装置に広く適用することもできる。ただし、本発明にかかる静電チャックの有する高い耐プラズマ性を考慮するとプラズマ処理装置に適用させることが好ましい。尚、これらの装置の構成の内、本発明にかかる静電チャック以外の部分には既知の構成を適用させることができるので、その説明は省略する。
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明をした。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
前述の具体例に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、説明の便宜上、クーロン型静電チャックとジョンセン−ラーベック型静電チャックを説明したが、吸着面上に不均一電界を形成させることにより絶縁体である被処理物の一部を分極させ、そのとき発生する電界強度の強い方向へ引き寄せられる力(グラジエント力)を利用する静電チャックであってもよい。
また、静電チャックや基板処理装置などの各要素の形状、寸法、材質、成分比、配置なども、例示したものに限定されるわけではなく、適宜変更を加えたものも本発明の特徴を備えている限り本発明の範囲に包含される。
また、前述した各具体例が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
本発明の第1の実施の形態に係る静電チャックを説明するための模式図である。 静電チャックの製造方法を説明するためのフローチャートである。 静電チャックの製造方法の他の具体例を説明するためのフローチャートである。 基台と誘電体基板の接合を説明するための模式図である。 エアロゾルデポジション法を実施することのできる処理装置の模式構成図である。 プラズマ照射時間と表面粗さの関係を説明するためのグラフ図である。 プラズマ照射前後のイットリア多結晶体の表面状態を表す顕微鏡写真である。 プラズマ照射前後の高純度アルミナ焼結体の表面状態を表す顕微鏡写真である。 プラズマ照射前後のイットリア焼結体(HIP処理品)の表面状態を表す顕微鏡写真である。 エアロゾルデポジション法により形成させたアルミナ多結晶体膜断面の顕微鏡写真である。 引き倒し法の様子を例示するための模式図である。 本発明の第2の実施の形態に係る静電チャックを説明するための模式図である。 本発明の第3の実施の形態に係る静電チャックを説明するための模式図である。 本発明の実施の形態に係る静電チャックを備えた基板処理装置を説明するための模式図である。
符号の説明
1 静電チャック、 2 基台、 3 誘電体基板、 4 電極、 5 接合層、 6 絶縁体膜、 7 多結晶体膜、 8 流路、 9 電線、 10a、10b 電源、 30 静電チャック、 31 貫通孔、 32 突起部、 32a 溝部、 40 静電チャック、 70 処理装置、 71 ガスボンベ、 72 ガス配管、 73 エアロゾル発生器、 74 エアロゾル搬送管、 75 形成室、 76 ノズル、 77 ステージ、 79 真空ポンプ、100 基板処理装置、101 処理容器、102 処理ガス導入口、103 排気口、104 高周波電源、110 上部電極

Claims (19)

  1. 載置面を有する誘電体基板と、
    前記誘電体基板の前記載置面と対向する側の主面に形成された電極と、
    前記電極を覆うように形成された脆性材料の多結晶からなる絶縁体膜と、
    を備え、
    前記絶縁体膜における結晶同士の界面にはガラス相からなる粒界層が実質的に存在しないこと、を特徴とする静電チャック。
  2. 前記絶縁体膜の厚さは、10μm以上100μm以下であること、を特徴とする請求項1記載の静電チャック。
  3. 前記絶縁体膜は、イットリア(Y)を含有すること、を特徴とする請求項1または2に記載の静電チャック。
  4. 前記絶縁体膜が形成される側の前記誘電体基板の主面の表面粗さがRa0.1μm以下であること、を特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の静電チャック。
  5. 前記絶縁体膜は、エアロゾルデポジション法により形成されること、を特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の静電チャック。
  6. 前記誘電体基板を支持する基台と、
    前記基台と少なくとも前記絶縁体膜との間に設けられた接合層と、をさらに備え、
    前記接合層の熱伝導率は1W/mK以上であること、を特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の静電チャック。
  7. 前記接合層の厚さは、0.1mm以上、0.3mm以下であること、を特徴とする請求項6記載の静電チャック。
  8. 前記誘電体基板と、前記接合層と、前記絶縁体膜とのトータル厚みは、0.5mm以上2.0mm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の静電チャック。
  9. 前記基台は、流体の流路が設けられてなること、を特徴とする請求項6〜8のいずれか1つに記載の静電チャック。
  10. 前記誘電体基板は、平均粒子径が2μm以下のセラミック焼結体からなること、を特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の静電チャック。
  11. 前記載置面には脆性材料からなる多結晶体膜がさらに形成され、前記多結晶体膜における結晶同士の界面にはガラス相からなる粒界層が実質的に存在しないこと、を特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の静電チャック。
  12. 前記多結晶体膜は、エアロゾルデポジション法により形成されること、を特徴とする請求項11記載の静電チャック。
  13. 前記多結晶体膜の表面には突起部が設けられ、前記突起部における結晶同士の界面にはガラス相からなる粒界層が実質的に存在しないこと、を特徴とする請求項11または12に記載の静電チャック。
  14. 前記突起部は、エアロゾルデポジション法により形成されること、を特徴とする請求項13記載の静電チャック。
  15. 基台を形成するとともに、
    誘電体基板の一方の主面に電極を形成し、
    前記電極を覆うように絶縁体膜を形成し、
    前記電極が設けられた主面と、前記基台と、を接合する静電チャックの製造方法であって、
    前記絶縁体膜をエアロゾルデポジション法により形成すること、を特徴とする静電チャックの製造方法。
  16. エアロゾルデポジション法により脆性材料からなる多結晶体膜を、前記誘電体基板の前記電極が設けられた主面と対向する側の主面にさらに形成すること、を特徴とする請求項15記載の静電チャックの製造方法。
  17. エアロゾルデポジション法により突起部を、前記多結晶体膜の表面にさらに設けること、を特徴とする請求項16記載の静電チャックの製造方法。
  18. 前記基台に流路を形成すること、を特徴とする請求項15〜17のいずれか1つに記載の静電チャックの製造方法。
  19. 請求項1〜14のいずれか1つに記載の静電チャックを備えたこと、を特徴とする基板処理装置。
JP2007064122A 2007-03-13 2007-03-13 静電チャック、静電チャックの製造方法および基板処理装置 Pending JP2008227190A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007064122A JP2008227190A (ja) 2007-03-13 2007-03-13 静電チャック、静電チャックの製造方法および基板処理装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007064122A JP2008227190A (ja) 2007-03-13 2007-03-13 静電チャック、静電チャックの製造方法および基板処理装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008227190A true JP2008227190A (ja) 2008-09-25

Family

ID=39845448

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007064122A Pending JP2008227190A (ja) 2007-03-13 2007-03-13 静電チャック、静電チャックの製造方法および基板処理装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008227190A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015151857A1 (ja) * 2014-03-31 2015-10-08 株式会社東芝 耐プラズマ部品及び耐プラズマ部品の製造方法及び耐プラズマ部品の製造に用いる膜堆積装置
WO2024038674A1 (ja) * 2022-08-19 2024-02-22 Agc株式会社 イットリウム質保護膜およびその製造方法ならびに部材
JP7521404B2 (ja) 2020-12-15 2024-07-24 住友大阪セメント株式会社 静電チャック装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015151857A1 (ja) * 2014-03-31 2015-10-08 株式会社東芝 耐プラズマ部品及び耐プラズマ部品の製造方法及び耐プラズマ部品の製造に用いる膜堆積装置
JPWO2015151857A1 (ja) * 2014-03-31 2017-04-13 株式会社東芝 耐プラズマ部品及び耐プラズマ部品の製造方法及び耐プラズマ部品の製造に用いる膜堆積装置
JP7521404B2 (ja) 2020-12-15 2024-07-24 住友大阪セメント株式会社 静電チャック装置
WO2024038674A1 (ja) * 2022-08-19 2024-02-22 Agc株式会社 イットリウム質保護膜およびその製造方法ならびに部材

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2008160097A (ja) 静電チャック、静電チャックの製造方法および基板処理装置
JP4744855B2 (ja) 静電チャック
CN105980331B (zh) 电介质材料及静电卡盘装置
JP5604888B2 (ja) 静電チャックの製造方法
US9837296B2 (en) Electrostatic chuck apparatus
US20170345691A1 (en) Substrate support assembly
US8284538B2 (en) Electrostatic chuck device
WO2008018341A1 (fr) Dispositif de fixation électrostatique
JP2004260039A (ja) 半導体あるいは液晶製造装置用保持体およびそれを搭載した半導体あるいは液晶製造装置
JP2006225185A (ja) イットリア焼結体、セラミックス部材、及び、イットリア焼結体の製造方法
JP2006332204A (ja) 静電チャック
JP2005317749A (ja) 半導体製造装置用保持体及びそれを搭載した半導体製造装置
WO1995014308A1 (fr) Electrode pour la production de plasma, element d'enfouissement d'electrode, et procede de fabrication de l'electrode et de l'element
JP2008042140A (ja) 静電チャック装置
JP2008227190A (ja) 静電チャック、静電チャックの製造方法および基板処理装置
JP5032444B2 (ja) 基板保持体
JP2002037683A (ja) 耐プラズマ性部材およびその製造方法
JP6503689B2 (ja) 静電チャック装置およびその製造方法
EP1719744A1 (en) Non oxide ceramic having oxide layer on the surface thereof, method for production thereof and use thereof
JP2005175179A (ja) セラミックチャック
JP4623794B2 (ja) アルミナ質耐食部材及びプラズマ装置
TWI814429B (zh) 晶圓支持體
JP3965469B2 (ja) 静電チャック
WO2023223646A1 (ja) ウエハ支持体
JP4789416B2 (ja) セラミック抵抗体及びその製造方法並びに静電チャック