JP2008218327A - 電解質、電解質膜、それを用いた膜電極接合体、燃料電池電源及び燃料電池電源システム - Google Patents

電解質、電解質膜、それを用いた膜電極接合体、燃料電池電源及び燃料電池電源システム Download PDF

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Abstract

【課題】高イオン伝導性と高耐酸化劣化特性が両立する炭化水素系高分子電解質、それを用いた電解質膜、膜/電極接合体、燃料電池及び燃料電池システムを提供する。
【解決手段】耐酸化劣化特性の優れたポリイミダゾール類、ポリオキサゾール類やポリチアゾール類等のポリアゾール系高分子の芳香環にホスホアルキル基やホスホン酸基を直接、又は酸素、硫黄等の原子を介して導入することにより得られるホスホアルキル基含有ポリアゾール電解質であり、前記ホスホアルキル基含有ポリアゾール電解質は、ホスホアルキル基やホスホン酸基を含有する芳香族系のポリオキサゾール類、ポリチアゾール類、ポリイミダゾール類及びそれらが混在する組成物や共重合体である。
【選択図】図4

Description

本発明は、水素やメタノール等を燃料とする燃料電池、水電解、ハロゲン化水素酸電解、食塩電解、酸素濃縮器、湿度センサ、ガスセンサ等に用いられる電解質膜等に好適な、特にメタノール直接型燃料電池に最適な、耐酸化性、イオン伝導性等に優れた低コスト高耐久性高分子電解質、それを用いた高分子電解質膜、電極触媒被覆溶液、膜/電極接合体、燃料電池、燃料電池電源及び燃料電池電源システムに関する。
固体高分子電解質は高分子鎖中にホスホン酸基、ホスホアルキル基、スルホン基、ホスホアルキル基等のイオン交換基を有する高分子材料であり、特定のイオンと強固に結合したり、陽イオン又は陰イオンを選択的に透過したりする性質を有していることから、粒子、繊維、あるいは膜状に成形し、電気透析、拡散透析、電池隔膜等の各種の用途に利用されている。
水素を燃料とする固体高分子形燃料電池やメタノール、ジメチルエーテルやエチレングリコール等の液体を燃料とする固体高分子形燃料電池は、高出力密度、低温作動、環境調和性が高いという特長を持つことから、自動車などの移動体用電源、分散型電源やモバイル機器用電源等として実用化に向けた開発が進められている。また、水電解は、高分子電解質膜を用いて水を電気分解することにより水素と酸素を製造するものである。
安価な高分子電解質膜としてエンジニアリングプラスチックに代表される芳香族炭化水素系高分子にスルホン基を導入した、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン等の電解質膜が提案された。これらエンジニアプラスチックをスルホン化した芳香族炭化水素系電解質膜はナフィオン(登録商標)に代表されるふっ素系電解質膜と比較すると、製造が容易で低コストになりうる利点がある。しかし、その一方、「(1)スルホン酸基が直接芳香環に結合しているため、酸または熱によりスルホン酸基の脱離が起こり、イオン伝導率が低下する、(2)スルホン酸基の近傍にエーテル結合等の電子供与性基が存在するとそこから酸化劣化が起こり、強度が低下する、」と言う欠点があった。特に、メタノール直接型燃料電池ではカソード電位が低いため、カソードで過酸化水素が発生し易く、上記(2)の解決が課題であった。
前記(1)の解決法としてスルホン酸基の代わりにスルホアルキル基を導入することが提案された(特許文献1、2)。又、前記(2)の解決方法として主鎖の芳香族炭化水高分子の一部にアゾール系高分子を用いることが提案された(特許文献3〜10)。特許文献3、4は主鎖の一部にポリベンゾイミダゾールを導入し、イオン伝導性を付与するため、従来の主鎖の芳香環の一部にスルホン酸基を導入している。しかし、主鎖の耐酸化劣化特性は向上したが、スルホン酸基が直接芳香環に結合しているため、酸または熱によりスルホン酸基の脱離が起こってイオン伝導度が低下して抵抗が高くなる現象が起こり、電源としての耐久性は低かった。
特許文献5〜8は主鎖にポリベンゾイミダゾールを採用して耐酸化劣化特性を向上させ、イオン伝導性をイミダゾール環の窒素原子にスルホン酸基、スルホアルキル基やホスホアルキル基を導入することによってイオン伝導性を発揮させたものである。特許文献5〜8は、いずれもイミダゾール環の窒素原子にイオン伝導性基を導入しているため、導入できるイオン伝導性基の導入量が限定され、80℃という高温でもイオン伝導度は0.07S/cm以下と、比較的低温で作動するメタノール直接型燃料電池や高電流密度で使用する移動体用固体高分子形燃料電池等に使用するには、イオン伝導性は低いものであった。
前記特許文献1〜8を踏まえて、前記(1)及び(2)の同時解決方法として芳香族環のCに水酸基が結合したアゾール系高分子電解質膜が提案された(特許文献10)。
特開2002−110174号公報 特開2003−187826号公報 特開2002−146018号公報 特表2006−507372号公報 特開平09−73908号公報 特開平09−110982号公報 特開2003−055457号公報 特開2003−178772号公報 特開2003−022709号公報 特開2005−290318号公報
しかしながら、フェノール性水酸基のイオン解離度はスルホン酸基やスルホアルキル基に比べて小さいので、燃料電池に必要なイオン伝導度を保持するため、水酸基をスルホン酸基等と比較して多量に導入しなければならない。多量に導入すると耐酸化劣化性が低下したり、メタノール水溶液や水に膨潤したり、溶解してした。また、電子供与性のフェノール性水酸基が結合した芳香族環は耐酸化性が悪く、カソード電位が低く過酸化水素が発生し易いメタノール直接型燃料電池用途には適していなかった。
本発明の目的は、高イオン伝導性と高耐酸化劣化特性が両立する炭化水素系の高分子電解質、それを用いた電解質膜、膜/電極接合体、燃料電池及び燃料電池システムを提供することにある。
本発明者らは耐酸化劣化特性の優れたポリイミダゾール類、ポリオキサゾール類やポリチアゾール類等のポリアゾール系高分子の芳香環のCにホスホアルキル基やホスホン酸基を導入する方法を詳細に鋭意検討した結果、本発明に至った。
前記課題を解決するための手段の1つは、耐酸化劣化特性の優れたポリイミダゾール類、ポリオキサゾール類やポリチアゾール類等のポリアゾール系高分子の芳香環にホスホアルキル基やホスホン酸基を直接、又は酸素原子、硫黄原子等を介して導入することによりイオン伝導性と耐酸化劣化特性を両立させたことにある。
他の手段は、耐酸化劣化特性の優れたポリイミダゾール類、ポリオキサゾール類やポリチアゾール類等のポリアゾール系高分子の芳香環にホスホアルキル基やホスホン酸基を直接、又は酸素原子、硫黄原子等を介して導入すると共に、イオン伝導性を更に上げるためにホスホン酸基、又はホスホアルキル基を導入することにより高イオン伝導性と高耐久性を両立させたことにある。
更に他の手段は、耐酸化劣化特性の優れたポリイミダゾール類、ポリオキサゾール類やポリチアゾール類等のポリアゾール系高分子の芳香環にホスホアルキル基やホスホン酸基を直接、又は酸素、硫黄等の原子を介して導入し、主鎖に可撓性成分を導入することによりイオン伝導性、耐酸化劣化特性と機械特性を両立させたことにある。
本発明によれば、高イオン伝導度で耐酸化劣化性に優れた低コスト高出力高耐久性の炭化水素系高分子電解質、電解質膜、膜/電極接合体及びそれを用いた燃料電池を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の第一の実施形態は、耐酸化劣化特性の優れたポリイミダゾール類、ポリオキサゾール類やポリチアゾール類等のポリアゾール系高分子の芳香環にホスホアルキル基やホスホン酸基を直接、又は酸素、硫黄等の原子を介して導入することによる、イオン伝導性と耐酸化劣化特性を両立したホスホアルキル基含有ポリアゾール電解質にある。本発明のホスホアルキル基含有ポリアゾール電解質とは、ホスホアルキル基やホスホン酸基を含有する芳香族系のポリオキサゾール類、ポリチアゾール類、ポリイミダゾール類及びそれらが混在する組成物や共重合体を指す。一般的には下記の式1又は式2で表される繰り返し構造単位を含む電解質である。この高分子電解質の分子量が5000ないし100000であるものが適し、5000未満では膜としての諸特性特に機械的強度にかけ、100000を超えると溶剤溶解性や膜化の困難性が懸念される。
Figure 2008218327
(ここで、Ar、Arは、芳香族単位を示し、各種脂肪族基、芳香族基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基等の置換基を有していても良い。これら芳香族単位は、ベンゼン環などの単環系単位、ナフタレン、アントラセン、ピレンなどの縮合環系単位、それらの芳香族単位が2個以上任意の結合を介して繋がった多環系芳香族単位でも良い。また、芳香族単位におけるNおよびXの位置はベンザゾール環を形成できる配置であれば特に限定されるものではない。さらに、これらは炭化水素系芳香族単位だけでなく、芳香環内にN、O、S等を含んだヘテロ環系芳香族単位でも良い。XはO、S、NHいずれかを表わす。Aは芳香族環のCに直接接合、又はO、Sによる結合を表わし、AはF又はHを表わし、nは1〜12を表わし、mは1〜4を表わす)。前記Arは下記式3、式4で表わされるものが好ましい。
Figure 2008218327
(ここで、Y、YはCH又はNを示し、Zは直接結合、−O−、−S−、−SO−、−C(CH−、−C(CF−、−CO−を表わす)。
前記Arは下記式5〜式15で表わされるものが好ましい。
Figure 2008218327
(ここで、Yは−O−、−S−、−SO−、−C(CH−、−C(CF−、−CO−を表わす)。
更に具体的には下記式15〜式26等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
Figure 2008218327
Figure 2008218327
Figure 2008218327
(ここで、Aは芳香族環のCに直接接合、又はO、Sによる結合を表わし、AはF又はHを表わし、A、Aは水素、アルキル基、ホスホアルキル基、スルホアルキル基を表わし、nは1〜12を表わし、mは1〜4を表わす)。
前記ホスホアルキル基含有ポリアゾール電解質の合成方法として、ポリアゾールにホスホアルキル基を導入するか、ホスホアルキル基を含有するモノマを重縮合してポリアゾールとする方法がある。
ポリアゾールにホスホアルキル基を導入する方法として、例えば、下記反応式に示す様に、式27に例示するフェノール性の水酸基を有しているポリアゾールのフェノール性水酸基の水素を式28に示す様に金属塩に変換し、クロロアルキルホスホン酸と反応させ、式29に示すホスホアルキル基を含有するポリアゾールにする方法がある。
Figure 2008218327
(ここで、Ar、Arは、芳香族単位を示し、各種脂肪族基、芳香族基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基等の置換基を有していても良い。これら芳香族単位は、ベンゼン環などの単環系単位、ナフタレン、アントラセン、ピレンなどの縮合環系単位、それらの芳香族単位が2個以上任意の結合を介して繋がった多環系芳香族単位でも良い。また、芳香族単位におけるNおよびXの位置はベンザゾール環を形成できる配置であれば特に限定されるものではない。さらに、これらは炭化水素系芳香族単位だけでなく、芳香環内にN、O、S等を含んだヘテロ環系芳香族単位でも良い。XはO、S、NHいずれかを表わし、nは1〜12を表わし、mは1〜4を表わす)。
ホスホアルキル基を含有するモノマを重縮合してポリアゾールとする方法としては、例えば、下記式30、式31で表される芳香族ジアミン誘導体及びその塩酸塩等からなる群から選択される少なくとも1種と、下記式32で表される芳香族ジカルボン酸誘導体の少なくとも1種と反応させることによって得ることが出来る。又、下記式33で表される芳香族ジカルボン酸誘導体の少なくとも1種と反応させて得られたアゾールのArをホスホアルキル化、ホスホアルキルエーテル化、ホスホアルキルチオエーテル化、ホスホパーフルオロアルキル化、ホスホパーフルオロアルキルエーテル化、ホスホパーフルオロアルキルチオエーテル化しても良い。
Figure 2008218327
(XはO、S、NHいずれかを表し、Arは炭素数4〜0の4価の芳香族基を表わす)。
(Arは炭素数6〜20の芳香族基、Aは直接接合、O、Sを表わし、AはF又はHを表わし、nは1〜12を表わし、mは1〜4を表わす)。
上記芳香族基の具体例は、フェニレン基、ナフタレン基、アントラセン基、ビフェニル基、イソプロピリデンジフェニル基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルフィッド基、ジフェニルホスホン基、ジフェニルケトン基等があり、これら芳香族基の水素原子のうち1つ又は複数が、アルキル基、シクロアルキル基等で置換されていてもよい。これらのうち、ナフタレン基、アントラセン基、ビフェニル基等の疎水性の基が分子間の凝集を起こし、分子間の擬似橋架けを起こし、イオン導電性基を多く導入しても、膨潤や溶解等が起こらず、好都合である。
式30、式31で表される芳香族ジアミン誘導体及びその塩酸塩等からなる群から選択される少なくとも1種と式32で表される芳香族ジカルボン酸誘導体の少なくとも1種とを反応させて得られた重合体と、式30、式31で表される芳香族ジアミン誘導体及びその塩酸塩等からなる群から選択される少なくとも1種と式33で表される芳香族ジカルボン酸誘導体の少なくとも1種とを反応させて得られた重合体をブロック重合させる方法は、イオン伝導性部と疎水性部を高精度に制御できて好ましい。
イオン交換基容量は0.8〜2.5m当量/gであることが好ましい。この範囲より多いと燃料や水に対して膨潤や溶解しやすくなり、逆に少なくなるとイオン伝導度が低くなる傾向にある。イオン交換基の導入量は式32で表される芳香族ジカルボン酸誘導体と式33で表される芳香族ジカルボン酸誘体の配合量を変えて、式30、31で表される芳香族ジアミン誘導体及びその塩酸塩等からなる群から選択される少なくとも1種と反応させることにより、調整出来る。又、式30、式31で表される芳香族ジアミン誘導体及びその塩酸塩等からなる群から選択される少なくとも1種と下記式32で表される芳香族ジカルボン酸誘導体の少なくとも1種と反応させて得られたアゾールのArのイオン伝導性基付与条件を変えることによっても可能である。
式1や式2の構造単位にNH結合を含む場合、Hをアルキル基、ホスホアルキル基、ホスホアルキル基等で置換しておく方が電解質膜の塩基性を減じる意味で好ましい。
反応は、通常、無触媒でも進行するが、必要に応じてエステル交換触媒を用いてもよい。本発明で用いるエステル交換触媒としては三酸化アンチモン等のアンチモン化合物、酢酸第一錫、塩化錫、オクチル酸錫、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジアセテート等の錫化合物、酢酸カルシウム等のアルカリ土類金属塩、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等のアルカリ金属塩、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリフェニル等の亜リン酸エステル等を使うことが出来る。反応に際して必要に応じてポリリン酸、ホスホラン、ジフェニルホスホン、ジメチルホスホキシド、N−メチルピロリドン、N,N’−ジメチルアセトアミド等の溶媒を使うことが出来る。又、反応に際して乾燥不活性ガス雰囲気下で行うことが分解や着色を抑える意味で好ましい。
本発明の第二の実施形態は、耐酸化劣化特性の優れたポリイミダゾール類、ポリオキサゾール類やポリチアゾール類等のポリアゾール系高分子の芳香環にホスホアルキル基を直接、又は酸素、硫黄等の原子を介して導入すると共にスルホン酸基、又はスルホアルキル基を導入することによる、イオン伝導性と耐酸化劣化特性を両立したホスホアルキル基含有ポリアゾール電解質を得ることにある。具体的には、式34や式35に例示するようにホスホアルキル基を直接、又は酸素、硫黄等の原子を介して導入すると共に、スルホン酸基、又はスルホアルキル基を直接、又は酸素、硫黄等の原子を介して導入したポリアゾールである。
Figure 2008218327
(ここで、Ar、Arは、芳香族単位を示し、各種脂肪族基、芳香族基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基等の置換基を有していても良い。これら芳香族単位は、ベンゼン環などの単環系単位、ナフタレン、アントラセン、ピレンなどの縮合環系単位、それらの芳香族単位が2個以上任意の結合を介して繋がった多環系芳香族単位でも良い。また、芳香族単位におけるNおよびXの位置はベンザゾール環を形成できる配置であれば特に限定されるものではない。さらに、これらは炭化水素系芳香族単位だけでなく、芳香環内にN、O、S等を含んだヘテロ環系芳香族単位でも良い。XはO、S、NHいずれかを表わす。又、A、Aは芳香族環のCに直接接合、又はO、Sによる結合を表わし、A、AはF又はHを表わし、n、qは1〜12を表わし、L、mは1〜4を表わす)。
前記反応式においてクロロアルキルホスホンの一部をクロロアルキルスルホン酸に置き換えることにより、ポリアゾールにホスホアルキル基とスルホアルキル基を同時に導入することが出来る。又、ホスホアルキル基を導入したポリアゾールにスルホアルキル基を導入するか、直接スルホン化しても良い。
又、式32の一部を式36の化合物に置き換えて重縮合させても良い。例えば、式30、式31で表される芳香族ジアミン誘導体及びその塩酸塩等からなる群から選択される少なくとも1種と式32、式33、式36で表される芳香族ジカルボン酸誘導体とを反応させても良い。又、式30、式31で表される芳香族ジアミン誘導体及びその塩酸塩等からなる群から選択される少なくとも1種と式32で表される芳香族ジカルボン酸誘導体の少なくとも1種とを反応させて得られた重合体、式30、31で表される芳香族ジアミン誘導体及びその塩酸塩等からなる群から選択される少なくとも1種と式33で表される芳香族ジカルボン酸誘導体の少なくとも1種とを反応させて得られた重合体と、式30、31で表される芳香族ジアミン誘導体及びその塩酸塩等からなる群から選択される少なくとも1種と式36で表される芳香族ジカルボン酸誘導体の少なくとも1種とを反応させて得られた重合体をブロック重合させる方法は、イオン伝導性部と疎水性部を高精度に制御できて好ましい。
Figure 2008218327
(Arは炭素数6〜20の芳香族基、Aは直接接合、O、Sを表わし、AはF又はHを表わし、nは1〜12を表わし、mは1〜4を表わす。)
本発明の第三の実施形態は、イオン伝導性、耐酸化劣化特性と機械特性を両立させるため、耐酸化劣化特性の優れたポリイミダゾール類、ポリオキサゾール類やポリチアゾール類等のポリアゾール系高分子の芳香環にホスホアルキル基を直接、又は酸素、硫黄等の原子を介して導入し、主鎖に可撓性成分を導入したポリアゾールである。
主鎖に導入する可撓性成分としてはゴム成分又はエラストマ成分を含むオレフィン系エラストマ、ふっ素系エラストマ、ポリアミド系エラストマ、ポリエステル系エラストマ、ウレタン系エラストマ等の熱可塑性エラストマ、シリコーンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ポリエチレン・プロピレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、ふっ素系ゴム等のゴム成分等がある。このうち、対酸化性の観点からシリコーン系とふっ素系が好ましい。
本発明の電解質を燃料電池用に使用する場合、電解質膜及び電極バインダとして使用することが好適である。本発明の電解質を膜化する場合、その方法には特に制限は無いが、溶液状態より成膜する方法(溶液キャスト法)が利用できる。例えば、電解質溶液をガラス板上に流延し、溶媒を除去することにより成膜することができる。成膜に用いる溶媒は、電解質を溶解し、流延後除去できるものであれば特に制限は無く、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホスホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホンアミド等の非プロトン極性溶媒や、ポリリン酸、メタンホスホン酸、硫酸、トリフルオロ酢酸等の強酸を用いることができる。これらの溶媒は単独、若しくは混合して用いることが出来る。又、溶解性を向上させるため、臭化リチウム、塩化リチウム、塩化アルミニウム等のルイス酸を有機溶媒に添加してもよい。溶液中の電解質濃度は5〜40重量%の範囲であることが好ましい。濃度が低すぎると成形性が悪化し、高すぎると加工性が悪化する。
タングステン酸化物水和物、ジルコニウム酸化物水和物、スズ酸化物水和物、ケイタングステン酸、ケイモリブデン酸、タングストリン酸、モリブデン酸などのイオン伝導性の無機物をアゾール系電解質膜にミクロ分散した複合電解質膜等を用いることによってより高温域まで運転できる燃料電池とすることもできる。上記した水和型の酸性電解質膜は一般に乾燥時と湿潤時とでは膨潤によって膜の変形が発生し、十分にイオン伝導性の高い膜では機械強度が十分でない場合が生じる。このような場合には、機械強度、耐久性、耐熱性に優れた不織布或いは織布状の繊維を芯材として用いたり、電解質膜製造時にこれらの繊維をフィラーとして添加、補強したり、細孔が貫通した膜を芯材として用いたりすることは電池性能の信頼性を高める上で有効な方法である。又、電解質膜の水や燃料の保持性を高めるため、ポリアゾール類に硫酸、リン酸、ホスホン酸類やホスホン酸類をドープした膜を使用することもできる。
また、本発明に用いられる高分子電解質膜を製造する際に、通常の高分子に使用される可塑剤、酸化防止剤、過酸化水素分解剤、金属捕捉材、界面活性剤、安定剤、離型剤等の添加剤を本発明の目的に反しない範囲内で使用できる。酸化防止剤としては2,6−ジ(t−ブチル) −p−クレゾール、2,6−ジ(t−ブチル) −p−フェノール、2,4−ジメチル−6−(t−ブチル )−フェノール、p−ヒドロキシフェニルシクロヘキサン、ジ−p−ヒドロキシフェニルシクロヘキサン、スチレン化フェノール、1,1’−メチレンビス(4−ヒドロキシ−3,5−t−ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤、トリノリルフェニルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリトリチオホスファイト等の燐系酸化防止剤がある。
過酸化水素分解剤としては、過酸化物を分解する触媒作用を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、前記酸化防止剤のほかに、金属、金属酸化物、金属リン酸塩、金属フッ化物、大環状金属錯体等が挙げられる。これらから選ばれる一種を単独で用いるか、あるいは二種以上を併用すればよい。なかでも、金属としてはRu、Ag等、金属酸化物としては、酸化チタン、RuO、WO、CeO、Fe等、金属リン酸塩としてはCePO、CrPO、ALPO、FePO等、金属フッ化物としてはCeF、FeF等、大環状金属錯体としてはFe−ポルフィリン、Co−ポルフィリン、ヘム、カタラーゼ等が好適である。特に、過酸化物の分解性能が高いという理由から、酸化チタン、RuO、CePOを用いるとよい。
また、金属捕捉剤としてはFe++やCu++イオン等の金属イオンと反応して錯体を作り、金属イオンを不活性化し、金属イオンの持つ劣化促進作用を抑制するものであれば特に制限は無い。そのような金属捕捉剤としてテノイルトリフルオロアセトン、ジエチルチオカルバミン酸ナトリウム(DDTC)や1,5−ジフェニル−3−チオカルバゾン、さらには1,4,7,10,13−ペンタオキシシクロペンタデカンや1,4,7,10,13,16−ヘキサオキシシクロペンタデカン等のクラウンエーテル、4,7,13,16−テトラオキサ−1,10−ジアザシクロオクタデカンや4,7,13,16,21,24−ヘキサオキシ−1,10−ジアザシクロヘキサコサン等のクリプタンド、また更にはテトラフェニルポルフィリン等のポルフィリン系の材料でも構わない。また、それら材料の混合量は実施例に記載したものに限定されるものではない。これらのうち、特にフェノール系酸化防止剤と燐系酸化防止剤の併用系が、少量で効果があり、燃料電池の諸特性に悪影響を及ぼす程度が少ないので好ましい。これらの酸化防止剤、過酸化水素分解剤、金属捕捉材は電解質膜、電極に加えても、或いは、膜と電極の間に配しても良い。特に、カソード電極、或いはカソード電極と電解質膜の間に配するのが少量で効果があり、燃料電池の諸特性に悪影響を及ぼす程度が少ないので好ましい。
該高分子電解質膜の厚みは特に制限はないが10〜300μmが好ましい。特に15〜200μmが好ましい。実用に耐える膜の強度を得るには10μmより厚い方が好ましく、膜抵抗の低減つまり発電性能向上のためには200μmより薄い方が好ましい。溶液キャスト法の場合、膜厚は溶液濃度あるいは基板上への塗布厚により制御できる。
前記高分子電解質膜とアノード触媒を担持させたカーボン粉末、或いはアノード触媒を担持させたカーボン粉末同士を接着させ、プロトンを伝導する高分子電解質として本願のアゾール系電解質の他に、従来のふっ素系高分子電解質や炭化水素系電解質を使用できる。そのような炭化水素系電解質としては例えば、ホスホン化ポリエーテルエーテルケトン、ホスホン化ポリエーテルスルホン、ホスホン化アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンポリマー、ホスホン化ポリスルフィッド、ホスホン化ポリフェニレン等のホスホン化エンジニアプラスチック系電解質、ホスホアルキル化ポリエーテルエーテルケトン、ホスホアルキル化ポリエーテルスルホン、ホスホアルキル化ポリエーテルエーテルスルホン、ホスホアルキル化ポリスルホン、ホスホアルキル化ポリスルフィッド、ホスホアルキル化ポリフェニレン等のホスホアルキル化エンジニアプラスチック系電解質、ホスホアルキルエーテル化ポリフェニレン等の炭化水素系電解質等が挙げられる。
このうち、耐酸化性が良好で、耐メタノール水溶液に優れた炭化水素系高分子が好ましい。かかる高分子電解質膜のイオン交換当量は0.5〜2.5ミリ当量/g乾燥樹脂、更には0.8〜1.8ミリ当量/g乾燥樹脂の範囲が好ましい。かかる高分子電解質のイオン交換当量は高分子電解質膜の当量より大きいことがイオン伝導性の観点から好ましい。かかる高分子電解質膜の耐酸化性付与基は0.5〜2.5ミリ当量/g乾燥樹脂、更には0.8〜1.8ミリ当量/g乾燥樹脂の範囲が好ましい。ふっ素系高分子電解質としてふっ素系電解質であれば特に制限はない。そのようなふっ素系電解質としてポリパーフルオロホスホン酸等が用いられる。
その代表的なものとしてNafion(登録商標:米国Dupont社製)、AcipLex(登録商標:旭化成工業株式会社製)、FLemion(登録商標:旭硝子株式会社製)がある。かかる電解質のホスホン酸当量は高分子電解質膜の当量より大きいことがイオン伝導性の観点から好ましい。炭化水素系電解質膜との接着性の観点から炭化水素系電解質が好ましい。特に、耐酸化劣化性の観点からポリアゾール系電解質が好ましい。通常の高分子に使用される可塑剤、酸化防止剤、過酸化水素分解剤、金属捕捉材、界面活性剤、安定剤、離型剤等の添加剤を本発明の目的に反しない範囲内で使用できる。
アノード触媒やカソード触媒として燃料の酸化反応および酸素の還元反応を促進する金属であればいずれのものでもよく、例えば、白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、バナジウム、チタンあるいはそれらの合金が挙げられる。このような触媒の中で、特にカソード電極用触媒として白金(Pt)が、アノード電極用触媒として白金/ルテニウム触媒(Pt/Ru)が多くの場合用いられる。触媒となる金属の粒径は、通常は2〜30nmである。これらの触媒はカーボン等の担体に付着させた方が触媒の使用量が少なくコスト的に有利である。触媒の担持量は電極が成形された状態で0.01〜20mg/cmが好ましい。
膜電極接合体に使用される電極は、触媒金属の微粒子を担持した導電材により構成されるものであり、必要に応じて撥水剤や結着剤が含まれていてもよい。また、触媒を担持していない導電材と必要に応じて含まれる撥水剤や結着剤とからなる層を、触媒層の外側に形成してもよい。触媒金属を担持させる導電材としては、電子導伝性物質であればいずれのものでも良く、例えば各種金属や炭素材料などが挙げられる。炭素材料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラックや、カーボンナノチューブ等の繊維状炭素あるいは活性炭、黒鉛等を用いることができ、これらは単独あるいは混合して使用することができる。
撥水剤として例えばふっ素化カーボン等が使用される。バインダとしては電解質膜と同系統の炭化水素電解質の溶液を用いることが接着性の観点から好ましいが、他の各種樹脂を用いても差し支えない。また、撥水性を有する含ふっ素樹脂、例えばポリテトラフロロエチレン、テトラフロロエチレン−パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体、およびテトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体を加えてもよい。
燃料用電池として用いる際の高分子電解質膜と電極を接合する方法についても特に制限はなく、公知の方法を適用することが可能である。膜電極接合体の製作方法として、例えば、導電材、例えば、カーボンに担持させたPt触媒粉とポリテトラフロロエチレン懸濁液とを混ぜ、カーボンペーパーに塗布、熱処理して触媒層を形成する。次いで、バインダとして高分子電解質膜と同系統の高分子電解質溶液或いはふっ素系電解質を触媒層に塗布し、高分子電解質膜とホットプレスで一体化する方法がある。この他、高分子電解質と同一の高分子電解質溶液を予めPt触媒粉にコーテイングする方法、触媒ペーストを印刷法、スプレー法、インクジェット法で高分子電解質膜に塗布する方法、高分子電解質膜に電極を無電解鍍金する方法、高分子電解質膜に白金族の金属錯イオンを吸着させた後、還元する方法等がある。このうち、触媒ペーストをインクジェット法で高分子電解質膜に塗布する方法が触媒のロスが少なく優れている。
燃料電池は、高い温度で作動させる方が、電極の触媒活性が上がり電極過電圧が減少するため望ましいが、特に作動温度には制限は無い。液体燃料を気化させて高温で作動させることも可能である。本願の電解質膜は、特に高温作動に適している。
燃料電池は、膜電極接合体の外側に燃料流路と酸化剤流路を形成する溝付きの集電体としての燃料配流板と酸化剤配流板を配したものを単セルとし、このような単セルを複数個、冷却板等を介して積層することにより構成される。単セルを接続するのに積層する以外に平面で接続する方法がある。単セルを接続する方法はそのどちらでも特に制限は無い。小型軽量化を志向する製品には平面で接続し、補機を使用せずに、カートリッジ等で燃料を供給し、自然呼気を利用して空気を供給する、所謂、パッシブ型とする方が好ましい。アノ−ド、電解質膜、カソ−ドから構成される複数の単電池を作製し、それを平面に配列し、各単電池を導電性のインターコネクタで直列に接続することで高電圧化を図かり、燃料や酸化剤を強制供給する補機を用いることなく、又、燃料電池を強制冷却するための補機を用いることなく運転し、燃料には体積エネルギー密度の高いメタノール水溶液を液体燃料として用いることによって長い時間発電を継続できる小型電源を実現することができる。
この小型電源を例えば携帯電話器、ノートPCや携帯用ビデオカメラなどの電源として内蔵することによって駆動することができ、予め用意された燃料を逐次補給することによって長時間の連続使用が可能となる。又、前記の場合よりも燃料補給の頻度を大幅に少なく使用する目的で、この小型電源を例えば二次電池搭載の携帯電話器、ノートPCや携帯用ビデオカメラの充電器と結合してそれらの収納ケースの一部に装着することによってバッテリーチャージャーとして用いることも有効である。この場合、携帯用電子機器使用時には収納ケースより取り出して二次電池で駆動し、使用しない時にはケースに収納することによってケースに内蔵された小型燃料電池発電装置が充電器を介して結合されて二次電池を充電する。こうすることによって燃料タンクの容積を大きくでき、燃料補給の頻度は大幅に少なくすることができる。
直接型メタノール燃料電池等の燃料電池は、それに使用されている電解質膜や電極が酸化劣化するか或いはイオン伝導性基の脱離によって短時間で使用できなくなる問題点がある。以下の実施例と比較例とから分かるように、耐酸化劣化特性の優れたポリイミダゾール類、ポリオキサゾール類やポリチアゾール類等のポリアゾール系高分子の芳香環のカーボンに直接、或いは酸素原子、硫黄原子を介してホスホアルキル基を導入することにより、低コスト高イオン伝導性で高耐久性の電解質、電解質膜、膜電極接合体を得ることができ、モバイル用電池電源、分散用電池電源、移動体用電池電源を長時間連続使用が可能となる。
以下実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の趣旨とするところはここに開示した実施例のみに限定されるものではない。尚、各物性の測定条件は次の通りである。
(1)イオン伝導度測定
イオン交換水中に30℃で約15時間保管していた5mm×25mmの短冊状電解質膜の表面付着水をろ紙で拭き取り、図1に示す様に短冊状電解質膜の表面に直径0.2mmの白金線を5mm間隔で5本押し当てて30℃、95%RH恒温恒湿槽中に静置した。交流抵抗は白金電極間の10kHzにおける交流インピーダンス測定から求めた。白金電極と電解質膜との間に接触による抵抗が生じるが、白金電極間の距離を5、10、15、20mmに変化させてそれぞれの交流抵抗を測定し、電極間距離と交流抵抗の勾配から式1により比抵抗を計算し、接触による抵抗の影響を除外した。抵抗測定装置はAgiLent社製4284ALCRメータを、恒温恒湿槽はタバイエスペック(株)製SH−220を使用した。電極間距離と交流抵抗値には良い直線関係が得られ、数式1により比抵抗を計算し、接触による抵抗の影響を除外した。又、イオン伝導度は数式2により計算した。
比抵抗〔Ω・cm〕=
幅〔cm〕×膜厚〔cm〕×交流抵抗勾配〔Ω/cm〕 (数式1)
イオン伝導度〔S/cm〕=1/比抵抗 (数式2)
(2)耐酸化性試験
30%の過酸化水素水20mLに硫酸鉄7水和物1.9mgを加えたフェントン試薬に電解質膜を浸漬して60℃の温度に保ち、電解質膜が溶解するまでの時間を求めた。
(3)直接型メタノール燃料電池の発電性能
図2に示す固体高分子形燃料電池発電装置単セルを用いて拡散層付MEAを組み込んで電池性能を測定した。図2において、1は高分子電解質膜、2はアノード電極、3はカソード電極、4はアノード拡散層、5はカソード拡散層、6はアノード集電体、7はカソード集電体、8は燃料、9は空気、10はアノード端子、11はカソード端子、12はアノード端板、13はカソード端板、14はガスケット、15はO−リング、16はボルト/ナットである。燃料としてアノードに20wt%のメタノール水溶液を循環させ、カソードに空気を自然呼気で供給し、電流−出力電圧を測定した。又、50mA/cmの電流負荷をかけながら30℃で連続運転し、4,000時間経過後の出力電圧を求めた。
〔実施例1〕
(1)ポリヒドロキシベンゾイミダゾールの合成
かき混ぜ機、窒素導入管の付いた三口フラスコに8.035g(37.5mmol)の3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニルと13.137g(37.5mmol)の2,5−ジヒドロキシイソフタル酸ジフェニルを200mLのホスホランに溶解し、窒素ガスを通気させて脱酸素した。窒素気流下で96時間加熱還流し、室温で冷却後、メタノール1Lとアセトン0.5Lの混合溶液に投入した。沈殿したポリマを濾過後、蒸留水、アセトンで洗浄、乾燥し、式37に示す構造単位を含むポリヒドロキシベンゾイミダゾールを得た。
Figure 2008218327
(2)ポリホスホブトキシベンゾイミダゾールの合成
前記式37のポリヒドロキシベンゾイミダゾール10.6gと87gのN−メチル−ピロリドン入れ、窒素ガスを通気させながら溶解させた。この溶液に10.0gのエトキシナトリウムのエタノール溶液を攪拌しながら添加した。この溶液に25.72gのクロロブチルホスホン酸を滴下し、滴下終了後、80℃に3時間保持した。その後、冷却し、メタノール1Lとアセトン0.5Lの混合溶液に投入した。沈殿物を濾過後、蒸留水、アセトンで洗浄、乾燥し、式38に示す構造単位を含むポリホスホブトキシベンゾイミダゾールを得た。
Figure 2008218327
(3)ポリスルホブチルホスホブトキシベンゾイミダゾールの合成
かき混ぜ機、窒素導入管の付いた三口フラスコに前記式38のポリホスホブトキシベンゾイミダゾール10.6gと87gのN−メチル−ピロリドン入れ、窒素ガスを通気させながら溶解させた。次いで、1.5gの水素化リチウムを加え、70℃の温度に12時間保持した。気泡の発生が止んだ後、51.45gのクロロブチルスルホン酸をゆっくり滴下した。その後、70℃で12時間保持したのち、冷却しメタノール1Lとアセトン0.5Lの混合溶液に投入した。沈殿物を濾過後、蒸留水、アセトンで洗浄、乾燥し、式39に示す構造単位を含むポリスルホブチルホスホブトキシベンゾイミダゾールを得た。
Figure 2008218327
(4)高分子電解質膜の作製とその特性
前記(2)で得られた式38に示す構造単位を含むポリホスホブトキシベンゾイミダゾールを5重量%の濃度になるようにN−メチルピロリドンに溶解した。この溶液をスピンコートによりガラス上に展開し、風乾した後、80℃で真空乾燥して膜厚45μmのポリホスホブトキシベンゾイミダゾール電解質膜1)を作成した。この高分子電解質膜の室温におけるイオン伝導率は0.11S/cmであった。
この電解質膜1)を60℃の40wt%のメタノール水溶液に72時間浸漬し、減圧乾燥した後の膜の重量は、初期の乾燥重量と変わらず、メタノールに難溶であった。30%の過酸化水素水20mLに硫酸鉄7水和物1.9mgを加えたフェントン試薬に電解質膜1)を浸漬して60℃の温度に24時間保ったのち、水洗し減圧乾燥した後、膜の重量保持率及びイオン伝導率保持率を求めた。いずれも初期と殆ど変わらず、耐酸化性は良好であった。
又、前記(3)で得られた式39に示す構造単位を含むポリスルホブチルホスホブトキシベンゾイミダゾールを5重量%の濃度になるようにN−メチルピロリドンに溶解した。この溶液をスピンコートによりガラス上に展開し、風乾した後、80℃で真空乾燥して膜厚45μmのポリスルホブチルホスホブトキシベンゾイミダゾール電解質膜2)を作成した。この電解質膜2)のイオン伝導率は0.18S/cmであった。電解質膜2)のメタノールに対する溶解性や耐酸化性は前記(2)で得られた式38に示す構造単位を含むポリホスホブトキシベンゾイミダゾールと同様に良好であった。
(5)膜電極接合体(MEA)の作製
炭素担体上に白金とルテニウムの原子比が1/1の白金/ルテニウム合金微粒子を50wt%分散担持した触媒粉末と5wt%のポリパーフロロホスホン酸電解質の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約125μm、幅30mm、長さ30mmのアノ−ド電極を作製した。次に、炭素担体上に30wt%の白金微粒子を担持した触媒粉末と5wt%のポリパーフルオロホスホン酸の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒をバインダとして水/アルコール混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約20μm、幅30mm、長さ30mmのカソ−ド電極を作製した。
アノ−ド電極表面に5重量%のポリパーフロロホスホン酸電解質の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5mL浸透させた後に前記(4)で作製したポリスルホブチルホスホブトキシベンゾイミダゾール電解質膜2)に接合し、約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥した。次に、カソ−ド電極表面に5重量%のポリパーフロロホスホン酸電解質の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5mL浸透させた後に前記ポリスルホブチルホスホブトキシベンゾイミダゾール電解質膜2)のアノード層と反対側の面に、先に接合したアノ−ド層と重なるような位置に接合して約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥することによって図3に示すようなMEA1)を作製した。
炭素担体上に白金とルテニウムの原子比が1/1の白金/ルテニウム合金微粒子を50wt%分散担持した触媒粉末と30重量%の前記(3)で得られたポリスルホブチルホスホブトキシベンゾイミダゾール電解質の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約125μm、幅30mm、長さ30mmのアノ−ド電極を作製した。次に、炭素担体上に30wt%の白金微粒子を担持した触媒粉末とポリパーフルオロホスホン酸の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒をバインダとして水/アルコール混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約20μm、幅30mm、長さ30mmのカソ−ド電極を作製した。
アノ−ド電極表面に5重量%の前記(3)で得られたポリスルホメチルホスホブトキシベンゾイミダゾール電解質の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5mL浸透させた後に前記(4)で作製したポリスルホブチルベンゾイミダゾール電解質膜2)に接合し、約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥した。次に、カソ−ド電極表面に5重量%のポリパーフロロホスホン酸の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5mL浸透させた後に前記ポリスルホブチルホスホブトキシベンゾイミダゾール電解質膜のアノード層と反対側の面に、先に接合したアノ−ド層と重なるような位置に接合して約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥することによって図3に示すようなMEA2)を作製した。
炭素担体上に白金とルテニウムの原子比が1/1の白金/ルテニウム合金微粒子を50wt%分散担持した触媒粉末と30wt%の前記(3)のポリスルホブチルホスホブトキシベンゾイミダゾール電解質の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約125μm、幅30mm、長さ30mmのアノ−ド電極2)を作製した。次に、炭素担体上に30wt%の白金微粒子を担持した触媒粉末と30wt%の前記(3)のポリスルホブチルホスホブトキシベンゾイミダゾール電解質の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒をバインダとして水/アルコール混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約20μm、幅30mm、長さ30mmのカソ−ド電極2)を作製した。
アノ−ド電極表面に5重量%の前記(3)で得られたポリスルホブチルホスホブトキシベンゾイミダゾール電解質の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5mL浸透させた後に前記(4)で作製したポリホスホブトキシベンゾイミダゾール電解質膜1)、又はポリスルホブチルベンゾイミダゾール電解質膜2)に接合し、約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥した。
次に、カソ−ド電極表面に5重量%の前記(3)で得られたポリスルホブチルホスホブトキシベンゾイミダゾール電解質の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5mL浸透させた後に前記(4)で作製したポリホスホブトキシベンゾイミダゾール電解質膜1)、又はポリスルホブチルベンゾイミダゾール電解質膜2)に接合したアノード層と反対側の面に、先に接合したアノ−ド層と重なるような位置に接合して約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥することによって図3に示すようなMEA3)又は4)を作製した。
炭素粉末に焼成後の重量で40wt%となるように撥水剤ポリテトラフロロエチレン(PTFE)微粒子の水性分散液(デイスパージョンD−1:ダイキン工業製)を添加して混練してペースト状になったものを、厚さ約350μm、空隙率87%のカーボンクロスの片面に塗布し、室温で乾燥した後270℃で3時間焼成して炭素シートを形成した。PTFE量はカーボンクロス布に対して5〜20wt%となるようにした。
得られたシートを上記MEAの電極サイズと同じ形状に切り出してカソード拡散層とした。厚さ約350μm、空隙率87%のカーボンクロスを発煙硫酸(濃度60%)に浸たし、窒素気流下2日間60℃の温度に保持した。
次いで、フラスコの温度を室温迄冷却した。発煙硫酸を除去し、カーボンクロスを蒸留水が中性になるまでよく洗浄した。次いで、メタノールで浸漬、乾燥した。得られたカーボンクロスの赤外線分光吸収スペクトルの1225cm−1及び1413cm−1に−OSOH基に基づく吸収が認められた。又、1049cm−1に−OH基に基づく吸収が認められた。このことから、カーボンクロスの表面に−OSOH基や−OH基が導入され、発煙硫酸処理されていないカーボンクロスとメタノール水溶液との接触角81°より小さく、親水性であった。又、導電性にも優れていた。これを上記MEA1)〜4)の電極サイズと同じ形状に切り出してアノード拡散層とした。
(6)燃料電池(DMFC)の発電性能
図2に示す固体高分子形燃料電池発電装置単セルを用いて前記拡散層付MEA1)、2)、3)又は4)を組み込んで電池性能を測定した。電流−出力電圧測定結果を図4に示す。ここで、a1(白抜き丸)、a2(白抜き菱形)、a3(白抜き四角)、a4(白抜き三角)は、それぞれMEA1)、2)、3)、4)の電流密度−出力電圧の関係を示す。又、b1(黒丸)、b2(黒菱形)、b3(黒四角)、b4(黒三角)は、それぞれMEA1)、2)、3)、4)の電流密度−出力密度の関係を示す。50mA/cmの電流負荷における出力電圧はそれぞれ0.49V、0.49V、0.54V、0.70Vであった。最大出力密度はそれぞれ52mW/cm、63mW/cm、67mW/cm、80mW/cmであった。又、50mA/cmの電流負荷における4,000時間稼動後の出力電圧はそれぞれ0.47V、0.47V、0.53V、0.69Vと、いずれも初期の95%以上の出力を示し、安定であった。燃料電池の出力と耐久性が優れていることは、燃料電池の出力と耐久性が優れていることは、本願発明の電解質がイオン伝導性、耐酸化劣化特性に優れていることによる。
〔実施例2〕
(1)ポリホスホメチルベンゾイミダゾールの合成
かき混ぜ機、窒素導入管の付いた三口フラスコに8.035g(37.5mmol)の3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニルと10.08g(37.5mmol)の2,5−ジカルボキシ−1,4−ホスホメチルベンゼンモノナトリウム塩、110gのポリリン酸(五酸化リン含量75%)、87.9gの五酸化リンを入れた。窒素ガスを通気させながら100℃迄ゆっくり昇温した。100℃の温度に1.5時間保持した後、150℃の温度に昇温して、150℃で1時間保持した。次いで、200℃に昇温して4時間200℃に保持した。室温迄冷却後、水を加えて内容物を取り出し、ミキサーで粉砕し、濾液がpH試験紙で中性になるまで水洗を繰り返した。得られたポリマを減圧乾燥し、式40に示す構造単位を含むポリホスホメチルベンゾイミダゾールを得た。
Figure 2008218327
(2)ポリホスホメチル−N−ホスホエチルベンゾイミダゾールの合成
かき混ぜ機、窒素導入管の付いた三口フラスコに200mLのジメチルアセトアミド、16.2g(113mmol)の2−クロロエチルホスホン酸、11.4g(113mmol)のトリエチルアミンを入れ、窒素気流下、室温で約1時間攪拌し、2−クロロエチルホスホン酸のトリエチルアミン塩溶液とした。15.75g(37.5mmol)の前記(1)で得た式40に示す構造単位を含むポリホスホメチルベンゾイミダゾールを窒素気流下200mLのジメチルアセトアミドに溶かし、これに1.35g(170mmol)の水素化リチウムを入れ、85℃で4時間攪拌した。これに2−クロロエチルホスホン酸のトリエチルアミン塩溶液を滴下し、24時間攪拌した。得られた反応溶液をアセトン中に投じ、生じた沈殿を、濾過、減圧乾燥し、式41に示す構造単位を含むポリホスホメチル−N−ホスホエチルベンゾイミダゾールを得た。
Figure 2008218327
(3)高分子電解質膜の作製とその特性
前記(1)で得られた式40に示す構造単位を含むポリホスホメチルベンゾイミダゾールを5重量%の濃度になるようにN−メチルピロリドンに溶解した。この溶液をスピンコートによりガラス上に展開し、風乾した後、80℃で真空乾燥して膜厚45μmのポリホスホメチルベンゾイミダゾール電解質膜を作成した。この高分子電解質膜の室温におけるイオン伝導率は0.07S/cmであった。高分子電解質膜を60℃の40wt%のメタノール水溶液に72時間浸漬し、減圧乾燥した後の膜の重量は、初期の乾燥重量と変わらず、メタノールに難溶であった。30%の過酸化水素水20mLに硫酸鉄7水和物1.9mgを加えたフェントン試薬に電解質膜を浸漬して60℃の温度に24時間保ったのち、水洗し減圧乾燥した後、膜の重量保持率及びイオン伝導率保持率を求めた。いずれも初期と殆ど変わらず、耐酸化性は良好であった。
又、(2)で得られた式41に示す構造単位を含むポリホスホメチル−N−ホスホエチルベンゾイミダゾールを5重量%の濃度になるようにN−メチルピロリドンに溶解した。この溶液をスピンコートによりガラス上に展開し、風乾した後、80℃で真空乾燥して膜厚45μmのポリホスホメチル−N−ホスホエチルベンゾイミダゾール電解質膜を作成した。この高分子電解質膜の室温におけるイオン伝導率は0.13S/cmであった。高分子電解質膜を60℃の40wt%のメタノール水溶液に72時間浸漬し、減圧乾燥した後の膜の重量は、初期の乾燥重量と変わらず、メタノールに難溶であった。30%の過酸化水素水20mLに硫酸鉄7水和物1.9mgを加えたフェントン試薬に電解質膜を浸漬して60℃の温度に24時間保ったのち、水洗し減圧乾燥した後、膜の重量保持率及びイオン伝導率保持率を求めた。いずれも初期と殆ど変わらず、耐酸化性は良好であった。
(4)膜電極接合体(MEA)の作製
炭素担体上に白金とルテニウムの原子比が1/1の白金/ルテニウム合金微粒子を50wt%分散担持した触媒粉末と30wt%の前記(2)で得られたポリホスホメチル−N−ホスホエチルベンゾイミダゾール電解質の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約125μm、幅30mm、長さ30mmのアノ−ド電極を作製した。次に、炭素担体上に30wt%の白金微粒子を担持した触媒粉末と前記(2)で得られたポリホスホメチル−N−ホスホエチルベンゾイミダゾール電解質の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒をバインダとして水/アルコール混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約20μm、幅30mm、長さ30mmのカソ−ド電極を作製した。
アノ−ド電極表面に5重量%の前記(2)で得られたポリホスホメチル−N−ホスホエチルベンゾイミダゾール電解質の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5mL浸透させた後に前記(3)で作製したポリホスホメチルベンゾイミダゾール電解質膜に接合し、約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥した。次に、カソ−ド電極表面に5重量%の前記(2)で得られたポリホスホメチル−N−ホスホエチルベンゾイミダゾール電解質の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5mL浸透させた後に前記ポリホスホメチルベンゾイミダゾール電解質膜のアノード層と反対側の面に、先に接合したアノ−ド層と重なるような位置に接合して約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥することによって図3に示すようなMEA5)を作製した。
式40に示す構造単位のポリホスホメチルベンゾイミダゾール電解質膜の代わりに(2)で式41に示す構造単位を含むポリホスホメチル−N−ホスホエチルベンゾイミダゾール電解質膜を用いた以外全く同じ実験を行い、図3に示すようなMEA6)を作製した。
(5)燃料電池(DMFC)の発電性能
図2に示す固体高分子形燃料電池発電装置単セルを用いて前記拡散層付MEA5)、又は6)を組み込んで電池性能を測定した。電流−出力電圧測定結果を図5に示す。ここで、c1(白抜き菱形)はMEA5)の電流密度−出力電圧の関係を、c2(白抜き丸)はMEA6)の電流密度−出力電圧の関係を示す。又、d1(黒菱形)はMEA5)の電流密度−出力密度の関係を、d2(黒丸)はMEA6)の電流密度−出力密度の関係を示す。50mA/cmの電流負荷における出力電圧はそれぞれ0.59V、0.65Vであった。最高出力密度は44mW/cmと54mW/cmであった。又、50mA/cmの電流負荷における4,000時間稼動後の出力電圧はそれぞれ0.57V、0.63Vで初期の95%以上の出力を示し、安定であった。燃料電池の出力と耐久性が優れていることは、本願発明の電解質がイオン伝導性、耐酸化劣化特性に優れていることによる。
〔実施例3〕
(1)ポリメルカプトベンゾイミダゾールの合成
かき混ぜ機、窒素導入管の付いた三口フラスコに5.175g(37.5mmol)の3,3’,4,4’−テトラアミノベンゼンと14.340g(37.5mmol)の2,5−ジメルカプトイソフタル酸ジフェニルを200mLのホスホランに溶解し、窒素ガスを通気させて脱酸素する。窒素気流下で96時間加熱還流し、室温で冷却後、メタノール1Lとアセトン0.5Lの混合溶液に投入する。沈殿物を濾過後、蒸留水、アセトンで洗浄、乾燥し、式42に示す構造単位を含むポリメルカプトベンゾイミダゾールを得た。
Figure 2008218327
(2)ポリホスホプロピルチオベンゾイミダゾールの合成
前記式42に示す構造単位を含むポリメルカプトベンゾイミダゾール9.23gと87gのN−メチル−ピロリドン入れ、窒素ガスを通気させながら溶解させた。この溶液に10gのエトキシナトリウムのエタノール溶液を攪拌しながら添加した。この反応溶液に27.82gのクロロプロピルホスホン酸を滴下し、滴下終了後、80℃に3時間保持した。その後、冷却し、メタノール1Lとアセトン0.5Lの混合溶液に投入した。沈殿物を濾過後、蒸留水、アセトンで洗浄、乾燥し、式43に示す構造単位を含むポリホスホプロピルチオベンゾイミダゾールを得た。
Figure 2008218327
(3)ポリホスホプロピルチオ−N−ホスホエチルベンゾイミダゾールの合成
かき混ぜ機、窒素導入管の付いた三口フラスコに200mLのジメチルアセトアミド、16.2g(113mmol)の2−クロロエチルホスホン酸、11.4g(113mmol)のトリエチルアミンを入れ、窒素気流下、室温で約1時間攪拌し、2−クロロエチルホスホン酸のトリエチルアミン塩溶液とした。15.75gの前記(2)で得た式43に示す構造単位を含むポリホスホプロピルチオベンゾイミダゾールを窒素気流下200mLのジメチルアセトアミドに溶かし、これに1.35gの水素化リチウムを入れ、85℃で4時間攪拌した。これに2−クロロエチルホスホン酸のトリエチルアミン塩溶液を滴下し、24時間攪拌した。得られた反応溶液をアセトン中に投じ、生じた沈殿を、濾過、減圧乾燥し、式44に示す構造単位を含むポリホスホプロピルチオ−N−ホスホエチルベンゾイミダゾールを得た。
Figure 2008218327
(4)高分子電解質膜の作製とその特性
前記(2)で得られた式31に示す構造単位を含むポリホスホプロピルチオベンゾイミダゾール、又は前記(3)で得られた式32に示す構造単位を含むポリホスホプロピルチオ−N−ホスホエチルベンゾイミダゾールを5重量%の濃度になるようにN−メチルピロリドンに溶解した。この溶液をスピンコートによりガラス上に展開し、風乾した後、80℃で真空乾燥して膜厚45μmのポリホスホプロピルチオベンゾイミダゾール電解質膜、及びポリホスホプロピルチオ−N−ホスホエチルベンゾイミダゾール電解質膜を作成した。この電解質膜の室温におけるイオン伝導率は、それぞれ0.13S/cm、0.22S/cmであった。これらの電解質膜を60℃の40wt%のメタノール水溶液に72時間浸漬し、減圧乾燥した後の膜の重量は、いずれも初期の乾燥重量と変わらず、メタノールに難溶であった。
又、30%の過酸化水素水20mLに硫酸鉄7水和物1.9mgを加えたフェントン試薬に電解質膜を浸漬して60℃の温度に24時間保ったのち、水洗し減圧乾燥した後、膜の重量保持率及びイオン伝導率保持率を求めた。いずれも初期と殆ど変わらず、耐酸化性は良好であった。
(5)膜電極接合体(MEA)の作製
炭素担体上に白金とルテニウムの原子比が1/1の白金/ルテニウム合金微粒子を50wt%分散担持した触媒粉末と30wt%の前記(3)のポリホスホプロピルチオ−N−ホスホエチルベンゾイミダゾールの1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約125μm、幅30mm、長さ30mmのアノ−ド電極を作製した。次に、炭素担体上に30wt%の白金微粒子を担持した触媒粉末とポリパーフルオロホスホン酸の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒をバインダとして水/アルコール混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約20μm、幅30mm、長さ30mmのカソ−ド電極を作製した。
アノ−ド電極表面に5重量%の前記(3)で得られたポリホスホプロピルチオ−N−ホスホエチルベンゾイミダゾールの1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5mL浸透させた後に前記(4)で作製したポリホスホプロピルチオベンゾイミダゾール電解質膜、及びポリホスホプロピルチオ−N−ホスホエチルベンゾイミダゾール電解質膜に接合し、約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥した。次に、カソ−ド電極表面に5重量%の前記(3)で得られたポリホスホプロピルチオ−N−ホスホエチルベンゾイミダゾールの1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5mL浸透させた後に前記ポリホスホプロピルチオベンゾイミダゾール電解質膜のアノード層と反対側の面に、先に接合したアノ−ド層と重なるような位置に接)し、MEA7)及びMEA8)を作製した。
(6)燃料電池(DMFC)の発電性能
図2に示す固体高分子形燃料電池発電装置単セルを用いて前記拡散層付MEA7)、又はMEA8)を組み込んで電池性能を測定した。電流−出力電圧測定結果を図6に示す。ここで、e1(白抜き菱形)は電流密度−出力電圧の関係を示す。又、f1(黒菱形)は電流密度−出力密度の関係を示す。50mA/cmの電流負荷における出力電圧は0.57V、最高出力密度は64mW/cmであった。又、50mA/cmの電流負荷における4,000時間稼動後の出力電圧はそれぞれ0.56Vで初期の95%以上の出力を示し、安定であった。燃料電池の出力と耐久性が優れていることは、本願発明の電解質がイオン伝導性、耐酸化劣化特性に優れていることによる。
〔比較例1〕
(1)ポリホスホブチルベンゾイミダゾールの合成
かき混ぜ機、窒素導入管の付いた三口フラスコに9.62gのポリ2,2’−(m−フェニレン)−5,5’−ビベンゾイミダゾールと87gのN−メチル−ピロリドンを入れ、窒素ガスを通気させながら溶解させた。次いで、0.6gの水素化リチウムを加え、70℃の温度に12時間保持した。気泡の発生が止んだ後、9gのブタンスルトンをゆっくり滴下した。その後、70℃で12時間保持したのち、冷却しメタノール1Lとアセトン0.5Lの混合溶液に投入した。沈殿したポリマを濾過後、蒸留水、アセトンで洗浄、乾燥し、式45に示す構造単位を含むポリホスホブチルベンゾイミダゾールを得た。
Figure 2008218327
(2)ポリホスホブチルベンゾイミダゾール電解質膜の作製とその特性
前記(1)で得られた式45に示す構造単位を含むポリホスホブチルベンゾイミダゾールを5重量%の濃度になるようにN−メチルピロリドンに溶解した。この溶液をスピンコートによりガラス上に展開し、風乾した後、80℃で真空乾燥して膜厚45μmのポリホスホブチルベンゾイミダゾール電解質膜を作成した。この高分子電解質膜の室温におけるイオン伝導率は0.008S/cmであった。本願の電解質膜のイオン伝導率は、比較例1のポリホスホブチルベンゾイミダゾール電解質膜より高く、燃料電池用途に適している。30%の過酸化水素水20mLに硫酸鉄7水和物1.9mgを加えたフェントン試薬に電解質膜を浸漬して60℃の温度に24時間保ったのち、水洗し減圧乾燥した後、膜の重量保持率及びイオン伝導率保持率を求めた。それぞれ初期の85%、70%と劣化していた。
(3)膜電極接合体(MEA)の作製
炭素担体上に白金とルテニウムの原子比が1/1の白金/ルテニウム合金微粒子を50wt%分散担持した触媒粉末と30wt%ポリパーフルオロホスホン酸電解質をバインダとして水/アルコール混合溶媒(水、イソプロパノール、ノルマルプロパノールが重量比で20:40:40の混合溶媒)のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約125μm、幅30mm、長さ30mmのアノ−ド電極を作製した。
次に、炭素担体上に30wt%の白金微粒子を担持した触媒粉末と30wt%ポリパーフルオロホスホン酸をバインダとして水/アルコール混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約20μm、幅30mm、長さ30mmのカソ−ド電極を作製した。アノ−ド電極表面に5重量%のポリパーフルオロホスホン酸アルコール水溶液(水、イソプロパノール、ノルマルプロパノールが重量比で20:40:40の混合溶媒)を前記(2)のポリホスホブチルベンゾイミダゾール電解質膜に接合し、約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥した。
次にカソ−ド電極表面に5重量%のポリパーフルオロホスホン酸の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5mL浸透させた後に前記高分子電解質膜に先に接合したアノ−ド層と重なるように接合して約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥することによってMEA8)を作製した。
(4)燃料電池(DMFC)の発電性能
図2に示す固体高分子形燃料電池発電装置単セルを用いて前記拡散層付MEA8)を組み込んで電池性能を測定した。電流−出力電圧測定結果を図7に示す。ここで、g1(白抜き四角)は電流密度−出力電圧の関係を示す。又、h1(黒四角)は電流密度−出力密度の関係を示す。50mA/cmの電流負荷における出力電圧は0.37Vであった。又、50mA/cmの電流負荷における4,000時間稼動後の出力電圧はそれぞれ0.25Vであった。
以上のことから、本願の炭化水素系電解質膜は、従来のポリホスホアルキルベンゾイミダゾール系炭化水素系電解質膜より、イオン伝導度が高く、燃料電池用途として優れていることが分かる。
〔比較例2〕
(1)ポリホスホベンゾイミダゾールの合成
かき混ぜ機、窒素導入管の付いた三口フラスコに8.035g(37.5mmol)の3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニルと9.645g(37.5mmol)の2,5−ジカルボキシベンゼンホスホン酸モノナトリウム塩、110gのポリリン酸(五酸化リン含量75%)、87.9gの五酸化リンを入れた。窒素ガスを通気させながら100℃迄ゆっくり昇温した。100℃の温度に1.5時間保持した後、150℃の温度に昇温して、150℃で1時間保持した。次いで、200℃に昇温して4時間200℃に保持した。室温迄冷却後、水を加えて内容物を取り出し、ミキサーで粉砕し、濾液がpH試験紙で中性になるまで水洗を繰り返した。得られたポリマを減圧乾燥し、式46に示す構造単位を含むポリホスホベンゾイミダゾールを得た。
Figure 2008218327
(2)ポリホスホベンゾイミダゾール電解質膜の作製とその特性
前記(1)で得られた式46に示す構造単位を含むポリホスホベンゾイミダゾールを5重量%の濃度になるようにN−メチルピロリドンに溶解した。この溶液をスピンコートによりガラス上に展開し、風乾した後、80℃で真空乾燥して膜厚45μmのポリホスホベンゾイミダゾール電解質膜を作成した。この高分子電解質膜の室温におけるイオン伝導率は0.01S/cmであった。本発明の電解質膜のイオン伝導率は、比較例2のポリホスホベンゾイミダゾール電解質膜より高く、燃料電池用途に適している。30%の過酸化水素水20mLに硫酸鉄7水和物1.9mgを加えたフェントン試薬に電解質膜を浸漬して60℃の温度に24時間保ったのち、水洗し減圧乾燥した後、膜の重量保持率及びイオン伝導率保持率を求めた。それぞれ初期の45%、25%と劣化していた。
(3)膜電極接合体(MEA)の作製
炭素担体上に白金とルテニウムの原子比が1/1の白金/ルテニウム合金微粒子を50wt%分散担持した触媒粉末と30wt%ポリパーフルオロホスホン酸電解質をバインダとして水/アルコール混合溶媒(水、イソプロパノール、ノルマルプロパノールが重量比で20:40:40の混合溶媒)のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約125μm、幅30mm、長さ30mmのアノ−ド電極を作製した。
次に、炭素担体上に30wt%の白金微粒子を担持した触媒粉末と30wt%ポリパーフルオロホスホン酸をバインダとして水/アルコール混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約20μm、幅30mm、長さ30mmのカソ−ド電極を作製した。アノ−ド電極表面に5重量%のポリパーフルオロホスホン酸アルコール水溶液(水、イソプロパノール、ノルマルプロパノールが重量比で20:40:40の混合溶媒)を前記(2)のポリホスホベンゾイミダゾール電解質膜に接合し、約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥した。次にカソ−ド電極表面に5重量%のポリパーフルオロホスホン酸の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5mL浸透させた後に前記高分子電解質膜に先に接合したアノ−ド層と重なるように接合して約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥することによってMEA9)を作製した。
(4)燃料電池(DMFC)の発電性能
図2に示す固体高分子形燃料電池発電装置単セルを用いて前記拡散層付MEA9)を組み込んで電池性能を測定した。その電流−出力電圧測定結果は図7と略同様であった。g2(白抜き丸)は電流密度−出力電圧の関係を示す。又、h2(黒丸)は電流密度−出力密度の関係を示す。又、50mA/cmの電流負荷における4,000時間稼動後の出力電圧はそれぞれ0.13Vで初期の約50%の値であった。
以上のことから、本願の炭化水素系電解質膜は、従来のポリホスホベンゾイミダゾール系炭化水素系電解質膜より、イオン伝導度が高く、耐久性に優れ、燃料電池用途として優れていることが分かる。
〔比較例3〕
(1)高分子電解質膜の作製とその特性
前記実施例3の(1)で合成した式42のポリヒドロキシベンゾイミダゾール電解質を5重量%の濃度になるようにN−メチルピロリドンに溶解した。この溶液をスピンコートによりガラス上に展開し、風乾した後、80℃で真空乾燥して膜厚45μmのポリヒドロキシベンゾイミダゾール電解質膜を作成した。この高分子電解質膜の室温におけるイオン伝導率は0.003S/cmと本願の電解質膜と比べて低く、本願の電解質膜が燃料電池用途に最適であることが分かる。ポリヒドロキシベンゾイミダゾール電解質膜を60℃の40wt%のメタノール水溶液に72時間浸漬し、減圧乾燥した後の膜の重量は、初期の乾燥重量と変わらず、メタノールに難溶であった。30%の過酸化水素水20mLに硫酸鉄7水和物1.9mgを加えたフェントン試薬に電解質膜を浸漬して60℃の温度に1時間保ったのち、水洗し減圧乾燥した後、膜の重量保持率及びイオン伝導率保持率を求めた。それぞれ初期の45%、40%と低下していた。本願の電解質膜の耐酸化性は比較例よりも優れていた。
(2)膜電極接合体(MEA)の作製
炭素担体上に白金とルテニウムの原子比が1/1の白金/ルテニウム合金微粒子を50wt%分散担持した触媒粉末と5wt%のポリパーフロロホスホン酸電解質の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約125μm、幅30mm、長さ30mmのアノ−ド電極を作製した。
次に、炭素担体上に30wt%の白金微粒子を担持した触媒粉末と5wt%のポリパーフルオロホスホン酸の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒をバインダとして水/アルコール混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約20μm、幅30mm、長さ30mmのカソ−ド電極を作製した。アノ−ド電極表面に5重量%のポリパーフロロホスホン酸電解質の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5mL浸透させた後に前記ポリヒドロキシベンゾイミダゾール電解質膜に接合し、約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥した。
次に、カソ−ド電極表面に5重量%のポリパーフロロホスホン酸電解質の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5mL浸透させた後に前記ポリヒドロキシベンゾイミダゾール電解質膜のアノード層と反対側の面に、先に接合したアノ−ド層と重なるような位置に接合して約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥することによって図3に示すようなMEA10)を作製した。
(3)燃料電池(DMFC)の発電性能
図2に示す固体高分子形燃料電池発電装置単セルを用いて前記MEA10)を組み込んで電池性能を測定した。その電流−出力電圧測定結果は図7と略同様であった。g3(白抜き三角)は電流密度−出力電圧の関係を示す。又、h3(黒三角)は電流密度−出力密度の関係を示す。50mA/cmの電流負荷における出力電圧は0.45Vであった。又、50mA/cmの電流負荷における4,000時間稼動後に燃料電池の出力は出なかった。
以上のことから、本願の炭化水素系電解質膜は、従来のポリホスホベンゾイミダゾール系炭化水素系電解質膜より、イオン伝導度が高く、耐久性に優れ、燃料電池用途として優れていることが分かる。
〔実施例4〕
(1)3,3’−ビス(トリメチルシロキシ)−4,4’−ビス(トリメチルシリルアミノ)ビフェニルの合成
かき混ぜ機、窒素導入管、塩化カルシウム管の付いた三口フラスコに4.32g(20mmol)の4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニルと8.50g(84mmol)のトリエチルアミンを80mL乾燥テトラヒドロフランに溶解した。この溶液に9.12g(84mmol)のトリメチルシリルクロライドを20℃の温度で攪拌しながら徐々に加える。この温度で1時間、60℃で4時間攪拌し、生成したトリエチルアミン塩酸塩を窒素雰囲気下でろ過した。更に、200〜230℃/0.5Torrの溜分を分離した。次いで、リグロインを用いて再結晶して下記式47の3,3’−ビス(トリメチルシロキシ)−4,4’−ビス(トリメチルシリルアミノ)ビフェニルを得た。
Figure 2008218327
(2)ポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾールの合成
かき混ぜ機、窒素導入管の付いた三口フラスコに1.263g(2.5mmol)の3,3’−ビス(トリメチルシロキシ)−4,4’−ビス(トリメチルシリルアミノ)ビフェニルを5mLのN,N’−ジメチルホルムアミドに溶解し、ドライアイス−アセトン浴で固化させた。これに1.325g(2.5mmol)の2,5−ジホスホヘキサメチレン−イソフタル酸クロライドを一度に加え、浴を水浴に変えて、0〜5℃で8時間攪拌した。この内容物をメタノール500mLに投入して、濾過、洗浄、乾燥した。これを減圧下、25℃で30時間保持することにより、下記式48に示す化学構造単位を含むポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾールを得た。
Figure 2008218327
(3)高分子電解質膜の作製とその特性
前記(2)で得られた式48に示す構造単位を含むポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾールを5重量%の濃度になるようにN−メチルピロリドンに溶解した。この溶液をスピンコートによりガラス上に展開し、風乾した後、80℃で真空乾燥して膜厚45μmのポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾール電解質膜を作成した。この高分子電解質膜の室温におけるイオン伝導率は0.25S/cmであった。高分子電解質膜を60℃の40wt%のメタノール水溶液に72時間浸漬し、減圧乾燥した後の膜の重量は、初期の乾燥重量と変わらず、メタノールに難溶であった。80℃の塩化第二鉄を20ppm添加した3wt%の過酸化水素水溶液に24時間浸漬し、水洗し減圧乾燥した後、膜の重量保持率及びイオン伝導率保持率を求めた。いずれも初期と殆ど変わらず、耐酸化性は良好であった。
(4)膜電極接合体(MEA)の作製
炭素担体上に白金とルテニウムの原子比が1/1の白金/ルテニウム合金微粒子を50wt%分散担持した触媒粉末と30wt%の前記(2)のポリホスホヘキサメチレンオベンゾオキサゾールの1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約125μm、幅30mm、長さ30mmのアノ−ド電極を作製した。次に、炭素担体上に30wt%の白金微粒子を担持した触媒粉末とポリパーフルオロホスホン酸の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒をバインダとして水/アルコール混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約20μm、幅30mm、長さ30mmのカソ−ド電極を作製した。
アノ−ド電極表面に5重量%の前記(2)で得られたポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾールの1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5mL浸透させた後に前記(3)で作製したポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾール電解質膜に接合し、約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥した。次に、カソ−ド電極表面に5重量%の前記(2)で得られたポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾールの1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5mL浸透させた後に前記ポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾール電解質膜のアノード層と反対側の面に、先に接合したアノ−ド層と重なるような位置に接合して約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥することによって図3に示すようなMEA11)を作製した。
(5)燃料電池(DMFC)の発電性能
図2に示す固体高分子形燃料電池発電装置単セルを用いて前記拡散層付MEA11)を組み込んで電池性能を測定した。電流−出力電圧測定結果を図8に示す。ここで、j1(白抜き三角)は電流密度−出力電圧の関係を示す。又、k1(黒三角)は電流密度−出力密度の関係を示す。50mA/cmの電流負荷における出力電圧は0.56V、最高出力密度は64mW/cmであった。又、50mA/cmの電流負荷における4,000時間稼動後の出力電圧はそれぞれ0.55Vで初期の90%以上の出力を示し、安定であった。燃料電池の出力と耐久性が優れていることは、本発明の電解質がイオン伝導性、耐酸化劣化特性に優れていることによる。
〔実施例5〕
(1)2,5−ビス[(トリメトキシカルボニル)エチルチオ]−1,4−フェニレンジアミンの合成
かき混ぜ機、窒素導入管、塩化カルシウム管の付いた三口フラスコ中で21.6g(0.54moの水酸化ナトリウムを300mLの水に溶解した後、窒素気流下で30.0g(122mmol)の2,5−ジアミノ−1,4’−ベンゼンジチオール二塩酸塩を加えて溶解した。内溶液を5℃に冷却し、29.4mL(0.269mol)の3−ブロモプロピオン酸メチルと1.0g(3.12mmol)のトリエチルアミンを80mL乾燥テトラヒドロフランに溶解した。この溶液に9.12g(84mmol)のセチルトリメチルアンモニウムクロライドを加え、5℃の温度で1時間、更に、室温で4時間激しく攪拌した。得られた沈殿をろ過し、水でよく洗浄して乾燥し、ヘキサンを用いて再結晶し、2,5−ビス[(トリメトキシカルボニル)エチルチオ]−1,4−フェニレンジアミンを得た。
(2)ポリホスホヘキサメチレンベンゾチアゾールの合成
かき混ぜ機、窒素導入管の付いた三口フラスコに0.861g(2.5mmol)の2,5−ビス[(トリメトキシカルボニル)エチルチオ]−1,4−フェニレンジアミンを5mLのN−メチルピロリドンに溶解し、1.325g(2.5mmol)の2,5−ビスホスホヘキサメチレン−イソフタル酸クロライドを0℃の温度で一度に加えた。次いで、室温で8時間攪拌した。この内容物をメタノール500mLに投入して、濾過、洗浄、乾燥し、下記式49に示す化学構造単位を含むポリホスホヘキサメチレンベンゾチアゾールを得た。
Figure 2008218327
(3)高分子電解質膜の作製とその特性
前記(2)で得られた式37に示す構造単位を含むポリホスホヘキサメチレンベンゾチアゾールを5重量%の濃度になるようにN−メチルピロリドンに溶解した。この溶液をスピンコートによりガラス上に展開し、風乾した後、80℃で真空乾燥して膜厚45μmのポリホスホヘキサメチレンベンゾチアゾール電解質膜を作成した。この高分子電解質膜の室温におけるイオン伝導率は0.18S/cmであった。ポリホスホヘキサメチレンベンゾチアゾール電解質膜を60℃の40wt%のメタノール水溶液に72時間浸漬し、減圧乾燥した後の膜の重量は、初期の乾燥重量と変わらず、メタノールに難溶であった。30%の過酸化水素水20mLに硫酸鉄7水和物1.9mgを加えたフェントン試薬に電解質膜を浸漬して60℃の温度に24時間保ったのち、水洗し減圧乾燥した後、膜の重量保持率及びイオン伝導率の保持率を求めた。いずれも初期と殆ど変わらず、耐酸化性は良好であった。
(4)膜電極接合体(MEA)の作製
炭素担体上に白金とルテニウムの原子比が1/1の白金/ルテニウム合金微粒子を50wt%分散担持した触媒粉末と30wt%の前記(2)のポリホスホヘキサメチレンベンゾチアゾールの1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約125μm、幅30mm、長さ30mmのアノ−ド電極を作製した。次に、炭素担体上に30wt%の白金微粒子を担持した触媒粉末とポリパーフルオロホスホン酸の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒をバインダとして水/アルコール混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約20μm、幅30mm、長さ30mmのカソ−ド電極を作製した。
アノ−ド電極表面に5重量%の前記(2)で得られたポリホスホヘキサメチレンベンゾチアゾールの1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5mL浸透させた後に前記(3)で作製したポリホスホヘキサメチレンベンゾチアゾール電解質膜に接合し、約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥した。次に、カソ−ド電極表面に5重量%の前記(2)で得られたポリホスホヘキサメチレンベンゾチアゾールの1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5mL浸透させた後に前記ポリホスホヘキサメチレンベンゾチアゾール電解質膜のアノード層と反対側の面に、先に接合したアノ−ド層と重なるような位置に接合して約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥することによって図3に示すようなMEA12)を作製した。
(5)燃料電池(DMFC)の発電性能
図2に示す固体高分子形燃料電池発電装置単セルを用いて前記拡散層付MEA12)を組み込んで電池性能を測定した。電流−出力電圧測定結果を図9に示す。ここで、m1((白抜き三角)は電流密度−出力電圧の関係を示す。又、n1(黒三角)は電流密度−出力密度の関係を示す。50mA/cmの電流負荷における出力電圧は0.59V、最高出力密度は68mW/cmであった。又、50mA/cmの電流負荷における4,000時間稼動後の出力電圧はそれぞれ0.57Vで初期の95%以上の出力を示し、安定であった。燃料電池の出力と耐久性が優れていることは、本願発明の電解質がイオン伝導性、耐酸化劣化特性に優れていることによる。
〔実施例6〕
(1)ポリホスホエチルベンゾイミダゾールの合成
かき混ぜ機、窒素導入管の付いた三口フラスコに10.533g(37.5mmol)の3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニルホスホンと15.49g(37.5mmol)の2,5−ジカルボキシ−1,4−ビスホスホエチルベンゼンジナトリウム塩、110gのポリリン酸(五酸化リン含量75%)、87.9gの五酸化リンを入れた。窒素ガスを通気させながら100℃迄ゆっくり昇温した。100℃の温度に1.5時間保持した後、150℃の温度に昇温して、150℃で1時間保持した。次いで、200℃に昇温して4時間200℃に保持した。室温迄冷却後、水を加えて内容物を取り出し、ミキサーで粉砕し、濾液がpH試験紙で中性になるまで水洗を繰り返した。得られたポリマを減圧乾燥し、式50に示す構造単位を含むポリホスホエチルベンゾイミダゾールを得た。
Figure 2008218327
(2)ポリホスホエチル−N−ホスホエチルベンゾイミダゾールの合成
かき混ぜ機、窒素導入管の付いた三口フラスコに200mLのジメチルアセトアミド、16.2g(113mmol)の2−クロロエチルホスホン酸、11.4g(113mmol)のトリエチルアミンを入れ、窒素気流下、室温で約1時間攪拌し、2−クロロエチルホスホン酸のトリエチルアミン塩溶液とした。15.75g(37.5mmol)の前記(1)で得た式50に示す構造単位を含むポリホスホエチルベンゾイミダゾールを窒素気流下200mLのジメチルアセトアミドに溶かし、これに1.35g(170mmol)の水素化リチウムを入れ、85℃で4時間攪拌した。これに2−クロロエチルホスホン酸のトリエチルアミン塩溶液を滴下し、24時間攪拌した。得られた反応溶液をアセトン中に投じ、生じた沈殿を、濾過、減圧乾燥し、式51に示す構造単位を含むポリホスホエチル−N−ホスホエチルベンゾイミダゾールを得た。
Figure 2008218327
(3)高分子電解質膜の作製とその特性
前記(2)で得られた式51に示す構造単位を含むポリホスホエチル−N−ホスホエチルベンゾイミダゾールを5重量%の濃度になるようにN−メチルピロリドンに溶解した。この溶液をスピンコートによりガラス上に展開し、風乾した後、80℃で真空乾燥して膜厚45μmのポリホスホエチル−N−ホスホエチルベンゾイミダゾール電解質膜を作成した。このポリホスホエチル−N−ホスホエチルベンゾイミダゾール電解質膜の室温におけるイオン伝導率は0.22S/cmであった。
ポリホスホエチル−N−ホスホエチルベンゾイミダゾール電解質膜を60℃の40wt%のメタノール水溶液に72時間浸漬し、減圧乾燥した後の膜の重量は、初期の乾燥重量と変わらず、メタノールに難溶であった。30%の過酸化水素水20mLに硫酸鉄7水和物1.9mgを加えたフェントン試薬に電解質膜を浸漬して60℃の温度に24時間保ったのち、水洗し減圧乾燥した後、膜の重量保持率及びイオン伝導率の保持率を求めた。いずれも初期と殆ど変わらず、耐酸化性は良好であった。
(4)膜電極接合体(MEA)の作製
炭素担体上に白金とルテニウムの原子比が1/1の白金/ルテニウム合金微粒子を50wt%分散担持した触媒粉末と30wt%の前記(2)のポリホスホエチル−N−ホスホエチルベンゾイミダゾール電解質の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約125μm、幅30mm、長さ30mmのアノ−ド電極を作製した。
次に、炭素担体上に30wt%の白金微粒子を担持した触媒粉末とポリパーフルオロホスホン酸の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒をバインダとして水/アルコール混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約20μm、幅30mm、長さ30mmのカソ−ド電極を作製した。アノ−ド電極表面に5重量%の前記(2)で得られたポリホスホエチル−N−ホスホエチルベンゾイミダゾール電解質の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5mL浸透させた後に前記(2)で作製したポリホスホエチル−N−ホスホエチルベンゾイミダゾール電解質膜に接合し、約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥した。
次に、カソ−ド電極表面に5重量%の前記(2)で得られたポリホスホエチル−N−ホスホエチルベンゾイミダゾール電解質の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5mL浸透させた後に前記ポリホスホエチルベンゾイミダゾール電解質膜のアノード層と反対側の面に、先に接合したアノ−ド層と重なるような位置に接合して約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥することによって図3に示すようなMEA13)を作製した。
(5)燃料電池(DMFC)の発電性能
図2に示す固体高分子形燃料電池発電装置単セルを用いて前記MEA13)を組み込んで電池性能を測定した。電流−出力電圧測定結果を図10に示す。ここで、p1(白抜き三角)は電流密度−出力電圧の関係を示す。又、q1(黒三角)は電流密度−出力密度の関係を示す。50mA/cmの電流負荷における出力電圧は0.75V、最高出力密度は60mW/cmであった。又、50mA/cmの電流負荷における4,000時間稼動後の出力電圧はそれぞれ0.76Vで初期の95%以上の出力を示し、安定であった。燃料電池の出力と耐久性が優れていることは、本発明の電解質がイオン伝導性、耐酸化劣化特性に優れていることによる。
〔実施例7〕
(1)ポリヒドロキシベンゾイミダゾールの合成
かき混ぜ機、窒素導入管の付いた三口フラスコに5.213g(37.5mmol)の3,3’,4,4’−テトラアミノピリジンと13.137g(37.5mmol)の2,5−ジヒドロキシイソフタル酸ジフェニルを200mLのホスホランに溶解し、窒素ガスを通気させて脱酸素する。窒素気流下で96時間加熱還流し、室温で冷却後、メタノール1Lとアセトン0.5Lの混合溶液に投入する。沈殿物を濾過後、蒸留水、アセトンで洗浄、乾燥し、式52に示す構造単位を含むポリヒドロキシベンゾイミダゾールを得た。
Figure 2008218327
(2)ポリホスホブトキシベンゾイミダゾールの合成
前記式52のポリヒドロキシベンゾイミダゾール10.6gと87gのN−メチル−ピロリドン入れ、窒素ガスを通気させながら溶解させた。この溶液に10gのエトキシナトリウムのエタノール溶液を攪拌しながら添加した。この反応溶液に10gのクロロブチルホスホン酸を滴下し、滴下終了後、80℃に3時間保持した。その後、冷却し、メタノール1Lとアセトン0.5Lの混合溶液に投入した。沈殿物を濾過後、蒸留水、アセトンで洗浄、乾燥し、式53に示す構造単位を含むポリホスホブトキシベンゾイミダゾールを得た。
Figure 2008218327
(3)ポリホスホブトキシ−N−ホスホエチルベンゾイミダゾールの合成
かき混ぜ機、窒素導入管の付いた三口フラスコに200mLのジメチルアセトアミド、16.2g(113mmol)の2−クロロエチルホスホン酸、11.4g(113mmol)のトリエチルアミンを入れ、窒素気流下、室温で約1時間攪拌し、2−クロロエチルホスホン酸のトリエチルアミン塩溶液とした。15.75gの前記(1)で得た式53に示す構造単位を含むポリホスホブトキシベンゾイミダゾールを窒素気流下200mLのジメチルアセトアミドに溶かし、これに1.35g(170mmol)の水素化リチウムを入れ、85℃で4時間攪拌した。これに2−クロロエチルホスホン酸のトリエチルアミン塩溶液を滴下し、24時間攪拌した。得られた反応溶液をアセトン中に投じ、生じた沈殿を、濾過、減圧乾燥し、式40に示す構造単位を含むポリホスホブトキシ−N−ホスホエチルベンゾイミダゾールを得た。
Figure 2008218327
(4)高分子電解質膜の作製とその特性
前記(2)で得られた式42に示す構造単位を含むポリホスホブトキシ−N−ホスホエチルベンゾイミダゾールを5重量%の濃度になるようにN−メチルピロリドンに溶解した。この溶液をスピンコートによりガラス上に展開し、風乾した後、80℃で真空乾燥して膜厚45μmのポリホスホブトキシ−N−ホスホエチルベンゾイミダゾール電解質膜を作成した。この電解質膜の室温におけるイオン伝導率は0.16S/cmであった。ポリホスホブトキシ−N−ホスホエチルベンゾイミダゾール電解質膜を60℃の40wt%のメタノール水溶液に72時間浸漬し、減圧乾燥した後の膜の重量は、初期の乾燥重量と変わらず、メタノールに難溶であった。30%の過酸化水素水20mLに硫酸鉄7水和物1.9mgを加えたフェントン試薬に電解質膜を浸漬して60℃の温度に24時間保ったのち、水洗し減圧乾燥した後、膜の重量保持率及びイオン伝導率の保持率を求めた。いずれも初期と殆ど変わらず、耐酸化性は良好であった。
(5)膜電極接合体(MEA)の作製
炭素担体上に白金とルテニウムの原子比が1/1の白金/ルテニウム合金微粒子を50wt%分散担持した触媒粉末と30wt%の前記(3)のポリホスホブトキシ−N−ホスホエチルベンゾイミダゾールの1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約125μm、幅30mm、長さ30mmのアノ−ド電極を作製した。次に、炭素担体上に30wt%の白金微粒子を担持した触媒粉末とポリパーフルオロホスホン酸の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒をバインダとして水/アルコール混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約20μm、幅30mm、長さ30mmのカソ−ド電極を作製した。
アノ−ド電極表面に5重量%の前記(3)で得られたポリホスホブトキシ−N−ホスホエチルベンゾイミダゾールの1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5mL浸透させた後に前記(3)で作製したポリホスホブトキシ−N−ホスホエチルベンゾイミダゾール電解質膜に接合し、約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥した。次に、カソ−ド電極表面に5重量%の前記(3)で得られたポリホスホブトキシ−N−ホスホエチルベンゾイミダゾールの1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5mL浸透させた後に前記ポリホスホブトキシベンゾイミダゾール電解質膜のアノード層と反対側の面に、先に接合したアノ−ド層と重なるような位置に接合して約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥することによって図3に示すようなMEA14)を作製した。
(5)燃料電池(DMFC)の発電性能
図2に示す固体高分子形燃料電池発電装置単セルを用いて前記MEA14)を組み込んで電池性能を測定した。電流−出力電圧測定結果を図11に示す。ここで、r1(白抜き三角)は電流密度−出力電圧の関係を示す。又、s1(黒三角)は電流密度−出力密度の関係を示す。50mA/cmの電流負荷における出力電圧は0.50V、最高出力密度は38mW/cmであった。又、50mA/cmの電流負荷における4,000時間稼動後の出力電圧はそれぞれ0.49Vで初期の95%以上の出力を示し、安定であった。燃料電池の出力と耐久性が優れていることは、本願発明の電解質がイオン伝導性、耐酸化劣化特性に優れていることによる。
〔実施例8〕
(1)ポリホスホメチルベンゾイミダゾールの合成
かき混ぜ機、窒素導入管の付いた三口フラスコに8.035g(37.5mmol)の3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニルと6.725g(25.0mmol)の2,5−ジカルボキシ−1,4−ホスホメチルベンゼンモノナトリウム塩、2.075g(12.5mmol)の2,5−ジカルボキシベンゼン、110gのポリリン酸(五酸化リン含量75%)、87.9gの五酸化リンを入れた。窒素ガスを通気させながら100℃迄ゆっくり昇温した。100℃の温度に1.5時間保持した後、150℃の温度に昇温して、150℃で1時間保持した。次いで、200℃に昇温して4時間200℃に保持した。室温迄冷却後、水を加えて内容物を取り出し、ミキサーで粉砕し、濾液がpH試験紙で中性になるまで水洗を繰り返した。得られたポリマを減圧乾燥し、式55に示す構造単位を含むポリホスホメチルベンゾイミダゾールを得た。
Figure 2008218327
(2)ポリホスホエチル−N−ホスホエチルベンゾイミダゾールの合成
かき混ぜ機、窒素導入管の付いた三口フラスコに200mLのジメチルアセトアミド、16.2g(113mmol)の2−クロロエチルホスホン酸、11.4g(113mmol)のトリエチルアミンを入れ、窒素気流下、室温で約1時間攪拌し、2−クロロエチルホスホン酸のトリエチルアミン塩溶液とした。15.75g(37.5mmol)の前記(1)で得た式55に示す構造単位を含むポリホスホメチルベンゾイミダゾールを窒素気流下200mLのジメチルアセトアミドに溶かし、これに1.35g(170mmol)の水素化リチウムを入れ、85℃で4時間攪拌した。
これに2−クロロエチルホスホン酸のトリエチルアミン塩溶液を滴下し、24時間攪拌した。得られた反応溶液をアセトン中に投じ、生じた沈殿を、濾過、減圧乾燥し、式44に示す構造単位を含むポリホスホメチル−N−ホスホエチルベンゾイミダゾールを得た。
Figure 2008218327
(3)高分子電解質膜の作製とその特性
前記(2)で得られた式56に示す構造単位を含むポリホスホメチル−N−ホスホエチルベンゾイミダゾールを5重量%の濃度になるようにN−メチルピロリドンに溶解した。この溶液をスピンコートによりガラス上に展開し、風乾した後、80℃で真空乾燥して膜厚45μmのポリホスホメチル−N−ホスホエチルベンゾイミダゾール電解質膜を作成した。この高分子電解質膜の室温におけるイオン伝導率は0.25S/cmであった。高分子電解質膜を60℃の40wt%のメタノール水溶液に72時間浸漬し、減圧乾燥した後の膜の重量は、初期の乾燥重量と変わらず、メタノールに難溶であった。30%の過酸化水素水20mLに硫酸鉄7水和物1.9mgを加えたフェントン試薬に電解質膜を浸漬して60℃の温度に24時間保ったのち、水洗し減圧乾燥した後、膜の重量保持率及びイオン伝導率保持率を求めた。いずれも初期と殆ど変わらず、耐酸化性は良好であった。
(4)膜電極接合体(MEA)の作製
炭素担体上に白金とルテニウムの原子比が1/1の白金/ルテニウム合金微粒子を50wt%分散担持した触媒粉末と30wt%の前記(2)で得られたポリホスホメチル−N−ホスホエチルベンゾイミダゾールの1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約125μm、幅30mm、長さ30mmのアノ−ド電極を作製した。次に、炭素担体上に30wt%の白金微粒子を担持した触媒粉末とポリパーフルオロホスホン酸の1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒をバインダとして水/アルコール混合溶媒のスラリーを調整してスクリーン印刷法でポリイミドフィルム上に厚さ約20μm、幅30mm、長さ30mmのカソ−ド電極を作製した。
アノ−ド電極表面に5重量%の前記(2)で得られたポリホスホメチル−N−ホスホエチルベンゾイミダゾールの1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5mL浸透させた後に前記(3)で作製したポリホスホメチル−N−ホスホエチルベンゾイミダゾール電解質膜に接合し、約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥した。
次に、カソ−ド電極表面に5重量%の前記(2)で得られたポリホスホメチル−N−ホスホエチルベンゾイミダゾールの1−プロパノール、2−プロパノールとメトキシエタノールの混合溶媒を約0.5mL浸透させた後に前記ポリホスホメチル−N−ホスホエチルベンゾイミダゾール電解質膜のアノード層と反対側の面に、先に接合したアノ−ド層と重なるような位置に接合して約1kgの荷重をかけて80℃で3時間乾燥することによって図3に示すようなMEA15)を作製した。
(5)燃料電池(DMFC)の発電性能
図2に示す固体高分子形燃料電池発電装置単セルを用いて前記MEA15)を組み込んで電池性能を測定した。電流−出力電圧測定結果を図12に示す。ここで、t1(白抜き三角)は電流密度−出力電圧の関係を示す。又、u1(黒三角)は電流密度−出力密度の関係を示す。50mA/cmの電流負荷における出力電圧は0.46V、最高出力密度は33mW/cmであった。又、50mA/cmの電流負荷における4,000時間稼動後の出力電圧はそれぞれ0.42Vで初期の90%以上の出力を示し、安定であった。燃料電池の出力と耐久性が優れていることは、本願発明の電解質がイオン伝導性、耐酸化劣化特性に優れていることによる。
〔実施例9〕
(1)ホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾールの合成
かき混ぜ機、窒素導入管の付いた三口フラスコに1.263g(2.5mmol)の実施例4の(1)で合成した3,3’−ビス(トリメチルシロキシ)−4,4’−ビス(トリメチルシリルアミノ)ビフェニルを5mLのN,N’−ジメチルホルムアミドに溶解し、ドライアイス−アセトン浴で固化させた。これに1.325g(2.5mmol)の2,5−ジホスホヘキサメチレン−イソフタル酸クロライドを一度に加え、浴を水浴に変えて、0〜5℃で8時間攪拌した。この内容物をメタノール500mLに投入して、濾過、洗浄、乾燥した。これを減圧下、25℃で30時間保持することにより、下記式57に示す化学構造単位を含むポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾールを得た。
Figure 2008218327
又、かき混ぜ機、窒素導入管の付いた三口フラスコに1.263g(2.5mmol)の3,3’−ビス(トリメチルシロキシ)−4,4’−ビス(トリメチルシリルアミノ)ビフェニルを5mLのN,N’−ジメチルホルムアミドに溶解し、ドライアイス−アセトン浴で固化させた。これに0.587g(2.5mmol)の2,5−イソフタル酸クロライドを一度に加え、浴を水浴に変えて、0〜5℃で8時間攪拌した。この内容物をメタノール500mLに投入して、濾過、洗浄、乾燥した。これを減圧下、25℃で30時間保持することにより、下記式58に示す化学構造単位を含むポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾールを得た。
Figure 2008218327
式57及び式58の末端カルボン酸の−OH基を−CLに変換した。次いで、かき混ぜ機、窒素導入管の付いた三口フラスコに1.263g(2.5mmol)の3,3’−ビス(トリメチルシロキシ)−4,4’−ビス(トリメチルシリルアミノ)ビフェニルを5mLのN,N’−ジメチルホルムアミドに溶解し、ドライアイス−アセトン浴で固化させた。これにそれぞれ1.33gの末端カルボン酸の−OH基を−CLに変換した式57及び式58の酸クロライドを一度に加え、浴を水浴に変えて、0〜5℃で8時間攪拌した。この内容物をメタノール500mLに投入して、濾過、洗浄、乾燥した。これを減圧下、25℃で30時間保持することにより、下記式59に示す化学構造単位を含むポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾール(1)を得た。
Figure 2008218327
(2)高分子電解質膜の作製とその特性
前記(1)で得られた式59に示す構造単位を含むポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾール(1)を5重量%の濃度になるようにN−メチルピロリドンに溶解した。この溶液をスピンコートによりガラス上に展開し、風乾した後、80℃で真空乾燥して膜厚45μmのポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾール電解質膜(1)を作成した。この高分子電解質膜の室温におけるイオン伝導率は0.35S/cmであった。高分子電解質膜を60℃の40wt%のメタノール水溶液に72時間浸漬し、減圧乾燥した後の膜の重量は、初期の乾燥重量と変わらず、メタノールに難溶であった。80℃の塩化第二鉄を20ppm添加した3wt%の過酸化水素水溶液に24時間浸漬し、水洗し減圧乾燥した後、膜の重量保持率及びイオン伝導率保持率を求めた。いずれも初期と殆ど変わらず、耐酸化性は良好であった。
〔実施例10〕
(1)ポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾールの合成
かき混ぜ機、窒素導入管の付いた三口フラスコに1.263g(2.5mmol)の実施例4の(1)で合成した3,3’−ビス(トリメチルシロキシ)−4,4’−ビス(トリメチルシリルアミノ)ビフェニルを5mLのN,N’−ジメチルホルムアミドに溶解し、ドライアイス−アセトン浴で固化させた。これに0.663g(1.25mmol)の2,5−ジホスホヘキサメチレン−イソフタル酸クロライドと0.316g(1.25mmol)の2,5−イソフタル酸クロライドを一度に加え、浴を水浴に変えて、0〜5℃で8時間攪拌した。この内容物をメタノール500mLに投入して、濾過、洗浄、乾燥した。これを減圧下、25℃で30時間保持することにより、下記式60に示す化学構造単位を含むポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾールを得た。
Figure 2008218327
(2)高分子電解質膜の作製とその特性
前記(1)で得られた式60に示す構造単位を含むポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾール(1)を5重量%の濃度になるようにN−メチルピロリドンに溶解した。この溶液をスピンコートによりガラス上に展開し、風乾した後、80℃で真空乾燥して膜厚45μmのポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾール電解質膜(1)を作成した。この高分子電解質膜の室温におけるイオン伝導率は0.25S/cmであった。高分子電解質膜を60℃の40wt%のメタノール水溶液に72時間浸漬し、減圧乾燥した後の膜の重量は、初期の乾燥重量と変わらず、メタノールに難溶であった。80℃の塩化第二鉄を20ppm添加した3wt%の過酸化水素水溶液に24時間浸漬し、水洗し減圧乾燥した後、膜の重量保持率及びイオン伝導率保持率を求めた。いずれも初期と殆ど変わらず、耐酸化性は良好であった。
〔実施例11〕
(1)ポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾールの合成
かき混ぜ機、窒素導入管の付いた三口フラスコに1.263g(2.5mmol)の実施例4の(1)で合成した3,3’−ビス(トリメチルシロキシ)−4,4’−ビス(トリメチルシリルアミノ)ビフェニルを5mLのN,N’−ジメチルホルムアミドに溶解し、ドライアイス−アセトン浴で固化させた。これに0.443g(0.833mmol)の2,5−ジホスホヘキサメチレン−イソフタル酸クロライド、0.195g(0.833mmol)の2,5−イソフタル酸クロライドと0.436g(0.833mmol)の2,5−ジスルホヘキサメチレン−イソフタル酸クロライドを一度に加え、浴を水浴に変えて、0〜5℃で8時間攪拌した。この内容物をメタノール500mLに投入して、濾過、洗浄、乾燥した。これを減圧下、25℃で30時間保持することにより、下記式61に示す化学構造単位を含むポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾールを得た。
Figure 2008218327
(2)高分子電解質膜の作製とその特性
前記(1)で得られた式61に示す構造単位を含むポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾール(1)を5重量%の濃度になるようにN−メチルピロリドンに溶解した。この溶液をスピンコートによりガラス上に展開し、風乾した後、80℃で真空乾燥して膜厚45μmのポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾール電解質膜(1)を作成した。この高分子電解質膜の室温におけるイオン伝導率は0.30S/cmであった。高分子電解質膜を60℃の40wt%のメタノール水溶液に72時間浸漬し、減圧乾燥した後の膜の重量は、初期の乾燥重量と変わらず、メタノールに難溶であった。80℃の塩化第二鉄を20ppm添加した3wt%の過酸化水素水溶液に24時間浸漬し、水洗し減圧乾燥した後、膜の重量保持率及びイオン伝導率保持率を求めた。いずれも初期と殆ど変わらず、耐酸化性は良好であった。
〔実施例12〕
(1)ポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾールの合成
かき混ぜ機、窒素導入管の付いた三口フラスコに1.263g(2.5mmol)の実施例4の(1)で合成した3,3’−ビス(トリメチルシロキシ)−4,4’−ビス(トリメチルシリルアミノ)ビフェニルを5mLのN,N’−ジメチルホルムアミドに溶解し、ドライアイス−アセトン浴で固化させた。これに1.325g(2.5mmol)の2,5−ジホスホヘキサメチレン−イソフタル酸クロライドを一度に加え、浴を水浴に変えて、0〜5℃で8時間攪拌した。この内容物をメタノール500mLに投入して、濾過、洗浄、乾燥した。これを減圧下、25℃で30時間保持することにより、下記式62に示す化学構造単位を含むポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾールを得た。
Figure 2008218327
又、かき混ぜ機、窒素導入管の付いた三口フラスコに1.263g(2.5mmol)の3,3’−ビス(トリメチルシロキシ)−4,4’−ビス(トリメチルシリルアミノ)ビフェニルを5mLのN,N’−ジメチルホルムアミドに溶解し、ドライアイス−アセトン浴で固化させた。これに0.587g(2.5mmol)の2,5−イソフタル酸クロライドを一度に加え、浴を水浴に変えて、0〜5℃で8時間攪拌した。この内容物をメタノール500mLに投入して、濾過、洗浄、乾燥した。これを減圧下、25℃で30時間保持することにより、下記式63に示す化学構造単位を含むポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾールを得た。
Figure 2008218327
次いで、かき混ぜ機、窒素導入管の付いた三口フラスコに1.263g(2.5mmol)の3,3’−ビス(トリメチルシロキシ)−4,4’−ビス(トリメチルシリルアミノ)ビフェニルを5mLのN,N’−ジメチルホルムアミドに溶解し、ドライアイス−アセトン浴で固化させた。これにそれぞれ1.33gの末端カルボン酸の−OH基を−CLに変換した式49及び式50の酸クロライドを一度に加え、浴を水浴に変えて、0〜5℃で8時間攪拌した。この内容物をメタノール500mLに投入して、濾過、洗浄、乾燥した。これを減圧下、25℃で30時間保持することにより、下記式64に示す化学構造単位を含むポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾール(1)を得た。
Figure 2008218327
(2)高分子電解質膜の作製とその特性
前記(1)で得られた式64に示す構造単位を含むポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾール(1)を5重量%の濃度になるようにN−メチルピロリドンに溶解した。この溶液をスピンコートによりガラス上に展開し、風乾した後、80℃で真空乾燥して膜厚45μmのポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾール電解質膜(1)を作成した。この高分子電解質膜の室温におけるイオン伝導率は0.27S/cmであった。高分子電解質膜を60℃の40wt%のメタノール水溶液に72時間浸漬し、減圧乾燥した後の膜の重量は、初期の乾燥重量と変わらず、メタノールに難溶であった。80℃の塩化第二鉄を20ppm添加した3wt%の過酸化水素水溶液に24時間浸漬し、水洗し減圧乾燥した後、膜の重量保持率及びイオン伝導率保持率を求めた。いずれも初期と殆ど変わらず、耐酸化性は良好であった。
〔実施例13〕
(1)ポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾールの合成
かき混ぜ機、窒素導入管の付いた三口フラスコに1.263g(2.5mmol)の実施例4の(1)で合成した3,3’−ビス(トリメチルシロキシ)−4,4’−ビス(トリメチルシリルアミノ)ビフェニルを5mLのN,N’−ジメチルホルムアミドに溶解し、ドライアイス−アセトン浴で固化させた。これに0.441g(1.25mmol)の2,5−ジホスホヘキサメチレン−イソフタル酸クロライド、0.196g(1.25mmol)の2,5−イソフタル酸クロライドと0.443g(0.833mmol)の2,5−ジスルホヘキサメチレン−イソフタル酸クロライドを一度に加え、浴を水浴に変えて、0〜5℃で8時間攪拌した。この内容物をメタノール500mLに投入して、濾過、洗浄、乾燥した。これを減圧下、25℃で30時間保持することにより、下記式65に示す化学構造単位を含むポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾールを得た。
Figure 2008218327
(2)高分子電解質膜の作製とその特性
前記(1)で得られた式65に示す構造単位を含むポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾール(1)を5重量%の濃度になるようにN−メチルピロリドンに溶解した。この溶液をスピンコートによりガラス上に展開し、風乾した後、80℃で真空乾燥して膜厚45μmのポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾール電解質膜(1)を作成した。この高分子電解質膜の室温におけるイオン伝導率は0.26S/cmであった。高分子電解質膜を60℃の40wt%のメタノール水溶液に72時間浸漬し、減圧乾燥した後の膜の重量は、初期の乾燥重量と変わらず、メタノールに難溶であった。80℃の塩化第二鉄を20ppm添加した3wt%の過酸化水素水溶液に24時間浸漬し、水洗し減圧乾燥した後、膜の重量保持率及びイオン伝導率保持率を求めた。いずれも初期と殆ど変わらず、耐酸化性は良好であった。
〔実施例14〕
(1)ポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾールの合成
かき混ぜ機、窒素導入管の付いた三口フラスコに1.263g(2.5mmol)の実施例4の(1)で合成した3,3’−ビス(トリメチルシロキシ)−4,4’−ビス(トリメチルシリルアミノ)ビフェニルを5mLのN,N’−ジメチルホルムアミドに溶解し、ドライアイス−アセトン浴で固化させた。これに2.5gの式66に示すメチルフェニルシリコーン変性2,5−ジホスホヘキサメチレン−ベンゼンカルボニルクロライドを一度に加え、浴を水浴に変えて、0〜5℃で8時間攪拌した。
Figure 2008218327
この内容物をメタノール500mLに投入して、濾過、洗浄、乾燥した。これを減圧下、25℃で30時間保持することにより、下記式67に示す化学構造単位を含むポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾールを得た。
Figure 2008218327
(2)高分子電解質膜の作製とその特性
前記(1)で得られた式67に示す構造単位を含むポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾールを5重量%の濃度になるようにN−メチルピロリドンに溶解した。この溶液をスピンコートによりガラス上に展開し、風乾した後、80℃で真空乾燥して膜厚45μmのポリホスホヘキサメチレンベンゾオキサゾール電解質膜を作成した。この高分子電解質膜は可撓性があった。
又、この高分子電解質膜の室温におけるイオン伝導率は0.28S/cmであった。高分子電解質膜を60℃の40wt%のメタノール水溶液に72時間浸漬し、減圧乾燥した後の膜の重量は、初期の乾燥重量と変わらず、メタノールに難溶であった。80℃の塩化第二鉄を20ppm添加した3wt%の過酸化水素水溶液に24時間浸漬し、水洗し減圧乾燥した後、膜の重量保持率及びイオン伝導率保持率を求めた。いずれも初期と殆ど変わらず、耐酸化性は良好であった。
〔実施例15〕
図13に示す水素を燃料とする小型単電池セルを用いて実施例1のMEA1)を組み込んで電池性能を測定した。図13において、1は高分子電解質膜、2はアノード電極、3はカソード電極、4はアノード拡散層、5はカソード拡散層、17は極室分離と電極へのガス供給通路の役割を兼ねた導電性のセパレータ(バイポーラプレート)の燃料導路、18は極室分離と電極へのガス供給導路の役割を兼ねた導電性のセパレータ(バイポーラプレート)の空気用流路、19は燃料の水素と水、20は水素、21は水、22は空気、23は空気と水である。小型単電池セルを恒温槽に設置し、セパレータ内に挿入した熱電対(図示していない)による温度が70℃になるよう恒温槽の温度を制御した。
アノード及びカソードの加湿は外部加湿器を用い、加湿器出口付近の露点が70℃になるように加湿器の温度を70〜73℃の間で制御した。露点は露点計による計測の他、加湿水の消費量を常時計測し、反応ガスの流量、温度、圧力から求められる露点が所定の値であることを確認している。負荷電流密度を250mA/cmとし、水素利用率を70%、空気利用率を40%とし、約8時間/日発電し、残りをホットキープ運転した。7,000時間経過後でも初期電圧の94%以上の出力があり、本願の膜電極接合体は水素を燃料としても耐久性が優れていることが分かった。
〔実施例16〕
(1)燃料電池の製造
実施例1で作成した膜電極接合体を組み込んだ燃料電池101の組み立ての一例を図14に示す。燃料電池101は、103はカソード端板、104はカソード集電体、105は実施例1で作成した拡散層付膜電極接合体搭載部、106はパッキング、107はアノード端板、108は燃料タンク部、109はアノード端板の順にボルトとナットで締め付け、組み立てたものである。
(2)燃料電池電源システムの製造
前記燃料電池101を組み込んだ電源システムの一例を図15に示す。図15で101は燃料電池、110は電気二重層コンデンサ、111はDC/DCコンバータ、112は負荷遮断スイッチ113のON、OFFを制御する判別制御手段である。この図では電気二重層コンデンサを二直列にしている。燃料電池101で発生する電気を電気二重層コンデンサ110に一時蓄える。判別制御手段112が電気二重層コンデンサ内の電気量を測定し、規定量の電気が蓄えられると負荷遮断スイッチ113をONにして、DC/DCコンバータで所定の電圧に昇圧した電気を電子機器に供給する。
(3)携帯用情報端末の製造
前記(2)の燃料電池電源システムを携帯用情報端末に実装した例を図16に示す。この携帯用情報端末は、タッチパネル式入力装置が一体化された表示装置201とアンテナ203を内蔵した部分と燃料電池101、プロセッサ、揮発及び不揮発メモリ、電力制御部、燃料電池及び二次電池ハイブリッド制御、燃料モニタなどの電子機器及び電子回路などを実装したメインボード202、リチウムイオン二次電池206を搭載する部分が燃料カートリッジ102のホルダーをかねたカートリッジホルダー付ヒンジ204で連結された折たたみ式の構造をとっている。
電源実装部は、隔壁205によって区分され、下部にメインボード202及びリチウムイオン二次電池206が収納されて、上部に燃料電池電源システムが配置されている。筐体の上及び側壁部には空気及び電池排ガス拡散のためのスリット122cが設けられ、筐体内のスリット122cの表面には空気フィルタ207が、隔壁面には吸水性速乾材料208が設けられている。空気フィルタは気体の拡散性が高く、粉塵などの進入を防ぐ材料であれば特に限定は無いが、合成樹脂の単糸をメッシュ状、または、織布のものは目詰まりを起こすことなく好適である。本実施例においては、撥水生の高いポリテトラフルオロエチレン単糸メッシュを用いる。この携帯用情報端末は2,000時間以上安定に稼動した。
本発明にかかる膜電極接合体を用いた直接型メタノール燃料電池電源システムは小型軽量化、低コスト化で長時間使用でき、燃料の補給によって連続使用できる。そのため、携帯電話器、携帯用パーソナルコンピュータ、携帯用オーデイオ、ビジュアル機器、その他の携帯用情報端末に付設するバッテリーチャージャーとして有用である、或いは二次電池を搭載することなく直接内蔵電源とすることが可能である。また、本発明による膜電極接合体を用いた水素を燃料とした高分子形燃料電池は小型軽量化、低コスト化で長時間使用が可能なため、家庭用及び業務用コジェネレーション分散電源、移動体用電池電源、モバイル用電池電源として有用である。
本発明による高分子電解質は、メタノール等の液体や水素等の気体を燃料とする燃料電池のほか、水電解、ハロゲン化水素酸電解、食塩電解、酸素濃縮器、湿度センサ、ガスセンサ等に用いることができる。
イオン伝導率測定配置を示す図。 本発明の実施例に関わる固体高分子形燃料電池発電装置単電池セルを示す側面断面図。 本発明の実施例に関わる膜電極接合体を示す断面図。 本発明の実施例1に関わる固体高分子形燃料電池発電装置単電池セルの発電性能を示すグラフ。 本発明の実施例2に関わる固体高分子形燃料電池発電装置単電池セルの発電性能を示すグラフ。 本発明の実施例3に関わる固体高分子形燃料電池発電装置単電池セルの発電性能を示すグラフ。 比較例1に関わる固体高分子形燃料電池発電装置単電池セルの発電性能を示すグラフ。 本発明の実施例4に関わる固体高分子形燃料電池発電装置単電池セルの発電性能を示すグラフ。 本発明の実施例5に関わる固体高分子形燃料電池発電装置単電池セルの発電性能を示すグラフ。 本発明の実施例6に関わる固体高分子形燃料電池発電装置単電池セルの発電性能を示すグラフ。 本発明の実施例7に関わる固体高分子形燃料電池発電装置単電池セルの発電性能を示すグラフ。 本発明の実施例8に関わる固体高分子形燃料電池発電装置単電池セルの発電性能を示すグラフ。 本発明の実施例に関わる固体高分子形燃料電池発電装置単電池セルを示す展開斜視図。 本発明の実施例に関わる単位燃料電池を示す展開斜視図。 本発明の実施例による膜電極接合体を使用した燃料電池を搭載した燃料電池電源システムを示す線図。 本発明の実施例による膜電極接合体を使用した燃料電池を使った燃料電池電源システムを搭載した携帯情報端末を表す断面図。
符号の説明
1…高分子電解質膜、2…アノ−ド電極、3…カソード電極、4…アノード拡散層、5…カソ−ド拡散層、6…アノード集電体、7…カソード集電体、8…燃料、9…空気、10…アノード端子、11…カソード端子、12…アノード端板、13…カソード端板、14…ガスケット、15…O−リング、16…ボルト/ナット、17…セパレータの燃料導路、18…セパレータの空気導路、19…水素+水、20…水素、21…水、22…空気、23…空気+水、101…燃料電池、102…燃料カートリッジ、103…カソード端板、104…カソード集電体、105…拡散層付MEA搭載部、106…パッキング、107…アノード端板、108…燃料タンク部、109…アノード端板、110…電気二重層コンデンサ、111…DC/DCコンバータ、112…判別制御手段、113…負荷遮断スイッチ、122c…スリット、201…表示装置、202…メインボード、203…アンテナ、204…カートリッジホルダー付ヒンジ、205…隔壁、206…リチウムイオン電池、207…空気フィルタ、208…吸水性速乾材料、210…筐体。

Claims (17)

  1. 下記式1及び/又は式2の構造単位を有することを特徴とする炭化水素系高分子電解質。
    Figure 2008218327
    (ここで、Ar、Arは、芳香族単位を示し、置換基を有しても良く、ヘテロ環系芳香族単位でもよい。これら芳香族単位は、単環系単位、縮合環系単位、それらの芳香族単位が2個以上結合して繋がった多環系芳香族単位でも良い。また、芳香族単位におけるNおよびXの位置はベンザゾール環を形成するものとする。XはO、S、NHいずれかを表わす。AはO又はSを表わし、AはF又はHを表わし、nは1〜12を表わし、mは1〜4を表わす)
  2. 前記炭化水素系高分子電解質の主鎖にホスホン酸基、ホスホアルキル基、ホスホアルキルエーテル基及びホスホアルキルチオエーテル基からなる群から選ばれた基を有する請求項1記載の炭化水素系高分子電解質。
  3. 前記炭化水素系高分子電解質の主鎖に可撓性基を有する請求項1又は2記載の炭化水素系高分子電解質。
  4. 前記式1及び又は式2の構造単位が、下記式3及び又は式4の構造単位(ここで、XはO、S、NHのいずれかを表わし、Y、Zはそれぞれ独立にN又はCHのいずれかを表わし、Aは芳香族環のCに直接接合、又はO、Sによる結合を表わし、AはF又はHを表わし、Cは炭素を表わし、nは1〜12を表わし、mは1〜4を表わす)である請求項1ないし3のいずれかに記載の炭化水素系高分子電解質。
    Figure 2008218327
  5. イオン伝導度が0.07S/cm以上で、60℃の温度で30%の過酸化水素水20mLに硫酸鉄7水和物1.9mgを加えたフェントン試薬に24時間浸漬しても引張強度が初期の75%以上を保持している請求項1ないし4のいずれかに記載の炭化水素系高分子電解質。
  6. イオン交換容量が0.5〜2.5ミリ当量/gである請求項1ないし5のいずれかに記載の炭化水素系高分子電解質。
  7. 下記式5又は式6で表される芳香族ジアミン誘導体及びその塩酸塩等からなる群から選択される少なくとも1種と、下記式7で表される芳香族ジカルボン酸誘導体の少なくとも1種と反応させることによって得られた重合体と、式5又は式6で表される芳香族ジアミン誘導体及びその塩酸塩からなる群から選択される少なくとも1種と、式8で表される芳香族ジカルボン酸誘導体の少なくとも1種と反応させて得られた重合体をブロック重合させて得られたことを特徴とする炭化水素系高分子電解質。
    Figure 2008218327
    (XはO、S、NHのいずれかを表し、Arは炭素数0〜4の4価の芳香族基を表わし、Arは炭素数6〜20の芳香族基、Aは直接接合、O又はSを表わし、AはF又はHを表わし、nは1〜12を表わし、mは1〜4を表わす)
  8. イミダゾール環の窒素原子にアルキル基、スルホアルキル基又はホスホアルキル基が導入されている請求項1ないし7のいずれかに記載の炭化水素系高分子電解質。
  9. 前記高分子電解質の主鎖の芳香環にスルホン酸基又はスルホアルキル基を導入した請求項1ないし8のいずれかに記載の炭化水素系高分子電解質。
  10. 前記高分子電解質の主鎖に可撓性成分を導入した請求項1ないし9のいずれかに記載の炭化水素系高分子電解質。
  11. 請求項1ないし10のいずれかに記載の炭化水素系高分子電解質を成膜してなる炭化水素系高分子電解質膜。
  12. 高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜を挟むカソード電極及びアノード電極とを有し、前記カソード電極及びアノード電極が、カーボンブラックに担持された電極触媒と高分子電解質を含む膜電極接合体において、前記高分子電解質膜が下記式1及び/又は式2の構造単位を有する炭化水素系高分子電解質であることを特徴とする膜電極接合体。
    Figure 2008218327
    (ここで、Ar、Arは、芳香族単位を示し、置換基を有しても良く、ヘテロ環系芳香族単位でもよい。これら芳香族単位は、単環系単位、縮合環系単位、それらの芳香族単位が2個以上結合して繋がった多環系芳香族単位でも良い。また、芳香族単位におけるNおよびXの位置はベンザゾール環を形成するものとする。XはO、S、NHいずれかを表わす。AはO又はSを表わし、AはF又はHを表わし、nは1〜12を表わし、mは1〜4を表わす)
  13. 前記式1及び又は式2の構造単位が、下記式3及び又は式4の構造単位(ここで、XはO、S、NHのいずれかを表わし、Y、Zはそれぞれ独立にN又はCHのいずれかを表わし、Aは芳香族環のCに直接接合、又はO、Sによる結合を表わし、AはF又はHを表わし、Cは炭素を表わし、nは1〜12を表わし、mは1〜4を表わす)である請求項12に記載の膜電極接合体。
    Figure 2008218327
  14. 前記高分子電解質が、下記式5又は式6で表される芳香族ジアミン誘導体及びその塩酸塩等からなる群から選択される少なくとも1種と、下記式7で表される芳香族ジカルボン酸誘導体の少なくとも1種と反応させることによって得られた重合体と、式5又は式6で表される芳香族ジアミン誘導体及びその塩酸塩からなる群から選択される少なくとも1種と、式8で表される芳香族ジカルボン酸誘導体の少なくとも1種と反応させて得られた重合体をブロック重合させて得られる請求項12記載の膜電極接合体。
    Figure 2008218327
    (XはO、S、NHのいずれかを表し、Arは炭素数0〜4の4価の芳香族基を表わし、Arは炭素数6〜20の芳香族基、Aは直接接合、O又はSを表わし、AはF又はHを表わし、nは1〜12を表わし、mは1〜4を表わす)
  15. 請求項12ないし14のいずれかに記載の膜電極接合体を組み込んだことを特徴とする燃料電池。
  16. 請求項15に記載の燃料電池を組み込んだことを特徴とする燃料電池電源システム。
  17. 請求項16の燃料電池電源システムを組み込んだことを特徴とする電子機器。
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