JP2008106176A - 粘着組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(I)アクリル系ブロック共重合体と、(II)アクリル重合体とを含む粘着組成物であって、(I)共重合体は、メタクリル酸誘導体に由来する重合体ブロック(A)及びアクリル酸誘導体に由来する重合体ブロック(B1)を含有するブロック共重合体であり、(II)重合体は、アクリル酸誘導体に由来する重合体(B2)を含み、重量平均分子量が1000〜10000の低分子量重合体であり、(I)共重合体と(II)重合体の合計を100重量部として、(I)共重合体の重量が70重量部以下である粘着組成物である。該粘着組成物は、ホットメルト型粘着剤として好適に用いられる。
【選択図】なし
Description
(I)アクリル系ブロック共重合体と、(II)アクリル重合体とを含む粘着組成物であって、
(I)アクリル系ブロック共重合体は、メタクリル酸誘導体に由来する重合体ブロック(A)及びアクリル酸誘導体に由来する重合体ブロック(B1)を含有するブロック共重合体であり、
(II)アクリル重合体は、アクリル酸誘導体に由来する重合体(B2)を含み、重量平均分子量が1000〜10000の低分子量重合体であり、
(I)アクリル系ブロック共重合体と(II)アクリル重合体の合計を100重量部として、(I)アクリル系ブロック共重合体の重量が70重量部以下である粘着組成物を提供する。
本発明に係る粘着組成物は、ホットメルト型粘着剤として好適に用いることができる。
(I)アクリル系ブロック共重合体は、式(1):
A−B1−A (1)
で示されるトリブロック共重合体を含んで成る粘着組成物を提供する。
更に本発明の他の態様において、
(I)アクリル系ブロック共重合体は、重量平均分子量が10000〜200000である粘着組成物を提供する。
重合体ブロック(B1)を得るために使用されるアクリル酸誘導体は、式(2):
CH2=CH−COO−R1
[ただし、R1の有する炭素原子数は1〜12である]
で示される化合物であり、
重合体(B2)を得るために使用されるアクリル酸誘導体は、式(3):
CH2=CH−COO−R2
[ただし、R2の有する炭素原子数は1〜8である)]
で示される化合物である粘着組成物を提供する。
更に、本発明の他の要旨において、本発明に係る粘着組成物が塗工された粘着製品を提供する。
また、本明細書において、「ホットメルト型粘着剤」とは、ホットメルトタイプの粘着剤をいい、一般的には、熱可塑性の粘着剤であって、加熱することで溶融する粘着剤をいう。
更に本発明において、「粘着製品」とは、一般に粘着製品とされるものをいうが、そのようなものとして、例えば医療用テープ、工業用テープ、カイロ、貼布剤、シート、シール、ラベル、ネームプレート及び再閉鎖可能なファスナー等を例示できる。
(I)アクリル系ブロック共重合体と、(II)アクリル重合体とを含む粘着組成物であって、
(I)アクリル系ブロック共重合体は、メタクリル酸誘導体に由来する重合体ブロック(A)及びアクリル酸誘導体に由来する重合体ブロック(B1)を含有するブロック共重合体であり、
(II)アクリル重合体は、アクリル酸誘導体に由来する重合体(B2)を含み、重量平均分子量が1000〜10000の低分子量重合体であり、
(I)アクリル系ブロック共重合体と(II)アクリル重合体の合計を100重量部として、(I)アクリル系ブロック共重合体の重量が70重量部以下であるから、
塗工性が良く、低温でも粘着性に優れ、被着体に粘着層を残さないで界面剥離でき、更にマイグレーションがない粘着組成物を提供することができる。
A−B1−A (1)
で示されるトリブロック共重合体を含んで成る場合、
粘着組成物のゴム弾性がより良好となり、粘着組成物が凝集破壊する可能性をより減ずることができる。
CH2=CH−COO−R1
[ただし、R1の有する炭素原子数は1〜12である]
で示される化合物であり、
重合体(B2)を得るために使用されるアクリル酸誘導体は、式(3):
CH2=CH−COO−R2
[ただし、R2の有する炭素原子数は1〜8である)]
で示される化合物である場合、
成分(I)と(II)の相溶性がより向上し、粘着組成物の塗工性も向上し得る。
本発明に係る粘着組成物が塗工された粘着製品は、低温でも粘着性に優れ、被着体に粘着層を残さないで界面剥離でき、更にマイグレーションがないという特徴を有する。
ここで、「メタクリル酸誘導体」とは、メタクリル酸及びメタクリル酸エステルから選択される少なくとも一種をいう。「メタクリル酸エステル」とは、式(4):
CH2=C(CH3)−COO−R3
[ただし、R3の有する炭素原子数は1〜10であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜6であることが特に好ましい。R3は、分枝を有してよく、更に、酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子に割り込まれていてもよい。]
で示される化合物をいう。
メタクリル酸誘導体は、メタクリル酸エステルであることが好ましく、メタクリル酸アルキルエステルであることがより好ましい。
メタクリル酸;
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、s−ブチルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステル。
これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、メチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートが好ましく、特にメチルメタクリレートが望ましい。
ここで、「アクリル酸誘導体」とは、アクリル酸及びアクリル酸エステルから選択される少なくとも一種をいう。「アクリル酸エステル」とは、式(2):
CH2=CH−COO−R1
[ただし、R1の有する炭素原子数は1〜12であることが好ましく、2〜10であることがより好ましく、4〜8であることが特に好ましい。R1は、分枝を有してよく、更に、酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子に割り込まれていてもよい。]
で示される化合物をいう。
アクリル酸誘導体は、アクリル酸エステルであることが好ましく、アクリル酸アルキルエステルであることがより好ましい。
アクリル酸;
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、s−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、i−オクチルアクリレート、デシルメチルアクリレート、ステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリレート、トリフルオロメチルアクリレート、トリメトキシシリルプロピルアクリレート、ドデシルアクリレート、トリデシルアクリレート等のアクリル酸エステル。
これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(II)アクリル重合体は、他の重合部分、重合単位等を含んで成ってよく、特に制限されるものではないが、他の重合体ブロック、重合部分、重合単位等を含まない方が好ましい。尚、(II)アクリル重合体は、メタクリル誘導体に由来する重合体ブロック(A)を含まないので、(I)アクリル系ブロック共重合体に含まれない。
CH2=CH(CH3)−COO−R2
[ただし、R2の有する炭素原子数は1〜8であることが好ましく、2〜8であることがより好ましく、4〜8であることが特に好ましい。R2は、分枝を有してよく、更に、酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子に割り込まれていてもよい。]
で示される化合物をいう。
アクリル酸誘導体は、アクリル酸エステルであることが好ましく、アクリル酸アルキルエステルであることがより好ましく、n−ブチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレートであることが最も好ましい。
テトラヒドロフランおよびジオキサン等の環状エーテル類;
ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素化合物;
酢酸エチルおよび酢酸ブチル等のエステル類;
アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノン等のケトン類;
メタノール、エタノールおよびイソプロパノール等のアルコール類等。
これら具体例の中から、1種を又は2種以上の組み合わせを用いることができる。
本発明における(II)アクリル重合体のガラス転移温度は10℃以下であり、好ましくは0℃以下、さらに好ましくは−10℃以下である。ガラス転移温度が10℃より高いと、低温における作業性が悪くなる。
単量体の具体例としては、
メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド等のメタクリルアミド類;
アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等のアクリルアミド類;
クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基を有するビニル系モノマー;
スチレン、−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル系モノマー;
ブタジエン、イソプレン等の共役ジエンモノマー;
エチレン、プロピレン等のオレフィン;
ε−カプロラクトン、バレロラクトン等のモノマーに由来する構造単位等が挙げられる。
粘着付与剤としては、炭化水素樹脂、合成ポリテルペン、ロジンエステル、天然テルペン等が挙げられる。さらに詳細な具体例を以下に挙げる。
任意の相溶性樹脂またはそれらの混合物、例えば、天然ロジンおよび変性ロジン、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、蒸留ロジン、水素化ロジン、二量化ロジンおよび重合ロジン;
天然および変性ロジンのグリセロールおよびペンタエリトリトールエステル、例えば、淡色ウッドロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのペンタエリトリトールエステルおよびロジンのフェノール変性ペンタエリトリトールエステル;
天然テルペンのコポリマーおよびターポリマー、例えば、スチレン/テルペンおよびα−メチルスチレン/テルペン;
ASTM法E28−58Tによる測定で、約80℃〜150℃の軟化点を有するポリテルペン樹脂;
フェノール変性テルペン樹脂およびそれらの水素化誘導体、例えば、二環式テルペンおよびフェノールの、酸性媒質中の、縮合反応から生ずる樹脂生成物;
約70℃〜135℃の環球軟化点を有する脂肪族石油炭化水素樹脂;
芳香族石油炭化水素樹脂およびそれらの水素化誘導体;
並びに脂環族石油炭化水素樹脂およびそれらの水素化誘導体;
環式または非環式C5樹脂および芳香族変性非環式または環式樹脂も包含される。
これら粘着付与樹脂は、単独で用いられても良いし、2種以上が混合されても良い。
安定剤または酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール単独物、または一次酸化防止剤と二次酸化防止剤との混合物がある。一次酸化防止剤としてはヒンダードフェノールが挙げられ、二次酸化防止剤としてはジステアリルチオジプロピオネート(「DSTDP」)、ジラウリルチオジプロピオネート(「DLTDP」)が例示される。
本発明に係る粘着組成物から製造される粘着製品としては、医療用テープ、工業用テープ、シート、カイロ、貼布剤、シール、ラベル、ネームプレート、再閉鎖可能なファスナーを例示できる。
粘着製品の一態様である「医療用テープ」とは、薬剤を含有する経皮吸収品、薬剤を含有しない単なるテープの双方を含む。この場合、粘着製品が貼り付けられる被着体は、人肌となる。
粘着製品が「カイロ」の場合、基材はポリエステル等のフィルムや不織布であり、被着体は、綿、毛、シルク、レーヨン、ポリエステル等を素材とする衣類となる。
粘着製品が「ラベル」の場合、被着体は、瓶(ガラス)、缶(金属)、プラスチックとなり、ラベルはこれらの被着体に貼り付けられて飲料用途に適用され得る。
このように、本発明に係る粘着製品には種々の態様があるが、いずれも被着体から剥離させたとき、粘着層が被着体に残らず、界面剥離するように、設計される。
本発明の粘着組成物は、好ましくはホットメルト型であり、この場合、(I)アクリル系ブロック共重合体及び(II)アクリル重合体成分、必要に応じて、更に粘着付与剤及び酸化防止剤等を配合し、加熱溶融して混合することで製造される。具体的には、上記成分を攪拌機付きの溶融混合釜に投入し、加熱混合することで製造することができる。
(1)以下に記載した方法で粘着組成物を製造した。詳細を以下に示す。
成分(I)アクリル系ブロック共重合体として、(ポリメチルメタクリレート(A)−ポリn−ブチルアクリレート(B1)−ポリメチルメタクリレート(A))で表されるトリブロック共重合体[クラレ社製の商品名「LA2140e」(重合平均分子量Mw=約80000、重合ブロック(B1)を得るために使用されるアクリル酸誘導体は、式(2)のR1の炭素数が4であるブチルアクリレート)](以下、「(I)−1」ともいう)と、成分(II)アクリル重合体として、(ポリn−ブチルアクリレート(B2))で表されるアクリル重合体[東亜合成社製の商品名「ARUFON UP」(重合平均分子量Mw=約2000、重合体(B2)を得るために使用されるアクリル酸誘導体は、式(3)のR2の炭素数が4のブチルアクリレート)](以下、「(II)−1」ともいう)を下記の表1に示す配合割合で配合し、さらに粘着付与剤として、フェノール変性テルペン樹脂[ヤスハラケミカル社製の商品名「YSポリスター TH130」](以下、「(TA)−1」ともいう)9.1重量部及びロジンエステル[荒川化学社製商品名「スーパーエステル A−75」](以下、「(TA)−2」ともいう)25.9重量部(従って、粘着付与樹脂は、総重量が35重量部)と、酸化防止剤として、一次酸化防止剤であるヒンダードフェノール[エーピーアイコーポレーション社製商品名「トミノックス TT」](以下、「(AN)−1」ともいう)0.2重量部及び硫黄系二次酸化防止剤[住友化学工業社製「スミライザー TPS」](以下、「(AN)−2」ともいう)0.2重量部(従って、酸化防止剤は、総重量が0.4重量部)を配合して、約150℃で約3時間かけて万能攪拌機を用いて溶融混合し、粘着組成物を調製した。
アクリル系ブロック共重合体(I)−1とアクリル重合体(II)−1の配合割合を下記の表1及び2に示す重量部に変えて、実施例1と同様にして粘着組成物を調製した。
〈実施例6〉
実施例1に記載のアクリル重合体成分(II)−1を、(ポリn−ブチルアクリレート(B2))で表されるアクリル重合体[東亜合成社製商品名「ARUFON UP」(重合平均分子量Mw=約3000、(B2)を得るために使用されるアクリル酸誘導体は、式(3)のR2の炭素数が4のブチルアクリレート)](以下、「(II)−2」ともいう)に変更し、また、(I)−1と(II)−2の配合割合を下記の表1に示す重量部で、実施例1と同様にして粘着組成物を調製した。
〈実施例7〉
実施例1に記載のアクリル重合体成分(II)−1を、(ポリ2−エチルヘキシルアクリレート(B2))で表されるアクリル重合体[綜研化学社製商品名「アクトフロー UT」(重合平均分子量Mw=約3500、重合体(B2)を得るために使用されるアクリル酸誘導体は、式(3)のR2の炭素数が8の2−エチルヘキシルアクリレート)](以下、「(II)−3」ともいう)に変更し、また、(I)−1と(II)−3の配合割合を下記の表1に示す重量部で、実施例1と同様にして粘着組成物を調製した。
実施例1に記載のアクリル系ブロック共重合体成分(I)−1を、(ポリメチルメタクリレート(A)/ポリn-ブチルアクリレート(B1))で表されるアクリル系ランダム共重合体[三菱レーヨン社製商品名「Dianal BR106」](以下、「(I)’−1」ともいう)に変更し、また、(I)’−1と(II)−1の配合割合を下記の表2に示す重量部で、実施例1と同様にして粘着組成物を調製した。
〈比較例3〉
実施例1に記載のアクリル重合体成分(II)−1を、(ポリメチルアクリレート)で表されるアクリル重合体[綜研化学社製 「アクトフロー UMM」(重量平均分子量Mw=約950)](以下、「(II)’−1」ともいう)に変えて、また、(I)−1と(II)’−1の配合割合を下記の表2に示す重量部で、実施例1と同様にして粘着組成物を調製した。
実施例1に記載のアクリル重合体成分(II)−1を、(ポリn−ブチルアクリレート)で表されるアクリル重合体[東亜合成社製商品名「ARUFON UH」(重量平均分子量Mw=約11000)](以下、「(II)’−2」ともいう)に変えて、また、(I)−1と(II)’−2の配合割合を下記の表2に示す重量部で、実施例1と同様にして粘着組成物を調製した。
〈比較例6〉
実施例1に記載のアクリル重合体成分(II)−1を、アジピン酸系可塑剤[和光純薬工業製アジピン酸ジオクチル](以下、「(II)’−3」ともいう)に変えて、また、(I)−1と(II)’−3の配合割合を下記の表2に示す重量部で、実施例1と同様にして粘着組成物を調製した。
溶融粘度は粘着組成物を加熱溶融し、160℃において溶融状態の粘着組成物の粘度を、ブルックフィールドRVT型粘度計(スピンドルNo.27)を用いて測定した。
また、160℃における溶融粘度に基づいて塗工適性を評価した。塗工適性の評価は、下記の通りである。
「500〜7000mPa・s」 (◎)
「100〜500mPa・s」 (○)
「100mPa・sより低い」又は「7000〜20000mPa・s」 (△)
「20000mPa・sより高い」 (×)
適度な溶融粘度を有することは、塗工性が良好であるとの目安となる。
厚さが50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに20μmの厚さとなるように粘着組成物を塗布した。塗布したPETフィルムを25mm幅に切断して試験体とした。試験体を各被着体(ステンレス板、標準ダンボール、ポリエチレン板、ポリスチレン板)に20℃の雰囲気下、2kgローラーを用いて貼り合せた後、各測定温度(0℃又は20℃)雰囲気下で2時間養生した。その後、300mm/minの速度で剥離したときの強度を測定した。
また、剥離後の被着体の剥離状態を目視で観察した。剥離状態の評価は以下の通りである。
「界面剥離」 (◎)
「一部ジッピング」又は「一部凝集破壊」 (○)
「ジッピング」、「層間剥離」又は「凝集破壊」 (×)
「養生中被着体から剥がれたため測定不可」 (−)
「界面剥離」とは、被着体に対する粘着剤の付着が無いことを意味する。本発明において、剥離性が良好であるとは、界面剥離を生じさせることとしている。即ち、被着体から界面剥離を促す粘着組成物は、性能が良好であることを意味する。
「一部ジッピング」又は「一部凝集破壊」とは、全体的には界面剥離であるが、貼り合せ面積の5%以下でジッピング又は凝集破壊があることを意味する。
「ジッピング」とは、剥離速度にムラがあり、剥離強度が小刻みに変動することを意味する。
「層間剥離」とは、基材(ポリエスエルフィルム)上の粘着剤が被着体側へ転写されることを意味する。
「凝集破壊」とは、基材(ポリエステルフィルム)上と被着体の両方に粘着剤が付着することを意味する。
「マイグレーションがない」 (○)
「マイグレーションがある」 (×)
「マイグレーション」とは、粘着組成物に配合された可塑剤、酸化防止剤等が被着体表面に移行することを意味する。マイグレーションがないことは、被着体に対し良好な粘着組成物であるとの目安となる。
実施例、比較例の粘着組成物について上記評価を行い、その結果を表1〜3に示した。
また、表1の結果(特に実施例4〜7の結果)から、本発明の粘着組成物において、成分(I)アクリル系ブロック共重合体を50重量部以上含んで成る場合、実施例3よりも標準ダンボールに対する剥離が、より界面剥離であり、剥離について、更に優れることがわかる。
さらに、実施例5及び7の結果を比較すると、成分(I)アクリル系ブロック共重合体に含有される重合体ブロック(B1)と成分(II)アクリル重合体に含有される重合体(B2)の関係が、(B1)=(B2)である実施例5の方が、(B1)≠(B2)である実施例7より、ポリエチレン板及びポリスチレン板に対する剥離について優れることがわかる。
比較例5は、成分(I)の含有量が多く、成分(II)の含有量が低く、溶融粘度が高いので、塗工適性が低下している。
また、上記の表3の比較例6は特許文献4に記載された発明に対応するものであるが、被着体(標準ダンボール)に対するマイグレーション性に問題があり、粘着組成物のしみだしなどを引き起こすと考えられる。
Claims (7)
- (I)アクリル系ブロック共重合体と、(II)アクリル重合体とを含む粘着組成物であって、
(I)アクリル系ブロック共重合体は、メタクリル酸誘導体に由来する重合体ブロック(A)及びアクリル酸誘導体に由来する重合体ブロック(B1)を含有するブロック共重合体であり、
(II)アクリル重合体は、アクリル酸誘導体に由来する重合体(B2)を含み、重量平均分子量が1000〜10000の低分子量重合体であり、
(I)アクリル系ブロック共重合体と(II)アクリル重合体の合計を100重量部として、(I)アクリル系ブロック共重合体の重量が70重量部以下である粘着組成物。 - (I)アクリル系ブロック共重合体は、式(1):
A−B1−A (1)
で示されるトリブロック共重合体を含んで成る請求項1に記載の粘着組成物。 - (I)アクリル系ブロック共重合体は、重量平均分子量が10000〜200000である請求項1又は2に記載の粘着組成物。
- 重合体ブロック(B1)を得るために使用されるアクリル酸誘導体は、式(2):
CH2=CH−COO−R1
[ただし、R1の有する炭素原子数は1〜12である]
で示される化合物であり、
重合体(B2)を得るために使用されるアクリル酸誘導体は、式(3):
CH2=CH−COO−R2
[ただし、R2の有する炭素原子数は1〜8である)]
で示される化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の粘着組成物。 - ホットメルト型粘着剤として用いられる請求項1〜4のいずれかに記載の粘着組成物。
- 粘着組成物全体の重量の合計を100重量%として、20.0〜80.0重量%の(II)アクリル重合体を含む請求項1〜5のいずれかに記載の粘着組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載された粘着組成物が塗工された粘着製品。
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