JP2008064112A - 可変動弁装置 - Google Patents

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Manabu Tateno
学 立野
Shuichi Ezaki
修一 江▲崎▼
Toshiaki Asada
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Abstract

【課題】可変動弁装置に関し、駆動力の伝達時の摩擦を抑制でき、且つ、コンパクトな構成で高い耐久性を確保できるようにする。
【解決手段】カム軸120の駆動カム面124に接触する第1ローラ170の径を、揺動部材150のスライド面156に接触する第2ローラ172の径よりも大径にする。第1ローラ170と第2ローラ172とは連結軸174によって独立回転可能に連結する。また、スライド面156は、揺動部材150の揺動中心からの距離が大きくなるほどカム軸120の中心からの距離が大きくなるように駆動カム側に湾曲して形成する。バルブ104をリフト方向に押圧する揺動カム面152a,152bには、揺動部材150の揺動中心からの距離が一定の非作用面152aと、先端に向けて揺動部材150の揺動中心からの距離が次第に大きくなる作用面152bとを形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の可変動弁装置に関し、詳しくは、バルブの開弁特性を機械的に変更可能な可変動弁装置に関する。
従来、例えば、特許文献1に開示されるように、エンジンの運転状況に応じてバルブのリフト量やバルブタイミングを機械的に変更する可変動弁装置が知られている。特許文献1に記載される可変動弁装置では、カム軸と平行に設けられた制御軸にガイドアームが固定され、このガイドアームにフォロワの一方の端部が揺動自在に取り付けられている。また、制御軸には揺動カムが揺動自在に取り付けられ、その揺動カム面にロッカーアームが押し当てられている。フォロワには互いに独立回転可能な第1ローラと第2ローラとが同心に取り付けられており、第1ローラはカム軸の弁カムに当接し、第2ローラは揺動カムの揺動カム面とは逆側に形成された当接面に当接している。
このような構成によれば、制御軸の回転によりガイドアームの回転位置が変更されることで、フォロワが変位して制御軸から揺動カムと第2ローラとの当接箇所までの距離が変化し、これによりバルブのリフト量が変更される。また、カム軸の同じ回転角度位置において第1ローラと当接する弁カムの周方向位置が変化することにより、同時にバルブタイミングも変更される。つまり、特許文献1に記載される可変動弁装置によれば、モータにより制御軸の回転角を制御することで、バルブのリフト量とバルブタイミングを同時に変更することができる。
特開2003−239712号公報 特開2002−371819号公報 特開2004−108302号公報 特開平7−63023号公報 特開2002−371816号公報
特許文献1に記載された可変動弁装置では、弁カムから第1ローラ、第2ローラを介して揺動カムに駆動力が伝達される。このように、弁カムに接触する部材と揺動カムに接触する部材とを別部材とし、共にローラを用いることで、駆動力の伝達時の摩擦を低減することができ、内燃機関の燃費を向上させることができる。
しかし、ローラを駆動力の伝達部材として用いる場合、ローラと相手部材との間に発生する接触面圧(ヘルツ応力)に注意する必要がある。特許文献1に記載された可変動弁装置では、弁カムによる駆動時、バルブスプリングやロストモーションスプリングからの反力によって、弁カムと第1ローラとの接触部や第2ローラと揺動カムとの接触部には高い接触面圧が作用する。このため、各部材の材質や形状によっては、十分な耐久性を確保できないおそれがある。接触面圧を低減する最も簡単な方法としては各ローラの径を拡大することが考えられるが、ローラの径を拡大すると、その分、弁カムと揺動カムとの距離をとる必要が生じるために可変動弁装置全体が大型化してしまう。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、駆動力の伝達時の摩擦を抑制でき、且つ、コンパクトな構成で高い耐久性を確保できるようにした可変動弁装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記目的を達成するため、カム軸の回転に対するバルブの開弁特性を機械的に変化させる可変動弁装置であって、
前記カム軸に設けられた駆動カムと、
位置を固定された軸を中心として揺動する揺動部材と、
前記揺動部材に形成され、前記バルブを支持するバルブ支持部材に接触して前記バルブをリフト方向に押圧する揺動カム面と、
前記揺動部材に前記駆動カムと対向して形成されたスライド面と、
前記駆動カムと前記揺動部材との間に配置され、前記駆動カムのカム面と前記スライド面の双方に接触する中間部材と、
前記カム軸と平行に設けられ、回転角度を連続的に或いは多段階に変更可能な制御軸と、
前記制御軸の回転に連動させて前記中間部材の位置を変化させる連動機構とを備え、
前記中間部材は、前記駆動カムのカム面に接触する大径の第1ローラ、前記第1ローラと同心に配置されて前記スライド面に接触する小径の第2ローラ、及び前記第1ローラと前記第2ローラとを独立回転可能に連結する連結軸とを含み、
前記揺動カム面は、前記揺動部材の揺動中心からの距離を一定に形成された非作用面と、前記非作用面と連続して設けられ先端に向けて前記揺動部材の揺動中心からの距離が次第に大きくなるように形成された作用面とを有し、
前記スライド面は、前記揺動部材の揺動中心からの距離が大きくなるほど前記カム軸の中心からの距離が大きくなるように前記駆動カム側に湾曲して形成されていることを特徴としている。
また、第2の発明は、上記第1の発明において、1つの前記第1ローラの両側に2つの前記第2ローラが配置され、2つの前記第2ローラのそれぞれが前記スライド面に接触して前記スライド面に駆動力を入力していることを特徴としている。
また、第3の発明は、上記第2の発明において、2つの前記第2ローラのそれぞれに対応して前記揺動部材が設けられ、2つの前記揺動部材のそれぞれに対応して前記バルブが設けられていることを特徴としている。
また、第4の発明は、上記第1の発明において、2つの前記第1ローラの間に1つの前記第2ローラが配置され、2つの前記第1ローラのそれぞれが前記駆動カムのカム面に接触して前記駆動カムから駆動力の入力を受けていることを特徴としている。
また、第5の発明は、上記第1乃至第4の何れか1つの発明において、前記バルブ支持部材は一方の端部で前記バルブを支持しており、他方の端部をラッシャアジャスタによって回動可能に支持されていることを特徴としている。
第1の発明においてカム軸が回転すると、その回転運動は駆動カムから第1ローラに伝達され、第1ローラと同軸に配置された第2ローラを介して揺動部材のスライド面に伝達される。このとき、第1ローラと駆動カムのカム面との間、及び、第2ローラとスライド面との間には接触面圧が発生するが、第1ローラと駆動カムのカム面との間の接触面圧は、第2ローラよりも大径のローラが第1ローラとして用いられることで低減される。第2ローラとスライド面との間の接触面圧は、スライド面が駆動カム面側に湾曲して形成されることで低減される。また、スライド面に接する第2ローラを第1ローラよりも小径とすることで、スライド面と駆動カムのカム面との距離の拡大が抑制される。したがって、第1の発明によれば、接触面圧の低減により高い耐久性を確保することができると同時に、可変動弁装置全体をコンパクトに構成することもできる。さらに、第1の発明によれば、揺動カム面の形状とスライド面の形状との関係によりバルブの最小リフト量と最大リフト量との差を大きくとることが可能であり、高出力化を図ることもできる。
第2の発明によれば、駆動カムから第1ローラに入力される駆動力と、揺動部材のスライド面から両側の第2ローラに入力される反力とが連結軸の中央において釣り合うので、連結軸の軸曲がりを抑制することができる。特に、第3の発明によれば、2つのバルブに均等に駆動力を伝達することができる。
第4の発明によれば、駆動カムのカム面から両側の第1ローラに入力される駆動力と、スライド面から中央の第2ローラに入力される反力とが連結軸の中央において釣り合うので、連結軸の軸曲がりを抑制することができる。
第5の発明によれば、揺動部材の揺動にあわせてラッシャアジャスタを支点としてバルブ支持部材を揺動させることができる。
以下、図1乃至図7を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
[本実施形態の可変動弁装置の構成]
図1は、本発明の実施の形態にかかる可変動弁装置100の構成を示す側面視図である。本可変動弁装置100はロッカーアーム方式の機械式動弁機構を有し、カム軸120の回転運動がカム軸120に設けられた駆動カム122によってロッカーアーム(バルブ支持部材)110の揺動運動に変換され、ロッカーアーム110に支持されるバルブ104の上下方向への往復運動に変換される。駆動カム122はプロフィールの異なる2つのカム面124a,124bを有している。一方のカム面である非作用面124aはカム軸120の中心からの距離を一定に形成されている。他方のカム面である作用面124bはカム軸120の中心からの距離が次第に大きくなり、頂部を越えた後に次第に小さくなるように形成されている。本明細書では、非作用面124aと作用面124bの双方を区別しないときには、単に駆動カム面124と表記する。
本可変動弁装置100では、駆動カム122によって直接、ロッカーアーム110を駆動するのではなく、駆動カム122とロッカーアーム110との間に、駆動カム122の回転運動にロッカーアーム110の揺動運動を連動させる可変機構130を介在させている。本可変動弁装置100は、この可変機構130を可変制御することで駆動カム122の回転運動とロッカーアーム110の揺動運動との連動状態を連続的に変化させることができ、これによりロッカーアーム110の揺動量や揺動タイミングを変化させて、バルブ104のリフト量やバルブタイミングを連続的に変更できるようになっている。
可変機構130は、以下に説明するように、制御軸132、揺動カムアーム(揺動部材)150、制御アーム(制御部材)160、制御リンク(リンク部材)164、第1ローラ170、第2ローラ172、及び、第1ローラ170と第2ローラ172を連結する連結軸174を主たる構成部材として構成されている。制御軸132は、カム軸120に平行な軸であって、ロッカーアーム110よりもカム軸120の回転方向の下流側にカム軸120に対する相対位置を固定して配置されている。制御軸132の外周面には制御軸132と同心の第1ギヤ134が配置され、制御軸132に固定されている。また、制御軸132には図示しないアクチュエータ(例えばモータ)が接続されており、内燃機関のECUはアクチュエータを制御することによって制御軸132の回転角度を任意の角度に調整することができる。
揺動カムアーム150は制御軸132に揺動可能に支持され、その先端を駆動カム122の回転方向の上流側に向けて配置されている。揺動カムアーム150の駆動カム122に対向する側には、後述する第2ローラ172に接触するスライド面156が形成されている。スライド面156は駆動カム面122側に緩やかに湾曲するとともに、揺動中心である制御軸132の中心から遠くなるほど駆動カム122のカム基礎円(非作用面124a)との距離が大きくなるように形成されている。
一方、揺動カムアーム150のスライド面156とは逆側の面には、揺動カム面152(152a,152b)が形成されている。揺動カム面152は揺動カムアーム150の揺動中心をカム中心とするカム面であり、プロフィールの異なる非作用面152aと作用面152bから構成されている。そのうち非作用面152aはカム基礎円の周面であり、制御軸132の中心からの距離を一定に形成されている。他方の面である作用面152bは非作用面152aから見て揺動カムアーム150の先端側に設けられ、非作用面152aに滑らかに連続するように接続されるとともに、揺動カムアーム150の先端に向けて制御軸132の中心からの距離(すなわち、カム高さ)が次第に大きくなるよう形成されている。本明細書では、非作用面152aと作用面152bの双方を区別しないときには、単に揺動カム面152と表記する。
本可変動弁装置100は、1つの駆動カム122によって2つのバルブ104を駆動する1カム2弁駆動構造を採用している。このため、揺動カムアーム150は、図3の正面視図(概略図)に示すように、駆動カム122の両側に一対配置されている。そして、揺動カムアーム150毎にロッカーアーム110が配置されている。揺動カムアーム150の揺動カム面152は、ロッカーアーム110のロッカーローラ112に接触している。ロッカーローラ112はロッカーアーム110の中間部に回転自在に取り付けられている。ロッカーアーム110の一端にはバルブ104を支持するバルブシャフト102が取り付けられ、ロッカーアーム110の他端は油圧ラッシャアジャスタ106によって回動自在に支持されている。バルブシャフト102は図示しないバルブスプリングによって、閉方向、すなわち、ロッカーアーム110を押し上げる方向に付勢されており、この付勢力と油圧ラッシャアジャスタ106によって揺動カム面152にロッカーローラ112が押し当てられている。
また、揺動カムアーム150には、図示しないロストモーションスプリングを掛けるためのバネ座面158が形成されている。バネ座面158は、非作用面152aに関し作用面156bとは逆側に形成されている。ロストモーションスプリングは圧縮バネであり、図示しない静止部材に他方の端部を固定されている。揺動カムアーム150は、ロストモーションスプリングからバネ座面158に作用するバネ力によってスライド面156側に回転するよう付勢されている。
制御アーム160はカム軸120に回転可能に支持されている。制御アーム160には制御アーム160の回転中心、すなわち、カム軸120と同心の円弧に沿って形成された扇状の第2ギヤ162が設けられている。制御アーム160は第2ギヤ162が第1ギヤ134と同一面内に位置するようにカム軸120上の位置を調整され、また、第2ギヤ162が第1ギヤ134に対向するように回転位相を調整されている。第2ギヤ162は第1ギヤ134に噛み合わされ、制御軸132の回転が第1ギヤ134及び第2ギヤ162を介して制御アーム160に入力されるようになっている。つまり、第1ギヤ134と第2ギヤ162により、制御アーム160の回転を制御軸132の回転に連動させる回転連動機構が構成されている。また、第2ギヤ162の径は第1ギヤ134の径よりも大径に設定されており、第1ギヤ134と第2ギヤ162により、制御軸132の回転を減速して制御アーム160に伝達する減速機構が構成されてもいる。
制御アーム160には、その回動中心であるカム軸120の中心から偏心した位置に制御リンク164が回転自在に取り付けられている。制御リンク164はその支点側の両端部(図2では片側のみ見えている)に接続ピン166を備えており、この接続ピン166を制御アーム160に回転自在に支持されている。制御アーム160上での接続ピン166の位置は、制御アーム160の回動中心に関し第2ギヤ162のほぼ反対側となっている。制御リンク164は、接続ピン166を支点として先端を制御軸132に向けて配置されている。なお、図1では省略しているが、制御アーム160は駆動カム122の両側に一対設けられ、左右の制御アーム160によって制御リンク164が支持されている。
制御リンク164は図2の分解図に示すように左右一対のアーム168を有しており、左右のアーム168によって連結軸174を支持している。連結軸174とアーム168とは圧入、かしめ等によって固定されている。この連結軸174上には、1つの第1ローラ170と、その両側に2つの第2ローラ172が回転自在に支持されている。第1ローラ170と各第2ローラ172との間には、回転速度の異なる両ローラ170,172を直接接触させないようにワッシャ178が挟まれている。第1ローラ170と第2ローラ172とを比較すると、第1ローラ170のほうが大径であって、且つ、軸方向長さが長くなっている。
制御リンク164は、揺動カムアーム150の延伸方向に対向するように先端を制御軸132の方向に向けて配置され、両ローラ170,172は駆動カム面124とスライド面156に挟まれるように配置されている。図3の正面視図(概略図)に示すように、駆動カム面124には第1ローラ170が接触し、各揺動カムアーム150のスライド面156には第2ローラ172が接触している。揺動カムアーム150がロストモーションスプリングから受ける付勢力により、第2ローラ172はスライド面156によって押し上げられ、第2ローラ172と同軸一体の第1ローラ170は駆動カム面124に押し付けられている。
[本実施形態の可変動弁装置の動作]
次に、本可変動弁装置100の動作について図4乃至図7を参照して説明する。なお、図4及び図5では、ローラ170,172の動きがよく分かるように、手前側の制御アーム160と第1ギヤ134の図示は省略されている。
(1)可変動弁装置のリフト動作
まず、図4を参照して可変動弁装置100のリフト動作について説明する。図中、(A)はリフト動作の過程でバルブ104が閉弁しているときの可変動弁装置100の状態を、また、(B)はリフト動作の過程でバルブ104が開弁しているときの可変動弁装置100の状態を、それぞれ表している。
本可変動弁装置100では、駆動カム122の回転運動は、先ず、駆動カム面124に接触する第1ローラ170に入力される。第1ローラ170は同軸一体に設けられた第2ローラ172とともに接続ピン166を中心に回動し、その運動は第2ローラ172を支持している揺動カムアーム150のスライド面156に入力される。スライド面156はロストモーションスプリング(図示略)の付勢力によって常に第2ローラ172に押し当てられているので、揺動カムアーム150は駆動カム122の回転に応じて制御軸132を中心にして揺動する。
具体的には、図4の(A)に示す状態からカム軸120が回転すると、図4の(B)に示すように、第1ローラ170の駆動カム面124上での接触位置P1は非作用面124aから作用面124bへと移っていく。相対的に第1ローラ170は駆動カム122によって押し下げられ、同軸一体の第2ローラ172とともに制御リンク164によって規定された軌跡に沿って回動する。これにより、揺動カムアーム150はそのスライド面156を第2ローラ172によって押し下げられ、制御軸132を中心にして図中、時計回り方向に回動する。カム軸120がさらに回転し、第1ローラ170の駆動カム面124上での接触位置P1が作用面124bの頂部を過ぎると、今度はロストモーションスプリング及びバルブスプリングによる付勢力によって、揺動カムアーム150は制御軸132を中心にして図中、反時計回り方向に回動する。
このように揺動カムアーム150が制御軸132を中心にして回動することで、ロッカーローラ112の揺動カム面152上での接触位置P3が変化することになる。なお、図中では、ロッカーローラ112の揺動カム面152上での接触位置をP3i,P3fとして表記しているが、これは後述する初期接触位置P3iと最終接触位置P3fとを区別するためである。本明細書では、単にロッカーローラ112の揺動カム面152上での接触位置を指す場合には、接触位置P3と表記するものとする。
図4の(A)に示すように、ロッカーローラ112が非作用面152aに接触している場合には、非作用面152aは制御軸132の中心からの距離が一定であるので、その接触位置にかかわらずロッカーローラ112の空間内での位置は変化しない。したがって、ロッカーアーム110は揺動することがなく、バルブ104は一定位置に保持される。本可変動弁装置100では、ロッカーローラ112が非作用面152aに接触しているとき、バルブ104が閉弁状態になるように各部位の位置関係が調整されている。
そして、図4の(B)に示すように、ロッカーローラ112の揺動カム面152上での接触位置P3が非作用面152aから作用面152bに切り換わると、ロッカーアーム110は作用面152bの制御軸132の中心からの距離に応じて押し下げられ、油圧ラッシャアジャスタ106による支持点を中心に時計回り方向へ揺動する。これにより、バルブ104はロッカーアーム110によって押し下げられ、開弁する。
(2)可変動弁装置のリフト量変更動作
次に、図4乃至図7を参照して可変動弁装置100のリフト量変更動作について説明する。ここで、図5は可変動弁装置100がバルブ104に対して小さなリフトを与えるように動作している様子を示している。一方、前掲の図4は可変動弁装置100がバルブ104に対して大きなリフトを与えるように動作している様子を示している。各図中、(A)はリフト動作の過程でバルブ104が閉弁しているときの可変動弁装置100の状態を、また、(B)はリフト動作の過程でバルブ104が開弁しているときの可変動弁装置100の状態を、それぞれ表している。
図4に示すリフト量から図5に示すリフト量にリフト量を変更する場合、図4の(A)に示す状態において制御軸132をカム軸120の回転方向と同方向(図中、時計回り方向)に回転駆動し、図5の(A)に示す回転角度に制御アーム160を回転させる。制御アーム160の回転量は、制御軸132の回転量と、第1ギヤ134(図1参照)と第2ギヤ162のギヤ比によって決まる。両ローラ170,172は制御リンク164によって制御アーム160に連結されているので、制御アーム160の回転に伴い、第1ローラ170は駆動カム面124に沿ってカム軸120の回転方向の上流側に移動し、第2ローラ172はスライド面156に沿って制御軸132から遠ざかる方向に移動する。
第2ローラ172が制御軸132から遠ざかる方向に移動することで、揺動カムアーム150の揺動中心C0から第2ローラ172のスライド面156上での接触位置P2までの距離が長くなり、揺動カムアーム150の揺動角幅は減少する。揺動カムアーム150の揺動角幅は揺動中心C0から振動の入力点である接触位置P2までの距離に反比例するからである。バルブ104のリフトは、各図の(B)に示すように、第1ローラ170の駆動カム面124上での接触位置P1が作用面124bの頂部にあるときに最大となり、その時点におけるロッカーローラ112の揺動カム面152上での接触位置P3f(以下、最終接触位置)によってバルブ104のリフト量が決まる。図6は、ロッカーローラ112の揺動カム面152上での位置とバルブリフトとの関係を示す図である。この図に示すように、最終接触位置P3fは、前述の揺動カムアーム150の揺動角幅と、各図の(A)に示すロッカーローラ112の揺動カム面152上での接触位置P3i(以下、初期接触位置)とによって決まる。
本実施形態の可変動弁装置100では、スライド面156は、その揺動中心からの距離が大きいほど駆動カム122のカム基礎円(非作用面124a)との距離が大きくなるように形成されている。このため、上記の接触位置P2が揺動カムアーム150の揺動中心C0から遠ざかるほど、揺動カムアーム150はスライド面156が駆動カム面124に近づく方向に傾斜することになる。図では、揺動カムアーム150は制御軸132を中心にして反時計回り方向に回動することになる。これにより、図5の(A)に示すように、ロッカーローラ112の揺動カム面152上での初期接触位置P3iは作用面152bから遠ざかる方向に移動する。
上記のように、制御軸132をカム軸120の回転方向と同方向に回転させると、揺動カムアーム150の揺動角幅が減少するとともに、初期接触位置P3iが作用面152bから遠ざかる方向に移動する。その結果、図6に示すように、ロッカーローラ112が到達できる最終接触位置P3fは非作用面152a側に移動することになり、バルブ104のリフト量は減少する。また、ロッカーローラ112が作用面152a上に位置している期間(クランク角度)が、バルブ104の作用角となるが、最終接触位置P3fが非作用面152a側に移動することで、バルブ104の作用角も減少する。さらに、第1ローラ170がカム軸120の回転方向の上流側に移動することで、カム軸120が同一回転角度にあるときの第1ローラ170の駆動カム面124上での接触位置P1は、駆動カム122の進角側に移動する。これにより、カム軸120の位相に対する揺動カム150の揺動タイミングは進角され、その結果、バルブタイミング(最大リフトタイミング)は進角されることになる。
図7は可変動弁装置100により実現されるバルブ104のリフト量とバルブタイミングとの関係を示すグラフである。この図に示すように、可変動弁装置100によれば、バルブ104のリフト量の増大に連動して作用角を増大させるとともにバルブタイミングを遅角することができ、逆に、バルブ104のリフト量の減少に連動して作用角を減少させるとともにバルブタイミングを進角することができる。したがって、例えば、バルブ104が吸気バルブである場合、VVT等のバルブタイミング制御機構を用いることなく、バルブ104の開きタイミングをほぼ一定とするように開弁特性を可変制御することも可能になる。
[本実施形態の可変動弁装置の利点]
駆動カム122から揺動カムアーム150への駆動力の伝達の際、駆動カム面124と第1ローラ170との間、スライド面156と第2ローラ172との間には、それぞれ接触面圧(ヘルツ応力)が発生する。本実施形態の可変動弁装置100では、第1ローラ170を第2ローラ172よりも大径とすることで、駆動カム面124と第1ローラ170との間の接触面圧(ヘルツ応力)は低減されている。また、駆動カム面124に第2ローラ172が接触することがないので、第1ローラ170の全体に駆動カム面124を接触させることができ、この接触長の拡大によっても接触面圧は低減されている。一方、第2ローラ172とスライド面156との間の接触面圧に関しては、スライド面156が駆動カム面124側に湾曲した凹曲面として形成されることで、その低減が図られている。したがって、本実施形態の可変動弁装置100によれば、高い耐久性を確保することができる。
また、第2ローラ172を第1ローラ170よりも小径とすることで、駆動カム面124とスライド面156との距離が抑えられている。さらに、駆動カム面124に第2ローラ172が接触することがないので、第2ローラ172を第1ローラ170に近接させて装置の軸長方向の長さを抑えることもできる。したがって、本実施形態の可変動弁装置100によれば、上記のように接触面圧の低減により高い耐久性を確保することができると同時に、装置全体をコンパクトに構成することもできる。
さらに、第1ローラ170の両側に第2ローラ172が配置されることで、駆動カム面124から第1ローラ170に入力される駆動力と、スライド面156から両側の第2ローラ172に入力される反力とが連結軸174の中央において釣り合うようになる。これにより、連結軸174の軸曲がりを抑制して剛性を向上させることができ、2つのバルブ104に均等に駆動力を伝達することができる。
[その他]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、次のように変形して実施してもよい。
上記実施の形態では、本発明を1カム2弁駆動構造の可変動弁装置に採用しているが、1カム1弁駆動構造の可変動弁装置に本発明を適用することもできる。図8は本発明が適用された1カム1弁駆動構造の可変動弁装置の正面視図(概略図)である。図8に示すように、1カム1弁駆動構造では、小径の第2ローラ172を中央にしてその両側に大径の第1ローラ170を配置する。そして、駆動カム面124からの駆動力を2つの第1ローラ170で受けて、中央の第2ローラ172からスライド面156に駆動力を伝達するようにする。このような構成によれば、駆動カム面124から両側の第1ローラ170に入力される駆動力と、スライド面156から中央の第2ローラ172に入力される反力とが連結軸174の中央において釣り合うので、連結軸174の軸曲がりを抑制することができ、剛性を向上させることができる。
また、上記実施の形態では、本発明をロッカーアーム方式の動弁装置に適用しているが、直動式等の他の形式の動弁装置にも適用可能である。
また、本発明が適用される可変動弁装置の可変機構は、上記実施の形態のような構成の可変機構130には限定されない。駆動カムの回転運動を中間部材を介して揺動部材に伝達する形式の可変機構を有する可変動弁装置であれば、広く適用することができる。
本発明の実施の形態にかかる可変動弁装置の構成を示す側面視図である。 ローラの支持構造を分解して示す分解図である。 可変動弁装置の構成を示す正面視図(概略図)である。 大リフト時の可変動弁装置の動作を示す図であり、(A)はバルブの閉弁時、(B)はバルブの開弁時を示している。 小リフト時の可変動弁装置の動作を示す図であり、(A)はバルブの閉弁時、(B)はバルブの開弁時を示している。 ロッカーローラの揺動カム面上での位置とバルブのリフト量との関係を示す図である。 バルブタイミングとリフト量との関係を示す図である。 本発明の他の実施の形態にかかる可変動弁装置の構成を示す正面視図(概略図)である。
符号の説明
100 可変動弁装置
104 バルブ
110 ロッカーアーム
112 ロッカーローラ
120 カム軸
122 駆動カム
124(124a,124b) 駆動カム面
130 可変機構
132 制御軸
134 第1ギヤ
150 揺動カムアーム
152(152a,152b) 揺動カム面
156 スライド面
160 制御アーム
162 第2ギヤ
164 制御リンク
166 接続ピン
170 第1ローラ
172 第2ローラ
174 連結軸
P1 第1ローラの駆動カム面上での接触位置
P2 第2ローラのスライド面上での接触位置
P3i ロッカーローラの揺動カム面上での初期接触位置
P3f ロッカーローラの揺動カム面上での最終接触位置

Claims (5)

  1. カム軸の回転に対するバルブの開弁特性を機械的に変化させる可変動弁装置であって、
    前記カム軸に設けられた駆動カムと、
    位置を固定された軸を中心として揺動する揺動部材と、
    前記揺動部材に形成され、前記バルブを支持するバルブ支持部材に接触して前記バルブをリフト方向に押圧する揺動カム面と、
    前記揺動部材に前記駆動カムと対向して形成されたスライド面と、
    前記駆動カムと前記揺動部材との間に配置され、前記駆動カムのカム面と前記スライド面の双方に接触する中間部材と、
    前記カム軸と平行に設けられ、回転角度を連続的に或いは多段階に変更可能な制御軸と、
    前記制御軸の回転に連動させて前記中間部材の位置を変化させる連動機構とを備え、
    前記中間部材は、前記駆動カムのカム面に接触する大径の第1ローラ、前記第1ローラと同心に配置されて前記スライド面に接触する小径の第2ローラ、及び前記第1ローラと前記第2ローラとを独立回転可能に連結する連結軸とを含み、
    前記揺動カム面は、前記揺動部材の揺動中心からの距離を一定に形成された非作用面と、前記非作用面と連続して設けられ先端に向けて前記揺動部材の揺動中心からの距離が次第に大きくなるように形成された作用面とを有し、
    前記スライド面は、前記揺動部材の揺動中心からの距離が大きくなるほど前記カム軸の中心からの距離が大きくなるように前記駆動カム側に湾曲して形成されていることを特徴とする可変動弁装置。
  2. 1つの前記第1ローラの両側に2つの前記第2ローラが配置され、2つの前記第2ローラのそれぞれが前記スライド面に接触して前記スライド面に駆動力を入力していることを特徴とする請求項1記載の可変動弁装置。
  3. 2つの前記第2ローラのそれぞれに対応して前記揺動部材が設けられ、2つの前記揺動部材のそれぞれに対応して前記バルブが設けられていることを特徴とする請求項2記載の可変動弁装置。
  4. 2つの前記第1ローラの間に1つの前記第2ローラが配置され、2つの前記第1ローラのそれぞれが前記駆動カムのカム面に接触して前記駆動カムから駆動力の入力を受けていることを特徴とする請求項1記載の可変動弁装置。
  5. 前記バルブ支持部材は一方の端部で前記バルブを支持しており、他方の端部をラッシャアジャスタによって回動可能に支持されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の可変動弁装置。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009270561A (ja) * 2008-04-30 2009-11-19 Hyundai Motor Co Ltd 連続可変バルブリフト装置、および連続可変バルブリフト装置群

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