JP2008034398A - リチウムイオンバッテリ - Google Patents

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Abstract

【課題】バッテリの実行時間を延ばす内蔵コントローラを有する再充電可能バッテリを開示する。
【解決手段】このコントローラは例えば、充電サイクルの回数および効率を最大にするために最適放電深度で放電サイクルを終了させることによって再充電可能バッテリの実行時間を延ばすことができる。このコントローラはさらに、再充電可能バッテリのそれぞれの電気化学セルの充電サイクルを制御することができる。この再充電可能バッテリを、単一セル・バッテリ、ユニバーサル単一セル・バッテリ、多セル・バッテリまたは多セル・ハイブリッド・バッテリとすることができる。個々のそれぞれのセルが、そのセルの放電および充電サイクルを制御する内蔵コントローラを有することが好ましい。さらに、この再充電可能バッテリは遠隔充電システムを含むことができる。
【選択図】図5A

Description

(発明の分野)
本発明はバッテリに関し、詳細にはバッテリの供給実行時間(service run time)を延長するための内蔵コントローラを有するバッテリに関する。
(発明の背景)
消費者は、ラジオ、コンパクト・ディスク・プレーヤ、カメラ、携帯電話、電子ゲーム、玩具、ポケット・ベル、コンピュータ装置などの携帯用電子装置中で一次バッテリおよび再充電可能(二次)バッテリを使用している。一次バッテリは通常、供給実行時間が終わると廃棄される。一般的な一次バッテリではその供給実行時間内に、バッテリの合計蓄電容量の約40〜70%しか使用することができない。初期蓄積エネルギーのうちこの部分を使用してしまうと、バッテリは一般に、一般的な電子回路を駆動するのに十分な電圧を供給することができない。バッテリの有効寿命が尽きると、これらのバッテリがなおその蓄電容量の約30〜60%を含んでいようと、消費者は普通これらのバッテリを廃棄してしまう。したがって、より深い放電を安全に実施できるようにすることによって一次バッテリの供給実行時間を延ばすことができれば、廃棄前に電子装置がバッテリの蓄電容量をより多く使用できるようになり、廃棄物は減る。
再充電可能バッテリの全寿命は主に、充電サイクルの回数および効率によって決まる。再充電可能バッテリは各放電サイクル後に充電し再使用することができる。一次バッテリの場合と同様に蓄電容量のうち一定の割合が使用されると、バッテリは一般に電子回路を駆動するのに十分な電圧を供給することができない。したがって、バッテリをより深く放電することができれば再充電可能バッテリの各放電サイクルを延ばすことができる。しかし再充電可能バッテリの放電レベルは、バッテリの将来の充電回数および効率に影響を与える。一般に、再充電可能電気化学セルの放電深度が増大するにつれ、再充電可能電気化学セルに実施することができる充電サイクルの回数は減少する。しかし、特定の種類の再充電可能電気化学セル間で最適放電特性は幅広く変化する。例えばニッケル・カドミウム(「NiCd」)バッテリでは深い放電が好ましい。これは、適切に使い切る前に充電した場合にバッテリが「メモリ」効果を発現し、その結果、将来の充電に使用可能な容量が低減する可能性があるためである。しかしリチウム・バッテリの深い放電は電気化学セルにダメージを与える可能性がある。再充電可能電気化学セルの供給実行時間の延長は一般に、その特定のセルの充放電サイクルを効率的に制御し、充電サイクルの合計回数が最大になり、さらに電気化学セルのそれぞれの放電サイクルから回収されるエネルギー量が最適化されるようにすることによって達成することができる。
加えて消費者はより小型、より軽量の携帯用電子装置を絶えず求めている。これらの装置を小型化、軽量化する際の主要な障害の1つは、装置への給電に必要なバッテリのサイズおよび重量である。実際、電子回路が高速化、複雑化するにつれ、電子回路は以前よりもいっそう多くの電流を必要とするようになり、したがってバッテリに対する要求はいっそう大きくなる。しかし、機能および速度が向上してもバッテリを頻繁に交換または再充電する必要がある場合には、消費者は、より強力で小型化された装置を受け入れないだろう。したがって有効寿命を短縮することなくより高速かつより複雑な電子装置を構築するためには、電子装置がバッテリをより効率的に使用し、かつ/またはバッテリ自体がより高い蓄積エネルギー利用率を提供することが必要である。
より高価な電子装置の中には、バッテリの出力電圧を変換し、かつ/または安定化するスイッチング変換器(例えばDC/DC変換器)などの電圧調整回路を装置内に含むものがある。これらの装置では、複数の単一セル・バッテリが一般に直列に接続され、変換器によってこれらのバッテリの合計電圧が負荷回路が必要とする電圧へと変換される。変換器は、負荷回路が必要とするよりも高い電圧、したがって負荷回路が必要とするよりも多くの電力をバッテリが供給するバッテリ放電の初期においてバッテリの出力電圧を下げ、かつ/または負荷回路が必要とするよりも出力電圧が小さいためバッテリが消耗しているバッテリ放電のその後の部分においてバッテリの出力電圧を上げることよって、バッテリの実行時間を延ばすことができる。
特開平7−201358号公報 国際公開第96/08846号パンフレット 特開平10−21968号公報
しかし、電子装置内に変換器を配置する方法にはいくつかの欠点がある。第1に、装置メーカはメーカごとに、比較的に限られた量で製作され、したがって個々のコストが高くなる特定の回路設計を有するため、変換器を電子装置の中に配置すると比較的に費用がかさむ。第2に、バッテリの供給業者は、特定のバッテリとともに使用される変換器の種類をコントロールすることができない。したがって変換器は、それぞれの種類の電気化学セルの特定の電気化学特性に対して最適化されたものとならない。第3に、アルカリ・セル、リチウム・セルなどの異なる種類の電気化学セルは異なる電気化学特性および公称電圧を有し、したがって容易に相互交換できるというものではない。その上、変換器は電子装置内の貴重なスペースを占有する。さらに、電子装置によっては、より効率的なDC/DC変換器などのスイッチング変換器ではなく線形調整器を使用している場合があり、その上、スイッチング変換器を含む電子装置は、無線周波(RF)送信機などの電子装置内の隣接する回路に不利な影響を及ぼす可能性がある電磁干渉(EMI)を引き起こす可能性がある。しかし、変換器をバッテリ内に配置することによって、EMI源を、EMIに敏感な他の電子回路からより遠くに配置し、かつ/またはEMI源をバッテリの導電性容器で遮へいすることができる。
現在の電圧変換器の他の問題点は、変換器を駆動するのに十分な電圧を供給するために変換器が一般に複数の電気化学セルを必要とすることであり、特にアルカリ、亜鉛−炭素、ニッケル・カドミウム(NiCd)、酸化銀バッテリに関してそうである。この問題を回避するため、現在の変換器は普通、変換器を駆動するのに十分な電圧を供給するため直列に接続された複数の電気化学セルを必要とする。変換器は次いでこの電圧を、電子装置が必要とするレベルにまで下げることができる。したがって変換器のこの入力電圧要求のため電子装置は、たとえ電子装置自体がその動作に1つのセルしか必要ないとしても複数の電気化学セルを含まなければならない。その結果、無駄なスペースおよび重量が生じ、電子装置のさらなる小型化が妨げられる。
したがって、供給実行時間を最大にするため、再充電可能バッテリを充電する前にバッテリの蓄積電荷を最適に使用し、放電深度を最適化する必要がある。蓄積エネルギーの利用率が高まるようにバッテリを設計することによって、電子装置はより小型のバッテリを使用すること、またはより少ない数のバッテリを使用することができ、携帯用電子装置をさらに小型化することが可能となる。
(発明の概要)
本発明は、再充電可能バッテリの蓄積電荷を充電前に最適に使用することによって供給実行時間がより長いバッテリを提供する。このバッテリは、一般的な電子装置の電圧しきい値よりも低い電圧で動作することができる変換器を含む内蔵コントローラを有する。このコントローラは、バッテリの供給実行時間を延ばすため電気化学セルの電圧をより効率的に調整し、制御された放電または最適放電深度を可能にする。コントローラは、アルカリ、ニッケル・カドミウム(「NiCd」)、リチウム、リチウム・イオン、密封鉛−酸(「SLA」)、酸化銀、ハイブリッド・セルなどの特定の種類の電気化学セルまたは特定の電子装置とともに動作するようにカスタム設計された混合モード・シリコン・チップ上に配置されることが好ましい。
コントローラは、負荷への電力送達をモニタおよび制御し、(1)DC/DC変換器をオン/オフし、(2)一般的な電子装置が動作することができる電圧よりも入力電圧が低いときに最小必要出力電圧を維持し、(3)バッテリの出力インピーダンスを下げ、(4)最適放電深度を決定し、(5)最適充電シーケンスを提供し、(6)所与の電気化学セルがコントローラなしで供給することができる放電電流を増大させ、(7)セルの安全限界の内側の高い放電電流を、たとえこの電流が変換器の最大出力電流を上回る場合であっても迂回モードを使用して提供する。
好ましい一実施形態では、一次または再充電可能多セル・バッテリ(例えば標準9ボルト・バッテリ)のハウジング内に単一のコントローラが装着される。本発明のこの態様は、電子装置内にコントローラを配置することに優るいくつかの明白な利点を提供する。第1に、バッテリ設計者が、特定の種類の電気化学セルの特定の電気化学特性を利用することが可能になる。第2に、装置が、バッテリの出力電圧を変更し、かつ/または安定化する特定の種類の電気化学セル(例えばリチウム・セル)を含むバッテリ用の変換器だけを必要とし、他の種類の電気化学セル(例えばNiCd、SLAセル)を含むバッテリ用の変換器を必要とせず、その変換器が、その変換器を必要とするバッテリ(すなわちリチウム・バッテリ)と統合される場合に、電子装置をDC/DC変換器なしで設計することができる。これによってより小さな回路設計が可能となり、変換器に関連した損失が変換器を必要としないバッテリに影響を及ぼすことがなくなる。
特に好ましい一実施形態では、コントローラが、AAA、AA、C、D型、角柱形バッテリなどの単一セル・バッテリの容器内、または角柱形または標準9ボルト・バッテリなどの多セル・バッテリのそれぞれのセルの容器内に装着される。本発明のこの態様は、多セル・バッテリの中に単一のコントローラを配置する先に挙げた態様の利点を提供し、さらに多くの利点を提供する。第1に、特定の種類の電気化学セルの電気化学反応を利用するため、コントローラを、その電気化学セルに対してカスタム・マッチングさせることができる。第2に、標準バッテリで動作するように設計された電子装置の要求を満たすよう出力電圧または内部インピーダンスを変更または安定化することによって、異なる種類の電気化学セルを有するバッテリを互換可能に使用することができるようになる。これらの両利点は、例えば、内蔵コントローラを使用して約2.8〜約4.0ボルトの範囲の公称セル電圧を約1.5ボルトの出力電圧に下げることによって、標準1.5ボルトAAバッテリのパッケージング要件および電気的な要件を満足する超効率的リチウム・セルで達成される。リチウム・セルのより高いセル電圧を利用することによって、設計者は、バッテリ実行時間を実質的に延長することができる。さらに、それぞれのバッテリ・セルの中にコントローラを配置することによって、現在可能なものよりもはるかに有効な制御があらゆるセルに関して可能となる。このコントローラは、それぞれの一次電気化学セルの放電状態をモニタおよび制御することができ、電子装置が動作を停止する前にそれぞれのセルが完全に使い尽くされることが保証される。コントローラはさらに、それぞれの再充電可能電気化学セルの放電サイクルをモニタおよび制御して、バッテリの供給実行時間が可能な最長のものとなり、セルの安全性が向上してメモリ効果、短絡または有害な深い放電などの状態が起こらないレベルまでセルが放電されることを保証する。コントローラはさらに、バッテリ内のそれぞれの再充電可能電気化学セルの充電サイクルを直接にモニタおよび制御して過充電、短絡などの状態を防ぎ、これによってサイクル寿命を延ばし、バッテリの安全性を向上させる。
コントローラはさらに、本発明のバッテリの汎用的な使用を可能にする。本発明のバッテリは、先に挙げたようなカットオフ電圧を有する電気、電気機械または電子装置とともに使用するか、または電気装置とともに使用するかに関わらず、周知のバッテリに優る利点を提供する。
バッテリの販売が拡大することによって、チップの生産のほうが、個々の調整器または変換器設計をそれぞれの種類の電子装置に対して実施するよりもはるかに安くなるため、コントローラ・チップをより経済的に製作することができる。
DC/DC変換器の好ましい一実施形態は、パルス幅またはパルス位相変調およびパルス・スキップ低デューティ制御方式をスタート・ストップ発振制御方式とともに利用する高効率、超低入力電圧かつ中電力の変換器である。
本発明のその他の特徴および利点は、本発明の好ましい実施形態の説明に関して説明する。
本明細書は、本発明とみなされる内容を具体的に指摘し、明確に請求する請求項をもって結論とするが、本発明の理解は、以下の説明を添付図面と関連させて理解することによって深まるであろう。
(発明の詳細な説明)
本発明は、単一セルおよび多セル・バッテリに関する。本出願では「一次」という用語が使用され、この用語は、その使用可能な蓄電容量を使い尽くした後は廃棄される予定の(すなわち再充電または再使用される予定のない)バッテリまたは電気化学セルを指す。本出願では「再充電可能」という用語と「二次」という用語が相互交換可能に使用され、その使用可能な蓄電容量を使い尽くした後に少なくとも1度は再充電される予定の(すなわち少なくとも1度は再使用される予定の)バッテリまたは電気化学セルを指す。本出願の「消費者」という用語は、消費者によって購入または使用された電子または電気装置中で使用される予定のバッテリを指す。「単一セル」という用語は、標準AA、AAA、C、D型バッテリなどの個別にパッケージングされた単一の電気化学セルを有するバッテリ、または多セル・バッテリ(例えば標準9ボルト・バッテリ、携帯電話またはラップトップ・コンピュータ用のバッテリなど)中の単一セルを指す。本出願で使用される「バッテリ」という用語は、端子および単一の電気化学セルを有する容器、または端子を有し、2つ以上の電気化学セルを少なくとも実質的に含むハウジング(例えば標準9ボルト・バッテリ、携帯電話またはラップトップ・コンピュータ用のバッテリなど)を指す。セル自体がそれぞれに個々の容器を有している場合、複数の電気化学セルがハウジングによって完全に包囲されている必要はない。例えば携帯電話のバッテリは、それぞれが個別に容器を有し、これらの個別容器を一体に保持する収縮包装用プラスティック材料の中に一緒にパッケージングされた2つ以上の電気化学セルを含むが、これらのセルの個別容器を完全に包囲しているわけではない。本出願で使用される用語「ハイブリッド・バッテリ」には、2つ以上の電気化学セルを含み、そのうちの少なくとも2つが、異なる電極、異なる電極対、異なる電解質などの異なる電気化学部品を有する多セル・バッテリが含まれる。
本出願で使用する用語「コントローラ」は、少なくとも1つの入力信号を受け入れ、入力信号の関数である少なくとも1つの出力信号を供給する回路を指す。用語「DC/DC変換器」と用語「変換器」は本出願では相互交換可能に使用され、入力DC電圧を必要な出力DC電圧に変換するスイッチング型の変換器、すなわちチョッパ制御DC/DC変換器を指す。DC/DC変換器は、調整された出力を頻繁に供給するパワー・エレクトロニック回路である。この変換器は、昇圧電圧レベル、降圧電圧レベル、またはほぼ同じレベルの調整電圧を供給することができる。当技術分野では多くの異なる種類のDC/DC変換器が知られている。本発明は、一般的な電子装置が動作することができる電圧よりも低い低電圧レベルで動作することができる本出願に記載の好ましい変換器に代えてより不利な周知の変換器または線形調整器を可能な限り使用することを企図する。
電子装置の「カットオフ電圧」とは、これよりも低いとバッテリに接続された電気または電子装置が動作することができない電圧である。したがって「カットオフ電圧」は装置依存である。すなわちこの電圧レベルは、装置の最小動作電圧(機能上のエンドポイント)または動作周波数(例えば、所与の時間内にコンデンサを充電できなければならない)に依存する。ほとんどの電子装置のカットオフ電圧は約1ボルト〜約1.2ボルトの範囲にあり、なかには約0.9ボルトとカットオフ電圧が低いものもある。電気時計、電動機、電気機械式継電器など、機械運動をする部品を有する電気装置はさらに、これらの機械部品を動かすのに必要なだけの強さの電磁場を生み出すのに十分な電流を供給するのに必要なカットオフ電圧を有する。フラッシュライトなどのその他の電気装置は装置カットオフ電圧を持たないが、装置に給電するバッテリの電圧が下がると出力パワー(例えば電球の輝度)も低下する。
単一の電気化学セルがカットオフ電圧を有する装置に給電している場合、この電気化学セルは装置のカットオフ電圧に「支配(subject to)」され、装置のカットオフ電圧以上の出力電圧を供給しなければならず、そうしないと装置は動作を停止してしまう。しかし、直列に配置された2つの以上の電気化学セルが装置に給電している場合、すなわちこれらが正入力端子と負入力端子の間に電気的に接続されている場合には、それぞれの電気化学セルが装置のカットオフ電圧の一部分に「支配」される。例えば2つの電気化学セルが直列に接続され、装置に給電している場合、それぞれのセルは装置のカットオフ電圧の1/2に「支配」される。しかし3つの電気化学セルが直列に接続され、装置への給電に使用される場合、それぞれの電気化学セルは装置のカットオフ電圧の1/3に「支配」されるだけである。したがって「n」個のセルが直列に接続され、装置に給電している場合には、それぞれのセルが、カットオフ電圧を整数nで割った値として定義される装置のカットオフ電圧の一部に「支配」される。しかし2つの以上の電気化学セルが並列に接続され、電子装置に給電する場合、それぞれのセルは依然として装置のカットオフ電圧全体に「支配」される。さらにこの応用では、2つの以上の電気化学セルが直列に接続され、この直列接続が他の1つまたは複数の電気化学セルと並列に接続されている場合、直列接続されたそれぞれのセルが、直列に接続されたセルだけが装置に給電している場合と同じカットオフ電圧の部分に「支配」される。
本発明の一態様は、バッテリの「供給実行時間」を延長することにある。一次バッテリについては「バッテリ供給実行時間」と「バッテリ実行時間」は相互に交換可能であり、バッテリが給電している装置の最小動作電圧、すなわちその装置のカットオフ電圧よりもバッテリの出力電圧が低下するまでの放電サイクルの時間と定義される。「セル実行時間」は、電気化学セル自体、すなわちセルの電気化学エネルギーの枯渇に依存するが、「バッテリ実行時間」はバッテリが使用される装置に依存する。例えばカットオフ電圧が約1ボルトの電子装置は、たとえ電気化学セルにそのエネルギー蓄積容量の少なくとも50%が残っているとしても、バッテリの出力電圧が1ボルトよりも下がったときに動作を停止する。この例では、その電子装置を駆動するのに十分な電圧をバッテリがもはや供給することができないため「バッテリ実行時間」は過ぎており、このバッテリは一般に廃棄される。しかしセルに電気化学エネルギーは残っているので「セル実行時間」はまだ過ぎていない。
しかし再充電可能バッテリは複数回の充電/放電サイクルを有する。再充電可能バッテリでは、達成することができる充電/放電サイクル数として「サイクル寿命」が定義される。再充電可能バッテリの「バッテリ実行時間」は、1回の放電サイクルで、バッテリが給電している装置のカットオフ電圧よりも再充電可能バッテリの出力電圧が低下するか、またはバッテリのサイクル寿命を延ばすために放電が停止されるまでの時間を指す。しかし再充電可能バッテリの「バッテリ供給実行時間」は、それぞれの放電サイクルが最適な実行時間を有する充電/放電サイクルの合計数を指す。再充電可能電気化学セルの「セル実行時間」は、負荷条件下でセルが1回の放電サイクル中に最適放電深度を達成するまでに要する時間である。先に論じたように、再充電可能バッテリの「サイクル寿命」は再充電可能セルが経験する放電の深度の関数である。放電深度が増大するとバッテリ実行時間も延びるが、サイクル寿命およびバッテリ供給実行時間は低下する。逆に放電深度が低下するとバッテリ実行時間は短縮されるが、サイクル寿命およびバッテリ供給実行時間は増大する。しかし装置使用の観点からするとバッテリ実行時間が短いのは不便である。したがって再充電可能バッテリの特定のそれぞれの電気化学性および設計に対して、バッテリ供給実行時間が大きくなるように放電深度とサイクル寿命の比を最適化することができる。再充電可能バッテリのバッテリ供給実行時間を最適化する1つの可能な方法は、特定の放電深度で得られたサイクル寿命(すなわちサイクル数)とそれらのそれぞれのサイクルで回収されたエネルギー量との積として定義される送出累積エネルギーを比較することである。
本出願ではさらに、電気化学セルが一次セルであるか再充電可能セルであるかにかかわらず用語「電気化学セルの有効寿命」または「セル有効寿命」が使用され、バッテリ実行時間に対応する。「セル有効寿命」は、特定の放電サイクルで、電気化学セルが、セルが給電している装置を駆動するのに十分な電圧をもはや供給することができなくなり、セルが有効でなくなるまでの時間である。単一セル・バッテリでは「セル実行時間」が延びるか、または短縮すれば、「セル有効寿命」および「バッテリ実行時間」も必然的に延び、または短縮される。さらに、単一セル・バッテリの用語「バッテリ実行時間」と「セル有効寿命」は相互に交換可能であり、単一のセル・バッテリの「バッテリ実行時間」または「セル有効寿命」が延びるか、または短縮されば、もう一方も延び、または短縮される。しかし対照的に、多セル・バッテリ中の特定の電気化学セルの用語「セル有効寿命」は、その多セル・バッテリの用語「バッテリ実行時間」とは必ずしも交換可能ではない。これは、多セル・バッテリのバッテリ実行時間が経過した後でも、その特定の電気化学セルの有効寿命がまだ残っている可能性があるためである。同様に、多セル・バッテリ中の特定の電気化学セルの「セル実行時間」が延びるか、または短縮された場合でも、「バッテリ実行時間」がそのバッテリ内の他の1つまたは複数のセルのセル電圧によって決まる可能性があるため、「バッテリ実行時間」が延びたり、または短縮されるとは限らない。
本出願で使用する再充電可能電気化学セルの「放電の最適深度」または「最適放電深度」は、充電/放電サイクル数を最大にし、そのセルのそれぞれの放電サイクルでの実行時間を最適化するセル電圧のことを指す。再充電可能電気化学セルを、そのセルの「最適放電深度」(例えばSLAセルで約1.6ボルト)よりも深くまで放電させた場合には、そのセルの供給実行時間が大幅に短縮される可能性がある。例えばリチウム・イオン・セルを深く放電させると、セルがダメージを受け、セルの将来の充電サイクル数および効率が低下する可能性がある。しかし、ニッケル・カドミウム(NiCd)電気化学セルでは、「メモリ」効果によって将来の放電サイクルでのセルの実行時間が短縮し、これによってセルの寿命が短くなることを防ぐために、より深くまで放電させるほうが好ましい。
用語「電気的に接続される」、「電気接続」は、連続して電流を流すことができる接続または結合を指す。用語「電子的に接続される」および「電子接続」は、トランジスタ、ダイオードなどの電子装置が電流経路上に含まれる接続を指す。本出願では「電子接続」を「電気接続」のサブセットと考える。すなわち「電子接続」は全て「電気接続」であるが、全ての「電気接続」が「電子接続」であるわけではない。
本発明のバッテリは、一次または再充電可能バッテリの放電サイクルでエネルギー回収を最適化し、かつ再充電可能バッテリの場合に放電サイクル数を最大にすることによってバッテリの供給実行時間を延ばす1つまたは複数のコントローラを含む。例えば本発明の一実施形態では、コントローラが、(1)放電制御機能、(2)充電制御機能、(3)非常時切断制御機能を実行する。1つまたは複数の電気化学セルをパッケージングして、単一セル・バッテリまたは多セル・バッテリとすることができる。多セル・バッテリは、2つ以上の同じ種類の電気化学セルを含むこと、またはハイブリッド・バッテリにおいて2つ以上の異なる種類の電気化学セルを含むことができる。本発明の多セル・バッテリは、直列および/または並列に電気的に配置された電気化学セルを含むことができる。単一セル・バッテリのコントローラは、セルの容器の内部の電気化学セルと直列および/または並列に電気的に接続することができ、セルの容器を少なくとも部分的に含むハウジングの内部にパッケージングするか、あるいは容器、ハウジング、ラベル、または容器もしくはハウジングに貼付されたその他の構造に取り付けることができる。多セル・バッテリではコントローラを、単一セル・バッテリに関して説明したのと同様に1つまたは複数の個別セルとともにパッケージングすること、および/または複数の電気化学セルの組合せとともにパッケージングし、コントローラがこの電気化学セルの組合せと直列または並列に接続されるようにすることができる。
本発明のバッテリのコントローラは先に挙げた1つまたは複数の機能を実行することができ、先に挙げた機能に加えてその他の機能も実行することができる。本発明のバッテリのコントローラは、所望の機能のうちの1つをそれぞれ実行する1つの回路を含むこと、または所望の機能のうちの1つまたは複数をそれぞれ実行する個別のサブコントローラを含むことができる。さらに、サブコントローラは、個々のサブコントローラに制御信号を供給することができる検知回路などの回路を共用することができる。
図1〜3に一般的な円筒形バッテリ10の構造を、議論の目的上簡略化して示す。それぞれの円筒形バッテリ10の構造は、異なる構成で配置された同じ基本構造部品を有する。それぞれのケースで構造は、ジャケットまたは側壁14を有する容器12、正端子20を含む頂部キャップ16、および負端子22を含む底部キャップ18を含む。容器12は、単一の電気化学セル30を包囲する。図1に、亜鉛−炭素電気化学セル30から成る円筒形単一セル・バッテリ10に対して使用することができる構成を示す。この構成では頂部キャップ16全体が導電性であり、バッテリ10の正端子20を形成する。絶縁座金またはシール24が導電性頂部キャップ16を電気化学セル30から絶縁する。電極または集電器26は、バッテリ10の外部正端子20と電気化学セル30のカソード(正極)32とを電気的に接続する。底部キャップ18も全体が導電性であり、バッテリ10の外部負端子22を形成する。底部キャップは、電気化学セル30のアノード(負極)34に電気的に接続される。アノード34とカソード32の間には隔離板28が配置され、電解質を介したイオン伝導手段を提供する。例えば亜鉛−炭素バッテリは一般に、このタイプの配置でパッケージングされる。
図2に、底部キャップ18を電気化学セル30から絶縁する絶縁座金またはシール25が示された代替バッテリ設計を示す。このケースでは、頂部キャップ16全体が導電性であり、バッテリの正端子20を形成する。頂部キャップ16は、電気化学セル30のカソード32に電気的に接続される。やはり導電性の底部キャップ18がバッテリの負端子22を形成する。底部キャップ18は、集電器26を介してバッテリ・セル30のアノード34に電気的に接続される。アノードとカソードの間には隔離板28が配置され、電解質を介したイオン伝導手段を提供する。例えば、一次および再充電可能アルカリ(亜鉛/二酸化マンガン)バッテリは一般に、このタイプの配置でパッケージングされる。
図3に、電気化学セル30が「らせん巻きゼリー・ロール(spirally wound jelly roll)」構造として形成された他の代替バッテリ設計を示す。この設計では4つの層が、互いに隣接して「積層型」構造に配置される。この「積層型」構造は例えば、カソード層32、第1の隔離板層28、アノード層34、第2の隔離板層28をこの順番に含む。代替として、カソード層32とアノード層34の間に配置されていない第2の隔離板層28の代わりに絶縁層を用いることができる。次いでこの「積層型」構造を巻いて、円筒形らせん巻きゼリー・ロール構成とし、バッテリ10の容器12の中に配置する。頂部キャップ16を電気化学セル30から絶縁する絶縁座金またはシール24が示されている。このケースでは頂部キャップ16全体が導電性であり、バッテリ10の正端子20を形成する。頂部キャップ16は、集電器26を介して電気化学セル30のカソード層32に電気的に接続される。やはり導電性の底部キャップ18がバッテリの負端子22を形成する。底部キャップ18は、導電性底部プレート19を介してバッテリ・セル30のアノード34に電気的に接続される。カソード層32とアノード層34の間には隔離板28が配置され、電解液を介したイオン伝導手段を提供する。頂部キャップ16と底部キャップ18の両方に接続された側壁14が示されている。このケースでは側壁14が、ポリマーなどの非導電性材料から形成されることが好ましい。しかし、側壁14が少なくとも正端子20および/または負端子22から絶縁され、これによって2つの端子間に短絡が生じない場合には、側壁を、金属などの導電材料から製作することもできる。例えば、一次リチウム二酸化マンガン(MnO2)バッテリなどの一次および再充電可能リチウム・バッテリ、ならびに再充電可能リチウム・イオンおよびニッケル・カドミウム(NiCd)バッテリはしばしばこのタイプの配置でパッケージングされる。
これらのそれぞれのセルはさらに、当技術分野で周知のさまざまな形態の安全ベント、動作に空気交換が必要な電気化学セル用の動作ベント、容量指示器、ラベルなどを含むことができる。さらにこれらのセルを、ボタン形、コイン形、または角柱形のセル、フラット・プレート、バイポーラ・プレートセルなど、当技術分野で周知のその他の構造に構築することができる。
本発明の目的上、バッテリ「容器」12は単一の電気化学セル30を収容する。容器12は、電気化学セル30の2つの電極32、34、隔離板および電解質を、環境および多セル・バッテリ中のその他の電気化学セルから絶縁および保護し、電気化学セル30から容器の外部に電気エネルギーを供給するのに必要な全ての部品を含む。したがって図1および2の容器12は側壁14、頂部キャップ16、底部キャップ18、ならびにセル30の電気接続を提供する正端子20および負端子22を含む。多セル・バッテリでは容器を、単一の電気化学セル30を含む個別構造とすることができ、この容器12を、多セル・バッテリ内の複数の個別容器の1つとすることができる。多セル・バッテリのハウジングが、1つの電気化学セル30の電極および電解質を環境およびそのバッテリ中のその他のそれぞれのセルから完全に分離する場合には、代替として、容器12をハウジングの一部によって形成することもできる。容器12は、金属などの導電材料とプラスチック、ポリマーなどの絶縁材料とを組み合せて製作することができる。
しかしこの容器12は、電極および電解質をそれぞれ含む個々に分離された別個のセル630を含む多セル・バッテリのハウジングと区別しなければならない。例えば標準9ボルト・アルカリ・バッテリのハウジングは図6に示すように、容器612をそれぞれ含む6つの個別のアルカリ・セル630を包囲する。しかしいくつかの9ボルト・リチウム・バッテリでは、バッテリのハウジング611が、電気化学セル30間で電極および電解質を分離する複数の個別チャンバを有するように形成され、したがってハウジングが、それぞれのセルに対する個々の容器12と多セル・バッテリ610全体に対するハウジング611の両方を兼ねる。
図5A、5Bおよび5Cに、円筒形単一セル一次バッテリ210、310および410の本発明の3つの実施形態の部分分解図を示す。図5Aでは、バッテリ210の頂部キャップ216と絶縁座金224の間にコントローラ240が配置されている。コントローラ240の正出力242は、コントローラ240に直接に隣接したバッテリ210の正端子220に電気的に接続され、コントローラ240の負出力244はバッテリ210の負端子222に電気的に接続される。この例では、コントローラ240の負出力244が、導電性ストリップ245およびバッテリ210の導電性底部キャップ218の負端子222と電気的に接触した導電性側壁214を介してバッテリ210の負端子222に接続される。このケースでは導電性側壁が、頂部キャップ216から電気的に絶縁されていなければならない。コントローラ240の正入力246は、集電器226を介して電気化学セル230のカソード232に電気的に接続される。コントローラ240の負入力248は、導電性ストリップ237を介して電気化学セル230のアノード234に電気的に接続される。代替としてコントローラ240を、底部キャップ218と絶縁体225の間に配置するか、あるいはバッテリの容器またはラベルの外側に取り付けるか、貼り付けるか、または接合してもよい。
図5Bではコントローラ340が、バッテリ310の底部キャップ318と絶縁体325の間に配置されている。コントローラ340の負出力344は、コントローラ340と直に隣接したバッテリ310の負端子322に電気的に接続され、コントローラ340の正出力342はバッテリ310の正端子320に電気的に接続される。この例では、コントローラ340の正出力342が、バッテリ310の導電性頂部キャップ316の正端子320と電気的に接触した導電性側壁314を介してバッテリ310の正端子320に接続される。コントローラ340の正入力346は、導電性ストリップ336を介して電気化学セル330のカソード332に電気的に接続される。コントローラ340の負入力348は、電気化学セル330の底部プレート319からアノード334の中に延びる集電器326を介して電気化学セル330のアノード334に電気的に接続される。このようなケースでは、コントローラ340が仮想接地を使用する場合に、集電器326およびコントローラ340の負入力348が、容器312の負端子322およびコントローラ340の負出力344から絶縁されていなければならない。代替としてコントローラ340を、頂部キャップ316と絶縁体324の間に配置するか、あるいは容器312の外側またはバッテリのラベルに取り付けるか、貼り付けるか、または接合してもよい。
図5Cではコントローラ440が、厚膜印刷技術を使用したラッパ(wrapper)または可撓性プリント回路板(「PCB」)441上に形成され、容器の内側の側壁414とバッテリ410のカソード432の間に配置されている。コントローラ440の正出力442は、バッテリ410の頂部キャップ416を介してバッテリ410の正端子420に電気的に接続され、コントローラ440の負出力444は、底部プレート419および底部キャップ418を介してバッテリ410の負端子422に電気的に接続される。コントローラ440の正入力446は、この例ではコントローラ440を含むラッパ441に直に隣接した電気化学セル430のカソード432に電気的に接続される。コントローラ440の負入力448は、接点プレート431および接点プレート431から電気化学セル430のアノード434の中に延びる集電器426を介して電気化学セル430のアノード434に電気的に接続される。絶縁座金427が、接点プレート431をカソード432から分離する。集電器426がアノード434から接点プレート431への接続を提供するため、図5Cに示すように絶縁座金がアノード434と接点プレート431の間に延びていてもよい。コントローラ440が仮想接地を使用する場合には、接点プレート431も、底部プレート419および負端子422から絶縁座金425などによって絶縁されていなければならない。代替としてラッパ441を、側壁414の外周に巻きつけて容器412の外側に配置してもよい。このような実施形態ではラッパを覆ってラベルを付けるか、またはコントローラ自体と同じラッパ上にラベルを印刷する。
図6に、それぞれの電気化学セル630がセルの個別容器612の内部にコントローラ640を有する本発明の9ボルト多セル・バッテリ610の部分断面透視図を示す。この実施形態ではバッテリ610が、公称電圧がそれぞれ約1.5ボルトの6つの個別電気化学セル630を含む。バッテリ610が例えば、公称電圧がそれぞれ約3ボルトの3つのリチウム・セルを含むこともある。当技術分野ではその他の多セル・バッテリ構造も知られており、それらを使用して本発明のコントローラ640を収容してもよい。多セル・バッテリには例えば、少なくとも実質的に一体に収縮包装された個別容器および複数の単一セル容器を含むプラスチック・ハウジングを有する、ビデオカメラや携帯電話のバッテリなどの角柱形バッテリが含まれる。
図4、4Aおよび4Bに、本発明のバッテリ110のさまざまな実施形態のブロック図を示す。図4に、埋込み型内蔵コントローラ回路140を利用する本発明のバッテリ110の一実施形態のブロック図を示す。この実施形態では、ディジタルとアナログの両方の構成部品を有する混合モード集積回路を利用することが好ましい。代替としてこのコントローラ回路を、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、ハイブリッド・チップ設計、PCボードまたは当技術分野で周知のその他の形態の回路製作技術を使用して製作することができる。コントローラ回路140は、バッテリ容器112の内部の電気化学セル130の正極132、負極134とバッテリの正端子120、負端子122との間に配置することができる。したがってコントローラ140は、電気化学セル130を容器112の端子120、122に接続すること、または電気化学セル130を容器112の端子120、122から切断すること、あるいはバッテリ端子120、122に適用されるセル130の出力電圧または出力インピーダンスを変更すること、または安定させることができる。図4Aに、図4に示した本発明のバッテリ110の好ましい一実施形態を示す。図4Aではコントローラ140が、電気化学セル130の正極(カソード)132とバッテリ容器112の正端子120の間に接続されている。電気化学セル130の負極(アノード)134およびバッテリ容器112の負端子122は、コントローラ140と接地を共用する。図4Bに、コントローラ140が仮想接地上で動作し、電気化学セル130の負極134を容器112の負端子122から分離し、さらに電気化学セル130の正極132を容器112の正の端子120から分離する本発明のバッテリ110の好ましい代替実施形態を示す。
図4Aおよび4Bに示した実施形態はそれぞれ利点および欠点を有する。例えば図4Aの構成では、ボルタ・セル130、コントローラ140およびバッテリ容器112の負端子122用の共通接地を有するより単純な回路設計が可能である。しかし図4Aの構成には、真の電気化学セル電圧レベル下で機能する変換器が必要であるという欠点があり、別個の誘導部品の使用が必要となる可能性がある。図4Bの構成ではバッテリ容器112の負端子122に適用された仮想接地が、電気化学セル130の負極134を負荷から分離し、ほとんど誘導部品のないDC/DC変換器またはチャージ・ポンプの使用を可能にする。しかしこの構成には、セル電圧が電気化学セルの規定電圧レベルより低いときにコントローラ140の電圧変換器がより効率的に動作するようにするため、仮想接地の回路をより複雑にする必要があるという欠点がある。
図4Cに、内蔵コントローラ回路140を有する本発明のバッテリ110の他の実施形態を示す。コントローラ回路140は4つの主要構成部品、すなわち放電サブコントローラ回路102、充電サブコントローラ回路104、非常時サブコントローラ回路106、および連続的または断続的に検知した動作パラメータおよび/または物理状態に基づいて放電サブコントローラ回路102および/または充電サブコントローラ回路104に電圧制御信号を供給する検知回路105を含む。検知回路105は、セル電圧、セルから引き出された電流、セルの電圧と電流の間の位相シフトなどの電気化学セル130の動作パラメータを測定することができる。さらに検知回路105は、出力電圧レベル、出力電流レベル、充電電圧レベル、充電電流レベルなどの内蔵コントローラ回路140の動作パラメータを測定することもできる。さらに検知回路は、温度、圧力、水素および/または酸素濃度などの電気化学セルの物理的な状態も測定することができる。当技術分野で周知のように、または後に説明するように、検知回路105はこれらのパラメータまたは状態を、充電または放電サイクル中に電気化学セルを効果的にモニタするのに足る任意の組合せで測定することができる。
しかし本発明のバッテリ110の内蔵コントローラ回路140が先に挙げたそれぞれの機能を実行する必要はない。コントローラ回路140は例えば、先に挙げた構成部品のうち、放電サブコントローラ回路102と検知回路105、充電サブコントローラ回路104と検知回路105、非常時サブコントローラ回路106と検知回路105、またはこれらの任意の組合せなど、2つまたは3つの部品だけを有するのでもよい。あるいは、コントローラ回路140の特定の実施形態に含まれる放電サブコントローラ回路102、充電サブコントローラ回路104および/または非常時サブコントローラ回路106自体が、これらのそれぞれの機能を実行するのに必要な内部検知回路を含む場合には、コントローラ回路140が検知回路105を持たなくてもよい。さらに、放電サブコントローラ回路102または充電サブコントローラ回路104、あるいはその両方が非常時サブコントローラ106の機能をも実行してもよい。コントローラ回路140は、先に挙げた1つまたは複数のサブコントローラまたは検知回路、ならびに先に挙げた機能の他の機能を実行するその他のサブコントローラを有することができる。
放電サブコントローラ回路102は、安全な深い放電を実施して一次バッテリの蓄積エネルギーをより多く使用することによって、または再充電可能バッテリの蓄積エネルギーを再充電前に最適に使用することによってバッテリの供給実行時間を延ばすため、バッテリ110の電気化学セル130の放電を制御する。充電サブコントローラ回路104は、コントローラ回路140が内蔵されたバッテリ110の電気化学セル130の充電を安全かつ効率的に制御する。非常時サブコントローラ106は、検知回路105が短絡、逆極性、過充電状態、過放電状態などの危険な状態を検出したときに電気化学セルをバッテリ端子から切断する。
しかし本発明の一次バッテリの好ましい実施形態では、コントローラ140が放電サブコントローラ回路102、非常時サブコントローラ106および検知回路105を含むことが好ましい。検知回路105は、電気化学セル130の動作パラメータおよび物理状態を連続的にモニタすることが好ましい。放電サブコントローラ回路102は、バッテリを廃棄する前の供給実行時間を延ばすためにバッテリ110の一次電気化学セル130をより安全かつより深く放電させることが好ましい。非常時サブコントローラ回路106は、検知回路が危険な状態を検出したときに、電気化学セルをバッテリ端子120、122から切断することが好ましい。
本発明の再充電可能バッテリ110の好ましい一実施形態ではコントローラ回路140がさらに、充電サブコントローラ回路104を含む。充電サブコントローラ回路104は、コントローラ回路140が内蔵されたバッテリ110の電気化学セル130の充電を安全かつ効率的に制御する。検知回路105は、コントローラ回路140の動作パラメータおよび電気化学セル130の物理状態を連続的かつ直接にモニタすることが好ましい。検知回路105は例えば、セル電圧、充電電流、電気化学セルの内部インピーダンス、水素または酸素濃度、pH、温度、圧力、あるいは当技術分野で周知のその他の動作パラメータまたは物理状態をモニタすることができる。
特に好ましい一実施形態では、それぞれの電気化学セルがその特定のセルの状態をモニタする内蔵コントローラ回路140を有する。それぞれの特定のセルの状態を直接にモニタすることによって充電サブコントローラ105は、複数の電気化学セルを有するバッテリをモニタする周知の充電コントローラよりも大きな安全および効率を提供することができる。充電サブコントローラ105は、セルの瞬時充電値およびセルの最大容量を利用して充電状態を連続的に最適化することにより、損失を最小限に抑える。
それぞれのコントローラは、(1)放電サブコントローラ102、(2)充電サブコントローラ104および/または(3)非常時サブコントローラ106のうち、1つまたは複数のサブコントローラを含むことができる。議論を分かりやすくするためコントローラの諸機能を、サブコントローラに関して説明する。しかし本発明のコントローラ140を実際に実現する際には、それぞれの機能に対して独立した回路を実装する必要はない。コントローラが実行する複数の機能を結合して単一の回路とすることができ、またそのほうが好ましいからである。例えばそれぞれのサブコントローラが、コントローラの1つまたは複数の動作パラメータおよび/または電気化学セルの1つまたは複数の物理状態を測定する独自の内部検知回路を備えてもよいし、あるいは独立した検知回路が、これらのパラメータおよび/または状態を測定し、これらのパラメータおよび/または状態ならびに/あるいはこれらに関係した制御信号を1つまたは複数のサブコントローラに供給してもよい。さらにコントローラは、本明細書で挙げた1つまたは複数の機能に加えてその他の機能を実行する追加または代替のサブコントローラを備えてもよい。
放電サブコントローラ
放電サブコントローラ102は、本発明の一次または再充電可能バッテリの供給実行時間を複数の方法の1つで延ばすことができる。第1に、少なくとも1つの一次電気化学セル、または充電する前に完全に放電させておくことが好ましい(例えばNiCdセルは約100%まで放電させることが好ましい。ただしそれを超える放電は好ましくない)少なくとも1つの再充電可能セルを含む多セル・バッテリの場合、放電サブコントローラは、バッテリの1つまたは複数の電気化学セルを普通ならば可能な深度よりも深く電子装置が放電させることができるようにする。例えば放電サブコントローラは、単一セル・バッテリが、装置のカットオフ電圧よりもセル電圧が下がった点を越えて放電することができるようにする。一次バッテリの場合、バッテリを廃棄する前に電気化学セルを可能な限り深く放電させることによって、バッテリの供給実行時間を延ばすことができる。しかし再充電可能バッテリでは、電気化学セルを最適放電深度まで放電させることによってバッテリ供給実行時間を延ばす。したがって、再充電可能電気化学セルの最適放電深度が、この再充電可能バッテリが給電している装置のカットオフ電圧よりも低い場合、再充電可能セルをその装置のカットオフ電圧を越えて放電させることができれば、再充電可能バッテリの供給実行時間を延ばすことができる。
本出願において用語「深い放電」とは、電気化学セルを、その電気化学セルの定格容量の少なくとも80%まで放電させることを指す。さらに、本出願で用語「かなりの放電」は、電気化学セルをその電気化学セルの定格容量の少なくとも70%まで放電させることを指す。「過放電」は本出願では、電圧反転につながる可能性がある100%を超える電気化学セルの放電を指す。例えば現在市販されている一般的なアルカリ・バッテリは一般に、電気化学セルの電圧レベルが所与の電子装置を駆動するには不十分な電圧レベルに落ちる前までにその蓄積エネルギー容量の約40〜70%を送出することができる。したがって本発明のサブコントローラが、バッテリが給電を停止する前に約70%超の放電が可能なアルカリ・セルを提供することが好ましい。放電サブコントローラが約80%を超える放電レベルを提供することがより好ましい。放電サブコントローラが約90%を超える放電レベルを提供することがより好ましく、約95%を超える放電レベルを提供することが最も好ましい。
放電サブコントローラ102は、一次または再充電可能バッテリのセル電圧を所望の出力電圧に変換する変換器を含むことができる。一次バッテリではこの変換器によって、電気化学セルをより深く放電させることができるようになり、これによってバッテリの供給実行時間が延びる。しかし再充電可能バッテリではこの変換器によって、コントローラが、所与の装置のカットオフ電圧から独立した最適放電深度まで再充電可能バッテリを放電させることができるようになる。本発明の一実施形態では放電サブコントローラが、バッテリの実行時間にわたってセル電圧を所望の出力電圧に連続的に変換する。セル電圧が、バッテリ放電が普通なら停止される装置のカットオフ電圧レベルまで低下すると、変換器は、バッテリの出力のところでこのセル電圧を装置を駆動し続けるのに十分なレベルまで上昇させ、この操作を、セル電圧レベルが、放電サブコントローラを駆動するのに最低限必要な電圧、または再充電可能電気化学セルでは最適放電深度を下回るまで続ける。したがって、他のバッテリのサブコントローラよりも低い電圧レベルで動作することができるサブコントローラ設計を有するバッテリは、セル電圧レベルとは独立により深く放電することができるバッテリとなる。
本発明の好ましい実施形態ではこの変換器が、セル電圧が所定の電圧レベル以下に落ちたときにだけ動作する。このような実施形態では、変換器が必要なときにだけ動作するので変換器の内部損失が最小限に抑えられる。この所定の電圧レベルが、電気化学セルの公称電圧から、そのバッテリが動作する対象である装置クラスの最も高いカットオフ電圧までの範囲に含まれることが好ましい。この所定の電圧レベルが、そのバッテリが動作する対象である装置クラスの最も高いカットオフ電圧よりもわずかに大きいことがより好ましい。例えばこの所定の電圧レベルを、そのバッテリが動作する対象である装置クラスの最も高いカットオフ電圧付近からそのカットオフ電圧に約0.2ボルトを加えた電圧までの範囲に含まれるものとすることができ、この所定の電圧レベルが、そのバッテリが動作する対象である装置クラスの最も高いカットオフ電圧付近からそのカットオフ電圧に約0.15ボルトを加えた電圧までの範囲に含まれることが好ましく、そのバッテリが動作する対象である装置クラスの最も高いカットオフ電圧付近からそのカットオフ電圧に約0.1ボルトを加えた電圧までの範囲に含まれることがより好ましく、そのバッテリが動作する対象である装置クラスの最も高いカットオフ電圧付近からそのカットオフ電圧に約0.05ボルトを加えた電圧までの範囲に含まれることがより好ましい。例えば公称電圧が約1.5ボルトの電気化学セルではこの所定の電圧が一般に、約0.8ボルト〜約1.8ボルトの範囲に含まれる。この所定の電圧が約0.9ボルト〜約1.6ボルトの範囲に含まれることが好ましい。この所定の電圧が約0.9ボルト〜約1.5ボルトの範囲に含まれることがより好ましい。この所定の電圧が約0.9ボルト〜約1.2ボルトの範囲に含まれることがより好ましく、約1.0ボルト〜約1.2ボルトの範囲に含まれることがより好ましい。そのバッテリが動作する対象である装置クラスの最も高いカットオフ電圧に等しいか、またはこれよりもわずかに高い電圧レベルが最も好ましい。しかし、公称電圧が約3.0ボルトの電気化学セルに対して動作するように設計されたサブコントローラではこの所定の電圧が一般に、約2.0ボルト〜約3.4ボルトの範囲に含まれる。この所定の電圧が約2.2ボルト〜約3.2ボルトの範囲に含まれることが好ましい。この所定の電圧が約2.4ボルト〜約3.2ボルトの範囲に含まれることがより好ましい。この所定の電圧が約2.6ボルト〜約3.2ボルトの範囲に含まれることがより好ましく、約2.8ボルト〜約3.0ボルトの範囲に含まれることがより好ましい。そのバッテリが動作する対象である装置クラスの最も高いカットオフ電圧に等しいか、またはこれよりもわずかに高い電圧レベルが最も好ましい。
セル電圧がこの所定の電圧レベル以下に落ちると、放電サブコントローラはこの変換器をオンにし、セル電圧を、負荷を駆動するのに十分な所望の出力電圧まで上昇させる。これによって、セル電圧が負荷を駆動するのに十分に高いものであるときには必要のない変換器の損失が排除され、セル電圧が負荷を駆動するのに必要なレベルよりも低下した後も、一次セルの場合にはセル電圧が変換器の最小動作電圧に達するまで、再充電可能セルの場合にはセルのセル電圧が最適放電深度に達するまで電気化学セルが放電し続けることができるようになる。放電サブコントローラは、セル電圧が所定の電圧レベルよりも下がったときに変換器をオンにする単純な電圧比較器と電子スイッチの組合せから、後に説明するようなより複雑な制御方式に至るまでのいくつかの制御機構のうち、1つまたは複数の機構を使用することができる。
所与の出力電圧に対して設計された本発明のユニバーサル・バッテリは、装置への給電に使用されたときに自体の供給実行時間を延ばすことができることが好ましい。本出願で使用する「ユニバーサル」バッテリとは、セルの電気化学性とは独立に均一な出力電圧を供給することができるバッテリである。したがって本発明のユニバーサル・バッテリは、一次電気化学セルの電圧が、それよりも低いとサブコントローラがもはや動作することができなくなるレベルにまで下がったとき、または再充電可能電気化学セルの電圧がその最適放電深度まで下がったときに内蔵サブコントローラが動作を停止するまで、バッテリの出力電圧を所与の装置のカットオフ電圧に等しいか、またはそれよりも高いレベルに維持することによってその供給実行時間を延ばすように設計されることが好ましい。特定の電子装置または同程度のカットオフ電圧を有する狭いクラスの電子装置群に給電するように設計された本発明のバッテリは、所定の電圧レベルをこれらの装置のカットオフ電圧により密接に整合させることによって、より効率的に動作するように特に設計することができる。
第2に、放電サブコントローラ102を使用し、セルの放電を最適化して充電サイクルの回数または効率を増大させることによって、再充電可能電気化学セルの供給実行時間を延ばすことができる。例えば密封鉛−酸セルでは、深い放電によってこのセルがダメージを受け、かつ/または将来の再充電サイクルの回数または効率が低減する可能性がある。例えば放電サブコントローラは、特定の種類の再充電可能電気化学セルの放電を、セル電圧が、その特定の電気化学セルの最適放電深度またはそのタイプの電気化学セルの最適放電深度である所定の電圧レベルに達したときに放電サイクルが終わるように制御することができる。例えば鉛−酸再充電可能電気化学セルではこの所定の電圧レベルが約0.7ボルト〜約1.6ボルトの範囲に含まれることが好ましく、約0.7ボルトであることがより好ましい。例えばリチウムMnO2再充電可能電気化学セルでは、この所定の電圧レベルが約2.0ボルト〜約3.0ボルトの範囲に含まれることが好ましく、約2.4ボルトであることが最も好ましい。あるいは放電サブコントローラが、再充電可能電気化学セルの内部インピーダンスが、その特定の電気化学セルまたはそのタイプの電気化学セルの最も高い最適放電深度に対応した所定のインピーダンス・レベルに達したときに放電サイクルを終了させるものであってもよい。したがって、最適放電深度よりも深く放電されないことが好ましい少なくとも1つの再充電可能電気化学セルを含む本発明のバッテリでは、放電サブコントローラを使用し、セル電圧が所定の電圧レベルに達したとき、またはセルの内部インピーダンスが、所定の内部インピーダンス・レベルに達したとき、放電サイクルを終了させることによって、バッテリの供給実行時間を延ばすことができる。
第3に放電サブコントローラは、所望の出力電圧よりも高い公称電圧を有する電気化学セルのセル電圧を下げ、かつ/またはバッテリの電気化学セルの出力インピーダンスを変更することができる。これによって、バッテリの実行時間が延びるだけでなく、異なる公称電圧を有する電気化学セル間の互換性を通常可能であるよりも高めること、より高い公称電圧を有する電気化学セルのより高い蓄電電位を設計者が利用できるようにすること、および設計者が、ある種の電気化学セルの出力インピーダンスを変更して、このインピーダンスを所望のレベルに一致させ、これによってその電気化学セルと他の種類の電気化学セルとの間の互換性を増大させ、かつ/または特定の種類の負荷を用いたときのその電気化学セルの効率を増大させること、ができるようになる。さらに、水銀カドミウム・セルなどのように、一般に特定の公称電圧が必要だという理由だけで使用されている、効率の悪い、または環境に有害な、または高価であるなどの電気化学セルを、その応用に必要な公称電圧または出力インピーダンスを満足するために公称電圧を上昇または降下させた、あるいは出力インピーダンスを変更したより安全な、またはより効率的な、またはより安価な電気化学セルで置き換えることができる。
例えば、公称電流が約1.8ボルト以上の電気化学セルを、この高い公称電圧を標準的な公称電圧レベルである約1.5ボルトまで下げるサブコントローラと一緒にパッケージングし、これによってこのバッテリを、公称電圧が約1.5ボルトのバッテリと互換可能に使用することができるようにすることが可能である。具体的な1つの例として、一次リチウムMnO2セルなどの公称電圧が約3.0ボルトの標準リチウム・セルを降圧サブコントローラとともにパッケージングしてバッテリとし、これによってこのバッテリの出力電圧を約1.5ボルトとすることができる。これによって、公称電圧が約1.5ボルトの電気化学セルを有するバッテリの少なくとも2倍の容量を有し、ボリュームが同じバッテリが得られる。さらに、セルの化学エネルギー蓄積を減少するリチウム・セルの化学現象を化学的に引き下げる必要なしに標準アルカリまたは亜鉛−炭素単一セル・バッテリと真に互換可能なリチウム・セルが得られる。また、再充電可能リチウム・イオン・セルの公称電圧は約4.0ボルトである。このセルを降圧コントローラと一緒にパッケージングしてバッテリとし、この単一セル・バッテリの出力電圧を約1.4ボルトにすることができる。この本発明のリチウム・イオン・バッテリは、標準NiCd再充電可能単一セル・バッテリと互換可能であり、同じボリュームを有するNiCd単一セル・バッテリの約2倍〜3倍の容量を提供することができる。
さらに、リチウム・イオン、マグネシウム、マグネシウム空気、アルミニウム空気などの電気化学セルを有するバッテリの公称電圧は約1.8ボルト超であり、これらのバッテリを、公称電圧が約1.5ボルトの標準バッテリと互換可能に使用することができる。異なる種類の電気化学セルを互換可能に使用することができるだけでなく、異なる種類の電気化学セルを一緒にパッケージングしてハイブリッド・バッテリとすることもできる。したがって、さまざまな公称電圧または内部インピーダンスを有する異なる電気化学セルを含む異なる種類のバッテリを互換可能に使用すること、あるいは異なる種類の電気化学セルを有するハイブリッド・バッテリを製造することができる。
あるいは、一般的な電子装置が動作する電圧よりも低い公称電圧を有する電気化学セルを内蔵昇圧変換器を有する放電サブコントローラ102とともに使用して公称電圧を押し上げることができる。これによって、この種の電気化学セルを有するバッテリを、このサブコントローラを使用しない場合にこのセルが供給する電圧よりも高い電圧レベルを必要とする装置とともに使用することができるようになる。さらにこの種のセルを有するバッテリを、標準アルカリまたは亜鉛−炭素電気化学セルと互換可能に使用することもできる。これによって、公称電圧が低すぎて実用的でなかったために普通なら消費者の使用に向けるとは考えられなかった電気化学セルを有するバッテリを、商業的に実現可能で使用に耐えるバッテリとすることができる。
表1に、本発明のバッテリ中で使用することができる例示的な一次、二次および保存型電気化学セルを挙げる。ただしこれらに限定されるわけではない。例えば、異なる公称電圧または内部インピーダンスを有する異なる種類の一次および/または再充電可能電気化学セルを変換器とともに使用して、標準1.5ボルト・アルカリ一次または再充電可能バッテリあるいは標準1.4ボルトNiCd再充電可能バッテリと同じ出力電圧を有するユニバーサル単一セル・バッテリを作り出すことができる。さらに、一次、二次および/または保存型セルを、本発明のハイブリッド多セル・バッテリ中で一緒に使用することができる。事実、本発明は、さまざまな種類の電気化学セル間の互換性、および電気化学セルと燃料セル、コンデンサなどの代替電源装置との間の互換性をこれまでになく高める。互換可能バッテリを製作する際により多様なセルを使用できるようにするため、それぞれの電気化学セルの中にコントローラを配置することによって、異なる種類の電気化学セルの公称電圧、出力インピーダンスなどの電気特性を調整することができる。その他の種類のセルを含むバッテリとの互換性を維持しつつ電気化学セルの特定の利点を利用できるよう、バッテリを特別に設計することができる。さらに本発明を使用し、電気化学セルの公称電圧を標準電圧レベルに変換することによって新たな標準電圧レベルを生み出すことができる。
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さらに、普通なら互換性のない電気化学セルを、特定の種類の応用のために特別に設計されたハイブリッド・バッテリ中で一緒に使用することができる。例えば亜鉛−空気電気化学セルを、ハイブリッド・バッテリ中でリチウム・セルと並列または直列に接続して一緒に使用することができる。亜鉛−空気セルは公称電圧が約1.5ボルトであり、非常に高いエネルギー密度を持つが、低く安定した電流レベルしか供給することができない。しかしリチウム・セルは、公称電圧が約3.0ボルトであり、高い電流レベルの短バーストを供給することができる。それぞれの電気化学セルの放電サブコントローラは同じ公称出力電圧を提供し、並列または直列電気構成に配置することを可能にする。セルが並列構成であるとき、この放電サブコントローラはさらに、セルが相互に充電し合うことを防ぐ。それぞれのセルの放電サブコントローラを使用して、負荷の必要に応じてどちらか一方のセルまたは両方のセルを接続または切断することができる。したがって負荷が低電力モードにあるときには、安定した小電流を供給するため亜鉛−空気セルを接続することができ、負荷が高電力モードにあるときにはリチウム・セル単独で、またはリチウム・セルと亜鉛−空気セルを組み合わせて、負荷に給電するのに必要な電流を供給することができる。
ハイブリッド・バッテリはさらに、一次セルと二次セル、一次セルと保存型セル、二次セルと保存型セル、一次セルと二次セルと保存型セルなどの多くの異なる組合せの電気化学セルを含むことができる。さらにハイブリッド・バッテリは、1つまたは複数の電気化学セルと、燃料、従来のコンデンサ、さらにはスーパー/ウルトラ・コンデンサなどの1つまたは複数の追加電源装置との組合せを含むことができる。例えばハイブリッド・バッテリは、アルカリ・セルと金属−空気セル、金属−空気セルと二次セル、金属−空気セルとスーパー・コンデンサの組合せなどを含むことができる。ハイブリッド・バッテリはさらに、前述のセルまた電源装置のうちの2つ以上のセルまた電源装置の任意の組合せを含むことができる。
さらに、放電サブコントローラは、電気化学セル構成部品の動作を阻害しセル電圧を低下させる電流ピークから電気化学セルを保護することによってもバッテリの供給実行時間を延ばすことができる。例えば放電サブコントローラは、高い電流需要によってセルにメモリ効果が発現し、電気化学セルの実行時間が短縮することを防ぐことができる。電流ピークは、アルカリ、リチウム、NiCd、SLA、金属水素化物、亜鉛−空気セルなどの電気化学セルにとっても有害である。
放電サブコントローラは、急な需要があったときに利用できるように自体の出力のところに電荷を一時的に蓄えることによって電気化学セルを電流ピークから保護することができる。したがって電流ピーク需要は、電気化学セルに達する前に完全に排除されるか、またはかなり低減される。これによって、電気化学セルが直接に供給できるよりも高い電流ピークをバッテリが供給できるようになり、セル構成部品に害を与える可能性がある電流ピークから電気化学セルが保護される。この一時蓄電部品がコンデンサであることが好ましい。このコンデンサは、従来のコンデンサ、厚膜プリント・コンデンサ、「スーパー/ウルトラ・コンデンサ」などの当技術分野で周知の任意の種類のコンデンサでよい。例として図13に、容器1312の出力端子1320と1322をまたいで接続されたコンデンサCfを示す。
単一の放電サブコントローラは、セルを電流ピークから保護しセル電圧を所望の出力電圧に変換することによって、バッテリの供給実行時間を延ばすことが好ましい。例えば放電サブコントローラの好ましい一実施形態は、変換器に関連した損失を最小限に抑えるためセル電圧が所定の電圧まで下がったときに変換器をオンにする。この同じサブコントローラは、セル電圧および出力負荷電流をモニタし、セル電圧が所定の電圧レベルに達するか、または負荷電流が所定の電流レベルに達した場合に変換器をオンにすることができる。あるいは放電サブコントローラが、セル電圧および出力負荷電流をモニタし、必要な負荷電流の供給によってセル電圧がカットオフ電圧レベルよりも下がるかどうかを判定してもよい。後の例ではサブコントローラが、変換器をオンにすべきかどうかを判定するアルゴリズム中で結合された2つの入力信号を受けて動作している。しかし前の例では、セル電圧が所定の電圧レベルまで低下するか、または出力負荷電流が所定の電流レベルまで上昇した場合にサブコントローラが変換器をオンにする。これらについては、その他の可能な制御方式とともに後にさらに詳細に論じる。
本発明は、特殊バッテリならびにAAAA、AAA、AA、CおよびD型セル、9ボルト・バッテリなどの消費者向け標準バッテリに関する。本発明は、さまざまな応用で使用することができる特殊一次バッテリおよびハイブリッド・バッテリの使用を企図する。十分な期間にわたって必要な電流速度を提供する一次バッテリの能力によって現在のところ限られているこれらの特殊バッテリおよびハイブリッド・バッテリを、携帯電話、ラップトップ・コンピュータなどで使用される再充電可能バッテリの代わりに使用することができることが予想される。さらに、セルの出力電圧と出力インピーダンスを個別に制御することができることによって、バッテリ設計者が、異なる種類のセルを組み合わせて、または燃料、従来のコンデンサ、さらには「スーパー/コンデンサ」などの代替電源装置を同じハイブリッド・バッテリ中で使用する全く新しい種類のハイブリッド・バッテリを設計することができるようになる。
さらに、互換可能な電気化学セルの種類が増えることによって、バッテリ設計者が携帯電話、ラップトップ・コンピュータ、ビデオカメラ、カメラなどの特定の装置用にカスタム設計されたバッテリへの依存を減らす標準一次または再充電可能バッテリを提供することができるようになる。消費者は、特定の種類、ブランドおよび/またはモデルの電子装置用に特に製造されたバッテリを購入する代わりに、標準バッテリを、現在、フラッシュライトやテープ・レコーダ用に購入しているのと同じように購入するだけで移動電話に給電することができる。さらに、製造される標準バッテリの数が増加するにつれてバッテリ1つあたりのコストは急速に下がり、その結果バッテリの価格ははるかに手頃なものとなって、最終的には特別に設計された再充電可能バッテリにとって代わることとなろう。さらに、一次バッテリと再充電可能バッテリを互換可能に使用することができる。例えば、ラップトップ・コンピュータの再充電可能バッテリが切れた場合、ユーザは、再充電可能バッテリが充電されるまでの数時間はもつ一次バッテリを購入すればよい。高価なバッテリを備えた装置を用いることにより提供されるある種の高性能レベルを必要としない場合、ユーザは、それよりも安価なバッテリを購入することができる。
写真フィルムなどで使用されている電子ラベリング技術を使用して、バッテリ中のセルの正確な種類、セルの定格および/または残存容量、ピークおよび最適電流送出能力、現在の充電レベル、内部インピーダンスなどを明示することができ、これによって「スマート」装置がこの電子ラベリングを読み、その消費を最適化して、装置の性能を強化したり、バッテリの供給実行時間を延ばしたりすることが可能になる。例えば、既に電子ラベリングを利用してフィルム速度を決定しているカメラでも、特定のバッテリの供給実行時間を最適化するため、電子ラベリング技術をバッテリに利用してフラッシュの充電時間を遅くしたり、フラッシュの使用を止めたりすることができる。ラップトップ・コンピュータでも電子ラベリング技術を利用し、例えば、ユーザが望む期間、バッテリの残りの電荷を最もよく使用するためにその動作速度を変更することによって、またはバッテリのエネルギーを節約するために電源オン/電源オフ技術を利用することによって、特定のバッテリの最も効率的な動作パラメータを決定することができる。さらにビデオ・カメラ、携帯電話などでも電子ラベリングを利用して、バッテリの使用を最適化することができる。
本発明はさらに、AAA、AA、CおよびD型セル、9ボルト・バッテリなどの消費者向け標準バッテリに関する。一次バッテリを、異なる種類の一次または再充電可能バッテリと互換可能に使用できるのに加え、標準一次または再充電可能バッテリを、現在のところカスタム設計されたバッテリだけしか使用できない応用に対して使用可能にすることができる。例えば消費者は自分の必要に応じて、1つまたは複数の一次または再充電可能標準バッテリを購入し、それを、ラップトップ・コンピュータ、ビデオ・カメラ、携帯電話およびその他の携帯電子機器に直接に装填することができる。先に述べたとおり、製造される標準バッテリの数が増加するにつれてバッテリ1つあたりのコストは急速に下がり、その結果バッテリの価格ははるかに手頃なものとなって、最終的には特別に設計された再充電可能バッテリにとって代わることとなろう。
最適放電深度が比較的に低い一次バッテリまたは再充電可能バッテリの供給実行時間を延ばすため、回路製造技術が進歩するにつれいっそう低い電圧で動作する放電サブコントローラを設計することができる。放電サブコントローラを例えば、シリコンカーバイド(「SiC」)実施形態では約0.1ボルト、ガリウム・ヒ素(「GaAs」)実施形態では約0.34ボルト、従来のシリコン・ベースの実施形態では約0.54ボルトという低い電圧レベルで動作するように設計することができる。さらに、印刷サイズが縮小するにつれてこれらの最小動作電圧も低下する。例えばシリコンでは、回路印刷が0.18ミクロン技術にまで縮小すると、最小動作電圧は約0.54ボルトから約0.4ボルトに下がると考えられる。先に説明したとおり、放電サブコントローラの最小必要動作電圧が低いほど、放電サブコントローラはセル電圧を低く調整することができ、これによって一次電気化学セルでは最も深い放電を得ること、または再充電可能電気化学セルではセルを低い最適放電深度まで最適に放電させることができる。したがって、回路製作におけるさまざまな進歩を利用してバッテリの利用率を電気化学セルの蓄積電荷のほぼ100%にまで高めることも本発明は包含する。しかし本発明のシリコン・ベースの実施形態では、バッテリの蓄電電位の最大95%を使用することができ、これは、コントローラのない一次電気化学セルの平均40%〜70%の利用率と比べると非常に高い。
例えばシリコン・ベースの好ましい一実施形態では、放電サブコントローラ102が約1ボルト、より好ましくは約0.85ボルト、より好ましくは約0.8ボルト、より好ましくは約0.75ボルト、より好ましくは約0.7ボルト、より好ましくは約0.65ボルト、より好ましくは約0.6ボルト、最も好ましくは約0.54ボルトと低い電圧で動作するように設計される。公称電圧が約1.5ボルトの電気化学セル用のサブコントローラの設計では、サブコントローラが、少なくとも約1.6ボルトの入力電圧で動作することができることが好ましい。この放電サブコントローラが、少なくとも約1.8ボルトの入力電圧で動作することができることがより好ましい。したがって好ましいサブコントローラは、最低約0.8ボルトから少なくとも1.6ボルトの電圧範囲で動作することができなければならない。ただしこのサブコントローラがこの範囲の外側で動作してもよく、またそのほうが好ましい。
しかし、公称電圧が約3.0ボルトの一次リチウムMnO2セルなどの電気化学セル30とともに使用するように設計された本発明の放電サブコントローラ102の好ましい実施形態では、このサブコントローラが、公称電圧が約1.5ボルトの電気化学セルとともに使用される放電サブコントローラに対して必要な電圧レベルよりも高い電圧レベルで動作することができなければならない。公称電圧が約3.0ボルトの電気化学セルの場合、放電サブコントローラは約2.4ボルト〜約3.2ボルトの範囲で動作可能であることが好ましい。このサブコントローラが、約0.8ボルトから少なくとも約3.2ボルトの電圧範囲で動作可能であることがより好ましい。このサブコントローラが、約0.6ボルトから少なくとも約3.4ボルトの入力電圧範囲で動作可能であることがより好ましい。このサブコントローラが、約0.54ボルトから少なくとも約3.6ボルトの入力電圧範囲で動作可能であることがより好ましく、約0.45ボルトから少なくとも約3.8ボルトの電圧範囲で動作することが最も好ましい。ただしこのサブコントローラがこの範囲の外側で動作してもよく、またそのほうが好ましい。
しかし、公称電圧が約4.0ボルトの再充電可能リチウム・イオン・セルなどの電気化学セル30とともに使用するように設計された本発明の放電サブコントローラ102の好ましい実施形態では、このサブコントローラが、公称電圧が約3.0または約1.5ボルトの電気化学セルとともに使用される放電サブコントローラに対して必要な電圧レベルよりもいっそう高い電圧レベルで動作することができなければならない。公称電圧が約4.0ボルトの電気化学セルの場合、放電サブコントローラは約2.0ボルト〜約4.0ボルトの範囲で動作することができることが好ましい。このサブコントローラが、約0.8ボルトから少なくとも約4.0ボルトの電圧範囲で動作可能であることがより好ましい。このサブコントローラが、約0.6ボルトから少なくとも約4.0ボルトの電圧範囲で動作可能であることがより好ましい。このサブコントローラが、約0.54ボルトから少なくとも約4.0ボルトの入力電圧範囲で動作可能であることがより好ましく、約0.45ボルトから少なくとも約4.0ボルトの電圧範囲で動作可能であることが最も好ましい。ただしこのサブコントローラがこの範囲の外側で動作してもよく、またそのほうが好ましい。
好ましい代替実施形態は、公称電圧が約1.5ボルトの電気化学セルとでも、または公称電圧が約3.0ボルトの電気化学セルとでも動作することができる。この実施形態では放電サブコントローラが約0.8ボルト、好ましくは約0.7ボルト、より好ましくは0.6ボルト、最も好ましくは0.54ボルトの最小入力電圧、および少なくとも約3.2ボルト、好ましくは約3.4ボルト、より好ましくは3.6ボルト、最も好ましくは3.8ボルトの最大入力電圧で動作することができる。例えばこの放電サブコントローラは、約0.54ボルト〜約3.4ボルト、約0.54ボルト〜約3.8ボルト、約0.7ボルト〜約3.8ボルトなどの入力電圧範囲で動作することができる。
本発明のバッテリはさらに、カットオフ電圧を持たないフラッシュライトなどの電気装置とともに使用したときに一般的なバッテリに優る明白な利点を有する。一般的なバッテリではバッテリを放電させるとバッテリの出力電圧は低下する。電気装置の出力パワーはバッテリが供給する電圧に正比例するため、電気装置の出力はバッテリの出力電圧の低下に比例して低下する。例えば、バッテリの出力電圧が低下するにつれてフラッシュライトの電球の輝度はバッテリが完全に放電されるまで暗くなり続ける。しかし本発明のバッテリは、電気化学セル30の電圧がそれよりも低ければサブコントローラが動作することができるレベルに下がるまでバッテリの放電サイクル全体を通してセル電圧を比較的に一定な制御された電圧レベルに調整する放電サブコントローラを有する。その時点でバッテリは給電を停止し、電気装置は動作を停止する。しかし放電サイクル中、電気装置は、バッテリが給電を停止するまで、比較的に安定した出力(例えば電球の輝度)を提供し続ける。
本発明のバッテリの好ましい一実施形態はさらに、ユーザへの低残存電荷警告を含む。例えば放電サブコントローラは、電気化学セルの電圧が所定の値に達したときに電気化学セルをバッテリの出力端子から短時間、断続的に切断し再接続することができる。これによって、バッテリが供給を停止しようとしていることを示す可視、可聴、または装置可読指示を提供することができる。さらにこのサブコントローラは、バッテリ寿命の終わりにバッテリの出力電圧を低下させることによって、加速されたバッテリ放電状態を故意に再現することもできる。例えばこのサブコントローラは、バッテリの蓄電容量がその定格容量の約5%となったときに出力電圧を徐々に低下させることができる。これによって、テープまたはコンパクト・ディスク・プレーヤのボリュームが低下するなどの指示をユーザに与えること、または指示を装置に与え、これに応じて装置がユーザに警告することができるようにすることができる。
図7に、放電サブコントローラ702のDC/DC変換器750が、電気化学セル730の正極732、負極734と容器712の正端子720、負端子722との間に電気的に、好ましくは電子的に接続された本発明の一実施形態のブロック図を示す。DC/DC変換器750は、電気化学セル730の正極732と負極734の間の電圧を容器712の正端子720と負端子722の出力電圧に変換する。DC/DC変換器750は、昇圧変換、降圧変換、または昇圧変換と降圧変換の両方、または出力端子720、722での電圧安定化を提供することができる。この実施形態では、バッテリの実行時間を通して電気化学セル730の出力電圧を、容器の端子720、722での安定な出力電圧に変換するDC/DC変換器750が連続モードで動作する。この実施形態は、容器712の出力端子720、722での出力電圧を安定化する。安定な出力電圧が提供されることによって、電子装置の設計者は、電子装置の電力管理回路の複雑さを低下させること、およびこれに対応して装置のサイズ、重量および費用を低下させることができる。
DC/DC変換器750は、再充電可能電気化学セルの場合には電気化学セル730のセル電圧が電気化学セルの最適放電深度よりも下がるまで、一次電気化学セルの場合には電気化学セル730のセル電圧が変換器750の電子構成部品の最小順バイアス電圧Vfbよりも下がるまで動作し続ける。電気化学セルの最適放電深度またはDC/DC変換器750の最小スイッチング電圧Vfbが、バッテリ710が給電中の電子装置のカットオフ電圧よりも低い範囲で、コントローラ740は、容器712の端子720、722での出力電圧を電子装置のカットオフ電圧よりも高く維持することによって電子装置のカットオフ電圧を越えてバッテリ710を放電させることで、バッテリ710の供給実行時間を延ばす。
図7に示す本発明の好ましい一実施形態では連続モードで動作するDC/DC変換器750が、電気化学セル730のセル電圧を容器712の出力電圧に下げる降圧変換器である。降圧変換器を含む放電サブコントローラ702の一実施形態では、この変換器が、第1の種類の電気化学セル730の電圧を、ほぼ第2の種類の電気化学セルの公称電圧レベルである容器712の出力電圧に下げ、そのため第1の種類の電気化学セル730を含むバッテリが、第2の種類の電気化学セルを含むバッテリと互換可能となる。例えば、標準1.5ボルト・セルよりも高い公称電圧を有する電気化学セルを連続動作する降圧変換器と組み合わて使用して、化学的に変更することなしに標準セルと互換可能のセルを提供することができる。この実施形態は、電気化学セル自体の構造を化学的に変更することなく、かつセルの化学的エネルギー貯蔵を減らすことなく、異なる種類の電気化学セル間の互換性を普通なら可能である程度よりも高めることを可能にする。
例えば一次または再充電可能リチウム・セルを標準AAバッテリ・パッケージで使用して、同じボリュームのアルカリ・バッテリの少なくとも2倍の容量を提供することができる。一次または再充電可能リチウムMnO2などのリチウム・セルは公称電圧が約3.0ボルトであり、公称電圧が約1.5ボルトの標準AAアルカリ・バッテリと互換可能に使用することは普通ならできない。公称電圧が約4.0ボルトのリチウム・イオン・セルも通常、公称電圧が約1.4ボルトの標準NiCdバッテリと互換可能に使用することはできない。しかし、例えば標準AAアルカリ・バッテリと互換可能に使用することができるリチウム・バッテリを得る目的で、リチウム電気化学セルの化学的性質を変更して公称電圧が約1.5ボルトのリチウム・バッテリが作られた。この1.5ボルト・リチウム・バッテリは、写真機のフラッシュ負荷回路に高い電流レベルを送達する能力を依然として有するものの、総化学エネルギー蓄積量は、同じボリュームのアルカリ・セルに比べそれほど増大しない。しかし本発明は、公称電圧が約3.0または約4.0ボルトの一次または再充電可能標準リチウム電気化学セル、およびこの公称電圧を約1.5ボルトまたは約1.4ボルトに下げるコントローラの使用を可能にする。したがってこのバッテリは、化学的に変更された1.5ボルト・リチウム・セル、1.5ボルト・アルカリ・セルまたは1.4ボルトNiCdバッテリを含むバッテリの概ね2倍の化学エネルギー蓄積量を有し、1.5ボルトまたは1.4ボルト・バッテリと完全に互換可能なバッテリとなる。さらに本発明のリチウム・バッテリは、化学的に変更された1.5ボルト・リチウム・セルを含むバッテリと同じ高電流レベルを提供する。
さらに、放電サブコントローラ702は、バッテリ710を使用するフラッシュライトなどの電気装置の性能を最適化する。電気装置は、最小動作電圧での電子装置のようには動作停止しないが、フラッシュライト電球の輝度などの電気装置の性能は入力電圧が下がるにつれて低下する。したがってバッテリ710の出力電圧を安定に保つことによってバッテリの実行時間を通して装置の性能を一定に保つことができ、電気化学セル730の電圧が下がっても電気装置の性能は低下しない。
DC/DC変換器750は、パルス変調(パルス幅変調(「PWM」)、パルス振幅変調(「PAM」)、パルス周波数変調(「PFM」)、パルス位相変調(「PψM」)など)、共振変換器などの多数の周知の制御方式のうちの1つのまたは複数の方式を利用して、変換器750の動作パラメータを制御することができる。本発明の変換器750の好ましい一実施形態はパルス幅変調を利用する。いっそう好ましい実施形態は、後に詳細に説明するパルス幅変調とパルス位相変調の組合せを利用する。
本発明のバッテリ内で使用するDC/DC変換器750の好ましい一実施形態では、変換器が、DC/DC変換器750を駆動するパルス幅変調器によって制御される。パルス幅変調器は、デューティ・サイクルが変動する固定周波数制御信号を生成する。デューティ・サイクルは例えば、DC/DC変換器がオフのときにゼロ、変換器が全能力で動作しているときに100%であり、負荷の要求および/または電気化学セル730の残存容量に応じてゼロと100%の間を変化する。パルス幅変調方式は、デューティ・サイクルを生成する目的に使用される少なくとも1つの入力信号を有する。一実施形態では、容器712の端子720、722のところでの出力電圧が連続的にサンプリングされ、基準電圧と比較される。DC/DC変換器のデューティ・サイクルを変更する目的に誤り訂正信号が使用される。この例では、容器712の端子720、722の出力電圧からの負帰還ループが、DC/DC変換器750が安定した出力電圧を供給することを可能にする。代替としてDC/DC変換器750は、セル電圧、すなわち電気化学セル730の正極732と負極734の間の電圧、デューティ・サイクルを生成する出力電流など、複数の入力信号を利用することができる。この実施形態ではセル電圧および出力電流がモニタされ、DC/DC変換器750がこれらの2つのパラメータに応じたデューティ・サイクルを生成する。
図8〜11に、本発明の放電サブコントローラ回路の追加の実施形態のブロック図を示す。これらの実施形態では、放電サブコントローラ回路が少なくとも2つの主要構成部品、すなわち(1)DC/DC変換器および(2)変換器コントローラを含む。変換器コントローラは、セル電圧を負荷を駆動するのに必要な電圧に変換するためにDC/DC変換器が必要であるときにだけDC/DC変換器の内部損失が生じるように、電気化学セルの電極と容器の出力端子の間でDC/DC変換器を電気的に、好ましくは電子的に接続/切断する。例えば、これより低いと負荷が動作することができなくなる所定のレベルにまでセル電圧が下がったときにのみDC/DC変換器はオンになる。あるいは、電子装置が、例えばバッテリの公称電圧の10%など、特定の範囲の入力電圧を必要とする場合に、変換器コントローラは、セル電圧がこの所望の範囲外にあるときにDC/DC変換器をオンにし、セル電圧がこの所望の範囲にあるときに変換器をオフにする。
例えば図8では、DC/DC変換器850が、電気化学セル830の正極832、負極834と容器812の正端子820、負端子822の間に電気的に接続されている。変換器コントローラ852も、電気化学セル830の正極832、負極834と容器812の正端子820、負端子822の間に電気的に接続されている。この例では変換器コントローラ852が、電気化学セル830を容器812の出力端子820、822に直接に接続したり、または電気化学セル830と容器812の出力端子820、822の間にDC/DC変換器850を接続したりするスイッチの役割を果たす。変換器コントローラ852は出力電圧を連続的にサンプリングし、これを、内部的に生成した1つまたは複数のしきい電圧と比較する。例えば容器812の出力電圧がこのしきい電圧レベルよりも下がった場合、または所望のしきい電圧範囲の外側にある場合に、変換器コントローラ852は、電気化学セル830と容器812の出力端子820、822の間にDC/DC変換器850を電気的に、好ましくは電子的に接続することによってDC/DC変換器850を「オン」にする。このしきい電圧が、電気化学セル830の公称電圧付近からこのバッテリが動作するように設計された対象である電子装置クラスの最も高いカットオフ電圧の付近までの範囲にあることが好ましい。代替として変換器コントローラ852が、電気化学セル830のセル電圧を連続的にサンプリングし、このセル電圧をしきい電圧と比較して、DC/DC変換器850の動作を制御するのでもよい。
再充電可能バッテリの場合には、セル電圧が電気化学セル830の最適放電深度にほぼ達したときに、変換器コントローラ852が電気化学セル830を容器812の出力端子820、822から切断することが好ましい。これによって、それぞれの放電サイクルのバッテリ実行時間が最適化され、バッテリのサイクル寿命が最大となる。したがってバッテリの供給実行時間を延ばすことができる。
図9の放電サブコントローラ902は、図8に示した放電サブコントローラ802の部品群を含むことができ、さらに、電気化学セル930の電極932、934とDC/DC変換器950、変換器コントローラ952、容器912の出力端子920、922との間に電気的に接続された接地バイアス回路980を含む。接地バイアス回路980は、負にバイアスされた電圧レベルVnbをDC/DC変換器950および容器912の負出力端子922に印加する。これによって、DC/DC変換器950に印加される電圧は、セル電圧から、セル電圧に負バイアス電圧レベルVnbの絶対値を加えた電圧レベルに増大する。これによって変換器950は、接地バイアス回路980を駆動するのに必要な最小順バイアス電圧よりも実際のセル電圧が下がるまで、効率的な電圧レベルで動作することができるようになる。したがって変換器950は、電気化学セル930のセル電圧だけで変換器950を駆動する場合に可能であるよりも高い電流レベルをより効率的に電気化学セル930から引き出すことができる。公称電圧が約1.5ボルトの電気化学セルを有する本発明のバッテリ910用の放電サブコントローラ902の好ましい一実施形態では、負バイアス電圧Vnbが約0ボルト〜約1ボルトの範囲にあることが好ましい。負バイアス電圧Vnbが約0.5ボルトであることがより好ましく、約0.4ボルトであることが最も好ましい。したがって接地バイアス回路980は、変換器が、電気化学セル930をより深く放電させ、公称電圧が約1.5ボルトの電気化学セルに対してセル電圧が約1ボルトよりも下がったときに電気化学セル930から電流を引き出す際の変換器950の効率を高めることを可能にする。
本発明のバッテリ910内で接地バイアス回路980として使用することができるチャージ・ポンプ988の例示的な一実施形態を図9Aに示す。この実施形態では、スイッチS1およびS3が閉じ、S2およびS4が開いているときに電気化学セル930のセル電圧がコンデンサCaを充電する。次いでスイッチS1およびS3を開き、S2およびS4を閉じると、コンデンサCa上の電荷は逆転し、コンデンサCbに移動し、コンデンサCbは、電気化学セル930のセル電圧とは逆の出力電圧を供給する。代替として、図9Aに示したチャージ・ポンプ988の代わりに当技術分野で周知の適当なチャージ・ポンプ回路を用いることもできる。
本発明の好ましい一実施形態では、接地バイアス回路980がチャージ・ポンプ回路986を含む。チャージ・ポンプ回路986は図9Bに示されており、クロック発生器987および1つまたは複数のポンプ988を含む。例えば図9Bに示すチャージ・ポンプ回路986の好ましい一実施形態では、チャージ・ポンプが、4つのミニ・ポンプ989および1つの主ポンプ990を含む2段構成を含む。ただし任意の数のミニ・ポンプ989を使用することができる。例えばチャージ・ポンプ回路986の好ましい一実施形態は、12のミニ・ポンプ989および1つの主ポンプを含む。この実施形態のミニ・ポンプ989および主ポンプ990は、クロック発生器987によって生成される周波数は同じだが位相が互いにずれた4つの異なる位相ずれ制御信号991a、991b、991c、991dによって駆動される。制御信号991a〜911dの位相を例えば、互いに90度ずつずらすことができる。この実施形態ではそれぞれのミニ・ポンプ989が、クロック発生器によって生成された制御信号991a〜911dを逆にした出力電圧を供給する。主ポンプ990は、複数のミニ・ポンプ989の出力を合計し、ミニ・ポンプ989の個々の出力電圧と同じ電圧レベルで、12の全てのミニ・ポンプ989が供給した電流の合計であるより高い電流レベルのチャージ・ポンプ回路986出力信号を供給する。この出力信号は、DC/DC変換器950および容器912の出力負端子922に対する仮想接地となる。
本発明の他の一態様ではチャージ・ポンプ回路がさらに、チャージ・ポンプ回路986に関連した損失を最小限に抑えるためにセル電圧が所定の電圧レベルまで下がったときにのみチャージ・ポンプ回路986をオンにするチャージ・ポンプ・コントローラ992を含む。チャージ・ポンプ・コントローラ992のこの所定の電圧を例えば、電気化学セル930の公称電圧付近からバッテリ910が給電するように設計された対象である電子装置群の最も高いカットオフ電圧付近までの範囲に含まれるものとすることができる。この所定の電圧が、電子装置のカットオフ電圧よりも約0.1ボルト高いことが好ましく、カットオフ電圧よりも約0.05ボルト高いことが最も好ましい。代替として、DC/DC変換器950をオンにするのと同じ制御信号でチャージ・ポンプ回路986を制御して、変換器950が動作中のときにだけチャージ・ポンプ回路986が動作するようにしてもよい。
さらに再充電可能電気化学セルを有するバッテリでは、DC/DC変換器950とチャージ・ポンプ回路986がともに、セル電圧がほぼ最適放電深度に下がったときにオフになることが好ましい。これによって、この再充電可能電気化学セルを最適に放電させることができ、これによってこのセルの充電サイクルの回数および効率を最大にすることができる。
さらに、接地バイアス回路980がオフになったときに、容器912の出力負端子922に印加された仮想接地が、電気化学セル930の負極934の電圧レベルまで落ちることが好ましい。したがって接地バイアス回路980が動作していないとき、バッテリは、電気化学セル930の負極934によって提供される標準接地構成で動作する。
代替として接地バイアス回路980は、バック−ブースト(Buck−Boost)変換器、Cuk変換器、線形調整器などの第2のDC/DC変換器を備えることができる。さらに、DC/DC変換器950と接地バイアス回路980を結合すること、およびこれらの代わりに、正の出力電圧をシフトアップし、負バイアスをシフトダウンさせる、バック−ブースト変換器、プッシュ−プル変換器、フライバック変換器などの単一の変換器を用いることができる。
図10に、本発明の放電サブコントローラ回路の他の実施形態1002を示す。この実施形態ではDC/DC変換器1050が、位相シフト検知回路1062などの外部源からの訂正制御信号を受け取る能力を有する。図7を参照して先に説明したのと同様に、DC/DC変換器1050はパルス幅変調器などの制御方式を利用して、変換器1050の動作パラメータを制御する。この実施形態では、放電サブコントローラ回路1002が図9に示した放電サブコントローラ回路902と同じ部品を含み、さらに、電極1032でのセル電圧のAC成分と電流検知抵抗器Rcの両端で測定した電気化学セル1030から引き出された電流のAC成分との間の瞬時位相シフトψを測定する位相シフト検知回路1062を含む。DC/DC変換器1050はこの信号を、内部的にまたは外部的に生成された他の制御信号と組み合わせて使用し、デューティ・サイクルを生成する。
図11に示す実施形態の放電サブコントローラ1102は、図10に示した放電サブコントローラ1002と同じ部品を含むことができ、さらに、電流検知抵抗器Rcおよび電気化学セル1130の正端子1132および負端子1122に電気的に接続され、さらに変換器コントローラ1152に接続された非常時切断回路1182を含む。非常時切断回路1182は、消費者、電気または電子装置、あるいは電気化学セル1130自体を保護するために容器1112の出力端子1120、1122から電気化学セル1130を切断する必要がある安全に関係した1つまたは複数の状態に応答して、変換器コントローラ1152に信号を送ることができる。例えば短絡または逆極性の場合に非常時切断回路1182は、電気化学セル1030の電極1132、1134を容器1112の端子1120、1122から切断するよう求める信号を変換器コントローラ1152に送る。さらに非常時切断回路1182は、電気化学セル1130の電圧および/または内部インピーダンスを検知することによって電気化学セル1130の放電サイクルの終了の指示を変換器コントローラ1152に送ることもできる。放電サブコントローラ1102は例えば、電気化学セル1130の残存容量が所定のレベルへまで落ちたときに電流を徐々に低減させること、電気化学セル1130の残存容量が所定の値に達したときに電気化学セルの電極1132、1134を出力端子1120、1122から短時間の間断続的に切断/再接続すること、またはバッテリが給電を停止しようとしていることを示すその他のなんらかの可視、可聴、または装置可読指示を提供することができる。放電サイクルの終わりに非常時回路は、放電させた電気化学セル1130が電気化学セル1130に直列に接続されたその他のセルの電流を消費しないように、電気化学セル1130を容器1112の端子1120、1122から切断し、かつ/または出力端子1120と1122を短絡することを求める信号を変換器コントローラ1152に送ることができる。
図12に示す好ましい放電サブコントローラ1202は、容器1212の正端子1220から正極1232を電子的に接続/切断することができる同期整流器1274を有するDC/DC変換器1250を含む。同期整流器1274のスイッチは、電気化学セル1230の正極1232または負極1234と容器の出力端子1220および1222との間の直通電気経路上に変換器コントローラ852などの追加のスイッチを配置する必要性を排除する。さらに同期整流器1274は、内部損失を減らすことによってDC/DC変換器1250の効率を向上させる。この実施形態の変換器コントローラ1252ではさらに、DC/DC変換器1250を制御するための追加の入力信号を使用できる。例えば、図12に示した実施形態では変換器コントローラ1252が、図10を参照して先に説明した位相シフト測定に加えて、温度、圧力、水素濃度、酸素濃度センサなどのセンサ(図示せず)を介して電気化学セルの内部環境をモニタする。
図7〜12は、本発明の回路設計をより複雑なものへと順に示したものである。これらの図をこの順番に示したのは、本発明のコントローラの中心部品であるDC/DC変換器以外に放電サブコントローラ回路に含めることができる種々の部品を順序立てて説明するためである。提示順は、複数の異なる部品を結合した回路に後になって導入された部品がそれよりも前の図を参照して説明した全ての特徴を有していなければ本発明の範囲には入らないということを暗示しようとしたものではない。例えば、非常時切断回路、電荷指示回路、位相検知回路および/または接地バイアス回路を、これらの部品を示す図に示した変換器コントローラまたはその他の部品なしでも図6〜11の回路と組み合わせて使用することができる。
本発明のバッテリ1310中で使用する内蔵コントローラ回路の好ましい一実施形態1340は、DC/DC変換器1350および変換器コントローラ1352を含み、図13に示されている。変換器1350は、ほとんどの電子装置のしきい電圧よりも低い電圧で動作することができるほとんど誘導部品のない高効率かつ中電力の変換器であることが好ましい。放電サブコントローラ1302は、電気化学セル1330の負極1334の電位よりも低い電位を有する仮想接地をDC/DC変換器1350および容器1312の出力端子1322に供給する、図9Bに示したものなどのチャージ・ポンプを含むことが好ましい。仮想接地は、DC/DC変換器1350を駆動する目的に使用可能な電圧差を増大させ、変換器1350が、セル電圧だけで変換器を駆動する場合に可能であるよりも高い電流レベルをより効率的に電気化学セル1330から引き出すことを可能にする。
この実施形態では変換器コントローラ1352が、パルス幅変調/パルス位相変調制御方式を利用することが好ましい。位相シフト検知回路1362は、電気化学セル1330の正極1332、負極1334のところでのセル電圧および電気化学セル1330から引き出された電流、ならびにこの電圧と電流の間の瞬時および/または連続位相シフトを測定する。この位相シフトは、電気化学セル1330の電荷容量の関数である電気化学セル1330の内部インピーダンスを規定する。例えばアルカリ・バッテリでは、セルの閉路電圧降下によって決定される電気化学セル1330の約50%放電後の内部インピーダンスの増大は、電気化学セル1330の残存容量を指示する。位相シフト検知回路1362はこれらの信号を位相線形コントローラ1371に送る。位相線形コントローラ1371は次いで、位相シフト検知回路1362によって検知された電圧Vsおよび位相シフトに正比例した出力電圧制御信号V(psi)を、パルス幅変調およびパルス位相変調制御方式を組み合わせて利用するパルス変調器1376に送る。パルス変調器1376は、抵抗器Rsの両端間の電圧降下を電圧制御信号として受け取る。
パルス変調器1376はこれらの電圧制御信号を組み合わせて使用して、DC/DC変換器1350を駆動する。電圧Vsが所定のしきい電圧レベルよりも高いとき、パルス変調器1376は、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(「MOSFET」)M3を閉状態に、MOSFET M4を開状態に維持する。したがって、電気化学セル1330から負荷までの電流経路はMOSFET M3を介して維持される。さらに、デューティ・サイクルが0パーセントに効果的に維持されるため、DC/DC変換器1350および変換器コントローラ1352に関連した損失は最小限に抑えられる。この場合、閉じたMOSFET M3および抵抗器RsのDC損失は極めて低い。例えば抵抗Rsは、約0.01〜約0.1オームの範囲に含まれることが好ましい。
電圧Vsが所定のしきい電圧レベルよりも低いとき、パルス変調器1376はオンになり、前述の電圧制御信号の組合せに基づいてDC/DC変換器1350のデューティ・サイクルを変調する。Vsの振幅は、デューティ・サイクルを制御する第1の制御信号として機能する。出力電流の関数である電流検知抵抗器Rsの両端間の電圧降下は、第2の制御信号として機能する。最後に、位相線形コントローラ1371によって生成され、セル電圧と電気化学セル1330から引き出された電流のAC成分間の位相シフトに正比例する信号V(psi)は第3の制御信号である。具体的にはV(psi)信号は、変換器の効率およびバッテリ実行時間に影響するデューティ・サイクルを、バッテリ実行時間を通した内部インピーダンスの変化に応答して変更する目的に使用される。パルス変調器は、Vsの瞬時および/または連続振幅が低下した場合、あるいは抵抗器Rsの両端間の電圧降下が増大し、かつ/または制御信号V(psi)の瞬時および/または連続振幅が増大した場合に、デューティ・サイクルを増大させる。それぞれの変数の寄与は、適当な制御アルゴリズムに基づいて重み付けされる。
パルス変調器1376がオンになるとその発振器が、デューティ・サイクルが50%、周波数が約40kHz〜約1MHzの範囲にあることが好ましい台形または方形波の制御パルスを生成する。周波数は、約40kHz〜約600kHzの範囲にあることがより好ましく、一般に約600kHzであることが最も好ましい。パルス変調器1376は、MOSFET M3およびM4に対する出力制御信号のデューティ・サイクルを適当な制御アルゴリズムを利用して変更する。最も一般的にはこの制御アルゴリズムがM3およびM4を、同じデューティ・サイクル、逆位相で動作させる。MOSFET M3およびM4は、相補型高電力トランジスタであることが好ましく、M3がNチャネルMOSFET、M4がPチャネルMOSFETであることが好ましい。完全なDC/DC変換器1350の構成は本質的に、出力に同期整流器を備えたブーストDC/DC変換器である。さらに変換器1350は、非同期ショットキー・ダイオードの代わりにMOSFET M3を使用することによってACおよびDC損失を最小限に抑える。別個の制御信号がM3およびパワーMOSFET M4を駆動する。M3の制御信号とM4の制御信号の間の位相および/またはデューティ・サイクルが変更されると、容器1312の端子1320と1322の間の出力電圧が変更される。
パルス変調器1376は、電圧Vs、抵抗器Rsの両端間の電圧降下、電気化学セル1330の内部インピーダンスなどの1つまたは複数の電圧制御信号に基づいてMOSFET M3およびM4を制御することができる。例えば負荷の電力消費量が低い場合、パルス変調器1376は、DC/DC変換器1350のデューティ・サイクルを0パーセントに近くする。負荷の電力消費量が高い場合には、パルス変調器1376は、DC/DC変換器1350のデューティ・サイクルを100%に近くする。負荷の電力消費量がこれらの2つのエンドポイント間を変動すると、パルス変調器1376はDC/DC変換器のデューティ・サイクルを変化させて負荷が要求する電流を供給する。
図14に、本発明のコントローラを持たないバッテリB1、変換器が連続モードで動作する放電サブコントローラを有する本発明のバッテリB2、およびバッテリの設計対象である一般的な電子装置に対するバッテリのカットオフ電圧よりも高い電圧で変換器がオンになる放電サブコントローラを有する本発明のバッテリB3の例示的な放電曲線の比較を示す。図14に示すように、本発明のコントローラを持たないバッテリB1は、カットオフ電圧Vcを有する電子装置内で時刻t1に機能しなくなる。しかしバッテリB2の放電サブコントローラは、バッテリの実行時間の間ずっとバッテリの出力電圧を電圧レベルV2まで連続的に押し上げる。バッテリB2の電気化学セルのセル電圧が放電サブコントローラの最小動作電圧レベルVdまで落ちると、バッテリB2の放電サブコントローラは動作を停止し、バッテリの出力電圧が時刻t2にゼロまで下がり、バッテリB2の有効実行時間は終了となる。図14のグラフに示すように、変換器が連続モードで動作するサブコントローラを有するバッテリB2の有効実行時間の延長分はt2−t1である。
しかし、バッテリB3のコントローラは、電気化学セルのセル電圧が所定の電圧レベルVp3に達するまでバッテリの出力電圧の押上げを開始しない。所定の電圧レベルVp3は、電気化学セルの公称電圧レベルとバッテリが給電する予定の電子装置クラスの最も高いカットオフ電圧との間にあることが好ましい。所定の電圧レベルVp3が、バッテリが給電する予定の電子装置クラスの最も高いカットオフ電圧Vcよりも約0.2ボルト高いことがより好ましい。所定の電圧レベルVp3が、バッテリが給電する予定の電子装置クラスの最も高いカットオフ電圧Vcよりも約0.15ボルト高いことがより好ましい。所定の電圧レベルVp3が、バッテリが給電する予定の電子装置クラスの最も高いカットオフ電圧Vcよりも約0.1ボルト高いことがより好ましく、Vcよりも約0.05ボルト高いことが最も好ましい。セル電圧が所定の電圧レベルVp3に達すると、バッテリB3の変換器は、出力電圧を電圧レベルVc+ΔVに押し上げるか、またはこのレベルに安定化することを開始する。電圧レベルΔVは図14に示されており、押し上げられたバッテリB3の出力電圧とカットオフ電圧Vcの間の電圧差を表す。この電圧レベルΔVが約0ボルト〜約0.4ボルトまでの範囲に含まれることが好ましく、約0.2ボルトであることがより好ましい。その後、バッテリB3は、電気化学セルのセル電圧が変換器の最小動作電圧Vdまで下がり、バッテリB3のコントローラが動作を停止するまで出力を供給し続ける。コントローラが動作を停止した時刻t3に、バッテリ出力電圧は0まで落ち、バッテリB3の有効実行時間は終わる。図14のグラフに示すように、本発明の変換器を持たないバッテリB1に対するバッテリB3の有効実行時間の延長分はt3−t1である。
図14はさらに、同じ電子装置に接続したときにバッテリB3がバッテリB2よりも長持ちすることを示している。バッテリB2の変換器は連続して動作するため、変換器の内部損失がバッテリB2の電気化学セルのエネルギー容量の一部を消費し、したがって、放電サイクルの一時期にしかコントローラが動作しないバッテリB3に比べバッテリB2のセル電圧は、より短い時間で変換器の最小動作電圧Vdに達する。このように、バッテリB3の所定の電圧Vp3の選択を最適化する、すなわちこのバッテリが給電している電子装置のカットオフ電圧に近い値を選択することによって、電気化学セルが最も効率的に使用され、バッテリ実行時間の延長分がより大きくなる。したがって、バッテリB3の所定の電圧Vp3が、このバッテリが給電する予定の電子または電気装置のカットオフ電圧に等しいか、またはそれよりもわずかに高いことが好ましい。例えば、所定の電圧Vp3がカットオフ電圧よりも約0.2ボルト高いことが好ましい。所定の電圧Vp3がカットオフ電圧よりも約0.15ボルト高いことがより好ましい。所定の電圧Vp3がカットオフ電圧よりも約0.1ボルト高いことがより好ましく、カットオフ電圧よりも約0.05ボルト高いことが最も好ましい。
しかし、バッテリが、さまざまな電子装置に対応するユニバーサル・バッテリとして設計されている場合には、所定の電圧Vp3が、この電子装置群の最も高いカットオフ電圧に等しいか、またはそれよりもわずかに高くなるように選択されることが好ましい。例えば、所定の電圧Vp3が、その電子装置群の最も高いカットオフ電圧よりも約0.2ボルト高いことが好ましい。所定の電圧Vp3が、その電子装置群の最も高いカットオフ電圧よりも約0.15ボルト高いことがより好ましい。所定の電圧Vp3が、その電子装置群の最も高いカットオフ電圧よりも約0.1ボルト高いことがより好ましく、その電子装置群の最も高いカットオフ電圧よりも約0.05ボルト高いことが最も好ましい。
図14のグラフはさらに、変換器の最小動作電圧Vdが低いほど、本発明のコントローラを持たないバッテリB1と比較した場合の実行時間の延長分が長いことを示している。さらに、電子装置のカットオフ電圧Vcと変換器の最小動作電圧Vdの差が大きいほど、電気化学セルのセル電圧の押上げのため、本発明のコントローラによって達成されるバッテリの実行時間の延長分は長くなる。
さらに図14は、装置のカットオフ電圧がもはや一次または再充電可能電気化学セルの放電の制限因子ではないことも示している。コントローラがバッテリの出力電圧を装置のカットオフ電圧よりも高く維持することができる限り、バッテリの電気化学セルは放電を続けることができる。一次バッテリではこれによって、変換器の最小動作電圧に応じセルをできる限り完全に放電させることができるようになる。再充電可能バッテリでは本発明によって、再充電可能電気化学セルの最適放電深度に等しいか、またはこれよりも低いセル電圧で変換器が動作することができる限り、装置のカットオフ電圧から独立した再充電可能バッテリの供給実行時間を延長する最適放電が可能になる。
Figure 2008034398
表2に、変換器が連続モードで動作し、セル電圧を約1.6ボルトの出力電圧に押し上げる内蔵放電サブコントローラを有する本発明のAA型アルカリ・バッテリの放電データを、本発明のコントローラを持たない一般的なAA型アルカリ・バッテリと比較したものを示す。この表のデータは、バッテリの実行時間を通して平均して約125mAの電流を引き込む約12オームの中程度の抵抗負荷にバッテリを接続したときの時間ごとの出力電圧、消費電力および残存容量の割合(総容量=2400mAh)を示す。この表が示すとおり、変換器を有するバッテリの出力電圧はバッテリの実行時間の間、1.6ボルトのまま一定だが、コントローラを持たないバッテリの出力電圧は、実行時間を通してバッテリの公称電圧から低下していっている。
表2はさらに、内蔵コントローラを有する本発明のバッテリが、コントローラを持たないAA型バッテリに優る明白な2つの利点を有することを示している。第1に、カットオフ電圧が約1ボルトの装置に対して、内蔵放電サブコントローラを有するバッテリは約10時間の実行時間を有するが、コントローラを持たないバッテリはこの装置内で、出力電圧が1ボルトよりも下がった最長約8時間後に動作を停止する。したがってこの例では、サブコントローラによって、コントローラを持たないバッテリよりも実行時間が約25%延びたことになる。第2に、負荷に送達される電力および装置が動作を停止する前に利用されるバッテリの定格容量の割合は、内蔵放電サブコントローラを有する本発明のバッテリのほうがはるかに大きい。バッテリの出力電圧が低下するのに比例して、セルの電流送出能力は低下するため、定電流ドレイン条件下では、本発明のコントローラを持たないバッテリの持続時間はいっそう短くなる。その結果、内蔵放電サブコントローラを有するバッテリの優位性はさらに高まる。
装置のカットオフ電圧が約1.1ボルトである場合には、内蔵放電サブコントローラを有する本発明のAA型バッテリが、コントローラを持たないAA型バッテリよりもいっそう有利に動作することを表2は示している。内蔵放電サブコントローラを有するバッテリの実行時間は約10時間のままだが、コントローラを持たないバッテリはこの装置内で、出力電圧が1.1ボルトよりも下がった最長約6時間後に動作を停止する。したがってこの例では、放電サブコントローラによって、コントローラを持たないバッテリよりも実行時間が約67%延びたことになる。その上、負荷に送達される電力の差および装置が動作を停止する前に利用されるバッテリの定格容量の割合の差は、先の例よりもいっそう大きくなる。この場合も、バッテリの出力電圧が低下するのに比例してセルの電流送出能力は低下するため、定電流ドレイン条件下では、電子装置が動作を停止するまでの本発明のコントローラを持たないバッテリの持続時間はいっそう短くなる。その結果、内蔵放電サブコントローラを有するバッテリの優位性はよりいっそう高まる。
充電サブコントローラ
充電サブコントローラ104も、本発明の再充電可能バッテリのサイクル寿命を延ばすことができる。充電サブコントローラは、個々のそれぞれの電気化学セルの充電シーケンスを個別に制御することによってバッテリのサイクル寿命を延ばすことができる。したがって充電サブコントローラは、その特定のセルからの実際のフィードバックに基づいてそれぞれのセルの充電を最適化し、それぞれの充電および放電サイクルの回数および効率を最大にすることができる。充電サブコントローラは例えば、それぞれのセルのセル電圧および/または内部インピーダンスを直接にモニタすることによってそれぞれのセルの充電を制御する。これによって充電サブコントローラは、複数の単一セル・バッテリあるいは1つまたは複数の多セル・バッテリの個々のそれぞれの電気化学セルの充電サイクルを制御することができる。
充電サブコントローラ104はさらに、放電サイクルの「オフタイム」中に、すなわち電気化学セルが放電モードではないときに電気化学セルを充電することによって、鉛−酸バッテリなどの深く放電させないほうが好ましい再充電可能バッテリの実行時間を延ばすことができる。例えば、コントローラは、それらのセルの放電の「オフタイム」中に充電サブコントローラが1つまたは複数の個別セルを充電することを可能にする。放電の「オフタイム」が、放電の「オンタイム」、すなわち特定の電気化学セルがアクティブに放電している時間に比べ十分に長い場合、充電サブコントローラは、セルを少なくともフル充電に近い状態に維持することができる。デューティ・サイクルが十分に大きく、充電サブコントローラが、電気化学セルの充電を所定の電圧レベルよりも高く、またはその特定の電気化学セルまたはその種類の電気化学セルの所望の最大放電深度に対応する特定のインピーダンス・レベルよりも低く維持することができないような十分な期間にわたって装置が動作する場合、放電サブコントローラは、再充電可能電気化学セルが所望の最大放電深度に達したときにバッテリの放電サイクルを終了させることができる。充電サブコントローラはさらに、充電サイクルの終了を決定する本出願に記載のその他の方法、または当技術分野で周知のその他の手段によってセルの公称電圧などのある所定の電圧レベルよりもセル電圧が下がったときにだけセルを充電することによって過充電を防ぐことができる。したがってコントローラは、放電サイクル中にセルが最適放電深度を越えて放電しないようにし、充電サイクル中の充電シーケンスを最適化することによって、再充電可能電気化学セルの供給実行時間を最適化することができる。
充電サイクル用の代替電源装置には、装置の電源コードなどの外部電源、または装置内の他の電気化学セル、その再充電可能電気化学セルとともにハイブリッド・バッテリ中にパッケージングされた他の電気化学セルなどの内部電源が含まれる。例えば一次セルを、装置内にパッケージングしたり、または再充電可能電気化学セルとともにハイブリッド・バッテリ中にパッケージングすることができる。エネルギー密度は高いが比較的に低い電流レベルしか提供することができない亜鉛−空気セルなどの金属−空気セルは、再充電可能電気化学セルの充電に使用することができる特に有利な代替電源装置となる。代替として、再充電可能電気化学セルに充電源を提供するため、燃料セルなどの代替電源装置をハイブリッド・バッテリ中に含めることができる。
さらに、充電サブコントローラは、本発明のバッテリを充電するのに接触型充電システムと非接触分離型充電システムのどちらでも使用することができる。
本発明のバッテリの好ましい一実施形態は、ユーザへのフル充電の指示を含む。この充電サブコントローラは例えば、バッテリが完全に充電されたことをユーザに指示する可視または可聴指示を提供する。代替として充電サブコントローラが充電システム可読または装置可読の指示を提供し、それに応じて充電システムまたは装置がユーザに警告するようにしてもよい。
図15に、充電サブコントローラ回路1504を含む本発明のバッテリのブロック図を示す。充電サブコントローラ回路1504は、バッテリ1510に内蔵されることが好ましく、再充電可能電気化学セル1530の充電サイクルを最適化するために外部充電源または回路からの着信電力信号を安全かつ効率的に制御する責任を負う。充電サブコントローラ回路1504は、検知回路105から受け取った入力電圧制御信号および/または自体の内部検知回路からのフィードバックに基づいて、外部充電源からの着信電力信号を制御する。例えば充電サブコントローラ1504は、電気化学セル1530の内部インピーダンスを規定する電圧制御信号V(psi)を制御する。この制御信号は、位相線形コントローラ1571によって生成される信号であり、図13に関して説明されている。代替として充電サブコントローラが、セル電圧または充電電流によって、あるいは内部インピーダンス、セル電圧および充電電流のうちの2つ以上の組合せによって電気化学セル1530の充電を制御してもよい。さらに、バッテリ1510の容器1512内で測定された水素濃度、酸素濃度、温度および/または圧力などの物理状態を充電サブコントローラが使用して、電気化学セル1530を最適に充電することができる。
端子1520、1522の電圧が電気化学セル1530のセル電圧よりも高いとき、放電サブコントローラ1502のパルス変調器1576はNチャネルMOSFET M3を閉じ、PチャネルMOSFET M4を開く。MOSFET M3は、端子1520、1522からの電流経路を生成して電気化学セル1530を充電し、MOSFET M4は端子1520と1522の間の短絡を防ぐ。パルス変調器1576はさらに、接地バイアス回路1580のクロック発生器1587に電圧制御信号を送ることによって、接地バイアス回路1580をオフにすることができる。例えば図9Aのチャージ・ポンプの例では、クロック発生器987がスイッチS1、S2を開き、スイッチS3、S4を閉じて、仮想接地出力を電気化学セル930の負極934の電位まで落とす。代替として接地バイアス回路1580が、図9Bのチャージ・ポンプ・コントローラ992に関して説明したように動作するチャージ・ポンプ・コントローラ1592など内部コントローラを含む場合には、この内部コントローラが、端子1520、1522の電圧を電気化学セル1530のセル電圧と直接に比較し、端子1520と1522の間の電圧が電気化学セル1530のセル電圧よりも高い場合にクロック発生器1587を直接に制御することによって接地バイアス回路1580の動作を停止させてもよい。これによって仮想接地出力は、電気化学セル1530の負極1534の電位に落ちる。
本発明の好ましい一実施形態では、充電サブコントローラ回路1504が内部インピーダンス情報を使用して、振幅、周波数、立下がりエッジおよび立上がりエッジを含む最も効率的なAC信号プロファイルを決定する。したがってこの充電サブコントローラは、電気化学セルの動的および静的な内部充電損失を最小限に抑え、特定の電気化学セルに対する可能な最も速い充電速度の制御を提供する。さらに、水素濃度、酸素濃度、温度、圧力などの物理状態センサによって、充電状態をさらに最適化する能力を得ることができる。
電気化学セルが完全に充電されたと判定すると、充電サブコントローラ回路1504はNチャネルMOSFET M3を開く。これによって電気化学セル1530が容器1512の端子1520、1522から切断され、したがって外部充電源または回路から切断される。
電気化学セル1530の充電の制御に内部インピーダンスを利用することによって、電気化学セル1530の真のイオンおよび電気インピーダンス状態に基づく充電の最適化が可能になる。充電サブコントローラ1504をそれぞれの容器1512内に配置すると、充電サブコントローラがそれぞれのセルの充電を個々に制御することになるので、複数の単一セル・バッテリまたは多セル・バッテリの個々の電気化学セル1530の制御が向上する。セル1530を、その他の電気化学セル1530と直列および/または並列構成に配置して充電することができる。直列構成でセルを充電する場合、充電サブコントローラ1504は端子間に高インピーダンス経路を含み、そのため電気化学セル1530が完全に充電されたときに充電サブコントローラ1504は、セル1530と直列に接続されたその他のセルに充電電流を分流することができる。セルが並列に接続されている場合、充電サブコントローラ1504は電気化学セル1504を充電電流から切断することができる。多セル・バッテリのそれぞれの電気化学セルの中にコントローラを配置すると、同じ充電電流を、それぞれのセルの中の個々のコントローラでそのセルが最適に充電されるように制御することによって、そのセルの電気化学性に関係なくそれぞれのセルを充電することができる。さらにこの充電サブコントローラは、セルの公称電圧が異なっているときでもハイブリッド・バッテリの複数のセルを充電することができる。
図16に、図15に示した本発明のバッテリ中で使用することができる充電サブコントローラ回路1504の構成の一実施形態を示す。この実施形態では充電サブコントローラ回路1604が、ユニバーサル充電回路1677、バースト回路1678および充電制御状態機械1679を含む。充電制御状態機械1679はバースト回路1678を使用して、電気化学セル1530の電極1532および1534のところに試験電流Isおよび試験電圧Vsを生成させる。図13を参照して説明したように位相線形コントローラ1571は、試験電流Isと試験電圧Vsの間の位相シフトを検出する。バースト回路1678は、バースト・ドライバ1668およびnチャネルMOSFET M1を含むことが好ましい。バースト・ドライバ1668は、MOSFET M1のゲートを駆動する高周波制御パルス信号を生成する。試験電流IsがMOSFET M1を流れ、位相線形コントローラ1571が試験電流Isと試験電圧Vsの間の位相シフト角()を検出する。位相線形コントローラ1571は、セル電圧と電気化学セル1530から引き出された電流のAC成分間の位相シフトに正比例した電圧制御信号V(psi)を充電制御状態機械1679に出力する。充電制御状態機械1694は、位相線形コントローラ1571からのこの制御信号を使用してAC充電信号プロファイルを制御する。電気化学セル1530が完全に充電されると、パルス変調器1576はMOSFET M3を切断し、MOSFET M3は、容器1512の端子1520、1522から電気化学セル1530を切断する。
図17に、外部充電回路と本発明のバッテリ1510の間に機械的な接触が一切ない電気化学セル1530の分離充電を可能にする、図15に示した充電サブコントローラ回路の代替実施形態を示す。この実施形態では充電サブコントローラ回路1704が、電気化学セル1530を充電するための変圧器の二次コイルの働きをするコイルを含む。外部充電源は、空気を介した無線接続で充電サブコントローラ回路1704の二次コイルに結合することができる変圧器の一次コイルを含む。本発明のバッテリは例えば、充電変圧器の二次コイルを形成するプリント配線コイルをバッテリ1510のラベル上に含むこと、または容器またはバッテリの中に含むことができる。この実施形態の充電回路は、約20kHz〜約100kHzの範囲の一周波数で動作することが好ましく、約40kHz〜60kHzの範囲の一周波数で動作することがより好ましく、周波数約50kHzで動作することが最も好ましい。外部充電源からの信号が、外部充電源の一次コイルを介して充電サブコントローラ回路1704の二次コイル1798に給電する。充電制御状態機械1794は、ユニバーサル充電回路1777を制御して再充電可能電気化学セル1530の充電サイクルを最適化する。外部充電回路が周波数約50kHzで動作する場合、この変圧器は、本発明のバッテリから約1〜約3インチ(約2.5〜約7.6センチ)離れたところから電気化学セルを充電するのに十分な作用範囲を有し、そのため電気または電子装置からバッテリを取り外さずにそのままの位置で電気化学セルを充電することができる。このことは、装置から取り外さなければならないバッテリに優る明白な利点である。例えば、手術によって埋め込まれたペースメーカなどの装置のバッテリを、手術によって患者から外科的に取り出さなくとも充電することができる。
非常時サブコントローラ
コントローラはさらに、安全に関係した1つまたは複数の状態を検出した場合に電気化学セルをバッテリの容器の端子から切断する非常時切断機能を実行することができる。コントローラは、短絡、逆極性、過充電、過放電、高温、高圧力、高水素濃度などの危険な状態を検出し、電気化学セルをバッテリの端子から電子的に切断する独立した非常時切断サブコントローラを含むことができる。代替として、放電サブコントローラおよび/または充電サブコントローラの回路によって非常時機能を実行してもよく、あるいは電気化学セルをバッテリの端子から切断するよう求める信号を放電サブコントローラおよび/または充電サブコントローラに送る別個の検知回路をコントローラが含んでもよい。
一般的な円筒形バッテリ構造の透視図である。 一般的な他の円筒形バッテリ構造の透視図である。 一般的な他の円筒形バッテリ構造の断面図である。 本発明のバッテリのブロック図である。 図4に示したバッテリの好ましい一実施形態のブロック図である。 図4に示したバッテリの他の好ましい実施形態のブロック図である。 図4に示したバッテリの他の好ましい実施形態のブロック図である。 本発明のバッテリの好ましい実施形態の部分分解断面図である。 本発明のバッテリの好ましい他の実施形態の部分分解断面図である。 本発明のバッテリの好ましい他の実施形態の部分分解透視図である。 本発明の多セル・バッテリの好ましい実施形態の部分断面透視図である。 本発明のバッテリの好ましい他の実施形態のブロック図である。 本発明のバッテリの好ましい他の実施形態のブロック図である。 本発明のバッテリの好ましい他の実施形態のブロック図である。 図9のバッテリの好ましい実施形態の一態様の一実施形態の概略図である。 図9のバッテリの好ましい実施形態の一態様の好ましい他の実施形態のブロック図である。 本発明のバッテリの好ましい他の実施形態のブロック図である。 本発明のバッテリの好ましい他の実施形態のブロック図である。 本発明のバッテリの好ましい他の実施形態のブロック図である。 本発明のバッテリの好ましい他の実施形態のブロック図/概略図である。 一般的なバッテリおよび本発明のバッテリの異なる2つの好ましい実施形態の放電特性曲線のグラフである。 本発明のバッテリの好ましい他の実施形態のブロック図/概略図である。 図15に示した充電サブコントローラの一実施形態のブロック図である。 図15に示した充電サブコントローラの他の実施形態のブロック図である。
符号の説明
10、110、210、310、410、610、710、910、1310、1510 バッテリ(リチウムイオンバッテリ)、
12、112、312、412、612、712、812、912、1112、1212、1312、1512 容器、
20、120、220、320、420、720、820、920、1120、1320、1520 正端子、
22、122、222、322、422、722、822、922、1122、1322 負端子、
30、130、230、330、430、630、730、830、930、1030、1130、1230、1330、1530 セル(電気化学セル)、
32、132、232、332、432、732、832、932、1032、1232、1332、1532 正極、
34、134、234、334、434、734、834、934、1234、1334、1534 負極、
140、240、340、440、640、740 コントローラ、
106 非常時サブコントローラ(コントローラ)、
102、702、802、902、1002、1102、1202、1302、1502 放電サブコントローラ(コントローラ)、
104、1504 充電サブコントローラ(コントローラ)。

Claims (39)

  1. リチウムイオンバッテリであって、
    正端子及び負端子を含む容器と、
    前記容器内に配置される複数の電気化学セルであって、それぞれが正極、負極、及び前記セルの前記正極と前記負極との間のセル電圧を有する、複数の電気化学セルと、
    前記セルの温度を監視するとともに、前記セルのうちの少なくとも1つが所定の温度を超える場合に前記セルの全てを電子的に切断する安全な切断を提供する、少なくとも1つのコントローラと
    を備える、リチウムイオンバッテリ。
  2. 前記コントローラは、前記セル内で以下の条件:過熱、短絡、過充電、及び過放電のそれぞれについて前記セルのそれぞれをさらに監視し、前記条件のうちのいずれか1つが前記セルのうちの少なくとも1つに存在する場合に前記安全な切断を提供する、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
  3. 前記コントローラは前記セルのうちの少なくとも1つの中が過圧力になる際に前記安全な切断を提供する、請求項2に記載のリチウムイオンバッテリ。
  4. 前記コントローラは前記セルを前記容器の前記端子のうちの少なくとも一つから電子的に切断する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウムイオンバッテリ。
  5. 前記コントローラは前記セルを前記容器の前記端子の両方から電子的に切断する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウムイオンバッテリ。
  6. 前記コントローラは、前記セルの充電中に前記セルのそれぞれの温度を監視し、前記セルのうちの少なくとも1つが充電中に所定の温度を超える場合に前記安全な切断を提供する、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
  7. 前記コントローラは、前記セルの放電中に前記セルのそれぞれの温度を監視し、前記セルのうちの少なくとも1つが前記セルの放電中に所定の温度を超える場合に前記安全な切断を提供する、請求項3に記載のリチウムイオンバッテリ。
  8. 前記コントローラは、前記セルの充電中及び放電中に前記セルのそれぞれの温度を監視し、前記セルの充電中又は放電中に前記セルのうちの少なくとも1つが所定の温度を超える場合に前記安全な切断を提供する、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
  9. 前記コントローラは前記セルをさらにチェックして、電荷を保持することができないセルを特定しそれを不良セルとして識別する、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
  10. 前記コントローラは、前記セルの充電中に前記セルの温度を監視し、前記セルの前記温度に基づいて前記セルに供給される充電電流を制御する、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
  11. 前記セルは直列構成、並列構成、又は直列−並列構成のうちの1つで接続される、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
  12. 前記コントローラは前記セルに供給される充電電流を調整して前記セルが所定の温度を超えることを防止する、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
  13. 前記コントローラは、前記セルの充電中に前記セルの温度を監視し、前記セルの前記温度に基づいて前記セルに供給される充電電流を調整する、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
  14. リチウムイオンバッテリであって、
    正端子及び負端子を含む容器と、
    前記容器内に配置される複数の個々の電気化学セルであって、正極、負極、及び前記セルの前記正極と前記負極との間のセル電圧を有する、複数の個々の電気化学セルと、
    前記セルのそれぞれの充電状態を監視するとともに前記セルのそれぞれの充電サイクルを個々に制御するようになっているコントローラと
    を備える、リチウムイオンバッテリ。
  15. 前記コントローラはフィードバックに基づいて前記セルのそれぞれの充電を最適化して、前記セルのそれぞれの各充電サイクルの回数及び効率を最大化する、請求項14に記載のリチウムイオンバッテリ。
  16. 前記コントローラは、前記セルのそれぞれの電圧を監視することにより前記セルのそれぞれの充電を最適化する、請求項15に記載のリチウムイオンバッテリ。
  17. 前記コントローラは、前記セルのそれぞれの内部インピーダンスを監視することにより前記セルのそれぞれの充電を最適化する、請求項15に記載のリチウムイオンバッテリ。
  18. 前記コントローラは充電電流の制御を提供して、前記セルのそれぞれの特定の電気化学、メモリ効果、疲労状態、及び温度を検査することにより前記セルのそれぞれの充電率を最適化する、請求項15に記載のリチウムイオンバッテリ。
  19. 前記コントローラは前記セルのそれぞれの充電値及び最大充電容量を判定して、前記セルのそれぞれの充電を最適化する、請求項15に記載のリチウムイオンバッテリ。
  20. 前記コントローラは前記セルのそれぞれの前記セル電圧、充電電流及び温度を監視して充電を最適化する、請求項19に記載のリチウムイオンバッテリ。
  21. 前記コントローラは前記セルの前記セル電圧、充電電流、温度及び内部インピーダンスを監視して充電を最適化する、請求項15に記載のリチウムイオンバッテリ。
  22. 前記コントローラは前記セルのうちの少なくとも1つがフル充電状態に達すると充電電流を他のセルに向ける、請求項14に記載のリチウムイオンバッテリ。
  23. 前記コントローラはセルがフル充電状態に達するとセルに供給される充電電流を低減する、請求項14に記載のリチウムイオンバッテリ。
  24. 前記セルは直列で充電され、前記コントローラは充電されている前記セルのうちの1つがフル充電状態に達すると充電電流を別のセルに切り替える、請求項14に記載のリチウムイオンバッテリ。
  25. 前記コントローラは前記セルの充電レベルに基づいて前記セルに供給される充電電流を調整する、請求項14に記載のリチウムイオンバッテリ。
  26. 前記セルは並列に接続され、前記コントローラはフル充電状態に達したセルを充電電流から切断する、請求項14に記載のリチウムイオンバッテリ。
  27. 前記コントローラは他のセルよりも高い充電レベルを有すると判定されるセルに供給される充電電流を低減する、請求項14に記載のリチウムイオンバッテリ。
  28. 前記コントローラは前記セルの充電中に前記セルの温度を監視し、前記セルのうちの少なくとも1つが所定の温度を超える場合に安全な切断を提供する、請求項14に記載のリチウムイオンバッテリ。
  29. 前記コントローラは前記セルのそれぞれの瞬時充電値及び最大充電容量を判定して前記セルのそれぞれの充電を最適化する、請求項14に記載のリチウムイオンバッテリ。
  30. 前記セルは直列構成、並列構成、又は直列−並列構成のうちの1つで接続される、請求項14に記載のリチウムイオンバッテリ。
  31. 前記コントローラは前記セルに供給される充電電流を調整して前記セルが所定の温度を超えることを防止する、請求項14に記載のリチウムイオンバッテリ。
  32. 前記コントローラは、前記セルの充電中に前記セルの温度を監視し、前記セルの前記温度に基づいて前記セルに供給される充電電流を調整する、請求項14に記載のリチウムイオンバッテリ。
  33. リチウムイオンバッテリであって、
    正端子及び負端子を含む容器と、
    前記容器内に配置される複数の電気化学セルであって、それぞれが正極、負極、及び前記セルの前記正極と前記負極との間のセル電圧を有する、複数の電気化学セルと、
    前記セルの温度を監視するとともに、前記セルのうちの少なくとも1つが所定の温度を超える場合に安全な切断を提供する、少なくとも1つのコントローラと
    を備える、リチウムイオンバッテリ。
  34. 前記コントローラは短絡、過充電及び過放電の際に安全な切断を提供する、請求項33に記載のリチウムイオンバッテリ。
  35. 前記コントローラは前記セル内が過圧力になる際に安全な切断を提供する、請求項34に記載のリチウムイオンバッテリ。
  36. 前記コントローラは前記セルのうちの少なくとも1つを前記容器の前記端子のうちの少なくとも一つから電子的に切断する、請求項33〜35のいずれか一項に記載のリチウムイオンバッテリ。
  37. 前記コントローラは、前記セルの充電中に前記セルのそれぞれの温度を監視し、前記セルのうちの少なくとも1つが充電中に所定の温度を超える場合に安全な切断を提供する、請求項33に記載のリチウムイオンバッテリ。
  38. 前記コントローラは、前記セルの放電中に前記セルのそれぞれの温度を監視し、前記セルのうちの少なくとも1つが前記セルの放電中に所定の温度を超える場合に安全な切断を提供する、請求項33に記載のリチウムイオンバッテリ。
  39. 前記コントローラは前記セルのうちの少なくとも1つが所定の温度を超える場合に前記セルのすべてを切断する、請求項33に記載のリチウムイオンバッテリ。
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