JP2007276387A - インクメディアセット、並びに前処理液カートリッジ、インクカートリッジ、インク記録物、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】水吸収能力の低い、平滑な印刷用紙において、乾燥速度に問題がなく、鮮明で印刷物に近い高品質な画像が得られるインクメディアセット並びに前処理液カートリッジ、インクカートリッジ、インク記録物、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置の提供。
【解決手段】少なくとも着色剤、水分散性樹脂及び水を含有するインクと、支持体上に少なくとも塗工層を有する記録用メディアと、インクジェット記録時に記録用メディアの記録面に付与される前処理液とを有してなり、インクにおける着色剤及び水分散性樹脂の合計含有量が10〜35質量%で、かつ該合計含有量に対する前記水分散性樹脂の含有量が70〜95質量%であり、前処理液はインクの分散性及び溶解性の少なくともいずれかを低下させるインク定着助剤を固形分で10〜80質量%含有しかつ25℃における粘度が100〜10,000mPa・sであるインクメディアセットである。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録方式により高品位画像を記録することができるインクと、記録用メディアと、前処理液とからなるインクメディアセット、並びに該インクメディアセットを用いた前処理液カートリッジ、インクカートリッジ、インク記録物、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録方法は、インクの小液滴を飛翔させて、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う方法である。このインクジェット記録方法に用いるインクとしては、一般に、各種の染料や顔料の着色剤を水、又は水と湿潤剤に溶解又は分散させたものを用いている。このような湿潤剤は、その保水能力からノズルの乾燥防止に寄与する。しかし、浸透速度の速い紙、例えば、普通紙に印字する際には、湿潤剤が蒸発しにくいため、裏抜けが多くなるという欠点がある。
そこで、このような問題を解決するため、普通紙等の記録媒体表面にインクによる画像が形成された際にインク中の染料を定着するための材料を予め塗工した記録媒体や表面に白色顔料や水溶性高分子を塗工した記録媒体が提案されている(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5等参照)。これらの提案は、特殊な処理を施した記録媒体であり、普通紙などの一般的な記録媒体に対応するため、特許文献6には、記録媒体上に予めカルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等のポリマー溶液を噴射し、次いで、前記ポリマー溶液が付着した部分にインクを噴射して印字するインクジェット記録方法が提案されている。しかし、これらのポリマー溶液ではフェザリングは抑えられず、耐水性も改善されていなかった。
また、インク中の染料を不溶化する化合物を含む記録媒体の前処理液を記録媒体上にインクジェット方法により付着した後にその記録媒体の前処理液が付着した部分にインクを噴射して印字するインクジェット記録方法が提案されている(特許文献7、特許文献8、特許文献9等参照)。しかし、これらの方法でも前処理液を安定して噴射させるため、前処理液の粘度を低くする必要があり、そのため、染料を不溶化する化合物を低濃度にせざるをえなかった。このような前処理液で十分な画質改善効果を得るためには、前処理液を比較的多量に付与しなければならないので、記録媒体のカールやコックリングが発生しやすかった。更に、2色重ね部での水分付着量が大きく、コックリングのみならず、インクの裏抜けが大きいという問題もある。
また、シリコーンオイル等のシリコーン化合物とカチオン性化合物とを少なくとも含有した無色の液体組成物を記録媒体に塗布した後、アニオン性成分を含有する記録インクをインクジェット記録方式により付着させる画像形成方法が提案されている(特許文献10参照)。しかし、この提案では、シリコーン化合物が付着した部分はインクの浸透性が著しく低いため画像部の乾燥が遅く、またこの画像形成方法で高速印字を行うと、低浸透に加えて記録媒体への濡れ性が悪いので隣接ドットの合一を生じ、べた画像部等にヘッド主走査方向に沿って白筋が発生するなど、著しく画質が悪化するという問題がある。また、この無色液体組成物は、長期保存するとシリコーンオイルが分解したり、相分離が生じて、安定な記録特性が得られないという課題がある。
また、着色剤と、該着色剤を分散又は溶解する溶媒からなるインク中の着色剤を不溶化する化合物を含有する無色もしくは淡色の画像記録促進液を記録媒体に対して付与した後、インクを液滴として吐出して記録媒体に付着させ、画像記録促進液が所定の界面活性剤を含有する画像記録方法が提案されている(特許文献11参照)。この方法によれば、画像記録促進液中の界面活性剤が、浸透性や濡れ性を改善するため、画像の乾燥性が向上し、高速記録に対応が可能となる。しかし、界面活性剤により色材の紙内部への浸透を促進する場合があり、裏抜けの増大、画像濃度の低下、フェザリングの発生などの恐れからさらなる改善が求められていた。
一方、アート紙、グロス紙等の一般印刷用塗工紙などの水吸収能力の小さな紙に、水性インクジェットインクで画像を記録した場合には、湿潤剤が蒸発しにくいため、乾燥に多くの時間がかかり実用的でない。更にインクの吸収性が遅いため、紙面上でにじみやビーディングが発生していた。
そこで、上記のような印刷用紙でも乾燥が速く、画像濃度や彩度も高く、普通紙においても高画質であり、しかも長期停止時においてもノズルの目詰まりの生じないインクジェット記録方法の提供が望まれている。
例えば、特許文献12には、湿潤剤の含有量を極端に少なくしたインクジェットインクが提案されている。この提案によれば、普通紙を用いても裏抜けのない高画像濃度の画質が得られる。しかし、この提案では、インク中に樹脂が含まれていないため、特に、顔料インクを使用する場合には、画像の定着性が劣るものである。また、オフセットコート紙へ印字する際の乾燥速度の向上については開示も示唆もされていない。
また、特許文献13には、速乾性の染料インクについて提案されている。しかし、この提案の実施例では、湿潤剤が15質量%以上と多く含まれており、樹脂の添加がなく、紙も上質紙を用いており、極めて吸水しにくい印刷用塗工紙は対象としていない。
また、特許文献14には、プラスチック基材のような撥水面や、オフセット印刷物あるいはグラビア印刷物のような油性インク層の表面に、良好なインクジェット画像を形成しうる水性プレコート液が提案されている。しかし、この提案のインクは顔料インクに限定されており染料インクには適用できず、またプレコート液はインクジェット方式で塗布されるため、吐出信頼性を確保するために液処方に種々の制約がある。
また、特許文献15には、オフセット媒体上に印刷される画像の品質を改善するためのインクジェット印刷システムとして、定着液とインクの組み合わせが提案されている。しかし、この提案の定着液もインクジェットヘッドを使って付着させるため、定着剤液処方にインクと同様の吐出信頼性を確保するための種々の制約を受ける。
また、特許文献16には、アルカリ土類金属塩を使用せず無定形シリカを使用した記録層の臨界表面張力を規定したインクジェット記録用、電子写真転写紙用両用記録用紙が提案されている。しかし、この提案では、安価で広く流通している印刷用紙に用いられるカオリン、タルク、炭酸カルシウムなどの顔料を含有する記録層に対するインクジェット画像の品質を確保することができない。
したがって水吸収能力の低い、平滑な印刷用紙においても、乾燥速度に問題がなく、鮮明で印刷物に近い画像が得られるインクメディアセット、並びに該インクメディアセットを用いた前処理液カートリッジ、インクカートリッジ、インク記録物、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置については、未だ充分満足できる性能を有するものは提供されていないのが現状である。
特開昭56−86789号公報 特開昭55−144172号公報 特開昭55−81992号公報 特開昭52−53012号公報 特開昭56−89594号公報 特開昭56−89595号公報 特開昭64−63185号公報 特開平8−20159号公報 特開平8−20161号公報 特開平8−142500号公報 特開平10−250216号公報 特開2004−115551号公報 特開昭60−34992号公報 特開2004−74432号公報 特開2004−181955号公報 特許第3150569号公報
本発明は、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、水吸収能力の低い、平滑な印刷用紙において、乾燥速度に問題がなく、鮮明で印刷物に近い高品質な画像が得られるインクと、記録用メディアと、前処理液とからなるインクメディアセット、並びに該インクメディアセットを用いた前処理液カートリッジ、インクカートリッジ、インク記録物、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 少なくとも着色剤、水分散性樹脂、及び水を含有するインクと、
支持体と、該支持体上に少なくとも塗工層とを有する記録用メディアと、
インクジェット記録時に記録用メディアの記録面に付与される前処理液と、を有するインクメディアセットであって、
前記インクにおける着色剤及び水分散性樹脂の合計含有量が10〜35質量%であり、かつ該合計含有量に対する前記水分散性樹脂の含有量が70〜95質量%であり、
前記前処理液は、インクの分散性及び溶解性の少なくともいずれかを低下させるインク定着助剤を固形分で10〜80質量%含有し、かつ25℃における粘度が100〜10,000mPa・sであることを特徴とするインクメディアセットである。
<2> インク定着助剤が、カチオン性化合物である前記<1>に記載のインクメディアセットである。
<3> カチオン性化合物が、カチオン性ポリマーである前記<2>に記載のインクメディアセットである。
<4> カチオン性ポリマーが、下記構造式(1)から(20)で表されるポリマーから選択される少なくとも1種である前記<3>に記載のインクメディアセットである。
ただし、前記構造式(1)中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。Rは炭素数1〜3のアルキレン基を表す。nは重合数を表す。
ただし、前記構造式(2)中、nは重合数を表す。
ただし、前記構造式(3)中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。Rは水素原子、及びCHのいずれかを表す。R、R、及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、及びアルキル基のいずれかを表す。nは重合数を表す。
ただし、前記構造式(4)中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。nは重合数を表す。
ただし、前記構造式(5)中、nは5〜30の自然数を表す。
ただし、前記構造式(6)中、nは重合数を表す。
ただし、前記構造式(7)中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。nは重合数を表す。
ただし、前記構造式(8)中、nは重合数を表す。
ただし、前記構造式(9)中、Z及びYは、それぞれ−OCOCH又は−OHを表す。Rは炭素数1〜4のアルキレン基を表す。n、l、及びmはそれぞれ重合数を表す。
ただし、前記構造式(10)中、Rはアルキル基を表す。Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。nは重合数を表す。
ただし、前記構造式(11)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、及びアルキル基のいずれかを表す。Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。nは重合数を表す。
ただし、前記構造式(12)中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。nは重合数を表す。
ただし、前記構造式(13)中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。nは重合数を表す。
ただし、前記構造式(14)中、j及びkは、それぞれ2〜6の自然数を表す。nは重合数を表す。
ただし、前記構造式(15)中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。nは重合数を表す。
ただし、前記構造式(16)中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。Qは共重合可能なモノマー成分を表す。n及びmは、それぞれ重合数を表す。
ただし、前記構造式(17)中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。nは重合数を表す。
ただし、前記構造式(18)中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。nは重合数を表す。
ただし、前記構造式(19)及び(20)中、Dは下記構造式(21)及び(22)のいずれかで示される置換基を表す。Dは、Dと独立であり、水素原子、下記構造式(21)、及び下記構造式(22)のいずれかを表す。nは自然数を表し、mは0以上の整数を表す。
ただし、前記構造式(21)及び構造式(22)中、R及びR10は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、及びアリール基のいずれかを表す。R11及びR12は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、アルカリ金属、及び下記構造式(23)で示される置換基のいずれかを表す。
ただし、前記構造式(23)中、R13〜R16は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アリール基、ヒドロキシアルキル基、及びベンジル基のいずれかを表す。
<5> カチオン性化合物が粒子であり、かつ前処理液中に分散されている前記<2>に記載のインクメディアセットである。
<6> 粒子がカチオン性シリカ粒子である前記<5>に記載のインクメディアセットである。
<7> カチオン性化合物が、カチオン性エマルジョンである前記<5>から<6>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<8> インク定着助剤が水溶性の多価金属塩である前記<1>に記載のインクメディアセットである。
<9> 記録用メディアの記録面におけるJIS K6768に基づく臨界表面張力が、25〜40mN/mである前記<1>から<8>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<10> 動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の記録用メディアの記録面への転移量が2〜35ml/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の記録用メディアの記録面への転移量が3〜40ml/mである前記<1>から<9>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<11> 記録用メディアにおける塗工層が顔料を含有し、かつ該顔料がカオリン、タルク及び炭酸カルシウムから選択される少なくとも1種である前記<1>から<10>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<12> インクにおける着色剤が、アニオン性染料である前記<1>から<11>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<13> 水分散性樹脂が樹脂微粒子を含み、該樹脂微粒子がアクリルシリコーン樹脂微粒子であり、かつ該アクリルシリコーン樹脂のガラス転移温度が25℃以下である前記<1>から<12>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<14> 樹脂微粒子の樹脂エマルジョン中での体積平均粒径が10〜1,000nmである前記<13>に記載のインクメディアセットである。
<15> 前記<1>から<14>のいずれかに記載のインクメディアセットにおけるインクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジである。
<16> 前記<1>から<14>のいずれかに記載のインクメディアセットにおける前処理液を容器中に収容してなることを特徴とする前処理液カートリッジである。
<17> 前記<1>から<14>のいずれかに記載のインクメディアセットを用いたインクジェット記録方法であって、
記録用メディアの記録面に前処理液を付与する工程と、
前処理液が乾燥する前に、インクに画像信号にしたがって刺激を印加し、該インクを飛翔させて記録メディアに画像を記録する工程と、を含むことを特徴とするインクジェット記録方法である。
<18> 前処理液の付与がローラにより行われる前記<17>に記載のインクジェット記録方法である。
<19> 前処理液の付着量が、記録用メディアの記録面に固形分で0.5〜10g/mである前記<17>から<18>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<20> 刺激が、熱、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種である前記<17>から<19>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<21> 前記<1>から<14>のいずれかに記載のインクメディアセットを用いたインクジェット記録装置であって、
記録用メディアの記録面に前処理液を付与する手段と、
前処理液が乾燥する前に、インクに画像信号にしたがって刺激を印加し、該インクを飛翔させて記録メディアに画像を記録する手段と、を有することを特徴とするインクジェット記録装置である。
<22> 刺激が、熱、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種である前記<21>に記載のインクジェット記録装置である。
<23> 前記<1>から<14>のいずれかに記載のインクメディアセットを用い、前処理液を付与した記録用メディア上にインクを用いて形成された画像を有してなることを特徴とするインク記録物である。
本発明のインクメディアセットは、少なくとも着色剤、水分散性樹脂、及び水を含有するインクと、支持体上に少なくとも塗工層とを有する記録用メディアと、インクジェット記録時に記録用メディアの記録面に付与される前処理液とを有する。前処理液は、インクジェット記録時に記録用メディアの記録面に付与され、前記前処理液は、インクの分散性及び溶解性の少なくともいずれかを低下させるインク定着助剤を固形分で10〜80質量%含有し、かつ25℃における粘度が100〜10,000mPa・sである。前記前処理液においては、インクの溶解性や分散性を低下せしめる化合物が高濃度に含有され、従来に比べて高粘度の前処理液が記録媒体に付与されるため、従来の前処理液をインクジェット記録方法で付与する方法に比較して、色境界にじみ、フェザリング、インクの裏抜けを防止する効果が大きく、画像濃度、色調が向上する。特に、高粘度であるため前処理液が、普通紙等の記録媒体の内部深くまで浸透せず、記録媒体の表面近傍にとどまっているために、従来の液を吐出せしめて付与する方法に比較して、単位面積当たりの前処理液の付与量が少い場合にも、上記の画像品質向上の効果が得られ、液付与量が少ないために、記録媒体のコックリングが生じ難い。更に、アニオン性のインクとカチオン性の前処理液を用いることによって、インクの裏抜け防止効果が高まり、画像品質をより向上させることができる。
また、前記インクにおける着色剤及び水分散性樹脂の合計含有量が10〜35質量%であり、かつ該合計含有量に対する前記水分散性樹脂の含有量が70〜95質量%であるので、滲みを防止でき、高画像濃度であり、画像の彩度を向上させることができる。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明の前記インクメディアセットを用い、
記録用メディアの記録面に前処理液を付与する工程と、
前記処理液が乾燥する前に、インクに画像信号にしたがって刺激を印加し、該インクを飛翔させて記録メディアに画像を記録する工程とを含む。その結果、水吸収能力の低い、平滑な印刷用紙において、乾燥速度に問題がなく、鮮明で印刷物に近い高品質な画像が可能である。
本発明のインクジェット記録装置は、本発明の前記インクメディアセットを用い、
記録用メディアの記録面に前処理液を付与する手段と、
前記処理液が乾燥する前に、インクに画像信号にしたがって刺激を印加し、該インクを飛翔させて記録メディアに画像を記録する手段とを有する。その結果、水吸収能力の低い、平滑な印刷用紙において、乾燥速度に問題がなく、鮮明で印刷物に近い高品質な画像を形成できる。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、水吸収能力の低い、平滑な印刷用紙において、乾燥速度に問題がなく、鮮明で印刷物に近い高品質な画像が得られるインクと、記録用メディアと、前処理液とからなるインクメディアセット、並びに該インクメディアセットを用いた前処理液カートリッジ、インクカートリッジ、インク記録物、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置を提供することができる。
(インクメディアセット)
本発明のインクメディアセットは、インクと、記録用メディアと、前処理液とを有してなり、更に必要に応じてその他の構成を有してなる。
<インク>
前記インクは、少なくとも着色剤、水分散性樹脂、及び水を含有してなり、湿潤剤、浸透剤、界面活性剤、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
−着色剤−
前記着色剤としては、顔料及び染料のいずれでも用いることができ、これらを混合して用いることもできる。現在、一般のインクジェット用インクには、アニオン性の染料又は顔料が用いられている。本発明では、用いられるインクの組成は限定されたものではないが、一般に用いられているアニオン性の色材を用いたインクとカチオン性の化合物を含む前処理液との組み合わせで用いることが、最も効果が大きい。
前記インク中のアニオン性成分は、アニオン性染料、アニオン性分散剤で分散された顔料又は染料、アニオン性基を有する顔料、アニオン性着色微粒子から選ばれる少なくとも一つの着色剤である。着色剤中に官能基としてアニオン性基を有しているか、あるいは、アニオン性成分が着色剤に吸着しているため、アニオン性成分とカチオン性樹脂との反応により、前記インク中の着色成分を記録媒体の表層に効率よくとどめることができ、よって、画像濃度向上、裏抜け濃度低減、フェザリング、境界にじみ防止など様々な画質改善効果が得られる。これらの中でも、特にアニオン性染料を用いた場合、前処理液の効果によって染料がメディア表面近傍で定着されるため、好適に用いることができる。
<顔料>
前記顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、無機顔料、有機顔料のいずれであってもよい。これら顔料は複数種類を混合して用いてもよい。
前記有機顔料としては、例えばアゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリレン系、イソインドレノン系、アニリンブラック、アゾメチン系、ローダミンBレーキ、カーボンブラックなどが挙げられる。
前記無機顔料としては、例えば酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、紺青、カドミウムレッド、クロムイエロー、金属粉などが挙げられる。
これらの顔料の粒子径は0.01〜0.30μmが好ましい。前記粒子径が0.01μm未満であると粒子径が染料に近づくため、耐光性、フェザリングが悪化してしまうことがあり、0.30μmを超えると、吐出口の目詰まりやプリンター内のフィルタでの目詰まりが発生し、吐出安定性を得ることができないことがある。
前記顔料の色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色用のもの、カラー用のもの、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記黒色用のものとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料、などが挙げられる。
黒色顔料インクに使用されるカーボンブラックとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックであり、一次粒径が15〜40nm、BET法による比表面積が、50〜300m/g、DBP吸油量が、40〜150ml/100g、揮発分が0.5〜10%、pH値が2〜9を有するものが好ましい。このようなカーボンブラックとしては、市販品を用いることができ、例えば、No.2300、No.900、MCF−88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B(いずれも、三菱化学株式会社製);Raven700、同5750、同5250、同5000、同3500、同1255(いずれも、コロンビア社製);Regal400R、同330R、同660R、MogulL、Monarch700、同800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、Monarch1400(いずれも、キャボット社製);カラーブラックFW1、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、同S150、同S160、同S170、プリンテックス35、同U、同V、同140U、同140V、スペシャルブラック6、同5、同4A、同4(いずれも、デグッサ社製)などが挙げられる。
前記カラー用としては、黄色インク用では、例えば、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、17、23、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83(ジスアゾイエローHR)、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、128、138、150、153、などが挙げられる。
マゼンタ用では、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、92、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(ジメチルキナクリドン)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、などが挙げられる。
シアン用では、例えばC.I.ピグメントブルー1、2、15(銅フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、56、60、63などが挙げられる。
また、中間色としてはレッド、グリーン、ブルー用として、C.I.ピグメントレッド177、194、224、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントバイオレット3,19,23,37、C.I.ピグメントグリーン7,36などが挙げられる。
以上に挙げた顔料は高分子分散剤や界面活性剤を用いて水性媒体に分散させることでインクジェット用インクとすることができる。このような有機顔料粉体を分散させるための分散剤としては、通常の水溶性樹脂や水溶性界面活性剤を用いることができる。
水溶性樹脂の具体例としては、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマール酸、フマール酸誘導体等から選ばれた少なくとも2つ以上の単量体からなるブロック共重合体、あるいはランダム共重合体、又はこれらの塩等が挙げられる。これらの水溶性樹脂は、塩基を溶解させた水溶液に可溶なアルカリ可溶型樹脂であり、これらの中でも質量平均分子量3000〜20000のものが、インクジェット用インクに用いた場合に、分散液の低粘度化が可能であり、かつ分散も容易であるという利点があるので特に好ましい。高分子分散剤と自己分散型顔料を同時に使うことは、適度なドット径を得られるため好ましい組み合わせである。その理由は明らかでないが、以下のように考えられる。
高分子分散剤を含有することで記録紙への浸透が抑制される。その一方で、高分子分散剤を含有することで自己分散型顔料の凝集が抑えられるため、自己分散型顔料が横方向にスムーズに拡がることができる。そのため、広く薄くドットが拡がり、理想的なドットが形成できると考えられる。
また、本発明で分散剤として使用できる水溶性界面活性剤の具体例としては、下記のものが挙げられる。例えば、アニオン性界面活性剤としては、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルアリル及びアルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩等が挙げられる。又、カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、テトラアルキルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。更に両性界面活性剤としては、ジメチルアルキルラウリルベタイン、アルキルグリシン、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。又、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。
また、顔料は親水性基を有する樹脂によって被覆し、マイクロカプセル化することで、分散性を与えることもできる。
水不溶性の顔料を有機高分子類で被覆してマイクロカプセル化する方法としては、従来公知のすべての方法を用いることが可能である。従来公知の方法として、化学的製法、物理的製法、物理化学的方法、機械的製法などが挙げられる。具体的には、以下の方法が挙げられる。
(1)界面重合法(2種のモノマーもしくは2種の反応物を、分散相と連続相に別々に溶解しておき、両者の界面において両物質を反応させて壁膜を形成させる方法)
(2)in−situ重合法(液体又は気体のモノマーと触媒、もしくは反応性の物質2種を連続相核粒子側のどちらか一方から供給して反応を起こさせ壁膜を形成させる方法)
(3)液中硬化被膜法(芯物質粒子を含む高分子溶液の滴を硬化剤などにより、液中で不溶化して壁膜を形成する方法)
(4)コアセルベーション(相分離)法(芯物質粒子を分散している高分子分散液を、高分子濃度の高いコアセルベート(濃厚相)と希薄相に分離させ、壁膜を形成させる方法)
(5)液中乾燥法(芯物質を壁膜物質の溶液に分散した液を調製し、この分散液の連続相が混和しない液中に分散液を入れて、複合エマルションとし、壁膜物質を溶解している媒質を徐々に除くことで壁膜を形成させる方法)
(6)融解分散冷却法(加熱すると液状に溶融し常温では固化する壁膜物質を利用し、この物質を加熱液化し、その中に芯物質粒子を分散し、それを微細な粒子にして冷却し壁膜を形成させる方法)
(7)気中懸濁被覆法(粉体の芯物質粒子を流動床によって気中に懸濁し、気流中に浮遊させながら、壁膜物質のコーティング液を噴霧混合させて、壁膜を形成させる方法)
(8)スプレードライング法(カプセル化原液を噴霧してこれを熱風と接触させ、揮発分を蒸発乾燥させ壁膜を形成させる方法)
(9)酸析法(アニオン性基を含有する有機高分子化合物類のアニオン性基の少なくとも一部を塩基性化合物で中和することで水に対する溶解性を付与し色材と共に水性媒体中で混練した後、酸性化合物で中性又は酸性にし、有機化合物類を析出させ色材に固着せしめた後に中和し分散させる方法)
(10)転相乳化法(水に対して分散能を有するアニオン性有機高分子類と色材とを含有する混合体を有機溶媒相とし、前記有機溶媒相に水を投入するかもしくは、水に前記有機溶媒相を投入する方法)
マイクロカプセルの壁膜物質を構成する材料として使用される有機高分子類(樹脂)としては、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリウレア、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、多糖類、ゼラチン、アラビアゴム、デキストラン、カゼイン、タンパク質、天然ゴム、カルボキシポリメチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリスチレン、(メタ)アクリル酸の重合体又は共重合体、(メタ)アクリル酸エステルの重合体又は共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アルギン酸ソーダ、脂肪酸、パラフィン、ミツロウ、水ロウ、硬化牛脂、カルナバロウ、アルブミンなどが挙げられる。
これらの中ではカルボン酸基又はスルホン酸基などのアニオン性基を有する有機高分子類を使用することが可能である。また、ノニオン性有機高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート又はそれらの(共)重合体)、2−オキサゾリンのカチオン開環重合体などが挙げられる。特に、ポリビニルアルコールの完全ケン物は、水溶性が低く、熱水には解け易いが冷水には解けにくいという性質を有しており特に好ましい。
また、マイクロカプセルの壁膜物質を構成する有機高分子類の量は、有機顔料又はカーボンブラックなどの水不溶性の色材に対して1〜20質量%が好ましい。前記有機高分子類の量を上記の範囲にすることによって、カプセル中の有機高分子類の含有率が比較的低いために、有機高分子類が顔料表面を被覆することに起因する顔料の発色性の低下を抑制することが可能となる。前記有機高分子類の量が1質量%未満であると、カプセル化の効果を発揮しづらくなることがあり、20質量%を超えると、顔料の発色性の低下が著しくなることがある。更に他の特性などを考慮すると有機高分子類の量は水不溶性の色材に対し5〜10質量%の範囲が好ましい。即ち、色材の一部が実質的に被覆されずに露出しているために発色性の低下を抑制することが可能となり、また、逆に、色材の一部が露出せずに実質的に被覆されているために顔料が被覆されている効果を同時に発揮することが可能となるのである。また、本発明に用いる有機高分子類の数平均分子量としては、カプセル製造面などから、2,000以上であることが好ましい。ここで「実質的に露出」とは、例えば、ピンホール、亀裂などの欠陥などに伴う一部の露出ではなく、意図的に露出している状態を意味するものである。
更に、色材として自己分散性の顔料である有機顔料又は自己分散性のカーボンブラックを用いれば、カプセル中の有機高分子類の含有率が比較的低くても、顔料の分散性が向上するために、十分なインクの保存安定性を確保することが可能となるのでより好ましい。
なお、マイクロカプセル化の方法によって、それに適した有機高分子類を選択することが好ましい。例えば、界面重合法による場合は、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリビニルピロリドン、エポキシ樹脂などが適している。in−situ重合法による場合には、(メタ)アクリル酸エステルの重合体又は共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミドなどが適している。液中硬化法による場合には、アルギン酸ソーダ、ポリビニルアルコール、ゼラチン、アルブミン、エポキシ樹脂などが適している。コアセルベーション法による場合には、ゼラチン、セルロース類、カゼインなどが適している。また、微細で、かつ均一なマイクロカプセル化顔料を得るためには、前記以外にも従来公知のカプセル化法すべてを利用することが可能である。
マイクロカプセル化の方法として転相法又は酸析法を選択する場合には、マイクロカプセルの壁膜物質を構成する有機高分子類としては、アニオン性有機高分子類を使用する。転相法は、水に対して自己分散能又は溶解能を有するアニオン性有機高分子類と、自己分散性有機顔料又は自己分散型カーボンブラックなどの色材との複合物又は複合体、あるいは自己分散性有機顔料又は自己分散型カーボンブラックなどの色材、硬化剤及びアニオン性有機高分子類との混合体を有機溶媒相とし、該有機溶媒相に水を投入するか、あるいは水中に該有機溶媒相を投入して、自己分散(転相乳化)化しながらマイクロカプセル化する方法である。上記転相法において、有機溶媒相中に、インク用のビヒクルや添加剤を混入させて製造しても問題はない。特に、直接インク用の分散液を製造できることからいえば、インクの液媒体を混入させる方がより好ましい。
一方、酸析法は、アニオン性基含有有機高分子類のアニオン性基の一部又は全部を塩基性化合物で中和し、自己分散性有機顔料又は自己分散型カーボンブラックなどの色材と、水性媒体中で混練する工程及び酸性化合物でpHを中性又は酸性にしてアニオン性基含有有機高分子類を析出させて、顔料に固着する工程とからなる製法によって得られる含水ケーキを、塩基性化合物を用いてアニオン性基の一部又は全部を中和することによりマイクロカプセル化する方法である。このようにすることによって、微細で顔料を多く含むアニオン性マイクロカプセル化顔料を含有する水性分散液を製造することができる。
また、上記に挙げたようなマイクロカプセル化の際に用いられる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルキルアルコール類;ベンゾール、トルオール、キシロールなどの芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;クロロホルム、二塩化エチレンなどの塩素化炭化水素類;アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類などが挙げられる。なお、上記の方法により調製したマイクロカプセルを遠心分離又は濾過などによりこれらの溶剤中から一度分離して、これを水及び必要な溶剤とともに撹拌、再分散を行い、目的とするインクが得られる。以上の方法で得られるカプセル化顔料の平均粒径は50〜180nmが好ましい。
このように樹脂被覆することによって顔料が記録媒体にしっかりと付着することにより、インク記録物の擦過性を向上させることができる。
<染料>
前記染料としては、カラーインデックスにおいて酸性染料、直接性染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料に分類される染料で耐水性、耐光性が優れたものが用いられる。これら染料は複数種類を混合して用いてもよいし、必要に応じて顔料等のその他の色材と混合して用いてもよい。
(a)酸性染料及び食用染料としては、例えばC.I.アシッド・イエロー17,23,42,44,79,142;C.I.アシッド・レッド1,8,13,14,18,26,27,35,37,42,52,82,87,89,92,97,106,111,114,115,134,186,249,254,289;C.I.アシッド・ブルー9,29,45,92,249;C.I.アシッド・ブラック1,2,7,24,26,94;C.I.フード・イエロー3,4;C.I.フード・レッド7,9,14;C.I.フード・ブラック1,2などが挙げられる。
(b)直接染料としては、例えばC.I.ダイレクト・イエロー1,12,24,26,33,44,50,86,120,132,142,144;C.I.ダイレクト・レッド1,4,9,13,17,20,28,31,39,80,81,83,89,225,227;C.I.ダイレクト・オレンジ26,29,62,102;C.I.ダイレクト・ブルー1,2,6,15,22,25,71,76,79,86,87,90,98,163,165,199,202;C.I.ダイレクト・ブラック19,22,32,38,51,56,71,74,75,77,154,168,171などが挙げられる。
(c)塩基性染料としては、例えばC.I.ベーシック・イエロー1,2,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,40,41,45,49,51,53,63,64,65,67,70,73,77,87,91;C.I.ベーシック・レッド2,12,13,14,15,18,22,23,24,27,29,35,36,38,39,46,49,51,52,54,59,68,69,70,73,78,82,102,104,109,112;C.I.ベーシック・ブルー1,3,5,7,9,21,22,26,35,41,45,47,54,62,65,66,67,69,75,77,78,89,92,93,105,117,120,122,124,129,137,141,147,155;C.I.ベーシック・ブラック2,8などが挙げられる。
(d)反応性染料としては、例えばC.I.リアクティブ・ブラック3,4,7,11,12,17;C.I.リアクティブ・イエロー1,5,11,13,14,20,21,22,25,40,47,51,55,65,67;C.I.リアクティブ・レッド1,14,17,25,26,32,37,44,46,55,60,66,74,79,96,97;C.I.リアクティブ・ブルー1,2,7,14,15,23,32,35,38,41,63,80,95などが挙げられる。
前記着色剤の前記インクにおける含有量は、6〜15質量%が好ましく、8〜12質量%がより好ましい。前記含有量が6質量%未満であると、着色力の低下により、画像濃度が低くなったり、粘度の低下によりフェザリングや滲みが悪化することがあり、15質量%を超えると、記録装置を放置しておいた場合等に、ノズルが乾燥し易くなり、不吐出現象が発生したり、粘度が高くなりすぎることにより浸透性が低下したり、ドットが広がらないために画像濃度が低下したり、ぼそついた画像になることがある。
−水分散性樹脂−
前記水分散性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水分散性樹脂の添加量を多くできる点から樹脂微粒子が好ましい。
前記樹脂微粒子は、連続相としての水中に分散した樹脂エマルジョンとして存在しているものがインク製造時に使用される。樹脂エマルジョン中には必要に応じて界面活性剤のような分散剤を含有しても構わない。
前記分散相成分としての樹脂微粒子の含有量(樹脂エマルジョン溶液中の樹脂微粒子の含有量:製造後のインク中の含有量ではない)は、一般的には10〜70質量%が好ましい。
また、前記樹脂微粒子の粒径は、特にインクジェット記録装置に使用することを考慮すると、体積平均粒径10〜1,000nmが好ましく、100〜300nmがより好ましい。この体積平均粒径は樹脂エマルジョン中での粒径であるが、安定なインクの場合、樹脂エマルジョン中の粒径とインク中の樹脂微粒子粒径には大きな違いはない。前記体積平均粒径が大きいほどエマルジョンの添加量を多くすることができる。前記体積平均粒径が10nm未満であると、エマルジョンの添加量を多くすることができないことがあり、1,000nmを超えると、信頼性が低下することがある。ただし、必ずしもこれ以外の範囲の粒径のエマルジョンでも使用できないことはない。これらはエマルジョン種によらず一般的傾向である。
ここで、前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(マイクロトラック MODEL UPA9340、日機装株式会社製)を用いて測定することができる。具体的には、エマルジョン水溶液を信号レベルの最適範囲内に希釈し、transparency-YES,仮にReflactive Index1.49, Partial Density1.19,Spherical Particles-YES,媒体-水の条件で測定する。ここでは、50%の値を体積平均粒径とした。
前記分散相の樹脂微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン‐ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。
前記樹脂エマルジョンとしては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
該市販の樹脂エマルジョンとしては、例えば、マイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE−1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学株式会社製
)、プライマルAC−22、AC−61(アクリル系樹脂エマルジョン、ローム・アンド・ハース社製)、ナノクリルSBCX−2821、3689(アクリルシリコーン系樹脂エマルジョン、東洋インキ製造株式会社製)、#3070(メタクリル酸メチル重合体樹脂エマルジョン、御国色素株式会社製)などが挙げられる。これらの中でも、定着性が良好である点からアクリルシリコーンエマルジョンが特に好ましい。
前記アクリルシリコーンエマルジョンにおける樹脂成分のガラス転移温度は、25℃以下が好ましく、0℃以下がより好ましい。前記ガラス転移温度が25℃を超えると、樹脂自体が脆くなり定着性悪化の要因となる。特に、平滑で水吸収し難い印刷用紙では、定着性の低下が現れることがある。ただし、ガラス転移温度が25℃以上でも必ずしも使用できないわけではない。
前記ガラス転移温度は、例えば、示差走査熱量計(理学電気株式会社製)を用いて測定することができる。
具体的には、樹脂エマルジョン水溶液の常温乾燥膜の樹脂片を示差走査熱量計で−50℃付近より昇温し、段差が発生する温度により求めることができる。
前記インクにおける着色剤及び水分散性樹脂の添加量は、合計含有量が10〜35質量%であり、かつ前記総含有量に対する水分散性樹脂の含有量が70〜95質量%であることが必要である。前記合計含有量が35質量%を超えると、粘度も高くなり、現状のインクジェット記録装置では吐出が困難な傾向がある。ただし、にじみ防止のためには合計含有量はより多い方が好ましい。また着色剤に対する水分散性樹脂の含有量70質量%未満であると、画像の彩度が低下する傾向があり、95質量%を超えると画像濃度が低下する傾向がある。
−湿潤剤−
前記湿潤剤は、乾燥による記録ヘッドのノズルの詰まりを防止することを目的として添加される。該湿潤剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオール化合物、ラクタム化合物、尿素化合物及び糖類から選択される少なくとも1種が好適である。
前記ポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1、3−プルパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4ブタンジオール、1,5ペンタンジオール、1、6ヘキサンジオール、グリセロール、1、2、6−ヘキサントリオール、1、2、4−ブタントリオール、1、2、3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;モノエタノ−ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類;プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用して使用してもよい。
これらの中でも、溶解性と水分蒸発による噴射特性不良の防止に対して優れた効果が得られる点から、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、テトラエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドンが好適である。
前記ラクタム化合物としては、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタムから選択される少なくとも1種が挙げられる。
前記尿素化合物としては、例えば、尿素、チオ尿素、エチレン尿素及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンから選択される少なくとも1種が挙げられる。前記尿素類の前記インクへの添加量は、一般的に0.5〜50質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。
前記糖類としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類及び四糖類を含む)、多糖類、又はこれらの誘導体などが挙げられる。これらの中でも、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオースが好適であり、マルチトース、ソルビトース、グルコノラクトン、マルトースが特に好ましい。
前記多糖類とは、広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることができる。
前記糖類の誘導体としては、前記糖類の還元糖(例えば、糖アルコール〔ただし、一般式:HOCH(CHOH)CHOH(ただし、nは2〜5の整数を表す)で表される〕、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸などが挙げられる。これらの中でも、糖アルコールが特に好ましい。該糖アルコールとしては、例えば、マルチトール、ソルビット、などが挙げられる。
前記湿潤剤の前記インク中における含有量は、10〜50質量%が好ましく、20〜35質量%がより好ましい。前記含有量が少なすぎると、ノズルが乾燥しやすくなり液滴の吐出不良が発生することがあり、多すぎるとインク粘度が高くなり、適正な粘度範囲を超えてしまうことがある。
−浸透剤−
前記浸透剤としては、炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物のいずれかが用いられる。
前記ポリオール化合物の炭素数が8未満であると、十分な浸透性が得られず、両面印刷時に記録用メディアを汚したり、記録用メディア上でのインクの広がりが不十分で画素の埋まりが悪くなるため、文字品位や画像濃度の低下が生じることがある。
前記炭素数8以上のポリオール化合物としては、例えば、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(溶解度:4.2%(25℃))、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール(溶解度:2.0%(25℃))、などが好適である。
前記グリコールエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
前記浸透剤の添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
−界面活性剤−
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、着色剤の種類や湿潤剤、浸透剤などの組合せによって、分散安定性を損なわない界面活性剤の中から目的に応じて適宜選択することができるが、特に、印刷用紙に印刷する場合には、表面張力が低く、レベリング性の高いものが好ましく、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤から選択される少なくとも1種が好適である。これらの中でも、フッ素系界面活性剤が特に好ましい。
前記フッ素系界面活性剤としては、フッ素が置換した炭素数が2〜16が好ましく、4〜16がより好ましい。前記フッ素置換炭素数が2未満であると、フッ素の効果が得られないことがあり、16を超えると、インク保存性などの問題が生じることがある。
前記フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物、などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少なく、特に好ましい。
前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルカルボン化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルリン酸エステルの塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩、などが挙げられる。
これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
該市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも旭硝子株式会社製)、フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも住友スリーエム株式会社製)、メガファックF−470、F1405、F−474(いずれも大日本インキ化学工業株式会社製)、Zonyl TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR(いずれもDuPont社製)、FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも株式会社ネオス社製)、PF−151N(オムノバ社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する均染性が著しく向上する点から株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW及びオムノバ社製のPF−151Nが特に好ましい。
前記フッ素系界面活性剤の具体例としては、下記構造式で表されるものが好適である。
(1)アニオン性フッ素系界面活性剤
ただし、前記構造式中、Rfは、下記構造式で表されるフッ素含有疎水基の混合物を表す。Aは、−SOX、−COOX、又は−POX(ただし、Xは対アニオンであり、具体的には、水素原子、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、又はNH(CHCHOH)が挙げられる)を表す。
ただし、前記構造式中、Rf’は下記構造式で表されるフッ素含有基を表す。Xは、上記と同じ意味を表す。nは1又は2の整数、mは2−nを表す。
ただし、前記構造式中、nは3〜10の整数を表す。
ただし、前記構造式中、Rf’及びXは、上記と同じ意味を表す。
ただし、前記構造式中、Rf’及びXは、上記と同じ意味を表す。
(2)ノニオン性フッ素系界面活性剤
ただし、前記構造式中、Rfは上記と同じ意味を表す。nは5〜20の整数を表す。
ただし、前記構造式中、Rf’は上記と同じ意味を表す。nは1〜40の整数を表す。
(3)両性フッ素系界面活性剤
ただし、前記構造式中、Rfは、上記と同じ意味を表す。
(4)オリゴマー型フッ素系界面活性剤
ただし、前記構造式中、Rf”は、下記構造式で表されるフッ素含有基を表す。nは0〜10の整数を表す。Xは、上記と同じ意味を表す。
ただし、前記構造式中、nは1〜4の整数を表す。
ただし、前記構造式中、Rf”は、上記と同じ意味を表す。lは0〜10の整数、mは0〜10の整数、nは0〜10の整数をそれぞれ表す。
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
該市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越シリコーン株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社などから容易に入手できる。
前記ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記構造式で表されるポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物、などが挙げられる。
ただし、前記構造式中、m、n、a、及びbは整数を表す。R及びR’はアルキル基、アルキレン基を表す。
前記ポリエーテル変性シリコーン化合物としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF643(いずれも信越化学工業株式会社製)などが挙げられる。
また、前記フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤以外にも、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などを用いることができる。
前記アニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、琥珀酸エステルスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
前記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
前記アセチレングリコール系の界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。該アセチレングリコール系界面活性剤は、市販品として、例えば、エアープロダクツ社(米国)のサーフィノール104、82、465、485、TGなどが挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキシド、ポリオキシエチレンヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド、ジメチルアルキル(ヤシ)ベタイン、ジメチルラウリルベタイン等が挙げられる。
このような界面活性剤は、市販品として日光ケミカルズ株式会社、日本エマルジョン株式会社、日本触媒株式会社、東邦化学株式会社、花王株式会社、アデカ株式会社、ライオン株式会社、青木油脂株式会社、三洋化成工業株式会社などから容易に入手できる。
前記界面活性剤は、これらに限定されるものではなく、単独で用いても、複数のものを混合して用いてもよい。単独ではインク中で容易に溶解しない場合も、混合することで可溶化され、安定に存在することができる。
これら界面活性剤の中でも、下記構造式(1)〜(5)で示されるものが好適である。
−O−(CHCHO)−R ・・・構造式(1)
ただし、前記構造式(1)中、Rは、炭素数6〜14の分岐していてもよいアルキル基、又は炭素数6〜14の分岐していてもよいパーフルオロアルキル基を表す。Rは、水素原子、又は分岐していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。hは、5〜20の整数を表す。
−COO−(CHCHO)−R ・・・構造式(2)
ただし、前記構造式(2)中、Rは、炭素数6〜14の分岐していてもよいアルキル基を表す。Rは、水素原子、又は分岐していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。hは、5〜20の整数を表す。
ただし、前記構造式(3)中、Rは、炭化水素基を表し、例えば、分岐していてもよい炭素数6〜14のアルキル基などが挙げられる。kは5〜20の整数を表す。
ただし、前記構造式(4)中、Rは、炭化水素基を表し、例えば、分岐していてもよい炭素数6〜14のアルキル基を表す。Lは5〜10、pは5〜20の整数を表す。プロピレングリコール鎖、及びエチレングリコール鎖は、ブロック重合又はランダム重合していてもよい。
ただし、前記構造式(5)中、q及びrは、それぞれ5〜20の整数を表す。
前記界面活性剤の前記インク中における含有量は、0.01〜3.0質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。ただし、水よりも高沸点の25℃で液体である液体成分の合計含有量は20質量%以下であり、15質量%以下が好ましい。
前記含有量が0.01質量%未満であると、界面活性剤を添加した効果が無くなることがあり、3.0質量%を超えると、記録媒体への浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度の低下や裏抜けが発生することがある。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができ、例えば、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤、などが挙げられる。
前記pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響をおよぼさずにpHを調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて任意の物質を使用することができる。該pH調整剤としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物;水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、などが挙げられる。
前記防腐防黴剤は、インク中の細菌の繁殖を抑えることができ、保存安定性、画質安定性を高めることができる。該防腐防黴剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、イソチアゾリン系化合物、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、などが挙げられる。
前記防錆剤は、記録ヘッド等の接液する金属面に被膜を形成し、腐食を防ぐことができる。該防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、などが挙げられる。
前記酸化防止剤は、腐食の原因となるラジカル種を消滅させて腐食を防止することができる。該酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、りん系酸化防止剤、などが挙げられる。
前記フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)としては、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトライキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、などが挙げられる。
前記アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチル−フェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ジヒドロキフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、などが挙げられる。
前記硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルβ,β’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイド等が挙げられる。
前記リン系酸化防止剤としては、トリフェニルフォスファイト、オクタデシルフォスファイト、トリイソデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファイト、等が挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤、などが挙げられる。
前記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、等が挙げられる。
前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−4'−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、等が挙げられる。
前記サリチレート系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリチレート、p−tert−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート、等が挙げられる。
前記シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、エチル−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、ブチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、等が挙げられる。
前記ニッケル錯塩系紫外線吸収剤としては、例えば、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−n−ブチルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)トリエタノールアミンニッケル(II)、等が挙げられる。
本発明のインクメディアセットにおけるインクは、少なくとも、着色剤、及び水溶性有機溶剤、湿潤剤、更に必要に応じてその他の成分を水性媒体中に分散又は溶解し、更に必要に応じて攪拌混合して製造する。前記分散は、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシャイカー、超音波分散機等により行うことができ、攪拌混合は通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等で行うことができる。
前記インクの物性としては、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
前記粘度は、25℃で、1.0〜20mPa・sが好ましく、吐出安定性の観点から3.0〜10.0mPa・sがより好ましい。
前記表面張力としては、25℃で、40mN/m以下が好ましく、17〜40mN/mがより好ましい。前記表面張力が、40mN/m以下であれば、ほとんどの記録用メディアに対しても速やかな定着が可能になる。
前記pHとしては、例えば、3〜11が好ましく、接液する金属部材の腐食防止の観点から6〜10がより好ましい。
前記インクの着色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどが挙げられる。これらの着色を2種以上併用したインクセットを使用して記録を行うと、多色画像を形成することができ、全色併用したインクセットを使用して記録を行うと、フルカラー画像を形成することができる。
本発明のインクメディアセットにおけるインクは、インクジェットヘッドとして、インク流路内のインクを加圧する圧力発生手段として圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの(特開平2−51734号公報参照)、あるいは、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させるいわゆるサーマル型のもの(特開昭61−59911号公報参照)、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることで、インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のもの(特開平6−71882号公報参照)などいずれのインクジェットヘッドを搭載するプリンタにも良好に使用できる。
<記録用メディア>
前記記録用メディアは、支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
前記記録用メディアにおいては、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量は、2〜35ml/mであり、2〜10ml/mが好ましい。
前記接触時間100msでの純水の転移量が少なすぎると、ビーディングが発生しやすくなることがあり、多すぎると、記録後のインクドット径が所望の径よりも小さくなりすぎることがある。
動的走査吸液計で測定した接触時間400msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量は、3〜40ml/mであり、3〜10ml/mが好ましい。
前記接触時間400msでの純水の転移量が少なすぎると、乾燥性が不十分であるため、拍車痕が発生しやすくなることがあり、多すぎると、乾燥後の画像部の光沢が低くなりやすくなることがある。
ここで、前記動的走査吸収液計(dynamic scanning absorptometer;DSA,紙パ技協誌、第48巻、1994年5月、第88〜92頁、空閑重則)は、極めて短時間における吸液量を正確に測定できる装置である。前記動的走査吸液計は、吸液の速度をキャピラリー中のメニスカスの移動から直読する、試料を円盤状とし、この上で吸液ヘッドをらせん状に走査する、予め設定したパターンに従って走査速度を自動的に変化させ、1枚の試料で必要な点の数だけ測定を行う、という方法によって測定を自動化したものである。紙試料への液体供給ヘッドはテフロン(登録商標)管を介してキャピラリーに接続され、キャピラリー中のメニスカスの位置は光学センサで自動的に読み取られる。具体的には、動的走査吸液計(K350シリーズD型、協和精工株式会社製)を用いて、純水の転移量を測定した。接触時間100ms及び接触時間400msにおける転移量は、それぞれの接触時間の近隣の接触時間における転移量の測定値から補間により求めることができる。
また、前記記録用メディアの記録面におけるJIS K6768に基づく臨界表面張力(γc)は、25〜40mN/mが好ましい。前記臨界表面張力(γc)が25mN/m未満であると、前記インクに対する濡れが悪く、ビーディングが発生し易くなることがあり、40mN/mを超えると、前記インクのドット形状を真円に近く保つことが困難となることがある。
ここで、前記臨界表面張力(γc)は、JIS−K6768、1999「プラスチック−フィルム及びシート−濡れ張力試験方法」に準拠した種々の表面張力の濡れ張力試験液(例えばエチレングリコールモノエチルエーテルとホルムアミドとの混合液)の4マイクロリットル(μl)の液滴をメディア印字面に滴下した後、0.5秒間経過したときの各液滴の接触角を動画取り込みによる接触角測定装置(データフィジックス社製、OCA)を用いて測定し、その接触角からZisman Plotを作成して求めることができる。
−支持体−
前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、木材繊維主体の紙、木材繊維及び合成繊維を主体とした不織布のようなシート状物質などが挙げられる。
前記紙としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、木材パルプ、古紙パルプなどが用いられる。前記木材パルプとしては、例えば、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、NBSP、LBSP、GP、TMPなどが挙げられる。
前記古紙パルプの原料としては、財団法人古紙再生促進センターの古紙標準品質規格表に示されている、上白、罫白、クリーム白、カード、特白、中白、模造、色白、ケント、白アート、特上切、別上切、新聞、雑誌などが挙げられる。具体的には、情報関連用紙である非塗工コンピュータ用紙、感熱紙、感圧紙等のプリンタ用紙;PPC用紙等のOA古紙;アート紙、コート紙、微塗工紙、マット紙等の塗工紙;上質紙、色上質、ノート、便箋、包装紙、ファンシーペーパー、中質紙、新聞用紙、更紙、スーパー掛け紙、模造紙、純白ロール紙、ミルクカートン等の非塗工紙、などの紙や板紙の古紙で、化学パルプ紙、高歩留りパルプ含有紙などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記古紙パルプは、一般的に、以下の4工程の組み合わせから製造される。
(1)離解は、古紙をパルパーにて機械力と薬品で処理して繊維状にほぐし、印刷インキを繊維より剥離する。
(2)除塵は、古紙に含まれる異物(プラスチックなど)及びゴミをスクリーン、クリーナー等により除去する。
(3)脱墨は、繊維より界面活性剤を用いて剥離された印刷インキをフローテーション法、又は洗浄法で系外に除去する。
(4)漂白は、酸化作用や還元作用を用いて、繊維の白色度を高める。
前記古紙パルプを混合する場合、全パルプ中の古紙パルプの混合比率は、記録後のカール対策から40%以下が好ましい。
前記支持体に使用される内添填料としては、例えば、白色顔料として従来公知の顔料が用いられる。前記白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等のような白色無機顔料;スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等のような有機顔料、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記支持体を抄造する際に使用される内添サイズ剤としては、例えば、中性抄紙に用いられる中性ロジン系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸(ASA)、アルキルケテンダイマー(AKD)、石油樹脂系サイズ剤などが挙げられる。これらの中でも、中性ロジンサイズ剤又はアルケニル無水コハク酸が特に好適である。前記アルキルケテンダイマーは、そのサイズ効果が高いことから添加量は少なくて済むが、記録用紙(メディア)表面の摩擦係数が下がり滑りやすくなるため、インクジェット記録時の搬送性の点からは好ましくない場合がある。
−塗工層−
前記塗工層は、顔料及びバインダー(結着剤)を含有してなり、更に必要に応じて、界面活性剤、その他の成分を含有してなる。
前記顔料としては、無機顔料、もしくは無機顔料と有機顔料を併用したものを用いることができる。
前記無機顔料としては、例えば、カオリン、タルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、非晶質シリカ、チタンホワイト、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クロライトなどが挙げられる。これらの中でも、カオリンは光沢発現性に優れており、オフセット印刷用の用紙に近い風合いとすることができる点から特に好ましい。
前記カオリンには、デラミネーテッドカオリン、焼成カオリン、表面改質等によるエンジニアードカオリン等があるが、光沢発現性を考慮すると、粒子径が2μm以下の割合が80質量%以上の粒子径分布を有するカオリンが、カオリン全体の50質量%以上を占めていることが好ましい。
前記カオリンの添加量は、前記バインダー100質量部に対し50質量部以上が好ましい。前記添加量が50質量部未満であると、光沢度において十分な効果が得られないことがある。前記添加量の上限は特に制限はないが、カオリンの流動性、特に高せん断力下での増粘性を考慮すると、塗工適性の点から、90質量部以下がより好ましい。
前記有機顔料としては、例えば、スチレン−アクリル共重合体粒子、スチレン−ブタジエン共重合体粒子、ポリスチレン粒子、ポリエチレン粒子等の水溶性ディスパージョンがある。これら有機顔料は2種以上が混合されてもよい。
前記有機顔料の添加量は、前記塗工層の全顔料100質量部に対し2〜20質量部が好ましい。前記有機顔料は、光沢発現性に優れていることと、その比重が無機顔料と比べて小さいことから、嵩高く、高光沢で、表面被覆性の良好な塗工層を得ることができる。前記添加量が2質量部未満であると、前記効果がなく、20質量部を超えると、塗工液の流動性が悪化し、塗工操業性の低下に繋がることと、コスト面からも経済的ではない。
前記有機顔料には、その形態において、密実型、中空型、ドーナツ型等があるが、光沢発現性、表面被覆性及び塗工液の流動性のバランスを鑑み、平均粒子径は0.2〜3.0μmが好ましく、より好ましくは空隙率40%以上の中空型が採用される。
前記バインダーとしては、水性樹脂を使用するのが好ましい。
前記水性樹脂としては、水溶性樹脂及び水分散性樹脂の少なくともいずれかを好適に用いられる。前記水溶性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アセタール変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコールの変性物;ポリウレタン;ポリビニルピロリドン及びポリビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体、ビニルピロリドンとジメチルアミノエチル・メタクリル酸の共重合体、四級化したビニルピロリドンとジメチルアミノエチル・メタクリル酸の共重合体、ビニルピロリドンとメタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウムの共重合体等のポリビニルピロリドンの変性物;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等セルロース;カチオン化ヒドロキシエチルセルロース等のセルロースの変性物;ポリエステル、ポリアクリル酸(エステル)、メラミン樹脂、又はこれらの変性物、ポリエステルとポリウレタンの共重合体等の合成樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、自家変性澱粉、カチオン化澱粉、又は各種変性澱粉、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ソーダ、アルギン酸ソーダ、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、インク吸収性の観点から、ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アセタール変性ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエステルとポリウレタンの共重合体、などが特に好ましい。
前記水分散性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリビニルエーテル、シリコーン−アクリル系共重合体、などが挙げられる。また、メチロール化メラミン、メチロール化尿素、メチロール化ヒドロキシプロピレン尿素、イソシアネート等の架橋剤を含有してよいし、N−メチロールアクリルアミドなどの単位を含む共重合体で自己架橋性を持つものでもよい。これら水性樹脂の複数を同時に用いることも可能である。
前記水性樹脂の添加量は、前記顔料100質量部に対し、2〜100質量部が好ましく、3〜50質量部がより好ましい。前記水性樹脂の添加量は記録用メディアの吸液特性が所望の範囲に入るように決定される。
前記着色剤として水分散性の着色剤を使用する場合には、カチオン性有機化合物は必ずしも配合する必要はないが、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択使用することができる。例えば、水溶性インク中の直接染料や酸性染料中のスルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基等と反応して不溶な塩を形成する1級〜3級アミン、4級アンモニウム塩のモノマー、オリゴマー、ポリマーなどが挙げられ、これらの中でも、オリゴマー又はポリマーが好ましい。
前記カチオン性有機化合物としては、例えば、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物、ジメチルアミン・アンモニア・エピクロルヒドリン縮合物、ポリ(メタクリル酸トリメチルアミノエチル・メチル硫酸塩)、ジアリルアミン塩酸塩・アクリルアミド共重合物、ポリ(ジアリルアミン塩酸塩・二酸化イオウ)、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリ(アリルアミン塩酸塩・ジアリルアミン塩酸塩)、アクリルアミド・ジアリルアミン共重合物、ポリビニルアミン共重合物、ジシアンジアミド、ジシアンジアミド・塩化アンモニウム・尿素・ホルムアルデヒド縮合物、ポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ポリジアリルメチルアミン塩酸塩、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・二酸化イオウ)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・ジアリルアミン塩酸塩誘導体)、アクリルアミド・ジアリルジメチルアンモニウムクロライド共重合物、アクリル酸塩・アクリルアミド・ジアリルアミン塩酸塩共重合物、ポリエチレンイミン、アクリルアミンポリマー等のエチレンイミン誘導体、ポリエチレンイミンアルキレンオキサイド変性物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物、ポリアリルアミン塩酸塩等の低分子量のカチオン性有機化合物と他の比較的高分子量のカチオン性有機化合物、例えば、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)等とを組み合わせて使用するのが好ましい。併用により、単独使用の場合よりも画像濃度を向上させ、フェザリングが更に低減される。
前記カチオン性有機化合物のコロイド滴定法(ポリビニル硫酸カリウム、トルイジンブルー使用)によるカチオン当量は3〜8meq/gが好ましい。前記カチオン当量がこの範囲であれば上記乾燥付着量の範囲で良好な結果が得られる。
ここで、前記コロイド滴定法によるカチオン当量の測定に当たっては、カチオン性有機化合物を固形分0.1質量%となるように蒸留水で希釈し、pH調整は行わないものとする。
前記カチオン性有機化合物の乾燥付着量は0.3〜2.0g/mが好ましい。前記カチオン性有機化合物の乾燥付着量が0.3g/mより低いと、充分な画像濃度向上やフェザリング低減の効果が得られないことがある。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アニオン活性剤、カチオン活性剤、両性活性剤、非イオン活性剤のいずれも使用することができる。これらの中でも、非イオン活性剤が特に好ましい。前記界面活性剤を添加することにより、画像の耐水性が向上するとともに、画像濃度が高くなり、ブリーディングが改善される。
前記非イオン活性剤としては、例えば、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、グリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙られる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多価アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリット、ソルビトール、ショ糖などが挙げられる。また、エチレンオキサイド付加物については、水溶性を維持できる範囲で、エチレンオキサイドの一部をプロピレンオキサイドあるいはブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドに置換したものも有効である。置換率は50%以下が好ましい。前記非イオン活性剤のHLB(親水性/親油性比)は4〜15が好ましく、7〜13がより好ましい。
前記界面活性剤の添加量は、前記カチオン性有機化合物100質量部に対し、0〜10質量部が好ましく、0.1〜1.0質量部がより好ましい。
前記塗工層には、本発明の目的及び効果を損なわない範囲で、更に必要に応じて、その他の成分を添加することができる。該その他の成分としては、アルミナ粉末、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤等の添加剤が挙げられる。
前記塗工層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記支持体上に塗工層液を含浸又は塗布する方法により行うことができる。前記塗工層液の含浸又は塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、フィルムトランスファーサイズプレス、ブレードコーター、ロッドコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーターなど各種塗工機で塗工することも可能であるが、コストの点から、抄紙機に設置されているコンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、フィルムトランスファーサイズプレスなどで含浸又は付着させ、オンマシンで仕上げてもよい。
前記塗工層液の付着量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、固形分で、0.5〜20g/mが好ましく、1〜15g/mがより好ましい。
前記含浸又は塗布の後、必要に応じて乾燥させてもよく、この場合の乾燥の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100〜250℃程度が好ましい。
前記記録用メディアは、更に支持体の裏面にバック層、支持体と塗工層との間、また、支持体とバック層間にその他の層を形成してもよく、塗工層上に保護層を設けることもできる。これらの各層は単層であっても複数層であってもよい。
前記記録用メディアは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばインクジェット記録用メディアの他、市販のオフセット印刷用コート紙、グラビア印刷用コート紙などであってもよい。
<前処理液>
前記前処理液は、インクジェット記録時に記録用メディアの記録面に付与され、インクの分散性及び溶解性の少なくともいずれかを低下させるインク定着助剤を固形分で10〜80質量%含有し、かつ25℃における粘度が100〜10,000mPa・sである。
従来より、インクの分散性及び溶解性の少なくともいずれかを低下させるインク定着助剤を含有する無色又は薄色の前処理液を、インクジェット法により記録媒体に噴射して付与したり、ローラで塗布した後にインクジェット記録方法で画像を形成する方法は知られていた。しかし、従来の方法においては、10mPa・s未満の低粘度の前処理液が用いられていた。これ以上の粘度の液体は、通常のオンディマンド型インクジェト・ヘッドでは、噴射することが困難となるからである。また、ローラで付与する場合にも、従来は、インクの分散性及び溶解性の少なくともいずれかを低下させるインク定着助剤を高濃度で、かつ高粘度で使用することは考えられていなかった。従って、ローラで記録媒体の前処理液を塗布する場合にも、画像品質向上の効果を得るためには、比較的大量の前処理液を記録媒体に付着しなければならなかったので、ローラで前処理液を付与する方法は、画像部分にのみインクジェット法で前処理液を付与する方法に比較して、メリットの無いものであった。
本発明においては、10〜80質量%という高濃度のインクの分散性及び溶解性の少なくともいずれかを低下させるインク定着助剤を前処理液に含有し、かつ前処理液の粘度を10〜10,000mPa・sとすることにより、前処理液の記録媒体への付与量が極めて少ない状態においても、色境界にじみ、フェザリング、裏抜けの無い良好な画像が得られた。したがって、前記前処理液は、0.5〜10g/mという少ない付着量であっても、良好な画像が得られる。
前処理液中のインクの分散性及び溶解性の少なくともいずれかを低下させるインク定着助剤の含有量は、10〜80質量%である。前記含有量が10質量%未満であると、画像を改善するためには、前処理液はおよそ10〜30g/mの付着量が必要となり、かつ従来の前処理液では、液中の水分含有量が高いこともあって、付与した記録媒体にコックリングが発生するという問題があった。このように多量の前処理液を付与したとしても、色境界にじみ、フェザリングの改善効果は、十分ではなかった。一方、前記インク定着助剤の含有量が80質量%を超えると、液中の液体成分が蒸発したり、液の冷却など熱履歴の影響で、液中に沈殿を生じやすく、前処理液を付与するにあたり信頼性を保つことが困難になる。また、80質量%を超える含有量とした場合には、液を均一に記録媒体に付与することも困難となる。前記インク定着助剤の前記前処理液中での最適な含有量は、用いる化合物、インクの処方、単位面積当たりに印字されるインクの量などの要素により変わるが、20〜60質量%好ましい範囲である。
前処理液の粘度は、B型粘度計で100〜10,000mPa・s(25℃、ローターNO.4、回転数30rpm)であり、100〜3,000mPa・sの範囲が好ましく、300〜2,000mPa・sの範囲がより好ましい。この範囲において、画像品質の向上効果、前処理液の乾燥性のバランスが良好である。
従来の低粘度の前処理液では、前処理液を浸透性の液にすると、記録媒体、特に普通紙の奥深くまで入り込んでしまい、インクとの反応が記録媒体の表面で生じないために、裏抜けの防止、フェザリングの防止、色境界にじみの防止効果が小さくなってしまう。逆に、低粘度の前処理液において、液を記録媒体への浸透性を低下した処方とすると、インクとの反応は、記録媒体の表面で生じるが、インクが記録媒体の表面に長時間残留するために、色境界にじみ防止効果が弱くなったり、高速印字を行う場合には、浸透性不良、即ち、画像の乾燥性が悪くなると言う問題が生じる。この場合、十分な画質改善効果を得るために、多量の前処理液を付与すると、前処理液が記録媒体内部に浸透してしまい、着色剤も記録媒体内部にまで浸透してしまうために画像濃度の低下をもたらす。また、前処理液に含まれる溶媒成分により記録媒体のカール、コックリングを引き起こしやすい。前処理液の粘度が、10,000mPa・sを超えると、液を均一に記録媒体に付与することが困難になるばかりでなく、前処理液が、記録媒体に全く浸透しないために、印字後の記録媒体にべたべた感が残り、好ましくない。
本発明においては、前処理液を記録媒体に付与した後、前処理液が乾燥する前に、インクにより画像が形成される。記録媒体を加熱したり、長時間室温で放置するなどして、前処理液が乾燥してしまうと、色境界にじみやフェザリングが発生してしまう。乾燥状態にした後、画像を印字して画像品質を向上するには、30g/mを超える付与量が必要であり、経済的に好ましくない。
次に、本発明のインクメディアセットに用いる前処理液の組成について説明する。
現在、一般的に用いられている水性のインクには、アニオン性化合物又は、負に帯電した粒子が含まれている場合が大多数である。従って、インクに含有されるアニオン性染料、アニオン性顔料、アニオン性高分子化合物、アニオン性エマルジョンなどのアニオン性化合物又は、負に帯電した粒子と反応して、インクの分散性及び溶解性の少なくともいずれかを低下させるインク定着助剤として、前処理液には、カチオン性化合物を含有することが好ましい。カチオン性の化合物の中でも、カチオン性ポリマーが、特にインク中のアニオン性の化合物や負に帯電した粒子と反応する能力が高く、好ましい。
前処理液がカチオン性である場合には、記録媒体表面にあって、インク中のアニオン性成分とのイオン的な相互作用により、細線の再現性、耐水性向上、にじみ防止などの画質改善効果が得られる。前述したように、インクジェット方式により液滴として吐出させる前処理方法では使えなかった高粘度の前処理液が使用可能である。前処理液には、高濃度でカチオン性ポリマーを含有させることができる。高濃度で薄い層にて付着させることにより、付着量が少なくてすみ、表面近傍にカチオン性ポリマーがとどまるので、画質が著しくよくなり、記録媒体のカール、コックリング等を抑えることができる。
本発明においては、前処理液の粘性が高いために、従来の前処理液に比較して、材料選択の範囲が著しく広くなる。従来の前処理液に用いられる材料は、低粘度を保つため、例えば、ポリマーであれば、その重合度、分子量、二次元、三次元構造に著しい制約があった。
前記前処理液において、インクの溶解性又は分散性を低下させるインク定着助剤としては、カチオン性ポリマーが、下記構造式(1)から(20)で表されるポリマーから選択される少なくとも1種であることが好ましい。
ただし、前記構造式(1)中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。Rは炭素数1〜3のアルキレン基を表す。nは重合数を表す。
ただし、前記構造式(2)中、nは重合数を表す。
ただし、前記構造式(3)中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。Rは水素原子、及びCHのいずれかを表す。R、R、及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、及びアルキル基のいずれかを表す。nは重合数を表す。
ただし、前記構造式(4)中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。nは重合数を表す。
ただし、前記構造式(5)中、nは5〜30の自然数を表す。
ただし、前記構造式(6)中、nは重合数を表す。
ただし、前記構造式(7)中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。nは重合数を表す。
ただし、前記構造式(8)中、nは重合数を表す。
ただし、前記構造式(9)中、Z及びYは、それぞれ−OCOCH又は−OHを表す。Rは炭素数1〜4のアルキレン基を表す。n、l、及びmはそれぞれ重合数を表す。
ただし、前記構造式(10)中、Rはアルキル基を表す。Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。nは重合数を表す。
ただし、前記構造式(11)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、及びアルキル基のいずれかを表す。Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。nは重合数を表す。
ただし、前記構造式(12)中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。nは重合数を表す。
ただし、前記構造式(13)中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。nは重合数を表す。
ただし、前記構造式(14)中、j及びkは、それぞれ2〜6の自然数を表す。nは重合数を表す。
ただし、前記構造式(15)中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。nは重合数を表す。
ただし、前記構造式(16)中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。Qは共重合可能なモノマー成分を表す。n及びmは、それぞれ重合数を表す。
ただし、前記構造式(17)中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。nは重合数を表す。
ただし、前記構造式(18)中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。nは重合数を表す。
ただし、前記構造式(19)及び(20)中、Dは下記構造式(21)及び(22)のいずれかで示される置換基を表す。Dは、Dと独立であり、水素原子、下記構造式(21)、及び下記構造式(22)のいずれかを表す。nは自然数を表し、mは0以上の整数を表す。
ただし、前記構造式(21)及び構造式(22)中、R及びR10は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、及びアリール基のいずれかを表す。R11及びR12は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、アルカリ金属、及び下記構造式(23)で示される置換基のいずれかを表す。
ただし、前記構造式(23)中、R13〜R16は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アリール基、ヒドロキシアルキル基、及びベンジル基のいずれかを表す。
上記構造式(19)及び(20)を構造単位として含むカチオン性ポリマーは、質量平均分子量が1,000〜10万が好ましく、2,000〜5万がより好ましく、2,000〜3万が更に好ましい。前記質量平均分子量が10万よりも大きいと、溶媒に溶けにくいため、前処理液が不均一になり、画質のむらを生じ易くなることがあり、1,000未満であると、にじみ防止や耐水性向上の効果が小さくなってしまうことがある。
また、アニオン性成分と高い反応性を得るためには、カチオン性樹脂のpH4におけるカチオン度は3meq/g以上が好ましく、3.5meq/g以上がより好ましい。
ここで、前記カチオン度は、ポリビニル硫酸カリウム試薬を用いたコロイド滴定により求められる。具体的には、以下の手順にて求めることができる。まず、コニカルビーカーに脱イオン水90mlをとり、試料(乾品換算)の500ppm水溶液を10ml加えて塩酸水溶液でpH4.0とし、約1分間攪拌する。次に、トルイジンブルー指示薬を2〜3滴加え、N/400ポリビニル硫酸カリウム試薬(N/400PVSK)で滴定する。滴定速度は、2ml/分とし、検水が青から赤紫色に変色して10秒間以上保持する時点を終点とする。カチオン度(meq/g)=(N/400PVSK滴定量)×(N/400PVSKの力価)/2により求めることができる。
前記カチオン度が高いものほど、カチオン性が強く、インク中のアニオン性成分と効率よく反応することができ、よって、前処理液の必要量を低減でき、記録媒体のカールやコックリングを起こさずに、高画質の画像を得ることが可能になる。前記カチオン性ポリマーは1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
インク中の染料や顔料の分散剤などのアニオン性化合物と反応させて画像品質を向上させるには、前記のようなカチオン性ポリマーを用いることが特に好ましい。しかし、下記構造式で表されるアニオン性化合物と反応して溶解性、分散性を低下せしめるモノマー化合物を前処理液に添加することも有効であり、特にカチオン性ポリマーと併用することによりカチオン性ポリマーとインク中のアニオン性化合物との反応が促進される点で好ましい。
ただし、前記構造式中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、及び酢酸イオンから選択される陰イオンを表す。R24〜R26は、R24、R25、及びR26の炭素数の合計が5〜32であるアルキル基である。
前記カチオン性モノマー化合物において、R25、R26がともにメチル基であり、かつ、R24が炭素数10〜20である化合物が、溶解性が高く、かつ、インク中のアニオン化合物との反応で溶解性、分散性を低下せしめる効果も高いという両面を備えていて好ましい。R25、R26がメチル基よりも炭素数の多いアルキル基であったり、Rの炭素数が10〜20を超える化合物を用いた場合には、前処理液での溶解性に欠け、保存や環境変化により、沈殿物を生じるなどの問題を生じる。炭素数が小さい化合物では、溶解安定性には優れるものの、インク中のアニオン性化合物との反応で溶解性や分散性を低下せしめる能力が小さく、画像品質を向上する効果が小さい。
上記構造式で示されるカチオン性モノマー化合物のより具体例として、下記構造式C−1〜C−7で表される化合物を例示することができる。前記前処理液には、これらのカチオン性化合物を単独、あるいは混合して用いることができる。
これらカチオン性モノマー化合物はとしては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。該市販品としては、例えば、商品名カチオンS、カチオンSK、カチオンM、カチオンG−50(いずれも三洋化成工業株式会社製);カチオンF2−35R、カチオンF2−40E、カチオンM2−100、カチオンS2−100(いずれも日本油脂株式会社製);サニザールC、サニゾールB−50(いずれも花王株式会社製)などが挙げられる。
前記カチオン性モノマー化合物と、上記構造式(1)〜(20)のいずれかで表されるカチオン性ポリマーとを前処理液に併用して用いることが好ましい。これは、上記構造式(1)〜(20)のいずれかで表されるカチオン性ポリマーが、適度な界面活性能を有し、記録媒体に対する前処理液の濡れ性を一様にするためと推定される。一般のインクを代表的な記録媒体である上質紙などに付与した場合、微視的には表面サイズ剤の分布等に応じて、インクに濡れやすいところと濡れにくいところが存在し、それが滲みやベタ画像部の濃度むらなどの画質低下を生じるものと推定される。前処理液を普通紙などの記録媒体に「均一」に付与した後にインクを記録媒体に付着させることで、不規則な濡れが少なくなるため、フェザリングが少なく細線等の再現性に優れ色境界にじみのない高画質で、かつ画像濃度の高い画像を得ることができる。
インク中の定着助剤として、前記カチオン性ポリマーを水などに溶解させて用いる他に、カチオン粒子が分散、懸濁された前処理液を用いることも有効である。ただし、カチオン性エマルジョンでは、前処理液中のカチオン濃度が低くなりがちであり、画像品質を十分に高めるためには、水溶性カチオン性ポリマーや、高級アルキル基を有するカチオン性界面活性剤等の他のカチオン化合物と併有して用いることが好ましい。
カチオン性粒子が分散、懸濁された液の例として、カチオン性を有する樹脂エマルジョン、カチオン性の白色又は薄色の顔料分散体が挙げられる。カチオン性のエマルジョンの例としては、例えば、アクリットUW319−SX、アクリットRKW−460、アクリットRKW−400SX、アクリットRKW−450SX、アクリットRKW−450(いずれも大成化工株式会社製)などのスチレン−アクリル系のカチオン性エマルジョンが市販品として入手できるものである。
前記前処理液にカチオン性樹脂エマルジョンを添加することにより、水溶性を有するカチオン性ポリマーを単独で用いた場合に比較して、光沢性のある画像が得られ、高い画像の耐水性、耐摩擦性を持たせることができる。また、エマルジョン中に、紫外線吸収剤、酸化防止剤、クエンチャーなどを含有せしめておくことにより、画像の耐光性を高めることもできる。
カチオン性粒子が分散、懸濁された液の別の例として、カチオン性を有するシリカの分散体を例示することができる。水に分散した0.1μm前後の球状シリカの分散体であるシリカゾルなどが好ましく用いられる。前記カチオン性シリカとしては、市販品を用いることができ、例えば、スノーテックスAK(日産化学工業株式会社製)、SMR8−17−109SMSG 3CS(グレースジャパン株式会社製)、CEP10AK97002(CABOT社製)など挙げられる。
ただし、カチオン性シリカを用いる場合においても、カチオン性シリカ単独では、カチオン性樹脂エマルジョンと同様に、前処理液中のカチオン濃度が低くなりがちであり、画像品質を十分に高めるためには、水溶性カチオン性ポリマーや、高級アルキル基を有するカチオン性界面活性剤等、他のカチオン化合物と併有して用いることが好ましい。前処理液にカチオン性シリカを添加することにより、水溶性を有するカチオン性ポリマーを単独で用いた場合に比較して、画像印字直後のべたつき感を低減できる。
前処理液には、インクの分散性及び溶解性の少なくともいずれかを低下させるインク定着助剤として、多価金属塩を用いることも有効である。しかし、前記多価金属塩は、一般に、カチオン性ポリマーに比較して、インクの溶解性や分散性を低下する能力がやや弱いために、多価金属を用いる場合には、インクにどのようなアニオン性化合物を用いるかが重要である。多価金属塩を用いる場合には、一分子中に2つ以上、好ましくは3つのカルボキシル基又はスルホン酸基を有する染料を用いることが好ましい。また、顔料を使用したインクであれば、カルボキシル基を有する高分子化合物を分散剤として用いるか、共有結合でカルボキシル基を導入した顔料を用いることが好ましい。多価金属塩を前処理液に用いる場合には、インクに染料を用いると、染料と金属との間で錯体が形成され、記録された画像の耐光性が向上する。
前記多価金属塩としては、例えば塩化アルミニウム、塩化カルシウム、硝酸アルミニウム、硝酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硝酸カルシウム、水酸化マグネシウム、硫酸アルミニウム、アンモニウムみょうばんなどが挙げられる。具体的には、硝酸マグネシウム・六水和物、酢酸マグネシウム・四水和物、硝酸カルシウム・四水和物、酢酸カルシウム・一水和物、塩化カルシウム・無水物、乳酸カルシウム・五水和物、蟻酸カルシウム・無水物、安息香酸マグネシウム・三水和物、硫酸マグネシウム・七水和物などが挙げられる。
着色剤を不溶化するカチオン性化合物として、上記構造式(1)〜(20)のいずれかで表されるカチオン性ポリマー以外にも、例えばジシアンジアミド・ホルマリン重縮物、ジシアンジアミド・ジエチレントリアミン重縮物、エピクロルヒドリン・ジメチルアミン付加重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクローライド・SO共重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクローライド重合物、ジアリルアミン塩・SO共重合物アリルアミン塩の重合物、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクルレート4級塩重合物、ポリアリルアミン、カチオンエポキシ樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリビニルホルムアミド、カチオンエマルジョン等や、多価金属塩などを含有することも可能である。
これらカチオン性ポリマーとしては、市販品を用いることが可能であり、具体的には、サンスタットE−818、サンフィックス70、サンフィックス555C、サンフィックスLC−55、サンフックスPAC−700コンク、サンヨウエリオンA−3、サンフィックス414、サンフィックス555、サンフィックスPRO−100、サンフィックス555US、セロポールYM−500(いずれも三洋化成工業株式会社製);#675、#FR−2P、#1001(いずれも住友化学工業株式会社製);LUPASOL SC61B(BASF社製)等が挙げられる。また、ZP−700(ビニルホルムアミド系)、MP−184(ポリアクリル酸エステル系)、MP−173H(ポリメタクリル酸エステル系)、MP−180(ポリメタクリル酸エステル系)、MX−0210(ポリメタクリル酸エステル系)、MX−8130(ポリアクリル酸エステル系)、E−395(ポリアクリル酸エステル系)、E−305(ポリアクリル酸エステル系)、Q−105H(ジシアンジアミド系)、Neo−600(ポリアクリルアミド系)、Q−101(ポリアミン系)、Q−311(ポリアミン系)、Q−501(ポリアミン系)(いずれもハイモ株式会社製)、スーパーフロック2490(ポリアクリル酸塩系)、スーパーフロック3180、3380、3580、3880、3390、3590、3500、SD2081(ポリアクリルアミド)、アコフロックC498T、C498Y(ポリアクリル酸エステル系)、スーパーフロック1500、1600、アコフロックC481、C483、C485、C488、C480(ポリメタアクリル酸エステル)、アコフロックC567、C573、C577、C581(ポリアミン系)(いずれも三井サイテック株式会社製);PAS−A−1、PAS−A−5、PAS−A−120L、PAS−A−120S、PSA−J−81、PAS−880、PAS−92(ジアリルジメチルアンモニウム塩系共重合物)、PAS−H−5L、PAS−H−10L、PAS−M−1(ジアリルジメチルアンモニウム塩系重合物)、PAA−HCl−3L、PAA−HCl−10L(ポリアリルアミン塩酸塩)、PAA−10C(ポリアリルアミン)(いずれも日東紡績株式会社製)、などが挙げられる。
その他、本発明に用いることのできるカチオン性4級アンモニウム塩としては、イオネットD46、イオネットLEC、セクリルVN、サンスタット1200、サンスタットKT−305C、カチオンG−50、イオネットRK−15(いずれも三洋化成工業株式会社製)等が挙げられる。
前処理液中のカチオン性ポリマーとインク中のアニオン性成分との反応性は、液相でもっとも効率的であることから、前処理液を当接する付与手段で記録媒体に対して付与した後、前処理液が乾燥する前にインクにより印字することが好ましい。高い反応性を確保できれば、より一層前処理液使用量が少なくてすみ、記録媒体のカール、コックリングを生じさせずに画質を向上させることが可能になる。
本発明のインクメディアセットに用いるインクには、水及び水溶性の液状化合物を20〜80質量%含有することが好ましい。20質量%未満では、カチオン性ポリマーの溶解安定性も悪く、前処理液がゲル化したり、不溶物が発生したりする。
前処理液には、水溶性の液状化合物として、水よりも沸点の高い、水溶性溶媒を20〜80質量%用いることが好ましい。また、前処理液中の水などの溶媒成分が蒸発することにより粘度が変化すると、記録媒体への付与量も変化してしまい、一定の画像品質を確保することができない。乾燥防止以外に、記録媒体の前処理液を所望の物性にするため、インク中の着色剤を不溶化する化合物やその他添加剤の溶解安定性を向上させるため、また記録媒体の前処理液の塗工特性を安定にするため等の目的で下記の水溶性有機溶媒を使用することができる。20質量%未満では、前処理液から水分が蒸発するのを抑制する効果が小さく、水分蒸発による前処理液の粘度変化が大きくなり、付与量の安定性に欠ける。また、水分蒸発により、カチオン性ポリマーの溶解安定性も悪くなり、前処理液がゲル化したり、不溶物が発生したりする。
前記前処理液に用いられる水溶性有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、グリセリン、1,2,6−へキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類;プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。これらの溶媒は、水とともに単独もしくは、複数混合して使用することができる。
前記前処理液で用いられる最適な水溶性有機溶媒の種類と組成比は、前処理液に用いる他の材料に応じて選択されることが望ましい。本発明では特にカチオン性ポリマー等のインクの溶解性や分散性を低下させるインク定着助剤を高濃度で用いているので、その化合物の溶解性を確保することが重要である。
これらの中でも、ジエチレングリコール、チオジエタノール、ポリエチレングリコール200〜600、トリエチレングリコール、グリセリン、1,2,6−へキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ペトリオール、1,5−ペンタンジオール、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチルピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノンであり、これらを用いることによりカチオン性ポリマーなどの不溶化する化合物の溶解性を保つことができ、信頼性高く、前処理液を記録媒体に付与することができる。
前記前処理液には、水を加えることができるが、水の添加量は従来の前処理液に比較して少ない方が、液の記録媒体への付与安定性を保つために好ましい。また、水の組成比を、前処理液から水を除いた組成物が、記録装置の使用環境における大気の湿度と平衡状態で吸収する水分比よりも少なくするか、あるいはそれに近い組成比にすることにより、前処理液の記録媒体への付与時や、付与装置の放置期間中に水分が蒸発することを防止できるばかりでなく、前処理液を記録媒体に付与してから画像を記録するまでの時間が例えば5分程度と長くなっても、付与直後に画像記録を行った場合と同等の画像品質の向上効果を得ることができる。特に、相対湿度が60%における平衡水分量よりも少なくすることにより、前処理液の付与装置の使用環境が変化したとしても、ほぼすべての使用環境で、前処理液から水分が蒸発することによる付与の不均一、付与量過多などの問題が生じるのを防止できる。
前記水の含有量は、40質量%以下が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。前記水分量が40質量%を超えると、前処理液の記録媒体への付与時や、付与装置の放置期間中に水分が蒸発することにより、液の粘度が上昇したり、ゲル化を生じたり、不溶物が析出したりする問題が生じやすい。また、前処理液を付与してから画像記録を行うまでの時間に、水分が蒸発し、前処理液の流動性が失われ、インクとの反応が緩慢になり、十分な画像品質の向上効果が得られ難くなる。また、画像の先端や後端などで、前処理液を付与してから画像記録までの時間差がある場合に、画像品質に差が生じてしまうという問題も発生する。前記水分量が10質量%未満でも、カチオン性化合物の溶解性が不十分になり易く、ゲル化、不溶物の生成の問題が生じ易い。
前記前処理液には一価アルコールを含有させることが好ましく、それにより記録媒体の前処理液の泡立ちによる塗布むらなどの発生を防止することができ、その記録媒体の前処理液を記録媒体に当接して付与した後、インクを液滴として吐出して記録媒体に付着させることより画像を形成すると、均一な濃度を有する画像を得ることができる。
前記前処理液は、水及び水溶性溶媒を主溶媒としているため、前処理液の付与された記録媒体とインクとの濡れ性や浸透性に悪影響を及ぼすことがない。よって、高速記録を行っても、良好な画像品質を得ることができる。また、前記前処理液を構成する各種成分は、安定であり、長期に保存した後でもその特性になんら変化を生じない。
前記前処理液は、界面活性剤及び/又は濡れ促進剤を添加し、その表面張力が40mN/m以下に調整され、記録媒体や前処理液を付与するために用いる付与手段への濡れ性を高めることが好ましい。濡れ性を高めることにより、記録媒体に均一に前処理液が付着するため、少ない付与量で、画像品質を高めることが可能となる。また、ゴムローラ、金属ローラなどの液付与手段への濡れ性を高めることにより、記録媒体への均一な塗布が容易となる。
更に、前記前処理液には、界面活性剤を含有することができる。カチオン性樹脂と界面活性剤とを含有する前処理液を普通紙などの記録媒体に付与した後にインクを記録媒体に付着させると、記録媒体の表面サイズ剤の分布による不規則な濡れが少なくなるため、フェザリングが少なく細線等の再現性に優れ色境界にじみのない高画質で、かつ画像濃度の高い画像が得られる。これは、インクが記録媒体に均一に浸透するとともに色材が不溶化し記録媒体の表面近傍に留まるためであると考えられる。
前記界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩等のアニオン性界面活性剤;塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム等のカチオン系界面活性剤;イミダゾリン誘導体等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリエキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド添加物等のノニオン系界面活性剤;フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
前記前処理液における界面活性剤の含有量としては、0.1〜50質量%が好ましい。また、前処理液の均一性を確保するためには、界面活性剤のうち特にカチオン性界面活性剤が好ましい。これにより、インクと記録媒体表面との濡れ性を向上させるとともに、高画質で、かつ画像濃度の高い耐水性に優れた画像が得られる。前記カチオン性界面活性剤としては、イオネットD46、イオネットLEC、セクリルVN、サンスタット1200、サンスタットKT−305C、カチオンG−50、イオネットRK−15(いずれも三洋化成工業株式会社製)等が挙げられる。
普通紙などの記録媒体へのインクの浸透性を検討したところ、下記構造式(i)から(Vi)で表される界面活性剤と、インク中の色材を不溶化するジシアンジアミド樹脂とを含有する記録媒体の前処理液を用いることにより、記録媒体に対するインクの浸透性が向上し、かつ染料を記録媒体表面に留めることができ、フェザリングが少なく細線等の再現性に優れ色境界にじみのない高画質で、かつ画像濃度の高い耐水性に優れた画像が得られる。
ただし、前記構造式(i)中、R17はラウリル基、ステアリル基及びミリスチル基のいずれかを表す。
ただし、前記構造式(ii)中、R18及びR19は分岐していてもよい炭素数3以上のアルキル基を表す。Mはアルカリ金属、アンモニウム、アルカノールアミン、4級アンモニウム又は第4級ホスホニウムを表す。
ただし、前記構造式(iii)中、R20及びR21は炭素数5〜7のアルキル基を表し、mは5〜20の整数を表す。
ただし、前記構造式(iv)中、R22は炭素数6〜14の分岐していてもよい炭素鎖を表し、nは5〜20の整数を表す。
ただし、前記構造式(v)中、m及びnは、それぞれ0〜20の整数を表す。
ただし、前記構造式(vi)中、R23は炭素数6〜14の分岐していてもよい炭素鎖を表す。m及びnは、それぞれ0〜20の整数を表す。
本発明によれば、記録媒体に対するインクの浸透性が向上することにより画像の定着速乾速度が速くなり、それにより高速記録を行うことができる。これは、上記特定の界面活性剤とインク中の色剤を不溶化するジシアンジアミド樹脂とを含有する記録媒体の前処理液を普通紙などの記録媒体に付与した後にインクを記録媒体に付着させると、記録媒体の表面サイズ剤の分布による不規則な濡れが少なくなるため、インクが記録媒体に均一に浸透するとともに色剤が不溶化し記録媒体の表面近傍に留まるためであると考えられる。
前処理液における上記構造式(i)から(vi)で表される界面活性剤の含有量としては、0.1〜50質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。また、前記界面活性剤のうち、前記構造式(i)で表されるカチオン性界面活性剤の塩化ベンザルコニウム塩が好ましい。これにより、インクと記録媒体表面との濡れ性をより向上させ、記録媒体に対するインクの浸透速度をより速めることができ、高画質で、かつ画像濃度の高い耐水性に優れた画像が得られ、また高速記録を行うことができる。
また、表面張力を調整する目的で界面活性剤以外の濡れ促進剤を添加することができ、界面活性剤以外の溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル又はアリールエーテル類;1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール等の多価アルコール類;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、エタノール、2−プロパノール等の低級アルコール類などが挙げられる。
前記前処理液には、定着性向上のためバインダー樹脂を添加することが好ましい。前期バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばアクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。
前記前処理液には、0.1〜5質量%の防腐防かび剤を含有することが好ましい。記録媒体と接触させながら前処理液を付与するため、例えば紙粉のような汚染原因物質が混じり込みやすく、前処理液を変質させ、変質による付着量変化や画質改善効果自体の低下を及ぼすことがある。そこで、0.1〜5質量%の防腐防かび剤を添加することにより、長期間安定に作用することのできる前処理を得ることができる。前記添加量が0.1質量%未満であると、防腐及び防かび効果が不十分となることがあり、5質量%を超えると、画像品質を低下させることがある。
前記防腐防かび剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(アビシャ社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL)などが挙げられる。
前期前処理液のpH値は、ほぼ中性に保たれることが好ましい。前期pH値は8〜11の範囲に保つことがステンレスやニッケルを液付与部材として用いる場合には、その腐食性を抑える意味で好ましいが、カチオン樹脂の溶解性は一般に比較的pH値の低い領域が高く、両者のバランスから、中性に近い領域が好ましい。前処理液のpH値を所望の値に調整するために、前処理液には、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等を添加することができる。
その他、画像の耐光性を向上するために、前処理液に、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを添加することもできる。前記紫外線防止剤としては、各種のベンゾトリアゾール系、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、シアノアクリレート系、ベンゾフラン誘導体、置換アクリロニトリル系、置換−N−フェニルアミノエチレン系、ピロン系、メチレンマロン酸エステル、ケイ皮酸エステル、サリチル酸フェニル系、ヒンダードアミン系等が好適に挙げられる。酸化防止剤としては、各種のフェノール系、硫黄系、リン酸系、ナフトール系、ヒンダートフェノール類、パラフェニレンジアミン類、ハイドロキノン類、有機硫黄化合物類、有機リン化合物類、ヒンダートアミン、クロマン系、スピロインダン系、ヒドラジン等が好適に挙げられる。これら紫外線防止剤、酸化防止剤は分散性を上げるため、エマルジョンとして添加されていてもよい。
(インクカートリッジ及び前処理液カートリッジ)
本発明のインクカートリッジは、本発明の前記インクメディアセットにおけるインクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材などを有してなる。
本発明の前処理液カートリッジは、本発明の前記インクメディアセットにおける前処理液を容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材などを有してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で
形成されたインク袋などを少なくとも有するもの、などが好適に挙げられる。
次に、インクカートリッジ及び前処理液カートリッジについて、図5及び図6を参照して説明する。ここで、図5は、本発明のインクカートリッジ及び前処理液カートリッジの一例を示す図であり、図6は図5のインクカートリッジ及び前処理液カートリッジのケース(外装)も含めた図である。
インクカートリッジ及び前処理液カートリッジは、図5に示すように、インク注入口242からインク袋241内に充填され、排気した後、該インク注入口242は融着により閉じられる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口243に装置本体の針を刺して装置に供給される。
インク袋241は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。このインク袋241は、図6に示すように、通常、プラスチックス製のカートリッジケース244内に収容され、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いられるようになっている。
(インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置)
本発明のインクジェット記録方法は、本発明の前記インクメディアセットを用い、記録用メディアの記録面に前処理液を付与する工程と、前処理液が乾燥する前に、インクに画像信号にしたがって刺激を印加し、該インクを飛翔させて記録メディアに画像を記録する工程とを含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程を含んでなる。
本発明のインクジェット記録装置は、本発明の前記インクメディアセットを用い、記録用メディアの記録面に前処理液を付与する手段と、前処理液が乾燥する前に、インクに画像信号にしたがって刺激を印加し、該インクを飛翔させて記録メディアに画像を記録する手段とを有し、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段を有してなる。
前記記録用メディアの記録面に前処理液を付与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前処理液が、インクジェット法などの非当接手段よりも記録媒体に当接する付与手段で記録媒体表面に前処理液を付与することが好ましい。
前記前処理液を記録媒体に当接して付与する手段としては、ローラ塗布機、ワイヤーバー、コーティングブレード、前処理液を含浸せしめた発泡体を当接するなどの手段が例示できる。更に、この当接付与手段により付与される記録媒体の前処理液には、前述の従来方法では配合することのできなかった数々の添加剤をも配合することができ、記録媒体の前処理液の処方を組む自由度を大きく拡げることができる。当接の付与手段の中でも、ローラを用いることにより、簡素な装置構成で、高粘度の前処理液を、十分な画像品質の向上効果が得られる付与量になるように、均一に付与することが可能であり、付与手段を低コストで、かつコンパクトに作製することが可能になるため、好ましい。このように、高濃度の定着剤を含有し、高粘度の前処理液を、当接の付与手段で、記録媒体に、従来の前処理液の付与量よりも、遥かに少ない量付与することにより、従来法で生じていた記録媒体のコックリングの発生を防止できるとともに、従来法以上の画像品質の向上効果が得られる。
前記前処理液の付着量は、記録用メディアの記録面に固形分で0.5〜10g/mであることが好ましい。これにより記録媒体のカールをよりよく抑えることができる。前記付着量が0.5g/m未満であると、画質改善効果が不十分であり、10g/mより多いと、記録媒体がカールやコックリングを生じ、また付着量が多すぎるため裏抜け濃度が増大する。
前処理液が乾燥する前に、インクに画像信号にしたがって刺激を印加し、該インクを飛翔させて記録メディアに画像を記録する工程は、本発明のインクメディアセットにおけるインクに、刺激を印加し、該インクを飛翔させて画像を形成する工程である。
前記インク飛翔手段は、本発明のインクメディアセットにおけるインクに、刺激を印加し、該インクを飛翔させて画像を形成する手段である。該インク飛翔手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、各種の記録ヘッド(インク吐出ヘッド)が挙げられ、特に複数のノズル列を有するヘッドと、液体保管用タンクから供給される液体を収容して前記ヘッドに液体を供給するサブタンクとを有するものが好ましい。
前記サブタンクは、該サブタンク内に負圧を発生するための負圧発生手段と、該サブタンク内を大気開放するための大気開放手段と、電気抵抗の差によりインクの有無を検知する検知手段とを有するものが好ましい。
前記刺激は、例えば、前記刺激発生手段により発生させることができ、該刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、熱(温度)、圧力、振動、光、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好適に挙げられる。
なお、前記刺激発生手段としては、例えば、加熱装置、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライト、などが挙げられる。具体的には、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータ、などが挙げられる。
前記インクの飛翔の態様としては、特に制限はなく、前記刺激の種類等応じて異なり、例えば、前記刺激が「熱」の場合、記録ヘッド内の前記インクに対し、記録信号に対応した熱エネルギーを例えばサーマルヘッド等を用いて付与し、該熱エネルギーにより前記インクに気泡を発生させ、該気泡の圧力により、該記録ヘッドのノズル孔から該インクを液滴として吐出噴射させる方法、などが挙げられる。また、前記刺激が「圧力」の場合、例えば記録ヘッド内のインク流路内にある圧力室と呼ばれる位置に接着された圧電素子に電圧を印加することにより、圧電素子が撓み、圧力室の容積が縮小して、前記記録ヘッドのノズル孔から該インクを液滴として吐出噴射させる方法、などが挙げられる。
ピエゾ素子に電圧を印加してインクを飛翔させる方法が好ましい。ピエゾ方式は発熱しないため、樹脂を含有するインクを飛翔させるのに有利であり、特に湿潤剤の含有量の少ないインクを用いた場合にノズル詰まりが少ない有効な方法である。
また、ノズル抜けを防止するため、ピエゾ素子にインクを吐き出さない強さの電圧を印加して空スキャンを行うことが好ましい。更に、1ページ印刷分の空スキャンに達する前に、インク溜め部にインクを吐き出す動作を行うことが好ましい。
また、空吐出受けに固着したインクを掻き落とす掻き落とし手段を有することが好ましい。該掻き落とし手段としては、ワイパー及びカッターのいずれかが好ましい。
なお、前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
ここで、前記前処理液を記録媒体に付与し、前処理液が乾燥固化する前に、着色剤を含むインクで画像を記録するため方法について、図1の本発明の画像記録方法を実現するための装置の具体例で説明する。図1の前処理液付与装置例は、インクジェット記録用ヘッドを走査して画像形成するタイプの記録装置である。
図1の前処理付与及びインクジエット記録装置において、記録媒体6は給紙ローラ7によって送り出され付与ローラ4とカウンタローラ5によって前処理液容器42内に充填された前処理液1が記録媒体に均一に薄く付与される。前処理液は汲み上げローラ3によって汲み上げられ、膜厚制御ローラ2によって付与ローラ4に均一に付与される。記録媒体は前処理液を付与されながらインクジェット記録ヘッド20のある記録走査部まで送られる。前処理液付与動作の終了部(図1中A部)から記録走査開始部(図1中B部)までの用紙経路の長さは記録媒体の送り方向の長さより長く設定されているので記録媒体が記録走査開始部に到達した時点では前処理液の付与を完全に終了することができる。この場合、前処理液の付与は、インクジェット記録ヘッド20が印字のための走査を開始し、記録媒体6が間欠的に搬送される前に実施できるため、記録媒体の搬送速度が一定の状態で連続的に付与でき、ムラのない均一な付与が可能となる。なお、図1の装置例では前処理の必要な記録媒体は下段のカセットから、必要のないか処理されては困る記録媒体は上段のカセットから供給するようになっているため、記録媒体搬送経路を長く設けるのに好都合である。
図2は、本発明の画像記録方法を実現するための装置の別の具体例である。図2の装置例も、インクジェット記録用ヘッドを走査して画像形成するタイプの記録装置である。図1の装置に比べ、コンパクトな装置構成とした例である。記録媒体6は給紙ローラ7によって送り出され付与ローラ4とカウンタローラ5によって前処理液容器42内に充填された前処理液1が記録媒体に均一に薄く付与される。前処理液は汲み上げローラ3によって汲み上げられ、膜厚制御ローラ2によって付与ローラ4に均一に付与されている。記録媒体は前処理液を付与されながらインクジェット記録ヘッド20のある記録走査部を通過し、用紙が前処理液の塗布を完了するまで送られ、用紙が前処理液の付与を完了した時点で再び用紙先頭が記録走査開始位置に至るまで戻される。付与完了は、例えば、前処理液付与装置の出口近傍に、公知の記録媒体検知手段(不図示)を設けることにより検出することができる。この検知手段は必ずしも必要が無く、あらかじめ記録媒体の長さの情報をコントローラにインプットし、モータの回転数を制御することにより、記録媒体の搬送ローラの外周の送り量を記録媒体の長さに対応するようなシステム構成としてもよい。
前処理液が付与された記録媒体は、前処理液が乾燥固化する前に、再び記録走査位置に搬送されているが、この際には、インクジエット記録ヘッド20の走査とタイミングを合わせて、間欠的に搬送される。記録媒体を戻すとき送られてきた経路と同じ経路を戻すと用紙の後端が前処理液付与装置に逆進入することになり塗りムラや汚れ、用紙ジャムなどの不具合が起こるが、用紙を戻すときは記録媒体ガイド31で方向を切り替える。即ち、記録媒体に前処理液を付与した後、記録媒体を逆送する時には、記録媒体ガイド31を図の点線の位置に、ソレノイドやモータなどの公知の手段で移動せしめる。これにより、記録媒体は、記録媒体ガイド34の位置に搬送されるので、記録媒体を汚したり、ジャムが生じることを防止できる。
前処理液付与工程は連続的に、20〜200mm/sの一定の線速度で行うことが好ましい。このために、この装置の例では、枚葉の記録媒体を用い、ある枚葉の記録媒体についてみると、記録媒体に前処理液を付与する工程をその枚葉について終了した後に、インクジェット記録方法により画像を記録する工程を始める。このように装置においては、前処理液付与の速度と画像記録との速度が殆どの場合に一致しないので、その枚葉の記録開始部と記録終了部とでは、前処理液が付与されてから画像が記録されるまでの時間に差があることになる。この差がかなり大きくなった場合にも、水よりも沸点が高く、蒸発速度の小さな親水性の溶媒を多量に含み、プリンタを使用している環境での空気中の水分と平衡する量に近い水分比率に調製されている前処理液では、液からの水分蒸発が著しく抑制されるため、枚葉の記録媒体の、記録開始部と記録終了部で生じる画像品質の差を、少なくとも目視で観察できる水準以下にすることができる。
この装置での記録媒体の搬送工程からも明らかなように、前処理液を付与した後、画像を形成するために、前処理液の付与された記録媒体をローラ、コロ、ガイドなどの記録媒体に接触する手段で記録媒体を搬送することが必要になる場合が多い。このような場合に、記録媒体に付与された前処理液が記録媒体の搬送部材に転写してしまうと、搬送機能に障害を生じたり、汚れが蓄積して、画像品質が低下してしまうという問題を生じる。この問題を防止するには、装置側から、例えばガイドを波板にしたり、コロを拍車状にしたり、ローラの表面を撥水性の材料にしたりするという手段を講じ、問題の発生を軽減することができる。
しかし、記録媒体に付与された前処理液は、極力速やかに記録媒体に吸収され、見かけ上は乾燥された状態にすることが本質的に重要である。この目的を達成するためには、前処理液の表面張力を40mN/m以下として、速やかに液が記録媒体に浸透するようにすることが有効である。「乾燥固化」は、上記のように、記録媒体に前処理液が吸収されて、見かけ上乾燥したようになることを意味するものではなく、水分など前処理液中液状化合物が蒸発し、液体状態を保てなくなり固化することを意味している。本発明にかかる前処理液を上記のように前処理付与装置と画像記録装置がセットになった記録装置を用いることにより、前処理液が記録媒体に吸収され、見かけ上は乾燥している状態になっていても、前処理液が固化していない状態で、インクジェット記録を行うことができ、前処理液の付与量が極めて少ない量においても、画像品質を著しく向上できる。
図3及び図4に、図1及び図2のような装置の動作を制御するためのシーケンスの例を示す。パーソナルコンピュータなどのホストマシーンからのプリント指令を受けると、前処理付与・画像記録装置はヘッドクリーニング作業と前処理液塗布作業とを同時にスタートし、すべて準備が完了した時点で記録動作を開始する。この場合画像データの転送は1走査分であっても、複数走査分であってもあるいは1ページ分であってもかまわない。ヘッドクリーニング、噴射チェック動作は必ずしも必要ではない。また、ヘッドクリーニング、噴射チェック動作と画像データ処理・画像データ転送をシーケンシャルに行う必要はなく、前処理液塗布、ヘッドクリーニング、噴射チェック動作と画像データ処理・画像データ転送とを同時にスタートさせるなどパラレルに処理することが可能である。このように、前処理液塗布、ヘッドクリーニング、噴射チェック動作と画像データ処理・画像データ転送とをパラレルに処理することにより、前処理液塗布作業を行う場合にも、印字記録装置のスループットを殆ど落とさずに画像記録をすることが可能である。
本発明の画像記録方法において前処理液を記録媒体に付与した後、インクを液滴として記録媒体に付着させ画像を形成する手段としては、公知のあらゆるインクジェット記録方法が適用できる。図1及び図2の装置例では、ヘッドを走査する方式のインクジェット記録方法の例を示したが、ライン化されたヘッドを用いることにより、ある枚葉の記録媒体において、前処理液の付与と画像記録とを同時に、等速度で行うことができる。
本発明における前処理液の記録媒体への付与後、インクを液滴として記録媒体に付着させる方法としては、インクジェット記録方法が好ましく、特に記録ヘッドの駆動方式にはとらわれず、PZT等を用いた圧電素子アクチュエータ、熱エネルギーを作用させる方式、静電気力を利用したアクチュエータ等を利用したオンディマンド型のヘッドを用いることもできるし、連続噴射型の荷電制御タイプのヘッドで記録することもできる。熱エネルギーを作用させる方式においては、液滴の噴射を自在に制御することが困難とされており、記録媒体種等による画像へのばらつきが大きくなりがちであるが、前処理液を記録媒体に付与することでこれらの課題は解消され、記録媒体種に依らず安定した高画質を得ることができる。
ここで、本発明のインクジェット記録装置により本発明のインクジェット記録方法を実施する一の態様について、図面を参照しながら説明する。図3は、本発明のシリアル型インクジェット記録装置の一例を示す概略図である。この図3に示すインクジェット記録装置は、装置本体101と、装置本体101に装着した用紙を装填するための給紙トレイ102と、装置本体101に装着され画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ103と、インクカートリッジ装填部104とを有する。インクカートリッジ装填部104の上面には、操作キーや表示器などの操作部105が配置されている。インクカートリッジ装填部104は、インクカートリッジ201の脱着を行うための開閉可能な前カバー115を有している。
装置本体101内には、図4及び図5に示すように、図示を省略している左右の側板に横架したガイド部材であるガイドロッド131とステー132とでキャリッジ133を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータ(不図示)によって図5で矢示方向に移動走査する。
キャリッジ133には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個のインクジェット記録用ヘッドからなる記録ヘッド134を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド134を構成するインクジェット記録用ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどインクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。
また、キャリッジ133には、記録ヘッド134に各色のインクを供給するための各色のサブタンク135を搭載している。サブタンク135には、図示しないインク供給チューブを介して、インクカートリッジ装填部105に装填された本発明のインクカートリッジ201から前記インクが供給されて補充される。
一方、給紙トレイ102の用紙積載部(圧板)141上に積載した用紙142を給紙するための給紙部として、用紙積載部141から用紙142を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ143)、及び給紙コロ143に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド144を備え、この分離パッド144は給紙コロ143側に付勢されている。
この給紙部から給紙された用紙142を記録ヘッド134の下方側で搬送するための搬送部として、用紙142を静電吸着して搬送するための搬送ベルト151と、給紙部からガイド145を介して送られる用紙142を搬送ベルト151との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ152と、略鉛直上方に送られる用紙142を略90°方向転換させて搬送ベルト151上に倣わせるための搬送ガイド153と、押さえ部材154で搬送ベルト151側に付勢された先端加圧コロ155とが備えられる。また、搬送ベルト151表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ156が備えられている。
搬送ベルト151は、無端状ベルトであり、搬送ローラ157とテンションローラ158との間に張架されて、ベルト搬送方向に周回可能である。この搬送ベルト151は、例えば、抵抗制御を行っていない厚さ40μm程度の樹脂材、例えば、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体(ETFE)で形成した用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(中抵抗層、アース層)とを有している。搬送ベルト151の裏側には、記録ヘッド134による印写領域に対応してガイド部材161が配置されている。なお、記録ヘッド134で記録された用紙142を排紙するための排紙部として、搬送ベルト151から用紙142を分離するための分離爪171と、排紙ローラ172及び排紙コロ173とが備えられており、排紙ローラ172の下方に排紙トレイ103が配されている。
装置本体101の背面部には、両面給紙ユニット181が着脱自在に装着されている。両面給紙ユニット181は、搬送ベルト151の逆方向回転で戻される用紙142を取り込んで反転させて再度カウンタローラ152と搬送ベルト151との間に給紙する。なお、両面給紙ユニット181の上面には手差し給紙部182が設けられている。
このインクジェット記録装置においては、給紙部から用紙142が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙142は、ガイド145で案内され、搬送ベルト151とカウンタローラ152との間に挟まれて搬送される。更に先端を搬送ガイド153で案内されて先端加圧コロ155で搬送ベルト151に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、帯電ローラ156によって搬送ベルト157が帯電されており、用紙142は、搬送ベルト151に静電吸着されて搬送される。そこで、キャリッジ133を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド134を駆動することにより、停止している用紙142にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙142を所定量搬送後、次行の記録を行う。記録終了信号又は用紙142の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙142を排紙トレイ103に排紙する。
そして、サブタンク135内のインクの残量ニアーエンドが検知されると、インクカートリッジ201から所要量のインクがサブタンク135に補給される。
このインクジェット記録装置においては、本発明のインクカートリッジ201中のインクを使い切ったときには、インクカートリッジ201における筐体を分解して内部のインク袋だけを交換することができる。また、インクカートリッジ201は、縦置きで前面装填構成としても、安定したインクの供給を行うことができる。したがって、装置本体101の上方が塞がって設置されているような場合、例えば、ラック内に収納する場合したり、あるいは装置本体101の上面に物が置かれているような場合でも、インクカートリッジ201の交換を容易に行うことができる。
なお、キャリッジが走査するシリアル型(シャトル型)インクジェット記録装置に適用した例で説明したが、ライン型ヘッドを備えたライン型インクジェット記録装置にも同様に適用することができる。
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに特に好適に適用することができる。
(インク記録物)
本発明のインクジェット記録方法により記録されたインク記録物は、本発明のインク記録物である。本発明のインク記録物は、記録用メディア上に本発明のインクメディアセットにおけるインクを用いて形成された画像を有してなる。
前記記録用メディアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、普通紙、印刷用塗工紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、普通紙及び印刷用塗工紙の少なくともいずれかが好ましい。
前記普通紙は安価である点で有利である。また、前記印刷用塗工紙は光沢紙に比べ比較的安価でしかも平滑な光沢ある画像を与える点で有利である。しかし、乾燥性が悪く一般にインクジェット用には使用困難であったが、本発明のインクにより乾燥性が向上し使用可能となった。
前記インク記録物は、高画質で滲みがなく、経時安定性に優れ、各種の印字乃至画像の記録された資料等として各種用途に好適に使用することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(製造例1)
−シアンインクの作製−
下記処方のインク組成物を調製し、pHを調整した後、平均孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、インクを作製した。
<シアンインク組成>
・C.I.アシッドブルー9・・・4質量%
・アクリルシリコーンエマルジョン〔固形分40質量%、残り水、体積平均粒径150nm、樹脂成分のガラス転移温度−15℃(示差熱立ち上がり)〜−6℃(変曲点)〕・・・60質量%
・湿潤剤としてのグリセリン・・・6質量%
・湿潤剤としての1,3−ブタンジオール・・・18質量%
・浸透剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・2質量%
・フッ素系界面活性剤(フッ素置換炭素数4〜16)・・・2.5質量%
・防腐防カビ剤・・・0.05質量%
・アミン系有機pH調整剤・・・1.1質量%
・シリコーンエマルジョン系消泡剤・・・0.1質量%
・水・・・残部
得られたインク中の着色剤及び水分散性樹脂の合計含有量は28質量%であり、着色剤及び水分散性樹脂の合計含有量に対する水分散性樹脂の含有量は86質量%であった。
(製造例2)
−マゼンタインクの作製−
下記処方のインク組成物を調製し、pHを調整した後、平均孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、インクを作製した。
<マゼンタインク組成>
・C.I.アシッドレッド52・・・4質量%
・アクリルシリコーンエマルジョン〔固形分40質量%、残り水、体積平均粒径150nm、樹脂成分のガラス転移温度−15℃(示差熱立ち上がり)〜−6℃(変曲点)〕・・・60質量%
・湿潤剤としてのグリセリン・・・6質量%
・湿潤剤としての1,3−ブタンジオール・・・18質量%
・浸透剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・2質量%
・フッ素系界面活性剤(フッ素置換炭素数4〜16)・・・2.5質量%
・防腐防カビ剤・・・0.05質量%
・アミン系有機pH調整剤・・・1.1質量%
・シリコーンエマルジョン系消泡剤・・・0.1質量%
・水・・・残部
得られたインク中の着色剤及び水分散性樹脂の合計含有量は28質量%であり、着色剤及び水分散性樹脂の合計含有量に対する水分散性樹脂の含有量は86質量%であった。
(製造例3)
−イエローインクの作製−
下記処方のインク組成物を調製し、pHを調整した後、平均孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、インクを作製した。
<イエローインク組成>
・C.I.アシッドイエロー23・・・2質量%
・アクリルシリコーンエマルジョン〔固形分40質量%、残り水、体積平均粒径150nm、樹脂成分のガラス転移温度−15℃(示差熱立ち上がり)〜−6℃(変曲点)〕・・・30質量%
・湿潤剤としてのグリセリン・・・6質量%
・湿潤剤としての1,3−ブタンジオール・・・18質量%
・浸透剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・2質量%
・フッ素系界面活性剤(フッ素置換炭素数4〜16)・・・2.5質量%
・防腐防カビ剤・・・0.05質量%
・アミン系有機pH調整剤・・・1.1質量%
・シリコーンエマルジョン系消泡剤・・・0.1質量%
・水・・・残部
得られたインク中の着色剤及び水分散性樹脂の合計含有量は14質量%であり、着色剤及び水分散性樹脂の合計含有量に対する水分散性樹脂の含有量は86質量%であった。
(製造例4)
−ブラックインクの作製−
下記処方のインク組成物を調製し、pHを調整した後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、インクを作製した。
<ブラックインク組成>
・親水基を有するカーボンブラック分散液(固形分20質量%、残りは水、固形分中の着色剤/樹脂(質量比)=10/0)・・・30質量%
・アクリルシリコーンエマルジョン〔固形分40質量%、残り水、体積平均粒径150nm、樹脂成分のガラス転移温度−15℃(示差熱立ち上がり)〜−6℃(変曲点)〕・・・45質量%
・湿潤剤としての1,3−ブタンジオール・・・2質量%
・湿潤剤としての2−ピロリドン・・・2質量%
・浸透剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・2質量%
・フッ素系界面活性剤(フッ素置換炭素数4〜16)・・・1質量%
・防腐防カビ剤・・・0.05質量%
・安定剤・・・0.0005質量%
・有機pH調整剤(2種)・・・0.65質量%
・シリコーンエマルジョン系消泡剤・・・0.1質量%
・水・・・残部
得られたインク中の着色剤及び水分散性樹脂の合計含有量は24質量%であり、着色剤及び水分散性樹脂の合計含有量に対する水分散性樹脂の含有量は75質量%であった。
次に、得られた製造例1〜4の各インクについて、以下のようにして、表面張力、pH、及び粘度を測定した。結果を表1に示す。
<pHの測定>
pHは、pHメーター(MODEL HM3A、東亜電波工業株式会社製)使用して、23℃で測定した。
<粘度の測定>
粘度は、RE500形粘度計(東機産業株式会社製)を用いて、コーン34×R24、180rpm、3分間後の条件により、25℃で測定した。
<表面張力の測定>
表面張力は、表面張力測定装置(協和界面科学株式会社製、CBVP−Z)を用い、白金プレートを使用して25℃で測定した静的表面張力である。
(製造例5)
<前処理液1の調製>
下記組成を混合し、攪拌させて記録用メディアの前処理液1を作製し、pHが7になるようにトリエタノールアミンで調整した。
[前処理液1の組成]
・下記構造式(2)で表されるカチオン性ポリマー(ジシアンジアミド樹脂、質量平均分子量7,000)・・・25質量%
ただし、前記構造式(2)中、nは重合数を表す。
・下記構造式で表されるカチオン性モノマー化合物C−1(対イオンは塩素イオン)・・・2質量%
・グリセリン・・・25質量%
・エチレングリコール・・・30質量%
・安息香酸ナトリウム・・・1質量%
・イオン交換水・・・残量
得られた前処理液1の粘度を東京計器株式会社製のB型回転粘度計で測定したところ、1,270mPa・s(25℃)であった。
(製造例6)
<前処理液2の調製>
下記組成を混合し、攪拌させて記録用メディアの前処理液2を作製し、pHが7になるようにトリエタノールアミンで調整した。
[前処理液2の組成]
・下記構造式で表されるカチオン性ポリマー・・・15質量%
ただし、前記構造式中、Xは塩素イオンを表し、質量平均分子量は3,500である
・下記構造式で表されるカチオン性モノマー化合物C−3(対イオンは塩素イオン)・・・3質量%
・グリセリン・・・20質量%
・N−メチル−2−ピロリドン・・・20質量%
・1,6−ヘキサンジオール・・・15質量%
・デヒドロ酢酸ナトリウム・・・1質量%
得られた前処理液2の粘度を東京計器株式会社製のB型回転粘度計で測定したところ、850mPa・s(25℃)であった。
<記録用紙1>
市販のグロス紙(王子製紙株式会社製、PODグロスコート100g/m紙)
前記記録用紙1について、以下のようにして、純水の転移量及び臨界表面張力(γc)を測定した。結果を表2に示す。
<動的走査吸液計による純水の転移量の測定>
前記記録用紙1について、動的走査吸液計(型式:KS350D、協和精工株式会社製)を用いて、純水の吸収曲線を測定した。吸収曲線は転移量(mL/m)と接触時間の平方根√(ms)でプロットして一定の傾きを持つ直線とし、内挿により一定時間後の転移量の値を測定した。
<臨界表面張力(γc)>
臨界表面張力(γc)は、JIS−K6768、1999「プラスチック−フィルム及びシート−濡れ張力試験方法」に準拠した種々の表面張力の濡れ張力試験液(エチレングリコールモノエチルエーテルとホルムアミドとの混合液)の4マイクロリットル(μl)の液滴をメディア印字面に滴下した後、0.5秒間経過したときの各液滴の接触角を動画取り込みによる接触角測定装置(データフィジックス社製、OCA)を用いて測定し、その接触角からZisman Plotを作成して求めた。
<前処理液の付与>
前処理液1及び2を図1に示す画像記録装置の前処理液容器42に充填し、線速度85mm/sの速度で記録用紙1に付与したところ、2.8〜3.2g/mの付着量であった。
(実施例1)
−インクセット、記録用メディア、前処理液、及び画像記録−
製造例1のシアンインク、製造例2のマゼンタインク、製造例3のイエローインク、及び製造例4のブラックインクからなるインクセット1を常法により調製した。
得られたインクセット1と、記録用メディアとして記録用紙1とを用い、上記の通り前処理液1を付与した後、インクジェットプリンタ(株式会社リコー製、G707)にて印写を行った。
その結果、印字後1分間以内で擦っても殆ど色汚れがしない、乾燥時間に殆ど問題のない画像が得られた。また、得られた画像は画像濃度が高く、鮮明で印刷物に近い画像であった。
なお、記録用紙1の代わりに普通紙(株式会社リコー製、T6200紙)を用いたところ、裏抜けのない、画像濃度の高い、普通紙にもかかわらず、発色のよい滲みのない画像が得られた。
(実施例2)
−インクセット、記録用メディア、前処理液、及び画像記録−
実施例1において、前処理液として前処理液2を用いた以外は、実施例1と同様にして、印写を行った。その結果、印字後1分間以内で擦っても殆ど色汚れがしない、乾燥時間に殆ど問題のない画像が得られた。また、得られた画像は画像濃度が高く、鮮明で印刷物に近い画像であった。
(比較例1)
実施例1において、記録用メディアに前処理液1を付与しない以外は、実施例1と同様にして、印写を行った。その結果、インクの着色剤が塗工層中に沈み、画像濃度が低く、不鮮明な画像が得られた。
本発明のインクメディアセットは、水吸収能力の低い、平滑な印刷用紙において、乾燥速度に問題がなく、鮮明で印刷物に近い高品質な画像が可能であり、前処理液カートリッジ、インクカートリッジ、インク記録物、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に好適に用いることができる。
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに特に好適に適用することができる。
図1は、本発明のインクジェット記録装置における前処理液塗布装置の一例を示す側面断面図である。 図2は、本発明のインクジェット記録装置における前処理液塗布装置の他の一例を示す装置の側面断面図である。 図3は、本発明の実施の形態の一例を示すシーケンス図である。 図4は、本発明の他の実施の形態の一例を示すシーケンス図である。 図5は、本発明のインクカートリッジ及び前処理液カートリッジの一例を示す概略図である。 図6は、図5のインクカートリッジ及び前処理液カートリッジのケース(外装)も含めた概略図である。 図7は、インクジェット記録装置のインクカートリッジ装填部のカバーを開いた状態の斜視説明図である。 図8は、インクジェット記録装置の全体構成を説明する概略構成図である。 図9は、本発明のインクジェット記録装置におけるインクジェットヘッドの一例を示す概略拡大図である。
符号の説明
1 前処理液
2 膜厚制御ローラ
3 汲み上げローラ
4 塗布ローラ
5 カウンタローラ
6 用紙
7 給紙ローラ
8 給紙トレイ
11、12、14、13、15、16 用紙送りローラ
17 用紙
18 給紙ローラ
20 記録ヘッド
21 インクカートリッジ
22 キャリッジ軸
23 キャリッジ
31 用紙ガイド
33 用紙送りローラ
34 用紙戻しガイド
42 前処理液容器
10 フレーム
20 流路板
30 ノズルプレート
40 ベース
50 積層圧電素子
60 振動板
70 接着層
101 装置本体
102 給紙トレイ
103 排紙トレイ
104 インクカートリッジ装填部
111 上カバー
112 前面
115 前カバー
131 ガイドロッド
132 ステー
133 キャリッジ
134 記録ヘッド
135 サブタンク
141 用紙載置部
142 用紙
144 分離パッド
151 搬送ベルト
152 再度カウンタローラ
156 帯電ローラ
157 搬送ローラ
158 デンションローラ
171 分離爪
172 排紙ローラ
173 排紙コロ
181 両面給紙ユニット
201 インクカートリッジ
241 インク袋
242 インク注入口
243 インク排出口
244 カートリッジ外装

Claims (23)

  1. 少なくとも着色剤、水分散性樹脂、及び水を含有するインクと、
    支持体と、該支持体上に少なくとも塗工層とを有する記録用メディアと、
    インクジェット記録時に記録用メディアの記録面に付与される前処理液と、を有するインクメディアセットであって、
    前記インクにおける着色剤及び水分散性樹脂の合計含有量が10〜35質量%であり、かつ該合計含有量に対する前記水分散性樹脂の含有量が70〜95質量%であり、
    前記前処理液は、インクの分散性及び溶解性の少なくともいずれかを低下させるインク定着助剤を固形分で10〜80質量%含有し、かつ25℃における粘度が100〜10,000mPa・sであることを特徴とするインクメディアセット。
  2. インク定着助剤が、カチオン性化合物である請求項1に記載のインクメディアセット。
  3. カチオン性化合物が、カチオン性ポリマーである請求項2に記載のインクメディアセット。
  4. カチオン性ポリマーが、下記構造式(1)から(20)で表されるポリマーから選択される少なくとも1種である請求項3に記載のインクメディアセット。
    ただし、前記構造式(1)中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。Rは炭素数1〜3のアルキレン基を表す。nは重合数を表す。
    ただし、前記構造式(2)中、nは重合数を表す。
    ただし、前記構造式(3)中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。Rは水素原子、及びCHのいずれかを表す。R、R、及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、及びアルキル基のいずれかを表す。nは重合数を表す。
    ただし、前記構造式(4)中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。nは重合数を表す。
    ただし、前記構造式(5)中、nは5〜30の自然数を表す。
    ただし、前記構造式(6)中、nは重合数を表す。
    ただし、前記構造式(7)中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。nは重合数を表す。
    ただし、前記構造式(8)中、nは重合数を表す。
    ただし、前記構造式(9)中、Z及びYは、それぞれ−OCOCH又は−OHを表す。Rは炭素数1〜4のアルキレン基を表す。n、l、及びmはそれぞれ重合数を表す。
    ただし、前記構造式(10)中、Rはアルキル基を表す。Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。nは重合数を表す。
    ただし、前記構造式(11)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、及びアルキル基のいずれかを表す。Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。nは重合数を表す。
    ただし、前記構造式(12)中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。nは重合数を表す。
    ただし、前記構造式(13)中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。nは重合数を表す。
    ただし、前記構造式(14)中、j及びkは、それぞれ2〜6の自然数を表す。nは重合数を表す。
    ただし、前記構造式(15)中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。nは重合数を表す。
    ただし、前記構造式(16)中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。Qは共重合可能なモノマー成分を表す。n及びmは、それぞれ重合数を表す。
    ただし、前記構造式(17)中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。nは重合数を表す。
    ただし、前記構造式(18)中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを表す。nは重合数を表す。
    ただし、前記構造式(19)及び(20)中、Dは下記構造式(21)及び(22)のいずれかで示される置換基を表す。Dは、Dと独立であり、水素原子、下記構造式(21)、及び下記構造式(22)のいずれかを表す。nは自然数を表し、mは0以上の整数を表す
    ただし、前記構造式(21)及び構造式(22)中、R及びR10は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、及びアリール基のいずれかを表す。R11及びR12は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、アルカリ金属、及び下記構造式(23)で示される置換基のいずれかを表す。
    ただし、前記構造式(23)中、R13〜R16は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アリール基、ヒドロキシアルキル基、及びベンジル基のいずれかを表す。
  5. カチオン性化合物が粒子であり、かつ前処理液中に分散されている請求項2に記載のインクメディアセット。
  6. 粒子がカチオン性シリカ粒子である請求項5に記載のインクメディアセット。
  7. カチオン性化合物が、カチオン性エマルジョンである請求項5から6のいずれかに記載のインクメディアセット。
  8. インク定着助剤が水溶性の多価金属塩である請求項1に記載のインクメディアセット。
  9. 記録用メディアの記録面におけるJIS K6768に基づく臨界表面張力が、25〜40mN/mである請求項1から8のいずれかに記載のインクメディアセット。
  10. 動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の記録用メディアの記録面への転移量が2〜35ml/mであり、かつ接触時間400msにおける純水の記録用メディアの記録面への転移量が3〜40ml/mである請求項1から9のいずれかに記載のインクメディアセット。
  11. 記録用メディアにおける塗工層が顔料を含有し、かつ該顔料がカオリン、タルク及び炭酸カルシウムから選択される少なくとも1種である請求項1から10のいずれかに記載のインクメディアセット。
  12. インクにおける着色剤が、アニオン性染料である請求項1から11のいずれかに記載のインクメディアセット。
  13. 水分散性樹脂が樹脂微粒子を含み、該樹脂微粒子がアクリルシリコーン樹脂微粒子であり、かつ該アクリルシリコーン樹脂のガラス転移温度が25℃以下である請求項1から12のいずれかに記載のインクメディアセット。
  14. 樹脂微粒子の樹脂エマルジョン中での体積平均粒径が10〜1,000nmである請求項13に記載のインクメディアセット。
  15. 請求項1から14のいずれかに記載のインクメディアセットにおけるインクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。
  16. 請求項1から14のいずれかに記載のインクメディアセットにおける前処理液を容器中に収容してなることを特徴とする前処理液カートリッジ。
  17. 請求項1から14のいずれかに記載のインクメディアセットを用いたインクジェット記録方法であって、
    記録用メディアの記録面に前処理液を付与する工程と、
    前処理液が乾燥する前に、インクに画像信号にしたがって刺激を印加し、該インクを飛翔させて記録メディアに画像を記録する工程と、を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
  18. 前処理液の付与がローラにより行われる請求項17に記載のインクジェット記録方法。
  19. 前処理液の付着量が、記録用メディアの記録面に固形分で0.5〜10g/mである請求項17から18のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  20. 刺激が、熱、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種である請求項17から19のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  21. 請求項1から14のいずれかに記載のインクメディアセットを用いたインクジェット記録装置であって、
    記録用メディアの記録面に前処理液を付与する手段と、
    前処理液が乾燥する前に、インクに画像信号にしたがって刺激を印加し、該インクを飛翔させて記録メディアに画像を記録する手段と、を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
  22. 刺激が、熱、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種である請求項21に記載のインクジェット記録装置。
  23. 請求項1から14のいずれかに記載のインクメディアセットを用い、前処理液を付与した記録用メディア上にインクを用いて形成された画像を有してなることを特徴とするインク記録物。
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