JP2007276387A - インクメディアセット、並びに前処理液カートリッジ、インクカートリッジ、インク記録物、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも着色剤、水分散性樹脂及び水を含有するインクと、支持体上に少なくとも塗工層を有する記録用メディアと、インクジェット記録時に記録用メディアの記録面に付与される前処理液とを有してなり、インクにおける着色剤及び水分散性樹脂の合計含有量が10〜35質量%で、かつ該合計含有量に対する前記水分散性樹脂の含有量が70〜95質量%であり、前処理液はインクの分散性及び溶解性の少なくともいずれかを低下させるインク定着助剤を固形分で10〜80質量%含有しかつ25℃における粘度が100〜10,000mPa・sであるインクメディアセットである。
【選択図】なし
Description
そこで、上記のような印刷用紙でも乾燥が速く、画像濃度や彩度も高く、普通紙においても高画質であり、しかも長期停止時においてもノズルの目詰まりの生じないインクジェット記録方法の提供が望まれている。
また、特許文献13には、速乾性の染料インクについて提案されている。しかし、この提案の実施例では、湿潤剤が15質量%以上と多く含まれており、樹脂の添加がなく、紙も上質紙を用いており、極めて吸水しにくい印刷用塗工紙は対象としていない。
また、特許文献14には、プラスチック基材のような撥水面や、オフセット印刷物あるいはグラビア印刷物のような油性インク層の表面に、良好なインクジェット画像を形成しうる水性プレコート液が提案されている。しかし、この提案のインクは顔料インクに限定されており染料インクには適用できず、またプレコート液はインクジェット方式で塗布されるため、吐出信頼性を確保するために液処方に種々の制約がある。
また、特許文献15には、オフセット媒体上に印刷される画像の品質を改善するためのインクジェット印刷システムとして、定着液とインクの組み合わせが提案されている。しかし、この提案の定着液もインクジェットヘッドを使って付着させるため、定着剤液処方にインクと同様の吐出信頼性を確保するための種々の制約を受ける。
また、特許文献16には、アルカリ土類金属塩を使用せず無定形シリカを使用した記録層の臨界表面張力を規定したインクジェット記録用、電子写真転写紙用両用記録用紙が提案されている。しかし、この提案では、安価で広く流通している印刷用紙に用いられるカオリン、タルク、炭酸カルシウムなどの顔料を含有する記録層に対するインクジェット画像の品質を確保することができない。
<1> 少なくとも着色剤、水分散性樹脂、及び水を含有するインクと、
支持体と、該支持体上に少なくとも塗工層とを有する記録用メディアと、
インクジェット記録時に記録用メディアの記録面に付与される前処理液と、を有するインクメディアセットであって、
前記インクにおける着色剤及び水分散性樹脂の合計含有量が10〜35質量%であり、かつ該合計含有量に対する前記水分散性樹脂の含有量が70〜95質量%であり、
前記前処理液は、インクの分散性及び溶解性の少なくともいずれかを低下させるインク定着助剤を固形分で10〜80質量%含有し、かつ25℃における粘度が100〜10,000mPa・sであることを特徴とするインクメディアセットである。
<2> インク定着助剤が、カチオン性化合物である前記<1>に記載のインクメディアセットである。
<3> カチオン性化合物が、カチオン性ポリマーである前記<2>に記載のインクメディアセットである。
<4> カチオン性ポリマーが、下記構造式(1)から(20)で表されるポリマーから選択される少なくとも1種である前記<3>に記載のインクメディアセットである。
<5> カチオン性化合物が粒子であり、かつ前処理液中に分散されている前記<2>に記載のインクメディアセットである。
<6> 粒子がカチオン性シリカ粒子である前記<5>に記載のインクメディアセットである。
<7> カチオン性化合物が、カチオン性エマルジョンである前記<5>から<6>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<8> インク定着助剤が水溶性の多価金属塩である前記<1>に記載のインクメディアセットである。
<9> 記録用メディアの記録面におけるJIS K6768に基づく臨界表面張力が、25〜40mN/mである前記<1>から<8>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<10> 動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の記録用メディアの記録面への転移量が2〜35ml/m2であり、かつ接触時間400msにおける純水の記録用メディアの記録面への転移量が3〜40ml/m2である前記<1>から<9>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<11> 記録用メディアにおける塗工層が顔料を含有し、かつ該顔料がカオリン、タルク及び炭酸カルシウムから選択される少なくとも1種である前記<1>から<10>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<12> インクにおける着色剤が、アニオン性染料である前記<1>から<11>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<13> 水分散性樹脂が樹脂微粒子を含み、該樹脂微粒子がアクリルシリコーン樹脂微粒子であり、かつ該アクリルシリコーン樹脂のガラス転移温度が25℃以下である前記<1>から<12>のいずれかに記載のインクメディアセットである。
<14> 樹脂微粒子の樹脂エマルジョン中での体積平均粒径が10〜1,000nmである前記<13>に記載のインクメディアセットである。
<15> 前記<1>から<14>のいずれかに記載のインクメディアセットにおけるインクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジである。
<16> 前記<1>から<14>のいずれかに記載のインクメディアセットにおける前処理液を容器中に収容してなることを特徴とする前処理液カートリッジである。
<17> 前記<1>から<14>のいずれかに記載のインクメディアセットを用いたインクジェット記録方法であって、
記録用メディアの記録面に前処理液を付与する工程と、
前処理液が乾燥する前に、インクに画像信号にしたがって刺激を印加し、該インクを飛翔させて記録メディアに画像を記録する工程と、を含むことを特徴とするインクジェット記録方法である。
<18> 前処理液の付与がローラにより行われる前記<17>に記載のインクジェット記録方法である。
<19> 前処理液の付着量が、記録用メディアの記録面に固形分で0.5〜10g/m2である前記<17>から<18>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<20> 刺激が、熱、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種である前記<17>から<19>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<21> 前記<1>から<14>のいずれかに記載のインクメディアセットを用いたインクジェット記録装置であって、
記録用メディアの記録面に前処理液を付与する手段と、
前処理液が乾燥する前に、インクに画像信号にしたがって刺激を印加し、該インクを飛翔させて記録メディアに画像を記録する手段と、を有することを特徴とするインクジェット記録装置である。
<22> 刺激が、熱、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種である前記<21>に記載のインクジェット記録装置である。
<23> 前記<1>から<14>のいずれかに記載のインクメディアセットを用い、前処理液を付与した記録用メディア上にインクを用いて形成された画像を有してなることを特徴とするインク記録物である。
また、前記インクにおける着色剤及び水分散性樹脂の合計含有量が10〜35質量%であり、かつ該合計含有量に対する前記水分散性樹脂の含有量が70〜95質量%であるので、滲みを防止でき、高画像濃度であり、画像の彩度を向上させることができる。
記録用メディアの記録面に前処理液を付与する工程と、
前記処理液が乾燥する前に、インクに画像信号にしたがって刺激を印加し、該インクを飛翔させて記録メディアに画像を記録する工程とを含む。その結果、水吸収能力の低い、平滑な印刷用紙において、乾燥速度に問題がなく、鮮明で印刷物に近い高品質な画像が可能である。
記録用メディアの記録面に前処理液を付与する手段と、
前記処理液が乾燥する前に、インクに画像信号にしたがって刺激を印加し、該インクを飛翔させて記録メディアに画像を記録する手段とを有する。その結果、水吸収能力の低い、平滑な印刷用紙において、乾燥速度に問題がなく、鮮明で印刷物に近い高品質な画像を形成できる。
本発明のインクメディアセットは、インクと、記録用メディアと、前処理液とを有してなり、更に必要に応じてその他の構成を有してなる。
前記インクは、少なくとも着色剤、水分散性樹脂、及び水を含有してなり、湿潤剤、浸透剤、界面活性剤、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記着色剤としては、顔料及び染料のいずれでも用いることができ、これらを混合して用いることもできる。現在、一般のインクジェット用インクには、アニオン性の染料又は顔料が用いられている。本発明では、用いられるインクの組成は限定されたものではないが、一般に用いられているアニオン性の色材を用いたインクとカチオン性の化合物を含む前処理液との組み合わせで用いることが、最も効果が大きい。
前記インク中のアニオン性成分は、アニオン性染料、アニオン性分散剤で分散された顔料又は染料、アニオン性基を有する顔料、アニオン性着色微粒子から選ばれる少なくとも一つの着色剤である。着色剤中に官能基としてアニオン性基を有しているか、あるいは、アニオン性成分が着色剤に吸着しているため、アニオン性成分とカチオン性樹脂との反応により、前記インク中の着色成分を記録媒体の表層に効率よくとどめることができ、よって、画像濃度向上、裏抜け濃度低減、フェザリング、境界にじみ防止など様々な画質改善効果が得られる。これらの中でも、特にアニオン性染料を用いた場合、前処理液の効果によって染料がメディア表面近傍で定着されるため、好適に用いることができる。
前記顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、無機顔料、有機顔料のいずれであってもよい。これら顔料は複数種類を混合して用いてもよい。
前記有機顔料としては、例えばアゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリレン系、イソインドレノン系、アニリンブラック、アゾメチン系、ローダミンBレーキ、カーボンブラックなどが挙げられる。
前記無機顔料としては、例えば酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、紺青、カドミウムレッド、クロムイエロー、金属粉などが挙げられる。
前記黒色用のものとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料、などが挙げられる。
黒色顔料インクに使用されるカーボンブラックとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックであり、一次粒径が15〜40nm、BET法による比表面積が、50〜300m2/g、DBP吸油量が、40〜150ml/100g、揮発分が0.5〜10%、pH値が2〜9を有するものが好ましい。このようなカーボンブラックとしては、市販品を用いることができ、例えば、No.2300、No.900、MCF−88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B(いずれも、三菱化学株式会社製);Raven700、同5750、同5250、同5000、同3500、同1255(いずれも、コロンビア社製);Regal400R、同330R、同660R、MogulL、Monarch700、同800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、Monarch1400(いずれも、キャボット社製);カラーブラックFW1、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、同S150、同S160、同S170、プリンテックス35、同U、同V、同140U、同140V、スペシャルブラック6、同5、同4A、同4(いずれも、デグッサ社製)などが挙げられる。
マゼンタ用では、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、92、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(ジメチルキナクリドン)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、などが挙げられる。
シアン用では、例えばC.I.ピグメントブルー1、2、15(銅フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、56、60、63などが挙げられる。
また、中間色としてはレッド、グリーン、ブルー用として、C.I.ピグメントレッド177、194、224、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントバイオレット3,19,23,37、C.I.ピグメントグリーン7,36などが挙げられる。
水溶性樹脂の具体例としては、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマール酸、フマール酸誘導体等から選ばれた少なくとも2つ以上の単量体からなるブロック共重合体、あるいはランダム共重合体、又はこれらの塩等が挙げられる。これらの水溶性樹脂は、塩基を溶解させた水溶液に可溶なアルカリ可溶型樹脂であり、これらの中でも質量平均分子量3000〜20000のものが、インクジェット用インクに用いた場合に、分散液の低粘度化が可能であり、かつ分散も容易であるという利点があるので特に好ましい。高分子分散剤と自己分散型顔料を同時に使うことは、適度なドット径を得られるため好ましい組み合わせである。その理由は明らかでないが、以下のように考えられる。
高分子分散剤を含有することで記録紙への浸透が抑制される。その一方で、高分子分散剤を含有することで自己分散型顔料の凝集が抑えられるため、自己分散型顔料が横方向にスムーズに拡がることができる。そのため、広く薄くドットが拡がり、理想的なドットが形成できると考えられる。
また、本発明で分散剤として使用できる水溶性界面活性剤の具体例としては、下記のものが挙げられる。例えば、アニオン性界面活性剤としては、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルアリル及びアルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩等が挙げられる。又、カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、テトラアルキルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。更に両性界面活性剤としては、ジメチルアルキルラウリルベタイン、アルキルグリシン、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。又、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。
水不溶性の顔料を有機高分子類で被覆してマイクロカプセル化する方法としては、従来公知のすべての方法を用いることが可能である。従来公知の方法として、化学的製法、物理的製法、物理化学的方法、機械的製法などが挙げられる。具体的には、以下の方法が挙げられる。
(1)界面重合法(2種のモノマーもしくは2種の反応物を、分散相と連続相に別々に溶解しておき、両者の界面において両物質を反応させて壁膜を形成させる方法)
(2)in−situ重合法(液体又は気体のモノマーと触媒、もしくは反応性の物質2種を連続相核粒子側のどちらか一方から供給して反応を起こさせ壁膜を形成させる方法)
(3)液中硬化被膜法(芯物質粒子を含む高分子溶液の滴を硬化剤などにより、液中で不溶化して壁膜を形成する方法)
(4)コアセルベーション(相分離)法(芯物質粒子を分散している高分子分散液を、高分子濃度の高いコアセルベート(濃厚相)と希薄相に分離させ、壁膜を形成させる方法)
(5)液中乾燥法(芯物質を壁膜物質の溶液に分散した液を調製し、この分散液の連続相が混和しない液中に分散液を入れて、複合エマルションとし、壁膜物質を溶解している媒質を徐々に除くことで壁膜を形成させる方法)
(6)融解分散冷却法(加熱すると液状に溶融し常温では固化する壁膜物質を利用し、この物質を加熱液化し、その中に芯物質粒子を分散し、それを微細な粒子にして冷却し壁膜を形成させる方法)
(7)気中懸濁被覆法(粉体の芯物質粒子を流動床によって気中に懸濁し、気流中に浮遊させながら、壁膜物質のコーティング液を噴霧混合させて、壁膜を形成させる方法)
(8)スプレードライング法(カプセル化原液を噴霧してこれを熱風と接触させ、揮発分を蒸発乾燥させ壁膜を形成させる方法)
(9)酸析法(アニオン性基を含有する有機高分子化合物類のアニオン性基の少なくとも一部を塩基性化合物で中和することで水に対する溶解性を付与し色材と共に水性媒体中で混練した後、酸性化合物で中性又は酸性にし、有機化合物類を析出させ色材に固着せしめた後に中和し分散させる方法)
(10)転相乳化法(水に対して分散能を有するアニオン性有機高分子類と色材とを含有する混合体を有機溶媒相とし、前記有機溶媒相に水を投入するかもしくは、水に前記有機溶媒相を投入する方法)
これらの中ではカルボン酸基又はスルホン酸基などのアニオン性基を有する有機高分子類を使用することが可能である。また、ノニオン性有機高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート又はそれらの(共)重合体)、2−オキサゾリンのカチオン開環重合体などが挙げられる。特に、ポリビニルアルコールの完全ケン物は、水溶性が低く、熱水には解け易いが冷水には解けにくいという性質を有しており特に好ましい。
なお、マイクロカプセル化の方法によって、それに適した有機高分子類を選択することが好ましい。例えば、界面重合法による場合は、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリビニルピロリドン、エポキシ樹脂などが適している。in−situ重合法による場合には、(メタ)アクリル酸エステルの重合体又は共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミドなどが適している。液中硬化法による場合には、アルギン酸ソーダ、ポリビニルアルコール、ゼラチン、アルブミン、エポキシ樹脂などが適している。コアセルベーション法による場合には、ゼラチン、セルロース類、カゼインなどが適している。また、微細で、かつ均一なマイクロカプセル化顔料を得るためには、前記以外にも従来公知のカプセル化法すべてを利用することが可能である。
マイクロカプセル化の方法として転相法又は酸析法を選択する場合には、マイクロカプセルの壁膜物質を構成する有機高分子類としては、アニオン性有機高分子類を使用する。転相法は、水に対して自己分散能又は溶解能を有するアニオン性有機高分子類と、自己分散性有機顔料又は自己分散型カーボンブラックなどの色材との複合物又は複合体、あるいは自己分散性有機顔料又は自己分散型カーボンブラックなどの色材、硬化剤及びアニオン性有機高分子類との混合体を有機溶媒相とし、該有機溶媒相に水を投入するか、あるいは水中に該有機溶媒相を投入して、自己分散(転相乳化)化しながらマイクロカプセル化する方法である。上記転相法において、有機溶媒相中に、インク用のビヒクルや添加剤を混入させて製造しても問題はない。特に、直接インク用の分散液を製造できることからいえば、インクの液媒体を混入させる方がより好ましい。
また、上記に挙げたようなマイクロカプセル化の際に用いられる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルキルアルコール類;ベンゾール、トルオール、キシロールなどの芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;クロロホルム、二塩化エチレンなどの塩素化炭化水素類;アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類などが挙げられる。なお、上記の方法により調製したマイクロカプセルを遠心分離又は濾過などによりこれらの溶剤中から一度分離して、これを水及び必要な溶剤とともに撹拌、再分散を行い、目的とするインクが得られる。以上の方法で得られるカプセル化顔料の平均粒径は50〜180nmが好ましい。
このように樹脂被覆することによって顔料が記録媒体にしっかりと付着することにより、インク記録物の擦過性を向上させることができる。
前記染料としては、カラーインデックスにおいて酸性染料、直接性染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料に分類される染料で耐水性、耐光性が優れたものが用いられる。これら染料は複数種類を混合して用いてもよいし、必要に応じて顔料等のその他の色材と混合して用いてもよい。
(a)酸性染料及び食用染料としては、例えばC.I.アシッド・イエロー17,23,42,44,79,142;C.I.アシッド・レッド1,8,13,14,18,26,27,35,37,42,52,82,87,89,92,97,106,111,114,115,134,186,249,254,289;C.I.アシッド・ブルー9,29,45,92,249;C.I.アシッド・ブラック1,2,7,24,26,94;C.I.フード・イエロー3,4;C.I.フード・レッド7,9,14;C.I.フード・ブラック1,2などが挙げられる。
(b)直接染料としては、例えばC.I.ダイレクト・イエロー1,12,24,26,33,44,50,86,120,132,142,144;C.I.ダイレクト・レッド1,4,9,13,17,20,28,31,39,80,81,83,89,225,227;C.I.ダイレクト・オレンジ26,29,62,102;C.I.ダイレクト・ブルー1,2,6,15,22,25,71,76,79,86,87,90,98,163,165,199,202;C.I.ダイレクト・ブラック19,22,32,38,51,56,71,74,75,77,154,168,171などが挙げられる。
(c)塩基性染料としては、例えばC.I.ベーシック・イエロー1,2,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,40,41,45,49,51,53,63,64,65,67,70,73,77,87,91;C.I.ベーシック・レッド2,12,13,14,15,18,22,23,24,27,29,35,36,38,39,46,49,51,52,54,59,68,69,70,73,78,82,102,104,109,112;C.I.ベーシック・ブルー1,3,5,7,9,21,22,26,35,41,45,47,54,62,65,66,67,69,75,77,78,89,92,93,105,117,120,122,124,129,137,141,147,155;C.I.ベーシック・ブラック2,8などが挙げられる。
(d)反応性染料としては、例えばC.I.リアクティブ・ブラック3,4,7,11,12,17;C.I.リアクティブ・イエロー1,5,11,13,14,20,21,22,25,40,47,51,55,65,67;C.I.リアクティブ・レッド1,14,17,25,26,32,37,44,46,55,60,66,74,79,96,97;C.I.リアクティブ・ブルー1,2,7,14,15,23,32,35,38,41,63,80,95などが挙げられる。
前記水分散性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水分散性樹脂の添加量を多くできる点から樹脂微粒子が好ましい。
前記樹脂微粒子は、連続相としての水中に分散した樹脂エマルジョンとして存在しているものがインク製造時に使用される。樹脂エマルジョン中には必要に応じて界面活性剤のような分散剤を含有しても構わない。
前記分散相成分としての樹脂微粒子の含有量(樹脂エマルジョン溶液中の樹脂微粒子の含有量:製造後のインク中の含有量ではない)は、一般的には10〜70質量%が好ましい。
また、前記樹脂微粒子の粒径は、特にインクジェット記録装置に使用することを考慮すると、体積平均粒径10〜1,000nmが好ましく、100〜300nmがより好ましい。この体積平均粒径は樹脂エマルジョン中での粒径であるが、安定なインクの場合、樹脂エマルジョン中の粒径とインク中の樹脂微粒子粒径には大きな違いはない。前記体積平均粒径が大きいほどエマルジョンの添加量を多くすることができる。前記体積平均粒径が10nm未満であると、エマルジョンの添加量を多くすることができないことがあり、1,000nmを超えると、信頼性が低下することがある。ただし、必ずしもこれ以外の範囲の粒径のエマルジョンでも使用できないことはない。これらはエマルジョン種によらず一般的傾向である。
ここで、前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(マイクロトラック MODEL UPA9340、日機装株式会社製)を用いて測定することができる。具体的には、エマルジョン水溶液を信号レベルの最適範囲内に希釈し、transparency-YES,仮にReflactive Index1.49, Partial Density1.19,Spherical Particles-YES,媒体-水の条件で測定する。ここでは、50%の値を体積平均粒径とした。
前記樹脂エマルジョンとしては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
該市販の樹脂エマルジョンとしては、例えば、マイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE−1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学株式会社製
)、プライマルAC−22、AC−61(アクリル系樹脂エマルジョン、ローム・アンド・ハース社製)、ナノクリルSBCX−2821、3689(アクリルシリコーン系樹脂エマルジョン、東洋インキ製造株式会社製)、#3070(メタクリル酸メチル重合体樹脂エマルジョン、御国色素株式会社製)などが挙げられる。これらの中でも、定着性が良好である点からアクリルシリコーンエマルジョンが特に好ましい。
前記ガラス転移温度は、例えば、示差走査熱量計(理学電気株式会社製)を用いて測定することができる。
具体的には、樹脂エマルジョン水溶液の常温乾燥膜の樹脂片を示差走査熱量計で−50℃付近より昇温し、段差が発生する温度により求めることができる。
前記湿潤剤は、乾燥による記録ヘッドのノズルの詰まりを防止することを目的として添加される。該湿潤剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオール化合物、ラクタム化合物、尿素化合物及び糖類から選択される少なくとも1種が好適である。
これらの中でも、溶解性と水分蒸発による噴射特性不良の防止に対して優れた効果が得られる点から、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、テトラエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドンが好適である。
前記尿素化合物としては、例えば、尿素、チオ尿素、エチレン尿素及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンから選択される少なくとも1種が挙げられる。前記尿素類の前記インクへの添加量は、一般的に0.5〜50質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。
前記多糖類とは、広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることができる。
前記糖類の誘導体としては、前記糖類の還元糖(例えば、糖アルコール〔ただし、一般式:HOCH2(CHOH)nCH2OH(ただし、nは2〜5の整数を表す)で表される〕、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸などが挙げられる。これらの中でも、糖アルコールが特に好ましい。該糖アルコールとしては、例えば、マルチトール、ソルビット、などが挙げられる。
前記浸透剤としては、炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物のいずれかが用いられる。
前記ポリオール化合物の炭素数が8未満であると、十分な浸透性が得られず、両面印刷時に記録用メディアを汚したり、記録用メディア上でのインクの広がりが不十分で画素の埋まりが悪くなるため、文字品位や画像濃度の低下が生じることがある。
前記炭素数8以上のポリオール化合物としては、例えば、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(溶解度:4.2%(25℃))、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール(溶解度:2.0%(25℃))、などが好適である。
前記グリコールエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、着色剤の種類や湿潤剤、浸透剤などの組合せによって、分散安定性を損なわない界面活性剤の中から目的に応じて適宜選択することができるが、特に、印刷用紙に印刷する場合には、表面張力が低く、レベリング性の高いものが好ましく、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤から選択される少なくとも1種が好適である。これらの中でも、フッ素系界面活性剤が特に好ましい。
前記フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物、などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少なく、特に好ましい。
前記パーフルオロアルキルカルボン化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルリン酸エステルの塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩、などが挙げられる。
これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3などが挙げられる。
該市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも旭硝子株式会社製)、フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも住友スリーエム株式会社製)、メガファックF−470、F1405、F−474(いずれも大日本インキ化学工業株式会社製)、Zonyl TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR(いずれもDuPont社製)、FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも株式会社ネオス社製)、PF−151N(オムノバ社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する均染性が著しく向上する点から株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW及びオムノバ社製のPF−151Nが特に好ましい。
前記フッ素系界面活性剤の具体例としては、下記構造式で表されるものが好適である。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
該市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越シリコーン株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社などから容易に入手できる。
前記アセチレングリコール系の界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。該アセチレングリコール系界面活性剤は、市販品として、例えば、エアープロダクツ社(米国)のサーフィノール104、82、465、485、TGなどが挙げられる。
このような界面活性剤は、市販品として日光ケミカルズ株式会社、日本エマルジョン株式会社、日本触媒株式会社、東邦化学株式会社、花王株式会社、アデカ株式会社、ライオン株式会社、青木油脂株式会社、三洋化成工業株式会社などから容易に入手できる。
前記界面活性剤は、これらに限定されるものではなく、単独で用いても、複数のものを混合して用いてもよい。単独ではインク中で容易に溶解しない場合も、混合することで可溶化され、安定に存在することができる。
R1−O−(CH2CH2O)h−R2 ・・・構造式(1)
ただし、前記構造式(1)中、R1は、炭素数6〜14の分岐していてもよいアルキル基、又は炭素数6〜14の分岐していてもよいパーフルオロアルキル基を表す。R2は、水素原子、又は分岐していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。hは、5〜20の整数を表す。
ただし、前記構造式(2)中、R1は、炭素数6〜14の分岐していてもよいアルキル基を表す。R2は、水素原子、又は分岐していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。hは、5〜20の整数を表す。
前記含有量が0.01質量%未満であると、界面活性剤を添加した効果が無くなることがあり、3.0質量%を超えると、記録媒体への浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度の低下や裏抜けが発生することがある。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができ、例えば、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤、などが挙げられる。
前記フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)としては、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトライキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、などが挙げられる。
前記アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチル−フェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ジヒドロキフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、などが挙げられる。
前記硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルβ,β’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイド等が挙げられる。
前記リン系酸化防止剤としては、トリフェニルフォスファイト、オクタデシルフォスファイト、トリイソデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファイト、等が挙げられる。
前記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、等が挙げられる。
前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−4'−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、等が挙げられる。
前記サリチレート系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリチレート、p−tert−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート、等が挙げられる。
前記シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、エチル−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、ブチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、等が挙げられる。
前記ニッケル錯塩系紫外線吸収剤としては、例えば、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−n−ブチルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)トリエタノールアミンニッケル(II)、等が挙げられる。
前記粘度は、25℃で、1.0〜20mPa・sが好ましく、吐出安定性の観点から3.0〜10.0mPa・sがより好ましい。
前記表面張力としては、25℃で、40mN/m以下が好ましく、17〜40mN/mがより好ましい。前記表面張力が、40mN/m以下であれば、ほとんどの記録用メディアに対しても速やかな定着が可能になる。
前記pHとしては、例えば、3〜11が好ましく、接液する金属部材の腐食防止の観点から6〜10がより好ましい。
前記記録用メディアは、支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に塗工層を有してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
前記接触時間100msでの純水の転移量が少なすぎると、ビーディングが発生しやすくなることがあり、多すぎると、記録後のインクドット径が所望の径よりも小さくなりすぎることがある。
動的走査吸液計で測定した接触時間400msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量は、3〜40ml/m2であり、3〜10ml/m2が好ましい。
前記接触時間400msでの純水の転移量が少なすぎると、乾燥性が不十分であるため、拍車痕が発生しやすくなることがあり、多すぎると、乾燥後の画像部の光沢が低くなりやすくなることがある。
ここで、前記臨界表面張力(γc)は、JIS−K6768、1999「プラスチック−フィルム及びシート−濡れ張力試験方法」に準拠した種々の表面張力の濡れ張力試験液(例えばエチレングリコールモノエチルエーテルとホルムアミドとの混合液)の4マイクロリットル(μl)の液滴をメディア印字面に滴下した後、0.5秒間経過したときの各液滴の接触角を動画取り込みによる接触角測定装置(データフィジックス社製、OCA)を用いて測定し、その接触角からZisman Plotを作成して求めることができる。
前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、木材繊維主体の紙、木材繊維及び合成繊維を主体とした不織布のようなシート状物質などが挙げられる。
(1)離解は、古紙をパルパーにて機械力と薬品で処理して繊維状にほぐし、印刷インキを繊維より剥離する。
(2)除塵は、古紙に含まれる異物(プラスチックなど)及びゴミをスクリーン、クリーナー等により除去する。
(3)脱墨は、繊維より界面活性剤を用いて剥離された印刷インキをフローテーション法、又は洗浄法で系外に除去する。
(4)漂白は、酸化作用や還元作用を用いて、繊維の白色度を高める。
前記古紙パルプを混合する場合、全パルプ中の古紙パルプの混合比率は、記録後のカール対策から40%以下が好ましい。
前記塗工層は、顔料及びバインダー(結着剤)を含有してなり、更に必要に応じて、界面活性剤、その他の成分を含有してなる。
前記無機顔料としては、例えば、カオリン、タルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、非晶質シリカ、チタンホワイト、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クロライトなどが挙げられる。これらの中でも、カオリンは光沢発現性に優れており、オフセット印刷用の用紙に近い風合いとすることができる点から特に好ましい。
前記カオリンには、デラミネーテッドカオリン、焼成カオリン、表面改質等によるエンジニアードカオリン等があるが、光沢発現性を考慮すると、粒子径が2μm以下の割合が80質量%以上の粒子径分布を有するカオリンが、カオリン全体の50質量%以上を占めていることが好ましい。
前記カオリンの添加量は、前記バインダー100質量部に対し50質量部以上が好ましい。前記添加量が50質量部未満であると、光沢度において十分な効果が得られないことがある。前記添加量の上限は特に制限はないが、カオリンの流動性、特に高せん断力下での増粘性を考慮すると、塗工適性の点から、90質量部以下がより好ましい。
前記有機顔料の添加量は、前記塗工層の全顔料100質量部に対し2〜20質量部が好ましい。前記有機顔料は、光沢発現性に優れていることと、その比重が無機顔料と比べて小さいことから、嵩高く、高光沢で、表面被覆性の良好な塗工層を得ることができる。前記添加量が2質量部未満であると、前記効果がなく、20質量部を超えると、塗工液の流動性が悪化し、塗工操業性の低下に繋がることと、コスト面からも経済的ではない。
前記有機顔料には、その形態において、密実型、中空型、ドーナツ型等があるが、光沢発現性、表面被覆性及び塗工液の流動性のバランスを鑑み、平均粒子径は0.2〜3.0μmが好ましく、より好ましくは空隙率40%以上の中空型が採用される。
前記水性樹脂としては、水溶性樹脂及び水分散性樹脂の少なくともいずれかを好適に用いられる。前記水溶性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アセタール変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコールの変性物;ポリウレタン;ポリビニルピロリドン及びポリビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体、ビニルピロリドンとジメチルアミノエチル・メタクリル酸の共重合体、四級化したビニルピロリドンとジメチルアミノエチル・メタクリル酸の共重合体、ビニルピロリドンとメタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウムの共重合体等のポリビニルピロリドンの変性物;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等セルロース;カチオン化ヒドロキシエチルセルロース等のセルロースの変性物;ポリエステル、ポリアクリル酸(エステル)、メラミン樹脂、又はこれらの変性物、ポリエステルとポリウレタンの共重合体等の合成樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、自家変性澱粉、カチオン化澱粉、又は各種変性澱粉、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ソーダ、アルギン酸ソーダ、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、インク吸収性の観点から、ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アセタール変性ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエステルとポリウレタンの共重合体、などが特に好ましい。
前記水性樹脂の添加量は、前記顔料100質量部に対し、2〜100質量部が好ましく、3〜50質量部がより好ましい。前記水性樹脂の添加量は記録用メディアの吸液特性が所望の範囲に入るように決定される。
これらの中でも、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物、ポリアリルアミン塩酸塩等の低分子量のカチオン性有機化合物と他の比較的高分子量のカチオン性有機化合物、例えば、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)等とを組み合わせて使用するのが好ましい。併用により、単独使用の場合よりも画像濃度を向上させ、フェザリングが更に低減される。
ここで、前記コロイド滴定法によるカチオン当量の測定に当たっては、カチオン性有機化合物を固形分0.1質量%となるように蒸留水で希釈し、pH調整は行わないものとする。
前記多価アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリット、ソルビトール、ショ糖などが挙げられる。また、エチレンオキサイド付加物については、水溶性を維持できる範囲で、エチレンオキサイドの一部をプロピレンオキサイドあるいはブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドに置換したものも有効である。置換率は50%以下が好ましい。前記非イオン活性剤のHLB(親水性/親油性比)は4〜15が好ましく、7〜13がより好ましい。
前記塗工層液の付着量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、固形分で、0.5〜20g/m2が好ましく、1〜15g/m2がより好ましい。
前記含浸又は塗布の後、必要に応じて乾燥させてもよく、この場合の乾燥の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100〜250℃程度が好ましい。
前記記録用メディアは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばインクジェット記録用メディアの他、市販のオフセット印刷用コート紙、グラビア印刷用コート紙などであってもよい。
前記前処理液は、インクジェット記録時に記録用メディアの記録面に付与され、インクの分散性及び溶解性の少なくともいずれかを低下させるインク定着助剤を固形分で10〜80質量%含有し、かつ25℃における粘度が100〜10,000mPa・sである。
現在、一般的に用いられている水性のインクには、アニオン性化合物又は、負に帯電した粒子が含まれている場合が大多数である。従って、インクに含有されるアニオン性染料、アニオン性顔料、アニオン性高分子化合物、アニオン性エマルジョンなどのアニオン性化合物又は、負に帯電した粒子と反応して、インクの分散性及び溶解性の少なくともいずれかを低下させるインク定着助剤として、前処理液には、カチオン性化合物を含有することが好ましい。カチオン性の化合物の中でも、カチオン性ポリマーが、特にインク中のアニオン性の化合物や負に帯電した粒子と反応する能力が高く、好ましい。
前記前処理液において、インクの溶解性又は分散性を低下させるインク定着助剤としては、カチオン性ポリマーが、下記構造式(1)から(20)で表されるポリマーから選択される少なくとも1種であることが好ましい。
ここで、前記カチオン度は、ポリビニル硫酸カリウム試薬を用いたコロイド滴定により求められる。具体的には、以下の手順にて求めることができる。まず、コニカルビーカーに脱イオン水90mlをとり、試料(乾品換算)の500ppm水溶液を10ml加えて塩酸水溶液でpH4.0とし、約1分間攪拌する。次に、トルイジンブルー指示薬を2〜3滴加え、N/400ポリビニル硫酸カリウム試薬(N/400PVSK)で滴定する。滴定速度は、2ml/分とし、検水が青から赤紫色に変色して10秒間以上保持する時点を終点とする。カチオン度(meq/g)=(N/400PVSK滴定量)×(N/400PVSKの力価)/2により求めることができる。
前記カチオン度が高いものほど、カチオン性が強く、インク中のアニオン性成分と効率よく反応することができ、よって、前処理液の必要量を低減でき、記録媒体のカールやコックリングを起こさずに、高画質の画像を得ることが可能になる。前記カチオン性ポリマーは1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
ただし、カチオン性シリカを用いる場合においても、カチオン性シリカ単独では、カチオン性樹脂エマルジョンと同様に、前処理液中のカチオン濃度が低くなりがちであり、画像品質を十分に高めるためには、水溶性カチオン性ポリマーや、高級アルキル基を有するカチオン性界面活性剤等、他のカチオン化合物と併有して用いることが好ましい。前処理液にカチオン性シリカを添加することにより、水溶性を有するカチオン性ポリマーを単独で用いた場合に比較して、画像印字直後のべたつき感を低減できる。
前記防腐防かび剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(アビシャ社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL)などが挙げられる。
本発明のインクカートリッジは、本発明の前記インクメディアセットにおけるインクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材などを有してなる。
本発明の前処理液カートリッジは、本発明の前記インクメディアセットにおける前処理液を容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材などを有してなる。
形成されたインク袋などを少なくとも有するもの、などが好適に挙げられる。
インクカートリッジ及び前処理液カートリッジは、図5に示すように、インク注入口242からインク袋241内に充填され、排気した後、該インク注入口242は融着により閉じられる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口243に装置本体の針を刺して装置に供給される。
インク袋241は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。このインク袋241は、図6に示すように、通常、プラスチックス製のカートリッジケース244内に収容され、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いられるようになっている。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明の前記インクメディアセットを用い、記録用メディアの記録面に前処理液を付与する工程と、前処理液が乾燥する前に、インクに画像信号にしたがって刺激を印加し、該インクを飛翔させて記録メディアに画像を記録する工程とを含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程を含んでなる。
本発明のインクジェット記録装置は、本発明の前記インクメディアセットを用い、記録用メディアの記録面に前処理液を付与する手段と、前処理液が乾燥する前に、インクに画像信号にしたがって刺激を印加し、該インクを飛翔させて記録メディアに画像を記録する手段とを有し、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段を有してなる。
前記前処理液の付着量は、記録用メディアの記録面に固形分で0.5〜10g/m2であることが好ましい。これにより記録媒体のカールをよりよく抑えることができる。前記付着量が0.5g/m2未満であると、画質改善効果が不十分であり、10g/m2より多いと、記録媒体がカールやコックリングを生じ、また付着量が多すぎるため裏抜け濃度が増大する。
前記インク飛翔手段は、本発明のインクメディアセットにおけるインクに、刺激を印加し、該インクを飛翔させて画像を形成する手段である。該インク飛翔手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、各種の記録ヘッド(インク吐出ヘッド)が挙げられ、特に複数のノズル列を有するヘッドと、液体保管用タンクから供給される液体を収容して前記ヘッドに液体を供給するサブタンクとを有するものが好ましい。
前記サブタンクは、該サブタンク内に負圧を発生するための負圧発生手段と、該サブタンク内を大気開放するための大気開放手段と、電気抵抗の差によりインクの有無を検知する検知手段とを有するものが好ましい。
ピエゾ素子に電圧を印加してインクを飛翔させる方法が好ましい。ピエゾ方式は発熱しないため、樹脂を含有するインクを飛翔させるのに有利であり、特に湿潤剤の含有量の少ないインクを用いた場合にノズル詰まりが少ない有効な方法である。
また、ノズル抜けを防止するため、ピエゾ素子にインクを吐き出さない強さの電圧を印加して空スキャンを行うことが好ましい。更に、1ページ印刷分の空スキャンに達する前に、インク溜め部にインクを吐き出す動作を行うことが好ましい。
キャリッジ133には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個のインクジェット記録用ヘッドからなる記録ヘッド134を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド134を構成するインクジェット記録用ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどインクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。
一方、給紙トレイ102の用紙積載部(圧板)141上に積載した用紙142を給紙するための給紙部として、用紙積載部141から用紙142を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ143)、及び給紙コロ143に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド144を備え、この分離パッド144は給紙コロ143側に付勢されている。
この給紙部から給紙された用紙142を記録ヘッド134の下方側で搬送するための搬送部として、用紙142を静電吸着して搬送するための搬送ベルト151と、給紙部からガイド145を介して送られる用紙142を搬送ベルト151との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ152と、略鉛直上方に送られる用紙142を略90°方向転換させて搬送ベルト151上に倣わせるための搬送ガイド153と、押さえ部材154で搬送ベルト151側に付勢された先端加圧コロ155とが備えられる。また、搬送ベルト151表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ156が備えられている。
搬送ベルト151は、無端状ベルトであり、搬送ローラ157とテンションローラ158との間に張架されて、ベルト搬送方向に周回可能である。この搬送ベルト151は、例えば、抵抗制御を行っていない厚さ40μm程度の樹脂材、例えば、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体(ETFE)で形成した用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(中抵抗層、アース層)とを有している。搬送ベルト151の裏側には、記録ヘッド134による印写領域に対応してガイド部材161が配置されている。なお、記録ヘッド134で記録された用紙142を排紙するための排紙部として、搬送ベルト151から用紙142を分離するための分離爪171と、排紙ローラ172及び排紙コロ173とが備えられており、排紙ローラ172の下方に排紙トレイ103が配されている。
このインクジェット記録装置においては、給紙部から用紙142が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙142は、ガイド145で案内され、搬送ベルト151とカウンタローラ152との間に挟まれて搬送される。更に先端を搬送ガイド153で案内されて先端加圧コロ155で搬送ベルト151に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、帯電ローラ156によって搬送ベルト157が帯電されており、用紙142は、搬送ベルト151に静電吸着されて搬送される。そこで、キャリッジ133を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド134を駆動することにより、停止している用紙142にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙142を所定量搬送後、次行の記録を行う。記録終了信号又は用紙142の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙142を排紙トレイ103に排紙する。
そして、サブタンク135内のインクの残量ニアーエンドが検知されると、インクカートリッジ201から所要量のインクがサブタンク135に補給される。
本発明のインクジェット記録方法により記録されたインク記録物は、本発明のインク記録物である。本発明のインク記録物は、記録用メディア上に本発明のインクメディアセットにおけるインクを用いて形成された画像を有してなる。
前記記録用メディアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、普通紙、印刷用塗工紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、普通紙及び印刷用塗工紙の少なくともいずれかが好ましい。
前記普通紙は安価である点で有利である。また、前記印刷用塗工紙は光沢紙に比べ比較的安価でしかも平滑な光沢ある画像を与える点で有利である。しかし、乾燥性が悪く一般にインクジェット用には使用困難であったが、本発明のインクにより乾燥性が向上し使用可能となった。
前記インク記録物は、高画質で滲みがなく、経時安定性に優れ、各種の印字乃至画像の記録された資料等として各種用途に好適に使用することができる。
−シアンインクの作製−
下記処方のインク組成物を調製し、pHを調整した後、平均孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、インクを作製した。
<シアンインク組成>
・C.I.アシッドブルー9・・・4質量%
・アクリルシリコーンエマルジョン〔固形分40質量%、残り水、体積平均粒径150nm、樹脂成分のガラス転移温度−15℃(示差熱立ち上がり)〜−6℃(変曲点)〕・・・60質量%
・湿潤剤としてのグリセリン・・・6質量%
・湿潤剤としての1,3−ブタンジオール・・・18質量%
・浸透剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・2質量%
・フッ素系界面活性剤(フッ素置換炭素数4〜16)・・・2.5質量%
・防腐防カビ剤・・・0.05質量%
・アミン系有機pH調整剤・・・1.1質量%
・シリコーンエマルジョン系消泡剤・・・0.1質量%
・水・・・残部
得られたインク中の着色剤及び水分散性樹脂の合計含有量は28質量%であり、着色剤及び水分散性樹脂の合計含有量に対する水分散性樹脂の含有量は86質量%であった。
−マゼンタインクの作製−
下記処方のインク組成物を調製し、pHを調整した後、平均孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、インクを作製した。
<マゼンタインク組成>
・C.I.アシッドレッド52・・・4質量%
・アクリルシリコーンエマルジョン〔固形分40質量%、残り水、体積平均粒径150nm、樹脂成分のガラス転移温度−15℃(示差熱立ち上がり)〜−6℃(変曲点)〕・・・60質量%
・湿潤剤としてのグリセリン・・・6質量%
・湿潤剤としての1,3−ブタンジオール・・・18質量%
・浸透剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・2質量%
・フッ素系界面活性剤(フッ素置換炭素数4〜16)・・・2.5質量%
・防腐防カビ剤・・・0.05質量%
・アミン系有機pH調整剤・・・1.1質量%
・シリコーンエマルジョン系消泡剤・・・0.1質量%
・水・・・残部
得られたインク中の着色剤及び水分散性樹脂の合計含有量は28質量%であり、着色剤及び水分散性樹脂の合計含有量に対する水分散性樹脂の含有量は86質量%であった。
−イエローインクの作製−
下記処方のインク組成物を調製し、pHを調整した後、平均孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、インクを作製した。
<イエローインク組成>
・C.I.アシッドイエロー23・・・2質量%
・アクリルシリコーンエマルジョン〔固形分40質量%、残り水、体積平均粒径150nm、樹脂成分のガラス転移温度−15℃(示差熱立ち上がり)〜−6℃(変曲点)〕・・・30質量%
・湿潤剤としてのグリセリン・・・6質量%
・湿潤剤としての1,3−ブタンジオール・・・18質量%
・浸透剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・2質量%
・フッ素系界面活性剤(フッ素置換炭素数4〜16)・・・2.5質量%
・防腐防カビ剤・・・0.05質量%
・アミン系有機pH調整剤・・・1.1質量%
・シリコーンエマルジョン系消泡剤・・・0.1質量%
・水・・・残部
得られたインク中の着色剤及び水分散性樹脂の合計含有量は14質量%であり、着色剤及び水分散性樹脂の合計含有量に対する水分散性樹脂の含有量は86質量%であった。
−ブラックインクの作製−
下記処方のインク組成物を調製し、pHを調整した後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、インクを作製した。
<ブラックインク組成>
・親水基を有するカーボンブラック分散液(固形分20質量%、残りは水、固形分中の着色剤/樹脂(質量比)=10/0)・・・30質量%
・アクリルシリコーンエマルジョン〔固形分40質量%、残り水、体積平均粒径150nm、樹脂成分のガラス転移温度−15℃(示差熱立ち上がり)〜−6℃(変曲点)〕・・・45質量%
・湿潤剤としての1,3−ブタンジオール・・・2質量%
・湿潤剤としての2−ピロリドン・・・2質量%
・浸透剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・2質量%
・フッ素系界面活性剤(フッ素置換炭素数4〜16)・・・1質量%
・防腐防カビ剤・・・0.05質量%
・安定剤・・・0.0005質量%
・有機pH調整剤(2種)・・・0.65質量%
・シリコーンエマルジョン系消泡剤・・・0.1質量%
・水・・・残部
得られたインク中の着色剤及び水分散性樹脂の合計含有量は24質量%であり、着色剤及び水分散性樹脂の合計含有量に対する水分散性樹脂の含有量は75質量%であった。
pHは、pHメーター(MODEL HM3A、東亜電波工業株式会社製)使用して、23℃で測定した。
粘度は、RE500形粘度計(東機産業株式会社製)を用いて、コーン34×R24、180rpm、3分間後の条件により、25℃で測定した。
表面張力は、表面張力測定装置(協和界面科学株式会社製、CBVP−Z)を用い、白金プレートを使用して25℃で測定した静的表面張力である。
<前処理液1の調製>
下記組成を混合し、攪拌させて記録用メディアの前処理液1を作製し、pHが7になるようにトリエタノールアミンで調整した。
[前処理液1の組成]
・下記構造式(2)で表されるカチオン性ポリマー(ジシアンジアミド樹脂、質量平均分子量7,000)・・・25質量%
・下記構造式で表されるカチオン性モノマー化合物C−1(対イオンは塩素イオン)・・・2質量%
・エチレングリコール・・・30質量%
・安息香酸ナトリウム・・・1質量%
・イオン交換水・・・残量
得られた前処理液1の粘度を東京計器株式会社製のB型回転粘度計で測定したところ、1,270mPa・s(25℃)であった。
<前処理液2の調製>
下記組成を混合し、攪拌させて記録用メディアの前処理液2を作製し、pHが7になるようにトリエタノールアミンで調整した。
[前処理液2の組成]
・下記構造式で表されるカチオン性ポリマー・・・15質量%
・下記構造式で表されるカチオン性モノマー化合物C−3(対イオンは塩素イオン)・・・3質量%
・N−メチル−2−ピロリドン・・・20質量%
・1,6−ヘキサンジオール・・・15質量%
・デヒドロ酢酸ナトリウム・・・1質量%
得られた前処理液2の粘度を東京計器株式会社製のB型回転粘度計で測定したところ、850mPa・s(25℃)であった。
市販のグロス紙(王子製紙株式会社製、PODグロスコート100g/m2紙)
前記記録用紙1について、動的走査吸液計(型式:KS350D、協和精工株式会社製)を用いて、純水の吸収曲線を測定した。吸収曲線は転移量(mL/m2)と接触時間の平方根√(ms)でプロットして一定の傾きを持つ直線とし、内挿により一定時間後の転移量の値を測定した。
臨界表面張力(γc)は、JIS−K6768、1999「プラスチック−フィルム及びシート−濡れ張力試験方法」に準拠した種々の表面張力の濡れ張力試験液(エチレングリコールモノエチルエーテルとホルムアミドとの混合液)の4マイクロリットル(μl)の液滴をメディア印字面に滴下した後、0.5秒間経過したときの各液滴の接触角を動画取り込みによる接触角測定装置(データフィジックス社製、OCA)を用いて測定し、その接触角からZisman Plotを作成して求めた。
前処理液1及び2を図1に示す画像記録装置の前処理液容器42に充填し、線速度85mm/sの速度で記録用紙1に付与したところ、2.8〜3.2g/m2の付着量であった。
−インクセット、記録用メディア、前処理液、及び画像記録−
製造例1のシアンインク、製造例2のマゼンタインク、製造例3のイエローインク、及び製造例4のブラックインクからなるインクセット1を常法により調製した。
得られたインクセット1と、記録用メディアとして記録用紙1とを用い、上記の通り前処理液1を付与した後、インクジェットプリンタ(株式会社リコー製、G707)にて印写を行った。
その結果、印字後1分間以内で擦っても殆ど色汚れがしない、乾燥時間に殆ど問題のない画像が得られた。また、得られた画像は画像濃度が高く、鮮明で印刷物に近い画像であった。
なお、記録用紙1の代わりに普通紙(株式会社リコー製、T6200紙)を用いたところ、裏抜けのない、画像濃度の高い、普通紙にもかかわらず、発色のよい滲みのない画像が得られた。
−インクセット、記録用メディア、前処理液、及び画像記録−
実施例1において、前処理液として前処理液2を用いた以外は、実施例1と同様にして、印写を行った。その結果、印字後1分間以内で擦っても殆ど色汚れがしない、乾燥時間に殆ど問題のない画像が得られた。また、得られた画像は画像濃度が高く、鮮明で印刷物に近い画像であった。
実施例1において、記録用メディアに前処理液1を付与しない以外は、実施例1と同様にして、印写を行った。その結果、インクの着色剤が塗工層中に沈み、画像濃度が低く、不鮮明な画像が得られた。
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに特に好適に適用することができる。
2 膜厚制御ローラ
3 汲み上げローラ
4 塗布ローラ
5 カウンタローラ
6 用紙
7 給紙ローラ
8 給紙トレイ
11、12、14、13、15、16 用紙送りローラ
17 用紙
18 給紙ローラ
20 記録ヘッド
21 インクカートリッジ
22 キャリッジ軸
23 キャリッジ
31 用紙ガイド
33 用紙送りローラ
34 用紙戻しガイド
42 前処理液容器
10 フレーム
20 流路板
30 ノズルプレート
40 ベース
50 積層圧電素子
60 振動板
70 接着層
101 装置本体
102 給紙トレイ
103 排紙トレイ
104 インクカートリッジ装填部
111 上カバー
112 前面
115 前カバー
131 ガイドロッド
132 ステー
133 キャリッジ
134 記録ヘッド
135 サブタンク
141 用紙載置部
142 用紙
144 分離パッド
151 搬送ベルト
152 再度カウンタローラ
156 帯電ローラ
157 搬送ローラ
158 デンションローラ
171 分離爪
172 排紙ローラ
173 排紙コロ
181 両面給紙ユニット
201 インクカートリッジ
241 インク袋
242 インク注入口
243 インク排出口
244 カートリッジ外装
Claims (23)
- 少なくとも着色剤、水分散性樹脂、及び水を含有するインクと、
支持体と、該支持体上に少なくとも塗工層とを有する記録用メディアと、
インクジェット記録時に記録用メディアの記録面に付与される前処理液と、を有するインクメディアセットであって、
前記インクにおける着色剤及び水分散性樹脂の合計含有量が10〜35質量%であり、かつ該合計含有量に対する前記水分散性樹脂の含有量が70〜95質量%であり、
前記前処理液は、インクの分散性及び溶解性の少なくともいずれかを低下させるインク定着助剤を固形分で10〜80質量%含有し、かつ25℃における粘度が100〜10,000mPa・sであることを特徴とするインクメディアセット。 - インク定着助剤が、カチオン性化合物である請求項1に記載のインクメディアセット。
- カチオン性化合物が、カチオン性ポリマーである請求項2に記載のインクメディアセット。
- カチオン性ポリマーが、下記構造式(1)から(20)で表されるポリマーから選択される少なくとも1種である請求項3に記載のインクメディアセット。
- カチオン性化合物が粒子であり、かつ前処理液中に分散されている請求項2に記載のインクメディアセット。
- 粒子がカチオン性シリカ粒子である請求項5に記載のインクメディアセット。
- カチオン性化合物が、カチオン性エマルジョンである請求項5から6のいずれかに記載のインクメディアセット。
- インク定着助剤が水溶性の多価金属塩である請求項1に記載のインクメディアセット。
- 記録用メディアの記録面におけるJIS K6768に基づく臨界表面張力が、25〜40mN/mである請求項1から8のいずれかに記載のインクメディアセット。
- 動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の記録用メディアの記録面への転移量が2〜35ml/m2であり、かつ接触時間400msにおける純水の記録用メディアの記録面への転移量が3〜40ml/m2である請求項1から9のいずれかに記載のインクメディアセット。
- 記録用メディアにおける塗工層が顔料を含有し、かつ該顔料がカオリン、タルク及び炭酸カルシウムから選択される少なくとも1種である請求項1から10のいずれかに記載のインクメディアセット。
- インクにおける着色剤が、アニオン性染料である請求項1から11のいずれかに記載のインクメディアセット。
- 水分散性樹脂が樹脂微粒子を含み、該樹脂微粒子がアクリルシリコーン樹脂微粒子であり、かつ該アクリルシリコーン樹脂のガラス転移温度が25℃以下である請求項1から12のいずれかに記載のインクメディアセット。
- 樹脂微粒子の樹脂エマルジョン中での体積平均粒径が10〜1,000nmである請求項13に記載のインクメディアセット。
- 請求項1から14のいずれかに記載のインクメディアセットにおけるインクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。
- 請求項1から14のいずれかに記載のインクメディアセットにおける前処理液を容器中に収容してなることを特徴とする前処理液カートリッジ。
- 請求項1から14のいずれかに記載のインクメディアセットを用いたインクジェット記録方法であって、
記録用メディアの記録面に前処理液を付与する工程と、
前処理液が乾燥する前に、インクに画像信号にしたがって刺激を印加し、該インクを飛翔させて記録メディアに画像を記録する工程と、を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。 - 前処理液の付与がローラにより行われる請求項17に記載のインクジェット記録方法。
- 前処理液の付着量が、記録用メディアの記録面に固形分で0.5〜10g/m2である請求項17から18のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 刺激が、熱、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種である請求項17から19のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 請求項1から14のいずれかに記載のインクメディアセットを用いたインクジェット記録装置であって、
記録用メディアの記録面に前処理液を付与する手段と、
前処理液が乾燥する前に、インクに画像信号にしたがって刺激を印加し、該インクを飛翔させて記録メディアに画像を記録する手段と、を有することを特徴とするインクジェット記録装置。 - 刺激が、熱、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種である請求項21に記載のインクジェット記録装置。
- 請求項1から14のいずれかに記載のインクメディアセットを用い、前処理液を付与した記録用メディア上にインクを用いて形成された画像を有してなることを特徴とするインク記録物。
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