JP2007259733A - 発酵乳食品用安定剤および該安定剤を含有する発酵乳食品 - Google Patents

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恵子 永安
Takahiro Funemi
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Abstract

【課題】発酵乳製品に求められる滑らかさを損なうことなく、保形性、保水性、濃厚感およびフレーバーリリースのよい発酵乳食品を提供する。
【解決手段】発酵乳食品用安定剤として、ガティガムを含有する。発酵乳食品中ガティガムを含有し、好ましくは、0.05〜1.5質量%の割合で含む。

Description

本発明は、ヨーグルト等の発酵乳食品に関する。詳細には、発酵乳食品に求められる滑らかさを損なうことなく、保型性、保水性、濃厚感を有し、フレーバーリリースのよい発酵乳食品に関する。
従来、ヨーグルト等の発酵乳食品の製造において、品質改良の目的で、ゼラチン、寒天、澱粉、乳清タンパク、ペクチン等の安定剤が使用されている。
例えば、発酵前のヨーグルト調乳液にハイメトキシルペクチン、κ−カラギナン、ローカストビーンガムを添加し、発酵後加熱殺菌することにより、殺菌ヨーグルトを調製する方法(特許文献1)や、ペクチンおよびカルシウム結合剤を添加した発酵乳をヒートショック処理し、寒天、ゼラチン等のゲル化剤を添加することで保存中および流通過程での酸度上昇が抑制された後セット型ハードヨーグルトを調製する方法(特許文献2)、アルギン酸塩、カラギナンおよびペクチンから成るグループの中から選定された1つ以上のカルシウム結合ガムを使用して、発酵乳に濃厚感と滑らかさを付与する方法(特許文献3)、および未化工および化工澱粉を使用して、発酵乳にソフトでクリ−ミーな食感を付与する方法(特許文献4)などが知られている。
しかし、これらの安定剤を発酵乳に多く添加すると、食感が糊状で重く、口どけが悪くなり、またフレーバーリリースが低下するという欠点があった。また、増粘多糖類の添加は発酵過程で、乳タンパクの凝集を促進する原因となり、最終食感の低下や離水量の増加を引き起こす場合があった。
発酵乳における新製品開発に際しては、食感が重要視される場合が多い。つまり、本来、発酵乳が有すべき安定性を保持しつつ、例えば、濃厚感の付与、フレーバーリリースの改良、軽い食感、伸びる等の物性を創製するというニーズが非常に高いも関わらず、それを解決する具体的な方策が提示されていないのが現状である。
特公昭63−020491号公報 特開平09−121763号公報 特開昭63−133940号広報 特開平11−276068号広報
本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたものであり、ヨーグルト等の発酵乳食品において、本来の滑らかさを低下させることなく、食感とフレーバーリリースを改良する方法を提供することを目的とする。詳細には、発酵乳食品に求められる滑らかさを損なうことなく、保型性、保水性、濃厚感を有し、フレーバーリリースのよい発酵乳食品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み、発酵乳食品に添加する安定剤等に特に注目して鋭意研究を重ねていたところ、ガティガムを添加することにより発酵乳食品に求められる滑らかさを損なうことなく、保型性、保水性、濃厚感を有し、フレーバーリリースのよい発酵乳食品が得られることを見いだした。
即ち、本発明は下記に掲げるものである:
項1.ガティガムを含有することを特徴とする発酵乳食品用安定剤。
項2.項1記載の発酵乳食品用安定剤を含有することを特徴とする発酵乳食品。
項3.ガティガムを0.05〜1.5質量%の割合で含むことを特徴とする項2に記載の発酵乳食品。
発酵乳食品に求められる滑らかさを損なうことなく、保型性、保水性、濃厚感を有し、フレーバーリリースのよい発酵乳食品を提供することができる。
1.発酵乳食品用安定剤
本発明の発酵乳食品用安定剤は、ガティガムを含有することを特徴とする。
本発明の発酵乳には、酸乳、ヨーグルト、発酵バターミルク、アシドフィラスミルク、スキール、およびテッテなどの乳酸発酵を主体とした酸乳;並びにケフィアやクミスなどの乳酸発酵とアルコール発酵の混合発酵製品であるアルコール発酵乳が含まれる。好ましくは乳酸発酵を主体とした酸乳であり、中でも好適にはヨーグルトを挙げることができる。なお、ヨーグルトの種類は特に制限されず、公知の種類、例えばプレーンヨーグルト、ハードヨーグルト(後発酵ヨーグルト)、ソフトヨーグルト(前発酵ヨーグルト)、ヨーグルトデザート、フローズンヨーグルト等が含まれるが、好ましくはハードヨーグルト及びソフトヨーグルトを挙げることができる。
本発明で使用するガティガムとは、シクンシ科ガティノキ(Anogeissus Latifolia WALL.)の幹の分泌液を乾燥して得られる、多糖類を主成分とするガム質であり、既存添加物リストに収載されている。ガティガムは、商業的に入手可能であり(例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製など)、通常、常温〜加温条件下で、30質量%程度の高濃度まで水に溶解することができるなどの特徴がある。
ガティガムを含有する安定剤をヨーグルト等の発酵乳食品に添加することによって、発酵乳食品の、本来の滑らかさを低下させることなく、食感とフレーバーリリースを改良することができる。詳細には、発酵乳食品に求められる滑らかさを損なうことなく、保型性、保水性、濃厚感を有し、フレーバーリリースのよい発酵乳食品を調製できる。
本発明の発酵乳食品用安定剤には、ガティガムの他に、本発明の効果に影響を与えない限度において、他の安定剤を併用することが出来る。例えば、カラギナン、加工ユーケマ藻類、寒天、ファーセレラン、アルギン酸類(アルギン酸、アルギン酸塩)、ペクチン(ローメトキシルペクチン、ハイメトキシルペクチン)、グァーガム、タラガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、水溶性大豆多糖類、サバクヨモギシードガム、グルコマンナン、でん粉、化工でん粉、加工でん粉、デキストリン、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、キサンタンガム、プルラン、カードラン、ラムザンガム、ウェランガム、マクロホモプシスガム、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、微結晶セルロース、微小繊維状セルロース、発酵セルロース、カルボキシメチルセルロース塩、メチルセルロース、ハイドロキシプロピルセルロース、ハイドロキシメチルセルロース、キチン、キトサン、ゼラチン等を挙げることができる。
本発明の発酵乳食品用安定剤には、その効果を妨げない範囲において、他にL−アスパラギン酸ナトリウム等のアミノ酸またはその塩、5'−イノシン酸二ナトリウム等の核酸またはその塩、クエン酸−カリウム等の有機酸またはその塩、および塩化カリウム等の無機塩類に代表される調味料;カラシ抽出物、ワサビ抽出物、およびコウジ酸等の日持向上剤;シラコたん白抽出物、ポリリシン、およびソルビン酸等の保存料;α、βアミラーゼ、α、βグルコシダーゼ、パパイン等の酵素;クエン酸、フマル酸、コハク酸等のpH調整剤;ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、レシチン等の乳化剤;香料;β−カロチン、アナトー色素等の着色料;膨張剤;乳清たん白質、大豆たん白質等のたん白質;砂糖、果糖、ブドウ糖、水飴、還元水飴、はちみつ、異性化糖、転化糖、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、テアンデオリゴ糖、大豆オリゴ糖等)、トレハロース、糖アルコール(マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、パラチニット、キシリトール、ラクチトール等)、砂糖結合水飴(カップリングシュガー)、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、アリテーム、ネオテーム、カンゾウ抽出物(グリチルリチン)、サッカリン、サッカリンナトリウム、ステビア抽出物、ステビア末、ソーマチン等の甘味料;ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンK等のビタミン類;鉄、カルシウム等のミネラル類等を添加することができる。
また、複数の素材を混合して本発明の発酵乳食品用安定剤を調製する場合、その製造法は上記成分を含むものであれば特に制限されず、例えば(1)リボンミキサーやVブレンダーを用いて粉体で混合する方法、(2)水中で加熱することによって溶解、均一分散させ液状とする方法、(3)別々に溶液を調製し、使用時に混合する方法、(4)溶液化したものをスプレードライ等により分散粉末化する方法、(5)粉体で混合し、プレス機で圧縮することにより打錠し、錠剤状にする方法、および(6)溶液化したものを造粒機により、顆粒化して使用する方法等が挙げられる。
2.発酵乳食品
本発明の発酵乳食品は、ガティガムを含有することを特徴とする。ガティガムを発酵乳食品に添加することにより、発酵乳食品に求められる滑らかさを損なうことなく、保型性、保水性、濃厚感及びフレーバーリリースのよい発酵乳食品を調製することができる。ここで、ガティガムの添加量として、発酵乳食品中0.04〜1.5質量%、好ましくは0.05〜1.5質量%、更に好ましくは、0.1〜1質量%を挙げることができる。
本発明の発酵乳食品は主成分以外の添加成分としてガティガムを含有することを特徴とするが、ガティガムを含むものであればよい。すなわち、ガティガムは発酵前の調乳液に直接添加してもよいし、溶液状に調製したものを発酵乳と混合してもよい。
発酵乳を充填する容器としては、流通や小売りに一般的に用いられているものであれば特に制限はなく、例えば、プラスチック製、紙製、ガラス製、金属製、陶器製或いはその複合材料からなる容器を用いることができる。また、容器は常法により密封包装し、流通することが好ましい。
本発明により、発酵乳食品に求められる滑らかさを損なうことなく、保型性、保水性、濃厚感を有し、フレーバーリリースがよい発酵乳食品を提供することができる。
以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例等を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。なお、文中、「部」は「質量部」とし、「*」は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、「※」は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを示す。また、ガティガムはガティフォーリアSD*、LMペクチンはビストップ※D−402*、HMペクチンはSM−666*、アラビアガムはビストップ※D−2041*、大豆多糖類はSM−700*、キサンタンガムはサンエース※*、グァーガムはビストップ※D−20*、ローカストビーンガムはビストップ※D−30*、カラギナンはカラギニン※CSL−1*、タマリンドシードガムはビストップ※D−2032*、脱アシル型ジェランガムはケルコゲル*、アルギン酸ナトリウムはビストップ※D−2156*を使用した。
実験例1
(1)ハードヨーグルト(後発酵ヨーグルト)の調製
下記の処方の配合割合に従ってヨーグルトを調製した。具体的には、脱イオン水と牛乳の混合液に、予め十分に混合しておいたグラニュー糖、脱脂粉乳、全脂粉乳、ゼラチン及び表1に記載の各多糖類の粉体混合物を添加し、撹拌しながら70℃まで加熱した。次に、フレーバーを添加し、14.7MPaで均質化した後、90℃で10分間加熱殺菌し、8℃の恒温水槽で40℃まで攪拌冷却した。次に、スターターを接種し、100mL容器に80gずつ充填した。40℃で約5時間培養後、4℃で3日間保存した。(発酵乳100質量%中、無脂乳固形分/8.9質量%、乳脂肪分/2.8質量%)。
発酵乳処方 (部)
牛 乳 30
グラニュー糖 6.5
スターター 3
脱脂粉乳 2
全脂粉乳 6.5
ゼラチン 0.2
ヨーグルトフレーバーNO.58370* 0.1
安定剤 (下記)
脱イオン水にて 100。
Figure 2007259733
(2)ハードヨーグルト(後発酵ヨーグルト)の評価
発酵終了直後に離水(保水性)及び、調製3日後に、外観(乳タンパクの凝集による表面組織の荒れ)、保形性、食感(滑らかさと濃厚感)、およびフレーバーリリースを評価し、更に基準および基準に比べて離水の少ないものについて、ゲル強度を測定した。離水、保形性、滑らかさ、濃厚感、フレーバーリリースについては各評価項目とも5段階(1:悪い(多い)、2:やや悪い(やや多い)、3:基準(比較例a)、4:良い(少ない)、5:非常に良い(非常に少ない))で評価した。結果を表2、3に示す。
Figure 2007259733
*1…テクスチャーアナライザー(TA−TX2, SAS社;以下同じ)にてプランジャーを10mm押込み時の荷重(単位:N)
*2…テクスチャーアナライザーにてプランジャーを20mm押込み時の荷重(単位:N)
Figure 2007259733
*1…テクスチャーアナライザー(TA−TX2, SAS社;以下同じ)にてプランジャーを10mm押込み時の荷重(単位:N)
*2…テクスチャーアナライザーにてプランジャーを20mm押込み時の荷重(単位:N)
ガティガム(実施例a)、LMペクチン(比較例i)、アラビアガム(比較例m)、大豆多糖類(比較例n)以外の増粘多糖類では乳タンパクの凝集がおこる。ガティガムの添加(実施例a)により、ヨーグルトの滑らかさを低下させることなく、保形性、濃厚感、フレーバーリリース等を向上させることができ、これらの効果はLMペクチン(比較例i)、アラビアガム(比較例m)、大豆多糖類(比較例n)より大きかった。またガティガムの添加(実施例a)により荷重は増加し、効果がLMペクチン(比較例i)、アラビアガム(比較例m)、大豆多糖類(比較例n)より大きかった。このことより、ガティガムを添加することより保形性が向上することが判った。
実験例2
(1)ソフトヨーグルト(前発酵ヨーグルト)の調製
下記の処方に示す配合割合に従ってヨーグルトを調製した。具体的には、脱イオン水と牛乳の混合液に、予め十分に混合しておいたグラニュー糖、脱脂粉乳、全脂粉乳、ゼラチン及び表4に記載の多糖類の粉体混合物を添加し、撹拌しながら70℃まで加熱した。フレーバーを添加し、14.7MPaで均質化した後、90℃で10分間加熱殺菌し、8℃の恒温水槽で40℃まで攪拌冷却した。次に、スターターを接種し、40℃でpH4.5になるまで約5時間培養後、その500gを1L容容器に移し、T.K.ロボミックス(特殊機化工(株)製)を用いて、1400rpmで1分間カードを破砕した。破砕後、10℃まで冷却し、80gずつ100mL容器に入れ、4℃にて3日間保存した。(発酵乳100質量%中、無脂乳固形分:8.9質量%、乳脂肪分:2.8質量%)。
発酵乳処方 (部)
牛 乳 30
グラニュー糖 6.5
スターター 3
脱脂粉乳 2
全脂粉乳 6.5
ゼラチン 0.2
ヨーグルトフレーバーNO.58370* 0.1
安定剤 (下記)
脱イオン水にて 100。
Figure 2007259733
(2)ソフトヨーグルト(前発酵ヨーグルト)の評価
発酵終了直後に離水(保水性)及び、調製3日後に、外観(乳タンパクの凝集による表面組織の荒れ)、保形性、食感(滑らかさと濃厚感)、およびフレーバーリリースを評価し、更にゲル強度を測定した。離水、保形性、滑らかさ、濃厚感、フレーバーリリースについては各評価項目とも5段階(1:悪い(多い)、2:やや悪い(やや多い)、3:基準(比較例o)、4:良い(少ない)、5:非常に良い(非常に少ない))で評価した。評価方法は実験例1に準じた。結果を表5に示す。
Figure 2007259733
*1…テクスチャーアナライザーにてプランジャーを10mm押込み時の過重(単位:N)
*2…テクスチャーアナライザーにてプランジャーを20mm押込み時の過重(単位:N)
ガティガムの添加(実施例b)により、滑らかさを低下させることなく、保形性、濃厚感、フレーバーリリース等を向上させることができた。保形性、濃厚感についてはLMペクチン(比較例p)も類似の効果が確認されたが、糊状の重い食感であり、フレーバーリリースが極端に低下した。ガティガムを添加(実施例b)した時の荷重は10mm押し込み時および20mm押し込み時も、アラビアガム(比較例q)、大豆多糖類(比較例r)よりも大きく、LMペクチン(比較例p)とほぼ同程度であった。このことより、ガティガムを添加することより保形性が向上することが判った。
実験例3
(1)ソフトヨーグルト(前発酵ヨーグルト)の調製
表6に示す配合割合に従ってソフトヨーグルトを調製した。具体的には、脱イオン水と牛乳の混合液に、予め十分に混合しておいたグラニュー糖、脱脂粉乳、全脂粉乳、ゼラチン及びガティガムの粉体混合物を添加し、撹拌しながら70℃まで加熱した。フレーバーを添加し、14.7MPaで均質化した後、90℃で10分間加熱殺菌し、8℃の恒温水槽で40℃まで攪拌冷却した。次に、スターターを接種し、40℃でpH4.5になるまで約5時間培養後、その500gを1L容容器に移し、T.K.ロボミックス(特殊機化工業(株)製)にて、1400rpmにて1分間カードを破砕した。得られた発酵乳を10℃まで冷却し、80gずつ100mL容容器に入れ、4℃で3日間保存した。(発酵乳100質量%中、無脂乳固形分:8.9質量%、乳脂肪分:2.8質量%)。
Figure 2007259733
(2)ソフトヨーグルトの評価
調製1日後に、ソフトヨーグルトの離水(保水性)、外観(乳タンパクの凝集による表面組織のあれ)、食感(濃厚感)およびフレーバーリリースについて評価した。なお、各評価項目とも基準(比較例s)で評価した。結果を表7に示す。
Figure 2007259733
*1…テクスチャーアナライザーにてプランジャーを10mm押込み時の過重(単位:N)
*2…テクスチャーアナライザーにてプランジャーを20mm押込み時の過重(単位:N)
ゼラチンの一部をガティガムで代替しても、離水、外観、保形性、食感(滑らかさ:濃厚感)およびフレーバーリリースの点でゼラチン添加区と同等以上の性状を有するヨーグルトを調製できた。
実験例4
(1)ハードヨーグルト(後発酵ヨーグルト)の調製
下記の処方の配合割合に従ってヨーグルトを調製した。具体的には、脱イオン水と牛乳の混合液に、予め十分に混合しておいたグラニュー糖、脱脂粉乳、全脂粉乳、ゼラチン及び表8に記載の各多糖類の粉体混合物を添加し、撹拌しながら70℃まで加熱した。次に、フレーバーを添加し、14.7MPaで均質化した後、90℃で10分間加熱殺菌し、8℃の恒温水槽で40℃まで攪拌冷却した。次に、スターターを接種し、100mL容器に80gずつ充填した。40℃で約5時間培養後、4℃で3日間保存した。(発酵乳100質量%中、無脂乳固形分/8.9質量%、乳脂肪分/2.8質量%)。
発酵乳処方 (部)
牛 乳 30
グラニュー糖 6.5
スターター 3
脱脂粉乳 2
全脂粉乳 6.5
ゼラチン 0.2
ヨーグルトフレーバーNO.58370* 0.1
ガティガム (下記)
(ガティフォーリアSD*)
脱イオン水にて 100。
Figure 2007259733
(2)ハードヨーグルト(後発酵ヨーグルト)の評価
発酵終了直後に離水(保水性)及び、調製3日後に、外観(乳タンパクの凝集による表面組織の荒れ)、保形性、食感(滑らかさと濃厚感)、およびフレーバーリリースを評価し、更に基準および基準に比べて離水の少ないものについて、ゲル強度を測定した。離水、保形性、滑らかさ、濃厚感、フレーバーリリースについては各評価項目とも5段階(1:悪い(多い)、2:やや悪い(やや多い)、3:基準(比較例a)、4:良い(少ない)、5:非常に良い(非常に少ない))で評価した。結果を表9に示す。
Figure 2007259733
*1…極僅かに黄色い。
*2…テクスチャーアナライザーにてプランジャーを10mm押込み時の荷重(単位:N)
*3…テクスチャーアナライザーにてプランジャーを20mm押込み時の荷重(単位:N)
ガティガム0.04%、0.3%、1.5%添加(実施例e、f、g)ではガティガム無添加(比較例s)に比べ、ヨーグルトの滑らかさを低下させることなく、保形性、濃厚感、フレーバーリリース等を向上させることができる。ガティガム0.01%添加(実施例d)では、ガティガム無添加(比較例s)と同等の物性であり、ガティガム添加による効果は確認されない。また、ガティガム2%添加(比較例h)では、乳タンパクの凝集がおこり、離水が確認された。
酵乳食品に求められる滑らかさを損なうことなく、保型性、保水性、濃厚感を有し、フレーバーリリースのよい発酵乳食品を提供することができる。

Claims (3)

  1. ガティガムを含有することを特徴とする発酵乳食品用安定剤。
  2. 請求項1記載の発酵乳食品用安定剤を含有することを特徴とする発酵乳食品。
  3. ガティガムを0.05〜1.5質量%の割合で含むことを特徴とする請求項2に記載の発酵乳食品。
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