JP2007170457A - テンショナ - Google Patents

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Kazuyuki Miyake
和幸 三宅
Yoshihisa Kurata
義久 倉田
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Abstract

【課題】 ピストン後退時に発生する衝突音を低減させる。
【解決手段】 ハウジング2のピストン穴2aにスライド自在に支持されたピストン3と、ピストン3を突出方向に付勢するピストンスプリング4と、ピストン3のラック歯3aに係合する拡径可能なリング状本体部50およびその端部から延設された操作部51を有するサークリップ部材5とを設ける。サークリップ部材5の操作部51は、ハウジング2の切欠き2b内に延設されており、ハウジング2の切欠き2bには、ピストン3の縮退時にサークリップ部材5の操作部51が係止し得るストッパ部21が設けられている。ピストン3のラック歯3aは、ピストン3の突出方向の移動を許容するとともに、サークリップ部材5の操作部51がストッパ部21に係止したときに、ピストン3の後退方向の移動を規制するような形状を有している。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ピストン外周のラック歯に係合するサークリップ部材を備えたラチェット機構付テンショナにおいて、チェーンからピストンに押付力が作用してピストンが後退した際に発生する衝突音を低減させるための構造の改良に関する。
一般に、内燃機関の動弁装置の駆動に用いられるタイミングチェーンやカムシャフト間を駆動連結するカムシャフトチェーン、さらにはバランサチェーンにおいて、運転中に生じるチェーンの弛みを除去してチェーンに張力を発生させるために、チェーンの弛み側スパンにテンショナが設けられている。
運転中には、テンショナのピストンからの押付力がチェーンに作用することにより、チェーンの張力が維持されるようになっている。その一方、運転中において、チェーンスパンの共振等によってチェーン張力が増大したときには、チェーンから過大な衝撃荷重がテンショナのピストンに作用して、ピストンがハウジング内に押し込まれる場合がある。
そこで、このようなピストンの縮退を防止するために、特開2004−353758号公報に示すようなラチェット機構を備えたテンショナ装置が用いられている。
このラチェット機構は、ピストン外周に形成されたラック歯と、ピストン穴と直交する方向に形成されたポール穴に収容され、ピストンのラック歯と係合し得る歯部を有するポール部材と、ポール部材をラック歯と係合する側に付勢するポールコイルスプリングとから構成されている。
運転中に、ピストンが突出方向に移動する際には、ピストンのラック歯がポール部材の歯部を乗り越えて移動することにより、ピストンの突出方向の移動は許容されるが、ピストンが後退方向に移動する際には、ピストンのラック歯がポール部材の歯部と係合した状態でポール部材がポール穴の端面に当接することにより、ピストンの後退方向の移動が規制されている。
しかしながら、前記従来のラチェット機構では、ピストンが後退した際に、ピストンとともに移動するポール部材がポール穴の端面に衝突して衝突音を発生させる。
特開2004−353758号公報(図2参照)
本発明は、ラチェット機構を備えたテンショナにおいて、ピストン後退時に発生する衝突音を低減させようとしている。
請求項1の発明に係るテンショナは、軸方向に延びるピストン穴およびその開口端に形成された切欠きを有するハウジングと、外周にラック歯を有し、ピストン穴にスライド自在に支持されたピストンと、ピストン穴に配設され、ピストンをハウジングから突出する方向に付勢するピストンスプリングと、ピストンのラック歯に係合する拡径可能なリング状本体部およびその操作部を有するサークリップ部材とを備えている。サークリップ部材の操作部は、ハウジングの切欠き内に延設されており、ハウジングの切欠きには、ピストンの縮退時にサークリップ部材の操作部が係止し得るストッパ部が設けられている。ラック歯は、ピストンの突出方向の移動を許容するとともに、サークリップ部材の操作部がストッパ部に係止することによりピストンの後退方向の移動を規制するような形状に形成されている。
請求項1の発明によれば、運転中において、ピストンが突出方向に移動する際には、ピストンのラック歯に係合するサークリップ部材がピストンとともに移動し、あるいは、ピストンのラック歯がサークリップ部材のリング状本体部を乗り越えて移動することにより、ピストンの突出方向の移動が許容される。
その一方、ピストンが後退方向に移動する際には、ピストンのラック歯に係合するサークリップ部材がピストンとともに移動して、サークリップ部材の操作部がハウジングの切欠きのストッパ部に係止する。これにより、ピストンの後退方向の移動が規制される。また、このとき、操作部がサークリップ部材のリング状本体部の端部から延設された部材であるため、ピストンの急激な縮退により操作部がストッパ部に衝突した際には、操作部が軸方向に弾性変形する。これにより、ピストン後退時の衝撃を緩和でき、衝突音を低減できる。
請求項2の発明においては、ストッパ部が弾性部材から構成されている。この場合には、ピストン後退時の衝撃をさらに緩和でき、衝突音をさらに低減できる。
請求項3の発明においては、操作部がリング状本体部の外側に張り出す左右一対の部材から構成されており、ストッパ部がハウジングの切欠きに2個所設けられている。
請求項4の発明においては、ハウジングの切欠きとサークリップ部材の操作部との間に、サークリップ部材の軸方向移動を許容するクリアランスが設けられている。
この場合、運転中において、ピストンが後退方向に移動する際には、ピストンのラック歯と係合するサークリップ部材が切欠き内をクリアランス分だけ移動する。これにより、チェーン張力の増大によってチェーンからピストンに過大な衝撃荷重が作用した場合において、ピストンのラック歯とサークリップ部材のリング状本体部との係合部分にそのまま過大な衝撃荷重が作用するのを防止できる。
請求項5の発明では、テンショナが機械式テンショナである。この場合には、テンショナ全体の構造を複雑にする油圧回路を別途設ける必要がないので、構造を簡略化でき、コストを低減できる。
本発明によれば、ピストンが後退方向に移動する際には、ピストンのラック歯に係合するサークリップ部材がピストンとともに移動して、サークリップ部材の操作部がハウジングの切欠きのストッパ部に当接し、このとき、操作部が軸方向に弾性変形する。これにより、ピストン後退時の衝撃を緩和でき、衝突音を低減できる。
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図4は本発明の一実施例によるテンショナを説明するための図であって、図1はテンショナの正面図、図2はテンショナの縦断面図、図3はサークリップ部材の拡大図、図4は、テンショナの縦断面図であって、ピストンが後退した状態を示している。
図1および図2に示すように、テンショナ1は、軸方向に延びかつ一端が開口するピストン穴2aおよびその開口端に形成されかつピストン穴2aに連通する切欠き2bを有するハウジング2と、ハウジング2のピストン穴2aにスライド自在に支持された中空のピストン3と、ピストン穴2aに配設され、ピストン3をハウジング2から突出する方向に付勢するピストンスプリング4と、ピストン3の外周に形成されたラック歯3aに係合するサークリップ部材5とを備えている。
サークリップ部材5は、ピストン3のラック歯3aに係合し得る拡径可能なリング状本体部50と(図3参照)、リング状本体部50の端部から延設されてリング状本体部50の外側に張り出して設けられ、操作者がリング状本体部50を拡径し得る左右一対の操作部51とを有している。操作部51は、ハウジング2の切欠き2b内に延設されている。
ハウジング2の切欠き2bには、ピストン3の縮退時にサークリップ部材5の操作部51が係止し得るストッパ部21が設けられている。ストッパ部21は、好ましくは、弾性ブロックから構成されるが、ハウジング2と一体成形された突出部であってもよい。この実施例では、ストッパ部21は、ハウジング2の切欠き2b内において、各操作部51に対応する2個所の位置に設けられている。
ピストン穴2aの内周面には、周方向に延びる凹部20が形成されている。凹部20には、サークリップ部材5のリング状本体部50が係止し得る上側係止面20aおよび下側係止面20bが形成されている。
ピストン3のラック歯3aは、サークリップ部材5のリング状本体部50が凹部20の上側係止面20aに係止したときにピストン3の突出方向の移動を許容するとともに、サークリップ部材5の操作部51が切欠き2bのストッパ部21に係止したときに、ピストン3の後退方向の移動を規制するような形状を有している。
ハウジング2の切欠き2b内のストッパ部21とハウジング2の凹部20の上側係止面20aとの間には、サークリップ部材5の軸方向移動を許容するクリアランスが設けられている。
ピストン3の先端部30には、図示しないチェーンに当接するテンショナアーム4が取り付けられている。ハウジング2の下部には、テンショナ1をたとえばエンジン内に取り付けるための取付部6が設けられている。
上述のように構成されるテンショナ1の運転中において、ピストン3が突出方向に移動する際には、ピストン3のラック歯3aに係合するサークリップ部材5がピストン3とともに移動して、サークリップ部材5のリング状本体部50がハウジング2の凹部20の上側係止面20aに係止する。この状態から、ピストン3のラック歯3aがサークリップ部材5のリング状本体部50を乗り越えて移動することにより、ピストン3の突出方向の移動が許容される。運転中には、ピストン3の先端部30からテンショナアーム4を介してチェーンに押付力が作用して、チェーンの張力が維持される。
次に、ピストン3が後退方向に移動する際には、ピストン3のラック歯3aに係合するサークリップ部材5がピストン3とともに移動して、サークリップ部材5の操作部51がハウジング2の切欠き2b内のストッパ部21に当接する(図4参照)。これにより、ピストン3の後退方向の移動が規制される。
このとき、操作部51がサークリップ部材5のリング状本体部50の端部から延設された部材であるため、ピストン3の急激な縮退により操作部51がストッパ部21に衝突した際には、操作部51が軸方向に弾性変形する。これにより、ピストン後退時の衝撃を緩和でき、衝突音を低減できる。
また、サークリップ部材5の操作部51がストッパ部21に当接した後、操作部51が弾性変形することによって、リング状本体部50がハウジング2の凹部20内の下側係止面20bに当接する。これにより、リング状本体部50がピストン3のラック歯3aおよび下側係止面20b間で挟持されることになるので、ピストン3の後退方向の移動をより確実に規制できる。
この場合において、ストッパ部21が弾性部材から構成されている場合には、ピストン後退時の衝撃をさらに緩和でき、衝突音をさらに低減できる。
また、この場合には、ハウジング2の凹部20の上側係止面20aとストッパ部21との間に、サークリップ部材5の軸方向移動を許容するクリアランスが設けられているので、ピストン3が後退方向に移動する際には、ピストン3のラック歯3aと係合するサークリップ部材5が当該クリアランス分(またはその一部のクリアランス分)だけ移動し得る。これにより、チェーン張力の増大によってチェーンからピストン3に過大な衝撃荷重が作用した場合でも、ピストン3のラック歯3aとサークリップ部材5のリング状本体部50との係合部分にそのまま過大な衝撃荷重が作用するのを防止できる。
また、前記実施例では、テンショナとして機械式テンショナを例にとって説明している。この機械式テンショナの採用により、複雑な油圧回路が不要となって、構造を簡略化でき、コストを低減できるが、本発明は、油圧テンショナに適用することも可能である。
本発明の一実施例によるテンショナの正面図である。 テンショナ(図1)の縦断面図である。 サークリップ部材の拡大図である。 テンショナの縦断面図であって、ピストンが後退した状態を示している。
符号の説明
1: テンショナ

2: ハウジング
2a: ピストン穴
2b: 切欠き
21: ストッパ部

3: ピストン
3a: ラック歯

4: ピストンスプリング

5: サークリップ部材
50: リング状本体部
51: 操作部

Claims (5)

  1. チェーンに押付力を作用させるためのテンショナであって、
    軸方向に延びかつ一端が開口するピストン穴と、前記ピストン穴の開口端において前記ピストン穴に連通する切欠きとを有するハウジングと、
    外周にラック歯を有し、前記ピストン穴にスライド自在に支持されたピストンと、
    前記ピストン穴に配設され、前記ピストンを前記ハウジングから突出する方向に付勢するピストンスプリングと、
    前記ピストンの前記ラック歯に係合する拡径可能なリング状本体部と、前記リング状本体部の端部から延設され、操作者が前記リング状本体部を拡径し得る操作部とを有するサークリップ部材とを備え、
    前記サークリップ部材の前記操作部が前記ハウジングの前記切欠き内に延設されており、前記ハウジングの前記切欠きには、前記ピストンの縮退時に前記サークリップ部材の前記操作部が係止し得るストッパ部が設けられており、
    前記ラック歯は、前記ピストンの突出方向の移動を許容するとともに、前記サークリップ部材の前記操作部が前記ストッパ部に係止したときに、前記ピストンの後退方向の移動を規制するような形状を有している、
    ことを特徴とするテンショナ。
  2. 請求項1において、
    前記ストッパ部が弾性部材から構成されている、
    ことを特徴とするテンショナ。
  3. 請求項1において、
    前記操作部が前記リング状本体部の外側に張り出す左右一対の部材から構成されており、前記ストッパ部が前記ハウジングの前記切欠きに2個所設けられている、
    ことを特徴とするテンショナ。
  4. 請求項1において、
    前記ハウジングの前記切欠きと前記サークリップ部材の前記操作部との間には、前記サークリップ部材の軸方向移動を許容するクリアランスが設けられている、
    ことを特徴とするテンショナ。
  5. 請求項1において、
    前記テンショナが機械式テンショナである、
    ことを特徴とするテンショナ。
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