JP2007139322A - ソーラシステムハウス - Google Patents

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Abstract

【課題】外壁の下部から取り入れた空気を太陽光の集熱装置に供給して加熱空気とすることで冬季には建物の暖房に利用し夏季には冷房効率の向上を図ると共に建物の24時間換気にも対応可能なソーラーシステムハウスを提供する。
【解決手段】屋根11に設置した太陽光の集熱装置12によって空気を加熱し、第1のダンパー13付きの吸気ダクト14、送風制御手段15、及び送風ダクト16を介して床下空間17及び居室18に加熱した空気を供給するソーラシステムハウス10において、外壁19に、内部に広がって形成され下部に空気取り入れ口20を備えた外壁部通気路21を設け、外壁部通気路21の上部を集熱装置12の空気入口22に連結して、外壁部通気路21の上部から出る空気を集熱装置12に供給する。
【選択図】図1

Description

本発明は、外壁の下部から取り入れた空気を太陽光の集熱装置に供給して加熱空気とすることで冬季には建物の暖房に利用し夏季には冷房効率の向上を図るソーラシステムハウスに関する。
住宅の南側に大きな開口部(例えば、窓)を設けて冬季に日照を取り込み暖を得たり、夏季にこの開口部を利用して住宅内に風を取り込み涼を得たりすることは、従来から行なわれている。そして、この考えを進め、より効率的に暖房及び冷房を行なうシステムが種々提案されている。
例えば、特許文献1には、軒先に設けた吸気口から取り入れた空気を屋根の背面側に設けた空気流路を通過させながら太陽光により加熱し、冬季には加熱した空気をファンを用いて床下空間に供給して暖房を行ない、夏季にはファンを用いて加熱された空気を床下空間の空気と共に外部に排出するソーラーシステムハウスが提案されている。
特許文献2には、軒先に設けた吸気口から取り入れた空気を金属板の屋根の背面側に設けた空気流路を通過させながら太陽光により加熱し屋根の棟部分に配置した集熱ボックスに蓄積し、蓄積した空気をファンを用いて床下空間に供給して床面を温めたり、コンクリートスラブの蓄熱体に供給して蓄熱させたり、居室内に供給して居室を直に暖房するソーラーシステムハウスが提案されている。
特許文献3には、軒先に設けた吸気口から取り入れた空気を金属板の屋根の背面側に設けた空気流路を通過させながら太陽光により加熱し屋根の棟部分に配置した集熱ボックスに蓄積すると共に、集熱ボックスと床下空間の蓄熱及び放熱部とを送風機を備えたダクトで連通させ、温められた空気がある程度集熱ボックスに溜られた段階で送風機を駆動して床下空間の蓄熱及び放熱部に供給するソーラーシステムハウスが提案されている。
特許文献4には、太陽熱の採熱を行う採熱面(例えば、屋根板)の下に形成した空気流路に調湿材を配設し、夏の昼間の集熱時には、軒先から取り入れた空気を採熱面で集熱された太陽熱で加熱し、得られた加熱空気で空気流路の調湿材を乾燥させながら熱交換器(例えば、お湯とりコイル)に供給し熱交換を行ないながら排気ダクトで屋外へ排出し、夏の夜間には軒先から取り入れた冷気を空気流路に取り込んで採熱面からの放射冷却で冷却し更に調湿材と接触させて低湿にしてから居室内に取り入れ冷房に利用するソーラーシステムが提案されている。
特開昭64−75858号公報 特開平5−248710号公報 特開平7−42265号公報 特開平9−72618号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載の発明では、十分な日照が得られない場合は外気の加熱が不十分となるため、暖房装置を各居室に設置する(なお、床下空間も暖房する場合は床下空間にも暖房装置を設置する)必要がある。また、特許文献1〜3に記載された発明は冷房作用を有さないため、特許文献4に記載の発明では補助的な冷房作用しか有さないため、冷房を行なう場合は空冷機を各居室に設置しなければならなかった。このため、特許文献1〜4に記載のソーラーシステムを使用しながら天候に影響を受けずに建物の冷暖房を行なう場合、ソーラーシステム用の機械類に加えて、暖房装置及び冷房装置を別に設置することになり、建物内での配管及び配線が複雑になることに伴って施工及びメンテナンス作業が煩雑になるという問題が生じ、施工コスト及びメンテナンスコストがそれぞれ増加するという問題がある。
更に、建築基準法の改正によりシックハウス対策に関する規制が導入され、24時間換気が義務付けられるようになっている。このため、ソーラーシステムに加えて居室内の換気を行なう換気システムを設ける必要が生じるが、ソーラーシステムによる建物の暖房を行ないながら居室の換気を行なうには、独立した2つのシステムを連携させながら操作しなければならず、各システムの操作が非常に困難になる。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、外壁の下部から取り入れた空気を太陽光の集熱装置に供給して加熱空気とすることで冬季には建物の暖房に利用し夏季には冷房効率の向上を図ると共に建物の24時間換気にも対応可能なソーラーシステムハウスを提供することを目的とする。
前記目的に沿う本発明のソーラシステムハウスは、屋根に設置した太陽光の集熱装置によって空気を加熱し、第1のダンパー付きの吸気ダクト、送風制御手段、及び送風ダクトを介して床下空間及び居室に加熱した空気を供給するソーラシステムハウスにおいて、
建物の外壁に、内部に広がって形成され下部に空気取り入れ口を備えた外壁部通気路を設け、該外壁部通気路の上部を前記集熱装置の空気入口に連結して、該外壁部通気路の上部から出る空気を該集熱装置に供給する。
本発明に係るソーラシステムハウスにおいて、前記送風制御手段としてエアコンディショナーを用い、該エアコンディショナーの空気取り入れ口に、前記吸気ダクト、第2のダンパーを備えた室内空気取り入れダクト、及び外部空気取り入れダクトを接続し、前記エアコンディショナーの空気出口を前記送風ダクトに連結することができる。
本発明に係るソーラシステムハウスにおいて、前記吸気ダクト、前記室内空気取り入れダクト、及び前記外部空気取り入れダクトは、共通のチャンバーボックスを介して前記エアコンディショナーの空気取り入れ口に接続されていることが好ましい。
本発明に係るソーラシステムハウスにおいて、前記外部空気取り入れダクトは熱交換器を有し、該外部空気取り入れダクト内を通過する外部空気と排気管を通過して外部に排出される室内空気との間で熱交換が行なわれることが好ましい。
本発明に係るソーラシステムハウスにおいて、前記集熱装置には、第3のダンパーを備えた加熱空気取り出しダクトを介して取り出された加熱空気と水との間で熱交換を行なって水を温水にする温水製造手段が接続されていることが好ましい。
請求項1〜5記載のソーラシステムハウスにおいては、空気を外壁の下部から取り入れ外壁部通気路を通過させながら集熱装置に供給するので、外壁部通気路を通過する際にも空気が暖められ、より温度の高い空気を得ることができ、建物の暖房を効果的に行なうことが可能になる。また、外壁部通気路を通過する空気は通過中に外壁の有する熱を持ち去ることができるので、外壁を介して建物内に進入する熱量を低減することができ、夏季に建物内の温度が上昇するのを抑えることが可能になる。
特に、請求項2記載のソーラシステムハウスにおいては、エアコンディショナーを用いることにより、集熱装置により暖房に使用できる十分な温度の加熱空気が得られる場合はエアコンディショナーの送風機能を用いて建物内に加熱空気を供給することができ、集熱装置から暖房としては不十分な温度の空気しか得られない場合はエアコンディショナーの加熱及び送風機能を用いて加温した空気を建物内に供給することができ、集熱装置から暖房に全く使用できない温度の空気しか得られない場合はエアコンディショナーの加熱及び送風機能を用いて外部空気取り入れダクトから取り入れた外部空気を加熱して建物内に供給することができ、天候の影響を受けずに建物の暖房を安定して行なうことが可能になる。また、室内空気取り入れダクトをエアコンディショナーの空気取り入れ口に接続することにより、温度調節された室内空気を循環させて使用することができ、エアコンディショナーの負担を軽減して建物の暖房を効率的かつ安価に行なうことができる。
請求項3記載のソーラシステムハウスにおいては、チャンバーボックスを設けることによりエアコンディショナーの空気取り入れ口に接続されるダクト構成を簡単にすることができ、施工及びメンテナンス作業を容易に行なうことが可能になる。その結果、施工コスト及びメンテナンスコストをそれぞれ低減することが可能になる。
請求項4記載のソーラシステムハウスにおいては、建物内の換気を行なうことができ、建物の24時間換気に容易に対応することができる。その際、外部空気取り入れダクト内を通過する外部空気と外部に排出される室内空気との間で熱交換が行なわれ、熱交換された外部空気がエアコンディショナーの空気取り入れ口に供給されるので、エアコンディショナーの負担を軽減して建物の冷暖房を効率的かつ安価に行なうことができる。
請求項5記載のソーラシステムハウスにおいては、温水を容易かつ安価に得ることが可能になる。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係るソーラシステムハウスの説明図、図2(A)、(B)はそれぞれ同ソーラシステムハウスの集熱装置の平断面図、側断面図、図3(A)、(B)はそれぞれ同ソーラシステムハウスの外壁部通気路の平断面図、側断面図、図4は集熱装置と外壁部通気路を接続する接続通気路の側断面図、図5は外部空気取り入れダクトの設けられた熱交換器の説明図、図6は本発明の一実施の形態に係るソーラシステムハウスで日照時に暖房を行なう場合のフロー図、図7は同ソーラシステムハウスで日照時に暖房を行なう場合の空気の流れを示す説明図、図8は同ソーラシステムハウスで非日照時に暖房を行なう場合のフロー図、図9は同ソーラシステムハウスで非日照時に暖房を行なう場合の空気の流れを示す説明図、図10は同ソーラシステムハウスで夏季に冷房を行なう場合のフロー図、図11は同ソーラシステムハウスで夏季に冷房を行なう場合の空気の流れを示す説明図である。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係るソーラシステムハウス10は、例えば、南向きの屋根11に設置した太陽光の集熱装置12によって空気を加熱し、第1のダンパー13付きの吸気ダクト14、送風制御手段の一例であるエアコンディショナー15、及び送風ダクト16を介して床下空間17及び居室18に加熱した空気を供給するものである。このソーラシステムハウス10の、例えば、南向きの外壁19には、外壁19の内部に広がって形成され下部に空気取り入れ口20を備えた外壁部通気路21が設けられ、外壁部通気路21の上部は集熱装置12の空気入口22に連結している。以下、これらについて詳細に説明する。
図2に示すように、集熱装置12は、屋根11の野地板23を覆うように設置された偏平箱型の屋根部通気路機構24を備えている。そして、屋根部通気路機構24は、野地板23上に配置された防水シート25と、防水シート25を介して野地板23の周囲に取付けられる第1の屋根用枠体26(例えば、厚みが25〜35mm)と、第1の屋根用枠体26の内側に第1の屋根用枠体26と実質的に同一厚みを有し軒先側から屋根11の頂上側に平行に間隔を設けて配置される複数の第1の補強部材27と、第1の屋根用枠体26及び第1の補強部材27の各上面で支えられ上表面が吸熱色(例えば、黒色)を呈した薄鉄板28とを有している。
また、屋根部通気路機構24は、薄鉄板28の周囲に取付けられる第2の屋根用枠体29(例えば、厚みが40〜60mm)と、第2の屋根用枠体29の内側に第2の屋根用枠体29と実質的に同一厚みを有し軒先側から屋根11の頂上側に平行に間隔を設けて配置される複数の第2の補強部材29aと、第2の屋根用枠体29及び第2の補強部材29aの上端でそれぞれ支えられる、例えば、ガラス又は透明プラスチックで形成された透光性板30とを有している。なお、第1の屋根用枠体26の下端部(軒先側の端部)には第1の屋根用枠体26の幅(水平)方向に伸びる長孔が設けられて空気入口22が、第1の屋根用枠体26の上端部(屋根11の頂上側の端部)には第1の屋根用枠体26の幅(水平)方向に伸びる長孔が設けられて空気出口31がそれぞれ形成されている。
更に、集熱装置12には、空気出口31と一体的に接続する集熱ダクト32が、集熱装置12が取付けられた屋根11に棟を挟んで配置される屋根33の頂上側に棟に沿って設けられている。また、集熱ダクト32の内面側には断熱材が取付けられ、屋根33に当接する集熱ダクト32の底面には第1の排出口34が、集熱ダクト32の下端部には第2の排出口35がそれぞれ設けられている。なお、屋根11、33のいずれもが太陽光で加熱される場合は、屋根11、33にそれぞれ集熱装置を取付け、集熱ダクトを屋根12、33のいずれか一方の頂上側又は棟部に設けるようにすることができる。
図3(A)、(B)に示すように、外壁部通気路21は、太陽光で加熱される外壁19の外壁下地層36の表面を覆うように取付けられた偏平箱型の外壁通気機構37を備え、外壁通気機構37は外壁下地層36に取付けられる調湿シート38と、調湿シート38を介して外壁下地層36の周囲に取付けられる壁用枠体39と、壁用枠体39の内側に壁用枠体39と実質的に同一厚みを有し上下方向に間隔を設けて平行に配置される複数の縦胴縁40と、壁用枠体39及び縦胴縁40の外側表面に取付けられる外壁仕上げ材41とを有している。そして、壁用枠体39の下端部には壁用枠体39の幅(水平)方向に伸びる長孔が設けられて空気取り入れ口20を形成し、壁用枠体39の上端部には壁用枠体39の幅(水平)方向に伸びる長孔が設けられて空気取り出し口42を形成している。更に、壁用枠体39の下端部の外側には空気取り入れ口20に進入する雨水を防ぐカバー部材43が建物基礎44の外周面と平行に取付けられている。ここで、調湿シート38とは、水蒸気は自由に通過させるが、水は通過させない特性を有するものを指す。
そして、集熱装置12の空気入口22と外壁部通気路21の空気取り出し口42とは、図4に示すように、軒下に設けられた接続通気路45を介して接続されている。ここで、接続通気路45は、軒下材46に取付けられ外壁下地層36に取付けられた調湿シート38の先端部及び野地板23上に配置された防水シート25の先端部を接続する調湿シート47と、調湿シート47から隙間を設けて配置され外壁仕上げ材41の上端及び薄鉄板28の先端を接続する軒下仕上げ材48とを有している。なお、接続通気路45内には、軒下仕上げ材48を支持する軒下補強材49が、水平方向に間隔を設けて平行に配置されている。
このような構成とすることにより、太陽光が屋根11に当たると、太陽光は透光性板30を通過して薄鉄板28に達して薄鉄板28を加熱する。このため、空気口22から屋根部通気路機構24内に流入した空気は、薄鉄板28に接触して加熱され、温度が上がった空気は上昇気流となって薄鉄板28と防水シート25の間の隙間を上昇し、空気出口31を通って集熱ダクト32内に流入する。そして、屋根部通気路機構24内での空気の流れに伴って、外壁部通気路21内の空気は屋根部通気路機構24内に移動し、外壁部通気路21内には空気取り入れ口20から外部の空気が進入するようになる。その結果、日照時に、空気取り入れ口20から取り入れた空気を外壁部通気路21を介して屋根部通気路機構24内に流入させ、屋根部通気路機構24内を通過させながら徐々に加熱し、温度が上昇した空気を集熱ダクト32内に集めることができる。
なお、外壁部通気路21を空気が通過することにより、外壁19の有する熱が空気により奪われるため、外壁19の温度の上昇が抑制され、特に、夏季では、ソーラシステムハウス10内への熱の流入を抑制することでソーラシステムハウス10内の温度上昇を抑えることができる。ここで、薄鉄板28と透光性板30の間には第2の屋根用枠体29(第2の補強部材29a)の厚みに相当する厚さの空気層が形成されているので、この空気層が断熱層として作用して薄鉄板28の表面から熱が逃げるのを防止する。このため、太陽が雲で遮られて太陽光が薄鉄板28に到達しない期間が存在しても、一度温まった薄鉄板28の温度が急激に低下するのを防止できる。
集熱ダクト32の第1の排出口34には、第1のダンパー14付きの吸気ダクト15の一側が接続され、吸気ダクト15の他側はチャンバーボックス53に接続している。そして、チャンバーボックス53にはエアコンディショナー15の図示しない空気取り入れ口が接続されている。また、チャンバーボックス53には、ソーラーシステムハウス10内の居室18の室内空気を取り入れる第2のダンパー54を備えた室内空気取り入れダクト55と、ソーラーシステムハウス10内に外部から空気を取り入れる外部空気取り入れダクト57がそれぞれ接続されている。更に、エアコンディショナー15の図示しない空気出口には、エアコンディショナー15から送り出される空気を、床下空間17及び居室18にそれぞれ輸送する床下送風路58及び居室送風路59を備えた送風ダクト16が連結されている。
ここで、図5に示すように、外部空気取り入れダクト57は、チャンバーボックス53から排気管61を介して排気した室内空気を一次側経路62に流し、外部空気吸気部63から吸気した外部空気を二次側経路64に流して相互に熱交換を行なわせる吸気機構(例えば、ファン)を一次側経路62及び二次側経路64にそれぞれ備えた熱交換器65を有している。そして、一次側経路62を通過した室内空気は放出管66を介して外部に排出され、二次側経路64を通過した外部空気は導入管56を介してチャンバーボックス53内に供給される。なお、一次側経路62及び二次側経路64にそれぞれ設けられた吸気機構は、建物内の総空気量(各居室18内及び床下空間17内の空気の総量)を少なくとも2時間で1回入れ換え可能となる吸気能力を有するものを使用する。
このような構成とすることにより、第1のダンパー13を開けて一次側経路62及び二次側経路64に設けられた各吸気機構を停止させると、チャンバーボックス53を介してエアコンディショナー15に集熱ダクト32内の加熱された空気を流入させることができ、集熱ダクト32内の空気の温度が居室18の暖房を行なうのに十分な温度である場合は、エアコンディショナー15の送風機能を稼動させ、床下送風路58及び居室送風路59を介して加熱された空気を床下空間17及び居室18にそれぞれ輸送して床下暖房及び居室暖房を行なうことができる。
太陽光が弱く集熱ダクト32内の空気の温度が暖房を行なうのに全く使用できない場合は、第1のダンパー13を閉じてエアコンディショナー15の暖房機能及び送風機能と、一次側経路62及び二次側経路64に設けられた各吸気機構をそれぞれ稼動させる。これによって、チャンバーボックス53内に導入管56を介して外部空気を流入させると共に、各居室18から取り入れてチャンバーボックス53内に流出させた建物内の空気の一部を排気管61を介して外部に放出してチャンバーボックス53内の空気の一部を入れ換えることができ、一部が外部空気で置き換えられたチャンバーボックス53内の空気をエアコンディショナー15に供給して加熱し、床下送風路58及び居室送風路59を介して加熱された空気を床下空間17及び居室18にそれぞれ輸送して床下暖房及び居室暖房を行なうことができる。その結果、室内空気をエアーコンディショナー15を用いて循環させながら、室内空気の一部を換気することができる。
ここで、チャンバーボックス53内の空気が排気管61を介して熱交換器65の一次側経路62に流入して放出管66を介して外部に排出される際、熱交換器65の二次側経路64内を通過してチャンバーボックス53に向かう外部空気との間で熱交換が行われて、チャンバーボックス53内には温度が上昇した外部空気が流入する。これによって、チャンバーボックス53内に外部空気が流入しても、チャンバーボックス53内の空気の温度が急激に低下するのが防止されると共に、エアコンディショナー15による暖房負担を低減することができる。
一方、外部空気の温度が居室18の冷房を行なうのに十分な温度である場合は、第1のダンパー13を閉じて一次側経路62及び二次側経路64に設けられた各吸気機構をそれぞれ稼動させると共に、エアコンディショナー15の送風機能を稼動させる。これによって、一部が外部空気で置き換えられて温度の低下したチャンバーボックス53内の空気をエアコンディショナー15に供給することができ、床下送風路58及び居室送風路59を介して温度の低下したチャンバーボックス53内の空気を床下空間17及び居室18にそれぞれ輸送して冷房を行なうことができる。なお、外部空気の温度が冷房を行なうのに不十分な温度である場合は、エアコンディショナー15の冷房機能と送風機能を稼動させる。
集熱ダクト32の第2の排出口35には、第3のダンパー67を備えた加熱空気取り出しダクト68が接続され、加熱空気取り出しダクト68の下流側には、水を温水にする温水製造手段69が接続されている。ここで、温水製造手段69は、加熱空気取り出しダクト68を介して集熱ダクト32から取り出した加熱された空気が通過する加熱空気経路70及び水が通過するコイル状の水加熱経路71を備えた熱交換器72と、熱交換器72の加熱空気経路70を通過した空気を屋外空間に排気する排熱ファン73を有している。更に、温水製造手段69には、熱交換器72の水加熱経路71の入口側に水を供給し出口側から流出する温水を貯留する、循環ポンプ(図示せず)を備えた給湯タンク74と、給湯タンク74の給湯口に給湯用ボイラー75を介して接続されソーラーシステムハウス10内で湯を必要とする各居室(例えば、台所、洗面所、浴室)まで湯を輸送する給湯配管76を備えた給湯装置77が設けられている。
このような構成とすることにより、熱交換器72の水加熱経路71に給湯タンク74内の水を循環させながら、第1のダンパー13を閉じ、第3のダンパー67を開けて排熱ファン73を運転することにより、熱交換器72の加熱空気経路70に集熱ダクト32内の加熱された空気を通過させながら水加熱経路71内を通過する水を加熱することができ、給湯タンク74内の水の温度を徐々に上げて給湯タンク74内に温水が貯留される状態にすることができる。そして、日照が十分な場合は、集熱ダクト32内に高温の加熱された外気を集めることができ、給湯タンク74内に温度の高い温水を貯留することができ、貯留されている温水を給湯配管76を介して供給することができる。また、日照が不十分な場合は、給湯タンク74に貯留される温水の温度は低くなるので、給湯用ボイラー75で加熱し温水の温度を上げて供給する。
続いて、本発明の一実施の形態に係るソーラシステムハウス10の作用について説明する。
図6、図7に示すように、日照が十分なときにソーラシステムハウス10の暖房を行なう場合は、先ず、吸気ダクト14の第1のダンパー13を開け、外部空気取り入れダクト57に設けられた熱交換器65の一次側経路62及び二次側経路64にそれぞれ設けられた吸気機構を停止させ、更に、加熱空気取り出しダクト68の第3のダンパー67を閉じる。そして、太陽光により集熱装置12が加熱されると、屋根部通気路機構24内の空気は上昇気流となって集熱ダクト32内に流入し、これに伴って外壁部通気路21内の空気は屋根部通気路機構24内に移動し、外壁部通気路21内には空気取り入れ口20から外部空気が流入するようになる。
集熱ダクト32内に加熱された空気が集まっている状態で、エアーコンディショナー15の送風機能を稼動させると、吸気ダクト14、チャンバーボックス53、送風ダクト16の床下送風路58及び居室送風路59を介して加熱された空気を床下空間17及び各居室18にそれぞれ輸送して暖房を行なうことができる。なお、床下空間17に輸送された空気は床下空間17から床を介して1階部分の居室18内に流入する。そして、建物自体は完全気密構造ではないので、各居室18内の空気は徐々に外部に流出する。また、各居室18の窓及びドアの開け閉めにより、居室18内の空気の外部への流出は更に促進される。このように、日照が十分なときのソーラシステムハウス10の暖房では、集熱装置12で加熱した外部の空気が建物内に常時流入しているので、暖房を行いながら建物内の換気が行われることになる。なお、湯が必要な場合は、給湯装置77の給湯タンク74に貯留される水を給湯用ボイラー75で加熱し温水として給湯配管76を介して供給する。
図8、図9に示すように、非日照時にソーラシステムハウス10の暖房を行なう場合、吸気ダクト14の第1のダンパー13を閉じ、外部空気取り入れダクト57に設けられた熱交換器65の一次側経路62及び二次側経路64にそれぞれ設けられた吸気機構を稼動させ、更に、室内空気取り入れダクト55の第2のダンパー54を開けて、エアーコンディショナー15の暖房機能と送風機能を稼動させる。これにより、室内空気取り入れダクト55及びチャンバーボックス53を介してエアーコンディショナー15の空気取り入れ口に流入させた居室18内の室内空気をエアーコンディショナー15で加熱して、送風ダクト16の居室送風路59により居室18内に供給して暖房を行なうことができる。
ここで、チャンバーボックス53内の空気の一部は、排気管61を介して熱交換器65の一次側経路62に流入し、一次側経路62に流入した空気は放出管66を介して外部に排出されるが、このとき外部空気吸気部63を介して熱交換器65の二次側経路64内を通過する外部空気との間で熱交換(一次側経路62を通過する室内空気の温度を下げて二次側経路64を通過する外部空気の温度を上げる)が行われる。これによって、チャンバーボックス53内の空気を外部に排出しながら温度の上がった外部空気をチャンバーボックス53内に供給することができ、暖房を行ないながら居室18内の換気を行なうことができる。外部空気の温度を上げてからチャンバーボックス53内に流入させるので、外部空気の流入に伴うチャンバーボックス53内の空気の温度低下幅を小さくすることができ、エアーコンディショナー15の負担を低く抑えることができる。
また、送風ダクト16の床下送風路58を用いて床下空間17にエアーコンディショナー15で加熱した空気を供給すれば、床下暖房を行なうことができる。なお、湯が必要な場合は、給湯装置77の給湯タンク74に貯留される水を給湯用ボイラー75で加熱し温水として給湯配管76を介して供給する。
図10、図11に示すように、夏季にソーラシステムハウス10の冷房を行なう場合、吸気ダクト14の第1のダンパー13を閉じ、外部空気取り入れダクト57に設けられた熱交換器65の一次側経路62及び二次側経路64にそれぞれ設けられた吸気機構を稼動させ、更に、室内空気取り入れダクト55の第2のダンパー54を開けて、エアーコンディショナー15の冷房機能と送風機能を稼動させる。これにより、これにより、室内空気取り入れダクト55及びチャンバーボックス53を介してエアーコンディショナー15の空気取り入れ口に流入させた居室18内の室内空気をエアーコンディショナー15で冷却して、送風ダクト16の居室送風路59により居室18内に供給して冷房を行なうことができる。
排気管61を介して、チャンバーボックス53内の空気の一部は熱交換器65の一次側経路62に流入し、一次側経路62に流入した空気は放出管66を介して外部に排出されるが、このとき外部空気吸気部63を介して熱交換器65の二次側経路64内を通過する外部空気との間で熱交換(一次側経路62を通過する室内空気の温度を上げて二次側経路64を通過する外部空気の温度を下げる)が行われる。これによって、チャンバーボックス53内の空気を外部に排出しながら温度の下がった外部空気をチャンバーボックス53内に供給することができ、冷房を行ないながら居室18内の換気を行なうことができる。外部空気の温度を下げてからチャンバーボックス53内に流入させるので、外部空気の流入に伴うチャンバーボックス53内の空気の温度上昇幅を小さくすることができ、エアーコンディショナー15の負担を低く抑えることができる。また、送風ダクト16の床下送風路58を用いて床下空間17にエアーコンディショナー15で冷却した空気を供給すれば、床下冷房を行なうことができる。
一方、太陽光により集熱装置12が加熱されると、屋根部通気路機構24内の空気は上昇気流となって集熱ダクト32内に流入し、これに伴って外壁部通気路21内の空気は屋根部通気路機構24内に移動し、外壁部通気路21内には空気取り入れ口20から外部空気が流入するようになる。このため、外壁部通気路21を空気が通過する際に外壁19に蓄熱された熱が持ち去られ、外壁19から居室18内への熱の貫入量が少なくなって冷房効率が上昇する。
そして、集熱ダクト32内に集められた加熱された空気を、第3のダンパー67を開けて、排熱ファン73を運転して熱交換器72の加熱空気経路70に流入させて通過させると、水加熱経路71内を流れている水との間で熱交換が行なわれ、給湯タンク74には温度の高くなった水が戻る。従って、熱交換器72の水加熱経路71に給湯タンク74内の水の循環を継続して行なうと、給湯タンク74内の水の温度が徐々に上昇して給湯タンク74内には温水が貯留されることになる。このため、湯が必要な場合は、給湯タンク74に貯留されている温水を給湯配管76を介して供給することができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明のソーラシステムハウスを構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
例えば、本実施の形態では、集熱装置、外壁部通気路をそれぞれ南向きの屋根及び外壁に設けたが、日当たりが確保できれば東向きや西向きの屋根及び外壁にそれぞれ集熱装置と外壁部通気路を設けることもできる。
また、第2の屋根用枠体及び第2の補強部材を薄鉄板の周囲に取付けたが、屋根の頂上から軒先側の少なくとも6〜7mの帯状領域の薄鉄板の上に第2の屋根用枠体及び第2の補強部材設け、この帯状領域を覆うように透光性板を設けるようにしてもよい。これによって、透光性板の設置面積を少なくして屋根部通気路機構の製作コストを低減することができる。なお、少なくとも6〜7mの帯状領域を透光性板で覆うようにしたのは、太陽が雲で遮られて集熱が停止しても薄鉄板を介しての熱の流出を抑えることができ、屋根部通気路の温度降下を少なくすることができるからである。
更に、チャンバーボックス内の空気を排気管を介して熱交換器の一次側経路に流入させるようにしたが、チャンバーボックスに接続する排気管を室内空気取り入れダクト55の下流側に接続し、室内空気取り入れダクト55内を通過する室内空気の一部を熱交換器の一次側経路に直接流入させるようにしてもよい。
本発明の一実施の形態に係るソーラシステムハウスの説明図である。 (A)、(B)はそれぞれ同ソーラシステムハウスの集熱装置の平断面図、側断面図である。 (A)、(B)はそれぞれ同ソーラシステムハウスの外壁部通気路の平断面図、側断面図である。 集熱装置と外壁部通気路を接続する接続通気路の側断面図である。 外部空気取り入れダクトの設けられた熱交換器の説明図である。 本発明の一実施の形態に係るソーラシステムハウスで日照時に暖房を行なう場合のフロー図である。 同ソーラシステムハウスで日照時に暖房を行なう場合の空気の流れを示す説明図である。 同ソーラシステムハウスで非日照時に暖房を行なう場合のフロー図である。 同ソーラシステムハウスで非日照時に暖房を行なう場合の空気の流れを示す説明図である。 同ソーラシステムハウスで夏季に冷房を行なう場合のフロー図である。 同ソーラシステムハウスで夏季に冷房を行なう場合の空気の流れを示す説明図である。
符号の説明
10:ソーラシステムハウス、11:屋根、12:集熱装置、13:第1のダンパー、14:吸気ダクト、15:エアコンディショナー、16:送風ダクト、17:床下空間、18:居室、19:外壁、20:空気取り入れ口、21:外壁部通気路、22:空気入口、23:野地板、24:屋根部通気路機構、25:防水シート、26:第1の屋根用枠体、27:第1の補強部材、28:薄鉄板、29:第2の屋根用枠体、29a:第2の補強部材、30:透光性板、31:空気出口、32:集熱ダクト、33:屋根、34:第1の排出口、35:第2の排出口、36:外壁下地層、37:外壁通気機構、38:調湿シート、39:壁用枠体、40:縦胴縁、41:外壁仕上げ材、42:空気取り出し口、43:カバー部材、44:建物基礎、45:接続通気路、46:軒下材、47:調湿シート、48:軒下仕上げ材、49:軒下補強材、53:チャンバーボックス、54:第2のダンパー、55:室内空気取り入れダクト、56:導入管、57:外部空気取り入れダクト、58:床下送風路、59:居室送風路、61:排気管、62:一次側経路、63:外部空気吸気部、64:二次側経路、65:熱交換器、66:放出管、67:第3のダンパー、68:加熱空気取り出しダクト、69:温水製造手段、70:加熱空気経路、71:水加熱経路、72:熱交換器、73:排熱ファン、74:給湯タンク、75:給湯用ボイラー、76:給湯配管、77:給湯装置

Claims (5)

  1. 屋根に設置した太陽光の集熱装置によって空気を加熱し、第1のダンパー付きの吸気ダクト、送風制御手段、及び送風ダクトを介して床下空間及び居室に加熱した空気を供給するソーラシステムハウスにおいて、
    外壁に、内部に広がって形成され下部に空気取り入れ口を備えた外壁部通気路を設け、該外壁部通気路の上部を前記集熱装置の空気入口に連結して、該外壁部通気路の上部から出る空気を該集熱装置に供給することを特徴とするソーラシステムハウス。
  2. 請求項1記載のソーラシステムハウスにおいて、前記送風制御手段としてエアコンディショナーを用い、該エアコンディショナーの空気取り入れ口に、前記吸気ダクト、第2のダンパーを備えた室内空気取り入れダクト、及び外部空気取り入れダクトを接続し、前記エアコンディショナーの空気出口は前記送風ダクトに連結されていることを特徴とするソーラシステムハウス。
  3. 請求項2記載のソーラシステムハウスにおいて、前記吸気ダクト、前記室内空気取り入れダクト、及び前記外部空気取り入れダクトは、共通のチャンバーボックスを介して前記エアコンディショナーの空気取り入れ口に接続されていることを特徴とするソーラシステムハウス。
  4. 請求項2及び3のいずれか1項に記載のソーラシステムハウスにおいて、前記外部空気取り入れダクトは熱交換器を有し、該外部空気取り入れダクト内を通過する外部空気と排気管を通過して外部に排出される室内空気との間で熱交換を行っていることを特徴とするソーラシステムハウス。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のソーラシステムハウスにおいて、前記集熱装置には、第3のダンパーを備えた加熱空気取り出しダクトを介して取り出された加熱空気と水との間で熱交換を行なって水を温水にする温水製造手段が接続されていることを特徴とするソーラシステムハウス。
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