近年、コンピュータなどの情報処理装置の普及が進み、その重要性は年々増している。しかしながら、情報処理装置が消費する電力は、商用交流電源から直接供給されることが多く、このため、商用交流電源に異常が発生すると(例えば、瞬間的な電圧の低下(瞬断)や突然の停電等が発生すると)、その時点で情報処理装置が処理していた情報が破損したり損失してしまう他、情報処理装置自身(例えば、内蔵するハードディスク等)が故障してしまう、といった不具合が発生することが多々ある。
そこで、近年、このような不具合の発生を回避するために、無停電電源装置(UPS:Uninterruptible Power Supply)の普及が進んでいる。UPSは、商用交流電源が正常である場合、商用交流電源からの電力を情報処理装置などの負荷機器に供給し、商用交流電源が異常である場合、その出力を切替えて、内蔵するバッテリからの電力を負荷機器に供給することができる。これにより、UPSが接続された負荷機器は、商用交流電源に異常が発生しても、UPS内のバッテリから供給される電力を使用することができるので、処理をそのまま続行することが可能になる。
なお、以下、UPSが商用交流電源など外部から供給される電力を負荷機器に供給することを商用給電とも称し、UPSが内蔵するバッテリからの電力を負荷機器に供給することをバックアップ給電とも称する。また、以下、UPSが商用給電していることを通常運転とも称し、UPSがバックアップ給電していることをバックアップ運転とも称する。さらに、以下、バックアップ運転(バックアップ給電)を行う時間をバックアップ時間とも称する。また、以下、商用交流電源など外部からUPSに供給される(入力される)電力を入力電力と称し、入力電力の電圧および電流を、それぞれ入力電圧および入力電流と称する。また、以下、UPSから負荷機器に供給する(出力する)電力を出力電力と称し、出力電力の電圧および電流を、それぞれ出力電圧および出力電流と称する。
また、UPSの普及に伴い、UPSの機能の多様化が進んでいる。
例えば、UPSへの入力電力の異常が発生した場合に、UPSとUPSに接続されている負荷機器とが連動して、負荷機器が自動的にシャットダウン処理を行うようにすることができる機能(以下、シャットダウン機能と称する)が普及してきている。
具体的には、UPSに内蔵されているバッテリはあくまでも予備電源であり、その電力供給能力には限りがある。すなわち、バッテリが、所定のレベル以上の電圧を出力することが可能な時間(以下、このような時間を、バックアップ可能時間と称する)には限りがある。このため、負荷機器は、このバックアップ可能時間以内に、これまで実行していた処理を停止させ、予め定められた手順に従って、自分自身の状態を稼動状態から電源が遮断されても可能な状態に遷移させる処理を実行する必要がある。このような一連の処理がシャットダウン処理である。なお、以下、シャットダウン処理を実行することを、シャットダウンする、または、シャットダウンを行うとも称する。
そして、UPSに接続されている負荷機器のうちコンピュータなどの情報処理装置に所定のプログラム(以下、UPS管理プログラムと称する)がインストールされ、UPS管理プログラムがインストールされている負荷機器と通信する機能がUPSに設けられる。UPSは、入力電力の異常を検出した場合、バックアップ運転を開始するとともに、バックアップ運転を開始したことを負荷機器に通知する。バックアップ運転の開始の通知を受けた負荷機器は、シャットダウン処理として、例えば、負荷機器が実行しているOS(Operating System)上で動作しているアプリケーションプログラムを終了させ、OSを終了させる。また、負荷機器は、シャットダウン処理を開始するとき、シャットダウン処理に要する時間(以下、シャットダウン時間とも称する)の経過後に給電を停止するように指示するコマンドをUPSに送信し、UPSは、そのコマンドに従って、負荷機器への給電を停止する。
また、UPSに接続されているコンピュータや一般事務機器のスケジュール運転をUPSにより行うことが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
さらに、停電が発生した場合、UPSに接続されている電子計算機などの負荷機器のOSが起動されてからUPSのバッテリの充電に必要な所定の時間が経過しているとき、バッテリによりバックアップできるぎりぎりの時間までバックアップ運転をした後、負荷機器のシャットダウンを行うとともに、バッテリの充電に必要な時間が経過していなくても、バッテリが満充電状態と判定されたとき、所定の遅延時間が経過した後、負荷機器のシャットダウンを行うことにより、短時間の停電によって負荷機器がシャットダウンされることを防ぐことが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、近年、UPSを内蔵した情報処理装置(例えば、コンピュータや各種の制御装置など)や、情報処理装置に内蔵することができる小型のUPSが普及してきている。
図1は、UPS11およびコンピュータ12を内蔵した情報処理装置3の構成の例を示すブロック図である。UPS11は、ブレーカ2を介して、交流電源1からの給電を受け、コンピュータ12への給電を行う。また、UPS11は、通信用のインタフェース21を備え、コンピュータ12は、インタフェース21にも接続されている。コンピュータ12は、UPS11からの給電の開始とともに、自動的に起動するように設定されている。また、コンピュータ12は、予めインストールされているUPS管理プログラムを実行することにより、シャットダウン処理を行う。
次に、図2のフローチャートを参照して、情報処理装置3の起動および停止処理を説明する。
ステップS1において、UPS11は、入力電力が正常な状態になったか否かを判定する。入力電力が正常な状態になったと判定されるまで、すなわち、入力電力の各種のパラメータ(例えば、電圧値、電流値など)がUPS11の許容範囲内になるまで、ステップS1の判定処理が繰り返し実行され、入力電力が正常な状態になったと判定された場合、処理はステップS2に進む。
ステップS2において、UPS11は、コンピュータ12への給電を開始する。
ステップS3において、UPS11からの給電の開始に伴い、コンピュータ12が起動する。
ステップS4において、UPS11は、入力電力が正常であるか否かを判定する。入力電力が正常であると判定されている場合、交流電源1からの電力が、ブレーカ2およびUPS11を介して、コンピュータ12に継続して供給される。
ステップS4において、入力電力が異常であると判定された場合、例えば、交流電源1が停電したり、ブレーカ2がオフされたり、入力電圧が所定の許容範囲外の値となった場合、処理はステップS5に進む。
ステップS5において、UPS11は、バックアップ運転を開始する。また、UPS11は、バックアップ運転の開始を通知する情報をコンピュータ12に供給する。
ステップS6において、UPS11は、復電したか否かを判定する。UPS11は、ステップS4において、入力電力の異常が検出されてから所定の時間内に入力電力が正常な状態に戻らなかった場合、復電しなかったと判定し、処理はステップS7に進む。
ステップS7において、コンピュータ12は、シャットダウンを行う。また、コンピュータ12は、シャットダウン時間の経過後に給電を停止するように指示するコマンドを、インタフェース21を介してUPS11に送信する。
ステップS8において、UPS11は、シャットダウン時間の経過後に、給電を停止する。その後、処理はステップS1に戻り、上述したステップS1以降の処理が実行される。
ステップS6において、入力電力の異常が検出されてから所定の時間内に入力電力が正常な状態に戻った場合、復電したと判定され、処理はステップS9に進む。
ステップS9において、UPS11は、バックアップ運転を停止し、通常運転を再開する。また、UPS11は、通常運転の再開を通知する情報をコンピュータ12に供給する。その後、処理はステップS4に戻り、上述したステップS4以降の処理が実行される。
ところで、情報処理装置3では、コンピュータ12の電源をオフする場合、UPS11からの給電を停止する必要がある。入力電力の状態が正常な場合、UPS11はコンピュータ12への給電を自動的に開始するため、ユーザは、ブレーカ2をオフにして、UPS11への入力電力の供給を停止し、入力電力の異常を意図的に発生させて、図2のステップS5乃至S8の処理を実行させることにより、コンピュータ12をシャットダウンさせるとともに、UPS11の給電を停止させる。このようにして、ユーザは、ブレーカ2をオフするだけで、コンピュータ12をシャットダウンするとともに、UPS11の給電を停止することができ、大変便利である。
特開平9−205739号公報
特開2001−197678号公報
以下、図を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図4は、本発明を適用したUPS103の一実施の形態を示すブロック図である。UPS103は、電力供給部121、CPU(Central Processing Unit)122、操作部123、記憶部124、内部電源生成回路125、リセット回路126、および、外部インタフェース(I/F)127を含むように構成される。
電力供給部121の入力側には、ブレーカ102を介して、交流電源101が接続され、出力側には、コンピュータなどの情報処理装置などにより構成される負荷機器104およびパーソナルコンピュータ(PC)105が接続されている。電力供給部121は、ブレーカ102がオンされ、入力電源である交流電源101が正常で、交流電源101から供給される入力電力が正常である場合、すなわち、入力電力の各種のパラメータ(例えば、電圧値、電流値など)がUPS103の許容範囲内である場合、交流電源101からの入力電力を負荷機器104およびPC105に供給する。これに対して、交流電源101に停電などの異常が発生したり、ブレーカ102がオフされたりして、入力電力に異常が発生した場合、すなわち、入力電力の各種のパラメータがUPS103の許容範囲外となった場合、電力供給部121は、内蔵するバッテリ135からの電力を負荷機器104およびPC105に供給する。
なお、電力供給部121の電力供給方式(すなわち、その構成)は、図4の例では、説明の簡略上、いわゆる常時商用給電方式とされているが、図4の例に限定されず、いわゆるラインインタラクティブ方式や、いわゆる常時インバータ方式といった様々な方式を適用することが可能である。また、負荷機器104およびPC105に正弦波により近い波形の電圧を印加できるよう、図示はしないが、フィルタ部等の、他の構成要素が設けられることもある。
電力供給部121は、電力検出回路131、スイッチ132、ライン133、充電回路134、バッテリ135、DC/DCコンバータ136、インバータ137、スイッチ138、および、スイッチ139を含むように構成される。
電力検出回路131は、例えば、検出抵抗等で構成され、入力電力の状態(例えば、電圧および電流の瞬時値など)を検出し、その検出結果を示すデータ(以下、入力電力データと称する)をCPU122に供給する。
スイッチ132は、例えば、リレーやコンタクタなどにより構成される。スイッチ132は、入力電圧が所定の範囲内である場合、自動的にオンし、入力電圧が所定の範囲外である場合、自動的にオフする。また、スイッチ132は、例えば、UPS103に故障が発生したり、入力電力に異常が発生した場合、CPU122の制御の基に、強制的にオフされる。
ライン133は、交流電源101からの電力を伝播するラインである。すなわち、後述するように、入力電力が正常である場合(すなわち、通常の場合)、CPU122の制御の基に、スイッチ138の入力がライン133側に切替えられ、交流電源101からの電力が、ライン133、スイッチ138、および、スイッチ139を介して、負荷機器104およびPC105に供給される。
充電回路134は、CPU122の制御の基に、交流電源101から印加される交流の入力電圧を、所定のレベルの直流電圧に変換して、バッテリ135に印加し、バッテリ135に充電電流を供給する。
バッテリ135は、入力電力に異常が発生した場合、負荷機器104およびPC105に電力を供給する予備電源(バックアップ電源)である。
DC/DCコンバータ136は、CPU122の制御の基に、バッテリ135の直流電圧を、所定の直流電圧に変換し、インバータ137に印加する。
インバータ137は、CPU122の制御の基に、DC/DCコンバータ136により印加される直流電圧を、交流電源101と同一の周波数、かつほぼ同一のレベルの交流電圧に変換し、スイッチ138、および、スイッチ139を介して、負荷機器104およびPC105に交流電圧を印加する(電力を供給する)。
スイッチ138は、上述したように、CPU122の制御の基に、その入力が切替えられる。すなわち、CPU122は、UPS103が稼動状態であって、かつ、入力電力に異常が発生している場合、スイッチ138の入力をインバータ137側に切替え、それ以外の場合、スイッチ138の入力をライン133側にする。
スイッチ139は、CPU122の制御の基に、その状態が切替えられる。すなわち、CPU122は、UPS103が稼動状態の場合、スイッチ139をオンにし、それ以外の場合、スイッチ139をオフにする。
CPU122は、電力検出回路131から供給される入力電力データ、操作部123を操作することによりユーザにより入力される各種の指令を示す情報、または、外部インタフェース127を介してPC105から送信されてくる各種の処理の実行を指令するためのコマンドに基づいて、UPS103の各部の動作を制御する。また、CPU122は、外部インタフェース127を介してPC105に、UPS103の状態(例えば、入力電力の状態、バックアップ運転の開始または終了など)を示す情報、および、各種の処理の実行を指令するためのコマンドを送信する。
操作部123は、例えば、スイッチやボタンなどにより構成され、ユーザがUPS103に各種の指令を入力するときに操作される。
記憶部124は、例えば、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性の記憶媒体により構成される。記憶部124は、ユーザにより設定された設定値などを記憶する。
内部電源生成回路125は、スイッチ138から出力される電力(UPS103の出力電力)、または、バッテリ135からの電力の供給を受け、CPU122を動作させるための電力を生成し、生成した電力をCPU122に供給する。
リセット回路126は、スイッチ138の出力側の電圧が印加され、印加される電圧が所定の値未満の場合、すなわち、入力電圧、または、インバータ137から出力される電圧が所定の値未満の場合、Lowレベルのリセット信号をCPU122に供給し、印加される電圧が所定の値以上の場合、CPU122へのリセット信号の供給を解除する。
外部インタフェース127は、PC105と通信を行う。外部インタフェース127は、CPU122から供給される情報やコマンドをPC105に供給し、PC105から送信されてくる情報やコマンドをCPU122に供給する。
なお、以下、負荷機器104およびPC105は、BIOS(Basic Input Output System)などの設定により、UPS103の給電の開始に伴い、自動的に起動するように設定されているものとする。
図5は、所定のプログラムを実行することによりCPU122により実現される機能の構成の例を示すブロック図である。CPU122がプログラムを実行することにより、入力電力監視部151、ユーザ指令取得部152、コマンド受信部153、給電制御部154、および、コマンド送信部155を含む機能が実現される。
入力電力監視部151は、電力検出回路131から供給される入力電力データに基づいて、交流電源101から供給される入力電力の状態を監視する。入力電力監視部151は、入力電力の状態を示す情報を給電制御部154、および、外部インタフェース127を介して、PC105に供給する。なお、入力電力監視部151は、停電などにより入力電力の供給が停止され、かつ、バッテリ135の容量がなく、内部電源生成回路125からCPU122への電力の供給が停止されている場合、リセット回路126からのリセット信号の供給の停止をトリガとして、入力電力の供給が再開されたことを検出する。
ユーザ指令取得部152は、ユーザが操作部123を操作することにより入力した各種の指令を示す情報を操作部123から取得する。また、ユーザ指令取得部152は、PC105などの外部の情報処理装置を用いてユーザにより入力される各種の指令を示すコマンドを外部インタフェース127を介して取得する。ユーザ指令取得部152は、取得した情報やコマンドを給電制御部154に供給する。
また、ユーザ指令取得部152は、ユーザによりUPS103の各種の設定値の設定が指令された場合、ユーザにより入力された設定値を記憶部124に記憶させる。それらの設定値の中には、例えば、最長バックアップ時間および出力遅延時間が含まれる。最長バックアップ時間とは、バックアップ運転(バックアップ給電)を継続して行う時間の上限である。また、出力遅延時間とは、UPS103が負荷機器104およびPC105への給電を停止している場合に入力電力が正常な状態となったとき、UPS103が負荷機器104およびPC105への給電の開始を遅延させる時間である。
コマンド受信部153は、外部インタフェース127を介して、PC105から送信されてくる各種のコマンドを受信する。コマンド受信部153は、受信したコマンドを給電制御部154に供給する。
給電制御部154は、図7および図8を参照して後述するように、入力電力監視部151から供給される入力電力の状態を示す情報、ユーザにより入力される各種の指令を示す情報、PC105から送信されてくる各種の処理の実行を指令するためのコマンド、または、記憶部124に記憶されている各種の設定値などに基づいて、負荷機器104およびPC105への給電を制御する。また、給電制御部154は、UPS103の状態を示す情報を、外部インタフェース127を介して、PC105に送信する。さらに、給電制御部154は、コマンド送信部153および外部インタフェース127を介して、PC105に各種のコマンドを送信する。
次に、図6乃至図8を参照して、UPS103により実行される処理を説明する。
まず、図6のフローチャートを参照して、UPS103により実行される設定処理を説明する。
ステップS101において、ユーザ指令取得部152は、UPS103の各種の設定値を設定して、設定処理は終了する。具体的には、ユーザは、操作部123を操作して、UPS103の各種の設定値の指令を入力する。操作部123は、ユーザにより入力された指令を示す情報をユーザ指令取得部152に供給する。ユーザ指令取得部152は、ユーザにより入力された設定値を示すデータを記憶部124に記憶させる。これらの設定値の中には、例えば、最長バックアップ時間、および、出力遅延時間が含まれる。
なお、PC105などを用いて、各種の設定値の設定を指令するコマンドを、外部インタフェース127を介して、ユーザ指令取得部152に送信することにより、UPS103の各種の設定値を設定するようにしてもよい。
次に、図7および図8のフローチャートを参照して、UPS103により実行される給電処理を説明する。なお、この処理は、例えば、ユーザが、ブレーカ102をオフの状態からオンにし、交流電源101からUPS103への入力電力の供給が開始されるともに、UPS103の図示せぬ電源スイッチがオンされたとき開始される。
ステップS121において、入力電力監視部151は、入力電力が正常な状態になったか否かを判定する。具体的には、入力電力監視部151は、電力検出回路131から供給される入力電力データに基づいて、入力電力が正常な状態になったか否かを判定する。なお、入力電力が正常な状態になったと判定されるまで、ステップS121の判定処理が繰り返し実行される。
ステップS121において、入力電力が正常な状態になったと判定された場合、例えば、停電などによる交流電源101の異常が解消され、正常な状態の入力電力の供給が開始された場合、処理はステップS122に進む。なお、入力電力監視部151は、停電などにより入力電力の供給が停止され、かつ、バッテリ135の容量がなく、内部電源生成回路125からのCPU122への電力の供給が停止されている場合、リセット回路126からのリセット信号の供給の解除をトリガとして、入力電力の供給が開始されたことを検出する。
ステップS122において、UPS103が起動する。具体的には、入力電力が正常な状態になることにより、スイッチ132がオンし、充電回路134に交流電源101からの交流の入力電圧が印加される。充電回路134は、給電制御部154の制御の基に、印加された入力電圧を所定のレベルの直流電圧に変換する。変換された直流電圧はバッテリ135に印加され、バッテリ135の充電が開始される。給電制御部154は、スイッチ138の入力をライン133側にする。
ステップS123において、給電制御部154は、記憶部124に記憶されている出力遅延時間を読み出す。
ステップS124において、給電制御部154は、出力遅延時間が設定されているか否かを判定する。給電制御部154は、読み出した出力遅延時間が0以外の値に設定されている場合、出力遅延時間が設定されていると判定し、処理はステップS125に進む。
ステップS125において、給電制御部154は、時間の計測を開始する。
ステップS126において、給電制御部154は、ステップS125において時間の計測を開始してから、出力遅延時間が経過したか否かを判定する。出力遅延時間が経過したと判定されるまで、ステップS126の判定処理が繰り返し実行され、ステップS126において、出力遅延時間が経過したと判定された場合、処理はステップS127に進む。
ステップS124において、出力遅延時間が設定されていないと判定された場合、ステップS125およびS126の処理はスキップされ、処理はステップS127に進む。
ステップS127において、UPS103は、給電を開始する。具体的には、給電制御部154は、スイッチ139をオンにする。これにより、交流電源101からの電力が、ブレーカ102、電力検出回路131、スイッチ132、ライン133、スイッチ138、および、スイッチ139を介して、負荷機器104およびPC105に供給される。
すなわち、出力遅延時間が設定されている場合、入力電力が正常な状態になってから出力遅延時間が経過した後に、通常運転による商用給電が開始される。これにより、UPS103が負荷機器104およびPC105への給電を停止してから、UPS103が給電を再開するまでの間に必ず出力遅延時間が確保される。従って、出力遅延時間を適切な値に設定することにより、例えば、負荷機器104またはPC105に補助電源が内蔵されていても、UPS103からの給電が停止してから再開されるまでの間に、補助電源の電圧が必ず所定の値以下となるようにすることができ、UPS103からの給電が再開されたときに、負荷機器104およびPC105を正常に再起動させることができる。また、図6のようなオンディレー回路41のような回路を新たに設けることなく、UPS103の操作部123を操作するだけで、UPS103の給電の開始を簡単に遅延させることができる。
なお、出力遅延時間が設定されていない場合、ステップS125およびS126の処理がスキップされるので、入力電力が正常な状態になった直後に通常運転による商用給電が開始される。
ステップS128において、UPS103からの給電の開始に伴い、負荷機器104およびPC105が起動する。
ステップS129において、入力電力監視部151は、電力検出回路131から供給される入力電力データに基づいて、入力電力が正常であるか否かを判定する。入力電力が正常であると判定された場合、処理はステップS130に進む。
ステップS130において、PC105は、ユーザによりシャットダウンが指令されたか否かを判定する。ユーザによりシャットダウンが指令されていないと判定された場合、処理はステップS129に戻り、ステップS129において、入力電力が異常であると判定されるか、ステップS130において、ユーザによりシャットダウンが指令されたと判定されるまで、ステップS129およびS130の判定処理が繰り返し実行される。この間、UPS103による商用給電が継続される。
ステップS130において、ユーザによりシャットダウンが指令されたと判定された場合、例えば、ユーザが、PC105の図示せぬ操作部を操作することによりシャットダウンを指令するコマンドを入力したり、図示せぬ外部の情報処理装置からPC105にシャットダウンを指令するコマンドを送信した場合、処理はステップS131に進む。
ステップS131において、PC105は、シャットダウンを行う。具体的には、PC105は、指定したシャットダウン時間が経過した後に給電を停止するとともに、入力電力の供給が一度停止してから再開されるまで給電を行わないように指令するコマンド(以下、マニュアル給電停止コマンドと称する)を、外部インタフェース127を介して、給電制御部154に送信する。なお、このシャットダウン時間は、負荷機器104およびPC105のシャットダウンに要する時間に基づいて、ユーザによりPC105に予め設定されている。また、PC105は、負荷機器104にシャットダウンを指令するコマンドを送信し、負荷機器104をシャットダウンさせる。さらに、PC105は、シャットダウン処理を行い、起動中のアプリケーションプログラムを終了させ、起動中のOSを終了させる。
ステップS132において、UPS103は、給電を停止する。具体的には、給電制御部154は、マニュアル給電停止コマンドを受信してから、マニュアル給電停止コマンドにより指定されたシャットダウン時間が経過したとき、スイッチ139をオフにして、UPS103から負荷機器104およびPC105への給電を停止する。これにより、負荷機器104およびPC105の電源がオフされる。
ステップS133において、給電制御部154は、給電を禁止する。具体的には、給電制御部154は、後述するステップS135において、給電の禁止を解除するまで、スイッチ139がオンされることを禁止することにより、UPS103からの給電を禁止する。これにより、ステップS132において給電を停止した後に、入力電力が正常な状態が継続しても、UPS103の給電が再開されないため、負荷機器104およびPC105の電源がオフされた状態が継続され、負荷機器104およびPC105が再起動することが防止される。
ステップS134において、入力電力監視部151は、入力電力の供給が停止されたか否かを判定する。入力電力の供給が停止されたと判定されるまで、ステップS134の判定処理が繰り返し実行され、ステップS134において、例えば、ユーザがブレーカ102をオフし、入力電力監視部151が、入力電力データに基づいて、入力電圧が所定の値以下となる状態が、誤検出を防ぐために所定の時間継続したことを検出した場合、入力電力の供給が停止されたと判定し、処理はステップS135に進む。
ステップS135において、給電制御部154は、給電の禁止を解除する。具体的には、入力電力監視部151は、入力電力の供給が停止されたことを示す情報を給電制御部154に供給する。給電制御部154は、スイッチ139がオンされることの禁止を解除する。
従って、マニュアル給電停止コマンドが入力された場合、ステップS132乃至S135の処理により、負荷機器104およびPC105への給電が停止されるとともに、入力電力の供給が一度停止されてから再開されるまで、負荷機器104およびPC105への給電が行われないように制御される。
その後、処理はステップS121に戻り、上述したステップS121以降の処理が実行される。
ステップS129において、入力電力が異常であると判定された場合、例えば、交流電源101に停電などの異常が発生したり、入力電圧が所定の範囲を超えて変動したり、ブレーカ102がオフされたりした場合、処理はステップS136に進む。
ステップS136において、UPS103は、バックアップ運転を開始する。具体的には、入力電力監視部151は、入力電力の異常が発生したことを通知する情報を給電制御部154、および、外部インタフェース127を介してPC105に供給する。給電制御部154は、DC/DCコンバータ136およびインバータ137の駆動を開始するとともに、スイッチ138の入力をインバータ137側に切替える。DC/DCコンバータ136は、給電制御部155の制御の基に、バッテリ135により印加される直流電圧を、所定の直流電圧に変換し、インバータ137に印加する。インバータ137は、給電制御部154の制御の基に、DC/DCコンバータ136により印加される直流電圧を、交流電源101と同一の周波数、かつほぼ同一のレベルの交流電圧に変換し、スイッチ138、および、スイッチ139を介して、負荷機器104およびPC105に交流電圧を印加する。すなわち、バックアップ運転によるバックアップ給電が開始される。給電制御部154は、バックアップ運転の開始を通知する情報を、外部インタフェース127を介してPC105に供給する。
ステップS137において、給電制御部154は、バックアップ時間の計測を開始する。また、給電制御部154は、記憶部124に記憶されている最長バックアップ時間を読み出す。
ステップS138において、入力電力監視部151は、復電したか否かを判定する。具体的には、入力電力監視部151は、電力検出回路131から供給される入力電力データに基づいて、入力電力の異常が継続していることを検出した場合、復電していないと判定し、処理はステップS139に進む。
ステップS139において、PC105は、シャットダウン待機時間が経過したか否かを判定する。シャットダウン待機時間とは、バックアップ運転が開始されてからPC105がシャットダウン処理を行うまでの間の時間であり、例えば、必要に応じて、ユーザがPC105にシャットダウン待機時間を予め設定しておく。PC105は、UPS103からバックアップ運転の開始を通知されてからシャットダウン待機時間がまだ経過していないと判定した場合、処理はステップS140に進む。また、PC105は、自動的にシャットダウン処理を行うように設定されていない場合、すなわち、シャットダウン待機時間が設定されていない場合も、シャットダウン待機時間が経過していないと判定し、処理はステップS140に進む。
ステップS140において、給電制御部154は、バックアップ運転を開始してから、最長バックアップ時間が経過したか否かを判定する。最長バックアップ時間が経過していないと判定された場合、処理はステップS138に戻り、ステップS138において、復電したと判定されるか、ステップS139において、シャットダウン待機時間が経過したと判定されるか、ステップS140において、最長バックアップ時間が経過したと判定されるまで、ステップS138乃至S140の判定処理が繰り返し実行される。この間、UPS103によるバックアップ給電が継続される。
ステップS140において、最長バックアップ時間が経過したと判定された場合、処理はステップS141に進む。
ステップS141において、UPS103は、給電を停止する。具体的には、給電制御部154は、スイッチ139をオフにし、スイッチ138の入力をライン133側に切替え、DC/DCコンバータ136およびインバータ137の駆動を停止し、UPS103から負荷機器104およびPC105への給電を停止する。これにより、負荷機器104およびPC105の電源がオフされる。
ステップS140およびS141の処理により、バックアップ運転を継続して行う時間の上限が最長バックアップ時間とされ、必要以上にバッテリが放電されることが防止される。また、ユーザは、バックアップ運転が開始されてから最長バックアップ時間が経過するまでの間に、負荷機器104およびPC105を手動でシャットダウンさせたり、負荷機器104およびPC105に電力を供給する電源を切替えたりするなどの対策を施すことができる。また、図2のオフディレー回路2のような回路を新たに設けたり、PC105と通信を行ったりすることなく、UPS103の操作部123を操作するだけで、UPS103の最長バックアップ時間を簡単に制御することができる。
その後、処理はステップS121に戻り、上述したステップS121以降の処理が実行される。
ステップS139において、シャットダウン待機時間が経過したと判定された場合、処理はステップS142に進む。
ステップS142において、PC105は、シャットダウンを行う。具体的には、PC105は、シャットダウン時間が経過した後に給電を停止するように指令するコマンド(以下、自動給電停止コマンドと称する)を、外部インタフェース127を介して、給電制御部154に送信する。また、PC105は、負荷機器104にシャットダウンを指令するコマンドを送信し、負荷機器104をシャットダウンさせる。さらに、PC105は、シャットダウン処理を行い、起動中のアプリケーションプログラムを終了させ、起動中のOSを終了させる。
ステップS143において、UPS103は、給電を停止する。具体的には、給電制御部154は、自動給電停止コマンドを受信してから、自動給電停止コマンドにより指定されたシャットダウン時間が経過したとき、ステップS141と同様の処理により、UPS103から負荷機器104およびPC105への給電が停止され、負荷機器104およびPC105の電源がオフされる。なお、この場合、上述したステップS134の判定処理は行われず、入力電力が正常な状態に戻ることにより、UPS103から負荷機器104およびPC105への給電が再開される。
その後、処理はステップS121に戻り、上述したステップS121以降の処理が実行される。
ステップS138において、入力電力監視部151は、電力検出回路131から供給される入力電力データに基づいて、入力電力が正常な状態に戻ったことを検出した場合、復電したと判定し、処理はステップS144に進む。
ステップS144において、UPS103は、バックアップ運転を停止し、通常運転を再開する。具体的には、入力電力監視部151は、入力電力が復電したことを示す情報を給電制御部154、および、外部インタフェース127を介してPC105に供給する。給電制御部154は、スイッチ138の入力をライン133側にし、DC/DCコンバータ136およびインバータ137の駆動を停止する。これにより、通常運転による商用給電が再開される。また、給電制御部154は、通常運転を再開したことを示す情報を、外部インタフェース127を介してPC105に供給する。
その後、処理は、ステップS129に戻り、上述したステップS129以降の処理が実行される。
このようにして、最長バックアップ時間を簡単に制御することができる。また、最長バックアップ時間を適切な値に設定することにより、負荷機器104およびPC105をシャットダウンする時間を十分に確保しつつ、短時間の入力電力の異常により負荷機器104およびPC105がシャットダウンされることを回避することができ、バッテリ135の無駄な放電を抑え、バッテリ135の早期劣化を防止することができる。
さらに、出力遅延時間を簡単に制御することができる。また、出力遅延時間を適切な値に設定することにより、UPS103が給電を開始したときに、負荷機器104またはPC105を確実に起動させることができる。
さらに、入力電力が正常な状態である場合でも、UPS103にバックアップ運転をさせることなく、負荷機器104およびPC105の電源を簡単かつ確実にオフさせることができる。従って、バッテリ135の無駄な放電を抑え、バッテリ135の早期劣化を防止することができる。
なお、本発明は、UPSを内蔵した情報処理装置にも適用することができる。図9は、UPS103を内蔵した情報処理装置201の構成の例を示す図である。CPU(Central Processing Unit)211は、ROM(Read Only Memory)212に記憶されているプログラム、または記録部218からRAM(Random Access Memory)213にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。なお、CPU211が実行するプログラムには、UPS管理プログラムが含まれる。RAM213にはまた、CPU211が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
CPU211、ROM212、およびRAM213は、バス214を介して相互に接続されている。このバス214にはまた、入出力インタフェース215も接続されている。
入出力インタフェース215には、ボタン、スイッチ、キーボードあるいはマウスなどで構成される入力部216、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)などのディスプレイ、並びにスピーカなどで構成される出力部217、ハードディスクなどで構成される記録部218、およびモデムやターミナルアダプタなどで構成される通信部219が接続されている。通信部219は、インターネットを含むネットワークを介して通信処理を行う。
入出力インタフェース215にはまた、必要に応じてドライブ220が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア221が適宜装着され、そこから読み出されたコンピュータプログラムが、記録部218にインストールされる。
入出力インタフェース215には、さらに、UPS103が接続される。UPS103は、入出力インタフェース215およびバス214を介して、CPU211に各種の情報やコマンドを供給したり、CPU211から各種の情報やコマンドを取得する。また、UPS103は、交流電源101からの入力電力を受け、図7および図8を参照して上述した処理に基づいて、情報処理装置201の各部に電力を供給する。
以上のように、外部から供給される入力電力を監視し、外部から所定のコマンドが入力された場合、負荷機器への給電を停止するとともに、入力電力の供給が一度停止されてから再開されるまで、負荷機器への給電を行わないように制御する場合には、無停電電源装置にバックアップ運転をさせることなく、無停電電源装置に接続されている負荷機器の電源を簡単かつ確実にオフすることができる。また、無停電電源装置のバッテリの早期劣化を防止することができる。
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
図10は、汎用のパーソナルコンピュータ900の内部の構成例を示す図である。CPU(Central Processing Unit)901は、ROM(Read Only Memory)902に記憶されているプログラム、または記録部908からRAM(Random Access Memory)903にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM903にはまた、CPU901が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
CPU901、ROM902、およびRAM903は、バス904を介して相互に接続されている。このバス904にはまた、入出力インタフェース905も接続されている。
入出力インタフェース905には、ボタン、スイッチ、キーボードあるいはマウスなどで構成される入力部906、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)などのディスプレイ、並びにスピーカなどで構成される出力部907、ハードディスクなどで構成される記録部908、およびモデムやターミナルアダプタなどで構成される通信部909が接続されている。通信部909は、インターネットを含むネットワークを介して通信処理を行う。
入出力インタフェース905にはまた、必要に応じてドライブ910が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア911が適宜装着され、そこから読み出されたコンピュータプログラムが、記録部908にインストールされる。
コンピュータにインストールされ、コンピュータによって実行可能な状態とされるプログラムを記録する記録媒体は、図10に示されるように、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini-Disc)(登録商標)を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア911により構成されるだけでなく、装置本体にあらかじめ組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているROM903または記録部908に含まれるハードディスクなどで構成される。
なお、本明細書において、プログラム格納媒体に格納されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。