JP2007033425A - ガスセンサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】被測定ガス中の特定ガス濃度を検知するセンサ素子2を内蔵してなるガスセンサ1。ガスセンサ1は、センサ素子2を二重に覆うと共に通気孔33を設けてなる素子カバー3を有する。素子カバー3は、内側に配されるインナーカバー31とインナーカバー31の外方を覆うアウターカバー32とを有する。インナーカバー31の外側表面312及びアウターカバー32の内側表面321及び外側表面322の少なくともいずれかは、水分との濡れ性を向上させる親水膜(多孔質体4)によって構成されている。
【選択図】図1
Description
上記ガスセンサ9は、ジルコニア等からなる固体電解質体を用いたセンサ素子92を内蔵していると共に、このセンサ素子92をカバーする素子カバー93を有している。素子カバー93は、ステンレス鋼等の金属からなり、排気ガスGを通過させる通気孔933を有している。
ところで、内燃機関の低温始動時等において、排気ガス中に含まれる水分などが、停止時に冷えた排気管の内壁面に触れて水滴となり、凝縮することがある。
水滴が付着した状態で内燃機関を始動した場合、特に始動直後の排気ガス温度が低い場合は、凝縮水が気化することなく排気ガスによって吹き飛ばされ、排気ガスGと共に素子カバー93の内部に侵入する。
そのため、素子カバー93の内側に侵入した水滴がセンサ素子の表面に付着した場合、熱衝撃により、センサ素子92に割れ(被水割れ)が発生するおそれがある。
しかし、図14に示すごとく、水滴Wがアウターカバー932の外側表面934に付着したとき、この外側表面934を伝って水滴Wが通気孔933まで移動して、アウターカバー931の内部に侵入する。そして、更に、水滴Wがインナーカバー931の外側表面936やアウターカバー932の内側表面935を伝って、インナーカバー931の通気孔933まで移動して、インナーカバー931の内部に侵入することがある。これにより、この水滴Wがセンサ素子92に付着して、被水割れが生ずるおそれがある。
ところが、センサ素子92の表面に保護層94を設けると、被測定ガス(排気ガス)が、センサ素子92のセンシング部に達する時間が長くなり、ガスセンサ9の応答性が低下するおそれがある。また、センサ素子92の熱容量が大きくなるため、活性時間が長くなるおそれもある。
しかし、この場合にも、被測定ガス(排気ガス)が素子カバー93の内部に侵入してセンサ素子920に達するまでに時間がかかり、ガスセンサ90の応答性が低下するおそれがある。
該ガスセンサは、上記センサ素子を覆うと共に通気孔を設けてなる素子カバーを有し、
該素子カバーは、水分との濡れ性を向上させる親水膜を表面に形成してなることを特徴とするガスセンサにある(請求項1)。
上記素子カバーは、水分との濡れ性を向上させる親水膜を表面に形成してなる。そのため、ガスセンサの使用時において、被測定ガスと共にガスセンサに到達する水滴が素子カバーに付着しても、該素子カバーの内部に侵入することを防ぐことができる。
ここで、素子カバーの表面を親水膜によって構成することにより、親水膜の濡れ性(親水性、吸水性)によって、素子カバーに付着した水滴の移動を防ぎ、保持することができる。
これにより、センサ素子への水滴の付着を防ぐことができ、センサ素子の被水割れを防止することができる。
また、上記素子カバーの濡れ性が高いため素子カバーに付着した水滴を素早く蒸発させることができる。即ち、素子カバーの表面の濡れ性が低いと(撥水性が高いと)、素子カバーの熱を受けても、水滴はその表層のみが気化して水蒸気に包み込まれるという膜沸騰現象が起こり、水滴全体が気化するまでの時間が延びてしまうという問題がある。これに対し、本発明のように、素子カバーの表面の濡れ性を高くすることにより、上記膜沸騰現象を防いで、付着した水滴を素早く蒸発させることができ、センサ素子への水滴の付着を防ぐことができる。
該ガスセンサは、上記センサ素子を覆うと共に通気孔を設けてなる素子カバーを有し、
該素子カバーは、水分との濡れ性を向上させる加工処理を表面に施して表面改質してなることを特徴とするガスセンサにある(請求項9)。
該ガスセンサは、上記センサ素子を覆うと共に通気孔を設けてなる素子カバーを有し、
該素子カバーは、対水接触角が70度以下の濡れ性を有する無機の多孔質体からなることを特徴とするガスセンサにある(請求項16)。
本発明の場合にも、上記第1の発明と同様に、センサ素子の被水割れを防止すると共に応答性に優れたガスセンサを提供することができる。
特に、上記素子カバーが対水接触角が70度以下の濡れ性を有するため、素子カバーに付着した水滴の移動を充分に防ぐと共に、上記膜沸騰現象を充分に防ぐことができる。
該ガスセンサは、上記センサ素子を二重に覆うと共に通気孔を設けてなる素子カバーを有し、該素子カバーは、内側に配されるインナーカバーと該インナーカバーの外方を覆うアウターカバーとを有し、
上記インナーカバーの外側表面及び上記アウターカバーの内側表面及び外側表面の少なくともいずれかは、対水接触角が70度以下の濡れ性を有することを特徴とするガスセンサにある(請求項17)。
上記ガスセンサにおいては、上記インナーカバーの外側表面及び上記アウターカバーの内側表面及び外側表面の少なくともいずれかが、対水接触角が70度以下の濡れ性を有する。そのため、ガスセンサの使用時において、被測定ガスと共にガスセンサに到達する水滴が素子カバーに付着しても、該素子カバーの内部に侵入することを防ぐことができる。
また、上述した水滴の通り道であるアウターカバーの内側表面あるいはインナーカバーの外側表面の濡れ性を対水接触角が70度以下とすることにより、水滴の移動経路の途中において水滴の移動を止め、保持することができる。
これにより、センサ素子への水滴の付着を防ぐことができ、センサ素子の被水割れを防止することができる。
また、上記素子カバーの濡れ性が高いため、素子カバーに付着した水滴の膜沸騰現象を防いで、該水滴を素早く蒸発させることができる。
上記ガスセンサよりも上記排ガスの上流側の排気管の内壁面に、対水接触角が70度以下の濡れ性を有する親水膜を形成してあることを特徴とする内燃機関の排気管構造にある(請求項26)。
本発明によれば、上記排気管内を流れる排ガス中の水分が、ガスセンサに達する前に、排気管の内壁面に付着すると共に保持される。更に、内壁面に付着した水分は、排気管の熱によって素早く蒸発する。これにより、ガスセンサのセンサ素子への水分の付着を防ぎ、センサ素子の被水割れを防ぐことができる。
以上のごとく、本発明によれば、センサ素子の被水割れを防止する内燃機関の排気管構造を提供することができる。
上記ガスセンサよりも上記排ガスの上流側の排気管の内壁面に、対水接触角が70度以下の濡れ性を確保する加工処理を施して表面改質してあることを特徴とする内燃機関の排気管構造にある(請求項27)。
本発明の排気管構造においても、排気管の内壁面における水分との濡れ性が優れている。そのため、第6の発明によれば、上記第5の発明と同様に、センサ素子の被水割れを防止すると共に応答性に優れたガスセンサを提供することができる。
また、上記センサ素子は、例えば、ジルコニア等からなる固体電解質体の一方の面と他方の面とに基準ガス側電極及び被測定ガス側電極とを設けてなる。
この場合には、素子カバーを二重としたことにより、水滴がセンサ素子に付着することをより効果的に防ぐことができる。また、インナーカバーの外側表面に親水膜を形成してあることにより、アウターカバーとインナーカバーとの間に水滴が浸入したとき、インナーカバーの外側表面に形成された親水膜によって、水滴の移動を阻止することができる。そして、この水滴を素子カバーの熱によって蒸発させることができる。その結果、水滴がインナーカバーの内側に浸入することを防ぎ、センサ素子に付着することを効果的に防ぐことがででる。
この場合には、アウターカバーとインナーカバーとの間に浸入した水滴の移動を、アウターカバーの内側表面に形成された親水膜によっても阻止することができる。そのため、一層確実に、インナーカバーの内側への水滴の浸入を防ぐことができる。
この場合には、素子カバーの表面の濡れ性を充分に確保し、素子カバーに付着した水滴の移動及び膜沸騰現象を効果的に抑制して、センサ素子の被水割れを効果的に防止することができる。
上記対水接触角が70度を超える場合には、素子カバーの内側への水滴の移動や水滴の膜沸騰現象を充分に抑制することが困難となるおそれがある。
この場合には、素子カバーに付着した水滴の移動及び膜沸騰現象を一層効果的に抑制して、センサ素子の被水割れを一層効果的に防止することができる。
この場合には、容易に素子カバーの表面の濡れ性を向上させることができる。また、無機膜とすることにより、親水膜の耐熱性を確保することができる。
上記多孔質体としては、例えば、アルミナを主原料とした多孔質の厚膜を、素子カバーの表面に塗布することにより形成したセラミック多孔体とすることができる。また、上記多孔質体として、溶射膜、焼結金属、酸化膜等とすることもできる。
気孔率が4%未満であると、吸水効果が少ないという問題があり、50%より大きくなっても孔が多くなりすぎて水を保持し難くなり、同様に吸水効果が少なくなるという問題がある。
膜厚が50μm未満であると、吸水効果が少ないという問題があり、500μmより厚い場合は、素子カバーが厚くなり熱容量が増加して、素子カバーの温度が上がり難くなり、付着した水が蒸発し難くなるという問題がある。
この場合には、親水膜を容易に形成することができる。
この場合には、親水膜を容易かつ確実に形成することができる。
また、上記加熱処理は、例えば、800〜900℃の温度にて行うことができる。
この場合には、素子カバーを二重としたことにより、水滴がセンサ素子に付着することをより効果的に防ぐことができる。また、インナーカバーの外側表面を上記のごとく表面改質してあることにより、アウターカバーとインナーカバーとの間に水滴が浸入したとき、インナーカバーの外側表面によって、水滴の移動を阻止することができる。そして、この水滴を素子カバーの熱によって蒸発させることができる。その結果、水滴がインナーカバーの内側に浸入することを防ぎ、センサ素子に付着することを効果的に防ぐことがででる。
この場合には、アウターカバーとインナーカバーとの間に浸入した水滴の移動を、アウターカバーの内側表面によっても阻止することができる。そのため、一層確実に、インナーカバーの内側への水滴の浸入を防ぐことができる。
この場合には、素子カバーの表面の濡れ性を充分に確保し、素子カバーに付着した水滴の移動及び膜沸騰現象を効果的に抑制して、センサ素子の被水割れを効果的に防止することができる。
この場合には、素子カバーに付着した水滴の移動及び膜沸騰現象を一層効果的に抑制して、センサ素子の被水割れを一層効果的に防止することができる。
この場合には、素子カバーの水分との濡れ性を向上させる表面改質を容易に行うことができる。
上記機械的な加工処理としては、例えば、ショットブラスト、バレル研磨等がある。
この場合にも、素子カバーの水分との濡れ性を向上させる表面改質を容易に行うことができる。
上記電気化学的な加工処理としては、例えば、化学研磨、電解研磨等がある。
また、第4の発明(請求項17)において、対水接触角70度以下の濡れ性を有する領域は、インナーカバーの外側表面、アウターカバーの内側表面、或いは外側表面の全体に形成してもよいし、部分的に形成してもよい。上記領域を部分的に形成する場合には、通気孔の周囲に形成することが好ましい。
この場合には、インナーカバーとアウターカバーとの間の隙間において、水滴の移動を抑制すると共に、蒸発を促進することができる。
また、アウターカバーの通気孔とインナーカバーの通気孔との間において、アウターカバーの内側表面とインナーカバーの外側表面の少なくとも一方に、対水接触角70度以下の濡れ性を有する領域を形成することが好ましい。この場合には、該領域を確実に、水滴の流通経路上に形成することができ、素子カバー内への侵入を確実に防止することができる。
この場合には、インナーカバーとアウターカバーとの間の隙間において、水滴の移動を抑制すると共に、蒸発を促進することができる。
この場合には、容易に素子カバーの表面の濡れ性を向上させることができる。また、無機の多孔質体とすることにより、多孔質体の耐熱性を確保することができる。
上記多孔質体としては、例えば、アルミナを主原料とした多孔質の厚膜を、素子カバーの表面に塗布することにより形成することができる。
気孔率が4%未満であると、吸水効果が少ないという問題があり、50%より大きくなっても孔が多くなりすぎて水を保持し難くなり、同様に吸水効果が少なくなるという問題がある。
膜厚が50μm未満であると、吸水効果が少ないという問題があり、500μmより厚い場合は、素子カバーが厚くなり熱容量が増加して、素子カバーの温度が上がり難くなり、付着した水が蒸発し難くなるという問題がある。また、多孔質体をインナーカバーの外側、アウターカバーの内側に同時に構成した場合、カバー間のクリアランスが狭くなり応答性が低下するおそれがあるという問題がある。
この場合にも、容易に素子カバーの表面の濡れ性を向上させることができる。
この場合には、上記多孔質体を容易に形成することができる。
この場合には、耐久性、耐熱性に優れた素子カバーを得ることができる。
この場合には、インナーカバー内燃機関への水滴の侵入を一層確実に防止し、センサ素子の被水割れをより効果的に防止することができる。
この場合には、耐久性に優れた多孔質体を容易に得ることができる。
また、上記焼結金属としては、例えば、ステンレス鋼等の焼結金属を用いることができる。
本発明の実施例にかかるガスセンサにつき、図1、図2を用いて説明する。
本例のガスセンサ1は、図1に示すごとく、被測定ガス中の特定ガス濃度を検知するセンサ素子2を内蔵してなる。
ガスセンサ1は、センサ素子2を二重に覆うと共に通気孔33を設けてなる素子カバー3を有する。該素子カバー3は、内側に配されるインナーカバー31と該インナーカバー31の外方を覆うアウターカバー32とを有する。
インナーカバー31及びアウターカバー32は、ステンレス鋼からなり、多孔質体4は、ステンレス鋼の溶射膜からなる。
即ち、上記インナーカバー31及びアウターカバー32は、ステンレス鋼の圧延材をプレス成形した後、それらの外周表面312、322に、ステンレス鋼を溶射することにより、溶射膜からなる多孔質体4を形成する。
多孔質体4は、気孔率が5%であり、膜厚が100μmである。
また、上記多孔質体4は、対水接触角が70度以下の濡れ性を有している。
センサ素子2は、ジルコニアを主成分とする固体電解質体の一方の面と他方の面とに基準ガス側電極及び被測定ガス側電極とを設けてなる(図示略)。また、センサ素子2には、ヒータが内蔵されており(図示略)、ガスセンサ1の使用時において、センサ素子2を400℃以上の高温に加熱して、活性状態とする。
上記ガスセンサ1は、インナーカバー31の外側表面312及びアウターカバー32の外側表面322を、対水接触角70度以下の濡れ性を有する親水膜としての多孔質体4によって構成している。そのため、ガスセンサ1の使用時において、被測定ガス(排気ガス)Gと共にガスセンサ1に到達する水滴が素子カバーに付着しても、該素子カバー3の内部に侵入することを防ぐことができる。
また、上述した水滴Wの通り道であるインナーカバー31の外側表面312を多孔質体4によって構成することにより、水滴Wの移動経路の途中において水滴Wの移動を止め、保持することができる。
これにより、センサ素子3への水滴Wの付着を防ぐことができ、センサ素子2の被水割れを防止することができる。
また、上記素子カバー3の濡れ性が高いため素子カバー3に付着した水滴Wを素早く蒸発させることができる。即ち、素子カバー3の表面の濡れ性が低いと(撥水性が高いと)、素子カバー3の熱を受けても、水滴Wはその表層のみが気化して水蒸気に包み込まれるという膜沸騰現象が起こり、水滴W全体が気化するまでの時間が延びてしまうという問題がある。これに対し、本例のように、素子カバー3の表面の濡れ性を高くすることにより、上記膜沸騰現象を防いで、付着した水滴Wを素早く蒸発させることができ、センサ素子2への水滴Wの付着を防ぐことができる。
本例は、図3、図4に示すごとく、本発明の作用効果の確認試験を行った例である。
まず、本発明品として、上記実施例1に示したガスセンサ1を用意した。一方、従来品として、多孔質体4を設けていないガスセンサを用意した。
そして、これらのガスセンサについて、図3、図4に示すごとく、センサ素子への水分付着の抑制効果を評価した。
次いで、屈曲部511を挟んで上記ガスセンサ1の配設部分とは反対側から、配管51に空気Aを打ち込む。この空気Aの打ち込み圧力は、内燃機関を4300rpmにて運転したときの排気ガスの圧力に相当する圧力とする。
この試験は、配管51内への水W0の注入量を、1ml、3ml、5ml、10ml、20mlと変化させて行った。
測定結果を図4に示す。図4において、本発明品についての測定値を●にてプロットし、従来品についての測定値を□にてプロットする。
この結果から、本発明によれば、センサ素子への水分の付着を大きく抑制することができることが分かる。
本例は、図5に示すごとく、本発明のガスセンサの活性時間を測定した例である。
本発明のガスセンサとしては、実施例1に示したガスセンサ1を用いた。また、比較として、図15に示す、センサ素子92に保護層94を設けた従来のガスセンサ9についても活性時間を測定した。
測定結果を図5に示す。
この結果から、本発明によれば、活性時間を充分に短縮することができることが分かる。
本例は、図6、図7に示すごとく、本発明のガスセンサの応答性につき評価した例である。
本発明品としては、実施例1に示したガスセンサ1を用いた。また、比較として、図15に示す、センサ素子92に保護層94を設けた従来のガスセンサ9についても応答性の評価を行った。
同図より分かるように、63%応答時間が、従来品については180m秒であったのに対し、本発明品については130m秒と大きく短縮されている。
この結果から、本発明にかかるガスセンサ1は、応答性に優れていることが分かる。
本例は、図8に示すごとく、素子カバー3のうちアウターカバー32の外側表面322と内側表面321とに多孔質体4を形成したガスセンサ1の例である。
本例のガスセンサ1においては、インナーカバー31には、多孔質体4を設けていない。
その他は、実施例1と同様である。
なお、インナーカバー31とアウターカバー32との間の間隔は、例えば0.5〜2mmと小さいため、水滴が両者の間に入った場合には、インナーカバー31とアウターカバー32との双方に接触した状態となりやすい。そして、アウターカバー32の内側表面321に多孔質体4が形成されているため、その親水性、吸水性によって水滴はこの多孔質体4に吸着して、その移動が阻止されることとなる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
本例は、図9に示すごとく、素子カバー3の全体を多孔質体4によって構成したガスセンサ1の例である。
即ち、インナーカバー31及びアウターカバー32が、焼結金属の多孔質体4によって形成されている。
その他は、実施例1と同様であり、実施例1と同様の作用効果を有する。
本例は、素子カバー3の表面に形成する親水膜としての多孔質体4を、酸化膜によって構成した例である。
即ち、酸化炉を用いて、ステンレス鋼からなるインナーカバー31及びアウターカバー32を大気中にて800〜900℃の温度にて加熱処理することによって、表面にステンレス鋼の酸化膜を形成する。
また、本例の場合には、インナーカバー31及びアウターカバー32の内側面と外側面の双方に、酸化膜が形成される。また、インナーカバー31及びアウターカバー32のいずれか一方にのみ酸化膜を形成してもよい。
その他は、実施例1と同様である。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
なお、素子カバー3の表面に形成する多孔質体4としては、上述した溶射膜(実施例1)、酸化膜の他に、アルミナ等からなるセラミック多孔体や焼結金属等を用いることもできる。
本例は、水分との濡れ性を向上させる加工処理を表面に施して表面改質してなる素子カバー3を用いたガスセンサ1の例である。
即ち、実施例1のように素子カバー3の表面に膜を形成するのではなく、機械的な加工処理、或いは電気化学的な加工処理を施す。
上記機械的な加工処理としては、例えば、ショットブラスト、バレル研磨等がある。また、上記電気化学的な加工処理としては、例えば、化学研磨、電解研磨等がある。
その他は、実施例1と同様である。
本例のガスセンサにおいても、素子カバー3の表面における水分との濡れ性を向上させている。そのため、本例の場合にも、実施例1と同様の作用効果を有する。
本例は、図10に示すごとく、断面略U字状のいわゆるコップ型のガスセンサ素子2を有するガスセンサ1の例である。
そして、ガスセンサ素子2の内側にはセラミックヒータ21が配設されている。
また、素子カバー3を含めた他の構成については、実施例1と同様である。
本例の場合にも、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
本例は、図11に示すごとく、ガスセンサ10を配設した内燃機関の排気管6のうち、ガスセンサ10よりも排ガスGの上流側の排気管6の内壁面61に、対水接触角が70度以下の濡れ性を有する親水膜として多孔質体4を形成した例である。
上記多孔質体4としては、例えば、酸化膜、溶射膜、焼結金属、セラミック多孔体等を用いることができる。
なお、本例におけるガスセンサ10は、素子カバーの表面の水分との濡れ性を向上させる処理を施す必要は特になく、従来と同様のものを用いることができる。勿論、実施例1〜9に示す本発明のガスセンサ1を用いてもよい。
以上のごとく、本例によれば、センサ素子の被水割れを防止する内燃機関の排気管構造を提供することができる。
本例は、図12に示すごとく、ガスセンサにおける素子カバーの表面の対水接触角と、センサ素子への被水との関係を調べた例である。
試料として用いたガスセンサの基本構成は、実施例1に示したとおりであり、素子カバーの表面状態を種々変更することにより、対水接触角の異なる5種類の素子カバーをそれぞれ有するガスセンサを用意した。
対水接触角は、協和界面科学(株)製のドロップマスターを用いて測定した。計測に当たっては、素子カバーに付着した水滴の付着面における頂面に対して、ドロップマスターを水平にした状態で計測した。また、インナーカバーにおける、アウターカバーの通気孔に対向する位置とインナーカバーの通気孔との間の領域の中から、任意の3点で測定した結果の平均値を、当該ガスセンサの素子カバーの対水接触角として採用した。
また、内燃機関としては3000ccのガソリンエンジンを使用し、回転数1000〜3000rpmにて1分間運転した。また、エンジンとセンサとの間の排気管に、排気管の外部から内部に連通する管を設けて、その管を介して外部から10ccの水をセンサの上流に注入し、凝縮水が発生する低温始動時と同じ状態を作り出し実験を行った。
また、この被水の試験は、1水準につき5回行い、最も被水痕割合の大きいデータを採用した。測定結果を図12に示す。
本例は、図13に示すごとく、水との濡れ性が互いに異なる2種類のインコネル板試験片を加熱した状態において、試験片に付着させた水滴が残存する時間を測定した例である。上記2種類のインコネル板試験片としては、対水接触角90度のインコネル板試験片と、対水接触角65度のインコネル板試験片とを用いた。
即ち、種々の温度に加熱した上記各試験片の上に、5μLの水滴を滴下したとき、水滴が気化して消滅するまでの時間を測定した。
測定結果を図13に示す。対水接触角90度の試験片のデータを●にて示し、対水接触角65度の試験片のデータを○にて示す。
それ故、内燃機関の始動時に、ガスセンサの素子カバーの温度が100〜300℃となることを考慮すると、素子カバーの対水接触角が90度と大きい場合には、水滴が表面に長時間残りやすいが、対水接触角を65度と小さくすることにより、水滴を素早く気化させることができるといえる。
本例の結果から、素子カバーの表面の濡れ性を良くする(対水接触角を小さくする)ことにより、上記膜沸騰現象を防いで、付着した水滴を素早く蒸発させることができ、センサ素子への水滴の付着を防ぐことができることが分かる。
また、上記各実施例においては、インナーカバー31とアウターカバー32とからなる二重構造の素子カバー3を用いた例を示したが、本発明は、これに限らず、例えば一重の素子カバー3を用いたガスセンサにも適用することができる。
2 センサ素子
3 素子カバー
31 インナーカバー
312 外側表面
32 アウターカバー
321 内側表面
322 外側表面
33 通気孔
4 多孔質体
Claims (27)
- 被測定ガス中の特定ガス濃度を検知するセンサ素子を内蔵してなるガスセンサにおいて、
該ガスセンサは、上記センサ素子を覆うと共に通気孔を設けてなる素子カバーを有し、
該素子カバーは、水分との濡れ性を向上させる親水膜を表面に形成してなることを特徴とするガスセンサ。 - 請求項1において、上記素子カバーは、二重構造となっており、内側に配されるインナーカバーと該インナーカバーの外方を覆うアウターカバーとを有し、上記インナーカバーの外側表面に上記親水膜を形成してあることを特徴とするガスセンサ。
- 請求項2において、上記親水膜は、上記アウターカバーの内側表面にも形成してあることを特徴とするガスセンサ。
- 請求項1〜3のいずれか一項において、上記親水膜は、対水接触角が70度以下の濡れ性を有することを特徴とするガスセンサ。
- 請求項4において、上記親水膜は、対水接触角が60度以下の濡れ性を有することを特徴とするガスセンサ。
- 請求項1〜5のいずれか一項において、上記親水膜は、無機の多孔質体からなることを特徴とするガスセンサ。
- 請求項1〜6のいずれか一項において、上記親水膜は、金属製の上記素子カバーの表面に形成される酸化膜からなることを特徴とするガスセンサ。
- 請求項7において、上記親水膜は、上記素子カバーを大気中にて加熱処理することによって形成される上記酸化膜からなることを特徴とするガスセンサ。
- 被測定ガス中の特定ガス濃度を検知するセンサ素子を内蔵してなるガスセンサにおいて、
該ガスセンサは、上記センサ素子を覆うと共に通気孔を設けてなる素子カバーを有し、
該素子カバーは、水分との濡れ性を向上させる加工処理を表面に施して表面改質してなることを特徴とするガスセンサ。 - 請求項9において、上記素子カバーは、二重構造となっており、内側に配されるインナーカバーと該インナーカバーの外方を覆うアウターカバーとを有し、上記インナーカバーの外側表面に水分との濡れ性を向上させる加工処理を施して表面改質してあることを特徴とするガスセンサ。
- 請求項10において、上記アウターカバーの内側表面にも水分との濡れ性を向上させる加工処理を施して表面改質してあることを特徴とするガスセンサ。
- 請求項9〜11のいずれか一項において、上記素子カバーの表面は、対水接触角が70度以下の濡れ性を有することを特徴とするガスセンサ。
- 請求項12において、上記素子カバーの表面は、対水接触角が60度以下の濡れ性を有することを特徴とするガスセンサ。
- 請求項9〜13のいずれか一項において、上記素子カバーに施す加工処理は、機械的な加工処理であることを特徴とするガスセンサ。
- 請求項9〜13のいずれか一項において、上記素子カバーに施す加工処理は、電気化学的な加工処理であることを特徴とするガスセンサ。
- 被測定ガス中の特定ガス濃度を検知するセンサ素子を内蔵してなるガスセンサにおいて、
該ガスセンサは、上記センサ素子を覆うと共に通気孔を設けてなる素子カバーを有し、
該素子カバーは、対水接触角が70度以下の濡れ性を有する無機の多孔質体からなることを特徴とするガスセンサ。 - 被測定ガス中の特定ガス濃度を検知するセンサ素子を内蔵してなるガスセンサにおいて、
該ガスセンサは、上記センサ素子を二重に覆うと共に通気孔を設けてなる素子カバーを有し、該素子カバーは、内側に配されるインナーカバーと該インナーカバーの外方を覆うアウターカバーとを有し、
上記インナーカバーの外側表面及び上記アウターカバーの内側表面及び外側表面の少なくともいずれかは、対水接触角が70度以下の濡れ性を有することを特徴とするガスセンサ。 - 請求項17において、上記インナーカバーの外側表面及び上記アウターカバーの内側表面の少なくともいずれかは、対水接触角が70度以下の濡れ性を有することを特徴とするガスセンサ。
- 請求項17において、上記インナーカバーの外側表面及び上記アウターカバーの内側表面の少なくともいずれかの対水接触角は、上記アウターカバーの外側表面の対水接触角よりも小さいことを特徴とするガスセンサ。
- 請求項17〜19のいずれか一項において、上記インナーカバーの外側表面及び上記アウターカバーの内側表面及び外側表面の少なくともいずれかは、多孔質体によって構成してなることを特徴とするガスセンサ。
- 請求項17〜19のいずれか一項において、上記インナーカバー及び上記アウターカバーの少なくとも一方は、多孔質体によって構成してなることを特徴とするガスセンサ。
- 請求項20において、上記多孔質体は、上記インナーカバーの外側表面及び上記アウターカバーの内側表面及び外側表面の少なくともいずれかに形成した溶射膜からなることを特徴とするガスセンサ。
- 請求項22において、上記インナーカバー及び上記アウターカバーは、ステンレス鋼からなり、上記多孔質体は、ステンレス鋼の溶射膜からなることを特徴とするガスセンサ。
- 請求項21において、上記インナーカバー及び上記アウターカバーの両方が多孔質体によって構成されていることを特徴とするガスセンサ。
- 請求項6、16、21〜24のいずれか一項において、上記多孔質体は、焼結金属からなることを特徴とするガスセンサ。
- 排ガス中の特定ガス濃度を検知するセンサ素子を内蔵してなるガスセンサを配設した内燃機関の排気管構造において、
上記ガスセンサよりも上記排ガスの上流側の排気管の内壁面に、対水接触角が70度以下の濡れ性を有する親水膜を形成してあることを特徴とする内燃機関の排気管構造。 - 排ガス中の特定ガス濃度を検知するセンサ素子を内蔵してなるガスセンサを配設した内燃機関の排気管構造において、
上記ガスセンサよりも上記排ガスの上流側の排気管の内壁面に、対水接触角が70度以下の濡れ性を確保する加工処理を施して表面改質してあることを特徴とする内燃機関の排気管構造。
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