JP2007015147A - 凸版印刷用感光性積層印刷原版の製造方法、凸版印刷用感光性積層印刷原版、および凸版印刷版の製造方法 - Google Patents

凸版印刷用感光性積層印刷原版の製造方法、凸版印刷用感光性積層印刷原版、および凸版印刷版の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】凸版印刷において、従来のネガフィルム類を用いた場合と、感光性樹脂層表面に直接インク組成物によりマスクパターンを形成する場合の問題点を同時に解決することのできる凸版印刷用感光性積層印刷原版の製造方法と、該製造方法により得られた凸版印刷用感光性積層印刷原版、および該印刷原版を用い凸版印刷版の製造方法を提供する。
【解決手段】支持体上に形成された所定の波長域の光に感光性を有する感光性樹脂層の上もしくは該感光性樹脂層の上に形成された中間層の上に、前記所定の波長域の光を吸収する遮光物質を含有するとともに所定エネルギーの印加を受けて硬化する印刷インク組成物を所定のパターンに印刷するパターン印刷工程と、前記印刷パターンに前記所定エネルギーを印加することによって硬化させてパターンマスクを形成するパターンマスク形成工程と、を有することにより、輪郭精度の高い印刷マスクパターンを感光性樹脂層上に形成する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、フレキソ印刷版等の凸版印刷版を形成するための凸版印刷用感光性積層印刷原版の製造方法、該製造方法により得られる凸版印刷用感光性積層印刷原版、および該印刷原版を用いて凸版印刷版を得る凸版印刷版の製造方法に関するものである。
周知のように、近年のフレキソ印刷原版には、感光性樹脂が用いられており、この感光性樹脂は、一般にエラストマー性のバインダーと、少なくとも一つのモノマーおよび光開始剤とから構成されている。この感光性樹脂を用いた印刷原版は、支持体の上に少なくとも前記感光性樹脂層が設けられた板状部材である。
この印刷原版を用いたフレキソ印刷版の製造では、まず、この印刷原版の感光性樹脂層の上に、印刷しようとする文字や画像などのイメージのネガパターンを有するフィルム(マスク)を置き、このマスクを介して、化学線を前記感光性樹脂層に照射する。化学線の照射を受けた部分は、光重合反応が生じて硬化(潜像化)する。その後、未硬化部分(除去可能部)を現像液にて洗い流すと、前記イメージに対応した凸状パターンが残留する。その結果、フレキソ印刷版が出来上がる。フレキソ印刷では、前記凸状パターンの先端部分にインクを付着させて、紙などの印刷媒体に押しつけることで、印刷物を得る。
前記ネガマスクとして用いるネガフィルムは、慣用の写真技術、すなわち、ハロゲン化銀を用いた光化学反応を用いて製造されるため、その製造には、コストがかかり、かつ製造工程が煩雑である。また、パターン形成工程において、ネガマスクと感光性樹脂層との間に埃などの光入射阻害物質が入りやすく、入ってしまった場合は、露光および現像処理後に得られるパターンイメージに乱れが生じ、印刷版の印刷品質を低下させることになる。
これに対して、より簡易かつ安価に製造することのできるネガフィルムに代替可能なネガマスクが提案されている(特許文献1)。このネガマスクは、ポリエステルフィルムなどの透明支持体の表面にインク受理層というインク定着層を設け、このインク定着層に紫外線吸収性のインクを用いてインクジェットプリンターによりネガパターンを印刷することにより、形成される。しかし、光入射阻害物質が入りやすい点は改善されていなかった。
かかる問題点を解決するために、感光性樹脂層の表面に、直接的に前記感光性樹脂層への露光に使用する紫外線に対する吸収性の高いインク組成物を用いてインクジェットプリンターやレーザプリンターなどの印刷装置により、ネガパターンを印刷する技術が提案されている(特許文献2,3)。
特開2003−330158号公報 特開平5−11445号公報 特開平10−10709号公報
前記特許文献2,3に記載の凸版印刷原版では、感光性樹脂層をパターン露光するためのマスクとして、感光性樹脂層の表面に直接的に印刷装置を用いて印刷したインク組成物の印刷パターンが用いられる。そのため、従来のネガフィルムをマスクとして用いた場合に生じる問題点は解消できる。
しかしながら、この技術では、インク組成物は、感光性樹脂層の表面に直接印刷され、印刷後、乾燥により定着されるが、インク定着性が悪く、乾燥されるまでに短時間ながら時間がかかり、その間に印刷部分に滲みが生じてしまうことになる。この滲みの発生によって、マスクパターンの輪郭精度が低下し、鮮明な印刷パターンが得られないという解決すべき新たな問題が発生してしまう。
本発明は、凸版印刷において、従来のネガフィルムを用いた場合の問題点と、感光性樹脂層表面に直接インク組成物によりマスクパターンを形成する場合の問題点とを同時に解決することのできる凸版印刷用感光性積層印刷原版の製造方法と、該製造方法により得られた凸版印刷用感光性積層印刷原版、および該印刷原版を用い凸版印刷版の製造方法を提供することを課題とするものである。
前記課題を解決するために、本発明者らは、鋭意、研究を重ねたところ、以下のような知見を得るに至った。
すなわち、インク組成物に、所定のエネルギーの印加に感応して硬化する特性を付与しておき、パターンに形成と同時もしくは直後に所定のエネルギーを印加すれば、インク組成物が感光性樹脂層に滲んだり、感光性樹脂層に対してはじきが生じる前に、硬化させることができ、硬化されたパターンの輪郭精度を高めることができる。
本発明は、前記知見に基づいてなされたものである。すなわち、本発明にかかる凸版印刷用感光性積層印刷原版の製造方法は、支持体上に形成された所定の波長域の光に感光性を有する感光性樹脂層の上もしくは該感光性樹脂層の上に形成された中間層の上に、前記所定の波長域の光を吸収する遮光物質を含有するとともに所定エネルギーの印加を受けて硬化する印刷インク組成物を所定のパターンに印刷するパターン印刷工程と、前記印刷パターンに前記所定エネルギーを印加することによって硬化させてパターンマスクを形成するパターンマスク形成工程と、を有することを特徴とする。
前記所定エネルギーの印加は、前記印刷パターンの印刷と同時もしくは直後に行うことが望ましい。それによって、インク組成物が感光性樹脂層に滲む前にインク組成物パターンを硬化させることができ、マスクパターンの輪郭精度を高めることができる。
前記所定エネルギーとしては、熱エネルギーと化学線とが望ましくは、使用される。使用する熱エネルギーとしては、印刷パターンへの印加によって該印刷パターンの温度を30〜90℃にする熱エネルギーが好ましい。
前記パターン印刷工程において、前記印刷インク組成物のパターン印刷はインクジェット印刷装置を用いて行うことが、好ましい。
また、本発明にかかる凸版印刷用感光性積層印刷原版は、前記凸版印刷用感光性積層印刷原版の製造方法によって得られたことを特徴とする。
また、本発明にかかる凸版印刷版の製造方法は、前記凸版印刷用感光性積層印刷原版の感光性樹脂層に、パターンマスクを介して所定の波長域の光を照射する露光工程と、前記感光性樹脂層の除去可能部を現像液により除去する現像工程と、を有することを特徴とする。
前記構成によれば、感光性樹脂層表面に形成されたインク組成物のパターンは、所定のエネルギーの印加によって、迅速に硬化するので、パターンを構成するインクが滲みを伴うことなく感光性樹脂層表面に定着する。これらにより、輪郭精度の高いマスクパターンを得ることができ、このマスクを介した露光と、その後の現像によって、凸版印刷に好適な感光性樹脂層のパターン形成が可能になる。
以下、本発明の凸版印刷原版の構成要素について、フレキソ印刷原版の場合を例に、さらに詳しく説明する。
(支持体)
本発明のフレキソ印刷原版を構成する支持体としては、フレキソ印刷版として用いる印刷条件に必要とされる機械的強度などの物理性能を満たす、通常のフレキソ印刷版に用いられる公知の金属、プラスチックフィルム、紙およびこれらの複合化された形態のすべての支持体が使用できる。これらには付加重合ポリマーおよび線状縮合ポリマーにより形成されるようなポリマー性フィルム、透明なフォームおよび織物、不織布、例えばガラス繊維織物、およびスチール、アルミニウムなどの金属が含まれる。支持体はバック露光が容易なように非赤外線に対して透明であることが好ましい。より好適な支持体としては、ポリエチレンまたはポリエステルフィルムが挙げられ、特にポリエチレンテレフタラートフィルムがよい。前記フィルムとしては、厚さ50〜300μmのフィルム、好ましくは厚さ75〜200μmのフィルムが用いられる。この支持体層は、また、必要に応じて、感光性樹脂層との間を薄い粘着促進層で被覆されていてもよい。この粘着促進層としては、例えば、ポリカーボネートと、フェノキシ樹脂と、多価イソシアネートの混合物からなるものが好適に使用できる。
(感光性樹脂層)
本発明のフレキソ印刷原版に用いる感光性樹脂層は、エラストマー性バインダーと、1種類以上のモノマーおよび光重合開始剤とを含有する感光性樹脂組成物で形成され、通常フレキソ印刷に適するすべての感光性樹脂組成物が使用できる。前記エラストマー性バインダーとしては、単一の重合体、共重合体またはそれらの混合物であってエラストマー性を有し、かつ水性または有機溶剤の現像液に可溶、膨潤または分散し、洗浄除去可能な重合体が挙げられる。これらのバインダーとしては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリジオレフィン、ビニル芳香族化合物/ジオレフィンの共重合体およびブロック共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/イソプレン共重合体、ジオレフィン/アクリロニトリル共重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/プロピレン/ジオレフィン共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、ジオレフィン/アクリル酸共重合体、ジオレフィン/アクリレート/アクリル酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリレート共重合体、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールのグラフト共重合体、両性インターポリマー、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ニトロセルロースなどのセルロース類、エチレン/ビニルアセテート共重合体、セルロースアセテートブチレート、ポリブチラール、環状ゴム、スチレン/アクリル酸共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンとビニルアセテートとの共重合体、クロロプレン重合体、スチレン−クロロプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−クロロプレン共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体、メタクリル酸メチル−イソプレン共重合体、メタクリル酸メチル−クロロプレン共重合体、アクリル酸メチル−ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル−イソプレン共重合体、アクリル酸メチル−クロロプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−イソプレン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−クロロプレン−スチレン共重合体、エピクロルヒドリン重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合体、エピクロルヒドリン−プロピレンオキシド共重合体、エピクロルヒドリンゴム、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン共重合体、塩素化ポリプロピレン、塩素化エチレン−プロピレンゴム、アクリル酸エチル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸ブチル−スチレン−アクリロニトリル共重合体が挙げられる。前記重合体は単独でもまた組み合わせて用いてもよい。その他、水性現像液に可溶または分散可能なバインダーである、米国特許第3,458,311号、同第4,442,302号、同第4,361,640号、同第3,794,494号、同第4,177,074号、同第4,431,723号、同第4,517,279号等の明細書に開示されている樹脂や、有機溶剤現像液に可溶、膨潤または分散可能である米国特許第4,323,636号、同第4,430,417号、同第4,045,231号等の明細書に開示されている樹脂も挙げることができる。
本発明に用いる感光性樹脂層に含まれる1種類以上のモノマーとしては、透明で、くもりのない感光性樹脂層が形成できるよう上記バインダーと相溶性である必要がある。前記モノマーとしては、例えば、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メトキシスチレンなどの芳香族ビニル単量体;アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのα,β−エチレン性不飽和ニトリル化合物;メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレートなどの炭素数1〜23のアルキルアルコールのアクリレート類および対応するメタクリレート類;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアルコールのアクリレート類および対応するメタクリレート類;メトキシエチレングリコール、メトキシプロピレングリコールなどのアルコキシアルキレングリコールのアクリレート類およびメタクリレート類;マレイン酸モノエチル、フマル酸モノメチル、イタコン酸モノエチルなどの不飽和多価カルボン酸のモノエステル類;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル、イタコン酸ジオクチルなどのジエステル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N′−メチレンビスアクリルアミド、N,N′−ヘキサメチレンビスアクリルアミドなどのアクリルアミド類および対応するメタクリルアミド類;エチレングリコールジアクリレート、ポリアルキレングリコール(アルキレングリコール単位2〜23個)のグリコールのジアクリレート類および対応するメタクリレート類;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールアルカン、テトラメチロールアルカン(アルカンとしてはメタン、エタン、プロパン)などの三価以上の多価アルコール類のジアクリレート、トリアクリレート、テトラアクリレート、オリゴアクリレート類および対応するメタクリレート類;2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルエチルヘキサヒドロフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートなどの酸性官能基をもつアクリレート類および対応するメタクリレート類;等が挙げられる。これらの光重合性エチレン性不飽和単量体は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その他として、米国特許第4,323,636号、同第4,753,865号、同第4,726,877号、同第4,894,315号の各明細書中に記載のモノマーを挙げることができる。
上記モノマーは、感光性樹脂層のバインダーを100質量部とすると、5〜30質量部、好ましくは10〜20質量部の範囲がよい。モノマーの含有量が前記範囲未満では非赤外放射線露光硬化後の被膜の耐摩耗性や耐薬品性が低下し、前記範囲を超えると、感光性樹脂層のエラストマー性が低下し、フレキソ印刷版として好ましくない。
また、光重合開始剤としては公知のものであれば特に限定されないが、このような開始剤の一例として、ベンゾフェノンのような芳香族ケトン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチロールベンゾインメチルエーテル、α−メトキシベンゾインメチルエーテル、2,2−ジエトキシフェニルアセトフェノン等のベンゾインエーテル類;置換および非置換の多核キノン類;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンゾフェノン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−ベンゾイル−4'−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシル、4−ジメチルアミノ安息香酸−2−イソアミル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、4,4'−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、α, α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパンなどが挙げられる。その他、米国特許第4,460,675号および同第4,894,315号の明細書に開示されている開始剤などが挙げられる。前記開始剤は単独でもまた組合せて使用してもよい。
上記開始剤は、感光性樹脂層の全質量に対して0.001〜10質量%の範囲で含有するのがよい。
さらに、感光性樹脂層を形成する感光性樹脂組成物には要求される特性に応じて増感剤、熱重合禁止剤、可塑剤、発色剤等の添加剤を用いることができる。この感光性樹脂組成物の調製法としては様々な方法が使用できるが、例えば、配合される原料を適当な溶剤、例えば、クロロホルム、テトラクロロエチレン等の炭化水素類、ジブチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、等の溶剤(これら有機溶剤は、単独でもまた混合しても用いることができる)に溶解させて混合し、型枠の中に流延して溶剤を蒸発させ、そのまま板とすることも、また、溶剤を用いず、ニーダーあるいはロールミルで混練し、押出機、射出成形機、プレスなどにより所望の厚さの板に成形することもできる。
本発明に用いるインク組成物には、熱硬化型インクや、紫外線硬化型インクが好適に使用できる。前記熱硬化型インクや外線硬化型インクとしては、300nm〜400nm波長域の光に対する吸収特性を有する色素を含むインクが、好適に用いることができる。300nm〜400nm波長域の光は、印刷原版の感光性樹脂層をパターニングする露光光として用いられる光である。これらのインク組成物としては特開2005−113147号公報、特開2004−114693号公報、特開2003−213185号公報、特開2002−332433号公報、特開2002−332434号公報、特開2003−182204号公報、特開平10−230675号公報記載のインク組成物を挙げることができる。
前記熱硬化型インクとしては30℃〜90℃に熱せられると硬化するインクを好適に用いることができる。
前記特性を有する熱硬化型インクとしては、下記の組成のものを好適に用いることができる。
例えば、前記熱硬化型インクとしては特開2005−113147号に記載されているような液状媒体、着色剤、ポリマーバインダーからなる熱硬化型インクが挙げられる。また、インクは添加物としてpH制御剤を含有していてもよい。
上記液状媒体としては、主溶剤が含有していればよく、特開2004−114693号に記載されているような下記水性キャリヤー媒体でもよい。主溶剤と乾燥抑制剤を含有しているものが特に好ましい。前記主溶剤としては、例えば水、脱塩水が挙げられる。また、前記乾燥抑制剤としては、例えば下記の保湿剤としての多価アルコール、詳しくはグリコール、より詳しくはブチルジグリコール、ジエチレングリコール、ソルベノンが挙げられる。
前記着色剤としては、上記特性を有する顔料が挙げられる。後述の特願2004−114693記載の顔料も例としてあげられるが、酸化チタン、酸化鉄及びカーボンブラック、ピグメント・ブラック 7がより好ましい。
前記ポリマーバインダーとしては、例えば(メタ)アクリレート樹脂が挙げられる(以下、アクリレート樹脂はメタクリレート樹脂を含む概念であるとする)。アクリレート樹脂は塩基性領域において溶解した状態で存在しているが、他方、アクリレート樹脂は酸性または中性領域においては不溶性である。印刷工程の時点まで本発明のインクのpH値は7.5より大きい、好ましくは8.5より大きい。よって、バインダーはインク中に溶解した状態で存在する。塩基性領域から酸性領域へのpH値の所望の急変により、pH調整剤の量によって意図的にpH値を制御されたバインダーは硬化する。アミン、即ち揮発性物質は印刷工程の後に揮発するので、アミンの割合が僅かになるために酸性方向へpH値が変化し、バインダーが硬化し、そして印刷媒体上に輪郭精度が良好で、耐引掻き性の乾燥インク層を生じさせる。
前記pH制御剤としては、アミンまたはアミン含有物質が挙げられる。塩基性アミンまたは塩基性のアミン含有物質によって、それを用いて製造されたインクは塩基性になり、それによってプリントヘッドの磨耗を低減し、並びにインク供給システムの耐久期間を延ばす。この場合、インクは7.5より大きい、好ましくは8.5より大きなpH値を有している。
前記アミンとしては、例えばエタノールアミン、トリエタノールアミン、アンモニア溶液、ジメチルエタノールアミン並びにこれら上記アミンの混合物が挙げられる。インク中で使用されるアミンは、下記一般式
N(R123
(式中、残基R1、R2およびR3は互いに独立して水素原子(H)、メチル基(CH3)、エチル基、エタノール基(CH2 CH2 OH)から選ばれる一種である。)
で表すことができる。
その他の添加剤としては保存剤や湿潤剤を含有してもよい。保存剤としては、例えばトリアジン、イソチアゾリノン誘導体の溶液が挙げられる。市販品の例としてはProxel G、Grotan BK、Parmetol K40、Parmetol A28が挙げられる。湿潤剤としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、脂肪アルコールポリグリコールエーテルが挙げられる。
他にも、例えば、前記熱硬化型インクとしては、特開2004−114693号に記載されているような顔料、ポリマー、水性キャリヤー媒体からなる熱硬化型インクが挙げられる。
前記は、米国特許第5,630,868号明細書に記載されているもののように自己散性顔料であるか、又は2001年3月30日出願された、出願係属中の米国特許出願第09/822,723号明細書に記載されているもののようにカプセル化顔料であってよく、或いは分散剤によって安定化させることができる。広範囲の種々の有機及び無機顔料を、単独で又は組み合わせて、本発明に於いて使用するために選択することができる。本発明に於いて使用することができる着色剤粒子は、例えば、特開2004−114693号、米国特許第5,026,427号明細書、米国特許第5,086,698号明細書、米国特許第5,141,556号明細書、米国特許第5,160,370号明細書及び米国特許第5,169,436号明細書(これらの開示を、引用により本明細書に含める)に開示されているような顔料を含む。顔料の真の選択は、具体的な用途並びにカラー再生及び画像安定性のような性能必要条件に依存する。本発明で使用するのに適している顔料は、例えばアゾ顔料、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、アゾ顔料レーキ、β−ナフトール顔料、ナフトールAS顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジスアゾ縮合顔料、金属錯体顔料、イソインドリノン及びイソインドリン顔料、多環式顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラピリミドン顔料、フラバントロン顔料、アンタントロン顔料、ジオキサジン顔料、トリアリールカルボニウム顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料、酸化チタン、酸化鉄及びカーボンブラックを含む。酸化チタン、酸化鉄及びカーボンブラック、ピグメント・ブラック 7がより好ましい。
前記ポリマーは、水性インク媒体中に安定化させることができるが、溶解しない任意の組成物の本質的に疎水性のポリマーである。これらは、ポリマーラテックス又は水分散性ポリマーであってよい。このような疎水性ポリマーは、一般的に、縮合ポリマー又は付加ポリマーとして分類される。縮合ポリマーは、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリ酸無水物及び上記の種類の組合せからなるポリマーを含む。付加ポリマーは、例えばアリル化合物、ビニルエーテル、ビニル複素環式化合物、スチレン、オレフィン及びハロゲン化オレフィン、不飽和酸及びそれから誘導されるエステル、不飽和ニトリル、ビニルアルコール、アクリルアミド及びメタクリルアミド、ビニルケトン、多官能性モノマーを含むビニル型モノマーの重合から形成されるポリマー又はこれらのモノマーの種々の組合せから形成されるコポリマーである。本発明で使用されるポリマー中のモノマー単位の大部分は疎水性であってよく、親水性モノマーの含有量は、全ポリマーの25重量%未満、好ましくは全ポリマーの10重量%未満、最も好ましくは全ポリマーの5重量%未満である。
本発明の好ましい態様において、ポリマーラテックスまたは水分散性ポリマーは、スチレン/アクリルポリマー、ポリエステル又はポリウレタンである。
好ましいポリマーの第一の種類には、水性エマルジョン中でビニルモノマーの遊離基重合により製造された、これらのスチレン/アクリルポリマーが含まれる。ポリマーラテックスは、水不溶性ホモポリマーを形成するエチレン性不飽和疎水性モノマーからなる、ホモポリマー又はコポリマー又は架橋されたポリマーであってよく、このようなモノマーのコポリマーである限り好ましく、これはまた、ポリマー組成物全体が、ラテックスを形成するために十分に水不溶性である場合、水溶性ホモポリマーを与えるエチレン性不飽和親水性モノマーを含んでいてよい。
本発明の好ましい態様において、エチレン性不飽和モノマーはハロゲン化されている。例は、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビニリデン及びクロロメタクリル酸等である。
本発明において使用されるポリマーの第二の種類は、水分散性ポリエステルであってよい。本発明に於いて有用な水分散性ポリエステルの例には、イーストマン(Eastman)AQ(商標)ポリエステル(イーストマン・ケミカル社(Eastman Chemical Company))が含まれる。イーストマンポリエステルAQ29、AQ38及びAQ55は、変化する量の、イソフタル酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、ジエチレングリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールから構成されている。これらの熱可塑性無定形イオン性ポリエステルは、高温度及び低圧力での溶融相縮合重合によって製造され、溶融生成物は小さいペレットに押し出される。この固体ポリマーは、70℃で最小の攪拌で水中に容易に分散して、添加された界面活性剤又は溶媒を含有しない透明な低粘度の分散液を与える。イオン性モノマー、即ちスルホイソフタル酸の量を変化させることによって、粒子サイズを制御することができる。粒子サイズは、0.02〜0.1μmの範囲である。
本発明に於いて使用されるポリマーの第三の種類は、水性分散性ポリウレタンであってよい。有用なポリウレタンは、Yacobucciらにより2000年4月13日出願された、米国特許出願第09/548,514号明細書(その開示を引用により本明細書に含める)に開示されている。これらの材料は、「ポリウレタンハンドブック(Polyurethane Handbook)」、ハンサー・パブリッシャーズ社(Hanser Publishers)、ミュンヘン ウィーン、1985年に記載されているようにして製造することができる。水性分散性ポリウレタンの例は、クロンプトン社(Crompton Corp.)によるW−240、W−232及びW−254のようなウィットコボンド(Witcobond)(商標)ポリウレタン分散液又はビーエフ・グッドリッチ社(BF Goodrich Company)によるサンキュア(Sancure)(商標)ポリウレタンである。
前記水性キャリヤー媒体は、水又は水と少なくとも1種の水混和性共溶媒との混合物である。適当な混合物の選択は、所望の表面張力及び粘度、選択された顔料、顔料入りインクジェットインクの乾燥時間並びにインクを印刷する紙の種類のような特定の適用の必要条件に依存する。選択することができる水混和性共溶媒の代表例には、(1)メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、フルフリルアルコール及びテトラヒドロフルフリルアルコールのようなアルコール、(2)アセトン、メチルエチルケトン及びジアセトンアルコールのようなケトン又はケトアルコール、(3)テトラヒドロフラン及びジオキサンのようなエーテル、(4)酢酸エチル、乳酸エチル、炭酸エチレン及び炭酸プロピレンのようなエステル、(5)エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール及びチオグリコールのような多価アルコール、(6)エチレングリコールモノ−メチル(又は−エチル)エーテル、ジエチレングリコールモノ−メチル(又は−エチル)エーテル、ジエチレングリコールモノ−ブチル(又は−エチル)エーテル、プロピレングリコールモノ−メチル(又は−エチル)エーテル、ポリ(エチレングリコール)ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−メチル(又は−エチル)エーテル及びジエチレングリコールジ−メチル(又は−エチル)エーテルのような、アルキレングリコールから誘導される低級アルキルモノ−又はジエーテル、(7)ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンのような窒素含有環式化合物並びに(8)ジメチルスルホキシド、2,2’−チオジエタノール及びテトラメチレンスルホンのような硫黄含有化合物が含まれる。水は種々のイオンを含有する一般の水よりも、イオン交換水(脱イオン水)を使用するのが好ましい。本発明に好適に用いられるインクは水系インクであり、水の含有量としてはインク全質量の50質量%以上であることが好ましい。
さらに、界面活性剤、保湿剤、浸透剤、殺生物剤、増粘剤、伝導性増強剤、抗コゲーション剤、pH緩衝剤、乾燥剤及び脱泡剤を添加してもよい。保湿剤としては多価アルコールが挙げられる。例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ブチルジグリコール、ソルベノン、グリセロール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール及びチオグリコールが含まれる。好ましくはジエチレングリコール又はグリセロールとジエチレングリコールとの混合物が好ましい。
例えば、紫外線硬化型インクとしては特表2000−504778号に記載されているような官能価アルコキシまたは多官能価ポリアルコキシアクリレート単量体、光重合開始剤、および着色剤からなる紫外線硬化型インクや、特開2003−213185号に記載されているようなエネルギーの付与により固体化するモノマー、重合開始剤、色材、水性液媒体からなる紫外線硬化型インクが挙げられる。また、インクは添加物として分散剤、pH制御剤、界面活性剤、保湿剤、消泡剤、防腐剤を含有していてもよい。
多官能価のアルコキシまたはポリアルコキシアクリレート単量体は、1種またはそれ以上のジーまたはトリーアクリレートからなるのが望ましい。しかしながら、より高い官能価を持つアルコキシまたはポリアルコキシアクリレート単量体も、単独あるいは1種またはそれ以上の二および/または三官能価物とともに使用可能である。多官能価物(アルコキシル化+ポリアルコキシル化)の合計量が全組成物の80重量%乃至95重量%の範囲にあるとさらに望ましい。アルコキシル基の数が、単量体1分子当り1個から20個であることが望ましい。また、アルキレンオキシ基はC2〜C4のアルキレンオキシ基であることが望ましく、エトキシ(EO)またはプロポキシ(PO)基であるとさらに望ましい。
好適な多官能価のアルコキシまたはポリアルコキシアクリレートは、アルコキシル化物、望ましくは次のエトキシル化またはプロポキシル化物から選択することができる。すなわち、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、トリメチルプロパントリアクリレートおよびグリセリルトリアクリレートから選択することができる。
本発明の組成物は、また、必要に応じて、単官能価のアリコキシまたはポリアルコキシアクリレート単量体を、例えば全組成物の10重量%まで含むことができ、この単量体は、1種またはそれ以上のアルコキシル化物、例えば次のエトキシル化またはプロポキシル化物から選択することができる。すなわち、テトラヒドロフルフリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、アルキルアクリレート、ノニル−フェノールアクリレートおよびポリエチレンまたはポリプロピレングリコールアクリレートから選択することができる。
本発明の組成物は、また、必要に応じて、例えば、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、N-ビニルピロリドン、エチルジグリコールアクリレート、イソブチルアクリレート、エチル-ヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ブタンジオールモノアクリレート、β-カルボキシエチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、二官能価(メタ)アクリル酸エステル、例えば、ヘキサンジオールジ-(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートおよびトリエチレングリコールジメタクリレートの1種またはそれ以上から選ばれた単官能価または多官能価のいずれかの非アルコキシ放射線硬化性単量体を、望ましくは全組成物の5重量%を超えない範囲で含むことができる。しかしながら、このような非アルコキシ単量体を完全に除外することが最も望ましい。
エネルギーの付与により固体化するモノマーとしては、紫外線重合モノマーが挙げられ、1)水に対する溶解度が高い、2)粘度が低い、3)光重合成がある、4)硬化膜の物性に優れている等の性能が要求され、ラジカル重合性のアクリルモノマー類が好適に使用できる。
ラジカル重合性のアクリルモノマー類としては、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート、N,N−ジメチルアミノアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノメタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタアクリルアミド、及び、これらの4級化された物質、などが色材染着性に優れており、特に好ましい。また、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、多価アルコールのグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル、多価アルコールのエチレンオキシド付加化合物の(メタ)アクリル酸エステル、多塩基酸無水物と水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとの反応物など、それ自体公知の紫外線硬化型モノマー、オリゴマーが用いられる。これらの物質の中でインクとの相溶性、親水性の高い物質が適宜選択され、用いられる。
重合開始剤としては光重合開始剤を使用できる。光重合開始剤の使用法としては、光開始剤を一種類使用、二種類以上使用、光開始剤と増感剤とを使用しても構わない。主な光開始剤と増感剤の選定、組合わせ及び配合比に関しては、使用するモノマー、使用装置によって適宜選定すれば良い。
光開始剤と増感剤の主なものとして、例えば、光開始剤に関しては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、pp′−ジクロロベンゾフェン、pp′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾインパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルフォーメート、が挙げられる。
また、カチオン重合型では、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ハロニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物等の光開始剤が用いられる。その具体例としてトリフェニルスルフォニュウムヘキサフルオロフォスフェート、ジフェニルヨードニュウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。
増感剤としては、例えば、1)アミン系:脂肪族アミン、芳香族基を含むアミン、ピペリジン 2)尿素:アリル系、o−トリルチオ尿素 3)イオウ化合物:ナトリウムジエチルジチオホスフェート、芳香族スルフィン酸の可溶性塩 4)ニトリル系化合物:N、N−ジ置換pアミノベンゾニトリル 5)リン化合物:トリnブチルホスフィン、ネトリウムジエチルジチオホスフィード 6)窒素化合物:ミヒラーケトン、Nニトリソヒドロキシルアミン誘導体、オキサゾリジン化合物、テトラヒドロ−1、3−オキサジン化合物、ホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドとジアミンの縮合物 7)塩素化合物:四塩化炭素、ヘキサクロロエタン 8)エポキシ樹脂とアミンの反応生成物の高分子化アミン、トリエタノールアミントリアクリレートが挙げられる。
色材としては、水溶性染料を水性液媒体に溶解したもの、無機顔料または有機顔料を分散剤にて水性液媒体に分散した顔料分散体のいずれもが適用可能であるが、記録後、プリント物に紫外線を照射する場合には、光に対して安定な染料、顔料を使用することが好ましい。使用する染料としては、公知の各種染料を用いることができる。例えば、直接染料としてのアゾ染料、フタロシアニン染料、酸性染料としてのアゾ染料、アントラキノン系染料、反応染料の金属錯体、多価金属塩等が挙げられる。使用する顔料としては、従来公知の有機及び無機顔料をすべて使用することができる。例えば、前述の顔料が挙げられる。酸化チタン、酸化鉄及びカーボンブラック、ピグメント・ブラック 7がより好ましい。
顔料を分散させるために分散剤として水溶性樹脂(分散樹脂)をインクに含有させることができる。水溶性樹脂は、アミン或は塩基を溶解させた水溶液に可溶で、且つ質量平均分子量が3000から30000の範囲のものが好ましい。更に、好ましくは5000から15000の範囲であるものがよく、例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸−マレイン酸ハーフエステル共重合体あるいは、これらの塩等を使用することができる。
pH調整剤としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の各種有機アミンや、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸物等の無機アルカリ剤、有機酸や、鉱酸が挙げられる。
また、水性液媒体としては、例えば、前記の水性キャリヤー媒体が挙げられる。
このインク組成物は貯蔵中に沈澱、分離することがない。したがって、このインク組成物をインクジェットプリンターにおいて使用した場合、インクジェット記録ヘッドの吐出口を閉塞することもない。本発明に用いるインク組成物は連続式インクジェットプリンターによる比較的長い時間一定の再循環下またはオンデマンド式インクジェットプリンターによる断続的な使用においても、物理的性質の変化を起こさない。また、本発明のインクは、インク原液として提供されてもよい。
このインク組成物は、350nmを中心とした波長域(300nm〜400nm)の光に対して幅広く、高い吸収を持つため、凸版印刷版の製造に使用される露光光を遮光することができる。このインク組成物に好適に用いられる色素は、水性溶剤に対する溶解度が高いため、色素濃度が高くすることができ、それにより遮光能の高いマスクパターンを形成することができる。また、色素の結晶物が析出することがなく、インクジェットの噴射経路が曲がったり、吐出口に目詰まりを起こすことがないため、インクジェットシステムを用いて高精細なマスクパターンを形成することができる。
次に、本発明のフレキソ印刷積層原版の製造方法の具体例を示す。まず、エラストマー性バインダー、モノマー、開始剤およびその他の成分を混合して調製した感光性樹脂組成物をホットメルトに成形し、これを所望の厚さとなるようにカレンダー掛けする、または押出機を利用して感光性樹脂組成物を溶融、混合、脱気および濾過した後、支持体と一時的なカバーシートとの間に押し出し、カレンダー掛けして所望の厚さとする。あるいは金型中に支持体とカバーシートを置き、両者の間に感光性樹脂組成物を射出する、等の方法で、支持体の上に感光性樹脂層を形成する。次に、必要に応じて、前記感光性樹脂層上に中間層を形成しても良い。
前記中間層は、皮膜形成能を有するポリマーであれば適宜使用することが出来る。保存性の観点から実質的に吸湿性を有しない皮膜形成能を有するポリマーが好ましく、例えばポリアミドが挙げられる。
前記製造方法で得られたフレキソ印刷積層原版の感光性樹脂層または中間層の表面に、前記インク組成物とインクジェットプリンターとを用いて、マスクパターンを印刷する。この印刷と同時または直後に熱や化学線などの所定のエネルギーを印加して、印刷パターンを迅速に硬化させる。そのような所定のエネルギーとしては、熱と、紫外線や電子線などの化学線が好適である。この所定のエネルギーは、インク組成物が熱硬化型インクである場合には、熱であり、紫外線硬化型インクである場合には、紫外線である。
このようにして感光性樹脂層上またはその上の中間層上にマスクパターンが形成された積層印刷原版に対して、300nm〜700nmの波長域の光を照射し、この光がマスクパターンに遮られて照射されずに未硬化状態にある前記感光性樹脂層の非照射領域(除去可能部)を現像液により除去し、印刷版材画像に形成することで、フレキソ印刷版が製造される。
前記感光性樹脂層に照射する化学放射線としては、赤外線より波長が短い電磁波、好ましくは可視光線と紫外線領域の電磁波、さらに好ましくは300〜700nmの電磁波がよく、より好ましくは300nm〜400nmである。この化学放射線の光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、カーボンアーク灯、重水素ランプ、タングステンランプ(タングステンヨウ素ランプ、WIランプ、WI2ランプ)キセノンランプ、エキシマレーザなどが挙げられる。また、現像処理で使用する現像液としては、感光性樹脂層を溶解する性質を持つものであれば、有機溶液、水、水性または半水性溶液のいずれであってもよく、現像液の選択は、除去されるべき樹脂の化学的性質に依存する。適当な有機溶媒現像液としては芳香族もしくは脂肪族炭化水素および脂肪族もしくは芳香族ハロ炭化水素溶媒またはそれらの溶媒と適当なアルコールとの混合物が挙げられる。また、半水性現像液としては、水または水に混和し得る有機溶媒およびアルカリ性材料を含有している。該水性現像液としては、水と、例えば、ヘプチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のエステル類、石油留分、トルエン、デカリン等の炭化水素類、テトラクロルエチレンなどの塩素系溶剤、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等の水溶液が挙げられる。また、これらの溶剤にプロパノール、ブタノール、ペンタノール等のアルコール類を混合したものを用いることも可能であり、洗い出しは浸漬、ノズルからの噴射、ブラシによるブラッシング等任意の方法が採用できる。
前記マスクパターンの印刷に好適に用いることのできる印刷装置としては、経済的、効率的なパターン形成のためには、インクジェットプリンターが好適である。インクジェットプリンターによる印刷は、インクをノズルから紙などの記録材料に噴射させて、文字や画像を形成させるものである。インクの噴射方法により、この印刷方法としては、主に、圧電素子を用いてインクに機械的振動を与えて噴射させるピエゾ法、インクを加熱し発砲させて発生した圧力を利用してインクを噴射させるバブルジェット(登録商標)法に大別することができる。
先に述べたように、本発明において、インク組成物を用いたマスクパターンの印刷を行うための方法は、好ましくはインクジェット記録方法であり、該方法は、インクをノズルより効果的に離脱させて、射程体である記録媒体にインクを付与し得る方式であればいかなる方式でもよい。特に、特開昭54−59936号公報に記載されている方法で、熱エネルギーの作用を受けたインクが発泡により急激な体積変化を生じ、この状態変化による作用力によって、インクをノズルから吐出させるインクジェット方式(バブルジェット(登録商標)方式)は有効に使用することができる。
本発明では、パターンの印刷と同時または直後に、熱や化学線などの所定のエネルギーを印加して、印刷パターンを迅速に硬化させることが重要であり、そのためのエネルギー印加手段をインクジェット印刷装置に設けておくことが望ましい。
例えば、熱硬化型インクの場合は、レーザー、加熱板、赤外線加熱器等の加熱装置を備えている印刷システムを用いられる。加熱装置はプリントヘッドの前または後の直下に配置されていることが好ましく、その際に加熱装置はプリントヘッドが進行する全工程に渡っていることが好ましい。また、加熱装置は、印刷すべき表面の上方に配置されていてもよい。紫外線硬化型インクはプリント後に露光できるよう、プリントヘッドの後に配置されていることが好ましい。
熱エネルギーとしては、インク組成物に印加した場合に、このインク組成物の温度を30℃〜90℃にする熱エネルギーが好ましく、さらに好ましくは40℃〜70℃にする熱エネルギーが好ましい。また、インク組成物としては、30℃〜90℃に熱せられた時に硬化するものが好ましく、さらに40℃〜70℃で硬化するものがより好ましい。
以下、本発明を実施例によって、さらに詳細に説明するが、以下の実施例は、本発明を好適に説明するための例示に過ぎず、なんら本発明を限定するものではない。
なお、以下の説明において、「部」および「%」とあるのは、特別の記載のない限り質量基準である。
(実施例1)
以下の実施例で示す光学的濃度は、分光光度計(商品名U−2000、日立製作所製)を用いて測定した。
感光性フレキソ版材として東京応化工業株式会社製のエラスロンN284SB(商品名)を用いた。この感光性フレキソ版材のカバーシート側の裏面より370nmに中心波長を有する紫外線を75mJ/cm2の露光量でバック露光した。
前記フレキソ版材の感光性樹脂層表面にマスクパターンを印刷するためのインク組成物として、300nm〜400nm波長域の光に対する吸収特性を有する色素を含む熱硬化型インク(二樹エレクトロニクス社製レジンインク黒)を用いた。
また、印刷装置として、印刷直後にフレキソ版材の感光性樹脂側の面が加温されるように改良したローランド・ディー・ジー社製フラットヘッドインクジェットプリンタ(FLJ300)を用いた。
前記バック露光後の感光性フレキソ版材のカバーシートを剥離し、露出した感光性樹脂層表面に、前記インクジェットプリンタを用いて、前記熱硬化型インクを所定のパターンに従って噴射し、所定のマスクパターンを印刷した。このマスクパターンは、通常、文字や絵柄などのイメージであるが、本実施例では、文字パターンを形成した。前記インクジェットプリンタを用いることにより、パターン印刷直後に、印刷パターンは、40℃に加温され、硬化された。
前記硬化後のマスクパターンを目視により観察したところ、輪郭線に滲みは認められなかった。また、マスクパターンの光学的濃度を測定したところ、3.0であった。
次に、前記マスクパターンを介して感光性樹脂層に4000mJ/cm2のメイン露光を行った。この露光後、芳香族炭化水素系現像液(商品名FDO−S2、東京応化工業株式会社製)を用いて、液温25℃で4分間の現像を行った。現像後の版面を目視により観察したところ、版面には現像残渣などの再付着物は認められなかった。
前記現像後、55℃で50分間、乾燥した後、250nmに中心波長を有する紫外線蛍光灯ランプを用いて第1の予備後露光を行い、さらに、370nmに中心波長を有する紫外線を用いて3000mJ/cm2の露光量でメイン後露光を行った。これらにより、フレキソ印刷版を得た。
得られたフレキソ印刷版を用いて印刷したところ、鮮明な文字を有する印刷物が刷り上がった。
(実施例2)
感光性樹脂層表面にマスクパターンを印刷するためのインク組成物として、紫外線硬化型インク(NUR社製UV硬化インク黒)を用い、印刷装置として、印刷直後の印刷パターンに紫外線を照射する機能を有するUVインクジェットプリンタ(三和産業株式会社製フラットヘッドUVインクジェットプリンタ)を用いた以外は実施例1と同様にして所定のマスクパターンを印刷した。このマスクパターンは、通常、文字や絵柄などのイメージであるが、本実施例では、文字パターンを形成した。前記インクジェットプリンタを用いることにより、パターン印刷直後に、印刷パターンは、紫外線を照射され、硬化された。
実施例1と同様の方法で特性を判定した。硬化後のマスクパターンを目視により観察したところ、輪郭線に滲みは認められなかった。マスクパターンの光学的濃度を測定したところ、3.0であった。現像後の版面を目視により観察したところ、版面には現像残渣などの再付着物は認められなかった。得られたフレキソ印刷版を用いて印刷したところ、鮮明な文字を有する印刷物が刷り上がった。
(実施例3)
感光性樹脂層表面にマスクパターンを印刷するためのインク組成物として、下記の300nm〜400nm波長域の光に対する吸収特性を有する色素を含む熱硬化型インクを用いた以外は実施例1と同様にして所定のマスクパターンを印刷した。
(熱硬化型インクの組成)
水 51.9%
ジエチレングリコール 12.0%
アクリル樹脂 5.0%
ピグメント・ブラック 7 25.0%
トリエタノールアミン 5.0%
フルオラヅ(3M社)(ポリグリコールヘキサエーテル 0.1
脂肪アルコールポリグリコールエーテル 1.0%
前記実施例1と同様の方法で特性を判定した。硬化後のマスクパターンを目視により観察したところ、輪郭線に滲みは認められなかった。マスクパターンの光学的濃度を測定したところ、3.0であった。現像後の版面を目視により観察したところ、版面には現像残渣などの再付着物は認められなかった。得られたフレキソ印刷版を用いて印刷したところ、鮮明な文字を有する印刷物が刷り上がった。
(実施例4)
感光性樹脂層表面にマスクパターンを印刷するためのインク組成物として、下記の300nm〜400nm波長域の光に対する吸収特性を有する色素を含む熱硬化型インクを用いた以外は実施例1と同様にして所定のマスクパターンを印刷した。
(熱硬化型インクの組成)
水 62.5%
n−プロピルアルコール 1.6%
ジエチレングリコール 28.8%
イーストマンポリエステルAQ29(イーストマン・ケミカル社)
3.5%
ピグメント・ブラック 7 3.5%
フルオラヅ(3M社)(ポリグリコールヘキサエーテル) 0.1
実施例1と同様の方法で特性を判定した。硬化後のマスクパターンを目視により観察したところ、輪郭線に滲みは認められなかった。マスクパターンの光学的濃度を測定したところ、3.0であった。現像後の版面を目視により観察したところ、版面には現像残渣などの再付着物は認められなかった。得られたフレキソ印刷版を用いて印刷したところ、鮮明な文字を有する印刷物が刷り上がった。
(比較例1)
感光性フレキソ版材として東京応化工業株式会社製のエラスロンN284SB(商品名)を用いた。この感光性フレキソ版材のカバーシート側の裏面より370nmに中心波長を有する紫外線を75mJ/cm2の露光量でバック露光した。
前記フレキソ版材の感光性樹脂層表面にマスクパターンを印刷するためのインク組成物として、インクジェットプリンタ用のインクとして慣用の水性インク(エプソン社製水性インク黒)を用いた。
また、印刷装置として、ローランド・ディー・ジー社製フラットヘッドインクジェットプリンタ(FLJ300)ヘッドインクジェットプリンタを用いた。
前記バック露光後の感光性フレキソ版材のカバーシートを剥離し、露出した感光性樹脂層表面に、前記インクジェットプリンタを用いて、前記水性インクを所定のパターンに従って噴射し、所定のマスクパターンを印刷した。このマスクパターンは、通常、文字や絵柄などのイメージであるが、本比較例では、文字パターンを形成した。印刷パターンは、室温乾燥により定着させた。
前記乾燥後のマスクパターンを目視により観察したところ、輪郭線に激しい滲みが生じていた。また、マスクパターンの光学的濃度を測定したところ、3.0であった。
次に、前記マスクパターンを介して感光性樹脂層に4000mJ/cm2のメイン露光を行った。この露光後、芳香族炭化水素系現像液(商品名FDO−S2、東京応化工業株式会社製)を用いて、液温25℃で4分間の現像を行った。現像後の版面を目視により観察したところ、印刷に必要なレリーフパターンが形成されていなかった。
(比較例2)
感光性フレキソ版材として東京応化工業株式会社製のエラスロンN284SB(商品名)を用いた。この感光性フレキソ版材のカバーシート側の裏面より370nmに中心波長を有する紫外線を75mJ/cm2の露光量でバック露光した。
バーコーターを用いてポリビニルブチラール(商品名:エスレックKW−3、積水化学社製)5%の水溶液を厚み100μmのカバーシートとなるPETフィルムに乾燥後の塗付膜厚0.8μmとなるように塗布し、100℃で5分間乾燥することにより、インク授与層を形成した。このインク授与層の370nm波長光に対する光学的濃度を測定したところ0.0であった。
前記感光性フレキソ版材の感光性樹脂層と前記インク授与層の面を合わせて圧着ローラーを用いてラミネートし、支持体−感光性樹脂層−インク授与層−カバーシートが順次積層一体化された多層感光性構成体(フレキソ印刷原版)を得た。
得られたフレキソ印刷原版のカバーシートを剥離し、ローランド・ディー・ジー製フラットベットインクジェットプリンターを用い、300nm〜400nm波長域の光に対する吸収特性を有する色素を含む水溶性染料インクを所定のパターンに従ってインク授与層上に噴射して、インク授与層に所定のマスクパターンを形成した。このインク授与層に形成したマスクパターンは、文字や絵柄などのイメージであるが、本比較例では、文字パターンを形成した。乾燥後のマスクパターンを目視により観察したところ、輪郭線に比較例1ほどではないが、滲みが生じていた。この遮光インクによるマスクパターン領域の370nm波長光に対する光学的濃度を測定したところ3.0であった。
次に、370nmに中心波長を有する紫外線を支持体側から照射することにより75mJ/cm2のバック露光を行い、引き続いて画像層側から4000mJ/cm2のメイン露光を行った。その後、芳香族炭化水素系現像液(商品名FDO−S2、東京応化工業株式会社製)を現像液として、液温25℃で4分間現像を行った。得られた版面には現像残渣などの再付着が認められなかった。現像処理後、55℃で50分間乾燥した後、250nmに中心波長を有する紫外線蛍光灯ランプを用いて後処理を行い、さらに、370nmに中心波長を有する紫外線を用いて3000mJ/cm2の後露光を行い、フレキソ印刷板を得た。このフレキソ印刷板のレリーフ形状は、印刷に適したものとしては、不充分であり、印刷したところ、印刷は可能であったが、文字の鮮明度は低いものであった。
以上説明したように、本発明の凸版印刷用感光性積層印刷原版の製造方法によれば、感光性樹脂層表面に形成されたインク組成物のパターンは、所定のエネルギーの印加によって、迅速に硬化するので、パターンを構成するインクが滲みを伴うことなく感光性樹脂層表面に定着する。これらにより、輪郭精度の高いマスクパターンを得ることができ、このマスクを介した露光と、その後の現像によって、凸版印刷に好適な感光性樹脂層のパターン形成が可能になる。

Claims (8)

  1. 支持体上に形成された所定の波長域の光に感光性を有する感光性樹脂層の上もしくは該感光性樹脂層の上に形成された中間層の上に、前記所定の波長域の光を吸収する遮光物質を含有するとともに所定エネルギーの印加を受けて硬化する印刷インク組成物を所定のパターンに印刷するパターン印刷工程と、
    前記印刷パターンに前記所定エネルギーを印加することによって硬化させてパターンマスクを形成するパターンマスク形成工程と、
    を有することを特徴とする凸版印刷用感光性積層印刷原版の製造方法。
  2. 前記所定エネルギーの印加は、前記印刷パターンの印刷と同時もしくは直後に行うことを特徴とする請求項1に記載の凸版印刷用感光性積層印刷原版の製造方法。
  3. 前記所定エネルギーが、熱エネルギーであることを特徴とする請求項1または2に記載の凸版印刷用感光性積層印刷原版の製造方法。
  4. 前記熱エネルギーが、前記印刷パターンへの印加によって該印刷パターンの温度を30〜90℃にする熱エネルギーであることを特徴とする請求項3に記載の凸版印刷用感光性積層印刷原版の製造方法。
  5. 前記所定エネルギーが、化学線であることを特徴とする請求項1または2に記載の凸版印刷用感光性積層印刷原版の製造方法。
  6. 前記パターン印刷工程において、前記印刷インク組成物のパターン印刷はインクジェット印刷装置を用いて行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の凸版印刷用感光性積層印刷原版の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の凸版印刷用感光性積層印刷原版の製造方法によって得られたことを特徴とする凸版印刷用感光性積層印刷原版。
  8. 請求項7に記載の凸版印刷用感光性積層印刷原版の感光性樹脂層に、パターンマスクを介して所定の波長域の光を照射する露光工程と、
    前記感光性樹脂層の除去可能部を現像液により除去する現像工程と、
    を有することを特徴とする凸版印刷版の製造方法。
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