JP2007001946A - ピロリジン誘導体 - Google Patents

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Takahiro Konmon
孝裕 根門
Akira Hatakeyama
昭 畠山
Takashi Kondo
隆史 近藤
Yukinori Sayama
幸徳 左山
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Abstract

【課題】 DPP4阻害活性を有する化合物を提供すること。
【解決手段】 一般式(I)
【化1】
Figure 2007001946

(式中、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または置換基を表わし、Rは置換基を表わし、Rは水素原子、窒素原子の保護基等を表わし、nは0〜4の整数を表わし、nが2以上のとき、複数のRは同じでも異なっていてもよく、RとRは結合する窒素原子と一緒になって複素環を表わしてもよく、RとRは一緒になって複素環を形成してもよく、RとRは結合する炭素原子と一緒になって炭素環または複素環を表わしてもよい。)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、そのN−オキシド体またはそれらのプロドラッグ。本発明化合物はDPP4阻害活性を有するため、糖尿病(2型糖尿病等)、耐糖能異常の治療および/または予防剤、食後過血糖の予防および/または改善剤として有用である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ピロリジン誘導体に関する。さらに詳しくは、
(1)一般式(I)
Figure 2007001946
(式中、すべての記号は後記と同じ意味を表わす。)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、そのN−オキシド体またはそれらのプロドラッグ、
(2)それらの製造方法、および
(3)それらを有効成分とする医薬に関する。
ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP4、DPP−IV、DP4、DPPIV、CD26とも呼ばれる。以下、DPP4と略記する。)はN末端から2番目にプロリンまたはアラニンを有するペプチド鎖からジペプチドXaa−ProまたはXaa−Alaを産生するセリンプロテアーゼである。DPP4は哺乳動物組織中に広く分布し、特に腎臓、肝臓、腸管上皮、胎盤および血漿中に存在することが知られており、さまざまな生理活性ペプチドの代謝に関与している。なかでも、強力なインスリン分泌促進能を有し、食後の血糖値調節を担う生体内物質グルカゴン様ペプチド(Glucagon-Like Peptide-1:GLP−1とも呼ばれる。以下、GLP−1と略記する。)を不活性化する酵素としてのDPP4の役割が注目されている。
GLP−1の生理作用として、膵臓からのインスリン分泌促進作用のみならず、胃排出時間延長作用、摂食抑制作用、インスリン抵抗性改善作用が知られている。実際、GLP−1の皮下持続投与による、インスリン非依存型糖尿病(2型糖尿病)の治療が試みられており、GLP−1作動薬(エクセナチド)が糖尿病治療薬として米国で承認されている。しかしながら、GLP−1は生体内においては数分で代謝される。その中でも特にDPP4による代謝は重要であり、DPP4はGLP−1を速やかに切断して不活性型GLP−1を産生する。この不活性型GLP−1がGLP−1受容体に対して拮抗作用することから、GLP−1の生理作用がさらに減弱化する可能性がある。したがって、DPP4阻害によりGLP−1の分解を抑制する方法は、GLP−1作用増強のアプローチとして最良と考えられる。すなわち、DPP4を阻害する化合物は、GLP−1の作用を高め、インスリン分泌を亢進し糖代謝を改善することができ、糖尿病(特に、2型糖尿病等)、耐糖能異常の予防および/または治療、食後過血糖の予防および/または改善に有用であると期待される。また摂食抑制作用から抗肥満薬としても期待することができる。
またGLP−1と同じく、膵臓からのインスリン分泌を促進させる生理活性ペプチドとして、胃抑制ポリペプチド(Gastric Inhibitory PolypeptideまたはGlucose-dependent Insulinotropic Peptide;GIPとも呼ばれる。)、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(Pituitary Adenylate Cyclase Activating Polypeptide;PACAPとも呼ばれる。)、血管作動性小腸ペプチド(Vasoactive Intestinal Polypeptide;VIPとも呼ばれる。)等がある。DPP4は、これらの生理活性ペプチドの分解にも関与しているため、DPP4を阻害する化合物は、これらの生理活性ペプチドの分解も抑制し、作用を高め、インスリン分泌を亢進することからも、糖尿病(特に、2型糖尿病等)、耐糖能異常の予防および/または治療、食後過血糖の予防および/または改善に有用であると期待される。
DPP4は、ニューロペプチドY、エンドモルフィン1、エンドモルフィン2、サブスタンスPといった神経ペプチドの代謝にも関与している。したがって、DPP4を阻害する化合物は、これらの生理活性ペプチドの分解を抑制することにより、精神分裂病、鬱、不安、てんかん、ストレス性疾患の治療薬や鎮痛薬としても期待できる。
さらにDPP4は、種々のサイトカイン類やケモカイン類の代謝や、免疫担当細胞であるT細胞の活性化、癌細胞の内皮への接着、血液細胞の増殖等に関与していることが知られている。これらの作用を介して、DPP4を阻害する化合物は、関節リウマチ、I型糖尿病等の自己免疫疾患、喘息や食物アレルギー等のアレルギー疾患、癌、癌転移、HIV感染、貧血、血小板減少症等の治療および/または予防に有用である。
また乾癬、関節リウマチおよび偏平苔癬患者の皮膚線維芽細胞において高いDPP4の発現が見出されていること、前立腺肥大の患者で高いDPP4活性が見出されていることから、DPP4を阻害する化合物は、皮膚病および前立腺肥大の治療および/または予防にも有効であることが期待される。
またこれら以外にもDPP4を阻害する化合物は高脂血症、メタボリックシンドローム(シンドロームX)、糖尿病合併症、動脈硬化症、多嚢胞性卵巣症候群、不妊、成長障害、関節炎、移植拒絶反応、腸炎、創傷等の治療および/または予防にも有用であると考えられる。
また、臨床ステージにあるDPP4阻害薬は糖尿病患者において糖化ヘモグロビン(Hb1Ac)濃度低下作用を有する(第64回米国糖尿病学会学術総会、オーランド、2004年6月および第65回米国糖尿病学会学術総会、サンディエゴ、2005年)ことが知られており、このことからもDPP4阻害薬が血糖値のコントロールに有用であるといえる。
なお、DPP4と構造が類似の酵素に対して阻害作用を有する場合、望ましくない作用となる可能性があり、DPP4を選択的に阻害する化合物がより好ましい。
DPP4阻害活性を有する化合物として、一般式(W)
Figure 2007001946
(式中、すべての記号の定義は当該明細書中に記載されている。)で示される化合物(特許文献1参照)、一般式(Y)
Figure 2007001946
(式中、すべての記号の定義は当該明細書中に記載されている。)で示される化合物(特許文献2参照)等が知られている。
しかしながら、1−プロリル−2−シアノピロリジン誘導体は、不安定であることが知られており(非特許文献1参照)、一般式(W)で示される化合物のうちZがシアノ基である化合物、および(Y)で示される化合物のうちRがシアノ基である化合物も同様に不安定であり、その結果DPP4阻害活性が長時間持続しないという問題が懸念された。従って、安定でありDPP4阻害活性が長時間持続する化合物が望まれていた。
国際公開第02/14271号パンフレット 国際公開第04/16587号パンフレット バイオオーガニック・メディシナル・ケミストリー・レターズ、1996年、第6巻、10号、1163-1166頁
糖尿病、耐糖能異常等の治療および/または予防剤、食後過血糖の予防および/または改善剤として安定性に優れ、長時間にわたり効果を示し、かつDPP4に選択的に阻害作用を示す薬剤が切望されている。
本発明者らは、長時間にわたり効果を発揮するDPP4阻害薬を見出すべく鋭意研究を行なった結果、一般式(I)で示されるピロリジン誘導体が目的を達成することを見出し、本発明を完成した。
本化合物は、安定性が高いことから長時間にわたって阻害活性を発揮する特徴を有し、糖尿病(特に2型糖尿病等)、耐糖能異常の予防および/または治療、食後過血糖の予防および/または改善に有用な優れた薬剤となりうる。
すなわち本発明は、
[1] 一般式(I)
Figure 2007001946
(式中、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または置換基を表わし、Rは置換基を表わし、Rは水素原子、窒素原子の保護基またはC1−8アルキルを表わし、nは0または1〜4の整数を表わし、nが2以上のとき、複数のRは同じでも異なっていてもよく、RとRは結合する窒素原子と一緒になって4−10員の単環式または多環式複素環を表わしてもよく、RとRは一緒になって5−10員の単環式または多環式複素環を形成してもよく、RとRは結合する炭素原子と一緒になってC3−10の単環式もしくは多環式炭素環または5−10員の単環式もしくは多環式複素環を表わしてもよい。)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、そのN−オキシド体またはそれらのプロドラッグ、
[2] Rが水素原子であるか、置換基を有していてもよいC1−8アルキル基である前項[1]記載の化合物、
[3] Rが置換基を有していてもよいC1−8アルキル基である前項[1]記載の化合物、
[4] RおよびRがそれぞれ独立して水素原子またはC1−4アルキル基である前項[1]記載の化合物、
[5] RおよびRがともに置換基を有していてもよいC1−8アルキル基であるか、RとRが結合する窒素原子と一緒になって4−10員の単環式または二環式複素環を表わす前項[1]記載の化合物、
[6] Rが水素原子または置換基を有していてもよいC1−8アルキル基であり、Rが置換基を有していてもよいC1−8アルキル基であり、RおよびRがそれぞれ独立して水素原子またはC1−4アルキル基である前項[1]記載の化合物、
[7] 一般式(IA)
Figure 2007001946
(式中、記号
Figure 2007001946
は紙面の手前(β配置)に結合していることを表わし、R3−Aは水素原子または置換基を有していてもよいC1−8アルキル基を表わし、R4−Aは置換基を有していてもよいC1−8アルキル基を表わし、R5−AおよびR6−Aはそれぞれ独立して水素原子またはC1−4アルキル基を表わし、その他の記号は前項[1]記載と同じ意味を表わす。)で示される化合物である前項[1]記載の化合物、
[8] (1)(2S,4S,5S)−N−(シアノメチル)−N−エチル−N,N,5−トリメチル−2,4−ピロリジンジカルボキサミドおよび(2)(2S,4S,5S)−N−(シアノメチル)−N,N,N,5−テトラメチル−2,4−ピロリジンジカルボキサミドから選択される前項[1]記載の化合物、
[9] 前項[1]記載の一般式(I)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、そのN−オキシド体またはそれらのプロドラッグを有効成分として含有する医薬組成物、
[10] DPP4介在性疾患の治療および/または予防剤である前項[9]記載の医薬組成物、
[11] DPP4介在性疾患が糖尿病、肥満、統合失調症、鬱、不安、てんかん、ストレス性疾患、痛み、自己免疫疾患、アレルギー疾患、癌、癌転移、HIV感染、貧血、血小板減少症、皮膚病、前立腺肥大、高脂血症、メタボリックシンドローム、糖尿病合併症、動脈硬化症、耐糖能異常、多嚢胞性卵巣症候群、不妊、成長障害、関節炎、移植拒絶反応、腸炎および創傷からなる群から選択される1種以上である前項[10]記載の医薬組成物、
[12] 食後過血糖の予防および/または改善剤である前項[9]記載の医薬組成物、
[13] DPP4阻害剤である前項[10]記載の医薬組成物、
[14] 前項[1]記載の一般式(I)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、そのN−オキシド体またはそれらのプロドラッグとスルホニル尿素系薬、ビグアナイド系薬、α−グルコシダーゼ阻害薬、インスリン分泌促進薬、インスリン増感薬、インスリン製剤、PPAR作動薬、βアドレナリン受容体作動薬、アルドース還元酵素阻害薬、DPP4阻害薬、AMPキナーゼ活性化薬、1型11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害薬、リパーゼ阻害薬および食欲抑制薬からなる群から選択される1種以上を組み合わせてなる医薬、
[15] 前項[1]記載の一般式(I)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、そのN−オキシド体またはそれらのプロドラッグの有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする、DPP4介在性疾患の治療および/または予防方法、
[16] 前項[1]記載の一般式(I)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、そのN−オキシド体またはそれらのプロドラッグの有効量を哺乳動物に投与することを特徴とするDPP4阻害方法、
[17] DPP4介在性疾患の治療および/または予防剤を製造するための前項[1]記載の一般式(I)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、そのN−オキシド体またはそれらのプロドラッグの使用および
[18]DPP4阻害剤を製造するための前項[1]記載の一般式(I)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、そのN−オキシド体またはそれらのプロドラッグの使用に関する。
一般式(I)で示される化合物中の基の具体的態様としては、以下の通りである。
、R、R、R、R、RおよびRで表わされる「置換基」としては、置換基であれば特に限定されない。例えば、(1)1〜5個のR10によって置換されていてもよいC1−8炭化水素基、(2)1〜5個のR11によって置換されていてもよい炭素環、(3)1〜5個のR11によって置換されていてもよい複素環、(4)ハロゲン原子、(5)シアノ、(6)−OR20、(7)−NR2122、(8)−SR20、(9)−SO23、(10)−COOR20、(11)−CONR2122、(12)−COR23、(13)−SONR2122、(14)−OCOR23、(15)−OSO23、(16)−CONR21COR23、(17)−CONR21SO23、(18)−NR24CONR2122、(19)−NR24COOR20、(20)−OCOOR20、(21)−OCONR2122、(22)−SOOR20または(23)−SOR23等が挙げられ、それぞれの置換基は同じであっても異なっていてもよい。
10は、(1)ハロゲン原子、(2)シアノ、(3)オキソ、(4)チオキソ、(5)−OR20、(6)−NR2122、(7)−SR20、(8)−SO23、(9)−COOR20、(10)−CONR2122、(11)−COR23、(12)=N−OR20、(13)−SONR2122、(14)−OCOR23、(15)−OSO23、(16)−CONR21COR23、(17)−CONR21SO23、(18)−NR24CONR2122、(19)−NR24COOR20、(20)−OCOOR20、(21)−OCONR2122、(22)−SOOR20、(23)−OSOOR20、(24)−SOR23、(25)1〜5個のR11によって置換されていてもよい炭素環または(26)1〜5個のR11によって置換されていてもよい複素環を表わし、R10が2個以上のとき、複数のR10は同じであっても異なっていてもよい。
11は、(1)ハロゲン原子、シアノ、オキソ、チオキソ、−OR20、−NR2122、−SR20、−SO23、−COOR20、−CONR2122、−COR23、=N−OR20、−SONR2122、−OCOR23、−OSO23、−CONR21COR23、−CONR21SO23、−NR24CONR2122、−NR24COOR20、−OCOOR20、−OCONR2122、−SOOR20、−OSOOR20、−SOR23、置換基を有していてもよい炭素環および置換基を有していてもよい複素環から選択される1〜5個の基によって置換されていてもよいC1−8炭化水素基、(2)ハロゲン原子、(3)ニトロ、(4)シアノ、(5)オキソ、(6)チオキソ、(7)−OR20、(8)−NR2122、(9)−SR20、(10)−SO23、(11)−COOR20、(12)−CONR2122、(13)−COR23、(14)=N−OR20、(15)−SONR2122、(16)−OCOR23、(17)−OSO23、(18)−CONR21COR23、(19)−CONR21SO23、(20)−NR24CONR2122、(21)−NR24COOR20、(22)−OCOOR20、(23)−OCONR2122、(24)−SOOR20、(25)−OSOOR20、(26)−SOR23、(27)置換基を有していてもよい炭素環または(28)置換基を有していてもよい複素環を表わし、R11が2個以上のとき、複数のR11は同じであっても異なっていてもよい。
20は、(1)水素原子、(2)置換基を有していてもよいC1−8炭化水素基、(3)置換基を有していてもよい炭素環または(4)置換基を有していてもよい複素環を表わす。
21、R22およびR24はそれぞれ独立して、(1)水素原子、(2)置換基を有していてもよいC1−8炭化水素基、(3)置換基を有していてもよい炭素環、(4)置換基を有していてもよい複素環、(5)−COR23または(6)−SO23を表わす。
23は、(1)置換基を有していてもよいC1−8炭化水素基、(2)置換基を有していてもよい炭素環または(3)置換基を有していてもよい複素環を表わす。
本明細書中、R、R、R、R、R、RおよびRが表わす「置換基」中の「1〜5個のR10によって置換されていてもよいC1−8炭化水素基」ならびにR20、R21、R22、R23およびR24中の「置換基を有していてもよいC1−8炭化水素基」中の「C1−8炭化水素基」とは、C1−8アルキル、C2−8アルケニルまたはC2−8アルキニルを表わす。
C1−8アルキルとは、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルおよびそれらの異性体を表わす。
C1−4アルキルとは、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチルおよびそれらの異性体を表わす。
C2−8アルケニルとは、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニルおよびそれらの異性体を表わす。
C2−8アルキニルとは、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニルおよびそれらの異性体を表わす。
本明細書中、ハロゲン原子とは、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を表わす。
本明細書中、R、R、R、R、R、R、RおよびR10が表わす「1〜5個のR11によって置換されていてもよい炭素環」における「炭素環」ならびにR11、R20、R21、R22、R23およびR24中の「置換基を有していてもよい炭素環」における「炭素環」は、「C3−15の単環式または多環式炭素環」を表わす。
「C3−15の単環式または多環式炭素環」には、C3−15の単環式または多環式炭素環アリール、その一部または全部が飽和されている炭素環、スピロ結合した多環式炭素環および架橋した多環式炭素環が含まれ、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロウンデカン、シクロドデカン、シクロトリデカン、シクロテトラデカン、シクロペンタデカン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、シクロオクタジエン、ベンゼン、ペンタレン、パーヒドロペンタレン、アズレン、パーヒドロアズレン、インデン、パーヒドロインデン、インダン、ナフタレン、ジヒドロナフタレン、テトラヒドロナフタレン、パーヒドロナフタレン、ヘプタレン、パーヒドロヘプタレン、ビフェニレン、as−インダセン、s−インダセン、アセナフチレン、アセナフテン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、スピロ[4.4]ノナン、スピロ[4.5]デカン、スピロ[5.5]ウンデカン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタ−2−エン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン、アダマンタン、ノルアダマンタン、ノルボルナン環等が挙げられる。
本明細書中、R、R、R、R、R、R、RおよびR10が表わす「1〜5個のR11によって置換されていてもよい複素環」における「複素環」ならびにR11、R20、R21、R22、R23およびR24中の「置換基を有していてもよい複素環」における「複素環」とは、「3−15員の酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む単環式または多環式複素環」を表わす。
「3−15員の酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む単環式または多環式複素環」には、3−15員の酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む、一部または全部飽和されていてもよい単環式または多環式複素環アリールが含まれる。
3−15員の酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む、単環式または多環式複素環アリールとしては、例えば、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、アゼピン、ジアゼピン、フラン、ピラン、オキセピン、チオフェン、チオピラン、チエピン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、フラザン、オキサジアゾール、オキサジン、オキサジアジン、オキサゼピン、オキサジアゼピン、チアジアゾール、チアジン、チアジアジン、チアゼピン、チアジアゼピン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾジオキソール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジチアナフタレン、インダゾール、キノリン、イソキノリン、キノリジン、プリン、フタラジン、プテリジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、クロメン、ベンゾオキセピン、ベンゾオキサゼピン、ベンゾオキサジアゼピン、ベンゾチエピン、ベンゾチアゼピン、ベンゾチアジアゼピン、ベンゾアゼピン、ベンゾジアゼピン、ベンゾフラザン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾール、カルバゾール、β−カルボリン、アクリジン、フェナジン、ジベンゾフラン、キサンテン、ジベンゾチオフェン、フェノチアジン、フェノキサジン、フェノキサチイン、チアンスレン、フェナントリジン、フェナントロリン、ペリミジン環等が挙げられる。
酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む、一部または全部飽和された3−15員の単環式または多環式複素環アリールとしては、例えば、アジリジン、アゼチジン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、トリアゾリン、トリアゾリジン、テトラゾリン、テトラゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ピペリジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロピラジン、ピペラジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、パーヒドロピリミジン、ジヒドロピリダジン、テトラヒドロピリダジン、パーヒドロピリダジン、ジヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、パーヒドロアゼピン、ジヒドロジアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、パーヒドロジアゼピン、ジヒドロアゾシン、テトラヒドロアゾシン、パーヒドロアゾシン、ジヒドロジアゾシン、テトラヒドロジアゾシン、パーヒドロジアゾシン、オキシラン、オキセタン、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、ジヒドロオキセピン、テトラヒドロオキセピン、パーヒドロオキセピン、チイラン、チエタン、ジヒドロチオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジヒドロチオピラン、テトラヒドロチオピラン、ジヒドロチエピン、テトラヒドロチエピン、パーヒドロチエピン、ジヒドロオキサゾール、テトラヒドロオキサゾール(オキサゾリジン)、ジヒドロイソオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール(イソオキサゾリジン)、ジヒドロチアゾール、テトラヒドロチアゾール(チアゾリジン)、ジヒドロイソチアゾール、テトラヒドロイソチアゾール(イソチアゾリジン)、ジヒドロフラザン、テトラヒドロフラザン、ジヒドロオキサジアゾール、テトラヒドロオキサジアゾール(オキサジアゾリジン)、ジヒドロオキサジン、テトラヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジアジン、テトラヒドロオキサジアジン、ジヒドロオキサゼピン、テトラヒドロオキサゼピン、パーヒドロオキサゼピン、ジヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロオキサジアゼピン、パーヒドロオキサジアゼピン、ジヒドロチアジアゾール、テトラヒドロチアジアゾール(チアジアゾリジン)、ジヒドロチアジン、テトラヒドロチアジン、ジヒドロチアジアジン、テトラヒドロチアジアジン、ジヒドロチアゼピン、テトラヒドロチアゼピン、パーヒドロチアゼピン、ジヒドロチアジアゼピン、テトラヒドロチアジアゼピン、パーヒドロチアジアゼピン、モルホリン、チオモルホリン、オキサチアン、インドリン、イソインドリン、ジヒドロベンゾフラン、パーヒドロベンゾフラン、ジヒドロイソベンゾフラン、パーヒドロイソベンゾフラン、ジヒドロベンゾチオフェン、パーヒドロベンゾチオフェン、ジヒドロイソベンゾチオフェン、パーヒドロイソベンゾチオフェン、ジヒドロインダゾール、パーヒドロインダゾール、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、パーヒドロキノリン、ジヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、パーヒドロイソキノリン、ジヒドロフタラジン、テトラヒドロフタラジン、パーヒドロフタラジン、ジヒドロナフチリジン、テトラヒドロナフチリジン、パーヒドロナフチリジン、ジヒドロキノキサリン、テトラヒドロキノキサリン、パーヒドロキノキサリン、ジヒドロキナゾリン、テトラヒドロキナゾリン、パーヒドロキナゾリン、ジヒドロシンノリン、テトラヒドロシンノリン、パーヒドロシンノリン、ベンゾオキサチアン、ジヒドロベンゾオキサジン、ジヒドロベンゾチアジン、ピラジノモルホリン、ジヒドロベンゾオキサゾール、パーヒドロベンゾオキサゾール、ジヒドロベンゾチアゾール、パーヒドロベンゾチアゾール、ジヒドロベンゾイミダゾール、パーヒドロベンゾイミダゾール、ジヒドロベンゾアゼピン、テトラヒドロベンゾアゼピン、ジヒドロベンゾジアゼピン、テトラヒドロベンゾジアゼピン、ベンゾジオキセパン、ジヒドロベンゾオキサゼピン、テトラヒドロベンゾオキサゼピン、ジヒドロカルバゾール、テトラヒドロカルバゾール、パーヒドロカルバゾール、ジヒドロアクリジン、テトラヒドロアクリジン、パーヒドロアクリジン、ジヒドロジベンゾフラン、ジヒドロジベンゾチオフェン、テトラヒドロジベンゾフラン、テトラヒドロジベンゾチオフェン、パーヒドロジベンゾフラン、パーヒドロジベンゾチオフェン、ジオキソラン、ジオキサン、ジチオラン、ジチアン、ジオキサインダン(ベンゾジオキソール)、ベンゾジオキサン、クロマン、ベンゾジチオラン、ベンゾジチアン、テトラヒドロトリアゾロピラジン環等が挙げられる。
11、R20、R21、R22、R23およびR24中の「置換基を有していてもよい炭素環」における「置換基」ならびにR11、R20、R21、R22、R23およびR24中の「置換基を有していてもよい複素環」における「置換基」とは、例えば(1)ニトロ、(2)水酸基、(3)オキソ、(4)チオキソ、(5)シアノ、(6)カルバモイル、(7)N−メチルアミノカルボニル、N−ブチルアミノカルボニル、N−ヘキシルアミノカルボニル等のC1−8炭化水素等で置換されたアミノカルボニル(ここで、この「C1−8炭化水素基」は前記の「C1−8炭化水素基」と同じ意味を表わす。)、(8)カルボキシ、(9)例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル等のC1−8アルコキシカルボニル、(10)スルホ、(11)例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のハロゲン、(12)例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ等のC1−8アルコキシ、(13)例えば、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロヘキシルオキシ等のC3−8シクロアルコキシ、(14)フェノキシ、(15)例えば、o−、m−またはp−クロロフェノキシ、o−、m−またはp−ブロモフェノキシ等のハロゲノフェノキシ、(16)例えば、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、t−ブチルチオ等のC1−8アルキルチオ、(17)フェニルチオ、(18)例えばメチルスルフィニル、エチルスルフィニル等のC1−8アルキルスルフィニル、(19)例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル等のC1−8アルキルスルホニル、(20)アミノ、(21)例えば、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ等のC1−8アシルアミノ、(22)例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ等のC1−8炭化水素基で置換された第1または第2アミノ(ここで、「C1−8炭化水素基」は、前記の「C1−8炭化水素基」と同じ意味を表わし、オキソ、アミノ、カルバモイル等で置換されていてもよい。)、(23)例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル等のC1−8アシル、(24)ベンゾイル、(25)(a)例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のハロゲン、(b)オキソ、水酸基等で置換されていてもよい、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル等のC1−8炭化水素基(ここで、この「C1−8炭化水素基」は前記の「C1−8炭化水素基」と同じ意味を表わす。)、(c)例えばo−、m−またはp−クロロフェノキシ、o−、m−またはp−ブロモフェノキシ等のハロゲノフェノキシ、および(d)オキソ等から選ばれる1〜4個の置換基を有していてもよい、例えば2−または3−チエニル、2−または3−フリル、3−、4−または5−ピラゾリル、4−テトラヒドロピラニル、2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、2−、4−または5−オキサゾリル、3−、4−または5−イソオキサゾリル、2−、4−または5−イミダゾリル、1,2,3−または1,2,4−トリアゾリル、1Hまたは2H−テトラゾリル、2−、3−または4−ピリジル、2−、4−または5−ピリミジル、3−または4−ピリダニジル、キノリル、イソキノリル、インドリル等の炭素原子以外に酸素、硫黄、窒素等から選ばれるヘテロ原子を1〜4個含む5または6員複素環基、(26)例えば、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、トリクロロエチル等のC1−8のハロアルキル基、(27)ヒドロキシイミノ基、(28)例えば、メトキシイミノ、エトキシイミノ等のC1−8アルコキシイミノ基、(29)スルファモイル基、(30)例えば、メチルアミノスルホニル等のC1−8炭化水素基で置換されたアミノスルホニル(ここで、この「C1−8炭化水素基」は前記の「C1−8炭化水素基」と同じ意味を表わす。)、(31)例えば、ジメチルアミノエチルアミノスルホニル、ジメチルアミノプロピルアミノスルホニル等のアミノ基で置換されたC1−8炭化水素基によって置換されたアミノスルホニル(ここで、この「C1−8炭化水素基」は前記の「C1−8炭化水素基」と同じ意味を表わす。)、または(32)例えば、メチルスルホニルアミノ等のC1−8炭化水素基で置換されたスルホニルアミノ(ここで、この「C1−8炭化水素基」は前記の「C1−8炭化水素基」と同じ意味を表わす。)、(33)C1−8炭化水素基(ここで、この「C1−8炭化水素基」は前記の「C1−8炭化水素基」と同じ意味を表わす。)等が挙げられる。
20、R21、R22、R23およびR24中の「置換基を有していてもよいC1−8炭化水素基」は、前記(1)〜(32)から選ばれる1〜5個の置換基を有していてもよい。また、置換基の数が2以上の場合、それぞれの置換基は同じであってもよく、また異なっていてもよい。
本明細書中、RおよびRが結合する窒素原子と一緒になって表わす環(環Aとする)は、4−10員の少なくとも1個の窒素原子を含有する単環式または多環式複素環を表わす。
環Aが表わす4−10員の少なくとも1個の窒素原子を含有する単環式または多環式複素環は、一部または全部飽和していてもよい4−10員の1個の窒素原子を含有し、さらに任意に窒素原子、酸素原子および酸化されていてもよい硫黄原子から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する単環式または多環式複素環アリールを表わし、さらに置換基を有していてもよい。環Aの置換基は、前記の「置換基を有していてもよい炭素環」における「置換基」と同じ意味を表わす。具体的な環Aの態様としては例えば、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、パーヒドロアゼピン、パーヒドロアゾシン、ジヒドロピロール、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、オキサゾリジン、チアゾリジン、ジヒドロインドール、ジヒドロイソインドール、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、ジヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、テトラヒドロチアゾロピリジン、テトラヒドロトリアゾロピラジン環等である。
本明細書中、RおよびRが一緒になって形成する環(環Bとする)は、5−10員の少なくとも1個の窒素原子を含有し、1個のカルボニル基を含有する単環式または多環式複素環を表わす。
環Bが表わす4−10員の少なくとも1個の窒素原子を含有する単環式または多環式複素環は、一部または全部飽和していてもよい4−10員の1個の窒素原子を含有し、さらに任意に窒素原子、酸素原子および酸化されていてもよい硫黄原子から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する単環式または多環式複素環アリールを表わし、さらに1〜5個の置換基を有していてもよい。環Bの置換基は、前記の「置換基を有していてもよい炭素環」における置換基と同じものが挙げられる。環Bの具体的な態様としては、例えば、
Figure 2007001946
(式中、点線は、環Bが縮合するピロリジン環内の結合手を表わす。)で示される環が挙げられる。
本明細書中、Rが表わす窒素原子の保護基としては、例えば、C1−8アルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル等)、ベンジルオキシカルボニル等が挙げられる。
本明細書中、Rが表わすC1−8アルキルとしては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等が挙げられる。
本発明においては、特に指示しない限り異性体はこれをすべて包含する。例えば、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルケニル、アルキニルおよびアルキレンには直鎖のものおよび分枝鎖のものが含まれる。さらに二重結合、環、縮合環における異性体(E、Z、シス、トランス体)、不斉炭素の存在等による異性体(R、S体、α、β体、エナンチオマー、ジアステレオマー)、旋光性を有する光学異性体(D、L、d、l体、+、−体)、クロマトグラフィー分離による極性体(高極性体、低極性体)、平衡化合物、これらの任意の割合の化合物、ラセミ混合物は、すべて本発明に含まれる。
本発明において、記号
Figure 2007001946
は当業者にとって明らかなように、特に断わらない限り紙面の手前(β配置)に結合していることを表わし、記号
Figure 2007001946
は当業者にとって明らかなように、特に断わらない限り紙面の向こう側(α配置)に結合していることを表わす。
記号
Figure 2007001946
は紙面の手前もしくは向こう側に結合しているか、またはそれらの任意の割合の混合物であることを表わす。
本発明における光学活性な化合物は100%純粋な化合物だけでなく、50%未満のその他の光学異性体を含んでいてもよい。
[本発明の好ましい態様]
本発明において、好ましい態様は以下の通りである。
本明細書中、RおよびRとして好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、1〜3個のR10によって置換されていてもよいC1−8アルキル、1〜3個のR10によって置換されていてもよいC2−8アルケニル、1〜3個のR10によって置換されていてもよいC2−8アルキニル、−NR2122、1〜3個のR11によって置換された3−8員の単環式炭素環、1〜3個のR11によって置換された4−8員の単環式複素環であるか、RとRが結合する窒素原子と一緒になって表わす4−10員の少なくとも1個の窒素原子を含有する単環式または二環式複素環(環A’とする)である。
およびRとしてより好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、ビニル、アリル、2−プロピニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、置換基を有していてもよいベンジル(例えば、o−、m−、p−等のメチルベンジル、メトキシベンジル、クロロベンジル、フルオロベンジル、メチルスルホン等)、チエニルメチル、フリルメチル、ピリジルメチル、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、フェニルアミノ、3−メチルチオプロピル、2−メトキシエチル等が挙げられ、これらの任意の組合せが好ましい。
環A’として好ましくは、アゼチジン、ピロリジン、チアゾリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ジヒドロイソインドール、オキサゾリジン、チアゾリジン、ピペラジン、チオモルホリン 1−オキシド、チオモルホリン 1,1−ジオキシド、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、ジヒドロインドール、インドリン等が挙げられる。
環A’は所望により、C1−8アルキル(メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等)、C1−8アルコキシ(メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ等)、水酸基、C1−4アルキルチオ(メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ等)、メルカプト、シアノ、−(C1−4アルキル)−OH(ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル等)、炭素環によって置換されたC1−4アルキル(ベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、フェニルブチル等)、複素環によって置換されたC1−4アルキル(ピリジルメチル、ピペリジニルメチル等)、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、置換されていてもよいアミノ基(ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、エチルメチルアミノ等)、炭素環(シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、ナフタレン等)、複素環(アゼチジン、ピロリジン、チアゾリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ジヒドロイソインドール、オキサゾリジン、チアゾリジン、イミダゾール、ピペラジン、チオモルホリン 1−オキシド、チオモルホリン 1,1−ジオキシド、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、ジヒドロインドール、インドリン、ピリジン、ピロール、フラン、チオフェン、オキサジアゾール、チアジアゾール等)から選択される1〜5個によって置換されていてもよい。
本明細書中、Rとして好ましくは、水素原子、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、−OR20によって置換されたC1−8アルキル、−NR2122によって置換されたC1−8アルキルであり、より好ましくは、水素原子、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、−(C1−4アルキル)−OH、−(C1−4アルキル)−O−(C1−4アルキル)、−(C1−4アルキル)−O−(C3−10単環式または二環式炭素環(シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、ナフタレン等))であり、さらに好ましくは、水素原子、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、フェノキシメチルである。R中に環を有する場合、かかる環はさらに置換基(メチル、エチル、プロピル、ブチル等のC1−4アルキル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等のC1−4アルコキシ、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、水酸基等)を有していてもよい。
また、RとRが一緒になって形成する環(環B)として好ましくは、ピロリジン−2−オン、ピペリジン−2−オン、3,4−ジヒドロピリジン−2(1H)−オン、アゼパン−2−オンである。
本明細書中、Rとして好ましくは、(i)水素原子、(ii)C1−8アルキル、(iii)C2−8アルケニル、(iv)C2−8アルキニル、(v)炭素環、(vi)複素環、(vii)炭素環によって置換されたC1−8アルキル、(viii)複素環によって置換されたC1−8アルキル、(ix)1〜3個のハロゲン原子によって置換されたC1−8アルキルであり、より好ましくは、水素原子、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C3−6シクロアルキル、1〜3個のハロゲン原子によって置換されたC1−4アルキルであり、さらに好ましくは水素原子、メチル、エチル、プロピル、ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アリル、2−プロピニル、2,2,2−トリフルオロエチルである。
本明細書中、RおよびRとして好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、炭素環によって置換されたC1−8アルキルであり、より好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいC1−4アルキルを表わすか、RとRが結合する炭素原子と一緒になって表わすC3−6炭素環であり、さらに好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジル、フェネチル、シクロプロピルメチル、シクロヘキシルメチルである。また、RとRが結合する炭素原子と一緒になって形成するシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンも好ましい。
本明細書中、Rとして好ましくは、C1−8アルキル、C2−8アルケニルである。
nとして好ましくは、0または1−2の整数であり、複数のRが存在するとき、それらは同じであっても異なっていてもよい。
本明細書中、Rとして好ましくは、C1−4アルキル、C1−4アルコキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルである。R中、C1−4アルキルとして好ましくはメチル、エチルであり、C1−4アルコキシカルボニルとして好ましくはt−ブトキシカルボニルである。
一般式(I)で示される本発明化合物の立体化学について、いかなる立体構造も好ましいが、特にピロリジン環に結合したいずれの基もβ配置(紙面の手前側)に結合することが好ましい。すなわち、以下の一般式(I−X)
Figure 2007001946
(式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。)で示される化合物が好ましい。
本発明において、さらに好ましい態様としては、一般式(IA)
Figure 2007001946
(式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。)で示される化合物、一般式(IB)
Figure 2007001946
(式中、Xは−(CH−を表わし、mは1〜6の整数を表わし、Xに含まれる炭素原子の1個は−NH−基、酸素原子または酸化されていてもよい硫黄原子に置き換わっていてもよく、その他の記号は前記と同じ意味を表わす。)で示される化合物、一般式(IC)
Figure 2007001946
(式中、
Figure 2007001946
は環Aを表わし、その他の記号は前記と同じ意味を表わす。)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、そのN−オキシド体またはそれらのプロドラッグ等が挙げられる。
また、実施例に記載された化合物も好ましく、以下の表1乃至表25に示される化合物も好ましい。
以下の表中、Meはメチル基、Etはエチル基、n−Prはn−プロピル基、n−Buはn−ブチル基、n−Penはn−ペンチル基、Phはフェニル基を表わす。
Figure 2007001946
Figure 2007001946
Figure 2007001946
Figure 2007001946
Figure 2007001946
Figure 2007001946
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Figure 2007001946
Figure 2007001946
Figure 2007001946
Figure 2007001946
Figure 2007001946
Figure 2007001946
Figure 2007001946
Figure 2007001946
Figure 2007001946
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Figure 2007001946
Figure 2007001946
Figure 2007001946
Figure 2007001946
Figure 2007001946
Figure 2007001946
Figure 2007001946
Figure 2007001946
[塩、溶媒和物、N−オキシド体およびプロドラッグ]
一般式(I)で示される化合物の塩には薬理学的に許容されるものすべてが含まれる。薬理学的に許容される塩は毒性の少ない、水溶性のものが好ましい。一般式(I)で示される化合物の適当な塩として、例えばアルカリ金属(カリウム、ナトリウム、リチウム等)の塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)の塩、アンモニウム塩(テトラメチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩等)、有機アミン(トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、リジン、アルギニン、N−メチル−D−グルタミン等)の塩、酸付加物塩(無機酸塩(塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩等)、有機酸塩(酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、イセチオン酸塩、グルクロン酸塩、グルコン酸塩等)等)が挙げられる。
一般式(I)で示される化合物の適当な溶媒和物としては、例えば、水、アルコール系溶媒(エタノール等)等の溶媒和物が挙げられる。溶媒和物は非毒性かつ水溶性であることが好ましい。また、本発明化合物の溶媒和物には、上記本発明化合物のアルカリ(土類)金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、酸付加物塩等の溶媒和物も含まれる。
一般式(I)で示される化合物は公知の方法で上記の塩、上記の溶媒和物に変換することができる。
さらに塩には、四級アンモニウム塩も含まれる。四級アンモニウム塩とは、一般式(I)で示される化合物の窒素原子が、R基(R基は、C1−8アルキル基、フェニル基によって置換されたC1−8アルキル基を表わす。)によって四級化されたものを表わす。
一般式(I)で示される化合物は公知の方法でN−オキシド体にすることができる。N−オキシド体とは、一般式(I)で示される化合物の窒素原子が、酸化されたものを表わす。
一般式(I)で示される化合物のプロドラッグは、生体内において酵素や胃酸等による反応により一般式(I)で示される化合物に変換する化合物をいう。一般式(I)で示される化合物のプロドラッグとしては、例えば一般式(I)で示される化合物がアミノ基を有する場合(例えば、一般式(I)で示される化合物においてRが水素原子である場合等)、そのアミノ基がアシル化、アルキル化、リン酸化された化合物(例えば、一般式(I)で示される化合物のアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、アセトキシメチル化、tert−ブチル化された化合物等);一般式(I)で示される化合物が水酸基を有する場合、その水酸基がアシル化、アルキル化、リン酸化、ホウ酸化された化合物(例えば、一般式(I)で示される化合物の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、スクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物等);一般式(I)で示される化合物がカルボキシ基を有する場合、そのカルボキシ基がエステル化、アミド化された化合物(例えば、一般式(I)で示される化合物のカルボキシ基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物等)等が挙げられる。これらの化合物は自体公知の方法によって製造することができる。また、一般式(I)で示される化合物のプロドラッグは溶媒和物であってもよい。また、一般式(I)で示される化合物のプロドラッグは、廣川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻「分子設計」163〜198頁に記載されているような、生理的条件で一般式(I)で示される化合物に変化するものであってもよい。さらに、一般式(I)で示される化合物は同位元素(例えばH、14C、35S、125I等)等で標識されていてもよい。
[本発明化合物の製造方法]
一般式(I)で示される本発明化合物は、公知の方法、例えばコンプレヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーションズ(Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations、第2版、Richard C.Larock著、John Wiley & Sons Inc、1999)に記載された方法等を適宜改良した、例えば以下に示す方法、または実施例に示す方法を組み合わせることによって製造することができる。なお、以下各製造方法において、原料化合物は塩として用いてもよい。このような塩としては、前記した一般式(I)で示される化合物の塩として記載されたものを用いることができる。
一般式(I)で示される化合物のうち、例えば、一般式(I−1)
Figure 2007001946
(式中、R8−1は水素原子または窒素原子の保護基を表わし、その他の記号は前記と同じ意味を表わす。)で示される化合物は、以下の(1)または(2)の方法に従って製造することができる。
(1)一般式(I−1)で示される化合物は、一般式(II)
Figure 2007001946
(式中、R1−1、R2−1およびR3−1はそれぞれR、RおよびRと同じ意味を表わすが、これらがカルボキシル基、アミノ基、水酸基またはメルカプト基を含む場合には保護基によって保護されているものを表わし、Qは窒素原子の保護基を表わす。)で示される化合物と、一般式(III)
Figure 2007001946
(式中、R4−1、R5−1およびR6−1はそれぞれR、RおよびRと同じ意味を表わすが、これらがカルボキシル基、アミノ基、水酸基またはメルカプト基を含む場合には保護基によって保護されているものを表わす。)で示される化合物をアミド化反応に付し、引き続き必要に応じて窒素原子の保護基(すなわちQ)の脱保護反応および/またはその他の保護基の脱保護反応に付すことによって製造することができる。
このアミド化反応は公知であり、例えば、(1)酸ハライドを用いる方法、(2)混合酸無水物を用いる方法、(3)縮合剤を用いる方法等が挙げられる。
これらの方法を具体的に説明すると、
(1)酸ハライドを用いる方法は、例えば、カルボン酸を有機溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、トルエン等)中または無溶媒で、酸ハライド化剤(塩化オキザリル、塩化チオニル、フッ化シアヌル等)と塩基(ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルエチルアミン等)存在下または非存在下、−20℃〜還流温度で反応に付し、得られた酸ハライドを塩基(ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルエチルアミン等)の存在下、アミン誘導体と有機溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)中、0〜80℃で反応させることにより行なわれる。また、得られた酸ハライドを有機溶媒(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)中、アルカリ水溶液(重曹水または水酸化ナトリウム溶液等)を用いて、アミンと0〜40℃で反応させることにより行なうこともできる。
(2)混合酸無水物を用いる方法は、例えば、カルボン酸を有機溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)中または無溶媒で、塩基(ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルエチルアミン等)の存在下、酸ハライド(塩化ピバロイル、塩化トシル、塩化メシル等)、または酸誘導体(クロロギ酸エチル、クロロギ酸イソブチル等)と、0〜40℃で反応に付し、得られた混合酸無水物を有機溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)中、アミン誘導体と0〜80℃で反応させることにより行なわれる。
(3)縮合剤を用いる方法は、例えば、カルボン酸とアミン誘導体を、有機溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)中、または無溶媒で、塩基(ピリジン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン等)の存在下または非存在下、縮合剤(1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミド(EDC)、1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)、2−クロロ−1−メチルピリジニウムヨウ素、1−プロピルホスホン酸環状無水物(1-propanephosphonic acid cyclic anhydride、PPA)、塩化シアヌル等)を用い、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)を用いるか用いないで、0〜80℃で反応に付すことにより行なわれる。
これら(1)、(2)および(3)の反応は、いずれも不活性ガス(アルゴン、窒素等)雰囲気下、無水条件で行なうことが望ましい。
Qで表わされる窒素原子の保護基としては、例えばベンジルオキシカルボニル(CbzまたはZ)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、アリルオキシカルボニル(Alloc)、1−メチル−1−(4−ビフェニル)エトキシカルボニル(Bpoc)、トリフルオロアセチル、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、ベンジル(Bn)、p−メトキシベンジル、ベンジルオキシメチル(BOM)、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル(SEM)等が挙げられる。
カルボキシル基の保護基としては、例えばメチル、エチル、アリル、tert−ブチル、トリクロロエチル、ベンジル(Bn)、フェナシル、p−メトキシベンジル、トリチル、2−クロロトリチルまたはそれらの構造が結合した固相担体等が挙げられる。
水酸基の保護基としては、例えばメチル、トリチル、メトキシメチル(MOM)、1−エトキシエチル(EE)、メトキシエトキシメチル(MEM)、2−テトラヒドロピラニル(THP)、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、tert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、アセチル(Ac)、ピバロイル、ベンゾイル、ベンジル(Bn)、p−メトキシベンジル、アリルオキシカルボニル(Alloc)、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル(Troc)等が挙げられる。
アミノ基の保護基としては、前記の窒素原子の保護基と同じものが挙げられる。
メルカプト基の保護基としては、例えばベンジル(Bn)、メトキシベンジル、メトキシメチル(MOM)、2−テトラヒドロピラニル(THP)、ジフェニルメチル、アセチル(Ac)等が挙げられる。
カルボキシル基、水酸基、アミノ基および/またはメルカプト基の保護基としては、上記した以外にも容易にかつ選択的に脱離できる基であれば特に限定されない。例えば、T. W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, Wiley, New York, 1999に記載されたものが用いられる。
窒素原子の保護基、ならびにカルボキシル基、水酸基、アミノ基および/またはメルカプト基の保護基の脱保護反応は、よく知られており、例えば、(1)アルカリ加水分解による脱保護反応、(2)酸性条件下における脱保護反応、(3)加水素分解による脱保護反応、(4)シリル基の脱保護反応、(5)金属を用いた脱保護反応、(6)金属錯体を用いた脱保護反応等が挙げられる。
これらの方法を具体的に説明すると、
(1)アルカリ加水分解による脱保護反応は、例えば、有機溶媒(メタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)中、アルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等)、アルカリ土類金属の水酸化物(水酸化バリウム、水酸化カルシウム等)または炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)あるいはその水溶液もしくはこれらの混合物を用いて、0〜40℃で行なわれる。
(2)酸性条件下における脱保護反応は、例えば、有機溶媒(ジクロロメタン、クロロホルム、ジオキサン、酢酸エチル、アニソール等)中、有機酸(酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸等)、または無機酸(塩酸、硫酸等)もしくはこれらの混合物(臭化水素/酢酸等)中、0〜100℃で行なわれる。
(3)加水素分解による脱保護反応は、例えば、溶媒(エーテル系(テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル等)、アルコール系(メタノール、エタノール等)、ベンゼン系(ベンゼン、トルエン等)、ケトン系(アセトン、メチルエチルケトン等)、ニトリル系(アセトニトリル等)、アミド系(ジメチルホルムアミド等)、水、酢酸エチル、酢酸またはそれらの2以上の混合溶媒等)中、触媒(パラジウム−炭素、パラジウム黒、水酸化パラジウム、酸化白金、ラネーニッケル等)の存在下、常圧または加圧下の水素雰囲気下またはギ酸アンモニウム存在下、0〜200℃で行なわれる。
(4)シリル基の脱保護反応は、例えば、水と混和しうる有機溶媒(テトラヒドロフラン、アセトニトリル等)中、テトラブチルアンモニウムフルオライドを用いて、0〜40℃で行なわれる。
(5)金属を用いた脱保護反応は、例えば、酸性溶媒(酢酸、pH4.2〜7.2の緩衝液またはそれらの溶液とテトラヒドロフラン等の有機溶媒との混合液)中、粉末亜鉛の存在下、必要であれば超音波をかけながら、0〜40℃で行なわれる。
(6)金属錯体を用いる脱保護反応は、例えば、有機溶媒(ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトニトリル、ジオキサン、エタノール等)、水またはそれらの混合溶媒中、トラップ試薬(水素化トリブチルスズ、トリエチルシラン、ジメドン、モルホリン、ジエチルアミン、ピロリジン等)、有機酸(酢酸、ギ酸、2−エチルヘキサン酸等)および/または有機酸塩(2−エチルヘキサン酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム等)の存在下、ホスフィン系試薬(トリフェニルホスフィン等)の存在下または非存在下、金属錯体(テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)、二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、塩化トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)等)を用いて、0〜40℃で行なわれる。
当業者には容易に理解できることではあるが、これらの脱保護反応を使い分けることにより、目的とする本発明化合物を容易に製造することができる。
また、上記以外にも、例えば、T. W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, Wiley, New York, 1999に記載された方法によって、脱保護反応を行なうことができる。
(2)また、一般式(I−1)で示される化合物は、一般式(IV)
Figure 2007001946
(式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。)で示される化合物を脱水反応に付し、必要に応じ引き続き窒素原子の保護基の脱保護反応および/またはその他の保護基の脱保護反応に付すことによっても製造することができる。
一般式(IV)で示される化合物を用いた脱水反応は公知であり、例えば、有機溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、トルエン等)中、塩基(ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン等)の存在下または非存在下、脱水剤(トリフルオロ酢酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、オキシ塩化リン、塩化チオニル、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミド(EDC)、塩化トシル、塩化シアヌル等)を用いて−20〜100℃で行なわれる。
(3)一般式(I)で示される化合物のうち、例えば、一般式(I−2)
Figure 2007001946
(式中、R8−2はC1−8アルキルを表わし、その他の記号は前記と同じ意味を表わす。)で示される化合物は、前記一般式(I−1)で示される化合物のうちR8Aが水素原子である化合物、すなわち一般式(I−1−A)
Figure 2007001946
(式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。)で示される化合物をN−アルキル化反応に付すことによって製造することができる。
N−アルキル化反応は公知であり、例えば、アルキル化剤(例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル等)および塩基(例えば、水素化ナトリウム、トリエチルアミン、ジメチルアミノピリジン、ピリジン等)の存在下または非存在下、0℃〜100℃の温度で反応させることによって行なわれる。
この反応は不活性気体存在下、無水条件下で行なうことが好ましい。
一般式(II)および一般式(IV)で示される化合物は以下の反応工程式1に示される方法で製造することができる。また、一般式(III)で示される化合物は公知であるか、公知のアミノ酸誘導体を出発原料として公知の方法で製造することができる。
Figure 2007001946
反応工程式1中、RおよびRはカルボキシル基の保護基を表わし、その他の記号は前記と同じ意味を表わす。
また、一般式(II)または(IV)で示される化合物のうちR3−1が水素原子であり、QがBoc基である化合物、すなわち一般式(II−A)または(IV−A)で示される化合物は、以下の反応工程式2で示される方法によって製造することができる。
Figure 2007001946
反応工程式2中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。
各反応工程式中の反応はすべて公知の方法に従って行なうことができる。また、本発明中における他の出発物質および各試薬は、それ自体公知であるかまたは公知の方法に従って製造することができる。例えば、一般式(V)で示されるグルタミン酸誘導体は公知であり、例えば、1−メチル 5−(フェニルメチル) N−(((1,1−ジメチルエチル)オキシ)カルボニル)−L−グルタマートは、CAS登録番号:59279-58-2として公知であり、また1−メチル 5−(フェニルメチル) N−(((1,1−ジメチルエチル)オキシ)カルボニル)−D−グルタマートはCAS登録番号:110473-10-4、5−メチル 1−(フェニルメチル) N−(((1,1−ジメチルエチル)オキシ)カルボニル)−L−グルタマートはCAS登録番号:132245-78-4として公知である。また、一般式(XIII)で示される化合物はジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー、1991年、34巻、717−725頁に記載される方法に従って製造することができる。
本明細書中の各反応において、反応生成物は、通常の精製手段、例えば、常圧下または減圧下における蒸留、シリカゲルまたはケイ酸マグネシウムを用いた高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、あるいはカラムクロマトグラフィーまたは洗浄、再結晶等の方法により精製することができる。精製は各反応ごとに行なってもよいし、いくつかの反応終了後に行なってもよい。
[毒性]
一般式(I)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、そのN−オキシド体またはそれらのプロドラッグ(以下、本発明化合物と略記することがある。)の毒性は非常に低いものであり、医薬として使用するために十分安全である。
[薬理活性]
実施例記載以外の薬理試験として、例えば、以下に示す方法がある。
(1)ラットでの単回経口糖負荷試験
本試験はダイアベトロジア(Diabetologia)、42、1324-1331、1999に掲載された方法を適宜改良して行なうことができる。試験には9〜11週齢の雄性SD系ラットまたは10週齢の雄性Zucker fattyラット(日本チャールス・リバー社)を、実験前日から絶食して用いる。本発明化合物は0.5%メチルセルロース蒸留水溶液に溶解し、5mL/kgの濃度で経口投与する。対照群には0.5%メチルセルロース蒸留水溶液を同用量投与する。1g/kg体重の糖の日本薬局方注射用水溶液に、本発明化合物または0.5%メチルセルロース蒸留水溶液投与から30分後に5mL/kgの濃度で経口投与する。薬物経口投与直前、経口糖負荷後にそれぞれヘパリン処理済キャピラリーを用いて尾静脈より採血し、得られた血液は直ちに4℃、12,000rpmで3分間遠心分離する。血漿を得、ドライアイスにより凍結する。血糖値(mg/dl)は、96穴プレートに血漿2.5μLを取り、血糖値測定キット:ダイヤカラーGCTM(小野薬品工業(株)製)で測定する。また、血漿中の抗体反応性インスリン(IRI)は、インスリン測定ELISAキット(森永生化学研究所製)により測定する。
(2)ラットでの反復経口糖負荷試験
ラットでの反復経口糖負荷試験は上記(1)に示す単回経口糖負荷試験の方法に基づいて行なうことができる。ただし、経口糖負荷は計3度(本発明化合物を経口投与後30分後に1度目の経口糖負荷を実施し、1度目の経口糖負荷6時間後に2度目、および12時間後に3度目の経口糖負荷を行なう。)実施し、採血は本発明化合物経口投与直前、1度目の経口糖負荷後、および残り2回の経口糖負荷直前、経口糖負荷後にそれぞれ行なう。
これら(1)および(2)の試験によって一般式(I)で示される本発明化合物の血糖値を測定することができ、食後等の糖負荷状態において本発明化合物が生体内の過血糖を予防および/または改善することが分かる。
[医薬品への適用]
本発明化合物は、DPP4を阻害することで、DPP4介在性疾患、例えば、糖尿病(特に2型糖尿病等)、肥満、精神分裂病、鬱、不安、てんかん、ストレス性疾患、痛み(疼痛等)、自己免疫疾患(関節リウマチ、1型糖尿病等)、アレルギー疾患(喘息、食物アレルギー等)、癌、癌転移、HIV感染、貧血、血小板減少症、皮膚病(乾癬、偏平苔癬等)、前立腺肥大、高脂血症、メタボリックシンドローム、糖尿病合併症、動脈硬化症、耐糖能異常、多嚢胞性卵巣症候群、不妊、成長障害、関節炎、移植拒絶反応、腸炎、創傷等の治療および/または予防剤、また食後過血糖の予防および/または改善剤として有用である。
本発明化合物は、
1)その化合物の治療および/または予防効果の補完および/または増強、
2)その化合物の動態・吸収改善、投与量の低減、
および/または
3)その化合物の副作用を軽減するために他の薬剤と組み合わせた医薬として投与してもよい。
本発明化合物と他の薬剤を組み合わせてなる医薬は、1つの製剤中に両成分を配合した配合剤の形態で投与してもよく、また別々の製剤にして投与する形態をとってもよい。別々の製剤として投与する場合には、同時投与および時間差による投与が含まれる。また、時間差による投与は、本発明化合物を先に投与し、他の薬剤を後に投与してもよいし、他の薬剤を先に投与し、本発明化合物を後に投与してもかまわず、それぞれの投与方法は同じでも異なっていてもよい。
上記併用剤により、治療および/または予防効果を奏する疾患は特に限定されず、本発明化合物の治療および/または予防効果を補完および/または増強する疾患であればよい。
本発明化合物の糖尿病(2型糖尿病等)、耐糖能異常、肥満等に対する治療および予防効果ならびに食後過血糖に対する予防および/または改善効果に対して補完および/または増強するための他の薬剤としては、例えば、スルホニル尿素系薬、ビグアナイド系薬、α−グルコシダーゼ阻害薬、インスリン分泌促進薬、インスリン増感薬、インスリン製剤、PPAR作動薬(PPARα作動薬、PPARγ作動薬、PPARα+γ作動薬、PPARパン作動薬等)、βアドレナリン受容体作動薬、アルドース還元酵素阻害薬、DPP4阻害薬、AMPキナーゼ活性化薬、1型11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(11β−HSD1)阻害薬、リパーゼ阻害薬、食欲抑制薬等が挙げられる。
スルホニル尿素系薬としては、例えば、アセトヘキサミド、グリベンクラミド、グリクラジド、グリクロピラミド、クロルプロパミド、トラザミド、トルブタミド、グリメピリド等が挙げられる。
ビグアナイド系薬としては、例えば、塩酸ブホルミン、塩酸メトホルミン等が挙げられる。
α−グルコシダーゼ阻害薬としては、例えば、アカルボース、ボグリボース、ミグリトール等が挙げられる。
インスリン分泌促進薬としては、例えば、ナテグリニド、レパグリニド、ミチグリニド等が挙げられる。
インスリン増感薬としては、例えば、ONO−5816、YM−440、JTT−501、NN−2344等が挙げられる。
PPAR作動薬としては、例えば、PPARα作動薬としてベザフィブラート、クロフィブラート、フェノフィブラート、ゲムフィブラート等が、PPARγ作動薬としてピオグリタゾン、トログリタゾン、ロシグリタゾン等が、PPARα+γ作動薬としてムラグリタザール、テサグリタザール、ONO−5129等が、PPARパン作動薬としてGSK677954、PLX204、MCC−555等が挙げられる。
βアドレナリン受容体作動薬としては、例えば、AJ9677、L750355、CP331648等が挙げられる。
アルドース還元酵素阻害薬としては、例えば、エパルレスタット、フィダレスタット、ゼナレスタット等が挙げられる。
DPP4阻害薬としては、例えば、LAF−237、リン酸シタグリプチン(MK−431、ONO−5435)、BMS−477118、P93−01、GSK823093、GSK815541、GSK825964、TS−021、T−6666、SYR−322、E−3024、NN−7201、PSN−9301等が挙げられる。
リパーゼ阻害薬としては、例えばオルリスタット等が挙げられる。
食欲抑制薬としては、カンナビノイド受容体1拮抗薬(例えば、リモナバント等)、メラニン凝集ホルモン受容体拮抗薬(例えば、GSK856464、ATC−0065、ATC−0175、AMG−076等)、モノアミン再取り込み阻害薬(例えば、マジンドール、シブトラミン等)、セロトニン2c受容体作動薬(例えばAPD−356、SCA−136等)、ヒスタミン3受容体拮抗薬(例えばABT−239、ABT−837、GT−2331、NNC−0038−0000−1202等)、マジンドール、シブトラミン等が挙げられる。
例えば、本発明化合物の高脂血症に対する治療および/または予防効果に対して補完および/または増強するための他の薬剤としては、例えばHMG−CoA阻害薬、PPARδ作動薬等が挙げられる。
HMG−CoA阻害薬としては、例えば、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチン等が挙げられる。
例えば、本発明化合物のアレルギー性疾患に対する治療および/または予防効果に対して補完および/または増強するための他の薬剤としては、例えば抗アレルギー薬が挙げられる。
抗アレルギー薬としては、例えば、アンレキサノクス、塩酸アゼラスチン、イスラパファント、イブジラスト、イミトロダストナトリウム、エバスチン、塩酸エピナスチン、フマル酸エメダスチン、オキサトミド、塩酸オザグレル、塩酸オロパタジン、クロモグリカート、クロモグリク酸ナトリウム、フマル酸ケトチフェン、セラトロダスト、塩酸セチリジン、トシル酸スプラタスト、タザノラスト、テルフェナジン、ドミトロバンカルシウム水和物、トラニラスト、ネドクロミル、フェキソフェナジン、塩酸フェキソフェナジン、ペミロラストカリウム、メキタジン、ラマトロバン、レピリナスト、ロラタジン等が挙げられる。
例えば、本発明化合物の関節リウマチ、関節炎等に対する予防および/または治療効果に対して補完および/または増強するための他の薬剤としては、例えばステロイド薬、エラスターゼ阻害薬、プロスタグランジン類、プロスタグランジン合成酵素阻害薬、ホスホジエステラーゼ阻害薬、接着分子阻害薬、抗サイトカイン性蛋白質製剤(例えば抗TNF−α製剤、抗IL−1製剤、抗IL−6製剤等)、抗サイトカイン薬、免疫調節薬、疾患修飾性抗リウマチ剤、非ステロイド性抗炎症薬、c−Jun N末端キナーゼ阻害薬等が挙げられる。
例えば、本発明化合物の喘息に対する予防および/または治療効果に対して補完および/または増強するための他の薬剤としては、例えばステロイド薬、エラスターゼ阻害薬、プロスタグランジン類、プロスタグランジン合成酵素阻害薬、ホスホジエステラーゼ阻害薬、メタロプロテイナーゼ阻害薬、接着分子阻害薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、抗コリン薬、トロンボキサンA受容体拮抗薬、トロンボキサン合成酵素阻害薬、βアドレナリン受容体刺激薬、キサンチン誘導体、去痰薬、抗生物質、抗ヒスタミン薬、抗サイトカイン性蛋白質製剤、抗サイトカイン薬、フォルスコリン製剤、メディエーター遊離抑制薬等が挙げられる。
ステロイド薬としては例えば、プロピオン酸クロベタゾール、酢酸ジフロラゾン、フルオシノニド、フランカルボン酸モメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、酪酸プロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、ジフルプレドナート、吉草酸ジフルコルトロン、アムシノニド、ハルシノニド、デキサメタゾン、プロピオン酸デキサメタゾン、吉草酸デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン、プロピオン酸デプロドン、吉草酸酢酸プレドニゾロン、フルオシノロンアセトニド、プロピオン酸ベクロメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、ピバル酸フルメタゾン、プロピオン酸アルクロメタゾン、酪酸クロベタゾン、プレドニゾロン、フルドロキシコルチド、酢酸コルチゾン、ヒドロコルチゾン、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸プレドニゾロン、コハク酸プレドニゾロンナトリウム、ブチル酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、酢酸ハロプレドン、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、トリアムシノロン、酢酸トリアムシノロン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、パルミチン酸デキサメタゾン、酢酸パラメサゾン、ベタメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、ブデソニド、フルニソリド、ST−126P、シクレソニド、デキサメタゾンパロミチオネート、モメタゾンフランカルボネート、プラステロンスルホネート、デフラザコート、メチルプレドニゾロンスレプタネート、メチルプレドニゾロンナトリウムスクシネート等が挙げられる。
エラスターゼ阻害薬としては、例えばシベレスタットナトリウム水和物、ONO−6818、MR−889、PBI−1101、EPI−HNE−4、R−665、ZD−0892、ZD−8321、GW−311616、DMP−777、L−659286、L−658758、L−680833、L−683845、AE−3763等が挙げられる。
プロスタグランジン(以下、PGと略記する。)類としては、PG受容体アゴニスト、PG受容体アンタゴニスト等が挙げられる。
PG受容体としては、PGE受容体(EP、EP、EP、EP)、PGD受容体(DP、CRTH)、PGF受容体(FP)、PGI受容体(IP)、トロンボキサン(TX)受容体(TP)等が挙げられる。
プロスタグランジン合成酵素阻害薬としては、例えばサラゾスルファピリジン、メサラジン、オサラジン、4−アミノサリチル酸、JTE−522、オーラノフィン、カルプロフェン、ジフェンピラミド、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、メロキシカム、オキサプロジン、パーサルミド、ピプロキセン、ピロキシカム、ピロキシカムベータデックス、ピロキシカムシンナメート、トロピンインドメタシネート、ザルトプロフェン、プラノプロフェン等が挙げられる。
ホスホジエステラーゼ阻害薬としては、例えばPDE4阻害薬であるロリプラム、シロミラスト(商品名アリフロ)、Bay19−8004、NIK−616、ロフルミラスト(BY−217)、シパムフィリン(BRL−61063)、アチゾラム(CP−80633)、SCH−351591、YM−976、V−11294A、PD−168787、D−4396、IC−485、ONO−6126等、またはPDE5阻害薬である、クエン酸シルデナフィル、塩酸バルデナフィル等が挙げられる。
接着分子阻害薬としては、例えばαインテグリン等の拮抗剤等が挙げられる。
抗TNF−α製剤としては、TNF−αに対する抗体、可溶性TNF−α受容体、TNF−α受容体に対する抗体、可溶性TNF−α結合蛋白等も含まれ、例えばインフリキシマブ、エタネルセプト等が挙げられる。
抗IL−1製剤としては、IL−1に対する抗体、可溶性IL−1受容体、IL−1Ra、IL−1受容体に対する抗体等も含まれ、例えばアナキンラ等が挙げられる。
抗IL−6製剤としては、IL−6に対する抗体、可溶性IL−6受容体、IL−6受容体に対する抗体等も含まれ、例えばMRA等が挙げられる。
免疫調節薬としては、例えばメトトレキサート、シクロスポリン、アスコマイシン、レフルノミド、ブシラミン、サラゾスルファピリジン、アザチオプリン、タクロリムス、シクロフォスファミド、FTY−720等が挙げられる。
疾患修飾性抗リウマチ薬としては、例えば金チオグルコース、金チオリンゴ酸ナトリウム、オーラノフィン、クロロキン、アクタリット、D−ペニシラミン製剤、ロベンザリット二ナトリウム、ブシラミン、ヒドロキシクロロキン、サラゾスルファピリジン等が挙げられる。
非ステロイド性抗炎症薬としては、例えばサザピリン、サリチル酸ナトリウム、アスピリン、アスピリン・ダイアルミネート配合、ジフルニサル、インドメタシン、スプロフェン、ウフェナマート、ジメチルイソプロピルアズレン、ブフェキサマク、フェルビナク、ジクロフェナク、トルメチンナトリウム、クリノリル、フェンブフェン、ナプメトン、プログルメタシン、インドメタシンファルネシル、アセメタシン、マレイン酸プログルメタシン、アンフェナクナトリウム、モフェゾラク、エトドラク、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フルルビプロフェンアキセチル、ケトプロフェン、フェノプロフェンカルシウム、チアプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム、アルミノプロフェン、ザルトプロフェン、メフェナム酸、メフェナム酸アルミニウム、トルフェナム酸、フロクタフェニン、ケトフェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、ピロキシカム、テノキシカム、アンピロキシカム、ナパゲルン軟膏、エピリゾール、塩酸チアラミド、塩酸チノリジン、エモルファゾン、スルピリン、ミグレニン、サリドン、セデスG、アミピロ−N、ソルボン、ピリン系感冒薬、アセトアミノフェン、フェナセチン、メシル酸ジメトチアジン、シメトリド配合薬、非ピリン系感冒薬等が挙げられる。
ロイコトリエン受容体拮抗薬としては、例えばプランルカスト水和物、モンテルカストナトリウム、ザフィルルカスト、セラトロダスト、MCC−847、KCA−757、CS−615、YM−158、L−740515、CP−195494、LM−1484、RS−635、A−93178、S−36496、BIIL−284、ONO−4057等が挙げられる。
抗コリン薬としては、例えば臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウム、臭化フルトロピウム、臭化シメトロピウム、テミベリン、臭化チオトロピウム、レバトロペート(UK−112166)等が挙げられる。
トロンボキサンA受容体拮抗薬としては、例えばセラトロダスト、ラマトロバン、ドミトロバンカルシウム水和物、KT−2−962等が挙げられる。
トロンボキサン合成酵素阻害薬としては、例えば塩酸オザグレル、イミトロダストナトリウム等が挙げられる。
βアドレナリン受容体刺激薬としては、例えば臭化水素酸フェノテロール、硫酸サルブタモール、硫酸テルブタリン、フマル酸フォルモテロール、キシナホ酸サルメテロール、硫酸イソプロテレノール、硫酸オルシプレナリン、硫酸クロルプレナリン、エピネフリン、塩酸トリメトキノール、硫酸ヘキソプレナリンメシル、塩酸プロカテロール、塩酸ツロブテロール、ツロブテロール、塩酸ピルブテロール、塩酸クレンブテロール、塩酸マブテロール、塩酸リトドリン、バンブテロール、塩酸ドペキサミン、酒石酸メルアドリン、AR−C68397、レボサルブタモール、R、R−フォルモテロール、KUR−1246、KUL−7211、AR−C89855、S−1319等が挙げられる。
キサンチン誘導体としては、例えばアミノフィリン、テオフィリン、ドキソフィリン、シパムフィリン、ジプロフィリン等が挙げられる。
去痰薬としては、例えばアンモニアウイキョウ精、炭酸水素ナトリウム、塩酸ブロムヘキシン、カルボシステイン、塩酸アンブロキソール、塩酸アンブロキゾール徐放剤、メチルシステイン塩酸塩、アセチルシステイン、塩酸L−エチルシステイン、チロキサポール等が挙げられる。
抗生物質としては、例えばセフロキシムナトリウム、メロペネム三水和物、硫酸ネチルマイシン、硫酸シソマイシン、セフチブテン、PA−1806、IB−367、トブラマイシン、PA−1420、ドキソルビシン、硫酸アストロマイシン、塩酸セフェタメトピボキシル等が挙げられる。吸入剤の抗生物質としては、例えばPA−1806、IB−367、トブラマイシン、PA−1420、ドキソルビシン、硫酸アストロマイシン、塩酸セフェタメトピボキシル等が挙げられる。
抗ヒスタミン薬としては、例えばフマル酸ケトチフェン、メキタジン、塩酸アゼラスチン、オキサトミド、テルフェナジン、フマル酸エメダスチン、塩酸エピナスチン、アステミゾール、エバスチン、塩酸セチリジン、ベポタスチン、フェキソフェナジン、ロラタジン、デスロラタジン、塩酸オロパタジン、TAK−427、ZCR−2060、NIP−530、モメタゾンフロエート、ミゾラスチン、BP−294、アンドラスト、オーラノフィン、アクリバスチン等が挙げられる。
抗サイトカイン薬としては、非蛋白質製剤であって、サイトカインの作用を遮断するものはすべて含み、例えば、MAPキナーゼ阻害薬、遺伝子調節薬、サイトカイン産生抑制薬、TNF−α変換酵素阻害薬、IL−1β変換酵素阻害薬、IL−6拮抗薬、IL−8拮抗薬、ケモカイン拮抗薬、遺伝子治療薬、アンチセンス化合物等が挙げられる。MAPキナーゼ阻害薬としては、例えばPD−98059等が挙げられる。遺伝子調節薬としては、例えばNF−κB、IKK−1、IKK−2、AP−1等シグナル伝達に関係する分子の阻害薬等が挙げられる。サイトカイン産生抑制薬としては、例えばトシル酸スプラタスト(商品名アイピーディ)、T−614、SR−31747、ソナチモド等が挙げられる。ケモカイン拮抗薬としては例えばONO−4128等が挙げられる。遺伝子治療薬としては、例えばインターロイキン4、インターロイキン10、可溶性IL−1受容体、可溶性TNF−α受容体等抗炎症作用を有する遺伝子の発現を亢進させることを目的とした遺伝子治療薬等が挙げられる。
メディエーター遊離抑制薬としては、例えばトラニラスト、クロモグリク酸ナトリウム、アンレキサノクス、レピリナスト、イブジラスト、ダザノラスト、ペミロラストカリウム等が挙げられる。
c−Jun N末端キナーゼ阻害薬としては、例えばWO00/35906、WO00/35909、WO00/35921、WO00/64872またはWO00/75118パンフレットに記載の化合物等が挙げられる。
本発明化合物を、または本発明化合物と他の薬剤の併用剤を有効成分として含有する医薬組成物を上記の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。
投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人一人当たり、一回につき、1ngから1000mgの範囲で一日一回から数回経口投与されるか、または成人一人当たり、一回につき、0.1ngから100mgの範囲で一日一回から数回非経口投与されるか、または一日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。
もちろん前記したように、投与量は種々の条件により変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて投与が必要な場合もある。
本発明化合物、または本発明化合物と他の薬剤の併用剤を上記の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与されるが、治療に際して最も効果的な投与経路を選択することが望ましい。
本発明化合物、または本発明化合物と他の薬剤の併用剤を有効成分として含有する医薬組成物を投与する際には、経口投与のための内服用固形剤、内服用液剤および、非経口投与のための注射剤、外用剤、坐剤等として用いられる。
経口投与のための内服用固形剤には、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等が含まれる。カプセル剤には、ハードカプセルおよびソフトカプセルが含まれる。
このような内服用固形剤においては、1個以上の活性物質はそのままか、または賦形剤(ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、デンプン等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。さらにゼラチンのような吸収されうる物質のカプセルも包含される。
経口投与のための内服用液剤は、薬剤的に許容される水剤、懸濁剤・乳剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含む。このような液剤においては、1個以上の活性物質が、一般的に用いられる希釈剤(精製水、エタノールまたはそれらの混液等)に溶解、懸濁または乳化される。さらにこの液剤は、湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、保存剤、緩衝剤等を含有していてもよい。
非経口投与のための注射剤としては、溶液、懸濁液、乳濁液および用時溶剤に溶解または懸濁して用いる固形の注射剤を包含する。注射剤は、1個以上の活性物質を溶剤に溶解、懸濁または乳化させて用いられる。溶剤として、例えば注射用蒸留水、生理食塩水、植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノールのようなアルコール類等およびそれらの組み合わせが用いられる。さらにこの注射剤は、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリソルベート80(登録商標)等)、懸濁化剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤、保存剤等を含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって製造、調製される。また無菌の固形剤、例えば凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌の注射用蒸留水または他の溶剤に溶解して使用することもできる。
非経口投与のための外用剤の剤形には、例えば、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、湿布剤、貼付剤、リニメント剤、噴霧剤、吸入剤、スプレー剤、点眼剤および点鼻剤等が含まれる。これらは1個以上の活性物質を含み、公知の方法または通常使用されている処方により製造、調製される。
軟膏剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、1個以上の活性物質を基剤に研和、または溶融させて製造、調製される。軟膏基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高級脂肪酸または高級脂肪酸エステル(アジピン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アジピン酸エステル、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル等)、ロウ類(ミツロウ、鯨ロウ、セレシン等)、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等)、高級アルコール(セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール等)、シリコン油(ジメチルポリシロキサン等)、炭化水素類(親水ワセリン、白色ワセリン、精製ラノリン、流動パラフィン等)、グリコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、マクロゴール等)、植物油(ヒマシ油、オリーブ油、ごま油、テレピン油等)、動物油(ミンク油、卵黄油、スクワラン、スクワレン等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選択される1種以上を混合して用いられる。さらに、保湿剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
ゲル剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、1個以上の活性物質を基剤に溶融させて製造、調製される。ゲル基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、低級アルコール(エタノール、イソプロピルアルコール等)、ゲル化剤(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース等)、中和剤(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等)、界面活性剤(モノステアリン酸ポリエチレングリコール等)、ガム類、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選択される1種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
クリーム剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、1個以上の活性物質を基剤に溶融または乳化させて製造、調製される。クリーム基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高級脂肪酸エステル、低級アルコール、炭化水素類、多価アルコール(プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等)、高級アルコール(2−ヘキシルデカノール、セタノール等)、乳化剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、脂肪酸エステル類等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選択される1種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
湿布剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、1個以上の活性物質を基剤に溶融させ、練合物とし支持体上に展延塗布して製造される。湿布基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、増粘剤(ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、デンプン、ゼラチン、メチルセルロース等)、湿潤剤(尿素、グリセリン、プロピレングリコール等)、充填剤(カオリン、酸化亜鉛、タルク、カルシウム、マグネシウム等)、水、溶解補助剤、粘着付与剤、かぶれ防止剤から選ばれる1種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
貼付剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、1個以上の活性物質を基剤に溶融させ、支持体上に展延塗布して製造される。貼付剤用基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高分子基剤、油脂、高級脂肪酸、粘着付与剤、かぶれ防止剤から選ばれる1種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
リニメント剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、1個以上の活性物質を水、アルコール(エタノール、ポリエチレングリコール等)、高級脂肪酸、グリセリン、セッケン、乳化剤、懸濁化剤等から選ばれる1種以上に溶解、懸濁または乳化させて製造、調製される。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
噴霧剤、吸入剤、スプレー剤および点鼻剤は、一般的に用いられる希釈剤以外に亜硫酸水素ナトリウムのような安定剤と等張性を与えるような緩衝剤、例えば塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムあるいはクエン酸のような等張剤を含有していてもよい。スプレー剤の製造方法は、例えば米国特許第2,868,691 号および同第3,095,355 号に詳しく記載されている。また、エアゾル剤としても構わない。
点鼻剤を投与する際には通常一般に薬剤を含有した溶液および粉末で、専用の点鼻器あるいは噴霧器を用い鼻腔内に定量的にスプレー(噴霧)投与される。
非経口投与のための点眼剤には、点眼液、懸濁型点眼液、乳濁型点眼液、用時溶解型点眼液および眼軟膏が含まれる。
これらの点眼剤は公知の方法に準じて製造、調製される。例えば、1個以上の活性物質を溶剤に溶解、懸濁または乳化させて用いられる。点眼剤の溶剤としては、例えば、滅菌精製水、生理食塩水、その他の水性溶剤または注射用非水性用剤(例えば、植物油等)等およびそれらの組み合わせが用いられる。点眼剤は、等張化剤(塩化ナトリウム、濃グリセリン等)、緩衝化剤(リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、界面活性化剤(ポリソルベート80(商品名)、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等)、安定化剤(クエン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム等)、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)等を必要に応じて適宜選択して含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか、無菌操作法によって製造、調製される。また無菌の固形剤、例えば凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌の滅菌精製水または他の溶剤に溶解して使用することもできる。
非経口投与のための吸入剤としては、エアロゾル剤、吸入用粉末剤又は吸入用液剤が含まれ、当該吸入用液剤は用時に水又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁させて使用する形態であってもよい。
これらの吸入剤は公知の方法に準じて製造される。
例えば、吸入用液剤の場合には、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、着色剤、緩衝化剤(リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、等張化剤(塩化ナトリウム、濃グリセリン等)、増粘剤(カリボキシビニルポリマー等)、吸収促進剤等を必要に応じて適宜選択して調製される。
吸入用粉末剤の場合には、滑沢剤(ステアリン酸およびその塩等)、結合剤(デンプン、デキストリン等)、賦形剤(乳糖、セルロース等)、着色剤、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、吸収促進剤等を必要に応じて適宜選択して調製される。
吸入用液剤を投与する際には通常噴霧器(アトマイザー、ネブライザー)が使用され、吸入用粉末剤を投与する際には通常粉末薬剤用吸入投与器が使用される。
非経口投与のためその他の組成物としては、1個以上の活性物質を含み、常法により処方される直腸内投与のための坐剤および腟内投与のためのペッサリー等が含まれる。
本発明化合物は、DPP4阻害活性を有することから、DPP4介在性疾患、例えば、糖尿病(特に2型糖尿病等)、肥満、精神分裂病、鬱、不安、てんかん、ストレス性疾患、痛み(疼痛等)、自己免疫疾患(関節リウマチ等)、アレルギー疾患(喘息、食物アレルギー等)、癌、癌転移、HIV感染、貧血、血小板減少症、皮膚病、前立腺肥大、高脂血症、メタボリックシンドローム、糖尿病合併症、動脈硬化症、耐糖能異常、多嚢胞性卵巣症候群、不妊、成長障害、関節炎、移植拒絶反応、腸炎、創傷等の治療および/または予防剤、食後過血糖の予防および/または改善剤として有用である。特に、本発明化合物は安定性が高いことから長時間にわたって阻害活性を発揮する特徴を有し、糖尿病(特に2型糖尿病等)、耐糖能異常の予防および/または治療、食後過血糖の予防および/または改善に有用な優れた薬剤となりうる。
以下、実施例によって本発明を詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。クロマトグラフィーによる分離の箇所およびTLCに示されるカッコ内の溶媒は、使用した溶出溶媒または展開溶媒を示し、割合は体積比を表わす。
H NMRの箇所に示されているカッコ内の溶媒は、測定に使用した溶媒を示す。
本明細書中に用いた化合物名は、一般的にIUPACの規則に準じて命名を行なうコンピュータプログラム、ACD/Nameバッチ(登録商標、Advanced Chemistry Development Inc.社製)を用いるか、または、IUPAC命名法に準じて命名したものである。なお、以下の化合物名において、*印は不斉炭素原子の相対配置を表わす。
実施例1:1−(1,1−ジメチルエチル) 2−メチル 4−(フェニルメチル) (2S)−5−ヒドロキシ−5−メチルピロリジン−1,2,4−トリカルボキシラート
アルゴン雰囲気下−78℃でリチウムヘキサメチルジシラザン(1.75L,1.0Mテトラヒドロフラン溶液)に対して1−メチル 5−(フェニルメチル) N−(((1,1−ジメチルエチル)オキシ)カルボニル)−L−グルタマート(CAS登録番号:59279-58-2)(300g)のテトラヒドロフラン(850mL)溶液を30分間かけて滴下し、混合物を30分間撹拌した。さらに−78℃で無水酢酸(89mL)を15分間かけて滴下し、1時間撹拌した。反応混合物に水浴中で2N塩酸(510mL)を加え、さらに20分間撹拌した。反応混合物に2N塩酸(1.28L)、水(1.3L)およびヘキサン/酢酸エチル(1/1,3L)を加え、抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮し、標題化合物の粗精製物(369g)を得た。
TLC:Rf 0.49(n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1)。
実施例2:1−(1,1−ジメチルエチル) 2−メチル 4−(フェニルメチル) (2S)−5−メチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロール−1,2,4−トリカルボキシラート
実施例1で製造した化合物(369g)のジクロロメタン(1.05L)溶液にトリフルオロ酢酸(66mL)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物に水およびジクロロメタンを加え、抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮した。残渣にヘキサン/t−ブチルメチルエーテル(1/1,1L)および1M水酸化ナトリウム水溶液(300mL)を加え、抽出した。有機層を1N水酸化ナトリウム水溶液(300mL)で2回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮し、標題化合物の粗精製物(309g)を得た。
TLC:Rf 0.58(n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1)。
実施例3:(5S)−1−(((1,1−ジメチルエチル)オキシ)カルボニル)−2−メチル−5−((メチルオキシ)カルボニル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピロール−3−カルボン酸
アルゴン雰囲気下、実施例2で製造した化合物(309g)のメタノール(1.0L)溶液に、10%パラジウム−炭素(含水)(31g)を加え、水素雰囲気下、室温で5時間撹拌した。反応混合液をセライトろ過し、ろ液を濃縮した。残渣をジイソプロピルエーテル−ヘキサンより再結晶し、標題化合物(177g)を得た。
TLC:Rf 0.29(n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1);
1H-NMR (CDCl3):δ 4.69 (dd, 1H), 3.77 (s, 3H), 2.99-3.17 (m, 1H), 2.67-2.78 (m, 1H), 2.65 (s, 3H), 1.66-1.68 (m, 1H), 1.46 (s, 9H)。
実施例4:(2S,3S,5S)−1−(((1,1−ジメチルエチル)オキシ)カルボニル)−2−メチル−5−((メチルオキシ)カルボニル)ピロリジン−3−カルボン酸
実施例3で製造した化合物(13.5g)の酢酸(100mL)溶液に酸化白金(2.7g)を加え、混合物を水素雰囲気下室温で21時間撹拌した。反応混合物をセライトろ過し、ろ液を濃縮した。残渣をトルエンで共沸し、標題化合物の粗精製物(14.6g)を得た。
TLC:Rf 0.80(ジクロロメタン:メタノール=9:1);
1H-NMR (CDCl3):δ 1.21-1.30 (m, 3H), 1.34-1.53 (m, 9H), 2.24-2.51 (m, 2H), 3.11-3.28 (m, 1H), 3.66-3.83 (m, 3H), 4.15-4.47 (m, 2H), 4.97-6.29 (m, 1H)。
実施例5:1−(1,1−ジメチルエチル) 2−メチル (2S,4S,5S)−4−((ジメチルアミノ)カルボニル)−5−メチルピロリジン−1,2−ジカルボキシラート
実施例4で製造した化合物(7.90g)のジクロロメタン(55mL)溶液にジメチルアミン・塩酸塩(2.70g)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・1水和物(4.63g)、N−メチルモルホリン(7.0mL)および1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド・塩酸塩(5.80g)を順次加え、混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物に水およびジクロロメタンを加え、抽出した。有機層を飽和重曹水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=95:5〜80:20)で精製して、以下の物性値を有する標題化合物(7.25g)を得た。
実施例6:(4S,5S)−4−((ジメチルアミノ)カルボニル)−1−(((1,1−ジメチルエチル)オキシ)カルボニル)−5−メチル−L−プロリン
実施例5で製造した化合物(7.25g)のメタノール(100mL)溶液に2M水酸化ナトリウム水溶液(50mL)を加え、混合物を室温で16時間撹拌した。メタノールを留去し、残渣にt−ブチルメチルエーテルを加えて抽出した。水層に塩酸を加えpH3とした後ジクロロメタンで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮して、以下の物性値を有する標題化合物(6.39g)を得た。
TLC:Rf 0.41(ジクロロメタン:メタノール=9:1);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 0.81-0.97 (m, 3H), 1.25-1.45 (m, 9H), 2.05-2.20 (m, 1H), 2.19-2.39 (m, 1H), 2.81 (s, 3H), 3.00 (s, 3H), 3.36-3.57 (m, 1H), 3.88-4.04 (m, 1H), 4.04-4.25 (m, 1H)。
実施例7:1,1−ジメチルエチル (2S,3S,5S)−5−(((シアノメチル)(エチル)アミノ)カルボニル)−3−((ジメチルアミノ)カルボニル)−2−メチルピロリジン−1−カルボキシラート
Figure 2007001946
実施例6で製造した化合物(300mg)のジクロロメタン(4mL)溶液にピリジン(0.25mL)を加え、−10℃でフッ化シアヌル(0.085mL)をゆっくり滴下し、混合物を同温度で1.5時間撹拌した。反応混合物に水およびジクロロメタンを加え、析出物をセライトろ過した。ろ液を無水硫酸ナトリウムで乾燥後濃縮した。残渣にジクロロエタンを加え、混合物に(エチルアミノ)アセトニトリル(126mg)およびピリジン(0.16mL)を加え60℃で2.5時間撹拌した。反応混合物に10%クエン酸およびジクロロメタンを加え、抽出した。有機層を飽和重曹水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=100:0〜70:30)で精製して、以下の物性値を有する本発明化合物(273mg)を得た。
TLC:Rf 0.23(酢酸エチル);
1H-NMR (CDCl3):δ 1.15 (d, 3H), 1.34 (t, 3H), 1.39-1.49 (m, 9H), 2.17-2.37 (m, 1H), 2.53-2.71 (m, 1H), 2.96 (s, 3H), 3.05-3.13 (m, 3H), 3.23-3.39 (m, 1H), 3.47-3.71 (m, 2H), 3.98-4.70 (m, 4H)。
実施例8:(2S,4S,5S)−N −(シアノメチル)−N −エチル−N ,N ,5−トリメチル−2,4−ピロリジンジカルボキサミド 4−メチルベンゼンスルホナート
Figure 2007001946
実施例7で製造した化合物(273mg)の2−プロパノール(1mL)溶液にトルエンスルホン酸水和物(170mg)を加え、混合物を80℃で1時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、残渣をヘキサンで洗浄し、残渣を乾燥して以下の物性値を有する標題化合物(322mg)を得た。
TLC:Rf 0.29(塩化メチレン:メタノール=8:2);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 1.11-1.21 (m, 6H), 2.02-2.18 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.53-2.75 (m, 1H), 2.83 (s, 3H), 3.00 (s, 3H), 3.32-3.53 (m, 2H), 3.57-3.74 (m, 1H), 3.80-4.03 (m, 1H), 4.32-4.80 (m, 3H), 7.11 (d, 2H), 7.48 (d, 2H), 8.03-8.25 (m, 1H), 9.53-9.69 (m, 1H)。
実施例8(1)〜実施例8(14)
(エチルアミノ)アセトニトリルの代わりに相当する化合物を用いて、実施例7→実施例8で示される方法と同様の操作により、以下の本発明化合物を得た。
実施例8(1):(2S,4S,5S)−N −(シアノメチル)−N ,N ,N ,5−テトラメチル−2,4−ピロリジンジカルボキサミド 4−メチルベンゼンスルホナート
TLC:Rf 0.50(塩化メチレン:メタノール=5:1);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 1.15 (d, 3H), 2.02-2.17 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.56-2.71 (m, 1H), 2.83 (s, 3H), 3.00 (s, 3H), 3.06 (s, 3H), 3.56-3.68 (m, 1H), 3.81-3.95 (m, 1H), 4.39 (d, 1H), 4.56 (d, 1H), 4.63-4.76 (m, 1H), 7.11 (d, 2H), 7.47 (d, 2H), 8.04-8.22 (m, 1H), 9.57-9.71 (m, 1H)。
同・メタンスルホン酸塩
TLC:Rf 0.29(ジクロロメタン:メタノール=5:1);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 1.15 (d, 3H), 2.03-2.18 (m, 1H), 2.32 (s, 3H), 2.56-2.73 (m, 1H), 2.83 (s, 3H), 2.96-3.10 (m, 3H), 3.01 (s, 3H), 3.54-3.73 (m, 1H), 3.82-3.97 (m, 1H), 4.39 (d, 1H), 4.56 (d, 1H), 4.60-4.78 (m, 1H), 8.00-8.21 (m, 1H), 9.59-9.75 (m, 1H)。
実施例8(2):(2S,4S,5S)−N −(シアノメチル)−N −イソプロピル−N ,N ,5−トリメチル−2,4−ピロリジンジカルボキサミド 4−メチルベンゼンスルホナート
TLC:Rf 0.58 (塩化メチレン:メタノール=5:1);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 1.11-1.27 (m, 9H), 2.02-2.15 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.53-2.67 (m, 1H), 2.84 (s, 3H), 3.00 (s, 3H), 3.57-3.69 (m, 1H), 3.82-4.13 (m, 2H), 4.37 (s, 2H), 4.69-4.81 (m, 1H), 7.11 (d, 2H), 7.47 (d, 2H), 8.10-8.24 (m, 1H), 9.49-9.64 (m, 1H)。
実施例8(3):(2S,4S,5S)−N −(シアノメチル)−N −(2−メトキシエチル)−N ,N ,5−トリメチル−2,4−ピロリジンジカルボキサミド 4−メチルベンゼンスルホナート
TLC:Rf 0.25(クロロホルム:メタノール=9:1);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 9.65 (m, 1H), 8.15 (m, 1H), 7.46 (m, 2H), 7.10 (brd, 2H), 4.65 (m, 1H), 4.48 (d, 1H), 4.37 (d, 1H), 3.90 (m, 1H), 3.69-3.55 (m, 5H), 3.28 (s, 3H), 3.00 (s, 3H), 2.84 (s, 3H), 2.62 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.10 (m, 1H), 1.16 (d, 3H)。
実施例8(4):(2S,4S,5S)−N −ブチル−N −(シアノメチル)−N ,N ,5−トリメチル−2,4−ピロリジンジカルボキサミド 4−メチルベンゼンスルホナート
TLC:Rf 0.43(塩化メチレン:メタノール=9:1);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 0.91 (t, 3H), 1.16 (d, 3H), 1.23-1.39 (m, 2H), 1.39-1.74 (m, 2H), 1.94-2.20 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.52-2.73 (m, 1H), 2.84 (s, 3H), 3.01 (s, 3H), 3.24-3.73 (m, 3H), 3.82-4.01 (m, 1H), 4.27-4.81 (m, 3H), 7.11 (d, 2H), 7.47 (d, 2H), 7.98-8.38 (m, 1H), 9.48-9.78 (m, 1H)。
実施例8(5):(2S,4S,5S)−N ,N −ビス(シアノメチル)−N ,N ,5−トリメチル−2,4−ピロリジンジカルボキサミド 4−メチルベンゼンスルホナート
TLC:Rf 0.32(塩化メチレン:メタノール=9:1);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 1.15 (d, 3H), 2.06-2.24 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.55-2.76 (m, 1H), 2.84 (s, 3H), 3.01 (s, 3H), 3.55-3.68 (m, 1H), 3.80-4.01 (m, 1H), 4.38-4.93 (m, 5H), 7.10 (d, 2H), 7.47 (d, 2H), 8.13-8.48 (m, 1H), 9.57-9.82 (m, 1H)。
実施例8(6):(2S,4S,5S)−N −(シアノメチル)−N ,N ,5−トリメチル−2,4−ピロリジンジカルボキサミド 4−メチルベンゼンスルホナート
TLC:Rf 0.33(塩化メチレン:メタノール=8:2);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 1.11 (d, 3H), 2.13-2.27 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.39-2.48 (m, 1H), 2.83 (s, 3H), 2.99 (s, 3H), 3.57-3.68 (m, 1H), 3.86-4.00 (m, 1H), 4.18-4.35 (m, 3H) 7.11 (d, 2H), 7.47 (d, 2H), 8.23-8.39 (m, 1H), 9.16 (t, 1H), 9.59 (s, 1H)。
実施例8(7):(2S,4S,5S)−N −(シアノメチル)−N −シクロプロピル−N ,N ,5−トリメチルピロリジン−2,4−ジカルボキサミド 4−メチルベンゼンスルホナート
TLC:Rf 0.42(塩化メチレン:メタノール=9:1);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 0.83-1.06 (m, 4H), 1.15 (d, 3H), 2.18-2.34 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.58-2.73 (m, 1H), 2.81-2.94 (m, 1H), 2.84 (s, 3H), 3.01 (s, 3H), 3.59-3.74 (m, 1H), 3.90-4.05 (m, 1H), 4.35-4.54 (m, 2H), 4.72-4.84 (m, 1H), 7.11 (d, 2H), 7.47 (d, 2H), 8.07-8.31 (m, 1H), 9.33-9.64 (m, 1H)。
実施例8(8):(2S,4S,5S)−N −(シアノメチル)−N ,N ,5−トリメチル−N −プロパ−2−イン−1−イルピロリジン−2,4−ジカルボキサミド 4−メチルベンゼンスルホナート
TLC:Rf 0.44(塩化メチレン:メタノール=9:1);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 1.15 (d, 3H), 2.04-2.26 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.57-2.77 (m, 1H), 2.84 (s, 3H), 3.01 (s, 3H), 3.36-3.71 (m, 2H), 3.83-3.97 (m, 1H), 4.21-4.84 (m, 5H), 7.11 (d, 2H), 7.47 (d, 2H), 8.10-8.35 (m, 1H), 9.58-9.79 (m, 1H)。
実施例8(9):(2S,4S,5S)−N −(シアノメチル)−N ,N ,5−トリメチル−N −(フェニルメチル)ピロリジン−2,4−ジカルボキサミド 4−メチルベンゼンスルホナート
TLC:Rf 0.51(塩化メチレン:メタノール=9:1);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 1.18 (d, 3H), 2.07-2.23 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.51-2.77 (m, 1H), 2.80-2.88 (m, 3H), 2.96-3.04 (m, 3H), 3.55-3.73 (m, 1H), 3.85-4.03 (m, 1H), 4.26 (d, 1H), 4.45 (d, 1H), 4.50-4.87 (m, 3H), 7.10 (d, 2H), 7.27-7.45 (m, 5H), 7.47 (d, 2H), 8.19-8.36 (m, 1H), 9.54-9.77 (m, 1H)。
実施例8(10):(2S,4S)−N −(シアノメチル)−N ,N ,N −トリメチル−2,4−ピロリジンジカルボキサミド 4−メチルベンゼンスルホナート
TLC:Rf 0.24(塩化メチレン;メタノール=8:2);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 1.70-1.85 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.69-2.79 (m, 1H), 2.82 (s, 3H), 3.00 (s, 3H), 3.09 (s,3H), 3.28-3.61 (m, 3H), 4.39 (d, 1H), 4.55 (d, 1H), 4.63-4.78 (m, 1H), 7.10 (d, 2H), 7.47 (d, 2H), 8.65-8.88 (m, 1H), 9.26-9.57 (m, 1H)。
実施例8(11):(2S,4S)−N −(シアノメチル)−N −エチル−N ,N −ジメチル−2,4−ピロリジンジカルボキサミド 4−メチルベンゼンスルホナート
TLC:Rf 0.40(塩化メチレン:メタノール=8:2);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 1.18 (t, 3H), 1.69-1.84 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.64-2.80 (m, 1H), 2.82 (s, 3H), 3.00 (s, 3H), 3.30-3.61 (m, 5H), 4.39 (d, 1H), 4.49 (d, 1H), 4.58-4.75 (m, 1H), 7.10 (d, 2H), 7.47 (d, 2H), 8.66-8.89 (m, 1H), 9.21-9.47 (m, 1H)。
実施例8(12):(2S,4S,5S)−N−(シアノメチル)−N,N,5−トリメチル−N−プロピル−2,4−ピロリジンジカルボキサミド 4−メチルベンゼンスルホナート
TLC:Rf:0.53(クロロホルム:メタノール=4:1);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 9.57-9.74 (m, 1H), 8.08-8.23 (m, 1H), 7.48 (d, 2H), 7.11 (d, 2H), 4.59-4.78 (m, 1H), 4.31-4.63 (m, 2H), 3.85-3.97 (m, 1H), 3.59-3.72 (m, 1H), 3.32 (t, 2H), 3.00 (s, 3H), 2.83 (s, 3H), 2.55-2.72 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.01-2.17 (m, 1H), 1.46-1.77 (m, 2H), 1.16 (d, 3H), 0.83-0.93 (m, 3H)。
実施例8(13):(2S,4S,5S)−N −アリル−N −(シアノメチル)−N ,N ,5−トリメチル−2,4−ピロリジンジカルボキサミド 4−メチルベンゼンスルホナート
TLC:Rf 0.57(クロロホルム:メタノール=4:1);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 9.58-9.76 (m, 1H), 8.12-8.26 (m, 1H), 7.47 (d, 2H), 7.11 (d, 2H), 5.73-5.96 (m, 1H), 5.22-5.39 (m, 2H), 4.59-4.76 (m, 1H), 4.21-4.53 (m, 2H), 3.96-4.17 (m, 2H), 3.84-3.95 (m, 1H), 3.56-3.70 (m, 1H), 3.00 (s, 3H), 2.83 (s, 3H), 2.53-2.69 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 1.99-2.19 (m, 1H), 1.16 (d, 3H)。
実施例8(14):(2S,4S,5S)−N −(シアノメチル)−N ,N ,5−トリメチル−N −(2,2,2−トリフルオロエチル)−2,4−ピロリジンジカルボキサミド 4−メチルベンゼンスルホナート
TLC :Rf 0.53(クロロホルム:メタノール=4:1);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 9.65-9.81 (m, 1H), 8.26-8.39 (m, 1H), 7.46 (d, 2H), 7.10 (d, 2H), 4.25-4.96 (m, 5H), 3.87-4.00 (m, 1H), 3.54-3.70 (m, 1H), 3.01 (s, 3H), 2.84 (s, 3H), 2.57-2.77 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.07-2.22 (m, 1H), 1.08-1.30 (m, 3H)。
実施例9:1−(1,1−ジメチルエチル)2−メチル (2S ,4S ,5S )−4−((ジメチルアミノ)カルボニル)−5−エチルピロリジン−1,2−ジカルボキシラート
グリシンメチルエステル・塩酸塩(3.77g)、プロパナール(1.74g)および硫酸マグネシウム(30g)にテトラヒドロフラン(150mL)およびトリエチルアミン(4.2mL)を加え、混合物を室温で1.5時間撹拌した。さらにN,N−ジメチルアクリルアミド(5.95g)、臭化リチウム(2.61g)およびトリエチルアミン(4.2mL)を加え、室温で17時間撹拌後、ビス(1,1−ジメチルエチル)ジカルボナート(6.54g)を加え、2時間撹拌した。反応混合物に酢酸エチルおよび氷水を加え抽出した。有機層を10%クエン酸水溶液、飽和重曹水および飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=50:50〜0:100)で精製して、以下の物性値を有する標題化合物(612mg)を得た。
TLC:Rf 0.51(酢酸エチル);
1H-NMR (CDCl3):δ 0.86-0.98 (m, 3H), 1.33-1.72 (m, 11H), 2.24-2.40 (m, 1H), 2.51-2.74 (m, 1H), 2.95 (s, 3H), 3.05-3.27 (m, 4H), 3.46-3.77 (m, 3H), 3.63-4.09 (m, 1H), 4.13-4.32 (m, 1H)。
実施例10(1)〜実施例10(7)
実施例9で製造した化合物または同様の方法論によって製造した化合物を用いて、実施例6→実施例7→実施例8で示される方法と同様の操作に付し、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。
実施例10(1):(2S ,4S ,5S )−N −(シアノメチル)−5−エチル−N ,N ,N −トリメチル−2,4−ピロリジンジカルボキサミド 4−メチルベンゼンスルホナート
TLC:Rf 0.38(ジクロロメタン:メタノール=9:1);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 0.91 (t, 3H), 1.45-1.77 (m, 2H), 1.94-2.08 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.61-2.78 (m, 1H), 2.82 (s, 3H), 2.95-3.10 (m, 6H), 3.51-3.62 (m, 1H), 3.64-3.75 (m, 1H), 4.29-4.84 (m, 3H), 7.10 (d, 2H), 7.47 (d, 2H), 7.78-8.18 (m, 1H), 9.61-9.88 (m, 1H)。
実施例10(2):(2S ,4S ,5S )−N −(シアノメチル)−N ,5−ジエチル−N ,N −ジメチル−2,4−ピロリジンジカルボキサミド 4−メチルベンゼンスルホナート
TLC:Rf 0.44(ジクロロメタン:メタノール=9:1);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 0.91 (t, 3H), 1.17 (t, 3H), 1.44-1.78 (m, 2H), 1.91-2.06 (m, 1H), 2.24-2.31 (m, 3H), 2.59-2.77 (m, 1H), 2.83 (s, 3H), 3.02 (s, 3H), 3.34-3.50 (m, 2H), 3.52-3.65 (m, 1H), 3.66-3.80 (m, 1H), 4.31-4.77 (m, 3H), 7.11 (d, 2H), 7.47 (d, 2H), 7.93-8.18 (m, 1H), 9.63-9.80 (m, 1H)。
実施例10(3):(2S ,4S ,5R )−N −(シアノメチル)−N −エチル−N ,N −ジメチル−5−((メチルオキシ)メチル)−2,4−ピロリジンジカルボキサミド 4−メチルベンゼンスルホナート
TLC:Rf 0.43 (ジクロロメタン:メタノール=9:1);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 1.18 (t, 3H), 2.01-2.17 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.56-2.70 (m, 1H), 2.83 (s, 3H), 3.00 (s, 3H), 3.27 (s, 3H), 3.32-3.61 (m, 4H), 3.64-3.78 (m, 1H), 3.82-4.03 (m, 1H), 4.28-4.58 (m, 2H), 4.58-4.77 (m, 1H), 7.10 (d, 2H), 7.46 (d, 2H), 8.07-8.50 (m, 1H), 9.61-10.11 (m, 1H)。
実施例10(4):(2S ,4S ,5R )−N −(シアノメチル)−N ,N ,N −トリメチル−5−((フェニルオキシ)メチル)−2,4−ピロリジンジカルボキサミド 4−メチルベンゼンスルホナート
TLC:Rf 0.24 (クロロホルム:メタノール=10:1);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 10.09 (s, 1H), 8.57 (s, 1H), 7.47 (d, 2H), 7.32 (dd, 2H), 7.10 (d, 2H), 6.98 (t, 1H), 6.89 (d, 2H), 4.75-4.81 (m, 1H), 4.57 (d, 1H), 4.41 (d, 1H), 4.23-4.30 (m, 1H), 4.14-4.20 (m, 1H), 4.05-4.12 (m, 1H), 3.78-3.85 (m, 1H), 3.09 (s, 3H), 3.04 (s, 3H), 2.80 (s, 3H), 2.67-2.78 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.09-2.22 (m, 1H)。
実施例10(5):(2S ,4S ,5R )−N −(シアノメチル)−N −エチル−N ,N −ジメチル−5−((フェニルオキシ)メチル)−2,4−ピロリジンジカルボキサミド 4−メチルベンゼンスルホナート
TLC:Rf 0.24 (クロロホルム:メタノール=10:1);
1H-NMR (DMSO-d6):δ10.04 (s, 1H), 8.63 (s, 1H), 7.46 (d, 2H), 7.32 (dd, 2H), 7.10 (d, 2H), 6.98 (t, 1H), 6.90 (d, 2H), 4.71-4.77 (m, 1H), 4.52 (d, 1H), 4.40 (d, 1H), 4.26-4.32 (m, 1H), 4.15-4.20 (m, 1H), 4.09 (dd, 1H), 3.78-3.87 (m, 1H), 3.45-3.50 (m, 2H), 3.04 (s, 3H), 2.81 (s, 3H), 2.65-2.75 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.09-2.19 (m, 1H), 1.20 (t, 3H)。
実施例10(6):(2S ,4S ,5S )−N −(シアノメチル)−5−シクロプロピル−N ,N ,N −トリメチル−2,4−ピロリジンジカルボキサミド 4−メチルベンゼンスルホナート
TLC:Rf 0.40(ジクロロメタン:メタノール=9:1);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 0.30-0.46 (m, 2H), 0.47-0.66 (m, 2H), 0.87-1.01 (m, 1H), 2.10-2.24 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.56-2.71 (m, 1H), 2.84 (s, 3H), 2.93-3.01 (m, 1H), 3.03 (s, 3H), 3.07 (s, 3H), 3.63-3.82 (m, 1H), 4.27-4.81 (m, 3H), 7.11 (d, 2H), 7.47 (d, 2H), 8.19-8.42 (m, 1H), 9.67-9.97 (m, 1H)。
実施例10(7):(2S ,4S ,5S )−N −(シアノメチル)−5−シクロプロピル−N −エチル−N ,N −ジメチル−2,4−ピロリジンジカルボキサミド 4−メチルベンゼンスルホナート
TLC:Rf 0.45(ジクロロメタン:メタノール=9:1);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 0.30-0.45 (m, 2H), 0.48-0.64 (m, 2H), 0.88-1.04 (m, 1H), 1.17 (t, 3H), 2.08-2.24 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.57-2.73 (m, 1H), 2.85 (s, 3H), 2.94-3.07 (m, 1H), 3.03 (s, 3H), 3.36-3.52 (m, 2H), 3.66-3.78 (m, 1H), 4.34-4.75 (m, 3H), 7.11 (d, 2H), 7.47 (d, 2H), 8.25-8.48 (m, 1H), 9.69-9.92 (m, 1H)。
生物学的実施例
実験例1 DPP4活性阻害実験
DPP4活性阻害実験は以下の方法に従って行なった。DPP4は、ヒト血漿から硫安分画、弱陰イオン交換クロマトグラフィー、強陽イオン交換クロマトグラフィー、およびゲル濾過クロマトグラフィーにより粗精製した。基質となる60μM Gly−Pro−MC(グリシルプロリル−7−アミド−4−メチルクマリン)水溶液(50μL)、本発明化合物(10μL)および蒸留水(20μL)を混合し、次いで0.5Mトリス塩酸緩衝液(pH7.4;10μL)および酵素溶液(10μL)を加えて酵素反応を開始した。蛍光プレートリーダー(Fmax;モレキュラーデバイス社製)を用いて355nmで励起させたときの460nmの蛍光強度の変化を15分間測定し、初速度を算出し、DPP4活性とした。本発明化合物はDMSOで10mMに溶解した後、蒸留水で1mMに希釈し、さらに10%DMSO溶液で希釈した(終濃度:化合物 〜10μM、DMSO 1%)。溶媒存在下の反応速度Vおよび本発明化合物存在下の反応速度Vから、下式によりDPP4活性阻害率(%)を求めた。
阻害率(%)=(1−V/V)×100
V:本発明化合物存在下の反応速度(RFU/分)
:1%DMSO溶液存在下の反応速度(RFU/分)
IC50値は、阻害率50%を挟む2点の本発明化合物濃度と阻害率から回帰直線の傾き(a)と切片(b)を求めた後、以下の式に従って算出した。
y=a×ln(x)+b
(x:本発明化合物濃度(μM)、y: 阻害率(%))
IC50=e[(50−b)/a]
その結果、本発明化合物はDPP4阻害活性を示した。例えば、実施例8の化合物のIC50値は24.6nMであった。従って、本発明化合物は2型糖尿病の治療剤として有用である。
実験例2 血漿中DPP4様活性阻害実験
DPP4を含む血漿は、健常人ボランティアまたはラットの血液を遠心分離することにより調製した。酵素反応は基質となる120μM Gly−Pro−MC水溶液(25μL)、本発明化合物(10μL)および蒸留水(15μL)を混合し、次いで血漿(50μL)を加えて開始した。蛍光プレートリーダー(Fmax;モレキュラーデバイス社製)を用いて355nmで励起させたときの460nmの蛍光強度の変化を15分間測定し、初速度を算出し、血漿中DPP4様活性とした。本発明化合物は10mM DMSO溶液とし、蒸留水で1mMに希釈し、さらに10%DMSO溶液で希釈した(終濃度:化合物 〜100μM、DMSO 1%)。溶媒存在下の反応速度Vおよび本発明化合物存在下の反応速度Vから、下式により血漿中DPP4様活性阻害率(%)を求めた。
阻害率(%)=(1−V/V)×100
V:本発明化合物存在下の反応速度(RFU/分)
:溶媒存在下の反応速度(RFU/分)
IC50値は、阻害率50%を挟む2点の本発明化合物濃度と阻害率から回帰直線の傾き(a)と切片(b)を求めた後、以下の式に従って算出した。
y=a×ln(x)+b
(x:本発明化合物濃度(μmol/L)、y:阻害率(%))
IC50=e[(50−b)/a]
その結果、本発明化合物は血漿中DPP4様活性を阻害した。例えば、実施例8の化合物のIC50値は、ヒト血漿で77.4nM、ラット血漿で67.6nMであった。従って、本発明化合物は2型糖尿病の治療剤として有用である。
実験例3 ラットに経口投与したときの血漿中DPP4様活性阻害実験
試験実施前日より絶食させたSD系ラット(雄、6〜10週齢)を用い、本発明化合物を0.5% メチルセルロース蒸留水溶液に溶解し、1mg/kgの投与量で経口投与した。
ヘパリン処置済みシリンジを用いて、例えば、本発明化合物投与前および投与後に鎖骨下静脈より採血し、遠心分離後の血漿を調製した。血漿(50μL)および基質となる60μmol/L Gly−Pro−MC(50μL)を混合し、酵素反応を開始した。蛍光プレートリーダー(Fmax;モレキュラーデバイス社製)を用いて355nmで励起させたときの460nmの蛍光強度の変化を15分間測定し、初速度を算出し、DPP4様活性とした。また、本発明化合物投与前の血漿の反応速度Vpreおよび本発明化合物投与後の血漿の反応速度Vから、下式によりDPP4様活性阻害率(%)を求めた。
阻害率(%)=(1−V/Vpre)×100
pre:本発明化合物投与前の血漿の反応速度(RFU/分)
:本発明化合物投与後の血漿の反応速度(RFU/分)
その結果、本発明化合物は長時間にわたり、血漿中DPP4様活性を阻害することが明らかになった。例えば、実施例8の化合物は化合物投与の6時間後において82%の阻害を示した。従って、本発明化合物は持続性を有する糖尿病治療薬として有用である。
実験例4 化合物安定性試験
化合物(1mg)を局方2液(pH6.8)(1mL)に溶解し、40℃に加温した。溶液から経時的に30μLずつ採取し、20mMリン酸緩衝液(270μL)で希釈した。得られた液を以下の条件でHPLCに付し、初期値に対する面積比から化合物の残存率を求め、半減期(T1/2)を算出した。
HPLC条件:
使用機器:Agilent HPLC 1100
カラム:YMC−Pack AM−303(250mmx4.6mm I.D.)
溶媒:20mM KHPO(pH3.0)/CHCN=95/5→50/50(20min)
流速:1.0mL/min
検出波長:UV 210nm
温度:25℃
注入量:10μL
例えば、実施例8の化合物の半減期は11時間であった。
[製剤例]
本発明の実施に用いられうる製剤例を以下に示す。
製剤例1
以下の各成分を常法により混合後打錠して、一錠中に10mgの活性成分を含有する錠剤1万錠を得た。
・(2S,4S,5S)−N−(シアノメチル)−N−エチル−N,N,5−トリメチル−2,4−ピロリジンジカルボキサミド 4−メチルベンゼンスルホナート(100g);
・カルボキシメチルセルロースカルシウム(崩壊剤)(20g);
・ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤)(10g);
・微結晶セルロース(870g)。
製剤例2
以下の各成分を常法により混合後、除塵フィルターでろ過し、5mlずつアンプルに充填し、オートクレーブで加熱滅菌して、1アンプル中20mgの活性成分を含有するアンプル1万本を得た。
・(2S,4S,5S)−N−(シアノメチル)−N−エチル−N,N,5−トリメチル−2,4−ピロリジンジカルボキサミド 4−メチルベンゼンスルホナート(200g);
・マンニトール(2kg);
・注射用蒸留水(50L)。
本発明は、以下に示すような医薬品への適用が可能である。
本発明化合物は、DPP4阻害活性を有するため、例えば、例えば、糖尿病(特に2型糖尿病等)、肥満、精神分裂病、鬱、不安、てんかん、ストレス性疾患、痛み(疼痛等)、自己免疫疾患(関節リウマチ、1型糖尿病等)、アレルギー疾患(喘息、食物アレルギー等)、癌、癌転移、HIV感染、貧血、血小板減少症、皮膚病(乾癬、偏平苔癬等)、前立腺肥大、高脂血症、メタボリックシンドローム、糖尿病合併症、動脈硬化症、耐糖能異常、多嚢胞性卵巣症候群、不妊、成長障害、関節炎、移植拒絶反応、腸炎、創傷等の治療および/または予防剤、また食後過血糖の予防および/または改善剤として有用である。

Claims (18)

  1. 一般式(I)
    Figure 2007001946
    (式中、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または置換基を表わし、Rは置換基を表わし、Rは水素原子、窒素原子の保護基またはC1−8アルキルを表わし、nは0または1〜4の整数を表わし、nが2以上のとき、複数のRは同じでも異なっていてもよく、RとRは結合する窒素原子と一緒になって4−10員の単環式または多環式複素環を表わしてもよく、RとRは一緒になって5−10員の単環式または多環式複素環を形成してもよく、RとRは結合する炭素原子と一緒になってC3−10の単環式もしくは多環式炭素環または5−10員の単環式もしくは多環式複素環を表わしてもよい。)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、そのN−オキシド体またはそれらのプロドラッグ。
  2. が水素原子であるか、置換基を有していてもよいC1−8アルキル基である請求項1記載の化合物。
  3. が置換基を有していてもよいC1−8アルキル基である請求項1記載の化合物。
  4. およびRがそれぞれ独立して水素原子またはC1−4アルキル基である請求項1記載の化合物。
  5. およびRがともに置換基を有していてもよいC1−8アルキル基であるか、RとRが結合する窒素原子と一緒になって4−10員の単環式または二環式複素環を表わす請求項1記載の化合物。
  6. が水素原子または置換基を有していてもよいC1−8アルキル基であり、Rが置換基を有していてもよいC1−8アルキル基であり、RおよびRがそれぞれ独立して水素原子またはC1−4アルキル基である請求項1記載の化合物。
  7. 一般式(IA)
    Figure 2007001946
    (式中、記号
    Figure 2007001946
    は紙面の手前(β配置)に結合していることを表わし、R3−Aは水素原子または置換基を有していてもよいC1−8アルキル基を表わし、R4−Aは置換基を有していてもよいC1−8アルキル基を表わし、R5−AおよびR6−Aはそれぞれ独立して水素原子またはC1−4アルキル基を表わし、その他の記号は請求項1記載と同じ意味を表わす。)で示される化合物である請求項1記載の化合物。
  8. (1)(2S,4S,5S)−N−(シアノメチル)−N−エチル−N,N,5−トリメチル−2,4−ピロリジンジカルボキサミドおよび(2)(2S,4S,5S)−N−(シアノメチル)−N,N,N,5−テトラメチル−2,4−ピロリジンジカルボキサミドから選択される請求項1記載の化合物。
  9. 請求項1記載の一般式(I)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、そのN−オキシド体またはそれらのプロドラッグを有効成分として含有する医薬組成物。
  10. DPP4介在性疾患の治療および/または予防剤である請求項9記載の医薬組成物。
  11. DPP4介在性疾患が糖尿病、肥満、統合失調症、鬱、不安、てんかん、ストレス性疾患、痛み、自己免疫疾患、アレルギー疾患、癌、癌転移、HIV感染、貧血、血小板減少症、皮膚病、前立腺肥大、高脂血症、メタボリックシンドローム、糖尿病合併症、動脈硬化症、耐糖能異常、多嚢胞性卵巣症候群、不妊、成長障害、関節炎、移植拒絶反応、腸炎および創傷からなる群から選択される1種以上である請求項10記載の医薬組成物。
  12. 食後過血糖の予防および/または改善剤である請求項9記載の医薬組成物。
  13. DPP4阻害剤である請求項10記載の医薬組成物。
  14. 請求項1記載の一般式(I)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、そのN−オキシド体またはそれらのプロドラッグとスルホニル尿素系薬、ビグアナイド系薬、α−グルコシダーゼ阻害薬、インスリン分泌促進薬、インスリン増感薬、インスリン製剤、PPAR作動薬、βアドレナリン受容体作動薬、アルドース還元酵素阻害薬、DPP4阻害薬、AMPキナーゼ活性化薬、1型11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害薬、リパーゼ阻害薬および食欲抑制薬からなる群から選択される1種以上を組み合わせてなる医薬。
  15. 請求項1記載の一般式(I)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、そのN−オキシド体またはそれらのプロドラッグの有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする、DPP4介在性疾患の治療および/または予防方法。
  16. 請求項1記載の一般式(I)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、そのN−オキシド体またはそれらのプロドラッグの有効量を哺乳動物に投与することを特徴とするDPP4阻害方法。
  17. DPP4介在性疾患の治療および/または予防剤を製造するための請求項1記載の一般式(I)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、そのN−オキシド体またはそれらのプロドラッグの使用。
  18. DPP4阻害剤を製造するための請求項1記載の一般式(I)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、そのN−オキシド体またはそれらのプロドラッグの使用。
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