JP2006269694A - 電力機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電力機器の設置面積を小さくすると共に、放熱器の冷却性能を高め、ひいては電力機器の冷却性能を高める。
【解決手段】 この電力機器は、放熱器10を本体容器2の上方に1対配置すると共に、対を成す二つの放熱器10をV字状に傾けて配置している。これによって、直立配置の場合に比べて、水平面に対する各放熱器10の投影面積が増大し、各放熱器10が未加熱空気と接触する機会が増大するので、各放熱器10の冷却性能が高まる。
【選択図】 図2
【解決手段】 この電力機器は、放熱器10を本体容器2の上方に1対配置すると共に、対を成す二つの放熱器10をV字状に傾けて配置している。これによって、直立配置の場合に比べて、水平面に対する各放熱器10の投影面積が増大し、各放熱器10が未加熱空気と接触する機会が増大するので、各放熱器10の冷却性能が高まる。
【選択図】 図2
Description
この発明は、例えば変圧器、リアクトル、コンデンサ、整流器等のように、本体容器内に、通電によって発熱する機器本体および絶縁冷却流体を収納して成る電力機器に関する。
この種の電力機器の従来の冷却方式の代表的なものに、放熱器方式と呼ばれるものがある。これは、機器本体を収納した本体容器の外部の側方に、複数の放熱器(冷却器とも呼ばれる)をそれぞれ直立させて設け、これに本体容器内の絶縁冷却流体を循環させて、この放熱器を通して、本体容器内部の熱を外部に放出するものである(例えば、特許文献1参照)。
上記のように放熱器を本体容器の側方に設けると、その分、電力機器の設置面積(換言すれば、据付面積。以下同様)が大きくなるので、設置面積を小さくするために、放熱器を、本体容器の上方に設けるという考えがある。そのようにした従来例を図6〜図7に示す。
この電力機器は、本体容器2内に、通電によって(より具体的には、通電による電力損失によって)発熱する機器本体6および絶縁冷却流体8を収納して成る。
機器本体6は、例えば、この電力機器が変圧器の場合は変圧器本体、リアクトルの場合はリアクトル本体、コンデンサの場合はコンデンサ本体、整流器の場合は整流器本体である。
絶縁冷却流体8は、機器本体6周りの電気絶縁および冷却を行うための媒体であり、例えば、絶縁油等の液体でも良いし、絶縁ガス(例えばSF6 ガス)等の気体でも良い。いずれの場合も、通常は、当該絶縁冷却流体8を本体容器2内に充満させている。
そして、本体容器2の外部の上方に、本体容器2内の絶縁冷却流体8が導かれ、放熱によって絶縁冷却流体8を冷却する二つの放熱器10をそれぞれ直立させて配置している。
各放熱器10は、図8に示す例のように、複数枚の中空の放熱パネル12を上部集合管13および下部集合管14で互いに接続した構造をしている。放熱パネル12の面積や数等は、必要とする放熱容量等に応じて適宜選定される。放熱器10の配置(傾き)は、より具体的にはこの放熱パネル12の配置(傾き)を言うのであり、従来はこの放熱パネル12が直立状態になるように各放熱器10を配置している。上部集合管13および下部集合管14には、この例では、フランジ16および17をそれぞれ介して、後述する連結管18および20がそれぞれ接続されている。但し他の図では、このフランジ16、17の図示を省略している。
再び図6〜図7を参照して、各放熱器10の上部(より具体的には図8に示した上部集合管13。以下同様)と本体容器2の天井板4との間は、2本の往路用の連結管18でそれぞれ接続されており、各放熱器10の下部(より具体的には、図8に示した下部集合管14。以下同様)と天井板4との間は、2本の復路用の連結管20でそれぞれ接続されている。復路用の各連結管20は、この例では、天井板4に接続されると共に、天井板4を貫通して本体容器2内の下部付近まで伸びている。
この電力機器においては、絶縁冷却流体8は、機器本体6の発生熱を吸収して温度が上昇して比重が小さくなって本体容器2内を上昇し、各連結管18を経由して各放熱器10内に導かれ、各放熱器10において放熱によって冷却され、比重を増して各放熱器10内を下降し、各連結管20を経由して本体容器2内の下部付近に戻され、再び機器本体6の発生熱を吸収して機器本体6を冷却すると共に、温度上昇により比重が小さくなって本体容器2内を上昇する。このようにして絶縁冷却流体8の循環が行われて、機器本体6が冷却される。
上記図6〜図7に示す電力機器のように、本体容器2の上方に各放熱器10を配置すると、当該電力機器の設置面積は小さくなるけれども、各放熱器10の放熱(冷却)性能があまり高くなく、ひいては電力機器の冷却性能があまり高くないという課題がある。
これは、各放熱器10によって温められた空気が上昇することによって、各放熱器10付近に空気の上昇気流が生じるけれども、各放熱器10が直立していると、水平面に対する各放熱器10の投影面積は大きくないので、各放熱器10を通過して(より具体的にはその各放熱パネル12と交差して)対流する空気量はあまり多くなく、従って各放熱器10が未加熱空気と接触する機会はあまり多くないからである。この場合の空気22の流れの一例を図7中に模式的に示す。
そこでこの発明は、電力機器の設置面積を小さくすると共に、放熱器の冷却性能を高め、ひいては電力機器の冷却性能を高めることを第1の目的としている。
また、各放熱器10と往路用の連結管18および復路用の連結管20とは、図7に示すように、各放熱器10の縦方向軸線24上で接続するのが一般的であり、一つの放熱器10用の連結管18と20とは平面的に見ると互いに重なるので(図6A参照)、各連結管18、20の屈曲箇所を最少にしてそれらを本体容器2の天井板(上面)4に接続するためには、図6に示すように、2本の往路用の連結管18と天井板4との接続部と、2本の復路用の連結管20と天井板4との接続部とを、所定の距離L、例えば連結管18、20用のフランジ(図示省略)が互いに干渉しない距離Lだけ離れた別の線26、27上に位置させなければならない。
従って、少なくとも上記距離Lに相当する分だけ、本体容器2上の連結管接続部周りに、他の目的に有効利用することができない無駄なスペースが生じてしまう。即ち、本体容器2の上面の有効利用可能スペースが減少する。その結果、例えば、各放熱器10の放熱パネル12の数を連結管接続部方向に増やすことに制限が生じる。また、本体容器内に挿入している連結管20と機器本体6との機械的干渉を避ける等のために、少なくとも上記距離Lに相当する分だけ本体容器2を大きくせざるを得ない場合もある。
そこでこの発明は、上記のような連結管接続部周りの無駄なスペースを省くことを第2の目的としている。
上記第1の目的を達成するために、この発明に係る第1の電力機器は、前記放熱器を本体容器の上方に1対以上配置すると共に、対を成す二つの放熱器をV字状に傾けて配置していることを特徴としている。
この第1の電力機器によれば、放熱器を本体容器の上方に配置しているので、当該電力機器の設置面積を小さくすることができる。
しかも、対を成す二つの放熱器をV字状に傾けて配置しているので、直立配置の場合に比べて、水平面に対する各放熱器の投影面積が増大し、各放熱器を通過して対流する空気量が増大し、各放熱器が未加熱空気と接触する機会が増大する。その結果、各放熱器の冷却性能を高め、ひいては当該電力機器の冷却性能を高めることができる。
また、対を成す二つの放熱器をV字状に傾けて配置することによって、一つの放熱器に接続する往路用の連結管と復路用の連結管とを、平面的に見て互いにずらすことができる。従って、対を成す各放熱器の上部と本体容器とを少なくとも2本の往路用の連結管で接続し、対を成す各放熱器の下部と本体容器とを少なくとも2本の復路用の連結管で接続し、かつ往路用の各連結管および復路用の各連結管と本体容器との接続部を、本体容器の上面に一列に配置することが可能になるので、そのようにしても良い。
この発明に係る第2の電力機器は、本体容器内に、通電によって発熱する機器本体を収納すると共に絶縁冷却流体を充満させて成る電力機器であって、前記本体容器の天井板上に蒸発器カバーを被せて蒸発器容器を形成し、当該蒸発器容器内に前記機器本体からの熱によって蒸発する冷媒を封入して成る蒸発器と、前記蒸発器の上方に当該蒸発器とは別に設けられていて、前記蒸発した冷媒が導かれ、放熱によって当該冷媒を冷却して凝縮させる1対以上の放熱凝縮器であって、しかも対を成す二つがV字状に傾けて配置されている放熱凝縮器と、前記対を成す各放熱凝縮器の上部と前記蒸発器との間を接続していて、蒸発器内で蒸発した冷媒を各放熱凝縮器内へ導く少なくとも2本の往路用の連結管と、前記対を成す各放熱凝縮器の下部と前記蒸発器との間を接続していて、各放熱凝縮器内で凝縮した冷媒を蒸発器内へ導く少なくとも2本の復路用の連結管とを備えることを特徴としている。
この第2の電力機器においては、本体容器内の絶縁冷却流体は、機器本体の発生熱を吸収して加熱され、上昇して天井板付近に達するので、本体容器の天井板付近の温度が最も上昇する。この天井板上に、当該天井板を底面として兼用している蒸発器が設けられており、当該蒸発器内の冷媒は、天井板から直に熱を効率良く吸収して蒸発する。このときの蒸発潜熱によって、本体容器内の絶縁冷却流体は熱を奪われて冷却され、下降して機器本体を冷却する。
蒸発器内で蒸発した冷媒は、蒸発器とは別に設けられた各放熱凝縮器内に、往路用の連結管を経由して導かれ、更に当該各放熱凝縮器における放熱によって各放熱凝縮器内で凝縮する。この各放熱凝縮器内で凝縮した冷媒は、復路用の連結管を経由して上記蒸発器内に導かれる。即ち還流する。
上記のような冷媒の蒸発および凝縮ならびに絶縁冷却流体の上昇および下降のサイクルが繰り返され、これによって、本体容器内の機器本体が冷却される。
この第2の電力機器によれば、各放熱凝縮器を、蒸発器の上方、即ち本体容器の上方に配置しているので、当該電力機器の設置面積を小さくすることができる。
しかも、対を成す二つの放熱凝縮器をV字状に傾けて配置しているので、第1の電力機器について上述したのと同様の作用によって、各放熱凝縮器の冷却性能を高め、ひいては当該電力機器の冷却性能を高めることができる。
また、対を成す二つの放熱凝縮器をV字状に傾けて配置することによって、第1の電力機器について上述したのと同様の理由によって、往路用の各連結管および復路用の各連結管と蒸発器との接続部を、蒸発器の上面に一列に配置することが可能になるので、そのようにしても良い。
請求項1に記載の発明によれば、放熱器を本体容器の上方に配置しているので、当該電力機器の設置面積を小さくすることができる。
しかも、対を成す二つの放熱器をV字状に傾けて配置しているので、直立配置の場合に比べて、水平面に対する各放熱器の投影面積が増大し、各放熱器を通過して対流する空気量が増大し、各放熱器が未加熱空気と接触する機会が増大する。その結果、各放熱器の冷却性能を高め、ひいては当該電力機器の冷却性能を高めることができる。
請求項2に記載の発明によれば、往路用の各連結管および復路用の各連結管と本体容器との接続部を、連結管の屈曲箇所を最少にしつつ、本体容器の上面に一列に配置することができ、その結果、連結管接続部周りの無駄なスペースを省くことができる、という更なる効果を奏する。
請求項3に記載の発明によれば、各放熱凝縮器を、蒸発器の上方、即ち本体容器の上方に配置しているので、当該電力機器の設置面積を小さくすることができる。
しかも、対を成す二つの放熱凝縮器をV字状に傾けて配置しているので、直立配置の場合に比べて、水平面に対する各放熱凝縮器の投影面積が増大し、各放熱凝縮器を通過して対流する空気量が増大し、各放熱凝縮器が未加熱空気と接触する機会が増大する。その結果、各放熱凝縮器の冷却性能を高め、ひいては当該電力機器の冷却性能を高めることができる。
更に、冷媒の相変化すなわち蒸発および凝縮を利用する冷却方式を採用しているので、単なる放熱器による冷却方式に比べて、より高い熱搬送性能が得られ、ひいてはより高い冷却性能を得ることができる。従って、当該電力機器の大容量化または小型化にもより容易に対応することができる。
請求項4に記載の発明によれば、往路用の各連結管および復路用の各連結管と蒸発器との接続部を、連結管の屈曲箇所を最少にしつつ、蒸発器の上面に一列に配置することができ、その結果、連結管接続部周りの無駄なスペースを省くことができる、という更なる効果を奏する。
図1は、この発明に係る電力機器の一実施形態を示す図であり、(A)は平面図、(B)は正面図である。図2は、図1の電力機器の右側面図である。図6〜図7に示した従来例と同一または相当する部分には同一符号を付し、以下においては当該従来例との相違点を主に説明する。
この電力機器においては、前述したような放熱器10を、本体容器2の上方に1対配置すると共に、対を成す二つの放熱器10を、上に向けて広がるように、V字状に(換言すれば、逆ハ字状に)傾けて配置している。即ち、二つの放熱器10の前述した縦方向軸線24がV字状になるように配置している。
この電力機器によれば、放熱器10を本体容器2の上方に配置しているので、放熱器10を本体容器2の側方に配置する場合に比べて、当該電力機器の設置面積を小さくすることができる。
しかも、対を成す二つの放熱器10をV字状に傾けて配置しているので、図6〜図7に示した直立配置の場合に比べて、水平面に対する各放熱器10の投影面積が増大し、各放熱器10を通過して対流する空気量が増大し、各放熱器10が未加熱空気と接触する機会が増大する。換言すれば、図2中に空気22の流れを模式的に示すように、本体容器2の両側付近から上昇する空気22は、本体容器2の上方で一つに集まろうとする性質を有しており、このように上昇する空気22が各放熱器10(より具体的にはそれを構成する各放熱パネル12)と直角に近い角度で交差する量が、直立配置の場合に比べて多くなるので、各放熱器10の放熱効率が向上する。その結果、各放熱器10の冷却性能を高め、ひいては当該電力機器の冷却性能を高めることができる。図3〜図5に示す実施形態における放熱凝縮器40の場合も同様である。
なお、対を成す二つの放熱器10を、下に向けて広がるハ字状に傾けて配置するという考えもあるけれども、そのようにすると、上記のように上昇する空気22が各放熱器10と直角に近い角度で交差する量が減り、かつハ字状配置の放熱器10の中間下部付近に高温の空気が籠もりやすいので、ハ字状配置は好ましくない。図3〜図5に示す実施形態における放熱凝縮器40の場合も同様である。
また、この電力機器では、対を成す二つの放熱器10をV字状に傾けて配置しているので、各放熱器10と前記往路用の連結管18および前記復路用の連結管20とを、各放熱器10の縦方向軸線24上で接続する場合でも、一つの放熱器10に接続する往路用の連結管18と復路用の連結管20とを、平面的に見て互いにずらすことができる(図1A参照)。その結果、対を成す各放熱器10の上部と本体容器2とを2本の往路用の連結管18で接続し、対を成す各放熱器10の下部と本体容器2とを2本の復路用の連結管20で接続し、かつ往路用の各連結管18および復路用の各連結管20と本体容器2との接続部を、連結管18、20の屈曲箇所を最少にしつつ、本体容器の上面に一列に、即ち一つの線28上に位置するように配置することが可能になり、この実施形態ではそのように配置している。このように配置することによって、従来のように2列に配置する場合に比べて、本体容器2上の連結管接続部周りの無駄なスペースを省くことができる。
その結果、本体容器上面のスペースをより有効に活用することができる。例えば、各放熱器10の放熱パネル12の数を連結管接続部方向に増やすことが可能になり、これによって、各放熱器10の冷却性能をより高めることが可能になる。また、この実施形態のように復路用の連結管20を本体容器2内に挿入している場合でも、当該連結管20と機器本体6との機械的干渉を、図6〜図7に示した従来例のように本体容器2を大きくすることなく避けることが可能になるので、当該電力機器の小型化が可能になる。
なお、放熱器10は、上記例のように1対でも良いし、例えば図3〜図5に示す実施形態における放熱凝縮器40と同様に2対設けても良いし、それ以上の対数で設けても良い。いずれにしても、二つの放熱器10を対にして設ける。放熱凝縮器40も同様である。
絶縁冷却流体8が絶縁油等の液体の場合は、その温度変化等による体積変化を調整する体積調整装置(例えば油量調整装置)を設けておくのが好ましい。但し、絶縁冷却流体8が気体の場合には多少圧力が変化するだけなので体積調整装置を設ける必要はない。
連結管18および20の両端には、フランジを設けて、連結管18および20の着脱を容易にしておくのが好ましく、この実施形態ではそのようにしている(但し、当該フランジの図示は省略している)。図3〜図5に示す実施形態においても同様である。
機器本体6への入出力用のブッシングは、本体容器2の側壁に取り付けている(図示省略)。図3〜図5に示す実施形態においても同様である。
次に、単なる放熱器による冷却方式に比べてより高い冷却性能を得ることができる電力機器の実施形態を図3〜図5を参照して説明する。なお、図1〜図2に示した実施形態と同一または相当する部分には同一符号を付し、以下においては前記実施形態との相違点を主体に説明する。
この電力機器は、本体容器2内に、通電によって発熱する機器本体6を収納すると共に、絶縁冷却流体8を充満させて密封した構造をしている。絶縁冷却流体8は、充満させているから、本体容器2の天井板4にまで達して天井板4に接している。
絶縁冷却流体8が液体の場合は、その温度変化等による体積変化を調整して、当該絶縁冷却流体8の上面が本体容器2の天井板4に常に接触している状態を保つ体積調整装置(例えば油量調整装置)を設けておくのが好ましい。そのようにすれば、絶縁冷却流体8の上面と天井板4とが離れて間に空間が生じて伝熱効率が低下するのを防止することができる。絶縁冷却流体8が気体の場合は、その体積が変化しても多少圧力が変化するだけで、当該絶縁冷却流体8は本体容器2の天井板4に常に接触しているので、体積調整装置を設ける必要はない。
本体容器2の天井板4上に蒸発器カバー32を被せて蒸発器容器を形成し、この蒸発器容器内に、機器本体6からの熱によって蒸発する冷媒34を封入して、蒸発器30を構成している。従って、本体容器2の天井板4を、蒸発器30の底面と兼用している。そのようにすると伝熱効率が良いからである。この蒸発器30は、機器本体6からの熱を吸熱するという観点から、吸熱器と呼ぶこともできる。冷媒34は、通常は、蒸発器容器内(より具体的には、後述する冷却系統内)を真空排気してから封入する。つまり、冷却系統内は、正常時は負圧(使用する冷媒の蒸気圧、例えば200hPa前後)である。
冷媒34の種類は、例えば、蒸発器30において冷媒34の蒸発を開始させる温度や、放熱しようとする熱量等に応じて選定すれば良い。この冷媒34の具体例を挙げると、水、エタノール、メタノール、アンモニア、フロン化合物等である。
蒸発器30内で蒸発した冷媒34が導かれ、放熱によって当該冷媒34を冷却して凝縮(液化)させる放熱凝縮器40が、蒸発器30とは別に設けられている。
放熱凝縮器40は、蒸発器30の上方に、換言すれば本体容器2の上方に、この実施形態では2対配置されている。しかも図1〜図2の実施形態の場合と同様に、対を成す二つの放熱凝縮器40は、上に向けて広がるように、V字状に(換言すれば、逆ハ字状に)傾けて配置されている。即ち、対を成す二つの放熱凝縮器40の縦方向軸線42がV字状になるように配置されている。もっとも、前述したように、放熱凝縮器40は2対に限られるものではなく、1対でも良いし、2対より多い対数で設けても良い。必要とする放熱凝縮容量等に応じて決めれば良い。
各放熱凝縮器40は、上記放熱器10と同様に、図8を参照して先に説明したような構造をしている。つまり、上記放熱器10とこの放熱凝縮器40とは、凝縮という若干の作用の違いはあるけれども、放熱という基本的な作用は同じであり、構造的にも同様のものである。
対を成す各放熱凝縮器40の上部と蒸発器30との間を2本の連結管18で接続し、対を成す各放熱凝縮器40の下部と蒸発器30との間を2本の連結管20で接続している。連結管18が、蒸発器30内で蒸発した冷媒34を放熱凝縮器40内へ導く往路となり、連結管20が、放熱凝縮器40内で凝縮した冷媒34を蒸発器30へ導く復路となる。連結管18、20の下端部は、蒸発器カバー32とほぼ同一平面に位置させて冷媒34の液面よりも上に位置させている。またこの実施形態では、各連結管18および20の上部をT字形にして、2本の連結管18および20を2対の放熱凝縮器40に共用している。
また、対を成す二つの放熱凝縮器40をV字状に傾けて配置しているので、図1〜図2に示した電力機器について上述したのと同様の理由によって、往路用の各連結管18および復路用の各連結管20と蒸発器30との接続部を、連結管18、20の屈曲箇所を最少にしつつ、蒸発器30の上面に一列に、即ち一つの線44上に配置することが可能になり、この実施形態ではそのように配置している。
本体容器2の上部に設ける蒸発器30は、一つでも良いけれども、この実施形態では、図4および図5からも分かるように、二つに分けている(換言すれば、二つ設けている)。そして、2本の連結管18および20の内の1本ずつを各蒸発器30にそれぞれ接続している。このようにして、この実施形態では、蒸発器30、放熱凝縮器40、連結管18および20から成る冷却系統を二つ(2系統)備えている。対を成す二つの放熱凝縮器40の内の一つずつが各冷却系統にそれぞれ属している。
このように1台の電力機器につき冷却系統を複数系統(この例では2系統)設けておくと、当該電力機器全体の運転を停止することなく、所要の冷却系統を停止して、当該冷却系統の保守・点検等を行うことができるので、冷却系統の保守・点検等が容易になる。一部の冷却系統が故障しても、残りの冷却系統で、その冷却能力に応じた容量で電力機器の運転を続けることもできる。
この電力機器においては、本体容器2内の絶縁冷却流体8は、機器本体6の発生熱を吸収して加熱され、上昇して天井板4付近に達するので、本体容器2の天井板4付近の温度が最も上昇する。この天井板4上に、当該天井板4を底面として兼用している蒸発器30が設けられており、当該蒸発器30内の冷媒34は、天井板4から直に熱を効率良く吸収して蒸発する。このときの蒸発潜熱によって、本体容器2内の絶縁冷却流体8は熱を奪われて冷却され、下降して機器本体6を冷却する。
蒸発器30内で蒸発した冷媒34は、蒸発器30とは別に設けられた各放熱凝縮器40内に、往路用の連結管18を経由して導かれ、更に各放熱凝縮器40における放熱によって各放熱凝縮器40内で凝縮する。この各放熱凝縮器40内で凝縮した冷媒34は、復路用の連結管20を経由して元の蒸発器30内に導かれる。即ち還流する。
上記のような冷媒34の蒸発および凝縮ならびに絶縁冷却流体8の上昇および下降のサイクルが繰り返され、これによって、本体容器2内の機器本体6が冷却される。
この電力機器の場合も、各放熱凝縮器40を、蒸発器30の上方、即ち本体容器2の上方に配置しているので、当該電力機器の設置面積を小さくすることができる。
しかも、対を成す二つの放熱凝縮器40をV字状に傾けて配置しているので、図1〜図2に示した電力機器における放熱器10の場合と同様に、直立配置の場合に比べて、水平面に対する各放熱凝縮器40の投影面積が増大し、各放熱凝縮器40を通過して対流する空気量が増大し、各放熱凝縮器40が未加熱空気と接触する機会が増大する。その結果、各放熱凝縮器40の冷却性能を高め、ひいては当該電力機器の冷却性能を高めることができる。
また、往路用の各連結管18および復路用の各連結管20と蒸発器30との接続部を、蒸発器30の上面に一列に配置しているので、蒸発器30上の連結管接続部周りの無駄なスペースを省くことができる。その結果、蒸発器上面のスペースをより有効に活用することができる。例えば、各放熱凝縮器40の放熱パネル12の数を連結管接続部方向に増やすことが可能になり、それによって、各放熱凝縮器40の冷却性能をより高めることが可能になる。
更に、この電力機器は、冷媒34の相変化すなわち蒸発および凝縮を利用する冷却方式を採用しているので、単なる放熱器による冷却方式に比べて、より高い熱搬送性能が得られ、ひいてはより高い冷却性能を得ることができる。従って、当該電力機器の大容量化または小型化にもより容易に対応することができる。
しかもこの電力機器は、各放熱凝縮器40について往路用の連結管18と復路用の連結管20とを備えているので、往復を一つの連結管で兼用する場合に比べて、冷媒34の往路と復路とを明確に区別することが可能になる。更に、各放熱凝縮器40内へ導入する蒸気化した冷媒34の流速を適切にして、各放熱凝縮器40のより広い領域に熱をより均等に伝達して、各放熱凝縮器40のより効率的な利用が可能になる。これらも、各放熱凝縮器40の冷却性能を高めることに寄与する。
また、冷媒の相変化を利用する冷却方式が特許文献2(実開昭52−58722号公報)および特許文献3(実公昭51−8094号公報)に記載されているけれども、この実施形態の電力機器は、これらの従来技術に対して次のような有利な効果を奏する。
即ち、特許文献2には、本体容器に多数のヒートパイプを差し込み、これらのヒートパイプを通して本体容器内部の熱を外部に搬出する油入電力機器が記載されている。しかしこれには、多数のヒートパイプを本体容器を貫通させなければならず、貫通部の気密性の維持の困難さ、気密性低下による信頼性の低下、構造が複雑になり製造コストが嵩む等の課題がある。
一方、上記のような課題を生じさせないと考えられるものとして、特許文献3には、油入変圧器用のものとして、本体容器の上部内に、絶縁油(絶縁冷却流体)と隔壁を介して接する冷媒室を設け、かつこの冷媒室の外部に複数個の放熱フィンを立設し、この冷媒室内に収納した冷媒の当該冷媒室内における相変化すなわち気化および液化を利用して、本体容器内部の熱を外部に放出するという、冷媒の気化熱利用方式の冷却装置が提案されている。
ところが、上記特許文献3に記載の冷却装置においては、冷媒室の外部に立設することのできる放熱フィンの数および大きさには、冷媒室の大きさから来る制約があるので、放熱面積を十分に確保することができず、そのために、冷媒室内で気化した冷媒の液化(凝縮)を十分に行うことができず、冷却性能があまり高くないという課題がある。特に、変圧器が大容量になり、放熱熱量が大きくなると、上記冷却装置では対応することができなくなる。
また、放熱面積を大きくして冷却性能を高くするために、放熱フィンを巨大にすると、冷却装置は油入変圧器と一体のものであるので、冷却装置ひいては油入変圧器が大型化し、油入変圧器の設置や輸送が難しくなるという課題もある。特に、変圧器等の電力機器が大容量の場合、本体容器がもともと大型化している上に更に、放熱フィンを巨大化すると、輸送寸法が非常に大きくなって、車両による輸送制限寸法を超えてしまい、当該電力機器を目的地まで輸送することができなくなる場合もある。
これに対して、この実施形態の電力機器によれば、蒸発器30とは別に放熱凝縮器40を設けているので、蒸発器30の大きさによって制約されることなく、放熱凝縮器40の放熱容量を任意に設定することができる。その結果、蒸発器30内で気化した冷媒34の液化(凝縮)を放熱凝縮器40内で十分に行うことができるので、高い冷却性能を得ることができる。従って、当該電力機器の大容量化にも容易に対応することができる。
発明者達の実験によれば、各冷却系統について、蒸発器30の表面積よりも放熱凝縮器40の表面積を大きくする方が高い冷却性能を得ることができ、例えば後者を前者の2〜4倍程度以上にすると高い冷却性能を得ることができることが確かめられた。このような比率にすることは、特許文献3に記載の技術では、前述したように冷媒室の外部に立設することのできる放熱フィンの数および大きさに制約があるので困難であるけれども、この実施形態の電力機器によれば、放熱凝縮器40は蒸発器30からの制約を受けることなく大きく(大面積化、大容量化)することができるので、容易である。
しかも、この実施形態の電力機器は、蒸発器30と放熱凝縮器40とを連結管18、20で接続している構成であるので、この接続を解除することによって、放熱凝縮器40を分離することができる。その結果、当該電力機器の輸送が容易になる。また、当該電力機器が大容量になって大型化しても、放熱凝縮器40を分離して輸送寸法を小さくすることができるので、車両による輸送制限寸法内に納めて当該電力機器を輸送することが可能である。
また、この実施形態の電力機器は、特許文献2に記載の技術と違って、多数のヒートパイプを本体容器2を貫通させる構造ではないので、特許文献2に記載の技術が有する前記課題を解決することができる。
なお、この実施形態のように、本体容器2の天井板4の下面(本体容器2内側の面)に、絶縁冷却流体8と天井板4との間の伝熱面積を増加させる複数のフィン36を立設しておいても良い。更に、当該天井板4の上面(本体容器2外側の面)であって蒸発器カバー32を被せた部分にも、天井板4との間の伝熱面積を増加させる複数のフィン38を立設しておいても良い。
上記のようなフィン36、38を設けると、当該フィン36、38によって天井板4と絶縁冷却流体8および冷媒34との間の伝熱面積が増えて、本体容器2内の絶縁冷却流体8と蒸発器30内の冷媒34との間の伝熱効率が向上して冷却性能がより高まる。
この場合、フィン36および38の少なくとも一方を設ければ上記作用効果を奏することができるけれども、両方を設ける方が上記作用効果はより高まるのでより好ましい。また、フィン36、38の数は、多いほど上記作用効果が高まるので好ましい。また、フィン36、38にリブの作用を兼ねさせても良く、そのようにすると、天井板4が補強されて天井板4の機械的強度が高まる。
2 本体容器
4 天井板
6 機器本体
8 絶縁冷却流体
10 放熱器
18 往路用の連結管
20 復路用の連結管
30 蒸発器
32 蒸発器カバー
34 冷媒
40 放熱凝縮器
4 天井板
6 機器本体
8 絶縁冷却流体
10 放熱器
18 往路用の連結管
20 復路用の連結管
30 蒸発器
32 蒸発器カバー
34 冷媒
40 放熱凝縮器
Claims (4)
- 本体容器内に、通電によって発熱する機器本体および絶縁冷却流体を収納しており、かつ当該絶縁冷却流体を、本体容器の外部に設けた放熱器を通して循環させる構成の電力機器において、
前記放熱器を本体容器の上方に1対以上配置すると共に、対を成す二つの放熱器をV字状に傾けて配置していることを特徴とする電力機器。 - 前記対を成す各放熱器の上部と前記本体容器とを少なくとも2本の往路用の連結管で接続し、前記対を成す各放熱器の下部と前記本体容器とを少なくとも2本の復路用の連結管で接続し、かつ前記往路用の各連結管および前記復路用の各連結管と前記本体容器との接続部を、前記本体容器の上面に一列に配置している請求項1記載の電力機器。
- 本体容器内に、通電によって発熱する機器本体を収納すると共に絶縁冷却流体を充満させて成る電力機器であって、
前記本体容器の天井板上に蒸発器カバーを被せて蒸発器容器を形成し、当該蒸発器容器内に前記機器本体からの熱によって蒸発する冷媒を封入して成る蒸発器と、
前記蒸発器の上方に当該蒸発器とは別に設けられていて、前記蒸発した冷媒が導かれ、放熱によって当該冷媒を冷却して凝縮させる1対以上の放熱凝縮器であって、しかも対を成す二つがV字状に傾けて配置されている放熱凝縮器と、
前記対を成す各放熱凝縮器の上部と前記蒸発器との間を接続していて、蒸発器内で蒸発した冷媒を各放熱凝縮器内へ導く少なくとも2本の往路用の連結管と、
前記対を成す各放熱凝縮器の下部と前記蒸発器との間を接続していて、各放熱凝縮器内で凝縮した冷媒を蒸発器内へ導く少なくとも2本の復路用の連結管とを備えることを特徴とする電力機器。 - 前記往路用の各連結管および復路用の各連結管と前記蒸発器との接続部を、前記蒸発器の上面に一列に配置している請求項3記載の電力機器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005085012A JP2006269694A (ja) | 2005-03-23 | 2005-03-23 | 電力機器 |
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- 2005-03-23 JP JP2005085012A patent/JP2006269694A/ja active Pending
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