JP2006199723A - 自動洗浄機用液体洗浄剤組成物およびそれを用いた洗浄方法 - Google Patents

自動洗浄機用液体洗浄剤組成物およびそれを用いた洗浄方法 Download PDF

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Abstract

【課題】自動洗浄機用としての所望のpHを有し、次亜塩素酸アルカリ金属塩の安定性、低温安定性、金属イオン封鎖力の安定性、洗浄性に優れるとともに、特に再付着防止性能、仕上がり性およびスケール生成抑制能にも優れた、界面活性剤を含まない自動洗浄機用液体洗浄剤組成物およびそれを用いた洗浄方法を提供する。
【解決手段】有効成分として(A)トリポリリン酸カリウム0.1〜40質量%、(B)トリポリリン酸ナトリウム0.1〜20質量%、(C)SiO2 とK2 Oのモル比(SiO2 /K2 O)が0.5〜1のケイ酸カリウム1〜20質量%、(D)次亜塩素酸アルカリ金属塩を有効塩素量として0.2〜3質量%を含有するとともに、水を含有する洗浄剤組成物であって、JIS Z−8802:1984に従って0.2質量%に調製された洗浄剤組成物の水溶液の25℃におけるpHが11以上である。
【選択図】なし

Description

本発明は、食器、ガラス、陶磁器、金属、プラスチック等の硬表面の洗浄に適する自動洗浄機用液体洗浄剤組成物に関し、さらに詳しくは、所望のpHを有し、次亜塩素酸アルカリ金属塩の安定性、低温安定性、金属イオン封鎖力の安定性、洗浄性に優れるとともに、特に再付着防止性能、仕上がり性およびスケール生成抑制能にも優れた自動洗浄機用液体洗浄剤組成物およびそれを用いた洗浄方法に関する。
従来から、ホテル、レストラン、学校、病院、飲食店、給食会社、会社の食堂等において、使用後の食器を効率よく洗浄するため、自動食器洗浄機が広く用いられている。また、食器に限らず、各種製造工場、加工工場等においても、器具や容器、流通に用いられるプラスチックコンテナ等を洗浄するために自動洗浄機が用いられている。
上記自動食器洗浄機用の洗浄剤組成物としては、例えば、リン酸塩を含有しない例として、NaOHまたはKOH、2−ヒドロキシエチルイミノジ酢酸塩、イソアミレンと無水マレイン酸との共重合体を必須成分として含有する硬表面洗浄剤組成物(特許文献1を参照)や、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、ニトロトリ酢酸のアルカリ金属塩およびイソアミレンと無水マレイン酸との共重合体を含有する硬表面洗浄剤(特許文献2を参照)が開示されている。
また、トリポリリン酸カリウム3〜40重量%と、トリポリリン酸ナトリウム0〜17重量%との混合物10〜45重量%、SiO2 /K2 Oのモル比が0.5〜1のケイ酸カリウム1〜20重量%、KOH0〜20重量%、約6〜13重量%の有効塩素を含む次亜塩素酸アルカリ塩水溶液を有効塩素として0.2〜3重量%との混合物50重量%と、水とからなり、アルカリ金属トリポリリン酸塩の加水分解が少ない液体洗浄剤(特許文献3を参照)や、NaOHまたはKOHを10〜25重量%、ポリアクリル酸塩1〜5重量%、および電導度0.1マイクロジ−メンス(20℃)以下の水残部とで構成された、貯蔵時に沈澱が生じず、洗浄力、スケール付着防止効果に優れた自動食器洗浄機用液体洗剤組成物(特許文献4を参照)が開示されている。
さらに、非イオン界面活性剤1〜30重量%、クエン酸塩、ゼオライト等からなるCaイオン捕捉キレート剤1〜50重量%、リパーゼおよびプルランに対する最適作用pHが8.5〜10で、可溶性澱粉に対する最適作用pHが7〜9.5の範囲であるα−アミラーゼ活性を有するアルカリまたはアルカリ耐性ブルラーゼを含有し、0.2重量%水溶液のpHが7〜10である、澱粉質、油脂および蛋白質汚れ等の複合汚れに対しても洗浄力の優れた自動食器洗浄機用洗浄剤組成物(特許文献5を参照)や、非イオン界面活性剤1〜30重量%、Caイオン捕捉キレート剤1〜50重量%、リパーゼおよびアルカリプルラナーゼを含有し、0.2重量%の水溶液のpHが7〜10である、澱粉質、油脂および蛋白質汚れ等の複合汚れに対しても洗浄力の優れた自動食器洗浄機用洗浄剤組成物が開示されている(特許文献6を参照)。
そして、1種または2種以上の水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ剤0.5〜30重量%と、金属イオン捕捉能を有するアクリル酸および/またはマレイン酸系の高分子物質0.5〜30重量%と、次亜塩素酸ナトリウム等の漂白剤0.1〜10重量%を含有し、食器類の外観を損ねることのない、洗浄効果、漂白効果に優れた自動食器洗浄機用洗浄剤組成物が開示されている(特許文献7を参照)。
特開昭58−198598号公報 特開昭59−227997号公報 特公平2−29720号公報 特開平4−15299号公報 特公平6−99714号公報 特公平6−99715号公報 特開平8−199194号公報
しかしながら、これらの洗浄剤組成物は、それぞれが特定の性能を満たすに過ぎず、総合的に満足のいくものは得られていないのが実情である。また、自動洗浄機への洗浄剤供給を連続的に行うことを考慮すれば、取り扱い上、液体洗浄剤とすることが好ましいが、界面活性剤の種類によっては、洗浄剤組成物の各成分を均一に溶解させた状態で維持することができず、液体洗浄剤として調製することが困難なものもある。
そこで、界面活性剤を含まなくても各種食物汚れに対して優れた洗浄性能を有し、特に再付着防止性能、仕上がり性およびスケール生成抑制能とを兼ね備えた液体洗浄剤組成物の開発が強く望まれている。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、自動洗浄機用としての所望のpHを有し、次亜塩素酸アルカリ金属塩の安定性、低温安定性、金属イオン封鎖力の安定性、洗浄性に優れるとともに、特に再付着防止性能、仕上がり性およびスケール生成抑制能にも優れた、界面活性剤を含まない自動洗浄機用液体洗浄剤組成物およびそれを用いた洗浄方法の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、有効成分として下記の(A)〜(D)成分を含有するとともに、水を含有する洗浄剤組成物であって、JIS Z−8802:1984に従って調製された上記洗浄剤組成物の0.2質量%水溶液の25℃におけるpHが11以上である自動洗浄機用液体洗浄剤組成物を第1の要旨とする。
(A)トリポリリン酸カリウム0.1〜40質量%。
(B)トリポリリン酸ナトリウム0.1〜20質量%。
(C)SiO2 とK2 Oのモル比(SiO2 /K2 O)が0.5〜1のケイ酸カリウム1 〜20質量%。
(D)次亜塩素酸アルカリ金属塩を有効塩素量として0.2〜3質量%。
また、本発明は、有効成分として下記の(A)〜(E)成分を含有するとともに、水を含有する洗浄剤組成物であって、JIS Z−8802:1984に従って調製された上記洗浄剤組成物の0.2質量%水溶液の25℃におけるpHが11以上である自動洗浄機用液体洗浄剤組成物を第2の要旨とする。
(A)トリポリリン酸カリウム0.1〜40質量%。
(B)トリポリリン酸ナトリウム0.1〜20質量%。
(C)SiO2 とK2 Oのモル比(SiO2 /K2 O)が0.5〜1のケイ酸カリウム1 〜20質量%。
(D)次亜塩素酸アルカリ金属塩を有効塩素量として0.2〜3質量%。
(E)水酸化カリウム1〜20質量%。
さらに、本発明は、有効成分として下記の(A)〜(F)成分を含有するとともに、水を含有する洗浄剤組成物であって、JIS Z−8802:1984に従って調製された上記洗浄剤組成物の0.2質量%水溶液の25℃におけるpHが11以上である自動洗浄機用液体洗浄剤組成物を第3の要旨とする。
(A)トリポリリン酸カリウム0.1〜40質量%。
(B)トリポリリン酸ナトリウム0.1〜20質量%。
(C)SiO2 とK2 Oのモル比(SiO2 /K2 O)が0.5〜1のケイ酸カリウム1 〜20質量%。
(D)次亜塩素酸アルカリ金属塩を有効塩素量として0.2〜3質量%。
(E)水酸化カリウム1〜20質量%。
(F)高分子電解質重合体0.1〜5質量%。
そして、本発明は、上記第1〜第3のいずれかの要旨である自動洗浄機用液体洗浄剤組成物のなかでも、特に、上記有効成分量の合計が、10〜50質量%であるものを第4の要旨とし、上記第1〜第4のいずれかの要旨である自動洗浄機用液体洗浄剤組成物を、0.1〜0.5質量%の洗浄剤水溶液として用い、自動洗浄機において被洗浄物を洗浄する洗浄方法を第5の要旨とする。
すなわち、本発明の洗浄剤組成物は、上記特殊な組成を備えているため、pH11以上という特定のpH領域において、次亜塩素酸アルカリ金属塩の安定性、低温安定性、金属イオン封鎖力の安定性、洗浄性に優れ、特に再付着防止性能、仕上がり性およびスケール生成抑制能にも優れている。
しかも、従来の洗浄剤組成物に比べて、界面活性剤を含まなくても各種食物汚れに対して優れた洗浄性能を有し、再付着防止性能、スケール生成抑制能にも優れ、また、高分子電解質重合体を配合した場合であっても所望の次亜塩素酸アルカリ金属塩の安定性を確保することができる。
したがって、本洗浄剤組成物は、ガラス、陶磁器、金属、プラスチック等の硬表面の洗浄用途に適している。また、食器に限らず、各種製造工場,加工工場等における器具や容器、流通に用いられるプラスチックコンテナ等を洗浄するための自動洗浄機用途としても使用可能である。このほか、食品工場・食品加工工場等のタイル、床等の硬表面の洗浄、飲料用のガラス瓶・ビール瓶等の容器洗浄、金属表面洗浄にも好ましく用いることができる。特に、ホテル、レストラン、学校、病院、飲食店、給食会社、会社の食堂等における自動食器洗浄機に用いるのに好適である。
つぎに、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
まず、本発明の自動洗浄機用液体洗浄剤組成物(以下「本洗浄剤組成物」という)は、(A)トリポリリン酸カリウム、(B)トリポリリン酸ナトリウム、(C)SiO2 とK2 Oのモル比(SiO2 /K2 O)が0.5〜1のケイ酸カリウム、(D)次亜塩素酸アルカリ金属塩の4成分を有効成分として含有するとともに、水を含有するものである。また、本洗浄剤組成物には、必要に応じて、有効成分として、上記(A)〜(D)とともに、(E)水酸化カリウムを含有させることができる。さらにまた、必要に応じて、有効成分として、上記(A)〜(E)とともに、(F)高分子電解質重合体を含有させることができる。
上記(A)成分であるトリポリリン酸カリウムとしては、常用されている、粉末状、粒状、顆粒状等のトリポリリン酸カリウムを用いることができる。上記トリポリリン酸カリウムは、本洗浄剤組成物全体に対し、0.1〜40質量%の範囲で配合される。配合量が0.1質量%未満では、低温安定性に劣るものとなり、40質量%を超えて配合した場合には、他の成分とのバランスから所望の性能が得られなくなる。また、特にトリポリリン酸カリウムは、(B)成分であるトリポリリン酸ナトリウムと併用することにより、トリポリリン酸ナトリウムの溶解度を高めることができるため、トリポリリン酸ナトリウムを高濃度で配合させることができる。そして、上記トリポリリン酸カリウムを3質量%未満の少量で用いた場合に、洗浄力と仕上がり性に優れるとともに、特に、貯蔵時における外観(色の変化)と、(D)成分として用いる次亜塩素酸ナトリウムの安定性が顕著に優れたものとなり、好適である。
上記(B)成分であるトリポリリン酸ナトリウムとしては、常用されている、粉末状、粒状、顆粒状等のトリポリリン酸ナトリウムを用いることができる。上記トリポリリン酸ナトリウムは、本洗浄剤組成物全体に対し、0.1〜20質量%の範囲で配合される。配合量が20質量%を超えると、他成分とのバランスから所望の性能が得られなくなる。なかでも、他の成分とのバランスから0.1〜15質量%の範囲であることが好ましい。
なお、工業的に製造されるトリポリリン酸カリウムやトリポリリン酸ナトリウム等のトリポリリン酸塩には、通常、オルソリン酸塩、ピロリン酸塩、高度縮合リン酸塩等が含まれており、これら副生成物は、低温安定性や洗浄剤組成物の変色に影響を与えるため、本洗浄剤組成物の(A)成分および(B)成分としては、これら副生成物の量を可能な限り少なく抑えたものを用いることが望ましい。
また、上記(C)成分であるSiO2 とK2 Oのモル比(SiO2 /K2 O)が0.5〜1のケイ酸カリウムとしては、市販のメタケイ酸カリウム、オルソケイ酸カリウムを用いることができる。あるいは、二酸化珪素(SiO2 )と水酸化カリウム(KOH)とを予め混合するか、適宜、他成分とともにこれらの2成分を順次添加することにより、SiO2 とK2 Oのモル比が上記の範囲内となるような、任意のケイ酸カリウムを調製してもよい。
上記(C)成分であるケイ酸カリウムは、本洗浄剤組成物全体に対し、1〜20質量%の範囲で配合される。配合量が1質量%未満では、(D)成分である次亜塩素酸アルカリ金属塩の安定性に乏しく、また所望の茶渋汚れに対する洗浄力が得られない。一方、20質量%を超えて配合した場合にも、上記次亜塩素酸アルカリ金属塩の安定性が乏しくなるとともに、低温安定性が得られないものとなる。なかでも、他の成分とのバランスから1〜10質量%の範囲であることが好ましい。
上記(D)成分である次亜塩素酸アルカリ金属塩としては、常用されている12質量%の次亜塩素酸ナトリウム、6質量%の次亜塩素酸ナトリウム等があげられ、なかでも、低食塩濃度の次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。そして、本洗浄剤組成物全体に対し、有効塩素量として0.2〜3質量%の次亜塩素酸アルカリ金属塩が配合される。なかでも、他の成分とのバランスから0.5〜1.5質量%の範囲であることが好ましい。
そして、上記(E)成分である水酸化カリウムとしては、常用されている、液体状、粒状、顆粒状、フレーク状等の水酸化カリウムを用いることができる。上記水酸化カリウムは、必要に応じて任意に配合することのできる有効成分であり、本洗浄剤組成物全体に対し、1〜20質量%の範囲で配合することができる。配合量が20質量%を超えると、他成分とのバランスから所望の性能に乏しくなる。なかでも、他の成分とのバランスから4〜10質量%の範囲であることが好ましい。
さらに、上記(F)成分である高分子電解質重合体としては、ポリアクリル酸またはそのアルカリ金属塩等、メチルビニルエーテルとマレイン酸の共重合体またはそのアルカリ金属塩等、アクリル酸とマレイン酸の共重合体またはそのアルカリ金属塩等、炭素数が5個のオレフィンとマレイン酸の共重合体またはそのアルカリ金属塩等、ポリスチレンスルホン酸とマレイン酸の共重合体またはそのアルカリ金属塩等、アクリル酸と2−ヒドロキシ−3−アリロキシプロパンスルホン酸との共重合体またはそのアルカリ金属塩等があげられる。これらのアルカリ金属塩は、部分中和物であってもよい。
また、上記(F)成分である高分子電解質重合体の平均分子量は、スケール付着抑制能の点から、例えばポリアクリル酸またはそのアルカリ金属塩等においては1,000〜60,000であることが好ましく、より好ましくは2,000〜15,000である。また、アクリル酸とマレイン酸の共重合体またはそのアルカリ金属塩等である場合には、30,000〜150,000であることが好ましく、より好ましくは40,000〜80,000である。
上記高分子電解質重合体は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。そして、このものは、必要に応じて任意に配合することのできる有効成分であり、本洗浄剤組成物全体に対し、0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜3質量%の範囲で配合することができる。この配合量が0.1質量%未満では、被洗物の洗浄性能、仕上がり性およびスケール付着抑制能を向上させる効果が充分ではない。一方、5質量%を超えると、他成分とのバランスや経済性の点から好ましくない。また、上記高分子電解質重合体の残存モノマー量は、次亜塩素酸アルカリ金属塩の貯蔵安定性の点から0.5質量%以下が好ましく、より好ましくは0.1質量%以下であることが好ましい。
そして、上記(A)〜(D)成分、またはこれに(E)成分もしくは(E)成分と(F)成分を加えた有効成分量の合計は、本洗浄剤組成物全体に対し、10〜50質量%となることが好ましい。すなわち、10質量%未満では、洗浄剤組成物がコンパクトなものとならず、大きな保管スペースを要するものとなり、また、各種汚れに対しての洗浄力およびスケール生成抑制能に乏しいものとなるおそれがあるからである。一方、50質量%を超えると、リン酸塩の加水分解が促進されるとともに、低温安定性が乏しくなるおそれがある。
そして、本洗浄剤組成物は、水によって液体として調製される。上記水としては、純水、イオン交換水、軟水、蒸留水、水道水等があげられる。これらは、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、経済性及び貯蔵安定性の点から、水道水、イオン交換水が好ましく用いられる。
なお、上記「水」は、本発明の洗浄剤組成物を構成する各成分に由来する結晶水や水溶液の形で含まれる水と、その他の外から加えられる水との総和であり、組成物全体が100%となるよう、上記有効成分や適宜添加される他の任意成分を除く残質量%配合される。
上記適宜添加される任意成分としては、pH調整剤、香料、金属腐食抑制剤、殺菌剤、消臭剤、帯電防止剤等があげられる。
上記各成分を用いて得られる本洗浄剤組成物は、JIS Z−8802:1984に従い、0.2質量%に調製された洗浄剤組成物の水溶液の25℃におけるpHが、11以上でなければならない。すなわち、本洗浄剤組成物は、pH11以上において、油脂汚れや蛋白質汚れの洗浄性能に優れるとともに、次亜塩素酸ナトリウムの安定性に優れるという特徴を備えている。
このように、本洗浄剤組成物は、pH11以上の液体洗浄剤組成物であり、次亜塩素酸アルカリ金属塩の安定性、低温安定性、金属イオン封鎖力の安定性、洗浄性に優れ、特に再付着防止性能、仕上がり性およびスケール生成抑制能にも優れている。
しかも、従来の洗浄剤組成物に比べて、界面活性剤を含まなくても各種食物汚れに対して優れた洗浄性能を有し、再付着防止性能、スケール生成抑制能にも優れ、また、高分子電解質重合体を配合した場合であっても所望の次亜塩素酸アルカリ金属塩の安定性を確保することができる。
したがって、本洗浄剤組成物は、ガラス、陶磁器、金属、プラスチック等の硬表面の洗浄用途に適している。また、食器に限らず、各種製造工場,加工工場等における器具や容器、流通に用いられるプラスチックコンテナ等を洗浄するための自動洗浄機用途としても使用可能である。このほか、食品工場・食品加工工場等のタイル、床等の硬表面の洗浄、飲料用のガラス瓶・ビール瓶等の容器洗浄、金属表面洗浄にも好ましく用いることができる。特に、ホテル、レストラン、学校、病院、飲食店、給食会社、会社の食堂等における自動食器洗浄機に用いるのに好適である。
なお、本洗浄剤組成物は、汚れの種類や汚れの量(程度)、洗浄に用いられる水道水の水質等を考慮して、0.15〜0.5質量%の洗浄剤水溶液として、自動洗浄機に供給することにより、特に食器および調理器具に対して、優れた仕上がり効果を得ることができる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
〔実施例1〜32、比較例1〜15〕
後記の表1〜表12に示す組成の自動洗浄機用液体洗浄剤組成物を調製し、そのpH、次亜塩素酸ナトリウムの安定性、低温安定性、金属イオン封鎖力の安定性、洗浄力、再付着防止性能、仕上がり性およびスケール生成抑制能の8項目について評価した。その結果を後記の表1〜表12に併せて示す。なお、各項目の試験方法、評価方法は、以下に示すとおりである。そして、表中の「水」は、液体洗浄剤組成物を構成する各種成分に由来する結晶水や水溶液の形で含まれる水と外から加えられる水との総和であり、洗浄剤組成物全体が100質量%となるようバランスとして示される。
なお、後記の表1〜表12において用いた各種成分とその有効純分(質量%)の詳細は、下記の通りであり、表中の数値は、有効純分100質量%に換算して示したものである。
・高分子電解質重合体1(F成分):
ポリアクリル酸ナトリウム(純分45%、平均分子量4,500)
商品名:アキュゾール445N、ロームアンドハース社製
・高分子電解質重合体2(F成分):
ポリアクリル酸ナトリウム(純分45%、平均分子量8,000)
商品名:ソカラン30CL、BASF社製
・高分子電解質重合体3(F成分):
ポリアクリル酸ナトリウム(純分45%、平均分子量4,000)
商品名:ソカラン25CL、BASF社製
・高分子電解質重合体4(F成分):
ポリアクリル酸ナトリウム(純分43%、平均分子量2,000)
商品名:アロンA−210、東亞合成社製
・高分子電解質重合体5(F成分):
アクリル酸マレイン酸共重合体のナトリウム塩(純分35%、平均分子量40,00 0)
商品名:アキュゾール505N、ロームアンドハース社製
・高分子電解質重合体6(F成分):
ポリ−α−ヒドロキシポリアクリル酸ナトリウム(純分30%、平均分子量10,0 00〜14,000)
商品名:ペールブラック1200、日本パーオキサイド社製
・高分子電解質重合体7(F成分):
アクリル酸−2−ヒドロキシ−3−アリロキシプロパンスルホン酸ナトリウム(純分 50%、平均分子量3,000)
商品名:アクアリックGL246、日本触媒社製
・高分子電解質重合体8(F成分):
アクリル酸−2−ヒドロキシ−3−アリロキシプロパンスルホン酸ナトリウム(純分 50%、平均分子量6,000)
商品名:アクアリックGL366、日本触媒社製
〔pH〕
・試験方法
JIS Z−8802:1984に従い、0.2質量%に調製された洗浄剤組成物の水溶液の25℃におけるpHを測定し、下記の評価基準で評価した。
・評価基準
○:pHが11以上である。
×:pHが11未満である。
〔次亜塩素酸ナトリウムの安定性〕
・試験方法
供試洗浄剤組成物を250mlのポリプロピレン製容器に入れ、38℃にて1ヶ月間保存し、残存する有効塩素を下記の方法で測定し、調製直後の有効塩素量を100(%)として、その比率を、有効塩素の残存率(%)として求め、次亜塩素酸ナトリウムの安定性を下記の評価基準に従い評価した。
・有効塩素測定法
供試試料3gを200ml三角フラスコに取り、それに10質量%ヨウ素ヨウ化カリウム溶液15ml、(1+1)硫酸10mlを添加し、冷暗所に3分間静置してヨウ素を遊離させ、次に0.1Nチオ硫酸ナトリウム規定液でヨウ素の黄色が消失するまで滴定し、次式から算出する。
Figure 2006199723
・評価基準
◎:残存率が70%以上。
○:残存率が50%以上、70%未満。
△:残存率が30%以上、50%未満。
×:残存率が30%未満。
〔低温安定性〕
・試験方法
供試洗浄剤組成物を250mlのポリプロピレン製容器に入れ、その液温が24時間で+5℃〜−5℃のサイクルを描くように冷却、昇温する運転を100日間連続して行い、結晶析出の有無を調べ、下記の評価基準により低温安定性を評価した。
・評価基準
◎:100日後も析出が認められなかった。
○:60日目から99日目の間に析出が認められた。
△:30日目から59日目の間に析出が認められた。
×:29日目までに析出が認められた。
〔金属イオン封鎖力の安定性〕
供試洗浄剤組成物を250mlのポリプロピレン製容器に入れ、38℃にて3ヶ月間保存し、残存する金属イオン封鎖力を下記の方法で測定し、調製直後の金属イオン封鎖力を100(%)として、その比率を、金属イオン封鎖力の残存率(%)として求め、安定性を下記の評価基準に従い評価した。
・金属イオン封鎖力測定方法
供試洗浄剤組成物の0.15%溶液60gを、100mlビーカーに取り、pH緩衝液1ml、エリオクロムブラックT指示薬およびチオ硫酸ナトリウムを添加し、平沼産業株式会社製の自動滴定装置を用いて、濃度既知の塩化カルシウム溶液で自動的滴定し、次式から算出する。
Figure 2006199723
・評価基準
◎:残存率が70%以上。
○:残存率が50%以上、70%未満。
△:残存率が30%以上、50%未満。
×:残存率が30%未満。
〔洗浄力〕
・試験方法
調製された洗浄剤組成物を業務用の自動食器洗浄機(DW−RD61、三洋電機社製)に投入し、下記の運転条件で運転した。そして、下記の被洗浄物である陶器皿を10枚1組として洗浄し、その洗浄性能を下記の評価基準で評価した。なお、汚れとして牛脂、上新粉、カレー、卵黄、茶渋を用意し、それぞれの汚れに対して洗浄性試験を行った。
*運転条件
洗剤濃度 :0.2質量%
洗浄温度 :60℃
すすぎ温度 :80℃
洗浄コース :標準洗浄サイクル(洗浄:43秒、すすぎ:15秒)
水道水の硬度:(CaCO3 として)70〜80mg/L
牛脂汚れ :精製牛脂を用いた。
上新粉汚れ :上新粉25に対し水75を加え、途中かき混ぜながら20分間煮沸し、の り状としたものを用いた。
カレー汚れ :市販のレトルトカレー(ボンカレー〔登録商標〕、大塚製薬社製)を用い た。
卵汚れ :卵黄のみをとりわけ、よくかき混ぜて用いた。
茶渋汚れ :粉茶50gを1Lのお湯の中に入れ1時間煮立てたものを用いた。
被洗浄物 :直径10cmの陶器皿に上記汚れを4g/枚となるように付着させ、常温 で1時間乾燥させたものを用いた。また、茶渋汚れについては、陶磁器皿 の表面を♯180のサンドペーパーで傷をつけ、そこに茶渋汚れ10gを のせ、100℃の乾燥機に入れ、水分を完全に除去したものを用いた。
・評価基準
◎:90%以上の汚れ除去。
○:70%以上、90%未満の汚れ除去。
△:50%以上、70%未満の汚れ除去。
×:50%未満の汚れ除去。
〔再付着防止性能〕
・試験方法
汚れとしてオイルレッド(スダンIV)で着色したサラダ油30gを、業務用の自動食器洗浄機(DW−RD61、三洋電機社製)の洗浄タンクに投入し、清浄なメラミン製皿を配置した洗浄ラックを上記自動食器洗浄機内にセットして、供試洗浄剤組成物を用いて下記の運転条件で運転した後、清浄なメラミン製皿への汚れの付着度合いを目視で確認し、下記の評価基準で評価した。
*運転条件
洗剤濃度 :0.2質量%
洗浄温度 :60℃
すすぎ温度 :80℃
洗浄コース :標準洗浄サイクル(洗浄:43秒、すすぎ:15秒)
水道水の硬度:(CaCO3 として)70〜80mg/L
・評価基準
◎:清浄な皿に汚れが全く付着していない。
○:清浄な皿に汚れがほとんど付着していない。
△:清浄な皿に汚れが付着する。
×:清浄な皿に汚れがかなり付着する。
〔仕上がり性〕
・試験方法
調製された洗浄剤組成物を業務用の自動食器洗浄機(DW−RD61、三洋電機社製)に投入し、下記の条件で運転した。そして、後記に示す被洗浄物であるガラスコップを10個1組として洗浄し、洗浄後の仕上がり性能を下記の評価基準で評価した。
*運転条件
洗剤濃度 :0.2質量%
洗浄温度 :60℃
すすぎ温度 :80℃
洗浄コース :標準洗浄サイクル(洗浄:43秒、すすぎ15秒)
使用水の硬度:(CaCO3 として)70〜80mg/L
被洗浄物 :8オンス(225ml)のガラスコップ(佐々木硝子社製)に牛乳を注いだ後、5分間放置した。ついで、牛乳を捨てた後、水ですすぐことなく30分間風乾した。
・評価基準
◎:ウォータースポットが全くみられない。
○:ウォータースポットが1〜2個みられる。
△:ウォータースポットが3〜5個みられる。
×:ウォータースポットが6個以上みられる。
〔スケール生成抑制能〕
・試験方法
人工硬水(総硬度:CaCO3 として250mg/L)を用いて、洗浄剤組成物を0.05質量%に希釈し、容量100mlの比色管に50mlを注ぎ、60℃で24時間保持した後、スケールの生成量を目視で、下記の評価基準で評価した。
・評価基準
◎:スケールの生成がなかった。
○:スケール生成がほとんどなかった。
△:スケールの生成があった。
×:スケール付着が著しかった。
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上記の結果から、実施例品はいずれも、上記全ての評価項目において、優れた特性を示すことがわかる。
また、供試洗浄剤組成物を250mlのポリプロピレン製容器に入れ、37℃の恒温下に3ヶ月配置したときの外観(色の変化)を観察したところ、供試洗浄剤組成物のうち実施例品1、4、5および6のものにおいては、全く色の変化を生じなかったが、それ以外のものは、ごくわずかな変色が認められた。
さらに、上記次亜塩素酸ナトリウムの安定性について、さらに3ヶ月後の安定性を確認したところ、供試洗浄剤組成物のうち実施例品1、4、5および6のものにおいては、安定性の低下が認められなかったが、それ以外のものは、わずかに安定性の低下傾向が認められた。
つまり、トリポリリン酸カリウムの配合量を3質量%未満の少量の範囲で用いた場合には、特に、貯蔵時における外観(色の変化)と次亜塩素酸ナトリウムの安定性が顕著に優れたものとなることがわかった。

Claims (5)

  1. 有効成分として下記の(A)〜(D)成分を含有するとともに、水を含有する洗浄剤組成物であって、JIS Z−8802:1984に従って調製された上記洗浄剤組成物の0.2質量%水溶液の25℃におけるpHが11以上であることを特徴とする自動洗浄機用液体洗浄剤組成物。
    (A)トリポリリン酸カリウム0.1〜40質量%。
    (B)トリポリリン酸ナトリウム0.1〜20質量%。
    (C)SiO2 とK2 Oのモル比(SiO2 /K2 O)が0.5〜1のケイ酸カリウム1 〜20質量%。
    (D)次亜塩素酸アルカリ金属塩を有効塩素量として0.2〜3質量%。
  2. 有効成分として下記の(A)〜(E)成分を含有するとともに、水を含有する洗浄剤組成物であって、JIS Z−8802:1984に従って調製された上記洗浄剤組成物の0.2質量%水溶液の25℃におけるpHが11以上であることを特徴とする自動洗浄機用液体洗浄剤組成物。
    (A)トリポリリン酸カリウム0.1〜40質量%。
    (B)トリポリリン酸ナトリウム0.1〜20質量%。
    (C)SiO2 とK2 Oのモル比(SiO2 /K2 O)が0.5〜1のケイ酸カリウム1 〜20質量%。
    (D)次亜塩素酸アルカリ金属塩を有効塩素量として0.2〜3質量%。
    (E)水酸化カリウム1〜20質量%。
  3. 有効成分として下記の(A)〜(F)成分を含有するとともに、水を含有する洗浄剤組成物であって、JIS Z−8802:1984に従って調製された上記洗浄剤組成物の0.2質量%水溶液の25℃におけるpHが11以上であることを特徴とする自動洗浄機用液体洗浄剤組成物。
    (A)トリポリリン酸カリウム0.1〜40質量%。
    (B)トリポリリン酸ナトリウム0.1〜20質量%。
    (C)SiO2 とK2 Oのモル比(SiO2 /K2 O)が0.5〜1のケイ酸カリウム1 〜20質量%。
    (D)次亜塩素酸アルカリ金属塩を有効塩素量として0.2〜3質量%。
    (E)水酸化カリウム1〜20質量%。
    (F)高分子電解質重合体0.1〜5質量%。
  4. 上記有効成分量の合計が、10〜50質量%である請求項1〜3のいずれか一項に記載の自動洗浄機用液体洗浄剤組成物。
  5. 上記請求項1〜4のいずれか一項に記載の自動洗浄機用液体洗浄剤組成物を、0.1〜0.5質量%の洗浄剤水溶液として用い、自動洗浄機において被洗浄物を洗浄することを特徴とする洗浄方法。
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