JP2006164911A - 誘電体アンテナ - Google Patents

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Abstract

【課題】
低温から高温度まで広い温度範囲にわたって、高い比誘電率を示し、かつ低誘電正接を有する誘電体アンテナを提供する。
【解決手段】
エラストマーに高誘電性セラミックス粉末を配合してなる高誘電性エラストマー組成物の成形体と、該成形体に設けられる電極とを備えてなる誘電体アンテナであって、上記高誘電性セラミックス粉末は、周波数 1 GHzおよび温度 25℃において、比誘電率が 7 以上、誘電正接が 0.01 以下であり、上記電極は、めっき処理を施した銅箔で形成される。上記めっき処理が、ニッケルめっきまたは銀めっきである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、めっき処理銅箔で電極を形成したエラストマー系誘電体アンテナに関し、特に 100MHz 以上の高周波帯で使用される誘電体アンテナに関する。
近年、携帯電話、コードレスフォン、RFID等に用いるパッチアンテナ、電波望遠鏡やミリ波レーダ等のレンズアンテナ等の目覚しい普及、衛星通信機器の著しい発達に伴い、通信信号の周波数の高周波化および通信機器の一層の小型化が望まれている。
上記小型化の要求に対応するため、比重が小さく、かつ、誘電損失が少なく高利得化に有利な誘電体樹脂材料を用いてアンテナ本体を成形し、該成形体に電極を形成したものなどがある。このような誘電体アンテナを図1を参照して説明する。図1は、誘電体アンテナ(パッチアンテナ)の斜視図である。誘電体アンテナ1は、誘電体基板2の上面中央部に放射素子である電極3が形成されており、該電極3の所定箇所に給電ピン5が取り付けられている。電極3の形成方法としては、金属めっき処理、金属箔の接着などがある。
また、誘電体基板2の下面には接地導体4が形成されている。給電ピン5は増幅回路や発信回路等(図示省略)と電気的に接続されており、該給電ピン5を介して電極3に高周波信号が給電される。なお、給電ピン5を用いず、電極3から延設した給電ライン等を利用する構造もある。
従来、金属めっき処理による樹脂系アンテナ部材への電極形成方式として、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(SPS)に無機充填材と溶剤に可溶なゴム状弾性体とを混合し、エッチング処理により表面を荒くしてめっき性を改良した複合誘電体材料をアンテナとして使用したもの(特許文献1参照)や、難めっき性の樹脂と易めっき性の樹脂を併用し、電極形成面には易めっき性の樹脂をアンテナ部材として使用するもの(特許文献2参照)などがある。また、電極を銅箔パターンで形成したもの(特許文献3参照)がある。
しかしながら、誘電体基板等のアンテナ部材として樹脂材料を用いる場合、一般的に金属めっき処理が困難であり、特許文献1および特許文献2のような特殊な下地処理を施す必要があるという問題がある。また、めっき処理で電極を形成した場合、下地処理後もアンテナ部材との密着性が悪いので、誘電特性の劣化に繋がるおそれがあり好ましくない。また、特許文献3のように電極に銅箔を使用した場合では、該電極が酸化し易いので、使用温度が上昇すると酸化して導電率が低下するなどの問題がある。
特開2001−143531号公報 特開2003−78322号公報 特開平7−66620号公報
本発明はこのような問題に対処するためになされたもので、低温から高温度まで広い温度範囲にわたって、高い比誘電率を示し、かつ低誘電正接を有する誘電体アンテナを提供することを目的とする。
本発明の誘電体アンテナは、エラストマーに高誘電性セラミックス粉末を配合してなる高誘電性エラストマー組成物の成形体と、該成形体に設けられる電極とを備えてなる誘電体アンテナであって、上記高誘電性セラミックス粉末は、周波数 1 GHzおよび温度 25℃において、比誘電率が 7 以上、誘電正接が 0.01 以下であり、上記電極は、めっき処理を施した銅箔で形成されることを特徴とする。
また、上記めっき処理が、ニッケルめっきであることを特徴とする。また、上記めっき処理が銀めっきであることを特徴とする。
上記エラストマーが構成単位として非極性オレフィン単位を含むことを特徴とする。特に、上記エラストマーがエチレンプロピレンゴムであることを特徴とする。
上記誘電体アンテナは、100 MHz 以上の周波数帯で使用されることを特徴とする。
本発明の誘電体アンテナは、誘電性セラミック粉末を混合したエラストマー成形体にめっき処理を施した銅箔を接着してアンテナ電極を形成することで、低温から高温度まで広い温度範囲にわたって、高い比誘電率を示し、かつ低誘電正接を有し、さらに耐エージング性にも優れる。
本発明の誘電体アンテナは、エラストマーに高誘電性セラミック粉末を配合した高誘電性エラストマー組成物の成形体をアンテナ本体とし、これに電極としてめっき処理を施した銅箔を接着することで得られる。
銅箔の上に処理するめっき材料は、アンテナとして機能する導電性を保持できれば特に限定されないが、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)などがある。その中で、耐酸化性、導電性などに優れることから、Ni、Agが好ましい。コストが低いことからNiが特に好ましい。めっきの厚みは、0.1〜5μm が好ましく、さらに好ましくは0.5〜3μmである。めっき厚が 0.1μm未満では、耐酸化性の向上が少なく、5μmより大きい場合、めっき厚が不均一となったり、めっき材料の必要量が増えるので好ましくない。
めっき処理は、無電解めっき法、電気めっき法、あるいはこれらの併用がある。特に無電解めっき法が簡便であり、めっき層の厚さが均一になるので好ましい。
無電解めっき法は、次亜燐酸塩などの還元浴に硫酸ニッケル、醋化剤、安定剤、PH緩衝剤、外観調整剤、分散助剤などを分散させて得られるめっき液を約 80℃以上に加熱して、このめっき液に金属板を浸漬することによりめっき層を形成する方法である。なお、無電解めっきは、金属板のめっき形成部分を脱脂、酸洗いした後にめっき処理する。
銅箔とエラストマー成形体との接着には、エポキシ系、ウレタン系などの接着用フィルムや液状接着剤を使用することができる。接着層の厚さは 1〜100 μm程度が好ましい。接着層の厚さが 1μm 以下では、接着層が局所的に存在できなくなり、接着面積が減少するため好ましくない。100μmより大きい場合、誘電特性(特に誘電正接)が悪化するので好ましくない。より実用的な範囲は、20〜50μmである。
また、エラストマーを成形する際に、金型内に銅箔を挿入して、成形時の圧力で加硫接着することも可能である。
以上のようにエラストマー系誘電体アンテナの電極として、めっき処理銅箔を用いることにより、密着性が良好であり、耐酸化性に優れる。
本発明に使用できる高誘電性セラミックス粉末としては、チタン酸金属塩で、ネオジム(Nd)、ランタン(La)等の希土類を少なくとも1種類以上と、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、コバルト(Co)、パラジウム(Pd)、亜鉛(Zn)、ベリリウム(Be)、カドミウム(Cd)、ビスマス(Bi)等から選ばれた1種または2種以上の金属元素を配合したセラミックス粉末が好ましい。Nd、La等の希土類は、比誘電率の温度変化を小さくする温度特性の改善に寄与し、Ba、Sr等の金属元素は誘電率を高め、誘電正接を小さくするなど、誘電特性の向上に寄与する。好適な高誘電性セラミックス粉末としては、Ti−Ba−Nd−Bi系のチタン酸バリウム・ネオジム系セラミック粉末である。
高誘電率かつ低誘電正接セラミック粉末の粒子径は 0.01μm〜100μm程度が好ましい。0.01μmより小さい場合、秤量時に飛散するなど、その取り扱いが困難であり好ましくない。100μmより大きい場合、成形体内での誘電特性のばらつきを引き起こすおそれがあるので好ましくない。より実用的な範囲は、0.1μm〜20μm程度である。
また、高周波域に使用される本発明の誘電体アンテナは高誘電率かつ低誘電正接が求められており、周波数 1 GHzおよび温度 25℃において、比誘電率 7 以上、誘電正接 0.01以下の高誘電性エラストマー組成物を材料とすることが好ましい。
該高誘電性エラストマー組成物の比誘電率が 7 よりも小さい場合、複合材内を伝播する波長の短縮効果が少ないため、製品の小型化ができないので好ましくない。誘電正接が 0.01 よりも大きい場合、複合材内の損失が大きくなるので好ましくない。この複合材を 100MHz 以上の高周波帯で使用する。
本発明で使用できる高誘電性エラストマー組成物には、天然ゴム系エラストマーおよび合成ゴム系エラストマーを使用できる。
天然ゴム系エラストマーとしては、天然ゴム、塩化ゴム、塩酸ゴム、環化ゴム、マレイン酸化ゴム、水素化ゴム、天然ゴムの二重結合にメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、メタクリル酸エステル等のビニルモノマーをグラフトさせてなるグラフト変性ゴム、窒素気流中でモノマー存在下に天然ゴムを粗練してなるブロックコポリマー等を挙げることができる。これらは、天然ゴムを原料とするものの他、合成cis−1,4−ポリイソプレンを原料としたエラストマーを含む。
合成ゴム系エラストマーとしては、イソブチレンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、エチレンプロピレンターポリマー、クロロスルホン化ポリエチレンゴム等のポリオレフィン系エラストマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)等のスチレン系エラストマー、イソプレンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、ナイロン12、ブチルゴム、ブタジエンゴム、ポリノルボルネンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等を挙げることができる。
これらのエラストマーは、1種類または2種類以上混合して用いることができる。また、エラストマーの持つ弾力性を損なわない範囲内で熱可塑性樹脂の1種または2種を配合して用いることができる。本発明のエラストマーとして天然ゴム系エラストマーおよび/または合成非極性エラストマーの中から選ばれる1種または2種以上を用いた場合には電気絶縁性に優れた高誘電性エラストマーを得ることができるので、特に絶縁性の要求される用途に好ましく用いることができる。合成非極性のエラストマーとしては、エチレンプロピレンゴム(以下、EPDMと記す)、エチレンプロピレンジエンゴム、イソブチレンゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム等を挙げることができる。とくにEPDM、エチレンプロピレンジエンゴムは誘電正接が極めて低いので、アンテナ部材として好ましく用いることができる。
高誘電性セラミックス粉末の配合割合は、高誘電性エラストマー組成物の比誘電率を 7 以上、誘電正接を 0.01 以下に維持でき、かつ、本発明の誘電体アンテナを成形できる成形性を保持できる量である。
例えば、エラストマー 100 重量部( phr )に対して、高誘電性セラミックス粉末が 300〜1000 重量部( phr )配合される。
本発明で使用できる高誘電性エラストマー組成物は、上記の必須成分に加えて本発明の効果を妨げない範囲で(1)エラストマーとセラミックス粉末の界面の親和性や接合性を向上させ、機械的強度を改良するために、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、ジルコニアアルミネート系カップリング剤等のカップリング剤を、(2)電極形成のためのメッキ性を改良するために、タルク、ピロリン酸カルシウムなどの微粒子性充填剤を、(3)熱安定性を一層改善するために酸化防止剤を、(4)耐光性を改良するために紫外線吸収剤等の光安定剤を、(5)難燃性を一層改善するためにハロゲン系もしくはリン系などの難燃剤、およびアンチモン系化合物、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、酸化ジルコニウムなどの難燃助剤を、(6)耐衝撃性を改良するために耐衝撃性付与剤を、(7)着色するために染料、顔料などの着色剤を、(8)物性を調整するために可塑剤、硫黄やパーオキサイドなどの架橋剤を、(9)加硫を進めるための加硫促進剤をそれぞれ配合することができる。
また、本発明で使用できる高誘電性エラストマー組成物には、本発明の目的を損なわない範囲内でガラスファイバー、チタン酸カリウムウィスカ等のチタン酸アルカリ金属繊維、酸化チタン繊維、ホウ酸マグネシウムウィスカやホウ酸アルミニウウムウィスカ等のホウ酸金属塩系繊維、ケイ酸亜鉛ウィスカやケイ酸マグネシウムウィスカ等のケイ酸金属系繊維、カーボンファイバ、アルミナ繊維、アラミド繊維等の各種有機または無機の充填剤を併用できる。
上記高誘電性エラストマー組成物を材料として本発明の誘電体アンテナを製造する方法としては、特に制限がなく、各種の混合成形方法を用いることができる。例えば、二軸押し出し機で混練して製造する方法などが好適に用いられる。直ちに射出成形や押し出し成形などにより成形品としてもよいし、ペレットや棒状物、板状物などの成形用材料としてもよい。また、アンテナ部材と接着層との密着性を向上させるため、アンテナ部材の表面をサンドペーパー、ブラスト処理などで粗くしたり、溶剤によるエッチング、UVエッチング、プラズマエッチング、プライマーの塗布などの表面処理を施してもよい。
各実施例および各比較例にて得られる高誘電性エラストマー組成物の成形体(アンテナ部材)についての比誘電率と誘電正接、および該アンテナ部材にめっき処理銅箔で電極を形成した誘電体アンテナのアンテナ特性を以下のそれぞれの方法にて行なった。
試験法1(空洞共振器法):25℃での比誘電率および誘電正接の測定
高誘電性エラストマー組成物を、加熱圧縮成形した成形体(アンテナ部材)から、1.5mm×1.5mm×80mm の短冊状試験片に加工し、空洞共振器法(1998年7月、Electronic Monthly誌、16〜19頁)により、1GHz 帯で 25℃での比誘電率および誘電正接を測定した。
試験法2:アンテナ特性の測定
得られたパッチアンテナを用いて、ネットワークアナライザにより共振周波数およびVSWR(定在波比)、利得のわかっている基準アンテナとの比較により、各共振周波数での利得を測定した。ここで、(VSWR<2) かつ (利得>2dBi)の場合、判定:○、それ以外の場合、判定:×とした。
試験法3:アンテナ特性の変化の測定
得られたパッチアンテナについて、100℃×500時間のエージングを行ない、アンテナ特性(共振周波数、VSWR、利得)の変化を測定した。
実施例1〜実施例3
EPDMに、チタン酸バリウム・ネオジウム系セラミック粉末(共立マテリアル社製:HF−120 比誘電率:120 )、加硫促進剤および加工助剤等の微量添加物をそれぞれ表1に示す配合割合で混合し、加熱圧縮成形にて、80mm×80mm×2mm の成形体を得た。なお、加硫条件はそれぞれ170℃×30分であり、加硫促進剤および加工助剤等の内容は、ステアリン酸(花王社製;ルナックS−30)を 1 重量部( phr )、酸化亜鉛(井上石炭工業社製;META−Z L−40)を 5 重量部( phr )、加工助剤(花王社製;スプレンダーR−100)を 3 重量部( phr )、加硫促進剤(住友化学社製;ソクシノールM)を 2.5 重量部( phr )、硫黄(鶴見化学工業社製;金華印微粉硫黄)を 1.5 重量部( phr )、それぞれ配合した。
得られた成形体(アンテナ部材)の比誘電率および誘電正接を上記試験法1にて測定した。結果を表1に示す。
また、該成形体の両面にニッケルめっき処理銅箔をエポキシ系接着フィルム(40μm)で加熱・加圧接着し、60mm×60mm×2mmのシートを成形した。このアンテナ部材を用いて2450MHz用のパッチアンテナを製作した。給電位置および放射面のアンテナ電極形状はそれぞれ材料の比誘電率に合わせて選定し、エッチングにより、不要な部分を除去した。エッチングは、電極パターンのレジストを印刷し、塩化第二鉄溶液を用いて行なった。
各アンテナの電極の種類、めっき厚さ、銅箔厚さを表1に併記する。このアンテナの特性を試験法2により測定した。結果を表2に示す。また、該アンテナ特性の変化を試験法3により測定した。結果を表2に併記する。
実施例4〜実施例6
EPDMに、チタン酸ストロンチウム系セラミック粉末(共立マテリアル社製:ST−NAS 比誘電率:180 )、加硫促進剤および加工助剤などの微量添加物をそれぞれ表1に示す配合割合で混合し、加熱圧縮成形にて、80mm×80mm×2mm の成形体を得た。なお、加硫条件はそれぞれ170℃×30分であり、加硫促進剤および加工助剤等の内容は実施例1と同じである。
得られた成形体(アンテナ部材)の比誘電率および誘電正接を上記試験法1にて測定した。結果を表1に示す。
また、該成形体の両面に銀めっき処理銅箔をエポキシ系接着フィルム(40μm)で加熱・加圧接着し、60mm×60mm×2mm のシートを成形した。このアンテナ部材を用いて2450MHz用のパッチアンテナを製作した。給電位置および放射面のアンテナ電極形状はそれぞれ材料の比誘電率に合わせて選定し、エッチングにより、不要な部分を除去した。エッチングは、電極パターンのレジストを印刷し、塩化第二鉄溶液を用いて行なった。
各アンテナの電極の種類、めっき厚さ、銅箔厚さを表1に併記する。このアンテナの特性を試験法2により測定した。結果を表2に示す。また、該アンテナ特性の変化を試験法3により測定した。結果を表2に併記する。
Figure 2006164911
Figure 2006164911
実施例1〜実施例6のすべてのアンテナについて、エージング前、エージング後ともにアンテナ特性の判定が○であり、アンテナとして十分使用可能である。
比較例1〜比較例3
EPDMに、チタン酸バリウム・ネオジウム系セラミック粉末(共立マテリアル社製:HF−120 比誘電率:120 )、加硫促進剤および加工助剤などの微量添加物をそれぞれ表3に示す配合割合で混合し、加熱圧縮成形にて、80mm×80mm×2mm の成形体を得た。なお、加硫条件はそれぞれ170℃×30分であり、加硫促進剤および加工助剤等の内容は実施例1と同じである。
得られた成形体(アンテナ部材)の比誘電率および誘電正接を上記試験法1にて測定した。結果を表3に示す。
また、該成形体の両面にめっき処理を施していない銅箔をエポキシ系接着フィルム(40μm)で加熱・加圧接着し、60mm×60mm×2mmのシートを成形した。このアンテナ部材を用いて2450MHz用のパッチアンテナを製作した。給電位置および放射面のアンテナ電極形状はそれぞれ材料の比誘電率に合わせて選定し、エッチングにより、不要な部分を除去した。エッチングは、電極パターンのレジストを印刷し、塩化第二鉄溶液を用いて行なった。
各アンテナの電極の種類、めっき厚さ、銅箔厚さを表3に併記する。このアンテナの特性を試験法2により測定した。結果を表4に示す。また、該アンテナ特性の変化を試験法3により測定した。結果を表4に併記する。
Figure 2006164911
Figure 2006164911
比較例1〜比較例3のエージング前のアンテナは、全て判定が○であるが、エージング後には(VSWR>2)かつ(利得<2dBi)となり、アンテナ特性が著しく劣化しており、好ましくない。
本発明の誘電体アンテナは、誘電性セラミック粉末を混合したエラストマー成形体にめっき処理を施した銅箔を接着してアンテナ電極を形成することで、広い温度範囲にわたって、高い比誘電率を示し、かつ低誘電正接を有し、さらに耐エージング性にも優れるので、高周波通信機のアンテナとして好適に利用できる。
誘電体アンテナ(パッチアンテナ)の斜視図である。
符号の説明
1 誘電体アンテナ
2 誘電体基板
3 電極
4 接地導体
5 給電ピン

Claims (6)

  1. エラストマーに高誘電性セラミックス粉末を配合してなる高誘電性エラストマー組成物の成形体と、該成形体に設けられる電極とを備えてなる誘電体アンテナであって、
    前記高誘電性セラミックス粉末は、周波数 1 GHzおよび温度 25℃において、比誘電率が 7 以上、誘電正接が 0.01 以下であり、
    前記電極は、めっき処理を施した銅箔で形成されることを特徴とする誘電体アンテナ。
  2. 前記めっき処理が、ニッケルめっきであることを特徴とする請求項1記載の誘電体アンテナ。
  3. 前記めっき処理が、銀めっきであることを特徴とする請求項1記載の誘電体アンテナ。
  4. 前記エラストマーが構成単位として非極性オレフィン単位を含むことを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の誘電体アンテナ。
  5. 前記エラストマーがエチレンプロピレンゴムであることを特徴とする請求項4記載の誘電体アンテナ。
  6. 前記誘電体アンテナは、100 MHz 以上の周波数帯で使用されることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項記載の誘電体アンテナ。
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