JP2006156126A - 非水系二次電池用正極活物質およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】リチウムニッケル複合酸化物に適切な被覆をすることで、熱安定性が大幅に改善され、かつ、二次電池として用いた際の容量の低下もない非水系二次電池用正極活物質を提供する。
【解決手段】ニッケル化合物にMn、Co、Crのうちのいずれかの金属塩を、面積比率Cが、Mnの金属塩のときはC=60〜80%、Coの金属塩のときはC=50〜60%、Crの金属塩のときはC=30〜40%となるように添加して混合したのち、温度400〜1300℃で焙焼してニッケル酸化物を得る。得られたニッケル酸化物にリチウム化合物を混合したのち、600〜800℃で焼成する。
【選択図】 なし
【解決手段】ニッケル化合物にMn、Co、Crのうちのいずれかの金属塩を、面積比率Cが、Mnの金属塩のときはC=60〜80%、Coの金属塩のときはC=50〜60%、Crの金属塩のときはC=30〜40%となるように添加して混合したのち、温度400〜1300℃で焙焼してニッケル酸化物を得る。得られたニッケル酸化物にリチウム化合物を混合したのち、600〜800℃で焼成する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、非水系二次電池用正極活物質およびその製造方法に関し、特にリチウムニッケル複合酸化物を活用した正極活物質およびその製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池用に用いられる正極活物質としては、コバルトが主体のLiCoO2がその代表的材料であるが、コバルトは埋蔵量が少ないため高価であり、かつ供給も不安定である。
このため、ニッケルやマンガンを主体とした正極活物質への移行が進んでいる。このうち、マンガンを主体とした材料については、安全性では優れるものの、容量が他の材料に比べ非常に小さく、寿命を示すサイクル特性も非常に短いことから大型電池へ利用することは難しい。そのため、ニッケルを主体とした正極活物質の検討が進んでいる。
ニッケルを主体とした正極活物質であるリチウムニッケル複合酸化物を、二次電池の正極活物質として用いた場合、リチウムイオンがニッケル酸リチウムの結晶構造中から脱離すること及びニッケル酸リチウムの結晶構造中へ挿入されることによって、充放電が行われる。
一般に、Ni原子が他の金属元素などで置換されていない純粋なニッケル酸リチウムは、充放電サイクルに伴う体積変化による結晶構造の相転移が急激なため、粒子に亀裂が発生したり、粒界に大きな隙間を生じたりすることがある。
また、純粋なニッケル酸リチウムは、電池の熱安定性においても問題がある。特に過充電をしたとき、210℃付近において瞬間的に非常に激しい発熱を起こす。ニッケル酸リチウムの結晶構造中からリチウムイオンが脱離する時に結晶構造は不安定となるが、この際にさらに熱エネルギーが加えられると結晶構造が崩壊し、酸素が放出され、電解液の酸化・分解が急激に進むことが原因と考えられている。
これらの問題点は結晶構造の不安定さに起因したものとされており、相転移防止に効くコバルト、または結晶構造の安定化に効くアルミニウムをニッケルの一部と置換する形で固溶させることにより安全でサイクル劣化の少ない二次電池に大きく近づいたとされている(例えば、非特許文献1参照。)。
しかし、ニッケルの一部をコバルトまたはアルミニウムで置換したリチウムニッケル複合酸化物は、ニッケルが置換されていない純粋なニッケル酸リチウムに比べ、過充電や充電状態での保存の際の熱安定性は向上するものの、円筒や角型などの市販型の高充填二次電池を組んだ際、総発熱量や瞬間発熱量が高いことからコバルト酸リチウムやマンガン酸リチウムを用いた二次電池に比べ、大きな保護回路を組み込まなければならならず、コストがかかるという問題がある。
この問題点の解決策として、次のような方法が提案されている。一つは特許文献1〜3に記載されているようにニッケル酸リチウムとマンガン酸リチウムをある比率で混合する方法であり、もう一つは特許文献4〜6に記載されているようにニッケル酸リチウムの表面を安全性の高いオリビン酸系リチウム化合物、マンガン酸リチウム、マンガンを多く固溶したニッケル酸リチウムなどで被覆する方法である。これらの方法により、さらに熱安定性を向上させることが可能であるが、特許文献1〜3に記載の方法ではマンガン酸リチウムを多量に利用するため容量が低下してしまう。
したがって、特許文献4〜6に記載の方法のように表面を安全性の高い化合物で被覆することが望ましい。しかし、特許文献4〜6に記載の方法では、接合力が弱く、このため、充放電に伴って生じる体積変化(数%にも及ぶ)により、剥離してしまい、熱安定性が維持できないおそれがある。また、被覆物が抵抗となり、若干の容量低下が起こる問題もある。
第43回電池討論会 公演要旨集(福岡) 1A04(2002)
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、リチウムニッケル複合酸化物に適切な被覆をすることで、熱安定性が大幅に改善され、かつ、二次電池として用いた際の容量の低下もない非水系二次電池用正極活物質を提供することを目的とする。
本発明に係る非水系二次電池用正極活物質は、リチウムとニッケルとを主成分とするリチウムニッケル複合酸化物の表層部にマンガン、コバルト、クロムのうちのいずれかである金属Meが存在している非水系二次電池用正極活物質であって、前記リチウムニッケル複合酸化物1gあたりの表面積をA(m2)とし、前記リチウムニッケル複合酸化物1gあたりに存在する前記金属Meについて下記数式1で表される面積をB(m2)とし、面積比率C(%)を(B/A)×100としたとき、前記金属Meがマンガンのとき面積比率Cが60〜80%であり、コバルトのとき面積比率Cが50〜60%であり、クロムのとき面積比率Cが30〜40%である。
前記非水系二次電池用正極活物質を用いてリチウムイオン二次電池を構成したとき、該リチウムイオン二次電池の初期放電容量が190mAh/g以上であり、かつ、該リチウムイオン二次電池の発熱ピークの大きさ、初期総発熱量、および20サイクル目総発熱量は、表層部に前記金属Meが存在しないリチウムとニッケルとを主成分とするリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質に用いて構成したリチウムイオン二次電池の場合を100%とすると、70%以下であることが好ましい。
本発明に係る非水系二次電池用正極活物質の製造方法は、リチウムとニッケルとを主成分とするリチウムニッケル複合酸化物の表層部にマンガン、コバルト、クロムのうちのいずれかである金属Meが存在している非水系二次電池用正極活物質の製造方法であって、ニッケル化合物にマンガン、コバルト、クロムのうちのいずれかの金属塩を、前記面積比率Cが、マンガンの金属塩のときはC=60〜80%、コバルトの金属塩のときはC=50〜60%、クロムの金属塩のときはC=30〜40%となるように添加して混合したのち、温度400〜1300℃で焙焼してニッケル酸化物を得る工程と、得られたニッケル酸化物にリチウム化合物を混合したのち、600〜800℃で焼成する工程とを有することを特徴とする。
前記金属塩は、水溶液にしてニッケル化合物に添加することが好ましい。
また、前記金属Meの塩は、塩化物であることが好ましい。
前記ニッケル化合物としては、水酸化物、オキシ水酸化物および炭酸塩のうちの少なくとも1つからなるものを用いることができ、前記リチウム化合物としては、水酸化物、酸化物、炭酸塩、硝酸塩のうちの少なくとも1つからなるものを用いることができる。
本発明に係る非水系二次電池用正極活物質は、少ない被覆量の金属により適切に被覆されているので、二次電池を構成する電解液と接触した際の表面活性が大幅に抑制されており、かつ、被覆による容量の低下も生じない。このため、本発明に係るリチウムニッケル複合酸化物を非水系二次電池用正極活物質に用いてリチウムイオン二次電池を構成すると、過充電や高温保存時の発熱が抑制され、熱安定性の向上した高容量の二次電池を実現することができる。
本発明者は、特許文献4〜6に記載の方法では、被覆物の接合力が弱くなる原因は、接合が物理的接合(合成の終了したリチウム化合物の粉体同士(ニッケル酸リチウムとリチウムマンガン系オリビン化合物)を混合し機械的に表面に被覆処理する方法による接合、混合物を再度熱処理して2種の化合物を焼結させる方法による接合)であるためであろうと考えた。また、被覆をすることにより容量の低下が起こる理由は、被覆物におけるリチウムイオンの移動度は、ニッケル酸リチウムにおける移動度よりも小さいため、被覆物が抵抗として働くためであろうと考えた。
これらのことから、本発明者は、リチウムニッケル複合酸化物において、高容量を維持しつつ熱安定性を向上させるには、充放電による体積変化があっても被覆物が剥離しない接合とするとともに、少ない被覆量で熱安定性を向上させる必要があると着想した。
本発明者は、この着想の具体化にあたり、リチウムニッケル複合酸化物の活性サイトとなる箇所のみに、添加元素であるMn、CoまたはCrを拡散させ、添加元素であるMn、CoまたはCrを豊富に含むリチウムニッケル複合酸化物を形成させれば、被覆物とリチウムニッケル複合酸化物との間の結合は化学的な結合となり、かつ、必要最小限の被覆量で済むと考えた。そして、具体的には、水酸化ニッケルに所定量の塩化マンガン水溶液、塩化コバルト水溶液または塩化クロム水溶液を噴霧して混合してから大気中で1000℃にて焙焼し、その後、水酸化リチウムと混合して焼成した。その結果、特許文献3、4に記載の方法よりも熱安定性が向上し、かつ、容量の低下の起きない正極活物質が得られることを見出した。
また、本発明者は、本発明に係る非水系二次電池用正極活物質を安定的に得るための製造技術の確立にも試験研究を重ねた。その結果、リチウム以外の金属元素を含むニッケル化合物に所定の金属塩を所定量添加し、焙焼して酸化物とした後、リチウム化合物と混合・焼成することで所望のリチウムニッケル複合酸化物を安定的に得ることができることを見出し、本発明に係る非水系二次電池用正極活物質の製造方法に至った。
以下、本発明に係る二次電池用正極活物質およびその製造方法の各構成要件における数値限定理由等について説明する。
「リチウムニッケル複合酸化物の比表面積Aと添加金属元素の総断面積Bとの比である面積比率CがMnのとき6〜80%、Coのとき5〜60%、Crのとき3〜40%範囲である」
添加する金属元素であるMn、Co、Crは、ニッケルリチウム複合酸化物のニッケルサイトを置換することで、熱安定性を向上させる効果がある。したがって、ニッケルリチウム複合酸化物の活性サイトとなる部位において該添加金属元素を反応させ、該添加金属元素が豊富に含まれるリチウムニッケル複合酸化物を形成させ、これにより発熱の原因となる活性サイトを被覆すれば、熱安定性を向上させることができる。
添加する金属元素であるMn、Co、Crは、ニッケルリチウム複合酸化物のニッケルサイトを置換することで、熱安定性を向上させる効果がある。したがって、ニッケルリチウム複合酸化物の活性サイトとなる部位において該添加金属元素を反応させ、該添加金属元素が豊富に含まれるリチウムニッケル複合酸化物を形成させ、これにより発熱の原因となる活性サイトを被覆すれば、熱安定性を向上させることができる。
また、面積比率CをMn:6〜80%、Co:5〜60%、Cr:3〜40%とした理由は、次の通りである。各下限値より低くなると、該添加金属元素が豊富に含まれるリチウムニッケル複合酸化物が活性サイトを十分に覆うには量的に不足してしまうため、熱安定性の向上が見込めない。また、各上限値を超えると、該添加金属元素が余剰に存在することなり、この金属元素がリチウムおよびその他金属元素と複合酸化物を形成してしまい、逆に自ら活性サイトとなる。さらに、この面積比率が200%を超えてくると、添加金属元素の過剰量が多くなるため、粒子表面は添加金属元素を主とするリチウム複合酸化物で覆われることとなり容量が低下してしまう。
ここで、面積比率Cは、リチウムニッケル複合酸化物1gあたりの表面積をA(m2)とし、前記リチウムニッケル複合酸化物1gあたりに存在するMn、Co、Crについて前記式1で表される面積をB(m2)としたとき、(B/A)×100(%)で表される。
本構成要件を満たす非水系二次電池用正極活物質を用いることで、高容量で、かつ、熱安定性の高い二次電池を得ることが可能となる。
「リチウムニッケル複合酸化物の合成方法」
リチウムニッケル複合酸化物の合成方法としては、種々の方法が考えられる。例えば、リチウム以外の金属元素を含有するニッケル化合物を晶析などにより得て、これにリチウム化合物を混合して焼成する方法や、必要とされる金属元素を含有する溶液を全て混合した液を噴霧熱分解処理する方法や、ボールミルなどを用いた機械粉砕により必要とされる金属元素の化合物を全て粉砕して混合した後、焼成して製造する方法などが考えられる。
リチウムニッケル複合酸化物の合成方法としては、種々の方法が考えられる。例えば、リチウム以外の金属元素を含有するニッケル化合物を晶析などにより得て、これにリチウム化合物を混合して焼成する方法や、必要とされる金属元素を含有する溶液を全て混合した液を噴霧熱分解処理する方法や、ボールミルなどを用いた機械粉砕により必要とされる金属元素の化合物を全て粉砕して混合した後、焼成して製造する方法などが考えられる。
しかし、湿式方式である噴霧熱分解処理法であると、添加金属元素であるMn、Co、Crを表面に豊富に存在させることは非常に難しく、均一に固溶してしまうため、前記した効果は期待できない。したがって、合成方法としては乾式が好ましい。
また、Li以外の金属元素(たとえば、Co、Alなど)を含有するニッケル化合物は晶析などにより製造できるが、このとき表面に豊富に存在させることが必要なMn、Co、Crを必要な量だけ含ませて晶析することは好ましくない。熱安定性を効果的に向上させるには、前述のように、リチウムニッケル複合酸化物粒子の表面にMn、Co、Crの元素を豊富に存在させる必要があるためである。
したがって、晶析などによってニッケル化合物を得た後、さらにMn、Co、Crといった金属塩を混合して反応させることが重要である。この場合、単に金属塩の粉末を混合し、その後の熱処理で自己融解させて拡散させる方法よりも、一度金属塩を純水等に溶解させた水溶液にしてニッケル化合物と混合させる方法の方が、内部の一次粒子の表面まで金属塩を均一に行き渡らせることが可能になるため、被覆物を均一に分布させるには望ましい。
Mn、CoまたはCr水溶液をニッケル化合物に噴霧・混合した後の焙焼処理温度としては、400〜1300℃であること好ましい。400℃より低いと、晶析等で製造したニッケル化合物が完全には分解されずニッケル複合酸化物への移行が不十分となり、ニッケル等の含有量の安定せず、均一性が悪くなり、合成後の組成比が安定しなくなる。また、1300℃を超えると急激な粒成長が起こり、反応時にリチウム化合物が粒子内拡散することが追いつかず、比重分離して偏析を起こす。さらに、焙焼処理温度としては、700〜1100℃の範囲がより好ましい。晶析などで製造したニッケル化合物及び添加金属塩中に存在する陰イオンは結晶格子中にまで入り込みやすく、わずかな量であっても非常に昇華しにくく、リチウム化合物との反応により不純物のリチウム塩となって粒子に残留し抵抗成分になるところ、これを確実になくすためには、焙焼処理温度は700〜1100℃の範囲がより望ましいからである。
このようにして得られたニッケル複合酸化物に対して、リチウム化合物を加えて反応させることで、目的とするリチウムニッケル複合酸化物を得ることができる。具体的には、該ニッケル複合酸化物とリチウム化合物とを乾式混合後に焼成する。
かかる方法において、リチウム化合物との混合は、Vブレンダー等の乾式混合機あるいは混合造粒装置、ボールミル装置等により所望の組成になるように行う。その後酸素雰囲気あるいは除湿、除炭酸処理をした乾燥空気雰囲気において電気炉、キルン、管状炉、プッシャー炉等の中で焼成を行う。
この際、焼成温度については、600〜800℃の範囲がよいが、より好ましくは700〜780℃の範囲が望ましい。これは、600℃未満でも500℃を超えるような温度で熱処理すればニッケル酸リチウムは生成されるが、結晶が未発達で構造的に不安定であり充放電による相転移などにより容易に構造が破壊されてしまうからである。また、800℃を超えると層状構造が崩れ、リチウムイオン二次電池に重要なリチウムイオンの挿入脱離ができないニッケル酸リチウムとなったり、ニッケル複合酸化物が分解されて酸化ニッケルなどが生成されてしまうためである。
以上の工程に用いる化合物としては、以下のようなものを用いることができる。
ニッケル化合物またはLiを除く必要な金属元素を含有するニッケル化合物としては、水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩から選ばれるものを用いることができる。
添加金属塩としては塩化物(塩化マンガン、塩化コバルト、塩化クロム)を用いることが好ましいが、本発明の効果が得られるのであれば塩化物以外でもよい。ただし、理由は不明であるが、硫酸塩では十分な効果が得られない。
リチウム化合物としては、水酸化物、オキシ水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、ジカルボン酸塩、脂肪酸塩、クエン酸塩、アルキル化合物、ハロゲン化合物から選ばれる少なくとも一種のものを用いることができる。
(実施例1)
硫酸ニッケル六水和物(和光純薬製)および硫酸コバルト七水和物(和光純薬製)、硫酸アルミニウム(和光純薬製)を、Ni、Co、Alのモル比がNi:Co:Al=0.82:0.15:0.03となるようにそれぞれを計量し、混合した。得られた混合物を純水中に投入し、純水1L中のNiイオン、Coイオン、Alイオンの合計質量が100gとなるように水溶液を調製した。
硫酸ニッケル六水和物(和光純薬製)および硫酸コバルト七水和物(和光純薬製)、硫酸アルミニウム(和光純薬製)を、Ni、Co、Alのモル比がNi:Co:Al=0.82:0.15:0.03となるようにそれぞれを計量し、混合した。得られた混合物を純水中に投入し、純水1L中のNiイオン、Coイオン、Alイオンの合計質量が100gとなるように水溶液を調製した。
この水溶液と25%アンモニア水(和光純薬製)を同時に、50℃に保温された水をはった吐出口付攪拌反応槽中に滴下した。pHは、25w/v%苛性ソーダ水溶液(和光純薬製)を滴下することにより11.5に保持し、滞留時間は11時間となるように制御した。このようにして、反応晶析法により一次粒子の凝集した平均粒子径10μm程度の球状Co・Al含有水酸化ニッケルを製造した。
得られたCo・Al含有水酸化ニッケルの比表面積は0.48m2/gであった。得られたCo・Al含有水酸化ニッケルの比表面積0.48m2/gに対するマンガンの面積比率Cが、C=31%となるように、塩化マンガン四水和物(和光純薬製)を秤量した。すなわち、Co・Al含有水酸化ニッケル100gに対し、Mn0.07gに相当する量の塩化マンガン四水和物を秤量した。そして、秤量した塩化マンガン四水和物の粉体を10ccの純水に全量溶解し、塩化マンガン水溶液とした。
次に、噴霧用ノズルを装着した不二パウダル製混合機『スパルタンリューザー』を用いて、Co・Al含有水酸化ニッケルに塩化マンガン水溶液を全量ゆっくりと噴霧しながら混合を行った。この混合粉末を大気中で1000℃にて焙焼して酸化物とした後、水酸化リチウム一水和物(和光純薬製)をVブレンダーにて混合した。得られた混合物を電気炉にて酸素雰囲気中で、時間:3時間、温度:500℃の条件で仮焼をした後、時間:20時間、温度:730℃の条件で焼成し、その後室温まで炉冷した。炉冷後、解砕処理することで球状あるいは楕円球状の二次粒子からなるリチウムニッケル複合酸化物を製造した。
上記工程において用いた原料の各質量は、目的物であるリチウムニッケル複合酸化物中の各元素のモル比がNi:Co:Al:Li=0.82:0.15:0.03:1.05となるように秤量しており、ICP発光分光分析装置で測定したところ、最終的な化学組成はNi:Co:Al:Li=0.821:0.146:0.033:1.049となった。また、Mnの含有量は180ppmであった。
得られたリチウムニッケル複合酸化物を用いて以下のようにして電池を作製し、充放電容量を測定した。
まず、活物質粉末であるリチウムニッケル複合酸化物90wt%にアセチレンブラック5wt%およびPVDF(ポリ沸化ビニリデン)5wt%を混合し、NMP(n−メチルピロリドン)を加えペースト化した。これを20μm厚のアルミニウム箔に塗布した。塗布量は、乾燥後の活物質の質量が0.05g/cm2になるようにした。アルミニウム箔に塗布後、120℃で真空乾燥を行い、直径1cmの円板状に打ち抜いて正極とした。負極にはリチウム金属を用い、電解液には濃度1MのLiClO4を支持塩とするエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の等量混合溶液を用いた。そして、ポリエチレンからなるセパレータにこの電解液を染み込ませ、露点が−80℃に管理されたAr雰囲気のグローブボックス中で、図1に示すような2032型のコイン電池を作製した。
図1に示すように、作製した2032型のコイン電池は、評価用電極である正極1とリチウム金属からなる負極3との間に前記電解液が含浸されたセパレータ2が配置されており、その全体を負極側からは負極缶6が覆い、正極側からは正極缶5が覆っている。正極缶5と負極缶6との間にはガスケット4が配置され、正極缶5と負極缶6が短絡するのを防ぐとともに、2032型のコイン電池7の内部を外界から遮蔽している。
作製した電池は24時間程度放置し、OCVが安定した後、初期放電容量の測定を行った。
初期放電容量については、正極に対する電流密度を0.5mAとし、カットオフ電圧を4.3−3.0Vとして充放電試験を行い評価した。表1にその結果を示す。
熱安定性の評価としては、充電した正極合材の発熱挙動をDSC(示差走査熱量計)を用いて調べた。具体的には、発熱ピークの大きさ、1回目の充電を行った後の正極合材が発する熱の総量である初期総発熱量、充放電20サイクル目の正極合材が発する熱の総量である20サイクル目総発熱量を測定した。その測定結果を表2に示す。測定方法の詳細は、以下の通りである。
まず、前述と同様にして作製した図1に示す2032型コイン電池を24時間程度放置してOCVを安定させた。その後、正極に対する電流密度を0.5mA/cm2として、電圧4.3Vまで充電し、電圧規定で電流値が0.01mA以下になったら充電終了とする定電流定電圧(CCCV)方式による充電を行った。
その後、充電したコイン電池を解体して内部の正極合材を取り出し、付着した電解液が0.05mg以下になるまで、できる限り付着した電解液を除去した。そして、この正極合材3mgとコイン電池に用いた電解液1.3mgをDSC測定用のAlパンに入れ、Alパンをかしめて密閉した。密閉後、ガス抜きのため、Alパンの表面に小さい穴をあけて測定用試料を完成させた。また、アルミナ粉を3mg採取しAlパンに入れてかしめたものを、前述と同様にして測定用試料として完成させ、参照用試料とした。
そして、作製した試料について、DSCを用いて、室温〜305℃までの範囲を昇温速度10℃/minで走査してその発熱挙動を測定し、発熱ピークの大きさ、初期総発熱量を測定した。なお、このとき使用したDSC装置は、株式会社リガク製『DSC−10A』である。
また、20サイクル後の総発熱量については、19サイクル目までは正極に対する電流密度を0.5mA/cm2として、カットオフ電圧4.3−3.0Vで充放電を行い、20サイクル目に4.3Vまで充電後、電圧規定で電流値が0.01mA以下になったら充電完了とするCCCVを行った後、このコイン電池を前述と同様にして解体した後、DSCにより評価を行った。
(実施例2)
実施例1において作製した比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対するマンガンの面積比率Cが、C=65%となるように、塩化マンガン四水和物(和光純薬製)を秤量した。すなわち、Co・Al含有水酸化ニッケル100gに対し、Mn0.14gに相当する量の塩化マンガン四水和物を秤量した。
実施例1において作製した比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対するマンガンの面積比率Cが、C=65%となるように、塩化マンガン四水和物(和光純薬製)を秤量した。すなわち、Co・Al含有水酸化ニッケル100gに対し、Mn0.14gに相当する量の塩化マンガン四水和物を秤量した。
以降の工程は実施例1と同様の工程とし、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。実施例2において用いた原料の各質量は、目的物であるリチウムニッケル複合酸化物中の各元素のモル比がNi:Co:Al:Li=0.82:0.15:0.03:1.05となるように秤量しており、ICP発光分光分析装置で測定したところ、最終的な化学組成はNi:Co:Al:Li=0.819:0.148:0.033:1.045となった。また、Mnの含有量は350ppmであった。
作製した電池の初期放電容量の測定についても、実施例1と同様の方法で行った。表1にその測定結果を示す。
また、熱安定性の評価も、実施例1と同様に、充電した正極合材についてDSC(示差走査熱量計)を用いて発熱挙動を調べることで行った。発熱ピークの大きさ、初期総発熱量、20サイクル目総発熱量の測定結果を表2に示す。
(実施例3)
実施例1において作製した比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対するマンガンの面積比率Cが、C=7%となるように、塩化マンガン四水和物(和光純薬製)を秤量した。すなわち、Co・Al含有水酸化ニッケル100gに対し、Mn0.014gに相当する量の塩化マンガン四水和物を秤量した。
実施例1において作製した比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対するマンガンの面積比率Cが、C=7%となるように、塩化マンガン四水和物(和光純薬製)を秤量した。すなわち、Co・Al含有水酸化ニッケル100gに対し、Mn0.014gに相当する量の塩化マンガン四水和物を秤量した。
以降の工程は実施例1と同様の工程とし、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。実施例3において用いた原料の各質量は、目的物であるリチウムニッケル複合酸化物中の各元素のモル比がNi:Co:Al:Li=0.82:0.15:0.03:1.05となるように秤量しており、ICP発光分光分析装置で測定したところ、最終的な化学組成はNi:Co:Al:Li=0.820:0.148:0.032:1.052となった。また、Mnの含有量は34ppmであった。
作製した電池の初期放電容量の測定についても、実施例1と同様の方法で行った。表1にその測定結果を示す。
また、熱安定性の評価も、実施例1と同様に、充電した正極合材についてDSC(示差走査熱量計)を用いて発熱挙動を調べることで行った。発熱ピークの大きさ、初期総発熱量、20サイクル目総発熱量の測定結果を表2に示す。
(実施例4)
実施例1において作製した比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対するコバルトの面積比率Cが、C=25%となるように、塩化コバルト六水和物(和光純薬製)を秤量した。すなわち、Co・Al含有水酸化ニッケル100gに対し、Co0.075gに相当する量の塩化コバルト六水和物を秤量した。
実施例1において作製した比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対するコバルトの面積比率Cが、C=25%となるように、塩化コバルト六水和物(和光純薬製)を秤量した。すなわち、Co・Al含有水酸化ニッケル100gに対し、Co0.075gに相当する量の塩化コバルト六水和物を秤量した。
以降の工程は実施例1と同様の工程とし、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。実施例4において用いた原料の各質量は、目的物であるリチウムニッケル複合酸化物中の各元素のモル比がNi:Co:Al:Li=0.82:0.15:0.03:1.05となるように秤量しており、ICP発光分光分析装置で測定したところ、最終的な化学組成はNi:Co:Al:Li=0.819:0.149:0.032:1.050となった。また、リチウムニッケル複合酸化物の表面に存在する添加したCoの含有量は180ppmであった。
作製した電池の初期放電容量の測定についても、実施例1と同様の方法で行った。表1にその測定結果を示す。
また、熱安定性の評価も、実施例1と同様に、充電した正極合材についてDSC(示差走査熱量計)を用いて発熱挙動を調べることで行った。発熱ピークの大きさ、初期総発熱量、20サイクル目総発熱量の測定結果を表2に示す。
(実施例5)
実施例1において作製した比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対するコバルトの面積比率Cが、C=55%となるように、塩化コバルト六水和物(和光純薬製)を秤量した。すなわち、Co・Al含有水酸化ニッケル100gに対し、Co0.18gに相当する量の塩化コバルト六水和物を秤量した。
実施例1において作製した比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対するコバルトの面積比率Cが、C=55%となるように、塩化コバルト六水和物(和光純薬製)を秤量した。すなわち、Co・Al含有水酸化ニッケル100gに対し、Co0.18gに相当する量の塩化コバルト六水和物を秤量した。
以降の工程は実施例1と同様の工程とし、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。実施例5において用いた原料の各質量は、目的物であるリチウムニッケル複合酸化物中の各元素のモル比がNi:Co:Al:Li=0.82:0.15:0.03:1.05となるように秤量しており、ICP発光分光分析装置で測定したところ、最終的な化学組成はNi:Co:Al:Li=0.819:0.149:0.032:1.051となった。また、リチウムニッケル複合酸化物の表面に存在する添加したCoの含有量は440ppmであった。
作製した電池の初期放電容量の測定についても、実施例1と同様の方法で行った。表1にその測定結果を示す。
また、熱安定性の評価も、実施例1と同様に、充電した正極合材についてDSC(示差走査熱量計)を用いて発熱挙動を調べることで行った。発熱ピークの大きさ、初期総発熱量、20サイクル目総発熱量の測定結果を表2に示す。
(実施例6)
実施例1において作製した比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対するコバルトの面積比率Cが、C=6%となるように、塩化コバルト六水和物(和光純薬製)を秤量した。すなわち、Co・Al含有水酸化ニッケル100gに対し、Co0.02gに相当する量の塩化コバルト六水和物を秤量した。
実施例1において作製した比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対するコバルトの面積比率Cが、C=6%となるように、塩化コバルト六水和物(和光純薬製)を秤量した。すなわち、Co・Al含有水酸化ニッケル100gに対し、Co0.02gに相当する量の塩化コバルト六水和物を秤量した。
以降の工程は実施例1と同様の工程とし、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。実施例6において用いた原料の各質量は、目的物であるリチウムニッケル複合酸化物中の各元素のモル比がNi:Co:Al:Li=0.82:0.15:0.03:1.05となるように秤量しており、ICP発光分光分析装置で測定したところ、最終的な化学組成はNi:Co:Al:Li=0.820:0.148:0.032:1.049となった。また、リチウムニッケル複合酸化物の表面に存在する添加したCoの含有量は48ppmであった。
作製した電池の初期放電容量の測定についても、実施例1と同様の方法で行った。表1にその測定結果を示す。
また、熱安定性の評価も、実施例1と同様に、充電した正極合材についてDSC(示差走査熱量計)を用いて発熱挙動を調べることで行った。発熱ピークの大きさ、初期総発熱量、20サイクル目総発熱量の測定結果を表2に示す。
(実施例7)
実施例1において作製した比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対するクロムの面積比率Cが、C=16%となるように、塩化クロム六水和物(和光純薬製)を秤量した。すなわち、Co・Al含有水酸化ニッケル100gに対し、Cr0.056gに相当する量の塩化クロム六水和物を秤量した。
実施例1において作製した比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対するクロムの面積比率Cが、C=16%となるように、塩化クロム六水和物(和光純薬製)を秤量した。すなわち、Co・Al含有水酸化ニッケル100gに対し、Cr0.056gに相当する量の塩化クロム六水和物を秤量した。
以降の工程は実施例1と同様の工程とし、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。実施例7において用いた原料の各質量は、目的物であるリチウムニッケル複合酸化物中の各元素のモル比がNi:Co:Al:Li=0.82:0.15:0.03:1.05となるように秤量しており、ICP発光分光分析装置で測定したところ、最終的な化学組成はNi:Co:Al:Li=0.821:0.149:0.030:1.051となった。また、Crの含有量は110ppmであった。
作製した電池の初期放電容量の測定についても、実施例1と同様の方法で行った。表1にその測定結果を示す。
また、熱安定性の評価も、実施例1と同様に、充電した正極合材についてDSC(示差走査熱量計)を用いて発熱挙動を調べることで行った。発熱ピークの大きさ、初期総発熱量、20サイクル目総発熱量の測定結果を表2に示す。
(実施例8)
実施例1において作製した比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対するクロムの面積比率Cが、C=35%となるように、塩化クロム六水和物(和光純薬製)を秤量した。すなわち、Co・Al含有水酸化ニッケル100gに対し、Cr0.12gに相当する量の塩化クロム六水和物を秤量した。
実施例1において作製した比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対するクロムの面積比率Cが、C=35%となるように、塩化クロム六水和物(和光純薬製)を秤量した。すなわち、Co・Al含有水酸化ニッケル100gに対し、Cr0.12gに相当する量の塩化クロム六水和物を秤量した。
以降の工程は実施例1と同様の工程とし、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。実施例8において用いた原料の各質量は、目的物であるリチウムニッケル複合酸化物中の各元素のモル比がNi:Co:Al:Li=0.82:0.15:0.03:1.05となるように秤量しており、ICP発光分光分析装置で測定したところ、最終的な化学組成はNi:Co:Al:Li=0.820:0.150:0.030:1.046となった。また、Crの含有量は230ppmであった。
作製した電池の初期放電容量の測定についても、実施例1と同様の方法で行った。表1にその測定結果を示す。
また、熱安定性の評価も、実施例1と同様に、充電した正極合材についてDSC(示差走査熱量計)を用いて発熱挙動を調べることで行った。発熱ピークの大きさ、初期総発熱量、20サイクル目総発熱量の測定結果を表2に示す。
(実施例9)
実施例1において作製した比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対するクロムの面積比率Cが、C=4%となるように、塩化クロム六水和物(和光純薬製)を秤量した。すなわち、Co・Al含有水酸化ニッケル100gに対し、Cr0.014gに相当する量の塩化クロム六水和物を秤量した。
実施例1において作製した比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対するクロムの面積比率Cが、C=4%となるように、塩化クロム六水和物(和光純薬製)を秤量した。すなわち、Co・Al含有水酸化ニッケル100gに対し、Cr0.014gに相当する量の塩化クロム六水和物を秤量した。
以降の工程は実施例1と同様の工程とし、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。実施例9において用いた原料の各質量は、目的物であるリチウムニッケル複合酸化物中の各元素のモル比がNi:Co:Al:Li=0.82:0.15:0.03:1.05となるように秤量しており、ICP発光分光分析装置で測定したところ、最終的な化学組成はNi:Co:Al:Li=0.821:0.149:0.030:1.052となった。また、Crの含有量は25ppmであった。
作製した電池の初期放電容量の測定についても、実施例1と同様の方法で行った。表1にその測定結果を示す。
また、熱安定性の評価も、実施例1と同様に、充電した正極合材についてDSC(示差走査熱量計)を用いて発熱挙動を調べることで行った。発熱ピークの大きさ、初期総発熱量、20サイクル目総発熱量の測定結果を表2に示す。
(比較例1)
実施例1〜9では、実施例1において作製した比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対して、所定量の塩化マンガン水溶液、塩化コバルト水溶液、塩化クロム水溶液を添加しているが、比較例1では全く添加しなかった。それ以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。比較例1において用いた原料の各質量は、目的物であるリチウムニッケル複合酸化物中の各元素のモル比がNi:Co:Al:Li=0.82:0.15:0.03:1.05となるように秤量しており、ICP発光分光分析装置で測定したところ、最終的な化学組成はNi:Co:Al:Li=0.817:0.151:0.032:1.048となった。
実施例1〜9では、実施例1において作製した比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対して、所定量の塩化マンガン水溶液、塩化コバルト水溶液、塩化クロム水溶液を添加しているが、比較例1では全く添加しなかった。それ以外は実施例1と同様に行い、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。比較例1において用いた原料の各質量は、目的物であるリチウムニッケル複合酸化物中の各元素のモル比がNi:Co:Al:Li=0.82:0.15:0.03:1.05となるように秤量しており、ICP発光分光分析装置で測定したところ、最終的な化学組成はNi:Co:Al:Li=0.817:0.151:0.032:1.048となった。
作製した電池の初期放電容量の測定についても、実施例1と同様の方法で行った。表1にその測定結果を示す。
また、熱安定性の評価も、実施例1と同様に、充電した正極合材についてDSC(示差走査熱量計)を用いて発熱挙動を調べることで行った。発熱ピークの大きさ、初期総発熱量、20サイクル目総発熱量の測定結果を表2に示す。
(比較例2)
実施例1において作製した比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対するマンガンの面積比率Cが、C=3%となるように、塩化マンガン四水和物(和光純薬製)を秤量した。すなわち、Co・Al含有水酸化ニッケル100gに対し、Mn0.006gに相当する量の塩化マンガン四水和物を秤量した。
実施例1において作製した比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対するマンガンの面積比率Cが、C=3%となるように、塩化マンガン四水和物(和光純薬製)を秤量した。すなわち、Co・Al含有水酸化ニッケル100gに対し、Mn0.006gに相当する量の塩化マンガン四水和物を秤量した。
以降の工程は実施例1と同様の工程とし、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。比較例2において用いた原料の各質量は、目的物であるリチウムニッケル複合酸化物中の各元素のモル比がNi:Co:Al:Li=0.82:0.15:0.03:1.05となるように秤量しており、ICP発光分光分析装置で測定したところ、最終的な化学組成はNi:Co:Al:Li=0.818:0.149:0.033:1.050となった。また、Mnの含有量は15ppmであった。
作製した電池の初期放電容量の測定についても、実施例1と同様の方法で行った。表1にその測定結果を示す。
また、熱安定性の評価も、実施例1と同様に、充電した正極合材についてDSC(示差走査熱量計)を用いて発熱挙動を調べることで行った。発熱ピークの大きさ、初期総発熱量、20サイクル目総発熱量の測定結果を表2に示す。
(比較例3)
実施例1において作製した比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対するマンガンの面積比率Cが、C=96%となるように、塩化マンガン四水和物(和光純薬製)を秤量した。すなわち、Co・Al含有水酸化ニッケル100gに対し、Mn0.21gに相当する量の塩化マンガン四水和物を秤量した。
実施例1において作製した比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対するマンガンの面積比率Cが、C=96%となるように、塩化マンガン四水和物(和光純薬製)を秤量した。すなわち、Co・Al含有水酸化ニッケル100gに対し、Mn0.21gに相当する量の塩化マンガン四水和物を秤量した。
以降の工程は実施例1と同様の工程とし、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。比較例2において用いた原料の各質量は、目的物であるリチウムニッケル複合酸化物中の各元素のモル比がNi:Co:Al:Li=0.82:0.15:0.03:1.05となるように秤量しており、ICP発光分光分析装置で測定したところ、最終的な化学組成はNi:Co:Al:Li=0.820:0.150:0.030:1.049となった。また、Mnの含有量は550ppmであった。
作製した電池の初期放電容量の測定についても、実施例1と同様の方法で行った。表1にその測定結果を示す。
また、熱安定性の評価も、実施例1と同様に、充電した正極合材についてDSC(示差走査熱量計)を用いて発熱挙動を調べることで行った。発熱ピークの大きさ、初期総発熱量、20サイクル目総発熱量の測定結果を表2に示す。
(比較例4)
実施例1においては、Co・Al含有水酸化ニッケルに水酸化リチウム一水和物をVブレンダーにて混合した後、酸素雰囲気中において730℃で焼成しているが、比較例4では、この焼成温度を300℃に変更した。それ以外の条件は、実施例1と同様にして、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。上記工程において用いた原料の各質量は、目的物であるリチウムニッケル複合酸化物中の各元素のモル比がNi:Co:Al:Li=0.82:0.15:0.03:1.05となるように秤量しており、ICP発光分光分析装置で測定したところ、最終的な化学組成はNi:Co:Al=0.817:0.149:0.034となった。また、Mnの含有量は170ppmであった。
実施例1においては、Co・Al含有水酸化ニッケルに水酸化リチウム一水和物をVブレンダーにて混合した後、酸素雰囲気中において730℃で焼成しているが、比較例4では、この焼成温度を300℃に変更した。それ以外の条件は、実施例1と同様にして、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。上記工程において用いた原料の各質量は、目的物であるリチウムニッケル複合酸化物中の各元素のモル比がNi:Co:Al:Li=0.82:0.15:0.03:1.05となるように秤量しており、ICP発光分光分析装置で測定したところ、最終的な化学組成はNi:Co:Al=0.817:0.149:0.034となった。また、Mnの含有量は170ppmであった。
しかし、Liの濃度は、質量比で、(Ni+Co+Al):Li=1.000:1.02〜1.14となっており、採取部位により大きく変動していた。焼成温度が低かったため酸化が不均一となり、そのためリチウムニッケル複合酸化物中のLi濃度が不均一になったと考えられる。
(比較例5)
実施例1においては、Co・Al含有水酸化ニッケルに水酸化リチウム一水和物をVブレンダーにて混合した後、酸素雰囲気中において730℃で焼成しているが、比較例4では、この焼成温度を1500℃に変更した。それ以外の条件は、実施例1と同様にして、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。
実施例1においては、Co・Al含有水酸化ニッケルに水酸化リチウム一水和物をVブレンダーにて混合した後、酸素雰囲気中において730℃で焼成しているが、比較例4では、この焼成温度を1500℃に変更した。それ以外の条件は、実施例1と同様にして、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。
しかし、焼成の結果、Liが偏析を起こし、XRD測定においてNiOなど異相の発生が確認された。
(比較例6)
二酸化マンガン(SEDEMA社製)と水酸化リチウム一水和物(和光純薬製)とを、モル比で、Li:Mn=1:2となるように秤量した後、Vブレンダーで混合し、この混合物を電気炉を用いて酸素雰囲気中で、時間:3時間、温度:500℃の条件で仮焼をした後、時間:20時間、温度:730℃の条件で焼成し、その後室温まで炉冷した。炉冷後、解砕処理することで二次粒子からなるマンガン酸リチウムを製造した。得られたマンガン酸リチウムの化学組成は、ICP発光分光分析装置で測定したところ、Li1.003Mn2.006O3.99であった。
二酸化マンガン(SEDEMA社製)と水酸化リチウム一水和物(和光純薬製)とを、モル比で、Li:Mn=1:2となるように秤量した後、Vブレンダーで混合し、この混合物を電気炉を用いて酸素雰囲気中で、時間:3時間、温度:500℃の条件で仮焼をした後、時間:20時間、温度:730℃の条件で焼成し、その後室温まで炉冷した。炉冷後、解砕処理することで二次粒子からなるマンガン酸リチウムを製造した。得られたマンガン酸リチウムの化学組成は、ICP発光分光分析装置で測定したところ、Li1.003Mn2.006O3.99であった。
得られたマンガン酸リチウムと、被覆処理のなされていない比較例1のリチウムニッケル複合酸化物とを、質量比で、1:2の関係になるよう秤量して混合し、これを正極活物質として用い、実施例1と同様の方法でコイン電池を作製した。作製した電池の初期放電容量を、実施例1と同様の方法で行った。表1にその測定結果を示す。
また、熱安定性の評価も、実施例1と同様に、充電した正極合材についてDSC(示差走査熱量計)を用いて発熱挙動を調べることで行った。発熱ピークの大きさ、初期総発熱量、20サイクル目総発熱量の測定結果を表2に示す。
(比較例7)
比較例6に記載の方法で製造したマンガン酸リチウムを、セイシン企業製シングルトラックジェットミル『STJ−200型』を用いて窒素雰囲気で微粉砕した。これを被覆処理のなされていない比較例1のリチウムニッケル複合酸化物と混合し、奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステム『NHS−0型』により、母粒子のリチウムニッケル複合酸化物を子粒子のマンガン酸リチウムで覆った複合材料を作製した。
比較例6に記載の方法で製造したマンガン酸リチウムを、セイシン企業製シングルトラックジェットミル『STJ−200型』を用いて窒素雰囲気で微粉砕した。これを被覆処理のなされていない比較例1のリチウムニッケル複合酸化物と混合し、奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステム『NHS−0型』により、母粒子のリチウムニッケル複合酸化物を子粒子のマンガン酸リチウムで覆った複合材料を作製した。
これを正極活物質として用い、実施例1と同様の方法でコイン電池を作製した。作製した電池の初期放電容量を、実施例1と同様の方法で行った。表1にその測定結果を示す。
また、熱安定性の評価も、実施例1と同様に、充電した正極合材についてDSC(示差走査熱量計)を用いて発熱挙動を調べることで行った。発熱ピークの大きさ、初期総発熱量、20サイクル目総発熱量の測定結果を表2に示す。
(比較例8)
実施例1において、塩化マンガン四水和物(和光純薬製)を硫酸マンガン五水和物(和光純薬製)に変更した点と、比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対するマンガンの面積比率Cが、C=31%となるように、塩化マンガン四水和物(和光純薬製)を秤量し、Co・Al含有水酸化ニッケル100gに対し、Mn0.085gに相当する量の硫酸マンガン五水和物量した点以外は、実施例1と同様の条件で、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。比較例8において用いた原料の各質量は、目的物であるリチウムニッケル複合酸化物中の各元素のモル比がNi:Co:Al:Li=0.82:0.15:0.03:1.05となるように秤量しており、ICP発光分光分析装置で測定したところ、最終的な化学組成はNi:Co:Al:Li=0.816:0.150:0.034:1.049となった。また、Mnの含有量は180ppmであった。
実施例1において、塩化マンガン四水和物(和光純薬製)を硫酸マンガン五水和物(和光純薬製)に変更した点と、比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対するマンガンの面積比率Cが、C=31%となるように、塩化マンガン四水和物(和光純薬製)を秤量し、Co・Al含有水酸化ニッケル100gに対し、Mn0.085gに相当する量の硫酸マンガン五水和物量した点以外は、実施例1と同様の条件で、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。比較例8において用いた原料の各質量は、目的物であるリチウムニッケル複合酸化物中の各元素のモル比がNi:Co:Al:Li=0.82:0.15:0.03:1.05となるように秤量しており、ICP発光分光分析装置で測定したところ、最終的な化学組成はNi:Co:Al:Li=0.816:0.150:0.034:1.049となった。また、Mnの含有量は180ppmであった。
作製した電池の初期放電容量の測定についても、実施例1と同様の方法で行った。表1にその測定結果を示す。
また、熱安定性の評価も、実施例1と同様に、充電した正極合材についてDSC(示差走査熱量計)を用いて発熱挙動を調べることで行った。発熱ピークの大きさ、初期総発熱量、20サイクル目総発熱量の測定結果を表2に示す。
(比較例9)
実施例1において作製した比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対するコバルトの面積比率Cが、C=3%となるように、塩化コバルト六水和物(和光純薬製)を秤量した。すなわち、Co・Al含有水酸化ニッケル100gに対し、Co0.01gに相当する量の塩化コバルト六水和物を秤量した。
実施例1において作製した比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対するコバルトの面積比率Cが、C=3%となるように、塩化コバルト六水和物(和光純薬製)を秤量した。すなわち、Co・Al含有水酸化ニッケル100gに対し、Co0.01gに相当する量の塩化コバルト六水和物を秤量した。
以降の工程は実施例1と同様の工程とし、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。比較例9において用いた原料の各質量は、目的物であるリチウムニッケル複合酸化物中の各元素のモル比がNi:Co:Al:Li=0.82:0.15:0.03:1.05となるように秤量しており、ICP発光分光分析装置で測定したところ、最終的な化学組成はNi:Co:Al:Li=0.820:0.147:0.033:1.049となった。また、リチウムニッケル複合酸化物の表面に存在する添加したCoの含有量は23ppmであった。
作製した電池の初期放電容量の測定についても、実施例1と同様の方法で行った。表1にその測定結果を示す。
また、熱安定性の評価も、実施例1と同様に、充電した正極合材についてDSC(示差走査熱量計)を用いて発熱挙動を調べることで行った。発熱ピークの大きさ、初期総発熱量、20サイクル目総発熱量の測定結果を表2に示す。
(比較例10)
実施例1において作製した比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対するコバルトの面積比率Cが、C=70%となるように、塩化コバルト六水和物(和光純薬製)を秤量した。すなわち、Co・Al含有水酸化ニッケル100gに対し、Co0.23gに相当する量の塩化コバルト六水和物を秤量した。
実施例1において作製した比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対するコバルトの面積比率Cが、C=70%となるように、塩化コバルト六水和物(和光純薬製)を秤量した。すなわち、Co・Al含有水酸化ニッケル100gに対し、Co0.23gに相当する量の塩化コバルト六水和物を秤量した。
以降の工程は実施例1と同様の工程とし、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。比較例10において用いた原料の各質量は、目的物であるリチウムニッケル複合酸化物中の各元素のモル比がNi:Co:Al:Li=0.82:0.15:0.03:1.05となるように秤量しており、ICP発光分光分析装置で測定したところ、最終的な化学組成はNi:Co:Al:Li=0.817:0.151:0.032:1.049となった。また、リチウムニッケル複合酸化物の表面に存在する添加したCoの含有量は560ppmであった。
作製した電池の初期放電容量の測定についても、実施例1と同様の方法で行った。表1にその測定結果を示す。
また、熱安定性の評価も、実施例1と同様に、充電した正極合材についてDSC(示差走査熱量計)を用いて発熱挙動を調べることで行った。発熱ピークの大きさ、初期総発熱量、20サイクル目総発熱量の測定結果を表2に示す。
(比較例11)
実施例1において作製した比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対するクロムの面積比率Cが、C=2%となるように、塩化クロム六水和物(和光純薬製)を秤量した。すなわち、Co・Al含有水酸化ニッケル100gに対し、Cr0.007gに相当する量の塩化クロム六水和物を秤量した。
実施例1において作製した比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対するクロムの面積比率Cが、C=2%となるように、塩化クロム六水和物(和光純薬製)を秤量した。すなわち、Co・Al含有水酸化ニッケル100gに対し、Cr0.007gに相当する量の塩化クロム六水和物を秤量した。
以降の工程は実施例1と同様の工程とし、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。実施例7において用いた原料の各質量は、目的物であるリチウムニッケル複合酸化物中の各元素のモル比がNi:Co:Al:Li=0.82:0.15:0.03:1.05となるように秤量しており、ICP発光分光分析装置で測定したところ、最終的な化学組成はNi:Co:Al:Li=0.817:0.150:0.033:1.048となった。また、Crの含有量は10ppmであった。
作製した電池の初期放電容量の測定についても、実施例1と同様の方法で行った。表1にその測定結果を示す。
また、熱安定性の評価も、実施例1と同様に、充電した正極合材についてDSC(示差走査熱量計)を用いて発熱挙動を調べることで行った。発熱ピークの大きさ、初期総発熱量、20サイクル目総発熱量の測定結果を表2に示す。
(比較例12)
実施例1において作製した比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対するクロムの面積比率Cが、C=50%となるように、塩化クロム六水和物(和光純薬製)を秤量した。すなわち、Co・Al含有水酸化ニッケル100gに対し、Cr0.17gに相当する量の塩化クロム六水和物を秤量した。
実施例1において作製した比表面積0.48m2/gのCo・Al含有水酸化ニッケルに対するクロムの面積比率Cが、C=50%となるように、塩化クロム六水和物(和光純薬製)を秤量した。すなわち、Co・Al含有水酸化ニッケル100gに対し、Cr0.17gに相当する量の塩化クロム六水和物を秤量した。
以降の工程は実施例1と同様の工程とし、リチウムニッケル複合酸化物を製造した。実施例7において用いた原料の各質量は、目的物であるリチウムニッケル複合酸化物中の各元素のモル比がNi:Co:Al:Li=0.82:0.15:0.03:1.05となるように秤量しており、ICP発光分光分析装置で測定したところ、最終的な化学組成はNi:Co:Al:Li=0.820:0.148:0.032:1.049となった。また、Crの含有量は320ppmであった。
作製した電池の初期放電容量の測定についても、実施例1と同様の方法で行った。表1にその測定結果を示す。
また、熱安定性の評価も、実施例1と同様に、充電した正極合材についてDSC(示差走査熱量計)を用いて発熱挙動を調べることで行った。発熱ピークの大きさ、初期総発熱量、20サイクル目総発熱量の測定結果を表2に示す。
本発明の範囲内にある実施例1〜3に係るリチウムニッケル複合酸化物は、その製造工程においてCo・Al含有水酸化ニッケルに塩化マンガン水溶液を噴霧して混合してから大気中で1000℃にて焙焼しており、表面にはマンガンが存在する。実施例1〜3に係るリチウムニッケル複合酸化物は、表面に存在するマンガン量を表す面積比率Cが7%〜65%であり、いずれも本発明の範囲内にある。このため、表1に示すように初期放電容量は190〜193(mAh/g)であり、表面にMn、Co、Crのいずれも存在しない比較例1(初期放電容量は194(mAh/g))からの低下はほとんど見られない。一方、表2に示すように、発熱ピークの大きさ、初期総発熱量、20サイクル目総発熱量について、実施例1〜3を比較例1と比べると、発熱ピークの大きさは0.32〜0.53、初期総発熱量は0.53〜0.68、20サイクル目総発熱量は0.52〜0.64となっており、いずれも大幅に改善され、熱安定性が向上している。
本発明の範囲内にある実施例4〜6に係るリチウムニッケル複合酸化物は、その製造工程においてCo・Al含有水酸化ニッケルに塩化コバルト水溶液を噴霧して混合してから大気中で1000℃にて焙焼しており、表面にはコバルトが存在する。実施例4〜6に係るリチウムニッケル複合酸化物は、表面に存在するコバルト量を表す面積比率Cが6%〜55%であり、いずれも本発明の範囲内にある。このため、表1に示すように初期放電容量は190〜193(mAh/g)であり、表面にMn、Co、Crのいずれも存在しない比較例1(初期放電容量は194(mAh/g))からの低下はほとんど見られない。一方、表2に示すように、発熱ピークの大きさ、初期総発熱量、20サイクル目総発熱量について、実施例4〜6を比較例1と比べると、発熱ピークの大きさは0.36〜0.59、初期総発熱量は0.56〜0.65、20サイクル目総発熱量は0.54〜0.62となっており、いずれも大幅に改善され、熱安定性が向上している。
本発明の範囲内にある実施例7〜9に係るリチウムニッケル複合酸化物は、その製造工程においてCo・Al含有水酸化ニッケルに塩化クロム水溶液を噴霧して混合してから大気中で1000℃にて焙焼しており、表面にはクロムが存在する。実施例7〜9に係るリチウムニッケル複合酸化物は、表面に存在するコバルト量を表す面積比率Cが4%〜35%であり、いずれも本発明の範囲内にある。このため、表1に示すように初期放電容量は191〜194(mAh/g)であり、表面にMn、Co、Crのいずれも存在しない比較例1(初期放電容量は194(mAh/g))からの低下はほとんど見られない。一方、表2に示すように、発熱ピークの大きさ、初期総発熱量、20サイクル目総発熱量について、実施例7〜9を比較例1と比べると、発熱ピークの大きさは0.34〜0.61、初期総発熱量は0.51〜0.69、20サイクル目総発熱量は0.50〜0.64となっており、いずれも大幅に改善され、熱安定性が向上している。
なお、面積比率Cが本発明の範囲の下限に近い実施例3、6、9は他の実施例と比べると、発熱ピークの大きさ、初期総発熱量、20サイクル目総発熱量のいずれも大きくなる傾向があるが、表面にMn、Co、Crのいずれも存在しない比較例1と比べると大幅に改善されている。
比較例1は、その製造工程において、Mn、Co、Crのいずれの水溶液もCo・Al含有水酸化ニッケルに添加せずに大気中で1000℃にて焙焼しており、表面にはMn、Co、Crのいずれも存在しない。このため、初期放電容量は194(mAh/g)と良好であるものの、発熱ピークの大きさ、初期総発熱量、20サイクル目総発熱量については、本発明の範囲内の実施例1〜9と比べて大きくなっており、熱安定性が劣っている。
比較例2は、表面に存在するマンガン量を表す面積比率Cが3%であり、本発明の範囲の下限値である6%を下回っている。このため、初期放電容量は194(mAh/g)と良好であるものの、発熱ピークの大きさ、初期総発熱量、20サイクル目総発熱量について、比較例2を比較例1と比べると、発熱ピークの大きさは0.83、初期総発熱量は0.92、20サイクル目総発熱量は0.93となっており、改善の度合いはわずかである。
比較例3は、表面に存在するマンガン量を表す面積比率Cが96%であり、本発明の範囲の上限値である80%を上回っている。このため、初期放電容量は188(mAh/g)であり、表面にMn、Co、Crのいずれも存在しない比較例1(初期放電容量は194(mAh/g))よりも少し低下している。また、発熱ピークの大きさ、初期総発熱量、20サイクル目総発熱量についても、比較例3を比較例1と比べると、発熱ピークの大きさは0.76、初期総発熱量は0.83、20サイクル目総発熱量は0.82となっており、改善の度合いは小さい。
比較例6は、リチウムニッケル複合酸化物とマンガン酸リチウムとの混合物であり、表面にMn、Co、Crのいずれかを存在させるために実施例1〜9で行っている処理(Mn、Co、Crのいずれかの水溶液を、Co・Al含有水酸化ニッケルに噴霧して混合してから大気中で1000℃にて焙焼する処理)を行っていない。
リチウムニッケル複合酸化物と電池の放電容量に寄与しないマンガン酸リチウムとの混合物であることから、初期放電容量は171(mAh/g)と実施例1〜9と比べて10%程度小さい。発熱ピークの大きさは、比較例1と比べると0.65であり、比較例1よりはある程度小さくなっている。しかし、比較例1と比べて、初期総発熱量は0.87、20サイクル目総発熱量は0.95となっており、改善の度合いは小さい。なお、初期総発熱量は0.87であるのに対し、20サイクル目総発熱量は0.95と大きくなっているのは、充放電サイクルを重ねるにつれてリチウムニッケル複合酸化物とマンガン酸リチウムとの接触部が外れてしまうためと思われる。
比較例7は、リチウムニッケル複合酸化物表面に微細なマンガン酸リチウムを物理的に付着させた正極活物質である。初期放電容量は186(mAh/g)と実施例1〜9と比べて3%程度小さいだけである。しかし、表層のマンガン酸リチウムと内層のリチウムニッケル複合酸化物との間の固相界面抵抗は高いと推測されるので、作製した電池の特性において、低負荷電流の充放電では顕著な差は現れないが、高負荷電流のかかる条件では、レート特性、サイクル特性といった特性が実施例1〜9と比べて悪くなると思われる。
また、比較例1と比べて、発熱ピークの大きさは0.45、初期総発熱量の大きさは0.58と小さく、実施例1〜9と比べても遜色はない。しかし、20サイクル目総発熱量については、0.88と大きくなっている。充放電サイクルを重ねるにつれて、物理的にリチウムニッケル複合酸化物の表面に付着させていたマンガン酸リチウムが剥がれたため、20サイクル目総発熱量が大きくなったと推測される。
比較例8は、Co・Al含有水酸化ニッケルに硫酸マンガン水溶液を噴霧して添加しており、添加量は面積比率31%となるようにしたものである。すなわち、実施例1において添加する塩化マンガン水溶液に換えて硫酸マンガン水溶液を添加しており、添加量は実施例1と同じ面積比率(31%)となるようにしたものである。初期放電容量は、191(mAh/g)であり、塩化マンガン水溶液を添加した実施例1と同等である。しかし、比較例1と比較して、発熱ピーク強度は0.87、初期総発熱量は0.80、20サイクル目総発熱量は0.82であり、塩化マンガン水溶液を添加した実施例1と比べて、熱安定性は大幅に低下した。
比較例9は、表面に存在するコバルト量を表す面積比率Cが3%であり、本発明の範囲の下限値である5%を下回っている。このため、初期放電容量は194(mAh/g)と良好であるものの、発熱ピークの大きさ、初期総発熱量、20サイクル目総発熱量について、比較例9を比較例1と比べると、発熱ピークの大きさは0.85、初期総発熱量は0.94、20サイクル目総発熱量は0.96となっており、改善の度合いはわずかである。
比較例10は、表面に存在するコバルト量を表す面積比率Cが70%であり、本発明の範囲の上限値である60%を上回っている。このため、初期放電容量は188(mAh/g)であり、表面にMn、Co、Crのいずれも存在しない比較例1(初期放電容量は194(mAh/g))よりも少し低下している。また、発熱ピークの大きさ、初期総発熱量、20サイクル目総発熱量についても、比較例10を比較例1と比べると、発熱ピークの大きさは0.79、初期総発熱量は0.86、20サイクル目総発熱量は0.90となっており、改善の度合いは小さい。
比較例11は、表面に存在するクロム量を表す面積比率Cが2%であり、本発明の範囲の下限値である3%を下回っている。このため、初期放電容量は194(mAh/g)と良好であるものの、発熱ピークの大きさ、初期総発熱量、20サイクル目総発熱量について、比較例11を比較例1と比べると、発熱ピークの大きさは0.88、初期総発熱量は0.95、20サイクル目総発熱量は0.97となっており、改善の度合いはわずかである。
比較例12は、表面に存在するクロム量を表す面積比率Cが50%であり、本発明の範囲の上限値である40%を上回っている。このため、初期放電容量は189(mAh/g)であり、表面にMn、Co、Crのいずれも存在しない比較例1(初期放電容量は194(mAh/g))よりも少し低下している。また、発熱ピークの大きさ、初期総発熱量、20サイクル目総発熱量についても、比較例12を比較例1と比べると、発熱ピークの大きさは0.77、初期総発熱量は0.82、20サイクル目総発熱量は0.87となっており、改善の度合いは小さい。
1:正極
2:セパレーター
3:負極
4:ガスケット
5:正極缶
6:負極缶
7:コイン電池
2:セパレーター
3:負極
4:ガスケット
5:正極缶
6:負極缶
7:コイン電池
Claims (8)
- リチウムとニッケルとを主成分とするリチウムニッケル複合酸化物の表層部にマンガン、コバルト、クロムのうちのいずれかである金属Meが存在している非水系二次電池用正極活物質であって、
前記リチウムニッケル複合酸化物1gあたりの表面積をA(m2)とし、
前記リチウムニッケル複合酸化物1gあたりに存在する前記金属Meについて
〔前記リチウムニッケル複合酸化物1gあたりに存在する金属Meのモル数〕×6.02×1023×〔金属Meの原子半径(m)〕2×3.14(ただし、式中、金属Meの原子半径は、Mn=1.50Å、Co=1.35Å、Cr=1.40Åとする。)
で表される面積をB(m2)とし、
面積比率C(%)を(B/A)×100としたとき、
前記金属Meがマンガンのとき面積比率Cが60〜80%であり、コバルトのとき面積比率Cが50〜60%であり、クロムのとき面積比率Cが30〜40%である非水系二次電池用正極活物質。 - 前記非水系二次電池用正極活物質を用いてリチウムイオン二次電池を構成したとき、該リチウムイオン二次電池の初期放電容量が190mAh/g以上であり、かつ、該リチウムイオン二次電池の発熱ピークの大きさ、初期総発熱量、および20サイクル目総発熱量は、表層部に前記金属Meが存在しないリチウムとニッケルとを主成分とするリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質に用いて構成したリチウムイオン二次電池の場合を100%とすると、いずれも70%以下である請求項1に記載の非水系二次電池用正極活物質。
- リチウムとニッケルとを主成分とするリチウムニッケル複合酸化物の表層部にマンガン、コバルト、クロムのうちのいずれかである金属Meが存在している非水系二次電池用正極活物質であって、
ニッケル化合物にマンガン、コバルト、クロムのうちのいずれかである金属Meの塩化物を添加して温度400〜1300℃で焙焼してニッケル酸化物を得た後、該ニッケル酸化物にリチウム化合物を添加して600〜800℃で焼成して得たものであり、
前記リチウムニッケル複合酸化物1gあたりの表面積をA(m2)とし、
前記リチウムニッケル複合酸化物1gあたり塩化物として添加された金属Meについて
〔添加された金属Meのモル数〕×6.02×1023×〔金属Meの原子半径(m)〕2×3.14(ただし、式中、金属Meの原子半径は、Mn=1.50Å、Co=1.35Å、Cr=1.40Åとする。)
で表される面積をB(m2)とし、
面積比率C(%)を(B/A)×100としたとき、
前記金属Meがマンガンのとき面積比率Cが60〜80%であり、コバルトのとき面積比率Cが50〜60%であり、クロムのとき面積比率Cが30〜40%である非水系二次電池用正極活物質。 - リチウムとニッケルとを主成分とするリチウムニッケル複合酸化物の表層部にマンガン、コバルト、クロムのうちのいずれかである金属Meが存在している非水系二次電池用正極活物質の製造方法であって、
前記リチウムニッケル複合酸化物1gあたりの表面積をA(m2)とし、
前記リチウムニッケル複合酸化物1gあたりに存在する前記金属Meについて
〔前記リチウムニッケル複合酸化物1gあたりに存在する金属Meのモル数〕×6.02×1023×〔金属Meの原子半径(m)〕2×3.14(ただし、式中、金属Meの原子半径は、Mn=1.50Å、Co=1.35Å、Cr=1.40Åとする。)
で表される面積をB(m2)とし、
面積比率C(%)を(B/A)×100としたとき、
ニッケル化合物にマンガン、コバルト、クロムのうちのいずれかの金属塩を、前記面積比率Cが、マンガンの金属塩のときはC=60〜80%、コバルトの金属塩のときはC=50〜60%、クロムの金属塩のときはC=30〜40%となるように添加して混合したのち、温度400〜1300℃で焙焼してニッケル酸化物を得る工程と、得られたニッケル酸化物にリチウム化合物を混合したのち、600〜800℃で焼成する工程とを有することを特徴とする非水系二次電池用正極活物質の製造方法。 - 前記金属塩を水溶液にしてニッケル化合物に添加することを特徴とする請求項4に記載の非水系二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記金属Meの塩が、塩化物であることを特徴とする請求項4または5に記載の非水系二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記ニッケル化合物が、水酸化物、オキシ水酸化物および炭酸塩のうちの少なくとも1つからなる請求項4〜6のいずれかに記載の非水系二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記リチウム化合物が、水酸化物、酸化物、炭酸塩、硝酸塩のうちの少なくとも1つからなる請求項4〜7のいずれかに記載の非水系二次電池用正極活物質の製造方法。
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