JP2006117957A - 非結晶ポリイミド膜の製造方法 - Google Patents

非結晶ポリイミド膜の製造方法 Download PDF

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裕章 山口
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Abstract

【課題】従来公知の基板用の金属箔積層体が有する前記の密着力促進等の表面粗化処理を施していない金属箔を使用すると剥離強度(接着強度)が小さいという問題点を解消したオ−ルポリイミドの金属箔積層体を提供することが可能であるポリイミド膜の製造方法を提供する。
【解決手段】反応容器中、有機溶媒、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパンおよび3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物あるいはその誘導体の各成分を攪拌、溶解した後、重合してポリアミック酸の溶液とし、このポリアミック酸の溶液あるいはポリアミック酸の溶液にさらに有機溶媒を加えてポリアミック酸のド−プとして使用し、ド−プの薄膜を形成し、その薄膜から溶媒を蒸発させて除去するとともにポリアミック酸をイミド環化することを特徴とする非結晶ポリイミド膜の製造方法。
【選択図】 なし

Description

この発明は、非結晶ポリイミド膜の製造方法に関するものである。
この発明によれば、密着力促進等の表面粗化処理のような特別の表面処理を施していないステンレス(SUS)などの金属箔とポリイミドフィルムとの接着性を向上させた金属箔積層体を得ることができる。この明細書において非結晶性ポリイミドとは、広角X線回折法によりX線回折スペクトルを測定し結晶性散乱に由来するピ−クが観測されないものをいう。
従来、カメラ、パソコン、液晶ディスプレイなどの電子機器類への用途として芳香族ポリイミドフィルムは広く使用されている。芳香族ポリイミドフィルムをフレキシブルプリント板(FPC)やテ−プ・オ−トメイティッド・ボンディング(TAB)などの基板材料として使用するためには、エポキシ樹脂などの接着剤を用いて銅箔を張り合わせる方法が採用されている。
芳香族ポリイミドフィルムは耐熱性、機械的強度、電気的特性などが優れているが、エポキシ樹脂などの接着剤の耐熱性等が劣るため、本来のポリイミドの特性を損なうことが指摘されている。このような問題を解決するために、接着剤を使用しないでポリイミドフィルムに銅を電気メッキしたり、銅箔にポリアミック酸溶液を塗布し、乾燥、イミド化したり、熱可塑性のポリイミドを熱圧着させたオ−ルポリイミド基材も開発されている。
また、ポリイミドフィルムと金属箔との間にフィルム状ポリイミド接着剤をサンドイッチ状に接合させたポリイミドラミネ−トおよびその製法が知られている(米国特許第4543295号)。しかし、このポリイミドラミネ−トおよびその製法は、金属箔が密着力促進等の表面粗化処理を施していない金属箔については剥離強度(接着強度)が小さく使用が制限されるという問題がある。
米国特許第4543295号明細書
この発明の目的は、従来公知の基板用の金属箔積層体が有する前記の密着力促進等の表面粗化処理を施していない金属箔を使用すると剥離強度(接着強度)が小さいという問題点を解消したオ−ルポリイミドの金属箔積層体を提供することが可能であるポリイミド膜の製造方法を提供することである。
すなわち、この発明は、反応容器中、有機溶媒、芳香族テトラカルボン酸成分としての3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物あるいはその誘導体および芳香族ジアミン成分としての2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパンの各成分を攪拌、溶解した後、重合してポリアミック酸の溶液とし、このポリアミック酸の溶液あるいはポリアミック酸の溶液にさらに有機溶媒を加えてポリアミック酸のド−プとして使用し、ド−プの薄膜を形成し、その薄膜を加熱乾燥して溶媒を蒸発させて除去するとともにポリアミック酸をイミド環化することを特徴とする非結晶ポリイミド膜の製造方法に関する。
この発明によれば、以上のような構成を有しているため、特別の表面処理をしていない金属箔と熱圧着性ポリイミドフィルムとが大きな剥離強度で積層した金属箔積層体を得ることができる。また、この発明の方法によれば、簡単な操作で表面処理をしていない金属箔を前処理して金属箔と熱圧着性ポリイミドフィルムとを大きな剥離強度で積層した金属箔積層体を製造することができる。
以下にこの発明の好ましい態様を列記ずる。
1)ポリアミック酸のド−プが、ポリアミック酸の濃度が1〜20重量%である上記の非結晶ポリイミド膜の製造方法
2)芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分との割合が、等モルから6モル%の酸過剰である上記の非結晶ポリイミド膜の製造方法。
3)反応容器中が、窒素雰囲気下にある上記の非結晶ポリイミド膜の製造方法。
4)有機溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドである上記の非結晶ポリイミド膜の製造方法。
5)非結晶性ポリイミド膜が、金属箔積層体用である上記の非結晶ポリイミド膜の製造方法。
6)膜が、0.05〜3μmの厚みである上記の非結晶ポリイミド膜の製造方法。
前記の金属箔積層体においては、粗化処理を施していないレベル以上の表面状態の金属箔を使用する。このような金属箔としては粗化処理を施していない金属箔が挙げられるが、粗化処理を施したものであっても構わない。特にこの発明においては前記の粗化処理を施していないレベル以上の表面状態の金属箔として、SUS(新日本製株式会社製、SUS304HTAMW)や、アルミニウム箔(日本製箔株式会社製、A1085H−H18)などの粗化処理を施していない金属箔を使用すると顕著な効果が得られる。前記の粗化処理を施していないレベル以上の表面状態の金属箔は、表面のRaが0.2μm程度以下で、厚みが1〜500μm程度であることが好ましい。厚みの大きい金属板といわれるものも含まれる。
前記の粗化処理を施していないレベル以上の表面状態の金属箔にガラス転移温度が200〜300℃の範囲にあり厚みが0.05〜3μmの範囲の非結晶性ポリイミド膜を形成することが必要である。粗化処理を施していない金属箔であっても前記の条件を満足する非結晶性ポリイミドの薄層を形成することによって、耐熱性を有ししかも剥離強度(接着強度)が大きいオ−ルポリイミドの金属箔積層体を得ることができる。前記の粗化処理を施していない金属箔に結晶性ポリイミドの薄層を形成したのでは、剥離強度(接着強度)が小さくなる。また、非結晶性ポリイミドであってもガラス転移温度が前記の範囲外であると、金属箔積層体の耐熱性が不十分であったり剥離強度(接着強度)が小さくなる。また、非結晶性ポリイミド層の厚みが前記の範囲外であると、金属箔積層体の剥離強度(接着強度)が小さくなったり金属箔積層体(特にエッチング処理して回路形成した後)にカ−ルが発生するので、いずれの場合も好ましくない。
前記のガラス転移温度が200〜300℃の範囲にある非結晶性ポリイミドとしては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a−BPDA)、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エ−テル二無水物やこれらの誘導体(酸、酸エステル、酸のハ−フエステル)などの芳香族テトラカルボン酸成分と1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPP)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン(BAPS)、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニルなどの柔軟な結合[O、C(CH、SO]を有する多環芳香族ジアミン成分とから得ることができる。前記の芳香族テトラカルボン酸成分および多環芳香族ジアミン成分の一部を他の芳香族テトラカルボン酸成分、例えばピロメリット酸二無水物や他の芳香族ジアミン、例えば4,4’−ジアミノジフェニルエ−テルで置き換えてもよい。また、前記の非結晶性ポリイミドの末端を無水フタル酸などで封止したものであってもよい。
特に、前記の非結晶性ポリイミドとして、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物および/またはその誘導体と2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパンおよび/または1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンとから得られるポリイミド、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンとから得られるポリイミド、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4'−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホンとから得られるポリイミド、その中でも特に3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物および/またはその誘導体と2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパンとから得られるポリイミドがド−プ安定性、接着強度、低吸水性、耐加水分解性から好適である。また、非結晶性ポリイミドを得るための芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミンとの割合は、等モルから5〜6モル%程度酸過剰にずらしたものであってもよい。
前記の非結晶性ポリイミド膜は、前記各成分を有機溶媒中、約100℃以下、特に20〜60℃の温度で反応させてポリアミック酸の溶液とし、このポリアミック酸の溶液あるいはポリアミック酸の溶液にさらに有機溶媒を加えてポリアミック酸濃度を調節したものをド−プとして使用し、粗化処理を施していないレベル以上の表面状態の金属箔に前記のド−プ液の薄膜を形成し、50〜400℃で1〜30分間程度加熱乾燥して、その薄膜から溶媒を蒸発させ除去すると共にポリアミック酸をイミド環化することにより形成することができる。前記の非結晶性ポリイミドを与えるポリアミック酸のド−プは、ポリアミック酸の濃度が1〜20重量%程度であることが好ましい。
前記の熱圧着性ポリイミドフィルムとして、熱圧着性単層ポリイミドフィルム、好適には耐熱性ポリイミド層の少なくとも片面、好適には両面に熱圧着性ポリイミド層を有する熱圧着性多層ポリイミドフィルムを使用する。前記の熱圧着性ポリイミドフィルムとしては、熱圧着性とともに線膨張係数(50〜200℃)(MD)が30x10−6cm/cm/℃以下、特に15x10−6〜25x10−6cm/cm/℃で厚みが10〜150μmであるものが好ましく、また、引張弾性率(MD、ASTM−D882)が300kg/mm以上であるものが好ましい。
前記の熱圧着性多層ポリイミドフィルムは、好適には共押出し−流延製膜法(単に、多層押出法ともいう。)によって耐熱性ポリイミドの前駆体溶液と熱圧着性ポリイミド前駆体溶液とを積層し、乾燥、イミド化して熱圧着性多層ポリイミドフィルムを得る方法、あるいは前記の耐熱性ポリイミドの前駆体溶液を支持体上に流延塗布し、乾燥したゲルフィルムの片面あるいは両面に熱圧着性ポリイミド前駆体溶液を塗布し、乾燥、イミド化して熱圧着性多層ポリイミドフィルムを得る方法によって得ることができる。
前記の熱圧着層としての熱圧着性ポリイミドとしては、種々の公知の熱可塑性ポリイミドから選択することができ、好適には1,3−ビス(4−アミノフェノキシベンゼン)と2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とから製造される。また、前記の熱圧着層としての熱圧着性ポリイミドとして、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−2,2−ジメチルプロパン(DANPG)と4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)およびa−BPDAとから製造される。あるいは、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)およびピロメリット酸二無水物と1,3−ビス(4−アミノフェノキシベンゼン)とから製造される。
前記の熱圧着性ポリイミドは、前記各成分と、さらに場合により他のテトラカルボン酸二無水物および他のジアミンとを、有機溶媒中、約100℃以下、特に20〜60℃の温度で反応させてポリアミック酸の溶液とし、このポリアミック酸の溶液をド−プ液として使用し、そのド−プ液の薄膜を形成し、その薄膜から溶媒を蒸発させ除去すると共にポリアミック酸をイミド環化することにより製造することができる。また、前述のようにして製造したポリアミック酸の溶液を150〜250℃に加熱するか、またはイミド化剤を添加して150℃以下、特に15〜50℃の温度で反応させて、イミド環化した後溶媒を蒸発させる、もしくは貧溶媒中に析出させて粉末とした後、該粉末を有機溶液に溶解して熱圧着性ポリイミドの有機溶媒溶液を得ることができる。
前記の熱圧着性ポリイミドの物性を損なわない範囲で他のテトラカルボン酸二無水物、例えば3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3、4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物あるいは2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物など、好適には3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物で置き換えられてもよい。
また、熱圧着性ポリイミドの物性を損なわない範囲で他のジアミン、例えば4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェニル)ジフェニルエ−テル、4,4’−ビス(4−アミノフェニル)ジフェニルメタン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルエ−テル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルメタン、2,2−ビス〔4−(アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパンなどの複数のベンゼン環を有する柔軟な芳香族ジアミン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカンなどの脂肪族ジアミン、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンなどのジアミノジシロキサンによって置き換えられてもよい。他の芳香族ジアミンの使用割合は全ジアミンに対して20モル%以下、特に10モル%以下であることが好ましい。また、脂肪族ジアミンおよびジアミノジシロキサンの使用割合は全ジアミンに対して20モル%以下であることが好ましい。この割合を越すと熱圧着性ポリイミドの耐熱性が低下する。
前記の熱圧着性ポリイミドのアミン末端を封止するためにジカルボン酸無水物、例えば、無水フタル酸およびその置換体、ヘキサヒドロ無水フタル酸およびその置換体、無水コハク酸およびその置換体など、特に、無水フタル酸を使用してもよい。
前記の熱圧着性ポリイミドを得るためには、前記の有機溶媒中、ジアミン(アミノ基のモル数として)の使用量が酸無水物の全モル数(テトラ酸二無水物とジカルボン酸無水物の酸無水物基としての総モルとして)に対する比として、好ましくは0.92〜1.1、特に0.98〜1.1、そのなかでも特に0.99〜1.1であり、ジカルボン酸無水物の使用量がテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基モル量に対する比として、好ましくは0.05以下であるような割合の各成分を反応させることができる。
前記のジアミンおよびジカルボン酸無水物の使用割合が前記の範囲外であると、得られるポリアミック酸、従って熱圧着性ポリイミドの分子量が小さく、金属箔との積層体の接着強度の低下をもたらす。また、ポリアミック酸のゲル化を制限する目的でリン系安定剤、例えば亜リン酸トリフェニル、リン酸トリフェニル等をポリアミック酸重合時に固形分(ポリマ−)濃度に対して0.01〜1%の範囲で添加することができる。また、イミド化促進の目的で、ド−プ液中にイミド化剤を添加することができる。例えば、イミダゾ−ル、2−イミダゾ−ル、1,2−ジメチルイミダゾ−ル、2−フェニルイミダゾ−ル、ベンズイミダゾ−ル、イソキノリン、置換ピリジンなどをポリアミック酸に対して0.05〜10重量%、特に0.1〜2重量%の割合で使用することができる。これらは比較的低温でイミドを完了することができる。
また、接着強度の安定化の目的で、熱圧着性ポリイミド原料ド−プに有機アルミニウム化合物、無機アルミニウム化合物または有機錫化合物を添加してもよい。例えば水酸化アルミニウム、アルミニウムトリアセチルアセトナ−トなどをポリアミック酸に対してアルミニウム金属として1ppm以上、特に1〜1000ppmの割合で添加することができる。
前記の熱圧着性多層ポリイミドフィルムの基体層としての耐熱性ポリイミドは、好適には3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミン(以下単にPPDと略記することもある。)と場合によりさらに4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル(以下単にDADEと略記することもある。)とから製造される。この場合PPD/DADE(モル比)は100/0〜85/15であることが好ましい。また、基体層としての耐熱性ポリイミドは、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とピロメリット酸二無水物とパラフェニレンジアミンと4,4’−ジアミノジフェニルエ−テルとから製造される。また、基体層としての耐熱性ポリイミドは、ピロメリット酸二無水物とパラフェニレンジアミンおよび4,4’−ジアミノジフェニルエ−テルとから製造される。この場合DADE/PPD(モル比)は90/10〜10/90であることが好ましい。さらに、基体層としての耐熱性ポリイミドは、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)およびピロメリット酸二無水物(PMDA)とパラフェニレンジアミン(PPD)および4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル(DADE)とから製造される。この場合、酸二無水物中BTDAが20〜90モル%、PMDAが10〜80モル%、ジアミン中PPDが30〜90モル%、DADEが10〜70モル%であることが好ましい。
また、上記の基体層としての耐熱性ポリイミドとしては、単独のポリイミドフィルムの場合にガラス転移温度が350℃以上か確認不可能であるものが好ましく、特に線膨張係数(50〜200℃)(MD)が5x10−6〜30x10−6cm/cm/℃であるものが好ましい。また、引張弾性率(MD、ASTM−D882)は300kg/mm以上であるものが好ましい。この基体層ポリイミドの合成は、最終的に各成分の割合が前記範囲内であればランダム重合、ブロック重合、あるいはあらかじめ2種類のポリアミック酸を合成しておき両ポリアミック酸溶液を混合後反応条件下で混合して均一溶液とする、いずれの方法によっても達成される。
前記各成分を使用し、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物の略等モル量を、有機溶媒中で反応させてポリアミック酸の溶液(均一な溶液状態が保たれていれば一部がイミド化されていてもよい)とする。前記基体層ポリイミドの物性を損なわない種類と量の他の芳香族テトラカルボン酸二無水物や芳香族ジアミン、例えば4,4’−ジアミノジフェニルメタン等を使用してもよい。
前記のポリアミック酸製造に使用する有機溶媒は、非結晶性ポリイミド、熱圧着性ポリイミドおよび耐熱性ポリイミドのいずれに対しても、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、N−メチルカプロラクタム、クレゾ−ル類などが挙げられる。これらの有機溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記の熱圧着性多層ポリイミドフィルムの製造においては、例えば上記の基体層の耐熱性ポリイミドのポリアミック酸溶液と熱圧着層用の熱圧着性ポリイミドまたはその前駆体の溶液を共押出して、これをステンレス鏡面、ベルト面等の支持体面上に流延塗布し、100〜200℃で半硬化状態またはそれ以前の乾燥状態とすることが好ましい。200℃を越えた高い温度で流延フィルムを処理すると、多層ポリイミドフィルムの製造において、接着性の低下などの欠陥を来す傾向にある。この半硬化状態またはそれ以前の状態とは、加熱および/または化学イミド化によって自己支持性の状態にあることを意味する。
前記の基体層ポリイミドを与えるポリアミック酸の溶液と、熱圧着性ポリイミドを与えるポリアミック酸の溶液との共押出しは、例えば特開平3−180343号公報(特公平7−102661号公報)に記載の共押出法によって三層の押出し成形用ダイスに供給し、支持体上にキャストしておこなうことができる。前記の基体層ポリイミドを与える押出し物層の両面に、熱圧着性ポリイミドを与えるポリアミック酸の溶液あるいはポリイミド溶液を積層して多層フィルム状物を形成して乾燥後、熱圧着性ポリイミドのガラス転移温度(Tg)以上で劣化が生じる温度以下の温度、好適には250〜420℃の温度(表面温度計で測定した表面温度)まで加熱して(好適にはこの温度で1〜60分間加熱して)乾燥およびイミド化して、基体層ポリイミドの両面に熱圧着性ポリイミドを有する熱圧着性多層押出しポリイミドフィルムを製造することができる。
前記の熱圧着性ポリイミドは、前記の酸成分とジアミン成分とを使用することによって、好適にはガラス転移温度が190〜280℃、特に200〜275℃であって、好適には前記の条件で乾燥・イミド化して熱圧着性ポリイミドのゲル化を実質的に起こさせないことによって達成される、ガラス転移温度以上で300℃以下の範囲内の温度で溶融せず、かつ弾性率(通常、275℃での弾性率が50℃での弾性率の0.001〜0.5倍程度)を保持しているものが好ましい。
前記の熱圧着性多層ポリイミドフィルムは、基体層ポリイミドのフィルム(層)の厚さは5〜125μmであることが好ましく、熱圧着性ポリイミド(Y)層の厚さは1〜25μm、特に1〜15μm、その中でも特に2〜12μmが好ましい。また、前記の他の金属箔と積層される場合の熱圧着性ポリイミド(Y)層の厚さは、使用する他の金属箔の表面粗さ(Rz)以上であることが好ましい。
前記の積層体に使用される他の金属箔としては、銅、アルミニウム、金、合金の箔など各種金属箔が挙げられるが、好適には圧延銅箔、電解銅箔などがあげられる。金属箔として、表面粗さRzが0.5μm以上であるものが好ましい。また、金属箔の表面粗さRzが10μm以下、特に7μm以下であるものが好ましい。このような金属箔、例えば銅箔はVLP、LP(またはHTE)として知られている。金属箔の厚さは特に制限はないが、5〜60μm、特に5〜20μmであるものが好ましい。
前記の粗化処理を施していないレベル以上の表面状態の金属箔に非結晶性ポリイミド膜を形成した後、熱圧着性ポリイミドフィルム、好適には熱圧着性多層ポリイミドフィルムを重ね合わせ、連続加圧部材を通して加圧部の温度が熱圧着性ポリイミドのガラス転移温度より30℃以上で420℃以下の温度で加熱下に熱圧着してあるいはプレスにて前記の範囲の温度で0.1〜200Kgf/cmで熱圧着して、金属箔積層体を製造することができる。前記の方法において、非結晶性ポリイミド薄層を形成した金属箔と他の金属箔とを熱圧着性ポリイミドフィルムによって加熱圧着して、両面に金属箔を有する金属箔積層体を得ることができる。また、前記の方法において、非結晶性ポリイミド薄層を形成した金属箔と熱圧着性ポリイミドおよび耐熱性ポリイミドの2層構造の熱圧着性ポリイミドフィルム加熱圧着して、片面に金属箔を他面に耐熱性ポリイミド層有する金属箔積層体を得ることができる。
前記の連続加圧部材としては、一対の圧着金属ロ−ル(圧着部は金属製、セラミック溶射金属製のいずれでもよい)またはダブルベルトプレスが挙げられ、特に加圧下に熱圧着および冷却できるものであって液圧式のダブルベルトプレスを挙げることができる。
この発明によれば、簡単な処理によって接着強度の大きい金属箔積層体を製造することができる。また、この発明によって得られる金属箔積層体は、電子部品用部材として好適に使用することができる。
以下、この発明を実施例および比較例によりさらに詳細に説明する。以下の各例において、物性評価および金属箔積層体の剥離強度は以下の方法に従って測定した。
ガラス転移温度:DSCにて測定した。
結晶化度:XRD(X線回折)によって測定した。ピ−クが認められない場合、非結晶性と評価した。
線膨張係数:20〜200℃、5℃/分の昇温速度で測定(MD)した。
積層体の剥離強度:90度剥離強度を測定した。
耐熱性:金属箔積層体を260℃の半田浴に1分間浸漬して、膨れ、はがれ、変色の有無を観察した。
参考例(熱圧着性三層押出しポリイミドフィルムの製造)
熱圧着性ポリイミド製造用ド−プの合成−1
撹拌機、窒素導入管を備えた反応容器に、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を加え、さらに、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)と2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a−BPDA)とを1000:1000のモル比でモノマ−濃度が22%になるように、またトリフェニルホスフェ−トをモノマ−重量に対して0.1%加えた。添加終了後25℃を保ったまま1時間反応を続けた。25℃における溶液粘度は約2000ポイズであった。この溶液をド−プとして使用した。
耐熱性ポリイミド製造用ド−プの合成−1
導入管を備えた反応容器に、N,N−ジメチルアセトアミドを加え、さらに、パラフェニレンジアミン(PPD)と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)とを1000:998のモル比でモノマ−濃度が18%(重量%、以下同じ)になるように加えた。添加終了後50℃を保ったまま3時間反応を続けた。得られたポリアミック酸溶液は褐色粘調液体であり、25℃における溶液粘度は約1500ポイズであった。この溶液をド−プとして使用した。
熱圧着性三層押出しポリイミドフィルムの製造
前記の熱圧着性ポリイミド製造用ド−プと基体層ポリイミド製造用ド−プとを三層押出し出し成形用ダイス(マルチマニホ−ルド型ダイス)を設けた製膜装置を使用し、三層押出ダイスから金属製支持体上に流延し、140℃の熱風で連続的に乾燥し、固化フィルムを形成した。この固化フィルムを支持体から剥離した後加熱炉で200℃から320℃まで徐々に昇温して溶媒の除去、イミド化を行い長尺状の三層押出しポリイミドフィルムを巻き取りロ−ルに巻き取った。得られた熱圧着性三層押出しポリイミドフィルムは、各層の厚みが4μm/17μm/4μmであり、線膨張係数(50−200℃)が、MD:23ppm/℃、TD:19ppm/℃、平均:21ppm/℃であり、引張弾性率が526kg/mmで、基体層ポリイミドのガラス転移温度は400℃以下の温度で確認されず、熱圧着層ポリイミドはガラス転移温度が250℃であり、275℃での弾性率が50℃での弾性率の0.002倍であり、ゲル化が実質的に生じていなかった。
2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPP)32.84g(0.08モル)、N,N−ジメチルアセトアミド224.8gを室温で、窒素雰囲気下反応容器中で撹拌、溶解した。これにs−BPDA23.31g(0.079モル)を徐々に加え、40℃で3時間撹拌した。その後、室温で3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二水和物(s−BPTA)2.12g(0.0058モル)を加え溶解した。得られたポリアミック酸溶液を10g取り、DMAc30gで希釈し5%溶液とした。このワニス(芳香族テトラカルボン酸成分/芳香族ジアミンが1.06)をド−プとして厚さ20μmのSUS(新日本製鉄社製、SUS304HTAMW、Ra:0.05μm、以下単にSUSと略記する。)に塗布し、120℃x2分、150℃x2分、180℃x2分、250℃x2分間加熱して厚み0.5μmのポリイミド膜を形成した。このポリイミドは、非結晶でガラス転移温度(Tg)が245℃であった。得られた非結晶性ポリイミドを形成したSUS、熱圧着性三層押出しポリイミドフィルム、厚さ18μmの圧延銅箔(ジャパンエナジ−社製BHY箔、Ra:0.18μm、以下単に圧延銅箔と略記する。)の順に重ねプレスにて、320℃、50Kgf/cmで1分間圧着して両面金属積層板を得た。この両面金属積層板のSUS−ポリイミド界面の90度ピ−ル強度は1.90Kgf/cmであった。さらに、この両面金属積層板を260℃の半田浴に1分間浸漬しても、膨れ、はがれ、変色等の変化は見られなかった。
非結晶性ポリイミド膜の厚みを0.20μmにした他は、実施例1と同様に実施して両面金属積層板を得た。この両面金属積層板のSUS−ポリイミド界面の90度ピ−ル強度は1.90Kgf/cmであった。さらに、この両面金属積層板を260℃の半田浴に1分間浸漬しても、膨れ、はがれ、変色等の変化は見られなかった。
s−BPTA0.36g(0.00098モル)を加えた他は実施例3と同様にしてワニス(芳香族テトラカルボン酸成分/芳香族ジアミンが1.040)を得、このワニスをド−プとして使用した他は実施例3と同様に実施して、非結晶性ポリイミド膜を使用した両面金属積層板を得た。この両面金属積層板のSUS−ポリイミド界面の90度ピ−ル強度は1.50Kgf/cmであった。さらに、この両面金属積層板を260℃の半田浴に1分間浸漬しても、膨れ、はがれ、変色等の変化は見られなかった。
s−BPTAを加えなかった他は実施例3と同様にしてワニス(芳香族テトラカルボン酸成分/芳香族ジアミンが0.958)を得、このワニスをド−プとして使用した他は実施例3と同様に実施して、非結晶性ポリイミド膜を使用した両面金属積層板を得た。この両面金属積層板のSUS−ポリイミド界面の90度ピ−ル強度は1.25Kgf/cmであった。さらに、この両面金属積層板を260℃の半田浴に1分間浸漬しても、膨れ、はがれ、変色等の変化は見られなかった。
非結晶性ポリイミド薄層を形成するための熱処理条件を120℃x2分、150℃x2分、180℃x2分、350℃x2分間加熱して厚み0.5μmのポリイミド膜を形成した他は、実施例1と同様に実施して両面金属積層板を得た。この両面金属積層板のSUS−ポリイミド界面の90度ピ−ル強度は1.90Kgf/cmであった。さらに、この両面金属積層板を260℃の半田浴に1分間浸漬しても、膨れ、はがれ、変色等の変化は見られなかった。
TPE−R17.54g(0.0600モル)、DMAc124.80gを室温で、窒素雰囲気下反応容器中で撹拌、溶解した。これにa−BPDA17.83g(0.0606モル)を徐々に加え、40℃で3時間撹拌した。得られたポリアミック酸溶液をDMAcで希釈し5%溶液とした。このワニス(芳香族テトラカルボン酸成分/芳香族ジアミンが1.01)をド−プとして使用した他は実施例1と同様にして、ポリイミド膜を形成した。このポリイミドは、非結晶でガラス転移温度(Tg)が252℃であった。得られた非結晶性ポリイミド形成SUSを使用した他は、実施例1と同様に実施して両面金属積層板を得た。この両面金属積層板のSUS−ポリイミド界面の90度ピ−ル強度は0.90Kgf/cmであった。さらに、この両面金属積層板を260℃の半田浴に1分間浸漬しても、膨れ、はがれ、変色等の変化は見られなかった。
BAPP7.39g(0.018モル)、APB0.58g(0.002モル)、DMAc55.40gを室温で、窒素雰囲気下反応容器中で撹拌、溶解した。これにs−BPDA5.83g(0.0198モル)を徐々に加え、40℃で3時間撹拌した。得られたポリアミック酸溶液をDMAcで希釈し5%溶液とした。このワニス(芳香族テトラカルボン酸成分/芳香族ジアミンが0.99)をド−プとして使用した他は実施例1と同様にして、SUSに非結晶性ポリイミド膜を形成した。このポリイミドは、非結晶でガラス転移温度(Tg)が241℃であった。得られた非結晶性ポリイミド形成SUSを使用した他は、実施例1と同様に実施して両面金属積層板を得た。この両面金属積層板のSUS−ポリイミド界面の90度ピ−ル強度は1.55Kgf/cmであった。さらに、この両面金属積層板を260℃の半田浴に1分間浸漬しても、膨れ、はがれ、変色等の変化は見られなかった。
BAPP3.28g(0.008モル)、APB0.58g(0.002モル)、DMAc27.20gを室温で、窒素雰囲気下反応容器中で撹拌、溶解した。これにs−BPDA3.00g(0.0102モル)を徐々に加え、40℃で3時間撹拌した。得られたポリアミック酸溶液をDMAcで希釈し5%溶液とした。このワニス(芳香族テトラカルボン酸成分/芳香族ジアミンが1.02)をド−プとして使用した他は実施例1と同様にして、SUSに非結晶性ポリイミド膜を形成した。このポリイミドは、非結晶でガラス転移温度(Tg)が239℃であった。得られた非結晶性ポリイミド形成SUSを使用した他は、実施例1と同様に実施して両面金属積層板を得た。この両面金属積層板のSUS−ポリイミド界面の90度ピ−ル強度は2.30Kgf/cmであった。さらに、この両面金属積層板を260℃の半田浴に1分間浸漬しても、膨れ、はがれ、変色等の変化は見られなかった。
BAPS−M:ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン4.32g(0.01モル)、DMAc29.04gを室温で、窒素雰囲気下反応容器中で撹拌、溶解した。これにs−BPDA3.00g(0.0102モル)を徐々に加え、40℃で3時間撹拌した。得られたポリアミック酸溶液をDMAcで希釈し5%溶液とした。このワニス(芳香族テトラカルボン酸成分/芳香族ジアミンが1.02)をド−プとして使用した他は実施例1と同様にして、SUSに非結晶性ポリイミド膜を形成した。このポリイミドは、非結晶でガラス転移温度(Tg)が245℃であった。得られた非結晶性ポリイミド形成SUSを使用した他は、実施例1と同様に実施して両面金属積層板を得た。この両面金属積層板のSUS−ポリイミド界面の90度ピ−ル強度は1.50Kgf/cmであった。さらに、この両面金属積層板を260℃の半田浴に1分間浸漬しても、膨れ、はがれ、変色等の変化は見られなかった。
APB1.46g(0.005モル)、DMAc11.72gを室温で、窒素雰囲気下反応容器中で撹拌、溶解した。これにs−BPDA1.50g(0.0051モル)を徐々に加え、40℃で3時間撹拌した。得られたポリアミック酸溶液をDMAcで希釈し5%溶液とした。このワニス(芳香族テトラカルボン酸成分/芳香族ジアミンが1.02)をド−プとして使用した他は実施例1と同様にして、SUSに非結晶性ポリイミド膜を形成した。このポリイミドは、非結晶でガラス転移温度(Tg)が206℃であった。得られた非結晶性ポリイミド形成SUSを使用した他は、実施例1と同様に実施して両面金属積層板を得た。この両面金属積層板のSUS−ポリイミド界面の90度ピ−ル強度は2.05Kgf/cmであった。さらに、この両面金属積層板を260℃の半田浴に1分間浸漬しても、膨れ、はがれ、変色等の変化は見られなかった。
SUSを40μm厚みの圧延アルミ箔(日本製箔社製、A1085H−H18)に変えた他は実施例1と同様に実施して両面金属積層板を得た。この両面金属積層板のAl−ポリイミド界面の90度ピ−ル強度は1.25Kgf/cmであった。さらに、この両面金属積層板を260℃の半田浴に1分間浸漬しても、膨れ、はがれ、変色等の変化は見られなかった。
比較例1
4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル2.00g(0.01モル)、DMAc19.76gを室温で、窒素雰囲気下反応容器中で撹拌、溶解した。これにa−BPDA3.00g(0.0102モル)を徐々に加え、40℃で3時間撹拌した。得られたポリアミック酸溶液をDMAcで希釈し5%溶液とした。このワニス(芳香族テトラカルボン酸成分/芳香族ジアミンが1.02)をド−プとして使用した他は実施例1と同様にして、SUSにポリイミド膜を形成した。このポリイミドは、非結晶でガラス転移温度(Tg)が325℃であった。得られた非結晶性ポリイミド形成SUSを使用した他は、実施例1と同様に実施して両面金属積層板を得た。この両面金属積層板のSUS−ポリイミド界面の90度ピ−ル強度は0.20Kgf/cmであった。
比較例2
TPE−R17.54g(0.0600モル)、DMAc124.80gを室温で、窒素雰囲気下反応容器中で撹拌、溶解した。これにs−BPDA18.01g(0.0612モル)を徐々に加え、室温で3時間撹拌した。得られたポリアミック酸溶液を一部取り出しDMAcで希釈し5%溶液とした。このワニス(芳香族テトラカルボン酸成分/芳香族ジアミンが1.02)をド−プとして使用した他は実施例1と同様にして、SUSにポリイミド膜を形成した。このポリイミドは、結晶性でガラス転移温度(Tg)が234℃であった。得られた結晶性ポリイミド形成SUSを使用した他は、実施例1と同様に実施して両面金属積層板を得た。この両面金属積層板のSUS−ポリイミド界面の90度ピ−ル強度は0.10Kgf/cmであった。
比較例3
非結晶性ポリイミドを形成していないSUSを使用した他は、実施例1と同様に実施して両面金属積層板を得た。この両面金属積層板のSUS−ポリイミド界面の90度ピ−ル強度は0.50Kgf/cmであった。なお、両面金属積層板の圧延銅箔−ポリイミド界面の90度ピ−ル強度は、いずれの実施例および比較例においても1.5Kgf/cmであった。

Claims (7)

  1. 反応容器中、有機溶媒、芳香族テトラカルボン酸成分としての3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物あるいはその誘導体および芳香族ジアミン成分としての2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパンの各成分を攪拌、溶解した後、重合してポリアミック酸の溶液とし、このポリアミック酸の溶液あるいはポリアミック酸の溶液にさらに有機溶媒を加えてポリアミック酸のド−プとして使用し、ド−プの薄膜を形成し、その薄膜を加熱乾燥して溶媒を蒸発させて除去するとともにポリアミック酸をイミド環化することを特徴とする非結晶ポリイミド膜の製造方法。
  2. ポリアミック酸のド−プが、ポリアミック酸の濃度が1〜20重量%である請求項1に記載の非結晶ポリイミド膜の製造方法。
  3. 芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分との割合が、等モルから6モル%の酸過剰である請求項1に記載の非結晶ポリイミド膜の製造方法。
  4. 反応容器中が、窒素雰囲気下にある請求項1に記載の非結晶ポリイミド膜の製造方法。
  5. 有機溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドである請求項1に記載の非結晶ポリイミド膜の製造方法。
  6. 非結晶性ポリイミド膜が、金属箔積層体用である請求項1に記載の非結晶ポリイミド膜の製造方法。
  7. 非結晶性ポリイミド膜が、0.05〜3μmの厚みである請求項1に記載の非結晶ポリイミド膜の製造方法。
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