JP2006036739A - フェノール化合物の製造方法 - Google Patents

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Sanshiro Matsuo
三四郎 松尾
Koji Iwamoto
浩二 岩本
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Abstract

【課題】
発色性物質の製造中間体や殺虫・殺ダニ活性化合物の製造中間体として有用な4−アリルオキシフェノール誘導体の効率的な製造方法を提供すること。
【解決手段】
ハイドロキノンと、式(1)
Figure 2006036739

(式中、R1、R2及びR3は独立して水素原子又はハロゲン原子を表し、R4はハロゲン原子を表す。)
で示されるアリルハライド化合物とをアルカリ金属水酸化物の存在下、水、疎水性有機溶媒及びアルコールの混合物中で反応させることを特徴とする、式(2)
Figure 2006036739

(式中、R1、R2及びR3は前記と同じ意味を表す。)
で示されるフェノール化合物の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、フェノール化合物の製造方法に関する。
4−アリルオキシフェノールが発色性物質の製造中間体等として使用できることが知られている(特許文献1参照)。また、4−ハロアリルオキシフェノール化合物が殺虫・殺ダニ活性化合物の製造中間体として使用できることが知られている(特許文献2、特許文献3参照)。
特開平5−64965号公報 特開平8−337549号公報 特開平9−151172号公報
本発明は、発色性物質の製造中間体や殺虫・殺ダニ活性化合物の製造中間体として有用な4−アリルオキシフェノール誘導体の効率的な製造方法を提供することを課題とする。
本発明者等は、4−アリルオキシフェノール誘導体の製造方法について検討した結果、工業的に大量に入手可能なハイドロキノンと、後記式(1)で示されるアリルハライド化合物とを、アルカリ金属水酸化物の存在下、水、疎水性有機溶媒及びアルコールの混合物中で反応させることにより、後記式(2)で示される4−アリルオキシフェノール誘導体が効率的に得られることを見出し本発明を完成した。
即ち、本発明は以下のものである。
1.ハイドロキノンと、式(1)
Figure 2006036739
(式中、R1、R2及びR3は独立して水素原子又はハロゲン原子を表し、R4はハロゲン原子を表す。)
で示されるアリルハライド化合物とをアルカリ金属水酸化物の存在下、水、疎水性有機溶媒及びアルコールの混合物中で反応させることを特徴とする、式(2)
Figure 2006036739
(式中、R1、R2及びR3は前記と同じ意味を表す。)
で示されるフェノール化合物の製造方法。
2.疎水性有機溶媒が芳香族炭化水素溶媒である1.記載のフェノール化合物の製造方法。
3.疎水性有機溶媒がトルエンである1.記載のフェノール化合物の製造方法。
4.アルコールがメタノールである1.〜3.いずれか1項記載のフェノール化合物の製造方法。
5.式(1)で示されるアリルハライド化合物が1,1,3−トリクロロ−1−プロペンである1.〜4.いずれか1項記載のフェノール化合物の製造方法。
6.アルカリ金属水酸化物が水酸化ナトリウムである1.〜5.いずれか1項記載のフェノール化合物の製造方法。
本発明のフェノール化合物の製造方法により、式(2)で示されるフェノール化合物を工業的に入手容易な原料化合物から効率的に製造することができる。
本発明のフェノール化合物の製造方法は、ハイドロキノンと、式(1)
Figure 2006036739
(式中、R1、R2及びR3は独立して水素原子又はハロゲン原子を表し、R4はハロゲン原子を表す。)
で示されるアリルハライド化合物とをアルカリ金属水酸化物の存在下、水、疎水性有機溶媒及びアルコールの混合物中で反応させることを特徴とするものである。
本発明に用いられる式(1)で示されるアリルハライド化合物としては、例えば以下のものが挙げられる。
4が塩素原子であるアリルハライド化合物;R4が臭素原子であるアリルハライド化合物;R1及びR2が水素原子であるアリルハライド化合物;R1及びR2が塩素原子であるアリルハライド化合物。
式(1)で示されるアリルハライド化合物の具体例としては、アリルブロミド、2,3−ジクロロ−1−プロペン及び1,1,3−トリクロロ−1−プロペンが挙げられる。
本発明に用いられる式(1)で示されるアリルハライド化合物の量は、ハイドロキノン1モルに対して1モルの割合が理論量であるが、副生物の生成を抑制するためにハイドロキノン1モルに対して1モルよりも少ないことが望ましく、通常0.2〜1.0モル、好ましくは0.4〜0.8モルの割合である。
本発明に用いられるアルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化セシウムが挙げられる。
本発明に用いられるアルカリ金属水酸化物の量は、式(1)で示されるアリルハライド化合物に対して過剰量を使用すると、式(1)で示されるアリルハライド化合物が分解する恐れがあることから、式(1)で示されるアリルハライド化合物に対して多すぎないことが望ましい。したがって、本発明に用いられるアルカリ金属水酸化物の量は、式(1)で示されるアリルハライド化合物1モルに対して、通常0.8〜1.5モル、好ましくは1.0〜1.2モルの割合である。
本発明に用いられる疎水性有機溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン等の脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル溶媒及びクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ベンゾトリフルオリド等の芳香族ハロゲン化炭化水素溶媒が挙げられる。
本発明に用いられるアルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル等の低級アルコールが挙げられる。
本発明において、水、疎水性有機溶媒及びアルコールの混合比は、水1重量部に対して、疎水性有機溶媒が通常5〜8重量部、アルコールが0.5〜1.5重量部の割合である。
本発明に用いられる水、疎水性有機溶媒及びアルコールの混合物の量は、ハイドロキノン1重量部に対して、通常1〜10重量部の割合である。
本発明のフェノール化合物の製造方法の反応の反応温度は通常40〜100℃で行われ、該反応温度における反応時間は通常5〜24時間程度である。
本発明のフェノール化合物の製造方法の反応は、ハイドロキノン及び/又は式(2)で示されるフェノール化合物の酸化を防止する観点から、好ましくはアルゴン、窒素等の不活性気体雰囲気下で行われる。
本発明のフェノール化合物の製造方法の反応は、例えば疎水性有機溶媒、アルコール、ハイドロキノン及び式(1)で示されるアリルハライド化合物の混合物にアルカリ金属水酸化物の水溶液を攪拌下で滴下することにより行うことができる。
この場合には、アルカリ金属水酸化物の水溶液としては通常アルカリ金属水酸化物の濃度が5〜25重量%、好ましくは5〜15重量%のものが用いられる。
アルカリ金属水酸化物の水溶液を滴下する時間は適宜設定することができるが、通常は4〜8時間の範囲であり、アルカリ金属水酸化物の滴下が終了した時点で反応が十分に進行していない場合は、さらに1〜16時間程度攪拌を継続し、さらに反応を進行させることもできる。
本発明のフェノール化合物の製造方法の反応は、例えば反応混合物を高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー等のクロマトグラフィーで分析することにより、その進行状況を確認することができる。
本発明のフェノール化合物の製造方法の反応終了後は、例えば反応混合物を10〜30℃程度まで冷却してから、反応混合物に酸性水(塩酸、硫酸水等)を加えて分液し、有機層を濃縮することにより、式(2)で示されるフェノール化合物を単離することができる。
単離された式(2)で示されるフェノール化合物は、カラムクロマトグラフィー、再結晶等により精製することもできる。
また、本発明のフェノール化合物の製造方法により得られる式(2)で示されるフェノール化合物を他の化合物の製造中間体として使用する場合には、本発明のフェノール化合物の製造方法の反応により得られた式(2)で示されるフェノール化合物を単離することは要さず、上記分液工程により得られる有機層をそのまま次の工程の反応に使用することもできる。
本発明のフェノール化合物の製造方法により製造される式(2)で示されるフェノール化合物は、前述の通り例えば発色性物質の製造中間体や殺虫・殺ダニ活性化合物の製造中間体として使用することができるが、これらの用途に限定されるものではない。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1
窒素雰囲気下、室温で、トルエン58.16重量部、メタノール17.45重量部、ハイドロキノン12.11重量部及び1,1,3−トリクロロ−1−プロペン7.27重量部を混合した。この混合物に、攪拌下で内温72〜78℃に保持しながら水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム2.2重量部と水17.95重量部との混合物)を6時間かけて滴下し、さらに内温72〜78℃に保持しながら7時間攪拌した。
その後、反応混合物を20℃まで冷却した。この冷却した反応混合物に水15.96重量部と36%塩酸0.88重量部とを加えて、分液した。水層をトルエン29.08重量部で抽出し、得られた有機層を、先に分液して得られた有機層を合せた。
このようにして得られた有機層を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、4−(3,3−ジクロロ−2−プロペニルオキシ)フェノールが、反応に用いた1,1,3−トリクロロ−1−プロペンに対する収率74.2%で得られていることがわかった。
該有機層を濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製して4−(3,3−ジクロロ−2−プロペニルオキシ)フェノールを得る。
高速液体クロマトグラフィーの分析条件
カラム:L−column ODS、5μm、4.6mmφ×15cm
カラム温度:40℃
検出器:UV(290nm)
移動相:水/アセトニトリル=40/60
流速:1.0ml/min.
注入量:10μl
本発明のフェノール化合物の製造方法は、発色性物質の製造中間体や殺虫・殺ダニ活性化合物の製造中間体として有用なフェノール化合物を効率的に製造することができる。

Claims (6)

  1. ハイドロキノンと、式(1)
    Figure 2006036739
    (式中、R1、R2及びR3は独立して水素原子又はハロゲン原子を表し、R4はハロゲン原子を表す。)
    で示されるアリルハライド化合物とをアルカリ金属水酸化物の存在下、水、疎水性有機溶媒及びアルコールの混合物中で反応させることを特徴とする、式(2)
    Figure 2006036739
    (式中、R1、R2及びR3は前記と同じ意味を表す。)
    で示されるフェノール化合物の製造方法。
  2. 疎水性有機溶媒が芳香族炭化水素溶媒である請求項1記載のフェノール化合物の製造方法。
  3. 疎水性有機溶媒がトルエンである請求項1記載のフェノール化合物の製造方法。
  4. アルコールがメタノールである請求項1〜3いずれか1項記載のフェノール化合物の製造方法。
  5. 式(1)で示されるアリルハライド化合物が1,1,3−トリクロロ−1−プロペンである請求項1〜4いずれか1項記載のフェノール化合物の製造方法。
  6. アルカリ金属水酸化物が水酸化ナトリウムである請求項1〜5いずれか1項記載のフェノール化合物の製造方法。
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