JP2006006377A - 薬剤包装用の薬包紙 - Google Patents

Abstract

【課題】 患者が薬剤を服用しやすい分包袋を形成できる薬剤包装用の薬包紙を提供すること。
【解決手段】 ポリプロピレンを基材として長尺シート状に形成し、この長尺シートの長手方向に薬剤Ａをそれぞれ収納する収納部７を熱溶着部６で連続して複数に区画して分包袋８を形成するとともに、長尺シートの長手方向と交叉して収納部７を任意の幅に区画する縦溶着部５と長尺シートの合わせ端を熱溶着する横溶着部４とで熱溶着部６を形成した薬剤包装用の薬包紙において、横溶着部４に、長尺シートの長手方向と交叉する方向へのせん断を誘導する複数の孔９を設けたことを特徴とする。
【選択図】 図２

Description

本発明は、病院や薬局などで、処方箋の内容にしたがって患者ごとに包装される薬剤を収納する薬剤包装用の薬包紙に関するものである。

従来の薬剤包装用の薬包紙は、処方箋の内容にしたがって自動薬剤包装機等で各服用に薬剤を分包し、同一の分包袋に薬剤を入れて投与できるように患者に提供している。そして、この分包袋は、力のない患者でも容易に切り裂くことができるように、ポリプロピレンを基材に作られている。この分包袋はポリプロピレンに熱溶着性のあるポリエチレンをコーティングした帯状シート材を長手方向に２つに折曲げて熱溶着によって連続した袋を形成し、この連続した分包袋をそれぞれ分離できるように長手方向と直交する熱溶着部に切り離し用のミシン目を入れ、処方箋に従い各患者につながった状態で渡される。このため、患者は服用の都度分包袋をミシン目から切り離して服用している。

しかしながら、このような分包袋はポリプロピレンで形成されているため、ミシン目から切り離すときに注意して切り離さないと、ミシン目以外の分包袋自体を切り裂いたり、今回服用しない分の分包袋を切り裂いて薬剤がこぼれ落ちたりすることがあった。また、薬剤がこぼれ落ちないまでも密封性が損なわれ保存性が悪くなることがあった。
そこで、分包袋の切り離し方向と切り裂き方向とをずらしてミシン目から切り離すときに袋が破けたりしないようにするとともに、服用するときに分包袋を簡単に切り裂けるようにするために、分包袋の切り取り用のミシン目の方向と交叉する方向に分包袋を切り裂く切り裂き部を設けたものが提案されている（例えば、特許文献１参照）。また、分包袋を切り離すミシン目にく字状の切り込みを形成したものも提案されている（例えば、特許文献２参照）。さらに、切り裂き部の近くに印字する切り裂き案内表示を縦ヒートシール機構で形成される縦溶着部に合わせて変動させたものも提案されている（例えば、特許文献３参照）。
特開平７−２５５８１９号公報 特開平７−２５７６３１号公報 特許３２４９３３６号公報

上記従来の薬剤包装用の薬包紙において、分包袋は、薬剤を分包しやすくするために、長尺シートの長手方向、すなわちミシン目の方向と交叉する方向に長く形成されている。そのため、薬包紙から分包袋を切り離した後、分包袋のミシン目の方向と交叉する方向に分包袋を切り裂いて薬剤を服用する際、分包袋の開口部が大きくなることにより、患者にとって分包袋内の薬剤を服用しにくい状態となっていた。

本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、患者が薬剤を服用しやすい分包袋を形成できる薬剤包装用の薬包紙を提供することを目的とする。

本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。すなわち本発明は、ポリプロピレンを基材として長尺シート状に形成し、この長尺シートの長手方向に薬剤をそれぞれ収納する収納部を熱溶着部で連続して複数に区画して分包袋を形成するとともに、長尺シートの長手方向と交叉して収納部を任意の幅に区画する縦溶着部と前記長尺シートの合わせ端を熱溶着する横溶着部とで前記熱溶着部を形成した薬剤包装用の薬包紙において、前記横溶着部に、前記長尺シートの長手方向と交叉する方向へのせん断を誘導する複数の孔を設けたことを特徴とする。
本発明の薬剤包装用の薬包紙によれば、横溶着部に複数の孔を設けたことで、横溶着部にせん断力を加えると、横溶着部の一端とある孔との間で横溶着部がせん断され、さらにせん断力を加えると、ある孔と別の孔との間で横溶着部がせん断される。このようにしてせん断力によって孔に誘導されるように横溶着部がせん断された後、さらにせん断力を加えると収納部がせん断され、この収納部が長尺シートの長手方向と交叉する方向に開口されることとなる。その結果、収納部の開口部を小さくした状態で患者が分包袋内の薬剤を服用することができる。

また、本発明の薬剤包装用の薬包紙において、前記複数の孔を前記長尺シートの長手方向に所定の間隔に近接して配置したことを特徴とする。
本発明の薬剤包装用の薬包紙によれば、複数の孔を前記長尺シートの長手方向に所定の間隔に近接して配置したことで、分包袋の横溶着部の任意の箇所でせん断力を加えても、そのせん断箇所とそのせん断箇所に近接したある孔との間で横溶着部がせん断される。そのため、分包袋の横溶着部の任意の箇所から横溶着部がせん断されやすい。

本発明の薬剤包装用の薬包紙によれば、収納部の開口部を小さくした状態で患者が分包袋内の薬剤を服用することができるので、患者が薬剤を服用しやすい分包袋を形成することができる。

また、本発明の薬剤包装用の薬包紙によれば、分包袋の横溶着部の任意の箇所から横溶着部がせん断されやすいので、分包袋の収納部を容易に開口することができる。

以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図１は、本発明を適用した薬剤包装用の薬包紙の部分斜視図である。また、図２は、薬剤包装用の薬包紙の平面図である。また、図３は、薬包紙から分離された分包袋の平面図である。
薬包紙１は、図１に示すように、ポリプロピレンシート２と、このポリプロピレンシート２の一方の面に重ね合わされるポリエチレンシート３とを備え、長尺シート状に形成されている。この薬包紙１は、ポリエチレンシート３が内側になるように、かつ長尺シート状の長手方向の両端、すなわち合わせ端を接合するように２つ折りされる。このとき、図２に示すように、薬包紙１の長手方向の合わせ端が熱溶着されて横溶着部４が形成されるとともに、薬包紙１が長手方向に等間隔に区画されるように、長手方向と直交する方向に縦溶着部５が形成される。すなわち、横溶着部４および縦溶着部５で形成される熱溶着部６によって薬剤Ａを収納できる収納部７を等間隔に区画することで分包袋８が形成される。ここで、分包袋８は、図３に示すように、横溶着部５の長さａよりも縦溶着部４の長さｂが長くなるように、すなわち長尺シートの長手方向に長くなるように区画して形成される。なお、横溶着部４が熱溶着される前に、分包袋８内に薬剤Ａが投入される。

横溶着部４には、横溶着部４の幅に比べて小径の円形状の孔９が複数設けられている。これら孔９は、所定の間隔に近接して、すなわち孔９の直径と同じ距離を有して配置されており、長尺シートの長手方向に平行に３列に配列されている。また、これら孔９は、長尺シートの長手方向と交叉する方向へのせん断を誘導するために、これら孔９の各列間が近接するように配置されている。
また、縦溶着部５には、分包袋８ごとに分離する切り取り用のミシン目１０が直線状に設けられている。このミシン目１０にせん断力を加えながら切り裂くことで、分包袋８が薬包紙１から分離される。

このように構成された薬剤包装用の薬包紙において、薬包紙１から分包袋８を分離した後、その分包袋８を切り裂いて開口し、収納部７内に収納された薬剤を患者が服用する。すなわち、その手順は以下のとおりである。
薬包紙１の長手方向に交叉する方向、すなわちミシン目１０に沿った方向に指等でせん断力を加えて、薬包紙１から分包袋８を切り離す。その後、分包袋８の長手方向に交叉する方向、すなわち図３における矢印の方向に向けて、孔９を設けた横溶着部４に指等でせん断力を加えると、横溶着部４が切り裂かれる。このとき、横溶着部４の一端とその一端に近接する孔９との間においてせん断力に対する抵抗が弱くなっているため、それら横溶着部４の一端とその一端に近接する孔９との間でせん断を誘導するように横溶着部４がせん断される。さらに横溶着部４に指等でせん断力を加えると、孔９と別の孔９との間で横溶着部４が切り裂かれる。さらにせん断力を加えると、横溶着部４が切り裂かれてその切り口が収納部７まで到達し、収納部７が切り裂かれることで分包袋８が開口される。

この場合、長手方向に長くなるように区画して形成された分包袋８が、横溶着部４の孔９を用いて長手方向と交叉する方向に切り裂かれると、長手方向と交叉する方向に開口された状態となるため、分包袋８の開口部を小さくした状態で患者が分包袋８内の薬剤を服用することができる。したがって、患者が薬剤を服用しやすい分包袋８を形成することができる。

また、孔９を長手方向に孔９の直径と同じ距離を有して配置したことで、分包袋８の横溶着部４の一端におけるいずれの箇所でせん断力を加えても、その箇所と、その箇所に近接した孔９との間で横溶着部４がせん断される。そのため、分包袋８の横溶着部４の一端におけるいずれの箇所からでも、横溶着部４がせん断されやすい。したがって、分包袋８を横溶着部４のいずれの箇所からでも容易に開口することができる。

なお、上記実施の形態において、孔９の形状は円形に限定されるものではなく、長手方向と交叉する方向へのせん断を誘導するものであればどのような形状でもよい。
また、上記実施の形態において、孔９の配置は３列に限定されるものではなく、横溶着部４の幅に応じて孔９の列を増減して配列してもよい。
また、上記実施の形態において、孔９は、所定の間隔に近接していれば、孔９の直径と同じ距離を有した配置に限定されるものではない。
また、上記実施の形態において、薬剤Ａを収納できる収納部７を縦溶着部５によって等間隔に区画するのみならず、任意の幅に区画してもよい。
また、上記実施の形態において、薬包紙１は、ポリプロピレンシートおよびポリエチレンシートに材質を限定するものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、セロハン等、薬包紙１に適用可能であればどのような材質を用いてもよい。

本発明における実施の形態に係る薬剤包装用の薬包紙の平面図である。 本発明における実施の形態に係る薬剤包装用の薬包紙の断面図である。 本発明における実施の形態に係る分包袋の平面図である。

符号の説明

１ （薬剤包装用の）薬包紙
２ ポリプロピレンシート
３ ポリエチレンシート
４ 横溶着部
５ 縦溶着部
６ 熱溶着部
７ 収納部
８ 分包袋
９ 孔
１０ ミシン目

Claims (2)

1. ポリプロピレンを基材として長尺シート状に形成し、この長尺シートの長手方向に薬剤をそれぞれ収納する収納部を熱溶着部で連続して複数に区画して分包袋を形成するとともに、長尺シートの長手方向と交叉して収納部を任意の幅に区画する縦溶着部と前記長尺シートの合わせ端を熱溶着する横溶着部とで前記熱溶着部を形成した薬剤包装用の薬包紙において、
   前記横溶着部に、前記長尺シートの長手方向と交叉する方向へのせん断を誘導する複数の孔を設けたことを特徴とする薬剤包装用の薬包紙。
2. 前記複数の孔を前記長尺シートの長手方向に所定の間隔に近接して配置したことを特徴とする請求項１記載の薬剤包装用の薬包紙。

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