本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態において、絶縁層(膜)の形成方法として、絶縁性材料を溶媒に希釈し、絶縁性材料を含む組成物とする。そしてその組成物を被形成領域に塗布(吐出、噴出、滴下等によって)し、絶縁層を形成する。
本実施の形態では、塗布法としてスピンコート法を用いる。このような塗布法により形成される絶縁層において、膜厚分布の不均一が生じたり、表面に微細な凹凸が形成され、平坦性が損なわれる場合がある。このような絶縁層表面の凹凸形状に光が反射、干渉すると、絶縁層表面にその凹凸形状によって生じる放射状や縞状のムラが発生する。この平坦性不良によるムラは、照射する光の波長分布幅が狭いほど、微細な凹凸でも確認することができる。例えば、単一波長に近いナトリウムランプなどの光を照射すると、目視では確認できない微細な絶縁層表面の凹凸によるムラを確認することができる。
図2に、絶縁層表面の凹凸による放射状のムラの模式図を示す。図2(A)は斜面図であり、図2(B)は図2(A)における線E−Fの断面図である。被形成物である基板60上に、絶縁層61が形成されており、絶縁層61は表面に凹凸部65を有している。このような凹凸部65によって、絶縁層61表面には、光の反射や干渉などによる放射状のムラ62が生じている。図2のような、絶縁層表面に凹凸形状を有すると、このような絶縁層を層間膜や平坦化膜として用いた場合、接して形成される他の構成膜の被覆性が悪化し、形成不良を引き起こす恐れがある。また、表示装置において、平坦化膜としてこの絶縁層を適用した場合、この凹凸形状がその上に積層される画素電極層にも反映され、画素電極層表面も凹凸化する。光を放射して表示する際、その凹凸形状によって、光が散乱、干渉し、表示ムラとなってしまう。
前述したように、本発明において、絶縁層は、その膜厚や形成領域を制御するために、絶縁性材料を溶媒に希釈した絶縁性材料を含む組成物として、液状のまま、被形成領域に塗布される。そして、乾燥や加熱などによって、組成物中の溶媒を除去し、絶縁層として形成される。このような絶縁層の膜厚分布の不均一に深く関係する一因として、被形成領域上への吐出、噴出、滴下等によって付着した液状の絶縁性材料中における表面張力の不均一によって生じる対流、いわゆるマランゴニ対流が考えられる。表面張力は、絶縁性材料を含む組成物という流体中の温度や、化学組成(不純物濃度など)によって変化する。絶縁性材料を含む組成物中の溶媒が気化することによって、組成物中に温度差が生じ、それに伴い表面張力差も生じる。表面張力差が粘性力を上まわれば、流体中に流れ(対流)が生じ、絶縁性材料を含む組成物はその表面上(平面と平行方向)、膜厚方向において、対流に反映される形状に変形される。よって、形成される絶縁層も膜厚分布が不均一となり、絶縁層表面においても凹凸形状を有する平坦性の悪い形状となる。
流体におけるマランゴニ対流は、マランゴニ数によって表され、式1において定義される。式1において、Maはマランゴニ数、σは表面張力、Tは温度、μは粘度、αは熱伝導度、hは膜厚、ΔTは流体中の温度分布である。
マランゴニ数の値が小さいほど、マランゴニ対流は抑えられるため、膜厚分布を均一化するためには、マランゴニ数が小さくなるようにすることが重要である。マランゴニ数は、式1に示されるように、液状の絶縁性材料を含む組成物である流体中の温度勾配によって生じる表面張力差、流体の粘度、熱伝導度、流体の長さ(本発明においては絶縁層の膜厚)によって決定される。マランゴニ数は、マランゴニ数を増加させる因子である表面張力差と流体の長さ(膜厚)とをそれぞれ、温度差を小さくしそれに伴う表面張力差を小さくする、流体の長さ(膜厚)を薄くすることによって減少する。また、マランゴニ数を減少させ、マランゴニ対流を抑える因子である粘度と熱伝導度とを高く、大きくすることで、マランゴニ数を小さくすることができる。
本出願人は、所望の絶縁層を平坦性よく形成するための、絶縁性材料を含む組成物の最適な粘度を導き出した。塗布液として塗布される絶縁性材料を含む組成物は、絶縁性材料と希釈する溶剤(溶媒)とが含まれる。粘度は、この絶縁性材料を含む組成物の不揮発分濃度を高くすることで大きく、低くすることで小さく制御することができる。また、粘度は、絶縁性材料を希釈する溶剤の材料を変化させる(溶剤の沸点などを変化させる)ことでも大きく、又は小さく制御することができる。
本発明では、絶縁性材料を含む組成物の粘度を、10mPa・s(cP)以上50mPa・s(cP)以下、より好ましくは20mPa・s(cP)以上35mPa・s(cP)以下とする。また、膜厚は、1μm以上10μm以下、好ましくは0.2μm以上5μm以下とすることができる。塗布液として、前述の粘度で絶縁性材料を含む組成物を作製し、絶縁層を形成すると、膜厚分布の均一な、表面の微細な凹凸まで軽減された非常に平坦な表面を有する絶縁層を形成することができる。本発明の粘度範囲内で形成される絶縁層表面は、微細な凹凸形状による表面荒れまでムラとして確認できる、単色光を照射してもムラが確認できないほど平坦性の良い絶縁層を形成することができる。
また、絶縁性材料を含む組成物中の金属濃度(ナトリウム、鉄、カリウム、銅、カルシウム、クロムなど)の濃度はそれぞれ1ppm以下、好ましくは0.2ppm以下が望ましい。銅、カルシウム、クロムの絶縁性材料を含む組成物中の濃度はそれぞれ0.1ppm以下がより好ましい。よって、絶縁性材料を含む組成物より形成される絶縁層中の金属濃度(ナトリウム、鉄、カリウム、銅、カルシウム、クロムなど)の濃度もそれぞれ1ppm以下、好ましくは0.2ppm以下が望ましい。銅、カルシウム、クロムの絶縁層中の濃度もそれぞれ0.1ppm以下がより好ましい。
基板50上に、塗布材料液である絶縁性材料を含む組成物55を吐出装置54から吐出する(図1(A)参照。)。絶縁性材料を含む組成物55の粘度は、10mPa・s(cP)以上50mPa・s(cP)以下、より好ましくは20mPa・s(cP)以上35mPa・s(cP)以下とする。
基板50上に、吐出された絶縁性材料を含む組成物51を有する基板50は、モーター56を有する回転支持台に、固定され、回転(スピン)する(図1(B)参照。)。回転によって、基板50上で絶縁性材料を含む組成物52は塗り広がる。その後焼成や乾燥によって、絶縁層53が形成される。
本実施の形態で作製する絶縁層は均一な膜厚分布であり、表面の平坦性が極めて高い。
本発明は、塗布液として、液状の絶縁性材料を含む組成物を作製する際、不揮発分濃度と溶剤の沸点などを選択し、粘度を制御できる。よって、大型な真空装置や加熱装置などは不要であり、時間もコストも削減できる。本発明により、膜厚分布の均一な平坦性のよい絶縁層を、簡略な工程で歩留まりよく形成することができる。
(実施の形態2)
表示装置の作製方法を、図3乃至図5、図14及び図15を用いて詳細に説明する。
図14(A)は本発明に係る表示パネルの構成を示す上面図であり、絶縁表面を有する基板2700上に画素2702をマトリクス上に配列させた画素部2701、走査線側入力端子2703、信号線側入力端子2704が形成されている。画素数は種々の規格に従って設ければ良く、XGAであれば1024×768×3(RGB)、UXGAであれば1600×1200×3(RGB)、フルスペックハイビジョンに対応させるのであれば1920×1080×3(RGB)とすれば良い。
画素2702は、走査線側入力端子2703から延在する走査線と、信号線側入力端子2704から延在する信号線とが交差することで、マトリクス状に配設される。画素2702のそれぞれには、スイッチング素子とそれに接続する画素電極層が備えられている。スイッチング素子の代表的な一例はTFTであり、TFTのゲート電極層側が走査線と、ソース若しくはドレイン側が信号線と接続されることにより、個々の画素を外部から入力する信号によって独立して制御可能としている。
TFTは、その主要な構成要素として、半導体層、ゲート絶縁層及びゲート電極層が挙げられ、半導体層に形成されるソース及びドレイン領域に接続する配線層がそれに付随する。構造的には基板側から半導体層、ゲート絶縁層及びゲート電極層を配設したトップゲート型と、基板側からゲート電極層、ゲート絶縁層及び半導体層を配設したボトムゲート型などが代表的に知られているが、本発明においてはそれらの構造のどのようなものを用いても良い。
図14(A)は、走査線及び信号線へ入力する信号を、外付けの駆動回路により制御する表示パネルの構成を示しているが、図15(A)に示すように、COG(Chip on Glass)方式によりドライバIC2751を基板2700上に実装しても良い。また他の実装形態として、図15(B)に示すようなTAB(Tape Automated Bonding)方式を用いてもよい。ドライバICは単結晶半導体基板に形成されたものでも良いし、ガラス基板上にTFTで回路を形成したものであっても良い。図15において、ドライバIC2751は、FPC(Flexible printed circuit)2750と接続している。
また、画素に設けるTFTをSASで形成する場合には、図14(B)に示すように走査線側駆動回路3702を基板3700上に形成し一体化することもできる。図14(B)において、画素部3701は、信号線側入力端子3704と接続した図14(A)と同様に外付けの駆動回路により制御する。画素に設けるTFTを移動度の高い、多結晶(微結晶)半導体、単結晶半導体などで形成する場合は、図14(C)は、画素部4701、走査線駆動回路4702と、信号線駆動回路4704を基板4700上に一体形成することもできる。
絶縁表面を有する基板100の上に下地膜として、スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等により窒化酸化珪素膜(SiNO)を用いて下地膜101aを10〜200nm(好ましくは50〜100nm)を形成し、酸化窒化珪素膜(SiON)を用いて下地膜101bを50〜200nm(好ましくは100〜150nm)積層する。本実施の形態では、プラズマCVD方を用いて下地膜101a、下地膜101bを形成する。基板100としてはガラス基板、石英基板やシリコン基板、金属基板またはステンレス基板の表面に絶縁膜を形成したものを用いて良い。また、本実施の形態の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いてもよいし、フィルムのような可撓性基板を用いても良い。また、下地膜として2層構造を用いてもよいし、下地(絶縁)膜の単層膜又は2層以上積層させた構造を用いてもよい。また、下地膜101a、下地膜101bとして材料としてシロキサンポリマーを用い、実施の形態1で示した本発明の絶縁層を用いてもよい。
次いで、下地膜上に半導体層を形成する。半導体層は25〜200nm(好ましくは30〜150nm)の厚さで公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により成膜すればよい。
半導体層を形成する材料は、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いて気相成長法やスパッタリング法で作製されるアモルファス半導体(以下「AS」ともいう。)、該非晶質半導体を光エネルギーや熱エネルギーを利用して結晶化させた多結晶半導体、或いはセミアモルファス(微結晶若しくはマイクロクリスタルとも呼ばれる。以下「SAS」ともいう。)半導体などを用いることができる。
SASは、非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造を有し、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質な領域を含んでいる。少なくとも膜中の一部の領域には、0.5〜20nmの結晶領域を観測することが出来、珪素を主成分とする場合にはラマンスペクトルが520cm-1よりも低波数側にシフトしている。X線回折では珪素結晶格子に由来するとされる(111)、(220)の回折ピークが観測される。未結合手(ダングリングボンド)の終端化するために水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。SASは、珪化物気体をグロー放電分解(プラズマCVD)して形成する。珪化物気体としては、SiH4、その他にもSi2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などを用いることが可能である。またF2、GeF4を混合させても良い。この珪化物気体をH2、又は、H2とHe、Ar、Kr、Neから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈しても良い。希釈率は2〜1000倍の範囲、圧力は概略0.1Pa〜133Paの範囲、電源周波数は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHzである。基板加熱温度は300℃以下が好ましく、100〜200℃の基板加熱温度でも形成可能である。ここで、主に成膜時に取り込まれる不純物元素として、酸素、窒素、炭素などの大気成分に由来する不純物は1×1020cm-3以下とすることが望ましく、特に、酸素濃度は5×1019cm-3以下、好ましくは1×1019cm-3以下となるようにすることが好ましい。また、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンなどの希ガス元素を含ませて格子歪みをさらに助長させることで安定性が増し良好なSASが得られる。また半導体層としてフッ素を含むガスより形成されるSAS層に水素を含むガスより形成されるSAS層を積層してもよい。
アモルファス半導体としては、代表的には水素化アモルファスシリコン、結晶性半導体としては代表的にはポリシリコンなどがあげられる。ポリシリコン(多結晶シリコン)には、800℃以上のプロセス温度を経て形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂高温ポリシリコンや、600℃以下のプロセス温度で形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂低温ポリシリコン、また結晶化を促進する元素などを添加し結晶化させたポリシリコンなどを含んでいる。もちろん、前述したように、セミアモルファス半導体又は半導体層の一部に結晶相を含む半導体を用いることもできる。
半導体層に、結晶性半導体層を用いる場合、その結晶性半導体層の作製方法は、公知の方法(レーザ結晶化法、熱結晶化法、またはニッケルなどの結晶化を助長する元素を用いた熱結晶化法等)を用いれば良い。また、SASである微結晶半導体をレーザ照射して結晶化し、結晶性を高めることもできる。結晶化を助長する元素を導入しない場合は、非晶質珪素膜にレーザ光を照射する前に、窒素雰囲気下500℃で1時間加熱することによって非晶質珪素膜の含有水素濃度を1×1020atoms/cm3以下にまで放出させる。これは水素を多く含んだ非晶質珪素膜にレーザ光を照射すると非晶質珪素膜が破壊されてしまうからである。
非晶質半導体層への金属元素の導入の仕方としては、当該金属元素を非晶質半導体層の表面又はその内部に存在させ得る手法であれば特に限定はなく、例えばスパッタ法、CVD法、プラズマ処理法(プラズマCVD法も含む)、吸着法、金属塩の溶液を塗布する方法を使用することができる。このうち溶液を用いる方法は簡便であり、金属元素の濃度調整が容易であるという点で有用である。また、このとき非晶質半導体層の表面のぬれ性を改善し、非晶質半導体層の表面全体に水溶液を行き渡らせるため、酸素雰囲気中でのUV光の照射、熱酸化法、ヒドロキシラジカルを含むオゾン水、又は過酸化水素による処理等により、酸化膜を成膜することが望ましい。
非晶質半導体層の結晶化は、熱処理とレーザ光照射による結晶化を組み合わせてもよく、熱処理やレーザ光照射を単独で、複数回行っても良い。
また、プラズマ法を用いて、結晶性半導体層を選択的に基板に形成してもよい。
半導体として、有機半導体材料を用い、印刷法、スプレー法、スピン塗布法、液滴吐出法などで形成することができる。この場合、上記エッチング工程が必要ないため、工程数を削減することが可能である。有機半導体としては、低分子材料、高分子材料などが用いられ、有機色素、導電性高分子材料などの材料も用いることができる。本発明に用いる有機半導体材料としては、その骨格が共役二重結合から構成されるπ電子共役系の高分子材料が望ましい。代表的には、ポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリチオフェン誘導体、ペンタセン等の可溶性の高分子材料を用いることができる。
その他にも本発明に用いることができる有機半導体材料としては、可溶性の前駆体を成膜した後で処理することにより半導体領域を形成することができる材料がある。なお、このような有機半導体材料としては、ポリチエニレンビニレン、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)、ポリアセチレン、ポリアセチレン誘導体、ポリアリレンビニレンなどがある。
前駆体を有機半導体に変換する際には、加熱処理だけではなく塩化水素ガスなどの反応触媒を添加することがなされる。また、これらの可溶性有機半導体材料を溶解させる代表的な溶媒としては、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、クロロフォルム、ジクロロメタン、γブチルラクトン、ブチルセルソルブ、シクロヘキサン、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、シクロヘキサノン、2−ブタノン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド(DMF)または、THF(テトラヒドロフラン)などを適用することができる。
このようにして得られた半導体層に対して、TFTのしきい値電圧を制御するために微量な不純物元素(ボロンまたはリン)のドーピングを行う。本実施の形態では、結晶性半導体層を用いる。
第1のフォトマスクを作製し、フォトリソグラフィ法を用いたパターニング処理により、半導体層102を形成する。
半導体層102を覆うゲート絶縁膜105を形成する。ゲート絶縁膜105はプラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを40〜150nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。ゲート絶縁膜105としては、珪素の酸化物材料又は窒化物材料等の公知の材料で形成すればよく、積層でも単層でもよい。本実施の形態では、窒化珪素膜、酸化珪素膜、窒化珪素膜3層の積層を用いる。またそれらや、酸化窒化珪素膜の単層、2層からなる積層でも良い。好適には、緻密な膜質を有する窒化珪素膜を用いるとよい。なお、低い成膜温度でゲートリーク電流が少ない緻密な絶縁膜を形成するには、アルゴンなどの希ガス元素を反応ガスに含ませ、形成される絶縁膜中に混入させると良い。
次いで、ゲート絶縁膜105上にゲート電極層として用いる膜厚20〜100nmの第1の導電膜と、膜厚100〜400nmの第2の導電膜とを積層して形成する。第1の導電膜及び第2の導電膜はTa、W、Ti、Mo、Al、Cuから選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成すればよい。また、第1の導電膜及び第2の導電膜としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いてもよい。また、2層構造に限定されず、例えば、膜厚50nmのタングステン膜、膜厚500nmのアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、膜厚30nmの窒化チタン膜を順次積層した3層構造としてもよい。また、3層構造とする場合、第1の導電膜のタングステンに代えて窒化タングステンを用いてもよいし、第2の導電膜のアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜に代えてアルミニウムとチタンの合金膜(Al−Ti)を用いてもよいし、第3の導電膜の窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよい。また、単層構造であってもよい。
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなる第2のフォトマスクを形成し、電極層及び配線を形成するための第1のエッチング処理を行う。ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング条件(コイル型の電極層に印加される電力量、基板側の電極層に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することにより、第1の導電膜及び第2の導電膜を所望のテーパー形状にエッチングすることができる。なお、エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4もしくはCCl4などを代表とする塩素を含むガス、CF4、SF6もしくはNF3などを代表とするフッ素を含むガス又はO2を適宜用いることができる。
第1のエッチング処理により第1の導電層と第2の導電層から成る第1の形状の導電層(第1の導電層と第2の導電層)を形成する。
次いで、レジストからなるマスクを除去せずに第2のエッチング処理を行う。ここでは、W膜を選択的にエッチングする。この時、第2のエッチング処理により第2の導電層を形成する。一方、第1の導電層は、ほとんどエッチングされず、第2の形状の導電層を形成する。よって導電層106及び107が形成される。また、外部との電気的な接続を行う、端子部において、端子電極層として機能する導電層180、181も同工程で形成する(図5参照。)。本実施の形態では、導電層の形成をドライエッチングで行うがウェットエッチングでもよい。
次いで、半導体層に不純物領域を形成する。本実施の形態では、画素部のTFTとしてp型不純物領域を有するpチャネル型TFTを用いる例を示すが、n型不純物領域を有するn型チャネルTFTを用いることもできる。図3及び図4は画素部のみを示しているので、n型不純物領域は図示していないが、本実施の形態では表示装置のより詳細な図である図5に示すように、周辺回路部のTFTにはn型不純物領域を有している物も含む。レジストマスクを除去した後、第3のフォトマスクを用いてレジストマスクを新たに形成し、nチャネル型TFTを形成するため、半導体にn型を付与する不純物元素(代表的にはリン(P)、または砒素(As))を低濃度にドープするための第1のドーピング工程を行う。レジストマスクは、pチャネル型TFTとなる領域と、導電層の近傍とを覆う。この第1のドーピング工程によって絶縁層を介してスルードープを行い、低濃度不純物領域を形成する。一つの発光素子は、複数のTFTを用いて駆動させるが、pチャネル型TFTのみで駆動させる場合には、上記ドーピング工程は特に必要ない。
次いで、レジストマスクを除去した後、第4のフォトマスクを用いてレジストマスクを新たに形成し、半導体にp型を付与する不純物元素(代表的にはボロン(B))を高濃度にドープするための第2のドーピング工程を行う。この第2のドーピング工程によってゲート絶縁膜105を介してスルードープを行い、p型の不純物領域103、104を形成する。
次いで、第5のフォトマスクを用いてレジストマスクを新たに形成し、ここではnチャネル型TFTを形成するため、半導体にn型を付与する不純物元素(代表的にはリン、またはAs)を高濃度にドープするための第3のドーピング工程を行う。第3のドーピング工程におけるイオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜5×1015/cm2とし、加速電圧を60〜100kVとして行う。レジストマスクは、pチャネル型TFTとなる領域を覆う。この第3のドーピング工程によってゲート絶縁膜105を介してスルードープを行い、n型の低濃度不純物領域、高濃度不純物領域を形成する。
以上までの工程で、それぞれの半導体層に不純物領域が形成される。
次いで、レジストからなるマスクを除去してパッシベーション膜として水素を含む絶縁膜108を形成する(図3(A)参照。)。この絶縁膜108としては、プラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを100〜200nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。絶縁膜108は窒化珪素膜に限定されるものでなく、プラズマCVDを用いた窒化酸化珪素(SiNO)膜でもよく、他の珪素を含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
さらに、窒素雰囲気中で、300〜550℃で1〜12時間の熱処理を行い、半導体層を水素化する工程を行う。好ましくは、400〜500℃で行う。この工程は絶縁膜108に含まれる水素により半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。
絶縁膜108は窒化珪素、酸化珪素、酸化窒化珪素(SiON)、窒化酸化珪素(SiNO)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化窒化アルミニウム(AlON)、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウム(AlNO)または酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜(CN)を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。また、シロキサン樹脂を用いてもよい。
不純物元素を活性化するために加熱処理、強光の照射、又はレーザ光の照射を行ってもよい。活性化と同時にゲート絶縁膜へのプラズマダメージやゲート絶縁膜と半導体層との界面へのプラズマダメージを回復することができる。
次いで、層間絶縁膜となる絶縁層109を形成する。本発明において、平坦化のために設ける層間絶縁膜としては、耐熱性および絶縁性が高く、且つ、平坦化率の高いものが要求されている。よって耐熱性平坦化膜が好ましい。本実施の形態では、こうした絶縁層の形成方法として、スピン塗布法を用いる。
本実施の形態では、絶縁層109の材料としては、シロキサン樹脂を用いる。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。本実施の形態では、焼成した後の膜は、アルキル基を含む酸化珪素膜(SiOx)とも呼べる。このアルキル基を含む酸化珪素(SiOx)膜は、高い光透過性を有しており、300℃以上の加熱処理にも耐えうるものである。
本実施の形態において、塗布法による絶縁層109の形成方法は、まず、純水での洗浄を行った後、濡れ性を向上させるためにシンナープリウェット処理を行い、シリコン(Si)と酸素(O)との結合を有する低分子成分(前駆体)を溶媒に溶解させた絶縁性材料を含む組成物を基板上に塗布装置から塗布する。その後、組成物を基板とともに加熱して溶媒の揮発(蒸発)と、低分子成分の架橋反応とを進行させることによって、薄膜を得ることができる。そして、塗布膜が形成された基板端面周辺部の塗布膜を除去する。また、絶縁層(隔壁)を形成する場合には、所望の形状にするパターニングを行えばよい。また、膜厚は、スピン回転数、回転時間、塗布材料液である絶縁性材料を含む組成物の濃度および粘度によって制御する。
ここで、絶縁層109の形成手順を図16及び図17を用いて詳細に説明する。
まず、絶縁層を形成する被処理基板の純水洗浄を行う。メガソニック洗浄を行ってもよい。次いで140℃のデハイドロベークを110秒行った後、水冷プレートによって120秒クーリングして基板温度の一定化を行う。次いで、図16(A)に示すスピン式の塗布装置に搬送して基板をセットする。
図16(A)はスピン式の塗布装置の断面模式図を示している。図16(A)において、1001はノズル、1002は基板、1003は塗布カップ、1004は塗布材料液を示している。本実施の形態においては、塗布材料液として絶縁性材料を含む組成物を用いる。ノズル1001からは塗布材料液が滴下される機構となっており、塗布カップ1003内に基板1002が水平に収納され、塗布カップごと全体が回転する機構となっている。また、塗布カップ1003内の雰囲気は圧力制御することができる機構となっている。
スピン式の塗布装置は、ノズル及び塗布カップを有している。塗布材料液が基板に滴下される機構となっており、塗布カップ内に基板が水平に収納され、塗布カップごと全体が回転する機構となっている。また、塗布カップ内の雰囲気は圧力制御することができる機構となっている。
次いで、濡れ性を向上させるためにシンナー(芳香族炭化水素(トルエンなど)、アルコール類、酢酸エステル類などを配合した揮発性の混合溶剤)などの有機溶剤によるプリウェット塗布を行う。シンナーを70ml滴下しながら基板をスピン(回転数100rpm)させてシンナーを遠心力で万遍なく広げた後、高速度でスピン(回転数450rpm)させてシンナーを振り切る。
次いで、シロキサンポリマーを溶媒に溶解させた液状原料に用いた塗布材料液をノズルから滴下しながら徐々にスピン(回転数0rpm→1000rpm)させて5秒保持し、塗布材料液を遠心力で万遍なく広げる。シロキサンポリマーに対する溶媒として、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEAともいう)、3−メトシキ−3メチル−1−ブタノール(MMBともいう)などを用いることができ、本実施の形態ではMMBを用いる。本発明を適用し、絶縁性材料を含む組成物である塗布材料液の粘度を、10mPa・s(cP)以上50mPa・s(cP)以下、より好ましくは20mPa・s(cP)以上35mPa・s(cP)以下とする。塗布材料液として、前述の粘度で絶縁性材料を含む組成物を作製し、絶縁層を形成すると、膜厚分布の均一な、表面の微細な凹凸まで軽減された非常に平坦な表面を有する絶縁層を形成することができる。本実施の形態では、絶縁性材料を含む組成物の粘度を28mPa・s、不揮発分濃度30%とする。また、不揮発分濃度とは、本実施の形態では絶縁性材料とその希釈溶媒とを含む塗布材料液である、絶縁性材料を含む組成物の質量に対する揮発後の残分の質量の比である。また、絶縁性材料を含む組成物(絶縁性材料とその希釈溶媒とを含む塗布材料液)中の金属濃度(ナトリウム、鉄、カリウム、銅、カルシウム、クロムなど)の濃度はそれぞれ1ppm以下、好ましくは0.2ppm以下が望ましい。銅、カルシウム、クロムの絶縁性材料を含む組成物中の濃度はそれぞれ0.1ppm以下がより好ましい。よって、絶縁性材料を含む組成物より形成される絶縁層中の金属濃度(ナトリウム、鉄、カリウム、銅、カルシウム、クロムなど)の濃度もそれぞれ1ppm以下、好ましくは0.2ppm以下が望ましい。銅、カルシウム、クロムの絶縁層中の濃度もそれぞれ0.1ppm以下がより好ましい。
シロキサンの構造により、例えば、シリカガラス、アルキルシロキサンポリマー、アルキルシルセスキオキサンポリマー、水素化シルセスキオキサンポリマー、水素化アルキルシルセスキオキサンポリマーなどに分類することができる。次いで、回転を停止した状態で約30秒保持した後、再び徐々にスピン(回転数0rpm→1400rpm)させて、25秒間保持し塗布膜をレベリングする。
次いで、排気して塗布カップ内を減圧にし、減圧乾燥を1分以内で行ってもよい。
次いで、図16(A)に示すスピン式の塗布装置に備えられたエッジリムーバーによって、エッジ除去処理を行う。図16(B)には、基板1002の周辺に沿って平行移動する駆動手段を備えたエッジリムーバー1006が示されている。エッジリムーバー1006には、図16(C)に示したようなシンナー吐出ノズル1007が基板の一辺を挟むように併設されており、シンナーによって塗布膜1008の外周部を溶かし、液体およびガスを図中矢印方向に排出して基板端面周辺部の塗布膜を除去する。
その後、110℃のベークを170秒行ってプリベークを行う。
次いで、スピン式の塗布装置から基板を搬出して冷却した後、さらに270℃、1時間の焼成を行う。
以上の手順を示したフロー図が図17である。こうして絶縁層109を形成する(図3(B)参照。)。また、膜厚は、絶縁層が形成される領域の凹凸によって異なるが0.1μm以上10μm以下、好ましくは0.2μm以上5μm以下とするとよい。
本発明において、配線層若しくは電極層を形成する導電層や、所定のパターンを形成するためのマスク層などを、液滴吐出法のような選択的にパターンを形成できる方法により形成してもよい。液滴吐出(噴出)法(その方式によっては、インクジェット法とも呼ばれる。)は、特定の目的に調合された組成物の液滴を選択的に吐出(噴出)して所定のパターン(導電層や絶縁層など)を形成することができる。この際、被形成領域に酸化チタン膜などを形成する前処理を行ってもよい。また、パターンが転写、または描写できる方法、例えば印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)なども用いることができる。
絶縁層109は、無機絶縁性材料、又はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又は珪素、酸素、水素からなる化合物のうちSi−O−Si結合を含む無機シロキサン、珪素に結合されている水素がメチルやフェニルのような有機基に置換された有機シロキサンの絶縁性材料で形成することができる。アクリル、ポリイミド等の感光性、非感光性の材料、低誘電率であるLow k材料を用いて形成してもよい。また上記絶縁層109のように形成する絶縁層を、下地膜101a、下地膜101bとして用いることもできる。
次いで、レジストからなるマスクを用いて絶縁層109にコンタクトホール(開口部)を形成すると同時に周縁部の絶縁層を除去する。絶縁膜と選択比が取れる条件でエッチング(ウェットエッチングまたはドライエッチング)を行う。用いるエッチング用ガスに不活性気体を添加してもよい。添加する不活性元素としては、He、Ne、Ar、Kr、Xeから選ばれた一種または複数種の元素を用いることができる。中でも比較的原子半径が大きく、且つ、安価なアルゴンを用いることが好ましい。本実施の形態では、CF4、O2、He、Arとを用いる。ドライエッチングを行う際のエッチング条件は、CF4の流量を380sccm、O2の流量を290sccm、Heの流量を500sccm、Arの流量を500sccm、RFパワーを3000W、圧力を25Paとする。上記条件によりエッチング残渣を低減することができる。
なお、ゲート絶縁膜105上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させ、オーバーエッチングすると良い。1回のエッチングでテーパー形状としてもよいし、複数のエッチングによってテーパー形状にしてもよい。さらにCF4、O2、Heを用いて、CF4の流量を550sccm、O2の流量を450sccm、Heの流量を350sccm、RFパワーを3000W、圧力を25Paとし、2回目のドライエッチングを行ってテーパー形状としてもよい。
ゲート絶縁膜105をエッチングし、ソース領域、ドレイン領域に達する開口部を形成する。開口部は、絶縁層109をエッチングした後、再度マスクを形成するか、エッチングされた絶縁層109をマスクとして、絶縁膜108及びゲート絶縁膜105をエッチングし、開口部を形成すればよい。エッチング用ガスにCHF3とArを用いてゲート絶縁膜105のエッチング処理を行う。上記条件のエッチングにより、エッチング残渣を低減し、凹凸の少ない平坦性の高いコンタクトホールを形成することができる。なお、より半導体層上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると良い。
導電膜を形成し、導電膜をエッチングして各不純物領域とそれぞれ電気的に接続する電極層112を形成する。この電極層112は、後に形成する発光素子の第1の電極層と接し、薄膜トランジスタと発光素子を電気的に接続する配線である。電極層112はソース電極、ドレイン電極としても機能する。導電膜は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)もしくはシリコン(Si)の元素からなる膜又はこれらの元素を用いた合金膜を用いればよい。なお本実施の形態では、順にTi、TiN、Al、TiNをそれぞれ順に60nm、40nm、350nm、100nmに積層したのち、所望の形状にパターニングして、電極層112を形成する。なお、TiNは、絶縁層との密着性が良好な材料の一つである。よってピーリングなどの膜はがれが生じにくい。また、上記構造であると、TiNはAlの拡散に強いバリア層としても機能する。加えて、TFTのソース領域またはドレイン領域とコンタクトを取るためにTiNのN含有量は44atomic%より少なくすることが好ましい。なおより望ましくはTiNのN含有量は7atomic%より多く、44atomic%より少なくするとよい。また、導電膜をTiN、Alの2層構造にして工程を簡略化してもよい。
エッチングは、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法により、BCl3とCl2を用いて、エッチング条件は、コイル型の電極に印加される電力量450W、基板側の電極に印加される電力量100W、圧力1.9Paで行う。
また、絶縁膜108、絶縁層109をパターニングする際のエッチングによって、端子部の絶縁層も同時に除去し、導電層180、181を露出させる。本実施の形態では、電極層112を形成する工程において、配線層184も同時に、同材料によって形成する。その際、絶縁膜108、絶縁層109の外端部に傾斜(テーパー形状)を有するように形成すると、配線層184の被覆性が向上する。テーパー角としては30度を超え70度未満とすることが好ましい。
以上のような工程により、TFT150、TFT165、TFT175を備えた(アクティブマトリクス)素子基板が完成する。本実施の形態では画素領域にはpチャネル型TFTしか図示していないが、nチャネル型TFTを有していてもよく、またTFTはチャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造でも、二つ形成されるダブルゲート構造もしくは三つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。また、駆動回路部のTFTも、シングルゲート構造、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。
なお、本実施の形態で示したTFTの作製方法に限らず、トップゲート型(プレーナー型)、ボトムゲート型(逆スタガ型)、あるいはチャネル領域の上下にゲート絶縁膜を介して配置された2つのゲート電極層を有する、デュアルゲート型やその他の構造においても適用できる。
次に、電極層112と接するように、第1の電極層117(画素電極層ともいう。)を形成する。第1の電極層は陽極、または陰極として機能し、Ti、TiN、Ni、W、Cr、Pt、Zn、Sn、In、またはMoから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料(TiSiXNY、WSiX、WNX、WSiXNY、NbNなど)を主成分とする膜またはそれらの積層膜を総膜厚100nm〜800nmの範囲で用いればよい。
本実施の形態では、表示素子として発光素子を用い、発光素子からの光を第1の電極層側から取り出す構造のため、第1の電極層が透光性を有する。第1の電極層として、透明導電膜を形成し、所望の形状にエッチングすることで第1の電極層117を形成する(図3(D)参照。)。本発明で用いる第1の電極層117として、酸化珪素を含む酸化インジウムスズ(酸化珪素を含むインジウム錫酸化物ともいう、以下、「ITSO」という。)、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウムなどを用いてもよい。この他、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合した酸化インジウム酸化亜鉛合金などの透明導電膜を用いることができる。第1の電極層117として上記透明導電膜の他に、窒化チタン膜またはチタン膜を用いても良い。この場合、透明導電膜を成膜した後に、窒化チタン膜またはチタン膜を、光が透過する程度の膜厚(好ましくは、5nm〜30nm程度)で成膜する。本実施の形態では、第1の電極層117として、酸化インジウムスズと酸化珪素を用いたITSOを用いる。本実施の形態では、ITSO膜を、インジウム錫酸化物に1〜10[%]の酸化珪素(SiO2)を混合したターゲットを用い、Arガス流量を120sccm、O2ガス流量を5sccm、圧力を0.25Pa、電力3.2kWとしてスパッタ法により膜厚110nmで成膜する。第1の電極層117は、その表面が平坦化されるように、CMP法、ポリビニルアルコールなどの多孔質体で拭浄し、研磨しても良い。またCMP法を用いた研磨後に、第1の電極層117の表面に紫外線照射、酸素プラズマ処理などを行ってもよい。
第1の電極層117を形成後、加熱処理を行ってもよい。この加熱処理により、第1の電極層117中に含まれる水分は放出される。よって、第1の電極層は脱ガスなどを生じないため、第1の電極層上に水分によって劣化しやすい発光材料を形成しても、発光材料は劣化せず、信頼性の高い表示装置を作製することができる。本実施の形態では、第1の電極層にITSOを用いているので、ベークを行ってもITO(酸化インジウム酸化スズ合金)のように結晶化せず、アモルファス状態のままである。従って、ITSOは、ITOよりも平坦性が高く、有機化合物を含む層が薄くとも陰極とのショートが生じにくい。
次に、第1の電極層117の端部、電極層112を覆う絶縁層(絶縁物)114(バンク、隔壁、障壁、土手などと呼ばれる)を形成する。この絶縁層114の形成にも本発明を適用することができる。本実施の形態では、絶縁層114も絶縁層109と同材料、同工程で、同様に形成する。よって、塗布材料液である絶縁性材料を含む組成物は、粘度を、10mPa・s(cP)以上50mPa・s(cP)以下、より好ましくは20mPa・s(cP)以上35mPa・s(cP)以下とする。塗布材料液として、前述の粘度で絶縁性材料を含む組成物を作製し、塗布装置により絶縁層を形成すると、膜厚分布の均一な、表面の微細な凹凸まで軽減された非常に平坦な表面を有する絶縁層を形成することができる。また、膜厚は、絶縁層が形成される領域の凹凸によって異なるが0.5μm以上1.5μm以下とするとよい。エッチングには、ドライエッチングとウェットエッチングのどちらかを用いることができるが、ここではCF4とO2とHeの混合ガスを用いたドライエッチングにより絶縁層114を形成する(図4(E)参照。)。圧力は5Pa、1500Wで、CF425sccm、O225sccm、He50sccmでドライエッチングを行う。このドライエッチングにおいて、アルキル基を含むSiOx膜のエッチングレートは500〜600nm/min、一方、ITSO膜のエッチングレートは10nm/min以下であり十分選択比が取れる。また、電極層112は、絶縁層114に覆われるため、絶縁層114と密着性のよいTiN膜が最表面となっている。
絶縁層114は、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウムその他の無機絶縁性材料、又はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又は珪素、酸素、水素からなる化合物のうちSi−O−Si結合を含む無機シロキサン、珪素に結合されている水素がメチルやフェニルのような有機基に置換された有機シロキサンの絶縁性材料で形成することができる。アクリル、ポリイミド等の感光性、非感光性の材料を用いて形成してもよい。絶縁層114は曲率半径が連続的に変化する形状が好ましく、上に形成される電界発光層119、第2の電極層120の被覆性が向上する。層間絶縁膜である絶縁層109と隔壁である絶縁層114を同じ材料を用いると、製造コストを削減することができる。また、塗布成膜装置やエッチング装置などの装置の共通化によるコストダウンが図れる。
また、さらに信頼性を向上させるため、電界発光層(有機化合物を含む層)119の形成前に真空加熱を行って脱気を行うことが好ましい。例えば、有機化合物材料の蒸着を行う前に、基板に含まれるガスを除去するために減圧雰囲気や不活性雰囲気で200〜400℃、好ましくは250〜350℃の加熱処理を行うことが望ましい。またそのまま大気に晒さずに電界発光層119を真空蒸着法や、減圧下の液滴吐出法で形成することが好ましい。この熱処理で、第1の電極層となる導電膜や絶縁層(隔壁)に含有、付着している水分を放出することができる。この加熱処理は、真空を破らず、真空のチャンパー内を基板が輸送できるのであれば、先の加熱工程と兼ねることもでき、先の加熱工程を絶縁層(隔壁)形成後に、一度行えばよい。ここでは、層間絶縁膜と絶縁層(隔壁)とを高耐熱性を有するSiOx膜で形成しているため、高い加熱処理を加えても問題ない。従って、加熱処理による信頼性向上のための工程を十分行うことができる。
第1の電極層117の上には電界発光層119が形成される。なお、図4では一画素しか図示していないが、本実施の形態ではR(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した電界電極層を作り分けている。本実施の形態では電界発光層119として、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光を示す材料を、それぞれ蒸着マスクを用いた蒸着法等によって選択的に形成する。赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光を示す材料は、液滴吐出法により形成することもでき(低分子または高分子材料など)、この場合マスクを用いずとも、RGBの塗り分けを行うことができるため好ましい。
次に、電界発光層119の上に導電膜からなる第2の電極層120が設けられる。第2の電極層120としては、仕事関数の小さい材料(Al、Ag、Li、Ca、またはこれらの合金や化合物MgAg、MgIn、AlLi、CaF2、またはCaN)を用いればよい。
図4(F)、図5に示した本実施の形態の表示装置は、発光素子から発した光は、第1の電極層117側から、透過して出射される。
第2の電極層120を覆うようにしてパッシベーション膜121を設けることは有効である。パッシベーション膜121としては、窒化珪素、酸化珪素、酸化窒化珪素(SiON)、窒化酸化珪素(SiNO)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化窒化アルミニウム(AlON)、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウム(AlNO)、酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜(CN)を含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしくは組み合わせた積層を用いることができる。また、シロキサン樹脂を用いてもよい。
この際、カバレッジの良い膜をパッシベーション膜として用いることが好ましく、炭素膜、特にDLC膜を用いることは有効である。DLC膜は室温から100℃以下の温度範囲で成膜可能であるため、耐熱性の低い電界発光層119の上方にも容易に成膜することができる。DLC膜は、プラズマCVD法(代表的には、RFプラズマCVD法、マイクロ波CVD法、電子サイクロトロン共鳴(ECR)CVD法、熱フィラメントCVD法など)、燃焼炎法、スパッタ法、イオンビーム蒸着法、レーザ蒸着法などで形成することができる。成膜に用いる反応ガスは、水素ガスと、炭化水素のガス(例えばCH4、C2H2、C6H6など)とを用い、グロー放電によりイオン化し、負の自己バイアスがかかったカソードにイオンを加速衝突させて成膜する。また、CN膜は反応ガスとしてC2H4ガスとN2ガスとを用いて形成すればよい。DLC膜は酸素に対するブロッキング効果が高く、電界発光層119の酸化を抑制することが可能である。そのため、この後に続く封止工程を行う間に電界発光層119が酸化するといった問題を防止できる。
このように発光素子が形成された基板100と、封止基板123とをシール材125によって固着し、発光素子を封止する(図4(F)参照。)。断面からの水分の侵入がシール材によって遮断されるので、発光素子の劣化が防止でき、表示装置の信頼性が向上する。シール材としては、代表的には可視光硬化性、紫外線硬化性または熱硬化性の樹脂を用いるのが好ましい。例えば、ビスフェノールA型液状樹脂、ビスフェノールA型固形樹脂、含ブロムエポキシ樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、フェノール型樹脂、クレゾール型樹脂、ノボラック型樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エピビス型エポキシ樹脂、グリシジルエステル樹脂、グリジシルアミン樹脂、複素環式エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を用いることができる。なお、シール材で囲まれた領域には充填材122を充填してもよく、窒素雰囲気下で封止することによって、窒素等を封入してもよい。本実施の形態は、下面出射型のため、充填材122は透光性を有する必要はないが、充填材122を透過して光を取り出す構造の場合は、透光性を有する必要がある。代表的には可視光硬化、紫外線硬化または熱硬化のエポキシ樹脂を用いればよい。以上の工程において、本実施の形態における、発光素子を用いた表示機能を有する表示装置が完成する。
本発明を用いて作製したEL表示パネルの完成図を図22に示す。図22(A)はEL表示パネルの上面図であり、図22(B)は、図22(A)における線E−Fによる断面図である。図22において、素子基板3300上に形成された画素部3301は、画素3302、ゲート配線層3306a、ゲート配線層3306b、ソース配線層3308を有しており、封止基板3310とシール材3303によって貼り合わされ固着されている。本実施の形態では、FPC3350上にドライバIC3351を設置し、TAB方式で実装している。
図22(A)、(B)で示すとおり、表示パネル内には素子の水分による劣化を防ぐため、乾燥剤3305、乾燥剤3304a、乾燥剤3304bが設置されている。乾燥剤3305は画素部周囲を取り囲むように形成され、乾燥剤3304a、乾燥剤3304bは、ゲート配線層3306a、3306bに対応する領域に形成されている。本実施の形態では、乾燥剤は、図22(B)に示されるように封止基板に形成された凹部に設置され、薄型化を妨げない構成となっている。ゲート配線層に対応する領域にも乾燥剤を形成しているので、吸水面積を広く取ることができ、吸水効果も向上する。また、直接発光しないゲート配線層上に乾燥剤を形成しているので、光取り出し効率を低下させることもない。本実施の形態では、表示パネル内に充填材3307を充填している。この充填材として、乾燥剤などの吸湿性を含む物質を用いると、さらなる吸水効果が得られ、素子の劣化を防ぐことができる。
なお、本実施の形態では、ガラス基板で発光素子を封止した場合を示すが、封止の処理とは、発光素子を水分から保護するための処理であり、カバー材で機械的に封入する方法、熱硬化性樹脂又は紫外光硬化性樹脂で封入する方法、金属酸化物や窒化物等のバリア能力が高い薄膜により封止する方法のいずれかを用いる。カバー材としては、ガラス、セラミックス、プラスチックもしくは金属を用いることができるが、カバー材側に光を放射させる場合は透光性でなければならない。また、カバー材と上記発光素子が形成された基板とは熱硬化性樹脂又は紫外光硬化性樹脂等のシール材を用いて貼り合わせられ、熱処理又は紫外光照射処理によって樹脂を硬化させて密閉空間を形成する。この密閉空間の中に酸化バリウムに代表される吸湿材を設けることも有効である。この吸湿材は、シール材の上に接して設けても良いし、発光素子よりの光を妨げないような、隔壁の上や周辺部に設けても良い。さらに、カバー材と発光素子の形成された基板との空間を熱硬化性樹脂若しくは紫外光硬化性樹脂で充填することも可能である。この場合、熱硬化性樹脂若しくは紫外光硬化性樹脂の中に酸化バリウムに代表される吸湿材を添加しておくことは有効である。
本実施の形態では、端子部において、端子電極層となる導電層180、181に異方性導電層182によってFPC183を接続し、外部と電気的に接続する構造とする。
本実施の形態では、上記のような回路で形成するが、本発明はこれに限定されず、パッシブマトリクス回路でもアクティブマトリクス回路であってもよく、周辺駆動回路としてICチップを前述したCOG方式やTAB方式によって実装したものでもよい。また、ゲート線駆動回路、ソース線駆動回路は複数であっても単数であっても良い。
また、本発明の表示装置において、画面表示の駆動方法は特に限定されず、例えば、点順次駆動方法や線順次駆動方法や面順次駆動方法などを用いればよい。代表的には、線順次駆動方法とし、時分割階調駆動方法や面積階調駆動方法を適宜用いればよい。また、表示装置のソース線に入力する映像信号は、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよく、適宜、映像信号に合わせて駆動回路などを設計すればよい。
さらに、ビデオ信号がデジタルの表示装置において、画素に入力されるビデオ信号が定電圧(CV)のものと、定電流(CC)のものとがある。ビデオ信号が定電圧のもの(CV)には、発光素子に印加される電圧が一定のもの(CVCV)と、発光素子に印加される電流が一定のもの(CVCC)とがある。また、ビデオ信号が定電流のもの(CC)には、発光素子に印加される電圧が一定のもの(CCCV)と、発光素子に印加される電流が一定のもの(CCCC)とがある。
本発明を用いると、表示装置を構成する絶縁層の膜厚分布が均一になり、平坦性が向上する。よってこのような絶縁層を用いることで、高精細、高画質な表示装置を低いコストで歩留まり良く製造することができる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態を、図3及び図18を用いて説明する。本実施の形態は、実施の形態2で作製した表示装置において、薄膜トランジスタの有する電極層112と、第1の電極層との接続する構造が異なる例を示す。よって、同一部分又は同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。
実施の形態2で説明したように、基板100上に下地膜101a、101bを形成し、不純物領域103及び104を有する半導体層102を形成する。半導体層102上にゲート絶縁膜105を介してゲート電極層である導電層106及び107を形成し、パッシベーション膜として絶縁膜108を形成する。そして、層間膜として、絶縁層109を形成し、絶縁層109に設けられた開口部に、半導体層102と接続するようにソース電極層及びドレイン電極層を形成する(図3(C)参照。)。本実施の形態においては、絶縁層109にシリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される絶縁層を用いる。
本実施の形態では、ソース電極層及びドレイン電極層、絶縁層109上に、さらに層間膜として、絶縁層113を形成する(図18(E)参照。)。絶縁層113も絶縁層109と同様に、本発明を用いて形成する。本実施の形態では、絶縁層113は、実施の形態2で示したスピンコート法を用いて形成する。実施の形態2で示したように塗布材料液である絶縁性材料を含む組成物を塗布装置により塗布する。この際、絶縁性材料を含む組成物の粘度を、10mPa・s(cP)以上50mPa・s(cP)以下、より好ましくは20mPa・s(cP)以上35mPa・s(cP)以下とする。塗布液として、前述の粘度で絶縁性材料を含む組成物を作製し、絶縁層を形成すると、膜厚分布の均一な、表面の微細な凹凸まで軽減された非常に平坦な表面を有する絶縁層113を形成することができる。また、膜厚は、絶縁層が形成される領域の凹凸によって異なるが、0.1μm以上10μm以下、好ましくは0.2μm以上5μm以下とするとよい。本発明の粘度範囲内で形成される絶縁層表面は、微細な凹凸形状による表面あれまでムラとして確認できる、単色光を照射してもムラが確認できないほど平坦性の良い絶縁層を形成することができる。
絶縁層113にソース電極層又はドレイン電極層に達するコンタクトホールとして開口部を形成する。そのコンタクトホールを介して、ソース電極層又はドレイン電極層と、電気的接続するように、第1の電極層117を形成する。
選択的に設けられた第1の電極層117、絶縁層113上に、第2の実施の形態で形成したように、1画素毎を区切る隔壁として機能する絶縁層114を本発明を用いて形成し、電界発光層119、第2の電極層120を積層する。第2の電極層120を覆うようにパッシベーション膜121を形成し、基板100と封止基板123とをシール材で貼り合わせて固着する(図18(G)参照。)。本実施の形態では、充填材122を充填する。
本実施の形態における表示装置では、絶縁層109によって、平坦化されるだけでなく、さらに、絶縁層113を形成することで、ソース電極層及びドレイン電極層によって形成される凹凸形状も平坦化できる。よって、第1の電極層117を形成する被形成領域表面は非常に良好な平坦性を有するので、積層される薄膜の発光素子の被覆性もよく形成できる。また、微細な凹凸形状によって観察される発光表示ムラも軽減することができ、高繊細、高信頼性の表示装置を作製することができる。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態を、図19を用いて説明する。本実施の形態は、実施の形態2及び実施の形態3で作製した表示装置において、表示素子として発光素子でなく、液晶材料を用いる液晶表示装置の例を示す。図19(A)が実施の形態2で作製した表示装置と対応しており、図19(B)が実施の形態3に対応している。よって、同一部分又は同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。
実施の形態2で形成したようにTFT150を形成し、絶縁層109を形成する(図19(A)参照。)。画素電極層311を電極層112と接して形成し、電気的に接続する。図19(B)で示す実施の形態3で形成した表示装置の構成では、絶縁層113を形成し、開口部を設けることによって、ソース電極層又はドレイン電極層と画素電極層311とを電気的に接続させ、形成する。画素電極層311は、前述した第1の電極層117と同様な材料を用いることができ、透過型の液晶表示パネルを作製する場合には、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)などを含む組成物により所定のパターンを形成し、焼成によって形成しても良い。
次に、画素電極層311を覆うように、印刷法やスピンコート法により、配向膜と呼ばれる絶縁層312を形成する。なお、絶縁層312は、スクリーン印刷法やオフセット印刷法を用いれば、選択的に形成することができる。その後、ラビングを行う。続いて、シール材を液滴吐出法により画素を形成した周辺の領域に形成する(図示せず。)。
その後、配向膜として機能する絶縁層321、カラーフィルタとして機能する着色層322、対向電極層として機能する導電体層323、偏光板325が設けられた対向基板324とTFT基板300とをスペーサを介して貼り合わせ、その空隙に液晶層320を設けることにより液晶表示パネルを作製することができる(図19(A)(B)参照。)。シール材にはフィラーが混入されていても良く、さらに対向基板324には、遮蔽膜(ブラックマトリクス)などが形成されていても良い。なお、液晶層を形成する方法として、ディスペンサ式(滴下式)や、対向基板324を貼り合わせてから毛細管現象を用いて液晶を注入するディップ式(汲み上げ式)を用いることができる。
ディスペンサ方式を採用した液晶滴下注入法を図23を用いて説明する。図23の液晶滴下注入法は、制御装置40、撮像手段42、ヘッド43、液晶33、マーカー35、マーカー45は、バリア層34、シール材32、TFT基板30、対向基板20からなる。シール材32で閉ループを形成し、その中にヘッド43より液晶33を1回若しくは複数回滴下する。液晶材料の粘性が高い場合は、連続的に吐出され、繋がったまま被形成領域に付着する。一方、液晶材料の粘性が低い場合には、図23のように間欠的に吐出され液滴が滴下される。そのとき、シール材32と液晶33とが反応することを防ぐため、バリア層34を設ける。続いて、真空中で基板を貼り合わせ、その後紫外線硬化を行って、液晶が充填された状態とする。
以上の工程で形成された画素部と外部の配線基板を接続するために接続部を形成する。大気圧又は大気圧近傍下で、酸素ガスを用いたアッシング処理により、接続部の絶縁体層を除去する。この処理は、酸素ガスと、水素、CF4、NF3、H2O、CHF3から選択された一つ又は複数のガスとの混合ガスを用いて行う。本工程では、静電気による損傷や破壊を防止するために、対向基板を用いて封止した後に、アッシング処理を行っているが、静電気による影響が少ない場合には、どのタイミングで行っても構わない。
続いて、異方性導電体層を介して、配線層が電気的に接続するように、接続用の配線基板を設ける。配線基板は、外部からの信号や電位を伝達する役目を担う。上記工程を経て、表示機能を有する液晶表示パネルを作製することができる。
本実施の形態では、スイッチングTFTはシングルゲート構造を示したが、ダブルゲート構造などのマルチゲート構造でもよい。また半導体をASやSASなどで形成する場合、一導電型を付与された一導電型半導体層を形成し、電極層との接続を行ってもよい。また、半導体層は濃度の異なる不純物領域を有していてもよい。例えば、半導体層のチャネル領域近傍、ゲート電極層と積層する領域は、低濃度不純物領域とし、その外側の領域を高濃度不純物領域としてもよい。
本発明を用いると、表示装置を構成する絶縁層の膜厚分布が均一になり、平坦性が向上する。よって液晶表示素子を形成する領域のギャップ制御を均一にすることができ、表示時の画像の表示ムラを軽減することができる。よって本発明を用いることで、高精細、高画質な表示装置を低いコストで歩留まり良く製造することができる。
(実施の形態5)
本発明を適用して発光素子を有する表示装置を形成することができるが、該発光素子から発せられる光は、下面放射、上面放射、両面放射のいずれかを行う。本実施の形態では、両面出射型、上面出射型の例を、図6及び図7を用いて説明する。
図6に示す表示装置は、素子基板1300、薄膜トランジスタ1355、薄膜トランジスタ1365、薄膜トランジスタ1375は、第1の電極層1317、電界発光層1319、第2の電極層1320、透明導電膜1321、充填材1322、シール材1325、はゲート絶縁層1305、絶縁層1309、隔壁1314、封止基板1323、配線層1384、端子電極層1380、端子電極層1381、異方性導電層1382、FPC1383によって構成されている。絶縁層1309及び隔壁1314に本発明を適用しており、絶縁層1309の均一な膜厚分布、良好な平坦性により、発光素子による表示は、高繊細で表示ムラがない。充填材1322は、図23の液晶滴下法のように、液状の組成物にして、滴下法によって形成することができる。滴下法によって充填材が形成された素子基板1300と封止基板1323を張り合わして発光表示装置を封止する。
図6の表示装置は、両面出射型であり、矢印の方向に素子基板1300側からも、封止基板1323側からも光を出射する構造である。なお本実施の形態では、透明導電膜を成膜し、所望の形状にエッチングすることで第1の電極層1317を形成する。第1の電極層1317として透明導電膜を用いることができる。第1の電極層1317として上記透明導電膜の他に、窒化チタン膜またはチタン膜を用いても良い。この場合、透明導電膜を成膜した後に、窒化チタン膜またはチタン膜を、光が透過する程度の膜厚(好ましくは、5nm〜30nm程度)で成膜する。本実施の形態では、第1の電極層1317としてITSOを用いている。
次に、電界発光層1319の上には導電膜からなる第2の電極層1320が設けられる。第2の電極層1320としては、仕事関数の小さい材料(Al、Ag、Li、Ca、またはこれらの合金や化合物MgAg、MgIn、AlLi、CaF2、またはCaN)を用いればよい。図6の表示装置では、発光が透過するように、第2の電極層1320として膜厚を薄くした金属薄膜(MgAg:膜厚10nm)と、透明導電膜1321として、膜厚100nmのITSOとの積層を用いる。透明導電膜1321として上述の第1の電極層1317と同様なものを用いることができる。
また図6における表示装置は、第1の電極層1317を、薄膜トランジスタ1355と接続するソース電極層又はドレイン電極層の形成前に、絶縁層1309上に選択的に形成することもできる。この場合、本実施の形態とはソース電極層又はドレイン電極層1312と、第1の電極層1317の接続構造が、第1の電極層の上にソース電極層又はドレイン電極層1312が積層する構造となる。第1の電極層1317をソース電極層又はドレイン電極層1312より先に形成すると、平坦な形成領域に形成できるので、被覆性、成膜性がよく、CMPなどの研磨処理も十分に行えるので平坦性よく形成できる利点がある。
図7の表示装置は、片面出射型であり、矢印の方向に上面出射する構造である。図7の表示装置は、素子基板1600、薄膜トランジスタ1655、薄膜トランジスタ1665、薄膜トランジスタ1675、反射性を有する金属層1624、絶縁層1611、第1の電極層1617、電界発光層1619、第2の電極層1620、透明導電層1621、充填材1622、シール材1625、ゲート絶縁層1605、絶縁層1609、隔壁1614、封止基板1623、配線層1684、端子電極層1680、端子電極層1681、異方性導電層1682、及びFPC1683を含んで構成されている。この場合、前述の図6で示した両面出射型の表示装置において、第1の電極層1317の下に、反射性を有する金属層1624を形成する。反射性を有する金属層1624の上に陽極として機能する透明導電膜である第1の電極層1617を形成する。金属層1624としては、反射性を有すればよいので、Ta、W、Ti、Mo、Al、Cuなどを用いればよい。好ましくは、可視光の領域で反射性が高い物質を用いることがよく、本実施の形態では、TiN膜を用いる。また、絶縁層1609及び隔壁1614に本発明を適用しており、絶縁層1609の均一な膜厚分布、良好な平坦性により、発光素子による表示は、高繊細で表示ムラがない。
図7で示す表示装置は、封止基板1623側から光を取り出す上面出射型の表示装置なので、絶縁層1611を形成しても、光の取り出し効率を低下させることはない。よって本実施の形態では、絶縁層1609上に絶縁層1611を形成し、第1の電極層1617の下地膜としている。絶縁層1611は、電極層をパターニングする際、エッチングストッパーとして機能する。よって、電極層と絶縁層1611は高い選択比を有するものを選択することによって、電極層エッチング後も絶縁層1611表面に残渣が無く、平坦性のよい状態にすることができる。絶縁層1611の平坦性がよいと、絶縁層1611の上に画素電極層として第1の電極層1617を形成しても電極の断線やショート等を防ぐことができ、表示装置の信頼性が向上する。
電界発光層1619の上には導電膜からなる第2の電極層1620が設けられる。第2の電極層1620としては、陰極として機能させるので仕事関数の小さい材料(Al、Ag、Li、Ca、またはこれらの合金や化合物MgAg、MgIn、AlLi、CaF2、またはCaN)を用いればよい。本実施の形態では、発光が透過するように、第2の電極層1620として膜厚を薄くした金属薄膜(MgAg:膜厚10nm)と、透明導電層1621として、膜厚110nmのITSOとの積層を用いる。
本実施の形態において適用できる発光素子の形態を図24に示す。発光素子は、電界発光層860を第1の電極層870と第2の電極層850で挟んだ構成になっている。第1の電極層及び第2の電極層は仕事関数を考慮して材料を選択する必要があり、そして第1の電極層及び第2の電極層は、画素構成によりいずれも陽極、又は陰極となりうる。本実施の形態では、駆動用TFTの極性がpチャネル型である場合、第1の電極層を陽極、第2の電極層を陰極とするとよい。また、駆動用TFTの極性がNチャネル型であるため、第1の電極層を陰極、第2の電極層を陽極とすると好ましい。
図24(A)及び(B)は、第1の電極層870が陽極であり、第2の電極層850が陰極である場合であり、電界発光層860は、第1の電極層870側から、HIL(ホール注入層)/HTL(ホール輸送層)804、EML(発光層)803、ETL(電子輸送層)/EIL(電子注入層)802、第2の電極層850の順に積層するのが好ましい。図24(A)は第1の電極層870から光を放射する構成であり、第1の電極層870は透光性を有する酸化物導電性材料からなる電極層805で構成し、第2の電極層は電界発光層860側から、LiFやMgAgなどアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む電極層801とアルミニウムなどの金属材料で形成する電極層800より構成されている。図24(B)は第2の電極層850から光を放射する構成であり、第1の電極層は、アルミニウム、チタンなどの金属、又は該金属と化学量論的組成比以下の濃度で窒素を含む金属材料で形成する電極層807と、酸化珪素を1〜15原子%の濃度で含む酸化物導電性材料で形成する第2の電極層806より構成されている。第2の電極層は、第2の電極層は電界発光層860側から、LiFやMgAgなどアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む電極層801とアルミニウムなどの金属材料で形成する電極層800より構成されているがいずれの層も100nm以下の厚さとして光を透過可能な状態としておくことで、第2の電極層850から光を放射することが可能となる。
図24(C)及び(D)は、第1の電極層870が陰極であり、第2の電極層850が陽極である場合であり、電界発光層860は、陰極側からEIL(電子注入層)/ETL(電子輸送層)802、EML(発光層)803、HTL(ホール輸送層)/HIL(ホール注入層)804、陽極である第2の電極層850の順に積層するのが好ましい。図24(C)は第1の電極層870から光を放射する構成であり、第1の電極層870は電界発光層860側から、LiFやMgAgなどアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む電極層801とアルミニウムなどの金属材料で形成する電極層800より構成されているがいずれの層も100nm以下の厚さとして光を透過可能な状態としておくことで、第1の電極層870から光を放射することが可能となる。第2の電極層は、電界発光層860側から、酸化珪素を1〜15原子%の濃度で含む酸化物導電性材料で形成する第2の電極層806、アルミニウム、チタンなどの金属、又は該金属と化学量論的組成比以下の濃度で窒素を含む金属材料で形成する電極層807より構成されている。図24(D)は第2の電極層850から光を放射する構成であり、第1の電極層870は電界発光層860側から、LiFやMgAgなどアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む電極層801とアルミニウムなどの金属材料で形成する電極層800より構成されており、膜厚は電界発光層860で発光した光を反射可能な程度に厚く形成している。第2の電極層850は、透光性を有する酸化物導電性材料からなる電極層805で構成されている。なお電界発光層は、積層構造以外に単層構造、又は混合構造をとることがでる。
また、電界発光層として、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光を示す材料を、それぞれ蒸着マスクを用いた蒸着法等によって選択的に形成する。赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光を示す材料はカラーフィルタ同様、液滴吐出法により形成することもでき(低分子または高分子材料など)、この場合マスクを用いずとも、RGBの塗り分けを行うことができるため好ましい。
また上面放射型の場合で、第2の電極層に透光性を有するITOやITSOを用いる場合、ベンゾオキサゾール誘導体(BzOs)にLiを添加したBzOs−Liなどを用いることができる。また例えばEMLは、R、G、Bのそれぞれの発光色に対応したドーパント(Rの場合DCM等、Gの場合DMQD等)をドープしたAlq3を用いればよい。
なお、電界発光層は上記材料に限定されない。例えば、CuPcやPEDOTの代わりに酸化モリブデン(MoOx:x=2〜3)等の酸化物とα−NPDやルブレンを共蒸着して形成し、ホール注入性を向上させることもできる。また電界発光層の材料は、有機材料(低分子又は高分子を含む)、又は有機材料と無機材料の複合材料として用いることができる。以下発光素子を形成する材料について詳細に述べる。
電荷注入輸送物質のうち、特に電子輸送性の高い物質としては、例えばトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等が挙げられる。また正孔輸送性の高い物質としては、例えば4,4'−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:α−NPD)や4,4'−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:TPD)や4,4',4''−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4',4''−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−トリフェニルアミン(略称:MTDATA)などの芳香族アミン系(即ち、ベンゼン環−窒素の結合を有する)の化合物が挙げられる。
また、電荷注入輸送物質のうち、特に電子注入性の高い物質としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の化合物が挙げられる。また、この他、Alq3のような電子輸送性の高い物質とマグネシウム(Mg)のようなアルカリ土類金属との混合物であってもよい。
電荷注入輸送物質のうち、正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物(MoOx)やバナジウム酸化物(VOx)、ルテニウム酸化物(RuOx)、タングステン酸化物(WOx)、マンガン酸化物(MnOx)等の金属酸化物が挙げられる。また、この他、フタロシアニン(略称:H2Pc)や銅フタロシアニン(CuPc)等のフタロシアニン系の化合物が挙げられる。
発光層は、発光波長帯の異なる発光層を画素毎に形成して、カラー表示を行う構成としても良い。典型的には、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した発光層を形成する。この場合にも、画素の光放射側にその発光波長帯の光を透過するフィルターを設けた構成とすることで、色純度の向上や、画素部の鏡面化(映り込み)の防止を図ることができる。フィルターを設けることで、従来必要であるとされていた円偏光版などを省略することが可能となり、発光層から放射される光の損失を無くすことができる。さらに、斜方から画素部(表示画面)を見た場合に起こる色調の変化を低減することができる。
発光材料には様々な材料がある。低分子有機発光材料では、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル) −4H−ピラン(略称:DCJT)、4−ジシアノメチレン−2−t−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9-エニル) −4H−ピラン(略称:DPA)、ペリフランテン、2,5−ジシアノ−1,4−ビス(10−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)ベンゼン、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、クマリン6、クマリン545T、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、9,9’−ビアントリル、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)や9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)等を用いることができる。また、この他の物質でもよい。
一方、高分子有機発光材料は低分子に比べて物理的強度が高く、素子の耐久性が高い。また塗布により成膜することが可能であるので、素子の作製が比較的容易である。高分子有機発光材料を用いた発光素子の構造は、低分子有機発光材料を用いたときと基本的には同じであり、順に陰極、有機発光層、陽極となる。しかし、高分子有機発光材料を用いた発光層を形成する際には、低分子有機発光材料を用いたときのような積層構造を形成させることは難しく、多くの場合2層構造となる。具体的には、順に陰極、発光層、正孔輸送層、陽極という構造である。
発光色は、発光層を形成する材料で決まるため、これらを選択することで所望の発光を示す発光素子を形成することができる。発光層の形成に用いることができる高分子の電界発光材料は、ポリパラフェニレンビニレン系、ポリパラフェニレン系、ポリチオフェン系、ポリフルオレン系が挙げられる。
ポリパラフェニレンビニレン系には、ポリ(パラフェニレンビニレン) [PPV] の誘導体、ポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4−フェニレンビニレン) [RO−PPV]、ポリ(2−(2'−エチル−ヘキソキシ)−5−メトキシ−1,4−フェニレンビニレン)[MEH−PPV]、ポリ(2−(ジアルコキシフェニル)−1,4−フェニレンビニレン)[ROPh−PPV]等が挙げられる。ポリパラフェニレン系には、ポリパラフェニレン[PPP]の誘導体、ポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4−フェニレン)[RO−PPP]、ポリ(2,5−ジヘキソキシ−1,4−フェニレン)等が挙げられる。ポリチオフェン系には、ポリチオフェン[PT]の誘導体、ポリ(3−アルキルチオフェン)[PAT]、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)[PHT]、ポリ(3−シクロヘキシルチオフェン)[PCHT]、ポリ(3−シクロヘキシル−4−メチルチオフェン)[PCHMT]、ポリ(3,4−ジシクロヘキシルチオフェン)[PDCHT]、ポリ[3−(4−オクチルフェニル)−チオフェン][POPT]、ポリ[3−(4−オクチルフェニル)−2,2ビチオフェン][PTOPT]等が挙げられる。ポリフルオレン系には、ポリフルオレン[PF]の誘導体、ポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)[PDAF]、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)[PDOF]等が挙げられる。
なお、正孔輸送性の高分子有機発光材料を、陽極と発光性の高分子有機発光材料の間に挟んで形成すると、陽極からの正孔注入性を向上させることができる。一般にアクセプター材料と共に水に溶解させたものをスピンコート法などで塗布する。また、有機溶媒には不溶であるため、上述した発光性の有機発光材料との積層が可能である。正孔輸送性の高分子有機発光材料としては、PEDOTとアクセプター材料としてのショウノウスルホン酸(CSA)の混合物、ポリアニリン[PANI]とアクセプター材料としてのポリスチレンスルホン酸[PSS]の混合物等が挙げられる。
また、発光層は単色又は白色の発光を呈する構成とすることができる。白色発光材料を用いる場合には、画素の光放射側に特定の波長の光を透過するフィルター(着色層)を設けた構成としてカラー表示を可能にすることができる。
白色に発光する発光層を形成するには、例えば、Alq3、部分的に赤色発光色素であるナイルレッドをドープしたAlq3、Alq3、p−EtTAZ、TPD(芳香族ジアミン)を蒸着法により順次積層することで白色を得ることができる。また、スピンコートを用いた塗布法によりELを形成する場合には、塗布した後、真空加熱で焼成することが好ましい。例えば、正孔注入層として作用するポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)水溶液(PEDOT/PSS)を全面に塗布、焼成し、その後、発光層として作用する発光中心色素(1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン(TPB)、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノ−スチリル)−4H−ピラン(DCM1)、ナイルレッド、クマリン6など)ドープしたポリビニルカルバゾール(PVK)溶液を全面に塗布、焼成すればよい。
発光層は単層で形成することもでき、ホール輸送性のポリビニルカルバゾール(PVK)に電子輸送性の1,3,4−オキサジアゾール誘導体(PBD)を分散させてもよい。また、30wt%のPBDを電子輸送剤として分散し、4種類の色素(TPB、クマリン6、DCM1、ナイルレッド)を適当量分散することで白色発光が得られる。ここで示した白色発光が得られる発光素子の他にも、発光層の材料を適宜選択することによって、赤色発光、緑色発光、または青色発光が得られる発光素子を作製することができる。
さらに、発光層は、一重項励起発光材料の他、金属錯体などを含む三重項励起材料を用いても良い。例えば、赤色の発光性の画素、緑色の発光性の画素及び青色の発光性の画素のうち、輝度半減時間が比較的短い赤色の発光性の画素を三重項励起発光材料で形成し、他を一重項励起発光材料で形成する。三重項励起発光材料は発光効率が良いので、同じ輝度を得るのに消費電力が少なくて済むという特徴がある。すなわち、赤色画素に適用した場合、発光素子に流す電流量が少なくて済むので、信頼性を向上させることができる。低消費電力化として、赤色の発光性の画素と緑色の発光性の画素とを三重項励起発光材料で形成し、青色の発光性の画素を一重項励起発光材料で形成しても良い。人間の視感度が高い緑色の発光素子も三重項励起発光材料で形成することで、より低消費電力化を図ることができる。
三重項励起発光材料の一例としては、金属錯体をドーパントとして用いたものがあり、第三遷移系列元素である白金を中心金属とする金属錯体、イリジウムを中心金属とする金属錯体などが知られている。三重項励起発光材料としては、これらの化合物に限られることはなく、上記構造を有し、且つ中心金属に周期表の8〜10属に属する元素を有する化合物を用いることも可能である。
以上に掲げる発光層を形成する物質は一例であり、正孔注入輸送層、正孔輸送層、電子注入輸送層、電子輸送層、発光層、電子ブロック層、正孔ブロック層などの機能性の各層を適宜積層することで発光素子を形成することができる。また、これらの各層を合わせた混合層又は混合接合を形成しても良い。発光層の層構造は変化しうるものであり、特定の電子注入領域や発光領域を備えていない代わりに、もっぱらこの目的用の電極層を備えたり、発光性の材料を分散させて備えたりする変形は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において許容されうるものである。
上記のような材料で形成した発光素子は、順方向にバイアスすることで発光する。発光素子を用いて形成する表示装置の画素は、単純マトリクス方式、若しくはアクティブマトリクス方式で駆動することができる。いずれにしても、個々の画素は、ある特定のタイミングで順方向バイアスを印加して発光させることとなるが、ある一定期間は非発光状態となっている。この非発光時間に逆方向のバイアスを印加することで発光素子の信頼性を向上させることができる。発光素子では、一定駆動条件下で発光強度が低下する劣化や、画素内で非発光領域が拡大して見かけ上輝度が低下する劣化モードがあるが、順方向及び逆方向にバイアスを印加する交流的な駆動を行うことで、劣化の進行を遅くすることができ、発光装置の信頼性を向上させることができる。また、デジタル駆動、アナログ駆動どちらでも適用可能である。
よって、封止基板にカラーフィルタ(着色層)を形成してもよい。カラーフィルタ(着色層)は、蒸着法や液滴吐出法によって形成することができ、カラーフィルタ(着色層)を用いると、高精細な表示を行うこともできる。カラーフィルタ(着色層)により、各RGBの発光スペクトルにおいてブロードなピークを鋭くなるように補正できるからである。
以上、各RGBの発光を示す材料を形成する場合を説明したが、単色の発光を示す材料を形成し、カラーフィルタや色変換層を組み合わせることによりフルカラー表示を行うことができる。カラーフィルタ(着色層)や色変換層は、例えば第2の基板(封止基板)に形成し、基板へ張り合わせればよい。
もちろん単色発光の表示を行ってもよい。例えば、単色発光を用いてエリアカラータイプの表示装置を形成してもよい。エリアカラータイプは、パッシブマトリクス型の表示部が適しており、主に文字や記号を表示することができる。
上記構成において、陰極としては、仕事関数が小さい材料を用いることが可能で、例えば、Ca、Al、CaF、MgAg、AlLi等が望ましい。電界発光層は、単層型、積層型、また層の界面がない混合型のいずれでもよい。またシングレット材料、トリプレット材料、又はそれらを組み合わせた材料や、有機化合物又は無機化合物を含む電荷注入輸送物質及び発光材料で形成し、その分子数から低分子有機化合物、中分子有機化合物(昇華性を有さず、且つ分子数が20以下、又は連鎖する分子の長さが10μm以下の有機化合物を指していう)、高分子有機化合物から選ばれた一種又は複数種の層を含み、電子注入輸送性又は正孔注入輸送性の無機化合物と組み合わせてもよい。第1の電極層は光を透過する透明導電膜を用いて形成し、例えばITO、ITSOの他、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合した透明導電膜を用いる。なお、第1の電極層を形成する前に、酸素雰囲気中でのプラズマ処理や真空雰囲気下での加熱処理を行うとよい。隔壁(土手ともいう)は、珪素を含む材料、有機材料及び化合物材料を用いて形成する。また、多孔質膜を用いても良い。但し、アクリル、ポリイミド等の感光性、非感光性の材料を用いて形成すると、その側面は曲率半径が連続的に変化する形状となり、上層の薄膜が段切れせずに形成されるため好ましい。本実施の形態は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることが可能である。
本発明を用いると、表示装置を構成する絶縁層の膜厚分布が均一になり、平坦性が向上する。よってこのような絶縁層を用いることで、高精細、高画質な表示装置を低いコストで歩留まり良く製造することができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明を用いた他の表示装置の例を図8及び図9を用いて説明する。本実施の形態で示す表示装置は、実施の形態2で作製した表示装置において、薄膜トランジスタを逆スタガ型の薄膜トランジスタを用いる。よって、同一部分又は同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。
図9に示すTFTはチャネル保護型である。素子基板1400上に設けられる、薄膜トランジスタ1465、薄膜トランジスタ1475は駆動回路部の薄膜トランジスタであり、ゲート電極層1403上に、ゲート絶縁層1404、半導体層1405、一導電型を有する半導体層としてN型半導体層1407、金属層1408が積層形成されており、半導体層1405のチャネル形成領域となる部分上方にチャネル保護層1406、電極層1411が形成されている。第1の電極層1412上に、電界発光層1413、第2の電極層1414が積層し発光素子を形成し、発光素子上にパッシベーション層1416が形成されている。素子基板1400は、封止基板1423とシール材1425によって接着(固着)されている。絶縁層1409、隔壁1410は、本発明を用いて、スピンコート法によって最適化された粘度で形成されているため、高い平坦性を有する。配線層1484は、端子電極層1480、端子電極層1481、異方性導電層1482、FPC1483によって電気的に外部と接続する。本実施の形態の表示装置は、樹脂状の充填材1422を充填しているが、封止工程を窒素雰囲気下で行い、窒素を充填してもよい。
また、図8に示す薄膜トランジスタはチャネルエッチ型である。図8に示す表示装置は、素子基板700上に設けられる、薄膜トランジスタ765、薄膜トランジスタ775は駆動回路部の薄膜トランジスタであり、ゲート電極層703上に、ゲート絶縁層708、半導体層705、一導電型を有する半導体層としてN型半導体層706、ソース電極層又はドレイン電極層である電極層707が積層形成されており、半導体層705のチャネル形成領域となる部分は薄くエッチングされている。第1の電極層712上に、電界発光層713、第2の電極層714が積層し発光素子を形成し、発光素子上にパッシベーション層716が形成されている。素子基板700は、封止基板723とシール材725によって接着(固着)されている。絶縁層715は、本発明を用いて、スピンコート法によって最適化された粘度で形成されているため、高い平坦性を有する。配線層784は、端子電極層780、端子電極層781、異方性導電層782、FPC783によって電気的に外部と接続する。また、図8における表示装置では絶縁層715は、実施の形態2における表示装置において層間絶縁層と、隔壁となる絶縁層を兼ねている構造になっている。
図8、図9の逆スタガ型TFTを有する表示装置ともに、素子基板側から光を放射する下面出射型の表示装置であり、第1の電極層に透光性を有する導電膜を用いている。
半導体層として、前述のセミアモルファス半導体膜も用いることができる。また一導電型を有する半導体層は必要に応じて形成すればよい。またペンタセンなどの有機半導体も用いることができる。
本発明を用いると、表示装置を構成する絶縁層の膜厚分布が均一になり、平坦性が向上する。よってこのような絶縁層を用いることで、高精細、高画質な表示装置を低いコストで歩留まり良く製造することができる。
(実施の形態7)
走査線側入力端子部と信号線側入力端子部とに保護ダイオードを設けた一態様について図21を参照して説明する。図21において画素2702にはTFT501、TFT502、容量素子504、発光素子503が設けられている。このTFTは実施の形態6と同様な構成を有している。
信号線側入力端子部には、保護ダイオード561と保護ダイオード562が設けられている。この保護ダイオードは、TFT501若しくはTFT502と同様な工程で作製され、ゲートとドレイン若しくはソースの一方とを接続することによりダイオードとして動作させている。図21で示す上面図の等価回路図を図20に示している。
保護ダイオード561は、ゲート電極層、半導体層、配線層から成っている。保護ダイオード562も同様な構造である。この保護ダイオードと接続する共通電位線554、共通電位線555はゲート電極層と同じ層で形成している。従って、配線層と電気的に接続するには、絶縁層にコンタクトホールを形成する必要がある。
絶縁層へのコンタクトホールは、マスク層を形成し、エッチング加工すれば良い。この場合、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能であり、基板の全面にマスク層を形成する必要はない。
信号配線層はTFT501におけるソース及びドレイン配線層505と同じ層で形成され、それに接続している信号配線層とソース又はドレイン側が接続する構造となっている。
走査信号線側の入力端子部も同様な構成である。入力段に設けられる保護ダイオードを同時に形成することができる。なお、保護ダイオードを挿入する位置は、本実施の形態のみに限定されず、駆動回路と画素との間に設けることもできる。
以上のように、本発明を用いると、配線等のパターンを形成不良を生じることなく制御性よく安定して形成することが出来るので、保護回路を形成することで、配線等が複雑化し、密に形成される場合であっても、形成時の設置不良によるショートなどを生じることはない。よって、良好な電気的特性と高い信頼性とを有する表示装置を作製することができる。
(実施の形態8)
図12は、本発明を適用して作製されるTFT基板2800を用いてEL表示モジュールを構成する一例を示している。図12において、TFT基板2800上には、画素により構成された画素部が形成されている。
図12では、画素部の外側であって、駆動回路と画素との間に、画素に形成されたものと同様なTFT又はそのTFTのゲートとソース若しくはドレインの一方とを接続してダイオードと同様に動作させた保護回路部2801が備えられている。駆動回路2809は、単結晶半導体で形成されたドライバIC、ガラス基板上に多結晶半導体膜で形成されたスティックドライバIC、若しくはSASで形成された駆動回路などが適用されている。
TFT基板2800は、スペーサ2806a、スペーサ2806bを介して封止基板2820と固着されている。スペーサは、基板の厚さが薄く、また画素部の面積が大型化した場合にも、2枚の基板の間隔を一定に保つために設けておくことが好ましい。TFT2802、TFT2803とそれぞれ接続する発光素子2804、発光素子2805上であって、TFT基板2800と封止基板2820との間にある空隙には透光性の樹脂材料を充填して固体化しても良いし、水分を除去した窒素若しくは不活性気体を充填させても良い。
図12では発光素子2804、発光素子2805を上面放射型(トップエミッション型)の構成とした場合を示し、図中に示す矢印の方向に光を放射する構成としている。各画素は、画素を赤色、緑色、青色として発光色を異ならせておくことで、多色表示を行うことができる。また、このとき封止基板2820側に各色に対応した着色層2807a、着色層2807b、着色層2807cを形成しておくことで、外部に放射される発光の色純度を高めることができる。また、画素を白色発光素子として着色層2807a、着色層2807b、着色層2807cと組み合わせても良い。
外部回路である駆動回路2809は、外部回路基板2811の一端に設けられた走査線若しくは信号線接続端子と、配線基板2810で接続される。また、TFT基板2800に接して若しくは近接させて、ヒートパイプ2813と放熱板2812を設け、放熱効果を高める構成としても良い。
なお、図12では、トップエミッションのELモジュールとしたが、発光素子の構成や外部回路基板の配置を変えてボトムエミッション構造、もちろん上面、下面両方から光が放射する両面放射構造としても良い。トップエミッション型の構成の場合、隔壁となる絶縁層を着色しブラックマトリクスとして用いてもよい。この隔壁は液滴吐出法などによっても形成することができ、ポリイミドなどの樹脂材料に、顔料の黒色樹脂やカーボンブラック等を混合させて形成すればよく、その積層でもよい。
また、TFT基板2800において、画素部が形成された側にシール材や接着性の樹脂を用いて樹脂フィルムを貼り付けて封止構造を形成してもよい。本実施の形態では、ガラス基板を用いるガラス封止を示したが、樹脂による樹脂封止、プラスチックによるプラスチック封止、フィルムによるフィルム封止、など様々な封止方法を用いることができる。樹脂フィルムの表面には水蒸気の透過を防止するガスバリア膜を設けておくと良い。フィルム封止構造とすることで、さらなる薄型化及び軽量化を図ることができる。
(実施の形態9)
本発明によって形成される表示装置によって、テレビジョン装置を完成させることができる。表示パネルには、図14(A)で示すような構成として画素部のみが形成されて走査線側駆動回路と信号線側駆動回路とが、図15(B)のようなTAB方式により実装される場合と、図15(A)のようなCOG方式により実装される場合と、図14(B)に示すようにSASでTFTを形成し、画素部と走査線側駆動回路を基板上に一体形成し信号線側駆動回路を別途ドライバICとして実装する場合、また図14(C)のように画素部と信号線側駆動回路と走査線側駆動回路を基板上に一体形成する場合などがあるが、どのような形態としても良い。
その他の外部回路の構成として、映像信号の入力側では、チューナで受信した信号のうち、映像信号を増幅する映像信号増幅回路と、そこから出力される信号を赤、緑、青の各色に対応した色信号に変換する映像信号処理回路と、その映像信号をドライバICの入力仕様に変換するためのコントロール回路などからなっている。コントロール回路は、走査線側と信号線側にそれぞれ信号が出力する。デジタル駆動する場合には、信号線側に信号分割回路を設け、入力デジタル信号をm個に分割して供給する構成としても良い。
チューナで受信した信号のうち、音声信号は、音声信号増幅回路に送られ、その出力は音声信号処理回路を経てスピーカに供給される。制御回路は受信局(受信周波数)や音量の制御情報を入力部から受け、チューナや音声信号処理回路に信号を送出する。
図13は液晶表示モジュールの一例であり、TFT基板2600と対向基板2601がシール材2602により固着され、その間に画素部2603と液晶層2604が設けられ表示領域を形成している。着色層2605はカラー表示を行う場合に必要であり、RGB方式の場合は、赤、緑、青の各色に対応した着色層が各画素に対応して設けられている。TFT基板2600と対向基板2601の外側には偏光板2606、偏光板2607、レンズフィルム2613が配設されている。光源は冷陰極管2610と反射板2611により構成され、回路基板2612は、駆動回路2608とフレキシブル配線基板2609によりTFT基板2600と接続され、コントロール回路や電源回路などの外部回路が組みこまれている。
表示モジュールを、図10(A)、(B)に示すように、筐体に組みこんで、テレビジョン装置を完成させることができる。図12のようなEL表示モジュールを用いると、ELテレビジョン装置に、図13のような液晶表示モジュールを用いると液晶テレビジョン装置を完成することができる。表示モジュールにより主画面2003が形成され、その他付属設備としてスピーカー部2009、操作スイッチなどが備えられている。このように、本発明によりテレビジョン装置を完成させることができる。
また、位相差板や偏光板を用いて、外部から入射する光の反射光を遮断するようにしてもよい。また上面放射型の表示装置ならば、隔壁となる絶縁層を着色しブラックマトリクスとして用いてもよい。この隔壁は液滴吐出法などによっても形成することができ、顔料などの黒色樹脂や、ポリイミドなどの樹脂材料に、カーボンブラック等を混合させてもよく、その積層でもよい。液滴吐出法によって、異なった材料を同領域に複数回吐出し、隔壁を形成してもよい。位相差板、位相差板としてはλ/4板、λ/2板を用い、光を制御できるように設計すればよい。構成としては、順にTFT素子基板、発光素子、封止基板(封止材)、位相差板、位相差板(λ/4板、λ/2板)、偏光板となり、発光素子から放射された光は、これらを通過し偏光板側より外部に放射される。この位相差板や偏光板は光が放射される側に設置すればよく、両面放射される両面放射型の表示装置であれば両方に設置することもできる。また、偏光板の外側に反射防止膜を有していても良い。これにより、より高繊細で精密な画像を表示することができる。
図10(A)に示すように、筐体2001に表示素子を利用した表示用パネル2002が組みこまれ、受信機2005により一般のテレビ放送の受信をはじめ、モデム2004を介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、又は受信者間同士)の情報通信をすることもできる。テレビジョン装置の操作は、筐体に組みこまれたスイッチ又は別体のリモコン操作機2006により行うことが可能であり、このリモコン装置にも出力する情報を表示する表示部2007が設けられていても良い。
また、テレビジョン装置にも、主画面2003の他にサブ画面2008を第2の表示用パネルで形成し、チャネルや音量などを表示する構成が付加されていても良い。この構成において、主画面2003を視野角の優れたEL表示用パネルで形成し、サブ画面を低消費電力で表示可能な液晶表示用パネルで形成しても良い。また、低消費電力化を優先させるためには、主画面2003を液晶表示用パネルで形成し、サブ画面をEL表示用パネルで形成し、サブ画面は点滅可能とする構成としても良い。本発明を用いると、このような大型基板を用いて、多くのTFTや電子部品を用いても、信頼性の高い表示装置とすることができる。
図10(B)は例えば20〜80インチの大型の表示部を有するテレビジョン装置であり、筐体2010、操作部であるキーボード部2012、表示部2011、スピーカー部2013等を含む。本発明は、表示部2011の作製に適用される。図10(B)の表示部は、わん曲可能な物質を用いているので、表示部がわん曲したテレビジョン装置となっている。このように表示部の形状を自由に設計することができるので、所望な形状のテレビジョン装置を作製することができる。
本発明により、絶縁層を平坦性よく形成できる。また、簡略な工程で形成できるため、コストダウンも達成できる。よって本発明を用いたテレビジョン装置では、大画面の表示部を有しても低いコストで形成できる。よって高性能、高信頼性のテレビジョン装置を歩留まりよく作製することができる。
勿論、本発明はテレビジョン装置に限定されず、パーソナルコンピュータのモニタをはじめ、鉄道の駅や空港などにおける情報表示盤や、街頭における広告表示盤など大面積の表示媒体としても様々な用途に適用することができる。
(実施の形態10)
本発明を適用して、様々な表示装置を作製することができる。即ち、それら表示装置を表示部に組み込んだ様々な電子機器に本発明を適用できる。
その様な電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ等のカメラ、プロジェクター、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、カーナビゲーション、カーステレオ、パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それらの例を図11に示す。
図11(A)は、コンピュータであり、本体2101、筐体2102、表示部2103、キーボード2104、外部接続ポート2105、ポインティングマウス2106等を含む。本発明を用いると、小型化し、画素が微細化しても、信頼性が高く、高画質な画像を表示するコンピュータを完成させることができる。
図11(B)は記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)であり、本体2201、筐体2202、表示部A2203、表示部B2204、記録媒体(DVD等)読み込み部2205、操作キー2206、スピーカー部2207等を含む。表示部A2203は主として画像情報を表示し、表示部B2204は主として文字情報を表示する。本発明を用いると、小型化し、画素が微細化しても、信頼性が高く、高画質な画像を表示する画像再生装置を完成させることができる。
図11(C)は携帯電話であり、本体2301、音声出力部2302、音声入力部2303、表示部2304、操作スイッチ2305、アンテナ2306等を含む。本発明を用いると、小型化し、画素が微細化しても、信頼性が高く、高画質な画像を表示する携帯電話を完成することができる。
図11(D)はビデオカメラであり、本体2401、表示部2402、筐体2403、外部接続ポート2404、リモコン受信部2405、受像部2406、バッテリー2407、音声入力部2408、接眼部2409、操作キー2410等を含む。本発明を用いると、小型化し、画素が微細化しても、信頼性が高く、高画質な画像を表示できるビデオカメラを完成することができる。本実施の形態は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態11)
本実施の形態では、本発明を適用したIDチップについて説明する。本発明の作製方法を用いて形成することができる半導体装置の1つに、IDチップがある。IDチップは、無線で識別情報などのデータの送受信が可能な半導体装置であり、様々な分野において実用化が進められている。IDチップは、無線タグ、RFID(Radio frequency identification)タグ、ICタグとも呼ばれている。また、ガラス基板を用いたIDチップをIDGチップ(Identification Glass Chip)、可撓性を有する基板を用いたIDチップをIDFチップ(Identification Flexible Chip)と呼ぶことができ、本発明はどちらでも適用できるが、本実施の形態では、IDFチップを用いて説明する。
図31(A)には絶縁基板600に12個のIDFチップを形成する場合の上面図を、図31(B)には図31(A)e−fにおける断面図を、図31(C)には接続領域606を横切るg−hにおける断面図を示す。なお本実施の形態では、剥離層にSASを用いる。
図31(B)に示すように、絶縁基板600上に剥離層602を介して、絶縁層、所望の形状にパターニングされた半導体層624、ゲート絶縁層625を介して設けられたゲート電極層626を有する薄膜トランジスタ628n、628pが設けられている。また半導体膜が有する不純物領域と接続するように配線層630が設けられている。
絶縁層は、積層構造を有してもよく、第1の絶縁膜621、第2の絶縁膜622、第3の絶縁膜623を有する。
半導体層は、シリコンウェハから形成されるチップと異なり、水素を1×1019〜1×1022/cm3、好ましくは1×1019〜5×1020/cm3有するように形成することができる。水素により、半導体膜中の欠陥を緩和する、所謂欠陥のターミネート効果を奏することができる。加えて水素により、IDFチップの柔軟性を高めることができる。
さらに、パターニングされた半導体層がIDFチップにおいて占める面積の割合を、1〜30%とすることで、曲げ応力による薄膜トランジスタの破壊や剥がれを防止することができる。
また、第1の層間絶縁層627、第2の層間絶縁層629を有するとよい。本実施の形態では、第1の層間絶縁層627、第2の層間絶縁層629を本発明を用いて形成する。実施の形態2で示したように塗布材料液である絶縁性材料を含む組成物を塗布装置により塗布する。この際、絶縁性材料を含む組成物の粘度を、10mPa・s(cP)以上50mPa・s(cP)以下、より好ましくは20mPa・s(cP)以上35mPa・s(cP)以下とする。塗布液として、前述の粘度で絶縁性材料を含む組成物を作製し、絶縁層を形成すると、膜厚分布の均一な、表面の微細な凹凸まで軽減された非常に平坦な表面を有する第1の層間絶縁層627、第2の層間絶縁層629を形成することができる。また更に好ましくは、配線層630を覆うように第4の絶縁膜631を設けるとよい。
その後、本実施の形態では接続領域606を残すように、選択的に溝605を形成する。溝は、ダイシング、スクライビング又はマスクを利用したエッチング等によって行うことができる。図31(C)に示すように接続領域606を残すように、選択的に溝605を形成する場合、露光、現像工程によりマスクパターンを形成し、ドライエッチング、ウェットエッチング等により溝を形成するとよい。なおドライエッチングにおいては、大気圧プラズマ法を用いてもよい。
その後、溝にエッチング剤を導入することにより剥離層を除去する。エッチング材としてはハロゲン化フッ素を含む気体又は液体を用いることができ、具体的には、ハロゲン化フッ素としてClF3(三フッ化塩素)を使用することができる。
このようなエッチング剤の導入により、剥離層であるSASを徐々に後退させて、絶縁基板を矢印に示すように除去することができる。
その後絶縁基板が除去されても、接続領域によって各IDFチップは一体化された状態となっているため、IDFチップがばらばらに分離してしまうことはない。
その後、各IDFチップをダイシング、スクライビング、又はレーザカット法により切断する。そして、IDFチップを物品に実装すればよい。
以上の工程によりIDFチップを完成することができるが、図32に示すように、フレキシブル基板を接着してもよい。図32(A)にはフレキシブル基板650を接着剤651により接着した状態の上面図を、図32(B)には図32(A)e−fにおける断面図を、図32(C)には接続領域606を横切るg−hにおける断面図を示す。
フレキシブル基板には、上述のようなプラスチックや、アクリル等の可撓性を有する合成樹脂からなる基板を用いることができるが、本実施の形態ではプラスチックを有する合成樹脂からなる基板を用いる。
接着剤としては、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、エポキシ樹脂接着剤、樹脂添加剤等の接着剤又は両面テープ等を用いることができる。
フレキシブル基板へ移し替えることにより、IDFチップの破壊強度を高めることができる。
次に、アンテナ用基板611を張り合わせる。アンテナ用基板611には、IDFチップに対応する位置にアンテナ612が設けられている。
このとき、IDFチップ604と、アンテナ612とは、導電体641が分散している異方性導電体640により張り合わされている。異方性導電体の他に、超音波接着剤、紫外線硬化樹脂、又は両面テープ等を用いて張り合わせてもよい。
その、各IDFチップをダイシング、スクライビング、又はレーザカット法により切断し、フレキシブル基板上に形成されたIDFチップが完成する。
このように形成されたIDFチップを、物品に実装すればよい。このときに使用する接着剤は、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、エポキシ樹脂接着剤、樹脂添加剤等の接着剤又は両面テープ等を用いることができる。
また図示しないが、IDFチップを保護するために、樹脂や窒素を有する絶縁膜で覆ってもよく、特にIDFチップの側面に充填するとよい。このときの樹脂や窒素を有する絶縁膜は、IDFチップを実装する物品の材料であってもよい。
本実施の形態では異方性導電体により、IDFチップの接続端子がアンテナ側を向いている、所謂フェイスダウンで実装する場合を説明したが、アンテナと反対側を向いている、所謂フェイスアップで実装してもよい。
以上、絶縁基板600上に薄膜トランジスタを形成後、絶縁基板600を剥離し、好ましくはさらにフレキシブル基板へ移し替える形態を説明したが、剥離するタイミング又は回数は、本実施の形態に限定されない。また移し替える先は、フレキシブル基板に限定されず、実装する物品(実装物品)であってもよい。また移し替える回数によりIDFチップが、フェイスアップ状態となるか、又はフェイスダウン状態となるかを決めることができる。
本実施の形態では、IDFチップとアンテナとを張り合わせる場合について説明したが、IDFチップ上にアンテナを直接形成してもよく、例えば、配線層630と同一層にアンテナを形成することができる。
本実施の形態では、非接触型IDFチップについて説明したが、接触型IDFチップ、及びハイブリッド型IDFチップのいずれでもよい。
以上、本実施の形態ではわかりやすくするためIDFチップやアンテナ用基板を厚く記載したが、実際は非常に薄い形状となっている。