JP2005129851A - レーザ光線を利用した加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 レーザ光線(82)の集光点を被加工物(34)の表面から所定深さ(D)位置に充分容易且つ迅速に位置付けることを可能にする、新規且つ改良されたレーザ光線を利用した加工方法を提供する。
【解決手段】 レーザ光線を被加工物の表面に集光せしめる時の集光光学系(78)と被加工物の表面との間隔を基準間隔(BL)として、集光光学系の開口数と被加工物の屈折率を考慮した設定数式に基いて、集光光学系と被加工物の表面との間隔(SL)を設定する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、半導体ウエーハの如き被加工物にこれを透過し得るレーザ光線を照射して被加工物に変質を生成することを含む加工方法に関する。
例えば、半導体チップの製造においては、周知の如く、半導体ウエーハの表面に、格子状に配設されたストリートによって複数個の矩形領域を区画し、かかる矩形領域の各々に半導体回路を形成する。そして、半導体ウエーハをストリートに沿って切断することによって矩形領域を個々に分離して半導体チップにせしめている。
半導体ウエーハをストリートに沿って分割する方法として、近時においてはレーザ光線を利用する方法が提案されている。下記特許文献1に開示された方法においては、ストリートの表面側から照射するレーザ光線をストリートの表面近傍で集光せしめて、ストリートに沿って半導体ウエーハとレーザ光線とを相対的に移動せしめ、かくしてストリートに沿って半導体ウエーハの表面側の材料を溶融、除去してストリートに沿って溝を形成する。しかる後に、半導体ウエーハに外力を加えてストリートに沿って、更に詳しくは溝に沿って、半導体ウエーハを破断せしめる。
下記特許文献2及び3には、ストリートの表面近傍ではなくて厚さ方向中間部にレーザ光線を集光せしめて、ストリートに沿って半導体ウエーハとレーザ光線とを相対的に移動せしめ、かくしてストリートに沿って半導体ウエーハの厚さ方向中間部に変質領域を生成し、しかる後に半導体ウエーハに外力を加えてストリートに沿って、更に詳しくは変質領域に沿って、半導体ウエーハを破断せしめる方法が開示されている。
更に、本出願人の出願にかかる特願2003−140888の明細書及び図面には、ストリートの表面側から照射するレーザ光線をストリートの裏面乃至その近傍に集光せしめて、ストリートに沿って半導体ウエーハとレーザ光線とを相対的に移動せしめ、かくしてストリートに沿って半導体ウエーハの裏面に露呈する変質領域を生成し、しかる後に半導体ウエーハに外力を加えてストリートに沿って、更に詳しくは変質領域に沿って、半導体ウエーハを破断せしめる方法が開示されている。
米国特許第5,826,772号明細書 米国特許第6,211,488号明細書 特開2001−277163号公報
而して、上述した従来の方法のいずれを採用するにしても、被加工物である半導体ウエーハの厚さ方向所定位置にてレーザ光線を集光せしめる、換言ずればレーザ光線の集光点を被加工物表面から所定深さ位置に位置せしめることが重要であるが、大気中と被加工物中とではレーザ光線の屈折率が異なる等に起因して、レーザ光線の集光点の上記位置付けは必ずしも容易ではなく、実験的手法によって設定していた。
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、レーザ光線の集光点を被加工物の表面から所定深さ位置に充分容易且つ迅速に位置付けることを可能にする、新規且つ改良されたレーザ光線を利用した加工方法を提供することである。
本発明者等は、レーザ光線を被加工物の表面に集光せしめる時の集光光学系と被加工物の表面との間隔を基準間隔として、集光光学系の開口数と被加工物の屈折率を考慮した設定数式に基いて、集光光学系と被加工物の表面との間隔を設定することによって、上記主たる技術的課題を解決ことができることを見出した。
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を解決するレーザ光線を利用した加工方法として、保持手段によって保持した被加工物に、集光光学系を含むレーザ光線照射手段によって該被加工物を透過し得るレーザ光線を照射して該被加工物を変質せしめることを含むレーザ光線を利用した加工方法において、
該レーザ光線が該被加工物の表面上に集光せしめられる時の該集光光学系と該被加工物の表面との基準間隔をBLとし、該集光光学系の開口数をPとし、該被加工物の屈折率をnとし、所望集光点の該被加工物の表面からの深さをDとすると、該集光光学系と該被加工物の表面との間隔SLを、下記数式1に基づいて設定する、ことを特徴とするレーザ光線を利用した加工方法が提供される。
Figure 2005129851
本発明の加工方法においては、レーザ光線照射手段の集光光学系と被加工物の表面との関係を認識しさえすれば、充分容易且つ迅速に被加工物の表面から所定深さ位置にレーザ光線の集光点を位置せしめることができる。
以下、添付図面を参照して、本発明に従って構成されたレーザ光線を利用した加工方法の好適実施形態について更に詳細に説明する。
図1には、本発明に従って構成された加工方法を実施するために好適に使用することができる加工装置の典型例の主要部が図示されている。図示の加工装置は支持基台2を有し、この支持基台2上にはX軸方向に延びる一対の案内レール4が配設されている。かかる案内レール4上には第一の滑動ブロック6がX軸方向に移動自在に装着されている。一対の案内レール4間にはX軸方向に延びるねじ軸8が回転自在に装着されており、かかるねじ軸8にはパルスモータ10の出力軸が連結されている。第一の滑動ブロック6は下方に垂下する垂下部(図示していない)を有し、かかる垂下部にはX軸方向に貫通する雌ねじ孔が形成されており、かかる雌ねじ孔にねじ軸8が螺合せしめられている。従って、パルスモータ10が正転せしめられると第一の滑動ブロック6が矢印12で示す方向に移動せしめられ、パルスモータ10が逆転せしめられると第一の滑動ブロック6が矢印14で示す方向に移動せしめられる。後の説明から明らかになるとおり、パルスモータ10及びこれによって回転せしめられるねじ軸8は(レーザビーム加工手段に対して相対的に)被加工物を移動せしめる移動手段を構成する。
第一の滑動ブロック6上にはY軸方向に延びる一対の案内レール16が配設されており、かかる案内レール16上には第二の滑動ブロック18がY軸方向に移動自在に装着されている。一対の案内レール16間にはY軸方向に延びるねじ軸20が回転自在に装着されており、かかるねじ軸20にはパルスモータ22の出力軸が連結されている。第二の滑動ブロック18にはY軸方向に貫通する雌ねじ孔が形成されており、かかる雌ねじ孔にねじ軸20が螺合されている。従って、パルスモータ22が正転せしめられると第二の滑動ブロック18が矢印24で示す方向に移動せしめられ、パルスモータ22が逆転せしめられると第一の滑動ブロック18が矢印26で示す方向に移動せしめられる。第二の滑動ブロック18には、円筒部材25を介して支持テーブル27が固定されていると共に、保持手段28が装着されている。保持手段28は実質上鉛直に延びる中心軸線を中心として回転自在に装着されており、円筒部材25内には保持手段28を回転せしめるためのパルスモータ(図示していない)が配設されている。図示の実施形態における保持手段28は、多孔性材料から形成されたチャック板30と一対の把持手段32とから構成されている。
図2には被加工物である半導体ウエーハ34が図示されている。かかる半導体ウエーハ34はシリコン基板から構成されており、その表面上にはストリート36が格子状に配設されており、ストリート36によって複数個の矩形領域38が区画されている。矩形領域38の各々には半導体回路が形成されている。図示の実施形態においては、半導体ウエーハ34は装着テープ40を介してフレーム42に装着されている。適宜の金属或いは合成樹脂から形成することができるフレーム42は中央部に比較的大きな円形開口44を有し、半導体ウエーハ34は開口44内に位置せしめられている。装着テープ40はフレーム42及び半導体ウエーハ34の下面側においてフレーム42の開口44を跨いで延在せしめられており、フレーム42の下面及び半導体ウエーハ34の下面に貼着されている。半導体ウエーハ34にパルスレーザ光線を照射する際には、上記保持手段28におけるチャック板30上に半導体ウエーハ34を位置せしめてチャック板30を真空源(図示していない)に連通せしめ、かくしてチャック板30上に半導体ウエーハ34を真空吸着する。保持手段28の一対の把持手段32はフレーム42を把持する。半導体ウエーハ34の表面側からではなくて裏面側からレーザ光線を照射することが望まれる場合には、必要に応じて半導体ウエーハ34の表面に保護テープ(図示していない)を貼着し、半導体ウエーハ34が装着されているフレーム42の表裏を反転してチャック板30上に位置せしめればよい。保持手段28自体並びに装着テープ40を介してフレーム42に装着された半導体ウエーハ34自体は当業者には周知の形態でよく、従ってこれらについての詳細な説明は本明細書においては省略する。
再び図1を参照して説明を続けると、上記支持基台2上にはY軸方向に延びる一対の案内レール44も配設されており、かかる一対の案内レール44上には第三の滑動ブロック46がY軸方向に移動自在に装着されている。一対の案内レール44間にはY軸方向に延びるねじ軸47が回転自在に装着されており、かかるねじ軸47にはパルスモータ48の出力軸が連結されている。第三の滑動ブロック46は略L字形状であり、水平基部50とこの水平基部50から上方に延びる直立部52とを有する。水平基部50には下方に垂下する垂下部(図示していない)が形成されており、かかる垂下部にはY軸方向に貫通する雌ねじ孔が形成されており、かかる雌ねじ孔にねじ軸47が螺合せしめられている。従って、パルスモータ48が正転せしめられると第三の滑動ブロック46が矢印24で示す方向に移動せしめられ、パルスモータ48が逆転せしめられると第三の滑動ブロック46が矢印26で示す方向に移動せしめられる。
第三の滑動ブロック46の直立部52の片側面にはZ軸方向に延びる一対の案内レール54(図1にはその一方のみを図示している)が配設されており、かかる一対の案内レール54には第四の滑動ブロック56がZ軸方向に移動自在に装着されている。第三の滑動ブロック46の片側面上にはZ軸方向に延びるねじ軸(図示していない)が回転自在に装着されており、かかるねじ軸にはパルスモータ58の出力軸が連結されている。第四の滑動ブロック56には直立部52に向けて突出せしめられた突出部(図示していない)が形成されており、かかる突出部にはZ軸方向に貫通する雌ねじ孔が形成されており、かかる雌ねじ孔に上記ねじ軸が螺合せしめられている。従って、パルスモータ58が正転せしめられると第四の滑動ブロック56が矢印60で示す方向に移動即ち上昇せしめられ、パルスモータ58が逆転せしめられると第四の滑動ブロック56が矢印62で示す方向に移動即ち下降せしめられる。
第四の滑動ブロック56には全体を番号64で示すパルスレーザ光線照射手段が装着されている。図示のパルスレーザ光線照射手段64は、第四の滑動ブロック56に固定され実質上水平に前方(即ち矢印24で示す方向)に延出する円筒形状のケーシング66を含んでいる。図1と共に図3を参照して説明を続けると、ケーシング66内にはパルスレーザ光線発振手段68及び伝送光学系70が配設されている。発振手段68は、YAGレーザ発振器或いはYVO4レーザ発振器であるのが好都合であるレーザ発振器72とこれに付設された繰り返し周波数設定手段74から構成されている。伝送光学系70はビームスプリッタの如き適宜の光学要素を含んでいる。ケーシング66の先端には照射ヘッド76が固定されており、かかる照射ヘッド76内には集光光学系78が配設されている。
図1乃至図3と共に図4を参照して説明すると、上記集光光学系78は対物レンズ即ち集光レンズ80を含んでおり、かかる集光レンズ80を通してパルスレーザ光線82が上記ストリート36において半導体ウエーハ34に照射される。パルスレーザ光線82は半導体ウエーハ34のストリート36における表面から深さDの位置にて集光せしめることが望まれる場合、本発明に従う加工方法においては、集光光学系78の集光レンズ80と半導体ウエーハ34のストリート36における表面との間隔SLは下記数式1に基づいて設定される。
Figure 2005129851
ここで、BLは半導体ウエーハ34のストリート36における表面上にパルスレーザ光線82を集光せしめる時の集光レンズ80と半導体ウエーハ34のストリート36における基準間隔BLであり、集光レンズ80の焦点距離に依存する所定値である。Pは集光光学系78の開口数であり、使用する集光光学系78に依存する所定値である。nは半導体ウエーハ36の屈折率nであり、半導体ウエーハ36の材質に依存する所定値である。開口数Pをsinθで示すと、上記数式(1)は下記数式(2)のとおりに表現することもできる。
Figure 2005129851
上記基準間隔BLはチャック板30の表面にパルスレーザ光線82を集光せしめるときの集光レンズ80とチャック板30の表面との間隔(かかる間隔は特定の加工装置において予め認識することができる所定値である)と同一であり、従ってストリート36における半導体ウエーハ36の厚さをT1、装着テープ40の厚さをT2とすると、チャック板30の表面からPL+(T1+T2)の間隔をおいて集光レンズ80を位置付けると、集光レンズ80と半導体ウエーハ34のストリート36における表面78との間隔を上記基準間隔BLになる。それ故に、本発明の加工方法においては、被加工物である半導体ウエーハ34のストリート36における厚さT1と装着テープ40の厚さT2との和を認識しさえすれば、上記数式(1)又は(2)から求めれられた設定間隔SLを実現するための集光レンズ80の位置付け、従ってパルスレーザ光線照射手段64の矢印60及び62(図1)で示す方向における位置付けを遂行することができる。かくして、充分容易且つ迅速にパルスレーザ光線82を半導体ウエーハ34におけるストリート36の表面から所要深さDの位置に集光せしめることができる。半導体ウエーハ34のストリート36における厚さT1と装着テープ40の厚さT2の和は、予め知られていない場合には、例えば半導体ウエーハ34をチャック板30上に載置する前に実測することによって認識することができる。或いは、半導体ウエーハ34をチャック板30上に載置した後に、レーザ式計測器の如き適宜の計測器(図示していない)によって計測器からチャック板30の表面までの長さと計測器から半導体ウエーハ34のストリート36における表面までの長さを実測し、かかる実測値から半導体ウエーハ34のストリート36における厚さT1と装着テープ40の厚さT2の和を求めることもできる。特に、半導体ウエーハ34のストリート36における厚さT1が一定ではなくてストリート36に沿って変動する場合には、上記測定器による実測を遂行することが望まれる。この場合には、パルスレーザ光線82に対して半導体ウエーハ34をストリート36に沿って相対的に移動せしめる際に、半導体ウエーハ34の厚さT1の変動に応じて上記設定間隔SLを適宜に変動せしめ、かくして集光点の深さDを所要値に調節することができる。
半導体ウエーハ34の表面から深さDの位置でパルスレーザ光線82を集光せしめると、深さDの周囲領域にて半導体ウエーハ34に変質領域(かかる変質領域は例えば溶融・再固化である)が生成される。従って、例えば保持手段28を矢印12又は14(図1)で示す方向に移動せしめることによって、半導体ウエーハ34とパルスレーザ光線82とをストリート36に沿って相対的に移動せしめると、ストリート36に沿って半導体ウエーハ34に変質領域を生成することができる。変質領域においては強度が局部的に低減されており、従って半導体ウエーハ34に適宜の外力を加えることによって半導体ウエーハ34をストリート36に沿って破断せしめることができる。
本発明の加工方法を実施するために好適に使用することができる加工装置の典型例の主要部を示す斜面図。 被加工物の一例である半導体ウエーハをフレームに装着した状態を示す斜面図。 パルスレーザ光線照射手段を示す簡略線図。 パルスレーザ光線の集光点を所要位置に設定する様式を説明するための簡略線図。
符号の説明
28:保持手段
30:チャック板
34:半導体ウエーハ(被加工物)
64:パルスレーザ照射手段
78:集光光学系
80:集光レンズ
82:パルスレーザ光線

Claims (1)

  1. 保持手段によって保持した被加工物に、集光光学系を含むレーザ光線照射手段によって該被加工物を透過し得るレーザ光線を照射して該被加工物を変質せしめることを含むレーザ光線を利用した加工方法において、
    該レーザ光線が該被加工物の表面上に集光せしめられる時の該集光光学系と該被加工物の表面との基準間隔をBLとし、該集光光学系の開口数をPとし、該被加工物の屈折率をnとし、所望集光点の該被加工物の表面からの深さをDとすると、該集光光学系と該被加工物の表面との間隔SLを、下記数式1に基づいて設定する、ことを特徴とするレーザ光線を利用した加工方法。
    Figure 2005129851
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