JP2005066859A - クリップ - Google Patents

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Abstract

【課題】メモ用紙や資料用紙類を予め多数枚クリップ保持した状態から、順次1枚ずつを抜取った際に2枚目以降の残紙が一切抜け落ちることのないクリップ機能の実現を図る。
【解決手段】本発明は、裏面部材と表面部材とが弾発部材を仲介にして対向状に配設されるとともに前記表面部材の一端部に挟持端を、他端に操作部を備えて形成された従来のクリップ単体に対し、尖端及び刃先が鋭利なカッターを用いて前記裏面部材または表面部材の何れかに該カッター刃先が奥向き、且つ、尖端を保持紙面より突出配置として固着形成したメモ用紙や資料用紙類の保持具である。上記構成により、20枚程度の多数枚の用紙をクリップした場合も用紙端にカッター尖端を突刺し状態とされて保持される結果、抜取る以外の他紙が一緒に引き摺られて落下する不便課題を良好に解消し得たクリップである。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明のクリップは、特にメモ用紙や資料用紙類等を多数枚クリップ保持した状態から、1枚ずつを抜取った場合に残紙や他紙が抜け落ちることのない機能を備えたクリップである。
【0002】
【従来の技術】
従来、用紙をクリップ保持する代表的な用紙保持具としてバネ式やマグネット式のクリップが広く用いられている。
近年は、学校、職場及び家庭内でファクス用紙やコピー用紙及び各種資料用紙類等が山積するが、それら用紙の片面は空白のままゴミとして棄てられて資源活用の上からも勿体無いのである。然るに、それら使用済みの用紙をメモ用紙として小さく切断し、例えば、10枚程度を束にして前記ばね式やマグネット式クリップで吊下げ状態として、表の1枚目を抜取った場合は用紙間の摩擦力で引き摺られて大抵の場合、全紙が一挙に抜け落ちてしまう重大な不便課題が生じる。
従来、該不便を回避するためにメモ用紙にパンチで穴開けし、紐を通して吊下げた状態から一枚ずつを引き取って使用目的に供している不便課題は誰もが経験済みのことと思われる。
【0003】
ところで、用紙をクリップする代表的な公知技術としては植毛状に加工形成した所謂ゴムヒゲ体を用い、該ゴム弾力で用紙を両側から挟むようにしたクリップ(例えば、特許文献1参照)が開示されている。
一方、クリップ状に形成した開放端部にカッター刃を取付けて封筒や食品入りビニール袋等を切断開封することを目的とした、所謂、カッター付きクリップ(例えば、特許文献2、特許文献3参照)も開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特許第2529617号公報
【特許文献2】
実開昭53−129675号公報
【特許文献3】
特開平11−1096号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、図10は特許文献1にワンタッチ紙挟み50として開示されている特許文献1からの引用図である。図示のように植毛状に形成したゴムヒゲ板52を両側配置にしてゴムヒゲ51を両側から突合せ、ゴムヒゲ弾力で用紙Pを挟持するようにしたもので図10(a)は用紙Pの保持状態、図10(b)は挟持状態から用紙Pを抜取る際の状況を示している。この挟持方法は用紙Pの抜き取りに伴うゴムヒゲ51の反転課題に対し、突合せたゴムヒゲ51の弾性力作用で図10(b)のように復元させる構成で課題解決を図ったもので、製品として具現化されている。
しかし、該製品に数枚のコピー用紙を実際に保持した状態として表の1枚目を抜取ると、2枚目以降の他紙が一緒に引き摺られて一挙に抜け落ちてしまうのであり、この開示技術では本発明が狙いとする課題解決は図り得ない。
【0006】
図11は、前記特許文献2にポリ袋(ビニール袋)カッター53として開示されている公知技術からの引用図である。この考案は図示のようにコの字型に折返した柄54の一方の開放端に刃物55を取付ける一方、対向柄の他端に凸部56を設けて図11(b)のように袋端部にポリ袋カッター53を挿入し白矢印方向に押圧し、黒矢印方向に移動しつつ切断開封するようにしたカッターである。更に、前記特許文献3にも類似構成のカッター付きクリップが開示されている。
即ち、前記特許文献2、3における開示技術はカッター刃先を横向きに取付けて指先で押圧移動しつつ袋類や封書等を横方向に切断開封するようにしたもので、所謂、クリップ用紙の落下防止を目的としたものではない。
【0007】
そこで、本発明はクリップにおける前記従来の重要課題に鑑み、例えば、20枚位のメモ用紙等をクリップ懸吊した状態から、任意に1枚ずつを抜き取った場合にも該用紙抜取りに伴って他紙や残紙が一切抜け落ちることのない機能を備えた抜け落ち防止機能付きのクリップに係り、従来の不便課題を解消したクリップを提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明では、コイルばねや湾曲状板ばね等の弾発部材を介在して裏面部材と表面部材とが互いに対向状に配設されるとともに、前記表面部材の一端に用紙挿入端を、他端に操作部を備えた用紙クリップに対して、前記表面部材または裏面部材の少なくとも何れか一方に用紙の落下防止用の突刺し部材を固着形成したクリップである(請求項1)。
【0009】
そして、上記請求項1に記載のクリップに保持した用紙を抜取り易くするために、前記弾発部材からの弾発力を排除するためのストッパー機構を備え、前記表面部材の一端に設けられた挿入端の挟持端が前記裏面部材の挟持面(保持用紙)に対する押圧作用を防止し得るように形成したクリップである(請求項2)。
【0010】
そして、上記請求項1または2に記載のクリップにおける前記突刺し部材は、SK−2炭素鋼等で加工された尖端及び刃先が鋭利なナイフエッジ状のカッターが好ましい。
なお、上記用紙突刺し部材はカッター尖端が保持紙面より突出するとともに、該刃先を奥側向き配設とし前記表面部材または裏面部材の少なくとも何れか一方に固着形成したクリップである(請求項3)。
【0011】
また、上記請求項1〜3に記載のクリップにおける前記突刺し部材は、前記表面部材に設けた挿入端より奥側に固着立設し、併せて、クリップ操作時の危険防止を図る形成が好ましい(請求項4)。
【0012】
また、上記請求項1〜4に記載のクリップにおける前記突刺し部材は、該刃先稜線と保持紙面との成す角度が保持紙面の端部側に対し直角〜鈍角で取付け固着することが好ましい(請求項5)。
【0013】
また、上記請求項1、2または4に記載のクリップにおける用紙突刺し部材は、尖端が鋭利な画鋲であることが好ましい(請求項6)。
【0014】
また、上記請求項1〜6に記載のクリップは、前記表面部材及び裏面部材が透明体または色付きの半透明体のプラスチック素材で成型することが好ましい(請求項7)。
【0015】
即ち、本発明は前記したように尖端が鋭利な突刺し部材を備えて形成されたクリップであり、用紙類のクリップ保持と同時に弾発力で用紙端を該鋭利な尖端で突刺し保持する構成としたため、該保持状態から順次に、または、任意に保持紙を抜取った場合にも該抜取り摩擦力で他紙や残紙が一緒に引き摺られて抜け落ちる課題が確実に防止され、更に、保持紙の追加をも可能にしたクリップである。なお、本クリップの組立体では保持紙の端部を破損することなく、且つ、保持紙を抜取り易くするために、弾発部材からの弾発力(ばね弾力)を排除するためのストッパーを挟持部に設け、クリップの挟持端が裏面部材の挟持面(保持用紙)に対する押圧作用を防止する構成として課題解決を図ったクリップである。
【0016】
また、保持紙端は勿論カッター刃先でカットされた状態で抜取られるが、カッター尖端が突き刺さる用紙端部はせいぜい4mm程度の微小範囲〔図2(e)のD1参照〕カッター切断跡で充分目的が果せる。
従って、尖端及び刃先が鋭利なカッターを用いた場合の切断跡はほとんど品質を損なうことなく、且つ、充分な挟持力を有するのでメモ用紙のクリップのみならず、例えば、OA機器への入力時の原稿ホルダー、各種資料類、伝票類、チラシ類や幅広カレンダー等のクリップ保持用としても大いに機能効果を発揮して目的が果せる。
【0017】
【発明の実施の形態】
さて、本特許願では構成要部を理解し易くするために同一図番中での各構成部分の名称(用語)について、同様な作用をする部分に関しては同様な名称や符号を用いて各図面中に記載し以下各実施例の図面に基づいて順次説明する。
本発明のクリップ1は、図1に示す第1実施例の構成部品及び該各部品で組立られた図2の斜視図を一見することで発明要点が明らかになる。以下、図1、図2を同時参照しつつクリップ単体(なお、本願書では従来のクリップをクリップ単体と称して説明することもある)の組立状況から説明する。
この第1実施例クリップ1は弾発部材にコイルばね10を用い、表面部材3と裏面部材8とを図2のように対向配置させて周知技術で形成したクリップ単体に適用した実施例である。
【0018】
なお、図1以下に示す各実施例のクリップ1は、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)、AS(アクリロニトリル/スチレン)及びPVC(塩化ビニル)等のプラスチック素材を用いて成型加工し得るが、クリップ1としては透明体や着色した半透明体で用いると外観や意匠的見栄えがよい。
従って、本クリップ1の組立体では透明素材を用いた実施例に関連してクリップ内部が透けて見えることになり、図2以下の各実施例斜視図ではクリップ1内部の主要部を細実線で表示してある。
【0019】
先ず、本発明のクリップ1の第1実施例は図2に斜視図及び断面図に示すように表面部材3の所定位置に突刺し部材2を埋設固着して形成した、所謂、突刺し部材2付きのクリップ1である。
図1に示す各構成部品は、図1(a)の表面部材3の一端部に用紙挿入端5、挟持端5a及び保護壁23を備え、他端部に操作部6、中間部に一対のシャフト11用の軸受け部7及び該挿通穴7aを備えて形成されている。一方、図1(c)に示す裏面部材8には上記表面部材3と対峙する一対の軸受部9と挿通穴9a及び懸吊穴12が形成され、図1(b)のコイルばね10とシャフト11が介在して前記表面部材3と裏面部材8とが係合組立される。本クリップ組立体ではシャフト11の前記挿通穴7a、9aへの挿通後、シャフト11の他端11bを図示のようにかしめ加工11bして抜け防止加工して組立する。
【0020】
ところで、突刺し部材2としてのカッター2(なお、本願書では突刺し部材2のことをカッター2と称して説明することもある)は、該尖端2a及び刃先2bが鋭利な厚さ0.45mm位の、例えば、SK−2炭素鋼等により図示のようなカッター2に加工して用いると好適である。
なお、本発明ではカッター2を図1(a)や図2(b)に図示するように表面部材3の挿入端5に対して奥側配置とするとともに、刃先2bを奥向き、且つ、尖端2aが裏面部材8の挟持面8aより突出するように表面部材3に設けた図1(a)に示す埋設溝4に嵌挿固着して実施している。そして、図1(c)の挟持面8aには該突出状とされたカッター尖端2aを保護回避するための尖端回避溝15が加工されている。表面部材3へのカッター2固着は成型時に溶着固着してもよい。なお、表面部材3にカッター2を囲むように設けた保護壁23や図1(a)のカッター2の取付け配設の関係等については図3とともに後述する。
【0021】
さて、図2(a)は前記のように構成各部が組立された第1実施例クリップ1の斜視図である。そして、図2(b)は図2(a)のクリップ操作時の開口状態におけるA−A線の拡大断面図を示し、図2(c)はクリップ1に多数N枚のメモ用紙Pをクリップ保持し該懸吊穴12を懸吊具13に吊るした状態である。そして、図2(d)は用紙保持状態のB−B線方向の断面図であり、図2(d)は1枚の用紙Pの保持状態として示している。
ところで、図2(c)、(d)のようにカッター尖端2aで用紙P端を突刺した状態から抜取り方向14に抜取った用紙P端には、当然、内向きとされた鋭利な刃先2bで該端部が図2(e)に示す挟持深さD1の範囲にわたりカッター切断跡16のように切断されて抜取られることになる。
【0022】
実施結果では、突刺し部材2として鋭利なカッター刃先2bを用いた図2(e)のカッター切断跡16は、該挟持深さD1はせいぜい4mm前後の小寸法〔図2(e)参照〕で良好に目的が果せて、通常のカッターで用紙端を切断した痕跡同様、注意して見ないと確認出来ない程目立たない切断線が形成されるのみであり抜取り紙の品質を損なう程のものではない。
従って、本発明のクリップはメモ用紙に対するクリップのみならず、例えば、OA機器への入力時の原稿ホルダー、各種資料類、伝票類、チラシ類及びカレンダー等、所謂、クリップ開口操作時や抜き取り時の落下防止が要望されるクリップとして機能効果を大いに発揮し多くの用途で目的が良好に果せる。
【0023】
さて、本クリップ1の製品化に当たっては鋭利なカッター2を用いたことに関連してクリップ操作時の安全性確保が優先課題となる。即ち、クリップ1を図2(b)や図3(c)のように開口操作した際のカッター刃先2bに対し、クリップ1の挿入端5や開口側方からの指先挿入による怪我対策を図る必要がある。
本クリップ1では、下記構成として取扱い時の危険課題を解消し安全性を達成している。それらの構成要件を列記すると、
1)先ず、図2(c)、(d)の状態から保持紙Pを矢印14方向に抜取るには、カッター刃先2bを奥向き配置とする構成が機能上必要であるが、該配設条件は前記安全性を図る上からも好条件となること。
2)上記項と関連して、カッター2を狭い開口挿入端5から指先が届かない奥側配置に固着形成すること。
3)クリップ両側からの指先挿入の防止策として、図1(a)、図2(a)のようにカッター2を両側から保護壁23で囲んで指先挿入を防止すること。
即ち、本発明のクリップ1ではカッター2の機能を発揮する上から、先ず刃先2bを奥向きとして挟持端5より充分奥側配置に固着立設し、更に、両開口側方からの指先挿入を防止する構成として上記課題を解決し、所期目的を達成したものである。
【0024】
ところで、図2の前記実施例はカッター2を図1(a)の表面部材3の埋設穴4に直接固着し、該尖端2aの回避穴15を図2(c)の裏面部材8の挟持面8aに直接加工すようにした実施例である。
クリップ1に対するカッター2の取付け固着は次のように行ってもよい。即ち、図1(d)はカッター2を予めブロック体26に固着立設して実施するものである。即ち、所定寸法配置に埋設穴4が形成された表面ブロック24にカッター2を固着する一方、裏面部材8の挟持面8aへの取付け用として尖端回避溝15を所定位置に設けた裏面ブロック25を形成し、それらブロック体26の各々を表面部材3と裏面部材8の挟持面8aに固着して挟持部を形成するようにした実施例である。上記のように組立てられたブロック体26を適用した実施例要部の断面を図2(f)に示す。
【0025】
ところで、上記実施例のようにカッター2を表面ブロック24に固着形成し、裏面ブロック25とともにブロック体26としてクリップ1を組立形成する場合は、予めクリップ単体を単独組立後に該ブロック体26を後付けする構成としてクリップ1の組立体を生産することもできる。
そして、図2(f)のように裏面部材8の挟持面8aに裏面ブロック25を貼着した場合の挟持面8aは、当然、裏面ブロック25に該挟持面8aが移設されて保持用紙に対する挟持作用をする。従って、本願書では、上記のようなブロック体26を用いて保持部を形成した場合も実施上は同等な発明構成として扱うものとする。
なお、図2(f)のように組立られたクリップ1は表面ブロック24が上記実施例同様にクリップ操作時の指先挿入に対する防止作用をする。また、図2(f)の実施例ではクリップを透明体で形成した場合にカッター2端部が表面部材3の表側に現れないので外観意匠的にも好ましい。
【0026】
ここで、前記クリップ1におけるカッター2の取付け寸法の関係やクリップ挟持機能等について図3を参照しつつ説明する。図3(a)、(b)は前記図2(a)のA−A線保持要部の拡大断面を示したもので、表面部材3へのカッター2の取付け配設関係や挟持端5aとストッパーS設定等の説明図面である。
因みに、本実施例では図3(a)に図示するように挟持端5からカッターの刃先2bまでの間隔D2:9mm、該刃先2bから軸受け部9端(用紙係止端)までの挟持深さD1:4mmとして実施している。従って、抜取った保持紙Pの刃先2bによる切断状況は図2(e)とともに前記したようにカッター切断跡16のD1が略4mmになる。
次に、前記図2(c)の用紙保持状態から操作部6を押して挟持端5を開口した断面図が図3(c)である。本発明のクリップ1では図3(a)に示すように挟持面8aからのカッター尖端2aの突出長dを4〜5mmの寸法に設定固着している。ところで、一般のコピー用紙を10枚重ねた厚さ寸法は略1mmであり本クリップ1の一実施例では、例えば、10枚以下のコピー用紙をクリップした場合に図3(c)に示すようにカッター尖端部2aが保持紙から僅かに突出した状態になる。
【0027】
即ち、本クリップ1の一実施例では保持紙Pが10枚以下の場合はカッター尖端2aが保持紙Pを貫通するので図3(c)のようにクリップ1を開口しても保持紙Pは落下しない。そして、結果的に図3(c)に図示するようにN枚の保持紙の裏側に他紙Pの追加保持が可能となる。
なお、クリップ1を図3(c)のような開口操作と関連して保持紙Pを落下させることなく、更に、他紙Pの追加保持を確実に実現する構成としては、図3(a)に示すように挟持面8aに対するカッター刃先2bの刃先稜線との設定角度θを直角、若しくは、図3(b)のように若干鈍角に設定するとともに前記カッター尖端2aの突出長dを4〜5mmの寸法で設定固着する場合は効果的に目的が果せる。
【0028】
次に、クリップ1に例えば20枚位の用紙Pを予めクリップ保持した場合の状況について図3(d)に基づいて説明する。本クリップ1におけるカッター尖端2aの保持紙Pに対する貫通力はクリップ1を構成するコイルばね10の弾発力で主に決まる。一実施例のクリップでは前記したように10枚位までは尖端2aが一挙に貫通するが、例えば、20枚(厚さが略2mm)を保持した場合のカッター尖端2aは、図3(d)のように保持紙Pの半分程度までしか貫通されず、該カッター先端2aは保持紙Pの途中で係止状態になる。
従って、図3(d)に示すようにこの状態では挿入端5における挟持端5aは用紙Pを押圧挟持することなく浮き上がり状態となり、クリップの弾発力は全てカッター尖端2aに集中されて強い押圧力で用紙Pが押圧保持される。しかし、図3(d)の状況から図3(c)のように開口操作した際は、保持紙の後半分は当然落下することになる。
【0029】
ここで、本クリップ1の興味ある保持機能効果につて説明する。即ち、図3(d)のように、例えば、予め20枚以上の用紙Pを保持した状態として表側から順次に1枚ずつを抜き取った場合は、カッター尖端2aが貫通されない中間部以降の保持紙Pも尖端2aからの強い押圧力で挟持されるので勿論落下されることはない。そして、次々に保持紙を抜取り続けると残紙の減少とともに尖端2aが徐々に奥へ奥へと移動され、遂には尖端2aが保持紙後部Pまで到達貫通されることになる。
即ち、本クリップ1の実施例では予め20枚以上に及ぶメモ用紙P等を一挙に挟持した場合にも保持用紙Pは一切落下するこなく、最後尾までの保持紙がカッター尖端で突刺し保持された状態で抜取れて良好に目的が果せる。
【0030】
次に、本クリップ1における実施上の構成要点の特徴について説明する。図3(d)とともに説明したように、本クリップ1に予め20枚以上の用紙Pをクリップ保持した場合はクリップ1挿入端5における挟持端5は用紙Pを押圧挟持することなく浮き上がりの非押圧状態となる。
実は、前記図2(d)の断面図は1枚の保持状態であるが挟持端5aが保持紙Pを押圧挟持することなく、即ち、挟持端5aが図示のように挟持面8aや保持紙Pから離間されるように該間隙部Gを形成した実施例である。一方、図1(d)の表面ブロック24や裏面ブロック25のブロック体を適用した実施例と関連して示した図2(f)は挟持端5aが裏面ブロック25の挟持面8aと押圧接触する実施例の断面状況を示している。
【0031】
今、図2(f)に複数N枚の用紙Pをクリップ保持した状態が図3(e)の断面図であり、図示のようにこの実施例では保持紙P端にカッター尖端2aが突き刺さるとともに図3(e)のように挟持端5aで2重に押圧挟持される。従って、特に保持枚数が少ない場合は保持紙端が挟持端5aからの強い押圧力で挟持面8aに押圧される結果、保持紙が抜取り難く、且つ、引抜き時に用紙端を破損する場合がある。
そこで、上記課題を良好に解消したのが挟持端5aに対するストッパーS機構である。即ち、本クリップ1では保持紙Pに対し、挟持端5aから挟持面8aへの押圧作用を必要としないのであり該挟持部は挟持紙Pの抜取り時の支障課題となる。従って、上記課題の解決策としては前記弾発部材10からの該弾発力(ばね弾力)を排除するためのストッパー機構を設けて挟持部を形成すればよい。
【0032】
図2(b)及び図3(a)に該挟持端5aに対するストッパーSとの関係断面を拡大図示する。本実施例におけるストッパーS機構は、図1(c)、図2(b)、図3(a)に示すように、例えば、裏面部材8に立設した軸受け部9の角端部をストッパーSとして用い、図示のように該角端で表面部材3の内壁部を係止するようにした簡単構成のストッパー機構である。
上記ストッパーSは、図3(a)のように挟持面8aに対する挟持端5aの間隙寸法Gと、ストッパーSの係合関係を勘案設定することで良好に目的が果せる。因みに、本クリップ1の実施例では該間隙Gを2mm(コピー用紙20枚に厚さ相当)程度に設定して実施している。
クリップ1の組立体を上記ストッパーS付きとして実施する場合は、特に、クリップ1の保持作用に一切支障を来たすことなく、保持紙P抜取り時の挟持端5aからの弾発力の影響を排除し得るので、保持紙が抜取り易く、且つ、図2(e)のカッター切断跡16が良好な状態で抜取れる。
そして、図3(c)、(d)の前記各断面図はストッパーSを設けた実施例であり、また、図2(f)に示す実施例の断面図は図1(d)のように軸受け部9にストッパーSを形成することなく実施した構成例である。
【0033】
次に、第2実施例のクリップ1に関する各構成部品図を図4に、組立体の斜視図や使用時の状況及び各断面図を図5に示す。なお、前記第1実施例の詳述説明によって本クリップ1の各部要点は充分明らかになったものと思われるので以下の各実施例では、前記と同一部分についての重複説明を省略し実施例中の異なる要点部分を主に説明する。
前記図1、2に示した第1実施例のクリップ1は保持紙Pの表側から裏側に、即ち、複数N枚の保持時は1枚目からN枚目にカッター尖端2aを突刺し保持する実施例であった。然るに、図4、図5に示す第2実施例のクリップ1は図5の断面図に示すように、カッター2を前記実施例と逆配置の関係として裏面部材8に固着立設した実施例である。
即ち、N枚のクリップ保持時はN枚目から1枚目に用紙の裏側から表側にカッター尖端2aを突刺してクリップするように形成したのが第2実施例である。
【0034】
特に、本第2実施例では図5(a)外観斜視図を示すような従来から普及実施されているクリップ単体に対して、本実施例はカッター2付きのブロック体26を後付け部品の形体としてクリップ1の組立体を実現し得るようにしたものである。そして、第1、第2実施例の構成部品図の図4と図1、該組立後の図5と図2とを比較対照し前記第1実施例の説明内容を参照することでカッター2を逆配置とした両実施例の相違点は明らかに理解し得るものと思われる。
【0035】
即ち、図4(a)の挟持部への組込みブロック体26としては該ブロック体26部に前記ストッパーS機構を一体的に備えた形体で実施し得る特徴を有する。
本第2実施例では、先ず、図4(b)に示す表面ブロック24にカッター2を固着立設し、ストッパーS付きとして加工した図示の裏面ブロック25の接着剤塗布面37を貼着面として裏面部材8と表面部材3の内壁に各ブロック体を固着組立し図5のクリップ1の各組立体を形成する。
また、図4(c)の実施例では表面ブロック24と裏面ブロック25とを柔軟屈曲性のフレキシブル38なプラスチック素材を用いて両ブロックを一体的に成型加工し、図示のようにフレキシブル38部で折返し形体としてクリップ1の挟持部に固着するようにした実施例である。本実施例は、所謂、弾力性を有するポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)等で成型加工して用いることができる。
【0036】
さて、前記図4の各構成部品で組立られた図5における各図のクリップ1要部は前記第1の説明内容から既に明らかなものと思われるが、図5(b)は図5(a)のC−C線の断面図、図5(c)は用紙Pの挟持状態、そして、図5(d)は図5(c)のD−D線断面を各々示す。そして、本実施例では裏面部材8に粘着テープやマグネット18を用いて冷蔵庫やボードに貼着する際の例である。
【0037】
また、本実施例におけるストッパーSは、図4(b)による組立後の図5(b)の断面図のように、例えば、表面ブロック24と裏面ブロック25の端部とを突き合せ係合した簡単なストッパーS機構で目的が果せるのであり、更に、図5(b)における挟持端5aと間隙Gの関係、及び裏面ブロック25に対するカッター尖先2aの設定条件等は前記第1実施例同様に設定実施すればよい。
さて、図5(c)、(d)の用紙P保持状態からクリップ1を開口操作したのが図5(f)の断面図である。そして、保持紙Pが10枚以下の場合は開口操作に伴って保持紙が抜け落ちることなく、本実施例では、N枚の表面側に重ねて黒矢印方向から追加紙Pをクリップすることが出来、保持紙が開口操作で抜け落ちることなく、更に、保持紙の追加が出来て大いに機能効果を発揮する。
【0038】
次に、第3実施例のクリップ1について図6を参照しつつ説明する。本実施例のクリップ1は図6(a)のように弾発部材として湾曲状板ばね20を用いた周知技術のクリップ単体である。即ち、本実施例のクリップ組立体では裏面部材8の軸受け部9と表面部材3の軸受け部7に形成された図示しない凹凸支点ピン19で回動自在に枢支されるとともに、湾曲状板ばね20の折曲げ係止端21を裏面部材8と表面部材3の係止棚22で係合させてクリップが構成され、本発明に係る挟持面8aと挟持端5aとを備えて形成されたクリップ単体である。
【0039】
なお、この実施例における突刺し部材2としては、例えば、図6(d)に例示するような樹脂製等のキャップ2c付き画鋲2dを形成し該キャップ2c毎表面部材3に固着形成した実施例である。図6(a)におけるE−E線断面を図6(b)及び図6(c)に示し図6(c)は開口操作時の断面図である。この実施例では挟持面8aにゴムやシート状の緩衝部材39を貼着している。
ところで、この実施例のように突刺し部材2に図6(d)の画鋲2dを用いた場合の切断跡は、前記図2(e)に示すように、例えば、直径が1mmの画鋲を用いた場合は該切断跡が少なくとも該直径幅で破断されて図示のような画鋲切断跡17になる。しかし、メモ用紙のクリップ用としは特に支障なく目的が果せる。また、図6(a)にける保護壁23は前記第1実施例と同様な指先挿入防止壁である。
【0040】
図7は、第4実施例のクリップ1を示す。この実施例におけるクリップ単体は、一枚のばね板材40を折曲げて該基端27を弾発部材とし該両折曲げ端28にレバー29を係合させるとともに該端部を挟持端5aに形成した上下対称型の周知のクリップ単体である。
上記クリップ単体に本発明を実施適用したクリップ1の斜視図を図7(a)に示し、該F−F線断面図を図7(c)に示す。また、この実施例の突刺し部材2としては図7(b)に示すようなキャップ2c付きのカッター2として用いたもので、図7(a)、(c)の両図を同時参照しつつ説明する。
今、図7(b)に図示するように折返したばね板40の片側にストッパーS付きの裏面ブロック25を貼着した一方を便宜上裏面部材8とし、他方のばね板材26を表面部材3としてキャップ2cとともに傾斜部2eを備えたカッター2を図7の埋設溝4に固着したのが第7実施例のクリップ1の組立体である。
即ち、本発明のクリップ1は弾発部材を備えて用紙Pを挟持し得るように形成されたクリップ単体であれば、クリップ形体を限定することなく発明の精神を逸脱しない範囲での適用実施が可能である。
【0041】
さて、以上に説明記述した各実施例のクリップ1を複数個組合せて用いた第5実施例の図8、及び、第6実施例の図9について更に説明する。
図8(a)に示すように、本クリップ1に幅広資料紙Pを掲示する際は2個のクリップ1(1)、(2)の各々の裏面部材8に貼着したマグネットや粘着テープ18で、ボード30(黒板、白板、壁面等)に図示のようにクリップ1を吸着または貼着させて幅広資料紙Pの両上端を図8(a)のようにクリップ保持するようにした実施例である。
図8(b)は、支持バー31の両端に2個のクリップ1を粘着テープ18で固着し支持バー31の中央上端部に懸吊穴12を設けて懸吊具13に吊るか、または、支持バー31を粘着テープ18で貼着(またはマグネット吸着)して用いるようにした実施例である。
そして、図8(c)は支持バー(1)及び支持バー(2)の各々に凹凸ガイド部34、35を設けて伸縮方向33へ伸縮自在の支持バーを形成し該両端にクリップ1を取付けて各種幅広資料紙等の掲示を可能としたクリップ1である。
【0042】
次に、本クリップを用いて数多くの資料類を狭いスペースにクリップ保持する際は、図9の第6実施例のようにクリップ1を、所謂、ハンガー形式として上下方向への連結縦列式にクリップを順々に吊下げ状態にして用いればよい。
なお、クリップ1をハンガー形式とするには、例えば、図9(a)に取付けるべきカッター2を図9(b)のようにハンガー吊部材36(キャップ2c)付きに形成し、該ハンガー吊部材36にクリップ1の懸吊穴12を順次吊下げ構成とすればよく、図9(c)は該ハンガー式クリップ1として実現した第6実施例である。
【0043】
【発明の効果】
以上に詳述したように、従来のばね式やマグネット式クリップ及び前記公知文献に開示されているクリップでは、複数枚の用紙挟持状態から1枚目を抜き取った場合に他紙や残紙が一緒に落下する重大な不便課題があった。
本発明に係るクリップ1の効果を列挙すると、以下の通りである。
1)コイルばねや湾曲状板ばね等の弾発部材が介在して形成され従来から広く実施されているクリップ単体に対して、尖端が鋭利なカッターや画鋲を突刺し部材として所定位置に固着立設する簡単構成により、例えば、20枚程度のメモ用紙等をクリップ懸吊した状態から、1枚ずつを抜き取った場合も他紙や残紙が一切抜け落ない挟持機能のクリップを低コストで実現し得る。
2)本クリップの好ましい実施例としては、SK−2炭素鋼等で加工された尖端及び刃先が鋭利なカッターを用い、該カッター尖端を挟持面より数mm突出した状態とするとともにカッター刃先を奥向き、且つ、表面部材の挟持端より充分奥配設として固着形成することでクリップ取扱い操作時の危険が防止される。
【0044】
3)上記クリップ構成により、用紙類のクリップ挟持操作と同時にクリップの弾発力で用紙端部にカッター尖端が突き刺さって確実にクリップ保持させる構成とした結果、該保持状態から順次または任意に1枚ずつを抜取った場合に該抜取り時の摩擦力で他紙や残紙が一緒に引き摺られて抜け落ちる重要課題が簡単構成により確実に防止されて所期目的が良好に達成できる。
4)前記カッターを表面部材や裏面部材に固着形成したクリップでは、例えば、保持紙が略10枚以下の場合は開口操作で抜け落ちることなく、保持紙の裏側や表側に重ねて、用紙の追加保持が可能である。
5)本クリップから抜取った用紙端は、カッター刃先でカットされて抜取られるが該カッター切断跡は保持紙端から4mm程度の小範囲でよく、殆ど品質を損なうことなく、且つ、保持紙が充分な保持力で保持懸吊される。
【0045】
6)クリップ挟持部にストッパーを設けた構成では挟持紙の抜き取り時に弾発力の影響を排除し得て、挟持紙が抜取り易く、且つ、保持紙端を破損しない。
7)上記効果により、メモ用紙のクリップのみならず、例えば、OA機器への入力時の原稿ホルダー、各種資料類、伝票類、チラシ類やカレンダー等、抜取り時やクリップ操作に伴う落下防止が要望される多くのクリップ分野において、如何なく発明機能効果を発揮して目的が果せる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の各構成部品の斜視図である。
【図2】第1実施例の斜視図、使用状態の斜視図及び機能説明用の断面図である。
【図3】主要部品、構成要部の取付け関係及び用紙保持状況、機能説明用の断面である。
【図4】第2実施例の各構成部品の斜視図である。
【図5】第2実施例の斜視図、使用状態の斜視図及び機能説明用の断面図である。
【図6】第3実施例の斜視図、断面説明図及び突刺し部材の斜視図である。
【図7】第4実施例の斜視図、断面説明図及び突刺し部材の斜視図である。
【図8】第5実施例の斜視図である。
【図9】第6実施例の斜視図である。
【図10】特許文献1からの引用図面である。
【図11】特許文献2からの引用図面である。
【符号の説明】
1…クリップ、2…突刺し部材(カッター、画鋲)、2a…尖端、2b刃先、3…表面部材、4…埋設溝、5…挿入端、5a…挟持端、6…操作部、7…軸受け部、7a…挿通穴、8…裏面部材、8a…挟持面、9…軸受け部、9a…挿通穴、10…コイルばね、11…シャフト、11a…抜け防止端、11b…かしめ端部、12…懸吊穴、13…懸吊具、14…抜取り方向、15…尖端回避溝、16…カッター切断跡、17…画鋲切断跡、18…粘着テープ(またはマグネット)、19…支点ピン、20…湾曲状板ばね、21…折曲げ係止端、22…係止棚、23…保護壁、24…表面ブロック、25…裏面ブロック、26…ブロック体、27…折曲げ基端(弾性部材)、28…折曲げ端、29…レバー、30…ボード、31…支持バー、32…伸縮式支持バー(1)、(2)、33…伸縮方向、34…凹ガイド部、35…凸ガイド部、36…ハンガー吊部材、37…接着剤塗布面、38…フレキシブル、39…緩衝部材、40…ばね板材、P…用紙、S…ストッパー。

Claims (7)

  1. 弾発部材が介在して裏面部材と表面部材とが互いに対向状に配設されるとともに、前記表面部材の一端に用紙挿入端を、他端に操作部を備えたクリップにおいて、前記表面部材または裏面部材の少なくとも何れか一方に用紙落下防止用の突刺し部材を固着形成したことを特徴とするクリップ。
  2. 前記弾発部材からの弾発力を排除するためのストッパー機構を備え、前記表面部材の一端に設けられた用紙挿入端の挟持端が前記裏面部材の挟持面に対する押圧作用を防止し得るように形成したことを特徴とする請求項1記載のクリップ。
  3. 前記突刺し部材は尖端及び刃先が鋭利なカッターであり、該尖端が保持紙面より突出するとともに該刃先を奥側向きとして前記表面部材または裏面部材の少なくとも何れか一方に固着したことを特徴とする請求項1または2の何れか一つに記載のクリップ。
  4. 前記突刺し部材が前記表面部材の用紙挿入端より奥側に配設固着されたことを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載のクリップ。
  5. 前記突刺し部材は尖端及び刃先が鋭利なカッターであり、該刃先稜線と保持紙面との成す角度が保持紙面の端部側に対して直角〜鈍角で取付け固着されたことを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載のクリップ。
  6. 前記突刺し部材は尖端が鋭利な画鋲であることを特徴とする請求項1、2または4の何れか一つに記載のクリップ。
  7. 前記表面部材及び裏面部材が透明体または色付きの半透明体のプラスチック素材で成型されたことを特徴とする請求項1〜6の何れか一つに記載のクリップ。
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