JP2005033917A - 振動発電機 - Google Patents

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公彦 中野
Takashi Saito
俊 斉藤
Daisuke Takii
大輔 滝井
Takuo Takiguchi
拓夫 瀧口
Masahiro Matsunaga
全央 松永
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Abstract

【課題】振動、揺動を理由して電磁誘導を誘起させて発電することができる振動発電機の構造に係わる
【解決方法】非磁性材料からなるパイプの両端に固定した永久磁石の間に、永久磁石からなる磁気振動子を配置した構造からなる磁気バネの、該固定した永久磁石と該振動子の間に電磁誘導コイルを配置した構造からなることを特徴とする。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、振動発電機に係わり、更に詳しくは、磁気バネの振動を利用して発電する発電機の構造に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】
近年携帯型の通信機器の普及は目覚しいものがある。これら携帯型の電子機器の電源には充電できる小型の電池が使用されているが、問題は、これら電池の容量が小さいために、頻繁な充電作業が必要になることである。使用頻度にもよるが、1〜3時間に1回程度の充電が必要になる場合もある。そこで、簡便に充電できる携帯型の充電器の開発が待望されている。特開平10−66323号公報、特開2000−308327号公報には、人、車の振動を利用して発電する発電機が開示されている。この発明は、バネで懸吊した永久磁石をコイルで取り囲み、人、車が動く時の振動で永久磁石を振動させ、コイルに起電力を誘起させるものである。
この方法の第一の欠点は、繰り返しの振動でバネが劣化し、長期間使用できないこと。第二の欠点は、永久磁石の外側にコイルを配する必要があり、しかも数千回のコイルの巻線回数が必要であるために、コイルの外径が大きくなり、装置全体としてはポケットに収納できるような小型化が難しい点である。第三の欠点は重量が重たいことである。以上の欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる問題点にかんがみてなされたもので、その目的は、スプリングを使用することなく長期間安定して永久磁石を振動させることが出来、高出力小型化が可能で、充電しながら使用もできる新しい構造の振動発電機を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記問題に関して鋭意研究を行い、下記(1)〜(7)の手段で問題を解決できることを見出した。
すなわち、
(1)非磁性材料からなるパイプの両端に固定した永久磁石の間に、永久磁石からなる磁気振動子を配置した構造からなる磁気バネの、該固定した永久磁石と該振動子の間に電磁誘導コイルを配置した構造からなることを特徴とする振動発電機。
(2)上記コイルの中に鉄芯を挿入してなることを特徴とする上記(1)に記載の振動発電機。
(3)非磁性材料からなるパイプの両端に固定した永久磁石の間に、永久磁石からなる磁気振動子を配置した構造からなる磁気バネの、該振動子の外周に、該振動子を取り囲む電磁誘導コイルを配置した構造からなることを特徴とする振動発電機。
(4)上記振動子が複数の永久磁石を直列に配列した構造からなり、該直列に配列された個々の永久磁石は、その向き合う面が同極にされてなることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の振動発電機。
(5)上記振動子の永久磁石は、少なくともその一方の端が該永久磁石を取り囲む電磁誘導コイルの長さの中で振動するように配置されてなることを特徴とする上記(3)あるいは(4)のいずれかに記載の振動発電機。
(6)上記振動子の永久磁石は、少なくともその一方の端が該永久磁石を取り囲む電磁誘導コイルの端を出入りするように振動する位置に配置されてなることを特徴とする上記(3)あるいは(4)のいずれかに記載の振動発電機。
(7)上記振動子の振動周波数が3.5 Hz以上であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の振動発電機。
【0005】
【発明の実施の形態】
図面によって本発明の作用、機能を説明する。
図1、図2は本発明の磁気ばねの構造を説明した図である。
非磁性ケース1の両端には永久磁石2、3が固定されている。
2個の永久磁石2、3の間には、磁気振動子4が配置されている。振動子4は永久磁石からなり、両端の永久磁石2、3から離隔して
配置され、ケース1の中を上下自在、あるいは左右自在に動ける様になっている。振動子4の磁石の極性は、対向する永久磁石2、3の極性と同じにされており、互いに反発する関係にある。
【0006】
ケース1に外から振動を与えると、振動子4は上下(あるいは左右自在)に振動するようになる。振動子4が永久磁石2に接近すると、磁気的な反発力が働き、永久磁石3の方向に押しやられる。永久磁石3に接近すると再び永久磁石2の方向に押しやられる。このようにして振動子4は永久磁石2、3の間を往復振動することとなる。
【0007】
振動子4を形成する永久磁石は1個(図1)でも良いし、あるいは複数個直列(図2)に並べても良い。図1は1個の場合、図2は複数個並べた場合である。
複数個並べる時は、向かい合う面の極性は同じにして互いに反発する関係にする。同じ極性にするとくっついて1個の永久磁石になってしまうので好ましくない。
【0008】
図3〜図6は本発明発電機の構造を説明した図である。
図3、図4は、両端に固定した永久磁石と振動子の間に電磁誘導コイルを配置した時の説明図で、図4はコイルに鉄芯を入れたときの説明図である。
図5は振動子の外周にコイルを配置した時のコイルと振動子の位置関係の説明図、図6は振動子の外周にコイルを配置し、振動子は永久磁石を複数個直列に並べた時の説明図である。
【0009】
図3、図4で、樹脂あるいはステンレス鋼等の非磁性ケース1の両端に永久磁石2、3が固定されている。
永久磁石2、3の間には磁性振動子4が配置され、振動子4と永久磁石2、3の間には電磁誘導コイル5が配置されている。
振動子4は永久磁石で出来ており、その極性は対向する永久磁石2、3の極性(N、S)と同じ極性にされており、互いに反発する関係にある。
振動子4は永久磁石2、3の間で、磁力的にバランスの取れた位置に静止する。外から振動を与えられて振動子4が永久磁石2に接近すると、磁気的な反発力が働き、永久磁石3の方向に押しやられる。永久磁石3に接近すると再び永久磁石2の方向に押しやられる。このようにして振動子4は永久磁石2、3の間を往復振動することとなる。
【0010】
振動子4が永久磁石2、3に接近したり離れたりしてコイルを横切る磁束が変化することによってコイルに起電力が誘起されることとなる。
【0011】
図4に示した様にコイルに予め高透磁率の鉄芯を入れておくと、コイルにはより高い起電力が誘起される。高透磁率材料としては、電磁軟鉄、珪素鋼板、パーマロイ、センダスト、Fe−Al合金、アモルファス合金、軟磁性フェライト等、通常この種の用途に使用されている材料は全て使用できる。
【0012】
コイルと振動子の位置関係は、コイルに誘起される起電力が最大になる位置に設定する。即ち、振動子の少なくとも一方の端(図5の振動子のN極)がコイルの上端を出入りする時、及びコイルの全長の中で振動する時に、誘起起電力が最も大きくなるので、コイルと振動子はこのような位置関係に設定する。図5で点線は、振動子が振動するときの上死点、下死点の位置を示す。振動子は上の点線の位置と下の点線の位置の間で振動する。
【0013】
コイルの数と振動子の永久磁石の数は必ずしも同数でなくても良い。図6の様に、振動子の永久磁石が3個、コイルが2個で、永久磁石の数が多くても良いし、またコイルの数が多くても良い。
【0014】
本発明発電機の振動子を振動させる為の好ましい振動周波数の範囲は概ね3.5Hz以上の範囲である。3.5Hz未満では、振動子は共振することがないため,多くの発電電力は望めない。自動車のエンジンの振動、風、波、橋梁の振動、人が激しく動く時では3.5Hz以上の振動が得られるので、これらに積載、あるいは人が所持して発電機として利用できる。また本発明発電機は、加速度を与えると振動が発生し、誘起起電力は加速度の大きさに比例するので、加速度計としても利用できる。
【0015】
本発明発電機では交流が誘起される。そのまま使用しても良いが、
コイルの端末に整流器を接続して直流に変換して、あるいは変換した直流は更にレギュレーターで電圧を昇圧して、電池の充電に使用できる。
【0016】
発電電圧を高くする場合、一坦直流変換して、極性を整合させて直列に接続して電圧を高くする。
【0017】
本発明は、人、車等の携帯積載型電子機器の電源として直接利用しても良いし、又電池に充電するだけのために利用しても良いし、あるいは直接電源と充電の両方に同時に利用できるようにしてもよい。
【0018】
本発明の発電機は、少なくとも3.5Hz以上の振動数の振動は全て利用できるものであり、特定の振動源、揺動源の種類に何ら限定されるものではない。
【0019】
本発明に使用する電磁誘導コイルは巻き線型のコイルからシート状のコイルまで形状に何ら制約を受けることなく使用できる。又シート状コイルでは、丸、四角、楕円形状等いかなる形状でも良い。
【0020】
永久磁石は、鋳造磁石、焼結磁石、永久磁石粒子をプラスチックで固めた磁石等、いかなる製法のものでも使用することができる。
永久磁石の形状は棒状、円板状からリング状までいかなる形状のものでも適宜採用できる。
【0021】
【実施例】
実施例1
図3に示した構造の発電機を試作した。
非磁性ケース:テフロン(登録商標)樹脂製(板厚2mm)
内径:20.0mm 長さ:70mm
両端の永久磁石:直径19mm×厚さ5mm 残留磁束密度1.2テスラ
両端の永久磁石の上に電磁誘導コイルを載置し、永久磁石に接着剤で固定した。
電磁誘導コイルには線径0.2mmのエナメル被覆銅線を1000回巻いたものを使用した。コイルは整流器に接続した。
2個の電磁誘導コイルの間に、直径19.8mm、厚さ10mm、9800ガウスの振動子(永久磁石)を入れて非磁性ケースを垂直に立てると
振動子は2個の電磁誘導コイルの間で空中に静止した。
次に非磁性ケースに振幅4 mm(Peak to Peak)、振動数10.0 Hzの振動を与えた。
整流器の取り出し端子には、コイル1個当り直流0.5Vの電圧が発電された。
2個のコイルの極性を整合させて、直列に接続すると合計1.0Vの電圧が得られた。
【0022】
実施例2(図7の構造)
図7の構造の発電機を試作した。
非磁性ケース:アクリル樹脂製(板厚2mm)
内径:51mm 長さ:70mm
両端の永久磁石:直径50mm×厚さ5mm 残留磁束密度1.2テスラ
両端の永久磁石の間に外径50mm、内径20mm長さ30mmの電磁誘導コイルを入れてアクリル製ケースに接着剤で固定した。
電磁誘導コイルには線径0.2mmのエナメル被覆銅線を1500回巻いたものを使用した。コイルの端末は整流器に接続した。
コイルの内径には厚さ0.2mmのテフロン(登録商標)のスリーブ(振動子のガイド)を嵌入し、コイル内面に固定した。
テフロン(登録商標)スリーブの中に外径19.2mm、長さ20mm、残留磁束密度1.2テスラの棒状振動子(永久磁石)を入れてアクリルケースを垂直に立てると振動子は2個の永久磁石の間で空中に静止した。
次に非磁性ケースに振幅5mm(Peak to Peak)、振動数10.0Hzの振動を与えた。
整流器の取り出し端子には、直流1.5Vの電圧が発電された。
【0023】
【発明の効果】
以上詳記したように本発明は、簡単な構造で耐久性にも優れ、かつ複数個直列につないで大きな電圧を得ることも出来るものであり、携行用電子機器、通信機器の電力補給に大いに貢献するものである。また種々の振動エネルギーを利用して発電することが出来、エネルギーの有効利用と省エネに多大な貢献をなすものである。
【0024】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、磁気バネの説明図である。
【図2】図2は、磁気バネの説明図である。
【図3】図3は、本発明発電機の説明図である。
【図4】図4は、本発明発電機(鉄芯入り)の説明図である。
【図5】図5は、本発明発電機の別の構造の説明図である。
【図6】図6は、本発明発電機の別の構造の説明図である。
【図7】図7は、実施例の構造の説明図である。
【符号の説明】
1…非磁性ケース 2…永久磁石
3…永久磁石 4…振動子
5…コイル

Claims (7)

  1. 非磁性材料からなるパイプの両端に固定した永久磁石の間に、永久磁石からなる磁気振動子を配置した構造からなる磁気バネの、該固定した永久磁石と該振動子の間に電磁誘導コイルを配置した構造からなることを特徴とする振動発電機。
  2. 上記コイルの中に鉄芯を挿入してなることを特徴とする請求項1に記載の振動発電機。
  3. 非磁性材料からなるパイプの両端に固定した永久磁石の間に、永久磁石からなる磁気振動子を配置した構造からなる磁気バネの、該振動子の外周に、該振動子を取り囲む電磁誘導コイルを配置した構造からなることを特徴とする振動発電機。
  4. 上記振動子が複数の永久磁石を直列に配列した構造からなり、該直列に配列された個々の永久磁石は、その向き合う面が同極にされてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の振動発電機。
  5. 上記振動子の永久磁石は、少なくともその一方の端が該永久磁石を取り囲む電磁誘導コイルの長さの中で振動するように配置されてなることを特徴とする請求項3あるいは4のいずれかに記載の振動発電機。
  6. 上記振動子の永久磁石は、少なくともその一方の端が該永久磁石を取り囲む電磁誘導コイルの端を出入りするように振動する位置に配置されてなることを特徴とする請求項3あるいは4のいずれかに記載の振動発電機。
  7. 振動子の振動周波数が3.5Hz以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の振動発電機。
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