JP2005013365A - レーシング股付シューズ - Google Patents

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Hiroshi Tada
紘 多田
Tatsumi Inoue
立美 井上
Atsushi Shibata
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Abstract

【課題】つま先部が二股構造を成し、踵の保持性・フィット性の調整及び、多少のサイズ感の調整が可能なシューズ構造と緊締方式を有する靴を提供する。
【解決手段】二股構造の趾股部を形成するシューズであり、甲被構造において、趾股部から中足骨近傍迄は縫合一体と成り、その位置から履き口に向かって二分割を成し、分割部の甲被は外側部に向かって突出する突出部と、内側部に向かって突出する突出部とを有し、内甲側の突出部は足首をくるむように配置され、その上に外甲側の突出部を重ね、緊締方式は、緊締用紐が趾股部の付根を基点として、甲部両側面の下側周縁部の紐通し部材を通り、踵部の紐通し部材を通り交差し、更に履き口部の紐通し部材を通り、シューズの足甲部で交差し、甲部両側面の相手側の下側周縁部を通った緊締用紐を跨いで折り返し、シューズの足甲部前方で緊締可能になっていることを特徴とするシューズ。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はシューズ、特に陸上競技用二股シューズの構造及び緊締方式に関する。
【0002】
【従来の技術】
古来より鼻緒付き履物は足の親指の接地力が強く、地面の把持性に優れているので地下タビとして農作業や、身体の微妙なバランスを要求される高所で作業をする「鳶職」、「大工職」の人々に利用されてきている。
又、陸上競技の練習用として通常のスニーカータイプの靴で、つま先部を二股にしたものが市販され、利用する人がいるが、本格的に二股シューズを競技に使用している人は見かけない。それは二股シューズの甲部構造、軽量化、美的外観、緊締手段等に格別の考慮が払われていないためである。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
又、外観は一般のスポーツシューズでシューズのつま先部分を二股にしたシューズが開示されている。これは靴底部分及び甲被外観は一般のシューズと同じで靴内部で足袋状に形成され、足の親指と、他の4指とを別々に包む甲裏布を甲被および底布に縫着したものである。(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
(特許文献1) 実開平6−84902号公報
(特許文献2) 実開平2−107305号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1及び2の靴において、緊締手段は従来の足甲部位置における靴紐による通常の緊締方法が用いられている。この方法では踵の保持性・フイット性の調整ができない。又、多少のサイズ感の調節も無理である。
【0006】
特許文献2にあっては、靴底が二股に成っておらず、踏み込む力が最も強い親指の地面への力の伝播が、靴底二股方式に比べて足の親指と他の4指との共通底による干渉を受け減少する。
【0007】
本発明は、甲部構造と緊締手段を鋭意研究し、足の親指の踏み込み力が発揮される地下タビのつま先部の二股構造を成し、踵部から土踏まず部分に掛けてのフィット性と安定性に優れ、踵の保持性・フィット性の調整及び、多少のサイズ感の調整が可能なシューズ構造と緊締方式を有する靴を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、靴底から甲部にかけて第一足趾とその他の足趾との間の趾股部を形成するシューズであって、趾股部の付根、甲部両側面の下側周縁部、踵部及び履き口部のそれぞれに緊締用紐通し部材が配置され、緊締用紐が趾股部の付根に配置された紐通し部材を基点として、甲部両側面の下側周縁部に間隔を隔てて配置された紐通し部材を通り、更に踵部に配置された紐通し部材を通り交差し、更に履き口部に間隔を隔てて配置された紐通し部材を通り、シューズの足甲部で交差し、甲部両側面の相手側の下側周縁部を通った緊締用紐を跨いで又は潜って折り返し、シューズの足甲部前方で緊締可能になっていることを特徴とするシューズである。
【0009】
請求項2の発明は、前記緊締用紐の紐通し部材の位置が、趾股部の付根位置に相当する位置に、内甲側の下側周縁部においては母趾球部近傍位置から踵骨の土踏まず寄りの位置に相当する位置に、外甲側の下側周縁部においては小趾球部近傍位置から踵骨土踏まず寄りの位置に相当する位置に、踵部においては踵骨の外側突起上部近傍位置に相当する位置に、履き口部においては装着後に踝を包むような位置に相当する位置に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載のシューズである。
【0010】
請求項3の発明は、甲部の甲被構造において、趾股部の付根から中足骨近傍迄の部分は縫合一体と成り、その位置から履き口に向かって二分割を成し、分割部の甲被は内側部から外側部に向かって突出する内甲側の甲被突出部と、外側部から内側部に向かって突出する外甲側の甲被突出部とを有し、内甲側の甲被突出部は足首をくるむように配置され、その上に外甲側の甲被突出部を重ねることを特徴とする甲被構造を有する請求項1及び2に記載のシューズである。
【0011】
請求項4の発明は、前記緊締用紐が適度の伸縮性を有する紐であることを特徴とする請求項1乃至3に記載のシューズである。
【0012】
本発明は、靴底及び甲部の第一足趾とその他の足趾との間の趾股部を二股に形成し、足の親指の踏み込み力が発揮される構造とし、趾股部の付根、甲部両側面の下側周縁部、踵部及び履き口部それぞれにに掛けて緊締用紐通し部材を配置し、緊締用紐を趾股部の付根位置に配置された紐通し部材を基点として、甲部両側面の下側周縁部に間隔を隔てて配置された紐通し部材を通り、更に踵部に配置された紐通し部材を通り交差し、更に履き口部に間隔を隔てて配置された紐通し部材を通り、シューズの足甲部で交差し、甲部両側面の相手側の下側周縁部を通った緊締用紐を跨いで又は潜って折り返し、シューズの足甲部前方で緊締可能にすることにより、踵部から土踏まず部分に掛けてのフィット性、踵の保持性・フィット性の調整及び、多少のサイズ感の調整が可能となる。
【0013】
より具体的な緊締の位置は、趾股部の付根位置に相当する位置、内甲側の下側周縁部においては母趾球部近傍位置から踵骨の土踏まず寄りの位置に相当する位置、外甲側の下側周縁部においては小趾球部近傍位置から踵骨土踏まず寄りの位置に相当する位置に、踵部においては踵骨の外側突起上部位置近傍に相当する位置に、履き口部においては装着後に踝を包むような位置に相当する位置に配置され請求項1に記載する紐による緊締手段により、足全体を包むように緊締することが出来る。
【0014】
通常、靴の甲部のみの緊締手段では踵部のフイット感は得られないが、本発明の如く紐による緊締手段において、緊締位置が踵部と踵骨の土踏まず寄りの位置と足甲部とを含むことにより踵部のフイット性の調整とともに踵の保持性が得られる。。
【0015】
又、紐による緊締手段において、緊締位置が二股部の付根部と踵部とを含むことにより多少のサイズ感の調整が可能となる。
又、緊締用紐が踵部から履き口を通り、シューズの足甲部で交差し、甲部両側面の相手側の下側周縁部を通った緊締用紐を跨いで又は潜って折り返し、シューズの足甲部前方で緊締可能になることにより、土踏まず部分と足甲部が一緒に縛られた状態の緊締となりフイット性が高まる。
【0016】
又、緊締の基点となる趾股部の二股の付根部分と緊締最終点の足甲部とは緊締手段により直接拘束していないので、足甲部分の自由な運動が行える。
【0017】
甲部の甲被構造において、いわゆる舌片が無く、甲被が足甲部前方で二分割を成し、分割部の甲被は内側部から外側部に向かって突出する内甲側の甲被突出部と、外側部から内側部に向かって突出する外甲側の甲被突出部とを有し、内甲側の甲被突出部は足首をくるむように配置され、その上に外甲側の甲被突出部を重ねることにより、着用者の足の甲高さ、足の幅広さ等に応じて重ねた甲被突出部が個々に移動し最適のフイット感が得られる。
【0018】
運動用シューズは足の動きに対して順応性を有しておく必要がある。走行時、足はローリングを起こす。走行において、運動用シューズは地面に対し通常約6度〜12度の角度で外側から接する。その後重心の作用点は母趾球近傍に進み蹴り出しが行なわれる。
この足の動きに柔軟に対応し、しかもシューズの緊締は確実におこなう必要がある。そのために、緊締用紐が適度の伸縮性を有する紐であることが必要となる。
【0019】
緊締用紐としては、人工繊維の編物からなり、5kg荷重に対し20%〜40%、好ましくは25%〜35%の伸びを有する紐が望ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係るシューズ本体の緊締手段を示す側面からの外観図である。
図2は、本実施の形態に係るシューズ本体の構造及び緊締手段を示すを正面からの鳥瞰図である。
【0021】
本発明は、靴底(2)から甲部(3)にかけて第一足趾とその他の足趾との間の趾股部(4)を形成するシューズ(1)であって趾股部(4)の付根、甲部両側面の下側周縁部、踵部及び履き口部それぞれに緊締用紐通し部材(6)が配置され、緊締用紐(7)が趾股部(4)の付根に配置された紐通し部材(6a)を基点として、甲部両側面の下側周縁部に間隔を隔てて配置された紐通し部材(6b)を通り、更に踵部に配置された紐通し部材(6c)を通り交差し、更に履き口部に間隔を隔てて配置された紐通し部材(6d)を通り、シューズ(1)の足甲部で交差し、甲部両側面の相手側の下側周縁部を通った緊締用紐(7)を跨いで又は潜って折り返し、シューズ(1)の足甲部前方で緊締可能になっていることを特徴とするシューズ(1)である。
【0022】
靴底(2)はアウトソールとミッドソールからなり、アウトソールの踵接地底部と母趾球近傍の踏み付け底部とが耐摩耗性のある充実ゴムとし、その接地部以外の底部品はエラストマーの発泡体とした。
アウトソールの踵接地底部と母趾球近傍の踏み付け接地部には、耐摩耗性の硬さ(JIS K6253のAタイプ)60〜75度の弾性を有する厚み4mmのゴム底部品を準備した。
又、前記踵接地底部と母趾球近傍の踏み付け接地部以外の底部品には、比重0.65,硬さ(JIS K6253のEタイプ)70度のスチレン−ブタジエンゴムのようなエラストマーの発泡体を使用した。
ミッドソールには、比重0.35,硬さ(JISK6253のEタイプ)60度のEVAスポンジを使用した。
【0023】
甲部(3)の部材としては、軽さ及び通気性を考慮しナイロン、ポリエステル、ビニロン等の合成繊維を用いたダブルラッセル編みや、ラッセル編みから成る表生地の裏面にウレタン発泡体の薄板を貼着したもの等を任意に実施可能である。但し、紐通し部材(6)を縫着固定する部分は、強度の強い布帛を用いる。
【0024】
紐通し部材(6)には緊締用紐(7)が挿通している。紐通し部材(6)としては、強度の強い布帛をリング状にして端部を縫着固定する。
【0025】
緊締用紐(7)の紐通し部材(6)の位置を、足全体を包むポイントとなる趾股部の付根位置、内甲側の下側周縁部においては母趾球部近傍位置から踵骨の土踏まず寄りの位置、外甲側の下側周縁部においては小趾球部近傍位置から踵骨土踏まず寄りの位置に相当する位置に、踵部においては踵骨の外側突起上部位置近傍に相当する位置に、履き口部においては装着後に踝を包むような位置に相当する位置に配置し、請求項1に記載の緊締手順で緊締用紐(7)を締付けることにより、着用者の足の側にシューズ全体が引き寄せられる。
【0026】
甲部(3)の甲被構造において、趾股部(4)の付根から中足骨近傍迄の部分(5)は甲被が縫合一体と成っているがその位置から履き口に向かって二分割を成し、分割部の甲被は内側部から外側部に向かって突出する内甲側の甲被突出部(8)と、外側部から内側部に向かって突出する外甲側の甲被突出部(9)とを有し、内甲側の甲被突出部(8)は足首をくるむように配置され、その上に外甲側の甲被突出部(9)を重ねることを特徴とする甲被構造とした。
この構造により、足の甲高さ、足の幅広さ等に応じて重ねた甲被突出部が個々に移動し最適のフイット感が得られた。
【0027】
足挿入時に内甲側の甲被突出部(8)をシューズの奥に押し込まないように内甲側の甲被突出部(8)の端部を伸縮性のある帯で中底に係止した。
【0028】
緊締用紐(7)を引張り、足全体を縛り付ける様に緊締を行なうが、緊締用紐(7)が全く伸びを有しない場合、走行時の足の運動が拘束を受ける。又、逆に伸びが有りすぎると緊締の機能をなさない。
その為、 緊締用紐(7)は適度の伸縮性を有する強度のある紐の必要がある。本実施の形態においてはポリエステルの編物を用いた。伸びは5kg荷重時に25%を示した。
【0029】
本発明により、足の親指の踏み込み力が発揮され、踵部から土踏まず部分に掛けてのフィット性と安定性に優れ、踵の保持性・フィット性の調整及び、多少のサイズ感の調整が可能なシューズが得られた。
【0030】
【発明の効果】
通常、靴の甲部のみの緊締手段では踵部のフイット感は得られないが、本発明の如く紐による緊締手段において、緊締位置が踵部と踵骨の土踏まず寄りの位置と足甲部とを含むことにより踵部のフイット性の調整とともに踵の保持性が得られる。又、紐による緊締手段において、緊締位置が二股部の付け根部と踵部とを含むことにより多少のサイズ感の調整も可能となる。
【0031】
緊締用紐が踵部から履き口を通り、シューズの足甲部で交差し、甲部両側面の相手側の下側周縁部を通った緊締用紐を跨いで又は潜って折り返し、シューズの足甲部前方で緊締可能になることにより、土踏まず部分と足甲部が一緒に縛られた状態の緊締となりフイット性が高まる。
【0032】
甲部の甲被構造において、いわゆる舌片が無く、甲被が足甲部前方で二分割を成し、分割部の甲被は内側部から外側部に向かって突出する内甲側の甲被突出部と、外側部から内側部に向かって突出する外甲側の甲被突出部とを有し、内甲側の甲被突出部は足首をくるむように配置され、その上に外甲側の甲被突出部を重ねることにより、着用者の足の甲高さ、足の幅広さ等に応じて重ねた甲被突出部が個々に移動し最適のフイット感が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係るシューズ本体の緊締手段を示す側面からの外観図である。
【図2】本実施の形態に係るシューズ本体の構造及び緊締手段を示すを正面からの鳥瞰図である。
【符号の説明】
1 シューズ
2 靴底
3 甲部
4 趾股部
5 趾股部の付根位置から中足骨近傍迄の部分
6 紐通し部材
6a 紐通し部材
6b 紐通し部材
6c 紐通し部材
6d 紐通し部材
7 緊締用紐
8 内甲側の甲被突出部
9 外甲側の甲被突出部

Claims (4)

  1. 靴底から甲部にかけて第一足趾とその他の足趾との間の趾股部を形成するシューズであって、趾股部の付根、甲部両側面の下側周縁部、踵部及び履き口部のそれぞれに緊締用紐通し部材が配置され、緊締用紐が趾股部の付根に配置された紐通し部材を基点として、甲部両側面の下側周縁部に間隔を隔てて配置された紐通し部材を通り、更に踵部に配置された紐通し部材を通り交差し、更に履き口部に間隔を隔てて配置された紐通し部材を通り、シューズの足甲部で交差し、甲部両側面の相手側の下側周縁部を通った緊締用紐を跨いで又は潜って折り返し、シューズの足甲部前方で緊締可能になっていることを特徴とするシューズ。
  2. 前記緊締用紐の紐通し部材の位置が、趾股部の付根位置に相当する位置に、内甲側の下側周縁部においては母趾球部近傍位置から踵骨の土踏まず寄りの位置に相当する位置に、外甲側の下側周縁部においては小趾球部近傍位置から踵骨土踏まず寄りの位置に相当する位置に、踵部においては踵骨の外側突起上部近傍位置に相当する位置に、履き口部においては装着後に踝を包むような位置に相当する位置に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載のシューズ。
  3. 甲部の甲被構造において、趾股部の付根から中足骨近傍迄の部分は縫合一体と成り、その位置から履き口に向かって二分割を成し、分割部の甲被は内側部から外側部に向かって突出する内甲側の甲被突出部と、外側部から内側部に向かって突出する外甲側の甲被突出部とを有し、内甲側の甲被突出部は足首をくるむように配置され、その上に外甲側の甲被突出部を重ねることを特徴とする甲被構造を有する請求項1及び2に記載のシューズ。
  4. 前記緊締用紐が適度の伸縮性を有する紐であることを特徴とする請求項1乃至3に記載のシューズ。
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