JP2005003807A - 画像形成装置およびクリーニング装置 - Google Patents

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Hiroe Okuyama
浩江 奥山
Takashi Kanagawa
尚 神奈川
Satoshi Shigesaki
聡 重崎
Taichi Yamada
太一 山田
Kanji Shintaku
寛治 新宅
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Abstract

【課題】本発明は、電子写真方式を用いた画像形成装置、およびその画像形成装置に用いられるクリーニング装置に関し、長期走行後であっても感光体上に潤滑剤を安定的に塗布することができ、長期に亘りクリーニング性能を維持する。
【解決手段】フリッキング部材174のクリーニングブラシ171に対する侵入量aと、クリーニングブラシ171の、クリーニングブラシ171が仮に感光体11内側に無抵抗に侵入可能であるとした場合のその感光体11への侵入量bとの比a/bが、0.5以上かつ1.0以下である。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタなどの、電子写真方式を用いた画像形成装置、およびその画像形成装置に用いられるクリーニング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法では、感光体表面を帯電、露光して作成した静電潜像をトナーで現像してトナー像を作成し、そのトナー像を最終的に記録媒体に転写し、これを熱ロール等で定着して画像を形成している。転写工程を終えた感光体表面には未転写のトナーおよびトナー成分、帯電プロセスによって生成した放電生成物などが残留するため、これらの残留物を次の画像形成プロセスに先立って除去するクリーニングプロセスが必要になる。近年最も広く用いられているクリーニング方式として、ゴムブレードを感光体に当接させる方式が一般的であるが、クリーニング部では感光体表面層とクリーニングゴムブレード間の摺擦によるストレスが発生し、感光体表面層の磨耗と傷が課題である。長期に渡って良好なプリントを得るためには、これらの部材劣化を出来るだけ低減することが必須である。これを改善するために、感光体表面に潤滑剤を塗布する工程を設け、感光体への機械的ストレスを緩和する技術が良く知られている。さらに近年の高画質化の要求に応えるため小粒径で球形度が高い重合トナーを用いた場合、長期に渡る走行後のトナークリーニング維持性が悪化するという問題があるが、感光体上に潤滑剤皮膜を形成することによって、感光体とトナーとの間の付着力が低減するため、クリーニング性を向上させることができる。潤滑剤を感光体に塗布する方法として、その簡便さ故に、固形潤滑剤をクリーニングブラシに押し当て、クリーニングブラシを介して潤滑剤を感光体に供給し、クリーニングブレードで潤滑剤の皮膜を形成する方法などが採用されている。この方法においてクリーニングブラシは、潤滑剤を感光体に塗布する機能と、感光体上のトナーを掻き取る機能との両方を併せ持つ。しかしながら、転写されずに残留するトナーの量は環境や画像密度、被転写体の条件によって変動し、クリーニングブラシに付着したトナーは主としてフリッキング部材によって除去されるが、必ずしも全てのトナーが除去されるわけではない。クリーニングブラシに付着したトナーの量が多い状態が長期に渡って続くと、クリーニングブラシに接触している固形潤滑剤表面にトナー付着が生じることによって潤滑剤の塗布量が変動するという問題が生じる。一方、クリーニングブラシの感光体に対する侵入量(クリーニングブラシは、実際には感光体の表面を掻くのであって感光体内には侵入しないが、ここでは仮に感光体に邪魔されずに感光体内部にまで自由に侵入できるとした場合の侵入量をいう)は感光体への潤滑剤塗布量への影響が大きく、感光体に潤滑剤を安定に塗布するためにはクリーニングブラシの感光体に対する侵入量と、フリッキング部材の、クリーニングブラシへの侵入量とのバランスが重要である。
【0003】
特許文献1には、クリーニングブラシの感光体への侵入量をフリッキング部材のクリーニングブラシへの侵入量より小さくすることによって、クリーニングブラシのトナー掻き取り性能の劣化、即ちクリーニング性能の低下を抑制する方法が提案されている。しかしながらこのクリーニング方法はクリーニングブラシ自体のクリーニング性能の劣化抑制には効果があるが、潤滑剤塗布量が低下してしまい、感光体摩耗良低減効果が薄れる結果となる。特に長期走行した場合、感光体へのクリーニングブラシの侵入量が少ないと、クリーニングブラシの変形等により塗布量が変化してしまい、安定な画像が得られない。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−75745号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑み、長期走行後であっても感光体等の像担持体上に潤滑剤を安定的に塗布することができ、長期に亘りクリーニング性能を維持することのできるクリーニング装置およびそのクリーニング装置を採用した画像形成装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の画像形成装置は、回転する像担持体上にトナー像を形成しそのトナー像を最終的に記録媒体上に転写および定着することにより記録媒体上に定着トナー像からなる画像を形成する画像形成装置において、
像担持体表面のトナー像転写後の領域に接触して回転することにより像担持体表面をクリーニングするクリーニングブラシと、
像担持体回転方向に関し、像担持体のクリーニングブラシが接触する領域よりも下流側において像担持体に当接して像担持体表面をクリーニングするクリーニングブレードと、
クリーニングブラシに接触する固形潤滑剤と、
先端部分がクリーニングブラシに侵入する位置に配置されクリーニングブラシの回転に伴ってクリーニングブラシの先端部分を弾いてクリーニングブラシに付着したトナーを除去する板状のフリッキング部材とを備えた、転写後の像担持体表面に残存する残存トナーを除去するクリーニング装置を具備し、
上記フリッキング部材のクリーニングブラシに対する侵入量aと、クリーニングブラシの、そのクリーニングブラシが仮に像担持体内側に無抵抗に侵入可能であるとした場合のその像担持体への侵入量bとの比a/bが、0.5以上かつ1.0以下であることを特徴とする。
【0007】
ここで、本発明の画像形成装置は、さらに、上記固形潤滑剤を支持し、クリーニングブラシの回転軸と平行な回転軸により、その固形潤滑剤をクリーニングブラシに接触させる方向にモーメントを生じさせるように支持された支持部材を備えたものであることが好ましい。
【0008】
また、本発明の画像形成装置において、上記固形潤滑剤が、ステアリン酸亜鉛であることが好適である。
【0009】
また、上記目的を達成する本発明のクリーニング装置は、回転する像担持体上にトナー像を形成しそのトナー像を最終的に記録媒体上に転写および定着することにより記録媒体上に定着トナー像からなる画像を形成する画像形成装置における、転写後の像担持体表面に残存する残存トナーを除去するクリーニング装置において、
像担持体表面のトナー像転写後の領域に接触して回転することにより像担持体表面をクリーニングするクリーニングブラシと、
像担持体回転方向に関し、像担持体のクリーニングブラシが接触する領域よりも下流側において像担持体に当接して像担持体表面をクリーニングするクリーニングブレードと、
クリーニングブラシに接触する固形潤滑剤と、
先端部分がクリーニングブラシに侵入する位置に配置され、そのクリーニングブラシの回転に伴ってそのクリーニングブラシの先端部分を弾いてそのクリーニングブラシに付着したトナーを除去する板状のフリッキング部材とを備え、
上記フリッキング部材のクリーニングブラシに対する侵入量aと、クリーニングブラシの、そのクリーニングブラシが仮に像担持体内側に無抵抗に侵入可能であるとした場合のその像担持体への侵入量bとの比a/bが、0.5以上かつ1.0以下であることを特徴とする。
【0010】
ここで、本発明のクリーニング装置においても、上記固形潤滑剤を支持し、クリーニングブラシの回転軸と平行な回転軸により、その固形潤滑剤をクリーニングブラシに接触させる方向にモーメントを生じさせるように支持された支持部材を備えることが好ましく、その固形潤滑剤は、ステアリン酸亜鉛であることが好ましい。
【0011】
本発明者らは鋭意検討の結果、フリッキング部材の、クリーニングブラシに対する侵入量aと、クリーニングブラシの、像担持体に対する侵入量bとの比(a/b)を0.5以上1.0以下にすることによって、長期走行後でも感光体に潤滑剤を安定に塗布できることを見出した。フリッキング部材のクリーニングブラシに対する侵入量aと、クリーニングブラシの像担持体に対する侵入量bとの比(a/b)が0.5より小さいと、固形潤滑剤の固着が進み、像担持体への潤滑剤の塗布量が低下するため、像担持体の摩耗量が増大する。一方、フリッキング部材のクリーニングブラシに対する侵入量aと、クリーニングブラシの像担持体に対する侵入量bとの比(a/b)が1.0より大きいと潤滑剤の塗布量が過多になり、高温高湿度化における画像ボケが発生する。その理由は潤滑剤の塗布層が厚いため、クリーニングブレードによる放電生成物の掻き取り効率が低下することによると考えられている。フリッキング部材のクリーニングブラシに対する侵入量aとクリーニングブラシの像担持体に対する侵入量bとの比(a/b)の更に好ましい範囲は、0.75以上1.0以下である。またフリッキング部材のクリーニングブラシへの侵入量aは0.5mm以上1.2mm以下が好ましく、0.5mmより小さいとトナー除去性能が低下し、クリーニングブラシへの目詰まりが発生する。フリッキング部材のクリーニングブラシへの侵入量が1.2mmより大きいとクリーニングブラシの経時劣化が激しく、クリーニングブラシの毛の変形による外径が小さくなることにより、クリーニング性能と潤滑剤塗布性能を維持できない。クリーニングブラシの像担持体への侵入量bは0.5mm以上1.2mm以下が好ましく、クリーニングブラシの像担持体への侵入量が0.5mmより小さいと潤滑剤塗布性能が充分でなく、1.2mmより大きいと像担持体へのダメージ傷が発生する。
【0012】
また、本発明において固形潤滑剤を支持する上記の支持部材を設けることで、固形潤滑剤の像担持体回転軸方向の塗布量均一性と長期走行における塗布量の経時安定性が増し、上記の比(a/b)の条件と組み合わせることで、像担持体が均一に摩耗するため、ハーフトーン画像のような、摩耗ムラに対して敏感な画像パターンであっても、長期に渡って良好な画像が得られる。
【0013】
固形潤滑剤の種類としては、ステアリン酸亜鉛が最も好ましいが、その他、ステアリン酸マグネシウムを始めとする脂肪酸金属塩、PTFE等のフッ素系樹脂等が特に好ましい。
【0014】
クリーニングブラシの回転速度は、像担持体に対する速度比が0.5から1.5の範囲で制御することが望ましい。周速度比が0.5より低いとクリーニングブラシと像担持体との間にトナーがパッキングし、クリーニング不良や像担持体へのトナー固着の原因となる。一方、周速度比が1.5より大きいとクリーニングブラシの摺擦による像担持体への傷等が発生する。クリーニングブラシ表面の繊維密度は、15×103〜120×103本/inch(23.4〜186本/mm)が好ましく、さらに好ましくは20×103〜〜60×103本/inch(31.0〜93.0本/mm)である。繊維密度を上記範囲にすることにより、長期間にわたって均一な潤滑剤の塗布が可能となるため好ましい。クリーニングブラシの繊維の材質としては、ナイロン、アクリル又はポリプロピレンが好ましい。クリーニングブラシ表面の繊維太さは2〜10デニールが好ましく、さらに好ましくは3〜10デニールである。繊維太さを範囲にすることにより固形潤滑剤の掻き取りおよび像担持体への塗布が適切に行われれる。クリーニングブラシ表面の繊維長さ(ここでは、起毛の接着層厚は含まない)は2.5mm〜7mmが好ましく、さらに好ましくは3mm〜6.5mmである。繊維長さを上記範囲にすることにより、固形潤滑剤の掻き取りおよび像担持体への塗布が適切に行われれる。
【0015】
固形潤滑剤をブラシに押し当てる方法は自重式が最も簡便であるが、固形潤滑剤の初期荷重は、12gf〜60gf(118mN〜588mN)が好ましく、さらに好ましくは15gf〜40gf(147mN〜392mN)である。ブラシへの荷重を上記範囲にすることにより、長期間にわたって適切な量の固形潤滑剤をを供給することができるため好ましい。
【0016】
本発明の画像形成装置やクリーニング装置を構成するためのその他の要素の好ましい材料等については、後述する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態を示す模式図である。
【0019】
この画像形成装置10には、矢印A方向に回転するドラム状の感光体11が備えられており、その回りに帯電装置12、露光装置13、現像装置14、転写装置15およびクリーニング装置16が配備され、さらに、この画像形成装置10には、用紙20上に転写されたトナー像を定着する定着装置17が備えられている。
【0020】
感光体11の表面は帯電装置12により一様に帯電され露光装置13からの露光光131により露光されて感光体11の表面に静電電位分布からなる静電潜像が形成される。その静電潜像は、トナーにより現像を行なう現像装置14により現像されて感光体11の表面にトナー像が形成される。感光体11の表面に形成されたトナー像は、転写装置15の作用により、矢印B方向に搬送されてきた用紙20上に転写される。トナー像の転写を受けた用紙20は、さらに搬送され、定着装置17による加熱と加圧を受けて、その用紙20上のトナー像がその用紙20上に定着され、これにより、その用紙20上に定着トナー像からなる画像が形成される。また、転写されずに感光体11の表面に残存した残存トナーは、クリーニング装置16によりその感光体表面から除去され、感光体11は、その感光体表面から残存トナーが除去された後再び帯電装置12により帯電され、次の画像形成に供される。
【0021】
ここで、クリーニング装置16には、感光体11の表面をクリーニングする部材として、クリーニングブラシ161とクリーニングブレード162とが備えられている。クリーニングブラシ161は、感光体11の表面の、トナー像転写後の領域に接触して、矢印C方向に回転することにより、感光体11の表面をクリーニングする部材であり、クリーニングブレード162は、感光体11の回転方向(矢印A方向)に関し、その感光体11のクリーニングブラシ161が接触する領域よりも下流側においてその感光体11に当接して、その感光体表面をクリーニングする部材である。
【0022】
ここで、このクリーニングブラシ161は、図示上ではそのクリーニングブラシ161の先端部分が感光体11の表面よりも内部に入り込んでいるように描かれているが、これは、クリーニングブラシ161の配置位置が、仮に感光体11を取り外し、あるいは仮にクリーニングブラシ161の先端部分が感光体11の内側に無抵抗に侵入可能であるとした場合の先端位置を示したものであり、実際には、感光体11の表面に阻まれてそのクリーニングブラシ161の先端部分が撓み、その先端部分で感光体11の表面を摺擦し、これによりその感光体11の表面の残存トナー等がクリーニングされることになる。
【0023】
また、クリーニングブレード162についても同様であり、図1では、そのクリーニングブレード162の先端部分が感光体11に食い込んでいるように描かれているが、実際は、クリーニングブレード162の先端部分が感光体11の表面からの圧力を受けて、その図示上の食い込み量に応じた分だけ変形し、感光体11の表面に確実に当接した状態となっている。
【0024】
そのクリーニングブラシ161の回りには、固形潤滑剤163と板状のフリッキング部材166が配備されている。
【0025】
固形潤滑剤163は、クリーニングブラシ161を介して感光体11の表面に潤滑剤を供給する目的のものである。この固形潤滑剤163は、支持部材164に支持されており、その支持部材164は、クリーニングブラシ161の回転軸と平行な回転軸164aにより回転自在に軸支されている。この支持部材164を軸支する回転軸164aは、その支持部材164に支持された固形潤滑剤163をクリーニングブラシ163に接触させる方向にモーメントを生じさせる位置にあり、その固形潤滑剤163は、その支持部材164と固形潤滑剤163自身の自重によるモーメントと、さらに荷重165の作用を受けて、クリーニングブラシ161に接触した状態にある。
【0026】
このような、固形潤滑剤163をクリーニングブラシ161の回転軸と平行な回転軸に回動自在に軸支された支持部材164に支持させてその固形潤滑剤163をクリーニングブラシ161に接触させた構成により、固形潤滑剤163をの、感光体11の回転軸方向の塗布量の均一性と、長期走行における塗布量の経時安定性が良好に保たれ、長期に亘る良好な画像形成に寄与している。
【0027】
また、フリッキング部材166は、その先端部分がクリーニングブラシ161に侵入した位置に配置されており、クリーニングブラシ161が矢印C方向に回転することにより、その回転に伴ってクリーニングブラシ161の先端部分をそのフリッキング部材166で弾き、これによりそのクリーニングブラシ161に付着したトナーを除去するための部材である。
【0028】
図2は、クリーニングブラシの、感光体への侵入量、およびフリッキング部材の、クリーニングブラシへの侵入量を示した図である。
【0029】
上述したように、クリーニングブラシ161は、実際には感光体11には侵入しないものの、ここでは、クリーニングブラシ161の先端部分が仮に感光体11の内側に無抵抗で侵入可能であるとした場合に感光体11の内側に侵入する量を侵入量と称している。
【0030】
ここでは図示のように、フリッキング部材166の、クリーニングブラシ161への侵入量をa、クリーニングブラシ161の、感光体11への侵入量をbとする。
【0031】
このとき、このクリーニング装置では、それらの侵入量の比(a/b)が0.5以上1.0以下となるようにクリーニングブラシ161やフリッキング部材166等の配置位置が設定されている。このように、侵入量a,bの比(a/b)を0.5以上1.0以下とすることにより、以下の実施例に示すように、長期走行後でも感光体に潤滑剤を安定に塗布することができ、感光体磨耗を低減し、クリーニング不良も防止し、長期に渡って高画質で画像ムラ等の劣化が防止された安定した画像を形成することができる。
【0032】
【実施例】
ここでは、図1に示す基本構成を持つ画像形成装置、具体的には、富士ゼロックス株式会社製Docu Center Color 500機を用い、必要に応じてそのクリーニング装置を改造しながら行なった実験について説明する。
【0033】
以下では、実験に使用した画像形成装置を「実験機」と称する。
【0034】
評価方法
(走行テスト)
実験機を用い、高温高湿(28℃、85%RH)30万枚走行後、環境を低温低湿(10℃、15%RH)に切り替えてさらに30万枚、計60万枚の走行試験を行い、感光体磨耗、ブレードエッジダメージおよび走行後のクリーニング性の評価を行った。この時の画像密度は20%である。
【0035】
クリーニングブレードにはウレタンゴムを用い、ブレード線圧2.6gf/mm(25.5mN/mm)、ブレードクリーニング角度12.6度になるように設定した(ブレード硬度:87,、自由長:9mm、設定角度23度)。
【0036】
図3は、クリーニングブレードの模式図である。
【0037】
設定角度θは、クリーニングブレード162が仮に感光体に邪魔されずに感光体内部にまで自由に侵入できたとした場合の、クリーニングブレードと感光体表面の接線との成す角度であり、クリーニング角度αは
α=設定角度θ−arctan(1.5×食い込み量d/自由長L)
であり、クリーニングブレードが感光体と干渉して図示のように撓んだ状態における、クリーニングブレードと感光体との接触位置の、クリーニングブレードの接線と感光体の接線との成す角度にほぼ相当する。また自由長Lは、そのクリーニングブレード162を支持する支持部材169の先端からクリーニングブレード162の先端までの長さである。さらに食い込み量dは、クリーニングブレード162が仮に感光体に邪魔されずれに感光体内部にまで自由に侵入できたとした場合のクリーニングブレードッ先端と感光体表面の接線との間の長さである。・トナーは実験機であるDocu Center Color 500オリジナルのものを使用した(トナー粒径は、体積平均粒径D50:5.8μm、形状係数:132)。固形潤滑剤はステアリン酸亜鉛を溶融成形し、5.mm×5mm×320mmに成形したものを用いた。
【0038】
固形潤滑剤の供給量は荷重によって調整し、初期走行(3000枚)後に測定したものである。
・フリッキング部材(材料:ポリオキシメチレンPOM)のクリーニングブラシへの侵入量、クリーニングブラシの感光体への侵入量等を変更するために、フリッキング部材の長さや実験機の改造を行った。
・クリーニングブラシは表1に記載されたものを用いた(ブラシ毛長さ6.5mm(接着層含む))。
(測定方法)
・感光体の磨耗に関しては走行試験前と試験後の感光体の膜厚を渦電流式の膜厚計で計測しその差分にて判断した。
・感光体傷は、表面粗さ計(東京精密(株)製Surfcom1400A )での10点平均粗さ(Rz)を測定を行い評価した。判断基準は以下の通りである。
○:Rz 3.0μm以下
△:3.0 < Rz < 3.5μm
×:Rz 3.5μm以上(画質上白筋)
・長期走行後の固形潤滑剤へのトナー付着量は目視観察による官能評価にて判断した。判断基準は以下の通りである。
○:固着全くなし
△:固着が多少あるが、初期測定から想定したZnSt供給量と大きく変わらない程度
×:表面に明らかに固着があり、長期走行後、結果としてZnSt消費量が初期における供給量より極端に低減した。
・転写の飛び散りおよびハーフトーン画像(画像密度30%)均一性の評価は、プリントの目視観察による官能評価にて判断した。判断基準は以下の通りである
○:問題なし
△:僅かに飛び散りが発生している。
×:製品としての富士ゼロックス株式会社製Docu Center Color 500機より明らかに悪いレベル
画像ボケ/白抜けは、高温高湿度下で2日間放置した後、ハーフトーン画像(画像密度30%)を採取し、反射型濃度測定機(X−rite)により面内濃度差(ΔSAD)を測定し、以下の判断基準で評価した。
○:ΔSADが0.15以下
△:ΔSADが0.15〜0.4
×:0.4以上
【0039】
【表1】
Figure 2005003807
【0040】
【表2】
Figure 2005003807
【0041】
表1に示すように、クリーニングブラシとして通常使用される範囲でブラシ材質や毛密度を変更し、さらに固形潤滑剤を支持する支持部材の有無、固形潤滑剤の荷重、ZnSt供給量を変更して実験を行ない、いずれの場合であっても、図2に示すように、潤滑剤を感光体に塗布する画像形成装置において、フリッキング部材のクリーニングブラシに対する侵入量aとクリーニングブラシの感光体に対する侵入量bとの比(a/b)を0.5以上1.0以下にすることによって、感光体磨耗やクリーニング不良を防止し、長期に渡って高画質で画像ムラ等の劣化がない安定した画像形成装置を実現できた。
以下、本発明の画像形成装置を構成する各種要素の材料や製法について説明する。ただし前述した固形潤滑剤やクリーニングブラシに関する説明は、ここでは省略する。
【0042】
本発明の画像形成装置に用いられるクリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、シリコンゴム、フッソゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム等を用いることができる。その中で耐摩耗性に優れていることからポリウレタン弾性体を用いる事が好ましい。ポリウレタン弾性体としては、一般にイソシアネートとポリオール及び各種水素含有化合物との付加反応を経て合成されるポリウレタンが用いられており、ポリオール成分として、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテル系ポリオールや、アジペート系ポリオール、ポリカプロラクタム系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール等のポリエステル系ポリオールを用い、ポリイソシアネート成分として、トリレンジイソシアネート、4,4′ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、等の芳香族系ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートを用いてウレタンプレポリマーを調製し、これに硬化剤を加えて、所定の型内に注入し、架橋硬化させた後、常温で熟成することによって製造されている。上記硬化剤としては、通常、1,4−ブタンジオール等の二価アルコールとトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の三価以上の多価アルコールとが併用される。クリーニングブレードの物性としては、例えば硬度(JISAスケール)50〜90,ヤング率(kg/cm)40〜90,100%モジュラス(kg/cm)20〜65,300%モジュラス(kg/cm2)70〜150,引っ張り強さ(kg/cm)240〜500,伸(%)が290〜500,反発弾性(%)30〜70,引裂強さ(kg/cm)25〜75,永久伸(%)が4.0以下の物が使用可能である。またブレードの圧接力は10〜60(gf/cm)(9.8〜58.8(mN/mm))、設定角度は17〜30(°)が好ましい。
【0043】
本発明の画像形成装置に用いられる帯電装置としては公知の帯電方式が適応可能で、例えばコロトロン帯電方式や接触帯電方式などが挙げられる。また接触帯電方式ではローラー状の帯電部材、ブレード状の帯電部材、ベルト状の帯電部材、ブラシ状の帯電部材、磁気ブラシ状の帯電部材などが適応可能である。特にローラー状の帯電部材、ブレード状の帯電部材については感光体に対し、接触状態またはある程度の空隙(100μm以下)を有した非接触状態として配置しても構わない。
【0044】
ローラー状の帯電部材、ブレード状の帯電部材、ベルト状の帯電部材は帯電部材として有効な電気抵抗(10Ω〜10Ω)に調整された材料から構成される物であり、単層又は複数の層から構成されていても構わない。材質としてはウレタンゴム、シリコンゴム、フッソゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、EPDM、エピクロルヒドリンゴム等の合成ゴムやポリオレフィン、ポリスチレン、塩化ビニル等からなるエラストマーを主材料とし、導電性カーボン、金属酸化物、イオン導電剤等の任意の導電性付与剤を適量配合し、帯電部材として有効な電気抵抗を発現させ用いることができる。さらにナイロン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、シリコーン等の樹脂を塗料化し、そこに導電性カーボン、金属酸化物、イオン導電剤等の任意の導電性付与剤を適量配合し、得られた塗料をデイッピング、スプレー、ロールコート等の任意の手法により、積層して用いる事ができる。
【0045】
また本発明の画像形成装置に用いられる転写装置としては公知の転写方式が適応可能であり、例えば転写コロトロンや転写ロール等を用いた直接転写方式、中間転写ベルトや中間転写ドラム等の中間転写体を用いた中間転写方式、記録材を静電的に吸着して搬送し像担持体上の画像を転写する転写ベルト方式などが挙げられる。
【0046】
本発明の画像形成装置に用いられるトナーは、特に製造方法により限定されるものではなく、例えば結着樹脂と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等を混練、粉砕、分級する混練粉砕法、混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギーにて形状を変化させる方法、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法、結着樹脂を得るための重合性単量体と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法、結着樹脂と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等により得られるものが使用できる。また上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法など、公知の方法を使用することができるが、形状制御、粒度分布制御の観点から水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が好ましく、乳化重合凝集法が特に好ましい。
【0047】
トナー粒子は結着樹脂と着色剤、離型剤等とからなり、必要であれば、シリカや帯電制御剤を用いてもよい。体積平均粒径は2〜12μmの範囲が好ましく3〜9μmの範囲がより好ましい。また、トナーの平均形状指数(ML/A:MLはトナー粒子の絶対最大長、Aはトナー粒子の投影面積を各々示す)が115〜140の範囲のものを用いることにより、高い現像、転写性、及び高画質の画像を得ることができる。
【0048】
使用される結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;等の単独重合体および共重合体を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等を挙げることができる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等を挙げることができる。
【0049】
また、トナーの着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして例示することができる。
【0050】
離型剤としては、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして例示することができる。
【0051】
また、トナーには必要に応じて帯電制御剤が添加されてもよい。帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いることができる。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減との点で水に溶解しにくい素材を使用するのが好ましい。本発明におけるトナーは、磁性材料を内包する磁性トナー、および磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
【0052】
本発明の画像形成装置に用いられるトナーに添加される潤滑剤としてはグラファイト、二硫化モリブデン、滑石、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の固体潤滑剤;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪族アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス;ミツロウのような動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス;及びそれらの変性物が使用でき、これらを単独で使用するか、あるいは併用しても良い。
【0053】
特にトナーに添加する潤滑剤としては劈開性が有することより摩擦低減効果の高い脂肪酸金属塩、特にはステアリン酸亜鉛が良い。ステアリン酸亜鉛の添加量は0.01〜2.0%重量部が好ましく、更に0.05〜0.5%重量部がより好ましい。0.01%より少ない場合は十分な潤滑効果を発揮できず、2.0%よりも多い場合は像担持体の付着量が過剰となり、高温高湿下で像流れが発生し易くなる上、トナーその物の帯電特性に悪影響を与えてしまう。
【0054】
本発明に用いるトナーには、電子写真感光体表面の付着物、劣化物除去の目的等で、無機微粒子、有機微粒子、該有機微粒子に無機微粒子を付着させた複合微粒子などを加えることができるが、研磨性に優れる無機微粒子が特に好ましい。無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物等が好適に使用される。また、上記無機微粒子にテトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネートなどのチタンカップリング剤、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤などで処理を行っても良い。また、シリコーンオイル、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩による疎水化処理も好ましく行うことができる。
【0055】
有機微粒子としては、スチレン樹脂粒子、スチレンアクリル樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子等を挙げることができる。これらの粒子径としては、小さすぎると研磨能力に欠け、また、大きすぎると電子写真感光体表面に傷を発生しやすくなるため、平均粒子径で5〜1000nmの範囲、好ましくは5〜800nmの範囲、より好ましくは5〜700nmの範囲のものが使用される。また、前記滑性粒子の添加量との和が、0.6質量%以上であることが好ましい。
【0056】
トナーに添加されるその他の無機酸化物としては、粉体流動性、帯電制御等のため、1次粒径が40nm以下の小径無機酸化物を、更に付着力低減や帯電制御のため、それより大径の無機酸化物を挙げることができる。これらの無機酸化物微粒子は公知のものを使用することができるが、精密な帯電制御を行うためには、シリカと酸化チタンとを併用することが好ましい。また、小径無機微粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性を向上させる効果が大きくなる。
【0057】
本発明の画像形成装置に用いられるトナーは、前記トナー粒子及び上記外添剤をヘンシェルミキサー、あるいはVブレンダー等で混合することによって製造することができる。また、トナー粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
【0058】
また、本発明をカラー画像形成装置として構成しカラートナーを用いる場合には、そのカラートナーはキャリアと混合して使用されることが好ましいが、該キャリアとしては、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉、またはそれ等の表面に樹脂コーテイングを施したものが使用される。また、キャリアとトナーとの混合割合は、適宜設定することができる。
【0059】
また本発明の画像形成装置に用いられる感光体としては単層構成、電荷発生層と電荷輸送層とからなる積層構成、更に、これらの上に表面保護層を設けた構成などいかなる構成でもよい。
【0060】
図4は、本発明の画像形成装置において好適に採用することのできる感光体の一例を示す模式断面図である。
【0061】
この図4に示す感光体11は、導電性基体111とその導電性基体の上に形成された感光層112からなり、ここに示す例では、この感光層112は、導電性基体111上に順次積層された、下引き層113、電荷発生層114、電荷輸送層115、および保護層116から構成されている。
【0062】
導電性基体111は、アルミニウムを円筒状(ドラム状)に成形したものである。なお、かかる基体としては、アルミニウムの他、ステンレス、ニッケルなどの金属材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ナイロン、ポリスチレン、フェノール樹脂などの高分子材料又は硬質紙などの絶縁材料に導電物質を分散させて導電処理したもの;上記の絶縁材料に金属泊を積層したもの;上記の絶縁材料に金属の蒸着膜を形成したもの、などを用いることができる。また、基体の形状は、シート状、プレート状等であってもよい。
【0063】
下引き層113の材料としては、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤などの有機ジルコニウム化合物、チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤などの有機チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤などの有機アルミニウム化合物の他、アンチモンアルコキシド化合物、ゲルマニウムアルコキシド化合物、インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物、マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物、スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物、アルミニウムシリコンアルコキシド化合物、アルミニウムチタンアルコキシド化合物、アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物等の有機金属化合物等が挙げられ、これらの中でも有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物、有機アルミニウム化合物は残留電位が低く良好な電子写真特性を示すので好ましく使用される。また、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させて使用することができる。
【0064】
さらに、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレノキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の結着樹脂を用いることもできる。これらの混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。
【0065】
本発明において、電荷発生材料としては、公知の電荷発生物質なら何でも使用できる。赤外光用ではフタロシアニン顔料、スクアリリウム、ビスアゾ、トリスアゾ、ペリレン、ジチオケトピロロピロール、可視光用としては縮合多環顔料、ビスアゾ、ペリレン、トリゴナルセレン、色素増感した金属酸化物微粒子等を用いる。これらの中で、特に優れた性能が得られ、好ましく使用される電荷発生物質として、フタロシアニン系顔料が用いられる。これを用いることにより、特に高感度で、繰り返し安定性の優れる電子写真感光体が得られることができる。また、フタロシアニン顔料は一般に数種の結晶型を有しており、目的にあった感度が得られる結晶型であるならば、これらのいずれの結晶型でも用いることができる。特に好ましく用いられる電荷発生物質としては、クロロガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、無金属フタロシアニン、オキシチタニルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン等が挙げられる。
【0066】
フタロシアニン顔料結晶は公知の方法で製造されるフタロシアニン顔料を、自動乳鉢、遊星ミル、振動ミル、CFミル、ローラーミル、サンドミル、ニーダー等で機械的に乾式粉砕するか、乾式粉砕後、溶剤と共にボールミル、乳鉢、サンドミル、ニーダー等を用いて湿式粉砕処理を行うことによって製造することができる。上記の処理において使用される溶剤は、芳香族類(トルエン、クロロベンゼン等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等)、脂肪族アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、脂肪族多価アルコール類(エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等)、芳香族アルコール類(ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等)、エステル類(酢酸エステル、酢酸ブチル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、ジメチルスルホキシド、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、さらには数種の混合系、水とこれら有機溶剤の混合系があげられる。使用される溶剤は、顔料結晶に対して、1〜200部、好ましくは10〜100部の範囲で用いる。処理温度は、−20℃〜溶剤の沸点以下、好ましくは−10〜60℃の範囲で行う。また、粉砕の際に食塩、ぼう硝等の磨砕助剤を用いることもできる。磨砕助剤は顔料に対し0.5〜20倍、好ましくは1〜10倍用いればよい。また、公知の方法で製造されるフタロシアニン顔料結晶を、アシッドペースティングあるいはアシッドペースティングと前述したような乾式粉砕あるいは湿式粉砕を組み合わせることにより、結晶制御することもできる。アシッドペースティングに用いる酸としては、硫酸が好ましく、濃度70〜100%、好ましくは95〜100%のものが使用され、溶解温度は、−20〜100℃好ましくは−10〜60℃の範囲に設定される。濃硫酸の量は、フタロシアニン顔料結晶の重量に対して、1〜100倍、好ましくは3〜50倍の範囲に設定される。析出させる溶剤としては、水あるいは、水と有機溶剤の混合溶剤が任意の量で用いられる。析出させる温度については特に制限はないが、発熱を防ぐために、氷等で冷却することが好ましい。
【0067】
電荷発生層に用いる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択することができる、また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシランなどの有機光導電性ポリマーから選択することもできる。好ましい結着樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂をあげることができるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。これらの中で特にポリビニルアセタール樹脂が好ましく用いられる。
【0068】
また、電荷発生物質と結着樹脂との配合比(重量比)は、10:1〜1:10の範囲が好ましい。塗布液を調整するための溶媒としては公知の有機溶剤、例えばアルコール系、芳香族系、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、ケトンアルコール系、エーテル系、エステル系等から任意で選択することができる。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を用いることができる。
【0069】
また、これらの分散に用いる溶剤は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤としてバインダー樹脂を溶かす事ができる溶剤であれば、いかなるものでも使用することが可能である。
【0070】
分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカーなどの方法を用いることができる。さらにこの電荷発生層を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
【0071】
さらにこの分散の際、粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下の粒子サイズにすることは高感度・高安定性に対して有効である。
【0072】
さらに、電荷発生材料は電気特性の安定性向上、画質欠陥防止などのために表面処理を施すことができる。表面処理剤としてはカップリング剤などを用いることができるがこれに限定されるものではない。表面処理に用いるカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が挙げられる。これらのなかでも特に好ましく用いられるシランカップリング剤としてはビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が上げられる。
【0073】
また、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどの有機ジルコニウム化合物も用いることができる。また、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどの有機チタン化合物、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などの有機アルミニウム化合物も用いることができる。
【0074】
さらに、この電荷発生層用塗布液には電気特性向上、画質向上などのために種々の添加剤を添加することもできる。添加物としては、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電子輸送性物質、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いることができる。シランカップリング剤の例としてはビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどである。ジルコニウムキレート化合物の例として、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどが挙げられる。
【0075】
チタニウムキレート化合物の例としてはテトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。
【0076】
アルミニウムキレート化合物の例としてはアルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などが挙げられる。
【0077】
これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いることができる。
【0078】
さらにこの電荷発生層を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
【0079】
本発明において、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質としては、公知のものならいかなるものでも使用可能であるが、下記に示すものを例示することができる。2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリンなどのピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(P−メチル)フェニルアミン、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N’−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミンなどの芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミンなどの芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジンなどの1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾンなどのヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリンなどのキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフランなどのベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N’−ジフェニルアニリンなどのα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体などの正孔輸送物質。クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電子輸送物質。あるいは上記化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体などがあげられる。これらの電荷輸送材料は、1種又は2種以上を組み合せて使用できる。
【0080】
電荷輸送層の結着樹脂は公知のものであればいかなるものでも使用することが出来るが、電機絶縁性のフィルム形成可能な樹脂が好ましい。例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレンーブタジエン共重合体、塩化ビニリデンーアクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂。シリコン−アルキッド樹脂、フェノールーホルムアルデヒド樹脂、スチレンーアルキッド樹脂、ポリーN―カルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルフォルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、フェノール樹脂、ポリアミド、カルボキシーメチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーワックス、ポリウレタン等があげられるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は、単独又は2種類以上混合して用いられるが、特にポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂が電荷輸送材との相溶性、溶剤への溶解性、強度の点で優れ好ましく用いられる。結着樹脂と電荷輸送物質との配合比(重量比)はいずれの場合も任意に設定することができるが、電気特性低下、膜強度低下に注意しなくてはならない。電荷輸送層の厚みは5〜50μm、好ましくは10〜40μmが適当である。さらにこの電荷輸送層を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。塗布に用いる溶剤としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0081】
さらに、感光体には画像形成装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光・熱による感光体の劣化を防止する目的で、感光層中に酸化防止剤・光安定剤などの添加剤を添加する事ができる。
【0082】
たとえば、酸化防止剤としてはヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。
【0083】
酸化防止剤の具体的な化合物例として、フェノール系酸化防止剤では2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル フェノール、スチレン化フェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル 4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチル フェノール)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニル アクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチル−フェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル 6−t−ブチル フェノール)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル ベンジル)イソシアヌレート、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート]−メタン、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル フェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチル エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。ヒンダードアミン系化合物ではビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイミル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,3,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物などが挙げられる。有機イオウ系酸化防止剤としてジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプト ベンズイミダゾールなどが挙げられる。有機燐系酸化防止剤としてトリスノニルフェニル フォスフィート、トリフェニル フォスフィート、トリス(2,4−ジ−t−ブチル フェニル)−フォスフィートなどが挙げられる。
【0084】
有機硫黄系および有機燐系酸化防止剤は2次酸化防止剤と言われフェノール系あるいはアミン系などの1次酸化防止剤と併用することにより相乗効果を得ることができる。
【0085】
光安定剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ジチオカルバメート系、テトラメチルピペリジン系などの誘導体が挙げられる。
【0086】
ベンゾフェノン系光安定剤として2−ヒドロキシ−4−メトキシ ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシ ベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシ ベンゾフェノンなどが挙げられる。ベンゾトリアゾール系系光安定剤として2−(−2’−ヒドロキシ−5’メチル フェニル−)−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラ−ヒドロフタルイミド−メチル)−5’−メチルフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(−2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル 5’−メチルフェニル−)−5−クロロ ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル 5’−メチルフェニル−)−5−クロロ ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル−)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチル フェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ 3’,5’−ジ−t−アミル フェニル−)−ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。その他の化合物として2,4,ジ−t−ブチルフェニル 3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ニッケル ジブチル−ジチオカルバメートなどがある。
【0087】
また感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として少なくとも1種の電子受容性物質を含有せしめることができる。使用可能な電子受容性物質としては、例えば無水琥珀酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸などをあげる事ができる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl,CN,NO等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特によい。
【0088】
また、電荷輸送層にはシリカやフッ素系樹脂のような微粒子を含有させることもできる。フッ素系樹脂の電荷輸送層中含量は、電荷輸送層全量に対し、0.1〜40wt%が適当であり、特に1〜30wt%が好ましい。含量が1wt%未満ではフッ素系樹脂粒子の分散による改質効果が十分でなく、一方、40wt%を越えると光通過性が低下し、かつ、繰返し使用による残留電位の上昇が生じてくる。
【0089】
フッ素系樹脂粒子としては、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂およびそれらの共重合体の中から1種あるいは2種以上を適宜選択するのが望ましいが、特に、4フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
【0090】
また塗布液には塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤としてシリコーンオイルを微量添加することもできる。
【0091】
また表面層の磨耗、傷などに対する耐性を持たせるため、高強度表面層を設けることもできる。この高強度表面層としては、バインダー樹脂中に導電性微粒子を分散したもの、通常の電荷輸送層材料にフッ素樹脂、アクリル樹脂などの潤滑性微粒子を分散させたもの、シリコンや、アクリルなどのハードコート剤を使用することができるが、強度、電気特性、画質維持性などの観点から、電荷輸送性を有し、架橋構造を有するシロキサン系樹脂からなるものが好ましく、このうち特に、一般式(I)で示される構造のものが強度、安定性に優れ好ましい。一般式(I)におけるFは、光キャリア輸送特性を有する構造として、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合や、およびキノン系化合物、フルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物などが挙げられる。
【0092】
G−D−F:一般式(I)
G:無機ガラス質ネットワークサブグループ
D:可とう性有機サブユニット
F:電荷輸送性サブユニット
一般式(I)におけるG、特に好ましくは反応性を有するSi基は、互いに架橋反応を起こして3次元的な Si−O−Si結合、すなわち無機ガラス質ネットワークを形成するためのものである。
【0093】
一般式(I)におけるDとは、電荷輸送性を付与するためのFを、3次元的な無機ガラス質ネットワークに直接結合で結びつけるためのものである。また、堅さの反面もろさも有する無機ガラス質ネットワークに適度な可とう性を付与し、膜としての強度を向上させるという働きもある。
【0094】
一般式(I)で表される化合物と結合可能な基とは、一般式(I)で表される化合物を加水分解した際に生じるシラノール基と結合可能な基を意味し、具体的には、−Si(R(3−a)で示される基、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、ハロゲンなどを意味する。これらのうち、−Si(R(3−a)で示される基、エポキシ基、イソシアネート基が有する化合物がより強い機械強度を有するため好ましい。さらに、これらの基を分子内に2つ以上持つものが硬化膜の架橋構造が3次元的になり、より強い機械強度を有するため好ましい。
【0095】
膜の成膜性、可とう性を調整するなどの目的から、他のカップリング剤、フッ素化合物と混合して用いても良い。このような化合物として、各種シランカップリング剤、および市販のシリコン系ハードコート剤を用いることができる。
【0096】
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、等を用いることができる。市販のハードコート剤としては、KP−85、X−40−9740、X−40−2239(以上、信越シリコーン社製)、およびAY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)、などを用いることができる。また、撥水製などの付与のために、(トリデカフルオロ −1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトシキシラン、などの含フッ素化合物を加えても良い。シランカップリング剤は任意の量で使用できるが、含フッ素化合物の量は、フッ素を含まない化合物に対して重量で0.25以下とすることが望ましい。これを越えると、架橋膜の成膜性に問題が生じる場合がある。 また、膜の強度を向上させるために、−Si(R(3−a)で示される加水分解性基を有する置換ケイ素基を2個以上有している化合物を同時に用いることがより好ましい。
【0097】
これらのコーティング液の調整は、無溶媒で行うか、必要に応じてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等が使用できるが、好ましくは沸点が100℃以下のものであり、任意に混合しての使用もできる。溶剤量は任意に設定できるが、少なすぎると一般式(I)で示される化合物が析出しやすくなるため、一般式(I)で示される化合物1部に対し0.5〜30部、好ましくは、1〜20部で使用される。反応温度および時間は原料の種類によっても異なるが、通常、0〜100℃、好ましくは10〜70℃、特に好ましくは、150〜50℃の温度で行うことが好ましい。反応時間に特に制限はないが、反応時間が長くなるとゲル化を生じ易くなるため、10分から100時間の範囲で行うことが好ましい。
【0098】
さらに、硬化触媒としては、以下の様なものをあげることができる。
塩酸、酢酸、リン酸、硫酸などのプロトン酸、アンモニア、トリエチルアミン等の塩基、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、オクエ酸第一錫等の有機錫化合物、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の有機チタン化合物、アルミニウムトリブトキシド、アルミニウムトリアセチルアセトナートなどの有機アルミニウム化合物、有機カルボン酸の鉄塩、マンガン塩、コバルト塩、亜鉛塩、ジルコニウム塩等が挙げられるが、保存安定性の点で金属化合物が好ましく、さらに、金属のアセチルアセトナート、あるいは、アセチルアセテートが好ましく、特にアルミニウムトリアセチルアセトナートが好ましい。硬化触媒の使用量は任意に設定できるが、保存安定性、特性、強度などの点で加水分解性ケイ素置換基を含有する材料の合計量に対して0.1〜20wt%が好ましく、0.3〜10wt%がより好ましい。硬化温度は、任意に設定できるが、所望の強度を得るためには60℃以上、より好ましくは80℃以上に設定される。硬化時間は、必要に応じて任意に設定できるが、10分〜5時間が好ましい。また、硬化反応を行ったのち、高湿度状態に保ち、特性の安定化を図ることも有効である。さらに、用途によっては、ヘキサメチルジシラザンや、トリメチルクロロシランなどを用いて表面処理を行い、疎水化することもできる。
【0099】
感光体の表面架橋硬化膜には、帯電装置で発生するオゾン等の酸化性ガスによる劣化を防止する目的で、酸化防止剤を添加することが好ましい。感光体表面の機械的強度を高め、感光体が長寿命になると、感光体が酸化性ガスに長い時間接触することになるため、従来より強い酸化耐性が要求される。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系あるいはヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤を用いてもよい。酸化防止剤の添加量としては20重量%以下が望ましく、10重量%以下がさらに望ましい。
【0100】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2−t−ブチル−6−(3−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、などが挙げられる。
【0101】
また、放電ガス耐性、機械強度、耐傷性、粒子分散性、粘度コントロール、トルク低減、磨耗量コントロール、ポットライフの延長などの目的でアルコールに溶解する樹脂を加えることもできる。アルコール系溶剤に可溶な樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルアセタール樹脂などのポリビニルアセタール樹脂(たとえば積水化学社製エスレックB、Kなど)、ポリアミド樹脂、セルロ−ス樹脂、フェノール樹脂などがあげられる。特に、電気特性上ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。上記樹脂の分子量は2000−100000が好ましく、5000−50000がさらに好ましい。分子量は2000より小さいと所望の効果が得られなくなり、100000より大きいと溶解度が低くなり添加量が限られてしまったり、塗布時に製膜不良の原因になったりする。添加量は1〜40%が好ましく、さらに好ましくは1〜30%であり、5〜20%が最も好ましい。1%よりも少ない場合は所望の効果が得られにくくなり、40%よりも多くなると高温高湿下での画像ボケが発生しやすくなる。
【0102】
更に、感光体表面の耐汚染物付着性、潤滑性を改善するために、各種微粒子を添加することもできる。それらは、単独で用いることもできるが、併用してもよい。微粒子の一例として、ケイ素含有微粒子を挙げることができる。ケイ素含有微粒子とは、構成元素にケイ素を含む微粒子であり、具体的には、コロイダルシリカおよびシリコーン微粒子等が挙げられる。ケイ素含有微粒子として用いられるコロイダルシリカは、平均粒子径1〜100nm、好ましくは10〜30の酸性もしくはアルカリ性の水分散液、あるいはアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。最表面層中のコロイダルシリカの固形分含有量は、特に限定されるものではないが、製膜性、電気特性、強度の面から最表面層の全固形分中の0.1〜50重量%の範囲、好ましくは0.1〜30重量%の範囲で用いられる。
【0103】
ケイ素含有微粒子として用いられるシリコーン微粒子は、球状で、平均粒子径1〜500nm、好ましくは10〜100nmの、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子、シリコーン表面処理シリカ粒子から選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。シリコーン微粒子は、化学的に不活性で、樹脂への分散性に優れる小径粒子であり、さらに十分な特性を得るために必要とされる含有量が低いため、架橋反応を阻害することなく、感光体の表面性状を改善することができる。即ち、強固な架橋構造中に均一に取り込まれた状態で、感光体表面の潤滑性、撥水性を向上させ、長期間にわたって良好な耐摩耗性、耐汚染物付着性を維持することができる。感光体における最表面層中のシリコーン微粒子の含有量は、最表面層の全固形分中の0.1〜30重量%の範囲であり、好ましくは0.5〜10重量%の範囲である。
【0104】
また、その他の微粒子としては、4弗化エチレン、3弗化エチレン、6弗化プロピレン、弗化ビニル、弗化ビニリデン等のフッ素系微粒子や“第8回ポリマー材料フォーラム講演予稿集 p89”に示される様な、前記フッ素樹脂と水酸基を有するモノマーを共重合させた樹脂からなる微粒子、ZnO−Al、SnO−Sb、In−SnO、ZnO−TiO、ZnO−TiO、MgO−Al、FeO−TiO、TiO、SnO、In、ZnO、MgO等の半導電性金属酸化物をあげることができる。また、同様な目的でシリコーンオイル等のオイルを添加することもできる。シリコンオイルとしては、たとえば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコンオイル、アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコンオイル、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類、3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素含有シクロシロキサン類、メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサンなどのヒドロシリル基含有シクロシロキサン類、ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサンなどのビニル基含有シクロシロキサン類等の環状のシロキサン等をあげることができる。
【0105】
電荷輸送性を有し、架橋構造を有するシロキサン系樹脂は、優れた機械強度を有する上に光電特性も十分であるため、これをそのまま積層型感光体の電荷輸送層として用いることもできる。その場合、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。ただし、1回の塗布により必要な膜厚が得られない場合、複数回重ね塗布することにより必要な膜厚を得ることができる。複数回の重ね塗布を行なう場合、加熱処理は塗布の度に行なっても良いし、複数回重ね塗布した後でも良い。
【0106】
単層型感光層の場合は、前記の電荷発生物質と結着樹脂を含有して形成される。結着樹脂としては、前記電荷発生層および電荷輸送層に用いられる結着樹脂と同様のものを用いることができる。単層型感光層中の電荷発生物質の含有量は、10から85重量%程度、好ましくは20から50重量%とする。単層型感光層には、光電特性を改善する等の目的で電荷輸送物質や高分子電荷輸送物質を添加してもよい。その添加量は5〜50重量%とすることが好ましい。また、一般式(I)で示される化合物を加えてもよい。塗布に用いる溶剤や塗布方法は、上記と同様のものを用いることができる。膜厚は5〜50μm程度が好ましく、10〜40μmとするのがさらに好ましい。
【0107】
さらに、電子写真感光体の表面層をフッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液を塗布、あるいは浸漬処理こともできる。この場合、さらなるトルク低減が図れるとともに転写効率の向上も図れるため好ましい。
【0108】
上記感光体の表面層を処理するフッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液について説明する。
【0109】
フッ素系樹脂としては、テトラフルオロエチレンのホモポリマーまたはテトラフルオロエチレンとオレフィン、含フッ素オレフィン、パーフルオロオレフィン、フルオロアルキルビニルエーテルなどとのコポリマー、フッ化ビニリデンのホモポリマーまたはフッ化ビニリデンとオレフィン、含フッ素オレフィン、パーフルオロオレフィン、フルオロアルキルビニルエーテルなどとのコポリマー、クロロトリフルオロエチレンのホモポリマーまたはクロロトリフルオロエチレンとオレフィン、含フッ素オレフィン、パーフルオロオレフィン、フルオロアルキルビニルエーテルなどとのコポリマーなどが挙げられ、特に、テトラフルオロエチレンのホモポリマーまたはコポリマーが好ましく、また、テトラフルオロエチレンのホモポリマーと各種コポリマーを重量比で95:5〜10:90で混合して用いることも好ましい。
【0110】
フッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂は、水性分散液として用いられるが、この水性分散液にはさらにワックス及び/またはシリコーンを含有させることもできる。ワックス及び/またはシリコーンを含有させることにより、フッ素系樹脂がブレード内部に浸透することを促進するため好ましい。ここで、ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペロトラタムなど、シリコーンとしては、シリコーンオイル、シリコーングリス、オイルコンパウンド、シリコーンワニスなどが挙げられる。
【0111】
フッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液には、必要によって、フッ素系あるいはその他ノニオン系、カチオン系、アニオン系または両性界面活性剤、pH調整剤、溶剤、多価アルコール、柔軟剤、粘度調整剤、光安定剤、酸化防止剤などを混合することもできる。
【0112】
浸透層の形成は、フッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液中に浸漬することにより行うことができるが、フッ素系樹脂の浸透を促進するために、減圧下で行うこともできる。この際の圧力としては、0.9気圧以下、好ましくは、0.8気圧以下、より好ましくは0.7気圧以下にて処理する。また、水性分散液を40℃以上、好ましくは50℃以上に加熱することが浸透の促進に効果的である。さらに、0.1気圧以上、好ましくは、0.2気圧以上、より好ましくは0.3気圧以上にて処理することも効果的であり、減圧、加圧、加熱処理を組み合わせることも効果的である。 また、スプレーや、塗布法により付着させたのち、40℃以上、好ましくは50℃以上に加熱し、浸透層を形成することもできる。フッ素系樹脂を必須成分とする改質樹脂の水性分散液を付着させた後、加熱乾燥を行う前、あるいは行った後にふき取り、あるいは洗浄を行うこともできる。
【0113】
本発明はカラー画像形成装置で使用する場合は感光体の廻りに複数の現像装置を配置したシングル方式、複数の感光体と現像装置を並べたタンデム方式いずれに於いても使用可能である。
【0114】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、潤滑剤を感光体に塗布する画像形成装置において、フリッキング部材のクリーニングブラシに対する侵入量aとクリーニングブラシの像担持体に対する侵入量bとの比(a/b)を0.5以上1.0以下にすることによって、像担持体磨耗やクリーニング不良を防止し、長期に渡って高画質であって画像ムラ等の劣化がない安定した画像形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態を示す模式図である。
【図2】クリーニングブラシの、感光体への侵入量、およびフリッキング部材の、クリーニングブラシへの侵入量を示した図である。
【図3】クリーニングブレードの模式図である。
【図4】本発明の画像形成装置において好適に採用することのできる感光体の一例を示す模式断面図である。
【符号の説明】
10 画像形成装置
11 感光体
12 帯電装置
13 露光装置
14 現像装置
15 転写装置
16 クリーニング装置
17 定着装置
20 用紙
161 クリーニングブラシ
162 クリーニングブレード
163 固形潤滑剤
164 支持部材
164a 回転軸
165 荷重
166 フリッキング部材

Claims (6)

  1. 回転する像担持体上にトナー像を形成し該トナー像を最終的に記録媒体上に転写および定着することにより該記録媒体上に定着トナー像からなる画像を形成する画像形成装置において、
    前記像担持体表面のトナー像転写後の領域に接触して回転することにより該像担持体表面をクリーニングするクリーニングブラシと、
    前記像担持体回転方向に関し、該像担持体の前記クリーニングブラシが接触する領域よりも下流側において該像担持体に当接して該像担持体表面をクリーニングするクリーニングブレードと、
    前記クリーニングブラシに接触する固形潤滑剤と、
    先端部分が前記クリーニングブラシに侵入する位置に配置され該クリーニングブラシの回転に伴って該クリーニングブラシの先端部分を弾いて該クリーニングブラシに付着したトナーを除去する板状のフリッキング部材とを備えた、転写後の像担持体表面に残存する残存トナーを除去するクリーニング装置を具備し、
    前記フリッキング部材の前記クリーニングブラシに対する侵入量aと、前記クリーニングブラシの、該クリーニングブラシが仮に前記像担持体内側に無抵抗に侵入可能であるとした場合の該像担持体への侵入量bとの比a/bが、0.5以上かつ1.0以下であることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記固形潤滑剤を支持し、前記クリーニングブラシの回転軸と平行な回転軸により、該固形潤滑剤を前記クリーニングブラシに接触させる方向にモーメントを生じさせるように回転自在に軸支された支持部材を備えたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記固形潤滑剤が、ステアリン酸亜鉛であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  4. 回転する像担持体上にトナー像を形成し該トナー像を最終的に記録媒体上に転写および定着することにより該記録媒体上に定着トナー像からなる画像を形成する画像形成装置における、転写後の像担持体表面に残存する残存トナーを除去するクリーニング装置において、
    前記像担持体表面のトナー像転写後の領域に接触して回転することにより該像担持体表面をクリーニングするクリーニングブラシと、
    前記像担持体回転方向に関し、該像担持体の前記クリーニングブラシが接触する領域よりも下流側において該像担持体に当接して該像担持体表面をクリーニングするクリーニングブレードと、
    前記クリーニングブラシに接触する固形潤滑剤と、
    先端部分が前記クリーニングブラシに侵入する位置に配置され該クリーニングブラシの回転に伴って該クリーニングブラシの先端部分を弾いて該クリーニングブラシに付着したトナーを除去する板状のフリッキング部材とを備え、
    前記フリッキング部材の前記クリーニングブラシに対する侵入量aと、前記クリーニングブラシの、該クリーニングブラシが仮に前記像担持体内側に無抵抗に侵入可能であるとした場合の該像担持体への侵入量bとの比a/bが、0.5以上かつ1.0以下であることを特徴とするクリーニング装置。
  5. 前記固形潤滑剤を支持し、前記クリーニングブラシの回転軸と平行な回転軸により、該固形潤滑剤を前記クリーニングブラシに接触させる方向にモーメントを生じさせるように支持された支持部材を備えたことを特徴とする請求項4記載のクリーニング装置。
  6. 前記固形潤滑剤が、ステアリン酸亜鉛であることを特徴とする請求項4記載のクリーニング装置。
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