JP2004536933A - 高屈折率光学樹脂組成物 - Google Patents

高屈折率光学樹脂組成物 Download PDF

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ロバート ディー. ヘロルド,
マイケル オー. オコロアフォー,
ロバート エー. スミス,
マーヴィン ジェイ. グラハム,
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ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド
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    • G02B1/04Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements made of organic materials, e.g. plastics
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Abstract

以下を含有する重合可能組成物が記述されている:(a)以下を含有するチオ(メタ)アクリレート官能性モノマーの混合物:(a)(i)第一チオ(メタ)アクリレート官能性モノマー(例えば、ビス(チオメタクリレート)−1,2−エチレン);(a)(ii)第二チオ(メタ)アクリレート官能性モノマー(これは、鎖伸長されている);および(b)少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合可能コモノマーであって、該コモノマーは、例えば、以下からなる群から選択される:(b)(i)エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、(b)(ii)ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート、(b)(iii)トリメチロールプロパントリメタクリレート、および(b)(iv)モノマー(b)(i)、(b)(ii)および(b)(iii)の混合物。

Description

【技術分野】
【0001】
(発明の記載)
本発明は、少なくとも1.57の屈折率および少なくとも33のAbbe数を有する重合可能有機組成物および重合体(これらの重合体は、このような組成物から調製される)に関する。さらに特定すると、本発明は、特定の重合可能有機組成物に関し、これらの組成物は、チオ(メタ)アクリレート官能性モノマーと、少なくとも2個のアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するコモノマーとの混合物を含有する。
【背景技術】
【0002】
高分子材料(例えば、プラスチック)は、光学レンズ、光ファイバー、窓、および自動車用、船舶用および航空機用の透明部分のような用途において、シリカベースの無機ガラスの代替品および交換品として、開発されている。これらの高分子材料は、ガラスと比べて、利点があり得、これらの利点としては、破砕耐性、所定用途のためのより軽い重量、成形し易さおよび着色し易さが挙げられる。このような高分子材料の代表的な例としては、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリカーボネートおよびポリ(ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート))が挙げられる。
【0003】
多くの高分子材料の屈折率は、一般に、高屈折率ガラスの屈折率よりも低い。例えば、ポリ(ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート))の屈折率は、高屈折率ガラスの屈折率(例えば、1.60〜1.80の範囲であり得る)と比較して、約1.50である。所定程度の視覚障害を矯正する(例えば、近視の矯正)レンズを製作するとき、屈折率がより低い高分子材料を使用するには、屈折率がより高い材料(例えば、高屈折率ガラス)と比べて、厚いレンズが必要である。もし、相当な程度の矯正が必要なら(例えば、重症の近視の場合)、低屈折率高分子材料から製作したレンズは、より高屈折率のレンズ(例えば、高屈折率ガラスレンズ)から得られる同程度の矯正と比べて、重量減少のあらゆる利点を打ち消す程に厚くなり得る。それに加えて、より厚い光学レンズは、美観上、望ましくない。
【0004】
芳香環を含むモノマーを重合することから調製した高分子材料は、典型的には、高い屈折率を有する。しかしながら、このような高屈折率高分子材料から調製した物品(例えば、光学レンズ)は、一般的に、Abbe数(これはまた、nu値とも呼ばれる)がより低い。Abbe数がより低いことは、色分散のレベルが上がることを示し、これは、典型的には、レンズの縁またはその近くでの光学歪みとして、顕在化される。
【0005】
さらに最近では、イオウ原子を含有するモノマーから、高屈折率(例えば、少なくとも1.57の屈折率)と低レベルの色分散(例えば、少なくとも33のAbbe数を有する)とを組合せた高分子材料が調製されている。このようなイオウ原子含有高分子材料は、高屈折率とAbbe数との所望の組合せを有するものの、しばしば、ある場合には、望ましくない物理的特性(例えば、耐熱性および耐衝撃性)を有する。例えば、光学レンズの耐衝撃性は、特に重要な安全性に関連した物理的特性であり、従って、耐衝撃性を改善することが望まれている。
【0006】
従って、高い屈折率および十分に高いAbbe数(例えば、好ましくは、少なくとも33、さらに好ましくは、少なくとも35)の組合せを有する透明重合体(特に、光学レンズ)を開発することが引き続き必要とされている。さらに、これらの高分子材料はまた、改良された物理的特性(例えば、熱特性および耐衝撃性)を有することが望まれている。
【0007】
米国特許第5,384,379号は、イオウ含有ポリメタクリレートを記述しており、このポリメタクリレートは、チオ(メタ)アクリル酸エステルモノマーの合成から生じる未精製生成物をラジカル重合することにより生成される。第’379号特許は、2個のチオ(メタ)アクリル酸エステル基を有するモノマー成分と2個のチオ(メタ)アクリル酸エステル基を有する鎖伸長モノマー成分とのラジカル重合を記述している。
【0008】
米国特許第5,422,422号は、高屈折率プラスチックを記述しており、このプラスチックは、少なくとも2個のチオール基を含有するアルキルチオールと、アルキルポリチオールエステル(これは、(メタ)アクリル酸でエステル化した少なくとも2個のチオール基を含有する)とを反応させることにより、生成される。米国特許第4,931,521号は、少なくとも1種の多官能性チオアクリレートまたは多官能性チオメタクリレートと、必要に応じて、少なくとも1種の他のラジカル重合可能モノマーとのラジカル重合から、高屈折率光学材料を生成する方法を記述している。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、以下の(a)、(b)、(c)および(d)を含有する、重合可能組成物が提供される:
(a)チオ(メタ)アクリレート官能性モノマーの混合物であって、該混合物は、以下の(i)および(ii)を含有する:
(i)以下の一般式Iにより表される第一チオ(メタ)アクリレート官能性モノマー:
【0010】
【化27】
Figure 2004536933
ここで、Rは、水素またはメチルであり、そしてQは、直鎖または分枝鎖のC〜C12アルキレン、C〜C12環状アルキレン、C〜C14アリーレンおよびC〜C26アルカリーレンから選択される二価連結基であり、Qの炭素鎖は、必要に応じて、エーテル、チオエーテルおよびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1個の結合を含有し得る;ならびに
(ii)以下の一般式IIにより表される第二チオ(メタ)アクリレート官能性モノマー:
【0011】
【化28】
Figure 2004536933
ここで、RおよびQは、モノマー(a)(i)について記述した意味と同じ意味を有し、そしてuは、1〜10の整数である(例えば、uは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10およびそれらの組合せから選択される整数であり得る);ならびに
(b)少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合可能コモノマーであって、該コモノマーは、以下からなる群から選択される:
(i)以下の一般式IIIにより表されるモノマー:
【0012】
【化29】
Figure 2004536933
ここで、mおよびnは、それぞれ、正数であり、mおよびnの合計は、0〜70(例えば、2〜70、4〜70、2〜6および10〜30)であり、そしてRおよびRは、それぞれ、水素またはメチルであり、RおよびRは、それぞれ、水素またはC〜Cアルキルであり、そしてAは、直鎖または分枝C〜Cアルキレン、環状アルキレン(通常、5〜12個の炭素原子を含む)、フェニレン、C〜Cアルキル置換フェニレン、および以下の一般式IVにより表される基からなる群から選択される二価連結基である:
【0013】
【化30】
Figure 2004536933
ここで、RおよびRは、それぞれ、C〜Cアルキル、塩素または臭素であり、pおよびqは、それぞれ、0〜4の整数であり、
【0014】
【化31】
Figure 2004536933
は、二価ベンゼン基または二価シクロヘキサン基を表し、そしてXは、
【0015】
【化32】
Figure 2004536933
が二価ベンゼン基のとき、O、S、−S(O)−、−C(O)−、−CH−、−CH=CH−、−C(CH−、−C(CH)(C)−または
【0016】
【化33】
Figure 2004536933
であり、そしてXは、
【0017】
【化34】
Figure 2004536933
が二価シクロヘキサン基のとき、O、S、−CH−または−C(CH−である;
(ii)200〜2000グラム/モルの数平均分子量を有するビス[(メタ)アクリロイル末端]ポリ(エチレングリコール)モノマー;
(iii)以下の一般式Vで表されるポリ(メタ)アクリロイル末端モノマー:
【0018】
【化35】
Figure 2004536933
ここで、R’は、ポリオールの多価ラジカルであり、R10は、水素またはメチルであり、R11は、水素またはC〜Cアルキルであり、dは、0〜20の数であり、そしてjは、3〜6の整数である;ならびに
(iv)重合可能コモノマー(i)、(ii)および(iii)の混合物;
ここで、各モノマーおよびコモノマーの量は、該重合可能組成物の重合体が少なくとも1.57の屈折率(これは、American Standard Test Method(ASTM)番号D542−95に従って決定したとき)および少なくとも33のAbbe数(これは、適切な器具(例えば、Bausch & Lomb ABBE−3L Refractometer)を使用して決定したとき)を有するように、選択される。
【0019】
操作実施例以外、または特に明記しない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量、反応条件などを示す全ての数値または表現は、いずれの場合にも、「約」との用語により修飾されることが理解されるべきである。
【0020】
(発明の詳細な説明)
本発明の重合可能組成物は、上記チオ(メタ)アクリレート官能性モノマー(a)(i)および(a)(ii)の混合物を含有する。このチオ(メタ)アクリレート官能性モノマーの混合物は、好ましくは、少量の第一チオ(メタ)アクリレート官能性モノマー(a)(i)および主要量の第二チオ(メタ)アクリレート官能性モノマー(a)(ii)を含有する。第一チオ(メタ)アクリレート官能性モノマー(a)(i)は、典型的に、チオ(メタ)アクリレート官能性モノマー(a)の混合物の総重量の5重量%〜49重量%、好ましくは、10重量%〜45重量%、さらに好ましくは、20重量%〜40重量%の量で、存在している。第二チオ(メタ)アクリレート官能性モノマー(a)(ii)は、典型的に、チオ(メタ)アクリレート官能性モノマー(a)の混合物の総重量の51重量%〜95重量%、好ましくは、55重量%〜90重量%、さらに好ましくは、60重量%〜80重量%の量で、存在している。
【0021】
本発明の重合可能組成物中での第一チオ(メタ)アクリレート官能性モノマー(a)(i)と第二チオ(メタ)アクリレート官能性モノマー(a)(ii)との重量比は、典型的には、0.1:1.0〜0.6:1.0、好ましくは、0.2:1.0または0.3:1.0〜0.5:1.0である。この組成物中で存在している第一チオ(メタ)アクリレート官能性モノマー(a)(i)および第二チオ(メタ)アクリレート官能性モノマー(a)(ii)の相対量は、記述のように変わり得、典型的には、その重合可能組成物から調製される重合体の物理的特性(例えば、屈折率、Abbe数、熱特性、特に、耐衝撃性)が最適化されるように、選択される。
【0022】
チオ(メタ)アクリレート官能性モノマー(a)の混合物中で存在しているチオ(メタ)アクリレート官能性モノマー(a)(i)とチオ(メタ)アクリレート官能性モノマー(a)(ii)との相対量は、当業者に公知の方法により、決定され得る。典型的には、この決定は、ポリスチレン標準を使用して、チオ(メタ)アクリレート官能性モノマーの混合物をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析することにより得られるピーク面積を比較することにより、行われる。本明細書および特許請求の範囲で使用する「(メタ)アクリレート」との用語および類似の用語(例えば、「メタ」アクリロイル)は、メタクリレート、アクリレートおよびメタクリレートとアクリレートとの混合物を意味する。
【0023】
一般式IおよびIIを参照して、Qが選択され得る直鎖または分枝鎖のC〜C12アルキレンの例としては、1,2−エチレン、プロピレン(例えば、1,3−プロピレンおよび1,2−プロピレン)、ブチレン(例えば、1,4−ブチレンおよび1,2−ブチレン)、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレンおよびドデシレンが挙げられるが、これらに限定されない。Qが選択され得る好ましいC〜C12アルキレンとしては、1,2−エチレン、1,3−プロピレンおよびそれらの混合物が挙げられる。Qが選択され得るC〜C12環状アルキレンの例としては、シクロブチレン(例えば、1,3−シクロブチレン)、シクロペンチレン(例えば、1,2−シクロペンチレン)、シクロヘキシレン(例えば、1,2−シクロヘキシレン)、シクロヘプチレン、シクロオクチレン、シクロノニレン、シクロデシレン、シクロウンデシレンおよびシクロドデシレン(例えば、1,1−シクロドデシレン)が挙げられるが、これらに限定されない。Qが選択され得るC〜C14アリーレンの例としては、フェニレン(例えば、1,2−フェニレンおよび1,3−フェニレン)、ナフタレニレン(例えば、1,4−、1,5−、2,6−および2,7−ナフタレニレン)およびアントラセニレン(例えば、1,3−および9,10−アントラセニレン)が挙げられるが、これらに限定されない。Qが選択され得るC〜C26アルカリーレンの例としては、トルエニレン(例えば、3,4−トルエニレン)、およびビス(フェニレン)アルカン(例えば、ビス(フェニレン)メタン、1,2−ビス(フェニレン)エタン、2,2−ビス(フェニレン)プロパンおよび1,3−ビス(フェニレン)プロパン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
一般式IおよびIIをさらに参照して、二価連結基Qは、モノマー(a)(i)および(a)(ii)の混合物合成で使用されるポリチオールまたはポリチオール塩の残基である。本発明の組成物のチオ(メタ)アクリレートモノマーの混合物を合成するのに使用され得るポリチオール(およびこのようなポリチオールから誘導された対応する塩)の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:1,2−エタンジチオール、2,2’−チオジエタンチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,9−ノナンジチオール、1,3−シクロブタンジチオール、1,1−シクロブタンジチオール、1,2−シクロペンタンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ナフタレンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、2,6−ナフタレンジチオール、2,7−ナフタレンジチオール、1,3−アントラセンジチオール、9,10−アントラセンジチオール、3,4−トルエンジチオール、4,5−ジメチル−o−キシレン−α,α’−ジチオール、ビス(フェニレンチオール)メタン、1,3−ビス(フェニレンチオ)プロパンおよび2,2−ビス(フェニルチオ)プロパン。好ましくは、このポリチオールは、直鎖または分枝鎖のC〜C12アルカンジチオール(例えば、1,2−エタンジチオールおよび1,3−プロパンジチオール)から選択される。
【0025】
チオ(メタ)アクリレート官能性モノマー(a)(i)および(a)(ii)は、別々に調製され得、次いで、一緒に混合され得るか、さらに好ましくは、それらは、同じ反応容器中にて、同時に調製される。このチオ(メタ)アクリレート官能性モノマーの混合物は、典型的には、以下(A)と(B)との反応から、当業者に知られているようにして、調製される:(A)ポリチオール(例えば、1,2−エタンジチオール)またはポリチオール塩(例えば、1,2−エタンジチオール二ナトリウム塩);(B)(メタ)アクリロイルハライド(例えば、(メタ)アクリロイルクロリドまたは(メタ)アクリル酸無水物)。この反応から得られるモノマー(a)(i)および(a)(ii)の相対量は、反応物(B)と(A)とのモル比を選択することにより、制御できる。反応物(B)が(メタ)アクリル酸無水物である場合、反応物(B)と(A)とのモル比は、典型的には、1.3:1〜2.5:1、例えば、1.5:1〜2.0:1である。
【0026】
本発明の組成物で有用なチオ(メタ)アクリレートモノマー(ここで、(一般式IおよびIIを参照して)Qは、1,2−エチレンであり、そしてRは、メチルである)の混合物を調製するさらに詳細な一般方法は、以下のとおりである。メタクリル酸無水物(例えば、100重量部)および適切な溶媒(例えば、418.2重量部の塩化メチレン)を含有する適切な反応容器に、ゆっくりと、約18重量%の1,2−エチレンジオール二ナトリウム塩(例えば、336.2重量部)を含有する水溶液を加える。その塩添加中、この反応容器の内容物を、窒素掃引下で、15℃〜30℃の温度で、混合する。この1,2−エチレンジチオール二ナトリウム塩の添加が完了した後、この反応容器の内容物を、典型的には、窒素掃引下にて、20℃〜30℃の温度で、さらに2時間混合する。この反応容器に、少量のメタクリル酸無水物(例えば、2.5重量部)を追加し、続いて、13重量%の塩化カルシウム六水和物を含有する水溶液(例えば、170重量部)を加える。この反応容器の内容物を、次いで、空気下にて、少なくとも15分間攪拌する。
【0027】
この反応容器の内容物の混合作製は、典型的には、その有機相を分離すること、そこに、ラジカル重合阻害剤(例えば、0.0075重量部のパラメトキシフェノール)を加えることを包含する。その有機相を水溶液(例えば、5重量%の塩化カルシウム六水和物を含有する水溶液400重量部)で洗浄し、続いて、減圧蒸留により、有機溶媒を除去する。上記一般合成方法から得られる生成物は、チオメタクリレートモノマーの混合物であり、これは、少量の第一チオメタクリレート官能性モノマー(a)(i)(例えば、モノマー(a)(i)および(a)(ii)の総重量の35重量%のモノマー(a)(i))および主要量の少なくとも1種の鎖伸長第二チオメタクリレート官能性モノマー(a)(ii)(ここで、uは、1〜10の整数である;例えば、モノマー(a)(i)および(a)(ii)の総重量の65重量%のモノマー(a)(ii))を含有する。
【0028】
チオ(メタ)アクリレート官能性モノマー(a)の混合物は、典型的には、本発明の組成物中にて、この重合可能組成物の総モノマー重量の、少なくとも40重量%、好ましくは、少なくとも50重量%、さらに好ましくは、少なくとも60重量%の量で、存在している。また、このチオ(メタ)アクリレート官能性モノマーの混合物は、典型的には、この組成物中にて、この重合可能組成物の総モノマー重量の、95重量%未満、好ましくは、87重量%未満、さらに好ましくは、80重量%未満の量で、存在している。このチオ(メタ)アクリレート官能性モノマー(a)の混合物は、この重合可能組成物中にて、これらの値の任意の組合せ間の範囲の量(列挙した値を含めて)で、存在し得る。
【0029】
一般式IIIおよびIVに関連して上で記述したコモノマー(b)(i)は、当該技術分野で周知の方法により、調製され得る。mおよびnの合計が0より大きいとき、1つのこのような一般的に使用される方法は、ジオール(4,4’−イソプロピリデンジフェノール)のアルコキシル化に続いて、アルコキシル化したジオールのC〜Cアルキル(メタ)アクリレートでのエステル化を包含する。コモノマー(b)(i)を調製するのに使用され得る種類のジオールとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:直鎖または分枝鎖のC〜Cアルキレンジオール(例えば、1,2−プロピレンジオール、1,3−プロピレンジオールおよびオクチレンジオール);環状アルキレンジオール(例えば、1,4−シクロヘキサンジオール);フェニレンジオール(例えば、オルトジヒドロキシベンゼン、メタジヒドロキシベンゼンおよびパラジヒドロキシベンゼン);C〜Cアルキル置換フェニレンジオール(例えば、2,6−ジヒドロキシトルエンおよび3−メチルカテコール);ジヒドロキシビフェニル(例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル);ビスフェノール(例えば、4,4’−イソプロピリデンジフェノール);ハロゲン化ビスフェノール(例えば、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジブロモフェノール));およびビスシクロヘキサノール(これは、対応するビスフェノール(例えば、4,4’−イソプロピリデンビスシクロヘキサノール)を水素化することにより、調製できる)。好ましい種類のジオールは、ビスフェノールであり、その特に好ましい例は、4,4’−イソプロピリデンジフェノールである。一般式IIIで表されるコモノマー(b)(i)の調製は、米国特許第5,279,243号、4欄、24〜63行目に、さらに詳細に記述されており、その開示内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0030】
本発明の好ましい実施態様では、一般式IIIおよびIVを参照して、Aは一般式IVで表され、Xは、−C(CH−であり、
【0031】
【化36】
Figure 2004536933
は、二価ベンゼン基を表し、pおよびqは、それぞれ、0であり、RおよびRは、それぞれ、メチルであり、RおよびRは、それぞれ水素であり、そしてmおよびnの合計は、10〜30である。コモノマー(b)は、好ましくは、コモノマー(b)(i)から選択される。
【0032】
本発明の実施態様では、コモノマー(b)は、モノマー(b)(i)から選択され、該モノマー(b)(i)が、第一モノマー(b)(i’)および第二モノマー(b)(i”)の混合物を含有し、各々は、異なる範囲の(m+n)値を有する。例えば、一般式IIIおよびIVをさらに参照すると、第一モノマー(b)(i’)および第二モノマー(b)(i”)の各々に対して、Aは、一般式IVにより表され、Xは、−C(CH−であり、
【0033】
【化37】
Figure 2004536933
は、二価ベンゼン基を表し、pおよびqは、それぞれ、0であり、RおよびRは、それぞれ、メチルであり、そしてRおよびRは、それぞれ、水素である。該第一モノマー(b)(i’)のmおよびnの合計は、2〜6であり;該第二モノマー(b)(i”)のmおよびnの合計は、10〜30である。
【0034】
コモノマー(b)(ii)は、当該技術分野で知られているように、ポリ(エチレングリコール)とα,β−エチレン性不飽和酸またはエステル(例えば、メタクリル酸、C〜Cアルキルメタクリレート、アクリル酸、C〜Cアルキルアクリレートまたはそれらの組合せ)とのエステル化反応またはエステル交換反応から調製できる。このビス[(メタ)アクリロイル末端]ポリ(エチレングリコール)モノマーは、好ましくは、ポリスチレン標準を使用して、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで決定したとき、200〜1200グラム/モル、さらに好ましくは、500〜700グラム/モルの数平均分子量を有する。特に好ましいコモノマー(b)(ii)は、600グラム/モルの数平均分子量を有するポリエチレングリコールのビスメタクリレートである。
【0035】
コモノマー(b)(iii)は、一般式Vを参照して先に記述したように、当該技術分野で周知の方法により、調製され得る。例えば、dが0より大きいとき、コモノマー(b)(iii)は、典型的には、ポリオール(例えば、トリメチロールプロパン)をアルコキシル化することに続いて、アルコキシル化したポリオールをC〜Cアルキル(メタ)アクリレートでエステル化することにより、調製される。一般式Vにより表されるコモノマー(b)(iii)の調製は、米国特許第5,739,243号、5欄、7〜26行目で、さらに詳細に記述されており、その開示内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0036】
コモノマー(b)(iii)を調製する際に使用するのに適切なポリオールの例としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ジ−トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールおよびジペンタエリスリトールが挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましいコモノマー(b)(iii)は、一般式Vを参照して定義され得、ここで、R’は、トリメチロールプロパンのラジカルであり、R10は、メチルであり、dは、0であり、そしてjは、3である。
【0037】
一般式Vを参照して本明細書中で使用する語句「R’は、ポリオールの多価ラジカルである」とは、コモノマー(b)(iii)を調製する際に使用されるポリオールの多価残基をいうことを意味する。例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(jは、3であり、そしてR10は、水素である)の場合、R’は、トリメチロールプロパンの三価ラジカル(すなわち、1,1,1−トリメチレンプロパン)である。
【0038】
コモノマー(b)は、典型的には、本発明の組成物中にて、この重合可能組成物の総モノマー重量の、少なくとも5重量%、好ましくは、少なくとも12重量%、さらに好ましくは、少なくとも20重量%の量で、存在している。コモノマー(b)はまた、典型的には、この重合可能組成物中にて、この重合可能組成物の総モノマー重量の、60重量%未満、好ましくは、50重量%未満、さらに好ましくは、40重量%未満の量で、存在している。コモノマー(b)は、この重合可能組成物中にて、これらの値の任意の組合せ間の範囲の量(列挙した値を含めて)で、存在し得る。
【0039】
この重合可能組成物は、必要に応じて、さらに、少なくとも2個のチオール基を有するポリチオールモノマーを含有し得る。「チオール基」とは、エチレン性不飽和基(例えば、ビニル基)と共有結合を形成できる−SH基を意味する。本明細書および特許請求の範囲で使用する接頭語「チオ」(「チオ(メタ)アクリレート官能性モノマー」のように)は、水素原子に共有結合していない二価イオウ原子(すなわち、−S−)をいう。「チオール基」という用語および接頭語「チオ」は、従って、本明細書中にて、互いに区別可能である。いずれの理論によっても束縛されるつもりはないが、当業者に公知であるように、本発明のモノマーのチオール基とエチレン性不飽和基との間では、チオール−エン反応機構により、共有結合が形成されると考えられる。
【0040】
このポリチオールモノマーが選択され得るポリチオールの例としては、例えば、2,2’−チオジエタンチオール、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、テトラキス(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メタン、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、4−メルカプトメチル−3,6−ジチア−1,8−オクタンジチオール、4−tert−ブチル−1,2−ベンゼンジチオール、4,4’−チオジベンゼンチオール、ベンゼンジチオール、エチレングリコールジ(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールジ(3−メルカプトプロピオネート)、ポリ(エチレングリコール)ジ(2−メルカプトアセテート)、ポリ(エチレングリコール)ジ(3−メルカプトプロピオネート)、以下の一般式VI:
【0041】
【化38】
Figure 2004536933
で表されるポリチオールモノマー、およびこのようなポリチオールモノマーの混合物が挙げられるがこれらに限定されず、ここで、RおよびRは、それぞれ、直鎖または分枝鎖のアルキレン(これは、通常、1個〜20個の炭素原子、例えば、1個〜10個の炭素原子、好ましくは、1個〜4個の炭素原子、さらに好ましくは、1個または2個の炭素原子を含有する)、環状アルキレン(これは、通常、その環内に、5個〜8個の炭素原子を含有する)、フェニレンおよびC〜Cアルキル置換フェニレンからなる群から選択される。
【0042】
一般式VIを参照して、RおよびRがそれぞれ選択され得る直鎖または分枝鎖のアルキレンの例としては、メチレン、エチレン、1,3−プロピレン、1,2−プロピレン、1,4−ブチレン、1,2−ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、オクタデシレンおよびイコシレンが挙げられるが、これらに限定されない。RおよびRがそれぞれ選択され得る環状アルキレンの例としては、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレン、シクロオクチレン、およびそれらのアルキル置換誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。二価連結基RおよびRはまた、フェニレンおよびC〜Cアルキル置換フェニレン(例えば、メチル置換フェニレン、エチル置換フェニレン、プロピル置換フェニレン、イソプロピル置換フェニレンおよびノニル置換フェニレン)から選択され得る。本発明の好ましい実施態様では、RおよびRは、それぞれ、メチレンまたはエチレンである。
【0043】
一般式VIにより表されるポリチオールモノマーは、強酸触媒(例えば、メタンスルホン酸)の存在下にて、その反応混合物から水またはアルコールを同時に除去しつつ、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール(Chemical Abstract Service(CAS) Registry No.96−27−5)と、チオール官能性カルボン酸またはカルボン酸エステルとの間のエステル化反応またはエステル交換反応から調製され得る。
【0044】
本明細書中で使用する場合、ポリチオールモノマー(これは、一般式VIを参照して、記述され命名されており、例えば、チオグリセロールビス(2−メルカプトアセテート))はまた、任意の関連した副産物であるオリゴマー種およびポリチオールモノマー組成物(これは、残留出発物質を含有する)を含むことを意味する。例えば、3−メルカプト−1,2−プロパンジオールとチオール官能性カルボン酸(例えば、2−メルカプト酢酸)とを過剰の塩基(例えば、アンモニア水)でエステル化することにより得られる反応混合物を洗浄するとき、チオール基の酸化性カップリングが起こり得る。このような酸化性カップリングの結果、ジスルフィド連鎖(すなわち、−S−S−連鎖)を有するオリゴマーポリチオール種が形成できる。このポリチオールモノマーは、使用するとき、典型的には、重合可能組成物中にて、この重合可能組成物の全モノマー重量に基づいて、1重量%〜30重量%、好ましくは、この重合可能組成物の全モノマー重量に基づいて、1.5重量%〜20重量%、さらに好ましくは、この重合可能組成物の全モノマー重量に基づいて、2重量%〜15重量%の量で、存在している。
【0045】
本発明の組成物は、さらに、必要に応じて、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する無水物モノマーを含有し得る。この無水物モノマーは、無水メタクリル酸、無水アクリル酸、無水マレイン酸、1−シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物、無水イタコン酸およびそれらの混合物から選択され得る。本発明の好ましい実施態様では、この無水物モノマーは、無水メタクリル酸である。この無水物モノマーは、使用するとき、典型的には、この重合可能組成物中にて、この重合可能組成物の全モノマー重量に基づいて、0.1重量%〜35重量%、好ましくは、この重合可能組成物の全モノマー重量に基づいて、1.5重量%〜25重量%、さらに好ましくは、この重合可能組成物の全モノマー重量に基づいて、3重量%〜15重量%の量で、存在している。
【0046】
この重合可能組成物は、さらに、必要に応じて、単一のエチレン性不飽和ラジカル重合可能基を有するモノマー(これは、この無水物モノマーとは異なる)を含有し得る。この組成物中で必要に応じて存在し得る単一のエチレン性不飽和ラジカル重合可能基を有するモノマーの例には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アクリル酸;メタクリル酸;アクリル酸のエステル(例えば、アクリル酸メチルまたはアクリル酸エチルおよびアクリル酸2−ヒドロキシエチル);メタクリル酸のエステル(例えば、メタクリル酸メチルまたはメタクリル酸エチル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシルおよびメタクリル酸2−ヒドロキシエチル);アリルエステル(例えば、安息香酸アリル);アリルカーボネート(例えば、フェニルアリルカーボネート);ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル);スチレン;および塩化ビニル。好ましいモノエチレン性不飽和モノマーには、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸シクロヘキシル、スチレンおよびそれらの混合物が挙げられる。このモノエチレン性不飽和モノマーは、存在するとき、典型的には、この重合可能組成物の全モノマー重量に基づいて、1重量%〜20重量%の量、好ましくは、この重合可能組成物の全モノマー重量に基づいて、2重量%〜13重量%の量、さらに好ましくは、この重合可能組成物の全モノマー重量に基づいて、3重量%〜7重量%の量で、存在している。
【0047】
必要に応じて、この重合可能組成物は、さらに、少なくとも2個のエチレン性不飽和ラジカル重合可能基(例えば、2個、3個、4個、5個または6個のエチレン性不飽和基)を有するポリウレタンモノマーを含有し得る。このポリウレタンモノマーのエチレン性不飽和ラジカル重合可能基は、アリル、置換アリル、アクリリル、メタクリリルおよびそれらの組合せから選択され得る。好ましくは、このポリウレタンモノマーのエチレン性不飽和基は、アリル、置換アリルおよびそれらの組合せから選択される。このポリウレタンモノマーのアリル基および置換アリル基は、以下の一般式VIIにより表わされ得る:
VII
C=C(R14)−CH
ここで、R14は、水素、ハロゲンまたはC〜Cアルキル基である。最も一般的には、R14は、水素であり、結果的には、一般式VIIは、非置換アリル基HC=CH−CH−を示している。
【0048】
このポリウレタンモノマーは、当該技術分野で周知の方法により、調製され得る。このような公知方法は、典型的には、2段階合成手順を包含し、ここで、第一段階は、その反応生成物がイソシアネート末端であるようなモル比で、ポリオール(例えば、ポリ(エチレングリコール))とポリイソシアネート(例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)またはトルエンジイソシアネート(TDI))との反応を包含する。第二段階では、このイソシアネート末端反応生成物は、次いで、ヒドロキシ官能性エチレン性不飽和物質(例えば、アリルアルコールまたはメタクリル酸2−ヒドロキシエチル)とさらに反応されて、それにより、このポリウレタンモノマーを形成する。あるいは、第一段階でのポリオールとポリイソシアネートとのモル比は、ヒドロキシ末端反応生成物が得られるように、選択され得る。このヒドロキシ末端反応生成物は、次いで、第二段階にて、イソシアネート官能性エチレン性不飽和物質(例えば、アリルイソシアネート)とさらに反応される。
【0049】
このポリウレタンモノマーはまた、当該技術分野で認められた1段階合成方法により、調製され得る。例えば、ポリオール(例えば、ペンタエリスリトール)は、イソシアネート官能性エチレン性不飽和物質(例えば、アリルイソシアネート)と反応されて、このポリウレタンモノマーを形成する。
【0050】
このポリウレタンモノマーを調製するのに使用され得る種類のポリイソシアネートには、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アルキレンポリイソシアネート(例えば、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネート);シクロアルキルジイソシアネート(例えば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネート);そのイソシアネート基が芳香環に直接結合されていない芳香族ポリイソシアネート(例えば、α,α,α’,α’−テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)およびα,α’−キシレンジイソシアネート);およびそのイソシアネート基が芳香環に直接結合された芳香族ジイソシアネート(例えば、トルエンジイソシアネート、ベンゼンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートおよびベンゼントリイソシアネート)。他の有用なポリイソシアネートには、列挙した種類に属するポリイソシアネートのハロゲン化誘導体、アルキル化誘導体、アルコキシル化誘導体、硝酸塩誘導体、カルボジイミド変性誘導体、尿素変性誘導体およびビウレット変性誘導体;および列挙した種類に属するポリイソシアネートの二量化生成物および三量化生成物が挙げられる。このポリウレタンモノマーを調製するのに使用され得るポリイソシアネートの追加例には、米国特許第5,221,721号、5欄、34〜49行目(その開示内容は、本明細書中で参考として援用されている)に載っているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
このポリウレタンモノマーを調製するのに使用され得る種類のポリオールには、以下が挙げられるが、これらに限定されない:C〜Cアルキレンジオール(例えば、エチレングリコールおよびプロピレングリコール);ポリ(アルキレングリコール)(例えば、ジエチレングリコールおよびポリ(エチレングリコール));ポリカーボネートジオール;ポリエステルジオール;および脂肪族ポリオール(例えば、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジ−トリメチロールプロパン、ジ−トリメチロールエタンおよびジ−ペンタエリスリトール)。
【0052】
ポリカーボネートジオールは、当該技術分野で周知の方法(例えば、グリコールと環状カーボネートとの反応)により、調製され得る。このポリウレタンモノマーを調製する際に有用なポリカーボネートジオールは、米国特許第5,221,721号、6欄、42行目〜7欄、19行目(その開示内容は、本明細書中で参考として援用されている)で、さらに詳細に記載されている。ポリエステルジオールは、当該技術分野で認められた方法(例えば、ラクトン(例えば、εカプロラクトン)の開環)により、調製され得る。このポリウレタンモノマーを調製する際に有用なポリエステルジオールは、米国特許第5,221,721号、6欄、32〜41行目(その開示内容は、本明細書中で参考として援用されている)で、さらに詳細に記載されている。
【0053】
このポリウレタンモノマーは、好ましくは、脂肪族ポリウレタンモノマーである。本明細書中および特許請求の範囲で使用する場合、「脂肪族ポリウレタンモノマー」とは、芳香族基に直接結合したカーバメート(またはウレタン)連鎖を実質的に含まないポリウレタンモノマーを意味する。典型的には、この脂肪族ポリウレタンモノマーを調製するのに使用されるポリオールおよびポリイソシアネートの全重量に基づいて、1重量%未満は、芳香族基に直接結合した水酸基およびイソシアネート基を有する。
【0054】
このポリウレタンモノマーは、典型的には、ポリスチレン標準を使用するゲル透過クロマトグラフィーで決定されるように、500〜100,000、例えば、500〜10,000の数平均分子量を有する。本発明の実施態様では、このポリウレタンモノマーは、1000未満(例えば、700)の数平均分子量を有する。このポリウレタンモノマーは、使用するとき、典型的には、本発明の重合可能組成物中にて、この重合可能組成物の全モノマー重量に基づいて、1重量%〜30重量%、好ましくは、この重合可能組成物の全モノマー重量に基づいて、2重量%〜20重量%、さらに好ましくは、この重合可能組成物の全モノマー重量に基づいて、3重量%〜10重量%の量で、存在している。
【0055】
本発明の重合可能組成物中で存在している全てのモノマーおよびコモノマーの全量は、合計すると、100重量%となる。本発明の実施態様では、例えば、この重合可能組成物は、以下を含有する:40重量%〜95重量%のチオ(メタ)アクリレートモノマー混合物(a);および5重量%〜60重量%の少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有するコモノマー(b)。本発明の別の実施態様では、この重合可能組成物は、以下を含有する:40重量%〜95重量%のチオ(メタ)アクリレートモノマー混合物(a);5重量%〜60重量%の少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有するコモノマー(b);1重量%〜30重量%の少なくとも2個のチオール基を有するポリチオールモノマー(c);および0.1重量%〜35重量%の少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する無水物モノマー(d)。全てのモノマー(a)および(b)、ならびに(a)〜(d)の量は、この重合可能組成物の全モノマー重量に基づいている。
【0056】
本発明の重合可能組成物の重合は、その組成物に、遊離ラジカルを発生できる物質(例えば、有機ペルオキシ化合物またはアゾビス(オルガノニトリル)化合物、すなわち、開始剤)の開始量を加えることにより、達成され得る。ラジカル重合可能基を含有するモノマーをその中に有する組成物を重合する方法は、当業者に周知であり、これらの周知技術のいずれかは、上記重合可能組成物を重合するのに使用され得る。このような重合方法には、熱重合、光重合またはそれらの組合せが挙げられる。
【0057】
熱重合開始剤として使用され得る適切な有機ペルオキシ化合物の例には、以下が挙げられる:ペルオキシモノカーボネートエステル(例えば、第三級ブチルペルオキシ2−エチルヘキシルカーボネートおよび第三級ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート);ペルオキシケタール(例えば、1,1−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン);ペルオキシジカーボネートエステル(例えば、ジ(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ(第二級ブチル)ペルオキシジカーボネートおよびジイソプロピルペルオキシジカーボネート);過酸化ジアシル(例えば、過酸化2,4−ジクロロベンゾイル、過酸化イソブチリル、過酸化デカノイル、過酸化ラウロイル、過酸化プロピニル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化p−クロロベンゾイル);ペルオキシエステル(例えば、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシオクチレートおよびt−ブチルペルオキシイソブチレート);過酸化メチルエチルケトン、および過酸化アセチルシクロヘキサンスルホニル。好ましい熱開始剤には、得られる重合体を変色しないものがある。特に好ましい熱開始剤は、1,1−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンであり、これは、LUPERSOL(登録商標)231の商品名で、Elf Atochemから市販されている。
【0058】
熱重合開始剤として使用され得る適切なアゾビス(オルガノニトリル)化合物の例には、アゾビス(イソブチロニトリル)およびアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)が挙げられる。
【0059】
本発明の重合可能組成物を開始し重合するのに使用される熱重合開始剤の量は、変わり得、使用する特定の開始剤に依存する。その重合反応を開始し持続させるのに必要な量(すなわち、開始量)だけが、必要である。好ましいペルオキシ化合物である1,1−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンに関して、典型的には、この重合可能組成物中に存在しているモノマー100部あたり、0.01〜3.0部(phm)の開始剤が使用され得る。より通常は、この重合を開始するのに、0.05〜1.0phmが使用される。典型的には、その熱硬化サイクルは、この重合可能組成物を、その開始剤の存在下にて、2時間〜48時間にわたって、室温から85℃〜130℃の温度まで加熱する工程を包含する。
【0060】
この重合可能組成物の光重合は、紫外光、可視光またはそれらの組合せを使用して、光重合開始剤の存在下で、実行され得る。適当な光重合開始剤の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾフェノン、アセトフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−イソプロピルチキサンテンおよび2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドが挙げられる。本発明の重合可能有機組成物を開始し重合するのに使用される光重合開始剤の量は、変わり、使用する特定の開始剤に依存している。その重合反応を開始し持続させるのに必要な量(すなわち、開始量)だけが、必要である。好ましい光重合開始剤は、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェンである。この光重合開始剤は、典型的には、それらのモノマー成分の全重量に基づいて、0.01重量%〜2重量%の量で、使用される。
【0061】
この光重合に使用する光源は、好ましくは、紫外光を放射するものから選択される。この光源は、好ましくは、水銀灯、殺菌灯またはキセノン灯である。可視光(例えば、日光)もまた、使用され得る。その暴露時間は、例えば、その光源の波長および強度および金型の形状に依存して異なり得、典型的には、実験的に決定される。
【0062】
熱重合開始剤または光重合開始剤の量および/または結果としての硬化サイクルは、本発明に従って重合体を生成するのに十分であるべきであり、これは、少なくとも1、好ましくは、少なくとも4、例えば、4〜35の開始(ゼロ秒)Barcol硬度を有する。
【0063】
本発明の重合可能組成物は、重合開始剤の非存在下で重合され得ることが理解できるはずである。特に、この重合可能組成物の光重合は、外部から光り重合開始剤または熱重合開始剤を加えることなく、達成され得る。
【0064】
本発明の重合可能組成物には、種々の通常の添加剤が取り込まれ得る。このような添加剤には、光安定化剤、熱安定化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、スタティック(非フォトクロミック)染料、フォトクロミック染料または物質、顔料、および可塑化添加剤が挙げられ得、これらは、ラジカル重合可能ではない(例えば、アルコキシル化フェノールベンゾエート、ポリ(アルキレングリコール)ジベンゾエートおよびポリ(アルコキシル化)ビスフェノール)。本発明の重合可能組成物には、黄化に対する耐性を高めるために、黄化防止添加剤(例えば、3−メチル−2−ブテノール、オルガノピロカーボネートおよびトリフェニルホスファイト(CAS registry no.101−02−0))もまた加え得る。このような添加剤は、典型的には、本発明の組成物中にて、この重合可能組成物の全重量に基づいて、全体で、10重量%未満、好ましくは、5重量%未満、さらに好ましくは、3重量%未満の量で、存在している。
【0065】
本発明の重合可能組成物には、そこから得られる重合体中での歪み(例えば、条線)の形成を最小にするために、重合減速剤または重合減速剤混合物が加えられ得ることもまた、考慮される。適当な重合減速剤には、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、テルピノレン、1−イソプロピル−4−メチル−1,4−シクロヘキサジエン、1−イソプロピル−4−メチル−1,3−シクロヘキサジオン、α−メチルスチレン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、1,1−ジフェニルエチレン、シス−1,2−ジフェニルエチレン、2,6−ジメチル−2,4,6−オクタリエン、4−tert−ブチルピロカテコール、およびそれらの混合物が挙げられる。この重合減速剤は、この重合可能組成物に、その重合可能組成物の全重量に基づいて、0.01重量%〜10重量%、好ましくは、0.1重量%〜8重量%、さらに好ましくは、0.3重量%〜5重量%の量で、加えられ得る。
【0066】
本発明の重合可能組成物の重合から得られる重合体は、固形物であり、好ましくは、透明であり、これは、例えば、光学用途または眼科用途に適当である。本発明の重合体はまた、少なくとも1.57の屈折率、好ましくは、少なくとも1.58の屈折率、さらに好ましくは、少なくとも1.59の屈折率を有し、十分に高いAbbe数、例えば、少なくとも33、好ましくは、少なくとも35のAbbe数を有し、そして、少なくとも1の初期(ゼロ秒)Barcol硬度を有する。本発明の重合可能組成物から調製され得る固形品には、光学用レンズ(例えば、プラノレンズおよび眼科用レンズ)、日光レンズ、窓、自動車用の透明部分(例えば、フロントガラス、サイドライトおよびバックライト)、および航空機の透明部分などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
フォトクロミック品(例えば、レンズ)を作製するのに使用される場合、この重合体は、そのマトリックスに取り込まれたフォトクロミック物質を活性化する電磁スペクトル部分、すなわち、着色形状またはオープン形状のフォトクロミック物質を生じる紫外(UV)光の波長に対して、および、その活性化形状(すなわち、オープン形状)でフォトクロミック物質の最大吸収波長を含む可視スペクトル部分に対して、透明であるべきである。本発明の重合体と併用され得るフォトクロミック物質は、有機フォトクロミック化合物またはそれを含有する物質であり、これは、(a)このような重合体に取り込まれ得る(例えば、溶解、分散または拡散され得る)か、または(b)重合前に、その重合可能組成物に加えられ得る。
【0068】
本発明のフォトクロミック品を形成するのに使用が考慮される有機フォトクロミック物質の第一群には、590ナノメーターより大きい可視範囲、例えば、590〜790ナノメーターの間の可視範囲内で活性化吸収最大を有するものがある。これらの物質は、典型的には、適当な溶媒またはマトリックス中で、紫外光に暴露される場合、青色、青緑色または青紫色を示す。本発明で有用なこのような種類の物質の例には、スピロ(インドリン)ナフトキサジンおよびスピロ(インドリン)ベンゾキサジンが挙げられるが、これらに限定されない。これらの種類および他の種類のこのようなフォトクロミック物質は、公開文献で記述されている。例えば、米国特許第3,562,172号;同第3,578,602号;同第4,215,010号;同第4,342,668号;同第5,405,958号;同第4,637,698号;同第4,931,219号;同第4,816,584号;同第4,880,667号;同第4,818,096号を参照を参照のこと。また、例えば、日本特許公開62/195383;および教本Techniques in Chemistry,Volume III,「Photochromism」、Chapter 3,Glenn H.Brown,Editor,John Wiley and Sons,Inc.,New York,1971も参照のこと。
【0069】
本発明のフォトクロミック品を形成するのに使用が考慮される有機フォトクロミック物質の第二群には、400ナノメータと500ナノメータ未満との間の可視範囲内で、少なくとも1つの吸収最大、好ましくは、2つの吸収最大を有するものがある。これらの物質は、典型的には、適当な溶媒またはマトリックス中で、紫外光に暴露される場合、黄橙色を示す。このような化合物には、ある種のクロメン(すなわち、ベンゾピランおよびナフトピラン)が挙げられる。このようなクロメンの多くは、公開文献、例えば、米国特許3,567,605号;同第4,826,977号;同第5,066,818号;同第4,826,977号;同第5,066,818号;同第5,466,398号;同第5,384,077号;同第5,238,931号;および同第5,274,132号で記述されている。
【0070】
本発明のフォトクロミック品を形成するのに使用が考慮される有機フォトクロミック物質の第三群には、400〜500ナノメータの間の可視範囲内で吸収最大および500〜700ナノメータの間の可視範囲内で別の吸収最大を有するものがある。これらの物質は、典型的には、適当な溶媒またはマトリックス中で、紫外光に暴露される場合、黄色/褐色から紫色/灰色までの範囲の色を示す。これらの物質の例には、ある種のベンゾピラン化合物が挙げられ、これらは、そのピラン環の2位置で置換基を有し、そして、置換または非置換複素環(例えば、そのベンゾピランのベンゼン部分に縮合したベンゾチエノ環またはベンゾフラノ環)を有する。このような物質は、米国特許第5,429,774号の主題である。
【0071】
考慮される他のフォトクロミック物質には、フォトクロミックオルガノ金属ジチゾネート、すなわち、(アリールアゾ)−チオホルミックアリールヒドラジデート(例えば、水銀ジチゾネート)があり、これらは、例えば、米国特許第3,361,706号で記述されている。フルジドおよびフルジミド(例えば、3−フリルおよび3−チエニルフルジドおよびフルジミド)は、米国特許第4,931,220号、20欄、5行目〜21欄、38行目で記述されている。
【0072】
上記特許におけるこのようなフォトクロミック物質に関連した開示内容は、全体として、本明細書中で参考として援用されている。本発明のフォトクロミック品は、1種のフォトクロミック物質、または所望である場合、フォトクロミック物質の混合物を含有し得る。フォトクロミック物質の混合物は、特定の活性化した色(例えば、中間灰色または褐色に近い色)に到達するために、使用され得る。
【0073】
本明細書中で記述したフォトクロミック物質の各々は、その化合物の混合物が塗布される重合体またはそれらを取り込む重合体が、フィルタ処理しない日光で活性化したとき、活性化したフォトクロミック物質の色で可能な限り中間色に近く、所望の色(例えば、実質的に中間の色(例えば、灰色または褐色の陰影))を示す量および割合(混合物を使用するとき)で、使用され得る。使用される上記フォトクロミック物質の相対量は、変わり、一部には、このような化合物の活性種の色の相対強度および望ましい最終色に依存している。
【0074】
本明細書中で記述したフォトクロミック化合物または物質は、当該技術分野で記述された種々の方法により、この重合体に塗布または取り込まれ得る。このような方法には、その物質をこの重合体に溶解または分散する工程(例えば、このフォトクロミック物質の熱溶液に重合体を浸漬するか熱移動により、フォトクロミック物質を重合体に吸収する工程);重合体の隣接層間の分離層として(例えば、重合体フィルムまたは重合体層の一部として)、フォトクロミック物質を提供する工程;およびフォトクロミック物質を重合体の表面に配置した被覆または重合体層の一部として塗布する工程が包含される。「吸収」または「吸収する」との用語は、その重合体へのフォトクロミック物質だけの浸透、多孔性重合体内へのフォトクロミック物質の溶媒で補助した移動吸収、気相移動、および他のこのような移動機構を意味し含むように解釈される。
【0075】
この重合体に塗布または取り込まれるフォトクロミック物質またはフォトクロミック含有組成物の量は、活性化すると肉眼で識別できるフォトクロミック効果を生じるのに十分な量が使用されるという条件で、重要ではない。一般に、このような量は、フォトクロミック量として記述され得る。使用される特定の量は、しばしば、その照射時の望ましい色強度、およびフォトクロミック物質を取り込むか塗布するのに使用される方法に依存している。典型的には、より多くのフォトクロミック物質を塗布または取り込む程、その色強度が高くなる。一般に、フォトクロミック光学重合体に取り込むか塗布される全フォトクロミック物質の量は、そのフォトクロミック物質を取り込むか塗布する表面1平方センチメートルあたり、0.15〜0.35ミリグラムの範囲であり得る。
【0076】
本発明の重合可能組成物には、硬化前に、フォトクロミック物質を加え得ることもまた、考慮される。しかしながら、これを行うとき、このフォトクロミック物質は、存在し得る開始剤および/またはポリチオールモノマーおよび重合体内で形成されるスルフィド連鎖との潜在的に有害な相互作用に耐えることが好ましい。これらの有害な相互作用により、このフォトクロミック物質は、例えば、それらを開放形態または閉鎖形態のいずれかで捕捉することにより、不活性化し得る。フォトクロミック物質はまた、金属酸化物にカプセル化されたフォトクロミック顔料および有機フォトクロミック物質を含有し得、後者は、米国特許第4,166,043号および同第4,367,170号で記述されている。有機重合体のマトリックス内に十分にカプセル化された有機フォトクロミック物質は、米国特許第4,931,220号で記述されているように、硬化前に、本発明の重合可能組成物に取り込まれ得る。
【0077】
本発明は、さらに特定すると、以下の実施例で記述されているが、これらの実施例は、多くの改良および変更が当業者に明らかであるので、例示にすぎないと解釈される。特に明記しない限り、全ての部およびパーセントは、重量基準である。
【0078】
(重合可能鋳造組成物)
表1で列挙した成分から、鋳造組成物を調製した。実施例1および2は、比較例であり、また、実施例3および4は、本発明の代表的な実施態様である。実施例1および3の鋳造組成物は、熱的に硬化し、また、実施例2および4の鋳造組成物は、紫外光で硬化した。
【0079】
【表1】
Figure 2004536933
(a)チオメタクリレート官能性モノマーの混合物は、本明細書中で先に記述した一般方法に従って調製したが、一般式IおよびIIを参照して、Qは、1,2−エチレンであり、そしてRは、メチルである。チオメタクリレート官能性モノマーの混合物は、GPCにより分析し、そして(ピーク面積と比較することによって)、チオメタクリレート官能性モノマーの混合物の全重量に基づいて、約35重量%の第一チオメタクリレート官能性モノマー(a)(i)および約65重量%の第二チオメタクリレート官能性モノマー(a)(ii)の混合物から構成されていることが判明した。このチオメタクリレート官能性モノマーの混合物は、120センチポアズ(cPs)のスピンドル粘度を有していた。
【0080】
(b)チオメタクリレート官能性モノマーの混合物は、本明細書中で先に記述した一般方法に従って調製したが、一般式IおよびIIを参照して、Qは、1,2−エチレンであり、そしてRは、メチルである。チオメタクリレート官能性モノマーの混合物は、GPCにより分析し、そして(ピーク面積と比較することによって)、チオメタクリレート官能性モノマーの混合物の全重量に基づいて、約33重量%の第一チオメタクリレート官能性モノマー(a)(i)および約67重量%の第二チオメタクリレート官能性モノマー(a)(ii)の混合物から構成されていることが判明した。このチオメタクリレート官能性モノマーの混合物は、230センチポアズ(cPs)のスピンドル粘度を有していた。
【0081】
(c)10モルのエチレンオキシドでエトキシ化したビスフェノールAジメタクリレートであって、これは、SR−480モノマーの名称で、Sartomerから得た。
【0082】
(d)2モルのエチレンオキシドでエトキシ化したビスフェノールAジメタクリレートであって、これは、DIACRYL 110モノマーの名称で、Akzoから得た。
【0083】
(e)トリメチロールプロパントリス(メタクリレート)モノマーであって、これは、SR−350モノマーの名称で、Sartomerから得た。
【0084】
(f)メタクリル酸2−フェノキシエチルモノマーは、SR−340モノマーの名称で、Sartomerから得た。
【0085】
(g)LUPERSOL 231 − 1,1−ジ(第三級ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(CAS Registry No.6731−36−8)の報告された化学式を有する開始剤(これは、Elf Atochemから市販されている)。
【0086】
(h)DARACURE 1173 − 2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノンの報告された化学式を有する開始剤(これは、Ciba−Geigy Corp.から市販されている)。
【0087】
表1の実施例1および3で表わした重合可能鋳造組成物の熱重合したキャストシートは、以下の様式で製造した。記載した成分を、まず、適当な容器に充填し、続いて、LUPERSOL 231開始剤を加えた。得られた開始重合可能鋳造組成物を、室温で、磁気攪拌プレートおよび磁気攪拌棒を使用して混合し、5ミクロンのフィルターに通し、そして真空チャンバ内で、約100mmHgで、脱気した。混合した鋳造組成物を、次いで、ガラス製金型(これは、(a)15.24×15.24×0.32cmおよび(b) 15.24×15.24×0.16 cmの内部寸法を有する)に注いだ。充填した成形物を、以下の連続熱硬化サイクルに従って硬化した:(1)15時間にわたって、一定速度で、40℃から125℃まで加熱する;(2)125℃で1時間にわたって等温保持する;および(3)2.5時間にわたって、一定速度で、125℃から95℃まで冷却する;サイクルの終了。
【0088】
これらのキャストシートの物理的特性を測定し、それらの結果を表2で要約する。衝撃試験評価には、0.16cm厚のキャストシートだけを使用したのに対して、他の全ての物理的特性試験には、0.32cm厚のキャストシートを使用した。
【0089】
表1の実施例2および4で表わした光重合可能鋳造組成物を、実施例1および3で記述した様式と類似の様式で、混合し、濾過し、そして脱気した。実施例2および4の混合し脱気したモノマー組成物を、紫外(UV)光透過性ガラス金型(a)(これは、15.24×15.24×0.32cmの内部寸法を有する)および(b)6−ベースプラノレンズ金型(これは、0.15cmの内部厚さを有する)に注いだ。充填した金型の内容物を、以下の様式で、光重合した。(1)充填した金型を、UV光源の下に5回通し、そのたびに、その金型のうちUV光源に向いた側を交互にした。(2)次いで、この金型を、120℃電気オーブンに1時間入れ、そして30分間にわたって、線形速度で、95℃まで冷却した。(3)この金型を、このオーブンから取り出し、その鋳造物を離型した。(4)離型した鋳造物を110℃電気オーブンに30分間入れ、続いて、そのオーブンから取り出し、室温まで冷却した。使用したUV光源は、FUSION SYSTEMS D−Bulbであり、これは、これらのガラス製金型の15cm(6インチ)上に配置した。これらのガラス製金型を、LESCO Inc.から市販されているモデル番号C636Rコンベアベルトシステムを使用して、91cm(3フィート)/分の線形速度で、このUV光源の下に通した。上記UV光源の下に1回通すと、使用したガラス製金型の内部に、4.9ジュール/cmのUVエネルギーを与えることが分かった。
【0090】
光硬化したキャストシートおよびプラノレンズの物理的特性を測定し、それらの結果を、表2で要約する。実施例2および4の鋳造組成物から調製したプラノレンズは、衝撃強度試験のみに使用したのに対して、これらのキャストシート(これは、15.24×15.24×0.32cmの内部寸法の金型で作製した)は、他の全ての物理的特性試験に使用した。
【0091】
【表2】
Figure 2004536933
N.D. − 測定せず。
【0092】
N.A. − 適用せず。
【0093】
(i)熱歪み温度は、試験片が10ミル(254ミクロン)の変形を有することが観察された温度であり、これは、Custom Scientific Instruments Model HDV3 DTUL/Vicat Softening Point Apparatusを使用して、ASTM D 648−95に従って測定した。
【0094】
(j)130℃での全変形は、この温度で観察された試験片の全変形(ミル単位)であり、これは、Custom Scientific Instruments Model HDV3 DTUL/Vicat Softening Point Apparatusを使用して、ASTM D 648−95に従って測定した。
【0095】
(k)屈折率n 20は、Bausch & Lomb Abbe−3L Refractometerを使用して、ASTM D542−95に従って測定した。
【0096】
(l)Abbe数は、Bausch & Lomb ABBE−3L Refractometerを使用して、測定した。
【0097】
(m)透過率(%)は、HunterLabモデルColorQuest II分光光度計を使用して、ASTM D 1003−95に従って測定した。
【0098】
(n)この衝撃強度試験は、試験試料(これは、2.9cmの直径を有するOリングで支持した)の中心上に、127cmの高さから、16.3グラムで直径15.9mmのステンレス鋼ボールを落下することにより、実行した。実施例1および3については、それらの試験試料は、3.8cm×3.8cm×0.16cmのシートであった。実施例2および4では、それらの試験試料は、1.4または1.5mmの平均中心厚を有する6−ベースプラノレンズであった(この鋼鉄ボールは、それらのレンズの凸面上に落下した)。実施例1および3の各々については、9つの平らなシートを試験した。実施例2および4の各々については、4つの6−ベースプラノレンズを試験した。提示したデータは、0.20ジュール(0.15フィート−ポンド)の衝撃強度で合格しなかった試験試料の割合である。16.3グラムのステンレス鋼ボールを観察して、その試験試料を通って穴が開いたか、この試験試料が断片に分かれたとき、その試験試料は、この衝撃試験に合格しなかったと判定した。
【0099】
(o)耐衝撃性について試験したプラノレンズの平均中心厚は、マイクロメーターを使用して測定した。
【0100】
表2で要約した結果から、本発明の組成物(すなわち、実施例3)の熱重合から調製した重合体は、比較組成物(すなわち、実施例1)と比べて、改良された衝撃強度に加えて、高い屈折率およびAbbe値の組合せを有することが明らかである。表2で要約した結果から、本発明の組成物(すなわち、実施例4)の光重合から調製した重合体は、比較組成物(すなわち、実施例2)と比べて、改良された衝撃強度に加えて、高い屈折率およびAbbe値の組合せを有することも明らかである。
【0101】
本発明は、その特定の実施態様の具体的な詳細に関連して、記述されている。このような詳細は、添付の請求の範囲に含まれる範囲を除いて、本発明の範囲の限定と見なすとは解釈されない。

Claims (28)

  1. 以下の(a)および(b)を含有する、重合可能組成物:
    (a)チオ(メタ)アクリレート官能性モノマーの混合物であって、該混合物は、以下の(i)および(ii)を含有する:
    (i)以下の一般式
    Figure 2004536933
    により表わされる第一チオ(メタ)アクリレート官能性モノマー:
    ここで、Rは、水素またはメチルであり、そしてQは、直鎖または分枝C〜C12アルキレン、C〜C12環状アルキレン、C〜C14アリーレンおよびC〜C26アルカリーレンから選択される二価結合基であり、Qの炭素鎖は、必要に応じて、エーテル、チオエーテルおよびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1個の連鎖を含有し得る;および
    (ii)以下の一般式:
    Figure 2004536933
    により表わされる第二チオ(メタ)アクリレート官能性モノマー、
    ここで、RおよびQは、モノマー(a)(i)について記述した意味と同じ意味を有し、そしてuは、1〜10の整数である;
    (b)少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合可能コモノマーであって、該コモノマーは、以下からなる群から選択される:
    (i)以下の一般式:
    Figure 2004536933
    により表わされるモノマー、
    ここで、mおよびnは、それぞれ、正数であり、mおよびnの合計は、0〜70であり、そしてRおよびRは、それぞれ、水素またはメチルであり、RおよびRは、それぞれ、水素またはC〜Cアルキルであり、そしてAは、直鎖または分枝C〜Cアルキレン、環状アルキレン、フェニレン、C〜Cアルキル置換フェニレン、および以下の一般式:
    Figure 2004536933
    により表わされる基からなる群から選択される二価結合基であり、
    ここで、RおよびRは、それぞれ、C〜Cアルキル、塩素または臭素
    であり、pおよびqは、それぞれ、0〜4の整数であり、
    Figure 2004536933
    は、二価ベンゼン基または二価シクロヘキサン基を表わし、そしてXは、
    Figure 2004536933
    が二価ベンゼン基のとき、O、S、−S(O)−、−C(O)−、−CH−、−CH=CH−、−C(CH−、−C(CH)(C)−または
    Figure 2004536933
    であり、そしてXは、
    Figure 2004536933
    が二価シクロヘキサン基のとき、O、S、−CH−または−C(CH−である;
    (ii)200〜2000グラム/モルの数平均分子量を有するビス[(メタ)アクリロイル末端]ポリ(エチレングリコール)モノマー;
    (iii)以下の一般式:
    Figure 2004536933
    で表わされるポリ(メタ)アクリロイル末端モノマー、
    ここで、R’は、ポリオールの多価ラジカルであり、R10は、水素またはメチルであり、R11は、水素またはC〜Cアルキルであり、dは、1〜20の数であり、そしてjは、3〜6の整数である;および
    (iv)重合可能コモノマー(i)、(ii)および(iii)の混合物;
    ここで、各モノマーおよびコモノマーの量は、該重合可能組成物の重合体が少なくとも1.57の屈折率および少なくとも33のAbbe数を有するように、選択される、
    組成物。
  2. Qが、直鎖または分枝C〜C12アルキレンから選択される、請求項1に記載の重合可能組成物。
  3. Qが、1,2−エチレン、1,3−プロピレンおよびそれらの混合物から選択され、そしてRが、メチルである、請求項2に記載の重合可能組成物。
  4. 前記チオ(メタ)アクリレート官能性モノマーの混合物(a)が、主要量の前記第二チオ(メタ)アクリレート官能性モノマー(a)(ii)を含有する、請求項1に記載の重合可能組成物。
  5. 前記第一チオ(メタ)アクリレート官能性モノマー(a)(i)が、前記チオ(メタ)アクリレート官能性モノマーの混合物の全重量に基づいて、5重量%〜49重量%の量で存在しており、そして前記第二チオ(メタ)アクリレート官能性モノマー(a)(ii)が、該チオ(メタ)アクリレート官能性モノマーの混合物の全重量に基づいて、51重量%〜95重量%の量で存在している、請求項4に記載の重合可能組成物。
  6. Aが、以下の一般式により表わされる、請求項1に記載の重合可能組成物:
    Figure 2004536933
    Xは、−(CH−である;
    Figure 2004536933
    は、二価ベンゼン基を表わす;pおよびqは、それぞれ、0である;R、RおよびR10は、それぞれ、メチルである;R、RおよびR11は、それぞれ、水素である;mおよびnの合計は、10〜30である;R’は、トリメチロールプロパンのラジカルである;jは、3である;そしてdは、0である、
    組成物。
  7. 前記コモノマー(b)が、モノマー(b)(i)から選択され、該モノマー(b)(i)が、第一モノマー(b)(i’)および第二モノマー(b)(i”)の混合物を含有し、該モノマー(b)(i’)およびモノマー(b)(i”)の各々に対して、Aが、以下の一般式により表わされる、請求項1に記載の重合可能組成物:
    Figure 2004536933
    Xは、−(CH−である;
    Figure 2004536933
    は、二価ベンゼン基を表わす;pおよびqは、それぞれ、0である;RおよびRは、それぞれ、メチルである;RおよびRは、それぞれ、水素である;該第一モノマー(b)(i’)のmおよびnの合計は、2〜6である;該第二モノマー(b)(i”)のmおよびnの合計は、10〜30である、
    組成物。
  8. 前記チオ(メタ)アクリレートモノマー混合物(a)が、前記組成物中にて、該組成物の全モノマー重量に基づいて、40重量%〜95重量%の量で存在しており、そして前記コモノマー(b)が、該組成物中にて、該組成物の全モノマー重量に基づいて、5重量%〜60重量%の量で存在している、請求項1に記載の重合可能組成物。
  9. さらに、少なくとも2個のチオール基を有するポリチオールモノマーを含有する、請求項1に記載の重合可能組成物。
  10. 前記ポリチオールモノマーが、2,2’−チオジエタンチオール、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、テトラキス(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メタン、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、4−メルカプトメチル−3,6−ジチア−1,8−オクタンジチオール、4−第三級ブチル−1,2−ベンゼンジチオール、4,4’−チオジベンゼンチオール、ベンゼンジチオール、エチレングリコールジ(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールジ(3−メルカプトプロピオネート)、ポリ(エチレングリコール)ジ(2−メルカプトアセテート)、ポリ(エチレングリコール)ジ(3−メルカプトプロピオネート)、以下の一般式:
    Figure 2004536933
    で表わされるポリチオールモノマー、およびこのようなポリチオールモノマーの混合物からなる群から選択される、請求項9に記載の重合可能組成物であって、
    ここで、RおよびRは、それぞれ、直鎖または分枝鎖のアルキレン、環状アルキレン、フェニレンおよびC〜Cアルキル置換フェニレンからなる群から選択される、
    組成物。
  11. さらに、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する無水物モノマーを含有する、請求項1に記載の重合可能組成物。
  12. 前記無水物モノマーが、無水メタクリル酸、無水アクリル酸、無水マレイン酸、1−シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物、無水イタコン酸およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項11に記載の重合可能組成物。
  13. さらに、単一のエチレン性不飽和ラジカル重合可能基を有するモノマーを含有する、請求項1に記載の重合可能組成物。
  14. 前記単一のエチレン性不飽和ラジカル重合可能基を有するモノマーが、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸シクロヘキシル、スチレンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項13に記載の重合可能組成物。
  15. さらに、少なくとも2個のエチレン性不飽和ラジカル重合可能基を有するポリウレタンモノマーを含有する、請求項1に記載の重合可能組成物。
  16. 前記ポリウレタンモノマーが、少なくとも2個のエチレン性不飽和ラジカル重合可能基を有する脂肪族ポリウレタンモノマーであり、該エチレン性不飽和ラジカル重合可能基が、アリル、置換アリルおよびそれらの組合せから選択される、請求項15に記載の重合可能組成物。
  17. 以下の(a)、(b)、(c)および(d)を含有する、重合可能組成物:
    (a)チオ(メタ)アクリレート官能性モノマーの混合物であって、該混合物は、以下の(i)および(ii)を含有する:
    (i)以下の一般式:
    Figure 2004536933
    により表わされる第一チオ(メタ)アクリレート官能性モノマー、
    ここで、Rは、水素またはメチルであり、そしてQは、直鎖または分枝鎖のC〜C12アルキレン、C〜C12環状アルキレン、C〜C14アリーレンおよびC〜C26アルカリーレンから選択される二価結合基であり、Qの炭素鎖は、必要に応じて、エーテル、チオエーテルおよびそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1個の連鎖を含有し得る;および
    (ii)以下の一般式:
    Figure 2004536933
    により表わされる第二チオ(メタ)アクリレート官能性モノマー、
    ここで、RおよびQは、モノマー(a)(i)について記述した意味と同じ意味を有し、そしてuは、1〜10の整数である;
    (b)少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合可能コモノマーであって、該コモノマーは、以下からなる群から選択される:
    (i)以下の一般式:
    Figure 2004536933
    により表わされるモノマー、
    ここで、mおよびnは、それぞれ、正数であり、mおよびnの合計は、0〜70であり、そしてRおよびRは、それぞれ、水素またはメチルであり、RおよびRは、それぞれ、水素またはC〜Cアルキルであり、そしてAは、直鎖または分枝鎖のC〜Cアルキレン、環状アルキレン、フェニレン、C〜Cアルキル置換フェニレン、および以下の一般式:
    Figure 2004536933
    により表わされる基からなる群から選択される二価結合基であり、
    ここで、RおよびRは、それぞれ、C〜Cアルキル、塩素または臭素であり、pおよびqは、それぞれ、0〜4の整数であり、
    Figure 2004536933
    は、二価ベンゼン基または二価シクロヘキサン基を表わし、そしてXは、
    Figure 2004536933
    が二価ベンゼン基のとき、O、S、−S(O)−、−C(O)−、−CH−、−CH=CH−、−C(CH−、−C(CH)(C)−または
    Figure 2004536933
    であり、そしてXは、
    Figure 2004536933
    が二価シクロヘキサン基のとき、O、S、−CH−または−C(CH−である;
    (ii)200〜2000グラム/モルの数平均分子量を有するビス[(メタ)アクリロイル末端]ポリ(エチレングリコール)モノマー;
    (iii)以下の一般式:
    Figure 2004536933
    で表わされるポリ(メタ)アクリロイル末端モノマーであって、
    ここで、R’は、ポリオールの多価ラジカルであり、R10は、水素またはメチルであり、R11は、水素またはC〜Cアルキルであり、dは、0〜20の数であり、そしてjは、3〜6の整数である;および
    (iv)重合可能コモノマー(i)、(ii)および(iii)の混合物;
    (c)少なくとも2個のチオール基を有するポリチオールモノマー;および
    (d)少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する無水物モノマー;
    ここで、各モノマーおよびコモノマーの量は、該重合可能組成物の重合体が少なくとも1.57の屈折率および少なくとも33のAbbe数を有するように、選択される、
    組成物。
  18. 前記第一チオ(メタ)アクリレート官能性モノマー(a)(i)が、前記チオ(メタ)アクリレート官能性モノマーの混合物の全重量に基づいて、5重量%〜49重量%の量で存在しており、そして前記第二チオ(メタ)アクリレート官能性モノマー(a)(ii)が、該チオ(メタ)アクリレート官能性モノマーの混合物の全重量に基づいて、51重量%〜95重量%の量で存在している、請求項17に記載の重合可能組成物。
  19. Qが、直鎖または分枝C〜C12アルキレンから選択され、Rが、メチルであり、Aが、以下の一般式:
    Figure 2004536933
    により表わされる、請求項17に記載の重合可能組成物であって、
    Xは、−(CH−である;
    Figure 2004536933
    は、二価ベンゼン基を表わす;pおよびqは、それぞれ、0である;R、RおよびR10は、それぞれ、メチルである;R、RおよびR11は、それぞれ、水素である;mおよびnの合計は、10〜30である;R’は、トリメチロールプロパンのラジカルである;jは、3である;そしてdは、0である、
    組成物。
  20. 前記ポリチオールモノマーが、2,2’−チオジエタンチオール、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、テトラキス(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メタン、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、4−メルカプトメチル−3,6−ジチア−1,8−オクタンジチオール、4−第三級ブチル−1,2−ベンゼンジチオール、4,4’−チオジベンゼンチオール、ベンゼンジチオール、エチレングリコールジ(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールジ(3−メルカプトプロピオネート)、ポリ(エチレングリコール)ジ(2−メルカプトアセテート)、ポリ(エチレングリコール)ジ(3−メルカプトプロピオネート)、以下の一般式:
    Figure 2004536933
    で表わされるポリチオールモノマー、およびこのようなポリチオールモノマーの混合物からなる群から選択される、請求項19に記載の重合可能組成物であって、
    ここで、RおよびRは、それぞれ、直鎖または分枝鎖アルキレン、環状アルキレン、フェニレンおよびC〜Cアルキル置換フェニレンからなる群から選択される、
    組成物。
  21. 前記無水物モノマーが、無水メタクリル酸、無水アクリル酸、無水マレイン酸、1−シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物、無水イタコン酸およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項20に記載の重合可能組成物。
  22. さらに、単一のエチレン性不飽和ラジカル重合可能基を有するモノマーを含有し、該モノマーが、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸シクロヘキシル、スチレンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項17に記載の重合可能組成物。
  23. さらに、少なくとも2個のエチレン性不飽和ラジカル重合可能基を有する脂肪族ポリウレタンモノマーを含有し、該エチレン性不飽和ラジカル重合可能基が、アリル、置換アリルおよびそれらの組合せから選択される、請求項17に記載の重合可能組成物。
  24. 請求項1に記載の重合体。
  25. 請求項17に記載の重合体。
  26. 以下の(a)および(b)を含む、フォトクロミック品:
    (a)請求項1に記載の重合体;および
    (b)フォトクロミック量の有機フォトクロミック物質。
  27. 以下の(a)および(b)を含む、フォトクロミック品:
    (a)請求項17に記載の重合体;および
    (b)フォトクロミック量の有機フォトクロミック物質。
  28. 前記有機フォトクロミック物質が、スピロ(インドリン)ナフトキサジン、スピロ(インドリン)ベンゾキサジン、ベンゾピラン、ナフトピラン、クロメン、有機金属ジチゾネート、フルジドおよびフルジミドならびにこのような有機フォトクロミック物質の混合物からなる群から選択される、請求項27に記載のフォトクロミック品。
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