JP2004358647A - ミーリングヘッドの主軸クランプ機構 - Google Patents

ミーリングヘッドの主軸クランプ機構 Download PDF

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Abstract

【課題】動剛性が高く、びびらず、引き目が判らない上級の仕上げ面ができるミーリングヘッドの主軸クランプ機構を提供する。
【解決手段】主軸の中央にビルトインモータのロータが嵌着され、主軸の両端が回転自在に軸支され、主軸先端にはテーパ状の開口部が設けられ、その開口部には固定ツールまたは回転ツールが固定され、前記固定ツールが装着される場合は、主軸前部および主軸後部をそれぞれクランプするミーリングヘッド1の主軸クランプ機構であって、主軸前部の主軸クランプ機構Aには、ツースカッブリングを備え、主軸後部の主軸クランプ機構Bには、くさび形ピストンを備えたことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ターニングセンタ、マシニングセンタおよびグライディングセンタ等の工作機械に備えられ、ミーリングヘッドの主軸の回転を固定する主軸クランプ機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、固定ツール23を用いた従来のミーリングヘッド11でのチャックワークの旋削加工を示し、主軸台30の主軸31の先端に設けられた油圧チャック(チャック)32にワークWが把持され、ワークWの端面加工を示す説明図である。
図6に示すように、固定ツール23を使用する場合は、主軸台30の主軸31が回転し、ミーリングヘッド11の主軸10は固定(クランプ)となる。
ミーリングヘッド11の主軸10の先端にはテーパ状の開口部が設けられ、その開口部に固定ツール23を保持した固定ツール用ツールホルダ(以下、固定ツールホルダ)22が装着されている。また、固定ツール23は図6では外径用バイトである。ワークWは、チャックワークであるため、左端をチャック32のソフトジョー32a、32a、32aによって把持されている。このように、ワークWの外周eを削り、端面fを削る場合、ツールホルダ22のフランジ部がワークWに干渉しないような配置にする制約から、固定ツール23の刃先位置は、主軸10の先端gより大きくオーバーハングすることになる。
【0003】
図7は、同じく固定ツール23を用いたミーリングヘッド11でのセンターワークの旋削加工を示し、主軸台30の主軸31の先端に設けられたチャック32に把持されたワークW′の外周加工を示す説明図である。
図7に示すように、ワークW′は、シャフトワークであるため、左端はチャック32が把持し、右端はテールストック34によって支持されている。このように、ワークW′の外周eを削る場合、ミーリングヘッド11とワークWとは、大きく離間しているにも拘わらず、前記したチャックワークの端面加工による制約により、ミーリングヘッド10の先端gより大きくオーバーハングすることになる。
【0004】
図8は、従来のミーリングヘッド11の主軸10のダブルピン方式による主軸クランプ機構を示す断面図である。ミーリングヘッド11の主軸10の中央にはビルトインモータ19のロータ19bが嵌着されている。また、主軸10の両端が回転自在に軸支され、主軸先端にはテーパ状の開口部10aが設けられ、その開口部10aには固定ツール23または図示しない回転ツール(ミーリングツールともいう)が固定される。固定ツール23が装着された場合、主軸の回転方向が位置決めされ、主軸10の前部外周に形成された対向する2ヶ所のV溝10eに、先端部がクサビ状のピン27が噛合し、油圧力によって押圧されてクランプする。
【0005】
また、主軸のクランプ力方向を主軸の軸線方向にした主軸クランプ機構が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2003−080402号公報(図2)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなミーリングヘッドのプランプ機構では、動剛性(びびり剛性ともいう)が思ったより低く、図7に示すようなシャフトワークの旋削加工ではびびりが発生し、引き目が悪いという問題があった。
また、このような突き出し長さの大きい固定ツーツであっても、びびらず、引き目が判らないミーリングヘッドの主軸クランプ機構が望まれていた。
【0008】
そこで、本発明は、これらの問題を解決するために創案されたものであり、動剛性が高く、びびらず、引き目が判らない上級の仕上げ面ができるミーリングヘッドの主軸クランプ機構を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記した課題の解決を達成するため、請求項1に記載の本発明であるミーリングヘッドの主軸クランプ機構は、主軸の中央にビルトインモータのロータが嵌着され、前記主軸の両端が回転自在に軸支され、主軸先端にはテーパ状の開口部が設けられ、その開口部には固定ツールまたは回転ツールが固定され、前記固定ツールが装着される場合は、主軸前部および主軸後部をそれぞれ固定するミーリングヘッドの主軸クランプ機構であって、前記主軸前部の主軸クランプ機構には、ツースカップリングを備え、前記主軸後部の主軸クランプ機構には、くさび形ピストンを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、ミーリングヘッドの主軸前部は、ツースカップリングにより主軸のクランプを行い、主軸後部は、くさび形ピストンによってのクランプを行うことができるので、主軸剛性が飛躍的に向上し、動剛性が高く、びびらず、上級の仕上げ面ができるミーリングヘッドの主軸クランプ機構を提供することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のミーリングヘッドの主軸クランプ機構であって、前記主軸前部の主軸クランプ機構は、ミーリングヘッドのボデーの前面に設けられ、ボデーの穴にカラー状の突出部が嵌合され、その内周面に前ベアリングが嵌入されたシリンダと、前記シリンダの外周が包囲され、作動油用孔を通し、前記ボデーの前面に設けられた前ハウジングと、前記シリンダと前記前ハウジングとが形成する前シリンダ部に、摺動自在に形成されたリング状のピストンが挿入され、前面にはカップリングの歯型を有するツースカップリングの後カップリングと、前記後カップリングの歯と噛合する歯を有し、前記前ハウジングに固定されたツースカップリングの前内側カップリングと、前記後カップリングの歯と噛合する歯を有し、前記主軸に固定されたツースカップリングの前外側カップリングとを備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、主軸前部の前シリンダ部に、リング状のピストンを有するツースカップリングの後カップリングと、後カップリングに噛み合い、前ハウジングに固定されたツースカップリングの前内側カップリングと、後カップリングに噛み合い、主軸に固定されたツースカップリングの前外側カップリングを設けたことにより、ボデーと主軸とを一体にして主軸をクランプできる。そして、前ベアリングに対して、ラジアル荷重、スラスト荷重を作用させない主軸クランプ機構を提供することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のミーリングヘッドの主軸クランプ機構であって、前記主軸後部の主軸クランプ機構は、ミーリングヘッドのボデーの後面に設けられ、前記ボデーの穴にカラー状の突出部が嵌合され、前記作動油用孔を通し、その内周面に後ベアリングが嵌入された後ハウジングと、前記ボデー内に配置され、作動油用孔を通し内周面にテーパ面を有する前記後ハウジングの前面に設けられたシリンダカバーと、前記シリンダカバーと前記後ハウジングとが形成する後シリンダ部に、摺動自在に形成されたリング状のピストンが挿入され、前面には前記シリンダカバーに保持されたリングのテーパ面を摺動するテーパ面を有するくさび形ピストンとを備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、主軸後部の後シリンダ部に、くさび形ピストンを設けたことにより、くさび形ピストンのくさび部がリングのテーパ面を摺動することにより弾性変形し、主軸の外周に密着把持してクランプすることができる。そして、主軸のベアリングに対して、ラジアル荷重、スラスト荷重を作用させない主軸クランプ機構を提供することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のミーリングヘッドの主軸クランプ機構であって、前記くさび形ピストンのくさび部には、切り欠き溝が設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、くさび形ピストンのくさび部に切り欠き溝を設けたことにより、弾性変形がし易くなり、リングのテーパ面と主軸の外周面に当接し、さらに油圧力での押圧によって、主軸の外周に密着把持してクランプすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて、本発明のミーリングヘッドの主軸クランプ機構を説明する。図1は、主軸10の主軸クランプ機構を示すミーリングヘッド1の断面図である。図2は、ミーリングヘッド1の主軸前部の主軸クランプ機構Aを示す拡大断面図であり、図3は、ミーリングヘッド1の主軸後部の主軸クランプ機構Bを示す拡大断面図である。
図2に示すように、ミーリングヘッド1のボデー2の中央にはビルトインモータ19のステータ19aが嵌着されており、主軸10の外周中央にもビルトインモータ19のロータ19bが嵌着されている。また、主軸10の両端がベアリング12、13(図3参照)によって回転自在に軸支されている。主軸10の貫通穴にはツールクランプ機構が内蔵されており、主軸中心部には、ツールの刃先に向かってクーラント液を噴射させるための給油管が設けられている。
主軸先端にはテーパ状の開口部10aが設けられており、その開口部10aには固定ツール用ツールホルダ22、または回転ツール用ツールホルダ(図示せず)が装着される。固定ツール23には外径用バイト、内径用ボーリングバーおよび溝入れバイト等があり、回転ツールには、ドリル、エンドミルおよびカッター等がそれぞれ用意されている。
【0018】
回転ツール(図示せず)がテーパ状の開口部10aから抜き取られ、つぎに固定ツール23が装着されるとなると、主軸10は回転方向に位置決めが行われた後、主軸前部の主軸クランプ機構Aがツースカップリングによって、さらに主軸後部の主軸クランプ機構Bがくさび形ピストンによって、ボデー2と主軸10とが同時にクランプされる。そして、固定ツール23が装着される。
【0019】
図2に示すように、主軸前部の主軸クランプ機構Aは、シリンダ3、前ハウジング4、後カップリング6、前内側カップリング7および前外側カップリング8より構成されている。シリンダ3は、ミーリングヘッド1のボデー2の前面に固定されており、さらにボデー2の穴にスリーブ状の突出部が嵌合され、その内周面に主軸10の前部を支持する前ベアリング12、12が嵌入されている。
前ハウジング4は、シリンダ3の外周を包囲し、作動油用孔a,bを通してボデー2の前面に固定されている。
後カップリング6は、シリンダ3と前ハウジング4によって形成する前シリンダ部5に摺動自在に形成されたリング状のピストン6bが挿入され、前面にはカップリングの歯6aを有するツースカップリングである。
前内側カップリング7は、後カップリング6の歯6aと噛み合う歯7aを有し、主軸10のフランジ部10bに固定されたツースカップリングである。
前外側カップリング8は、前記同様に、後カップリング6の歯6aと噛み合う歯8aを有し、前ハウジング4に固定されたツースカップリングである。
そして、前内側カップリング7と前外側カップリング8を切粉の飛散から保護し、クーラント液等の浸入を防止するカバー4bが前ハウジング4に固定され、さらに、主軸10の先端部近傍の外周にもラビリンス状のカラー10dが嵌着されている。
【0020】
図3に示すように、主軸後部の主軸クランプ機構Bは、後ハウジング14、くさび形ピストン16、シリンダカバー17およびリング18から構成されている。後ハウジング14は、ミーリングヘッド1のボデー2の後面に固定されており、さらにボデー2の穴にカラー状の突出部が嵌合され、作動油用孔cを通し、その内周面に主軸10の後部を支持する後ベアリング13が嵌入されている。
シリンダカバー17は、ボデー2内に配置され、作動油用孔dを通し内周面にテーパ面を有するリング18を保持して前記後ハウジング14の前面に固定されている。
くさび形ピストン16は、後ハウジング14とシリンダカバー17とが形成する後シリンダ部15に、摺動自在に形成されたリング状のピストン16dが挿入され、前面にはリング18に形成されたテーパ面18aに当接し、テーパ面18aを摺動するテーパ面16aを有している。
【0021】
図4(a)は、くさび形ピストン16の平面図であり、(b)は、その断面図である。図4(b)に示すように、アンクランプ状態では、主軸の外周面10c(図3参照)とは隙間が確保されている。クランプ状態では、くさび形ピストン16の前進によるリング18のテーパ面18aの摺動による弾性変形によって主軸の外周面10c(図3参照)との隙間は消滅し、クランプ状態が形成する。
くさび形ピストン16は、そのテーパ面16aを有するくさび部16bに切り欠き溝16cを設けたことにより、より弾性変形がし易くなっている。くさび形ピストン16は、リング18のテーパ面18aに摺接し、主軸10の外周面10cに当接して、さらに油圧力によって押圧されて弾性変形して密着し、主軸10をクランプする。
なお、くさび形ピストン16の材質は、焼入れ鋼(SUJ2)であり、リング18も焼入れ鋼(SUJ2)であるが、その他の材質であっても構わない。
【0022】
ここで、図2を参照して、主軸前部の主軸クランプ機構Aのクランプ動作について説明する。NCプログラムのクランプ指令により、主軸10が緩動し、ビルトインモータ(スピンドルモータ)19の近傍に設けられた位置検出センサ10f(図3参照)によって停止位置が検出され、所定位置に位置決めされる。この位置決めにより、前内側カップリング7の歯7aの谷または山と、前外側カップリング8の歯8aの谷または山の位置が一致し、しかもこれらの谷または山に、後カップリング6の歯6aの山または谷の位置が一致する。なお、ここでは、それぞれの谷の数は、8個であるが、それ以外の歯数であってもよい。
図2の中心線より上の断面図に示すように、図示しない油圧ユニットのポンプによって増圧された高圧の作動油は、図示しない電磁バルブの切り換えによって、前シリンダ部5に高圧の作動油が作動油用孔aから流入し、ピストン6bを有する後カップリング6を前方に移動させる。この後カップリング6の前面には、歯6aが刻設されており、前内側カップリング7の歯7aと前外側カップリング8の歯8aとが噛み合い、さらに、ピストン6bが油圧力で押圧されて主軸10をクランプする。
【0023】
引き続き、主軸前部の主軸クランプ機構Aのアンクランプ動作について説明する。
図2の中心線より下の断面図に示すように、NCプログラムのアンクランプ指令により、図示しない電磁バルブの切り換えによって、前シリンダ部5に高圧の作動油が今度は作動油用孔bから流入し、ピストン6bを有する後カップリング6を後方に移動させる。これに伴い、後カップリング6の歯6aと、前内側カップリング7の歯7aと前外側カップリング8の歯8aとの噛み合いは解消されて主軸10をアンクランプされる。
【0024】
つぎに、図3を参照して、主軸後部の主軸クランプ機構Bのクランプ動作について説明する。図3の中心線より上の断面図の右側に示すように、後シリンダ部15に高圧の作動油が作動油用孔cから流入し、くさび形のテーパ面16aを有するくさび形ピストン16を前方に移動させる。このくさび形ピストン16の前面には、くさび形のテーパ面16aが形成されており、くさび形のテーパ面16aは、リング18のテーパ面18aを摺動すると共に、主軸10の外周面10cに当接し、さらに油圧力で押圧されてくさび部16bを弾性変形により密着させて主軸10をクランプする。
【0025】
つぎに、主軸後部の主軸クランプ機構Bのアンクランプ動作について説明する。図3の中心線より下の断面図の右側に示すように、後シリンダ部15に高圧の作動油が今度は作動油用孔dから流入し、くさび形のテーパ面16aを有するくさび形ピストン16を後方に移動させる。この移動に伴い、油圧力の押圧による弾性変形は解消し、主軸10をアンクランプする。
【0026】
図5は、本発明のミーリングヘッドのクランプ位置を示す模式図であり、(a)は主軸前部のクランプ位置の径と切削力の作用する位置関係を示す説明図、(b)は従来の主軸前部のクランプ位置と切削力の作用する位置を示す説明図、(c)は本発明の主軸前部、後部のクランプ位置と切削力の作用する位置を示す説明図である。
図5(a)に示すように、例えば、突き出し長さLを190mm、カップリング径Dを120mm、Lを60mmとする。この場合、前記した従来型(例えば、特許文献1参照)の主軸クランプ機構は、図5(b)に示すように、従来型の主軸クランプ機構の主軸前部のみであることから、カップリングの厚みをL=40mm、Lは同じ190mmとすれば、この従来例の場合は、(L+L)/L=5.7である。ただし、(L+L)/Lの理想とする究極の値は、1.0であり、この1.0が最もびびり剛性が高い値であることから、5.7は、極めて大きな値であることが判る。
これに対して、図5(c)に示すように、本発明のミーリングヘッド1の主軸クランプ機構は、主軸前部の主軸クランプ機構がツースカップリングによってクランプ動作し、主軸後部の主軸クランプ機構がくさび形ピストンにてボデー2と主軸L1とが同時にクランプする。この場合、Lは同じ190mmであり、LはLの280mmに置換えができることから、(L+L)/L=1.7となり、大幅な改善がなされたことが判る。
【0027】
これにより、図7に示すような固定ツール23の突き出し長さが190mmであっても、主軸の前部と後部とをクランプすることによって、動剛性を高め、びびらず、引き目が判らないような上級の仕上げ旋削加工面ができるミーリングヘッドの主軸クランプ機構を提供することができる。
【0028】
なお、本発明は前記した実施形態に限られるものではなく、技術思想を同じくして変形、改造が可能である。例えば、図4に示すくさび型ピストンの切り欠き溝16cは、ここでは4等配で均等分割しているが、それ以外の複数分割としても構わない。
【0029】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、ミーリングヘッドの主軸前部は、ツースカップリングにより主軸のクランプを行い、主軸後部は、くさび形ピストンによってクランプを行うことができるので、主軸剛性が飛躍的に向上し、動剛性が高く、びびらず、上級の仕上げ面ができるミーリングヘッドの主軸クランプ機構を提供することができる。
【0030】
請求項2に記載の発明によれば、主軸前部の前シリンダ部に、リング状のピストンを有する後カップリングと、後カップリングに噛み合い、前ハウジングに固定された前内側カップリングと、後カップリングに噛み合い、主軸に固定された前外側カップリングを設けたことにより、ボデーと主軸とがクランプできる。そして、主軸のベアリングに対して、ラジアル荷重、スラスト荷重を作用させない主軸クランプ機構を提供することができる。
【0031】
請求項3に記載の発明によれば、主軸後部の後シリンダ部に、くさび形ピストンを設けたことにより、くさび形ピストンのくさび部がリングのテーパ面を摺動することにより弾性変形し、主軸の外周に密着把持してクランプすることができる。そして、主軸のベアリングに対して、ラジアル荷重、スラスト荷重を作用させない主軸クランプ機構を提供することができる。
【0032】
請求項4に記載の発明によれば、くさび形ピストンのくさび部に切り欠き溝を設けたことにより、弾性変形がし易くなり、リングのテーパ面と主軸の外周面に当接し、さらに油圧力での押圧によって、主軸の外周に密着把持してクランプすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のミーリングヘッドの主軸クランプ機構を示す断面図である。
【図2】本発明のミーリングヘッドの前部の主軸クランプ機構を示す拡大断面図である。
【図3】本発明のミーリングヘッドの後部の主軸クランプ機構を示す拡大断面図である。
【図4】(a)は、くさび形ピストンの平面図であり、(b)は、その断面図である。
【図5】本発明のミーリングヘッドのクランプ位置を示す模式図であり、(a)は主軸前部のクランプ位置の径と切削力の作用する位置関係を示す説明図、(b)は従来の主軸前部のクランプ位置と切削力の作用する位置を示す説明図、(c)は本発明の主軸前部、後部のクランプ位置と切削力の作用する位置を示す説明図である。
【図6】従来の固定ツールを用いたミーリングヘッドでのチャックワークの旋削加工を示し、主軸台の主軸先端に設けられたパワーチャックにワークが把持され、ワークの端面加工を示す説明図である。
【図7】従来の固定ツールを用いたミーリングヘッドでのセンターワークの旋削加工を示し、主軸台の主軸の先端に設けられたパワーチャックにワークが把持された外周加工を示す説明図である。
【図8】従来のミーリングヘッドのダブルピン方式による主軸クランプ機構を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ミーリングヘッド
2 ボデー
3 シリンダ
4 前ハウジング
5 前シリンダ部
6 後カップリング
6a、7a、8a 歯
7 前内側カップリング
8 前外側カップリング
10 主軸
10a 開口部
10b フランジ部
10c 外周面
10d カラー
10f 位置検出センサ
12 前ベアリング
13 後ベアリング
14 後ハウジング
15 後シリンダ部
16 くさび形ピストン
16a テーパ面
16b くさび部
16c 切り欠き溝
16d ピストン
17 シリンダカバー
18 リング
18a テーパ面
19 ビルトインモータ
19a ステータ
19b ロータ
22 固定ツール用ツールホルダ(固定ツールホルダ)
23 固定ツール(外径用バイト)
A 前部の主軸クランプ機構
B 後部の主軸クランプ機構
a、b、c、d 作動油用孔

Claims (4)

  1. 主軸の中央にビルトインモータのロータが嵌着され、前記主軸の両端が回転自在に軸支され、主軸先端にはテーパ状の開口部が設けられ、その開口部には固定ツールまたは回転ツールが固定され、前記固定ツールが装着される場合は、主軸前部および主軸後部をそれぞれ固定するミーリングヘッドの主軸クランプ機構であって、
    前記主軸前部の主軸クランプ機構には、ツースカップリングを備え、
    前記主軸後部の主軸クランプ機構には、くさび形ピストンを備えたことを特徴とするミーリングヘッドの主軸クランプ機構。
  2. 前記主軸前部の主軸クランプ機構は、ミーリングヘッドのボデーの前面に設けられ、ボデーの穴にスリーブ状の突出部を嵌合させ、その内周面に前ベアリングが嵌入されたシリンダと、
    前記シリンダの外周が包囲され、作動油用孔を通し、前記ボデーの前面に設けられた前ハウジングと、
    前記シリンダと前記前ハウジングとが形成する前シリンダ部に、摺動自在に形成されたリング状のピストンが挿入され、前面にはカップリングの歯型を有するツースカップリングの後カップリングと、
    前記後カップリングの歯と噛合する歯を有し、前記前ハウジングに固定されたツースカップリングの前内側カップリングと、
    前記後カップリングの歯と噛合する歯を有し、前記主軸に固定されたツースカップリングの前外側カップリングと、
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載のミーリングヘッドの主軸クランプ機構。
  3. 前記主軸後部の主軸クランプ機構は、ミーリングヘッドのボデーの後面に設けられ、前記ボデーの穴にカラー状の突出部が嵌合され、前記作動油用孔を通し、その内周面に後ベアリングが嵌入された後ハウジングと、
    前記ボデー内に配置され、作動油用孔を通し内周面にテーパ面を有する前記後ハウジングの前面に設けられたシリンダカバーと、
    前記シリンダカバーと前記後ハウジングとが形成する後シリンダ部に、摺動自在に形成されたリング状のピストンが挿入され、前面には前記シリンダカバーに保持されたリングのテーパ面を摺動するテーパ面を有するくさび形ピストンと、
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載のミーリングヘッドの主軸クランプ機構。
  4. 前記くさび形ピストンのくさび部には、切り欠き溝が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のミーリングヘッドの主軸クランプ機構。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102274982A (zh) * 2011-08-09 2011-12-14 青海一机数控机床有限责任公司 一种铣车主轴的定位锁紧装置
KR101538550B1 (ko) * 2013-09-30 2015-07-21 현대위아 주식회사 밀링 헤드
KR101778847B1 (ko) * 2015-08-20 2017-09-14 현대위아 주식회사 주축 및 이를 포함하는 공작기계
JP2020131413A (ja) * 2019-02-26 2020-08-31 芝浦機械株式会社 工作機械

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