JP2004225178A - Carbon fiber cord for rubber reinforcement - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤ、ベルト、ホース等の各種ゴム製品の補強材として好適に使用できるゴム補強用炭素繊維コードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、タイヤ、ベルトなどの繊維・ゴム複合体製品(以下、ゴム製品と呼ぶ)の補強用コードとしては、ポリε−カプロラクタム繊維やポリヘキサメチレンアジパミド繊維に代表されるポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維に代表されるポリエステル繊維、および芳香族ポリアミド繊維などの合成繊維が主として用いられている。
【0003】
一方、高弾性率、高強度、寸法安定性、耐熱性、耐薬品性等の性能のバランスが他の繊維に比較し、優れた特性を有する炭素繊維は、ゴム補強用コードに好適に用いられる可能性があり、従来より検討が行われている。しかしながら、炭素繊維は、上記合成繊維に比べ伸長・圧縮変形、屈曲変形等の変形に対する耐疲労性が劣るという問題を有している。
【0004】
また、マルチフィラメント糸を撚り合わせてコード化する場合、各フィラメントはマイグレーションにより限られた長さ範囲でフィラメント長さに違いができる。高伸度の糸では切断伸度に比べて該長さの違いは極めて小さいので問題にならないが、炭素繊維では、各々のフィラメントが受ける応力に大きな違いが生じ、その結果、フィラメント糸全体の強力がでないため、非常に大きな問題となる。
【0005】
炭素繊維の有する上記問題点、すなわち、撚りによる強力低下を最低限にとどめ、かつゴム中での耐疲労性、を改良する試みとして、規定範囲内の撚り係数の撚りを付与したのち、レゾルシン−ホルマリン−ラテックス(RFL)を付着せしめる手法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、規定の撚りを付与したのち、エポキシ化合物を介して比較的多量にRFLを付着せしめる手法も開示されている(例えば、特許文献2参照)。また、炭素繊維束にRFLを付着させた後、規定の撚りを加える手法(例えば、特許文献3参照)や、エポキシ/ゴムラテックス混合処理液を付着せしめる手法(例えば、特許文献4参照)も開示されている。
【0006】
しかしながら、これら手法によっても、タイヤ、ベルト、ホース等のゴム材料用途において要求される耐疲労性は未だ不充分なレベルであった。
【0007】
【特許文献1】
特開昭61−192943号公報
【0008】
【特許文献2】
特開昭52−56181号公報
【0009】
【特許文献3】
特開昭50−101686号公報
【0010】
【特許文献4】
特開昭60−181369号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の課題は、ゴム補強用炭素繊維コードの撚りによる強力損失を最小限にとどめて、高い引張強力を示し、かつゴム中における繰り返しの引張り、圧縮、せん断等の変形に耐えうる耐疲労性の優れたゴム補強用炭素繊維コードの提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を有する。即ち、単位長さ当たりの重量が0.3〜1.2g/mの炭素繊維束に、ゴムおよびエポキシ樹脂を含む樹脂組成物が含浸した下撚りと上撚りを有する諸撚りコードであって、該諸撚りコードの下撚りおよび上撚り係数が下記式を満足し、かつ炭素繊維束の結節強度が500〜1000MPaであることを特徴とするゴム補強用炭素繊維コードである。
【0013】
100≦上撚り係数≦900
0.5×上撚り係数≦下撚り係数≦1.5×上撚り係数
ただし、撚り係数=[N×(D)1/2 ]
N:撚り数(回/10cm)
D:ゴム補強用炭素繊維コードの総繊度(dtex)
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる炭素繊維束は、その製造方法が限定されるものではなく、紡糸工程により前駆体繊維を得て、その後、耐炎化(熱安定化、不融化)工程、炭化(炭素化)工程を経て炭素繊維束としする公知の製造方法を用いることができる。さらに熱処理を施した黒鉛繊維束も本発明でいうところの炭素繊維束に含むものである。なお、かかる炭素繊維束を得るに際しての各工程の処理温度、昇温速度、処理速度、延伸比、張力などの条件は、目的とする炭素繊維束の特性によって適宜選択することができる。例えば前駆体繊維束を300℃未満の空気中で耐炎化処理し、かかる耐炎化繊維を300℃以上2000℃未満の不活性雰囲気中で炭化処理して炭素繊維束としたものを用いることができる。更に2000〜3000℃の不活性雰囲気中で熱処理してなる黒鉛繊維を用いることができる。
【0015】
本発明に用いる炭素繊維束の前駆体繊維束としては、ポリアクリロニトリル、レーヨン、リグニン、ポリビニルアルコール、ポリアセチレン、ピッチなどを原料とする各種前駆体繊維束が挙げられるが、特にこれらに限定するものではない。高強度という点では、ポリアクリロニトリルを原料とした前駆体が好ましく用いられる。
【0016】
前駆体繊維束を得るための紡糸方法としては、原料に応じて湿式紡糸、乾式紡糸、乾湿式紡糸、溶融紡糸などが挙げられる。操業性の点からは、湿式紡糸、乾湿式紡糸が好ましく用いられ、乾湿式紡糸がより好ましい。
【0017】
さらに、製品目的によっては得られた炭素繊維束を仕上げ処理することが好ましい。かかる仕上げ処理には表面処理やサイジング剤の付与などが含まれる。かかる表面処理の方法としては、気相中での加熱、紫外線等による酸化、液相中で酸化剤を用いた化学的酸化又は水溶液中で電気化学的手法により酸化する方法などが挙げられる。かかる処理によりゴム補強用炭素繊維コードの強化繊維として用いる場合の樹脂との親和性、例えば接着性、濡れ性、分散性等の表面特性を高められる。さらに、サイジング剤を付与することにより集束性を増し、繊維の取り扱いが容易となる。
【0018】
本発明において用いる炭素繊維束は、その単位長さあたりの重量が0.3〜1.2g/mであることが必要であり、好ましくは0.4〜1.1g/m、より好ましくは0.5〜1.0g/mであるのが良い。0.3g/m未満であると、撚糸時においてガイドローラーとの接触による炭素繊維束の損傷が起こりやすくなることがあり、また樹脂組成物の含浸処理工程においても同様の損傷が起こることがあり、また、ゴム補強用炭素繊維コードの解舒時にも損傷が起こやすく、結果としてゴム材料の補強効果が不足することがある。1.2g/mを越えると炭素繊維束に樹脂組成物が充分に含浸されないことがあり、結果として耐疲労性が低下することがある。
【0019】
一般に、炭素繊維束の形態としては、前駆体繊維の単糸を2本以上合わせて撚りをかけて熱処理して得られる有撚糸、有撚糸の撚りを解いて得られる解撚糸、前駆体繊維の単糸を2本以上合わせて実質的に撚りをかけずに熱処理を行って得られる無撚糸の三種類が存在するが、本発明で用いる炭素繊維束は、ゴム補強用炭素繊維コードの加工性を考慮すると無撚糸または解撚糸を用いることが好ましい。無燃糸または解撚糸を用いると、後述する炭素繊維束への樹脂組成物の含浸が十分に行われ、結果としてゴム補強用炭素繊維コードの耐疲労性が向上する。
【0020】
さらに前記炭素繊維束は、それを構成する単繊維の断面形状が、実質的に真円状であるのが良い。単繊維の断面形状が、それ以外の形状、例えば、楕円状、空豆状、三つ葉状等であると、単繊維同士の擦過が生じ易くなり、ゴム補強用炭素繊維コードの耐疲労性が低下してしまうことがある。
【0021】
ここに「実質的に真円状である」とは、単繊維の断面の外接円の半径Rと内接円の半径rの比(=R/r)で定義される断面変形度が、1〜1.1の範囲内であることをいう。
【0022】
本発明のゴム補強用炭素繊維コードは、下撚りをかけた炭素繊維束を複数本引き揃えて上撚りかけたものであるが、ゴムおよびエポキシ樹脂を含む樹脂組成物が炭素繊維束に含浸されていることが必要である。かかる樹脂組成物の含浸により、炭素繊維単糸同士の擦過が抑制され、ゴム補強用炭素繊維コードとしたときの耐屈曲疲労性が向上するようになると考えられる。該樹脂組成物中にゴム成分が存在しないと、ゴム補強用炭素繊維コードの柔軟性が不足し、繰り返しの引張り、圧縮、せん断等の変形の際に応力が一点に集中しやすくなり、耐疲労性が不足することがある。該樹脂組成物中にエポキシ樹脂成分が存在しないと、ゴム基材との接着性が不足し、その結果耐疲労性が不足することがある。
【0023】
本発明によるゴム補強用炭素繊維コードは、従来公知技術では見られない、優れた耐疲労性と高い引張強力を両立するものであるが、上記した条件を同時に満たすことが必要であり、いずれか1つの条件が外れても効果が得られない。
【0024】
本発明において、炭素繊維束に含浸される樹脂組成物中に含まれるゴムの含有量は、樹脂組成物100重量部に対して好ましくは20〜80重量部であり、より好ましくは30〜70重量部、特に好ましくは40〜60重量部であるのがよい。20重量部以上であると、ゴム補強用炭素繊維コードの柔軟性が低下することがなく、80重量部以下であると、ゴム補強用炭素繊維コードの粘着性が過剰になて取扱い性が悪化することもない。
【0025】
また、樹脂組成物中に含まれるエポキシ樹脂の含有量は、樹脂組成物100重量部に対して好ましくは20〜80重量部であり、より好ましくは30〜70重量部、特に好ましくは40〜60重量部であるのがよい。20重量部以上であると、ゴム補強用炭素繊維コードとゴム基材との界面の接着性が低下することがなく、80重量部以上であると、コードの柔軟性が低下して耐疲労性が低下することがない。
【0026】
本発明で用いられる樹脂組成物中のゴム成分は、未加硫固形ゴム、液状ゴム、ゴムラテックス等、その形状に限定されるものではないが、樹脂組成物の水分散体(処理液)を容易に調整できる観点からゴムラテックスを使用することが好ましい。ゴムラテックスを用いることで処理液が容易に調整できることに加え、処理液全体の粘度が下がり、炭素繊維束の内部への処理液の含浸が容易になり、樹脂組成物による炭素繊維単糸の保護の役割を果たしやすくなる。
【0027】
ゴムラテックスとは一般に、高分子が水中に安定に分散しているものであり、処理液を炭素繊維束に含浸させた後、コード中に残存する水分を加熱乾燥等により除去しておくのが好ましい。ゴム補強用炭素繊維コード中に水分が残存していると、耐疲労性を損なうボイドの原因となる場合がある。加熱乾燥の温度としては、100〜270℃の範囲が好ましく、150〜240℃の範囲がより好ましい。
【0028】
ゴムラテックスとしては、ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、イソプレンゴムラテックス、ウレタンゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックス、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、天然ゴムラテックス、及びビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックス等が使用できる。中でも、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックスやビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックスは、耐疲労性の向上に特に効果的であり、好ましく用いられる。これらは単独でも使用できるし、混合して使用することもできる。
【0029】
ゴムラテックスの種類は、ゴム補強用炭素繊維コードとしてゴム製品とするときの補強すべきゴム(以下、ゴム基材と呼ぶ)との相性により適宜選択することができる。例えば、ゴム基材として、天然ゴムを用いる場合には、処理液中の全ゴム成分100重量%のうち、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックスに由来するゴム成分が50重量%以上を占めることが好ましい。また、ゴム基材として、アクリロニトリル−ブタジエンゴムを用いる場合には、処理液中の全ゴム成分100重量%中、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックスに由来するゴム成分が、50重量%以上を占めることが好ましい。
【0030】
本発明で用いられる樹脂組成物中のエポキシ樹脂成分としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであればいかなる化合物を用いても良い。
【0031】
分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物は特に限定されないが、例えば、分子内に水酸基を有する化合物から得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、分子内にアミノ基を有する化合物から得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、分子内にカルボキシル基を有する化合物から得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、分子内に不飽和結合を有する化合物から得られる環式脂肪族エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアネートなどの複素環式エポキシ樹脂、あるいはこれらから選ばれる2種類以上のタイプが分子内に混在するエポキシ樹脂などを用いることができる。
【0032】
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンのようなハロゲン含有エポキシド類との反応により得られるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFと前記ハロゲン含有エポキシド類との反応により得られるビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニルと前記ハロゲン含有エポキシド類との反応により得られるビフェニル型エポキシ樹脂、レゾルシノールと前記ハロゲン含有エポキシド類との反応により得られるレゾルシノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールSと前記ハロゲン含有エポキシド類との反応により得られるビスフェノールS型エポキシ樹脂、多価アルコール類と前記ハロゲン含有エポキシド類との反応生成物であるポリエチレングリコール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、ビス−(3,4−エポキシ−6−メチル−ジシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシシクロヘキセンエポキシドなどの不飽和結合部分を酸化して得られるエポキシ樹脂、その他ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、およびこれらのハロゲンあるいはアルキル置換体などが挙げられる。
【0033】
中でも、ゴム補強用炭素繊維コードの柔軟性の観点から、環状構造を有しない脂肪族系エポキシ樹脂が好ましく、グリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルなど多価アルコール類とエピクロロヒドリンとの反応物が好ましく用いることができる。
【0034】
とりわけ、グリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルは、耐疲労性の向上に特に効果的であり、好ましく用いられる。
【0035】
なお、本発明で用いられる樹脂組成物中には、ゴムおよびエポキシ樹脂以外に、カーボンブラック、シリカ等の無機充填剤、クマロン樹脂、フェノール樹脂等の有機充填剤、ナフテン系オイル等の軟化剤を必要に応じて含ませても良い。
【0036】
本発明のゴム補強用炭素繊維コードは、炭素繊維束100重量部に対して前記樹脂組成物が10〜60重量部付着されていることが好ましく、より好ましくは15〜55重量部、特に好ましくは20〜50重量部であるのが良い。10重量部未満であると含浸不良部分が生じ、樹脂による炭素繊維単糸の擦過防止効果が不十分となり、結果としてゴム補強用炭素繊維コードの耐疲労性が悪くなることがある。60重量部を超えると、ゴム補強用炭素繊維コードが剛くなりすぎる傾向があり、屈曲変形による座屈が生じやすく、結果として耐疲労性が低下することがある。
【0037】
上記の樹脂組成物を炭素繊維束に含浸させるが、本発明において、樹脂組成物を炭素繊維束へ含浸させる方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができる。例えば、樹脂組成物を適切な有機溶媒に溶解させた溶液に炭素繊維束を浸漬させ溶媒を除去する方法、樹脂組成物を水に分散させた水分散体に炭素繊維束を浸漬させ水を除去する方法、あるいは特開平9−255799号公報に開示されているように、溝付きローラーを使用して樹脂組成物を溝部に流し込み、炭素繊維束を溝部に接触させて、樹脂組成物を含浸せしめる方法などが挙げられる。製造現場での環境への影響、及び含浸処理の簡便性を考慮すると、樹脂組成物の水分散体(以下、処理液と呼ぶ)に炭素繊維束を浸漬した後、熱処理する方法(以下ディップ処理と呼ぶ)が好ましい。この熱処理は、炭素繊維束に含浸ないしは付着させた樹脂組成物を定着させるに足る温度であればよく、好ましくは100〜270℃にて数分間処理すればよい。
【0038】
前記処理液は、適度な濃度に調整し、炭素繊維束のディップ処理に用いることができる。該処理液は、炭素繊維束への含浸性を高めるために、水を添加して、濃度を調整することができる。ここで、水とはイオン交換水を用いることが処理液の安定性の向上から好ましい。また、処理液はその濃度が好ましくは10〜60重量%、より好ましくは20〜50重量%が良い。10重量%未満であると、炭素繊維束内部への樹脂組成物の含浸が不十分となり、耐疲労性が悪化することがある。60重量%を超えると、処理液の保存安定性が悪くなることがあり、固形分の凝集、沈降がおこるためディップ処理が不可能になることがある。ここで、処理液の濃度とは、処理液に含まれる乾燥後の固形分の重量を、乾燥前の処理液の重量で除した値である。なお。該処理液は、その保存安定性を向上させるため、界面活性剤を混合したものも好ましく用いられる。
【0039】
上記のような処理を施すことにより、炭素繊維束内部まで樹脂組成物が含浸され、炭素繊維単糸同士の擦過が防止されることにより、伸張、圧縮等の動的な変形に対する耐疲労性が向上するものと考えられる。
【0040】
本発明において、炭素繊維束は、JIS−R7601に基づいて測定される引張強度が、好ましくは4000MPa以上であり、より好ましくは4400MPaMPa、特に好ましくは4800MPaMPaであるのがよい。4000MPa以上であると、ゴム材料が過大な応力を受けた際にもゴム補強用炭素繊維コードが破断しにくく、高度の耐疲労性が要求されるゴム材料用途に使用できる。なお、引張強度は高いほど好ましいが、少なくとも4500MPaあれば、本発明に用いる炭素繊維束としては十分である。
【0041】
さらに前記炭素繊維束は、その破断伸度が好ましくは1.7〜2.5%、より好ましくは1.8〜2.3%、特に好ましくは1.9〜2.3%であるのが良い。1.7%以上であると、過大な応力による変形を受けてもコードが破断しにくく、タイヤ、ベルト等の用途にも十分使用できる。2.5%以下であるとタイヤ、ベルト等用途での寸法安定性が不足することもない。
【0042】
以上のような樹脂組成物含浸炭素繊維束に下撚りをかけ、それを複数本引き揃えて上撚りをかけてゴム補強用炭素繊維コードとする。
【0043】
本発明のゴム補強用炭素繊維コードは、下撚りと上撚りを有する諸撚りコードであって、該諸撚りコードの下撚りおよび上撚り係数が下記式を満足することが必要である。
【0044】
100≦上撚り係数≦900
0.5×上撚り係数≦下撚り係数≦1.5×上撚り係数
ただし、撚り係数=[N×(D)1/2 ]
N:撚り数(回/10cm)
D:ゴム補強用炭素繊維コードの総繊度(dtex)
上撚り係数は強力、及び耐疲労性の点から限定され、100未満であると、繰り返し変形を受けた際の圧縮歪みが分散されず、耐疲労性が低下することがある。900を超えるとキンクが発生することがあり、強力低下につながることがある。さらには単繊維同士の擦過が生じることがあり、耐疲労性の低下につながることがある。下撚り係数も同様の要因から限定され、上記の範囲を満足することが必要である。
【0045】
なお、撚りの付与は、樹脂組成物の炭素繊維束内部への含浸を促すため、開繊状態で樹脂組成物を含浸した後に下撚りを付与し、その後数本揃えて下撚りと逆方向の上撚りを付与することが好ましい。また、撚りの付与は通常用いられる撚糸方法を用いることができ、例えばリング撚糸機を使用することができるが、下撚りしたコードを数本引き揃えて上撚りを施す場合は、撚糸工程の安定性を高める目的から、ロープの製造工程に用いられているストランダーも好ましく使用される。
【0046】
本発明において、炭素繊維束は、その結節強度が500〜1000MPaであることが必要であり、好ましくは600〜900MPa、より好ましくは700〜800MPaであるのが良い。500MPa未満であると、単糸同士の擦過による単糸切断が起こりやすくなり、結果としてゴム補強用炭素繊維コードの耐疲労性が不足し、タイヤ、ベルト等の用途に使用できないことがある。1000MPaを越えると炭素繊維束が剛直になりゴム補強用炭素繊維コードの柔軟性が不足することがある。なお、ここでいう結節強度とは後述するように、JIS L1013−1981に準じて試料のつかみ間の中央に結節をつくり、測定した引張強度である。
【0047】
本発明においては、ゴム補強用炭素繊維コードとゴム基材との接着性をさらに向上させるため、前記ゴム補強用炭素繊維コード表面にゴム糊が付着されていることが好ましい。
【0048】
本発明で用いることができるゴム糊とは、ゴム配合物、およびイソシアネート化合物を必須成分とする組成を溶媒に溶かしたものを言う。ゴム配合物とは、ゴムの他に加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤などの添加剤を含んだものを指す。
【0049】
ゴムとしては、特に限定されないが、例えば天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレン酢ビゴム、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、アルキル化クロロスルホン化ポリエチレン、エピクロルヒドリンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等がある。
【0050】
また、加硫剤としては、硫黄、硫黄化合物および有機過酸化物があるが、硫黄化合物としては塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド等があるが、一般的には硫黄が使用される。
【0051】
また、加硫剤の有機過酸化物としては、例えばジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキサイド)−ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン−3,1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、4,4−ジ−t−オキシパレリック酸−nブチル、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン等が挙げられる。
【0052】
加硫剤としては、架橋反応を引き起こすものであれば特に有機過酸化物と硫黄化合物に限定されるものではない。ただ、好ましくは加工時の温度で架橋反応が極度に進まない加硫剤がより好ましい。
【0053】
加硫剤の添加量(配合量)としてはゴム100重量部に対して0.5%以下であることが好ましい。特に好ましくは0.1%未満である。0.5%を越えるとゴム配合物の架橋が進み、ゴム用接着剤が付着してなるゴム補強用炭素繊維コードが硬くなり、ひいては耐疲労性が極度に低下するなどの問題が生じる。
【0054】
有機溶剤としては、特に限定されるものではないが、通常、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、エーテル類、トリクロロエチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素、メチルエチルケトン等が好適に用いられる。
【0055】
イソシアネート化合物とは、特に限定されるものではないが、例えば、トリレンジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネート等のポリイソシアネートが好ましく用いられる。また、かかるポリイソシアネートにトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のように分子内に活性水素を2以上有する化合物を反応させて得られる多過アルコール付加ポリイソシアネートや、前記ポリイソシアネートにフェノール類、第3級アルコール類、第2級アミン類等のブロック化剤を反応させて、ポリイソシアネートのイソシアネート基をブロック化したブロック化ポリイソシアネートも、ポリイソシアネート化合物として好適に用いられる。
【0056】
本発明のゴム補強用炭素繊維コードの表面にゴム糊を付着させる方法は特に限定されないが、例えば次のような方法が挙げられる。すなわち、炭素繊維束をゴムおよびエポキシ樹脂を含む処理液槽を通過させた後、加熱乾燥し、所定の撚りを付与してコード形状の材料としたゴム補強用炭素繊維コードを得る。次いで、ゴム糊を含む槽を通過させた後、さらに加熱乾燥炉内を通過させて得る方法である。
【0057】
本発明において、ゴム糊の付着量は、炭素繊維束100重量部に対して、乾燥後に好ましくは1〜20重量部、より好ましくは2〜15重量部、特に好ましくは3〜10重量部であるのがよい。1重量部以上であれば、接着性が低下することがなく、20重量部以下であると、ゴム補強用炭素繊維コードの柔軟性が低下することやディップ処理においてロールへの付着(ガムアップ)が生じ、品質安定性が損なわれることもない。
【0058】
なお、ゴム糊を付与した後の付着量をコントロールする方法として、ローラーで絞る方法とノズルを通してエアーを吹き付ける方法があり、特に限定されるものではないが、ゴム糊を均一に付着せしめる目的から、後者の方法が好ましい。
【0059】
以上のように処理したゴム補強用炭素繊維コードをゴムを含んでなる基材(ゴム基材)と密着させ、そのゴム基材において知られている通常の処理条件にて加硫接着することによって、ゴム補強用炭素繊維コードとゴム基材との間に強固な接着を達成し、優れたゴム製品とすることが可能となる。
【0060】
【実施例】
以下、実施例により本発明についてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0061】
なお、実施例におけるゴム補強用炭素繊維コードの作製に当たり、以下に示す原材料を用いた。
【0062】
<原材料>
(ゴムラテックス)
・アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス:LX511(日本ゼオン(株)製)、固形分濃度46.0%
・アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス:LX551(日本ゼオン(株)製)、固形分濃度45.0%
(エポキシ樹脂)
・ソルビトールポリグリシジルエーテル:”デナコール”EX−614B(ナガセ化成工業(株)製)
(炭素繊維束)
・炭素繊維A(東レ(株)製”トレカ”T700S−12K−50C):結節強度740MPa、単位長さあたりの重量0.8g/m、引張強度4800MPa、無撚糸、単繊維の断面変形度1.04、破断伸度2.1%
・炭素繊維B(東レ(株)製”トレカ”T800H−12K−40B):結節強度300MPa、単位長さあたりの重量0.44g/m、引張強度5500MPa、解撚糸、単繊維の断面変形度1.37、破断伸度1.9%
・炭素繊維C(東レ(株)製”トレカ”T700S−12K−50Cを1回/1mで撚糸して得たもの):結節強度740MPa、単位長さあたりの重量0.8g/m、引張強度4800MPa、有撚糸、単繊維の断面変形度1.04、破断伸度2.1%
・炭素繊維D(東レ(株)製”トレカ”T700S−12K−50Cをフィラメント数2000本に分繊したもの):結節強度740MPa、単位長さあたりの重量0.2g/m、引張強度4800mPa、無撚糸、単繊維の断面変形度1.04、破断伸度2.1%
本発明において用いる炭素繊維束の評価方法は、以下に示すとおりである。
【0063】
<炭素繊維束の結節強度>
JIS L1013−1981に準じて試料のつかみ間の中央に結節をつくり、引張強度を測定した。なお、引張試験片は、有撚糸は解撚したものを、無撚糸および解撚糸はそのままの状態のものを使用した。
【0064】
測定する炭素繊維束の両端をチャックに挟み込んで固定する。ここで、チャック間のサンプル長は250mmとし、炭素繊維束の結び目が、チャック間の中央部に位置するようにする。
【0065】
次に、温度25℃、湿度40%の環境下、速度50mm/分で、炭素繊維束を引張り、その最大荷重値を測定する。
【0066】
次いで、この最大荷重値を炭素繊維束の断面積(=炭素繊維束の目付け÷炭素繊維束の密度)で除した値を結節強度とする。
【0067】
尚、ここでは、任意に選択した炭素繊維束についてn=10(右結びと左結びについて各n=5)の平均値を結節強度値とした。
【0068】
<炭素繊維束の引張強度、破断伸度>
JIS R7601に従って測定した。なお、引張試験片は、次の樹脂組成物を炭素繊維束に含浸し、130℃、35分の条件で加熱硬化させて作成した。
【0069】
樹脂組成:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−シクロヘキサン−カルボキシレート(100重量部)/3フッ化ホウ素モノエチルアミン(3重量部)/アセトン(4重量部)
<炭素繊維束の単繊維の断面形状>
炭素繊維束を、その繊維方向と直交する方向から、カミソリ刃により切断し、その断面を走査型電子顕微鏡により、倍率1万倍、加速電圧15kVの条件で撮影した。得られた断面の写真に外接する円と内接する円をそれぞれ描き、外接円の半径Rと内接円の半径rとの比(=R/r)を単繊維の断面変形度の指標とした。
【0070】
本発明のゴム補強用炭素繊維コードの評価方法・評価結果は、以下に示すとおりである。
【0071】
<ゴム補強用炭素繊維コードの撚り数>
JIS R7601に記載の方法によって測定した。
【0072】
被測定コードの両端を掴み間隔が500mmになるようにして、検撚機のクランプに取り付けた。一方のクランプを固定し、他方のクランプを回転させ、撚りが完全に解舒されるまでの回転数を計り、それを2倍した値からコードの撚り数(回/10cm)とした。
【0073】
<ゴム補強用炭素繊維コードの引張強力>
JIS L1017に準じて測定した。測定するゴム補強用炭素繊維コードの両端をチャックに挟み込んで固定する。ここで、チャック間のサンプル長は250mmとした。温度25℃、湿度40%の環境下、速度50mm/分で引張り、その最大荷重値を測定する。任意に選択したゴム補強用炭素繊維コードについてn=10の平均値を引張強力値とした。
【0074】
<接着性評価方法(平剥離法)>
25×100×4(mm)の未加硫ゴム基材(表3に示す組成)にゴム補強用炭素繊維コードを隙間無く敷き詰め、加圧下で160℃、30分間プレス加硫を行い、放冷後、ゴムからコードを剥離することにより測定した。剥離スピードは50mm/minで行い、その時の剥離力をN/25mmで表示した。
【0075】
<耐疲労性評価方法(FS法)>
JIS L−1017の記載のファイヤストン法(FS法)に準じた方法で測定した。表3に記載のシート状の未加硫基材をドラムに捲回し、その上に40本/10cmの間隔でゴム補強用炭素繊維コードを捲回し、さらにその上に同一のシート状の未加硫ゴム基材を捲回し、ゴム/コード/ゴムの三層体を準備した。この三層体の上に厚み調整のための同一のシート状未加硫黄ゴム基材を重ね、25×370×5(mm)のベルト状試験片を作製した。これを加圧下、160℃、30分間プレス加硫を行い、ベルト状試験片を得た。該試験片を1インチプーリーにかけ、190回/分の回転数で、室温下、24時間往復摩擦運動させた。疲労後の試験片からゴム補強用炭素繊維コードを取り出し、強力を測定した。疲労前と疲労後の強力の比(強力保持率、%で示す)を耐疲労性の指標とした。
【0076】
<炭素繊維束のディップ処理>
コンピュートリーターシングルディッピングマシン(米リッツラー社製)を用いて、炭素繊維束を10m/分の速度で搬送し、表1に示す樹脂組成物の水分散体を貯留させたタンク内を10秒間通過させることで炭素繊維束に水分散体を付与し、200℃で280秒熱処理した。樹脂組成物の付着量は表4に示す通りであった。次いで、リング撚糸機を用いてZ方向の下撚りを加え、さらに下撚りしたコードを3本揃え、ストランダーを用いてS方向の上撚りを加えた。続いて、表2に示すゴム用接着剤をコンピュートリーターシングルディッピングマシンを用いてを付与し、100℃で100秒間熱処理した。ここでゴム用接着剤の付着量は、炭素繊維束100重量部に対して、10重量部を目安とした。なお、樹脂組成物の付着量は、一定長さあたりの炭素繊維束の質量を予め測定しておき、樹脂付着後の同一長さのコード重量を測定することで、差分としての樹脂組成物付着量(部)を計算した。
【0077】
[実施例1〜6、比較例1〜7]
各実施例、比較例で用いた樹脂組成物、ゴム用接着剤、ゴム基材組成及びゴム補強用炭素繊維コードの評価結果については、下表1〜4に纏めて示した。表4に示す評価結果から判るように、本発明によるゴム補強用炭素繊維コードは高い引張強力を示し、かつゴム中における耐疲労性の優れたゴム補強用炭素繊維コードを得ることができる。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
【0082】
【発明の効果】
本発明によれば、撚りによる強力損失を最小限にとどめて、高い引張強力を示し、かつゴム中における繰り返しの引張り、圧縮、せん断等の変形に耐えうる耐疲労性の優れたゴム補強用炭素繊維コードを得ることができる。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a carbon fiber cord for rubber reinforcement that can be suitably used as a reinforcing material for various rubber products such as tires, belts, hoses, and the like.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, reinforcing fibers for fiber-rubber composite products (hereinafter referred to as rubber products) such as tires and belts include polyamide fibers represented by poly-ε-caprolactam fiber and polyhexamethylene adipamide fiber, polyethylene terephthalate. Synthetic fibers such as polyester fibers represented by fibers and aromatic polyamide fibers are mainly used.
[0003]
On the other hand, carbon fibers having a high elastic modulus, high strength, dimensional stability, heat resistance, and a balance of performances such as chemical resistance are superior to other fibers, and carbon fibers having excellent properties are suitably used for rubber reinforcing cords. There is a possibility, and it has been studied in the past. However, carbon fibers have a problem that they are inferior in fatigue resistance to deformations such as elongation / compression deformation and bending deformation as compared with the synthetic fibers.
[0004]
In addition, when the multifilament yarn is twisted and encoded, each filament can have a different filament length within a limited length range due to migration. In high elongation yarns, the difference in length is extremely small compared to cut elongation, so this is not a problem.However, in carbon fibers, the stress applied to each filament is greatly different. This is a very big problem.
[0005]
As an attempt to improve the above-mentioned problems of carbon fibers, that is, to reduce the strength reduction due to twisting to a minimum and to improve the fatigue resistance in rubber, after imparting a twist having a twist coefficient within a specified range, resorcinol A technique for attaching formalin-latex (RFL) has been disclosed (for example, see Patent Document 1). In addition, a technique has also been disclosed in which a relatively large amount of RFL is attached via an epoxy compound after a specified twist is imparted (for example, see Patent Document 2). Also disclosed are a method of applying a prescribed twist after attaching the RFL to the carbon fiber bundle (for example, see Patent Document 3) and a method of attaching an epoxy / rubber latex mixed treatment liquid (for example, see Patent Document 4). Have been.
[0006]
However, even with these techniques, the fatigue resistance required for rubber material applications such as tires, belts, hoses, etc., was still at an insufficient level.
[0007]
[Patent Document 1]
JP-A-61-192943
[0008]
[Patent Document 2]
JP-A-52-56181
[0009]
[Patent Document 3]
JP-A-50-101686
[0010]
[Patent Document 4]
JP-A-60-181369
[0011]
[Problems to be solved by the invention]
Therefore, an object of the present invention is to minimize the strength loss due to twisting of a carbon fiber cord for rubber reinforcement, exhibit high tensile strength, and withstand resistance to deformation such as repeated tension, compression, and shear in rubber. An object of the present invention is to provide a carbon fiber cord for rubber reinforcement having excellent fatigue properties.
[0012]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the above problems, the present invention has the following configurations. Specifically, a carbon fiber bundle having a weight per unit length of 0.3 to 1.2 g / m, a twisted cord having a primary twist and a primary twist impregnated with a resin composition containing rubber and an epoxy resin, A carbon fiber cord for rubber reinforcement, characterized in that the ply twist and the ply twist coefficient of the twisted cord satisfy the following formula, and the knot strength of the carbon fiber bundle is 500 to 1000 MPa.
[0013]
100 ≦ twisting coefficient ≦ 900
0.5 x twist factor ≤ lower twist factor ≤ 1.5 x twist factor
However, twist coefficient = [N × (D) 1/2 ]
N: number of twists (times / 10 cm)
D: Total fineness of carbon fiber cord for rubber reinforcement (dtex)
[0014]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
The production method of the carbon fiber bundle used in the present invention is not limited, and a precursor fiber is obtained by a spinning step, and then a flame-resistant (thermal stabilization and infusibility) step and a carbonization (carbonization) step A known production method for forming a carbon fiber bundle through the above process can be used. The heat-treated graphite fiber bundle is also included in the carbon fiber bundle referred to in the present invention. The conditions such as the processing temperature, the heating rate, the processing speed, the stretching ratio, and the tension in each step for obtaining such a carbon fiber bundle can be appropriately selected depending on the desired characteristics of the carbon fiber bundle. For example, it is possible to use a precursor fiber bundle which is subjected to oxidizing treatment in air at less than 300 ° C., and the oxidized fiber is carbonized in an inert atmosphere at a temperature of 300 ° C. or more and less than 2000 ° C. to form a carbon fiber bundle. . Further, graphite fibers obtained by heat treatment in an inert atmosphere at 2000 to 3000 ° C. can be used.
[0015]
Examples of the precursor fiber bundle of the carbon fiber bundle used in the present invention include various precursor fiber bundles made of polyacrylonitrile, rayon, lignin, polyvinyl alcohol, polyacetylene, pitch and the like, but are not particularly limited to these. Absent. In terms of high strength, a precursor using polyacrylonitrile as a raw material is preferably used.
[0016]
Examples of the spinning method for obtaining the precursor fiber bundle include wet spinning, dry spinning, dry-wet spinning, and melt spinning depending on the raw material. In terms of operability, wet spinning and dry-wet spinning are preferably used, and dry-wet spinning is more preferable.
[0017]
Further, depending on the purpose of the product, it is preferable to finish the obtained carbon fiber bundle. Such finishing includes surface treatment and application of a sizing agent. Examples of such a surface treatment method include heating in a gas phase, oxidation by ultraviolet light or the like, chemical oxidation using an oxidizing agent in a liquid phase, and oxidation in an aqueous solution by an electrochemical method. By such a treatment, the affinity for the resin when used as the reinforcing fiber of the carbon fiber cord for rubber reinforcement, for example, the surface properties such as adhesiveness, wettability, and dispersibility can be enhanced. Further, by adding a sizing agent, the sizing property is increased, and the handling of the fiber becomes easy.
[0018]
The carbon fiber bundle used in the present invention needs to have a weight per unit length of 0.3 to 1.2 g / m, preferably 0.4 to 1.1 g / m, more preferably 0 to 1.1 g / m. It is preferably from 0.5 to 1.0 g / m. If it is less than 0.3 g / m, damage to the carbon fiber bundle due to contact with the guide roller during twisting may be likely to occur, and similar damage may occur in the impregnation process of the resin composition. In addition, damage is likely to occur when unwinding the rubber reinforcing carbon fiber cord, and as a result, the reinforcing effect of the rubber material may be insufficient. If it exceeds 1.2 g / m, the carbon fiber bundle may not be sufficiently impregnated with the resin composition, and as a result, fatigue resistance may decrease.
[0019]
Generally, as a form of a carbon fiber bundle, a twisted yarn obtained by twisting two or more single yarns of the precursor fiber together and heat-treating the untwisted yarn obtained by untwisting the twisted yarn, the precursor fiber There are three types of non-twisted yarns obtained by heat-treating two or more single yarns together without substantially twisting them, and the carbon fiber bundle used in the present invention is formed of a carbon fiber cord for rubber reinforcement. In consideration of this, it is preferable to use a non-twisted yarn or an untwisted yarn. When the non-combustion yarn or the untwisted yarn is used, the carbon fiber bundle described later is sufficiently impregnated with the resin composition, and as a result, the fatigue resistance of the carbon fiber cord for rubber reinforcement is improved.
[0020]
Further, the carbon fiber bundle preferably has a substantially perfect circular cross section of a single fiber constituting the carbon fiber bundle. When the cross-sectional shape of the single fiber is any other shape, for example, an elliptical shape, a soybean shape, a three-leaf shape, etc., the single fibers are easily rubbed, and the fatigue resistance of the rubber reinforcing carbon fiber cord is reduced. Sometimes.
[0021]
Here, “substantially perfect circular” means that the cross-sectional deformation degree defined by the ratio (= R / r) of the radius R of the circumscribed circle and the radius r of the inscribed circle of the cross section of the single fiber is 1 It is within the range of ~ 1.1.
[0022]
The rubber reinforcing carbon fiber cord of the present invention is obtained by arranging a plurality of ply-twisted carbon fiber bundles and twisting them.A resin composition containing rubber and an epoxy resin is impregnated in the carbon fiber bundles. It is necessary to be. It is considered that the impregnation of the resin composition suppresses the abrasion between the carbon fiber single yarns and improves the bending fatigue resistance of the carbon fiber cord for rubber reinforcement. When the rubber component is not present in the resin composition, the flexibility of the carbon fiber cord for rubber reinforcement is insufficient, and stress tends to concentrate on one point during deformation such as repeated tension, compression, and shearing, and fatigue resistance. May be insufficient. If no epoxy resin component is present in the resin composition, the adhesion to the rubber substrate will be insufficient, and as a result, fatigue resistance may be insufficient.
[0023]
The carbon fiber cord for rubber reinforcement according to the present invention, which is not found in the prior art, has both excellent fatigue resistance and high tensile strength.However, it is necessary to satisfy the above conditions at the same time. Even if one condition is not satisfied, no effect is obtained.
[0024]
In the present invention, the content of the rubber contained in the resin composition impregnated into the carbon fiber bundle is preferably 20 to 80 parts by weight, more preferably 30 to 70 parts by weight, based on 100 parts by weight of the resin composition. Parts, particularly preferably 40 to 60 parts by weight. When the amount is 20 parts by weight or more, the flexibility of the carbon fiber cord for rubber reinforcement does not decrease, and when the amount is 80 parts by weight or less, the adhesiveness of the carbon fiber cord for rubber reinforcement becomes excessive and handleability deteriorates. Nothing to do.
[0025]
Further, the content of the epoxy resin contained in the resin composition is preferably 20 to 80 parts by weight, more preferably 30 to 70 parts by weight, particularly preferably 40 to 60 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the resin composition. It may be by weight. When the amount is 20 parts by weight or more, the adhesiveness of the interface between the carbon fiber cord for rubber reinforcement and the rubber substrate does not decrease, and when the amount is 80 parts by weight or more, the flexibility of the cord decreases and the fatigue resistance is reduced. Does not decrease.
[0026]
The rubber component in the resin composition used in the present invention is not limited to its shape such as unvulcanized solid rubber, liquid rubber, rubber latex, etc., but an aqueous dispersion (treatment liquid) of the resin composition is used. It is preferable to use rubber latex from the viewpoint of easy adjustment. By using rubber latex, the processing liquid can be easily adjusted, and the viscosity of the processing liquid as a whole decreases, so that the inside of the carbon fiber bundle is easily impregnated with the processing liquid, and the carbon fiber single yarn is protected by the resin composition. It is easier to fulfill the role.
[0027]
In general, rubber latex is a polymer in which a polymer is stably dispersed in water.After impregnating a treatment liquid into a carbon fiber bundle, it is preferable to remove moisture remaining in the cord by heating and drying. preferable. If water remains in the rubber reinforcing carbon fiber cord, voids may be impaired in fatigue resistance. The heating and drying temperature is preferably in the range of 100 to 270C, more preferably in the range of 150 to 240C.
[0028]
As the rubber latex, butadiene rubber latex, acrylonitrile-butadiene rubber latex, isoprene rubber latex, urethane rubber latex, chloroprene rubber latex, styrene-butadiene rubber latex, natural rubber latex, and vinylpyridine-styrene-butadiene rubber latex can be used. . Among them, acrylonitrile-butadiene rubber latex and vinylpyridine-styrene-butadiene rubber latex are particularly effective in improving fatigue resistance and are preferably used. These can be used alone or as a mixture.
[0029]
The type of the rubber latex can be appropriately selected depending on the compatibility with the rubber to be reinforced (hereinafter, referred to as a rubber substrate) when the rubber product is used as the rubber reinforcing carbon fiber cord. For example, when natural rubber is used as the rubber base material, the rubber component derived from vinylpyridine-styrene-butadiene rubber latex may account for 50% by weight or more of 100% by weight of the total rubber component in the treatment liquid. preferable. When acrylonitrile-butadiene rubber is used as the rubber base material, the rubber component derived from acrylonitrile-butadiene rubber latex preferably accounts for 50% by weight or more based on 100% by weight of the total rubber component in the treatment liquid. .
[0030]
As the epoxy resin component in the resin composition used in the present invention, any compound may be used as long as it has two or more epoxy groups in one molecule.
[0031]
The compound having two or more epoxy groups in the molecule is not particularly limited, for example, glycidyl ether type epoxy resin obtained from a compound having a hydroxyl group in the molecule, glycidylamine type epoxy resin obtained from a compound having an amino group in the molecule Resin, a glycidyl ester type epoxy resin obtained from a compound having a carboxyl group in the molecule, a cycloaliphatic epoxy resin obtained from a compound having an unsaturated bond in the molecule, a heterocyclic epoxy resin such as triglycidyl isocyanate, or An epoxy resin or the like in which two or more types selected from these are mixed in the molecule can be used.
[0032]
Specific examples of the glycidyl ether type epoxy resin include a bisphenol A type epoxy resin obtained by reacting bisphenol A with a halogen-containing epoxide such as epichlorohydrin, and a bisphenol F obtained by reacting bisphenol F with the halogen-containing epoxide. Bisphenol F type epoxy resin, biphenyl type epoxy resin obtained by reaction of biphenyl with the halogen-containing epoxides, resorcinol type epoxy resin obtained by reaction of resorcinol with the halogen-containing epoxides, bisphenol S and the halogen-containing epoxide Bisphenol S-type epoxy resin obtained by reaction with polyhydric alcohols, polyethylene glycol-type epoxy resin which is a reaction product of polyhydric alcohols with the halogen-containing epoxides, polyp Epoxy resins obtained by oxidizing unsaturated bond portions such as pyrene glycol type epoxy resin, bis- (3,4-epoxy-6-methyl-dicyclohexylmethyl) adipate, 3,4-epoxycyclohexene epoxide, and other naphthalene type epoxy Resins, phenol novolak epoxy resins, cresol novolak epoxy resins, and halogen- or alkyl-substituted products thereof.
[0033]
Among them, from the viewpoint of the flexibility of the carbon fiber cord for rubber reinforcement, an aliphatic epoxy resin having no cyclic structure is preferable, and glycerol polyglycidyl ether, sorbitol polyglycidyl ether, trimethylolpropane polyglycidyl ether, and hexanediol diglycidyl ether are preferable. A reaction product of a polyhydric alcohol such as polyethylene glycol diglycidyl ether and polypropylene glycol diglycidyl ether with epichlorohydrin can be preferably used.
[0034]
In particular, glycerol polyglycidyl ether and sorbitol polyglycidyl ether are particularly effective in improving fatigue resistance and are preferably used.
[0035]
In the resin composition used in the present invention, in addition to rubber and epoxy resin, carbon black, inorganic fillers such as silica, coumarone resin, organic fillers such as phenolic resins, softening agents such as naphthenic oils. They may be included as needed.
[0036]
The carbon fiber cord for rubber reinforcement of the present invention is preferably such that 10 to 60 parts by weight of the resin composition is adhered to 100 parts by weight of the carbon fiber bundle, more preferably 15 to 55 parts by weight, particularly preferably. It is preferably 20 to 50 parts by weight. If the amount is less than 10 parts by weight, impregnation defective portions occur, and the effect of the resin to prevent abrasion of the carbon fiber single yarn becomes insufficient, and as a result, the fatigue resistance of the carbon fiber cord for rubber reinforcement may deteriorate. If it exceeds 60 parts by weight, the carbon fiber cord for rubber reinforcement tends to be too stiff, and buckling is likely to occur due to bending deformation, and as a result, fatigue resistance may decrease.
[0037]
Although the above resin composition is impregnated into the carbon fiber bundle, in the present invention, the method of impregnating the resin composition into the carbon fiber bundle is not particularly limited, and a known method can be used. For example, a method of immersing a carbon fiber bundle in a solution in which a resin composition is dissolved in an appropriate organic solvent to remove the solvent, and immersing the carbon fiber bundle in an aqueous dispersion in which the resin composition is dispersed in water to remove water. Or as disclosed in JP-A-9-255799, a resin composition is poured into a groove using a grooved roller, and a carbon fiber bundle is brought into contact with the groove to impregnate the resin composition. And the like. Considering the effect on the environment at the production site and the simplicity of the impregnation treatment, a method of immersing the carbon fiber bundle in an aqueous dispersion of the resin composition (hereinafter referred to as a treatment liquid) and then performing a heat treatment (hereinafter referred to as dip treatment) Is preferred. This heat treatment may be carried out at a temperature sufficient to fix the resin composition impregnated or adhered to the carbon fiber bundle, preferably at 100 to 270 ° C. for several minutes.
[0038]
The treatment liquid can be adjusted to an appropriate concentration and used for dipping of a carbon fiber bundle. The concentration of the treatment liquid can be adjusted by adding water to enhance the impregnation property of the carbon fiber bundle. Here, it is preferable to use ion-exchanged water from the viewpoint of improving the stability of the treatment liquid. The concentration of the treatment liquid is preferably 10 to 60% by weight, more preferably 20 to 50% by weight. If the amount is less than 10% by weight, the impregnation of the resin composition into the carbon fiber bundle is insufficient, and the fatigue resistance may be deteriorated. If the amount exceeds 60% by weight, the storage stability of the treatment liquid may deteriorate, and the dip treatment may not be possible due to aggregation and sedimentation of solids. Here, the concentration of the processing liquid is a value obtained by dividing the weight of the solid content in the processing liquid after drying by the weight of the processing liquid before drying. In addition. In order to improve the storage stability of the treatment liquid, a mixture containing a surfactant is preferably used.
[0039]
By performing the above-described treatment, the resin composition is impregnated into the carbon fiber bundle, and the carbon fiber single yarns are prevented from rubbing each other. It is thought to improve.
[0040]
In the present invention, the carbon fiber bundle has a tensile strength measured based on JIS-R7601 of preferably 4000 MPa or more, more preferably 4400 MPa MPa, and particularly preferably 4800 MPa MPa. When it is 4000 MPa or more, the carbon fiber cord for rubber reinforcement hardly breaks even when the rubber material receives an excessive stress, and can be used for rubber material applications requiring high fatigue resistance. The higher the tensile strength, the better, but at least 4,500 MPa is sufficient for the carbon fiber bundle used in the present invention.
[0041]
Further, the carbon fiber bundle preferably has an elongation at break of 1.7 to 2.5%, more preferably 1.8 to 2.3%, and particularly preferably 1.9 to 2.3%. good. When the content is 1.7% or more, the cord is not easily broken even when subjected to deformation due to excessive stress, and can be sufficiently used for applications such as tires and belts. When it is 2.5% or less, there is no shortage of dimensional stability in applications such as tires and belts.
[0042]
The above-mentioned resin composition-impregnated carbon fiber bundle is subjected to a bottom twist, a plurality of the strands are aligned, and a top twist is performed to obtain a rubber reinforcing carbon fiber cord.
[0043]
The carbon fiber cord for rubber reinforcement of the present invention is a ply twist cord having a ply twist and a ply twist, and the ply twist and the ply twist coefficient of the ply twist cord need to satisfy the following formula.
[0044]
100 ≦ twisting coefficient ≦ 900
0.5 x twist factor ≤ lower twist factor ≤ 1.5 x twist factor
However, twist coefficient = [N × (D) 1/2]
N: number of twists (times / 10 cm)
D: Total fineness of carbon fiber cord for rubber reinforcement (dtex)
The ply twist coefficient is limited in terms of strength and fatigue resistance, and if it is less than 100, the compressive strain when repeatedly deformed is not dispersed, and the fatigue resistance may decrease. If it exceeds 900, kink may occur, which may lead to a decrease in strength. Further, rubbing between the single fibers may occur, which may lead to a decrease in fatigue resistance. The lower twist coefficient is also limited by the same factor, and needs to satisfy the above range.
[0045]
In addition, the application of twist, in order to promote the impregnation of the inside of the carbon fiber bundle of the resin composition, impregnating the resin composition in the opened state, and then applying a twist, and then aligning several strands in the opposite direction to the twist. It is preferable to give a twist. In addition, twisting can be applied by a commonly used twisting method, for example, a ring twisting machine can be used.However, when several undertwisted cords are aligned and upper twisted, a stable twisting process is performed. Stranders used in the rope manufacturing process are also preferably used for the purpose of enhancing the properties.
[0046]
In the present invention, the carbon fiber bundle needs to have a knot strength of 500 to 1000 MPa, preferably 600 to 900 MPa, and more preferably 700 to 800 MPa. If it is less than 500 MPa, single yarns are likely to be cut due to abrasion between the single yarns. As a result, the carbon fiber cord for rubber reinforcement has insufficient fatigue resistance and may not be used for applications such as tires and belts. If it exceeds 1000 MPa, the carbon fiber bundle becomes rigid, and the flexibility of the rubber reinforcing carbon fiber cord may be insufficient. In addition, as described later, the knot strength is a tensile strength measured by forming a knot at the center between the grips of a sample according to JIS L1013-1981.
[0047]
In the present invention, in order to further improve the adhesiveness between the rubber reinforcing carbon fiber cord and the rubber substrate, it is preferable that a rubber paste is attached to the surface of the rubber reinforcing carbon fiber cord.
[0048]
The rubber paste that can be used in the present invention refers to one obtained by dissolving a rubber compound and a composition containing an isocyanate compound as an essential component in a solvent. The rubber compound refers to a compound containing additives such as a vulcanizing agent, a vulcanization accelerator and an antioxidant in addition to rubber.
[0049]
Examples of the rubber include, but are not particularly limited to, natural rubber, polyisoprene rubber, styrene butadiene rubber, polybutadiene rubber, chloroprene rubber, ethylene propylene rubber, ethylene vinegar, chlorinated polyethylene, chlorosulfonated polyethylene, and alkylated chlorosulfonated polyethylene. , Epichlorohydrin rubber, acrylonitrile-butadiene rubber and the like.
[0050]
The vulcanizing agents include sulfur, sulfur compounds and organic peroxides, and the sulfur compounds include sulfur chloride, sulfur dichloride, morpholine disulfide, alkylphenol disulfide, etc. You.
[0051]
Examples of the organic peroxide of the vulcanizing agent include di-t-butyl peroxide, t-butyl cumyl peroxide, dicumyl peroxide, and 2,5-dimethyl-2,5-di (t-butyl peroxide). Oxide) -hexane, 2,5-dimethyl-2,5-di (t-butylperoxy) -hexane-3,1,3-bis- (t-butylperoxy-isopropyl) benzene, 1,1-di -T-butylperoxy-3,3,5-trimethylcyclohexane, 1,1-di-t-butylperoxycyclohexane, n-butyl 4,4-di-t-oxyparerelate, 2,2-di -T-butylperoxybutane and the like.
[0052]
The vulcanizing agent is not particularly limited to an organic peroxide and a sulfur compound as long as it causes a crosslinking reaction. However, a vulcanizing agent that does not extremely advance the crosslinking reaction at the temperature during processing is more preferable.
[0053]
The amount of the vulcanizing agent added (blended amount) is preferably 0.5% or less based on 100 parts by weight of rubber. Particularly preferably, it is less than 0.1%. If the content exceeds 0.5%, crosslinking of the rubber compound proceeds, and the carbon fiber cord for rubber reinforcement to which the rubber adhesive is adhered becomes hard, which causes a problem such as extreme reduction in fatigue resistance.
[0054]
The organic solvent is not particularly limited, but usually, aromatic hydrocarbons such as benzene, toluene, xylene, ethers, halogenated aliphatic hydrocarbons such as trichloroethylene, and methyl ethyl ketone are preferably used.
[0055]
Although the isocyanate compound is not particularly limited, for example, polyisocyanates such as tolylene diisocyanate, metaphenylene diisocyanate, diphenylmethane diisocyanate, hexamethylene diisocyanate, and polymethylene polyphenyl diisocyanate are preferably used. Further, a polyalcohol-added polyisocyanate obtained by reacting such a polyisocyanate with a compound having two or more active hydrogens in the molecule, such as trimethylolpropane or pentaerythritol, or a phenol or a tertiary tertiary compound, A blocked polyisocyanate obtained by reacting a blocking agent such as an alcohol or a secondary amine to block an isocyanate group of the polyisocyanate is also suitably used as the polyisocyanate compound.
[0056]
The method for attaching the rubber paste to the surface of the carbon fiber cord for rubber reinforcement of the present invention is not particularly limited, and examples thereof include the following method. That is, after passing the carbon fiber bundle through a treatment liquid tank containing rubber and epoxy resin, it is heated and dried to give a predetermined twist to obtain a rubber reinforcing carbon fiber cord which is a cord-shaped material. Next, after passing through a tank containing rubber glue, it is obtained by further passing through a heating and drying oven.
[0057]
In the present invention, the adhesion amount of the rubber paste is preferably 1 to 20 parts by weight, more preferably 2 to 15 parts by weight, particularly preferably 3 to 10 parts by weight, after drying, based on 100 parts by weight of the carbon fiber bundle. Is good. When the amount is 1 part by weight or more, the adhesiveness does not decrease, and when the amount is 20 parts by weight or less, the flexibility of the carbon fiber cord for rubber reinforcement decreases, and adhesion to a roll in a dipping process (gum-up). Does not occur and quality stability is not impaired.
[0058]
In addition, as a method of controlling the amount of adhesion after applying the rubber paste, there is a method of squeezing with a roller and a method of blowing air through a nozzle, and is not particularly limited, but for the purpose of uniformly adhering the rubber paste, The latter method is preferred.
[0059]
The carbon fiber cord for rubber reinforcement treated as described above is brought into close contact with a base material (rubber base material) containing rubber, and is vulcanized and bonded under the usual processing conditions known for the rubber base material. In addition, strong adhesion is achieved between the rubber reinforcing carbon fiber cord and the rubber base material, and an excellent rubber product can be obtained.
[0060]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described more specifically with reference to examples, but the present invention is not limited to these examples.
[0061]
In producing the carbon fiber cord for rubber reinforcement in the examples, the following raw materials were used.
[0062]
<Raw materials>
(Rubber latex)
Acrylonitrile-butadiene rubber latex: LX511 (manufactured by Zeon Corporation), solid content concentration 46.0%
Acrylonitrile-butadiene rubber latex: LX551 (manufactured by Zeon Corporation), solid content concentration: 45.0%
(Epoxy resin)
-Sorbitol polyglycidyl ether: "Denacol" EX-614B (manufactured by Nagase Kasei Kogyo Co., Ltd.)
(Carbon fiber bundle)
-Carbon fiber A ("Trayka" T700S-12K-50C manufactured by Toray Industries, Inc.): Knot strength 740 MPa, weight per unit length 0.8 g / m, tensile strength 4800 MPa, non-twisted yarn, cross-sectional deformation degree of single fiber 1 .04, elongation at break 2.1%
-Carbon fiber B ("Torayca" T800H-12K-40B, manufactured by Toray Industries, Inc.): Knot strength 300 MPa, weight per unit length 0.44 g / m, tensile strength 5500 MPa, untwisted yarn, degree of cross-sectional deformation of single fiber 1 .37, elongation at break 1.9%
・ Carbon fiber C (obtained by twisting “Torayca” T700S-12K-50C manufactured by Toray Co., Ltd. once / m): knot strength 740 MPa, weight per unit length 0.8 g / m, tensile strength 4800 MPa, twisted yarn, cross-sectional deformation of single fiber 1.04, elongation at break 2.1%
-Carbon fiber D ("Toray" T700S-12K-50C manufactured by Toray Co., Ltd. divided into 2000 filaments): knot strength 740 MPa, weight 0.2 g / m per unit length, tensile strength 4800 mPa, Non-twisted yarn, cross section deformation of single fiber 1.04, breaking elongation 2.1%
The method for evaluating the carbon fiber bundle used in the present invention is as described below.
[0063]
<Knotting strength of carbon fiber bundle>
According to JIS L1013-1981, a knot was formed at the center between the grips of the sample, and the tensile strength was measured. As the tensile test pieces, untwisted twisted yarns and untwisted and untwisted yarns were used as they were.
[0064]
Both ends of the carbon fiber bundle to be measured are sandwiched between the chucks and fixed. Here, the sample length between the chucks is 250 mm, and the knot of the carbon fiber bundle is positioned at the center between the chucks.
[0065]
Next, the carbon fiber bundle is pulled at a speed of 50 mm / min in an environment of a temperature of 25 ° C. and a humidity of 40%, and its maximum load value is measured.
[0066]
Next, a value obtained by dividing the maximum load value by the cross-sectional area of the carbon fiber bundle (= basis weight of carbon fiber bundle / density of carbon fiber bundle) is defined as knot strength.
[0067]
Here, an average value of n = 10 (arbitrarily n = 5 for right and left knots) for the arbitrarily selected carbon fiber bundle was taken as the knot strength value.
[0068]
<Tensile strength and elongation at break of carbon fiber bundle>
It was measured according to JIS R7601. The tensile test piece was prepared by impregnating a carbon fiber bundle with the following resin composition and curing by heating at 130 ° C. for 35 minutes.
[0069]
Resin composition: 3,4-epoxycyclohexylmethyl-3,4-epoxy-cyclohexane-carboxylate (100 parts by weight) / boron trifluoride monoethylamine (3 parts by weight) / acetone (4 parts by weight)
<Cross-section of single fiber of carbon fiber bundle>
The carbon fiber bundle was cut by a razor blade from a direction perpendicular to the fiber direction, and the cross section was photographed with a scanning electron microscope at a magnification of 10,000 times and an acceleration voltage of 15 kV. A circumscribed circle and an inscribed circle are respectively drawn on the photograph of the obtained cross section, and the ratio (= R / r) of the radius R of the circumscribed circle to the radius r of the inscribed circle was used as an index of the degree of cross-sectional deformation of the single fiber. .
[0070]
The evaluation method and evaluation results of the carbon fiber cord for rubber reinforcement of the present invention are as shown below.
[0071]
<Twisted number of carbon fiber cord for rubber reinforcement>
It was measured by the method described in JIS R7601.
[0072]
Both ends of the cord to be measured were grasped and attached to the clamp of the twisting machine so that the interval became 500 mm. One clamp was fixed, the other clamp was rotated, the number of rotations until the twist was completely unwound was measured, and the doubled value was taken as the number of twists of the cord (times / 10 cm).
[0073]
<Tensile strength of carbon fiber cord for rubber reinforcement>
It was measured according to JIS L1017. The both ends of the carbon fiber cord for rubber reinforcement to be measured are sandwiched between chucks and fixed. Here, the sample length between the chucks was 250 mm. It is pulled at a speed of 50 mm / min in an environment of a temperature of 25 ° C. and a humidity of 40%, and its maximum load value is measured. The average value of n = 10 for the arbitrarily selected rubber reinforcing carbon fiber cord was defined as the tensile strength value.
[0074]
<Adhesion evaluation method (flat peeling method)>
A carbon fiber cord for rubber reinforcement is spread over a 25 × 100 × 4 (mm) unvulcanized rubber substrate (composition shown in Table 3) without any gap, press-vulcanized at 160 ° C. for 30 minutes under pressure, and allowed to cool Thereafter, the measurement was performed by peeling the cord from the rubber. The peeling speed was 50 mm / min, and the peeling force at that time was indicated by N / 25 mm.
[0075]
<Fatigue resistance evaluation method (FS method)>
It was measured by a method according to the Firestone method (FS method) described in JIS L-1017. The sheet-shaped unvulcanized base material shown in Table 3 was wound on a drum, and a carbon fiber cord for rubber reinforcement was wound thereon at an interval of 40/10 cm, and the same sheet-shaped unvulcanized material was further wound thereon. The vulcanized rubber substrate was wound to prepare a rubber / cord / rubber three-layer body. The same sheet-like unvulcanized rubber base material for thickness adjustment was layered on the three-layered body to produce a 25 × 370 × 5 (mm) belt-shaped test piece. This was press-vulcanized at 160 ° C. for 30 minutes under pressure to obtain a belt-shaped test piece. The test piece was put on a 1-inch pulley and reciprocated at 190 rpm for 24 hours at room temperature. The carbon fiber cord for rubber reinforcement was taken out of the test piece after fatigue, and the strength was measured. The ratio of strength before and after fatigue (strength retention rate, expressed in%) was used as an index of fatigue resistance.
[0076]
<Dip treatment of carbon fiber bundle>
The carbon fiber bundle is conveyed at a speed of 10 m / min using a computer drip single dipping machine (manufactured by Ritzler, USA) and passed through a tank storing an aqueous dispersion of the resin composition shown in Table 1 for 10 seconds. Thus, an aqueous dispersion was applied to the carbon fiber bundle, and heat treatment was performed at 200 ° C. for 280 seconds. The adhesion amount of the resin composition was as shown in Table 4. Next, a Z direction ply twist was added using a ring twisting machine, and three ply twisted cords were further aligned, and a S direction upper twist was added using a strander. Subsequently, the adhesive for rubber shown in Table 2 was applied using a single dipping machine with a computer, and heat-treated at 100 ° C. for 100 seconds. Here, the adhesion amount of the rubber adhesive was set at about 10 parts by weight based on 100 parts by weight of the carbon fiber bundle. The amount of the resin composition to be attached is determined by measuring the mass of the carbon fiber bundle per a predetermined length in advance, and measuring the weight of the cord having the same length after the resin is attached. The amount (parts) was calculated.
[0077]
[Examples 1 to 6, Comparative Examples 1 to 7]
The evaluation results of the resin composition, adhesive for rubber, rubber base composition, and carbon fiber cord for rubber reinforcement used in each of the examples and comparative examples are summarized in Tables 1 to 4 below. As can be seen from the evaluation results shown in Table 4, the carbon fiber cord for rubber reinforcement according to the present invention exhibits high tensile strength and can be obtained with excellent fatigue resistance in rubber.
[0078]
[Table 1]
[0079]
[Table 2]
[0080]
[Table 3]
[0081]
[Table 4]
[0082]
【The invention's effect】
Advantageous Effects of Invention According to the present invention, a carbon fiber for rubber reinforcement exhibiting high tensile strength while minimizing the strength loss due to twisting, and having excellent fatigue resistance capable of withstanding deformation such as repeated tension, compression, and shear in rubber. A fiber cord can be obtained.
Claims (10)
100≦上撚り係数≦900
0.5×上撚り係数≦下撚り係数≦1.5×上撚り係数
ただし、撚り係数=[N×(D)1/2 ]
N:撚り数(回/10cm)
D:ゴム補強用炭素繊維コードの総繊度(dtex)A plurality of carbon fiber bundles impregnated with a resin composition containing rubber and an epoxy resin impregnated into a carbon fiber bundle having a weight per unit length of 0.3 to 1.2 g / m, and subjected to priming. A ply-twisted rubber reinforcing carbon fiber cord that has been aligned and ply-twisted, wherein the ply-twisting and ply-twisting factors satisfy the following formula, and the knot strength of the carbon fiber bundle is 500 to 1000 MPa. Characteristic carbon fiber cord for rubber reinforcement.
100 ≦ twisting coefficient ≦ 900
0.5 x twist factor ≤ lower twist factor ≤ 1.5 x twist factor, where twist factor = [N x (D) 1/2 ]
N: number of twists (times / 10 cm)
D: Total fineness of carbon fiber cord for rubber reinforcement (dtex)
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