JP2004220808A - 放電管及びその配設構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は気密筒内の中央で対向する上部放電電極先端の放電面と下部放電電極先端の放電面との間で放電を繰り返し発生させる放電管及びその配設構造に関し、磁界や電磁波を発生するコイルやトランス等の近傍位置に配置しても、安定した放電を繰り返し規則的に発生させることを課題とする。
【解決手段】絶縁体からなり上下の端面にそれぞれメタライズ面40が形成された気密筒10と、この気密筒10の上端部に接合されると共に上部放電面23が形成された上部放電電極22と、気密筒10の下端部に接合されると共に下部放電面25が形成された下部放電電極24と、第1及び第2の放電電極22,24が気密筒10に接合されることにより上部放電面23と下部放電面25との間に放電ギャップ29が形成されると共に気密筒10が気密封止される放電管において、気密筒10内の放電ギャップ29と対向する領域に1本または複数の環状放電トリガ線50Aを形成する。
【選択図】 図11
【解決手段】絶縁体からなり上下の端面にそれぞれメタライズ面40が形成された気密筒10と、この気密筒10の上端部に接合されると共に上部放電面23が形成された上部放電電極22と、気密筒10の下端部に接合されると共に下部放電面25が形成された下部放電電極24と、第1及び第2の放電電極22,24が気密筒10に接合されることにより上部放電面23と下部放電面25との間に放電ギャップ29が形成されると共に気密筒10が気密封止される放電管において、気密筒10内の放電ギャップ29と対向する領域に1本または複数の環状放電トリガ線50Aを形成する。
【選択図】 図11
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は放電管及びその配設構造に係り、特に気密筒内の中央で対向する上部放電電極先端の放電面と下部放電電極先端の放電面との間で放電を繰り返し発生させる放電管及びその配設構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、車両のHID(ハイインデンシティーディスチャージの略)ランプ点灯用のバラスト回路、液晶プロジェクターのバックランプ点灯用のイグナイター回路などに用いられる放電管として、例えば特許文献1に記載されたものがある。この放電管1Aは、図1乃至図3に示されるように、絶縁材よりなる円筒状の気密筒10と、この気密筒10の図1における上部開口部に接合される上部放電電極22と、気密筒10の図1における下部開口部に接合される下部放電電極24等により構成されている。
【0003】
気密筒10は、その内側壁中央の横方向に、4本のメイン放電トリガ線80が所定のピッチで気密筒10の軸方向と平行に上下に起立させて並べて形成されている。また、気密筒10の上部内側壁又は下部内側壁のメイン放電トリガ線80の間には、4本のサブ放電トリガ線90が気密筒10の軸方向と平行に上下に起立させて形成されている。サブ放電トリガ線90の上端又は下端は、その近くの気密筒10の上端面又は下端面に形成されたメタライズ面40に接続されている。
【0004】
この放電管1Aにおいては、上部放電電極22の先端の放電面23(以下、上部放電面23という)や下部放電電極先端の放電面25(以下、下部放電面25という)から放電の際に発せられて気密筒10の内側壁中央に付着するスパッタにより、気密筒10の内側壁に形成されたメイン放電トリガ線80とサブ放電トリガ線90との間の電気的絶縁性が劣化するのを防ぐことができる。そして、上部放電面23と下部放電面25との間に、所定電位の放電を長期にわたって繰り返し安定させて発生させることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開平10―335042号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図7は、上記した放電管1Aを外部磁界等の影響のない理想環境下において、単体作動させたときの放電特性データ図である。同図に示すように、安定したアーク放電が繰り返し規則正しく発生していることが判る。尚、図7及び以後説明に用いる放電特性データ図において、横軸は時間で、縦軸は放電電圧を示している(1マス目盛は1000V)。
【0007】
ところで、近年液晶プロジェクターはモバイル化が図られており、これに伴い液晶プロジェクターに搭載される各電子機器及び回路の小型化、高密度化が図られている。また、各電子機器及び電子部品においても、高密度実装化が図られている。
【0008】
このため、図4に示すように、AC100V商用電源を3000V以上に昇圧する昇圧コイル2(以下、単にコイルという)の近傍に放電管1Aを配置したり、また図5に示すように電源トラス4の近傍に放電管1Aを配置したりすることが行なわれるようになってきた。また、部品レイアウトの関係より、図6に示すようにコイル2とトランス4との間に放電管1Aを配置することもある。
【0009】
このように、コイル2やトランス4の近傍に放電管1Aを配置すると、コイル2及びトランス4のコイル巻き線方向が、上記の放電管1Aのメイン放電トリガ線80やサブ放電トリガ線90に対して略垂直な方向となる。そのため、コイル2及びトランス4に発生する磁界や電磁波の影響を受けて、メイン放電トリガ線80やサブ放電トリガ線90に電磁誘導に基づく電流が発生し、放電管1Aに誤動作が発生することが考えられる。
そこで、▲1▼図4に示すように、放電管1Aをコイル2(AC100V商用電源を4000V以上に昇圧するコイル)の近傍位置に配置したときの放電特性データ、▲2▼図5に示すように、放電管1Aをトランス4の近傍位置に配置したときの放電特性データ、▲3▼図6に示すように、放電管1Aをコイル2とトランス4との間位置に配置したときの放電特性データを求める実験を実施した。尚、▲1▼及び▲2▼において、近傍位置とは、コイル2及びトランス4から2mm以内の位置である。
【0010】
図8は上記▲1▼の放電管1Aをコイル2の近傍位置に配置したときの放電特性データを示し、図9は上記▲2▼の放電管1Aをトランス4の近傍位置に配置したときの放電特性データを示し、図10は上記▲3▼の放電管1Aをコイル2とトランス4との間位置に配置したときの放電特性データを示している。
【0011】
ここで、図7に示した外部磁界等の影響のない理想環境下で放電管1Aを単体作動させたときの放電特性データと、図8〜図10に示すコイル2及びトランス4の近傍位置に放電管1Aを配置したときの放電特性データを比較すると、図8〜図10に示す放電特性データでは放電電位が安定しておらず大きく変動していることが判る。
これは、上記のようにコイル2及びトランス4から発生している磁界や電磁波が、放電管1Aに影響していることが原因であることは明らかである。このように、放電電位が大きく変動するとミスファイヤーが発生するおそれがあり、放電管1Aにより駆動する液晶プロジェクター等が適正に駆動しないおそれがある。
【0012】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、磁界や電磁波を発生するコイルやトランス等の近傍位置に配置しても、安定した放電を繰り返し規則的に発生しうる放電管及びその配設構造を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0014】
請求項1記載の発明は、
絶縁体からなり、第1の端面及び第2の端面にそれぞれメタライズ面が形成されてなる気密筒と、
該気密筒の第1の端面に形成されたメタライズ面に接合される第1の放電電極と、
前記気密筒の第2の端面に形成されたメタライズ面に接合される第2の放電電極とを設けており、
前記第1及び第2の放電電極が前記各メタライズ面に接合されることにより、前記第1の放電電極と前記第2の放電電極との間に放電ギャップが形成されると共に前記気密筒が気密封止される放電管において、
前記気密筒内の前記放電ギャップと対向する領域に、1本または複数の環状放電トリガ線を形成したことを特徴とするものである。
【0015】
上記発明によれば、気密筒内の放電ギャップと対向する領域に1本または複数の環状放電トリガ線を形成したことにより、この環状放電トリガ線は気密筒の軸方向に対し直交する面上に形成される。このため、放電管をコイルの近傍位置に配置しても、環状放電トリガ線の形成方向とコイルのコイル巻き線方向は、略平行となる。
【0016】
このため、コイルから発生する磁界や電磁波の影響を受け、環状放電トリガ線に電磁誘導による電流の発生を最小限に抑制することができ、よって放電管で繰り返し発生する放電電位を安定化させることができる。
【0017】
また、請求項2記載の発明は、
請求項1記載の放電管をコイル近傍に配設する放電コイルの配設構造であって、
前記放電管を前記コイルから2mm以内の範囲に配設したことを特徴とするものである。
【0018】
上記発明のように、放電管をコイルから2mm以内の範囲に配設した際、特に有効に安定した放電を実現することができる。
【0019】
また、請求項3記載の発明は、
絶縁体からなり、第1の端面及び第2の端面にそれぞれメタライズ面が形成されてなる気密筒と、
該気密筒の第1の端面に形成されたメタライズ面に接合される第1の放電電極と、
前記気密筒の第2の端面に形成されたメタライズ面に接合される第2の放電電極とを設けており、
前記第1及び第2の放電電極が前記各メタライズ面に接合されることにより、前記第1の放電電極と前記第2の放電電極との間に放電ギャップが形成されると共に前記気密筒が気密封止される放電管において、
前記気密筒内の前記放電ギャップと対向する領域内に複数の線分状の放電トリガ線を形成し、かつ該複数の線分状の放電トリガ線を等間隔に配置したことを特徴とするものである。
【0020】
上記発明によれば、気密筒内の放電ギャップと対向する領域内に複数の線分状の放電トリガ線を形成し、かつ複数の線分状の放電トリガ線を等間隔に配置したことにより、放電管をトランスの近傍位置に配置しても、トランスから発生する磁界や電磁波の影響を受け、線分状の放電トリガ線に電磁誘導による電流の発生を最小限に抑制することができ、よって放電管で繰り返し発生する放電電位を安定化させることができる。
【0021】
また、請求項4記載の発明は、
請求項3記載の放電管において、
前記線分状の放電トリガ線の長さを2mm以下0.3mm以上としたことを特徴とするものである。
【0022】
上記発明のように、線分状の放電トリガ線の長さを2mm以下0.3mm以上とすることにより、特に有効に放電管で繰り返し発生する放電電位を安定化させることができる。
【0023】
また、請求項5記載の発明は、
請求項3または4記載の放電管をトランス近傍に配設する放電コイルの配設構造であって、
前記放電管を前記トランスから2mm以内の範囲に配設したことを特徴とするものである。
【0024】
上記発明のように、放電管をトランスから2mm以内の範囲に配設した際、特に有効に安定した放電を実現することができる。
【0025】
また、請求項6記載の発明は、
絶縁体からなり、第1の端面及び第2の端面にそれぞれメタライズ面が形成されてなる気密筒と、
該気密筒の第1の端面に形成されたメタライズ面に接合される第1の放電電極と、
前記気密筒の第2の端面に形成されたメタライズ面に接合される第2の放電電極とを設けており、
前記第1及び第2の放電電極が前記各メタライズ面に接合されることにより、前記第1の放電電極と前記第2の放電電極との間に放電ギャップが形成されると共に前記気密筒が気密封止される放電管において、
前記気密筒内の前記放電ギャップと対向する領域内に複数の点状の放電トリガ線を形成し、かつ該複数の点状の放電トリガ線を等間隔に配置したことを特徴とするものである。
【0026】
上記発明によれば、気密筒内の放電ギャップと対向する領域内に複数の点状の放電トリガ線を形成し、かつ複数の点状の放電トリガ線を等間隔に配置したことにより、放電管をコイルとトランスとの間に配置しても、コイル及びトランスから発生する磁界や電磁波の影響を受け、点状の放電トリガ線に電磁誘導による電流の発生を最小限に抑制することができ、よって放電管で繰り返し発生する放電電位を安定化させることができる。
【0027】
また、請求項7記載の発明は、
請求項6記載の放電管において、
前記点状の放電トリガ線の直径を2mm以下0.3mm以上としたことを特徴とするものである。
【0028】
上記発明のように、点状の放電トリガ線の直径を2mm以下0.3mm以上とすることにより、特に有効に放電管で繰り返し発生する放電電位を安定化させることができる。
【0029】
また、請求項8記載の発明は、
請求項6または7記載の放電管をコイルとトランスとの間に配設する放電コイルの配設構造であって、
前記放電管を前記コイル及び前記コイル及びトランスから2mm以内の範囲に配設したことを特徴とするものである。
【0030】
上記発明のように、放電管をコイル及びトランスから2mm以内の範囲に配設した際、特に有効に安定した放電を実現することができる。
【0031】
また、請求項9記載の発明は、
絶縁体からなり、第1の端面及び第2の端面にそれぞれメタライズ面が形成されてなる気密筒と、
該気密筒の第1の端面に形成されたメタライズ面に接合される第1の放電電極と、
前記気密筒の第2の端面に形成されたメタライズ面に接合される第2の放電電極と、
前記気密筒の内壁に形成された放電トリガ線とを設けており、
前記第1及び第2の放電電極が前記各メタライズ面に接合されることにより、前記第1の放電電極と前記第2の放電電極との間に放電ギャップが形成されると共に前記気密筒が気密封止される放電管において、
前記放電ギャップの間隔をAとし、前記第1または第2放電電極から前記放電トリガ線までの距離をBとしたとき、A≦2×Bとなるよう構成したことを特徴とするものである。
【0032】
上記発明によれば、放電ギャップの間隔Aと、第1または第2放電電極から放電トリガ線までの距離BがA≦2×Bとなるよう構成したことにより、第1または第2放電電極から放電トリガ線までの距離Bは、放電ギャップの間隔Aに対して2倍と広いため、気密筒の内側壁部分放電の際にスパッタが付着しても、このスパッタが放電ギャップで発生する放電に影響を及ぼすようなことはなく、放電ギャップで繰り返し発生する放電の放電電位を安定化させることができる。
【0033】
また、請求項10記載の発明は、
絶縁体からなり、第1の端面及び第2の端面にそれぞれメタライズ面が形成されてなる気密筒と、
該気密筒の第1の端面に形成されたメタライズ面に接合される第1の放電電極と、
前記気密筒の第2の端面に形成されたメタライズ面に接合される第2の放電電極と、
前記第1及び第2放電電極が前記各メタライズ面に接合されることにより、前記第1の放電電極と前記第2の放電電極との間に放電ギャップが形成されると共に前記気密筒が気密封止される放電管において、
前記放電ギャップの間隔をAとし、前記第1または第2放電電極から前記気密筒の内壁までの距離をCとしたとき、A≦2×Cとなるよう構成したことを特徴とするものである。
【0034】
上記発明によれば、放電ギャップの間隔Aと、第1または第2放電電極から気密筒の内壁までの距離CがA≦2×Cとなるよう構成したことにより、第1または第2放電電極から気密筒の内壁までの距離Cは、放電ギャップの間隔Aに対して2倍と広いため、気密筒の内側壁部分放電の際にスパッタが付着しても、このスパッタが放電ギャップで発生する放電に影響を及ぼすようなことはなく、放電ギャップで繰り返し発生する放電の放電電位を安定化させることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
【0036】
図11は、本発明の第1実施例である放電管1Bを示しており、また図12はその気密筒10の内側壁の展開図である。尚、本実施例の説明に用いるにおいて、先に説明した図1乃至図6に示した構成と同一構成については同一符号を付して説明するものとする。
【0037】
放電管1Bは、図11に示されるように、大略すると気密筒10,上部放電電極22,及び下部放電電極24等により構成されている。気密筒10は円筒形状を有しており、セラミック等の絶縁体から形成されている。この気密筒10の上端開口部及び下端開口部には、それぞれ42アロイ(鉄―ニッケル合金)等の金属からなる上部放電電極22と下部放電電極24が接合されている。
【0038】
即ち、上部放電電極22及び下部放電電極24には円板状の蓋体部26、28が一体的に形成されており、また気密筒10の上端開口部及び下端開口部にはメタライズ面40が形成されている。よって、各放電電極22,24に生成された蓋体26、28を気密筒10の各開口部に形成されたメタライズ面40にろう付けすることにより、上部放電電極22及び下部放電電極24は、気密筒10に接合される。
【0039】
この接合の際、気密筒10内には不活性ガス等の混合ガスが封入される。よって、気密筒10内に封入された混合ガスは、上部放電電極22と上部放電面23を接合することにより、気密筒10内に気密封止される。
【0040】
また、上部放電電極22は、蓋体26から気密筒10の中央位置に向け突出しており、その先端部は小径の円柱状に形成されている。また、この小径の円柱状の先端部に放電面23(以下、上部放電面23という)が形成されており、上部放電面23には放電を安定させて発生させるための凹部27が設けられている。
【0041】
同様に、下部放電電極24は、蓋体28から気密筒10の中央位置に向け突出しており、その先端部は小径の円柱状に形成されている。また、この小径の円柱状の先端部に放電面25(以下、上部放電面25という)が形成されており、この下部放電面25にも放電を安定させて発生させるための凹部27が設けられている。
【0042】
放電管1B内の放電は、上部放電面23と下部放電面25との間の離間部分で発生する。この上部放電面23と下部放電面25との間の離間部分を、以下放電ギャップ29という。また以下の説明において、▲1▼気密筒10の中心軸(図11に矢印Aで示す二点差線)に直交する面で放電ギャップ29の中央位置(軸方向に対する中央位置)を含む面を第1平面31といい、▲2▼気密筒10の中心軸Aに直交する面で上部放電面23を含む面を第2平面33といい、▲3▼気密筒10の中心軸Aに直交する面で下部放電面25を含む面を第3平面35というものとする。
【0043】
上記構成とされた放電管1Bにおいて、気密筒10の中央位置、換言すると前記の第1平面31が気密筒10の内側壁と交わる位置には、本実施例の特徴となる環状放電トリガ線50Aが形成されている。この環状放電トリガ線50Aは線幅が約0.5mmのカーボン等の導電性材料により形成されており、図12に示されるように本実施例では、メタライズ面40と略平行に気密筒10の内側壁を横断するよう、環状に1本形成された構成とされている。
【0044】
図13は、上記構成とされた放電管1Bを、先に図4を用いて説明した同様にコイル2の近傍位置に配置し、その状態で放電管1Bを放電処理されたときの放電特性を示している。
【0045】
具体的には、放電管1Bはコイル2に対して2mm以内の離間距離となるようコイル2に取り付けた。また、放電管1Bに対しては、上部放電電極22と下部放電電極24との間にコンデンサーにチャージされた電荷を繰り返し加えて、その上部放電電極22の上部放電面23と下部放電電極24の下部放電面25との間にアーク放電を繰り返し発生させた。また、コイル2としては、AC100V商用電源を4000Vに昇圧させるためのコイル(液晶プロジェクターに一般に用いられるコイル)を使用した。
【0046】
図13より、本実施例の放電管1Bを用いることにより、この放電管1Bをコイル2の近傍位置に配置しても、一定の放電電位を有した放電が安定して繰り返し発生していることが判る。先に図8を用いて説明した従来の放電管1Aをコイル2の近傍位置に配置したときの放電特性に比べても、本実施例の放電管1Bが極めて安定した放電を実現していることが判る。
【0047】
このように本実施例に係る放電管1Bをコイル2の近傍位置に配置しても放電特性が向上するのは、本実施例では気密筒10の第1平面31と交差する位置、即ち気密筒10の中央位置に環状放電トリガ線50Aを形成したことによる。
【0048】
本実施例のように、環状放電トリガ線50Aを形成することにより、この環状放電トリガ線50Aは気密筒10の軸方向に対し直交する第1平面31上に形成される。このため、放電管1Bをコイル2の近傍位置に配置しても、環状放電トリガ線50Aの形成方向とコイル2のコイル巻き線方向は略平行となる。
【0049】
よって、コイル2から発生する磁界や電磁波の影響を受けても、環状放電トリガ線50Aは電磁誘導による電流の発生を最小限に抑制することができ、放電管1Bで繰り返し発生する放電電位を安定化させることができる。
【0050】
図14は、上記した第1実施例に係る放電管1Bの変形例を示している。図14では、変形例に係る放電管の気密筒10を展開した図のみを示している。本変形例は、上記した第2平面33と第3平面35との間、即ち気密筒10の放電ギャップ29と対向する領域に複数の環状放電トリガ線50Aを配設したものである。
【0051】
本変形例のように、気密筒10の放電ギャップ29と対向する領域に複数の環状放電トリガ線50Aを配設した構成の放電管を第1実施例と同じ条件でコイル2の近傍位置に配置し放電特性を求めたところ、図13に示すのと略等しい放電特性を得ることができた。よって、第1実施例のように気密筒10の中央位置に1本の環状放電トリガ線50Aを形成した構成に限定されず、気密筒10内の放電ギャップ29と対向する領域(第2平面33と第3平面35との間の領域)に1本または複数の環状放電トリガ線50Aを形成した構成とすれば、コイル2から発生する磁界や電磁波の影響を受けても、環状放電トリガ線50Aに電磁誘導による電流が発生するのを防止することができ、放電ギャップ29で繰り返し発生する放電電位を安定化させることができる。
【0052】
続いて、本発明の第2実施例について説明する。
【0053】
図15は、本発明の第2実施例である放電管1Cを示しており、また図16はその気密筒10の内側壁の展開図である。尚、本実施例の説明に用いる図15,図16,及び図18において、先の第1実施例の説明に用いた図11,図12,及び図14に示した構成と同一構成については同一符号を付してその説明を省略するものとする。
【0054】
本実施例に係る放電管1Cは、気密筒10の中央位置、換言すると前記の第1平面31が気密筒10の内側壁と交わる位置に、複数の線分状の放電トリガ線50Bを形成したことを特徴としている。本実施例においては、2本の線状放電トリガ線50Bが形成されており、かつ、この2本の線状放電トリガ線50Bは180度の等間隔で配置された構成とされている。
【0055】
この線状放電トリガ線50Bは、線幅が約0.5mmのカーボン等の導電性材料により形成されている。また、線状放電トリガ線50Bの気密筒10の周方向に対する長さ(図16に矢印Lで示す長さ)は、0.3mm以上2mm以下に選定することが、後述する放電特性を向上させる面からは望ましい。
【0056】
図17は、上記構成とされた放電管1Cを、先に図5を用いて説明した同様にトランス4の近傍位置に配置し、その状態で放電管1Cを放電処理されたときの放電特性を示している。
【0057】
具体的には、放電管1Cはトランス4に対して2mm以内の離間距離となるようトランス4に取り付けた。また、放電管1Cに対しては、上部放電電極22と下部放電電極24との間にコンデンサーにチャージされた電荷を繰り返し加えて、その上部放電電極22の上部放電面23と下部放電電極24の下部放電面25との間にアーク放電を繰り返し発生させた。また、トランス4としては、液晶プロジェクター内に配設され、信号電流の中継或いは増幅処理を行なうもの(液晶プロジェクターに一般に用いられるトランス)を使用した。
【0058】
図17より、本実施例の放電管1Cを用いることにより、この放電管1Cをトランス4の近傍位置に配置しても、一定の放電電位を有した放電が安定して繰り返し発生していることが判る。先に図9を用いて説明した従来の放電管1Aをトランス4の近傍位置に配置したときの放電特性に比べても、本実施例の放電管1Cが極めて安定した放電を実現していることが判る。
【0059】
このように本実施例に係る放電管1Bをトランス4の近傍位置に配置しても放電特性が向上するのは、本実施例では気密筒10の第1平面31と交差する位置、即ち気密筒10の中央位置に線状放電トリガ線50Bを形成したことによる。
【0060】
本実施例のように、線状放電トリガ線50Bを形成することにより、コイルよりも更に高電圧パルスを発生させるトランス4から発生する強力な磁界や電磁波の影響を受けても、線状放電トリガ線50Bは、電磁誘導による電流の発生を更に最小限に抑制することができる。よって、トランス4から発生する磁界や電磁波の影響を受けても、放電管1Cで繰り返し発生する放電電位を安定化させることができる。
【0061】
図18は、上記した第2実施例に係る放電管1Cの変形例を示している。図18では、変形例に係る放電管の気密筒10を展開した図のみを示している。本変形例は、気密筒10の周方向に対しては4本の線状放電トリガ線50Bを45°の等間隔で配設し、これを気密筒10の軸方向(図18に矢印Xで示す方向)にも複数段(本)配設したものである。
【0062】
本変形例のように、気密筒10の放電ギャップ29と対向する領域に複数の線状放電トリガ線50Bを配設した構成の放電管を第2実施例と同じ条件でトランス4の近傍位置に配置し放電特性を求めたところ、図17に示すのと略等しい放電特性を得ることができた。よって、第2実施例のように気密筒10の中央位置に線状放電トリガ線50Bを形成した構成に限定されず、気密筒10内の放電ギャップ29と対向する領域(第2平面33と第3平面35との間の領域)に1本または複数の線状放電トリガ線50Bを形成した構成とすれば、トランス4から発生する磁界や電磁波の影響を受けても、放電ギャップ29で繰り返し発生する放電電位を安定化させることができる。
【0063】
続いて、本発明の第3実施例について説明する。
【0064】
図19は、本発明の第3実施例である放電管1Dを示しており、また図20はその気密筒10の内側壁の展開図である。尚、本実施例の説明に用いる図19及び図20において、先の第1実施例の説明に用いた図11,図12,及び図14に示した構成と同一構成については同一符号を付してその説明を省略するものとする。
【0065】
本実施例に係る放電管1Dは、気密筒10の中央位置、換言すると前記の第1平面31が気密筒10の内側壁と交わる位置に、複数の点状放電トリガ線50Cを形成したことを特徴としている。本実施例においては、2点の線状放電トリガ線50Bが形成されており、かつ、この2点の線状放電トリガ線50Bは180度の等間隔で配置された構成とされている。この点状放電トリガ線50Cの直径(図20に矢印Rで示す)は、後述する放電特性を向上させる面から0.3mm以上2mm以下に選定されている。
【0066】
図21は、上記構成とされた放電管1Dを、先に図6を用いて説明した同様にコイル2とトランス4との間位置に配置し、その状態で放電管1Dを放電処理されたときの放電特性を示している。
【0067】
具体的には、放電管1Dはコイル2及びトランス4に対して2mm以内の離間距離となるよう配置した。この条件を満たせば、放電管1Dをコイル2或いはトランス4のいずれに配置しても、後述するのと同一の放電特性が得られる。また、放電管1Dに対しては、上部放電電極22と下部放電電極24との間にコンデンサーにチャージされた電荷を繰り返し加えて、その上部放電電極22の上部放電面23と下部放電電極24の下部放電面25との間にアーク放電を繰り返し発生させた。また、コイル2及びトランス4としては、先の第1及び第2実施例で説明したのと同一のコイル及びトランスを使用した。
【0068】
図21より、本実施例の放電管1Dを用いることにより、この放電管1Dをコイル2とトランス4との間位置に配置しても、一定の放電電位を有した放電が安定して繰り返し発生していることが判る。先に図10を用いて説明した従来の放電管1Aをコイル2とトランス4との間位置に配置したときの放電特性に比べても、本実施例の放電管1Dが極めて安定した放電を実現していることが判る。
【0069】
このように本実施例に係る放電管1Dをコイル2の近傍位置に配置しても放電特性が向上するのは、本実施例では気密筒10の第1平面31と交差する位置、即ち気密筒10の中央位置に点状放電トリガ線50Cを形成したことによる。
【0070】
本実施例のように、点状放電トリガ線50Cを形成することにより、コイル2及びより強力な磁界や電磁波を発生させるトランス4からの複合された影響を受けても、点状放電トリガ線50Cは、各コイル2,トランス4からの電磁誘導による電流の発生を最小限に抑制することができる。よって、コイル2及びトランス4から発生する磁界や電磁波の影響を受けても、放電管1Cで繰り返し発生する放電電位を安定化させることができる。
【0071】
尚、本実施例においても、図14及び図18で説明した各変形例と同様に気密筒10の放電ギャップ29と対向する領域に複数の点状放電トリガ線50Cを配設した構成としてもよい。この構成としても、図21に示すのと略等しい放電特性を得ることができる。
【0072】
従って、図19及び図20に示すように気密筒10の中央位置に点状放電トリガ線50Cを形成した構成に限定されず、気密筒10内の放電ギャップ29と対向する領域(第2平面33と第3平面35との間の領域)に複数点の点状放電トリガ線50Cを形成した構成とすれば、コイル2及びトランス4から発生する磁界や電磁波の影響を受けても、放電ギャップ29で繰り返し発生する放電電位を安定化させることができる。
【0073】
続いて、本発明の第4及び第5実施例について説明する。
【0074】
図22は、本発明の第4及び第5実施例である放電管1E,1Fを示している。第4実施例に係る放電管1Eと第5実施例である放電管1Fは、図示される内部寸法A,B,C(矢印で示す)が異なるのみで、他の構成は同一であるため、図22を用いて一括的に説明するものとする。尚、各実施例の説明に用いる図22において、先の第1実施例の説明に用いた図11,図12,及び図14に示した構成と同一構成については同一符号を付してその説明を省略するものとする。
【0075】
先ず、第4実施例に係る放電管1Eについて説明する。本実施例に係る放電管1Eは、基本構成は上記した各実施例と同様の構成であり、大略すると気密筒10,上部放電電極22,及び下部放電電極24等により構成されている。また、気密筒10の内壁には放電トリガ線50Dが形成されているが、後述する条件を満足するものであれば、特にその形状や配設位置を限定されるものではない。
【0076】
本実施例に係る放電管1Eは、放電ギャップ29の間隔をA(図22に矢印で示す)とし、上部放電面23或いは下部放電面25から放電トリガ線50Dまでの距離をB(図22では、上部放電面23と放電トリガ線50Dとの距離を矢印Bで示している)としたとき、A≦2×Bとなるよう構成したことを特徴とするものである。
【0077】
図23は、上記構成とされた放電管1Eを単体で放電処理させたときの放電特性を示している。同図より、本実施例の放電管1Eを用いることにより、一定の放電電位を有した放電が安定して繰り返し発生していることが判る。
【0078】
図24は、比較のために放電ギャップ29の間隔Aと、上部放電面23(或いは下部放電面25)から放電トリガ線50Dまでの距離Bとが、A>2×Bである放電管(以下、第1の比較例放電管という)を作製し、この第1の比較例放電管を単体で放電処理させたときの放電特性を示している。同図に示すように、第1の比較例放電管では放電電位のバラツキが大きく不安定な放電であることが判る。
【0079】
本実施例の放電管1Eにおいて放電特性が向上するのは、次の理由によるものと考えられる。即ち、放電ギャップ29の間隔Aと、上部または下部放電面23,25から放電トリガ線50Dまでの距離BがA≦2×Bとなることにより、上部または下部放電面23,25から放電トリガ線50Dまでの距離Bは、放電ギャップの間隔Aに対して2倍以上と広くなる。
【0080】
このため、放電時に気密筒10の内側壁部分にスパッタが付着しても、また外部磁界等の影響により放電トリガ線50Dに電流が発生しても、このスパッタや誘起電流が放電ギャップ29で発生する放電に影響を及ぼすようなことはなく、よって放電ギャップ29で繰り返し発生する放電の放電電位を安定化させることができるものと考えられる。
【0081】
続いて、第5実施例に係る放電管1Fについて説明する。本実施例に係る放電管1Fも基本構成は上記した各実施例と同様の構成であり、大略すると気密筒10,上部放電電極22,及び下部放電電極24等により構成されている。また、本実施例の場合には、気密筒10の内壁放電トリガ線が存在していても、また存在していなくよもよい。
【0082】
本実施例に係る放電管1Fは、放電ギャップ29の間隔をA(図22に矢印で示す)とし、上部放電面23或いは下部放電面25から気密筒10の内壁までの距離をC(図22では、上部放電面23と気密筒10の内壁との距離を矢印Cで示している)としたとき、A≦2×Cとなるよう構成したことを特徴としている。
【0083】
図25は、上記構成とされた放電管1Fを単体で放電処理させたときの放電特性を示している。同図より、本実施例の放電管1Fを用いることにより、一定の放電電位を有した放電が安定して繰り返し発生していることが判る。
【0084】
図26は、比較のために放電ギャップ29の間隔Aと、上部放電面23(或いは下部放電面25)から気密筒10の内壁までの距離Cとが、A>2×Cである放電管(以下、第2の比較例放電管という)を作製し、この第2の比較例放電管を単体で放電処理させたときの放電特性を示している。同図に示すように、第2の比較例放電管では放電電位のバラツキが大きく不安定な放電であることが判る。
【0085】
本実施例の放電管1Fにおいて放電特性が向上するのは、次の理由によるものと考えられる。即ち、放電ギャップ29の間隔Aと、上部または下部放電面23,25から気密筒10の内壁までの距離CがA≦2×Cとなることにより、上部または下部放電面23,25から気密筒10の内壁までの距離Cは、放電ギャップの間隔Aに対して2倍以上と広くなる。
【0086】
このため、放電時に気密筒10の内側壁部分にスパッタが付着しても、このスパッタが放電ギャップ29で発生する放電に影響を及ぼすようなことはなく、よって放電ギャップ29で繰り返し発生する放電の放電電位を安定化させることができるものと考えられる。
【0087】
【発明の効果】
上述の如く本発明によれば、次に述べる種々の効果を実現することができる。
【0088】
請求項1及び2記載の発明によれば、放電管をコイルの近傍位置に配置しても、コイルから発生する磁界や電磁波により、環状放電トリガ線に電磁誘導による電流が発生するのを防止することができるため、放電管で繰り返し発生する放電電位を安定化させることができる。
【0089】
また、請求項3乃至5記載の発明によれば、放電管をトランスの近傍位置に配置しても、トランスから発生する磁界や電磁波により、線分状の放電トリガ線に電磁誘導による電流が発生するのを防止することができるため、放電管で繰り返し発生する放電電位を安定化させることができる。
【0090】
また、請求項6乃至8記載の発明によれば、放電管をコイルとトランスとの間に配置しても、コイル及びトランスから発生する磁界や電磁波により、点状の放電トリガ線に電磁誘導による電流が発生するのを防止することができるため、放電管で繰り返し発生する放電電位を安定化させることができる。
【0091】
また、請求項9記載の発明によれば、第1または第2放電電極から放電トリガ線までの距離Bは、放電ギャップの間隔Aに対して2倍と広いため、気密筒の内側壁部分放電の際にスパッタが付着しても、このスパッタが放電ギャップで発生する放電に影響を及ぼすようなことはなく、放電ギャップで繰り返し発生する放電の放電電位を安定化させることができる。
【0092】
また、請求項10記載の発明によれば、第1または第2放電電極から気密筒の内壁までの距離Cは、放電ギャップの間隔Aに対して2倍と広いため、気密筒の内側壁部分放電の際にスパッタが付着しても、このスパッタが放電ギャップで発生する放電に影響を及ぼすようなことはなく、放電ギャップで繰り返し発生する放電の放電電位を安定化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の一例である放電管を示す断面図である。
【図2】図1に示す放電管を構成する気密筒の内側壁を展開した展開図である。
【図3】放電管の外観図である。
【図4】放電管をコイルの近傍に配設した状態を示す図である。
【図5】放電管をトランスの近傍に配設した状態を示す図である。
【図6】放電管をコイルとトランスとの間に配設した状態を示す図である。
【図7】従来の放電管を単体で使用したときの放電特性データ図である。
【図8】従来の放電管をコイルの近傍に配設したときの放電特性データ図である。
【図9】従来の放電管をトランスの近傍に配設したときの放電特性データ図である。
【図10】従来の放電管をコイルとトランスとの間に配設したときの放電特性データ図である。
【図11】本発明の第1実施例である放電管を示す断面図である。
【図12】図11に示す放電管を構成する気密筒の内側壁を展開した展開図である。
【図13】本発明の第1実施例である放電管をコイルの近傍に配設したときの放電特性データ図である。
【図14】本発明の第1実施例の変形例である放電管を構成する気密筒の内側壁を展開した展開図である。
【図15】本発明の第2実施例である放電管を示す断面図である。
【図16】図15に示す放電管を構成する気密筒の内側壁を展開した展開図である。
【図17】本発明の第2実施例である放電管をトランスの近傍に配設したときの放電特性データ図である。
【図18】本発明の第2実施例の変形例である放電管を構成する気密筒の内側壁を展開した展開図である。
【図19】本発明の第3実施例である放電管を示す断面図である。
【図20】図19に示す放電管を構成する気密筒の内側壁を展開した展開図である。
【図21】本発明の第3実施例である放電管をコイルとトランスとの間に配設したときの放電特性データ図である。
【図22】本発明の第4及び第5実施例である放電管を説明するための断面図である。
【図23】本発明の第4実施例である放電管の放電特性データ図である。
【図24】図23に示す放電特性データ図に対する比較例である放電特性データ図である。
【図25】本発明の第5実施例である放電管の放電特性データ図である。
【図26】図25に示す放電特性データ図に対する比較例である放電特性データ図である。
【符号の説明】
1A〜1F 放電管
2 コイル
4 トランス
10 気密筒
22 上部放電電極
23 上部放電面
24 下部放電電極
25 下部放電面
26,28 蓋体
29 放電ギャップ
31 第1平面
33 第2平面
35 第3平面
40 メタライズ面
50A〜50D 放電トリガ線
【発明の属する技術分野】
本発明は放電管及びその配設構造に係り、特に気密筒内の中央で対向する上部放電電極先端の放電面と下部放電電極先端の放電面との間で放電を繰り返し発生させる放電管及びその配設構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、車両のHID(ハイインデンシティーディスチャージの略)ランプ点灯用のバラスト回路、液晶プロジェクターのバックランプ点灯用のイグナイター回路などに用いられる放電管として、例えば特許文献1に記載されたものがある。この放電管1Aは、図1乃至図3に示されるように、絶縁材よりなる円筒状の気密筒10と、この気密筒10の図1における上部開口部に接合される上部放電電極22と、気密筒10の図1における下部開口部に接合される下部放電電極24等により構成されている。
【0003】
気密筒10は、その内側壁中央の横方向に、4本のメイン放電トリガ線80が所定のピッチで気密筒10の軸方向と平行に上下に起立させて並べて形成されている。また、気密筒10の上部内側壁又は下部内側壁のメイン放電トリガ線80の間には、4本のサブ放電トリガ線90が気密筒10の軸方向と平行に上下に起立させて形成されている。サブ放電トリガ線90の上端又は下端は、その近くの気密筒10の上端面又は下端面に形成されたメタライズ面40に接続されている。
【0004】
この放電管1Aにおいては、上部放電電極22の先端の放電面23(以下、上部放電面23という)や下部放電電極先端の放電面25(以下、下部放電面25という)から放電の際に発せられて気密筒10の内側壁中央に付着するスパッタにより、気密筒10の内側壁に形成されたメイン放電トリガ線80とサブ放電トリガ線90との間の電気的絶縁性が劣化するのを防ぐことができる。そして、上部放電面23と下部放電面25との間に、所定電位の放電を長期にわたって繰り返し安定させて発生させることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開平10―335042号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図7は、上記した放電管1Aを外部磁界等の影響のない理想環境下において、単体作動させたときの放電特性データ図である。同図に示すように、安定したアーク放電が繰り返し規則正しく発生していることが判る。尚、図7及び以後説明に用いる放電特性データ図において、横軸は時間で、縦軸は放電電圧を示している(1マス目盛は1000V)。
【0007】
ところで、近年液晶プロジェクターはモバイル化が図られており、これに伴い液晶プロジェクターに搭載される各電子機器及び回路の小型化、高密度化が図られている。また、各電子機器及び電子部品においても、高密度実装化が図られている。
【0008】
このため、図4に示すように、AC100V商用電源を3000V以上に昇圧する昇圧コイル2(以下、単にコイルという)の近傍に放電管1Aを配置したり、また図5に示すように電源トラス4の近傍に放電管1Aを配置したりすることが行なわれるようになってきた。また、部品レイアウトの関係より、図6に示すようにコイル2とトランス4との間に放電管1Aを配置することもある。
【0009】
このように、コイル2やトランス4の近傍に放電管1Aを配置すると、コイル2及びトランス4のコイル巻き線方向が、上記の放電管1Aのメイン放電トリガ線80やサブ放電トリガ線90に対して略垂直な方向となる。そのため、コイル2及びトランス4に発生する磁界や電磁波の影響を受けて、メイン放電トリガ線80やサブ放電トリガ線90に電磁誘導に基づく電流が発生し、放電管1Aに誤動作が発生することが考えられる。
そこで、▲1▼図4に示すように、放電管1Aをコイル2(AC100V商用電源を4000V以上に昇圧するコイル)の近傍位置に配置したときの放電特性データ、▲2▼図5に示すように、放電管1Aをトランス4の近傍位置に配置したときの放電特性データ、▲3▼図6に示すように、放電管1Aをコイル2とトランス4との間位置に配置したときの放電特性データを求める実験を実施した。尚、▲1▼及び▲2▼において、近傍位置とは、コイル2及びトランス4から2mm以内の位置である。
【0010】
図8は上記▲1▼の放電管1Aをコイル2の近傍位置に配置したときの放電特性データを示し、図9は上記▲2▼の放電管1Aをトランス4の近傍位置に配置したときの放電特性データを示し、図10は上記▲3▼の放電管1Aをコイル2とトランス4との間位置に配置したときの放電特性データを示している。
【0011】
ここで、図7に示した外部磁界等の影響のない理想環境下で放電管1Aを単体作動させたときの放電特性データと、図8〜図10に示すコイル2及びトランス4の近傍位置に放電管1Aを配置したときの放電特性データを比較すると、図8〜図10に示す放電特性データでは放電電位が安定しておらず大きく変動していることが判る。
これは、上記のようにコイル2及びトランス4から発生している磁界や電磁波が、放電管1Aに影響していることが原因であることは明らかである。このように、放電電位が大きく変動するとミスファイヤーが発生するおそれがあり、放電管1Aにより駆動する液晶プロジェクター等が適正に駆動しないおそれがある。
【0012】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、磁界や電磁波を発生するコイルやトランス等の近傍位置に配置しても、安定した放電を繰り返し規則的に発生しうる放電管及びその配設構造を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0014】
請求項1記載の発明は、
絶縁体からなり、第1の端面及び第2の端面にそれぞれメタライズ面が形成されてなる気密筒と、
該気密筒の第1の端面に形成されたメタライズ面に接合される第1の放電電極と、
前記気密筒の第2の端面に形成されたメタライズ面に接合される第2の放電電極とを設けており、
前記第1及び第2の放電電極が前記各メタライズ面に接合されることにより、前記第1の放電電極と前記第2の放電電極との間に放電ギャップが形成されると共に前記気密筒が気密封止される放電管において、
前記気密筒内の前記放電ギャップと対向する領域に、1本または複数の環状放電トリガ線を形成したことを特徴とするものである。
【0015】
上記発明によれば、気密筒内の放電ギャップと対向する領域に1本または複数の環状放電トリガ線を形成したことにより、この環状放電トリガ線は気密筒の軸方向に対し直交する面上に形成される。このため、放電管をコイルの近傍位置に配置しても、環状放電トリガ線の形成方向とコイルのコイル巻き線方向は、略平行となる。
【0016】
このため、コイルから発生する磁界や電磁波の影響を受け、環状放電トリガ線に電磁誘導による電流の発生を最小限に抑制することができ、よって放電管で繰り返し発生する放電電位を安定化させることができる。
【0017】
また、請求項2記載の発明は、
請求項1記載の放電管をコイル近傍に配設する放電コイルの配設構造であって、
前記放電管を前記コイルから2mm以内の範囲に配設したことを特徴とするものである。
【0018】
上記発明のように、放電管をコイルから2mm以内の範囲に配設した際、特に有効に安定した放電を実現することができる。
【0019】
また、請求項3記載の発明は、
絶縁体からなり、第1の端面及び第2の端面にそれぞれメタライズ面が形成されてなる気密筒と、
該気密筒の第1の端面に形成されたメタライズ面に接合される第1の放電電極と、
前記気密筒の第2の端面に形成されたメタライズ面に接合される第2の放電電極とを設けており、
前記第1及び第2の放電電極が前記各メタライズ面に接合されることにより、前記第1の放電電極と前記第2の放電電極との間に放電ギャップが形成されると共に前記気密筒が気密封止される放電管において、
前記気密筒内の前記放電ギャップと対向する領域内に複数の線分状の放電トリガ線を形成し、かつ該複数の線分状の放電トリガ線を等間隔に配置したことを特徴とするものである。
【0020】
上記発明によれば、気密筒内の放電ギャップと対向する領域内に複数の線分状の放電トリガ線を形成し、かつ複数の線分状の放電トリガ線を等間隔に配置したことにより、放電管をトランスの近傍位置に配置しても、トランスから発生する磁界や電磁波の影響を受け、線分状の放電トリガ線に電磁誘導による電流の発生を最小限に抑制することができ、よって放電管で繰り返し発生する放電電位を安定化させることができる。
【0021】
また、請求項4記載の発明は、
請求項3記載の放電管において、
前記線分状の放電トリガ線の長さを2mm以下0.3mm以上としたことを特徴とするものである。
【0022】
上記発明のように、線分状の放電トリガ線の長さを2mm以下0.3mm以上とすることにより、特に有効に放電管で繰り返し発生する放電電位を安定化させることができる。
【0023】
また、請求項5記載の発明は、
請求項3または4記載の放電管をトランス近傍に配設する放電コイルの配設構造であって、
前記放電管を前記トランスから2mm以内の範囲に配設したことを特徴とするものである。
【0024】
上記発明のように、放電管をトランスから2mm以内の範囲に配設した際、特に有効に安定した放電を実現することができる。
【0025】
また、請求項6記載の発明は、
絶縁体からなり、第1の端面及び第2の端面にそれぞれメタライズ面が形成されてなる気密筒と、
該気密筒の第1の端面に形成されたメタライズ面に接合される第1の放電電極と、
前記気密筒の第2の端面に形成されたメタライズ面に接合される第2の放電電極とを設けており、
前記第1及び第2の放電電極が前記各メタライズ面に接合されることにより、前記第1の放電電極と前記第2の放電電極との間に放電ギャップが形成されると共に前記気密筒が気密封止される放電管において、
前記気密筒内の前記放電ギャップと対向する領域内に複数の点状の放電トリガ線を形成し、かつ該複数の点状の放電トリガ線を等間隔に配置したことを特徴とするものである。
【0026】
上記発明によれば、気密筒内の放電ギャップと対向する領域内に複数の点状の放電トリガ線を形成し、かつ複数の点状の放電トリガ線を等間隔に配置したことにより、放電管をコイルとトランスとの間に配置しても、コイル及びトランスから発生する磁界や電磁波の影響を受け、点状の放電トリガ線に電磁誘導による電流の発生を最小限に抑制することができ、よって放電管で繰り返し発生する放電電位を安定化させることができる。
【0027】
また、請求項7記載の発明は、
請求項6記載の放電管において、
前記点状の放電トリガ線の直径を2mm以下0.3mm以上としたことを特徴とするものである。
【0028】
上記発明のように、点状の放電トリガ線の直径を2mm以下0.3mm以上とすることにより、特に有効に放電管で繰り返し発生する放電電位を安定化させることができる。
【0029】
また、請求項8記載の発明は、
請求項6または7記載の放電管をコイルとトランスとの間に配設する放電コイルの配設構造であって、
前記放電管を前記コイル及び前記コイル及びトランスから2mm以内の範囲に配設したことを特徴とするものである。
【0030】
上記発明のように、放電管をコイル及びトランスから2mm以内の範囲に配設した際、特に有効に安定した放電を実現することができる。
【0031】
また、請求項9記載の発明は、
絶縁体からなり、第1の端面及び第2の端面にそれぞれメタライズ面が形成されてなる気密筒と、
該気密筒の第1の端面に形成されたメタライズ面に接合される第1の放電電極と、
前記気密筒の第2の端面に形成されたメタライズ面に接合される第2の放電電極と、
前記気密筒の内壁に形成された放電トリガ線とを設けており、
前記第1及び第2の放電電極が前記各メタライズ面に接合されることにより、前記第1の放電電極と前記第2の放電電極との間に放電ギャップが形成されると共に前記気密筒が気密封止される放電管において、
前記放電ギャップの間隔をAとし、前記第1または第2放電電極から前記放電トリガ線までの距離をBとしたとき、A≦2×Bとなるよう構成したことを特徴とするものである。
【0032】
上記発明によれば、放電ギャップの間隔Aと、第1または第2放電電極から放電トリガ線までの距離BがA≦2×Bとなるよう構成したことにより、第1または第2放電電極から放電トリガ線までの距離Bは、放電ギャップの間隔Aに対して2倍と広いため、気密筒の内側壁部分放電の際にスパッタが付着しても、このスパッタが放電ギャップで発生する放電に影響を及ぼすようなことはなく、放電ギャップで繰り返し発生する放電の放電電位を安定化させることができる。
【0033】
また、請求項10記載の発明は、
絶縁体からなり、第1の端面及び第2の端面にそれぞれメタライズ面が形成されてなる気密筒と、
該気密筒の第1の端面に形成されたメタライズ面に接合される第1の放電電極と、
前記気密筒の第2の端面に形成されたメタライズ面に接合される第2の放電電極と、
前記第1及び第2放電電極が前記各メタライズ面に接合されることにより、前記第1の放電電極と前記第2の放電電極との間に放電ギャップが形成されると共に前記気密筒が気密封止される放電管において、
前記放電ギャップの間隔をAとし、前記第1または第2放電電極から前記気密筒の内壁までの距離をCとしたとき、A≦2×Cとなるよう構成したことを特徴とするものである。
【0034】
上記発明によれば、放電ギャップの間隔Aと、第1または第2放電電極から気密筒の内壁までの距離CがA≦2×Cとなるよう構成したことにより、第1または第2放電電極から気密筒の内壁までの距離Cは、放電ギャップの間隔Aに対して2倍と広いため、気密筒の内側壁部分放電の際にスパッタが付着しても、このスパッタが放電ギャップで発生する放電に影響を及ぼすようなことはなく、放電ギャップで繰り返し発生する放電の放電電位を安定化させることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
【0036】
図11は、本発明の第1実施例である放電管1Bを示しており、また図12はその気密筒10の内側壁の展開図である。尚、本実施例の説明に用いるにおいて、先に説明した図1乃至図6に示した構成と同一構成については同一符号を付して説明するものとする。
【0037】
放電管1Bは、図11に示されるように、大略すると気密筒10,上部放電電極22,及び下部放電電極24等により構成されている。気密筒10は円筒形状を有しており、セラミック等の絶縁体から形成されている。この気密筒10の上端開口部及び下端開口部には、それぞれ42アロイ(鉄―ニッケル合金)等の金属からなる上部放電電極22と下部放電電極24が接合されている。
【0038】
即ち、上部放電電極22及び下部放電電極24には円板状の蓋体部26、28が一体的に形成されており、また気密筒10の上端開口部及び下端開口部にはメタライズ面40が形成されている。よって、各放電電極22,24に生成された蓋体26、28を気密筒10の各開口部に形成されたメタライズ面40にろう付けすることにより、上部放電電極22及び下部放電電極24は、気密筒10に接合される。
【0039】
この接合の際、気密筒10内には不活性ガス等の混合ガスが封入される。よって、気密筒10内に封入された混合ガスは、上部放電電極22と上部放電面23を接合することにより、気密筒10内に気密封止される。
【0040】
また、上部放電電極22は、蓋体26から気密筒10の中央位置に向け突出しており、その先端部は小径の円柱状に形成されている。また、この小径の円柱状の先端部に放電面23(以下、上部放電面23という)が形成されており、上部放電面23には放電を安定させて発生させるための凹部27が設けられている。
【0041】
同様に、下部放電電極24は、蓋体28から気密筒10の中央位置に向け突出しており、その先端部は小径の円柱状に形成されている。また、この小径の円柱状の先端部に放電面25(以下、上部放電面25という)が形成されており、この下部放電面25にも放電を安定させて発生させるための凹部27が設けられている。
【0042】
放電管1B内の放電は、上部放電面23と下部放電面25との間の離間部分で発生する。この上部放電面23と下部放電面25との間の離間部分を、以下放電ギャップ29という。また以下の説明において、▲1▼気密筒10の中心軸(図11に矢印Aで示す二点差線)に直交する面で放電ギャップ29の中央位置(軸方向に対する中央位置)を含む面を第1平面31といい、▲2▼気密筒10の中心軸Aに直交する面で上部放電面23を含む面を第2平面33といい、▲3▼気密筒10の中心軸Aに直交する面で下部放電面25を含む面を第3平面35というものとする。
【0043】
上記構成とされた放電管1Bにおいて、気密筒10の中央位置、換言すると前記の第1平面31が気密筒10の内側壁と交わる位置には、本実施例の特徴となる環状放電トリガ線50Aが形成されている。この環状放電トリガ線50Aは線幅が約0.5mmのカーボン等の導電性材料により形成されており、図12に示されるように本実施例では、メタライズ面40と略平行に気密筒10の内側壁を横断するよう、環状に1本形成された構成とされている。
【0044】
図13は、上記構成とされた放電管1Bを、先に図4を用いて説明した同様にコイル2の近傍位置に配置し、その状態で放電管1Bを放電処理されたときの放電特性を示している。
【0045】
具体的には、放電管1Bはコイル2に対して2mm以内の離間距離となるようコイル2に取り付けた。また、放電管1Bに対しては、上部放電電極22と下部放電電極24との間にコンデンサーにチャージされた電荷を繰り返し加えて、その上部放電電極22の上部放電面23と下部放電電極24の下部放電面25との間にアーク放電を繰り返し発生させた。また、コイル2としては、AC100V商用電源を4000Vに昇圧させるためのコイル(液晶プロジェクターに一般に用いられるコイル)を使用した。
【0046】
図13より、本実施例の放電管1Bを用いることにより、この放電管1Bをコイル2の近傍位置に配置しても、一定の放電電位を有した放電が安定して繰り返し発生していることが判る。先に図8を用いて説明した従来の放電管1Aをコイル2の近傍位置に配置したときの放電特性に比べても、本実施例の放電管1Bが極めて安定した放電を実現していることが判る。
【0047】
このように本実施例に係る放電管1Bをコイル2の近傍位置に配置しても放電特性が向上するのは、本実施例では気密筒10の第1平面31と交差する位置、即ち気密筒10の中央位置に環状放電トリガ線50Aを形成したことによる。
【0048】
本実施例のように、環状放電トリガ線50Aを形成することにより、この環状放電トリガ線50Aは気密筒10の軸方向に対し直交する第1平面31上に形成される。このため、放電管1Bをコイル2の近傍位置に配置しても、環状放電トリガ線50Aの形成方向とコイル2のコイル巻き線方向は略平行となる。
【0049】
よって、コイル2から発生する磁界や電磁波の影響を受けても、環状放電トリガ線50Aは電磁誘導による電流の発生を最小限に抑制することができ、放電管1Bで繰り返し発生する放電電位を安定化させることができる。
【0050】
図14は、上記した第1実施例に係る放電管1Bの変形例を示している。図14では、変形例に係る放電管の気密筒10を展開した図のみを示している。本変形例は、上記した第2平面33と第3平面35との間、即ち気密筒10の放電ギャップ29と対向する領域に複数の環状放電トリガ線50Aを配設したものである。
【0051】
本変形例のように、気密筒10の放電ギャップ29と対向する領域に複数の環状放電トリガ線50Aを配設した構成の放電管を第1実施例と同じ条件でコイル2の近傍位置に配置し放電特性を求めたところ、図13に示すのと略等しい放電特性を得ることができた。よって、第1実施例のように気密筒10の中央位置に1本の環状放電トリガ線50Aを形成した構成に限定されず、気密筒10内の放電ギャップ29と対向する領域(第2平面33と第3平面35との間の領域)に1本または複数の環状放電トリガ線50Aを形成した構成とすれば、コイル2から発生する磁界や電磁波の影響を受けても、環状放電トリガ線50Aに電磁誘導による電流が発生するのを防止することができ、放電ギャップ29で繰り返し発生する放電電位を安定化させることができる。
【0052】
続いて、本発明の第2実施例について説明する。
【0053】
図15は、本発明の第2実施例である放電管1Cを示しており、また図16はその気密筒10の内側壁の展開図である。尚、本実施例の説明に用いる図15,図16,及び図18において、先の第1実施例の説明に用いた図11,図12,及び図14に示した構成と同一構成については同一符号を付してその説明を省略するものとする。
【0054】
本実施例に係る放電管1Cは、気密筒10の中央位置、換言すると前記の第1平面31が気密筒10の内側壁と交わる位置に、複数の線分状の放電トリガ線50Bを形成したことを特徴としている。本実施例においては、2本の線状放電トリガ線50Bが形成されており、かつ、この2本の線状放電トリガ線50Bは180度の等間隔で配置された構成とされている。
【0055】
この線状放電トリガ線50Bは、線幅が約0.5mmのカーボン等の導電性材料により形成されている。また、線状放電トリガ線50Bの気密筒10の周方向に対する長さ(図16に矢印Lで示す長さ)は、0.3mm以上2mm以下に選定することが、後述する放電特性を向上させる面からは望ましい。
【0056】
図17は、上記構成とされた放電管1Cを、先に図5を用いて説明した同様にトランス4の近傍位置に配置し、その状態で放電管1Cを放電処理されたときの放電特性を示している。
【0057】
具体的には、放電管1Cはトランス4に対して2mm以内の離間距離となるようトランス4に取り付けた。また、放電管1Cに対しては、上部放電電極22と下部放電電極24との間にコンデンサーにチャージされた電荷を繰り返し加えて、その上部放電電極22の上部放電面23と下部放電電極24の下部放電面25との間にアーク放電を繰り返し発生させた。また、トランス4としては、液晶プロジェクター内に配設され、信号電流の中継或いは増幅処理を行なうもの(液晶プロジェクターに一般に用いられるトランス)を使用した。
【0058】
図17より、本実施例の放電管1Cを用いることにより、この放電管1Cをトランス4の近傍位置に配置しても、一定の放電電位を有した放電が安定して繰り返し発生していることが判る。先に図9を用いて説明した従来の放電管1Aをトランス4の近傍位置に配置したときの放電特性に比べても、本実施例の放電管1Cが極めて安定した放電を実現していることが判る。
【0059】
このように本実施例に係る放電管1Bをトランス4の近傍位置に配置しても放電特性が向上するのは、本実施例では気密筒10の第1平面31と交差する位置、即ち気密筒10の中央位置に線状放電トリガ線50Bを形成したことによる。
【0060】
本実施例のように、線状放電トリガ線50Bを形成することにより、コイルよりも更に高電圧パルスを発生させるトランス4から発生する強力な磁界や電磁波の影響を受けても、線状放電トリガ線50Bは、電磁誘導による電流の発生を更に最小限に抑制することができる。よって、トランス4から発生する磁界や電磁波の影響を受けても、放電管1Cで繰り返し発生する放電電位を安定化させることができる。
【0061】
図18は、上記した第2実施例に係る放電管1Cの変形例を示している。図18では、変形例に係る放電管の気密筒10を展開した図のみを示している。本変形例は、気密筒10の周方向に対しては4本の線状放電トリガ線50Bを45°の等間隔で配設し、これを気密筒10の軸方向(図18に矢印Xで示す方向)にも複数段(本)配設したものである。
【0062】
本変形例のように、気密筒10の放電ギャップ29と対向する領域に複数の線状放電トリガ線50Bを配設した構成の放電管を第2実施例と同じ条件でトランス4の近傍位置に配置し放電特性を求めたところ、図17に示すのと略等しい放電特性を得ることができた。よって、第2実施例のように気密筒10の中央位置に線状放電トリガ線50Bを形成した構成に限定されず、気密筒10内の放電ギャップ29と対向する領域(第2平面33と第3平面35との間の領域)に1本または複数の線状放電トリガ線50Bを形成した構成とすれば、トランス4から発生する磁界や電磁波の影響を受けても、放電ギャップ29で繰り返し発生する放電電位を安定化させることができる。
【0063】
続いて、本発明の第3実施例について説明する。
【0064】
図19は、本発明の第3実施例である放電管1Dを示しており、また図20はその気密筒10の内側壁の展開図である。尚、本実施例の説明に用いる図19及び図20において、先の第1実施例の説明に用いた図11,図12,及び図14に示した構成と同一構成については同一符号を付してその説明を省略するものとする。
【0065】
本実施例に係る放電管1Dは、気密筒10の中央位置、換言すると前記の第1平面31が気密筒10の内側壁と交わる位置に、複数の点状放電トリガ線50Cを形成したことを特徴としている。本実施例においては、2点の線状放電トリガ線50Bが形成されており、かつ、この2点の線状放電トリガ線50Bは180度の等間隔で配置された構成とされている。この点状放電トリガ線50Cの直径(図20に矢印Rで示す)は、後述する放電特性を向上させる面から0.3mm以上2mm以下に選定されている。
【0066】
図21は、上記構成とされた放電管1Dを、先に図6を用いて説明した同様にコイル2とトランス4との間位置に配置し、その状態で放電管1Dを放電処理されたときの放電特性を示している。
【0067】
具体的には、放電管1Dはコイル2及びトランス4に対して2mm以内の離間距離となるよう配置した。この条件を満たせば、放電管1Dをコイル2或いはトランス4のいずれに配置しても、後述するのと同一の放電特性が得られる。また、放電管1Dに対しては、上部放電電極22と下部放電電極24との間にコンデンサーにチャージされた電荷を繰り返し加えて、その上部放電電極22の上部放電面23と下部放電電極24の下部放電面25との間にアーク放電を繰り返し発生させた。また、コイル2及びトランス4としては、先の第1及び第2実施例で説明したのと同一のコイル及びトランスを使用した。
【0068】
図21より、本実施例の放電管1Dを用いることにより、この放電管1Dをコイル2とトランス4との間位置に配置しても、一定の放電電位を有した放電が安定して繰り返し発生していることが判る。先に図10を用いて説明した従来の放電管1Aをコイル2とトランス4との間位置に配置したときの放電特性に比べても、本実施例の放電管1Dが極めて安定した放電を実現していることが判る。
【0069】
このように本実施例に係る放電管1Dをコイル2の近傍位置に配置しても放電特性が向上するのは、本実施例では気密筒10の第1平面31と交差する位置、即ち気密筒10の中央位置に点状放電トリガ線50Cを形成したことによる。
【0070】
本実施例のように、点状放電トリガ線50Cを形成することにより、コイル2及びより強力な磁界や電磁波を発生させるトランス4からの複合された影響を受けても、点状放電トリガ線50Cは、各コイル2,トランス4からの電磁誘導による電流の発生を最小限に抑制することができる。よって、コイル2及びトランス4から発生する磁界や電磁波の影響を受けても、放電管1Cで繰り返し発生する放電電位を安定化させることができる。
【0071】
尚、本実施例においても、図14及び図18で説明した各変形例と同様に気密筒10の放電ギャップ29と対向する領域に複数の点状放電トリガ線50Cを配設した構成としてもよい。この構成としても、図21に示すのと略等しい放電特性を得ることができる。
【0072】
従って、図19及び図20に示すように気密筒10の中央位置に点状放電トリガ線50Cを形成した構成に限定されず、気密筒10内の放電ギャップ29と対向する領域(第2平面33と第3平面35との間の領域)に複数点の点状放電トリガ線50Cを形成した構成とすれば、コイル2及びトランス4から発生する磁界や電磁波の影響を受けても、放電ギャップ29で繰り返し発生する放電電位を安定化させることができる。
【0073】
続いて、本発明の第4及び第5実施例について説明する。
【0074】
図22は、本発明の第4及び第5実施例である放電管1E,1Fを示している。第4実施例に係る放電管1Eと第5実施例である放電管1Fは、図示される内部寸法A,B,C(矢印で示す)が異なるのみで、他の構成は同一であるため、図22を用いて一括的に説明するものとする。尚、各実施例の説明に用いる図22において、先の第1実施例の説明に用いた図11,図12,及び図14に示した構成と同一構成については同一符号を付してその説明を省略するものとする。
【0075】
先ず、第4実施例に係る放電管1Eについて説明する。本実施例に係る放電管1Eは、基本構成は上記した各実施例と同様の構成であり、大略すると気密筒10,上部放電電極22,及び下部放電電極24等により構成されている。また、気密筒10の内壁には放電トリガ線50Dが形成されているが、後述する条件を満足するものであれば、特にその形状や配設位置を限定されるものではない。
【0076】
本実施例に係る放電管1Eは、放電ギャップ29の間隔をA(図22に矢印で示す)とし、上部放電面23或いは下部放電面25から放電トリガ線50Dまでの距離をB(図22では、上部放電面23と放電トリガ線50Dとの距離を矢印Bで示している)としたとき、A≦2×Bとなるよう構成したことを特徴とするものである。
【0077】
図23は、上記構成とされた放電管1Eを単体で放電処理させたときの放電特性を示している。同図より、本実施例の放電管1Eを用いることにより、一定の放電電位を有した放電が安定して繰り返し発生していることが判る。
【0078】
図24は、比較のために放電ギャップ29の間隔Aと、上部放電面23(或いは下部放電面25)から放電トリガ線50Dまでの距離Bとが、A>2×Bである放電管(以下、第1の比較例放電管という)を作製し、この第1の比較例放電管を単体で放電処理させたときの放電特性を示している。同図に示すように、第1の比較例放電管では放電電位のバラツキが大きく不安定な放電であることが判る。
【0079】
本実施例の放電管1Eにおいて放電特性が向上するのは、次の理由によるものと考えられる。即ち、放電ギャップ29の間隔Aと、上部または下部放電面23,25から放電トリガ線50Dまでの距離BがA≦2×Bとなることにより、上部または下部放電面23,25から放電トリガ線50Dまでの距離Bは、放電ギャップの間隔Aに対して2倍以上と広くなる。
【0080】
このため、放電時に気密筒10の内側壁部分にスパッタが付着しても、また外部磁界等の影響により放電トリガ線50Dに電流が発生しても、このスパッタや誘起電流が放電ギャップ29で発生する放電に影響を及ぼすようなことはなく、よって放電ギャップ29で繰り返し発生する放電の放電電位を安定化させることができるものと考えられる。
【0081】
続いて、第5実施例に係る放電管1Fについて説明する。本実施例に係る放電管1Fも基本構成は上記した各実施例と同様の構成であり、大略すると気密筒10,上部放電電極22,及び下部放電電極24等により構成されている。また、本実施例の場合には、気密筒10の内壁放電トリガ線が存在していても、また存在していなくよもよい。
【0082】
本実施例に係る放電管1Fは、放電ギャップ29の間隔をA(図22に矢印で示す)とし、上部放電面23或いは下部放電面25から気密筒10の内壁までの距離をC(図22では、上部放電面23と気密筒10の内壁との距離を矢印Cで示している)としたとき、A≦2×Cとなるよう構成したことを特徴としている。
【0083】
図25は、上記構成とされた放電管1Fを単体で放電処理させたときの放電特性を示している。同図より、本実施例の放電管1Fを用いることにより、一定の放電電位を有した放電が安定して繰り返し発生していることが判る。
【0084】
図26は、比較のために放電ギャップ29の間隔Aと、上部放電面23(或いは下部放電面25)から気密筒10の内壁までの距離Cとが、A>2×Cである放電管(以下、第2の比較例放電管という)を作製し、この第2の比較例放電管を単体で放電処理させたときの放電特性を示している。同図に示すように、第2の比較例放電管では放電電位のバラツキが大きく不安定な放電であることが判る。
【0085】
本実施例の放電管1Fにおいて放電特性が向上するのは、次の理由によるものと考えられる。即ち、放電ギャップ29の間隔Aと、上部または下部放電面23,25から気密筒10の内壁までの距離CがA≦2×Cとなることにより、上部または下部放電面23,25から気密筒10の内壁までの距離Cは、放電ギャップの間隔Aに対して2倍以上と広くなる。
【0086】
このため、放電時に気密筒10の内側壁部分にスパッタが付着しても、このスパッタが放電ギャップ29で発生する放電に影響を及ぼすようなことはなく、よって放電ギャップ29で繰り返し発生する放電の放電電位を安定化させることができるものと考えられる。
【0087】
【発明の効果】
上述の如く本発明によれば、次に述べる種々の効果を実現することができる。
【0088】
請求項1及び2記載の発明によれば、放電管をコイルの近傍位置に配置しても、コイルから発生する磁界や電磁波により、環状放電トリガ線に電磁誘導による電流が発生するのを防止することができるため、放電管で繰り返し発生する放電電位を安定化させることができる。
【0089】
また、請求項3乃至5記載の発明によれば、放電管をトランスの近傍位置に配置しても、トランスから発生する磁界や電磁波により、線分状の放電トリガ線に電磁誘導による電流が発生するのを防止することができるため、放電管で繰り返し発生する放電電位を安定化させることができる。
【0090】
また、請求項6乃至8記載の発明によれば、放電管をコイルとトランスとの間に配置しても、コイル及びトランスから発生する磁界や電磁波により、点状の放電トリガ線に電磁誘導による電流が発生するのを防止することができるため、放電管で繰り返し発生する放電電位を安定化させることができる。
【0091】
また、請求項9記載の発明によれば、第1または第2放電電極から放電トリガ線までの距離Bは、放電ギャップの間隔Aに対して2倍と広いため、気密筒の内側壁部分放電の際にスパッタが付着しても、このスパッタが放電ギャップで発生する放電に影響を及ぼすようなことはなく、放電ギャップで繰り返し発生する放電の放電電位を安定化させることができる。
【0092】
また、請求項10記載の発明によれば、第1または第2放電電極から気密筒の内壁までの距離Cは、放電ギャップの間隔Aに対して2倍と広いため、気密筒の内側壁部分放電の際にスパッタが付着しても、このスパッタが放電ギャップで発生する放電に影響を及ぼすようなことはなく、放電ギャップで繰り返し発生する放電の放電電位を安定化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の一例である放電管を示す断面図である。
【図2】図1に示す放電管を構成する気密筒の内側壁を展開した展開図である。
【図3】放電管の外観図である。
【図4】放電管をコイルの近傍に配設した状態を示す図である。
【図5】放電管をトランスの近傍に配設した状態を示す図である。
【図6】放電管をコイルとトランスとの間に配設した状態を示す図である。
【図7】従来の放電管を単体で使用したときの放電特性データ図である。
【図8】従来の放電管をコイルの近傍に配設したときの放電特性データ図である。
【図9】従来の放電管をトランスの近傍に配設したときの放電特性データ図である。
【図10】従来の放電管をコイルとトランスとの間に配設したときの放電特性データ図である。
【図11】本発明の第1実施例である放電管を示す断面図である。
【図12】図11に示す放電管を構成する気密筒の内側壁を展開した展開図である。
【図13】本発明の第1実施例である放電管をコイルの近傍に配設したときの放電特性データ図である。
【図14】本発明の第1実施例の変形例である放電管を構成する気密筒の内側壁を展開した展開図である。
【図15】本発明の第2実施例である放電管を示す断面図である。
【図16】図15に示す放電管を構成する気密筒の内側壁を展開した展開図である。
【図17】本発明の第2実施例である放電管をトランスの近傍に配設したときの放電特性データ図である。
【図18】本発明の第2実施例の変形例である放電管を構成する気密筒の内側壁を展開した展開図である。
【図19】本発明の第3実施例である放電管を示す断面図である。
【図20】図19に示す放電管を構成する気密筒の内側壁を展開した展開図である。
【図21】本発明の第3実施例である放電管をコイルとトランスとの間に配設したときの放電特性データ図である。
【図22】本発明の第4及び第5実施例である放電管を説明するための断面図である。
【図23】本発明の第4実施例である放電管の放電特性データ図である。
【図24】図23に示す放電特性データ図に対する比較例である放電特性データ図である。
【図25】本発明の第5実施例である放電管の放電特性データ図である。
【図26】図25に示す放電特性データ図に対する比較例である放電特性データ図である。
【符号の説明】
1A〜1F 放電管
2 コイル
4 トランス
10 気密筒
22 上部放電電極
23 上部放電面
24 下部放電電極
25 下部放電面
26,28 蓋体
29 放電ギャップ
31 第1平面
33 第2平面
35 第3平面
40 メタライズ面
50A〜50D 放電トリガ線
Claims (10)
- 絶縁体からなり、第1の端面及び第2の端面にそれぞれメタライズ面が形成されてなる気密筒と、
該気密筒の第1の端面に形成されたメタライズ面に接合される第1の放電電極と、
前記気密筒の第2の端面に形成されたメタライズ面に接合される第2の放電電極とを設けており、
前記第1及び第2の放電電極が前記各メタライズ面に接合されることにより、前記第1の放電電極と前記第2の放電電極との間に放電ギャップが形成されると共に前記気密筒が気密封止される放電管において、
前記気密筒内の前記放電ギャップと対向する領域に、1本または複数の環状放電トリガ線を形成したことを特徴とする放電管。 - 請求項1記載の放電管をコイル近傍に配設する放電コイルの配設構造であって、
前記放電管を前記コイルから2mm以内の範囲に配設したことを特徴とする放電コイルの配設構造。 - 絶縁体からなり、第1の端面及び第2の端面にそれぞれメタライズ面が形成されてなる気密筒と、
該気密筒の第1の端面に形成されたメタライズ面に接合される第1の放電電極と、
前記気密筒の第2の端面に形成されたメタライズ面に接合される第2の放電電極とを設けており、
前記第1及び第2の放電電極が前記各メタライズ面に接合されることにより、前記第1の放電電極と前記第2の放電電極との間に放電ギャップが形成されると共に前記気密筒が気密封止される放電管において、
前記気密筒内の前記放電ギャップと対向する領域内に複数の線分状の放電トリガ線を形成し、かつ該複数の線分状の放電トリガ線を等間隔に配置したことを特徴とする放電管。 - 請求項3記載の放電管において、
前記線分状の放電トリガ線の長さを2mm以下0.3mm以上としたことを特徴とする放電管。 - 請求項3または4記載の放電管をトランス近傍に配設する放電コイルの配設構造であって、
前記放電管を前記トランスから2mm以内の範囲に配設したことを特徴とする放電コイルの配設構造。 - 絶縁体からなり、第1の端面及び第2の端面にそれぞれメタライズ面が形成されてなる気密筒と、
該気密筒の第1の端面に形成されたメタライズ面に接合される第1の放電電極と、
前記気密筒の第2の端面に形成されたメタライズ面に接合される第2の放電電極とを設けており、
前記第1及び第2の放電電極が前記各メタライズ面に接合されることにより、前記第1の放電電極と前記第2の放電電極との間に放電ギャップが形成されると共に前記気密筒が気密封止される放電管において、
前記気密筒内の前記放電ギャップと対向する領域内に複数の点状の放電トリガ線を形成し、かつ該複数の点状の放電トリガ線を等間隔に配置したことを特徴とする放電管。 - 請求項6記載の放電管において、
前記点状の放電トリガ線の直径を2mm以下0.3mm以上としたことを特徴とする放電管。 - 請求項6または7記載の放電管をコイルとトランスとの間に配設する放電コイルの配設構造であって、
前記放電管を前記コイル及び前記トランスから2mm以内の範囲に配設したことを特徴とする放電コイルの配設構造。 - 絶縁体からなり、第1の端面及び第2の端面にそれぞれメタライズ面が形成されてなる気密筒と、
該気密筒の第1の端面に形成されたメタライズ面に接合される第1の放電電極と、
前記気密筒の第2の端面に形成されたメタライズ面に接合される第2の放電電極と、
前記気密筒の内壁に形成された放電トリガ線とを設けており、
前記第1及び第2の放電電極が前記各メタライズ面に接合されることにより、前記第1の放電電極と前記第2の放電電極との間に放電ギャップが形成されると共に前記気密筒が気密封止される放電管において、
前記放電ギャップの間隔をAとし、前記第1または第2放電電極から前記放電トリガ線までの距離をBとしたとき、A≦2×Bとなるよう構成したことを特徴とする放電管。 - 絶縁体からなり、第1の端面及び第2の端面にそれぞれメタライズ面が形成されてなる気密筒と、
該気密筒の第1の端面に形成されたメタライズ面に接合される第1の放電電極と、
前記気密筒の第2の端面に形成されたメタライズ面に接合される第2の放電電極と、
前記第1及び第2放電電極が前記各メタライズ面に接合されることにより、前記第1の放電電極と前記第2の放電電極との間に放電ギャップが形成されると共に前記気密筒が気密封止される放電管において、
前記放電ギャップの間隔をAとし、前記第1または第2放電電極から前記気密筒の内壁までの距離をCとしたとき、A≦2×Cとなるよう構成したことを特徴とする放電管。
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