JP2004214009A - 組電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】側板2a,2b間の棚板2c上と底板2e上に複数段の棚を有し、各棚に電池を収納した金属製のラック2を、少なくとも底面と周側面を覆う樹脂製のケース3内に、このラック2の上下端部の天井板2dと底板2eとを除く側方の周囲に間隙Sを設けて収容した構成とする。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の電池をラックに収納してモジュール化した組電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
大型の電池を多数個ラックに収納して組電池の構成例を図5に示す。この組電池で用いる電池1は、1個又は複数個の単電池が内部で接続されたものをパッケージ内に収納した電池であり、パッケージの一方の端面から6個の正極端子1aを突出させると共に、他方の端面から6個の負極端子1bを突出させている。正極端子1aと負極端子1bを電池1の両端面に分けて設けると、各端面にはいずれかの極性の端子1a,1bしかないために、この端子1a,1bに外部回路や他の電池の端子と接続する接続杆等の断面積を容易に大きくすることができると共に、絶縁対策も容易となる。また、正極端子1aや負極端子1bをこのように複数個ずつ設けると、充放電の大電流をこれら複数の端子1a,1bに分散させることができるので、電池1の内部や外部の接続杆等での電流分布を均一にすることができ、局所的な電流の集中による電圧降下や発熱を減少させることができる。特に棒状の接続杆に代えて板状の接続杆を用いた場合には、板面全面に電流を広く分布させることができるようになる。さらに、正極端子1aや負極端子1bが複数個ずつ設けられていると、内部の発電要素の電極からこれらの端子1a,1bを介して外部の接続杆に至るまでの距離も短くなるので、この間の抵抗が小さくなるだけでなく、放熱効率を向上させることもできる。
【0003】
ラック2は、金属板を組み合わせて固定したものであり、左右方向の両側方に向かい合わせに立設された側板2a,2bの間に4枚の棚板2cを等間隔に固定すると共に、上下端に天井板2dと底板2eとを配置して構成される。従って、このラック2は、各段の棚板2c上と底板2e上の空間に5段の棚が形成される。上記電池1は、このラック2の各段の棚に左右方向に2個ずつ並べて収納される。この際、ラック2の前後方向のバランスを取るために、電池1は、段ごとに交互に前後方向から棚に収納するようになっている。また、電池1を収納した各棚の入り口には、押さえ板2fが止め付けられる。
【0004】
なお、小型の複数個の電池を組電池にする場合には、これらの電池を内側セルケースに収納すると共に、この内側セルケースの外周側面の中央部付近から突設した補強リブを介し冷風が流通する間隙をあけて外部セルケースで覆うようにしたものが従来からあった(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−301954号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図5に示した組電池は、それ自身の重量が数百kg以上に達する場合があり、しかも、このような組電池を多数個並べて配置した場合に、地震又は運搬中の振動や衝撃を受けたり、また、これらの組電池を上下に積み重ねて使用するような場合もある。さらに、このような組電池は、設置場所に多数個並べて配置し、ラック2間に楔を打ち込むことにより互いに密接させて固定することもある。しかしながら、このような場合には、ラック2に側方から数t以上の力が加わることがあるので、側板2a,2b等が内側に撓み、内部に収納した電池1を破損するおそれが生じるという問題がある。また、このために、側板2a,2b等の板厚を厚くしたり二重構造とすることにより強度を高めて歪みが生じないようにすると、ラック2自体が極めて大型となり広い設置スペースが必要になるだけでなく、組電池の重量がさらに重くなるという問題が発生する。
【0007】
また、特許文献1に示した組電池は、電池を内側セルケースと外側セルケースの二重構造のケースに収納するものであり、これらのセルケース間に間隙を設けるようになっているが、これら内側セルケースと外側セルケースの間は、内側セルケースの外周側面の中央部付近から突設した補強リブを介して支持されるので、大きな力が外側セルケースの側方から加わった場合に、補強リブが折れ曲がったり、この補強リブを介して内側セルケースが内側に撓むので、セルケースが破損したり内部に収納された電池が破損するのを防ぐことはできない。即ち、この特許文献1の組電池は、冷風を流して冷却を行う目的でセルケース間に間隙を設けているので、この間隙を支持する補強リブは、外力や内部の電池の自重に十分に耐え得るように中央部付近に配置している。従って、これらのセルケースは、図5に示した組電池のラック2における側板2a,2b等を二重構造にして補強した場合と同様の構造であり、この二重構造が破壊されるような大きな外力を受けることは考慮されていない。しかも、このような大きな外力に対して歪みや撓みが生じないようにさらにセルケースの補強を行うと、このセルケースが極めて大型になり広い設置スペースが必要になるだけでなく、組電池の重量が増大するという図5の組電池と同様の問題が発生することになる。
【0008】
本発明は、かかる事情に対処するためになされたものであり、電池を収納したラックを側方の周囲に間隙を設けてケースに収容することにより、外部から大きな力が加わってケースが歪んだり撓んだとしてもラック内部の電池が破損するようなことのない組電池を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の組電池は、上下方向の複数段の棚を1列以上有し、各棚に1個以上の電池を収納した金属製のラックを、少なくとも底面と周側面を覆う電気絶縁性を備えたケース内に、このラックの上下端部を除く側方の周囲に間隙を設けて収容したことを特徴とする。
【0010】
請求項1の発明によれば、電池を収納した金属製のラックは、上下端部で支持されてケース内に間隙をあけて収容されるので、内部に収納した電池の自重により例えば横置きされた場合に生じる外側への歪みや撓みがこの間隙の範囲内に納まるように設計すればよくなる。また、樹脂製のケースも、外部からの大きな力を受けた場合に生じる内側への歪みや撓みがこの間隙の範囲内に納まるように設計すればよくなる。なお、より好ましくは、これら双方の歪みや撓みが同時に重なって起こった場合にもこの間隙の範囲内に納まるように設計すべきである。また、このような外力が所定以内のものであれば、撓み等の変形は外力がなくなれば元に戻ることになる。従って、これらのラックやケースは、自重や外力に対して歪みや撓みを生じさせることで破損を免れるようにすればよいので、板厚を厚くしたり補強リブ等を設ける必要がなくなり、組電池の設置スペースが僅かに増加するだけで十分な強度を得ることができるようになる。しかも、金属製のラックは重量が大きくなるような補強が不要であり、ケースも樹脂等の軽量な素材を利用することができるので、組電池の重量も必要以上に増加することがなくなる。ここで、電気絶縁性を備えたケースとしては、所定の圧力までは弾性を有し、弾性変形や塑性変形によって外力に対抗する構造のものであればどのようなものであってもよいが、例えば軽量化のためにはナイロンやFRP等の樹脂成形品が好ましく、内部に絶縁処理を施した金属製や木材を用いたもの等であってもよい。
【0011】
なお、ラックの上下端部は、例えば天井板や底板が周囲に多少広がっていて、これがケースの内部に嵌合することにより中間部分に間隙を形成することができる。また、これとは逆にケース内内の上下端部に内側への突出部が形成され、これらの突出部がラックの上下端部を挟み込んで支持するようになっていてもよい。さらに、このラックの上下端部とケースの内壁との間に詰め物をすることにより支持することもできる。ただし、このようなラックの上下端部は、間隙がないために、ケースへの外力が直接ラックに加わることになる。しかしながら、このようなラックの上下端部には電池は収納されていないので、天井板や底板等を多少補強するだけで、電池が破損されるのを確実に防止することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1〜図4は本発明の一実施形態を示すものであって、図1は組電池のケースとこのケースに収容するラックを示す斜視図、図2は組電池の内部構成を示す縦断面斜視図、図3は組電池のケースに外力を加えたときの解析結果を示す縦断面正面図、図4は組電池を横置きにして衝撃を加えたときの解析結果を示す縦断面正面図である。なお、図5に示した組電池と同様の機能を有する構成部材には同じ番号を付記する。
【0014】
本実施形態では、図5に示した電池1とラック2をそのまま使用した組電池について説明する。ただし、図1〜図4では、構成を理解し易くするために、これらの電池1やラック2を模式的に示す。即ち、図1に示すように、ラック2は、左右に立設した側板2a,2bと、これらの間の4枚の棚板2cと、上下端の天井板2dと底板2eのみを示す。また、電池1は、このラック2の各棚に収納する2個を一体化すると共に端子の図示を両略して示す。
【0015】
上記のように、5段の各棚にそれぞれ電池1を収納した金属製のラック2は、樹脂製のケース3に収容される。ラック2の側板2a,2b等は、例えばステンレス鋼板等の金属板からなる。また、これらの側板2a,2bは、1枚の金属平板を曲げ加工することなく方形に切断したものを使用している。ただし、天井板2dと底板2eは、金属平板を方形箱状に板金加工して厚さを持たせることにより補強を行っている。また、これらの天井板2dと底板2eの方形箱状の周囲は、電池1が収納された側板2a,2bの周囲よりも、一回り大きくなるように形成されている。
【0016】
上記ケース3は、例えばナイロン66等の樹脂を、上端が開口し上下方向に長い角形容器状に成形したものである。また、このケース3の方形の内部は、ラック2の方形箱状の天井板2dと底板2eが隙間なく嵌合するような大きさになっている。そして、電池1を収納したラック2を持ち上げて、上方からこのケース3の内部に収容されて組電池となる。
【0017】
上記組電池は、図2に示すように、ラック2の上端部の天井板2dと下端部の底板2eがケース3の内壁面に接して隙間なく嵌まり込み、この間の側方の周囲におけるケース3の内壁面との間に間隙Sが形成される。この間隙Sは、図では誇張して表しているが、実際にはケース3の側壁の厚さが5mmを超える程度であるのに対して、幅約3mmの隙間であり、上下方向、及び、ケース3の内壁面と側板2a,2bや電池1の端面との間にほぼ均等な幅で形成される。なお、各段の棚に収納された電池1の端面には、端子1a,1bが突設され、これらの端子1a,1bに板状の接続杆が取り付けられるので、間隙Sは、実際には、この接続杆の表面又は端子1a,1bの突端とケース3の内壁面との間となる。
【0018】
上記構成の組電池に、ケース3の外側から、例えば前後方向の両外壁面の左右の端部に、上端部から下端部にかけて数t程度の外力を加えた場合の解析を行った結果、図3に示すように、ケース3の側壁の中央部が最大で1mm程度撓むことが分かった。従って、本実施形態の組電池が大きな振動や衝撃を受けたり大きな外力を受けた場合に、各ケース3に数t程度の圧力が加わったとしても、これによるケース3の側壁の撓みは間隙Sの幅の約3mmよりも小さいのでラック2にまで達することがなく、電池1が破損するようなおそれは生じない。なお、この解析では、組電池の上下端部にも圧力が加わり、この部分にはラック2を支持するために間隙Sが設けられていないので、多少の歪みは生じるが、このような歪みは主にラック2の天井板2dや底板2eが変形して吸収するので、これら天井板2dと底板2eの間に収納された電池1が破損するおそれは生じない。
【0019】
また、この組電池を横置きにして10G程度の衝撃を加えたときの解析を行った結果、図4に示すように、数百kg以上の自重によりラック2の中央部が最大で1mm程度撓むことが分かった。従って、本実施形態の組電池を横置きにして搬送したような場合にも、これによるラック2の撓みは間隙Sの幅の約3mmよりも小さいのでケース3の内壁面にまで達することがなく、電池1が破損するようなおそれは生じない。しかも、上記外力による撓みとこの自重による撓みが同時に重なったとしても、最大で2mm程度の撓みとなり、これに公差や安全率を考慮しても、間隙Sの幅の約3mmよりも十分に小さくなる。
【0020】
以上説明したように、本実施形態の組電池は、ケース3とラック2との間に間隙Sをあけることにより、ケース3やラック2を外力や自重によってある程度は歪んだり撓んだりすることができるようになるので、比較的軽量で簡単な構造であっても、これらの外力や自重に耐えることができるようになる。従って、組電池の設置スペースや重量をほとんど増加させることなく、内部に収納した電池1の破損を確実に防止することができるようになる。
【0021】
なお、上記実施形態では、ラック2が側板2a,2bと棚板2cや天井板2d、底板2e等で構成される場合を示したが、電池1を収納するための棚が上下方向に複数段設けられ、このような棚の列が1列以上あるものであれば、どのような構造のラックにも同様に実施可能である。また、この明細書では、上下方向と左右方向と前後方向により方向を示しているが、これらは三次元空間で互いに直交するこれらの方向を便宜的に示しているにすぎないので、実際には例えば図4に示すように横向きに載置して使用する組電池にも、同様に実施することができる。即ち、上下方向に複数段ある棚は、実際には垂直方向ではなく水平方向に並んでいてもよい。
【0022】
また、上記実施形態では、単電池を組み合わせて組電池とした電池1を用いる場合を示したが、単電池そのものを電池として用いることもでき、この電池の種類や構成は問わない。また、上記実施形態では、正極端子1aと負極端子1bとが6個ずつ設けられた電池1を示したが、これらの端子1a,1bが1個ずつ設けられた電池であってもよく、同じ端面にこれらの端子1a,1bが1個以上ずつ設けられた電池であっても同様に実施可能である。
【0023】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の組電池によれば、金属製のラックと樹脂製のケースの間に設けた間隙により、これらのラックやケースが自重や外力に対して歪みや撓みを生じさせることで破損を免れるようにすることができるので、設置スペースや重量をほとんど増加させることなく、大きな外力を受けた場合に内部に収納した電池が破損するのを確実に防止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すものであって、組電池のケースとこのケースに収容するラックを示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態を示すものであって、組電池の内部構成を示す縦断面斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態を示すものであって、組電池のケースに外力を加えたときの解析結果を示す縦断面正面図である。
【図4】本発明の一実施形態を示すものであって、組電池を横置きにして衝撃を加えたときの解析結果を示す縦断面正面図である。
【図5】電池をラックに収納する工程を示す組み立て斜視図である。
【符号の説明】
1 電池
2 ラック
2a 側板
2b 側板
2c 棚板
2d 天井板
2e 底板
3 ケース
Claims (1)
- 上下方向の複数段の棚を1列以上有し、各棚に1個以上の電池を収納した金属製のラックを、少なくとも底面と周側面を覆う電気絶縁性を備えたケース内に、このラックの上下端部を除く側方の周囲に間隙を設けて収容したことを特徴とする組電池。
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