JP2004184906A - 電子写真感光体、電子写真方法、電子写真装置および電子写真装置用プロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、電子写真方法、電子写真装置および電子写真装置用プロセスカートリッジ Download PDF

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望 田元
Yasuo Suzuki
康夫 鈴木
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一清 永井
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Abstract

【課題】耐摩耗性が高く、初期から長期に渡ってクリーニング性が良好で、繰り返しの使用にわたっても画像ボケなどの異常画像が発生せず、長期にわたり高画質な画像が安定に得られる高耐久の感光体を提供する。
【解決手段】導電性支持体上に少なくとも感光層及び保護層を順次形成してなる電子写真感光体において、前記保護層に少なくとも有機フィラー、アクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物及びバインダー樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高耐久性を有し、長期の繰返し使用においても画質劣化が少ない安定した画像出力が可能な電子写真感光体に関する。また、それらの感光体を使用した電子写真方法、電子写真装置、電子写真用プロセスカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真方式を用いた情報処理システム機の発展には目覚ましいものがある。特に、情報をデジタル信号に変換して光によって情報記録を行うレーザープリンターやデジタル複写機は、そのプリント品質、信頼性において向上が著しい。さらに、それらは高速化技術との融合によりフルカラー印刷が可能なレーザープリンターあるいはデジタル複写機へと応用されてきている。そのような背景から、要求される感光体の機能としては、高画質化と高耐久化を両立させることが特に重要な課題となっている。
【0003】
これらの電子写真方式のレーザープリンターやデジタル複写機等に使用される感光体としては、有機系の感光材料を用いたものが、コスト、生産性及び無公害性等の理由から一般に広く応用されている。有機系の電子写真感光体には、ポリビニルカルバゾ−ル(PVK)に代表される光導電性樹脂、PVK−TNF(2,4,7−トリニトロフルオレノン)に代表される電荷移動錯体型、フタロシアニン−バインダーに代表される顔料分散型、そして電荷発生物質と電荷輸送物質とを組み合わせて用いる機能分離型の感光体などが知られている。
【0004】
機能分離型の感光体における静電潜像形成のメカニズムは、感光体を帯電した後光照射すると、光は電荷輸送層を通過し、電荷発生層中の電荷発生物質により吸収され電荷を生成する。それによって発生した電荷が電荷発生層及び電荷輸送層の界面で電荷輸送層に注入され、さらに電界によって電荷輸送層中を移動し、感光体の表面電荷を中和することにより静電潜像を形成するものである。
【0005】
しかし、有機系の感光体は、繰り返し使用によって膜削れが発生しやすく、感光層の膜削れが進むと、感光体の帯電電位の低下や光感度の劣化、感光体表面のキズなどによる地汚れ、画像濃度低下などの画質劣化が促進される傾向が強く、従来から感光体の耐摩耗性が大きな課題として挙げられていた。さらに、近年では電子写真装置の高速化あるいは装置の小型化に伴う感光体の小径化によって、感光体の高耐久化がより一層重要な課題となっている。
【0006】
感光体の高耐久化を実現する方法としては、感光体の最表面に保護層を設け、フィラーを含有させたり、硬化させたりする方法が広く知られている。例えば、保護層に高硬度の金属酸化物を添加する方法(特開平4−281461号公報)は、添加する金属酸化物種によっては残留電位上昇や画像ボケの影響が増加するものの、耐摩耗性に対しては有効な方法であることが知られている。また、保護層を架橋硬化させる方法(特開昭56−48637号公報)もまた、重合開始剤や未反応基が残存することによって残留電位上昇の副作用が見られるが、その架橋条件や方法によっては高い耐摩耗性を得ることが可能であることがわかってきた。
【0007】
このように、有機系感光体の耐摩耗性を向上させ、高耐久化を実現しようとする試みは数多くなされており、それによって有機系感光体の飛躍的な耐摩耗性の向上が実現されてきた。しかし、耐摩耗性の向上に伴い画像ボケ等の異常画像の発生が顕著に見られる問題が顕在化されてきた。この画像ボケは、感光体の表面抵抗が低下し、電荷の横移動が生じることによって静電潜像がぼやけてしまうことによるものであり、この表面抵抗の低下は、感光体を帯電する際に発生するオゾンやNOxガス、及びそれらと大気中の水分とによって生成されるイオン種(以降、放電生成物と称する)が感光体上に付着、堆積されることによって引き起こされていると考えられている。
【0008】
また、感光体表面にトナーの外添剤が付着、蓄積したり、転写時に紙粉が付着、蓄積したりすることも画像ボケを始めとする異常画像の発生を誘発する原因となっている。従来の感光体は、耐摩耗性が低かったことから、前記放電生成物やトナー外添剤あるいは紙粉等の異物が感光体表面に付着しても、感光体表面の摩耗によって除去されたことにより、異常画像の発生は大きな問題にはならなかった。しかし、感光体の耐摩耗性の向上が実現されるに伴い、それらの異物の除去が困難となり、異常画像の発生が早期に発生する問題を抱えている。
【0009】
これらのことから、高画質維持のために感光体のクリーニング性が非常に重要な要件となってきている。感光体表面に異物が付着した場合、様々な画像欠陥が生じ、結局長寿命な画像出力ができないことになる。特に、上記保護層にフィラーを含有させ機械的摩耗を少なくした感光体においては、削れない分だけクリーニング性がより重要となる。
【0010】
また、写真調の高画質な画像出力の要求に対して、電子写真で使用されるトナーの粒径が小さくなってきており、トナー粒径が小さくなるに連れて感光体のクリーニング性は悪くなる傾向にある。また、小径トナーの関連として重合による球形トナーの検討もされるようになってきているが、球形トナーは従来の粉砕トナーに比べてクリーニング性が悪い傾向にある。この様に高耐久化を図るためにも高画質化を図るためにも感光体のクリーニング性を改良する必要があった。
【0011】
クリーニング性を改良する方法としては、感光体表面の摩擦係数を下げることが有効である。摩擦係数の低減は、耐摩耗性にも良い結果をもたらし、クリーニング性と耐摩耗性の両立が期待できる。さらに、摩擦係数を低減させることにより、感光体とトナーとの過剰な付着力を低減することが可能となり、その結果転写効率の向上や文字中抜けの抑制など、高画質化及び高耐久化に対し有効かつ有用な手段である。
【0012】
感光体表面の摩擦係数を低減させる従来方法としては、特開平07−295248号公報、特開平07−301936号公報、特開平08−082940号公報等に、表面層にフッ素変性シリコンオイルを含有させることにより表面性を改善し、クリーニング性を向上させて感光体表面の耐摩耗性を向上させる提案がある。しかし、表面層にフッ素変性シリコンオイルを含有させようとした場合、フッ素変性シリコンオイルは表面層形成過程で表面近傍に移行するため、感光体の未使用時には表面改質がなされているが、繰り返し使用による表面層の摩耗によって早期にその効果が失われてしまう。
【0013】
また、微粒子を添加する系に関しても様々な試みがなされている。例えばシリコーン樹脂微粒子、フッ素含有樹脂微粒子(特開昭63−65449号)、メラミン樹脂微粒子(特開昭60−177349号)等の添加である。特開平02−143257号公報には、表面層にポリエチレン粉体を含有させて表面層の摩擦係数を下げて、クリーニング性を向上させ感光体の耐摩耗性を向上させる提案がある。
【0014】
また、特開平02−144550号公報には、表面層に含フッ素樹脂粉体を含有させて表面層の摩擦係数を下げて、クリーニング性を向上させ感光体の耐摩耗性を向上させる提案がある。また、特開平07−128872号公報、特開平10−254160号公報には、表面層にシリコーン微粒子を含有させて表面層の摩擦係数を下げ、クリーニング性を向上させて感光体の耐摩耗性を向上させる提案がある。
【0015】
また、特開平2000−010322号公報および米国特許第5,998,072号明細書には、表面層に架橋型有機微粒子を含有させて表面層の摩擦係数を下げ、クリーニング性を向上させて感光体の耐摩耗性を向上させる提案がある。更に、特開平08−190213号公報には、表面層にメチルシロキサン樹脂微粒子を含有させて表面層の摩擦係数を下げ、クリーニング性を向上させて感光体の耐摩耗性を向上させる提案がある。これらの提案は感光体の表面の摩擦係数低減、表面エネルギーの低減等の機能付与による高耐久化を意図したものであるが、以下のような問題を有する。
【0016】
すなわち、感光体表面層に樹脂粉体或いは微粒子を分散させて感光体表面の摩擦係数低減を図った場合、前述のシリコンオイル添加の場合に比べると、表面層が摩耗してもある程度効果の持続性が向上する傾向にはあった。しかし、感光体表面を局所的に見ると、前記微粒子が存在する領域は摩擦係数低減効果が与えられるが、前記微粒子間の領域はバインダー樹脂があるだけであって摩擦係数の低減がなされていないため、感光体表面の摩擦係数低減効果にムラが生じ、効果の均一性が低下していた。
【0017】
従って、感光体表面において微粒子間における摩擦係数低減がなされていない領域が、繰り返し使用によって徐々に増加することによって、摩擦係数の上昇が引き起こされ、摩擦係数低減効果の持続性に満足される結果は得られていなかった。摩擦係数低減効果の均一性を高めるために、微粒子の添加量を増加すると、感光層の光透過性が妨げられることにより、感度低下、電荷輸送性能の低下を引き起こし、さらに塗膜不良や表面凹凸の影響により多くの画像欠陥の発生を引き起こすことになる。また、樹脂粉体或いは微粒子の分散不良を引き起こす場合も多く、それによって感光体表面の平滑性が低下し、異常画像の発生を促進させたり、画像濃度が低下したりする不具合も発生していた。
【0018】
また、感光体の耐摩耗性が向上しても、長期間の繰り返し使用時においては帯電時の放電によって発生するオゾンなどの活性ガス、及び周辺環境に存在する活性ガス、例えば暖房器具などから発生する窒素酸化物ガスなどに感光体が曝されることにより、感光体表面が影響を受けて画像劣化を生じる場合が多々見られた。これらの曝露により感光体表面の摩擦係数も増大する方向へ変化してしまい、低摩擦係数を維持することができなかった。
【0019】
この現象は、特に耐摩耗性が大幅に向上した場合、即ち膜削れ量が大幅に減少した感光体においては、旧来の摩耗量の多い感光体のように、表面から順次摩耗していくことにより、活性ガスや付着したコロナ生成物、及びそれらによって反応等を生じ汚染された最表面が序々に摩耗、研磨されることにより、自ずと新たな最表面へとリフェイスされるといった効果が期待出来ない。従って、このような表面汚染に起因する画像劣化、即ち異常画像が発生しやすくなる問題を有している。
【0020】
以上のように、耐摩耗性の高い感光体においては、そうでない感光体に比較して、クリーニング不良や活性ガス等による感光体表面の変質等による画像劣化、異常画像の発生がしやすくなる問題を有している。また、感光体表面の摩擦係数や表面エネルギー低減効果の持続性がさらに低下するため、耐摩耗性を高めることが可能となっても高画質を安定に維持することは非常に困難であった。つまり、機械的耐久性を向上させるとともにクリーニング性も良好で異物付着が起こりにくく、電気的耐久性、及び化学的耐久性も良好で、長期間の繰り返し使用においても高画質画像が安定して得られる高耐久な電子写真感光体は得られていなかった。
【0021】
【特許文献1】
特開平4−281461号公報
【特許文献2】
特開昭56−48637号公報
【特許文献3】
特開平7−295248号公報
【特許文献4】
特開平7−301936号公報
【特許文献5】
特開平8−82940号公報
【特許文献6】
特開昭63−65449号公報
【特許文献7】
特開昭60−177349号公報
【特許文献8】
特開平2−143257号公報
【特許文献9】
特開平2−144550号公報
【特許文献10】
特開平7−128872号公報
【特許文献11】
特開平10−254160号公報
【特許文献12】
特開2000−10322号公報
【特許文献13】
米国特許第5998072号明細書
【特許文献14】
特開平8−190213号公報
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐摩耗性が高く、初期から長期に渡ってクリーニング性が良好で、繰り返しの使用にわたっても画像ボケなどの異常画像が発生せず、長期にわたり高画質な画像が安定に得られる高耐久の感光体を提供することにある。また、それらの感光体を用いることにより、感光体の交換が不要で、かつ高速印刷あるいは感光体の小径化に伴う装置の小型化を実現し、さらに繰り返し使用においても高画質画像が安定に得られる電子写真方法、電子写真装置、ならびに電子写真用プロセスカートリッジを提供することにある。
【0023】
【課題を解決しようとする手段】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、保護層に有機フィラーと特定のシリコン化合物を含有させることにより、優れた耐摩耗性を有し、長期間の繰り返し使用時においてもクリーニング性が良好でフィルミングやクリーニング不良による異常画像の発生を抑制した電子写真感光体を提供できることを見いだした。
【0024】
すなわち、以下の構成要件を満足することにより、高耐久性と高画質化の両立を可能とし、長期間の繰り返し使用に対しても高画質画像を安定に得られる電子写真感光体を提供し、また、繰り返し使用においても高画質画像を安定に得られる電子写真方法、電子写真装置、ならびに電子写真用プロセスカートリッジを提供することによって本発明を完成するに至った。
【0025】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)導電性支持体上に少なくとも感光層及び保護層を順次形成してなる電子写真感光体において、前記保護層に少なくとも有機フィラー、アクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物及びバインダー樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体。
(2)アクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物がシリコン主鎖にアクリル重合体をグラフト化させた化合物である前記(1)記載の電子写真感光体。
【0026】
(3)アクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物が
(イ)一般式(1)
【化4】
Figure 2004184906
〔式中のR、R及びRは、それぞれ同一又は異なる炭素数1〜20の炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基、Yはラジカル反応性基又はSH基もしくはその両方をもつ有機基、Z及びZは、それぞれ同一又は異なる水素原子、低級アルキル基又は
【化5】
Figure 2004184906
基(R及びRは、それぞれ同一又は異なる炭素数1〜20の炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基、Rは炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、あるいはラジカル反応性基又はSH基もしくはその両方をもつ有機基である)、mは10,000以下の正の整数、nは1以上の整数である〕で表わされるポリオルガノシロキサンと、(ロ)一般式(2)
【化6】
Figure 2004184906
(式中のRは水素原子又はメチル基、Rはアルキル基、アルコキシ置換アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基である)
で表わされる(メタ)アクリル酸エステル又はこの(メタ)アクリル酸エステル70重量%以上と共重合可能な単量体30重量%以下との混合物とを、重量比5:95ないし95:5の割合で乳化グラフト共重合させて成るアクリル変性ポリオルガノシロキサンであることを特徴とする前記(1)又は(2)記載の電子写真感光体。
【0027】
(4)上記(イ)で表されるポリオルガノシロキサンの重量が、上記(ロ)で表される(メタ)アクリル酸エステル又はこの(メタ)アクリル酸エステル70重量%以上と共重合可能な単量体30重量%以下との混合物の重量よりも多いことを特徴とする前記(3)記載の電子写真感光体。
(5)アクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物がミクロゲルの形態であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(6)前記保護層に含まれる有機フィラーが、シリコーン樹脂微粒子、アクリルもしくはメタクリル樹脂微粒子の少なくとも一種であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(7)前記保護層に含まれる有機フィラーが、架橋されていることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(8)前記保護層に含まれる有機フィラーが、真球状であることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(9)前記保護層に含まれる有機フィラーの平均一次粒径が、0.1〜5.0μmであることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(10)前記保護層に、少なくとも1種の電荷輸送物質が含有されていることを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(11)前記保護層に含まれるバインダー樹脂が、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、アクリルもしくはメタクリル樹脂の少なくとも1種であることを特徴とする前記(1)〜(10)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(12)前記保護層にバインダー樹脂として含まれるアクリルもしくはメタクリル樹脂が、加熱あるいは光照射によって架橋されて形成されることを特徴とする前記(11)に記載の電子写真感光体。
(13)前記保護層に含まれるバインダー樹脂が、構造中に電荷輸送機能を有することを特徴とする前記(11)又は(12)に記載の電子写真感光体。
【0028】
(14)電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写が繰り返し行なわれる電子写真方法において、該電子写真感光体として前記(1)〜(13)のいずれかに記載の電子写真感光体が用いられることを特徴とする電子写真方法。
【0029】
(15)電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行い、かつ画像露光の際にはLDあるいはLED等によって感光体上に静電潜像の書き込みが行なわれる、所謂デジタル方式の電子写真方法において、該電子写真感光体として前記(1)〜(13)のいずれかに記載の電子写真感光体が用いられることを特徴とする電子写真方法。
(16)少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、該電子写真感光体が前記(1)〜(13)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置。
(17)少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備し、該画像露光手段にLDあるいはLED等を使用することによって該電子写真感光体上に静電潜像の書き込みが行なわれる、所謂デジタル方式の電子写真装置であって、該電子写真感光体が前記(1)〜(13)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置。
(18)前記電子写真装置が、感光体上に形成された静電潜像にトナーを現像した後、それらを直接紙に転写する前に、中間転写体もしくは中間転写ベルト上にトナー像を形成した後に紙に転写することによって、該電子写真感光体と紙とが直接接触しないことを特徴とする前記(16)又は(17)に記載の電子写真装置。
(19)前記電子写真装置が、少なくともシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色のトナーを保持する現像部に対応した複数の電子写真感光体を具備し、少なくとも帯電、画像露光、現像及び転写の工程が並列に処理されることによってフルカラー印刷を実現するタンデム方式の電子写真装置であることを特徴とする前記(16)〜(18)のいずれかに記載の電子写真装置。
(20)少なくとも電子写真感光体及び現像手段が具備されている電子写真装置本体に対し着脱自在の構造を有する電子写真装置用プロセスカートリッジであって、該電子写真感光体が前記(1)〜(13)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジ。
(21)前記電子写真装置用プロセスカートリッジが具備されてなることを特徴とする前記(16)〜(19)のいずれかに記載の電子写真装置。
【0030】
従来技術に記載したように、感光体の表面層に各種有機フィラーを含有させることは、耐摩耗性の向上に対し有利であり、摩擦係数低減効果も有することが知られている。しかし、繰り返し使用によって摩擦係数の著しい上昇を引き起こし、その結果ブレードの鳴きや反転が起こりやすくなったり、感光体への異物付着性が大きくなり、クリーニング不良やフィルミングによる異常画像が発生したりしやすくなっていた。
【0031】
一方、アクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物を含有させただけでは、機械的強度を考慮するためにシロキサン構造部の含有量を制限する必要があったり、大きな耐摩耗性向上が達成されないという問題が有った。また、フィラーに無機フィラーを用いてアクリル変成ポリオルガノシロキサンと混合させた場合では、アクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物やバインダー樹脂が有機物であるため、無機フィラーが凝集しやすくなり、それが光透過性の低下や表面平滑性の低下を引き起こし、画質低下や異常摩耗の発生を促す恐れがあった。
【0032】
本発明では、耐摩耗性向上を主に有機フィラーの添加で達成し、感光体表面の摩擦係数や表面エネルギーの低減を有機フィラーとアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物で達成するように機能分離させ、さらに有機フィラーとアクリル変成ポリオルガノシロキサン、さらにはバインダー樹脂との相溶性をより一層高めることによって、耐摩耗性と滑り性・異物除去性を両立し、さらにその安定性を高めたものである。
【0033】
この場合、有機フィラーは耐摩耗性のほか摩擦係数や表面エネルギー低減に対する効果も有するが、耐摩耗性を維持するためには粒径が大きい方が有利であり、粒径が増加すると表面における摩擦係数や表面エネルギー低減効果の均一性が低下するため、有機フィラーだけでそれらを同時に改善することは難しい。そこで、有機フィラーとアクリル変成ポリオルガノシロキサンとを組み合わせて用いることにより、耐摩耗性の向上を実現しつつ、有機フィラー間を粒径が非常に小さなアクリル変成ポリオルガノシロキサン化合物が均一に分散されることによって、感光体表面における摩擦係数や表面エネルギーの低減効果の均一性が増すことにより、効果の持続性を顕著に高めることが可能となった。また、摩擦係数低減効果の持続性の向上は感光体の耐摩耗性の向上に対しても有効となるため、それらの効果が組み合わさることによってさらなる耐摩耗性の向上が実現されることとなる。
【0034】
本発明で使用されるアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物は、そのシロキサン構造部で摩擦係数や表面エネルギーの低減化による異物除去性を発現する。通常のシリコーンオイルやシリコーン樹脂微粒子等の場合、表面に偏析したり、膜中に均一分散されなかったり、くり返し使用によって直ぐに取れてしまったり、膜中からの供給が行われなかったりして滑り性や異物除去性の持続が出来なかったものと考えられる。
【0035】
本発明で使用されるアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物は、シロキサン重合部及びアクリル重合部を併せ持っているため、バインダー樹脂はもちろん、シリコーン樹脂微粒子やアクリル樹脂微粒子等の有機フィラーとの相溶性を著しく向上させることが可能となり、それによって膜中での分散性の向上、凝集の抑制、さらには表面平滑性を高めることができた。さらに、有機フィラーとアクリル変成ポリオルガノシロキサン化合物との相溶性が高まったことにより、有機フィラー間にアクリル変成ポリオルガノシロキサン化合物が凝集することなく均一に分散されたことによって、感光体表面における滑り性や低表面エネルギー化効果にムラがなくより均一化され、効果の持続性を大幅に高めることが実現されたものと考えられる。
【0036】
上に述べたようにアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物は、そのシロキサン構造部で滑り性や低表面エネルギー化による異物除去性を発現するが、その為には、ジメチルシリコン鎖が長い方が高い効果を有する。一方、媒体との相溶性を上げるためには、アクリル重合体部をある程度均一に入れ込む必要がある。その為には分子鎖の比較的長いシリコン主鎖からアクリル重合体を側鎖としてグラフト化させた化合物構造が有利である。これによって、相溶性を高めると同時にシロキサン比率を高めることが可能となり、滑り性や低表面エネルギー性に対する効果と媒体との相溶性を両立することができる。
【0037】
本発明において前記アクリル変性ポリオルガノシロキサンとしては、前記(3)に記載した一般式(1)と一般式(2)で示される化合物を前記の組成で乳化グラフト共重合させてなるアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物が好ましい。これは、(1)及び(2)で述べた滑り性、異物除去性や媒体との相溶性を十分発揮すると共に感光体の電子写真特性への副作用が少なく、膜中に十分な量を含有させることが出来る。この点は本発明の大きな特徴の一つであり、効果の持続性向上に対し非常に有効である。
【0038】
本発明の感光体においては、特に上記(イ)で表されるポリオルガノシロキサンの重量を、上記(ロ)で表される(メタ)アクリル酸エステル又はこの(メタ)アクリル酸エステル70重量%以上と共重合可能な単量体30重量%以下との混合物の重量よりも多い組成比とすることが好ましく、このことにより、媒体との相溶性を維持しつつ、滑り性や異物除去性に非常に優れた感光体の提供が可能となる。
【0039】
本発明の電子写真感光体において、アクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物はミクロゲルの形態であることが好ましい。
【0040】
滑り性を付与する滑剤が液状のものであると、感光体表面に移行しやすくなるため、感光体表面における滑り性あるいは低表面エネルギー化に与える効果にムラが生じにくく、表面を局所的に見ても効果の均一性は高くなるが、摩耗によって除去されやすくなるため効果の持続性が著しく低くなる。
【0041】
一方、滑剤が微粒子状のものの場合には、微粒子を分散して用いることになるため、微粒子部分は効果が得られるが、微粒子間においてはその効果が与えられないため、局所的に見ると効果にムラが生じ効果の均一性が低下する。それは効果の持続性の低下を引き起こすことになる。また、微粒子添加の場合は、分散性の低下による凝集あるいはそれに伴う表面平滑性の低下などを引き起こす恐れもある。
【0042】
従って、微粒子添加の場合は、膜中への分散性に優れていて、表面における効果の均一性が高く、且つ滑剤が表面に移行することなく、膜内で均一に留まっていることが必要である。そのためには、凝集することなく微粒子の粒径が十分に小さくできることと、微粒子の一部に不溶部分を持ちながらもバインダー樹脂等との相溶性が高いことが重要となる。その好ましい例がミクロゲルの形態であり、この様なアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物を使用することにより、一部不溶部分によって粒子状として残存しながらも、バインダー樹脂等との相溶性が高く、且つ凝集がなく粒径を非常に小さくしたことによって、微粒子状に分散されながらも、感光体表面に付与された効果の均一性が高くなり、滑り性、異物除去性等と共にその特性の持続性に優れる感光体の提供が可能となる。
【0043】
本発明の電子写真感光体においては、前記保護層に含まれる有機フィラーとしてはシリコーン樹脂微粒子、アクリルもしくはメタクリル樹脂微粒子の少なくとも1種であることが好ましい。
【0044】
有機フィラーとしては、いかなるフィラーを用いることができるが、その中でも添加による残留電位上昇が少なく、アクリル変成ポリオルガノシロキサン化合物やバインダー樹脂との相溶性が高いものが好ましい。これらの有機フィラーとして、シリコーン樹脂微粒子やアクリルもしくはメタクリル樹脂微粒子が好適であり、これらは耐摩耗性と摩擦係数及び表面エネルギー低減の両方の効果が期待でき、それによって耐摩耗性の向上と効果の持続性を両立できる。
【0045】
また、前記保護層に含まれる有機フィラーは、架橋されていることがより好ましい。
有機フィラーは一般的に無機フィラーに比べて耐摩耗性に劣るが、有機フィラーでも架橋させることによって耐摩耗性を飛躍的に向上させることが可能となる。また、フィラーの硬度の向上は摩擦係数や表面エネルギー低減効果の持続性を高める上でも有利となる。これによって、耐摩耗性のさらなる向上と滑り性や異物除去性及びその持続性が高まり、感光体の高耐久化及び高画質化に対しさらなる効果が得られる。
【0046】
更に、前記保護層に含まれる有機フィラーは、真球状であることがより好ましい。
有機フィラーは、その一部が感光体表面から突出されているため、感光体の摩擦係数や耐摩耗性は有機フィラーの形状に影響される。有機フィラーに角張った部分がなく、丸みを帯びた形状を有していた方が、摩擦係数低減及びその安定化に対して特に有効となる。また、有機フィラーが真球状であることによって、フィラーの脱離が起こりにくくなるため、耐摩耗性の向上に対しても有効である。真球状であることが最も適しているが、角張った部分がなく、丸みを帯びた略真球形状であっても効果が得られる。
【0047】
また、前記保護層に含まれる有機フィラーの粒径については、その平均一次粒径が、0.1〜5.0μmであることがより好ましい。
有機フィラーの平均一次粒径が増加するに従い、耐摩耗性の向上に対し有利であるが、光透過性が低下したり、塗膜表面の凹凸が増大したりするため、画質低下を引き起こす恐れがある。一方、平均一次粒径が小さくなると、画質に与える悪影響が軽減されるが、耐摩耗性の低下を引き起こし、場合によって凝集を促進させる場合もある。以上のことから、有機フィラーの平均一次粒径が、0.1〜5.0μmの範囲であることが耐摩耗性と画質劣化抑制を両立することが可能となる。
【0048】
また、本発明の電子写真感光体の前記保護層には、少なくとも1種の電荷輸送物質が含有されていることがより好ましい。
有機フィラー及びアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物が分散された保護層としては数ミクロンの膜厚が適当であるが、この程度の膜厚においても電荷輸送能が低く、電子写真特性としては残留電位の上昇や感度低下を引き起こす。帯電性、残留電位、感度等の電子写真特性を満足させるためには電荷輸送物質を添加することが有効である。
【0049】
電荷輸送物質を添加することにより保護層を設けない感光体と同程度の電子写真特性が得られ、且つ、耐摩耗性、滑り性、異物除去性に優れる感光体の提供が可能になる。
【0050】
本発明の電子写真感光体の前記保護層に含まれるバインダー樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、アクリルもしくはメタクリル樹脂の少なくとも1種であることがより好ましい。
本発明の感光体は、有機フィラーの添加により主に耐摩耗性を向上させ、有機フィラーとアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物とを組み合わせて用いることにより滑り性や異物除去性の持続効果を高めたものであるが、保護層媒体の主材料であるバインダー樹脂も効果を高める上で重要な役割を持っている。
【0051】
つまり、有機フィラーとアクリル変成ポリオルガノシロキサン化合物は、ともに分散性や相溶性を高めることによって、滑り性や異物除去性に高い効果が得られるが、その分散性や相溶性はバインダー樹脂の種類によって大きく影響を受けることになる。また、バインダー樹脂は耐摩耗性に対しても大きく依存するため、バインダー樹脂の選択は非常に重要である。
【0052】
この場合、ポリカーボネート樹脂やポリアリレート樹脂が好適に用いることができる。また、アクリルもしくはメタクリル系樹脂も有効に用いることができ、特にフィラーにアクリル系樹脂微粒子を用いた場合、フィラーとアクリル変成ポリオルガノシロキサン化合物の双方の相溶性を高めることが可能となるため、有効かつ有用である。
【0053】
前記保護層にバインダー樹脂として含まれるアクリルもしくはメタクリル樹脂は、加熱あるいは光照射によって架橋されて形成されることがより好ましい。
前記のとおり、バインダー樹脂としてアクリル系もしくはメタクリル系樹脂を用いることは、保護層として含まれる媒体の相溶性が一層高まるため有効な方法であるが、この場合特に硬化型のアクリル系もしくはメタクリル系樹脂を用いることによって、耐摩耗性が著しく向上する。また、アクリル系樹脂微粒子、アクリル変成ポリオルガノシロキサン化合物及び硬化型アクリルもしくはメタクリル系樹脂を用いることにより、耐摩耗性のさらなる向上と滑り性や異物除去性効果の持続性を同時に高めることができる。
【0054】
本発明の電子写真感光体においては、前記保護層に含まれるバインダー樹脂として、その構造中に電荷輸送機能を有するものがより好ましい。
前記のとおり、保護層に電荷輸送物質を含有させることによって、静電特性上安定化し、高画質化に対し有効であるが、バインダー樹脂の構造中に電荷輸送機能を持たすことによって、静電特性の安定化とともにさらなる耐摩耗性の向上を実現することができる。また、電荷輸送物質が単独に添加されている場合に比べ、バインダー樹脂と電荷輸送物質とが化学的に結合していることによって、耐摩耗性だけでなく画像ボケや異常画像の発生を抑制する効果も得られ、高耐久化及び高画質化に対し有効且つ有用である。
【0055】
また、本発明の電子写真方法は、前記本発明の電子写真感光体に少なくとも帯電、画像露光、現像、転写が繰り返し行なわれる電子写真方法である。この方法においては、特に画像露光の際にはLDあるいはLED等によって感光体上に静電潜像の書き込みが行なわれる、所謂デジタル方式の電子写真方法が好ましい。
【0056】
本発明の電子写真装置は、少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、該電子写真感光体として、前記本発明の電子写真感光体を使用するものである。
そして、該画像露光手段にLDあるいはLED等を使用することによって該電子写真感光体上に静電潜像の書き込みが行なわれる、所謂デジタル方式の電子写真装置とすることがより好ましい。
【0057】
また本発明の電子写真装置においては感光体上に形成された静電潜像にトナーを現像した後、それらを直接紙に転写する前に、中間転写体もしくは中間転写ベルト上にトナー像を形成した後に紙に転写することによって、該電子写真感光体と紙とが直接接触しないように構成することも好ましい態様である。
【0058】
中間転写方式を用いた電子写真装置は、感光体に紙粉が付着することによる影響が少なく、また画像形成上色ずれが少なく、高画質化に対し有効な手段である。しかし、感光体表面に現像されたトナーを中間転写体もしくは中間転写ベルトに転写する場合、感光体とトナーの付着力が過剰であることにより、中間転写体もしくは中間転写ベルトへの転写効率が低下する場合がある。その場合、本発明の感光体を用いることによって、それらの影響を抑制することが可能となり、高画質化に対し非常に有効である。
【0059】
本発明の電子写真装置においては、少なくともシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色のトナーを保持する現像部に対応した複数の電子写真感光体を具備し、少なくとも帯電、画像露光、現像及び転写の工程が並列に処理されることによってフルカラー印刷を実現するタンデム方式の電子写真装置は、より好ましい態様である。
【0060】
タンデム方式の電子写真装置は、4本の感光体から一つの画像を形成することから、各感光体のクリーニング性は非常に重要であり、感光体間でのクリーニング性のばらつきを減少させる必要がある。本発明の感光体は、耐摩耗性を高めたことにより感光体間の膜厚減少量のばらつきを抑制し、さらに感光体の滑り性や異物除去性の維持性を高めたことにより、色再現性の向上や色ムラの抑制を実現することができる。特に、近年トナーも重合によって得られる球形の形状を有する形態のものが使用されているが、球形の形状を有するが故にクリーニング性の著しい低下を引き起こすため、本発明の感光体はそれに対しても非常に有効であり、高耐久化と高画質化を両立することが可能となる。
【0061】
また、本発明の電子写真用プロセスカートリッジは、少なくとも電子写真感光体及び現像手段を具備してなり、電子写真装置本体に対し着脱自在の構造を有し、かつ該電子写真感光体として前記本発明の感光体を使用するものである。
【0062】
前記本発明の感光体を搭載した電子写真プロセスによる電子写真方法、電子写真装置、プロセスカートリッジは、感光体の長寿命化によりこれまでのものよりも感光体の交換頻度が少なく、従って、メンテナンスが少なくて済み、さらにランニングコストが小さく且ついつまでも画質の安定した出力が可能となる。さらに、滑り性や異物除去性の効果の持続性を大幅に高めたことによって、耐摩耗性と高画質化の両立が実現される。
【0063】
以下、本発明に用いられる電子写真感光体を図面に沿って説明する。
図1は、導電性支持体31上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする感光層33が設けられ、更に感光層表面に保護層39が設けられてなる。この場合、保護層39には少なくともアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物と有機フィラー及びバインダー樹脂が含有されてなる。
【0064】
図2は、導電性支持体31上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35と電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層37とが積層された感光層をもつ構成をとっており、更に電荷輸送層上に保護層39が設けられてなる。この場合、保護層39には少なくともアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物と有機フィラー及びバインダー樹脂が含有されてなる。
【0065】
図3は、導電性支持体31上に、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層37と電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35とが積層された構成をとっており、更に電荷発生層上に保護層39が設けられてなる。この場合、保護層39には少なくともアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物と有機フィラー及びバインダー樹脂が含有されてなる。
【0066】
導電性支持体31としては、体積抵抗1010 Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体31として用いることができる。
【0067】
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体31として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などがあげられる。
【0068】
また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
【0069】
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体31として良好に用いることができる。
【0070】
次に感光層について説明する。
本発明で用いられる感光体の感光層は単層構成でも積層構成でもよいが、説明の都合上、先ず電荷発生層35と電荷輸送層37で構成される積層構成の場合から述べる。
始めに、電荷発生層35について説明する。電荷発生層35は、電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じて結着樹脂を併用することもできる。
【0071】
電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物、硫化カドミウム、硫化カドミウム−セレン、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でタ−ミネ−トしたものや、ホウ素原子、リン原子等をド−プしたものが良好に用いられる。
【0072】
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることが出来る。例えば、ジスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、カルバゾ−ル骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−95033号公報に記載)、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−133445号公報)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−132347号公報に記載)、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−21728号公報に記載)、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−22834号公報に記載)、オキサジアゾ−ル骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−12742号公報に記載)、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17733号公報に記載)、ジスチリルオキサジアゾ−ル骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−2129号公報に記載)、ジスチリルカルバゾ−ル骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−14967号公報に記載)等のアゾ系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系又は多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾ−ル系顔料、また下記式で表される金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料等が挙げられる。
【0073】
【化7】
Figure 2004184906
【0074】
式中M(中心金属)は、金属及び無金属(水素)の元素を表す。ここであげられるM(中心金属)は、H、Li、Be、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Ba、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、TI、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Th、Pa、U、Np、Am等の単体、もしく酸化物、塩化物、フッ化物、水酸化物、臭化物などの2種以上の元素からなる。中心金属は、これらの元素に限定されるものではない。本発明におけるフタロシアニン骨格を有する電荷発生物質とは、少なくとも一般式(N)の基本骨格を有していればよく、2量体、3量体など多量体構造を持つもの、さらに高次の高分子構造を持つものでもかまわない。また基本骨格に様々な置換基があるものでもかまわない。
【0075】
これらの様々なフタロシアニンのうち、中心金属にTiOを有するオキソチタニウムフタロシアニン、無金属フタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン等は感光体特性上特に好ましい。またこれらのフタロシアニンは、様々な結晶系を持つことが知られており、例えばオキソチタニウムフタロシアニンの場合、α、β、γ、m、Y型等、銅フタロシアニンの場合、α、β、γ等の結晶多系を有している。同じ中心金属を持つフタロシアニンにおいても、結晶系が変わることにより種々の特性も変化する。これらの種々の結晶系を有するフタロシアニン系顔料を用いた感光体の特性もそれに伴って変化することが報告されている(電子写真学会誌 第29巻 第4号(1990))。このことから、フタロシアニンの結晶系の選択は感光体特性上非常に重要であり、その中でもY型オキソチタニウムフタロシアニンは特に高感度化に対し有効かつ有用である。これらの電荷発生物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0076】
電荷発生層35に必要に応じて用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカ−ボネ−ト、シリコ−ン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラ−ル、ポリビニルホルマ−ル、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾ−ル、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。これらの結着樹脂は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。電荷発生層35で用いられる結着樹脂の量は電荷発生物質100重量部に対し、0〜500重量部、好ましくは0〜200重量部が適当である。また、必要に応じて、ジメチルシリコ−ンオイル、メチルフェニルシリコ−ンオイル等のレベリング剤や増感剤、分散剤等の各種添加剤を添加することができる。
【0077】
電荷発生層35を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。前者の方法には、真空蒸着法、グロ−放電分解法、イオンプレ−ティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、前述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。
【0078】
また、後述のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、前述の無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要に応じてバインダ−樹脂と共にテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボ−ルミル、アトライタ−、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより形成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプレ−コ−ト、ビ−ドコ−ト、リングコート法など従来公知の方法を用いて行うことができる。以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
【0079】
電荷輸送層37は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により単独あるいは2種以上の可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
【0080】
電荷輸送物質としては、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0081】
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。正孔輸送物質としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0082】
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂等が挙げられ、これらは単独でも2種以上混合して用いることも可能である。
【0083】
また、電荷輸送層37には、バインダー樹脂としての機能と電荷輸送物質としての機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これらの高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は、耐摩耗性に優れ高画質化に対しても有効である。本発明においては、これらの高分子電荷輸送物質に前述の結着樹脂や低分子電荷輸送物質を混合して用いることも可能である。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖および/又は側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。中でも、下記の(I)〜(X)式で表される高分子電荷輸送物質が良好に用いられる。
【0084】
【化8】
Figure 2004184906
【0085】
[式中、R、R、Rはそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子、Rは水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、R、Rは置換もしくは無置換のアリール基、o、p、qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k、jは組成(モル分率)を表し、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9の数を表し、nは繰り返し単位数を表し5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、又は下記一般式で表される2価基を表す。
【0086】
【化9】
Figure 2004184906
【0087】
(式中、R101、R102は各々独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表す。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(Zは脂肪族の2価基を表す)又は、
【0088】
【化10】
Figure 2004184906
【0089】
(aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換又は無置換のアルキル基又はアリール基を表す)を表す。ここで、R101とR102、R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。]
【0090】
【化11】
Figure 2004184906
【0091】
(式中、R、Rは置換もしくは無置換のアリール基、Ar、Ar、Arは同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0092】
【化12】
Figure 2004184906
【0093】
(式中、R、R10は置換もしくは無置換のアリール基、Ar、Ar、Arは同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0094】
【化13】
Figure 2004184906
【0095】
(式中、R11、R12は置換もしくは無置換のアリール基、Ar、Ar、Arは同一又は異なるアリレン基を表し、pは1〜5の整数を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0096】
【化14】
Figure 2004184906
【0097】
(式中、R13、R14は置換もしくは無置換のアリール基、Ar10、Ar11、Ar12は同一又は異なるアリレン基、X、Xは置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0098】
【化15】
Figure 2004184906
【0099】
(式中、R15、R16、R17、R18は置換もしくは無置換のアリール基、Ar13、Ar14、Ar15、Ar16は同一又は異なるアリレン基、Y、Y、Yは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表し同一であっても異なってもよい。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0100】
【化16】
Figure 2004184906
【0101】
(式中、R19、R20は水素原子、置換もしくは無置換のアリール基を表し、R19とR20は環を形成していてもよい。Ar17、Ar18、Ar19は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0102】
【化17】
Figure 2004184906
【0103】
(式中、R21は置換もしくは無置換のアリール基、Ar20、Ar21、Ar22、Ar23は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0104】
【化18】
Figure 2004184906
【0105】
(式中、R22、R23、R24、R25は置換もしくは無置換のアリール基、Ar24、Ar25、Ar26、Ar27、Ar28は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0106】
【化19】
Figure 2004184906
【0107】
(式中、R26、R27は置換もしくは無置換のアリール基、Ar29、Ar30、Ar31は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0108】
以下、これらトリアリールアミン構造を主鎖及び/又は側鎖に含むポリカーボネートの具体例の幾つかを以下に示すが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。
【0109】
【化20】
Figure 2004184906
【0110】
【化21】
Figure 2004184906
【0111】
【化22】
Figure 2004184906
【0112】
【化23】
Figure 2004184906
【0113】
【化24】
Figure 2004184906
【0114】
【化25】
Figure 2004184906
【0115】
【化26】
Figure 2004184906
【0116】
【化27】
Figure 2004184906
【0117】
【化28】
Figure 2004184906
【0118】
【化29】
Figure 2004184906
【0119】
【化30】
Figure 2004184906
【0120】
【化31】
Figure 2004184906
【0121】
【化32】
Figure 2004184906
【0122】
【化33】
Figure 2004184906
【0123】
【化34】
Figure 2004184906
【0124】
【化35】
Figure 2004184906
【0125】
【化36】
Figure 2004184906
【0126】
【化37】
Figure 2004184906
【0127】
【化38】
Figure 2004184906
【0128】
【化39】
Figure 2004184906
【0129】
【化40】
Figure 2004184906
【0130】
【化41】
Figure 2004184906
【0131】
【化42】
Figure 2004184906
【0132】
【化43】
Figure 2004184906
【0133】
【化44】
Figure 2004184906
【0134】
【化45】
Figure 2004184906
【0135】
【化46】
Figure 2004184906
【0136】
【化47】
Figure 2004184906
【0137】
【化48】
Figure 2004184906
【0138】
【化49】
Figure 2004184906
【0139】
【化50】
Figure 2004184906
【0140】
【化51】
Figure 2004184906
【0141】
【化52】
Figure 2004184906
【0142】
【化53】
Figure 2004184906
【0143】
これら主鎖及び/又は側鎖にトリアリールアミン構造を有している高分子電荷輸送物質は単重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体の形態で重合される。そして、これら高分子電荷輸送物質は結着樹脂としての役割をもつことから被膜形成能を有していることが必要である。そのため、分子量は、GPCによる測定において、ポリスチレン換算分子量Mwとして1万〜50万が適当で、好ましくは5万〜40万である。
【0144】
これら高分子電荷輸送物質は、特開平8−269183号公報、特開平9−71642号公報、特開平9−104746号公報、特開平9−272735号公報、特開平11−29634号公報、特開平9−235367号公報、特開平9−87376号公報、特開平9−110976号公報、特開平9−268226号公報、特開平9−221544号公報、特開平9−227669号公報、特開平9−157378号公報、特開平9−302084号公報、特開平9−302085号公報、特開2000−26590号公報に開示されている。
【0145】
電荷輸送物質の含有量は、結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。但し、高分子電荷輸送物質を用いる場合は単独でも、結着樹脂との併用も可能である。
電荷輸送層37の塗工に用いられる溶媒としては前記電荷発生層35と同様なものが使用できるが、電荷輸送物質及び結着樹脂を良好に溶解するものが適している。これらの溶剤は単独で使用しても2種以上混合して使用しても良い。
【0146】
電荷輸送層37には必要に応じて、レベリング剤や可塑剤を添加することができる。併用できるレベリング剤としてはジメチルシリコ−ンオイル、メチルフェニルシリコ−ンオイル等のシリコーンオイル類や側鎖にパ−フルオロアルキル基を有するポリマ−あるいはオリゴマ−が使用され、その使用量は結着樹脂100重量部に対して0〜1重量部程度が適当である。また、併用できる可塑剤としてはジブチルフタレ−ト、ジオクチルフタレ−ト等の一般的な樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は結着樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
【0147】
塗布は電荷発生層35と同様に浸漬塗工法やスプレ−コ−ト、ビ−ドコ−ト、リングコート法など公知の方法を用いて行うことができる。電荷輸送層37の膜厚は、5〜50μm程度が適当であり、解像度、地肌汚れ等の画像特性及び帯電電位、感度等の電気特性上、好ましくは10〜30μm程度が適当である。
【0148】
次に感光層が単層構成33の場合について述べる。感光層33は、前述の電荷発生物質、電荷輸送物質、結着樹脂等を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを導電性支持体上に塗工及び乾燥することによって形成される。電荷発生物質及び電荷輸送物質は、前述の電荷発生層35及び電荷輸送層37で挙げた材料をすべて使用することが可能である。また、結着樹脂としては、前述の電荷輸送層37で挙げた樹脂の他に、電荷発生層35で挙げた樹脂を用いてもよい。
【0149】
また、結着樹脂として前述の高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は、5〜40重量部が好ましく、さらに好ましくは10〜30重量部であり、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150重量部である。感光層は、電荷発生物質、結着樹脂を電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン等の溶剤に溶解ないし分散し、これを浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどで塗工して形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤、滑剤等の各種添加剤を添加することもできる。感光層33の膜厚は5〜25μm程度が適当である。
【0150】
次に保護層39について説明する。
保護層39はアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物と有機フィラー材料を結着樹脂とともに適当な溶剤を介して分散せしめるとともにレベリング剤や電荷輸送物質あるいは酸化防止剤等を添加、溶解させ、これを感光層上に塗布、乾燥することにより形成される。
【0151】
ここで使用されるアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物としては、ポリオルガノシロキサン主鎖にアクリル重合体をグラフト化させた化合物が使用される。その中で特に以下の組成からなるアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物が好ましい。
【0152】
(イ)一般式
【化54】
Figure 2004184906
(式中のR、R、R、Y、Z及びZは前記と同じ意味をもつ)
で表わされるポリオルガノシロキサンに、(ロ)一般式
【化55】
Figure 2004184906
(式中のR、Rは前記と同じ意味をもつ)
で表わされる(メタ)アクリル酸エステル及び所望に応じて用いられる共重合可能な単量体を、乳化重合法によりグラフト重合して製造されるアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物。
【0153】
前記一般式(1)で表わされるポリオルガノシロキサンにおいては、R、R及びRは、それぞれメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基やフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などのアリール基などの炭素数1〜20の炭化水素基又はこれらの炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子の少なくとも1つをハロゲン原子で置換した炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基であって、R、R及びRは、それぞれ同一であってもよいし、たがいに異なっていてもよい。
【0154】
また、Yはビニル基、アリル基、γ−アクリロキシプロピル基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−メルカプトプロピル基などのラジカル反応性基又はSH基もしくはその両方をもつ有機基である。Z及びZは水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの低級アルキル基又は
【化56】
Figure 2004184906
で示されるトリオルガノシリル基であり、このトリオルガノシリル基におけるR及びRは、それぞれ同一又は異なる炭素数1〜20の炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基、Rは炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、あるいはラジカル反応性基又はSH基もしくはその両方をもつ有機基である。該トリオルガノシリル基における炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基及びラジカル反応性基又はSH基もしくはその両方をもつ有機基としては、前記に例示したものを挙げることができる。該ZとZは、それぞれ同一であってもよいし、たがいに異なるものであってもよい。
【0155】
さらに、mは10,000以下の正の整数、好ましくは500〜8,000の範囲の整数であり、nは1以上の整数、好ましくは1〜500の範囲の整数である。
前記一般式(1)で示されるポリオルガノシロキサンは、環状ポリオルガノシロキサン、分子鎖両末端が水酸基で封鎖された液状ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端がアルコキシ基で封鎖された液状ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖されたポリジメチルシロキサンなどを、また、ラジカル反応性基又はSH基もしくはその両方を導入するためのシラン類或いはシラン類の加水分解生成物などを、さらに所望に応じ、本発明の目的をそこなわない程度の量の三官能性トリアルコキシシラン及びその加水分解生成物などを用い、反応させることにより製造することができる。
【0156】
次に、一般式(1)で示されるポリオルガノシロキサンの製造方法の異なった例について説明すると、まず、第1の方法は、原料として、例えば前記のオクタメチルシクロテトラシロキサンのような環状低分子シロキサンとラジカル反応性基又はSH基もしくはその両方をもつジアルコキシシラン化合物やその加水分解物を用い、強アルカリ性又は強酸性触媒の存在下に重合させることにより高分子量のポリオルガノシロキサンを得る方法である。このようにして得られた高分子量のポリオルガノシロキサンは、次工程の乳化グラフト共重合に供するために、適当な乳化剤の存在下に水性媒体中に乳化分散させる処理が施される。
【0157】
次に、第2の方法は、原料として、例えば前記の低分子ポリオルガノシロキサンと、ラジカル反応性基又はSH基もしくはその両方をもつジアルコキシシランやその加水分解物とを用い、スルホン酸系界面活性剤や硫酸エステル系界面活性剤の存在下に、水性媒体中において乳化重合させる方法である。この乳化重合の場合、同様な原料を用い、アルキルトリメチルアンモニウムクロリドやアルキルベンジルアンモニウムクロリドのどのカチオン性界面活性剤により、水性媒体中に乳化分散させたのち、適当量の水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどの強アルカリ性化合物を添加して重合させることもできる。
【0158】
このようにして得られた前記一般式(1)で示されるポリオルガノシロキサンは、その分子量が小さいと、組成物から得られる成形体に持続性のある摺動性、耐摩耗性などを付与する効果が劣るようになるので、分子量ができるだけ大きい方が好ましい。このため、第1の方法においては、重合においてポリオルガノシロキサンを高分子量のものとしておき、これを乳化分散することが必要であり、また第2の方法においては、乳化重合後に施される熟成処理の際に、温度を低くすればポリオルガノシロキサンの分子量が大きくなるので、熟成温度は30℃以下、好ましくは15℃以下とするのが有利である。
【0159】
本発明において、前記一般式(1)で示されるポリオルガノシロキサンに、グラフト重合させる(ロ)成分の単量体として用いられる前記一般式(2)で示される(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルは1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0160】
また、所望に応じ、これらの(メタ)アクリル酸エステルと共に用いられる共重合可能な単量体としては、多官能性単量体やエチレン性不飽和単量体が挙げられる。該多官能性単量体としては、例えば(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのエチレン性不飽和アミド及びエチレン性不飽和アミドのアルキロール又はアルコキシアルキル化物、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテルなどのオキシラン基含有不飽和単量体、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有不飽和単量体、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸などのカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有不飽和単量体、(メタ)アクリル酸のエチレンオキシドやプロピレンオキシド付加物などのポリアルキレンオキシド基含有不飽和単量体、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの多価アルコールと(メタ)アクリル酸との完全エステル、さらにはアリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。これらは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの多官能性単量体は、アクリル変性ポリオルガノシロキサンにおけるポリマー間の架橋に関与することによって、成形体に弾性、耐久性、耐熱性などを付与する効果を有している。
【0161】
一方、エチレン性不飽和単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどが挙げられる。これらの単量体は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、これらの単量体1種以上と前記官能性単量体1種以上とを組み合わせて用いてもよい。
【0162】
前記所望に応じて用いられる共重合可能な単量体の使用量は、一般式(2)で示される(メタ)アクリル酸エステルと該共重合可能な単量体との合計重量に基づき、30重量%以下の範囲で選ぶことが必要である。この量が30重量%を超えると、得られるアクリル変性ポリオルガノシロキサンとバインダー樹脂との混和性が低下する。
【0163】
また、前記(ロ)成分のグラフト共重合用単量体、すなわち前記一般式(II)で示される(メタ)アクリル酸エステル、又はこれと共重合可能な単量体との混合物は、成形体により優れた摺動性、耐摩耗性を付与するためには、そのポリマー化物のガラス転移温度が20℃、好ましくは30℃以上のものが望ましい。
【0164】
本発明におけるアクリル変性ポリオルガノシロキサンは、前記(イ)成分のポリオルガノシロキサンと(ロ)成分の単量体とを、重量比5:95にないし95:5の割合で用いて、乳化重合法により、グラフト共重合させることにより得られる。該(イ)成分のポリオルガノシロキサンの使用割合が前記範囲より少ないと、得られるアクリル変性ポリオルガノシロキサンはポリオルガノシロキサン自体がもつ効果を十分に発揮することができず、かつアクリル系ポリマーの欠点である粘着感が生じるようになるし、前記範囲より多いと該アクリル変性ポリオルガノシロキサンはポリ塩化ビニル系樹脂との混和性が低下し、成形体表面にブリードしやすくなり、摺動性、耐摩耗性などが経時により低下しやすくなる傾向がみられる。
【0165】
前記(イ)成分と(ロ)成分との乳化グラフト共重合は、該(イ)成分としてポリオルガノシロキサンの水性エマルジョンを用い、通常のラジカル開始剤を使用して、公知の乳化重合法によって行うことができる。
なお、これらのアクリル変性ポリオルガノシロキサンの製造に関しては、特公平7−5808号公報(日信化学工業株式会社)に詳細に記載されている。
【0166】
また、本発明に用いられるアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物において、重合時に用いる乳化剤、凝集剤等不純物の残留は電気特性を問題とする像形成部材とりわけ電子写真用感光体においてはその電気特性を損なう恐れがあるため、必要に応じて精製して用いることが好ましい。精製法としては酸、アルカリ水溶液、水およびアルコールなどで攪拌洗浄処理する方法またソックスレー抽出等による固液抽出法が挙げられる。
【0167】
好ましい精製法としては、アルコールで攪拌洗浄処理する方法が挙げられる。アルコールの洗浄は乳化剤と凝集剤によるアクリル変性ポリオルガノシロキサンのイオン成分の除去に非常に有効である。アルコールとしては、メタノール、エタノール及びイソプロアルコールなどが挙げられ、メタノールが好ましい。洗浄操作は2回以上行うのが好ましい。また、アルコールで洗浄した後、イオン交換水で置換処理して、凍結乾燥を行うとより分散しやすいものが得られる。上述の精製方法によって得られるアクリル変性ポリオルガノシロキサンに対するナトリウム(Na)イオン濃度としては、500ppm以下が好ましい。また同様に、イオウ含有イオン濃度としては、800ppm以下が好ましい。
【0168】
また、熱水で攪拌洗浄処理する方法、ソックスレー抽出等による固液抽出法及び亜臨界状態乃至超臨界状態の流体を用いる抽出処理法等も有効である。なお不純物除去のためにこれらの方法に限定されるものではない。
【0169】
保護層中における変性ポリオルガノシロキサンの割合として40重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。40重量%以上使用すると、感光体の表面平滑性の低下、残留電位上昇等の副作用をもたらす。
また、変性ポリオルガノシロキサンを樹脂に添加する方法としては、汎用の溶媒中で攪拌する方法、ボールミリング法、振動ミリング法、超音波法及び高圧液体衝突法などの手段を用いることができる。又は、バンバリーミキサー、ロールミル、2軸押出し機などの公知の装置を用い機械的に混合しペレット状に賦形する方法を挙げることができる。押し出し賦形されたペレットは、幅広い温度範囲で成型可能であり、成型には通常の射出成型機が用いられる。ペレット状に賦形されたアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物を有するグラフト共重合体と樹脂は、更に上記の溶液分散法へ適用できる。
【0170】
これらの中でも、特に、前記アクリル変性ポリオルガノシロキサンの粒子を、溶剤及びバインダー樹脂の少なくともいずれかと共に高圧状態に昇圧し、高圧による液衝突によって粉砕及び分散させる高圧液体衝突法によれば、アクリル変性ポリオルガノシロキサン粒子の小径化・均一分散が可能になるため、添加量の増加が可能となり、更なる持続低摩擦性が実現されるため好ましい。該高圧液体衝突法においては、例えば、微細な流路に流体を圧送し、該微細な流路での高圧の液衝突により被分散物を粉砕及び分散させる。高圧ポンプとこれに配管により接続された複数の小径のオリフィスを有する治具と該オリフィスより液が吐出される際に液同志が衝突するように加工された治具により構成された装置等を用いる。前記高圧とは、前記高圧ポンプの吐出量、吐出圧とオリフィス系及び長さ、更には被分散物の粘度よりおおむね決定され、10〜300MPaが好ましく50〜150MPaがより好ましい。
【0171】
このような装置としては、スギノマシン(株)のアルティマイザーシステム、大和製罐(株)、吉田機械興業(株)等のナノマイザーシステムが利用できる。衝突パス回数が増えると、液衝突の発熱が蓄積しやすいので、分散回路に冷却装置をつけるのが望ましい。
【0172】
アクリル変性ポリオルガノシロキサンと溶媒からなる溶液も分散できるし、アクリル変性ポリオルガノシロキサンと溶媒とバインダー樹脂からなる溶液も分散できる。溶媒としては、バインダーが溶解できるものが望ましい。例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサノン等が挙げられる。バインダー樹脂としては、有機電子写真感光体によく使われている市販樹脂(例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリレート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアミド、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる)も使用できるし、特殊な電荷輸送性ポリマーも使用できる。分散されたアクリル変性ポリオルガノシロキサンの再凝集を防ぐため、分散する時少量相溶化剤或いは分散剤を加えれば、得られた分散液の安定性がより高い。衝突パス回数はアクリル変性ポリオルガノシロキサンの粒径の変化により決められるが、必要以上となると、アクリル変性ポリオルガノシロキサンの劣化の恐れがあるので、20回以下が望ましい。もっと好ましいのは10回以下である。
尚、本発明において、前記粒子の分散状態は、感光層表面の表面粗さにより確認することができる。
【0173】
これらのアクリル変性ポリオルガノシロキサンの具体例としては、日信化学工業(株)のシャリーヌR−170S、R−170、R−210等という商品名で市販されているものが挙げられ、この中でもR−170S及びR−170はシリコーン含有率が約70%と非常に高く、特に有効かつ有用である。さらにその中でも球形の形状を有し、かつ平均粒径がより小さいR−170Sが最も効果が高く、特に有効に用いられる。
【0174】
保護層39に使用される結着樹脂材料としては、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリール樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂もしくはメタクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリアリレート、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
【0175】
これらの樹脂の中でも有機フィラーやアクリル変成ポリオルガノシロキサンの分散性、耐摩耗性、画質、残留電位、塗膜欠陥の点から、特にポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル系もしくはメタクリル系樹脂が特に有効である。
【0176】
さらに、これらのバインダー樹脂の中でも架橋硬化させて用いるバインダー樹脂は、耐摩耗性が著しく向上し、表面平滑性や硬度が高まることから、摩擦係数あるいは表面エネルギー低減効果の持続性に有効かつ有用である。特に、アクリルもしくはメタクリル系樹脂は硬化させることによる静電特性への影響が少なく、塗膜品質が良好であるため好ましい。これらの硬化樹脂は、電荷輸送物質と架橋させることによって耐摩耗性を損なわずに静電特性の安定化が実現され、耐摩耗性の向上と高画質化との両立が実現されるため非常に有効な手段である。また、保護層のバインダー樹脂として、前述の高分子電荷輸送物質を用いることも可能であり、耐摩耗性の向上や高画質化において非常に有効である。高分子電荷輸送物質としては、電荷輸送層35で挙げた材料をすべて使用することが可能である。
【0177】
本発明においては、保護層中に有機フィラーが含有される。保護送中における有機フィラーの割合は、全固形分に対して1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%である。本発明で使用される有機フィラー材料としては、シリコーン系、アクリル系もしくはメタクリル系、ポリスチレン系、スチレン−アクリル系、ウレタン系、ブチラール系、メラミン系、ベンゾグアナミン系等の各種樹脂微粒子が挙げられる。これらの樹脂微粒子は、多層化させたり、他の機能性樹脂と複合させたり、架橋されたりして用いることも可能であり、これらの微粒子を感光体の保護層に含有させることにより、感光体の耐摩耗性の著しい向上や摩擦係数低減効果の持続性が顕著に高まること等から特に有効である。多層化させることによって、高架橋な微粒子表面に各種官能基の導入が可能となり、それにより耐摩耗性の向上と分散性の向上を両立することができる。
【0178】
本発明においては、特にアクリル変成させることにより、耐摩耗性の向上と同時に、分散性を顕著に高めることが可能となり、アクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物との相溶性を維持することも可能となるため有効である。他の樹脂と複合させることによって、各種樹脂の利点を融合させることができる。特に、高架橋系樹脂において分散性や相溶性とを両立させることが可能であり、上記高架橋系樹脂をアクリル変成させたものが特に有効に用いられる。また、これらの樹脂微粒子を架橋させることによって、耐摩耗性を顕著に向上させることができる。架橋度が高ければ高いほど有効であり、無機フィラーと同等かそれ以上の効果が得られる場合がある。
【0179】
また、微粒子の硬度が高くなることにより、それを含有した感光体表面の滑り性はさらに向上し、摩擦係数低減や異物除去性の持続性が顕著に高まる場合がある。さらに、微粒子が真球形状もしくは略真球形状であることにより、摩擦係数低減効果の持続性が高まり、安定した滑り性や異物除去性が発現され、微粒子の真球度が高いほどその効果が高くなる傾向にある。なお、本発明における真球状とは、微粒子のいかなる方向からの断面形状においても凹凸がなく円として認識され、断面の中心から外周までの半径の最大距離と最小距離の比率が±1.5以下であることと定義する。
【0180】
これらの有機フィラーの平均一次粒径は、0.01〜5.0μmが好ましく、0.1〜2.0μmがより好ましい。平均一次粒径がこれより小さいと、耐摩耗性の低下を引き起こし、平均一次粒径がこれよりも大きい場合には表面平滑性の低下や光散乱による画質低下、塗膜欠陥の発生を促す場合がある。
【0181】
用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなど、電荷輸送層37で使用されるすべての溶剤を使用することができる。但し、分散時には粘度が高い溶剤が好ましいが、塗工時には揮発性が高い溶剤が好ましい。これらの条件を満たす溶剤がない場合には、各々の物性を有する溶剤を2種以上混合させて使用することが可能であり、フィラーの分散性や残留電位に対して大きな効果を有する場合がある。
【0182】
また、保護層に電荷輸送層37で挙げた電荷輸送物質を添加することは、残留電位の低減及び画質向上に対して有効かつ有用である。その際、保護層中に含有される電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル(Ip)が、感光層中に含有される電荷輸送物質のIpと同じか、より小さくなるような電荷輸送物質を保護層に添加することによって、保護層への電荷注入性が向上することにより、残留電位をより低減できる効果を有する。なお、イオン化ポテンシャルIpは、分光学的に求める方法、電気化学的に求める方法等、種々の方法を用いて測定することができる。
【0183】
前記有機フィラー材料は、ボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などの従来方法を用いて分散することができる。使用されるメディアの材質については、従来使用されているジルコニア、アルミナ、メノウ等すべてのメディアを使用することができる。
【0184】
保護層の形成法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の従来方法を用いることができるが、特に塗膜の均一性の面からスプレーコートがより好ましい。さらに、保護層の必要膜厚を一度で塗工し、保護層を形成することも可能であるが、2回以上重ねて塗工し、保護層を多層にする方が膜中におけるフィラーの均一性の面からより好ましい。そうすることによって、残留電位の低減、解像度の向上、及び耐摩耗性の向上に対しより一層の効果が得られる。なお、保護層の厚さは0.1〜10μm程度が適当である。
【0185】
保護層には上記アクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物及び有機フィラー以外の有機性フィラーをさらに添加することもできる。有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコ−ン樹脂粉末、a−カ−ボン粉末等が挙げられる。
【0186】
また、保護層には、シリコンオイルのようなレベリング剤や下記に示すような酸化防止剤やフィラーの分散材を添加することもできる。
酸化防止剤としては従来公知の物が使用できる。例えば、下記に示すヒンダードアミン構造とヒンダードフェノール構造の両構造を有する化合物を使用することができる。
【0187】
【化57】
Figure 2004184906
【0188】
本発明の感光体においては、導電性支持体31と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
【0189】
これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Alを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
【0190】
本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、保護層、中間層等の少なくとも1層ないし各層に、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質およびレベリング剤を添加することが出来る。これらの化合物の代表的な材料を以下に記す。
各層に添加できる酸化防止剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0191】
(a)フェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコールエステル、トコフェロール類など。
【0192】
(b)パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
【0193】
(c)ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
【0194】
(d)有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
【0195】
(e)有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
【0196】
各層に添加できる可塑剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)リン酸エステル系可塑剤
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニルなど。
【0197】
(b)フタル酸エステル系可塑剤
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなど。
【0198】
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチルなど。
(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチルなど。
【0199】
(e)脂肪酸エステル誘導体
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリンなど。
【0200】
(f)オキシ酸エステル系可塑剤
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなど。
(g)エポキシ可塑剤
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシルなど。
【0201】
(h)二価アルコールエステル系可塑剤
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなど。
(i)含塩素可塑剤
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチルなど。
【0202】
(j)ポリエステル系可塑剤
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステルなど。
(k)スルホン酸誘導体
p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミドなど。
【0203】
(l)クエン酸誘導体
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシルなど。
(m)その他
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチルなど。
【0204】
各層に添加できる滑剤としては、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)炭化水素系化合物
流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレンなど。
(b)脂肪酸系化合物
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸など。
【0205】
(c)脂肪酸アミド系化合物
ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミドなど。
(d)エステル系化合物
脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステルなど。
【0206】
(e)アルコール系化合物
セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロールなど。
(f)金属石けん
ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなど。
【0207】
(g)天然ワックス
カルナバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウなど。
(h)その他
シリコーン化合物、フッ素化合物など。
【0208】
各層に添加できる紫外線吸収剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)ベンゾフェノン系
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノンなど。
【0209】
(b)サルシレート系
フェニルサルシレート、2,4ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル4ヒドロキシベンゾエートなど。
(c)ベンゾトリアゾール系
(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ3’−ターシャリブチル5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール
【0210】
(d)シアノアクリレート系
エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル2−カルボメトキシ3(パラメトキシ)アクリレートなど。
(e)クエンチャー(金属錯塩系)
ニッケル(2,2’チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェートなど。
【0211】
(f)HALS(ヒンダードアミン)
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなど。
【0212】
次に図面を用いて本発明の電子写真方法ならびに電子写真装置を詳しく説明する。
図4は、本発明の電子写真プロセス及び電子写真装置を説明するための概略図であり、下記のような例も本発明の範疇に属するものである。第4図において、感光体1はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。
【0213】
帯電部材は、チャージャーによる非接触帯電や帯電ローラーあるいは帯電ブラシによる接触帯電のいずれも使用することが可能である。さらに、帯電ローラーを用いる場合、図5に示されるように感光体あるいは帯電ローラーにギャップを設けて、感光体と帯電ローラーとが画像形成領域において非接触となるように近接配置させることも可能であり有効である。特に、本発明のように感光体の最表面層に表面エネルギー低減効果を付与した感光体の場合には、帯電ローラーと感光体とが近接配置されていることによって、感光体表面の汚染を防止することが可能となり、摩擦係数あるいは表面エネルギーの低減効果の持続性を高める上で有効となる場合がある。
【0214】
感光体に対し帯電部材が近接配置させる方法としては、感光体の非画像形成領域にギャップを設ける必要があるが、それは例えば、ギャップ材を帯電部材に設けたり、感光体側に設けたり、あるいは感光体の両端にセットされるフランジ部に設けることによって形成することが可能であり、本発明においては感光体と帯電部材とが近接配置されていれば如何なる方法でも可能である。このようにギャップ材を使用する場合、ギャップ材は絶縁性である必要があり、耐摩耗性の高い材料が有効に用いられる。ギャップ材はテープ状、シール状もしくはチューブ状等、如何なる形態のものでも使用できる。
【0215】
ギャップの厚さは、10〜200μmが好ましく、20〜100μmがより好ましく、さらに好ましくは40〜80μmである。ギャップがこれよりも小さい場合には、帯電部材と感光体の接触が多くなり、近接配置させたメリットが得られず画質劣化の影響が増加し、ギャップがこれよりも大きい場合には帯電の安定性が低下し帯電ムラが発生する場合があり、また要求される帯電レベルを維持させるための印加電圧を増加させる必要が生じ、それによって放電生成物の発生量の更なる増加により画像ボケの影響が増大する恐れがある。
【0216】
また、帯電部材には直流成分に交流成分を重畳して感光体に帯電を付与することが可能である。交流成分を重畳することによって、帯電ムラを低減することが可能となり、それによって画像濃度ムラやコントラストの低下を抑制することが可能となり有用である。
【0217】
次に、均一に帯電された感光体上に静電潜像を形成するために画像露光部5が用いられる。この光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
【0218】
次に、感光体上に形成された静電潜像を可視化するために現像ユニットが用いられる。現像方式としては、乾式トナーを用いた一成分現像法、二成分現像法、湿式トナーを用いた湿式現像法等がある。感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行うと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
【0219】
フルカラー用電子写真装置における現像ユニットは、少なくともイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色に対応したユニットを有しており、1つの感光体に4色の現像ユニットが近接された方式や、1つの現像ユニットに4色のトナーが分別されて充填され、ユニット自体が4段階に回転することによって4色の現像を順次行う、リボルバー方式や、4色のトナーが充填された各々4つのユニットに対し4つの感光体が配置されたタンデム方式等が挙げられる。
【0220】
図6は、本発明におけるタンデム方式の電子写真装置を説明するための概略図である。図6において、符号1C、1M、1Y、1Kはドラム状の感光体であり、この感光体1C、1M、1Y、1Kは図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に帯電部材2C、2M、2Y、2K、現像部材4C、4M、4Y、4K、クリーニング部材5C、5M、5Y、5Kが配置されている。この帯電部材2C、2M、2Y、2Kと現像部材4C、4M、4Y、4Kの間の感光体表面に露光部材からのレーザー光3C、3M、3Y、3Kが照射され、感光体1C、1M、1Y、1Kに静電潜像が形成されるようになっている。
【0221】
そして、このような感光体1C、1M、1Y、1Kを中心とした4つの画像形成要素6C、6M、6Y、6Kが、転写材搬送手段である転写搬送ベルト10に沿って並置されている。転写搬送ベルト10は各画像形成ユニット6C、6M、6Y、6Kの現像部材4C、4M、4Y、4Kとクリーニング部材5C、5M、5Y、5Kの間で感光体1C、1M、1Y、1Kに当接しており、転写搬送ベルト10の内側には感光体との接触部において転写バイアスを印加するための転写ブラシ11C、11M、11Y、11Kが配置されている。
【0222】
図6に示すフルカラー用電子写真装置において、画像形成動作は次のようにして行われる。まず、各画像形成要素6C、6M、6Y、6Kにおいて、感光体1C、1M、1Y、1Kが矢印方向(感光体と連れ周り方向)に回転する帯電部材2C、2M、2Y、2Kにより帯電され、次に露光部でレーザー光3C、3M、3Y、3Kにより、形成される各色の画像に対応した静電潜像が形成される。次に現像部材4C、4M、4Y、4Kにより潜像を現像してトナー像が形成される。
【0223】
現像部材4C、4M、4Y、4Kは、それぞれC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のトナーで現像を行う現像部材で、4つの感光体1C、1M、1Y、1K上で作られた各色のトナー像は転写紙上で重ねられる。転写紙7は給紙コロ8によりトレイから送り出され、一対のレジストローラ9で一旦停止し、上記感光体上への画像形成とタイミングを合わせて転写搬送ベルト10に送られる。転写搬送ベルト10上に保持された転写紙7は搬送されて、各感光体1C、1M、1Y、1Kとの当接位置(転写部)で各色トナー像の転写が行われる。
【0224】
感光体上のトナー像は、転写ブラシ11C、11M、11Y、11Kに印加された転写バイアスと感光体1C、1M、1Y、1Kとの電位差から形成される電界により、転写紙7上に転写される。そして4つの転写部を通過して4色のトナー像が重ねられた記録紙7は定着装置12に搬送され、トナーが定着されて、排紙部(図示せず)に排紙される。また、転写部で転写されずに各感光体1C、1M、1Y、1K上に残った残留トナーは、クリーニング装置5C、5M、5Y、5Kで回収される。
【0225】
尚、図6の例では画像形成要素は転写紙搬送方向上流側から下流側に向けてC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限られるものでは無く、色順は任意に設定されるものである。また、ブラック色のみの原稿を作成する際には、ブラック色以外の画像形成要素(6C、6M、6Y)が停止するような機構を設けることは本発明に特に有効に利用できる。
【0226】
次に、感光体上で可視化されたトナー像は紙上、もしくは中間転写体に転写される。図7は、本発明における感光体に中間転写ベルトが接触し、感光体と紙とが直接接触しない構成を有する電子写真装置を説明するための概略図である。なお、中間転写体はドラム状であっても、シート状あるいはエンドレスベルト状であってもよい。中間転写体もしくは中間転写ベルト上に形成されたトナー像は、直ちに紙に転写される。これらの転写手段としても、転写チャージャー、バイアスローラーを用いる静電転写方式、粘着転写法、圧力転写法等の機械転写方式、磁気転写方式等、従来の方式が利用可能である。感光体に中間転写ベルトが接触し、感光体と紙とが直接接触しない構成を有することによって、感光体表面の汚染を抑制する効果が得られるため、本発明においては相乗効果が得られる。
【0227】
感光体表面への放電生成物やトナー外添剤の付着は、紙粉を引き寄せるため、フィルミングが促進される場合があるが、中間転写ベルトを用いて感光体と紙とが直接接触していないことによって、その影響を大幅に抑制することが可能となる。特に、前記アクリル変性ポリオルガノシロキサンを含有した感光体は、紙粉の影響を軽減させることによって、感光体表面における汚染の影響が軽減され、摩擦係数や表面エネルギー低減効果をより安定化させることが可能となり、高画質化及び高耐久化が実現されることからより好ましい構成であると言える。
【0228】
また、図8にはタンデム方式でかつ中間転写ベルトが具備された電子写真装置の概略図を示す。上記タンデム方式の電子写真装置において、各感光体上に形成されたトナー像を中間転写体もしくは中間転写ベルト等に一次転写を行い、その後転写体(紙)に二次転写を行うことによって、各感光体と紙とが直接接触しない構成とすることは前記のとおり高耐久化、高画質化に対し非常に有効である。
【0229】
特に、タンデム方式の電子写真装置のおいては、感光体間における経時劣化変動を可能な限り少なくする必要があり、感光体表面の摩耗量はもちろん、感光体表面への汚染の影響に感光体間で大きな差が生じてくると、4本の感光体により一つの画像を形成する機構上、色再現性や解像度低下等、画像劣化を引き起こすことになる。また、タンデム方式の場合には、感光体表面の汚染物質である放電生成物、トナー外添剤、紙粉の中でも紙粉による影響の度合いが大きい傾向にある。それは、少なくとも4色の転写が終わるまで各感光体は紙と接触している必要があることや、印刷する色の種類によって各色のトナー使用量に差が生じてくるのに対し、トナー使用量に関わらず感光体は絶えず紙と接触している必要があることによる。
【0230】
例えば、ブラックのみの印刷を行う場合には、ブラック以外の3つの感光体は紙に接触しないようにする機構などが考えられてはいるものの、実際には単色のみによる印刷需要は少なく、紙粉による影響が大きくなるのが一般的となっている。これらのことから、タンデム方式の電子写真装置において、感光体上のトナー像を中間転写体もしくは中間転写ベルトに一次転写させることによって、感光体と紙とが直接接触しない構成とすることにより、感光体の高耐久化だけでなく、画像ボケやフィルミングの抑制、色再現性や解像度の向上等に特に有効となる。また、それは感光体表面へのアクリル変性ポリオルガノシロキサンの含有による表面エネルギー低減効果の持続性をさらに高めることが可能となり、画質の安定化に対しても更なる効果が期待できる。
【0231】
特に、本発明の前記アクリル変性ポリオルガノシロキサンを感光体表面に含有させた場合、紙粉の付着あるいはそれによって助長されるフィルミングを抑制させる上で、その効果の安定化を大幅に向上させることが可能となるため、特に好ましい。
【0232】
次に、転写後感光体上に残されたトナーをクリーニングするために、ファーブラシやクリーニングブレードあるいはそれらを併用して用いられる。また、クリーニングをより効率的に行うためにクリーニング前チャージャーを用いてもよい。その他クリーニング手段としては、ウェブ方式、マグネットブラシ方式等があるが、それぞれ単独でまた複数の方式を併用してもよい。
【0233】
次に、必要に応じて感光体上の潜像を取り除く目的で除電手段が用いられる。除電手段としては除電ランプ、除電チャージャーが用いられ、それぞれ上記露光光源、帯電手段を利用できる。
その他、感光体に近接していない原稿読み取り、給紙、定着、排紙等のプロセスは従来公知のものが全て使用できる。
【0234】
以上の図示した電子写真プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態も可能である。例えば、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、およびその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行うこともできる。
【0235】
これらの画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形態でそれらの装置内に組み込まれ、着脱自在の構成としたものであってもよい。図9は、電子写真装置用プロセスカートリッジの一例を示す概略図である。図中101の感光ドラムの最表面層には少なくとも本発明によるアクリル変性ポリオルガノシロキサン及び有機フィラー及びバインダー樹脂が含有されてなる。電子写真装置用プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段の少なくとも一つを一体化し、電子写真装置本体に対して着脱可能とした部品である。
【0236】
以上の図示した電子写真プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態も可能である。一方、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、およびその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行うこともできる。
【0237】
【実施例】
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明が実施例により制約を受けるものではない。なお、部はすべて重量部である。
【0238】
実施例1
アルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、浸漬塗工によって順次塗布、乾燥し、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、20μmの電荷輸送層を形成した。
【0239】
<下引き層塗工液>
・二酸化チタン粉末: 400部
・メラミン樹脂: 40部
・アルキッド樹脂: 60部
・2−ブタノン: 500部
<電荷発生層塗工液>
・下記構造のビスアゾ顔料:12部
【化58】
Figure 2004184906
・ポリビニルブチラール: 5部
・2−ブタノン: 200部
・シクロヘキサノン: 400部
【0240】
<電荷輸送層塗工液>
・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成製):10部
・下記構造式の電荷輸送物質: 10部
【化59】
Figure 2004184906
・テトラヒドロフラン: 100部
・1%シリコーンオイル(KF50−100CS、信越化学工業製)
テトラヒドロフラン溶液 1部
電荷輸送層上にさらに、ボールミリングにより得た下記組成の保護層塗工液をスプレー塗工法によって約5μmの保護層を形成し、実施例1の電子写真感光体を作製した。
【0241】
得られた感光体の一部を剥がして保護層の断面TEMによりアクリル変性ポリオルガノシロキサンの分散状態を観察したところ、0.1から3μm程度の粒状分散膜になっていることが確認された。また、下記保護層塗工液に使用したシャリーヌR−170Sをテトラヒドロフランに溶解分散させた液は、溶解によって凝集粒子は消失するものの、一次粒子以下までは溶解せず、膨潤により0.2μmのフィルターを全く通過しなかった。この様に保護層中のシャリーヌR−170Sはミクロゲル状態で存在することがわかる。
【0242】
Figure 2004184906
【化60】
Figure 2004184906
・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成製): 6部
・テトラヒドロフラン: 450部
・シクロヘキサノン: 130部
【0243】
実施例2
実施例1において保護層のアクリル変性ポリオルガノシロキサンにシャリーヌR−210(日信化学工業株式会社製、平均一次粒径:0.2μm、オルガノポリシロキサン成分10%とアクリル成分90%からなるアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物)を使用する他は同様にして電子写真感光体を作製した。また、アクリル変性ポリオルガノシロキサンの分散状態を実施例1と同じ方法で調べたところ同様であった。
【0244】
実施例3
実施例1において、保護層に含有される有機フィラーを下記の材料に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。また、アクリル変性ポリオルガノシロキサンの分散状態を実施例1と同じ方法で調べたところ同様であった。
・アクリル微粒子(真球状、平均一次粒径0.5μm、綜研化学製):3部
【0245】
実施例4
実施例1において、保護層に含有される有機フィラーを下記の材料に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。また、アクリル変性ポリオルガノシロキサンの分散状態を実施例1と同じ方法で調べたところ同様であった。
・架橋アクリル微粒子(真球状、平均一次粒径1μm、綜研化学製):2部
【0246】
実施例5
実施例1において、保護層に含有される有機フィラーを下記の材料に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。また、アクリル変性ポリオルガノシロキサンの分散状態を実施例1と同じ方法で調べたところ同様であった。
・架橋スチレン微粒子(真球状、平均粒径1μm、綜研化学製):3.5部
【0247】
実施例6
実施例1において、保護層に含有される有機フィラーを下記の材料に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。また、アクリル変成ポリオルガノシロキサンの分散状態を実施例1と同じ方法で調べたところ同様であった。
・架橋アクリル微粒子(非真球状、平均粒径2μm、綜研化学製):2部
【0248】
実施例7
実施例1において、保護層に含有される有機フィラーを下記の材料に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。また、アクリル変成ポリオルガノシロキサンの分散状態を実施例1と同じ方法で調べたところ同様であった。
・架橋ポリメタクリル酸メチル系微粒子
(真球状、平均粒径7μm、日本触媒製):2.5部
【0249】
実施例8
実施例3において、保護層に含有されるバインダー樹脂を下記の材料に変更した以外は、すべて実施例3と同様にして、電子写真感光体を作製した。また、アクリル変性ポリオルガノシロキサンの分散状態を実施例1と同じ方法で調べたところ同様であった。
・MMA(メチルメタアクレレート)−BMA(ブチルメタアクレレート)
共重合体:12部
【0250】
実施例9
実施例4において、保護層に含有されるバインダー樹脂を下記の熱硬化性材料に変更した以外は、すべて実施例4と同様にして、電子写真感光体を作製した。また、アクリル変性ポリオルガノシロキサンの分散状態を実施例1と同じ方法で調べたところ同様であった。
Figure 2004184906
【0251】
実施例10
実施例1において、保護層に電荷輸送物質を含有させず、保護層の膜厚を2μmとした以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。また、アクリル変性ポリオルガノシロキサンの分散状態を実施例1と同じ方法で調べたところ同様であった。
【0252】
実施例11
実施例1において、保護層に含有されるバインダー樹脂及び電荷輸送物質を下記の材料に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。また、アクリル変性ポリオルガノシロキサンの分散状態を実施例1と同じ方法で調べたところ同様であった。
・下記構造式の高分子電荷輸送物質:10部
【化61】
Figure 2004184906
【0253】
実施例12
実施例1において、電荷発生層塗工液、電荷輸送層塗工液及び保護層塗工液を下記のものに変更した以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。また、アクリル変性ポリオルガノシロキサンの分散状態を実施例1と同じ方法で調べたところ同様であった。
<電荷発生層塗工液>
・Y型チタニルフタロシアニン: 9部
・ポリビニルブチラール: 5部
・2−ブタノン: 450部
<電荷輸送層塗工液>
・C型ポリカーボネート: 10部
・下記構造式の電荷輸送物質: 8部
【化62】
Figure 2004184906
・下記構造式の有機硫黄系化合物(住友化学工業製):0.15部
S(CHCHCOOC1429
・トルエン: 70部
【0254】
Figure 2004184906
【化63】
Figure 2004184906
・下記構造式の電荷輸送物質(Ip:5.3eV): 4部
【化64】
Figure 2004184906
・テトラヒドロフラン: 350部
・シクロヘキサノン: 100部
【0255】
比較例1
実施例1において、保護層を設けなかった以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
【0256】
比較例2
実施例1において、保護層塗工液に有機フィラーを加えなかった以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
【0257】
比較例3
実施例1において、保護層塗工液にアクリル変性ポリオルガノシロキサンを加えなかった以外、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
【0258】
比較例4
実施例2において、保護層塗工液に有機フィラーを加えなかった以外は、すべて実施例2と同様にして、電子写真感光体を作製した。
【0259】
比較例5
実施例3において、保護層塗工液にアクリル変成ポリオルガノシロキサン化合物を加えなかった以外は、すべて実施例3と同様にして、電子写真感光体を作製した。
【0260】
比較例6
実施例4において、保護層塗工液にアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物を加えなかった以外は、すべて実施例4と同様にして、電子写真感光体を作製した。
【0261】
比較例7
実施例5において、保護層塗工液にアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物を加えなかった以外は、すべて実施例5と同様にして、電子写真感光体を作製した。
【0262】
比較例8
実施例6において、保護層塗工液にアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物を加えなかった以外は、すべて実施例6と同様にして、電子写真感光体を作製した。
【0263】
比較例9
実施例8において、保護層塗工液にアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物を加えなかった以外は、すべて実施例8と同様にして、電子写真感光体を作製した。
【0264】
比較例10
実施例9において、保護層塗工液に有機フィラーを加えなかった以外は、すべて実施例9と同様にして、電子写真感光体を作製した。
【0265】
比較例11
実施例12において、保護層塗工液に有機フィラーを加えなかった以外は、すべて実施例12と同様にして、電子写真感光体を作製した。
【0266】
比較例12
実施例12において、保護層塗工液にアクリル変性ポリオルガノシロキサンを加えなかった以外は、すべて実施例12と同様にして、電子写真感光体を作製した。
【0267】
以上のように作製した実施例1〜12の電子写真感光体、及び比較例1〜12の電子写真感光体について、摩擦係数及び水による接触角を測定した。なお、摩擦係数は感光体に短冊状に切断した紙を当接させ、等速度で引いたときの摩擦力を計測し、摩擦係数に換算した。
それらの電子写真感光体を電子写真プロセス用カートリッジに装着し、現像バイアスを印加することによって、感光体上に一定量のトナーを載せた。さらに、クリーニングブレードを当接させ、それらのトナーをクリーニングした後、感光体上の残存した単位面積当たりのトナー量を計測することにより、クリーニング性の評価を行った。なお、トナーは球形かつ粒径6μm以下のトナーを使用した。クリーニング性のレベルは、下記の記号により表記した。
【0268】
◎:クリーニング後残存したトナーはほとんど観察されない。
○:クリーニング後残存したトナーは微量あるが、画質に大きな影響は見られない。
△:クリーニング不良が認められ、それによる画像欠陥が観察される。
×:クリーニング不良の影響が非常に大きく、画質劣化の度合いが大きい。
【0269】
次に、これらの電子写真感光体を、別な電子写真プロセス用カートリッジに装着し、画像露光光源を655nmの半導体レーザーを用いたリコー製デジタル複写機改造機にて、連続して5万枚の印刷を行った後、上記のとおり摩擦係数及び水による接触角の測定及びクリーニング評価を再度実施した。また、5万枚印刷前後において膜厚を測定することにより、その差から5万枚印刷前後における摩耗量の評価を行った。
実施例の結果を表1に、比較例の結果を表2に示す。
【0270】
【表1】
Figure 2004184906
【0271】
【表2】
Figure 2004184906
【0272】
表1及び2の結果より、アクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物の含有により、摩擦係数及び表面エネルギーの低減が実現され、クリーニング性の向上に有効であった。また、5万枚のくり返し使用後においても無添加の場合に比べ、それらの特性の安定化が実現されている。しかしながら、耐摩耗性が不十分であり、膜厚の急激な減少により画像上に地汚れの発生が観察され、高耐久化が維持されていなかった。それに対し、有機フィラーとアクリル変成ポリオルガノシロキサン化合物とを混合して用いることにより、耐摩耗性の向上と同時に、摩擦係数や接触角の変動についても抑制され、5万枚印刷後におけるクリーニング性が大幅に改善されていることがわかる。
【0273】
一方、有機フィラーのみでは、5万枚印刷後における摩擦係数や接触角の変動を抑制することは十分ではなく、クリーニング性の低下を引き起こしている。また、アクリル変性ポリオルガノシロキサンと有機フィラーの両方を保護層に含有させた場合において、ポリオルガノシロキサンの重量が(メタ)アクリル酸エステル又はこの(メタ)アクリル酸エステル70重量%以上と共重合可能な単量体30重量%以下との混合物の重量よりも多い場合にクリーニング性に対する効果が非常に高まっていることもわかる。
【0274】
有機フィラーが真球状であることにより摩擦係数低減効果が高まっており、耐摩耗性の向上に対しても効果が見られている。有機フィラーの平均一次粒径が5μm以下にすることにより、表面凹凸を軽減し、初期におけるクリーニング性の低下が抑制されている。また、有機フィラーに架橋系微粒子を用いることにより、感光体の耐摩耗性が飛躍的に向上しており、アクリル変成ポリオルガノシロキサン化合物との共存により、耐摩耗性の向上と摩擦係数低減効果の持続性との両立が可能となっている。さらに、バインダー樹脂も架橋して用いることにより、さらなる耐摩耗性の向上が実現され、摩擦係数低減効果の持続性に対しても効果が見られている。
【0275】
【発明の効果】
以上述べたように、保護層を有する電子写真感光体において、その保護層中に少なくとも有機フィラーとアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物及びバインダー樹脂を含有させることで耐摩耗性に優れ、且つ滑り性、異物除去性とを両立できる電子写真感光体を得ることができた。それにより、摩耗による膜厚減少で起こる放電破壊によるピンホールに起因する地汚れやクリーニング不良により発生する地汚れや異物付着による画像抜けや画像流れ等の異常画像が起こりにくく、長期に渡って安定した画像出力が可能な電子写真感光体を提供できる。
【0276】
また、使用されるアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物にシリコン主鎖にアクリル重合体をグラフト化させた化合物を使用すること、また、一般式(イ)と一般式(ロ)で表される特定の乳化グラフト共重合体を使用すること、また、ポリオルガノシロキサン部の重量がアクリル重合部よりも多い配分とすることによって、滑り性、異物除去性がさらに良好で且つその持続性にもさらに優れ、より一層安定した画像出力が可能となった。
【0277】
また、これらアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物が保護層中に粒状に分散され、且つフィラーやバインダー樹脂との相溶性を大幅に高めたことによって、これまで困難であった耐摩耗性と滑り性、異物除去性の持続性の両立が可能となった。また、これらアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物は、有機溶媒だけでなく、フィラーやバインダー樹脂との相溶性が高いが故に、ミクロゲルの形態をとることが可能となり、これにより表面改質効果にムラがなく上記粒状分散体を容易に形成することが出来、耐摩耗性に優れ、繰り返し使用においても画質の安定した電子写真感光体を安価に提供できる。
【0278】
また、少なくとも1種の有機フィラーを混合させて用いることにより、耐摩耗性の大幅な向上が実現されるだけでなく、滑り性やクリーニング性の効果の持続性を高めるに有効であり、それによって摩耗による地汚れ等の異常画像や異物付着による解像度低下を防止することでき、長期間に渡って高画質で高寿命な感光体の提供が可能となる。
また、保護層に電荷輸送物質を含有することにより、耐摩耗性を維持しつつ、電荷の移動が良好に行われ、感度が良く、残留電位が少なく、明部電位と暗部電位の差を十分にとることができ、高速な画像出力が安定して行われ、高速画像出力、高画質出力、高安定画像出力を可能にする感光体の提供ができる。
【0279】
また、保護層中のバインダー樹脂にポリカーボネート樹脂及び/又はポリアリレート樹脂、あるいはアクリル系樹脂、さらにはその架橋系樹脂を用いることにより、有機フィラーやアクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物との相溶性が維持され、それらの保持性が高まることにより、その結果として機械的強度に優れた耐摩耗性の強い感光体且つ摩擦係数の低い状態を維持できる感光体の提供が可能となる。
これら電子写真感光体を使用する電子写真方法、電子写真装置及びプロセスカートリッジは、感光体を長期に渡って交換する必要が無く、メンテナンスが容易で、コストパフォーマンスが高く、且つ高画質な画像出力が長期に渡って安定して提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる電子写真用感光体の層構成を示す断面図
【図2】本発明に係わる電子写真用感光体の層構成を示す断面図
【図3】本発明に係わる電子写真用感光体の層構成を示す断面図
【図4】本発明の電子写真プロセスカートリッジおよび電子写真装置を説明するための概略図
【図5】本発明に係わる帯電手段を説明するための概略図
【図6】本発明に係わるタンデム方式の電子写真装置を説明するための概略図
【図7】本発明に係わる中間転写ベルトを含む電子写真装置を説明するための概略図
【図8】本発明に係わる中間転写ベルトを含む電子写真装置を説明するための概略図
【図9】本発明によるプロセスカートリッジの一例を示す概略図
【図10】オキシチタニウムフタロシアニンのXDスペクトルを表わした図
【符合の説明】
31 導電性支持体
33 感光層
35 電荷発生層
37 電荷輸送層
39 保護層
101 感光ドラム
102 帯電装置
103 露光
104 現像装置
105 転写体
106 転写装置
107 クリーニングブレード

Claims (21)

  1. 導電性支持体上に少なくとも感光層及び保護層を順次形成してなる電子写真感光体において、前記保護層に少なくとも有機フィラー、アクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物及びバインダー樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体。
  2. アクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物がシリコン主鎖にアクリル重合体をグラフト化させた化合物である請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. アクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物が
    (イ)一般式(1)
    Figure 2004184906
    〔式中のR、R及びRは、それぞれ同一又は異なる炭素数1〜20の炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基、Yはラジカル反応性基又はSH基もしくはその両方をもつ有機基、Z及びZは、それぞれ同一又は異なる水素原子、低級アルキル基又は
    Figure 2004184906
    基(R及びRは、それぞれ同一又は異なる炭素数1〜20の炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基、Rは炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、あるいはラジカル反応性基又はSH基もしくはその両方をもつ有機基である)、mは10,000以下の正の整数、nは1以上の整数である〕で表わされるポリオルガノシロキサンと、(ロ)一般式(2)
    Figure 2004184906
    (式中のRは水素原子又はメチル基、Rはアルキル基、アルコキシ置換アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基である)
    で表わされる(メタ)アクリル酸エステル又はこの(メタ)アクリル酸エステル70重量%以上と共重合可能な単量体30重量%以下との混合物とを、重量比5:95ないし95:5の割合で乳化グラフト共重合させて成るアクリル変性ポリオルガノシロキサンであることを特徴とする請求項1又は2記載の電子写真感光体。
  4. 上記(イ)で表されるポリオルガノシロキサンの重量が、上記(ロ)で表される(メタ)アクリル酸エステル又はこの(メタ)アクリル酸エステル70重量%以上と共重合可能な単量体30重量%以下との混合物の重量よりも多いことを特徴とする請求項3記載の電子写真感光体。
  5. アクリル変性ポリオルガノシロキサン化合物がミクロゲルの形態であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真感光体。
  6. 前記保護層に含まれる有機フィラーが、シリコーン樹脂微粒子、アクリルもしくはメタクリル樹脂微粒子の少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体。
  7. 前記保護層に含まれる有機フィラーが、架橋されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体。
  8. 前記保護層に含まれる有機フィラーが、真球状であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真感光体。
  9. 前記保護層に含まれる有機フィラーの平均一次粒径が、0.1〜5.0μmであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真感光体。
  10. 前記保護層に、少なくとも1種の電荷輸送物質が含有されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載の電子写真感光体。
  11. 前記保護層に含まれるバインダー樹脂が、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、アクリルもしくはメタクリル樹脂の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の電子写真感光体。
  12. 前記保護層にバインダー樹脂として含まれるアクリルもしくはメタクリル樹脂が、加熱あるいは光照射によって架橋されて形成されることを特徴とする請求項11に記載の電子写真感光体。
  13. 前記保護層に含まれるバインダー樹脂が、構造中に電荷輸送機能を有することを特徴とする請求項11又は12記載の電子写真感光体。
  14. 電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写が繰り返し行なわれる電子写真方法において、該電子写真感光体として請求項1〜13のいずれかに記載の電子写真感光体が用いられることを特徴とする電子写真方法。
  15. 電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行い、かつ画像露光の際にはLDあるいはLED等によって感光体上に静電潜像の書き込みが行なわれる、所謂デジタル方式の電子写真方法において、該電子写真感光体として請求項1〜13のいずれかに記載の電子写真感光体が用いられることを特徴とする電子写真方法。
  16. 少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、該電子写真感光体が請求項1〜13のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置。
  17. 少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備し、該画像露光手段にLDあるいはLED等を使用することによって該電子写真感光体上に静電潜像の書き込みが行なわれる、所謂デジタル方式の電子写真装置であって、該電子写真感光体が請求項1〜13のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置。
  18. 前記電子写真装置が、感光体上に形成された静電潜像にトナーを現像した後、それらを直接紙に転写する前に、中間転写体もしくは中間転写ベルト上にトナー像を形成した後に紙に転写することによって、該電子写真感光体と紙とが直接接触しないことを特徴とする請求項16又は17に記載の電子写真装置。
  19. 前記電子写真装置が、少なくともシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色のトナーを保持する現像部に対応した複数の電子写真感光体を具備し、少なくとも帯電、画像露光、現像及び転写の工程が並列に処理されることによってフルカラー印刷を実現するタンデム方式の電子写真装置であることを特徴とする請求項16〜18のいずれかに記載の電子写真装置。
  20. 前記電子写真装置において、少なくとも電子写真感光体及び現像手段が、電子写真装置本体に対し着脱自在の構造を有する電子写真装置用プロセスカートリッジに具備されてなり、かつ該電子写真感光体が請求項1〜13のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジ。
  21. 前記電子写真装置用プロセスカートリッジが具備されてなることを特徴とする請求項16〜19のいずれかに記載の電子写真装置。
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