JP2004176744A - 駆動装置の潤滑装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、車両用用駆動装置、特に電気自動車用駆動装置の潤滑装置を提供する。
【解決手段】本駆動装置によれば、駆動装置内の底部近傍に位置するギヤによって掻き揚げられた底部に貯留する潤滑油を貯留可能に受容する上流オイルサーバと、上流オイルサーバと連通して上流オイルサーバ内の潤滑油の一部を貯留可能に受容する下流オイルサーバとを備えている。上流オイルサーバは、駆動装置内のモータ側に配置された各ベアリング毎に対応する潤滑油供給用通路を有し、下流オイルサーバは、モータと反対側に配置された各ベアリング毎に対応する潤滑油供給用通路を有する。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用駆動装置の潤滑装置、特に電気自動車用駆動装置のベアリングを潤滑するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電気自動車用駆動装置では、それぞれ平行にモータ出力軸と、該出力軸に連結する入力軸と、カウンタ軸と、差動装置(ディファレンシャル装置)を備えた出力軸とで構成され、モータの動力が入力軸、カウンタ軸、出力軸の順番に伝達され、駆動車輪に伝達される。これらの各軸は、その両端に回転支点としてベアリングで軸回転可能な状態で支持される。詳細には、各軸それぞれモータと反対側端から入力軸は第1ベアリングと第2ベアリング、カウンタ軸は第3ベアリングと第4ベアリング、出力軸は第5ベアリングと第6ベアリングとにより支持される。各軸間の動力伝達には各軸にそれぞれ付与されたギヤによりなされ、その構成は、入力軸に一体に付与される第1ギヤとカウンタ軸にスプライン嵌合された第2ギヤとの噛み合いと、カウンタ軸に一体に付与された第3ギヤと出力軸のディファレンシャル装置に締結された第4ギヤ(ファイナルドリブンギヤ)との噛み合いとで形成される。
【0003】
上記各ベアリングは摩擦抵抗を軽減した回転及び回転による磨耗を防止するために潤滑油が必要となるが同時に各ギヤに該潤滑油を効率良く且つ潤沢に供給する必要がある。すなわち、所定量の潤滑油を各ベアリングに供給すべく駆動装置内で循環させるかが課題となる。従来の駆動装置においてはこの潤滑油を循環促進のために、第4ギヤがその回転により掻き揚げた潤滑油を貯留するためにモータケースに設けられたオイルサーバと、オイルサーバの一方の壁を構成しモータケースに締結されるプレートと、プレートの所定位置に設けられた穴部と、穴部の周囲を囲むように形成されたギヤケースに設けられたトイ部と、トイ部に設けられた通路とを備える。この通路は入力軸内、第1ベアリング及び第2ベアリングに接続されている。さらに、車輪への出力軸の支持部を構成する第5及び第6ベアリングにそれぞれ潤滑油を供給するために第1溝部、第2溝部が設けられ、カウンタ軸の支持部を形成する第3ベアリング(ローラベアリング)に潤滑油を供給するために第3溝部が設けられている。
【0004】
これらの潤滑油を循環させるための手段により駆動装置内で各ベアリングに潤滑油を供給する工程について説明する。まず、駆動装置内の底部に貯留する潤滑油は第4ギヤにより掻き揚げ、掻き揚げられた潤滑油はオイルサーバに貯留される。このオイルサーバには潤滑穴が設けられており、潤滑穴を介して貯留された潤滑油は入力軸のオイルシール(モータ内に潤滑油が進入しないためのシール)に供給される。また、潤滑油はプレートの所定位置に設けられた上記穴部を介してトイ部にも流入する。このトイ部は入力軸内、第1ベアリング及び第2ベアリングに接続されているため、トイ部に流入された潤滑油は通路を介して第1〜6ベアリングに到達する。さらにトイ部から溢れた潤滑油は、トイ部の下方に位置するカウンタ軸に付与される第2ギヤの歯面に落下しする。このときに第2ギヤは第5ベアリングを潤滑する第1溝部方向に回転しているため歯面に沿って潤滑油が第1溝部方向に飛散し、第1溝部に流入する。この流入された潤滑油が該第1溝部内を通過し第5ベアリングに到達する。これらの潤滑油の循環経路は、ファイナルドリブンギヤである第4ギヤからオイルサーバに掻き揚げられた潤滑油に関しての説明であるが、第4ギヤにより掻き揚げられた潤滑油はオイルサーバへの流入以外にもモータケース側に設けられた第2溝部、第3溝部にも流入し、それぞれの溝部を介してモータケース側に位置する第6ベアリング、第4ベアリングに到達する。従って、駆動装置内を潤滑油が隈なく循環し潤滑することが理解される。
【0005】
【特許文献1】特開2001−190042号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の駆動装置における潤滑手段では、以下の問題を有していた。
(1)低速時には十分な潤滑油量を確保できなかった。
ファイナルドリブンギヤであり潤滑油を掻き揚げる第4ギヤの側面とモータケースとの隙間で第4ギヤに掻き揚げられる第4ギヤと連れ回る潤滑油は、車速の増加、すなわち第4ギヤの回転速度が大きくなるにつれて遠心力で第4ギヤの外周方向に移動していく。この場合、潤滑油のオイルサーバへの供給量は増加していくこととなるが、第6ベアリングへの供給量は流入は変化しない又はむしろ逆に減少していくこととなる。また、第5ベアリングへの潤滑油の供給については、車速が速いときには上述するようにオイルサーバへの供給量が増加するためトイ部から溢れ出す量も増加し、第1溝部への供給量も十分である。しかしながら、車速が遅い場合には、オイルサーバのように潤滑油を貯留させて供給するものではないために連続的且つ十分な潤滑油量を確保することが困難である。
(2)軸配置の変化により潤滑状態が変化し、潤滑確保のために駆動装置の設計変更が困難となる。
駆動装置の小型化の要請に応じて省スペース化等を図る場合に、入力軸及び出力軸の配置が変化すると、上記第1〜第3溝部を介して潤滑油が到達、潤滑している箇所の潤滑状態が変化してしまうという問題がある。特に、カウンタ軸のモータと反対側に付与される第5ベアリングへの潤滑は、近傍の第2ギヤの回転を利用しているため、カウンタ軸を出力軸よりも上方に配置することが要求され、設計上の制約を受けることとなる。また、カウンタ軸が現行よりも上方に配置された場合には、モータケースのオイルサーバが形成不可能ともなる。さらに、潤滑状態は設計変更前に事前に予測困難であるため、実物での確認作業を要し、大きな設計変更が困難となる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その課題解決手段は以下に説明する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の駆動装置の潤滑装置は、入力軸と該入力軸に平行にギヤ接続されるカウンタ軸と該カウンタに平行にギヤ接続される出力軸とで構成された駆動装置内の要素を潤滑するための装置であって、駆動装置内の前記出力軸に配置されたファイナルドリブンギヤによって掻き揚げられた潤滑油を貯留可能に受容し且つ駆動装置内の前記各軸方向一方側上方に配置された上流オイルサーバと、該上流オイルサーバと連通して上流オイルサーバ内の潤滑油の一部を貯留可能に受容し且つ駆動装置内の前記各軸方向他方側に配置された下流オイルサーバとを備え、前記上流オイルサーバは、駆動装置内の前記入力軸、カウンタ軸及び出力軸のそれぞれ両端を担持する複数のベアリングのうち該上流オイルサーバが配置される側に配置された各ベアリング毎に対応する潤滑油供給用通路を有し、前記下流オイルサーバは、前記複数のベアリングのうち該下流オイルサーバが配置される側に配置された各ベアリング毎に対応する潤滑油供給用通路を有することを特徴とする。
【0009】
本潤滑装置によれば、従来の駆動装置で一つのオイルサーバで潤滑油を貯留し各ベアリングに分配していたのに対して、互いに連通されそれぞれ潤滑油を貯留可能な少なくとも2つのオイルサーバを用意している。本潤滑装置によれば各オイルサーバは所定量の潤滑油を貯蔵可能であるため低速時においても潤滑油を確保することができる。また、本潤滑装置ではオイルサーバを少なくとも2個設けているため、車両の走行中に傾斜等しサーバ内のオイルが隅部に偏って貯留されたとしても各オイルサーバ毎に潤滑油が貯留されるため潤滑油を各ベアリングへ供給する通路用の穴から潤滑油が流出できない状態を防止することができる。また、本潤滑装置では、各ベアリングそれぞれに対応する潤滑油供給用の通路を設けているため確実に各ベアリングを潤滑させることができる。従って、駆動装置の小型化の要請に伴って各軸間距離を変化させる場合にも各オイルサーバの配置を検討するだけで対応でき、駆動装置の改良が容易にある。さらに、本潤滑装置によれば、各オイルサーバ毎に潤滑油を貯留でき且つ潤滑させたい各ベアリング毎に潤滑油供給通路を有しているため、少量の潤滑油でも確実に潤滑させることができ、メンテナンス等でオイル供給量を少なくすることができる。このことは、オイルの攪拌抵抗を低減し、油温の上昇を抑制する効果を有する。
【0010】
また、本発明の潤滑装置は、前記上流オイルサーバ及び下流オイルサーバの少なくとも一方は、潤滑油を貯留する複数の区画を形成し、該区画はそれぞれ前記潤滑油供給用通路を有するものであっても良い。この装置によれば、2つに分類されたオイルサーバを更に複数(2以上)の区画に分けることにより上述する潤滑装置の効果をいっそう向上させることができる。
【0011】
また、本潤滑装置の前記複数の区画は、前記上流オイルサーバに付与され且つそれぞれの区画の側面を駆動装置のモータ側内壁とするものであっても良い。すなわち、この装置によればモータ側のオイルサーバの側壁とモータのケースの側壁(コイル部の近傍に壁部)とを同一としているため、コイル部(一般に摂氏100度程度)よりも温度の低い潤滑油(通常、摂氏80度程度)により壁部を通してモータ冷却を可能とする効果を有する。
【0012】
また、本潤滑装置における前記複数の区画は、前記上流オイルサーバ又は下流オイルサーバの中央部近傍の内部底面を他の内部底部よりも隆起させることにより形成されたものであっても良い。このようにオイルサーバを区画分けすることは、潤滑油の貯留部分を増加させる役割を有しているので、貯蔵部分さえ確保されていれば十分である。本装置のような構成であれば、所定量以上の潤滑油が貯留されているときには区画間の潤滑油移動が容易であり、潤滑油が減少してきた場合には、各区画の底部がそのまま貯留領域になる。
【0013】
さらに、本潤滑装置によれば、前記上流オイルサーバと下流オイルサーバとは板状部材で仕切られ、該板状部材と下流オイルサーバとの間に隙間を設けることが好ましい。このように上流及び下流オイルサーバの仕切りである板状部材(セパレータ)と下流オイルサーバとの間に隙間を設ければ、該隙間からギヤや各軸部に上方から連続的且つ広範囲に潤滑油を供給することができ、潤滑が最も要求されるベアリングのみならず入出力軸やギヤ等の他の駆動装置内要素を十分に潤滑させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1〜5を参照すれば、本発明の潤滑装置を備える駆動装置について例示している。図5は電気自動車用の駆動装置1の構成を示すスケルトン図である。駆動装置1は、車両に搭載されたバッテリBからの電力供給を受けて出力軸9に回転動力を与える電導モータMを原動機としており、いわゆる電気自動車に搭載される型の車両用自動駆動装置である。
【0015】
この駆動装置1における入力軸10は第1ベアリング51及び第2ベアリング52により軸回り回転自在に支持されており、電動モータMの出力軸9とスプライン結合されている。カウンタ軸20は入力軸10と平行な位置に第3ベアリング53及び第4ベアリング54により軸回り回転自在に支持されている。
【0016】
入力軸10上に一体固定された第1ギア12はカウンタ軸20上に固定された第2ギア22と常時噛み合っており、電動モータMより入力軸10に入力された回転動力は、これら第1ギア12及び第2ギア22を介してカウンタ軸20に伝達される。カウンタ軸20上における第2ギア22の右方位置には第3ギヤ(ファイナルドライブギア)24が設けられており、この第3ギア24は、ディファレンシャルケース30に固定された第4ギヤ(ファイナルドリブンギア)32と常時噛み合っている。
【0017】
図示しないがディファレンシャルケース30の内部には2つのディファレンシャルピニオン及び2つのサイドギアには左右の出力軸42が固定されている。これら左右の出力軸42の中心軸は入力軸10及びカウンタ軸20の回転軸と平行に配置されており、ディファレンシャルケース30はこれら左右の出力軸42の中心軸を回転軸として回転できるように第5ベアリング55及び第6ベアリング56により支持されている。また、出力軸42の端部には図示しない駆動車輪が取り付けられている。
【0018】
図5に示すように、駆動装置1はモータケース5とギヤケース6とに覆われており、各ケース5、6は、複数のボルトにより結合されるようになっており、モータケース5の右方には電動モータMが複数のモータ取付ボルトにより取り付けられている。
【0019】
ここで、図5に示すようにカウンタ軸20上における第2ギヤ22の左方位置にはパーキングギア26が固定されているが本発明の内容とは直接関係しないため説明を省略する。
【0020】
次に、図1〜5を参照しつつ駆動装置1の各ベアリングに潤滑油を分配する手段について説明する。図1は駆動装置1の断面図であり、図2はそれぞれモータケース5をギヤケース6側から見た側面図及び斜視図であり、図3はそれぞれギヤケース6をモータケース5側から見た側面図及び斜視図であり、図4は図2のラインA−Aに沿った断面図である。なお、本実施形態において例示される第1オイルサーバ60と第3オイルサーバ63とは、上述する上流オイルサーバに2つの区画が形成される場合に相当し、第2オイルサーバ61の左右の副室61a、61b(図3参照)が上述する下流オイルサーバに形成される2つの区画が形成される場合に相当する。
【0021】
まず、駆動装置1には、モータケース9に設けられた第2ベアリング52へ連通する第2通路71を有する第1オイルサーバ60と、ギヤケース6に設けられた中央底部が凸形状であって大きく2つの副室61a、61bからなる第2オイルサーバ61とが設けられている。第1オイルサーバ60と第2オイルサーバ61との間にはセパレートプレート62が設けられる。このプレート62が第1オイルサーバ60及び第2オイルサーバ61を形成する壁部として構成され、第2オイルサーバ61との間に隙間80を有するように配置される。セパレートプレート62の所定位置には第1オイルサーバ61と第2オイルサーバ61とを連通する穴部65が設けられる。さらに駆動装置1は、第1オイルサーバ60に連通し第6ベアリング56を潤滑するための第6通路75と第4ベアリング54を潤滑するための第4通路73が設けられた第3オイルサーバ63が設けられている。第2オイルサーバ61には、入力軸10内及び第1ベアリング51へ連通する第1通路70と、第3ベアリング51へ連通する第3通路72と、第5ベアリング55へ連通する第5通路74とが設けられている。
【0022】
上記手段により各ベアリングを潤滑する工程について説明する。まず、駆動装置1内底部に貯留された潤滑油は、第4ギヤ32により掻き揚げられ、第1オイルサーバ60に貯留される。この第1オイルサーバ60に貯留された潤滑油は、第2通路71を通って第2ベアリング52に供給される。また、第1オイルサーバ60に貯留された潤滑油は、セパレートプレート62に設けられた穴部65を通って第2オイルサーバ61にも流入する。このとき第4ギヤ32から掻き揚げ供給される潤滑油は連続的かつ十分な量であり、第1オイルサーバ60から第2オイルサーバ61への流出により第1オイルサーバ60内の潤滑油量が著しく減少してしまうことはない。逆に第1オイルサーバ60内は潤滑油が常に満たされた状態にあり、連通する第3オイルサーバ63へ潤滑油が流入していくこととなる。従って、第1オイルサーバ60が潤滑油で満たされ、第2ベアリング52が潤滑され、更に第2オイルサーバ61及び第3オイルサーバ63も共に潤滑油で満たされることとなる。
【0023】
第2オイルサーバ61は、図3に示すように中央底部が凸状に盛り上がっており、大きく左右に別れた2つの空間を備えた形状をしている。また、第2オイルサーバ61は、第1オイルサーバ60の壁部を形成するセパレートプレート62と所定の隙間を有して隣接しているため隅部の一部に隙間を有する空間を形成することとなる。このとき第2オイルサーバ61に潤滑油が供給されると、まず図3中の右側の副室61aに潤滑油が貯留される。さらに所定量潤滑油が貯留すると中央部の凸部を越えて図3中の左側の副室61bに潤滑油が行き渡る。そして、右副室61aは第1通路及び第3通路が、左副室61bは第5通路とが設けられており、これらにより第1、第2及び第3ベアリング51、53、55への潤滑を行う。中央凸部は、潤滑量の減少や車体の傾斜、旋回等による遠心力等の影響を軽減し、潤滑油が過度に偏ったり、第2オイルサーバ61の容積が比較的大きくなった場合でも満遍なく潤滑油を行き渡らせることができる。なぜなら、容積が大きくなると傾斜等された場合には一方の隅部ばかりに潤滑油が貯留するおそれがあるが凸状の中央部が存在すれば第2オイルサーバ61が小さな2つの副室61a、61bで形成されることとなり、分配された潤滑油が各副室61a、61bごとに一定の深さをもって貯留することができるからである。
【0024】
また、上述する第2オイルサーバ61とセパレートプレート62との隙間80は、約0.2〜0.5mm程度に形成されるが、この隙間80から流出される第2オイルサーバ61内の潤滑油はカウンタ軸20及びパーキングギヤ26に滴下され供給される。駆動装置1の作動中のカウンタ軸20及びパーキングギヤ26は回転しているため、潤滑油は攪拌され飛沫状態となり、第2ギヤ22及び第1ギヤに十分に供給され潤滑する。なお、図1〜4に示す本実施形態によれば、第1ギヤ12と第2ギヤ22とが第2オイルサーバ61とセパレートプレート隙間80の直下に配置されていないが、これらのギヤ12、22を隙間80の直下に配置することも容易に可能であり、この場合には潤滑油が直接的にギヤに供給され更に良く潤滑させることができる。また、隙間80ギヤへの潤滑油供給状態が良くなる手段としては、特に第2ギヤ22の上方に隙間80が配置されるように設計変更しても良い。
【0025】
第3オイルサーバ63は、図4を参照する通りモータ側に張り出しが深く、ギヤケース6側に壁面のない箱形状を構成しており、その一端は第1オイルサーバ60と連通しており、第1オイルサーバ60から潤滑油が流入し、貯留される。また、第3オイルサーバ63は、上記張り出しが第6ベアリング56方向に傾斜しているため、潤滑油は第4ギヤ32の回転に大きく影響されることはなく傾斜面に沿って移動可能であり、第6通路を通って第6ベアリング56に供給される。このとき第3オイルサーバ63はギヤケース6側に壁が形成されていないので潤滑油が流出することも考えられるが、連続的且つ十分な潤滑油量が供給されるために全てが流出し、該サーバ63内の潤滑油が枯渇してしまうおそれはない。また、潤滑油量が比較的に少ないと考えられる低車速時においても、モータケース5の壁面と第4ギヤ32の側面とに挟み込まれて連れまわる潤滑油を回収することが可能なため、潤滑油量が不足することはないと考えられる。
【0026】
以上を総合し本発明の潤滑装置における実施形態の各ベアリングへの潤滑油の供給工程について概説すれば、第1ベアリング51(及び入力軸10)への供給は、第1オイルサーバ60、セパレートプレート62の穴部分65、第2オイルサーバ61、第1通路70を経て供給される。また、第2ベアリング52への供給は、第1オイルサーバ60から第2通路71を経て直接供給される。第3ベアリング53への供給は、第1オイルサーバ60、セパレートプレート62の穴部分、第2オイルサーバ61、第3通路72を経て供給される。また、第4ベアリング54への供給は、第1オイルサーバ60、第3オイルサーバ63、第4通路73、78を経て供給される。第5ベアリング55への供給は、第1オイルサーバ60、セパレートプレート62の穴部分を経て第2オイルサーバ61に流入され、該第2オイルサーバ61内の中央部分を越えて移動し(図3中の右側から左側に移動)、更に第5通路74を経て供給される。第6ベアリング56への供給は、第1オイルサーバ60、第3オイルサーバ63、第6通路75を経て供給される。なお、カウンタ軸20及びパーキングギヤ26にも供給され、第1オイルサーバ60、セパレートプレート62の穴部分、第2オイルサーバ61、セパレートプレート62の隙間80を介して滴下供給される。
【0027】
【発明の効果】
本発明の駆動装置の潤滑装置によれば、オイルサーバへの潤滑油供給が十分に確保でき且つ各オイルサーバで潤滑油を貯留可能なため車速による潤滑油量の変化が少なく、車速により潤滑状態があまり変化しないという効果を奏する。また、本装置によれば、各ベアリングへの潤滑油を効率よく行うことができるために余分な潤滑油を確保する必要がなく結果、全体潤滑油量を減少させることができる。これにより、潤滑油の攪拌抵抗を低減することができ、攪拌による油温の上昇も抑制することができる。
【0028】
また、本潤滑装置では、各オイルサーバで潤滑油貯留ができ、各オイルサーバから必要な箇所へ潤滑油を供給できるため、軸間距離の短縮を望む場合、オイルサーバの配置のみを検討するだけで対応でき、設計変更も容易である。また、走行等により車体が傾斜等した場合にもオイルが偏り潤滑油供給が妨げられるという問題を軽減することも可能である。さらに、本潤滑装置では、温度の高いモータのケース壁を同時にオイルサーバの壁にもできるため、相対的にモータよりも温度の低い潤滑油によってモータの壁、ひいてはモータを冷却する効果をも奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の潤滑装置を示す車両用駆動装置の断面図である。
【図2】図1の駆動装置のモータケースをギヤケース側から見た側面図である。
【図3】図1の駆動装置のギヤケースをモータケース側から見た側面図である。
【図4】図2のラインA−Aに沿った図1の駆動装置の断面図である。
【図5】図1の駆動装置の構成を示すスケルトン図である。
【符号の説明】
5…モータケース
6…ギヤケース
10…入力軸
12…第1ギヤ
20…カウンタ軸
22…第2ギヤ
24…第3ギヤ
32…第4ギヤ
42…出力軸
51〜56…第1〜6ベアリング
60…第1オイルサーバ
61…第2オイルサーバ
62…セパレートプレート
63…第3オイルサーバ
70…第1通路
71…第2通路
72…第3通路
73…第4通路
74…第5通路
75…第6通路

Claims (5)

  1. 入力軸と該入力軸に平行にギヤ接続されるカウンタ軸と該カウンタに平行にギヤ接続される出力軸とで構成された駆動装置内の要素を潤滑するための装置であって、
    駆動装置の前記出力軸に配置されたファイナルドリブンギヤによって掻き揚げられた潤滑油を貯留可能に受容し且つ駆動装置内の前記各軸方向一方側上方に配置された上流オイルサーバと、
    該上流オイルサーバと連通して上流オイルサーバ内の潤滑油の一部を貯留可能に受容し且つ駆動装置内の前記各軸方向他方側上方に配置された下流オイルサーバとを備え、
    前記上流オイルサーバは、駆動装置内の前記入力軸、カウンタ軸及び出力軸のそれぞれ両端を担持する複数のベアリングのうち該上流オイルサーバが配置される側に配置された各ベアリング毎に対応する潤滑油供給用通路を有し、
    前記下流オイルサーバは、前記複数のベアリングのうち該下流オイルサーバが配置される側に配置された各ベアリング毎に対応する潤滑油供給用通路を有する、ことを特徴とする駆動装置の潤滑装置。
  2. 前記上流オイルサーバ及び下流オイルサーバの少なくとも一方は、潤滑油を貯留する複数の区画を形成し、
    該区画はそれぞれ前記潤滑油供給用通路を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の潤滑装置。
  3. 前記区画は、前記上流オイルサーバに付与され且つそれぞれの区画の側面を駆動装置のモータ側内壁とする、ことを特徴とする請求項2に記載の潤滑装置。
  4. 前記区画は、前記上流オイルサーバ又は下流オイルサーバの中央部近傍の内部底面を他の内部底部よりも隆起させて形成される、ことを特徴とする請求項2又は3のいずれか1項に記載の潤滑装置。
  5. 前記上流オイルサーバと下流オイルサーバとは板状部材で仕切られ、該板状部材と下流オイルサーバとの間に隙間を設けた、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の潤滑装置。
JP2002340769A 2002-11-25 2002-11-25 駆動装置の潤滑装置 Expired - Fee Related JP4288060B2 (ja)

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