【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学フィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光学用途やディスプレイ分野においては、透明性が優れ、残留位相差が小さい光学フィルムが求められているが、溶融押出成形で製造された光学フィルムは、成形時の変形により光学歪みが残留するという問題があった。
【0003】
この光学歪みは位相差として残留するので、例えば、この光学フィルムを、偏光子を保護する偏光板保護フィルムとして使用する場合は、上記光学歪みが原因となって偏光性能が低下するという欠点があった。
【0004】
そのため、光学歪みが残留しない光学フィルムの製造方法が種々検討されており、例えば、回転する第1ロールと第2ロールの周面により溶融した樹脂を挟み付けてその間を通過させ、第2ロールの周面に接触させたまま、回転する第3ロールの周面とにより挟み付けてその間を通過させる光記録媒体用基板の製造方法において、第1ロールの周面の周速が第2ロールの周面の周速より大きく、かつ、第3ロールの周面の周速が第2ロールの周面の周速より小さいことを特徴とする光記録媒体用基板の製造方法(特許文献1参照)が提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平4−224924号公報
【0006】
上記製造方法は、3本の冷却ロールを使用し、冷却ロールの周速を順々に低下させて、光学フィルムの光学歪みを低減しようとするものであるが、第1ロールから第2ロールへの樹脂フィルムの受け渡し及び第2ロールから第3ロールへの樹脂フィルムの受け渡しは非常に困難でありフレアが発生するという欠点があった。
【0007】
即ち、第1ロールの温度は、樹脂とロール表面が密着するようにある程度高温に設定されるため、樹脂フィルムは引き剥がし難くなっている。そのため、剥離点が安定せず、樹脂フィルムに冷却むらができフレアが発生した。
【0008】
又、強い力で引き剥がせば剥離点は安定しフレアの発生は抑止できるが、樹脂フィルムが延伸され残留位相差が大きくなるという欠点があった。
【0009】
尚、フレアとは、フィルムのうねりを意味し、例えば、フィルムを床面に置いたときに、フィルム面に凹凸が観察されることをいう。フィルムにフレアがあると、フィルムを巻いた際に、フィルムの凹凸のためにフィルム同士が強く接触する部分や弱い部分が斑に発生し、巻外観が悪くなる。
【0010】
又、異なる光学フィルムの製造方法として、金型より押出されたフィルムを冷却ロールの下半分に巻回し、冷却ロールに近接して設けられたエアーチャンバより空気を吹き出してフィルムを冷却ロールに均一に押し付けながら冷却して連続的に引取機により引き取るようになされたフィルム成形装置において、冷却ロールの下方に冷却ロールに近接して防風フェンスがもうけられていることを特徴とするフィルム成形装置(特許文献2参照)が提案されている。
【0011】
【特許文献2】
特開平8−244098号公報
【0012】
しかしながら、上記製造装置で得られるフィルムのフレアは50〜70mmであり、光学フィルムに要求されるフレアとは格段に大きく、好適な光学フィルムは得られなかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、押出成形法による、残留位相差が小さく、フレアが小さい光学フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の光学フィルムの製造方法は、ダイの設置された押出機から、シート状に溶融押出された熱可塑性樹脂フィルムを、「熱可塑性樹脂のガラス転移温度+20℃」〜「熱可塑性樹脂のガラス転移温度−50℃」の温度である金属製冷却ロールに密着して冷却すると共に、熱可塑性樹脂フィルムが金属製冷却ロールに接する地点で熱可塑性樹脂フィルムの端部付近のみに電荷を付与してエッジピニングを行った後、金属製冷却ロールの上方に設置され、回転トルクが制御されたゴムロールにより、熱可塑性樹脂フィルムを略鉛直上方に引っ張って冷却ロールから剥離する光学フィルムの製造方法であって、張力が熱可塑性樹脂フィルムの1m幅当り98N以下であり、熱可塑性樹脂フィルムのゴムロールに接する直前の温度が「室温」〜「室温+50℃」であり、且つ、熱可塑性樹脂フィルムのゴムロールに対する抱き角が90〜240度であることを特徴とする。
【0015】
上記熱可塑性樹脂は、透明性の優れた熱可塑性樹脂であれば、特に限定されず、例えば熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。
【0016】
上記熱可塑性樹脂には、光学フィルムの耐熱性、耐紫外線性、平滑性等を向上させるために、フェノール系などの熱劣化防止剤、フェノール系、リン系などの老化防止剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤、脂肪族アルコールのエステル、多価アルコールの部分エステルなどの滑剤、アミン系などの帯電防止剤等が添加されても良い。
【0017】
次に、図面を参照して本発明を説明する。図1は本発明の光学フィルムの製造方法の1例を示す模式図である。
【0018】
図中1は金属製冷却ロールであり、「溶融押出する熱可塑性樹脂のガラス転移温度+20℃」〜「溶融押出する熱可塑性樹脂のガラス転移温度−50℃」の温度に設定されている。
【0019】
金属製冷却ロール1の温度は、「熱可塑性樹脂のガラス転移温度+20℃」より高くなると、熱可塑性樹脂フィルム10と金属製冷却ロール1の密着が強くなりすぎて剥離が困難になるとともに熱可塑性樹脂フィルム10が柔らかくなりすぎてフィルムが延伸されてしまい、結果、フィルムに配向歪みが発生してしまう。
【0020】
又、「熱可塑性樹脂のガラス転移温度−50℃」より低くなると、熱可塑性樹脂フィルム10が金属製冷却ロール1に密着しにくくなるので、熱可塑性樹脂フィルム10の厚み精度が低下し、表面性が悪くなる。
【0021】
従って、金属製冷却ロール1の温度は、「熱可塑性樹脂のガラス転移温度+20℃」〜「熱可塑性樹脂のガラス転移温度−50℃」の温度に限定されるのであり、好ましくは、「熱可塑性樹脂のガラス転移温度+10℃」〜「熱可塑性樹脂のガラス転移温度−30℃」の温度である。
【0022】
図中2は押出機 (図示せず)に設置されたダイであり、押出機からシート状に溶融押出した熱可塑性樹脂フィルム10を金属製冷却ロール1に供給できるように、金属製冷却ロール1の近傍上部に設置されている。
【0023】
図中3は、高圧直流電源8に接続されたエッジピニング電極であり、押出機からシート状に溶融押出された熱可塑性樹脂フィルム10が金属製冷却ロール1に接する地点で、熱可塑性樹脂フィルム10の端部付近に電荷を付与してエッジピニングを行えるよう金属製冷却ロール1の熱可塑性樹脂フィルム10が接する地点の近傍上方に設置されている。
【0024】
図中4は、金属製冷却ロール1の上方に設置されたトルクモータ駆動のゴムロールである。トルクモータは、熱可塑性樹脂フィルム10を1m幅当り98N以下の一定の張力で引っ張って、熱可塑性樹脂フィルム10が金属製冷却ロール1から略鉛直上方に剥離するように設定されている。
【0025】
ゴムロール4による張力は強すぎると、金属製冷却ロール1から熱可塑性樹脂フィルム10が剥離する剥離力のバランスが崩れ熱可塑性樹脂フィルム10が伸びるようになるので、1m幅当り98N以下に限定されるのであり、好ましくは5Kg以下である。尚、ここでトルクモータを使用して張力をかけることにより、後工程で張力変動が発生してもその変動を吸収することができる。
【0026】
金属製冷却ロール1の上方に設置されたゴムロール4はその回転力をトルクモータにより制御されているので、金属製冷却ロール1から剥離された熱可塑性樹脂フィルム10は、自重により弛むことなく引っ張られ、その結果、熱可塑性樹脂フィルム10を金属製冷却ロール1から安定的に剥離することができる。
【0027】
又、ゴムロール4は熱可塑性樹脂フィルム10とのグリップ性が優れており、熱可塑性樹脂フィルム10を金属製冷却ロール1から安定的に剥離することができる。
【0028】
図中5,5’は搬送ロールであり、ゴムロール4から供給された熱可塑性樹脂フィルム10は搬送ロール5,5’により搬送され、巻取りロール6により光学フィルムとして巻き取られる。
【0029】
尚、金属製冷却ロール1、ゴムロール4及び搬送ロール5は、それぞれの相対位置を変更することにより、熱可塑性樹脂フィルム10のゴムロール4に対する抱き角が90〜240度になるように設置されている。
【0030】
上記抱き角は、90度を下回るとゴムロール4の熱可塑性樹脂フィルム10に対するグリップ力が不充分になり、金属製冷却ロール1から熱可塑性樹脂フィルム10を剥離しにくくなったり、後工程の張力変動による影響を受けて剥離が不安定になったりする。
【0031】
又、抱き角が240度を超えると熱可塑性樹脂フィルム10のパスラインがとりづらくなるので、上記範囲に限定されるのであり、好ましくは150〜240度である。
【0032】
本発明の光学フィルムの製造方法においては、先ず最初に、ダイの設置された押出機で熱可塑性樹脂を溶融し、ダイからシート状に溶融押出して熱可塑性樹脂フィルム10を形成する。
【0033】
上記溶融押出の際の熱可塑性樹脂の温度は、低くなると押出できなくなるので、熱可塑性樹脂のガラス転移温度+80℃以上の温度が好ましい。
【0034】
溶融押出成形された熱可塑性樹脂フィルム10は金属製冷却ロール1に密着して冷却するが、熱可塑性樹脂フィルム10が金属製冷却ロール1に接する地点で熱可塑性樹脂フィルム10の端部付近のみにエッジピニング電極3から電荷を付与してエッジピニングを行う。
【0035】
エッジピニングをすることにより、熱可塑性樹脂フィルム10の端部の金属製冷却ロール1に対する密着性が向上し、熱可塑性樹脂フィルム10の厚み精度が向上する。
【0036】
即ち、ダイ2から金属製冷却ロール1に接地するまでの熱可塑性樹脂フィルム10の変形(ネックイン)を安定させることにより厚み精度を向上させるのであり、エッジピニングは熱可塑性樹脂フィルム10の両端部に針状の電極を配置して4〜8kV印加するのが好ましい。
【0037】
熱可塑性樹脂フィルム10は金属製冷却ロール1で冷却された後、ゴムロール4により1m幅当り98N以下の一定の張力で引っ張って、金属製冷却ロール1から剥離する。
【0038】
金属製冷却ロール1から剥離された熱可塑性樹脂フィルム10は、次にゴムロール4に接触するが、ゴムロール4に接触する際の熱可塑性樹脂フィルム10の温度が高いと、ゴムロール4の表面形状が熱可塑性樹脂フィルム10に転写され表面性が悪くなり、フレアが発生するよになるので、熱可塑性樹脂フィルム10の温度をゴムロール4の表面形状が転写されない温度まで冷却しておく必要がある。
【0039】
従って、熱可塑性樹脂フィルム10のゴムロール4に接する直前の温度を「室温」〜「室温+50℃」以下にする。
【0040】
ゴムロール4に接する直前の熱可塑性樹脂フィルム10が、金属製冷却ロール1等で上記温度まで冷却されていない場合は、冷却する必要があるが、冷却方法は従来公知の任意の方法が採用されればよく、例えば、エアコンディショナで金属製冷却ロール1とゴムロール4の間の熱可塑性樹脂フィルム10に温冷風を送って冷却する方法が挙げられる。
【0041】
ゴムロール4で引き取った熱可塑性樹脂フィルム10は、搬送ロール5,5’により搬送し、巻取りロール6により光学フィルムとして巻き取る。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について説明するが、下記の例に限定されるものではない。
【0043】
(実施例1)
図1に示した装置で光学フィルムを製造した。
【0044】
ポリカーボネート樹脂(帝人化成社製、商品名「パンライトK−1300Y」、ガラス転移温度150℃)をTダイ付き押出機に供給し、樹脂温度270〜280℃、押出量120kg/時間の条件でフィルム状に溶融押出成形し、得られたフィルム10を、直径350mm、140℃の金属製冷却ロール1に供給した。
【0045】
フィルムが金属製冷却ロール1に接する地点で、エッジピニング電極3から+6kV印加してエッジピニングを行った。次いで、直径120mmのゴムロール4で、フィルム幅1m当り49Nの張力でフィルム10を引っ張って、フィルム10を金属製冷却ロール1から略鉛直方向に剥離して、ロールに巻いて、厚さ40μm、幅1400mmの光学フィルムを得た。
【0046】
フィルム10のゴムロール4に対する抱き角は180度、室温は25℃、フィルム10がゴムロール4に接する直前の温度は50℃であった。尚、フィルム10がゴムロール4に接する直前の温度は、放射温度計(レイテックジャパン社製)を用いて、一定間隔にフィルムの中心部を5点測定し、平均値を示した。
【0047】
得られた光学フィルムの位相差、ヘイズ及びフレアを測定し、巻き姿を観察し、結果を表1に示した。尚、各物性の測定方法は以下の通りである。
【0048】
(1)位相差 複屈折計(王子計測機器社製、商品名「KOBRA−21ADH」)を用いて、波長590nmで測定した。測定地点は光学フィルムの幅方向に20mm間隔であり、その最大値を示した。
【0049】
(2)ヘイズ ヘイズメータ (東京電色社製、商品名「MODEL TC−HIIIDP」)を用いて測定した。
【0050】
(3)フレア 図2に示したように、平行に配置された2個のガイドロール12,12(ロール間距離1500mm)上に、得られた幅1400mmの光学フィルム11をかぶせ、その両端にロッド状重り(6kg)13、13をフィルム全体に均等に荷重がかかるようにセットした。セット後、5分後に2個のガイドロール12,12の上端(基準線14)からフィルムが垂れ下がっている距離を測定し、その最大値を示した。
【0051】
(4)巻き姿 得られた光学フィルムのロールを目視で観察した。フィルム間に空気が巻き込まれて混入斑のできたものを不良とし、混入斑のできていないものを良好とした。
【0052】
(実施例2)
図1に示した装置で光学フィルムを製造した。
【0053】
ポリサルホン樹脂(テイジンアモコエンジニアリングプラスチック社製、商品名「ユーデルP−1700」、ガラス転移温度190℃)をTダイ付き押出機に供給し、樹脂温度330〜335℃、押出量120Kg/時間の条件でフィルム状に溶融押出成形し、得られたフィルム10を、直径350mm、180℃の金属製冷却ロール1に供給した。
【0054】
以下、実施例1で行ったと同様にして厚さ40μm、幅1400mmの光学フィルムを得た。フィルム10のゴムロール4に対する抱き角は180度、室温は25℃、フィルム10がゴムロール4に接する直前の温度は70℃であった。
【0055】
実施例1で行ったと同様にして、得られた光学フィルムの位相差、ヘイズ及びフレアを測定し、巻き姿を観察し、結果を表1に示した。
【0056】
(実施例3)
図1に示した装置で光学フィルムを製造した。
【0057】
熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂(ジェーエスアール社製、商品名「アートンD4532」、ガラス転移温度144℃)をTダイ付き押出機に供給し、樹脂温度270〜280℃、押出量120Kg/時間の条件でフィルム状に溶融押出成形し、得られたフィルム10を、直径350mm、135℃の金属製冷却ロール1に供給した。
【0058】
以下、実施例1で行ったと同様にして厚さ40μm、幅1400mmの光学フィルムを得た。フィルム10のゴムロール4に対する抱き角は180度、室温は25℃、フィルム10がゴムロール4に接する直前の温度は45℃であった。
【0059】
実施例1で行ったと同様にして、得られた光学フィルムの位相差、ヘイズ及びフレアを測定し、巻き姿を観察し、結果を表1に示した。
【0060】
(比較例1)
金属製冷却ロール1の温度を185℃、フィルム10がゴムロール4に接する直前の温度を150℃にした以外は実施例3で行ったと同様にして光学フィルムを得た。実施例1で行ったと同様にして、得られた光学フィルムの位相差、ヘイズ及びフレアを測定し、巻き姿を観察し、結果を表1に示した。
【0061】
(比較例2)
フィルム10のゴムロール4に対する抱き角を50度にした以外は実施例3で行ったと同様にして光学フィルムを得た。実施例1で行ったと同様にして、得られた光学フィルムの位相差、ヘイズ及びフレアを測定し、巻き姿を観察し、結果を表1に示した。
【0062】
(比較例3)
ゴムロール4に代えて、3本ロールを用いた以外は実施例3で行ったと同様にして光学フィルムを得た。3本ロールの直径は全て350mm、温度は金属製冷却ロール1側から順に、135℃、110℃、60℃であった。
実施例1で行ったと同様にして、得られた光学フィルムの位相差、ヘイズ及びフレアを測定し、巻き姿を観察し、結果を表1に示した。
【0063】
【表1】
【0064】
【発明の効果】
本発明の光学フィルム製造方法の構成は上述の通りであるから、溶融押出成形法により、残留位相差が小さく、フレアが小さく、厚み精度がよく、表面平滑性が優れた光学フィルムが容易に製造できる。従って、得られた光学フィルムは、光学用途や液晶ディスプレイ分野で好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学フィルムの製造方法の1例を示す模式図である。
【図2】フレアの測定方法を説明するための模式図である。
【符号の説明】
1 金属製冷却ロール
2 ダイ
3 エッジピニング電極
4 ゴムロール
5,5’ 搬送ロール
6 巻取りロール
7,9 接地極
8 高圧直流電源
10 熱可塑性樹脂フィルム
11 光学フィルム
12 ガイドロール
13 重り
14 基準線[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for manufacturing an optical film.
[0002]
[Prior art]
In recent years, in optical applications and display fields, optical films with excellent transparency and small residual retardation have been demanded, but optical films manufactured by melt extrusion molding have optical distortion remaining due to deformation during molding. There was a problem.
[0003]
Since this optical distortion remains as a phase difference, for example, when this optical film is used as a polarizing plate protective film for protecting a polarizer, there is a disadvantage that the optical distortion causes a decrease in polarization performance. Was.
[0004]
For this reason, various methods for producing an optical film in which optical distortion does not remain have been studied. For example, the molten resin is sandwiched between the rotating first roll and the peripheral surface of the second roll, and the molten resin is passed between the first roll and the second roll. In the method for manufacturing a substrate for an optical recording medium, in which the peripheral speed of the first roll is equal to or less than the peripheral speed of the second roll, while being kept in contact with the peripheral surface, the substrate is sandwiched between and passed through the peripheral surface of the rotating third roll. A method for manufacturing a substrate for an optical recording medium, wherein the peripheral speed of the peripheral surface of the third roll is smaller than the peripheral speed of the peripheral surface of the second roll (see Patent Document 1). Proposed.
[0005]
[Patent Document 1]
JP-A-4-224924
The above-mentioned manufacturing method uses three cooling rolls and gradually reduces the peripheral speed of the cooling rolls to reduce the optical distortion of the optical film, but from the first roll to the second roll. It is very difficult to transfer the resin film and transfer the resin film from the second roll to the third roll, and there is a disadvantage that flare occurs.
[0007]
That is, since the temperature of the first roll is set to a certain high temperature so that the resin and the roll surface are in close contact with each other, the resin film is difficult to peel off. Therefore, the peeling point was not stable, and the resin film was unevenly cooled and flare occurred.
[0008]
Further, if the film is peeled off with a strong force, the peeling point is stable and the occurrence of flare can be suppressed, but there is a disadvantage that the resin film is stretched and the residual retardation becomes large.
[0009]
In addition, the flare means the undulation of the film, and means, for example, that when the film is placed on the floor, irregularities are observed on the film surface. When the film has a flare, when the film is wound, a portion where the films come into strong contact with each other or a weak portion occurs due to unevenness of the film, and the wound appearance is deteriorated.
[0010]
In addition, as a method of manufacturing a different optical film, a film extruded from a mold is wound around a lower half of a cooling roll, and air is blown out from an air chamber provided near the cooling roll to uniformly distribute the film on the cooling roll. A film forming apparatus which is cooled while being pressed and is continuously taken off by a take-off machine, wherein a windbreak fence is provided below the cooling roll and close to the cooling roll (Patent Document 1) 2) has been proposed.
[0011]
[Patent Document 2]
JP-A-8-244098
However, the flare of the film obtained by the above manufacturing apparatus is 50 to 70 mm, which is much larger than the flare required for an optical film, and a suitable optical film could not be obtained.
[0013]
[Problems to be solved by the invention]
The present invention has been made in view of the above-mentioned problems of the related art, and has as its object to provide a method for producing an optical film having a small residual retardation and a small flare by an extrusion molding method.
[0014]
[Means for Solving the Problems]
The method for producing an optical film according to the present invention is characterized in that a thermoplastic resin film melt-extruded into a sheet from an extruder provided with a die is formed into a glass transition temperature of a thermoplastic resin + 20 ° C. to a glass of a thermoplastic resin. (Transition temperature −50 ° C.) while cooling in close contact with a metal cooling roll having a temperature of “50 ° C.”, and applying a charge only to the vicinity of the end of the thermoplastic resin film at a point where the thermoplastic resin film comes into contact with the metal cooling roll. After performing edge pinning, a method for manufacturing an optical film that is installed above a metal cooling roll and that is separated from the cooling roll by pulling the thermoplastic resin film substantially vertically upward by a rubber roll whose rotational torque is controlled, The tension is 98 N or less per 1 m width of the thermoplastic resin film, and the temperature immediately before the thermoplastic resin film comes into contact with the rubber roll is "room temperature" to "room temperature". A temperature + 50 ℃ ", and, embracing angle for rubber roll of the thermoplastic resin film is characterized in that it is a 90 to 240 degrees.
[0015]
The thermoplastic resin is not particularly limited as long as it is a thermoplastic resin having excellent transparency, and examples thereof include a thermoplastic saturated norbornene resin, a polycarbonate resin, a polysulfone resin, a polyethersulfone resin, and polymethyl methacrylate. Resin, polyarylate resin, polyvinyl chloride resin and the like.
[0016]
In order to improve the heat resistance, ultraviolet resistance, and smoothness of the optical film, the thermoplastic resin includes a phenol-based heat deterioration inhibitor, a phenol-based, phosphorus-based anti-aging agent, a benzophenone-based, An ultraviolet absorber such as a triazole type, a lubricant such as an ester of an aliphatic alcohol and a partial ester of a polyhydric alcohol, and an antistatic agent such as an amine may be added.
[0017]
Next, the present invention will be described with reference to the drawings. FIG. 1 is a schematic view showing one example of the method for producing an optical film of the present invention.
[0018]
In the figure, reference numeral 1 denotes a metal cooling roll, which is set at a temperature from "glass transition temperature of thermoplastic resin to be extruded by melt + 20 ° C." to "glass transition temperature of thermoplastic resin to be extruded by melt-50 ° C."
[0019]
When the temperature of the metal cooling roll 1 is higher than “the glass transition temperature of the thermoplastic resin + 20 ° C.”, the adhesion between the thermoplastic resin film 10 and the metal cooling roll 1 becomes too strong, so that peeling becomes difficult and the thermoplastic resin becomes hard. The resin film 10 becomes too soft and the film is stretched, and as a result, orientation distortion occurs in the film.
[0020]
On the other hand, when the temperature is lower than "glass transition temperature of thermoplastic resin-50 ° C", it becomes difficult for the thermoplastic resin film 10 to adhere to the metal cooling roll 1, so that the thickness accuracy of the thermoplastic resin film 10 is reduced and the surface property is reduced. Gets worse.
[0021]
Therefore, the temperature of the metal cooling roll 1 is limited to a temperature of “the glass transition temperature of the thermoplastic resin + 20 ° C.” to “the glass transition temperature of the thermoplastic resin−50 ° C.”. (Glass transition temperature of resin + 10 ° C.) to “glass transition temperature of thermoplastic resin−30 ° C.”.
[0022]
In the figure, reference numeral 2 denotes a die installed in an extruder (not shown). The die 2 is a metal cooling roll 1 so that the thermoplastic resin film 10 melt-extruded into a sheet from the extruder can be supplied to the metal cooling roll 1. It is installed near the upper part of.
[0023]
In the figure, reference numeral 3 denotes an edge pinning electrode connected to the high-voltage DC power supply 8. The point at which the thermoplastic resin film 10 melt-extruded into a sheet from the extruder comes into contact with the metal cooling roll 1 is denoted by 3. The metal cooling roll 1 is installed above the vicinity of the point where the thermoplastic resin film 10 is in contact with the metal cooling roll 1 so as to perform edge pinning by applying a charge near the end of the metal cooling roll 1.
[0024]
In the figure, reference numeral 4 denotes a torque motor driven rubber roll installed above the metal cooling roll 1. The torque motor is set so that the thermoplastic resin film 10 is pulled at a constant tension of 98 N or less per 1 m width, and the thermoplastic resin film 10 is peeled substantially vertically upward from the metal cooling roll 1.
[0025]
If the tension by the rubber roll 4 is too strong, the balance of the peeling force of the thermoplastic resin film 10 from the metal cooling roll 1 is lost, and the thermoplastic resin film 10 becomes elongated. Therefore, the tension is limited to 98 N or less per 1 m width. And preferably 5 kg or less. Here, by applying a tension using a torque motor, even if a tension variation occurs in a subsequent process, the variation can be absorbed.
[0026]
Since the rotational force of the rubber roll 4 installed above the metal cooling roll 1 is controlled by a torque motor, the thermoplastic resin film 10 peeled from the metal cooling roll 1 is pulled without loosening by its own weight. As a result, the thermoplastic resin film 10 can be stably peeled off from the metal cooling roll 1.
[0027]
Further, the rubber roll 4 has an excellent grip property with the thermoplastic resin film 10, and can stably peel the thermoplastic resin film 10 from the metal cooling roll 1.
[0028]
In the figure, reference numerals 5 and 5 'denote transport rolls. The thermoplastic resin film 10 supplied from the rubber roll 4 is transported by the transport rolls 5 and 5' and wound up as an optical film by the take-up roll 6.
[0029]
In addition, the metal cooling roll 1, the rubber roll 4, and the transport roll 5 are installed so that the relative angle is changed so that the holding angle of the thermoplastic resin film 10 with respect to the rubber roll 4 becomes 90 to 240 degrees. .
[0030]
If the holding angle is less than 90 degrees, the gripping force of the rubber roll 4 on the thermoplastic resin film 10 becomes insufficient, making it difficult to peel the thermoplastic resin film 10 from the metal cooling roll 1 or changing the tension in the subsequent process. Peeling becomes unstable due to the influence of the
[0031]
Further, if the holding angle exceeds 240 degrees, the pass line of the thermoplastic resin film 10 becomes difficult to be formed, so that the range is limited to the above range, and preferably 150 to 240 degrees.
[0032]
In the method for producing an optical film of the present invention, first, a thermoplastic resin is melted by an extruder provided with a die, and is melt-extruded from the die into a sheet to form a thermoplastic resin film 10.
[0033]
If the temperature of the thermoplastic resin during the melt extrusion is low, it becomes impossible to extrude the resin. Therefore, the temperature is preferably equal to or higher than the glass transition temperature of the thermoplastic resin + 80 ° C.
[0034]
The melt-extruded thermoplastic resin film 10 is cooled in close contact with the metal cooling roll 1, but only near the end of the thermoplastic resin film 10 at the point where the thermoplastic resin film 10 contacts the metal cooling roll 1. Edge pinning is performed by applying a charge from the edge pinning electrode 3.
[0035]
By performing the edge pinning, the adhesiveness of the end portion of the thermoplastic resin film 10 to the metal cooling roll 1 is improved, and the thickness accuracy of the thermoplastic resin film 10 is improved.
[0036]
That is, the thickness accuracy is improved by stabilizing the deformation (neck-in) of the thermoplastic resin film 10 from when the die 2 is grounded to the metal cooling roll 1, and the edge pinning is performed at both ends of the thermoplastic resin film 10. It is preferable to arrange a needle-shaped electrode at a voltage of 4 to 8 kV.
[0037]
After the thermoplastic resin film 10 is cooled by the metal cooling roll 1, the thermoplastic resin film 10 is pulled by the rubber roll 4 at a constant tension of 98 N or less per 1 m width, and is separated from the metal cooling roll 1.
[0038]
The thermoplastic resin film 10 peeled off from the metal cooling roll 1 contacts the rubber roll 4 next, but if the temperature of the thermoplastic resin film 10 at the time of contact with the rubber roll 4 is high, the surface shape of the rubber roll 4 becomes hot. The surface of the thermoplastic resin film 10 is transferred to the thermoplastic resin film 10 and deteriorates in surface properties, causing flare. Therefore, it is necessary to cool the temperature of the thermoplastic resin film 10 to a temperature at which the surface shape of the rubber roll 4 is not transferred.
[0039]
Therefore, the temperature of the thermoplastic resin film 10 immediately before contacting the rubber roll 4 is set to “room temperature” to “room temperature + 50 ° C.” or less.
[0040]
If the thermoplastic resin film 10 immediately before contacting the rubber roll 4 has not been cooled to the above-mentioned temperature by the metal cooling roll 1 or the like, it is necessary to cool it, but any conventionally known cooling method is adopted. For example, a method of sending hot and cold air to the thermoplastic resin film 10 between the metal cooling roll 1 and the rubber roll 4 with an air conditioner to cool the thermoplastic resin film 10 may be used.
[0041]
The thermoplastic resin film 10 picked up by the rubber roll 4 is conveyed by the conveying rolls 5 and 5 ′ and wound up as an optical film by the winding roll 6.
[0042]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, examples of the present invention will be described, but the present invention is not limited to the following examples.
[0043]
(Example 1)
An optical film was manufactured using the apparatus shown in FIG.
[0044]
A polycarbonate resin (manufactured by Teijin Chemicals Ltd., trade name “Panlite K-1300Y”, glass transition temperature 150 ° C.) is supplied to an extruder equipped with a T-die, and a film is formed under the conditions of a resin temperature of 270 to 280 ° C. and an output of 120 kg / hour. The obtained film 10 was supplied to a metal cooling roll 1 having a diameter of 350 mm and a temperature of 140 ° C.
[0045]
At a point where the film comes into contact with the metal cooling roll 1, +6 kV was applied from the edge pinning electrode 3 to perform edge pinning. Next, the film 10 is pulled by a rubber roll 4 having a diameter of 120 mm with a tension of 49 N per 1 m of the film width, and the film 10 is peeled off in a substantially vertical direction from the metal cooling roll 1 and wound around a roll to have a thickness of 40 μm and a width of 40 μm. An optical film of 1400 mm was obtained.
[0046]
The holding angle of the film 10 with respect to the rubber roll 4 was 180 °, the room temperature was 25 ° C., and the temperature immediately before the film 10 was in contact with the rubber roll 4 was 50 ° C. In addition, the temperature immediately before the film 10 was in contact with the rubber roll 4 was measured at five points at the center of the film at regular intervals using a radiation thermometer (manufactured by Raytec Japan), and the average value was shown.
[0047]
The retardation, haze and flare of the obtained optical film were measured, and the winding appearance was observed. The results are shown in Table 1. In addition, the measuring method of each physical property is as follows.
[0048]
(1) Phase difference Measurement was performed at a wavelength of 590 nm using a birefringence meter (trade name “KOBRA-21ADH” manufactured by Oji Scientific Instruments). The measurement points were at 20 mm intervals in the width direction of the optical film, and showed the maximum value.
[0049]
(2) The haze was measured using a haze meter (trade name “MODEL TC-HIIIDP” manufactured by Tokyo Denshoku Co., Ltd.).
[0050]
(3) Flare As shown in FIG. 2, the obtained optical film 11 having a width of 1400 mm is put on two guide rolls 12 and 12 (the distance between the rolls is 1500 mm) arranged in parallel, and rods are placed on both ends thereof. The weights (6 kg) 13, 13 were set so that a load was evenly applied to the entire film. Five minutes after the setting, the distance at which the film was hanging from the upper ends (reference line 14) of the two guide rolls 12, 12 was measured, and the maximum value was shown.
[0051]
(4) Roll Form The roll of the obtained optical film was visually observed. Samples with air entangled between the films and having uneven spots were evaluated as poor, and samples without air unevenness were evaluated as good.
[0052]
(Example 2)
An optical film was manufactured using the apparatus shown in FIG.
[0053]
A polysulfone resin (manufactured by Teijin Amoco Engineering Plastics Co., Ltd., trade name “Udel P-1700”, glass transition temperature 190 ° C.) is supplied to an extruder equipped with a T-die, under the conditions of a resin temperature of 330 to 335 ° C. and an output of 120 kg / hour. The resulting film 10 was melt-extruded into a film, and the obtained film 10 was supplied to a metal cooling roll 1 having a diameter of 350 mm and a temperature of 180 ° C.
[0054]
Thereafter, an optical film having a thickness of 40 μm and a width of 1400 mm was obtained in the same manner as in Example 1. The holding angle of the film 10 with respect to the rubber roll 4 was 180 °, the room temperature was 25 ° C., and the temperature immediately before the film 10 was in contact with the rubber roll 4 was 70 ° C.
[0055]
In the same manner as in Example 1, the obtained optical film was measured for retardation, haze and flare, and the winding appearance was observed. The results are shown in Table 1.
[0056]
(Example 3)
An optical film was manufactured using the apparatus shown in FIG.
[0057]
A thermoplastic saturated norbornene-based resin (trade name “ARTON D4532”, manufactured by JSR Co., Ltd., glass transition temperature: 144 ° C.) is supplied to an extruder equipped with a T-die, and the resin temperature is 270 to 280 ° C. and the extrusion rate is 120 kg / hour. The film 10 was melt-extruded into a film, and the obtained film 10 was supplied to a metal cooling roll 1 having a diameter of 350 mm and 135 ° C.
[0058]
Thereafter, an optical film having a thickness of 40 μm and a width of 1400 mm was obtained in the same manner as in Example 1. The holding angle of the film 10 with respect to the rubber roll 4 was 180 °, the room temperature was 25 ° C., and the temperature immediately before the film 10 was in contact with the rubber roll 4 was 45 ° C.
[0059]
In the same manner as in Example 1, the obtained optical film was measured for retardation, haze and flare, and the winding appearance was observed. The results are shown in Table 1.
[0060]
(Comparative Example 1)
An optical film was obtained in the same manner as in Example 3, except that the temperature of the metal cooling roll 1 was 185 ° C., and the temperature immediately before the film 10 was in contact with the rubber roll 4 was 150 ° C. In the same manner as in Example 1, the obtained optical film was measured for retardation, haze and flare, and the winding appearance was observed. The results are shown in Table 1.
[0061]
(Comparative Example 2)
An optical film was obtained in the same manner as in Example 3 except that the holding angle of the film 10 with respect to the rubber roll 4 was set to 50 degrees. In the same manner as in Example 1, the obtained optical film was measured for retardation, haze and flare, and the winding appearance was observed. The results are shown in Table 1.
[0062]
(Comparative Example 3)
An optical film was obtained in the same manner as in Example 3 except that three rolls were used instead of the rubber roll 4. The diameters of all three rolls were 350 mm, and the temperatures were 135 ° C., 110 ° C., and 60 ° C. in order from the metal cooling roll 1 side.
In the same manner as in Example 1, the obtained optical film was measured for retardation, haze and flare, and the winding appearance was observed. The results are shown in Table 1.
[0063]
[Table 1]
[0064]
【The invention's effect】
Since the configuration of the optical film manufacturing method of the present invention is as described above, an optical film having small residual retardation, small flare, good thickness accuracy, and excellent surface smoothness can be easily manufactured by the melt extrusion molding method. it can. Accordingly, the obtained optical film can be suitably used in optical applications and liquid crystal display fields.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic view showing one example of a method for producing an optical film of the present invention.
FIG. 2 is a schematic diagram for explaining a method of measuring flare.
[Explanation of symbols]
REFERENCE SIGNS LIST 1 metal cooling roll 2 die 3 edge pinning electrode 4 rubber roll 5, 5 ′ transport roll 6 winding roll 7, 9 ground electrode 8 high voltage DC power supply 10 thermoplastic resin film 11 optical film 12 guide roll 13 weight 14 reference line