JP2004132441A - 磁気軸受装置、それを用いたエキシマレーザ用貫流ファン装置、磁気軸受のフィードバック制御をコンピュータに実行させるためのプログラム、および磁気軸受のフィードバック制御をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents
磁気軸受装置、それを用いたエキシマレーザ用貫流ファン装置、磁気軸受のフィードバック制御をコンピュータに実行させるためのプログラム、および磁気軸受のフィードバック制御をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】大きな負荷変動に対しても安定してファンを回転可能なように回転軸を保持する磁気軸受装置を提供する。
【解決手段】制御装置80は、自身が出力する電流指令Irefをローパスフィルタにより処理して磁気軸受50に印加される負荷の大きさを推定する。そして、制御装置80は、推定した負荷の大きさに応じて、磁気軸受50のフィードバック制御における制御モデルを変更し、その変更した制御モデルにおけるゲインなどの制御パラメータを演算する。さらに、制御装置80は、演算した制御パラメータを実際のフィードバック制御を行なうフィードバックコントローラ81に設定する。
【選択図】 図5
【解決手段】制御装置80は、自身が出力する電流指令Irefをローパスフィルタにより処理して磁気軸受50に印加される負荷の大きさを推定する。そして、制御装置80は、推定した負荷の大きさに応じて、磁気軸受50のフィードバック制御における制御モデルを変更し、その変更した制御モデルにおけるゲインなどの制御パラメータを演算する。さらに、制御装置80は、演算した制御パラメータを実際のフィードバック制御を行なうフィードバックコントローラ81に設定する。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、回転軸を保持する磁気軸受装置に関し、特に、回転軸に印加される負荷が変動しても回転軸を安定して回転可能な磁気軸受装置、それを備えるエキシマレーザ用貫流ファン装置、磁気軸受のフィードバック制御をコンピュータに実行させるためのプログラム、および磁気軸受のフィードバック制御をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
磁気軸受は、工作機用スピンドルモータまたはターボ分子ポンプなどの数万回転以上の高速回転のスピンドル用に使用される。このような高速回転領域においては、回転軸の共振モードまたはジャイロ効果による回転の不安定化が問題となり、これらの問題に対して磁気軸受を制御する制御装置のゲインや制御パラメータを調整することが行われている。
【0003】
また、工作機用のスピンドルとして、先端工具の変更により固有振動数が変化するのを補償することも行なわれている。
【0004】
さらに、磁気軸受のコイル電流を用いて回転軸に印加される負荷を検出する技術、回転軸に印加される負荷、回転軸の位置偏差信号および回転数を検出し、その検出した負荷、位置偏差信号および回転数を用いて磁気軸受を制御する制御装置のゲインを変更する技術が提案されている(特許2869725号公報、特許2863689号公報、特開昭60−16149号公報、特開平11−93953号公報参照)。
【0005】
しかし、従来の磁気軸受は、モータトルクが高々数[N・m]であるため、負荷が磁気軸受の安定制御に及ぼす影響はわずかであり、負荷が磁気軸受に及ぼす影響を考慮して磁気軸受を安定制御する技術は、殆ど、提案されていない。
【0006】
エキシマレーザの大きな負荷変動の補償を対象とした技術として、負荷を受ける磁気軸受の数を増加し(回転軸の自由度に対して冗長な磁気軸受を設ける)、回転軸に取り付けられたファンの回転数に応じて、磁気軸受の制御パラメータを変更する技術が特開2002−089489号公報に開示されている。また、DSP(Digital Signal Processor)を用いた磁気軸受のデジタル制御系において、回転数に応じた制御パラメータを予めメモリに記録しておき、回転数に応じて制御パラメータを変化させる技術が提案されている。さらに、モータ駆動電流をセンサーにより検出し、その検出したモータ駆動電流に応じて磁気軸受の剛性を変化させる技術も提案されている。そして、この技術では、モータ電流の基準値を設けておき、モータ電流が基準値を超えると、磁気軸受の制御におけるゲインを上げる。
【0007】
【特許文献1】
特許2869725号公報
【0008】
【特許文献2】
特許2863689号公報
【0009】
【特許文献3】
特開昭60−16149号公報
【0010】
【特許文献4】
特開平11−93953号公報
【0011】
【特許文献5】
特開2002−089489号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、回転軸に取り付けられたファンの負荷は大きく、回転軸を回転するためのモータのトルクは、十数[N・m]以上にもなり、磁気軸受は、大きな負荷を受ける。また、磁気軸受は、真空中等の殆ど負荷が印加されない状態から最大負荷状態までの大きな負荷変動を受けるため、全ての状態において磁気軸受を安定制御することは困難であるという問題がある。
【0013】
たとえ、安定制御を実現したとしても、微妙な調整が必要になったり、急な加減速を避けるためにサイクルタイムを落とす等のその他の性能が犠牲になるという問題がある。
【0014】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、大きな負荷変動に対しても安定してファンを回転可能なように回転軸を保持する磁気軸受装置を提供することである。
【0015】
また、この発明の別の目的は、大きな負荷変動に対しても安定してファンを回転可能なように回転軸を保持する磁気軸受装置を備えるエキシマレーザ用貫流ファン装置を提供することである。
【0016】
さらに、この発明の別の目的は、大きな負荷変動に対しても安定してファンを回転可能なように回転軸を保持する磁気軸受の制御をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供することである。
【0017】
さらに、この発明の別の目的は、大きな負荷変動に対しても安定してファンを回転可能なように回転軸を保持する磁気軸受の制御をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
この発明によれば、磁気軸受装置は、回転軸と、モータと、磁気軸受と、制御手段とを備える。回転軸は、ガス圧が変化するチャンバ内で回転数が変化するファンが取付けられる。モータは、回転軸を回転駆動する。磁気軸受は、回転軸を保持する。制御手段は、磁気軸受が受ける負荷に応じて、ファンを安定性良く回転させる位置に回転軸を保持するためのフィードバック制御におけるパラメータを変更する。
【0019】
好ましくは、磁気軸受は、回転軸を所定の位置に保持するための電磁石を含む。そして、制御手段は、電磁石を構成するコイルに流すコイル電流、またはコイル電流指令に基づいて負荷を検出し、その検出した負荷に応じてパラメータを変更する。
【0020】
好ましくは、制御手段は、コイル電流またはコイル電流指令をローパスフィルタにより処理してコイル電流またはコイル電流指令の平均値を検出し、その検出した平均値に基づいて負荷を検出する。そして、ローパスフィルタの時定数は、回転軸の回転周期よりも大きい。
【0021】
好ましくは、磁気軸受装置は、オブザーバをさらに備える。オブザーバは、少なくとも速度とステップ状の負荷とを推定可能なオブザーバである。制御手段は、状態フィードバックゲインを含む。そして、オブザーバは、負荷の変動に応じて自己が保持する参照モデルを変更して状態変数を推定する。状態フィードバックゲインは、オブザーバが推定した状態変数に基づいてゲインを変更する。
【0022】
好ましくは、制御手段は、モータを駆動するモータ駆動装置の出力に基づいて負荷を検出し、その検出した負荷に応じてパラメータを変更する。
【0023】
好ましくは、制御手段は、フィードバック制御における一巡伝達関数における交差周波数付近の周波数成分の大きさを検出し、その検出した周波数成分のうち低周波数側の周波数成分の大きさが大きくなったときゲインを一定量大きくし、検出した周波数成分のうち高周波数側の周波数成分の大きさが大きくなったときゲインを一定量小さくする。
【0024】
好ましくは、制御手段は、フーリエ変換理論に基づいて、対象とする周波数成分のみを畳み込んで計算することにより周波数成分の大きさを検出する。
【0025】
好ましくは、制御手段は、周波数成分の畳み込み計算を制御周期ごとに計算する。そして、フーリエ変換されるデータのデータ長は、データ長=対象周波数における周期の整数倍/制御周期を満たす。
【0026】
好ましくは、制御手段は、回転軸に印加される負荷による制御モデルの変化を低減させるように磁気軸受をさらに制御し、変化が低減された制御モデルに基づいてパラメータを変更する。
【0027】
好ましくは、磁気軸受は、複数の磁気軸受対からなる。制御手段は、複数の磁気軸受対に流れる複数の電流、または複数の電流指令に基づいて前記回転軸に印加される負荷の方向を検出し、その検出した負荷の方向と反対方向へ回転軸の浮上位置を変える。
【0028】
好ましくは、制御手段は、複数の磁気軸受対に対応し、磁気軸受対ごとに印加される複数の力を検出し、その検出した複数の力を合成して付加の方向を検出する。
【0029】
好ましくは、磁気軸受は、複数の磁気軸受対からなる。複数の磁気軸受対は、回転軸の重力による負荷とファンによる最大負荷との合力を均等に受ける位置に配置される。
【0030】
また、この発明によれば、ガス圧が変化するチャンバ内で回転数が変化するファンが取付けられた回転軸を前記ファンが安定性良く回転する位置に保持するように磁気軸受のフィードバック制御をコンピュータに実行させるためのプログラムは、磁気軸受が受ける負荷を検出する第1のステップと、検出した負荷に応じてフィードバック制御におけるパラメータを変更する第2のステップと、変更したパラメータを用いてフィードバック制御を行なう第3のステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0031】
好ましくは、磁気軸受は、回転軸を所定の位置に保持するための電磁石を含む。プログラムの第1のステップは、電磁石を構成するコイルに流すコイル電流、またはコイル電流指令に基づいて負荷を検出する。
【0032】
好ましくは、プログラムの第1のステップは、コイル電流をローパスフィルタにより処理してコイル電流の平均値を検出し、その検出した平均値に基づいて負荷を検出する。そして、ローパスフィルタの時定数は、回転軸の回転周期よりも大きい。
【0033】
好ましくは、プログラムの第2のステップは、少なくとも速度とステップ状の負荷とを推定可能なオブザーバにより負荷の変動に応じてオブザーバの参照モデルを変更して状態変数を推定する第1のサブステップと、状態フィードバックゲインによりオブザーバが推定した状態変数に基づいてゲインを変更する第2のサブステップとを含む。
【0034】
好ましくは、プログラムの第1のステップは、モータを駆動するモータ駆動装置の出力に基づいて負荷を検出する。
【0035】
好ましくは、プログラムの第1のステップは、フィードバック制御における一巡伝達関数における交差周波数付近の周波数成分の大きさを検出し、第2のステップは、検出した周波数成分のうち低周波数側の周波数成分の大きさが大きくなったときゲインを一定量大きくし、検出した周波数成分のうち高周波数側の周波数成分の大きさが大きくなったときゲインを一定量小さくする。
【0036】
好ましくは、第1のステップは、フーリエ変換理論に基づいて、対象とする周波数成分のみを畳み込んで計算することにより周波数成分の大きさを検出する。
【0037】
好ましくは、プログラムの第1のステップは、データ長=対象周波数における周期の整数倍/制御周期を満たすデータ長を有するデータに基づいて周波数成分の畳み込み計算を制御周期ごとに計算する。
【0038】
好ましくは、プログラムは、検出した負荷による制御モデルの変化を低減するように磁気軸受を制御する第4のステップをさらにコンピュータに実行させ、第2のステップは、変化が低減された制御モデルに基づいてゲインを変更する。
【0039】
好ましくは、磁気軸受は、複数の磁気軸受対からなる。プログラムの第4のステップは、複数の磁気軸受対に流れる複数の電流、または複数の電流指令に基づいて回転軸に印加される負荷の方向を検出する第1のサブステップと、検出した負荷の方向と反対方向へ回転軸の浮上位置を変える第2のサブステップとを含む。
【0040】
好ましくは、プログラムの第1のサブステップは、複数の磁気軸受対に対応し、磁気軸受対ごとに印加される複数の力を検出するステップと、検出した複数の力を合成して負荷の方向を検出するステップとを含む。
【0041】
さらに、この発明によれば、プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、請求項13から請求項23のいずれか1項に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0042】
さらに、この発明によれば、エキシマレーザ用貫流ファン装置は、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の磁気軸受装置を備えるエキシマレーザ用貫流ファン装置である。
【0043】
この発明においては、磁気軸受に印加される負荷の大きさが検出され、その検出された負荷の大きさに応じて制御モデルが変更される。そして、変更された制御モデルにおけるコントローラのゲインなどの制御パラメータが演算され、その演算された制御パラメータに基づいて、実際の磁気軸受のフィードバック制御が行なわれる。
【0044】
また、この発明においては、磁気軸受に印加される負荷による制御モデルの変化が小さくなるように磁気軸受が制御される。
【0045】
したがって、この発明によれば、磁気軸受に印加される負荷が変動しても磁気軸受を安定して制御できる。
【0046】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0047】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による磁気軸受装置を備えるエキシマレーザ用貫流ファンの断面構造を示す。図1を参照して、エキシマレーザ用貫流ファン100は、チャンバー10と、ラジエータ20と、ファン30と、回転軸40と、磁気軸受50,70と、モータ60と、制御装置80と、モータ駆動装置90とを備える。
【0048】
チャンバー10は、エキシマレーザ用の循環ガスが導入される。そして、チャンバー10内の圧力は、レーザの出力に応じて変えられる。ラジエータ20は、チャンバー10内のファン30の周辺部に設置され、チャンバー10内に導入された循環ガスを冷却する。
【0049】
ファン30は、回転軸40に取付けられ、チャンバー10内に配置される。そして、ファン30は、回転軸40が回転することにより回転し、チャンバー10内の循環ガスを循環する。
【0050】
回転軸40は、チャンバー10の両側に配置された磁気軸受50,70によって所定の位置に浮上され、ファン30が安定性良く回転可能な位置に保持される。そして、回転軸40は、その一方端がモータ60のロータ63に固定され、ロータ63が回転することにより回転する。
【0051】
磁気軸受50は、電磁石51,52と、ターゲット55とを含む。電磁石51,52は、それぞれ、コイル511,521を含み、コイル電流がコイル511,521に流れることにより、ターゲット55方向への磁力を発生し、回転軸40を浮上させる。電磁石51,52は、1つの電磁石対を構成する。なお、図1においては、図示されていないが、磁気軸受50は、もう1つの電磁石対を含む。
【0052】
モータ60は、ステータ61,62と、ロータ63とを含む。ステータ61,62は、ロータ63の周囲に配置される。そして、ステータ61,62は、それぞれ、コイル611,612;621,622を含み、コイル電流がコイル611,612;621,622に流れることにより磁力を発生し、ロータ63を回転する。ロータ63は、回転軸40を保持し、ステータ61,62からの磁力を受けて回転する。なお、モータ60は、十数[N・m]以上のトルクを出力可能である。
【0053】
磁気軸受70は、電磁石71,72とターゲット73とを含む。電磁石71,72は、電磁石51,52と同じ構成からなり、コイル電流がコイルに流れることによりターゲット73方向への磁力を発生し、回転軸40を浮上させる。
【0054】
磁気軸受70の安定制御のため回転軸40の浮上位置を位置センサー(図示せず)により検出し、その検出した浮上位置に基づいて制御装置(図示せず)がコイル電流を制御する。
【0055】
制御装置80は、電磁石51,52からの回転軸40の浮上位置を位置センサー(図示せず)により検出し、その検出した浮上位置に基づいて、ファン30が安定性良く回転可能な平衡位置に回転軸40を浮上させるように磁気軸受50をフィードバック制御する。そして、制御装置80は、このフィードバック制御において、電磁石51,52のコイル511,521に流れるコイル電流に基づいて、磁気軸受50が受ける負荷を検出し、その検出した負荷に応じて、後述する方法によってフィードバック制御における制御ゲインを変更する。そして、制御装置80は、変更した制御ゲインを用いて磁気軸受50をフィードバック制御する。
【0056】
回転軸のスラスト方向にも磁気軸受装置(図示せず)が設けられ、前記回転軸が所定のスラスト位置に保たれる。
【0057】
モータ駆動装置90は、所定のトルクを出力するようにモータ60を駆動する。
【0058】
図2および図3を参照して、磁気軸受50の配置方法について詳細に説明する。図2を参照して、ターゲット55は、回転軸40に固定される。そして、電磁石51〜54は、ターゲット55の周りに配置される。電磁石51,52は、1つの電磁石対を構成し、電磁石53,54は、もう1つの電磁石対を構成する。電磁石51は、回転軸40を中心にして電磁石52と対称な位置に配置され、電磁石53は、回転軸40を中心として電磁石54と対称な位置に配置される。
【0059】
電磁石51,52からなる1つの電磁石対は、電磁石53,54からなるもう1つの電磁石対と直交座標を構成するように配置される。すなわち、電磁石51,52が配置される方向は、電磁石53,54が配置される方向と90度の角度を成す。
【0060】
図2においては、電磁石51,52が配置される方向および電磁石53,54が配置される方向は、回転軸40に作用する重力mgの方向と45度±22.5度の角度を成すように決定される。そして、ファン30が停止しているとき、電磁石51,52による磁力F1および電磁石53,54による磁力F2は、回転軸40に作用する重力mgを支える。
【0061】
図3を参照して、電磁石51〜54は、電磁石51,52が配置される方向が重力mgの方向と直交し、電磁石53,54が配置される方向が重力mgの方向に一致するように配置されてもよい。図3においては、ファン30が停止しているとき、電磁石53,54による磁力F1が重力mgを支える。
【0062】
図4は、エキシマレーザ用貫流ファン100の一部を示す断面図である。回転軸40に作用する重力mgを支えるように電磁石51,52のコイル511,521に所定のコイル電流が流れ、磁気軸受50は、回転軸40を所定の位置に浮上させる。
【0063】
そして、モータ60が所定のトルクを出力するように、ステータ61,62のコイル611,612;621,622に所定のコイル電流が流れると、ロータ63は、ステータ61,62からの磁力を受けて所定の回転数で回転する。これにより、回転軸40は、所定の回転数で回転する。そして、ファン30は、回転軸40の回転に応じてチャンバー10内で回転し、循環ガスを循環させる。
【0064】
エキシマレーザ用貫流ファン100においては、エキシマレーザの運転状態に応じてチャンバー10内の循環ガスの圧力が大きく変化する。したがって、チャンバー10内の循環ガスの圧力が高くなると、ファン30はチャンバー10内で回転し難くなり、回転軸40は、ファン30から負荷を受ける。また、モータ60のステータ61,62は、電磁石であるため回転軸40は、ステータ61,62からの吸引力も受ける。さらに、回転軸40の回転数も大きく変化する。
【0065】
したがって、磁気軸受50は、エキシマレーザ用貫流ファン100の駆動状態に応じて異なる負荷を受け、磁気軸受50におけるギャップ、すなわち、電磁石51とターゲット55との距離x(「位置x」とも言う。)は、磁気軸受50が受ける負荷によって変化する。
【0066】
そこで、ファン30が回転している状態において、ファン30を安定性良く回転させるための平衡位置Xに回転軸40を浮上させるために、位置xが検出され、その検出された位置xが平衡位置Xになるように磁気軸受50がフィードバック制御される。そして、フィードバック制御における制御ゲインが磁気軸受50に印加される負荷に応じて変更される。
【0067】
図5は、この発明による磁気軸受装置のブロック図を示す。図5を参照して、位置センサー110は、磁気軸受50の位置、すなわち、電磁石51を基準にしたターゲット55の位置xを検出し、その検出した位置xを減算器120へ出力する。なお、位置センサー110が位置xを検出する方式は、どのような方式であってもよい。
【0068】
減算器120は、指令値rと位置センサー110からの位置xとの偏差を演算し、その演算した偏差を制御装置80へ出力する。
【0069】
制御装置80は、フィードバックコントローラ81を含む。制御装置80は、減算器120から受けた偏差に基づいて、磁気軸受50を安定制御できるような電流指令Irefをフィードバックコントローラ81によってアンプ130へ出力する。アンプ130は、フィードバックコントローラ81からの電流指令Irefに一致するように電流Iを磁気軸受50のコイル511,521に流す。
【0070】
回転体140は、ファン30、回転軸40およびモータ60からなる。モータ駆動装置90は、回転体140を構成するモータ60を駆動する。磁気軸受50は、コイル511,521に電流Iが流れることにより、ファン30およびモータ60のロータ63が取付けられた回転軸40を浮上させ、回転軸40を平衡位置Xに保持する。
【0071】
上述したように、磁気軸受50は、ファン30、回転軸40およびモータ60から負荷を受ける。そして、磁気軸受50の運動方程式は、次式により表わされる。
【0072】
【数1】
【0073】
ただし、mは回転軸40の質量であり、gは重力加速度であり、k,x0は磁気軸受50の定数であり、xは上述した磁気軸受50のギャップであり、iは、電磁石51〜54に流れる電流であり、Ffはファン30からの負荷に応じた大きさを有する定常外乱であり、Fm(x)はモータ60の吸引力である。なお、Fm(x)は、ギャップxの関数である。
【0074】
式(1)から明らかなように、磁気軸受50は、非線型な制御対象であり、磁気軸受50のフィードバック制御を行なうコントローラを設計するには、平衡点近傍における線形化処理が必要である。
【0075】
回転軸40が浮上位置Xに浮上されたときの浮上位置Xと浮上時の平衡電流Iとの関係は、次式により表わされる。
【0076】
【数2】
【0077】
そこで、式(2)を用いて、ギャップxについて平衡電流Iの近傍での線形化処理を行なうと、式(1)に基づいて計算された磁気軸受50の伝達関数は次式により表わされる。
【0078】
【数3】
【0079】
ただし、sはラプラス演算子であり、Δは磁気軸受50の中心とモータ60の磁気的中心との偏差であり、Bgはモータ60の磁束密度であり、qはモータ60の定数である。
【0080】
回転軸40の回転停止時はFf=Fm=0である。また、回転軸40の回転時はFf≠0,Fm(x)≠0であるため、ファン30およびモータ60からの負荷によって制御対象の制御モデルが大きく変動する。
【0081】
したがって、制御装置80は、自身が出力する電流指令Irefをローパスフィルタにより処理し、電流指令Irefの平均値を演算する。そして、制御装置80は、演算した平均値に基づいて、磁気軸受50に印加される負荷の大きさを推定する。
【0082】
回転軸40が回転することにより、磁気軸受50はファン30およびモータ60から負荷を受け、ギャップxを変動させようとする。そして、磁気軸受50のターゲット55を平衡位置Xに浮上させるための平衡電流Iは、磁気軸受50が受ける負荷の大きさに応じて変動する。すなわち、磁気軸受50が受ける負荷が大きいほど、磁気軸受50の電磁石51〜54に流れる平衡電流Iは大きくなる。
【0083】
したがって、磁気軸受50が受ける負荷の大きさは、磁気軸受50の電磁石51〜54に流れる平衡電流Iにより推定可能である。そこで、電磁石51〜54に流れる平衡電流Iを検出することにより、磁気軸受50が受ける負荷を推定することにしたものである。
【0084】
なお、電磁石51〜54に流れる平衡電流Iを検出するには、アンプ130から出力される平衡電流Iを検出する必要があるが、アンプ130から出力される平衡電流Iは、制御装置80が出力する電流指令Irefに定常的に一致するので、電流指令Irefに基づいて磁気軸受50が受ける負荷の大きさを推定することにしたものである。これにより、アナログ信号である平衡電流Iをデジタル信号に変換するA/D変換器を設ける必要がなくなる。
【0085】
また、制御装置80が電流指令Irefをローパスフィルタにより処理する際のローパスフィルタの時定数は、回転軸40の回転周期よりも十分大きく設定される。より具体的には、ローパスフィルタの時定数は、回転軸40の回転周期に対して10倍以上大きく設定され、0.1〜2.0secの範囲である。
【0086】
このように、ローパスフィルタの時定数を回転軸40の回転周期に対して10倍以上大きく設定するのは次の理由による。磁気軸受50が受ける負荷変動、つまり、回転軸40の回転数の変化、または循環ガスのガス圧力の変化は、数百msec〜数secのオーダーであるため、制御装置80は、磁気軸受50が受ける負荷の大きさを推定するために電流の瞬時値が必要なわけではなく、電流の平均値で十分なためである。そして、電流の平均値により負荷の大きさを推定することにより、周期的に現れる回転軸40の回転のアンバランスによる負荷の影響を除去でき、ファン30からの負荷およびモータ60の吸引力による負荷変動のみを推定することが可能となる。
【0087】
制御装置80は、磁気軸受50が受ける負荷の大きさを推定すると、その推定した負荷の大きさに応じて、式(3)におけるパラメータを変更し、磁気軸受50の制御モデルを再構築する。そして、制御装置80は、再構築した制御モデルにおけるゲインを演算し、その演算したゲインに合うようにフィードバックコントローラ81における制御ゲインを調整する。
【0088】
つまり、この発明においては、制御装置80は、フィードバック制御の対象である磁気軸受50に印加される負荷の大きさを推定し、その推定した大きさの負荷が磁気軸受50に印加された場合に、回転軸40が安定して回転可能な平衡位置Xに磁気軸受50のターゲット55を浮上させるように磁気軸受50をフィードバック制御するための制御モデルを再構築し、その再構築した制御モデルに合うように実際の磁気軸受50のフィードバック制御における制御パラメータを調整する。
【0089】
これにより、磁気軸受50に印加される負荷の大きさが変動しても、磁気軸受50に印加される負荷の大きさに適合したゲインなどの制御パラメータを設定して磁気軸受50を安定制御できる。
【0090】
上述したように、この発明においては、磁気軸受50が受ける負荷の大きさを推定し、その推定した負荷の大きさに応じて、制御モデルを再構築し、フィードバックコントローラ81における制御ゲインを調整することを特徴とするが、このように磁気軸受50のフィードバック制御における制御装置80を負荷の大きさに応じて変えることにした理由について図6を参照して説明する。
【0091】
図6は、磁気軸受50の制御モデルにおける一巡伝達関数を示す。なお、フィードバックコントローラ81は、回転軸40の回転停止時、すなわち、磁気軸受50に負荷が印加されないときの制御モデルに適合するように設計されている。
【0092】
図6において、縦軸は、ゲインおよび位相を示し、横軸は、周波数を示す。曲線k1は、磁気軸受50に負荷が印加されない場合のゲインの周波数依存性を示し、曲線k2は、磁気軸受50に負荷が印加された場合のゲインの周波数依存性を示し、曲線k3は、位相の周波数依存性を示す。
【0093】
磁気軸受50に負荷が印加されると、低周波数側の位相交差周波数fex1付近のゲインが大きく低下するとともに、曲線k2は、広い領域で平坦な特性(ゲインの周波数勾配がほぼ零)を持ち、周波数領域全体で殆ど安定余裕が無くなる。また、曲線k2においては、高周波領域におけるゲインが大きくなり、安定余裕を改善するために制御ゲインを上げることは、回転軸の曲げ1次モードの影響または実システムのノイズの影響により、必ずしも好ましくない。
【0094】
全体の制御ゲインを上げずに安定余裕を改善するためには、制御理論の一般的なルールにより、(A)平坦な特性の領域よりも遥かに広い周波数領域で位相を進めるコントローラを設計する、(B)積分ゲインが大きいコントローラを設計して、低周波領域における制御ゲインを上げる、の2つの方法がある。
【0095】
しかし、磁気軸受50の制御モデルにおいては、上述したように、平坦なゲイン特性により、(A)の方法では、低周波数領域のゲインが全体的に低くなるため、あまり効果がない。また、極端に広く位相を進めると、磁気軸受50の剛性が低下し、ファン30の大きな負荷に耐えられなくなる。また、(B)の方法では、平坦なゲイン特性を補償するためには、積分ゲインをかなり大きくしなければならず、その結果、位相を進める周波数領域が狭くなり、同時に位相余裕も減少する。そして、図6において、位相が−180度よりも小さくなる領域に存在する曲げの1次モードで発振し易くなったり、磁気軸受50自体の安定化が困難になるという問題が顕著になる。
【0096】
そこで、安定余裕を改善して磁気軸受50の安定制御を実現するために、上述したように、フィードバックコントローラ81を含む制御装置80を変更させることにしたものである。
【0097】
上記においては、制御装置80は、自身が出力する電流指令Irefを用いて磁気軸受50に印加される負荷の大きさを推定すると説明したが、この発明においては、制御装置80は、アンプ130が出力する平衡電流Iを受け、その受けた平衡電流Iをローパスフィルタにより処理して平均電流値を求め、その求めた平均電流値に基づいて磁気軸受50が受ける負荷の大きさを推定するようにしてもよい。アンプ130は、電流のフィードバックループを有するため、アンプ130から出力された平衡電流Iは、制御装置80へ入力される。
【0098】
また、制御装置80は、モータ駆動装置90の出力をモニタリングし、そのモニタリングした出力に基づいて、磁気軸受50が受ける負荷の大きさを推定するようにしてもよい。ファン30から印加される負荷が大きくなると、回転軸40を所定の回転数で回転させるには、その負荷の増加に応じてモータ60を駆動するためのトルクを大きくする必要がある。したがって、モータ駆動装置90からの出力が大きいことは磁気軸受50が受ける負荷が大きいを意味するので、モータ駆動装置90の出力に基づいて磁気軸受50が受ける負荷の大きさを推定可能である。
【0099】
電流指令Irefに代えてアンプ130から出力される平衡電流Iまたはモータ駆動装置90の出力を用いて磁気軸受50が受ける負荷の大きさを推定する場合、制御装置80は、上述したように、ローパスフィルタにより平衡電流Iの平均値またはモータ駆動装置90の出力の平均値を求め、その求めた平衡電流Iの平均値または出力の平均値に基づいて磁気軸受50が受ける負荷の大きさを推定する。そして、ローパスフィルタにおける時定数は、上述した範囲に設定される。
【0100】
さらに、制御装置80は、再構築した制御モデルにおけるゲインを実際に演算しなくてもよく、電流指令Iref(または平衡電流Iまたはモータ駆動装置90の出力)と制御モデルにおけるゲインとのテーブルを作成して保持し、入力された電流指令Iref(または平衡電流Iまたはモータ駆動装置90の出力)に対応するゲインに合うようにフィードバックコントローラ81における制御ゲインを調整するようにしてもよい。
【0101】
さらに、制御装置80は、図6に示す周波数依存性に基づいて、フィードバックコントローラ81における制御ゲインを調整してもよい。図6に示すように、交差周波数は、低周波数側の交差周波数fex1と高周波数側の交差周波数fex2とから成る。そこで、制御装置80は、交差周波数fex1,fex2付近の周波数成分のみをフーリエ変換で抽出し、低周波数側の周波数成分の振動および高周波数側の周波数成分の振動を検出する。
【0102】
磁気軸受50が受ける負荷が大きくなると、交差周波数fex1付近の振動が観測され、磁気軸受50が受ける負荷が小さくなると、交差周波数fex2付近の振動が観測される。
【0103】
したがって、制御装置80は、交差周波数fex1付近の振動が観測されれば、フィードバックコントローラ81における制御ゲインを一定量高く設定し、交差周波数fex2付近の振動が観測されれば、フィードバックコントローラ81における制御ゲインを一定量低く設定する。
【0104】
つまり、制御装置80は、磁気軸受50のフィードバック制御系における伝達関数の位相の周波数依存性に基づいて、磁気軸受50に印加される負荷の大きさを推定し、その推定した負荷の大きさに応じてフィードバックコントローラ81における制御ゲインを調整する。
【0105】
ここで、制御ゲインの変更方法について説明する。検出された低周波数側の周波数成分の大きさをPL、高周波数側の周波数成分をPHとし、予め決定された最適値の下限値をそれぞれPLmin,PHminとして、最適値の上限値をそれぞれPLmax,PHmaxとする。
【0106】
PLは、PHとトレードオフの関係にあり、磁気軸受50が受ける負荷が小さくなり、制御系のゲインが高くなると、PHは大きくなり、かつ、PLは小さくなる。一方、磁気軸受50が受ける負荷が大きくなり、制御系のゲインが低くなると、PLは大きくなり、かつ、PHは小さくなる。
【0107】
そこで、PL<PLminまたはPH>PHmaxの場合、制御ゲインが高すぎると判断され、制御ゲインは、予め決定された一定量だけ低くされる。また、PL>PLmaxまたはPH<PHminの場合、制御系のゲインは低すぎると判断され、制御ゲインは、予め決定された一定量だけ高くされる。
【0108】
制御装置80は、周波数成分の検出周期ごとに、上述した判断を行なうので、たとえば、PL>PLmaxが連続すれば、制御ゲインはどんどん高くなる。そこで、制御ゲインが高くなりすぎたり、低くなりすぎないようにするために、予め決定された制御ゲインの上限値および下限値に達したら、それ以上制御ゲインは変更されない。
【0109】
このように、制御装置80は、予め決定された下限値から上限値までの範囲で、検出した周波数成分の振動に応じて制御ゲインを変更する。そして、制御装置80が変更する制御ゲインの一定量は、3〜5secの間、同じ条件が連続した場合、ファン30からの負荷が磁気軸受50に印加されないときの制御ゲインの半分または2倍になる程度である。
【0110】
制御装置80は、低周波数側の周波数成分の大きさおよび高周波数側の周波数成分の大きさを検出するとき、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)のように、全ての周波数成分についてフーリエ変換を演算するのではなく、必要な周波数成分についてのみフーリエ変換を演算する。つまり、制御装置80は、畳み込み演算を行なう。
【0111】
磁気軸受50に印加される負荷の変動は、制御周期よりも十分に遅いため、制御装置80は、制御周期ごとに1回の畳み込み演算を行なうことにより、演算時間の短縮とメモリの節約が可能となる。
【0112】
そして、制御装置80は、データ長=対象周波数における周期の整数倍/制御周期を満たすデータ長を有するデータについてフーリエ変換を行ない、周波数成分の振動を検出する。これにより、対象周波数によって、制御ゲインの更新時期が異なるが、異なる周波数における周波数成分の大きさの評価を等しくすることができる。
【0113】
たとえば、回転軸40が10Hzと50Hzで回転中の場合、制御装置80が回転1周期分のデータを取り込むために必要な時間は異なる。したがって、回転の周波数に拘わらず、データを取り込むための時間を一定にすると、低周波数側におけるデータは、高周波数側のデータに比べ、少なくなる。その結果、低周波数側の周波数成分は、高周波数側の周波数成分に比べ、少ないデータ量に基づいて評価されることになる。このような事態を回避し、各周波数において、少なくとも1回転分のデータが取り込まれるようにするため、制御装置80は、データ長=対象周波数における周期の整数倍/制御周期を満たすデータ長を有するデータについてフーリエ変換を演算することにしたものである。
【0114】
なお、制御装置80は、低周波数側の周波数成分および高周波数側の周波数成分のうち、いずれか一方の周波数成分が一定になるように制御ゲインを調整してもよい。
【0115】
このように、制御装置80は、図6に示す周波数依存性に基づいて、低周波数側の周波数成分および高周波数側の周波数成分についてフーリエ変換を演算して低周波数側の周波数成分の振動または高周波数側の周波数成分を検出し、その検出した周波数成分の振動に応じてフィードバックコントローラ81における制御ゲインを調整する。
【0116】
この場合、制御装置80が低周波数側の周波数成分の振動または高周波数側の周波数成分の振動を検出することは、磁気軸受50が受ける負荷の大きさを推定することに相当する。
【0117】
したがって、周波数成分の振動に応じて制御ゲインを調整する制御は、磁気軸受50が受ける負荷の大きさを推定し、その推定した負荷の大きさに応じて制御ゲインを調整することに含まれる概念である。
【0118】
図7を参照して、制御ゲインを調整する制御装置80の動作について説明する。制御ゲインを調整する動作が開始されると、制御装置80は、自身が出力した電流指令Irefをローパスフィルタにより処理して電流指令Irefの平均電流値を演算し、その演算した平均電流値に基づいて磁気軸受50に印加される負荷の大きさを推定する(ステップS10)。
【0119】
その後、制御装置80は、推定した負荷の大きさに応じて、磁気軸受50のフィードバック制御における制御モデルの伝達関数のパラメータ(式(3)のパラメータ)を変更する(ステップS20)。そして、制御装置80は、磁気軸受50のフィードバック制御における制御モデルを、変更したパラメータを反映した制御モデルに変更する(ステップS30)。
【0120】
そうすると、制御装置80は、変更した制御モデルにおけるゲインなどの制御パラメータを演算し(ステップS40)、その演算したゲインなどのコントローラパラメータをフィードバックコントローラ81に設定する。そして、制御装置80は、調整した制御パラメータを用いて磁気軸受50のフィードバック制御を行なう(ステップS50)。これにより、制御パラメータを調整する動作は終了する。
【0121】
この発明による磁気軸受装置のブロック図は、図8に示すブロック図であってもよい。図8に示すブロック図は、図5に示すブロック図の制御装置80を制御装置80Aに代え、オブザーバ150を追加したものであり、その他は、図5に示すブロック図と同じである。
【0122】
図8を参照して、オブザーバ150は、磁気軸受50に負荷が印加されていないときの参照モデルに基づいて構成されている。そして、オブザーバ150は、制御装置80Aの状態フィードバックゲイン82から出力される電流指令Irefと、位置センサー110から出力される位置xとを受け、その受けた電流指令Irefおよび位置xに基づいて、磁気軸受50のフィードバック制御における外乱を推定する。すなわち、オブザーバ150は、少なくとも速度とステップ状の外乱を推定可能なオブザーバである。
【0123】
そして、オブザーバ150は、推定した外乱に基づいて参照モデルを変更し、その変更した参照モデルにおける状態変数を推定する。ここで、オブザーバ150が参照モデルを変更することにしたのは、外乱に応じて参照モデルを変更しない場合、オブザーバ150が推定する状態変数の推定誤差が増大してしまい、実際の制御モデルに適合したフィードバック制御を行なえなくなるからである。
【0124】
オブザーバ150は、最終的に、推定した状態変数を制御装置80Aの状態フィードバックゲイン82へ出力する。
【0125】
制御装置80Aは、状態フィードバックゲイン82を含む。そして、状態フィードバックゲイン82は、オブザーバ150が推定した状態変数に対応するゲインに適合するように制御ゲインを調整する。そして、制御装置80Aは、調整した制御ゲインを用いて、磁気軸受50のフィードバック制御を行なう。
【0126】
その他は、上述したとおりである。
このように、オブザーバ150と状態フィードバックゲイン82とを用いても、磁気軸受50に印加される負荷の大きさに応じて、制御モデルまたは制御ゲインを変更して磁気軸受50の安定制御を実現することができる。
【0127】
制御ゲインを調整する制御装置80Aの動作も、図7に示すフローチャートに従って実行される。
【0128】
なお、制御装置80,80Aにおける制御ゲインの調整は、実際にはCPU(Central Processing Unit)によって行なわれ、CPUは、図7に示すフローチャートの各ステップを備えるプログラムをROM(Read Only Memory)から読出し、その読出したプログラムを実行して図7に示すフローチャートに従って磁気軸受50に印加される負荷の大きさを推定し、その推定した負荷の大きさに応じて制御ゲインを調整する。したがって、ROMは、図7に示すフローチャートの各ステップを備えるプログラムを記録したコンピュータ(CPU)読取り可能な記録媒体に相当する。
【0129】
また、図7に示すステップS10における負荷の大きさの推定は、電流指令Irefに限らず、アンプ130が出力する平衡電流Iまたはモータ駆動装置90の出力に基づいて行なわれてもよい。
【0130】
さらに、図7に示すステップS10における負荷の大きさの推定は、磁気軸受50のフィードバック制御における一巡伝達関数における低周波数側の周波数成分の大きさまたは高周波数側の周波数成分の大きさを検出することによって行なわれてもよい。そして、低周波数側の周波数成分の大きさまたは高周波数側の周波数成分の大きさが検出される場合、フーリエ変換は、データ長=対象周波数における周期の整数倍/制御周期を満たすデータ長を有するデータに基づいて演算される。
【0131】
さらに、図7に示すステップS20,S30,S40の動作は、上述したオブザーバおよび状態フィードバックゲインにより行なわれてもよい。
【0132】
さらに、回転軸40、磁気軸受50、モータ60および制御装置80は、「磁気軸受装置」を構成する。
【0133】
さらに、回転軸40、磁気軸受50、モータ60、オブザーバ150および制御装置80Aは、「磁気軸受装置」を構成する。
【0134】
実施の形態1によれば、磁気軸受装置は、磁気軸受が受ける負荷の大きさを推定し、その推定した負荷の大きさに応じて、回転軸を安定浮上するように磁気軸受をフィードバック制御する際の制御パラメータを調整する制御装置を備えるので、磁気軸受に印加される負荷の大きさが変動しても磁気軸受を安定して制御できる。
【0135】
[実施の形態2]
図9は、実施の形態2による磁気軸受装置のブロック図を示す。図9に示すブロック図は、図5に示すブロック図の制御装置80を制御装置80Bに代えたものであり、その他は、図5に示すブロック図と同じである。
【0136】
制御装置80Bは、上述した制御装置80の機能に追加して、磁気軸受50に印加される負荷の方向を検出し、その検出した負荷の方向と反対方向に回転軸40を移動させるように磁気軸受50を制御する機能を備える。
【0137】
磁気軸受50を構成する電磁石51〜54は、図2および図3に示すように直交座標を構成するように配置されるので、電磁石51〜54の各々に流れる電流によりそれぞれの座標軸において正方向および負方向のいずれの方向に負荷が印加されているかを検出し、その検出した2つの方向を合成することによりファン30から磁気軸受50に印加される負荷の方向を検出することができる。
【0138】
再び、図3を参照して、負荷の方向を検出する方法について説明する。電磁石51は、電磁石52と対になり、電磁石53は、電磁石54と対になっている。そして、電磁石52に流れる電流が電磁石51に流れる電流よりも大きい場合、電磁石51,52が配置された方向の正方向に負荷が印加されていることになり、電磁石53に流れる電流が電磁石54に流れる電流よりも大きい場合、電磁石53,54が配置された方向の正方向に負荷が印加されていることになる。
【0139】
したがって、電磁石対を成す電磁石51,52間における電流の差を検出することにより電磁石51,52が配置された方向の正方向および負方向のいずれの方向に負荷が印加されているかを検出でき、電磁石対を成す電磁石53,54間における電流の差を検出することにより電磁石53,54が配置された方向の正方向および負方向のいずれの方向に負荷が印加されているかを検出できる。
【0140】
電磁石51〜54に流れる電流は、制御装置80Bが電磁石51〜54に流そうとする電流指令Iref1,Iref2,Iref3,Iref4に等しい。したがって、制御装置80Bは、自身が出力する電流指令Iref1と電流指令Iref2との差を演算して電磁石51,52が配置された方向の正方向および負方向のいずれの方向に負荷が印加されているかを検出し、自身が出力する電流指令Iref3と電流指令Iref4との差を演算して電磁石53,54が配置された方向の正方向および負方向のいずれの方向に負荷が印加されているかを検出する。なお、電流指令Iref1と電流指令Iref2との差および電流指令Iref3と電流指令Iref4との差は、ローパスフィルタにより処理した電流指令を用いて演算される。
【0141】
制御装置80Bは、負荷の方向を検出すると、その検出した負荷の方向と反対方向へ回転軸40を移動させるように磁気軸受50を制御する。図10を参照して、ファン30からの負荷Ffの方向が鉛直方向であると検出されると、制御装置80Bは、回転軸40の中心を点C1から点C2まで距離Δだけ移動させるように磁気軸受50を制御する。
【0142】
回転軸40の中心が距離Δだけステータ61,62側に移動した場合、ステータ61,62からの吸引力は次式により表わされる。
【0143】
【数4】
【0144】
そして、吸引力Fmは、ファン30からの負荷Ffと一部相殺され、磁気軸受50に印加される負荷が減少する。つまり、制御モデルの変化が低減される。
【0145】
なお、回転軸40を移動させる距離Δは、ロータ63がステータ61,62に接触しない範囲であり、ステータ61,62とロータ63とのギャップの4分の1を目安にする。
【0146】
このように、実施の形態2においては、磁気軸受50に印加される負荷の方向を検出し、その検出した負荷の方向と反対方向へ回転軸40を移動させることによりモータ60のステータ61,62からの吸引力Fmをファン30からの負荷Ffと一部相殺させて磁気軸受50に印加される負荷を減少することを特徴とする。
【0147】
ファン30の停止時、すなわち、ファン30からの負荷が磁気軸受50に印加されない場合に電磁石51〜54に流す電流をI0とし、ファン30が回転しているときに電磁石51〜54に流す電流をILとすると、ファン30から磁気軸受50に印加される負荷Ffは、次式により表わされる。
【0148】
【数5】
【0149】
したがって、制御装置80Bは、式(5)に基づいてファン30からの負荷Ffを演算し、その演算した負荷Ffの大きさに応じて、回転軸40の中心を負荷Ffの方向と反対方向に移動させる距離Δを決定してもよい。これにより、負荷Ffが大きくなれば、距離Δが増加し、モータ60の吸引力Fm(Δ)が増加するので、負荷Ffが吸引力Fm(Δ)により相殺される量が増加する。その結果、負荷Ffが変化しても制御モデルの変化は小さくなる。
【0150】
負荷Ffの方向と反対方向に回転軸40を移動させた後、実施の形態1における負荷Ffの大きさに応じた制御モデルやそれに基づく制御パラメータの変更を行ない、磁気軸上50の安定制御を行なう。
【0151】
図11を参照して、制御パラメータを調整する制御装置80Bの動作について説明する。図11に示すフローチャートは、図7に示すフローチャートのステップS10をステップS11〜S13に代えたものであり、その他は、図7に示すフローチャートと同じである。
【0152】
制御パラメータを調整する動作が開始されると、制御装置80Bは、自身が出力する電流指令Iref1,Iref2,Iref3,Iref4に基づいて、磁気軸受50に印加される負荷の方向を検出する(ステップS11)。そして、制御装置80Bは、検出した負荷の方向と反対方向へ回転軸40を距離Δだけ移動させるように磁気軸受50を制御する(ステップS12)。
【0153】
回転軸40が負荷の方向と反対方向へ移動されると、制御装置80Bは、自身が出力する電流指令Irefに基づいて、磁気軸受50に印加される負荷の大きさを検出する(ステップS13)。そして、上述したステップS20,S30,S40,S50,S60が実行されて実施の形態2における制御パラメータを調整する動作が終了する。
【0154】
なお、ステップS11,S12の動作は、検出した負荷による制御モデルの変化を低減するように磁気軸受50を制御することに相当する。
【0155】
制御装置80Bは、少なくともステップS11〜S13を実行する制御装置であればよい。すなわち、制御装置80Bは、磁気軸受50に印加される負荷の方向を検出し、その検出した負荷の方向と反対方向へ回転軸40を移動させるように磁気軸受50を制御する制御装置であればよい。
【0156】
なお、制御装置80Bにおける制御ゲインの調整は、実際にはCPUによって行なわれ、CPUは、図11に示すフローチャートの各ステップを備えるプログラムをROMから読出し、その読出したプログラムを実行して図11に示すフローチャートに従って磁気軸受50に印加される負荷の方向を検出し、その検出した負荷の方向と反対方向へ回転軸40を移動させ、制御モデルの変化を低減して負荷の大きさに応じて制御ゲインを調整する。したがって、ROMは、図11に示すフローチャートの各ステップを備えるプログラムを記録したコンピュータ(CPU)読取り可能な記録媒体に相当する。
【0157】
また、回転軸40、磁気軸受50、モータ60および制御装置80Bは、「磁気軸受装置」を構成する。
【0158】
さらに、負荷の方向が既知の場合、予め決められた方向に回転軸40を移動させてもよい。
【0159】
実施の形態2によれば、磁気軸受装置は、磁気軸受が受ける負荷の方向を検出し、その検出した負荷の方向と反対方向へ回転軸を移動させて制御モデルの変化が小さくなるように磁気軸受を制御する制御装置を備えるので、磁気軸受に印加される負荷の大きさが変動しても磁気軸受を安定して制御できる。また、磁気軸受の能力を見かけ上、高めることができる。
【0160】
[実施の形態3]
図12は、実施の形態3による磁気軸受装置のブロック図を示す。図12に示すブロック図は、図5に示すブロック図の磁気軸受50を磁気軸受50Aに代えたものであり、その他は図5に示すブロック図と同じである。
【0161】
磁気軸受50Aは、自身に印加される最大の負荷を均等に受ける磁気軸受である。
【0162】
図13を参照して、チャンバー10内に設置されたファン30が矢印11の方向に回転した場合、ファン30が磁気軸受50に印加する負荷Ffの方向は、矢印12で示す方向になる。そして、ファン30が横流ファンの場合、負荷Ffの方向は、ファン30の回転数またはチャンバー10内のガス圧力によって殆ど変化せず、チャンバー10またはファン30の羽根形状等によってほぼ一定の方向に決定される。
【0163】
したがって、ファン30からの負荷Ffと重力mgとの合力が、1つの電磁石対が配置された方向ともう1つの電磁石対が配置された方向とに均等に印加されるように4つの電磁石の配置位置が調整される。
【0164】
すなわち、図14を参照して、磁気軸受50Aは、電磁石51A〜54Aと、ターゲット55とから成る。回転軸40は、重力mgを鉛直方向に受ける。また、負荷Ffが矢印12で示す方向に印加される。そして、重力mgと負荷Ffとの合力Fs1が、電磁石53A,54Aが配置される方向の負荷F1と電磁石51A,52Aが配置される方向の負荷F2との合力Fs2と釣り合うように電磁石51A〜54Aを配置する。
【0165】
この場合、負荷Ffは、ファン30から磁気軸受50Aに印加される最大の負荷である。したがって、合力Fs1も最大になり、電磁石51A〜54Aは、磁気軸受50Aに印加される最大の負荷を均等に受けるように配置される。
【0166】
図15を参照して、重力mgの方向を通常の直交座標のy軸方向に取り、そのy軸に直交する方向をx軸方向とする。そうすると、負荷F1が印加される方向、つまり、電磁石53A,54Aが配置される方向は、y軸方向と角度θをなす。そして、この発明においては、角度θは、0〜45度の範囲である。
【0167】
このように、実施の形態3においては、磁気軸受50Aに印加される最大の負荷が2つの電磁石対に均等に印加されるように電磁石51A〜54Aを配置することを特徴とする。これにより、磁気軸受の制御モデルの変化を最小にできる。
【0168】
そして、負荷が均等に印加されるように電磁石51A〜54Aを配置した後、実施の形態1を適用して磁気軸受50Aに印加される負荷の大きさを推定し、その推定した負荷の大きさに応じて、磁気軸受50Aの制御モデルを変更して、それに基づく制御パラメータを調整するようにしてもよい。
【0169】
実施の形態3によれば、磁気軸受装置は、印加される最大の負荷を均等に受ける電磁石を有する磁気軸受を備えるので、磁気軸受の制御モデルの変化を最小にできる。
【0170】
上述した実施の形態2および3は、磁気軸受に印加される負荷による磁気軸受の制御モデルの変化を小さくする手段である。したがって、この発明による磁気軸受装置は、磁気軸受に印加される負荷による磁気軸受の制御モデルの変化を小さくする手段を備える磁気軸受装置であれば、どのような磁気軸受装置であってもよい。
【0171】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1による磁気軸受装置を備えるエキシマレーザ用貫流ファンの断面構造図である。
【図2】図1に示す磁気軸受の配置方法を説明するための図である。
【図3】図1に示す磁気軸受の配置方法を説明するための他の図である。
【図4】図1に示すエキシマレーザ用貫流ファンの一部を示す断面図である。
【図5】実施の形態1による磁気軸受装置のブロック図である。
【図6】図1に示す磁気軸受の制御モデルにおける一巡伝達関数の周波数依存性を示す図である。
【図7】実施の形態1における制御パラメータを調整する動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】実施の形態1による磁気軸受装置の他のブロック図である。
【図9】実施の形態2による磁気軸受装置のブロック図である。
【図10】回転軸の移動を説明するための断面図である。
【図11】実施の形態2における制御パラメータを調整する動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】実施の形態3による磁気軸受装置のブロック図である。
【図13】図1に示すチャンバーにおける断面図である。
【図14】図12に示す磁気軸受を説明するための図である。
【図15】図14に示す4つの電磁石の配置位置を説明するための図である。
【符号の説明】
10 チャンバー、11,12 矢印、20 ラジエータ、30 ファン、40 回転軸、50,50A,70 磁気軸受、51〜54,51A〜54A,71,92 電磁石、55,73 ターゲット、60 モータ、61,62 ステータ、63 ロータ、80,80A,80B,80C 制御装置、81 フィードバックコントローラ、82 状態フィードバックゲイン、90 モータ駆動装置、100 エキシマレーザ用貫流ファン、110 位置センサー、120 減算器、130 アンプ、140 回転体、150 オブザーバ、511,521,611,612,621,622 コイル。
【発明の属する技術分野】
この発明は、回転軸を保持する磁気軸受装置に関し、特に、回転軸に印加される負荷が変動しても回転軸を安定して回転可能な磁気軸受装置、それを備えるエキシマレーザ用貫流ファン装置、磁気軸受のフィードバック制御をコンピュータに実行させるためのプログラム、および磁気軸受のフィードバック制御をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
磁気軸受は、工作機用スピンドルモータまたはターボ分子ポンプなどの数万回転以上の高速回転のスピンドル用に使用される。このような高速回転領域においては、回転軸の共振モードまたはジャイロ効果による回転の不安定化が問題となり、これらの問題に対して磁気軸受を制御する制御装置のゲインや制御パラメータを調整することが行われている。
【0003】
また、工作機用のスピンドルとして、先端工具の変更により固有振動数が変化するのを補償することも行なわれている。
【0004】
さらに、磁気軸受のコイル電流を用いて回転軸に印加される負荷を検出する技術、回転軸に印加される負荷、回転軸の位置偏差信号および回転数を検出し、その検出した負荷、位置偏差信号および回転数を用いて磁気軸受を制御する制御装置のゲインを変更する技術が提案されている(特許2869725号公報、特許2863689号公報、特開昭60−16149号公報、特開平11−93953号公報参照)。
【0005】
しかし、従来の磁気軸受は、モータトルクが高々数[N・m]であるため、負荷が磁気軸受の安定制御に及ぼす影響はわずかであり、負荷が磁気軸受に及ぼす影響を考慮して磁気軸受を安定制御する技術は、殆ど、提案されていない。
【0006】
エキシマレーザの大きな負荷変動の補償を対象とした技術として、負荷を受ける磁気軸受の数を増加し(回転軸の自由度に対して冗長な磁気軸受を設ける)、回転軸に取り付けられたファンの回転数に応じて、磁気軸受の制御パラメータを変更する技術が特開2002−089489号公報に開示されている。また、DSP(Digital Signal Processor)を用いた磁気軸受のデジタル制御系において、回転数に応じた制御パラメータを予めメモリに記録しておき、回転数に応じて制御パラメータを変化させる技術が提案されている。さらに、モータ駆動電流をセンサーにより検出し、その検出したモータ駆動電流に応じて磁気軸受の剛性を変化させる技術も提案されている。そして、この技術では、モータ電流の基準値を設けておき、モータ電流が基準値を超えると、磁気軸受の制御におけるゲインを上げる。
【0007】
【特許文献1】
特許2869725号公報
【0008】
【特許文献2】
特許2863689号公報
【0009】
【特許文献3】
特開昭60−16149号公報
【0010】
【特許文献4】
特開平11−93953号公報
【0011】
【特許文献5】
特開2002−089489号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、回転軸に取り付けられたファンの負荷は大きく、回転軸を回転するためのモータのトルクは、十数[N・m]以上にもなり、磁気軸受は、大きな負荷を受ける。また、磁気軸受は、真空中等の殆ど負荷が印加されない状態から最大負荷状態までの大きな負荷変動を受けるため、全ての状態において磁気軸受を安定制御することは困難であるという問題がある。
【0013】
たとえ、安定制御を実現したとしても、微妙な調整が必要になったり、急な加減速を避けるためにサイクルタイムを落とす等のその他の性能が犠牲になるという問題がある。
【0014】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、大きな負荷変動に対しても安定してファンを回転可能なように回転軸を保持する磁気軸受装置を提供することである。
【0015】
また、この発明の別の目的は、大きな負荷変動に対しても安定してファンを回転可能なように回転軸を保持する磁気軸受装置を備えるエキシマレーザ用貫流ファン装置を提供することである。
【0016】
さらに、この発明の別の目的は、大きな負荷変動に対しても安定してファンを回転可能なように回転軸を保持する磁気軸受の制御をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供することである。
【0017】
さらに、この発明の別の目的は、大きな負荷変動に対しても安定してファンを回転可能なように回転軸を保持する磁気軸受の制御をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
この発明によれば、磁気軸受装置は、回転軸と、モータと、磁気軸受と、制御手段とを備える。回転軸は、ガス圧が変化するチャンバ内で回転数が変化するファンが取付けられる。モータは、回転軸を回転駆動する。磁気軸受は、回転軸を保持する。制御手段は、磁気軸受が受ける負荷に応じて、ファンを安定性良く回転させる位置に回転軸を保持するためのフィードバック制御におけるパラメータを変更する。
【0019】
好ましくは、磁気軸受は、回転軸を所定の位置に保持するための電磁石を含む。そして、制御手段は、電磁石を構成するコイルに流すコイル電流、またはコイル電流指令に基づいて負荷を検出し、その検出した負荷に応じてパラメータを変更する。
【0020】
好ましくは、制御手段は、コイル電流またはコイル電流指令をローパスフィルタにより処理してコイル電流またはコイル電流指令の平均値を検出し、その検出した平均値に基づいて負荷を検出する。そして、ローパスフィルタの時定数は、回転軸の回転周期よりも大きい。
【0021】
好ましくは、磁気軸受装置は、オブザーバをさらに備える。オブザーバは、少なくとも速度とステップ状の負荷とを推定可能なオブザーバである。制御手段は、状態フィードバックゲインを含む。そして、オブザーバは、負荷の変動に応じて自己が保持する参照モデルを変更して状態変数を推定する。状態フィードバックゲインは、オブザーバが推定した状態変数に基づいてゲインを変更する。
【0022】
好ましくは、制御手段は、モータを駆動するモータ駆動装置の出力に基づいて負荷を検出し、その検出した負荷に応じてパラメータを変更する。
【0023】
好ましくは、制御手段は、フィードバック制御における一巡伝達関数における交差周波数付近の周波数成分の大きさを検出し、その検出した周波数成分のうち低周波数側の周波数成分の大きさが大きくなったときゲインを一定量大きくし、検出した周波数成分のうち高周波数側の周波数成分の大きさが大きくなったときゲインを一定量小さくする。
【0024】
好ましくは、制御手段は、フーリエ変換理論に基づいて、対象とする周波数成分のみを畳み込んで計算することにより周波数成分の大きさを検出する。
【0025】
好ましくは、制御手段は、周波数成分の畳み込み計算を制御周期ごとに計算する。そして、フーリエ変換されるデータのデータ長は、データ長=対象周波数における周期の整数倍/制御周期を満たす。
【0026】
好ましくは、制御手段は、回転軸に印加される負荷による制御モデルの変化を低減させるように磁気軸受をさらに制御し、変化が低減された制御モデルに基づいてパラメータを変更する。
【0027】
好ましくは、磁気軸受は、複数の磁気軸受対からなる。制御手段は、複数の磁気軸受対に流れる複数の電流、または複数の電流指令に基づいて前記回転軸に印加される負荷の方向を検出し、その検出した負荷の方向と反対方向へ回転軸の浮上位置を変える。
【0028】
好ましくは、制御手段は、複数の磁気軸受対に対応し、磁気軸受対ごとに印加される複数の力を検出し、その検出した複数の力を合成して付加の方向を検出する。
【0029】
好ましくは、磁気軸受は、複数の磁気軸受対からなる。複数の磁気軸受対は、回転軸の重力による負荷とファンによる最大負荷との合力を均等に受ける位置に配置される。
【0030】
また、この発明によれば、ガス圧が変化するチャンバ内で回転数が変化するファンが取付けられた回転軸を前記ファンが安定性良く回転する位置に保持するように磁気軸受のフィードバック制御をコンピュータに実行させるためのプログラムは、磁気軸受が受ける負荷を検出する第1のステップと、検出した負荷に応じてフィードバック制御におけるパラメータを変更する第2のステップと、変更したパラメータを用いてフィードバック制御を行なう第3のステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0031】
好ましくは、磁気軸受は、回転軸を所定の位置に保持するための電磁石を含む。プログラムの第1のステップは、電磁石を構成するコイルに流すコイル電流、またはコイル電流指令に基づいて負荷を検出する。
【0032】
好ましくは、プログラムの第1のステップは、コイル電流をローパスフィルタにより処理してコイル電流の平均値を検出し、その検出した平均値に基づいて負荷を検出する。そして、ローパスフィルタの時定数は、回転軸の回転周期よりも大きい。
【0033】
好ましくは、プログラムの第2のステップは、少なくとも速度とステップ状の負荷とを推定可能なオブザーバにより負荷の変動に応じてオブザーバの参照モデルを変更して状態変数を推定する第1のサブステップと、状態フィードバックゲインによりオブザーバが推定した状態変数に基づいてゲインを変更する第2のサブステップとを含む。
【0034】
好ましくは、プログラムの第1のステップは、モータを駆動するモータ駆動装置の出力に基づいて負荷を検出する。
【0035】
好ましくは、プログラムの第1のステップは、フィードバック制御における一巡伝達関数における交差周波数付近の周波数成分の大きさを検出し、第2のステップは、検出した周波数成分のうち低周波数側の周波数成分の大きさが大きくなったときゲインを一定量大きくし、検出した周波数成分のうち高周波数側の周波数成分の大きさが大きくなったときゲインを一定量小さくする。
【0036】
好ましくは、第1のステップは、フーリエ変換理論に基づいて、対象とする周波数成分のみを畳み込んで計算することにより周波数成分の大きさを検出する。
【0037】
好ましくは、プログラムの第1のステップは、データ長=対象周波数における周期の整数倍/制御周期を満たすデータ長を有するデータに基づいて周波数成分の畳み込み計算を制御周期ごとに計算する。
【0038】
好ましくは、プログラムは、検出した負荷による制御モデルの変化を低減するように磁気軸受を制御する第4のステップをさらにコンピュータに実行させ、第2のステップは、変化が低減された制御モデルに基づいてゲインを変更する。
【0039】
好ましくは、磁気軸受は、複数の磁気軸受対からなる。プログラムの第4のステップは、複数の磁気軸受対に流れる複数の電流、または複数の電流指令に基づいて回転軸に印加される負荷の方向を検出する第1のサブステップと、検出した負荷の方向と反対方向へ回転軸の浮上位置を変える第2のサブステップとを含む。
【0040】
好ましくは、プログラムの第1のサブステップは、複数の磁気軸受対に対応し、磁気軸受対ごとに印加される複数の力を検出するステップと、検出した複数の力を合成して負荷の方向を検出するステップとを含む。
【0041】
さらに、この発明によれば、プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、請求項13から請求項23のいずれか1項に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0042】
さらに、この発明によれば、エキシマレーザ用貫流ファン装置は、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の磁気軸受装置を備えるエキシマレーザ用貫流ファン装置である。
【0043】
この発明においては、磁気軸受に印加される負荷の大きさが検出され、その検出された負荷の大きさに応じて制御モデルが変更される。そして、変更された制御モデルにおけるコントローラのゲインなどの制御パラメータが演算され、その演算された制御パラメータに基づいて、実際の磁気軸受のフィードバック制御が行なわれる。
【0044】
また、この発明においては、磁気軸受に印加される負荷による制御モデルの変化が小さくなるように磁気軸受が制御される。
【0045】
したがって、この発明によれば、磁気軸受に印加される負荷が変動しても磁気軸受を安定して制御できる。
【0046】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0047】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による磁気軸受装置を備えるエキシマレーザ用貫流ファンの断面構造を示す。図1を参照して、エキシマレーザ用貫流ファン100は、チャンバー10と、ラジエータ20と、ファン30と、回転軸40と、磁気軸受50,70と、モータ60と、制御装置80と、モータ駆動装置90とを備える。
【0048】
チャンバー10は、エキシマレーザ用の循環ガスが導入される。そして、チャンバー10内の圧力は、レーザの出力に応じて変えられる。ラジエータ20は、チャンバー10内のファン30の周辺部に設置され、チャンバー10内に導入された循環ガスを冷却する。
【0049】
ファン30は、回転軸40に取付けられ、チャンバー10内に配置される。そして、ファン30は、回転軸40が回転することにより回転し、チャンバー10内の循環ガスを循環する。
【0050】
回転軸40は、チャンバー10の両側に配置された磁気軸受50,70によって所定の位置に浮上され、ファン30が安定性良く回転可能な位置に保持される。そして、回転軸40は、その一方端がモータ60のロータ63に固定され、ロータ63が回転することにより回転する。
【0051】
磁気軸受50は、電磁石51,52と、ターゲット55とを含む。電磁石51,52は、それぞれ、コイル511,521を含み、コイル電流がコイル511,521に流れることにより、ターゲット55方向への磁力を発生し、回転軸40を浮上させる。電磁石51,52は、1つの電磁石対を構成する。なお、図1においては、図示されていないが、磁気軸受50は、もう1つの電磁石対を含む。
【0052】
モータ60は、ステータ61,62と、ロータ63とを含む。ステータ61,62は、ロータ63の周囲に配置される。そして、ステータ61,62は、それぞれ、コイル611,612;621,622を含み、コイル電流がコイル611,612;621,622に流れることにより磁力を発生し、ロータ63を回転する。ロータ63は、回転軸40を保持し、ステータ61,62からの磁力を受けて回転する。なお、モータ60は、十数[N・m]以上のトルクを出力可能である。
【0053】
磁気軸受70は、電磁石71,72とターゲット73とを含む。電磁石71,72は、電磁石51,52と同じ構成からなり、コイル電流がコイルに流れることによりターゲット73方向への磁力を発生し、回転軸40を浮上させる。
【0054】
磁気軸受70の安定制御のため回転軸40の浮上位置を位置センサー(図示せず)により検出し、その検出した浮上位置に基づいて制御装置(図示せず)がコイル電流を制御する。
【0055】
制御装置80は、電磁石51,52からの回転軸40の浮上位置を位置センサー(図示せず)により検出し、その検出した浮上位置に基づいて、ファン30が安定性良く回転可能な平衡位置に回転軸40を浮上させるように磁気軸受50をフィードバック制御する。そして、制御装置80は、このフィードバック制御において、電磁石51,52のコイル511,521に流れるコイル電流に基づいて、磁気軸受50が受ける負荷を検出し、その検出した負荷に応じて、後述する方法によってフィードバック制御における制御ゲインを変更する。そして、制御装置80は、変更した制御ゲインを用いて磁気軸受50をフィードバック制御する。
【0056】
回転軸のスラスト方向にも磁気軸受装置(図示せず)が設けられ、前記回転軸が所定のスラスト位置に保たれる。
【0057】
モータ駆動装置90は、所定のトルクを出力するようにモータ60を駆動する。
【0058】
図2および図3を参照して、磁気軸受50の配置方法について詳細に説明する。図2を参照して、ターゲット55は、回転軸40に固定される。そして、電磁石51〜54は、ターゲット55の周りに配置される。電磁石51,52は、1つの電磁石対を構成し、電磁石53,54は、もう1つの電磁石対を構成する。電磁石51は、回転軸40を中心にして電磁石52と対称な位置に配置され、電磁石53は、回転軸40を中心として電磁石54と対称な位置に配置される。
【0059】
電磁石51,52からなる1つの電磁石対は、電磁石53,54からなるもう1つの電磁石対と直交座標を構成するように配置される。すなわち、電磁石51,52が配置される方向は、電磁石53,54が配置される方向と90度の角度を成す。
【0060】
図2においては、電磁石51,52が配置される方向および電磁石53,54が配置される方向は、回転軸40に作用する重力mgの方向と45度±22.5度の角度を成すように決定される。そして、ファン30が停止しているとき、電磁石51,52による磁力F1および電磁石53,54による磁力F2は、回転軸40に作用する重力mgを支える。
【0061】
図3を参照して、電磁石51〜54は、電磁石51,52が配置される方向が重力mgの方向と直交し、電磁石53,54が配置される方向が重力mgの方向に一致するように配置されてもよい。図3においては、ファン30が停止しているとき、電磁石53,54による磁力F1が重力mgを支える。
【0062】
図4は、エキシマレーザ用貫流ファン100の一部を示す断面図である。回転軸40に作用する重力mgを支えるように電磁石51,52のコイル511,521に所定のコイル電流が流れ、磁気軸受50は、回転軸40を所定の位置に浮上させる。
【0063】
そして、モータ60が所定のトルクを出力するように、ステータ61,62のコイル611,612;621,622に所定のコイル電流が流れると、ロータ63は、ステータ61,62からの磁力を受けて所定の回転数で回転する。これにより、回転軸40は、所定の回転数で回転する。そして、ファン30は、回転軸40の回転に応じてチャンバー10内で回転し、循環ガスを循環させる。
【0064】
エキシマレーザ用貫流ファン100においては、エキシマレーザの運転状態に応じてチャンバー10内の循環ガスの圧力が大きく変化する。したがって、チャンバー10内の循環ガスの圧力が高くなると、ファン30はチャンバー10内で回転し難くなり、回転軸40は、ファン30から負荷を受ける。また、モータ60のステータ61,62は、電磁石であるため回転軸40は、ステータ61,62からの吸引力も受ける。さらに、回転軸40の回転数も大きく変化する。
【0065】
したがって、磁気軸受50は、エキシマレーザ用貫流ファン100の駆動状態に応じて異なる負荷を受け、磁気軸受50におけるギャップ、すなわち、電磁石51とターゲット55との距離x(「位置x」とも言う。)は、磁気軸受50が受ける負荷によって変化する。
【0066】
そこで、ファン30が回転している状態において、ファン30を安定性良く回転させるための平衡位置Xに回転軸40を浮上させるために、位置xが検出され、その検出された位置xが平衡位置Xになるように磁気軸受50がフィードバック制御される。そして、フィードバック制御における制御ゲインが磁気軸受50に印加される負荷に応じて変更される。
【0067】
図5は、この発明による磁気軸受装置のブロック図を示す。図5を参照して、位置センサー110は、磁気軸受50の位置、すなわち、電磁石51を基準にしたターゲット55の位置xを検出し、その検出した位置xを減算器120へ出力する。なお、位置センサー110が位置xを検出する方式は、どのような方式であってもよい。
【0068】
減算器120は、指令値rと位置センサー110からの位置xとの偏差を演算し、その演算した偏差を制御装置80へ出力する。
【0069】
制御装置80は、フィードバックコントローラ81を含む。制御装置80は、減算器120から受けた偏差に基づいて、磁気軸受50を安定制御できるような電流指令Irefをフィードバックコントローラ81によってアンプ130へ出力する。アンプ130は、フィードバックコントローラ81からの電流指令Irefに一致するように電流Iを磁気軸受50のコイル511,521に流す。
【0070】
回転体140は、ファン30、回転軸40およびモータ60からなる。モータ駆動装置90は、回転体140を構成するモータ60を駆動する。磁気軸受50は、コイル511,521に電流Iが流れることにより、ファン30およびモータ60のロータ63が取付けられた回転軸40を浮上させ、回転軸40を平衡位置Xに保持する。
【0071】
上述したように、磁気軸受50は、ファン30、回転軸40およびモータ60から負荷を受ける。そして、磁気軸受50の運動方程式は、次式により表わされる。
【0072】
【数1】
【0073】
ただし、mは回転軸40の質量であり、gは重力加速度であり、k,x0は磁気軸受50の定数であり、xは上述した磁気軸受50のギャップであり、iは、電磁石51〜54に流れる電流であり、Ffはファン30からの負荷に応じた大きさを有する定常外乱であり、Fm(x)はモータ60の吸引力である。なお、Fm(x)は、ギャップxの関数である。
【0074】
式(1)から明らかなように、磁気軸受50は、非線型な制御対象であり、磁気軸受50のフィードバック制御を行なうコントローラを設計するには、平衡点近傍における線形化処理が必要である。
【0075】
回転軸40が浮上位置Xに浮上されたときの浮上位置Xと浮上時の平衡電流Iとの関係は、次式により表わされる。
【0076】
【数2】
【0077】
そこで、式(2)を用いて、ギャップxについて平衡電流Iの近傍での線形化処理を行なうと、式(1)に基づいて計算された磁気軸受50の伝達関数は次式により表わされる。
【0078】
【数3】
【0079】
ただし、sはラプラス演算子であり、Δは磁気軸受50の中心とモータ60の磁気的中心との偏差であり、Bgはモータ60の磁束密度であり、qはモータ60の定数である。
【0080】
回転軸40の回転停止時はFf=Fm=0である。また、回転軸40の回転時はFf≠0,Fm(x)≠0であるため、ファン30およびモータ60からの負荷によって制御対象の制御モデルが大きく変動する。
【0081】
したがって、制御装置80は、自身が出力する電流指令Irefをローパスフィルタにより処理し、電流指令Irefの平均値を演算する。そして、制御装置80は、演算した平均値に基づいて、磁気軸受50に印加される負荷の大きさを推定する。
【0082】
回転軸40が回転することにより、磁気軸受50はファン30およびモータ60から負荷を受け、ギャップxを変動させようとする。そして、磁気軸受50のターゲット55を平衡位置Xに浮上させるための平衡電流Iは、磁気軸受50が受ける負荷の大きさに応じて変動する。すなわち、磁気軸受50が受ける負荷が大きいほど、磁気軸受50の電磁石51〜54に流れる平衡電流Iは大きくなる。
【0083】
したがって、磁気軸受50が受ける負荷の大きさは、磁気軸受50の電磁石51〜54に流れる平衡電流Iにより推定可能である。そこで、電磁石51〜54に流れる平衡電流Iを検出することにより、磁気軸受50が受ける負荷を推定することにしたものである。
【0084】
なお、電磁石51〜54に流れる平衡電流Iを検出するには、アンプ130から出力される平衡電流Iを検出する必要があるが、アンプ130から出力される平衡電流Iは、制御装置80が出力する電流指令Irefに定常的に一致するので、電流指令Irefに基づいて磁気軸受50が受ける負荷の大きさを推定することにしたものである。これにより、アナログ信号である平衡電流Iをデジタル信号に変換するA/D変換器を設ける必要がなくなる。
【0085】
また、制御装置80が電流指令Irefをローパスフィルタにより処理する際のローパスフィルタの時定数は、回転軸40の回転周期よりも十分大きく設定される。より具体的には、ローパスフィルタの時定数は、回転軸40の回転周期に対して10倍以上大きく設定され、0.1〜2.0secの範囲である。
【0086】
このように、ローパスフィルタの時定数を回転軸40の回転周期に対して10倍以上大きく設定するのは次の理由による。磁気軸受50が受ける負荷変動、つまり、回転軸40の回転数の変化、または循環ガスのガス圧力の変化は、数百msec〜数secのオーダーであるため、制御装置80は、磁気軸受50が受ける負荷の大きさを推定するために電流の瞬時値が必要なわけではなく、電流の平均値で十分なためである。そして、電流の平均値により負荷の大きさを推定することにより、周期的に現れる回転軸40の回転のアンバランスによる負荷の影響を除去でき、ファン30からの負荷およびモータ60の吸引力による負荷変動のみを推定することが可能となる。
【0087】
制御装置80は、磁気軸受50が受ける負荷の大きさを推定すると、その推定した負荷の大きさに応じて、式(3)におけるパラメータを変更し、磁気軸受50の制御モデルを再構築する。そして、制御装置80は、再構築した制御モデルにおけるゲインを演算し、その演算したゲインに合うようにフィードバックコントローラ81における制御ゲインを調整する。
【0088】
つまり、この発明においては、制御装置80は、フィードバック制御の対象である磁気軸受50に印加される負荷の大きさを推定し、その推定した大きさの負荷が磁気軸受50に印加された場合に、回転軸40が安定して回転可能な平衡位置Xに磁気軸受50のターゲット55を浮上させるように磁気軸受50をフィードバック制御するための制御モデルを再構築し、その再構築した制御モデルに合うように実際の磁気軸受50のフィードバック制御における制御パラメータを調整する。
【0089】
これにより、磁気軸受50に印加される負荷の大きさが変動しても、磁気軸受50に印加される負荷の大きさに適合したゲインなどの制御パラメータを設定して磁気軸受50を安定制御できる。
【0090】
上述したように、この発明においては、磁気軸受50が受ける負荷の大きさを推定し、その推定した負荷の大きさに応じて、制御モデルを再構築し、フィードバックコントローラ81における制御ゲインを調整することを特徴とするが、このように磁気軸受50のフィードバック制御における制御装置80を負荷の大きさに応じて変えることにした理由について図6を参照して説明する。
【0091】
図6は、磁気軸受50の制御モデルにおける一巡伝達関数を示す。なお、フィードバックコントローラ81は、回転軸40の回転停止時、すなわち、磁気軸受50に負荷が印加されないときの制御モデルに適合するように設計されている。
【0092】
図6において、縦軸は、ゲインおよび位相を示し、横軸は、周波数を示す。曲線k1は、磁気軸受50に負荷が印加されない場合のゲインの周波数依存性を示し、曲線k2は、磁気軸受50に負荷が印加された場合のゲインの周波数依存性を示し、曲線k3は、位相の周波数依存性を示す。
【0093】
磁気軸受50に負荷が印加されると、低周波数側の位相交差周波数fex1付近のゲインが大きく低下するとともに、曲線k2は、広い領域で平坦な特性(ゲインの周波数勾配がほぼ零)を持ち、周波数領域全体で殆ど安定余裕が無くなる。また、曲線k2においては、高周波領域におけるゲインが大きくなり、安定余裕を改善するために制御ゲインを上げることは、回転軸の曲げ1次モードの影響または実システムのノイズの影響により、必ずしも好ましくない。
【0094】
全体の制御ゲインを上げずに安定余裕を改善するためには、制御理論の一般的なルールにより、(A)平坦な特性の領域よりも遥かに広い周波数領域で位相を進めるコントローラを設計する、(B)積分ゲインが大きいコントローラを設計して、低周波領域における制御ゲインを上げる、の2つの方法がある。
【0095】
しかし、磁気軸受50の制御モデルにおいては、上述したように、平坦なゲイン特性により、(A)の方法では、低周波数領域のゲインが全体的に低くなるため、あまり効果がない。また、極端に広く位相を進めると、磁気軸受50の剛性が低下し、ファン30の大きな負荷に耐えられなくなる。また、(B)の方法では、平坦なゲイン特性を補償するためには、積分ゲインをかなり大きくしなければならず、その結果、位相を進める周波数領域が狭くなり、同時に位相余裕も減少する。そして、図6において、位相が−180度よりも小さくなる領域に存在する曲げの1次モードで発振し易くなったり、磁気軸受50自体の安定化が困難になるという問題が顕著になる。
【0096】
そこで、安定余裕を改善して磁気軸受50の安定制御を実現するために、上述したように、フィードバックコントローラ81を含む制御装置80を変更させることにしたものである。
【0097】
上記においては、制御装置80は、自身が出力する電流指令Irefを用いて磁気軸受50に印加される負荷の大きさを推定すると説明したが、この発明においては、制御装置80は、アンプ130が出力する平衡電流Iを受け、その受けた平衡電流Iをローパスフィルタにより処理して平均電流値を求め、その求めた平均電流値に基づいて磁気軸受50が受ける負荷の大きさを推定するようにしてもよい。アンプ130は、電流のフィードバックループを有するため、アンプ130から出力された平衡電流Iは、制御装置80へ入力される。
【0098】
また、制御装置80は、モータ駆動装置90の出力をモニタリングし、そのモニタリングした出力に基づいて、磁気軸受50が受ける負荷の大きさを推定するようにしてもよい。ファン30から印加される負荷が大きくなると、回転軸40を所定の回転数で回転させるには、その負荷の増加に応じてモータ60を駆動するためのトルクを大きくする必要がある。したがって、モータ駆動装置90からの出力が大きいことは磁気軸受50が受ける負荷が大きいを意味するので、モータ駆動装置90の出力に基づいて磁気軸受50が受ける負荷の大きさを推定可能である。
【0099】
電流指令Irefに代えてアンプ130から出力される平衡電流Iまたはモータ駆動装置90の出力を用いて磁気軸受50が受ける負荷の大きさを推定する場合、制御装置80は、上述したように、ローパスフィルタにより平衡電流Iの平均値またはモータ駆動装置90の出力の平均値を求め、その求めた平衡電流Iの平均値または出力の平均値に基づいて磁気軸受50が受ける負荷の大きさを推定する。そして、ローパスフィルタにおける時定数は、上述した範囲に設定される。
【0100】
さらに、制御装置80は、再構築した制御モデルにおけるゲインを実際に演算しなくてもよく、電流指令Iref(または平衡電流Iまたはモータ駆動装置90の出力)と制御モデルにおけるゲインとのテーブルを作成して保持し、入力された電流指令Iref(または平衡電流Iまたはモータ駆動装置90の出力)に対応するゲインに合うようにフィードバックコントローラ81における制御ゲインを調整するようにしてもよい。
【0101】
さらに、制御装置80は、図6に示す周波数依存性に基づいて、フィードバックコントローラ81における制御ゲインを調整してもよい。図6に示すように、交差周波数は、低周波数側の交差周波数fex1と高周波数側の交差周波数fex2とから成る。そこで、制御装置80は、交差周波数fex1,fex2付近の周波数成分のみをフーリエ変換で抽出し、低周波数側の周波数成分の振動および高周波数側の周波数成分の振動を検出する。
【0102】
磁気軸受50が受ける負荷が大きくなると、交差周波数fex1付近の振動が観測され、磁気軸受50が受ける負荷が小さくなると、交差周波数fex2付近の振動が観測される。
【0103】
したがって、制御装置80は、交差周波数fex1付近の振動が観測されれば、フィードバックコントローラ81における制御ゲインを一定量高く設定し、交差周波数fex2付近の振動が観測されれば、フィードバックコントローラ81における制御ゲインを一定量低く設定する。
【0104】
つまり、制御装置80は、磁気軸受50のフィードバック制御系における伝達関数の位相の周波数依存性に基づいて、磁気軸受50に印加される負荷の大きさを推定し、その推定した負荷の大きさに応じてフィードバックコントローラ81における制御ゲインを調整する。
【0105】
ここで、制御ゲインの変更方法について説明する。検出された低周波数側の周波数成分の大きさをPL、高周波数側の周波数成分をPHとし、予め決定された最適値の下限値をそれぞれPLmin,PHminとして、最適値の上限値をそれぞれPLmax,PHmaxとする。
【0106】
PLは、PHとトレードオフの関係にあり、磁気軸受50が受ける負荷が小さくなり、制御系のゲインが高くなると、PHは大きくなり、かつ、PLは小さくなる。一方、磁気軸受50が受ける負荷が大きくなり、制御系のゲインが低くなると、PLは大きくなり、かつ、PHは小さくなる。
【0107】
そこで、PL<PLminまたはPH>PHmaxの場合、制御ゲインが高すぎると判断され、制御ゲインは、予め決定された一定量だけ低くされる。また、PL>PLmaxまたはPH<PHminの場合、制御系のゲインは低すぎると判断され、制御ゲインは、予め決定された一定量だけ高くされる。
【0108】
制御装置80は、周波数成分の検出周期ごとに、上述した判断を行なうので、たとえば、PL>PLmaxが連続すれば、制御ゲインはどんどん高くなる。そこで、制御ゲインが高くなりすぎたり、低くなりすぎないようにするために、予め決定された制御ゲインの上限値および下限値に達したら、それ以上制御ゲインは変更されない。
【0109】
このように、制御装置80は、予め決定された下限値から上限値までの範囲で、検出した周波数成分の振動に応じて制御ゲインを変更する。そして、制御装置80が変更する制御ゲインの一定量は、3〜5secの間、同じ条件が連続した場合、ファン30からの負荷が磁気軸受50に印加されないときの制御ゲインの半分または2倍になる程度である。
【0110】
制御装置80は、低周波数側の周波数成分の大きさおよび高周波数側の周波数成分の大きさを検出するとき、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)のように、全ての周波数成分についてフーリエ変換を演算するのではなく、必要な周波数成分についてのみフーリエ変換を演算する。つまり、制御装置80は、畳み込み演算を行なう。
【0111】
磁気軸受50に印加される負荷の変動は、制御周期よりも十分に遅いため、制御装置80は、制御周期ごとに1回の畳み込み演算を行なうことにより、演算時間の短縮とメモリの節約が可能となる。
【0112】
そして、制御装置80は、データ長=対象周波数における周期の整数倍/制御周期を満たすデータ長を有するデータについてフーリエ変換を行ない、周波数成分の振動を検出する。これにより、対象周波数によって、制御ゲインの更新時期が異なるが、異なる周波数における周波数成分の大きさの評価を等しくすることができる。
【0113】
たとえば、回転軸40が10Hzと50Hzで回転中の場合、制御装置80が回転1周期分のデータを取り込むために必要な時間は異なる。したがって、回転の周波数に拘わらず、データを取り込むための時間を一定にすると、低周波数側におけるデータは、高周波数側のデータに比べ、少なくなる。その結果、低周波数側の周波数成分は、高周波数側の周波数成分に比べ、少ないデータ量に基づいて評価されることになる。このような事態を回避し、各周波数において、少なくとも1回転分のデータが取り込まれるようにするため、制御装置80は、データ長=対象周波数における周期の整数倍/制御周期を満たすデータ長を有するデータについてフーリエ変換を演算することにしたものである。
【0114】
なお、制御装置80は、低周波数側の周波数成分および高周波数側の周波数成分のうち、いずれか一方の周波数成分が一定になるように制御ゲインを調整してもよい。
【0115】
このように、制御装置80は、図6に示す周波数依存性に基づいて、低周波数側の周波数成分および高周波数側の周波数成分についてフーリエ変換を演算して低周波数側の周波数成分の振動または高周波数側の周波数成分を検出し、その検出した周波数成分の振動に応じてフィードバックコントローラ81における制御ゲインを調整する。
【0116】
この場合、制御装置80が低周波数側の周波数成分の振動または高周波数側の周波数成分の振動を検出することは、磁気軸受50が受ける負荷の大きさを推定することに相当する。
【0117】
したがって、周波数成分の振動に応じて制御ゲインを調整する制御は、磁気軸受50が受ける負荷の大きさを推定し、その推定した負荷の大きさに応じて制御ゲインを調整することに含まれる概念である。
【0118】
図7を参照して、制御ゲインを調整する制御装置80の動作について説明する。制御ゲインを調整する動作が開始されると、制御装置80は、自身が出力した電流指令Irefをローパスフィルタにより処理して電流指令Irefの平均電流値を演算し、その演算した平均電流値に基づいて磁気軸受50に印加される負荷の大きさを推定する(ステップS10)。
【0119】
その後、制御装置80は、推定した負荷の大きさに応じて、磁気軸受50のフィードバック制御における制御モデルの伝達関数のパラメータ(式(3)のパラメータ)を変更する(ステップS20)。そして、制御装置80は、磁気軸受50のフィードバック制御における制御モデルを、変更したパラメータを反映した制御モデルに変更する(ステップS30)。
【0120】
そうすると、制御装置80は、変更した制御モデルにおけるゲインなどの制御パラメータを演算し(ステップS40)、その演算したゲインなどのコントローラパラメータをフィードバックコントローラ81に設定する。そして、制御装置80は、調整した制御パラメータを用いて磁気軸受50のフィードバック制御を行なう(ステップS50)。これにより、制御パラメータを調整する動作は終了する。
【0121】
この発明による磁気軸受装置のブロック図は、図8に示すブロック図であってもよい。図8に示すブロック図は、図5に示すブロック図の制御装置80を制御装置80Aに代え、オブザーバ150を追加したものであり、その他は、図5に示すブロック図と同じである。
【0122】
図8を参照して、オブザーバ150は、磁気軸受50に負荷が印加されていないときの参照モデルに基づいて構成されている。そして、オブザーバ150は、制御装置80Aの状態フィードバックゲイン82から出力される電流指令Irefと、位置センサー110から出力される位置xとを受け、その受けた電流指令Irefおよび位置xに基づいて、磁気軸受50のフィードバック制御における外乱を推定する。すなわち、オブザーバ150は、少なくとも速度とステップ状の外乱を推定可能なオブザーバである。
【0123】
そして、オブザーバ150は、推定した外乱に基づいて参照モデルを変更し、その変更した参照モデルにおける状態変数を推定する。ここで、オブザーバ150が参照モデルを変更することにしたのは、外乱に応じて参照モデルを変更しない場合、オブザーバ150が推定する状態変数の推定誤差が増大してしまい、実際の制御モデルに適合したフィードバック制御を行なえなくなるからである。
【0124】
オブザーバ150は、最終的に、推定した状態変数を制御装置80Aの状態フィードバックゲイン82へ出力する。
【0125】
制御装置80Aは、状態フィードバックゲイン82を含む。そして、状態フィードバックゲイン82は、オブザーバ150が推定した状態変数に対応するゲインに適合するように制御ゲインを調整する。そして、制御装置80Aは、調整した制御ゲインを用いて、磁気軸受50のフィードバック制御を行なう。
【0126】
その他は、上述したとおりである。
このように、オブザーバ150と状態フィードバックゲイン82とを用いても、磁気軸受50に印加される負荷の大きさに応じて、制御モデルまたは制御ゲインを変更して磁気軸受50の安定制御を実現することができる。
【0127】
制御ゲインを調整する制御装置80Aの動作も、図7に示すフローチャートに従って実行される。
【0128】
なお、制御装置80,80Aにおける制御ゲインの調整は、実際にはCPU(Central Processing Unit)によって行なわれ、CPUは、図7に示すフローチャートの各ステップを備えるプログラムをROM(Read Only Memory)から読出し、その読出したプログラムを実行して図7に示すフローチャートに従って磁気軸受50に印加される負荷の大きさを推定し、その推定した負荷の大きさに応じて制御ゲインを調整する。したがって、ROMは、図7に示すフローチャートの各ステップを備えるプログラムを記録したコンピュータ(CPU)読取り可能な記録媒体に相当する。
【0129】
また、図7に示すステップS10における負荷の大きさの推定は、電流指令Irefに限らず、アンプ130が出力する平衡電流Iまたはモータ駆動装置90の出力に基づいて行なわれてもよい。
【0130】
さらに、図7に示すステップS10における負荷の大きさの推定は、磁気軸受50のフィードバック制御における一巡伝達関数における低周波数側の周波数成分の大きさまたは高周波数側の周波数成分の大きさを検出することによって行なわれてもよい。そして、低周波数側の周波数成分の大きさまたは高周波数側の周波数成分の大きさが検出される場合、フーリエ変換は、データ長=対象周波数における周期の整数倍/制御周期を満たすデータ長を有するデータに基づいて演算される。
【0131】
さらに、図7に示すステップS20,S30,S40の動作は、上述したオブザーバおよび状態フィードバックゲインにより行なわれてもよい。
【0132】
さらに、回転軸40、磁気軸受50、モータ60および制御装置80は、「磁気軸受装置」を構成する。
【0133】
さらに、回転軸40、磁気軸受50、モータ60、オブザーバ150および制御装置80Aは、「磁気軸受装置」を構成する。
【0134】
実施の形態1によれば、磁気軸受装置は、磁気軸受が受ける負荷の大きさを推定し、その推定した負荷の大きさに応じて、回転軸を安定浮上するように磁気軸受をフィードバック制御する際の制御パラメータを調整する制御装置を備えるので、磁気軸受に印加される負荷の大きさが変動しても磁気軸受を安定して制御できる。
【0135】
[実施の形態2]
図9は、実施の形態2による磁気軸受装置のブロック図を示す。図9に示すブロック図は、図5に示すブロック図の制御装置80を制御装置80Bに代えたものであり、その他は、図5に示すブロック図と同じである。
【0136】
制御装置80Bは、上述した制御装置80の機能に追加して、磁気軸受50に印加される負荷の方向を検出し、その検出した負荷の方向と反対方向に回転軸40を移動させるように磁気軸受50を制御する機能を備える。
【0137】
磁気軸受50を構成する電磁石51〜54は、図2および図3に示すように直交座標を構成するように配置されるので、電磁石51〜54の各々に流れる電流によりそれぞれの座標軸において正方向および負方向のいずれの方向に負荷が印加されているかを検出し、その検出した2つの方向を合成することによりファン30から磁気軸受50に印加される負荷の方向を検出することができる。
【0138】
再び、図3を参照して、負荷の方向を検出する方法について説明する。電磁石51は、電磁石52と対になり、電磁石53は、電磁石54と対になっている。そして、電磁石52に流れる電流が電磁石51に流れる電流よりも大きい場合、電磁石51,52が配置された方向の正方向に負荷が印加されていることになり、電磁石53に流れる電流が電磁石54に流れる電流よりも大きい場合、電磁石53,54が配置された方向の正方向に負荷が印加されていることになる。
【0139】
したがって、電磁石対を成す電磁石51,52間における電流の差を検出することにより電磁石51,52が配置された方向の正方向および負方向のいずれの方向に負荷が印加されているかを検出でき、電磁石対を成す電磁石53,54間における電流の差を検出することにより電磁石53,54が配置された方向の正方向および負方向のいずれの方向に負荷が印加されているかを検出できる。
【0140】
電磁石51〜54に流れる電流は、制御装置80Bが電磁石51〜54に流そうとする電流指令Iref1,Iref2,Iref3,Iref4に等しい。したがって、制御装置80Bは、自身が出力する電流指令Iref1と電流指令Iref2との差を演算して電磁石51,52が配置された方向の正方向および負方向のいずれの方向に負荷が印加されているかを検出し、自身が出力する電流指令Iref3と電流指令Iref4との差を演算して電磁石53,54が配置された方向の正方向および負方向のいずれの方向に負荷が印加されているかを検出する。なお、電流指令Iref1と電流指令Iref2との差および電流指令Iref3と電流指令Iref4との差は、ローパスフィルタにより処理した電流指令を用いて演算される。
【0141】
制御装置80Bは、負荷の方向を検出すると、その検出した負荷の方向と反対方向へ回転軸40を移動させるように磁気軸受50を制御する。図10を参照して、ファン30からの負荷Ffの方向が鉛直方向であると検出されると、制御装置80Bは、回転軸40の中心を点C1から点C2まで距離Δだけ移動させるように磁気軸受50を制御する。
【0142】
回転軸40の中心が距離Δだけステータ61,62側に移動した場合、ステータ61,62からの吸引力は次式により表わされる。
【0143】
【数4】
【0144】
そして、吸引力Fmは、ファン30からの負荷Ffと一部相殺され、磁気軸受50に印加される負荷が減少する。つまり、制御モデルの変化が低減される。
【0145】
なお、回転軸40を移動させる距離Δは、ロータ63がステータ61,62に接触しない範囲であり、ステータ61,62とロータ63とのギャップの4分の1を目安にする。
【0146】
このように、実施の形態2においては、磁気軸受50に印加される負荷の方向を検出し、その検出した負荷の方向と反対方向へ回転軸40を移動させることによりモータ60のステータ61,62からの吸引力Fmをファン30からの負荷Ffと一部相殺させて磁気軸受50に印加される負荷を減少することを特徴とする。
【0147】
ファン30の停止時、すなわち、ファン30からの負荷が磁気軸受50に印加されない場合に電磁石51〜54に流す電流をI0とし、ファン30が回転しているときに電磁石51〜54に流す電流をILとすると、ファン30から磁気軸受50に印加される負荷Ffは、次式により表わされる。
【0148】
【数5】
【0149】
したがって、制御装置80Bは、式(5)に基づいてファン30からの負荷Ffを演算し、その演算した負荷Ffの大きさに応じて、回転軸40の中心を負荷Ffの方向と反対方向に移動させる距離Δを決定してもよい。これにより、負荷Ffが大きくなれば、距離Δが増加し、モータ60の吸引力Fm(Δ)が増加するので、負荷Ffが吸引力Fm(Δ)により相殺される量が増加する。その結果、負荷Ffが変化しても制御モデルの変化は小さくなる。
【0150】
負荷Ffの方向と反対方向に回転軸40を移動させた後、実施の形態1における負荷Ffの大きさに応じた制御モデルやそれに基づく制御パラメータの変更を行ない、磁気軸上50の安定制御を行なう。
【0151】
図11を参照して、制御パラメータを調整する制御装置80Bの動作について説明する。図11に示すフローチャートは、図7に示すフローチャートのステップS10をステップS11〜S13に代えたものであり、その他は、図7に示すフローチャートと同じである。
【0152】
制御パラメータを調整する動作が開始されると、制御装置80Bは、自身が出力する電流指令Iref1,Iref2,Iref3,Iref4に基づいて、磁気軸受50に印加される負荷の方向を検出する(ステップS11)。そして、制御装置80Bは、検出した負荷の方向と反対方向へ回転軸40を距離Δだけ移動させるように磁気軸受50を制御する(ステップS12)。
【0153】
回転軸40が負荷の方向と反対方向へ移動されると、制御装置80Bは、自身が出力する電流指令Irefに基づいて、磁気軸受50に印加される負荷の大きさを検出する(ステップS13)。そして、上述したステップS20,S30,S40,S50,S60が実行されて実施の形態2における制御パラメータを調整する動作が終了する。
【0154】
なお、ステップS11,S12の動作は、検出した負荷による制御モデルの変化を低減するように磁気軸受50を制御することに相当する。
【0155】
制御装置80Bは、少なくともステップS11〜S13を実行する制御装置であればよい。すなわち、制御装置80Bは、磁気軸受50に印加される負荷の方向を検出し、その検出した負荷の方向と反対方向へ回転軸40を移動させるように磁気軸受50を制御する制御装置であればよい。
【0156】
なお、制御装置80Bにおける制御ゲインの調整は、実際にはCPUによって行なわれ、CPUは、図11に示すフローチャートの各ステップを備えるプログラムをROMから読出し、その読出したプログラムを実行して図11に示すフローチャートに従って磁気軸受50に印加される負荷の方向を検出し、その検出した負荷の方向と反対方向へ回転軸40を移動させ、制御モデルの変化を低減して負荷の大きさに応じて制御ゲインを調整する。したがって、ROMは、図11に示すフローチャートの各ステップを備えるプログラムを記録したコンピュータ(CPU)読取り可能な記録媒体に相当する。
【0157】
また、回転軸40、磁気軸受50、モータ60および制御装置80Bは、「磁気軸受装置」を構成する。
【0158】
さらに、負荷の方向が既知の場合、予め決められた方向に回転軸40を移動させてもよい。
【0159】
実施の形態2によれば、磁気軸受装置は、磁気軸受が受ける負荷の方向を検出し、その検出した負荷の方向と反対方向へ回転軸を移動させて制御モデルの変化が小さくなるように磁気軸受を制御する制御装置を備えるので、磁気軸受に印加される負荷の大きさが変動しても磁気軸受を安定して制御できる。また、磁気軸受の能力を見かけ上、高めることができる。
【0160】
[実施の形態3]
図12は、実施の形態3による磁気軸受装置のブロック図を示す。図12に示すブロック図は、図5に示すブロック図の磁気軸受50を磁気軸受50Aに代えたものであり、その他は図5に示すブロック図と同じである。
【0161】
磁気軸受50Aは、自身に印加される最大の負荷を均等に受ける磁気軸受である。
【0162】
図13を参照して、チャンバー10内に設置されたファン30が矢印11の方向に回転した場合、ファン30が磁気軸受50に印加する負荷Ffの方向は、矢印12で示す方向になる。そして、ファン30が横流ファンの場合、負荷Ffの方向は、ファン30の回転数またはチャンバー10内のガス圧力によって殆ど変化せず、チャンバー10またはファン30の羽根形状等によってほぼ一定の方向に決定される。
【0163】
したがって、ファン30からの負荷Ffと重力mgとの合力が、1つの電磁石対が配置された方向ともう1つの電磁石対が配置された方向とに均等に印加されるように4つの電磁石の配置位置が調整される。
【0164】
すなわち、図14を参照して、磁気軸受50Aは、電磁石51A〜54Aと、ターゲット55とから成る。回転軸40は、重力mgを鉛直方向に受ける。また、負荷Ffが矢印12で示す方向に印加される。そして、重力mgと負荷Ffとの合力Fs1が、電磁石53A,54Aが配置される方向の負荷F1と電磁石51A,52Aが配置される方向の負荷F2との合力Fs2と釣り合うように電磁石51A〜54Aを配置する。
【0165】
この場合、負荷Ffは、ファン30から磁気軸受50Aに印加される最大の負荷である。したがって、合力Fs1も最大になり、電磁石51A〜54Aは、磁気軸受50Aに印加される最大の負荷を均等に受けるように配置される。
【0166】
図15を参照して、重力mgの方向を通常の直交座標のy軸方向に取り、そのy軸に直交する方向をx軸方向とする。そうすると、負荷F1が印加される方向、つまり、電磁石53A,54Aが配置される方向は、y軸方向と角度θをなす。そして、この発明においては、角度θは、0〜45度の範囲である。
【0167】
このように、実施の形態3においては、磁気軸受50Aに印加される最大の負荷が2つの電磁石対に均等に印加されるように電磁石51A〜54Aを配置することを特徴とする。これにより、磁気軸受の制御モデルの変化を最小にできる。
【0168】
そして、負荷が均等に印加されるように電磁石51A〜54Aを配置した後、実施の形態1を適用して磁気軸受50Aに印加される負荷の大きさを推定し、その推定した負荷の大きさに応じて、磁気軸受50Aの制御モデルを変更して、それに基づく制御パラメータを調整するようにしてもよい。
【0169】
実施の形態3によれば、磁気軸受装置は、印加される最大の負荷を均等に受ける電磁石を有する磁気軸受を備えるので、磁気軸受の制御モデルの変化を最小にできる。
【0170】
上述した実施の形態2および3は、磁気軸受に印加される負荷による磁気軸受の制御モデルの変化を小さくする手段である。したがって、この発明による磁気軸受装置は、磁気軸受に印加される負荷による磁気軸受の制御モデルの変化を小さくする手段を備える磁気軸受装置であれば、どのような磁気軸受装置であってもよい。
【0171】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1による磁気軸受装置を備えるエキシマレーザ用貫流ファンの断面構造図である。
【図2】図1に示す磁気軸受の配置方法を説明するための図である。
【図3】図1に示す磁気軸受の配置方法を説明するための他の図である。
【図4】図1に示すエキシマレーザ用貫流ファンの一部を示す断面図である。
【図5】実施の形態1による磁気軸受装置のブロック図である。
【図6】図1に示す磁気軸受の制御モデルにおける一巡伝達関数の周波数依存性を示す図である。
【図7】実施の形態1における制御パラメータを調整する動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】実施の形態1による磁気軸受装置の他のブロック図である。
【図9】実施の形態2による磁気軸受装置のブロック図である。
【図10】回転軸の移動を説明するための断面図である。
【図11】実施の形態2における制御パラメータを調整する動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】実施の形態3による磁気軸受装置のブロック図である。
【図13】図1に示すチャンバーにおける断面図である。
【図14】図12に示す磁気軸受を説明するための図である。
【図15】図14に示す4つの電磁石の配置位置を説明するための図である。
【符号の説明】
10 チャンバー、11,12 矢印、20 ラジエータ、30 ファン、40 回転軸、50,50A,70 磁気軸受、51〜54,51A〜54A,71,92 電磁石、55,73 ターゲット、60 モータ、61,62 ステータ、63 ロータ、80,80A,80B,80C 制御装置、81 フィードバックコントローラ、82 状態フィードバックゲイン、90 モータ駆動装置、100 エキシマレーザ用貫流ファン、110 位置センサー、120 減算器、130 アンプ、140 回転体、150 オブザーバ、511,521,611,612,621,622 コイル。
Claims (25)
- ガス圧が変化するチャンバ内で回転数が変化するファンが取付けられた回転軸と、
前記回転軸を回転駆動するモータと、
前記回転軸を保持する磁気軸受と、
前記磁気軸受が受ける負荷に応じて、前記ファンを安定性良く回転させる位置に前記回転軸を保持するためのフィードバック制御におけるパラメータを変更する制御手段とを備える磁気軸受装置。 - 前記磁気軸受は、前記回転軸を所定の位置に保持するための電磁石を含み、
前記制御手段は、前記電磁石を構成するコイルに流すコイル電流、またはコイル電流指令に基づいて前記負荷を検出し、その検出した負荷に応じて前記パラメータを変更する、請求項1に記載の磁気軸受装置。 - 前記制御手段は、前記コイル電流または前記コイル電流指令をローパスフィルタにより処理して前記コイル電流または前記コイル電流指令の平均値を検出し、その検出した平均値に基づいて前記負荷を検出し、
前記ローパスフィルタの時定数は、前記回転軸の回転周期よりも大きい、請求項2に記載の磁気軸受装置。 - 少なくとも速度とステップ状の負荷とを推定可能なオブザーバをさらに備え、
前記制御手段は、状態フィードバックゲインを含み、
前記オブザーバは、前記負荷の変動に応じて自己が保持する参照モデルを変更して状態変数を推定し、
前記状態フィードバックゲインは、前記オブザーバが推定した状態変数に基づいて前記ゲインを変更する、請求項1に記載の磁気軸受装置。 - 前記制御手段は、前記モータを駆動するモータ駆動装置の出力に基づいて前記負荷を検出し、その検出した負荷に応じて前記パラメータを変更する、請求項1に記載の磁気軸受装置。
- 前記制御手段は、前記フィードバック制御における一巡伝達関数における交差周波数付近の周波数成分の大きさを検出し、その検出した周波数成分のうち低周波数側の周波数成分の大きさが大きくなったとき前記ゲインを一定量大きくし、前記検出した周波数成分のうち高周波数側の周波数成分の大きさが大きくなったとき前記ゲインを一定量小さくする、請求項1に記載の磁気軸受装置。
- 前記制御手段は、フーリエ変換理論に基づいて、対象とする周波数成分のみを畳み込んで計算することにより前記周波数成分の大きさを検出する、請求項6に記載の磁気軸受装置。
- 前記制御手段は、前記周波数成分の畳み込み計算を制御周期ごとに計算し、
前記フーリエ変換されるデータのデータ長は、データ長=対象周波数における周期の整数倍/制御周期を満たす、請求項7に記載の磁気軸受装置。 - 前記制御手段は、前記回転軸に印加される負荷による制御モデルの変化を低減させるように前記磁気軸受をさらに制御し、前記変化が低減された制御モデルに基づいて前記パラメータを変更する、請求項1に記載の磁気軸受装置。
- 前記磁気軸受は、複数の磁気軸受対からなり、
前記制御手段は、前記複数の磁気軸受対に流れる複数の電流、または複数の電流指令に基づいて前記回転軸に印加される負荷の方向を検出し、その検出した負荷の方向と反対方向へ前記回転軸の浮上位置を変える、請求項9に記載の磁気軸受装置。 - 前記制御手段は、前記複数の磁気軸受対に対応し、前記磁気軸受対ごとに印加される複数の力を検出し、その検出した複数の力を合成して前記付加の方向を検出する、請求項10に記載の磁気軸受装置。
- 前記磁気軸受は、複数の磁気軸受対からなり、
前記複数の磁気軸受対は、前記回転軸の重力による負荷と前記ファンによる最大負荷との合力を均等に受ける位置に配置される、請求項9に記載の磁気軸受装置。 - ガス圧が変化するチャンバ内で回転数が変化するファンが取付けられた回転軸を前記ファンが安定性良く回転する位置に保持するように磁気軸受のフィードバック制御をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記磁気軸受が受ける負荷を検出する第1のステップと、
前記検出した負荷に応じて前記フィードバック制御におけるパラメータを変更する第2のステップと、
前記変更したパラメータを用いて前記フィードバック制御を行なう第3のステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。 - 前記磁気軸受は、前記回転軸を所定の位置に保持するための電磁石を含み、
前記第1のステップは、前記電磁石を構成するコイルに流すコイル電流、またはコイル電流指令に基づいて前記負荷を検出する、請求項13に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。 - 前記第1のステップは、前記コイル電流をローパスフィルタにより処理して前記コイル電流の平均値を検出し、その検出した平均値に基づいて前記負荷を検出し、
前記ローパスフィルタの時定数は、前記回転軸の回転周期よりも大きい、請求項14に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。 - 前記第2のステップは、
少なくとも速度とステップ状の負荷とを推定可能なオブザーバにより前記負荷の変動に応じて前記オブザーバの参照モデルを変更して状態変数を推定する第1のサブステップと、
状態フィードバックゲインにより前記オブザーバが推定した状態変数に基づいて前記ゲインを変更する第2のサブステップとを含む、請求項13に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。 - 前記第1のステップは、前記モータを駆動するモータ駆動装置の出力に基づいて前記負荷を検出する、請求項13に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
- 前記第1のステップは、前記フィードバック制御における一巡伝達関数における交差周波数付近の周波数成分の大きさを検出し、
前記第2のステップは、前記検出した周波数成分のうち低周波数側の周波数成分の大きさが大きくなったとき前記ゲインを一定量大きくし、前記検出した周波数成分のうち高周波数側の周波数成分の大きさが大きくなったとき前記ゲインを一定量小さくする、請求項13に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。 - 前記第1のステップは、フーリエ変換理論に基づいて、対象とする周波数成分のみを畳み込んで計算することにより前記周波数成分の大きさを検出する、請求項18に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
- 前記第1のステップは、データ長=対象周波数における周期の整数倍/制御周期を満たすデータ長を有するデータに基づいて前記周波数成分の畳み込み計算を制御周期ごとに計算する、請求項19に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
- 前記検出した負荷による制御モデルの変化を低減するように前記磁気軸受を制御する第4のステップをさらにコンピュータに実行させ、
前記第2のステップは、前記変化が低減された制御モデルに基づいて前記ゲインを変更する、請求項13に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。 - 前記磁気軸受は、複数の磁気軸受対からなり、
前記第4のステップは、
前記複数の磁気軸受対に流れる複数の電流、または複数の電流指令に基づいて前記回転軸に印加される負荷の方向を検出する第1のサブステップと、
前記検出した負荷の方向と反対方向へ前記回転軸の浮上位置を変える第2のサブステップとを含む、請求項21に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。 - 前記第1のサブステップは、
前記複数の磁気軸受対に対応し、前記磁気軸受対ごとに印加される複数の力を検出するステップと、
前記検出した複数の力を合成して前記負荷の方向を検出するステップとを含む、請求項22に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。 - 請求項13から請求項23のいずれか1項に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
- 請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の磁気軸受装置を備えるエキシマレーザ用貫流ファン装置。
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Legal Events
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