【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、輪転印刷機の版胴に係り、特にグラビア印刷する凹版印刷機などに好適な版胴および輪転印刷機に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、グラビア印刷は、一般に輪転式の凹版印刷機によって行なわれている。凹版印刷機の版は、周知のように網点と呼ばれる微小な凹部によって画線を形成している。従来の輪転式凹版印刷機の版を構成している版胴は、図10のような構造となっている。
【0003】
図10において、版胴10は多層構造をなしていて、円筒状の版胴本体(シリンダ本体)12が鋼板によって形成してある。そして、版胴本体12の周面(表面)には、ニッケルメッキ層14を介して厚い銅メッキ層16が設けてある。銅メッキ層16は、画線形成層となっていて電気メッキによって形成され、80〜130μm程度の厚さを有しており、画線が多数の網点と呼ばれる凹部によって形成されている。画線を形成する網点は、物理的または化学的な方法による微細加工によって形成される。また、画線を形成した銅メッキ層16の上には、印刷時の耐久性を高めるため、銅メッキ層16より大きな硬度を有する硬質ニッケルクロム層(またはクロム層)18が設けてある。この硬質ニッケルクロム層18は、電気メッキによって形成され、ビッカース硬さでHv1000程度の硬度を有する。
【0004】
印刷物の色の濃さは、階調と呼ばれており、おおむね「シャドウ」、「中間シャドウ」、「ライト」、「ハイライト」、「キャッチライト」の5段階に分かれている。この階調は、版胴10から印刷物に転移するインキの量を制御して実現される。そして、インキの量を制御する方法として、版胴10に設けた凹部(網点)の開口面積を調整する方法、深さを調整する方法、両方を調整する方法がある。図11は、凹部の深さによって階調を制御する網点の例を示したものである。
【0005】
図11に示した網点20(20a〜20c)は、エッチングによるコンベンショナル法と呼ばれる製版方法により形成した網点の模式図であって、(a)がシャドウ、(b)が中間シャドウ、(c)がライトに対応している。また、これらは、上段が断面図を示し、下段が展開した平面図を示している。図11(a)のシャドウの網点20aは、深さが30〜40μmである。また、同図(c)のライトの網点20cは、深さが4〜5μmとなっている。さらに、本図に図示しないキャッチライトの網点は、深さが1〜1.5μmとなっている。そして、コンベンショナル法による各網点20の開口の大きさは一定であって、網点20の中心間隔が15〜20μm程度である。
【0006】
ところで、前記したように、凹版印刷用の版胴10は、銅メッキ層16に網点20を微細加工して画線を形成したのち、電気メッキによって表面を硬質ニッケルクロム層(またはクロム層)18によって覆っている。この際、銅メッキ層16を微細加工して形成した画線を、硬質ニッケルクロム層18の表面に正確に再現する必要がある。しかし、この画線の正確な再現は、非常に高度な技術を必要とし、実際には困難である。その原因は種々あるが、原因の1つとして、電気は金属の突起状の部分や角部に電界が集中して電流が多く流れる性質を有することによる。このため、微細加工した銅メッキ層16の表面に電気メッキを施すと、均一なメッキ層を形成することができず、図12に示したように、銅メッキ層16の突起部や角部に硬質ニッケルクロム層18が厚く付着する。また、電気メッキされた硬質ニッケルクロム層18は、厚さが場所によって10μm近くにもなる。このため、深さが1〜1.5μmしかないキャッチライトの場合、図13に示したように、網点20dの深さが硬質ニッケルクロム層18の膜厚のばらつきの範囲内となり、凹部が硬質ニッケルクロム層18によって埋められてしまう場合がある。そこで、本願出願人は、画線を形成した銅メッキ層16の表面をプラズマ窒化処理して窒化層を形成し、形成した画線をそのまま印刷できるようにした(特許文献1)。
【0007】
上記のように網点20によって画線を形成した版胴10を用いて印刷する凹版輪転印刷機は、版胴10の表面に付着した不要なインキをドクターブレードと称するインキナイフによって掻き取り、網点20の内部に残存したインキを印刷紙などに転移して印刷するようになっている。このドクターブレードは、一般に鋼またはステンレス鋼によって形成してある(例えば、特許文献2)。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−337841号公報
【特許文献2】
特開平7−276601号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、凹版輪転印刷機においては、版胴10の表面に付着した不要なインキをドクターブレードによって掻き取るようにしている。このため、従来の銅メッキ層16の表面に硬質クロム層18を設けた版胴10は、ドクターブレードが鋼やステンレスから形成してあるため、版胴10とドクターブレードとの間で凝着が生じやすく、印刷中に異音を発生する。また、版胴10とドクターブレードとの間に凝着が生ずるため、版胴10を回転させるための動力が増大するとともに、版胴10およびドクターブレードの磨耗が促進され、これらの寿命が短くなる。そして、硬質ニッケルクロム層18は、硬度の限界がビッカース硬さでHv1000程度までであり、より硬度の大きな耐磨耗性、耐久性に対する要求に応ずることができない。
【0010】
ところで、現在、印刷インキは、ほとんどが有機溶媒を用いた油性インキである。油性インキは、有機溶媒が人体に有害であるばかりでなく可燃性であり、取り扱いに充分な注意を必要とする。また、油性インキを使用して印刷した場合、印刷機の洗浄に有機溶媒を使用する必要があり、環境に与える負荷も大きい。このため、溶媒が水である水性インキの使用が望まれるが、水は表面張力が大きくて濡れ拡がりにくいため、版胴10とドクターブレードとが直接接触して凝着が生じる。このため、現状の輪転印刷機においては、水性インキを使用することができない。さらに、従来の版胴とドクターブレードとを用いた輪転印刷機は、表面が表面自由エネルギーの大きな金属によって形成してあるため、版胴表面の不要なインキを充分に掻き取ることが困難で、印刷面が汚れたり、印刷機の洗浄間隔を短くする必要がある。
これらの問題点は、特許文献1に記載されている版胴についても基本的に解決することができない。
【0011】
本発明は、前記従来技術の欠点を解消するためになされたもので、耐久性に優れ、画線形成層に形成した画線を、画線形成層の上に設けた耐磨耗層に高精度で再現できるようにすることを目的としている。
また、本発明は、版胴とドクターブレードとの間の凝着を防止することを目的としている。
そして、本発明は、水性インキを使用できるようにすることを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係る版胴は、円筒状をなす版胴本体と、この版胴本体の周面に設けられて画線が形成された画線形成層と、この画線形成層を覆って蒸着により形成され、前記画線形成層より大きな硬度を有する耐磨耗層とを有することを特徴としている。耐磨耗層は、真空蒸着やスパッタリング、イオンプレーティングなどの物理蒸着(PVD)、熱分解CVDやプラズマCVDなどの化学蒸着(CVD)によって形成することができる。また、耐磨耗層は、ダイヤモンドライクカーボン層であってよい。また、画線形成層とダイヤモンドライクカーボン層との間には、ダイヤモンドライクカーボン層の接合力を向上させる中間層を設けることが望ましい。
【0013】
そして、本発明に係る輪転印刷機は、線画が形成された円筒状の版胴と、この版胴の表面に付着したインキを掻き取るドクターブレードとを有し、このドクターブレードのインキ掻き取り側表面と前記版胴の表面とに同種の非金属層が設けてあることを特徴としている。
非金属層は、母材より大きな硬度を有していることが望ましい。また、非金属層は、摩擦係数が母材より小さいことが望ましい。そして、非金属層は、ダイヤモンドライクカーボン層によって形成することができる。
【0014】
【作用】
蒸着は、一般に真空中において成膜用物質を気相状態にし、これを基板に衝突させて堆積することにより薄膜を形成する。そして、気相状態の成膜用物質の微粒子は、基板にほぼ垂直に入射し、微粒子の流れと直交した方向の面にはほとんど膜が形成されない。従って、画線形成層を設けた版胴本体を回転させつつ硬度の大きな耐磨耗層を蒸着することにより、網点の凹部壁面に耐磨耗層の膜が形成されず、突起部や角部に厚く膜が堆積されるようなことがなく、耐久性に優れるとともに、画線形成層に形成した画線を耐磨耗層に高精度に再現することができる。
【0015】
ダイヤモンドライクカーボン(DLC)は、ビッカース硬さでHv5000程度までのものを蒸着により任意に形成することができ、従来の硬質ニッケルクロム層(またはクロム層)より硬度の大きなものが容易に得られる。従って、画線形成層の上にDLC層を設けることにより、耐磨耗性がより大きくなって耐久性を大幅に向上することができる。そして、画線形成層とDLC層との間に中間層を設けることにより、炭素(C)を含むDLC層の接合力が増大してDLC層の剥離などを防止することができる。
【0016】
また、本発明に係る輪転印刷機は、ドクターブレードのインキ掻き取り側表面と前記版胴の表面とに同種の非金属層が設けてあるため、両者の表面エネルギーが金属より小さくなり、両者間の凝着を確実に防止することができる。そして、版胴の表面を非金属層によって覆うことにより、表面エネルギーが小さくなるため、ドクターブレードによるインクの掻き取りが容易、確実に行なうことができる。また、非金属層を母材より硬度の大きな部材によって形成すると、耐磨耗性が大きくなって耐久性を向上することができる。さらに、非金属層を母材より摩擦係数の小さな部材によって形成することにより、潤滑性が良好となって磨耗をより小さくでき、耐久性が向上するとともに、ドクターブレードによるインキの掻き取り性能も向上する。そして、非金属層をDLCによって形成すると、DLCは、表面の平滑性に優れているばかりでなく、摩擦係数が0.1以下であって非常に潤滑性に富んでおり、表面自由エネルギーが小さいために版胴表面へのインキの付着が少なく、ドクターブレードによるインキを良好に掻き取ることができるばかりでなく、水性インキの使用が可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明に係る版胴および輪転印刷機の好ましい実施の形態を、添付図面に従って詳細に説明する。
図1は、本発明に係る版胴の一部断面図である。図1において、版胴30は、鋼板から形成した円筒状の版胴本体32を有する。そして、版胴本体32の周面(表面)には、ニッケルメッキ層34を介して銅メッキ層36が設けてある。ニッケルメッキ層34は、版胴本体32への銅メッキ層36の接着性を向上させる下地であって、電気メッキにより2〜4μmの厚さに形成してある。また、銅メッキ層36は、画線形成層を構成していて、電気メッキにより80〜130μmの厚さに形成してある。そして、銅メッキ層36には、彫刻法などの物理的方法により、またはエッチングなどの化学的方法によって多数の網点(凹部)が微細加工してあって、これらの網点からなる画線(図示せず)が形成してある。
【0018】
画線を形成した銅メッキ層36の表面には、中間層38が設けてあり、この中間層38の上に非金属の耐磨耗層であるダイヤモンドライクカーボン(DLC)層40が形成してある。中間層38は、DLC層40の母材となる銅メッキ層36への接合力(接着力)を高めるために形成したものである。この中間層38は、実施形態の場合、電気メッキによって形成した薄い、例えば厚さ1〜2μm以下のニッケル層からなっている。もちろん、中間層38は、銅メッキ層36の表面をハロゲンなどによって改質して形成してもよい。また、中間層38は、スパッタリングやCVDなどによって形成してもよい。さらに、中間層38は、例えばチタン(Ti)とケイ素(Si)との2層構造などの多層構造であってもよい。
【0019】
DLC層40は、銅メッキ層36を保護し、耐磨耗性を大きくして耐久性を向上させるために設けたもので、ビッカース硬さがHv1000以上、望ましくはHv3000以上の硬度を有するように形成する。このDLC層40は、版胴30の充分な耐久性が得られる厚さを有している。そして、DLC層40は、例えば図2に示したCVD成膜装置によって形成されるが、これに限定されるものではない。
【0020】
図2に示した成膜装置50は、真空容器52を備えていて、この真空容器52内の下部にリフレクタ54が設けてある。リフレクタ54は、例えば円筒状に形成してあって、上端部が開放された照射口56となっている。また、リフレクタ54は、下端部にガス導入口58が設けてある。そして、リフレクタ54の内部には、ガス導入口58を介してメタンやエチレンなどの炭化水素からなる原料ガス60が導入される。
【0021】
リフレクタ54の内部下部には、導入された原料ガス60を分解してプラズマを生成するためのフィラメント62が配設してある。フィラメント62は、フィラメント電源64に接続してある。また、リフレクタ54の内部には、フィラメント62の上方にアノード66が設けてある。アノード66は、アノード電源68に接続してあって、フィラメント62との間でアーク放電によって生成された図示しないプラズマ粒子を照射口56に向けて加速する。そして、リフレクタ54の上方には、矢印70のように、真空容器52内に回転自在に支持された版胴30が配置してある。この版胴30は、銅メッキ層36に図示しない画線が形成してあるとともに、銅メッキ層36の表面に中間層38が設けてある。そして、版胴30は、バイアス電源72に接続してあって、リフレクタ54からの荷電粒子が高速で衝突するようにしてある。また、リフレクタ54は、リフレクタ電源74に接続してある。
【0022】
ガス導入口58からリフレクタ54内に供給されたメタンなどの原料ガス60は、フィラメント62とアノード66との間におけるアーク放電によってプラズマ化される。プラズマ化されたイオンや活性種は、アノード66によって加速され、照射口56から版胴30に向けて照射され、バイアス電圧が印加されて矢印70のように回転している版胴30の表面に衝突する。版胴30に衝突した炭素を含むイオンや活性種は、炭素(C)と水素(H)とからなる非晶質のDLC層40を形成する。このようにして形成したDLC層40は、DLC層40を形成するイオンや活性種が版胴30の周面に対してほぼ垂直(法線方向)に入射するため、図3に示したように、銅メッキ層36に形成されている網点20からなる画線を正確に再現することができる。
【0023】
すなわち、図3(a)に示したように、網点20がシャドウ用の網点20aである場合、網点20aの壁面にDLC層40が形成されることがなく、また突起部や角部などにDLC層40が厚く付着することがない。従って、銅メッキ層36に形成してある網点20aの形状は、DLC層40に忠実に再現される。また、網点20が同図(b)に示したキャッチライト用の網点20dのように浅い場合であっても、網点20dの凹部がDLC層40によって塞がれることがない。従って、DLC層40には、銅メッキ層36に形成された画線が忠実に再現される。また、DLC層40は、ビッカース硬さにおいてHv5000程度までの硬度のものを任意に形成することができ、摩擦係数が0.1以下と非常に小さい。しかも、DLC層40は、表面が非常に滑らかで大きな平滑度を有し、表面自由エネルギーが小さくて大きな潤滑性を備えている。従って、版胴30は、銅メッキ層36の表面に硬度の大きなDLC層40を形成することにより、耐磨耗性、耐久性が大幅に向上するとともに、インキの掻き取り除去を容易、確実に行なえる。
【0024】
このようにして形成された版胴30は、印刷をする場合、輪転印刷機に組み込まれて回転させられる。そして、版胴30は、図4に示したように、下部がインキパン80に貯留してあるインキ82に浸される。また、版胴30は、インキ82からの出側においてインキローラ(磁気式フロート)84が転接しており、インキ82が表面全体に塗布される。そして、版胴30は、網点20の凹部に充填されたインキ82を印刷紙88などに転移する。すなわち、版胴30の上方には、圧胴86が配設してある。この圧胴86は、版胴30との間を通される印刷紙88を版胴30に押圧し、版胴30の網点20内に充填されたインク82を印刷紙88に転移させる。
【0025】
なお、インキローラ84の上方には、ブレードホルダ90に保持させたドクターブレード92が配設してある。この実施形態に係るドクターブレード92は、ホルダ取り付け基部94と平行刃先部96とからなっていて、ホルダ取り付け基部94を介してブレードホルダ90に保持させてある。そして、ドクターブレード92は、平行刃先部96の先端が版胴30の周面に圧接していて、非画線部(版胴30の表面)に付着した余剰インキを掻き取る。
【0026】
このドクターブレード92は、一定幅の金属帯板により形成されており、長さが版胴長より長くなっている。そして、ドクターブレード92は、長手方向が版胴30の長方向と一致するように配置してある。さらに、ドクターブレード92は、実施形態の場合、幅方向がほぼ水平方向となるようにブレードホルダ90に保持されていて、先端が版胴30の法線方向に対して約60度の角度で斜交するように版胴30の表面に接している。また、ドクターブレード92は、版胴30に向けられた先端側の平行刃先部96がホルダ取り付け基部94よりさらに薄く加工してある。
【0027】
ドクターブレード92は、実施形態の場合、母材が炭素、珪素、マンガン、リン、硫黄を含む炭素鋼の1種であるばね鋼(PK)を用いて形成してある。そして、ドクターブレード92は、図5(a)に示したように、先端側の平行刃先部96がホルダ取り付け基部94の肉厚(B=0.15〜0.4mm)より薄く、肉厚をb=65〜70μm程度に加工形成した、いわゆる平行刃に形成してある。ただし、ドクターブレード92は、図5(b)に示したように、刃先部97が三角形をなす三角刃であってもよい。
【0028】
また、本実施形態のドクターブレード92は、ブレード母材98のインキ掻き取り側の表面に、耐摩耗性の高い非金属層であるDLC膜層100を有する。このドクターブレード92は、版胴30に接触させる先端部が、前記DLC膜層100と母材露出面とによるシリンダ突き当て面102となっている。耐摩耗性は、通常、硬度に比例するので、実施形態の場合、高硬度のDLC膜層100を成膜し、その後、平行刃先部96の先端を研磨し、前記DLC膜層100のカット面104と母材露出面106とによるシリンダ突き当て面102を形成している。
【0029】
上記DLC膜層100の成膜は、版胴30にDLC層40を形成した場合と同様にして行なうことができる。すなわちDLC膜層100は、図6に示したように、成膜装置50を用いて高真空中のアーク放電プラズマで炭化水素ガスを分解し、プラズマ中のイオンや励起分子をターゲットとしてのブレード母材98に電気的に加速しエネルギーをもって衝突させて形成する。荷電粒子の衝突エネルギーは局所的に高温高圧状態を作り出し、アモルファス状態のDLC膜層100が形成される。実施形態では、成膜効率を向上させるために、真空容器52の内部にターゲットとして帯板状のブレード母材98を回転シリンダ110の外周面に螺旋状に巻き付けるようにしている。このとき、ブレード母材98の成膜領域は、平行刃先部96の先端部でよいため、平行刃先部96の先端部が露出するようにオーバーラップさせて巻き付け、一回の成膜処理の処理長さを大幅に改善している。そして、DLC膜層100の成膜は、回転シリンダ110を矢印112のように回転させながら行なう。
【0030】
ところで、ブレード母材98に直接DLC膜層100を成膜すると、ばね鋼からなるブレード母材98への密着性が良好でないことから、ドクターブレード92を長期間使用した場合に、DLC膜層100が剥離してしまう可能性がある。そこで、本実施形態では、図5に断面図で示しているように、DLC膜層100の成膜領域に予め中間層114を形成するようにしている。この中間層114は、ブレード母材98とDLC膜層100のアモルファス炭素との結合性がよい材料を膜付けすればよく、例えばニッケルメッキ層を形成するようにすればよい。この中間層114の表面にDLC膜層100を成膜することによって、中間層114がバインダーとなり、ブレード母材98と最外層のDLC膜層100とが堅固に一体化する。DLC膜層100は、ドクターブレード92の寿命に応じて膜厚が調整される。また、ドクターブレード92に形成したDLC膜層100は、硬度が版胴30に設けたDLC層40と同じか、大きくなるように形成される。これにより、ドクターブレード92の耐久性が向上し、長期にわたって使用可能なドクターブレードとすることができる。
【0031】
ここで、ブレード母材98にDLC膜層100の成膜処理すると、平行刃先部96の先端面まで硬度の高いDLC膜層100が延在してくる。ところが、ブレード母材98は、先端が傾斜面となっているために、DLCの付着が不均一となってDLC膜層に凹凸が生じ、刷り始めにいわゆるドクター筋が発生するおそれがある。そこで、実施形態では、図5に示しているように、刃先先端に前記DLC膜層100のカット面104と母材露出面106との二層断面(実際には中間層114を加えた三層断面)が露出したシリンダ突き当て面102を形成するように、ドクターブレード92の先端研磨処理を行って余剰領域116を除去するようにしている。図5のラインLが研磨面であり、版胴30への接触面となる。そして、実施形態の場合、シリンダ突き当て面102の、ドクターブレード92の幅方向に対する傾斜角度θが約60度にしてある。ただし、この傾斜角度θは、版胴30に当接させたドクターブレード92撓み当を考慮して最適となるように設定され、またドクターブレード92の配置角度によっても異なる。
【0032】
図7は、上記ドクターブレード92の製造工程を示すフローチャートである。ブレード材料(ブレード母材98)となる炭素鋼薄肉帯板を準備し(ステップ120)、少なくともブレード母材98のインキ掻き取り側表面に中間層114を形成する(ステップ122)。そして、図6に示したような成膜装置50を利用して、DLC膜層100を1〜10μm程度成膜する(ステップ124)。
【0033】
その後、DLC膜層100が形成された面と反対面の刃先側の減肉処理を行ない、平行刃先部96の刃付け処理をする(ステップ126)。そして、最終的に、平行刃先部96先端の研磨を行ない、図5の破線に示した余剰領域116を除去して研磨し(ステップ128)、シリンダ突き当て面102に、DLC膜層100のカット面104と母材露出面106とを形成して製品となす (ステップ130)。
【0034】
このような実施形態では、ドクターブレード92の平行刃先部96におけるシリンダ突き当て面102がDLC膜層100のカット面104と母材露出面106とにより形成される。これにより、ドクターブレード92は、版胴30に当接して余剰インキの掻き落とし作業が進行してくると、版胴30より硬度の低い母材露出面106の磨耗が進行し、版胴30の表面形状へのなじみが極めて良好に成る。そして、その後は、ドクターブレード92のインキ掻き落とし側の面には、版胴30のDLC層40と同様に硬度が高く、潤滑性の大きな摩擦係数の小さい耐摩耗性のDLC膜層100が存在するため、ドクターブレード92としての磨耗劣化が抑制される。この結果、版胴30へのなじみがよく、耐磨耗性に優れた長寿命のドクターブレード92とすることができる。
【0035】
さらに、実施形態の版胴30とドクターブレード92とを用いた輪転印刷機は、両者の非金属層である表面エネルギーの小さなDLCの層が相互に接触することにより、凝着を生ずることがない。また、DLCの膜(層)は、高い平滑度を有するとともに、摩擦係数が小さく大きな潤滑性を有しているため、版胴30の表面に付着した不要なインキを容易、確実に掻き取ることができるとともに、水性インキの使用が可能となる。
【0036】
図8は、他の実施形態に係るドクターブレードの要部拡大断面図である。図5に示した前記実施形態のドクターブレード92では、ブレード母材98に形成したDLC膜層100が単層であったのに対し、図8に示したドクターブレード140は、ブレード母材98のインキ掻き取り側表面に形成したDLC膜層(非金属層)142が2層構造となっている点が大きく異なる。すなわち、ドクターブレード140は、DLC膜層142が耐摩耗性の大きな高硬度のハードDLC膜層144と、このハードDLC膜層144の上に形成され、ハードDLC膜層144より耐摩耗性の小さい低硬度のソフトDLC膜層146との二層構造となっている。
【0037】
実施形態の場合、上側(外側)のソフトDLC膜層146は、硬度が版胴30に形成したDLC層40の硬度より小さくしてある。例えば、ソフトDLC膜層146の硬度は、DLC層40の硬度がビッカース硬さでHv=3000以上である場合、ビッカース硬さでHv2000以下にしてある。また、下側のハードDLC膜層144は、硬度が版胴30に形成したDLC層40の硬度と同等かそれより大きくしてある。この二層構造のDLC膜層142も前記実施形態の場合と同様に、ハードDLC膜層144とブレード母材98との間に中間層114を介在させ、DLC膜層142のブレード母材98への接合性を向上させている。また、この実施形態のドクターブレード140は、平行刃先部96の先端面研磨が不要な構造となっている。
【0038】
すなわち、ドクターブレード140は、最外面層のソフトDLC膜層146が版胴30の表面に設けたDLC層40より小さな硬度となっており、ドクターブレード140が版胴30に当接して印刷前のなじみを付ける空回し作業が進行してくると、ソフトDLC膜層146の磨耗が最初に進行し、版胴30の表面形状へのなじみが極めて良好になる。そして、さらにソフトDLC膜層146の磨耗が進行すると、下側のハードDLC膜層144が露出する。ハードDLC膜層144は、版胴30のDLC層40と同等またはそれより大きな硬度を有して耐摩耗性が高いため、ドクターブレードとしての磨耗劣化が抑制される。この結果、版胴30へのなじみがよく、耐磨耗性に優れたドクターブレード140とすることができる。しかも、ドクターブレード140は、版胴30に接触する先端面の全体がDLCによって覆われているため、版胴30との間の潤滑性がより向上し、水性インキへの適応性を高めることができる。
【0039】
図9は、この実施形態に係るドクターブレード140の製造工程を示すフローチャートである。ブレード母材98となる炭素鋼薄肉帯板を準備し(ステップ200)、最初に刃先側の減肉処理を行って平行刃の刃付け処理をする(ステップ202)。その後、少なくともブレード母材98のインキ掻き取り側表面に中間層114を形成する(ステップ204)。そして、図6に示したような成膜装置50を利用して、ハードDLC膜層144を成膜し(ステップ206)、続いてソフトDLC膜層146をハードDLC膜層144よりは薄く成膜し(ステップ208)、製品となすのである(ステップ210)。なお、前記刃先側の減肉処理工程は、DLC膜層142を形成する成膜工程の前後のいずれに行なってもよい。
【0040】
このような実施形態によれば、ドクターブレード140は、掻き取り面側が平行刃先部96の先端までソフトとハードのDLC膜層146、144によって覆われているので、寿命が長い。ドクターブレード140は、ソフトDLC膜層146が版胴30への当たりのなじみを良好に保持する機能を発揮する。そして、ソフトDLC膜層146による版胴30とのなじみが発揮された後は、下層のハードDLC膜層144が磨耗抑制効果を発揮することにより、ドクターブレード140の長寿命化が図れる。これにより、ドクター筋の発生のみならず、カブリも防止することができるドクターブレードを得ることができる。
【0041】
なお、上記実施形態では、ブレード母材98に鋼板(ばね鋼)を用いた例を示したが、母材としてステンレス鋼板や導電性プラスチック材料を用い、その表面にDLC膜層142を形成することにより、軽量で強度並びに硬度の高い耐久性に優れたドクターブレードとすることもできる。
【0042】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、画線形成層を覆う硬度の大きな耐磨耗層を蒸着によって形成したことにより、耐久性に優れるとともに、画線形成層に形成した画線を耐磨耗層に高精度に再現することができる。
また、本発明の輪転印刷機によれば、版胴とドクターブレードとの表面に非金属層を設けたことにより、版胴とドクターブレードとの凝着を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る版胴の一部断面図である。
【図2】実施の形態に係るDLC層の形成方法を説明する図である。
【図3】実施の形態に係る版胴の一部詳細断面図であって、(a)はシャドウの網点を模式的に示した断面図、(b)はキャッチライトの網点を模式的に示した断面図である。
【図4】実施の形態に係る輪転印刷機の要部を示す模式図である。
【図5】実施の形態に係るドクターブレードの要部拡大断面図である。
【図6】実施の形態に係るドクターブレードのDLC膜層の形成方法を説明する図である。
【図7】実施の形態に係るドクターブレードの製造工程のフローチャートである。
【図8】他の実施の形態に係るドクターブレードの要部拡大断面図である。
【図9】図8に示したドクターブレードの製造工程のフローチャートである。
【図10】従来の版胴の一部断面図である。
【図11】画線を形成する網点の一例を示す模式図である。
【図12】従来のシャドウ用網点の硬質ニッケルクロム層の付着状態を説明する図であって、(a)断面図、(b)は展開平面図である。
【図13】従来のキャッチライト用網点の硬質ニッケルクロム層の付着状態を説明する図であって、(a)は断面図、(b)は展開平面図である。
【符号の説明】
30………版胴、32………版胴本体、36………画線形成層(銅メッキ層)、38、114………中間層、40………耐磨耗層(DLC層)、20a〜20d………網点、92、140………ドクターブレード、98………母材(ブレード母材)、100、142………非金属層(DLC膜層)、144………ハードDLC膜層、146………ソフトDLC膜層。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a plate cylinder of a rotary printing press, and more particularly to a plate cylinder and a rotary printing machine suitable for an intaglio printing press for gravure printing.
[0002]
[Prior art]
At present, gravure printing is generally performed by a rotary intaglio printing press. As is well known, a plate of an intaglio printing press forms an image with minute concave portions called halftone dots. A plate cylinder constituting a plate of a conventional rotary intaglio printing press has a structure as shown in FIG.
[0003]
In FIG. 10, the plate cylinder 10 has a multilayer structure, and a cylindrical plate cylinder main body (cylinder main body) 12 is formed of a steel plate. A thick copper plating layer 16 is provided on the peripheral surface (front surface) of the plate cylinder main body 12 with a nickel plating layer 14 interposed therebetween. The copper plating layer 16 is an image forming layer, is formed by electroplating, has a thickness of about 80 to 130 μm, and has an image formed by a number of concave portions called halftone dots. The halftone dots forming the image are formed by fine processing by a physical or chemical method. A hard nickel-chromium layer (or chromium layer) 18 having a higher hardness than the copper plating layer 16 is provided on the copper plating layer 16 on which the image is formed, in order to enhance durability during printing. The hard nickel chrome layer 18 is formed by electroplating and has a Vickers hardness of about Hv1000.
[0004]
The color density of the printed matter is called gradation, and is roughly divided into five stages of "shadow", "intermediate shadow", "light", "highlight", and "catch light". This gradation is realized by controlling the amount of ink transferred from the plate cylinder 10 to the printed matter. As a method of controlling the amount of ink, there are a method of adjusting the opening area of the concave portion (halftone dot) provided in the plate cylinder 10, a method of adjusting the depth, and a method of adjusting both. FIG. 11 shows an example of a halftone dot for controlling the gradation by the depth of the concave portion.
[0005]
Halftone dots 20 (20a to 20c) shown in FIG. 11 are schematic diagrams of halftone dots formed by a plate-making method called a conventional method by etching, where (a) is a shadow, (b) is an intermediate shadow, and (c) is an intermediate shadow. ) Corresponds to the light. In these figures, the upper part shows a sectional view and the lower part shows a developed plan view. The halftone dot 20a of the shadow in FIG. 11A has a depth of 30 to 40 μm. Further, the halftone dot 20c of the light in FIG. 3C has a depth of 4 to 5 μm. Further, the halftone dots of the catchlight (not shown) have a depth of 1 to 1.5 μm. The size of the opening of each halftone dot 20 according to the conventional method is constant, and the center interval between the halftone dots 20 is about 15 to 20 μm.
[0006]
By the way, as described above, the plate cylinder 10 for intaglio printing forms an image by finely processing halftone dots 20 on the copper plating layer 16 and then forms a hard nickel chrome layer (or chromium layer) on the surface by electroplating. Covered by 18. At this time, it is necessary to accurately reproduce an image formed by finely processing the copper plating layer 16 on the surface of the hard nickel chrome layer 18. However, accurate reproduction of this object requires very advanced techniques and is difficult in practice. Although there are various causes, one of the causes is that electricity has a property that an electric field concentrates on a protruding portion or a corner of a metal and a large amount of current flows. For this reason, when electroplating is performed on the surface of the finely processed copper plating layer 16, a uniform plating layer cannot be formed, and as shown in FIG. A hard nickel chrome layer 18 adheres thickly. Further, the thickness of the electroplated hard nickel chromium layer 18 is close to 10 μm depending on the location. Therefore, in the case of a catchlight having a depth of only 1 to 1.5 μm, as shown in FIG. 13, the depth of the halftone dot 20d falls within the range of the variation in the thickness of the hard nickel chrome layer 18, and There is a case where the hard nickel chrome layer 18 is filled. In view of this, the applicant of the present application has formed a nitride layer by performing plasma nitriding on the surface of the copper plating layer 16 on which the object has been formed, so that the formed object can be printed as it is (Patent Document 1).
[0007]
The intaglio printing press for printing using the plate cylinder 10 on which the image is formed by the halftone dots 20 as described above scrapes off unnecessary ink attached to the surface of the plate cylinder 10 with an ink knife called a doctor blade. The ink remaining inside the point 20 is transferred to printing paper or the like for printing. This doctor blade is generally formed of steel or stainless steel (for example, Patent Document 2).
[0008]
[Patent Document 1]
JP-A-10-337841
[Patent Document 2]
JP-A-7-276601
[0009]
[Problems to be solved by the invention]
As described above, in the intaglio printing press, unnecessary ink attached to the surface of the plate cylinder 10 is scraped off by the doctor blade. For this reason, in the conventional plate cylinder 10 provided with the hard chromium layer 18 on the surface of the copper plating layer 16, since the doctor blade is formed of steel or stainless steel, adhesion between the plate cylinder 10 and the doctor blade is not caused. It is easy to cause and generates abnormal noise during printing. Further, since adhesion occurs between the plate cylinder 10 and the doctor blade, the power for rotating the plate cylinder 10 is increased, and the wear of the plate cylinder 10 and the doctor blade is promoted, so that their life is shortened. . The hard nickel chrome layer 18 has a hardness limit up to about Hv1000 in terms of Vickers hardness, and cannot meet requirements for higher hardness such as abrasion resistance and durability.
[0010]
By the way, at present, most printing inks are oil-based inks using an organic solvent. Oil-based inks are not only harmful to the human body but also flammable, and require great care in handling. In addition, when printing is performed using oil-based ink, it is necessary to use an organic solvent for cleaning the printing press, which imposes a heavy load on the environment. For this reason, it is desirable to use an aqueous ink in which the solvent is water. However, water has a large surface tension and is difficult to spread by wetting, so that the plate cylinder 10 and the doctor blade come into direct contact with each other to cause adhesion. For this reason, aqueous ink cannot be used in the current rotary printing press. Furthermore, in the conventional rotary printing press using a plate cylinder and a doctor blade, since the surface is formed of a metal having a large surface free energy, it is difficult to sufficiently remove unnecessary ink on the surface of the plate cylinder, The printing surface becomes dirty, and the cleaning interval of the printing press needs to be shortened.
These problems cannot be basically solved even with the plate cylinder described in Patent Document 1.
[0011]
The present invention has been made in order to solve the above-mentioned drawbacks of the prior art, and is excellent in durability. The image formed on the image forming layer has a high wear resistance provided on the image forming layer. The purpose is to be able to reproduce with accuracy.
Another object of the present invention is to prevent adhesion between the plate cylinder and the doctor blade.
And, the present invention aims to make it possible to use aqueous ink.
[0012]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, a plate cylinder according to the present invention has a cylindrical plate cylinder main body, an image forming layer provided on the peripheral surface of the plate cylinder main body, and having an image formed thereon, And a wear-resistant layer formed by vapor deposition over the image forming layer and having a higher hardness than the image forming layer. The wear-resistant layer can be formed by physical vapor deposition (PVD) such as vacuum vapor deposition, sputtering, or ion plating, or chemical vapor deposition (CVD) such as thermal decomposition CVD or plasma CVD. Further, the wear-resistant layer may be a diamond-like carbon layer. It is desirable to provide an intermediate layer between the image forming layer and the diamond-like carbon layer for improving the bonding force of the diamond-like carbon layer.
[0013]
The rotary printing press according to the present invention includes a cylindrical plate cylinder on which a line drawing is formed, and a doctor blade for scraping ink attached to the surface of the plate cylinder, and the ink scraping side of the doctor blade. The same type of non-metal layer is provided on the surface and the surface of the plate cylinder.
It is desirable that the non-metal layer has a hardness greater than that of the base material. Further, it is desirable that the nonmetal layer has a coefficient of friction smaller than that of the base material. The non-metal layer can be formed by a diamond-like carbon layer.
[0014]
[Action]
In vapor deposition, a film-forming substance is generally made into a gaseous phase in a vacuum, and the thin film is formed by colliding the substance with a substrate to deposit the substance. Then, the fine particles of the film-forming substance in the gaseous state enter the substrate almost perpendicularly, and a film is hardly formed on the surface in the direction orthogonal to the flow of the fine particles. Therefore, by rotating the plate cylinder main body provided with the image forming layer and depositing a hard wear-resistant layer, a film of the wear-resistant layer is not formed on the concave wall surfaces of the halftone dots, and the protrusions and corners are not formed. A thick film is not deposited on the portion, the durability is excellent, and the image formed on the image forming layer can be reproduced on the wear-resistant layer with high accuracy.
[0015]
Diamond-like carbon (DLC) having a Vickers hardness of up to about Hv5000 can be arbitrarily formed by vapor deposition, and a material having a hardness higher than that of a conventional hard nickel-chromium layer (or chromium layer) can be easily obtained. Therefore, by providing the DLC layer on the image forming layer, the abrasion resistance is further increased, and the durability can be greatly improved. Further, by providing an intermediate layer between the image forming layer and the DLC layer, the bonding force of the DLC layer containing carbon (C) can be increased, and peeling of the DLC layer can be prevented.
[0016]
Further, the rotary printing press according to the present invention, since the same kind of non-metal layer is provided on the surface of the ink scraping side of the doctor blade and the surface of the plate cylinder, the surface energy of both becomes smaller than that of metal, and the Adhesion can be reliably prevented. Since the surface energy is reduced by covering the surface of the plate cylinder with the nonmetal layer, the scraping of the ink by the doctor blade can be performed easily and reliably. Further, when the non-metal layer is formed of a member having a hardness higher than that of the base material, abrasion resistance is increased and durability can be improved. In addition, by forming the non-metal layer with a member having a smaller coefficient of friction than the base material, lubrication is improved, wear can be reduced, durability is improved, and the ink scraping performance of the doctor blade is also improved. I do. When the non-metal layer is formed by DLC, DLC not only has excellent surface smoothness, but also has a coefficient of friction of 0.1 or less, is very lubricious, and has a small surface free energy. Therefore, the adhesion of the ink to the plate cylinder surface is small, and the ink can not only be scraped off well by the doctor blade but also the water-based ink can be used.
[0017]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Preferred embodiments of a plate cylinder and a rotary printing press according to the present invention will be described in detail with reference to the accompanying drawings.
FIG. 1 is a partial sectional view of a plate cylinder according to the present invention. In FIG. 1, the plate cylinder 30 has a cylindrical plate cylinder main body 32 formed of a steel plate. A copper plating layer 36 is provided on the peripheral surface (front surface) of the plate cylinder main body 32 via a nickel plating layer 34. The nickel plating layer 34 is a base for improving the adhesion of the copper plating layer 36 to the plate cylinder main body 32, and is formed to a thickness of 2 to 4 μm by electroplating. The copper plating layer 36 constitutes an image forming layer, and is formed to a thickness of 80 to 130 μm by electroplating. A large number of halftone dots (recesses) are finely processed in the copper plating layer 36 by a physical method such as an engraving method or a chemical method such as etching. (Not shown).
[0018]
An intermediate layer 38 is provided on the surface of the copper plating layer 36 on which the image is formed, and a diamond-like carbon (DLC) layer 40, which is a non-metal wear-resistant layer, is formed on the intermediate layer 38. is there. The intermediate layer 38 is formed to increase the bonding strength (adhesion) of the DLC layer 40 to the copper plating layer 36 serving as a base material. In the case of the embodiment, the intermediate layer 38 is formed of a thin nickel layer having a thickness of, for example, 1 to 2 μm or less, formed by electroplating. Of course, the intermediate layer 38 may be formed by modifying the surface of the copper plating layer 36 with halogen or the like. Further, the intermediate layer 38 may be formed by sputtering, CVD, or the like. Further, the intermediate layer 38 may have a multilayer structure such as a two-layer structure of titanium (Ti) and silicon (Si).
[0019]
The DLC layer 40 is provided to protect the copper plating layer 36, increase abrasion resistance and improve durability, and has a Vickers hardness of Hv1000 or more, preferably Hv3000 or more. Form. The DLC layer 40 has a thickness that allows the plate cylinder 30 to have sufficient durability. The DLC layer 40 is formed by, for example, the CVD film forming apparatus shown in FIG. 2, but is not limited to this.
[0020]
The film forming apparatus 50 shown in FIG. 2 includes a vacuum container 52, and a reflector 54 is provided at a lower portion in the vacuum container 52. The reflector 54 is formed, for example, in a cylindrical shape, and serves as an irradiation port 56 whose upper end is open. The reflector 54 has a gas inlet 58 at the lower end. Then, a source gas 60 made of a hydrocarbon such as methane or ethylene is introduced into the interior of the reflector 54 through a gas inlet 58.
[0021]
A filament 62 for decomposing the introduced source gas 60 to generate plasma is provided at a lower portion inside the reflector 54. The filament 62 is connected to a filament power supply 64. An anode 66 is provided inside the reflector 54 above the filament 62. The anode 66 is connected to an anode power supply 68, and accelerates plasma particles (not shown) generated by arc discharge with the filament 62 toward the irradiation port 56. The plate cylinder 30 rotatably supported in the vacuum vessel 52 is disposed above the reflector 54 as shown by an arrow 70. The plate cylinder 30 has an image (not shown) formed on the copper plating layer 36 and an intermediate layer 38 provided on the surface of the copper plating layer 36. The plate cylinder 30 is connected to a bias power supply 72 so that charged particles from the reflector 54 collide at a high speed. Further, the reflector 54 is connected to a reflector power supply 74.
[0022]
The source gas 60 such as methane supplied from the gas inlet 58 into the reflector 54 is turned into plasma by arc discharge between the filament 62 and the anode 66. The plasma-converted ions and active species are accelerated by the anode 66 and irradiated from the irradiation port 56 toward the plate cylinder 30, and a bias voltage is applied to the surface of the plate cylinder 30 rotating as indicated by an arrow 70. collide. The ions and active species containing carbon that collided with the plate cylinder 30 form an amorphous DLC layer 40 composed of carbon (C) and hydrogen (H). In the DLC layer 40 formed in this manner, ions and active species forming the DLC layer 40 are incident substantially perpendicularly (in the normal direction) to the peripheral surface of the plate cylinder 30, as shown in FIG. Thus, the image formed of the halftone dots 20 formed on the copper plating layer 36 can be accurately reproduced.
[0023]
That is, as shown in FIG. 3A, when the halftone dot 20 is a halftone dot 20a for shadow, the DLC layer 40 is not formed on the wall surface of the halftone dot 20a, and the protrusions and corners are not formed. For example, the DLC layer 40 is not thickly attached. Therefore, the shape of the halftone dot 20 a formed on the copper plating layer 36 is faithfully reproduced on the DLC layer 40. In addition, even when the halftone dot 20 is as shallow as the catchlight halftone dot 20d shown in FIG. 2B, the concave portion of the halftone dot 20d is not closed by the DLC layer 40. Therefore, the image formed on the copper plating layer 36 is faithfully reproduced on the DLC layer 40. The DLC layer 40 can be arbitrarily formed to have a Vickers hardness of up to about Hv5000, and has a very small friction coefficient of 0.1 or less. In addition, the DLC layer 40 has a very smooth surface and a large smoothness, a small surface free energy and a large lubricity. Accordingly, by forming the DLC layer 40 having high hardness on the surface of the copper plating layer 36, the plate cylinder 30 significantly improves abrasion resistance and durability, and easily and reliably removes ink by scraping. I can do it.
[0024]
When printing is performed, the plate cylinder 30 thus formed is incorporated in a rotary printing press and rotated. Then, the lower portion of the plate cylinder 30 is immersed in ink 82 stored in the ink pan 80 as shown in FIG. In addition, the ink cylinder (magnetic float) 84 is in rolling contact with the plate cylinder 30 on the exit side from the ink 82, and the ink 82 is applied to the entire surface. Then, the plate cylinder 30 transfers the ink 82 filled in the concave portion of the halftone dot 20 to the printing paper 88 or the like. That is, the impression cylinder 86 is disposed above the plate cylinder 30. The impression cylinder 86 presses the printing paper 88 passed between the printing drum 30 and the printing drum 30, and transfers the ink 82 filled in the halftone dots 20 of the printing drum 30 to the printing paper 88.
[0025]
Note that a doctor blade 92 held by a blade holder 90 is disposed above the ink roller 84. The doctor blade 92 according to this embodiment includes a holder mounting base 94 and a parallel cutting edge 96, and is held by the blade holder 90 via the holder mounting base 94. The doctor blade 92 has the tip of the parallel blade tip 96 pressed against the peripheral surface of the plate cylinder 30, and scrapes off excess ink adhering to the non-image area (the surface of the plate cylinder 30).
[0026]
The doctor blade 92 is formed of a metal strip having a constant width, and has a length longer than the plate cylinder length. The doctor blade 92 is arranged so that its longitudinal direction coincides with the longitudinal direction of the plate cylinder 30. Further, in the case of the embodiment, the doctor blade 92 is held by the blade holder 90 so that the width direction is substantially horizontal, and the tip is inclined at an angle of about 60 degrees with respect to the normal direction of the plate cylinder 30. It is in contact with the surface of the plate cylinder 30 so as to intersect. In the doctor blade 92, the parallel blade tip 96 on the tip end side facing the plate cylinder 30 is processed to be thinner than the holder mounting base 94.
[0027]
In the embodiment, the doctor blade 92 is formed by using spring steel (PK) whose base material is one of carbon steels containing carbon, silicon, manganese, phosphorus, and sulfur. As shown in FIG. 5A, the doctor blade 92 has a tip parallel blade tip 96 that is thinner than the thickness (B = 0.15 to 0.4 mm) of the holder mounting base 94 and has a reduced thickness. It is formed in a so-called parallel blade processed and formed to b = 65 to 70 μm. However, as shown in FIG. 5B, the doctor blade 92 may be a triangular blade in which the cutting edge 97 forms a triangle.
[0028]
Further, the doctor blade 92 of this embodiment has a DLC film layer 100 which is a non-metal layer having high abrasion resistance on the surface of the blade base material 98 on the ink scraping side. The distal end of the doctor blade 92 that comes into contact with the plate cylinder 30 is a cylinder abutting surface 102 formed by the DLC film layer 100 and the base material exposed surface. Since the wear resistance is generally proportional to the hardness, in the case of the embodiment, a high-hardness DLC film layer 100 is formed, and then the tip of the parallel cutting edge 96 is polished to cut the DLC film layer 100. The cylinder abutment surface 102 is formed by the base material 104 and the base material exposed surface 106.
[0029]
The formation of the DLC film layer 100 can be performed in the same manner as when the DLC layer 40 is formed on the plate cylinder 30. That is, as shown in FIG. 6, the DLC film layer 100 is formed by decomposing a hydrocarbon gas with arc discharge plasma in a high vacuum using a film forming apparatus 50, and using a blade base as a target for ions and excited molecules in the plasma. The material 98 is formed by electrically accelerating and colliding with energy. The collision energy of the charged particles locally creates a high-temperature high-pressure state, and the amorphous DLC film layer 100 is formed. In the embodiment, in order to improve the film forming efficiency, a strip-shaped blade base material 98 as a target is spirally wound around the outer peripheral surface of the rotary cylinder 110 inside the vacuum vessel 52. At this time, since the film formation region of the blade base material 98 may be the tip of the parallel cutting edge 96, the blade is overlapped and wound so that the tip of the parallel cutting edge 96 is exposed, and a single film forming process is performed. The length has been greatly improved. Then, the DLC film layer 100 is formed while rotating the rotary cylinder 110 as indicated by an arrow 112.
[0030]
By the way, if the DLC film layer 100 is formed directly on the blade base material 98, the adhesion to the blade base material 98 made of spring steel is not good. May be peeled off. Therefore, in the present embodiment, as shown in the cross-sectional view of FIG. 5, the intermediate layer 114 is formed in advance in the deposition region of the DLC film layer 100. The intermediate layer 114 may be formed by applying a material having a good bond between the blade base material 98 and the amorphous carbon of the DLC film layer 100, for example, by forming a nickel plating layer. By forming the DLC film layer 100 on the surface of the intermediate layer 114, the intermediate layer 114 serves as a binder, and the blade base material 98 and the outermost DLC film layer 100 are firmly integrated. The thickness of the DLC film layer 100 is adjusted according to the life of the doctor blade 92. The DLC film layer 100 formed on the doctor blade 92 is formed so that the hardness is the same as or larger than the DLC layer 40 provided on the plate cylinder 30. Thereby, the durability of the doctor blade 92 is improved, and the doctor blade can be used for a long time.
[0031]
Here, when the DLC film layer 100 is formed on the blade base material 98, the DLC film layer 100 having high hardness extends to the tip end surface of the parallel cutting edge portion 96. However, since the tip of the blade base material 98 has an inclined surface, the DLC adheres non-uniformly, causing irregularities in the DLC film layer, which may cause so-called doctor streaks at the beginning of printing. Therefore, in the embodiment, as shown in FIG. 5, a two-layer cross section of the cut surface 104 of the DLC film layer 100 and the base material exposed surface 106 (actually, a three-layer The surplus region 116 is removed by performing a polishing process on the distal end of the doctor blade 92 so as to form the cylinder abutting surface 102 with the exposed cross section. A line L in FIG. 5 is a polishing surface, which is a contact surface to the plate cylinder 30. In the case of the embodiment, the inclination angle θ of the cylinder abutting surface 102 with respect to the width direction of the doctor blade 92 is set to about 60 degrees. However, the inclination angle θ is set so as to be optimal in consideration of the deflection of the doctor blade 92 brought into contact with the plate cylinder 30, and also varies depending on the arrangement angle of the doctor blade 92.
[0032]
FIG. 7 is a flowchart showing a manufacturing process of the doctor blade 92. A thin carbon steel strip serving as a blade material (blade base material 98) is prepared (step 120), and an intermediate layer 114 is formed on at least the surface of the blade base material 98 on the ink scraping side (step 122). Then, the DLC film layer 100 is formed to a thickness of about 1 to 10 μm by using the film forming apparatus 50 as shown in FIG. 6 (Step 124).
[0033]
After that, the thinning process is performed on the cutting edge side opposite to the surface on which the DLC film layer 100 is formed, and the parallel cutting edge portion 96 is sharpened (step 126). Then, finally, the tip of the parallel cutting edge portion 96 is polished to remove the excess region 116 shown by the broken line in FIG. 5 and polished (step 128), and cut the DLC film layer 100 on the cylinder abutting surface 102. The surface 104 and the base material exposed surface 106 are formed to form a product (Step 130).
[0034]
In such an embodiment, the cylinder abutting surface 102 of the parallel cutting edge 96 of the doctor blade 92 is formed by the cut surface 104 of the DLC film layer 100 and the base material exposed surface 106. As a result, when the doctor blade 92 comes into contact with the plate cylinder 30 and scrapes excess ink, the wear of the base material exposed surface 106 having a lower hardness than the plate cylinder 30 progresses. The adaptation to the surface shape is very good. After that, on the surface of the doctor blade 92 on the ink scraping side, there is a wear-resistant DLC film layer 100 having high hardness, high lubricity, and a small friction coefficient similar to the DLC layer 40 of the plate cylinder 30. Therefore, the wear and deterioration of the doctor blade 92 is suppressed. As a result, it is possible to form the doctor blade 92 having good adaptability to the plate cylinder 30 and excellent wear resistance and a long life.
[0035]
Further, in the rotary printing press using the plate cylinder 30 and the doctor blade 92 according to the embodiment, the non-metallic DLC layers having low surface energy do not adhere to each other due to contact with each other. . In addition, the DLC film (layer) has high smoothness, a small coefficient of friction, and great lubricity, so that unnecessary ink attached to the surface of the plate cylinder 30 can be easily and reliably scraped off. And the use of water-based ink becomes possible.
[0036]
FIG. 8 is an enlarged sectional view of a main part of a doctor blade according to another embodiment. In the doctor blade 92 of the embodiment shown in FIG. 5, the DLC film layer 100 formed on the blade base material 98 is a single layer, whereas the doctor blade 140 shown in FIG. The difference is that the DLC film layer (non-metal layer) 142 formed on the ink scraping side surface has a two-layer structure. That is, the doctor blade 140 has the DLC film layer 142 formed on the hard DLC film layer 144 having high abrasion resistance and high hardness, and having less wear resistance than the hard DLC film layer 144. It has a two-layer structure with a soft DLC film layer 146 having low hardness.
[0037]
In the case of the embodiment, the hardness of the upper (outer) soft DLC film layer 146 is smaller than the hardness of the DLC layer 40 formed on the plate cylinder 30. For example, when the hardness of the DLC layer 40 is Hv = 3000 or more in Vickers hardness, the hardness of the soft DLC film layer 146 is set to Hv2000 or less in Vickers hardness. The hardness of the lower hard DLC film layer 144 is equal to or greater than the hardness of the DLC layer 40 formed on the plate cylinder 30. The DLC film layer 142 having the two-layer structure also has an intermediate layer 114 interposed between the hard DLC film layer 144 and the blade base material 98 to form the DLC film layer 142 into the blade base material 98 in the same manner as in the above embodiment. Has improved bonding properties. Further, the doctor blade 140 of this embodiment has a structure that does not require polishing of the distal end surface of the parallel blade tip portion 96.
[0038]
That is, in the doctor blade 140, the soft DLC film layer 146 of the outermost surface layer has a hardness smaller than that of the DLC layer 40 provided on the surface of the plate cylinder 30, and the doctor blade 140 comes into contact with the plate cylinder 30 before printing. As the spinning operation for making the adaptation progresses, the wear of the soft DLC film layer 146 first progresses, and the adaptation to the surface shape of the plate cylinder 30 becomes extremely good. Then, as the wear of the soft DLC film layer 146 further proceeds, the lower hard DLC film layer 144 is exposed. The hard DLC film layer 144 has a hardness equal to or higher than that of the DLC layer 40 of the plate cylinder 30 and has high abrasion resistance, so that abrasion deterioration as a doctor blade is suppressed. As a result, a doctor blade 140 having good familiarity with the plate cylinder 30 and excellent wear resistance can be obtained. In addition, since the entire end surface of the doctor blade 140 that contacts the plate cylinder 30 is covered with the DLC, the lubricating property between the doctor blade 140 and the plate cylinder 30 is further improved, and the adaptability to the water-based ink is improved. it can.
[0039]
FIG. 9 is a flowchart showing a manufacturing process of the doctor blade 140 according to this embodiment. A carbon steel thin strip serving as the blade base material 98 is prepared (step 200), and first, a thinning process is performed on the cutting edge side to perform a cutting process of a parallel blade (step 202). Thereafter, the intermediate layer 114 is formed on at least the surface of the blade base material 98 on the ink scraping side (step 204). Then, using the film forming apparatus 50 as shown in FIG. 6, a hard DLC film layer 144 is formed (step 206), and then a soft DLC film layer 146 is formed thinner than the hard DLC film layer 144. (Step 208), and the product is formed (Step 210). The thinning process on the cutting edge side may be performed before or after the film forming process for forming the DLC film layer 142.
[0040]
According to such an embodiment, the doctor blade 140 has a long service life because the scraping surface side is covered with the soft and hard DLC film layers 146 and 144 up to the tip of the parallel blade portion 96. The doctor blade 140 exerts a function of favorably keeping the soft DLC film layer 146 from hitting the plate cylinder 30. Then, after the soft DLC film layer 146 demonstrates the familiarity with the plate cylinder 30, the lower hard DLC film layer 144 exerts a wear suppressing effect, so that the life of the doctor blade 140 can be extended. This makes it possible to obtain a doctor blade capable of preventing not only the generation of doctor muscle but also fog.
[0041]
In the above embodiment, an example in which a steel plate (spring steel) is used for the blade base material 98 has been described. However, a stainless steel plate or a conductive plastic material is used as the base material, and the DLC film layer 142 is formed on the surface thereof. Thereby, a doctor blade which is lightweight, has high strength and high hardness, and is excellent in durability can be obtained.
[0042]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, by forming an abrasion-resistant layer having a high hardness covering the image forming layer by vapor deposition, the image formed on the image forming layer is excellent in durability and excellent in durability. It can be reproduced with high precision on the wear resistant layer.
Further, according to the rotary printing press of the present invention, since the non-metal layer is provided on the surface of the plate cylinder and the doctor blade, the adhesion between the plate cylinder and the doctor blade can be reliably prevented.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a partial cross-sectional view of a plate cylinder according to an embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a diagram illustrating a method for forming a DLC layer according to an embodiment.
3A and 3B are partially detailed cross-sectional views of the plate cylinder according to the embodiment, in which FIG. 3A is a cross-sectional view schematically illustrating shadow halftone dots, and FIG. 3B is a schematic cross-sectional view of catchlight halftone dots. It is sectional drawing shown in FIG.
FIG. 4 is a schematic diagram showing a main part of the rotary printing press according to the embodiment.
FIG. 5 is an enlarged sectional view of a main part of the doctor blade according to the embodiment.
FIG. 6 is a diagram illustrating a method for forming a DLC film layer of the doctor blade according to the embodiment.
FIG. 7 is a flowchart of a manufacturing process of the doctor blade according to the embodiment.
FIG. 8 is an enlarged sectional view of a main part of a doctor blade according to another embodiment.
FIG. 9 is a flowchart of a manufacturing process of the doctor blade shown in FIG.
FIG. 10 is a partial sectional view of a conventional plate cylinder.
FIG. 11 is a schematic diagram illustrating an example of a halftone dot forming an image.
12A and 12B are diagrams for explaining a state of adhesion of a conventional hard nickel chrome layer on a halftone dot for shadow, and FIG. 12A is a cross-sectional view and FIG. 12B is a developed plan view.
13A and 13B are diagrams illustrating a state of attachment of a conventional hard nickel chrome layer to a halftone dot for catchlight, wherein FIG. 13A is a cross-sectional view and FIG. 13B is a developed plan view.
[Explanation of symbols]
30 plate cylinder, 32 plate cylinder main body, 36 image forming layer (copper plating layer), 38, 114 intermediate layer, 40 abrasion resistant layer (DLC layer) , 20a to 20d: halftone dots, 92, 140 ... doctor blade, 98 ... base material (blade base material), 100, 142 ... non-metal layer (DLC film layer), 144 ... Hard DLC film layer, 146... Soft DLC film layer.