JP2004045063A - 光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法および光学式ロータリーエンコーダ板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プラスチック製基板11上に、所定インク剤によるスクリーン印刷によって、反射部13aと遮蔽部13bとからなるエンコーダパターン13を形成する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法およびその製造方法によって製造された光学式ロータリーエンコーダ板に関する。
【0002】
【従来技術】
従来より、位置検出や角度検出、あるいは速度検出、角速度検出等のために、光学式エンコーダ板が一般に用いられている。
【0003】
この光学式エンコーダ板には、エンコーダパターンとして光の遮蔽部を形成し、投光された光の透過光を検出する透過型のものと、エンコーダパターンとして光の反射部を形成し、投光された光の反射光を検出する反射型のものとがある。
【0004】
透過型のエンコーダ板の製造方法としては、ガラス製基板上にクロミウムを蒸着して薄膜を形成し、これに対して半導体製造方法等として知られているフォトリソグラフィ法により選択的なエッチングを施し、透光部と遮蔽部(不透光部)とが所定の間隔で繰り返すエンコーダパターンを形成する方法や、金属薄板に同様な手法で選択的な開口部を形成して、透光部と不透光部とからなる繰返しパターンを形成する方法が知られている。
【0005】
また、特開昭60−210717号公報、特開昭61−15124号公報、特開昭62−5126号公報等に示すように、金属薄板の表面をエッチングし、ファインパターンを得易いフォトレジスタを用いて、塗布、露光、現像というプロセスを経て、エンコーダ板の開口部を形成するロータリーエンコーダ板の製造方法等も知られている。
【0006】
一方、反射型のエンコーダ板には、高反射部と低反射部とからなる繰返しパターンが形成されるが、S/Nを向上させるために、低反射部やエンコーダ板の背面(投光される光の入射面とは反対の面)などに、反射を抑制する全黒のシルクスクリーン印刷を施す改良が提案されている(実開平1−59812号公報等)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したエンコーダ板の製造に用いられるフォトリソグラフィ法は、感光性耐蝕膜(フォトレジスト)の塗布、乾燥、選択的露光、現像、水洗、乾燥、金属膜の腐食(エッチング)、水洗、乾燥、耐蝕膜の除去、というように、非常に複雑な工程を経るとともに、工程中において大量の化学物質を消費するため、製造コストを抑制することが困難であるという問題がある。
【0008】
また、ガラス製基板を用いたエンコーダ板では、光透過率を高めるために、高度な表面加工と内外径の精密な加工などを行う必要があり、多大な製造工程とコストを必要とする。
【0009】
さらに、ガラス製基板に所望とする強度を要求すると、ある程度の厚みが必要となるため、重量が増大し、エンコーダ板に生じる慣性力が増大するという問題もある。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、軽量かつ、耐熱性、耐湿性、耐衝撃性等の耐環境適応性を向上させた光学式ロータリーエンコーダ板を、比較的簡素な製造工程で製造することができ、製造コストを抑制することができる光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法、およびこの製造方法によって製造される光学式ロータリーエンコーダ板を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法は、プラスチック製基板上にエンコーダパターンを、所定インク剤によりスクリーン印刷することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項8に係る光学式ロータリーエンコーダ板は、プラスチック製基板上にエンコーダパターンが、所定インク剤によりスクリーン印刷されて形成されていることを特徴とする。
【0013】
ここで、プラスチック製基板とスクリーン印刷される所定インク剤との光学特性の関係について説明する。
【0014】
すなわち、プラスチック製基板が、所定インク剤よりも、投光される光に対する透過率の高いものであるときは、透過型のエンコーダ板を得ることができる。
【0015】
一方、所定インク剤が、プラスチック製基板よりも、投光される光に対する反射率の高いものであるとき、またはプラスチック製基板が所定インク剤よりも反射率の高いものであるときは、反射型のエンコーダ板を得ることができる。
【0016】
そこで、例えば透過型のエンコーダ板を得る場合は、所定インク剤として例えば、スクリーンインクを適用することができる。
【0017】
このスクリーンインクとしては例えば、FUN−COAT(表面加飾)インキ(商品名)、表面加飾用UVクリアー(商品名)、FUNCOAT(表面加飾)粉末、COLOSER(機能性色素)インキ(商品名)、特殊色インキ、特殊色用顔料、JELCON(機能性)インキ(商品名)、レイキュアー(UV硬化型)インキ(商品名)、熱硬化型(反応型)インキ、溶剤型(蒸発乾燥型)インキ、アクアセット(水性型)インキ等を用いることができる。
【0018】
FUN−COAT(表面加飾)インキ(商品名)としては、BCP−1クリアー(商品名)、メタミラーインキ(商品名)、CL−3インキ(商品名)などを適用することができる。
【0019】
表面加飾用UVクリアー(商品名)としては、マットクリアー(商品名)、透明マットクリアー(商品名)、HFTマットクリアー(商品名)、DP−1メジウム(商品名)、UF−1メジウム(商品名)、UB−1マットクリアー(商品名)、UB−2マットクリアー(商品名)、RL厚盛メジウム(商品名)、FG厚盛クリアー(商品名)、オーバーコートクリアー(商品名)などを適用することができる。
【0020】
FUNCOAT(表面加飾)粉末としてはは、DP−1(商品名)、UF−1(商品名)、UB200(商品名)、UB400(商品名)、UB800(商品名)などを適用することができる。
【0021】
COLOSER(機能性色素)インキ(商品名)としては、COLOSERBL(コロセルBL)(商品名)、COLOSERIFN(商品名)、COLOSER蓄光(商品名)、COLOSERPRISM(商品名)などを適用することができる。
【0022】
特殊色インキとしては、ハーフトーンインキ(商品名)、透明インキ(商品名)、蛍光インキ(商品名)、EXOインキ(商品名)などを適用することができる。
【0023】
特殊色用顔料としては、蛍光顔料、アルミペースト(商品名)、金粉(ブロンズ粉)、パール顔料(商品名)、蓄光顔料などを適用することができる。
【0024】
JELCON(機能性)インキとしては、絶縁インキ、導電性インキ、UVカットクリア、ホットメルト接着剤、スペーサーインキ、マスキングインキ、スクラッチインキ、すべり止めインキ、感圧接着剤などを適用することができる。
【0025】
溶剤型(蒸発乾燥型)インキとしては、標準型、玩具型用ビニールインキ、ビニールインキH型ハーフトーンなどを適用することができる。
【0026】
このように構成された本発明の請求項1に係る光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法、本発明の請求項8に係る光学式ロータリーエンコーダ板によれば、ガラス製基板に代えてプラスチック製基板を用いているため、軽量な光学式ロータリーエンコーダ板を、比較的簡素な製造工程で製造することができ、製造コストを抑制することができる。
【0027】
そして、耐熱性、耐湿性、耐衝撃性を向上させた光学式ロータリーエンコーダ板を製造することができる。
【0028】
また、フォトリソグラフィ法等の複雑な工程に代えて、工程が簡易であるスクリーン印刷によってエンコーダパターンを形成しているため、製造コストを抑制するとともに環境性を向上させることができる。
【0029】
本発明の請求項2に係る光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法は、請求項1に係る光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法において、前記所定インク剤が、前記エンコーダパターンのうち、光の遮蔽部を形成することを特徴とする。
【0030】
また、本発明の請求項9に係る光学式ロータリーエンコーダ板は、請求項8に係る光学式ロータリーエンコーダ板において、前記所定インク剤が、前記エンコーダパターンのうち、光の遮蔽部を形成していることを特徴とする。
【0031】
このように構成された本発明の請求項2に係る光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法、本発明の請求項9に係る光学式ロータリーエンコーダ板によれば、所定インク剤が印刷された部分を遮蔽部、印刷されていない部分を透過部とするエンコーダパターンの透過型の光学式ロータリーエンコーダ板を製造することができる。
【0032】
本発明の請求項3に係る光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法は、請求項1に係る光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法において、前記所定インク剤が、前記エンコーダパターンのうち、光の反射部を形成することを特徴とする。
【0033】
また、本発明の請求項10に係る光学式ロータリーエンコーダ板は、請求項8に係る光学式ロータリーエンコーダ板において、前記所定インク剤が、前記エンコーダパターンのうち、光の反射部を形成していることを特徴とする。
【0034】
このように構成された本発明の請求項3に係る光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法、本発明の請求項10に係る光学式ロータリーエンコーダ板によれば、所定インク剤が印刷された部分を反射部、印刷されていない部分を非反射部または低反射部とするエンコーダパターンの反射型の光学式ロータリエンコーダ板を製造することができる。
【0035】
本発明の請求項4に係る光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法は、プラスチック製基板上に金属膜を蒸着させ、該金属膜上にエンコーダパターンを、所定インク剤によりスクリーン印刷することを特徴とする。
【0036】
また、本発明の請求項11に係る光学式ロータリーエンコーダ板は、プラスチック製基板上に金属膜が蒸着され、該金属膜上にエンコーダパターンが、所定インク剤によりスクリーン印刷されて形成されていることを特徴とする。
【0037】
ここで、所定インク剤は金属膜よりも、投光される光に対する反射率が低いものであればよい。
【0038】
このように構成された本発明の請求項4に係る光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法、本発明の請求項11に係る光学式ロータリーエンコーダ板によれば、ガラス製基板に代えてプラスチック製基板を用いているため、軽量な光学式ロータリーエンコーダ板を、比較的簡素な製造工程で製造することができ、製造コストを抑制することができる。
【0039】
そして、耐熱性、耐湿性、耐衝撃性を向上させた光学式ロータリーエンコーダ板を製造することができる。
【0040】
また、フォトリソグラフィ法等の複雑な工程に代えて、工程が簡易であるスクリーン印刷によってエンコーダパターンを形成しているため、製造コストを抑制するとともに環境性を向上させることができる。
【0041】
本発明の請求項5に係る光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法は、請求項4に係る光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法において、前記所定インク剤が、前記エンコーダパターンのうち、光の遮蔽部を形成することを特徴とする。
【0042】
また、本発明の請求項12に係る光学式ロータリーエンコーダ板は、請求項11に係る光学式ロータリーエンコーダ板において、前記所定インク剤が、前記エンコーダパターンのうち、光の遮蔽部を形成していることを特徴とする。
【0043】
このように構成された本発明の請求項5に係る光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法、本発明の請求項12に係る光学式ロータリーエンコーダ板によれば、所定インク剤が印刷された部分を遮蔽部、印刷されていない部分を反射部とするエンコーダパターンの反射型の光学式ロータリエンコーダ板を製造することができる。
【0044】
本発明の請求項6に係る光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法は、請求項1から5のうちいずれか1項に記載の光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法において、前記所定インク剤がスクリーン印刷されたプラスチック製基板を所定形状に加工することを特徴とする。
【0045】
また、本発明の請求項13に係る光学式ロータリーエンコーダ板は、請求項8から12のうちいずれか1項に記載の光学式ロータリーエンコーダ板において、前記所定インク剤がスクリーン印刷されたプラスチック製基板が、所定形状に加工されていることを特徴とする。
【0046】
このように構成された本発明の請求項6に係る光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法、本発明の請求項13に係る光学式ロータリーエンコーダ板によれば、基板がプラスチックであるため、従来のガラス製基板よりも加工が容易であり、ロータリーエンコーダ板としての円板形状等の所定形状に、容易に加工することができる。
【0047】
本発明の請求項7に係る光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法は、請求項1から6のうちいずれか1項に係る光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法において、前記プラスチック製基板はプラスチックシートまたはプラスチックフィルムであることを特徴とする。
【0048】
また、本発明の請求項14に係る光学式ロータリーエンコーダ板は、請求項8から13のうちいずれか1項に係る光学式ロータリーエンコーダ板において、前記プラスチック製基板はプラスチックシートまたはプラスチックフィルムであることを特徴とする。
【0049】
ここで、プラスチックフィルムとしては例えば、JSR製の「ARTON」(登録商標)フィルム等を適用することができる。
【0050】
このフィルムは、特公昭57−8815号公報、特開平7−62028号公報、特開平6−238805号公報等に示されているように、分子内に極性基を有するノルボルネン樹脂であり、光ディスク、非球面レンズ、眼鏡レンズ、光学透明フィルムやシート等に広く用いることができる。
【0051】
また、このフィルムは、光学特性や耐熱性などのほか、極性基を有するため、有機、無機材料に対する親和性が優れており、塗料、トナーなどの密着性に優れており、上述した各発明における所定インク剤のスクリーン印刷との適応性が高く、非常に好ましい。
【0052】
このように構成された本発明の請求項7に係る光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法、本発明の請求項14に係る光学式ロータリーエンコーダ板によれば、基板が板状体よりも可撓性の高いシートやフィルムであるため、製造時の取扱い等を容易なものとすることができる。
【0053】
なお、上述した本発明に係る各光学式ロータリーエンコーダ板は、スクリーン印刷された基板面上に、透明なプラスチック等によって保護層を設けてもよく、スクリーン印刷されたエンコーダパターンの耐久性を向上させることができる。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る光学式ロータリーエンコーダ板およびこのエンコーダ板の製造方法についての実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0055】
図1は、本発明の一実施形態に係る光学式ロータリーエンコーダ板10を示す斜視図である。
【0056】
図示の光学式ロータリーエンコーダ板10は、透明プラスチック製基板11の一方の面上に、このエンコーダ板10に投光される光(LED光等)Lの反射特性が低い遮蔽層12が形成され、さらにこの遮蔽層12上に、所定インク剤によってエンコーダパターン13がスクリーン印刷され、このエンコーダパターン13の全面を覆う保護層14が形成され、全体として円板形状に加工された反射型のロータリーエンコーダ板である。
【0057】
ここで、基板11としては、例えばJSR製の「ARTON」(登録商標)フィルムが適用される。
【0058】
このフィルムは、光学特性や耐熱性等が優れるほか、極性基を有するため有機材料および無機材料に対する親和性が優れており、塗料やトナーなどの密着性に優れている。
【0059】
遮蔽層12は、投光される光Lを反射しにくい特性を有する材料によって形成されたものであればよく、投光される光Lを吸収する特性を有するものであることが好ましい。
【0060】
エンコーダパターン13は、所定インク剤が印刷された反射部13aと所定インク剤が塗布されていない遮蔽部13bとが円周上に所定の角度間隔で繰返し形成されたパターンであり、反射部13aの円周方向の線幅は、15μm〜180μm程度である。
【0061】
そして、反射部13aを形成する所定インク剤としては、例えば、レイキュアー(UV硬化型)インキ(商品名)が用いられている。
【0062】
なお、このレイキュアーインキに代えて、FUN−COAT(表面加飾)インキ(商品名)、表面加飾用UVクリアー(商品名)、FUNCOAT(表面加飾)粉末、COLOSER(機能性色素)インキ(商品名)、特殊色インキ、特殊色用顔料、JELCON(機能性)インキ(商品名)、熱硬化型(反応型)インキ、溶剤型(蒸発乾燥型)インキ、アクアセット(水性型)インキ等を用いてもよい。
【0063】
保護層14としては、基板11と同様に、JSR製の「ARTON」(登録商標)フィルムが用いられている。
【0064】
次に、本実施の形態の光学式ロータリーエンコーダ板10の製造方法について説明する。
【0065】
まず、適当な形状に形成された基板11上に、スクリーン印刷等によって遮蔽層12を形成する。
【0066】
次いで、この遮蔽層12上に、前述したエンコーダパターン13の反射部13aに対応する開口が形成されたステンレスメッシュ製のスクリーン印刷版(図示せず)を配置し、上述したレイキュアーインキによって、エンコーダパターン13をスクリーン印刷する。
【0067】
次いで、このエンコーダパターン13が形成された遮蔽層12上に、保護層14を形成する。
【0068】
そして、この基板11、遮蔽層12、エンコーダパターン13および保護層14からなる製品を、パンチやカッター等の機械加工装置によって、エンコーダパターン13の外周縁から、このエンコーダパターン13の半径方向外側に一定距離(数mm〜十数mm)となる円形状に、カットする。
【0069】
以上の工程を経て、上記図1に示した本実施の形態に係る反射型の光学式ロータリーエンコーダ板10を製造することができる。
【0070】
そしてこのように製造され、構成された光学式ロータリーエンコーダ板10によれば、ガラス製基板に代えてプラスチック製基板11を用いているため、軽量な光学式ロータリーエンコーダ板10を、比較的簡素な製造工程で製造することができ、製造コストを抑制することができる。
【0071】
そして、耐熱性、耐湿性、耐衝撃性を向上させた光学式ロータリーエンコーダ板10を製造することができる。
【0072】
また、フォトリソグラフィ法等の複雑な工程に代えて、工程が簡易であるスクリーン印刷によってエンコーダパターン13を形成しているため、製造コストを抑制するとともに環境性を向上させることができる。
【0073】
また、本実施の形態に係る光学式ロータリーエンコーダ板10は、基板11がプラスチックであるため、従来のガラス製基板よりも加工が容易であり、ロータリーエンコーダ板10としての円板形状等の所定形状に、容易に加工することができる。
【0074】
なお、本実施の形態に係る光学式ロータリーエンコーダ板10は、基板11上に遮蔽層12を形成して、反射部13aと遮蔽部13bとからなるエンコーダパターン13を形成したものであるが、遮蔽層12を設けない構成を採用することもできる。
【0075】
この場合、反射部13a以外の部分は、光Lの透過部となるが、反射型の光学式ロータリーエンコーダ板10では、反射部13aでの光Lの反射光L1の強度と透過部での反射光L1の強度との差が有意であればよい。
【0076】
なお、基板11は光透過性の高いものであってもよいし、光透過性の低いものであってもよいが、光透過性の低い基板11は光透過性の高い基板11よりも、保護層14との界面での反射率が大きくなりやすいため、反射型の光学式ロータリーエンコーダ板においては光透過性の高い基板11を適用するのが好ましい。
【0077】
一方、反射部13aを形成する所定インク剤を低反射のもの、特に光吸収性の高いものとして、この所定インク剤が印刷された部分を遮蔽部とし、所定インク剤が印刷されていない部分を反射部とするエンコーダパターンを形成することもできる。
【0078】
この場合は、基板11と保護層14との界面での反射率を大きくして反射部を形成させるために、基板として光透過性の低い基板11、特に反射率の高い基板11を適用するのが好ましい。
【0079】
また、基板11自体を光透過性の低いものとするのではなく、図1に示した遮蔽層12に代えて、反射率の大きい金属膜を蒸着等によって形成し、あるいは反射率を高めるように適当に磨いた金属板などを反射層として形成してもよい。
【0080】
一方、基板11を光透過性の高いものとするとともに、所定インク剤を光透過性の低いものとして、透光部と遮光部(遮蔽部)とからなるエンコーダパターンの透過型の光学式ロータリーエンコーダ板を構成することもできる。
【0081】
この場合は、図1に示した遮蔽層12を設けない構成とする必要がある。
【0082】
以上の各態様の光学式ロータリーエンコーダ板においても、上述した本実施の形態に係る光学式ロータリーエンコーダ板と同様の作用、効果を得ることができる。
【0083】
なお、上記実施の形態に係る光学式ロータリーエンコーダ板10は、保護層14を具備するものであるが、本発明に係る光学式ロータリーエンコーダ板およびその製造方法は、必ずしもこの保護層14を具備する必要はなく、例えば図2(a)に示すように基板11を下面側に配置したものや、同図(b)に示すように基板11を上面側に配置したもの等としてもよい。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1に係る光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法、請求項8に係る光学式ロータリーエンコーダ板によれば、ガラス製基板に代えてプラスチック製基板を用いているため、軽量な光学式ロータリーエンコーダ板を、比較的簡素な製造工程で製造することができ、製造コストを抑制することができる。
【0085】
そして、耐熱性、耐湿性、耐衝撃性を向上させた光学式ロータリーエンコーダ板を製造することができる。
【0086】
また、フォトリソグラフィ法等の複雑な工程に代えて、工程が簡易であるスクリーン印刷によってエンコーダパターンを形成しているため、製造コストを抑制するとともに環境性を向上させることができる。
【0087】
また、本発明の請求項2に係る光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法、本発明の請求項9に係る光学式ロータリーエンコーダ板によれば、透過型の光学式ロータリエンコーダ板を製造することができる。
【0088】
また、本発明の請求項3に係る光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法、本発明の請求項10に係る光学式ロータリーエンコーダ板によれば、反射型の光学式ロータリエンコーダ板を製造することができる。
【0089】
また、本発明の請求項4に係る光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法、本発明の請求項11に係る光学式ロータリーエンコーダ板によれば、ガラス製基板に代えてプラスチック製基板を用いているため、軽量な光学式ロータリーエンコーダ板を、比較的簡素な製造工程で製造することができ、製造コストを抑制することができる。
【0090】
そして、耐熱性、耐湿性、耐衝撃性を向上させた光学式ロータリーエンコーダ板を製造することができる。
【0091】
また、フォトリソグラフィ法等の複雑な工程に代えて、工程が簡易であるスクリーン印刷によってエンコーダパターンを形成しているため、製造コストを抑制するとともに環境性を向上させることができる。
【0092】
また、本発明の請求項5に係る光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法、本発明の請求項12に係る光学式ロータリーエンコーダ板によれば、反射型の光学式ロータリエンコーダ板を製造することができる。
【0093】
また、本発明の請求項6に係る光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法、本発明の請求項13に係る光学式ロータリーエンコーダ板によれば、基板がプラスチックであるため、従来のガラス製基板よりも加工が容易であり、ロータリーエンコーダ板としての円板形状等の所定形状に、容易に加工することができる。
【0094】
また、本発明の請求項7に係る光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法、本発明の請求項14に係る光学式ロータリーエンコーダ板によれば、基板が板状体よりも可撓性の高いシートやフィルムであるため、製造時の取扱い等を容易なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光学式ロータリーエンコーダ板の一実施の形態を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)におけるA−A線断面を示す断面図である。
【図2】本発明に係る光学式ロータリーエンコーダ板の他の実施の形態(保護層を設けない形態)を示す図1(b)相当の断面図であり、(a)は基板11を下面側に配置した構成のエンコーダ板を示す断面図、(b)は基板11を上面側に配置した構成のエンコーダ板を示す断面図である。
【符号の説明】
10 光学式ロータリーエンコーダ板
11 基板
12 遮蔽層
13 エンコーダパターン
13a 反射部
13b 遮蔽部
14 保護層
Claims (14)
- プラスチック製基板上にエンコーダパターンを、所定インク剤によりスクリーン印刷することを特徴とする光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法。
- 前記所定インク剤が、前記エンコーダパターンのうち、光の遮蔽部を形成することを特徴とする請求項1に記載の光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法。
- 前記所定インク剤が、前記エンコーダパターンのうち、光の反射部を形成することを特徴とする請求項1に記載の光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法。
- プラスチック製基板上に金属膜を蒸着させ、該金属膜上にエンコーダパターンを、所定インク剤によりスクリーン印刷することを特徴とする光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法。
- 前記所定インク剤が、前記エンコーダパターンのうち、光の遮蔽部を形成することを特徴とする請求項4に記載の光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法。
- 前記所定インク剤がスクリーン印刷されたプラスチック製基板を所定形状に加工することを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1項に記載の光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法。
- 前記プラスチック製基板はプラスチックシートまたはプラスチックフィルムであることを特徴とする請求項1から6のうちいずれか1項に記載の光学式ロータリーエンコーダ板の製造方法。
- プラスチック製基板上にエンコーダパターンが、所定インク剤によりスクリーン印刷されて形成されていることを特徴とする光学式ロータリーエンコーダ板。
- 前記所定インク剤が、前記エンコーダパターンのうち、光の遮蔽部を形成していることを特徴とする請求項8に記載の光学式ロータリーエンコーダ板。
- 前記所定インク剤が、前記エンコーダパターンのうち、光の反射部を形成していることを特徴とする請求項8に記載の光学式ロータリーエンコーダ板。
- プラスチック製基板上に金属膜が蒸着され、該金属膜上にエンコーダパターンが、所定インク剤によりスクリーン印刷されて形成されていることを特徴とする光学式ロータリーエンコーダ板。
- 前記所定インク剤が、前記エンコーダパターンのうち、光の遮蔽部を形成していることを特徴とする請求項11に記載の光学式ロータリーエンコーダ板。
- 前記所定インク剤がスクリーン印刷されたプラスチック製基板が、所定形状に加工されていることを特徴とする請求項8から12のうちいずれか1項に記載の光学式ロータリーエンコーダ板。
- 前記プラスチック製基板はプラスチックシートまたはプラスチックフィルムであることを特徴とする請求項8から13のうちいずれか1項に記載の光学式ロータリーエンコーダ板。
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