JP2004043433A - モルフォリノケトン誘導体及びその用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】新規なモルフォリノケトン誘導体及びその用途を提供する。
【解決手段】下記一般式、
〔式中、X1及びX2は、H、S、N、O又はNR(Rはアルキル基を表わす。)を表わし、X1及びX2はHでない場合、X1=X2であり、R´は、アルキレン基又は−(CH2OCH2)P−(Pは整数を表わす。)を表わし、R1及びR2は、各々独立してH、フェニル基、アルキル基、アルケニル基、或いはアルコキシ基を表わし、R3及びR4は、各々独立してアルキル基を表わし、或いは、R3及びR4がつながっている窒素原子と
のいずれかの環式基を形成することを表わし、R5は、水素原子等を表わし、kは0から2の整数であり、mは2から5の整数であり、nは1から20の整数である。〕で表わされるモルフォリノケトン誘導体
【選択図】 なし
【解決手段】下記一般式、
〔式中、X1及びX2は、H、S、N、O又はNR(Rはアルキル基を表わす。)を表わし、X1及びX2はHでない場合、X1=X2であり、R´は、アルキレン基又は−(CH2OCH2)P−(Pは整数を表わす。)を表わし、R1及びR2は、各々独立してH、フェニル基、アルキル基、アルケニル基、或いはアルコキシ基を表わし、R3及びR4は、各々独立してアルキル基を表わし、或いは、R3及びR4がつながっている窒素原子と
のいずれかの環式基を形成することを表わし、R5は、水素原子等を表わし、kは0から2の整数であり、mは2から5の整数であり、nは1から20の整数である。〕で表わされるモルフォリノケトン誘導体
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光重合開始剤として使える新規なモルフォリノケトン誘導体及びその用途に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
UV硬化印刷法は、従来の平板印刷術に比べてより広く応用されており、従来の印刷インキ例えばリソグラフィクインキ、オフセットインキ、凸版インキ、フレキソインキ、グラビアインキ、シルクスクリンインキなどの製造に用いるだけでなく、印刷配線板、フォトレジスト、ソルダマスクや誘電基板の製造にも使われる。通常、UV硬化印刷法において、バインダー、光重合可能なモノマー及び光重合開始剤の使用が必要であり、光重合開始剤が、UV光の照射によって短時間でモノマーを重合させ、ポリマーを生成させる。
【0003】
従来から、不飽和モノマー及びプレポリマーの光化学重合法は周知であり、幅広く利用されている。米国特許第3,661,614号では、(1)約20〜98 重量%のペンタエリスリトールアクリレート、メタクリレート又はイタコネート、(2)約2〜80重量%のハロゲン原子が芳香族または脂環状化合物の環式骨格及び脂肪族の炭素鎖に直結したハロゲン化芳香族、脂環族又は脂肪族炭化水素光重合開始剤、及び (3)着色剤を含有することを特徴とする照射硬化性の無溶媒印刷インキが開示されている。
【0004】
また、米国特許第4,672,079号には、重合性又は重合可能な芳香族―脂肪族ケトン、好ましくは、2−ヒドロキシ−2−メチル(4−ビニルプロピオフェノン)、2−ヒドロキシ−2−メチル−p−(1−メチルビニル)プロピオフェノン、p−ビニルベンゾイルシクロヘキサノール、p−(1−メチルビニル)ベンゾイル−シクロヘキサノール、及びそれらの低重合及び重合生成物をエチレン性不飽和のモノマー及びプレポリマーを光重合させるための光重合開始剤とすることが開示されている。
【0005】
次いで、米国特許第4,943,516には、(a)1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を有する感光性プレポリマー、(b)光重合開始剤、(c)希釈剤としての光重合可能なビニルモノマー及び/または有機溶剤、及び(d)その分子内に少なくとも2つのエポキシ基を有すると共に使用される希釈剤にある程度溶解する微細粉末のエポキシ化合物、場合によってさらに(e)エポキシ樹脂のための硬化剤を含有する感光熱硬化性樹脂が開示されており、当該感光熱硬化性樹脂は現像性及び感光性が優れて有効保存時間が長いとある。上記感光熱硬化性樹脂組成物が塗布、露光、現像及びポスト硬化処理を経て、形成されるレジストパターンによれば、粘着力や、絶縁抵抗、電食抵抗に優れている。
【0006】
さらに、米国特許第4,582,862号には、(a)オレフィン性不飽和光重合可能なバインダー、(b)5〜60重量%の顔料、及び(c)0.1〜20重量%の式(I)で表わされる光重合開始剤を含有する光硬化可能な着色組成物が開示されている。具体的には、この特許に開示されている2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン(MMMP)は、すでに光重合開始剤として、例えばソルダマスク及びUVインキのような顔料系UVシステムに汎用されている。MMMPは、自体のノンイエロ特性を損わずに十分な光速度及び機械性質が得られると言われている。
【0007】
【化4】
【0008】
しかしながら、MMMPを使用すると、硬化後処理において揮発性硫黄残留物による悪臭が問題となる。この臭いは、MMMPの光破砕性によって生じる例えば4−メチルチオベンズアルデヒドから出る揮発性臭気であり、UVインキまたはソルダマスクに用いられる場合、軽度から不快感の程度までさまざまであるが、利用上限度がある。
【0009】
上記光重合開始剤を利用する際の制限により、使用者は、MMMPにおける問題である臭いを我慢するか、代りにMMMP誘導体を使用するかの選択に迫られる(Luigi Angiolini et al., Journal of Applied. Polymer Science (1995), 55: 1477−1488; US 4,582,862, US 5,145,885, US 5,506,279, US 5,837,746, WO 96/20795及びUS 6,048,667に参照)。その中、例えば米国特許第5,145,885号は、MMMPに代えて2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(BDMB)を使用することを提案している。
【0010】
【化5】
【0011】
また、主としてMMMPまたはBDMBを使って光重合開始剤とするシアン系のような顔料系においては、光重合開始剤が全部混ざり合うまで摺る必要があるが、摺り過ぎると、硬化を早めインキの粘度を増したり果てはゲル化してしまう恐れもある。そのため、重合安定剤例えばハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)を添加しなければならないが、そうすると光速度を遅らせる恐れもある。また、MMMP及びBDMBを使用することによってインキの粘度を増すので、例えばフレキソインキなどの低粘度が必要であるものには向かない。
【0012】
上記従来の技術がもたらした問題点に鑑み、光重合開始剤として光重合可能な組成物に用いるための新規な材料の開発が期待される。
【0013】
【特許文献】
米国特許第3661614号明細書
【0014】
【特許文献】
米国特許第4672079号明細書
【0015】
【特許文献】
米国特許第4943516号明細書
【0016】
【特許文献】
米国特許第4582862号明細書
【0017】
【特許文献】
米国特許第5145885号明細書
【0018】
【特許文献】
米国特許第5506279号明細書
【0019】
【特許文献】
米国特許第5837746号明細書
【0020】
【特許文献】
国際公開第96/20795号パンフレット
【0021】
【特許文献】
米国特許第6048667号明細書
【0022】
【非特許文献】
Luigi Angiolini et al., Journal of Applied. Polymer Science (1995), 55: 1477−1488
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記にもとづき、本発明は、下記一般式(I)で表わす新モルフォリノケトン誘導体を提供しようとすることを目的とする。
【0024】
【化6】
【0025】
式中、
X1は、H、S、N、O又はNR(ここでRは炭素数1から12のアルキル基を表わし)を表わし、
X2は、H、S、N、O又はNR(ここでRは炭素数1から12のアルキル基を表わし)を表わし、X1及びX2はHでない場合、X1=X2であり、
R´は、炭素数1から12のアルキレン基又は−(CH2OCH2)P−(ここでPは1から4の整数を表わし)を表わし、
R1及びR2は、各々独立してH、フェニル基、又はフェニル基によって置換されてよい炭素数1から12のアルキル基、炭素数2から12のアルケニル基、或いは炭素数1から12のアルコキシ基を表わし、
R3及びR4は、各々独立してヒドロキシ基によって置換されてもよい炭素数1から6のアルキル基を表わし、
或いは、R3及びR4がつながっている窒素原子と
【0026】
【化7】
【0027】
のいずれかの環式基を形成することを表わし、
R5は、H、F、Cl、Br、I、ニトロ基、フェニル基、炭素数1から12のアルキル基又は炭素数1から12のアルコキシ基を表わし、
X1又はX2が、Hであるとき、kは0であり、X1又はX2が、S、O又はNRであるとき、kは1であり、X1又はX2が、Nであるとき、kは2であり、
mは2から5の整数であり、
kが1であるとき、nは1から20の整数であり、
kが2であるとき、n=n1+n2≦20、ただし、n1及びn2のいずれも、1から10の整数である。
【0028】
本発明はまた、式(I)で表わされる化合物の用途をも包括する。例えば本発明者は、式(I)の化合物は光重合開始剤としても有用であることを発見した。従って、本発明の式(I)の化合物を、光重合単量体化合物とで、光重合可能な組成物例えば印刷インキを作ることができる。
【0029】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の範囲に限定されるものではない。
【0030】
【発明の実施の形態】
MMMPから生じた臭気の問題を解決するために、本発明者は、MMMPのメチルチオ基部分にポリマー鎖をつなぐことによって、MMMPの分子構造を変えるいつくかの実験をし、下記の一般式(I)で表わす化合物を得た。
【0031】
【化8】
【0032】
式中、
X1は、H、S、N、OまたはNR(ここでRは炭素数1から12のアルキル基を表わし)を表わし、
X2は、H、S、N、O又はNR(ここでRは炭素数1から12のアルキル基を表わし)を表わし、
X1及びX2はHでない場合、X1=X2であり、
R´は、炭素数1から12のアルキレン基又は−(CH2OCH2)P−(Pは1から4の整数である)を表わし、
R1及びR2は、各々独立してH、フェニル基、又はフェニル基によって置換されてもよい炭素数1から12のアルキル基、炭素数2から12のアルケニル基、或いは炭素数1から12のアルコキシ基を表わし、
R3及びR4は、各々独立して水酸基によって置換されてもよい炭素数1から6のアルキル基を表わし、
或いは、R3及びR4がつながっている窒素原子と
【0033】
【化9】
【0034】
のいずれかの環式基を形成することを表わし、
R5は、H、F、Cl、Br、I、ニトロ基、フェニル基、炭素数1から12のアルキル基又は炭素数1から12のアルコキシ基を表わし、
X1又はX2が、Hであるとき、kは0であり、X1又はX2がS、O又はNRであるとき、kは1であり、X1又はX2がNであるとき、kは2であり、
mは2から5の整数であり、
kは1であるとき、nは1から20の整数であり、
kは2であるとき、n=n1+n2 <20であり、ただし、n1及びn2いずれかは、1から10の整数である。
【0035】
好ましい実施例としては、mは5である。
【0036】
好ましい実施例としては、R´は炭素数1から6のアルキレン基であり、特に、エチレン基、−(CH2OCH2)−、又は−CH2OCH2CH2OCH2−である。
【0037】
好ましい実施例としては、R1又はR2は各自が一つのメチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基置換のメチル基及びフェニル基置換のプロピル基のいずれかであり、特に、R1とR2はいずれもメチル基であることがより好ましい。他の実施例としては、R1はフェニル基置換のメチル基であり、R2はエチル基である。
【0038】
好ましい実施例としては、R3及びR4は各自が一つのメチル基、エチル基、プロピル基及び水酸基置換のプロピル基のいずれかであり、特に、R3及びR4はいずれもメチル基であることがより好ましい。
【0039】
また他の実施例としては、R3及びR4はつながっている窒素原子と、
【0040】
【化10】
【0041】
を形成することがより好ましい。
【0042】
さらに、好ましい実施例としては、R5はH、F、Cl、Br、I、フェニル基又は炭素数1から6のアルキル基であり、とりわけ、R5がHであることがより好ましい。
【0043】
好ましい実施例において、X1及びX2の一方はS又はOであって、他方はHであり、nは3であるのが好ましく、nが6のときの実施例も悪くない。
【0044】
さらに、好ましい実施例としては、X1及びX2の一方はSであって、他方はHであり、R´はエチレン基であり、R1及びR2は各自がメチル基であり、R3及びR4はつながっている窒素原子と
【0045】
【化11】
【0046】
を形成し、R5はHであり、且つmは5である。
【0047】
他にも、X1及びX2の一方はNであって他方がHであり、且つn1+n2は6である実施例もある。
【0048】
他にも好ましい実施例としては、X1及びX2の一方はNであって他方がHであり、R´はエチレン基を表わし、R1及びR2は各自が別個のメチル基を表わし、R3及びR4はつながっている窒素原子と共に
【0049】
【化12】
【0050】
を形成し、R5はHであり、mは整数の5であり、n1+n2=6の例もある。
【0051】
さらに、好ましい実施例としては、X1及びX2の一方はNR(ここでRは炭素数1から6のアルキル基を表わし)であって他方がHであり、特にX1及びX2の一方はNCH3であって他方がHであり、R1はフェニル基置換のメチル基であってR2はエチル基であり、R3及びR4のいずれもメチル基であることが好ましい。他にも、X1及びX2の一方はNC2H5であって他方がHであり、R1はフェニル基置換のメチル基であってR2はエチル基であり、R3及びR4のいずれもメチル基である例もある。
【0052】
一般式(I)の化合物としては、式(II)の化合物を式(III)のラクトン化合物によって反応させる工程を有する方法により製造することができる。
【0053】
【化13】
【0054】
式中、
R1、R2、R3、R4、及びR5は、上式(I)における定義と同一であり、
X1は、H、S,N、O又はNR(ここで、Rは炭素数1から12のアルキル基を表わし)を表わし、
X2は、H、S、N、O又はNR(ここで、Rは炭素数1から12のアルキル基を表わし)を表わし、
sは0又は1であり、
X1及びX2のいずれもがHでないとき、X1=X2であり、且つsは1であり、X1又はX2がHであるとき、sは0であり、
【0055】
【化14】
【0056】
ただし、qは、1から4の整数であるとする。
【0057】
式(II)の化合物に関しては、従来よく知られている方法例えば、Luigi Angiolini et al., Journal of Applied. Polymer Science (1995), 55: 1477−1488やUS 4,582,862、US 5,145,885、US 5,506,279、US 5,837,746、WO 96/20795、US 6,048,667などの従来の技術に開示されている合成手順によって作ることができる。
【0058】
本発明にかかる方法に用いられる式(III)のラクトン化合物は、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン及びε−カプロラクトンのいずれかであり、好ましい実施例としては、式(III)のラクトン化合物がε−カプロラクトンによるのがある。上記ラクトン化合物は、例えば、DAICEL化学社より市販の品がある。
【0059】
ポリマー鎖として上記式(III)のラクトン化合物を使ってMMMPらしい化合物につなぐことは、下記のような利点がある。即ち、
1.生成物の分子量が容易に制御される、
2.顔料濡れ性が高い、
3.UV安定性が高い、
4.毒性が低い(生物分解性)、及び
5.粘性が低い。
【0060】
本発明の方法は、上記式(III)のラクトン化合物の開環重合に用いられる触媒によって行うことができる。本発明の方法に用いられる触媒としては、例えば、テトラエチルチタネート(tetraethyl titanate)、テトラプロピルチタネート(tetrapropyl titanate)、テトラブチルチタネートなどのチタン化合物、オクタン酸第一錫(stannous octoate)、ジブチル錫オキシド(dibutyl−tin−oxide)、ジブチル錫ジラウレート(dibutyl−tin−dilaurate)、ブチル錫トリス(アルカノネート)(n−butyl−tin tris(alkanoate))などの有機錫化合物、クロロ化第一錫(stannous chloride)、臭化第一錫(stannous bromide)などのハロゲン化第一錫化合物(米国特許第6,037,393号に参照)を使用することができる。
【0061】
好ましい実施例としては、本発明の方法を錫含有の触媒の存在下において行うことである。特に、触媒のn−ブチル錫トリス(アルカノエート)(n−butyl−tin tris(alkanoate))例えばSCAT−24の下で行うことがより好ましい。
【0062】
本発明の方法に用いられる式(II)で表わす化合物としては、下記一般式(II´)の化合物を下記一般式(IV)で表わす化合物と反応して生成させて作ると好ましい。
【0063】
【化15】
【0064】
式中、
R1、R2、R3、R4及びR5いずれも、上式(I)における定義と同一であり、
Y1は、H、F、Cl、Br、I、又はシアノ基を表わし、
Y2も、H、F、Cl、Br、I、又はシアノ基を表わし、
Y1及びY2は、Hでないときは、Y1=Y2である。
【0065】
R”XR´OH (IV)
式中、
Xは、S、NH、OまたはNR(ここで、Rは炭素数1から12のアルキル基を表わし)を表わし、
R´は、上式(I)における定義と同じく、且つ、XがS、O又はNRであるとき、R”はHであり、XがNHであるとき、R”はR´OHである。
【0066】
上式(II’)化合物は、周知の方法によって作ることができ、例えば、米国特許第4,582,862号にかかる方法を参照し、下記の工程の如く、対応するアリールアルキルケトン化合物内にアミノ基を導入して合成製造される。
【0067】
【化16】
【0068】
その中、Halはハロゲンを表わし、R1からR5及びY1とY2は上式(II’)における定義と同一である。
【0069】
本発明に用いられる式(II’)化合物におけるY1及びY2の一方はHであり、他方がF、Cl、Br又はIである。好ましい実施例としては、Y1及びY2の一方がHであり、他方がF又はClである。他にも、本発明に用いられる式(II’)化合物におけるY1及びY2のいずれもF又はClである例もある。
【0070】
好ましい実施例としては、本発明に用いられる式(II’)化合物におけるR1及びR2のそれぞれは、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、フェニル置換のメチル基及びフェニル基置換のプロピル基のいずれかであり、とりわけ、R1及びR2のいずれかはメチル基であるとより好ましい。他にも、R1はフェニル基置換のメチル基であり、R2はエチル基である例もある。
【0071】
本発明に用いられる式(II’)化合物としては、R3及びR4がつながっている窒素原子と
【0072】
【化17】
【0073】
を形成するものとする。
【0074】
また、式(II’)化合物において、R3及びR4それぞれは、メチル基、エチル基、プロピル基及びヒドロキシ基置換のプロピル基のいずれかであることが好ましい。
【0075】
また、本発明に用いられる式(II’)化合物において、R5はH、F、Cl、Br、I、フェニル基、又は炭素数1から6のアルキル基であることが望ましく、とりわけ、Hであるとより好ましい。
【0076】
上記式(IV)化合物は、例えばBASF社の市販品がある。
【0077】
また、本発明に用いられる式(IV)化合物は、HS(R´OH)であり、式中、R´はエチレン基であると好ましく、他にも、NH(R´OH)2であって、式中、R´が、エチレン基であってもよい。他に、本発明に用いられる式(IV)化合物は、RNH(R´OH)であり、式中、Rはメチル基又はエチル基であり、R´はエチレン基である例もある。
【0078】
本発明においては、下記の式(II’)化合物及び下記の式(IV)化合物を用いて式(I)化合物を製造するのも好ましい。ここで、式(II’)化合物としては、Y1及びY2の中の一方はHであり、他方はF、Cl、Br、またはIであり、R1及びR2のそれぞれはメチル基であり、R3及びR4はつながっている窒素原子と
【0079】
【化18】
【0080】
を形成し、R5はHとする。そして、式(IV)化合物としては、HS(R´OH)であり、式中R´はエチレン基である。また、このようにして生成された式(II)化合物は、ε−カプロラクトンと反応させることによってX1及びX2のいずれかがSであり、他方はHである式(I)化合物を生成する。
【0081】
また、本発明の方法において下記の式(II’)化合物及び式(IV)化合物を用いてもよい。この例では、式(II’)化合物として、Y1及びY2の一方がHであり、他方はFまたは、Cl、Br、Iのいずれかであり、R1及びR2のそれぞれはメチル基とされ、R3及びR4はつながっている窒素原子と
【0082】
【化19】
【0083】
を形成し、且つR5はHである。他方、式(IV)化合物は、NH(R´OH)2であり、式中、R´はエチレン基であるものとする。このように形成された式(II)化合物は、直接ε−カプロラクトンと反応させることによって、そのX1及びX2の一方がNであり、他の一つがHであり、且つn1+n2=6である式(I)化合物が製造される。
【0084】
他の実施例としては、本発明の方法において下記の式(II’)化合物及び式(IV)化合物を用いてもよい。この例では、式(II’)化合物として、Y1及びY2の一方がHであり、他方はFまたは、Cl、Br、Iのいずれかであり、R1及びR2のそれぞれはメチル基、エチル基、フェニル基置換のメチル基及びフェニル基置換のエチル基の中のいずれかとされ、R3及びR4のいずれもメチル基で表わされ、且つR5はHである。他方、式(IV)化合物は、RNH(R´OH)であり、式中、Rはメチル基又はエチル基であり、R´はエチレン基であるものとする。このように形成された式(II)化合物は、直接ε−カプロラクトンと反応させることによって、そのX1及びX2の一方がNR(ここで、Rはメチル基又はエチル基)であり、他方がHである式(I)化合物が製造される。
【0085】
本発明はまた、式(I)で表わされる化合物の用途をも包括する。本発明によれば、式(I)化合物は光重合開始剤として用いることもでき、MMMPにおけるような臭気がなく、その中に含まれた光重合性化合物の粘性を増加させることもない。従って、従来から周知の方法と同様に光重合性モノマー、光増感剤、及び顔料又は染料、他の、光重合性ポリマー化合物製造において当業者が常に利用している添加剤と共に本発明により作られた式(I)の化合物を光重合開始剤として用い、例えばオリゴマー、光重合開始剤、アミン協力剤又は他の物性条件剤のような光重合ポリマー化合物を製造することができる。
【0086】
本発明における式(I)化合物は、例えば、前記従来の文献にかかる光重合開始剤としてさまざまな産業に用いることも予期される。例えば、本発明による式(I)化合物は、光重合開始剤としてUVインキ又は塗膜を製造することができる。また、本発明における式(I)化合物は、上記に掲げる文献例えば米国特許第4,672,079号に開示されている光重合開始剤のような従来の光重合開始剤と組み合せて使用されることが予期できる。
【0087】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の範囲に限定されるものではない。
【0088】
<実施例1> MMMP−n( n = 3;n = 6 )の合成
以下、本発明における式(I)化合物、即ち、6−ヒドロキシ−ヘキサノン酸5−(5−{2−[4−(2−メチル−2−モルフォリン−4−イル−プロピオニル)フェニルサルファニル]−エポキシカルボニル}−ペンチロキシカルボニル)−ペンチル エステル(6−hydroxy−hexanoic acid 5−(5−{2−[4− (2−methyl−2−morpholin−4−yl− propionyl)−phenylsulfanyl]−ethoxycarbonyl]− pentyl−oxycarbonyl}pentyl ester)(MMMP−3)及び6−ヒドロキシ−ヘキサノン酸5−(5−{2−[4−(2−メチル−2−モルフォリン−4−イル−プロピオニル)−フェニルサルファニル]−エトキシカルボニル}−テトラ(ペンチロキシカルボニル)ペンチルエステル(5−(5−{2−[4−(2− methyl−2−morpholin−4−yl−propionyl)−phenylsulfanyl]−ethoxy carbonyl}− tetra(pentyloxycarbonyl)pentylester)(MMMP−6)、並びにその中間化合物、即ち1−[4−(2−ヒドロキシエチルチオ)フェニル]−2−メチル−2−モルフォリノプロパン−1−オン(1−[4−(2−Hydroxyethylthio)− phenyl]−2−methyl−2−morpholinopropan−1− one)(化合物2)について下記に示す過程概略に基いて一例を説明する。
【0089】
【化20】
【0090】
なお、合成された生成物例えばMMMP−3及びMMMP−6が示すように分子量は、化合物2とε−カプロラクトンとのモル比を調整することによって変えることができる。
【0091】
A.1−[4−(2−ヒドロキシエチルチオ)−フェニル]−2−メチル−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン(化合物2)の合成
【0092】
【化21】
【0093】
容量1Lの丸底3つ口フラスコに、メルカプトエタノール94.8g(1.21モル)及びトルエン600mlを仕込み、さらにNaOH 48.6g(1.21モル)を加え、ディーン・スターク装置によって生成された水を集めるよう6時間還流した。次いでトルエン溶剤が留去され、250mlのDMFを加える。次いで、溶液を室温まで冷却させて1−(4−フルオルフェニル)−2−メチル−2−モルフォリノ−1−プロパノン(化合物1;米国特許第4,582,862号参照)250g(0.93モル)を一度に添加し、窒素雰囲気で50℃の下で一晩加熱した。そして、室温まで冷却させ、1Lのトルエンで希釈した後、順に水、2%NaOH水溶液及び塩水で洗浄した。そして有機層の分離と同時に真空下で濃縮した結果、黄色の粘性のあるオイルが得られた。該オイルを結晶させて純化し灰色がかった白い結晶(歩留り90%、融点:62−64℃)を得た。
【0094】
B.MMMP−3の合成
窒素ガス雰囲気下で凝縮器が設けられた500mlの3つ口丸底フラスコに、化合物2を200g(0.65モル)、ε−カプロラクトン88.5g及び錫触媒(商品名:SCAT−24、日本三共有機化学社)8gを仕込み、80から85℃の温度で2時間加熱し、ε−カプロラクトン44.3g及びSCAT−24 4gを上記のフラスコ内に40分毎に4回入れた後、そのまま温度を1時間保持した。そして、水、2%NaOH水溶液及び塩水で順に洗浄し、有機層が分離されて真空下で濃縮した結果、薄い黄褐色のオイル(398g、歩留り95%)を得た。
【0095】
特性の検出:
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ8.46 (d, J = 8.4 Hz, 2 H), 7.29 (d, J =8.4 Hz, 2 H), 4.26 (t, J = 6.9 Hz, 2 H), 4.02 (t, J = 6.5 Hz, 6 H), 3.65 (t, J = 3.8 Hz, 4 H), 3.60 (t, J = 6.5 Hz, 3.20 (t, J = 6.9 Hz, 2 H), 2.53 (t, J = 3.8 Hz, 4 H), 2.25−2.30 (m, 9 H), 1.51−1.65 (m, 20 H), 1.30−1.42 (m, 10 H), 1.27 (s, 6 H). IR (KBr): 3501, 2942, 2865, 1741, 691, 1588, 1563, 1475, 1402, 1364, 1158, 1120, 1093, 980, 882, 761 cm−1.
【0096】
当該 1H NMR 分析に基づいたデータによって計算し、上記オイルのn値が3であることを得た。分子量が279であるMMMPと対比させると、生成物の化合物の分子量は約650であることになる。
【0097】
C.MMMP−6の合成
上記MMMP−3の合成において、ε−カプロラクトン88.5gに代えて354gのε−カプロラクトンを用いた以外は、上記合成と同様にして、淡黄褐色のペースト(歩留り97%)を得た。
【0098】
特性の検出:
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ8.46 (d, J = 8.4 Hz, 2 H), 7.29 (d, J =8.4 Hz, 2 H), 4.26 (t, J = 6.9 Hz, 2 H), 4.02 (t, J = 6.5 Hz, 12 H), 3.65 (t, J = 3.8 Hz, 4 H), 3.60 (t, J = 6.5 Hz, 3.20 (t, J = 6.5Hz, 2 H), 3.20 (t, J=6.9 Hz, 2 H), 2.53 (t, J=3,8 Hz, 4 H), 2.25−2.30 (m, 18 H), 1.51−1.65 (m, 40 H), 1.30−1.42 (m, 20 H), 1.27 (s, 6 H).
【0099】
当該1H NMR 分析に基づくデータによって計算した結果、当該生成物のnが6であり、分子量が279であるMMMPと比較すると、上記得られた化合物の分子量が960であることが分かる。
【0100】
D.MMMP−3 及び MMMP−6の物性比較
MMMP−3は室温の下で薄こはく色の液体であるのに対し、MMMP−6は室温ではペースト状であり、MMMP−3はその凝結点が−15℃であると共に、0℃にて30日を経過しても硬化することはない。MMMP−3及びMMMP−6の特性は、表1に示されるとおりである。
【0101】
【表1】
【0102】
<実施例2>
本発明の他の式(I)化合物、即ち、化合物5並びにその中間化合物(1−{4−[ビス−(2−ヒドロキシ−γ−エチル)−アミノ]}−2−メチル−2−モルフォリノ−1−プロパノン(1−{4−[bis−(2−hydroxy−γ−ethyl)−amino]}−2−methyl−2−morpholino−1− propanone)(化合物4)について、下記に示す過程概略に基づく一例を説明する。
【0103】
【化22】
【0104】
A.1−{4−[ビス−(2−ヒドロキシ−γ−エチル)−アミノ]}−2−メチル−2−モルフォリノ−1−プロパノン(1−{4−[bis− (2−hydroxy−γ−ethyl)−amino]}−2−methyl−2−morpholino−1− propanone)(化合物4)の調製
100mlの3つ口丸底フラスコに、10g(0.037モル)の1−(4−フルオルフェニル)−2−メチル−2−モルフォリノ−1−プロパノン(1−(4−Fluorphenyl)−2−methyl−2−morpholino−1− propanone)及び58.9g(0.56モル)のジエタノールアミンを仕込み、150℃まで24時間加熱した。次いで溶液を室温まで冷却させて100mlのエタノールで希釈した後順に、水と塩水で洗浄した。回転蒸発器で溶剤を除去させた後、黄色いオイル生成物(11g、歩留り88%)を得た。
【0105】
B.化合物5の調製
窒素ガス雰囲気下で凝縮器が設けられた100mlの3つ口丸底フラスコに、化合物4が11.0g(0.033モル)、ε−カプロラクトン17.9g及び錫触媒(商品名:SCAT−24、日本三共有機化学社)1.8gを仕込み、80から85℃の温度で1.5時間加熱し、ε−カプロラクトン 9g及びSCAT−24 0.9gの混合物を上記のフラスコ内に30分毎に3回入れた後、そのまま温度を1時間保持した。そして、室温まで冷却させ、200mlのトルエンで希釈した後、順に水と塩水とで洗浄し、有機層が分離されて真空下で濃縮した結果、粘性のあるオイルが得られた(29.8g、歩留り90%)。
【0106】
当該 1H NMR分析に基づくデータによって計算した結果、当該生成物5のn1+n2 が6を得た。
【0107】
<実施例3>
さらに、本発明の他の式(I)化合物、即ち2−オキセパノン,2−{{4−[2−(ジメチルアミノ)−1−オキソ−2−(フェニルメチル)ブチル]−フェニル}−メチルアミノ}−エチル エステル(2−oxepanone,2−{{4−[2−(dimethylamino)−1−oxo−2−(phenylmethyl) butyl]−phenyl}−methylamino}−ethyl ester)(化合物3690)並びにその中間化合物2−(ジメチルアミノ)−1−{4−[(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノ]フェニル}−2−フェニルメチル−1−ブタノン(2−(dimethylamino)−1−{4−[(2−hydroxyethyl)methylamino] phenyl}− 2−phenylmethyl−1−butanone)(化合物369N)について、下記に示す過程概略に基づく一例を説明する:
【0108】
【化23】
【0109】
ここで、nは1から10の整数であって、とりわけ1から6の整数がより好ましい。
【0110】
A.2−(ジメチルアミノ)−1−{4−[(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノ]−フェニル}−2−フェニルメチル−1−ブタノン(2−(dimethylamino)−1−{4−[(2−hydroxyethyl)methylamino]− phenyl} −2−phenylmethyl−1−butanone)(化合物369N)の合成
容量2Lの丸底3つ口フラスコに、化合物369F(米国特許5,077,402の開示により用意できる)100g及び2−(メチルアミノ)エタノール600gを仕込み、均一にかき混ぜ、N2によって5回パージした。そしてこの混合物を150℃の高温にて3時間混ぜて50gの化合物369Fを上記フラスコに入れ、さらに2時間攪拌した。次いで、50gの化合物369Fを上記フラスコに入れてさらに4時間かき混ぜた。この混合物を40℃まで冷却させ、48℃、2Torrの下470gの未反応の2−(メチルアミノ)エタノールが留去された後、この合成物へ200gのトルエン及び400gの水を入れ、均一にかき混ぜた。水層を除去した後、さらに水を200g添加しこの混合物を10分間かき混ぜた。順に水層及びトルエンを取り除いて化合物369Nを得た。
【0111】
特性の検出:
1H NMR (CDCl3, 200 MHz): δ8.35 (d, J = 9.0 Hz, 2 H), 7.20−7.27 (m, 5 H), 6.66 (d, J = 9.0 Hz, 2 H), 3.82 (t, J = 6.0 Hz, 2 H), 3.56 (t, J = 6.0 Hz, 2 H), 3.22 (s, 2 H), 3.06 (s, 3 H), 2.38 (s, 6 H), 1.40−2.10 (m, 2 H), 0.72 (t, J = 7.4 Hz, 3 H).
【0112】
B.2−オキセパノン,2−{{4−[2−(ジメチルアミノ)−1−オキソ−2−(フェニルメチル)−ブチル]−フェニル}−メチルアミノ}−エチル エステル(2−oxepanone,2−{{4−[2− (dimethylamino)−1−oxo−2−(phenylmethyl)−butyl]−phenyl}−methyl amino}−ethyl ester)(化合物3690)の調製
上記Aステップより得られた化合物369Nへ、150gのε−カプロラクトンを加え、150℃まで加熱してScat−24を0.043g入れた。このまま4時間経過した後、さらに78gのε−カプロラクトンを入れて4時間かき混ぜた。50℃、2Torrの下、未反応のε−カプロラクトンが取り除かれ、赤褐色の粘液を得た(401g、歩留り93.7%)。
【0113】
特性の検出(n=3):
1H NMR (CDCl3, 200 MHz):δ8.36 (d, J = 8.7 Hz, 2 H), 7.19−7.27 (m,5 H), 6.64 (d, J = 8.7 Hz, 2 H), 4.28 (t , 2 H), 4.03−4.06 (m, 4 H), 3.61−3.67 (m, 4 H), 3.19 (s, 2 H), 3.05 (s, 3 H), 2.60 (b, 1 H), 2.35 (s, 6 H), 2.27−2.31 (m, 6 H), 1.80−2.20 (m, 2 H), 1.61−1.69 (m, 12 H), 1.34−1.41 (m, 6 H), 0.68 (t, J = 7.4 Hz, 3 H).
IR (KBr): 3514, 2940, 2866, 1734, 1657, 1642, 1593, 1547, 1462, 1379, 1249, 1183, 823, 704, 662 cm−1.
UV (λmax) = 335.1 nm.
【0114】
当該 1H NMR分析に基づくデータによって計算した結果、当該生成物の化合物3690のnが3であり、その分子量が約650であるとみられる。
【0115】
<実験1> 光速度性能及び臭気の比較
この実験において、本発明による式(I)化合物は従来に用いた例えばMMMPと比べて光重合開始剤として有用であるかどうか検証するため、本発明のMMMP−3、MMMP−6及び化合物3690はそれぞれ下記の表2に示している組成をそなえたテスト用インキに使い、従来のMMMPと光速度性能及び臭気を比較した。
【0116】
材料:
1.MMP:Ciba 特殊化学親会社製、商品名「Irgacure 907」。
【0117】
2.MMMP−3:上記実施例1から得られた化合物。
【0118】
3.MMMP−6:上記実施例1から得られた化合物。
【0119】
4.化合物3690:上記実施例3から得られた化合物。
【0120】
5.エチルミリスチン酸:台湾CHitec 化学会社製;商品名「CHivacure EMK」;印刷インキの光重合に用いる光重合開始剤。
【0121】
6.イソプロピル チオキサロン:台湾CHitec 化学会社製;商品名「CHivacure ITX」、印刷インキの光重合に用いる光重合開始剤。
【0122】
7.トリメチロールプロパン トリアクリレート、TMPTA:UCB化学会社製;印刷インキの光重合の単量体化合物として使用。
【0123】
8.Eberyl 3702:UCB化学会社製;印刷インキの光重合のオリゴマーとして使用。
【0124】
9.Fastogen Blue 5380−E (C.I.B.−15.3):大日本印刷化学社製、印刷インキにおいて顔料として使用。
【0125】
方法:
A.テスト用インキの組成:表2に示した通りの成分がそれぞれ違った3つのインキが配合された。
【0126】
【表2】
【0127】
B.光重合:ハードボードにインキを塗布した後、型番F300Sのランプによる300W/inの照射量であてて10μm厚の硬化塗膜を形成した。
【0128】
C.光速度:in/minの単位でタックフリーの塗膜が形成されるまでに必要な照射回数により評価。
【0129】
D.臭気:各塗膜を80℃、5分加熱し、加熱している間に臭気があるかどうかによって評価。
【0130】
結果:
表2のインキのそれぞれ光速度及び臭気について評価の結果は下記の表3の如く示される。
【0131】
【表3】
【0132】
表3の結果から、インキ2(MMMP−3含有)、インキ3(MMMP−6含有)及びインキ4(化合物3690含有)についてはインキ1如くの悪臭を生じない。そして、同じ当量の下で、インキ2はインキ1の光速度とほぼ同一である。これは、本発明の式(I)化合物を使った光重合開始剤によるインキの光の照射によって形成された塗膜における重合性構成の有効性が裏付けられる。また、本発明によるいずれかの化合物も、摺らずに単にかき混ぜることによって印刷インキを製造することができる利点がある。
【0133】
<実験2>粘性についての評価
本発明の式(I)化合物即ちMMMP−3、MMMP−6及び化合物3690が、従来のMMMPと比べて製品の粘性にどのような影響を及ぼすのか、特に夏季など高温下で運搬及び貯蔵する場合について、表2に示された4種類の印刷インキによって粘性実験を行った。そして実験のとき、夏季の運搬及び貯蔵を模擬した高温環境での最低加熱条件で一定の時間行った。
【0134】
方法:
それぞれのインキを温度を60℃に設定したオーブンに入れ、表4に示された時間間隔にてそれぞれの一部を出して測定する。その測定結果は表4の如く示される。それぞれについてcps単位でブルークスフィールド社製型番RV−DV−1粘度計で計測した値を粘性とする。
【0135】
結果:
表2に示すインキそれぞれについて測定した結果を表4に示す。
【0136】
【表4】
【0137】
表4から、MMMP−3、MMMP−6及び化合物3690含有のインキは、従来のMMMP含有のインキ1と比べて、開始粘度が低く、ゲル化し難いことが分かった。特に、MMMP−3またはMMMP−6含有のインキがゲル化により一層強いことを示した。
【0138】
<実験3>MMMP−3、化合物3690とBDMBの比較
本実験は、MMMP−3及び化合物3690はまたBDMBと光速度及び安定剤無しで缶詰安定性(in−can stability)について検討する。
【0139】
材料:
1.BDMB:Ciba 特殊化学社製、商品名:イルガキュア369。
【0140】
2.MMMP−3:上記実施例1から得られたもの。
【0141】
3.化合物3690:上記実施例3から得られた化合物。
【0142】
4.エチルミリスチン酸:上記実験1参照。
【0143】
5.イソプロピル チオキサロン:上記実験1参照。
【0144】
6.TMPTA(トリメチロールプロパン トリアクリレート):上記実験1参照。
【0145】
7.Eberyl 3702:上記実験1参照。
【0146】
8.カーボンブラック:デグサ社製、印刷インキの顔料として使う。
【0147】
方法:
A.インキの組成:標準三本ロール付ミルを使って下記表5に示す成分による三種類のインキを作る。
【0148】
【表5】
【0149】
B.インキの光重合:上記実験1の方法。
【0150】
C.光速度の測定:上記実験1の方法。
【0151】
D.臭気の測定:上記実験1の方法。
【0152】
E.粘性の測定:上記実験2の方法。
【0153】
結果:
表5のインキそれぞれの光速度、臭気及び粘性に関する測定の結果は表6の通りである。
【0154】
【表6】
【0155】
結論:
上記各実験結果によれば、本発明のMMMP−3、MMMP−6化合物及び化合物3690特にMMMP−3は、従来のMMMPとBDMBに比べ、下記の利点がある。即ち、
1.従来の臭気問題は克服されている。
【0156】
2.本発明によるMMMP−3は、等しい当量のもとでは従来のMMMP及びBDMB化合物と光速度はいささかも劣らない。
【0157】
3.さらなる低い粘度を有するので、フレキソインキやグラビアインキなどに用いることができる。
【0158】
4.本発明の化合物によれば、ゲル化が早まることがなく、安定した粘性を得ることができ、貯蔵寿命を長くすることができる。
【0159】
5.安定剤を要せず、製造工程を少なくして製造コストを減らすことができる。
【0160】
6.摺り混ぜ工程がなくなり、加工手間を省くと共に製造コストを減らすことができる。
【0161】
さらに、化合物3690の乾燥速度がMMMP−3より速く、ほぼ従来のBDMB化合物に等しい。従来のBDMB化合物と同様に化合物3690は、さらに5%の安定剤の添加によって従来のBDMB化合物にあったゲル化問題を解決することができる。本発明の化合物3690を用いるときは、摺り混ぜる必要がなく、インキ系の粘性を低下させることができる。したがって、本発明の化合物3690は従来のBDMB化合物より優れている。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光重合開始剤として使える新規なモルフォリノケトン誘導体及びその用途に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
UV硬化印刷法は、従来の平板印刷術に比べてより広く応用されており、従来の印刷インキ例えばリソグラフィクインキ、オフセットインキ、凸版インキ、フレキソインキ、グラビアインキ、シルクスクリンインキなどの製造に用いるだけでなく、印刷配線板、フォトレジスト、ソルダマスクや誘電基板の製造にも使われる。通常、UV硬化印刷法において、バインダー、光重合可能なモノマー及び光重合開始剤の使用が必要であり、光重合開始剤が、UV光の照射によって短時間でモノマーを重合させ、ポリマーを生成させる。
【0003】
従来から、不飽和モノマー及びプレポリマーの光化学重合法は周知であり、幅広く利用されている。米国特許第3,661,614号では、(1)約20〜98 重量%のペンタエリスリトールアクリレート、メタクリレート又はイタコネート、(2)約2〜80重量%のハロゲン原子が芳香族または脂環状化合物の環式骨格及び脂肪族の炭素鎖に直結したハロゲン化芳香族、脂環族又は脂肪族炭化水素光重合開始剤、及び (3)着色剤を含有することを特徴とする照射硬化性の無溶媒印刷インキが開示されている。
【0004】
また、米国特許第4,672,079号には、重合性又は重合可能な芳香族―脂肪族ケトン、好ましくは、2−ヒドロキシ−2−メチル(4−ビニルプロピオフェノン)、2−ヒドロキシ−2−メチル−p−(1−メチルビニル)プロピオフェノン、p−ビニルベンゾイルシクロヘキサノール、p−(1−メチルビニル)ベンゾイル−シクロヘキサノール、及びそれらの低重合及び重合生成物をエチレン性不飽和のモノマー及びプレポリマーを光重合させるための光重合開始剤とすることが開示されている。
【0005】
次いで、米国特許第4,943,516には、(a)1分子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を有する感光性プレポリマー、(b)光重合開始剤、(c)希釈剤としての光重合可能なビニルモノマー及び/または有機溶剤、及び(d)その分子内に少なくとも2つのエポキシ基を有すると共に使用される希釈剤にある程度溶解する微細粉末のエポキシ化合物、場合によってさらに(e)エポキシ樹脂のための硬化剤を含有する感光熱硬化性樹脂が開示されており、当該感光熱硬化性樹脂は現像性及び感光性が優れて有効保存時間が長いとある。上記感光熱硬化性樹脂組成物が塗布、露光、現像及びポスト硬化処理を経て、形成されるレジストパターンによれば、粘着力や、絶縁抵抗、電食抵抗に優れている。
【0006】
さらに、米国特許第4,582,862号には、(a)オレフィン性不飽和光重合可能なバインダー、(b)5〜60重量%の顔料、及び(c)0.1〜20重量%の式(I)で表わされる光重合開始剤を含有する光硬化可能な着色組成物が開示されている。具体的には、この特許に開示されている2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン(MMMP)は、すでに光重合開始剤として、例えばソルダマスク及びUVインキのような顔料系UVシステムに汎用されている。MMMPは、自体のノンイエロ特性を損わずに十分な光速度及び機械性質が得られると言われている。
【0007】
【化4】
【0008】
しかしながら、MMMPを使用すると、硬化後処理において揮発性硫黄残留物による悪臭が問題となる。この臭いは、MMMPの光破砕性によって生じる例えば4−メチルチオベンズアルデヒドから出る揮発性臭気であり、UVインキまたはソルダマスクに用いられる場合、軽度から不快感の程度までさまざまであるが、利用上限度がある。
【0009】
上記光重合開始剤を利用する際の制限により、使用者は、MMMPにおける問題である臭いを我慢するか、代りにMMMP誘導体を使用するかの選択に迫られる(Luigi Angiolini et al., Journal of Applied. Polymer Science (1995), 55: 1477−1488; US 4,582,862, US 5,145,885, US 5,506,279, US 5,837,746, WO 96/20795及びUS 6,048,667に参照)。その中、例えば米国特許第5,145,885号は、MMMPに代えて2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(BDMB)を使用することを提案している。
【0010】
【化5】
【0011】
また、主としてMMMPまたはBDMBを使って光重合開始剤とするシアン系のような顔料系においては、光重合開始剤が全部混ざり合うまで摺る必要があるが、摺り過ぎると、硬化を早めインキの粘度を増したり果てはゲル化してしまう恐れもある。そのため、重合安定剤例えばハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)を添加しなければならないが、そうすると光速度を遅らせる恐れもある。また、MMMP及びBDMBを使用することによってインキの粘度を増すので、例えばフレキソインキなどの低粘度が必要であるものには向かない。
【0012】
上記従来の技術がもたらした問題点に鑑み、光重合開始剤として光重合可能な組成物に用いるための新規な材料の開発が期待される。
【0013】
【特許文献】
米国特許第3661614号明細書
【0014】
【特許文献】
米国特許第4672079号明細書
【0015】
【特許文献】
米国特許第4943516号明細書
【0016】
【特許文献】
米国特許第4582862号明細書
【0017】
【特許文献】
米国特許第5145885号明細書
【0018】
【特許文献】
米国特許第5506279号明細書
【0019】
【特許文献】
米国特許第5837746号明細書
【0020】
【特許文献】
国際公開第96/20795号パンフレット
【0021】
【特許文献】
米国特許第6048667号明細書
【0022】
【非特許文献】
Luigi Angiolini et al., Journal of Applied. Polymer Science (1995), 55: 1477−1488
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記にもとづき、本発明は、下記一般式(I)で表わす新モルフォリノケトン誘導体を提供しようとすることを目的とする。
【0024】
【化6】
【0025】
式中、
X1は、H、S、N、O又はNR(ここでRは炭素数1から12のアルキル基を表わし)を表わし、
X2は、H、S、N、O又はNR(ここでRは炭素数1から12のアルキル基を表わし)を表わし、X1及びX2はHでない場合、X1=X2であり、
R´は、炭素数1から12のアルキレン基又は−(CH2OCH2)P−(ここでPは1から4の整数を表わし)を表わし、
R1及びR2は、各々独立してH、フェニル基、又はフェニル基によって置換されてよい炭素数1から12のアルキル基、炭素数2から12のアルケニル基、或いは炭素数1から12のアルコキシ基を表わし、
R3及びR4は、各々独立してヒドロキシ基によって置換されてもよい炭素数1から6のアルキル基を表わし、
或いは、R3及びR4がつながっている窒素原子と
【0026】
【化7】
【0027】
のいずれかの環式基を形成することを表わし、
R5は、H、F、Cl、Br、I、ニトロ基、フェニル基、炭素数1から12のアルキル基又は炭素数1から12のアルコキシ基を表わし、
X1又はX2が、Hであるとき、kは0であり、X1又はX2が、S、O又はNRであるとき、kは1であり、X1又はX2が、Nであるとき、kは2であり、
mは2から5の整数であり、
kが1であるとき、nは1から20の整数であり、
kが2であるとき、n=n1+n2≦20、ただし、n1及びn2のいずれも、1から10の整数である。
【0028】
本発明はまた、式(I)で表わされる化合物の用途をも包括する。例えば本発明者は、式(I)の化合物は光重合開始剤としても有用であることを発見した。従って、本発明の式(I)の化合物を、光重合単量体化合物とで、光重合可能な組成物例えば印刷インキを作ることができる。
【0029】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の範囲に限定されるものではない。
【0030】
【発明の実施の形態】
MMMPから生じた臭気の問題を解決するために、本発明者は、MMMPのメチルチオ基部分にポリマー鎖をつなぐことによって、MMMPの分子構造を変えるいつくかの実験をし、下記の一般式(I)で表わす化合物を得た。
【0031】
【化8】
【0032】
式中、
X1は、H、S、N、OまたはNR(ここでRは炭素数1から12のアルキル基を表わし)を表わし、
X2は、H、S、N、O又はNR(ここでRは炭素数1から12のアルキル基を表わし)を表わし、
X1及びX2はHでない場合、X1=X2であり、
R´は、炭素数1から12のアルキレン基又は−(CH2OCH2)P−(Pは1から4の整数である)を表わし、
R1及びR2は、各々独立してH、フェニル基、又はフェニル基によって置換されてもよい炭素数1から12のアルキル基、炭素数2から12のアルケニル基、或いは炭素数1から12のアルコキシ基を表わし、
R3及びR4は、各々独立して水酸基によって置換されてもよい炭素数1から6のアルキル基を表わし、
或いは、R3及びR4がつながっている窒素原子と
【0033】
【化9】
【0034】
のいずれかの環式基を形成することを表わし、
R5は、H、F、Cl、Br、I、ニトロ基、フェニル基、炭素数1から12のアルキル基又は炭素数1から12のアルコキシ基を表わし、
X1又はX2が、Hであるとき、kは0であり、X1又はX2がS、O又はNRであるとき、kは1であり、X1又はX2がNであるとき、kは2であり、
mは2から5の整数であり、
kは1であるとき、nは1から20の整数であり、
kは2であるとき、n=n1+n2 <20であり、ただし、n1及びn2いずれかは、1から10の整数である。
【0035】
好ましい実施例としては、mは5である。
【0036】
好ましい実施例としては、R´は炭素数1から6のアルキレン基であり、特に、エチレン基、−(CH2OCH2)−、又は−CH2OCH2CH2OCH2−である。
【0037】
好ましい実施例としては、R1又はR2は各自が一つのメチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基置換のメチル基及びフェニル基置換のプロピル基のいずれかであり、特に、R1とR2はいずれもメチル基であることがより好ましい。他の実施例としては、R1はフェニル基置換のメチル基であり、R2はエチル基である。
【0038】
好ましい実施例としては、R3及びR4は各自が一つのメチル基、エチル基、プロピル基及び水酸基置換のプロピル基のいずれかであり、特に、R3及びR4はいずれもメチル基であることがより好ましい。
【0039】
また他の実施例としては、R3及びR4はつながっている窒素原子と、
【0040】
【化10】
【0041】
を形成することがより好ましい。
【0042】
さらに、好ましい実施例としては、R5はH、F、Cl、Br、I、フェニル基又は炭素数1から6のアルキル基であり、とりわけ、R5がHであることがより好ましい。
【0043】
好ましい実施例において、X1及びX2の一方はS又はOであって、他方はHであり、nは3であるのが好ましく、nが6のときの実施例も悪くない。
【0044】
さらに、好ましい実施例としては、X1及びX2の一方はSであって、他方はHであり、R´はエチレン基であり、R1及びR2は各自がメチル基であり、R3及びR4はつながっている窒素原子と
【0045】
【化11】
【0046】
を形成し、R5はHであり、且つmは5である。
【0047】
他にも、X1及びX2の一方はNであって他方がHであり、且つn1+n2は6である実施例もある。
【0048】
他にも好ましい実施例としては、X1及びX2の一方はNであって他方がHであり、R´はエチレン基を表わし、R1及びR2は各自が別個のメチル基を表わし、R3及びR4はつながっている窒素原子と共に
【0049】
【化12】
【0050】
を形成し、R5はHであり、mは整数の5であり、n1+n2=6の例もある。
【0051】
さらに、好ましい実施例としては、X1及びX2の一方はNR(ここでRは炭素数1から6のアルキル基を表わし)であって他方がHであり、特にX1及びX2の一方はNCH3であって他方がHであり、R1はフェニル基置換のメチル基であってR2はエチル基であり、R3及びR4のいずれもメチル基であることが好ましい。他にも、X1及びX2の一方はNC2H5であって他方がHであり、R1はフェニル基置換のメチル基であってR2はエチル基であり、R3及びR4のいずれもメチル基である例もある。
【0052】
一般式(I)の化合物としては、式(II)の化合物を式(III)のラクトン化合物によって反応させる工程を有する方法により製造することができる。
【0053】
【化13】
【0054】
式中、
R1、R2、R3、R4、及びR5は、上式(I)における定義と同一であり、
X1は、H、S,N、O又はNR(ここで、Rは炭素数1から12のアルキル基を表わし)を表わし、
X2は、H、S、N、O又はNR(ここで、Rは炭素数1から12のアルキル基を表わし)を表わし、
sは0又は1であり、
X1及びX2のいずれもがHでないとき、X1=X2であり、且つsは1であり、X1又はX2がHであるとき、sは0であり、
【0055】
【化14】
【0056】
ただし、qは、1から4の整数であるとする。
【0057】
式(II)の化合物に関しては、従来よく知られている方法例えば、Luigi Angiolini et al., Journal of Applied. Polymer Science (1995), 55: 1477−1488やUS 4,582,862、US 5,145,885、US 5,506,279、US 5,837,746、WO 96/20795、US 6,048,667などの従来の技術に開示されている合成手順によって作ることができる。
【0058】
本発明にかかる方法に用いられる式(III)のラクトン化合物は、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン及びε−カプロラクトンのいずれかであり、好ましい実施例としては、式(III)のラクトン化合物がε−カプロラクトンによるのがある。上記ラクトン化合物は、例えば、DAICEL化学社より市販の品がある。
【0059】
ポリマー鎖として上記式(III)のラクトン化合物を使ってMMMPらしい化合物につなぐことは、下記のような利点がある。即ち、
1.生成物の分子量が容易に制御される、
2.顔料濡れ性が高い、
3.UV安定性が高い、
4.毒性が低い(生物分解性)、及び
5.粘性が低い。
【0060】
本発明の方法は、上記式(III)のラクトン化合物の開環重合に用いられる触媒によって行うことができる。本発明の方法に用いられる触媒としては、例えば、テトラエチルチタネート(tetraethyl titanate)、テトラプロピルチタネート(tetrapropyl titanate)、テトラブチルチタネートなどのチタン化合物、オクタン酸第一錫(stannous octoate)、ジブチル錫オキシド(dibutyl−tin−oxide)、ジブチル錫ジラウレート(dibutyl−tin−dilaurate)、ブチル錫トリス(アルカノネート)(n−butyl−tin tris(alkanoate))などの有機錫化合物、クロロ化第一錫(stannous chloride)、臭化第一錫(stannous bromide)などのハロゲン化第一錫化合物(米国特許第6,037,393号に参照)を使用することができる。
【0061】
好ましい実施例としては、本発明の方法を錫含有の触媒の存在下において行うことである。特に、触媒のn−ブチル錫トリス(アルカノエート)(n−butyl−tin tris(alkanoate))例えばSCAT−24の下で行うことがより好ましい。
【0062】
本発明の方法に用いられる式(II)で表わす化合物としては、下記一般式(II´)の化合物を下記一般式(IV)で表わす化合物と反応して生成させて作ると好ましい。
【0063】
【化15】
【0064】
式中、
R1、R2、R3、R4及びR5いずれも、上式(I)における定義と同一であり、
Y1は、H、F、Cl、Br、I、又はシアノ基を表わし、
Y2も、H、F、Cl、Br、I、又はシアノ基を表わし、
Y1及びY2は、Hでないときは、Y1=Y2である。
【0065】
R”XR´OH (IV)
式中、
Xは、S、NH、OまたはNR(ここで、Rは炭素数1から12のアルキル基を表わし)を表わし、
R´は、上式(I)における定義と同じく、且つ、XがS、O又はNRであるとき、R”はHであり、XがNHであるとき、R”はR´OHである。
【0066】
上式(II’)化合物は、周知の方法によって作ることができ、例えば、米国特許第4,582,862号にかかる方法を参照し、下記の工程の如く、対応するアリールアルキルケトン化合物内にアミノ基を導入して合成製造される。
【0067】
【化16】
【0068】
その中、Halはハロゲンを表わし、R1からR5及びY1とY2は上式(II’)における定義と同一である。
【0069】
本発明に用いられる式(II’)化合物におけるY1及びY2の一方はHであり、他方がF、Cl、Br又はIである。好ましい実施例としては、Y1及びY2の一方がHであり、他方がF又はClである。他にも、本発明に用いられる式(II’)化合物におけるY1及びY2のいずれもF又はClである例もある。
【0070】
好ましい実施例としては、本発明に用いられる式(II’)化合物におけるR1及びR2のそれぞれは、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、フェニル置換のメチル基及びフェニル基置換のプロピル基のいずれかであり、とりわけ、R1及びR2のいずれかはメチル基であるとより好ましい。他にも、R1はフェニル基置換のメチル基であり、R2はエチル基である例もある。
【0071】
本発明に用いられる式(II’)化合物としては、R3及びR4がつながっている窒素原子と
【0072】
【化17】
【0073】
を形成するものとする。
【0074】
また、式(II’)化合物において、R3及びR4それぞれは、メチル基、エチル基、プロピル基及びヒドロキシ基置換のプロピル基のいずれかであることが好ましい。
【0075】
また、本発明に用いられる式(II’)化合物において、R5はH、F、Cl、Br、I、フェニル基、又は炭素数1から6のアルキル基であることが望ましく、とりわけ、Hであるとより好ましい。
【0076】
上記式(IV)化合物は、例えばBASF社の市販品がある。
【0077】
また、本発明に用いられる式(IV)化合物は、HS(R´OH)であり、式中、R´はエチレン基であると好ましく、他にも、NH(R´OH)2であって、式中、R´が、エチレン基であってもよい。他に、本発明に用いられる式(IV)化合物は、RNH(R´OH)であり、式中、Rはメチル基又はエチル基であり、R´はエチレン基である例もある。
【0078】
本発明においては、下記の式(II’)化合物及び下記の式(IV)化合物を用いて式(I)化合物を製造するのも好ましい。ここで、式(II’)化合物としては、Y1及びY2の中の一方はHであり、他方はF、Cl、Br、またはIであり、R1及びR2のそれぞれはメチル基であり、R3及びR4はつながっている窒素原子と
【0079】
【化18】
【0080】
を形成し、R5はHとする。そして、式(IV)化合物としては、HS(R´OH)であり、式中R´はエチレン基である。また、このようにして生成された式(II)化合物は、ε−カプロラクトンと反応させることによってX1及びX2のいずれかがSであり、他方はHである式(I)化合物を生成する。
【0081】
また、本発明の方法において下記の式(II’)化合物及び式(IV)化合物を用いてもよい。この例では、式(II’)化合物として、Y1及びY2の一方がHであり、他方はFまたは、Cl、Br、Iのいずれかであり、R1及びR2のそれぞれはメチル基とされ、R3及びR4はつながっている窒素原子と
【0082】
【化19】
【0083】
を形成し、且つR5はHである。他方、式(IV)化合物は、NH(R´OH)2であり、式中、R´はエチレン基であるものとする。このように形成された式(II)化合物は、直接ε−カプロラクトンと反応させることによって、そのX1及びX2の一方がNであり、他の一つがHであり、且つn1+n2=6である式(I)化合物が製造される。
【0084】
他の実施例としては、本発明の方法において下記の式(II’)化合物及び式(IV)化合物を用いてもよい。この例では、式(II’)化合物として、Y1及びY2の一方がHであり、他方はFまたは、Cl、Br、Iのいずれかであり、R1及びR2のそれぞれはメチル基、エチル基、フェニル基置換のメチル基及びフェニル基置換のエチル基の中のいずれかとされ、R3及びR4のいずれもメチル基で表わされ、且つR5はHである。他方、式(IV)化合物は、RNH(R´OH)であり、式中、Rはメチル基又はエチル基であり、R´はエチレン基であるものとする。このように形成された式(II)化合物は、直接ε−カプロラクトンと反応させることによって、そのX1及びX2の一方がNR(ここで、Rはメチル基又はエチル基)であり、他方がHである式(I)化合物が製造される。
【0085】
本発明はまた、式(I)で表わされる化合物の用途をも包括する。本発明によれば、式(I)化合物は光重合開始剤として用いることもでき、MMMPにおけるような臭気がなく、その中に含まれた光重合性化合物の粘性を増加させることもない。従って、従来から周知の方法と同様に光重合性モノマー、光増感剤、及び顔料又は染料、他の、光重合性ポリマー化合物製造において当業者が常に利用している添加剤と共に本発明により作られた式(I)の化合物を光重合開始剤として用い、例えばオリゴマー、光重合開始剤、アミン協力剤又は他の物性条件剤のような光重合ポリマー化合物を製造することができる。
【0086】
本発明における式(I)化合物は、例えば、前記従来の文献にかかる光重合開始剤としてさまざまな産業に用いることも予期される。例えば、本発明による式(I)化合物は、光重合開始剤としてUVインキ又は塗膜を製造することができる。また、本発明における式(I)化合物は、上記に掲げる文献例えば米国特許第4,672,079号に開示されている光重合開始剤のような従来の光重合開始剤と組み合せて使用されることが予期できる。
【0087】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の範囲に限定されるものではない。
【0088】
<実施例1> MMMP−n( n = 3;n = 6 )の合成
以下、本発明における式(I)化合物、即ち、6−ヒドロキシ−ヘキサノン酸5−(5−{2−[4−(2−メチル−2−モルフォリン−4−イル−プロピオニル)フェニルサルファニル]−エポキシカルボニル}−ペンチロキシカルボニル)−ペンチル エステル(6−hydroxy−hexanoic acid 5−(5−{2−[4− (2−methyl−2−morpholin−4−yl− propionyl)−phenylsulfanyl]−ethoxycarbonyl]− pentyl−oxycarbonyl}pentyl ester)(MMMP−3)及び6−ヒドロキシ−ヘキサノン酸5−(5−{2−[4−(2−メチル−2−モルフォリン−4−イル−プロピオニル)−フェニルサルファニル]−エトキシカルボニル}−テトラ(ペンチロキシカルボニル)ペンチルエステル(5−(5−{2−[4−(2− methyl−2−morpholin−4−yl−propionyl)−phenylsulfanyl]−ethoxy carbonyl}− tetra(pentyloxycarbonyl)pentylester)(MMMP−6)、並びにその中間化合物、即ち1−[4−(2−ヒドロキシエチルチオ)フェニル]−2−メチル−2−モルフォリノプロパン−1−オン(1−[4−(2−Hydroxyethylthio)− phenyl]−2−methyl−2−morpholinopropan−1− one)(化合物2)について下記に示す過程概略に基いて一例を説明する。
【0089】
【化20】
【0090】
なお、合成された生成物例えばMMMP−3及びMMMP−6が示すように分子量は、化合物2とε−カプロラクトンとのモル比を調整することによって変えることができる。
【0091】
A.1−[4−(2−ヒドロキシエチルチオ)−フェニル]−2−メチル−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン(化合物2)の合成
【0092】
【化21】
【0093】
容量1Lの丸底3つ口フラスコに、メルカプトエタノール94.8g(1.21モル)及びトルエン600mlを仕込み、さらにNaOH 48.6g(1.21モル)を加え、ディーン・スターク装置によって生成された水を集めるよう6時間還流した。次いでトルエン溶剤が留去され、250mlのDMFを加える。次いで、溶液を室温まで冷却させて1−(4−フルオルフェニル)−2−メチル−2−モルフォリノ−1−プロパノン(化合物1;米国特許第4,582,862号参照)250g(0.93モル)を一度に添加し、窒素雰囲気で50℃の下で一晩加熱した。そして、室温まで冷却させ、1Lのトルエンで希釈した後、順に水、2%NaOH水溶液及び塩水で洗浄した。そして有機層の分離と同時に真空下で濃縮した結果、黄色の粘性のあるオイルが得られた。該オイルを結晶させて純化し灰色がかった白い結晶(歩留り90%、融点:62−64℃)を得た。
【0094】
B.MMMP−3の合成
窒素ガス雰囲気下で凝縮器が設けられた500mlの3つ口丸底フラスコに、化合物2を200g(0.65モル)、ε−カプロラクトン88.5g及び錫触媒(商品名:SCAT−24、日本三共有機化学社)8gを仕込み、80から85℃の温度で2時間加熱し、ε−カプロラクトン44.3g及びSCAT−24 4gを上記のフラスコ内に40分毎に4回入れた後、そのまま温度を1時間保持した。そして、水、2%NaOH水溶液及び塩水で順に洗浄し、有機層が分離されて真空下で濃縮した結果、薄い黄褐色のオイル(398g、歩留り95%)を得た。
【0095】
特性の検出:
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ8.46 (d, J = 8.4 Hz, 2 H), 7.29 (d, J =8.4 Hz, 2 H), 4.26 (t, J = 6.9 Hz, 2 H), 4.02 (t, J = 6.5 Hz, 6 H), 3.65 (t, J = 3.8 Hz, 4 H), 3.60 (t, J = 6.5 Hz, 3.20 (t, J = 6.9 Hz, 2 H), 2.53 (t, J = 3.8 Hz, 4 H), 2.25−2.30 (m, 9 H), 1.51−1.65 (m, 20 H), 1.30−1.42 (m, 10 H), 1.27 (s, 6 H). IR (KBr): 3501, 2942, 2865, 1741, 691, 1588, 1563, 1475, 1402, 1364, 1158, 1120, 1093, 980, 882, 761 cm−1.
【0096】
当該 1H NMR 分析に基づいたデータによって計算し、上記オイルのn値が3であることを得た。分子量が279であるMMMPと対比させると、生成物の化合物の分子量は約650であることになる。
【0097】
C.MMMP−6の合成
上記MMMP−3の合成において、ε−カプロラクトン88.5gに代えて354gのε−カプロラクトンを用いた以外は、上記合成と同様にして、淡黄褐色のペースト(歩留り97%)を得た。
【0098】
特性の検出:
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ8.46 (d, J = 8.4 Hz, 2 H), 7.29 (d, J =8.4 Hz, 2 H), 4.26 (t, J = 6.9 Hz, 2 H), 4.02 (t, J = 6.5 Hz, 12 H), 3.65 (t, J = 3.8 Hz, 4 H), 3.60 (t, J = 6.5 Hz, 3.20 (t, J = 6.5Hz, 2 H), 3.20 (t, J=6.9 Hz, 2 H), 2.53 (t, J=3,8 Hz, 4 H), 2.25−2.30 (m, 18 H), 1.51−1.65 (m, 40 H), 1.30−1.42 (m, 20 H), 1.27 (s, 6 H).
【0099】
当該1H NMR 分析に基づくデータによって計算した結果、当該生成物のnが6であり、分子量が279であるMMMPと比較すると、上記得られた化合物の分子量が960であることが分かる。
【0100】
D.MMMP−3 及び MMMP−6の物性比較
MMMP−3は室温の下で薄こはく色の液体であるのに対し、MMMP−6は室温ではペースト状であり、MMMP−3はその凝結点が−15℃であると共に、0℃にて30日を経過しても硬化することはない。MMMP−3及びMMMP−6の特性は、表1に示されるとおりである。
【0101】
【表1】
【0102】
<実施例2>
本発明の他の式(I)化合物、即ち、化合物5並びにその中間化合物(1−{4−[ビス−(2−ヒドロキシ−γ−エチル)−アミノ]}−2−メチル−2−モルフォリノ−1−プロパノン(1−{4−[bis−(2−hydroxy−γ−ethyl)−amino]}−2−methyl−2−morpholino−1− propanone)(化合物4)について、下記に示す過程概略に基づく一例を説明する。
【0103】
【化22】
【0104】
A.1−{4−[ビス−(2−ヒドロキシ−γ−エチル)−アミノ]}−2−メチル−2−モルフォリノ−1−プロパノン(1−{4−[bis− (2−hydroxy−γ−ethyl)−amino]}−2−methyl−2−morpholino−1− propanone)(化合物4)の調製
100mlの3つ口丸底フラスコに、10g(0.037モル)の1−(4−フルオルフェニル)−2−メチル−2−モルフォリノ−1−プロパノン(1−(4−Fluorphenyl)−2−methyl−2−morpholino−1− propanone)及び58.9g(0.56モル)のジエタノールアミンを仕込み、150℃まで24時間加熱した。次いで溶液を室温まで冷却させて100mlのエタノールで希釈した後順に、水と塩水で洗浄した。回転蒸発器で溶剤を除去させた後、黄色いオイル生成物(11g、歩留り88%)を得た。
【0105】
B.化合物5の調製
窒素ガス雰囲気下で凝縮器が設けられた100mlの3つ口丸底フラスコに、化合物4が11.0g(0.033モル)、ε−カプロラクトン17.9g及び錫触媒(商品名:SCAT−24、日本三共有機化学社)1.8gを仕込み、80から85℃の温度で1.5時間加熱し、ε−カプロラクトン 9g及びSCAT−24 0.9gの混合物を上記のフラスコ内に30分毎に3回入れた後、そのまま温度を1時間保持した。そして、室温まで冷却させ、200mlのトルエンで希釈した後、順に水と塩水とで洗浄し、有機層が分離されて真空下で濃縮した結果、粘性のあるオイルが得られた(29.8g、歩留り90%)。
【0106】
当該 1H NMR分析に基づくデータによって計算した結果、当該生成物5のn1+n2 が6を得た。
【0107】
<実施例3>
さらに、本発明の他の式(I)化合物、即ち2−オキセパノン,2−{{4−[2−(ジメチルアミノ)−1−オキソ−2−(フェニルメチル)ブチル]−フェニル}−メチルアミノ}−エチル エステル(2−oxepanone,2−{{4−[2−(dimethylamino)−1−oxo−2−(phenylmethyl) butyl]−phenyl}−methylamino}−ethyl ester)(化合物3690)並びにその中間化合物2−(ジメチルアミノ)−1−{4−[(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノ]フェニル}−2−フェニルメチル−1−ブタノン(2−(dimethylamino)−1−{4−[(2−hydroxyethyl)methylamino] phenyl}− 2−phenylmethyl−1−butanone)(化合物369N)について、下記に示す過程概略に基づく一例を説明する:
【0108】
【化23】
【0109】
ここで、nは1から10の整数であって、とりわけ1から6の整数がより好ましい。
【0110】
A.2−(ジメチルアミノ)−1−{4−[(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノ]−フェニル}−2−フェニルメチル−1−ブタノン(2−(dimethylamino)−1−{4−[(2−hydroxyethyl)methylamino]− phenyl} −2−phenylmethyl−1−butanone)(化合物369N)の合成
容量2Lの丸底3つ口フラスコに、化合物369F(米国特許5,077,402の開示により用意できる)100g及び2−(メチルアミノ)エタノール600gを仕込み、均一にかき混ぜ、N2によって5回パージした。そしてこの混合物を150℃の高温にて3時間混ぜて50gの化合物369Fを上記フラスコに入れ、さらに2時間攪拌した。次いで、50gの化合物369Fを上記フラスコに入れてさらに4時間かき混ぜた。この混合物を40℃まで冷却させ、48℃、2Torrの下470gの未反応の2−(メチルアミノ)エタノールが留去された後、この合成物へ200gのトルエン及び400gの水を入れ、均一にかき混ぜた。水層を除去した後、さらに水を200g添加しこの混合物を10分間かき混ぜた。順に水層及びトルエンを取り除いて化合物369Nを得た。
【0111】
特性の検出:
1H NMR (CDCl3, 200 MHz): δ8.35 (d, J = 9.0 Hz, 2 H), 7.20−7.27 (m, 5 H), 6.66 (d, J = 9.0 Hz, 2 H), 3.82 (t, J = 6.0 Hz, 2 H), 3.56 (t, J = 6.0 Hz, 2 H), 3.22 (s, 2 H), 3.06 (s, 3 H), 2.38 (s, 6 H), 1.40−2.10 (m, 2 H), 0.72 (t, J = 7.4 Hz, 3 H).
【0112】
B.2−オキセパノン,2−{{4−[2−(ジメチルアミノ)−1−オキソ−2−(フェニルメチル)−ブチル]−フェニル}−メチルアミノ}−エチル エステル(2−oxepanone,2−{{4−[2− (dimethylamino)−1−oxo−2−(phenylmethyl)−butyl]−phenyl}−methyl amino}−ethyl ester)(化合物3690)の調製
上記Aステップより得られた化合物369Nへ、150gのε−カプロラクトンを加え、150℃まで加熱してScat−24を0.043g入れた。このまま4時間経過した後、さらに78gのε−カプロラクトンを入れて4時間かき混ぜた。50℃、2Torrの下、未反応のε−カプロラクトンが取り除かれ、赤褐色の粘液を得た(401g、歩留り93.7%)。
【0113】
特性の検出(n=3):
1H NMR (CDCl3, 200 MHz):δ8.36 (d, J = 8.7 Hz, 2 H), 7.19−7.27 (m,5 H), 6.64 (d, J = 8.7 Hz, 2 H), 4.28 (t , 2 H), 4.03−4.06 (m, 4 H), 3.61−3.67 (m, 4 H), 3.19 (s, 2 H), 3.05 (s, 3 H), 2.60 (b, 1 H), 2.35 (s, 6 H), 2.27−2.31 (m, 6 H), 1.80−2.20 (m, 2 H), 1.61−1.69 (m, 12 H), 1.34−1.41 (m, 6 H), 0.68 (t, J = 7.4 Hz, 3 H).
IR (KBr): 3514, 2940, 2866, 1734, 1657, 1642, 1593, 1547, 1462, 1379, 1249, 1183, 823, 704, 662 cm−1.
UV (λmax) = 335.1 nm.
【0114】
当該 1H NMR分析に基づくデータによって計算した結果、当該生成物の化合物3690のnが3であり、その分子量が約650であるとみられる。
【0115】
<実験1> 光速度性能及び臭気の比較
この実験において、本発明による式(I)化合物は従来に用いた例えばMMMPと比べて光重合開始剤として有用であるかどうか検証するため、本発明のMMMP−3、MMMP−6及び化合物3690はそれぞれ下記の表2に示している組成をそなえたテスト用インキに使い、従来のMMMPと光速度性能及び臭気を比較した。
【0116】
材料:
1.MMP:Ciba 特殊化学親会社製、商品名「Irgacure 907」。
【0117】
2.MMMP−3:上記実施例1から得られた化合物。
【0118】
3.MMMP−6:上記実施例1から得られた化合物。
【0119】
4.化合物3690:上記実施例3から得られた化合物。
【0120】
5.エチルミリスチン酸:台湾CHitec 化学会社製;商品名「CHivacure EMK」;印刷インキの光重合に用いる光重合開始剤。
【0121】
6.イソプロピル チオキサロン:台湾CHitec 化学会社製;商品名「CHivacure ITX」、印刷インキの光重合に用いる光重合開始剤。
【0122】
7.トリメチロールプロパン トリアクリレート、TMPTA:UCB化学会社製;印刷インキの光重合の単量体化合物として使用。
【0123】
8.Eberyl 3702:UCB化学会社製;印刷インキの光重合のオリゴマーとして使用。
【0124】
9.Fastogen Blue 5380−E (C.I.B.−15.3):大日本印刷化学社製、印刷インキにおいて顔料として使用。
【0125】
方法:
A.テスト用インキの組成:表2に示した通りの成分がそれぞれ違った3つのインキが配合された。
【0126】
【表2】
【0127】
B.光重合:ハードボードにインキを塗布した後、型番F300Sのランプによる300W/inの照射量であてて10μm厚の硬化塗膜を形成した。
【0128】
C.光速度:in/minの単位でタックフリーの塗膜が形成されるまでに必要な照射回数により評価。
【0129】
D.臭気:各塗膜を80℃、5分加熱し、加熱している間に臭気があるかどうかによって評価。
【0130】
結果:
表2のインキのそれぞれ光速度及び臭気について評価の結果は下記の表3の如く示される。
【0131】
【表3】
【0132】
表3の結果から、インキ2(MMMP−3含有)、インキ3(MMMP−6含有)及びインキ4(化合物3690含有)についてはインキ1如くの悪臭を生じない。そして、同じ当量の下で、インキ2はインキ1の光速度とほぼ同一である。これは、本発明の式(I)化合物を使った光重合開始剤によるインキの光の照射によって形成された塗膜における重合性構成の有効性が裏付けられる。また、本発明によるいずれかの化合物も、摺らずに単にかき混ぜることによって印刷インキを製造することができる利点がある。
【0133】
<実験2>粘性についての評価
本発明の式(I)化合物即ちMMMP−3、MMMP−6及び化合物3690が、従来のMMMPと比べて製品の粘性にどのような影響を及ぼすのか、特に夏季など高温下で運搬及び貯蔵する場合について、表2に示された4種類の印刷インキによって粘性実験を行った。そして実験のとき、夏季の運搬及び貯蔵を模擬した高温環境での最低加熱条件で一定の時間行った。
【0134】
方法:
それぞれのインキを温度を60℃に設定したオーブンに入れ、表4に示された時間間隔にてそれぞれの一部を出して測定する。その測定結果は表4の如く示される。それぞれについてcps単位でブルークスフィールド社製型番RV−DV−1粘度計で計測した値を粘性とする。
【0135】
結果:
表2に示すインキそれぞれについて測定した結果を表4に示す。
【0136】
【表4】
【0137】
表4から、MMMP−3、MMMP−6及び化合物3690含有のインキは、従来のMMMP含有のインキ1と比べて、開始粘度が低く、ゲル化し難いことが分かった。特に、MMMP−3またはMMMP−6含有のインキがゲル化により一層強いことを示した。
【0138】
<実験3>MMMP−3、化合物3690とBDMBの比較
本実験は、MMMP−3及び化合物3690はまたBDMBと光速度及び安定剤無しで缶詰安定性(in−can stability)について検討する。
【0139】
材料:
1.BDMB:Ciba 特殊化学社製、商品名:イルガキュア369。
【0140】
2.MMMP−3:上記実施例1から得られたもの。
【0141】
3.化合物3690:上記実施例3から得られた化合物。
【0142】
4.エチルミリスチン酸:上記実験1参照。
【0143】
5.イソプロピル チオキサロン:上記実験1参照。
【0144】
6.TMPTA(トリメチロールプロパン トリアクリレート):上記実験1参照。
【0145】
7.Eberyl 3702:上記実験1参照。
【0146】
8.カーボンブラック:デグサ社製、印刷インキの顔料として使う。
【0147】
方法:
A.インキの組成:標準三本ロール付ミルを使って下記表5に示す成分による三種類のインキを作る。
【0148】
【表5】
【0149】
B.インキの光重合:上記実験1の方法。
【0150】
C.光速度の測定:上記実験1の方法。
【0151】
D.臭気の測定:上記実験1の方法。
【0152】
E.粘性の測定:上記実験2の方法。
【0153】
結果:
表5のインキそれぞれの光速度、臭気及び粘性に関する測定の結果は表6の通りである。
【0154】
【表6】
【0155】
結論:
上記各実験結果によれば、本発明のMMMP−3、MMMP−6化合物及び化合物3690特にMMMP−3は、従来のMMMPとBDMBに比べ、下記の利点がある。即ち、
1.従来の臭気問題は克服されている。
【0156】
2.本発明によるMMMP−3は、等しい当量のもとでは従来のMMMP及びBDMB化合物と光速度はいささかも劣らない。
【0157】
3.さらなる低い粘度を有するので、フレキソインキやグラビアインキなどに用いることができる。
【0158】
4.本発明の化合物によれば、ゲル化が早まることがなく、安定した粘性を得ることができ、貯蔵寿命を長くすることができる。
【0159】
5.安定剤を要せず、製造工程を少なくして製造コストを減らすことができる。
【0160】
6.摺り混ぜ工程がなくなり、加工手間を省くと共に製造コストを減らすことができる。
【0161】
さらに、化合物3690の乾燥速度がMMMP−3より速く、ほぼ従来のBDMB化合物に等しい。従来のBDMB化合物と同様に化合物3690は、さらに5%の安定剤の添加によって従来のBDMB化合物にあったゲル化問題を解決することができる。本発明の化合物3690を用いるときは、摺り混ぜる必要がなく、インキ系の粘性を低下させることができる。したがって、本発明の化合物3690は従来のBDMB化合物より優れている。
Claims (5)
- 下記一般式(I)で表わし、
X1は、H、S、N、O又はNR(ここでRは炭素数1から12のアルキル基を表わし)を表わし、
X2は、H、S、N、O又はNR(ここでRは炭素数1から12のアルキル基を表わし)を表わし、
X1及びX2はHでない場合、X1=X2であり、
R´は、炭素数1から12のアルキレン基又は−(CH2OCH2)P−(ここでPは1から4の整数を表わし)を表わし、
R1及びR2は、各々独立してH、フェニル基、又はフェニル基によって置換されてもよい炭素数1から12のアルキル基、炭素数2から12のアルケニル基、或いは炭素数1から12のアルコキシ基を表わし、
R3及びR4は、各々独立してヒドロキシ基によって置換されてもよい炭素数1から6のアルキル基を表わし、
或いは、R3及びR4がつながっている窒素原子と
R5は、H、F、Cl、Br、I、ニトロ基、フェニル基、炭素数1から12のアルキル基又は炭素数1から12のアルコキシ基を表わし、
X1又はX2が、Hであるとき、kは0であり、X1又はX2が、S、O又はNRであるとき、kは1であり、X1又はX2が、Nであるとき、kは2であり、
mは2から5の整数であり、
kが1であるとき、nは1から20の整数であり、
kが2であるとき、n=n1+n2≦20、ただし、n1及びn2のいずれも、1から10の整数である、
モルフォリノケトン誘導体。 - 上記X1及びX2の中の一方がNR(ここで、Rはメチル基及びエチル基の中の一つの基を表わし)であり、他方がHであり、
上記R´は、エチレン基を表わし、
上記R1は、フェニル基置換のメチル基を表わし、
上記R2は、エチル基を表わし、
上記R3及びR4のいずれも、メチル基を表わし、
R5はHであり、
mは5である、
請求項1に記載のモルフォリノケトン誘導体。 - 光重合性単量体及び請求項1に定義される式(I)化合物を含有する光重合性ポリマー化合物。
- さらに、染料又は着色剤を含有する請求項4に記載の光重合性ポリマー化合物。
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060705 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20061129 |