【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の製造方法であって、シリンダブロックにシリンダボアを形成するために用いられる加工方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
内燃機関のシリンダブロックには、ピストンが挿入され摺動するためのシリンダボア(気筒)が形成されている。このシリンダボアに挿入されるピストンの大きな役割は爆発圧力を受け、その力をコネクティングロッドを介してクランクシャフトに伝えることである。斯かる役割を効果的に果たすため、ピストンにはシリンダボア内壁とピストン側面の間から前記爆発圧力が逃げないようにシールするためのピストンリングが装着されている。
【0003】
そしてピストン及びピストンリングは真円に近い形状で形成されるので、ピストンリングとシリンダボアのシール機能を満足するためにはシリンダボアの形状についても真円であることが要求される。
【0004】
しかし、仮に、シリンダボアを真円に加工しても、加工後に、シリンダブロックとシリンダヘッドをヘッドボルトで組付けた場合、ヘッドボルトの締付荷重によってシリンダヘッドやシリンダブロックに変形が起こり、シリンダボアの真円度が悪化することになり、前記シール機能を満足させることができない。
【0005】
そこで、従来は、シリンダブロックのシリンダボアを加工する際には、シリンダブロックのデッキ面にダミーのシリンダヘッドをヘッドボルトで組付けて加工を行っていた(特開平06−339852)。
【0006】
つまり、実際にシリンダヘッドを組付けた後のシリンダブロックに懸かる荷重と略同一にした状態で真円加工することによって、実際のシリンダヘッドの組付け後においてもシリンダボアの真円度を保つようにしていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、シリンダボアの真円度が要求されるときは、シリンダヘッドの組付け直後ではなく、実際に内燃機関が稼動しているときである。
【0008】
この内燃機関の稼動時には、シリンダヘッド、シリンダブロックに囲まれた燃焼室で燃焼が行なわれるため、組付け時よりシリンダブロック等の温度が大幅に上昇している。
【0009】
シリンダブロックやシリンダヘッドは、この温度上昇によって熱膨張が起こり、真円度が低下する場合がある。
【0010】
そこで、本発明は内燃機関の稼動時においても、シリンダボアの真円度の低下を抑制するようなシリンダボアを製造することを課題とする。
【0011】
【解決手段】
上記課題を解決するための手段として、請求項1に係る発明は、内燃機関のシリンダブロックの加工方法において、シリンダブロックを所定温度まで加熱した後にシリンダボアのホーニング加工を行うことを特徴とする内燃機関のシリンダブロックの加工方法である。
【0012】
請求項1に係る発明によれば、シリンダブロックが熱膨張した状態でシリンダボアの真円度が確保されるため、実際に内燃機関の稼動時におけるシリンダボアの真円度が格段に向上する。
【0013】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の所定温度が、温度に対するシリンダボアの長辺と短辺の比の変化率が小さくなり始める温度であることを特徴とする前2項の内燃機関のシリンダブロックの加工方法である。
【0014】
熱膨張量が温度に比例するという金属の特性を考慮すると、シリンダブロックをある程度まで加熱すれば、シリンダボアの変形態様は、上昇温度に対して略相似することになる。よって、熱膨張によるシリンダボア変形後の長辺と短辺の比の上昇温度に対する変化率が小さくなり始めるときに、ホーニング加工を行い真円度を確保すれば、それ以上温度が上昇しても真円度が確保できる。
【0015】
したがって、請求項2に係る発明によれば、必要最小限の加熱温度でシリンダボアの真円度が確保できる。
【0016】
【実施例】
図1は、直列4気筒エンジンのシリンダブロック1を斜視により示した図である。シリンダブロック1は、アルミ合金鋳物からなり、鋳型から取出されたシリンダブロック1は、シリンダヘッド(図示しない)の取付け面(シリンダデッキ)2、オイルパン(図示しない)の取付け面3、チェーンカバー(図示しない)等を取付ける前後面4、ヘッドボルトや補機取付けボルト用のネジ穴、潤滑油通路5、クランクシャフト(図示しない)を支持するクランク穴6等が加工される。
【0017】
図2に加工工程のフローチャートを示す。ステップ101では、まず、シリンダデッキ2、オイルパン取付け面3、前後面4などの面削りが行なわれる。斯かる面削りは主にフライス加工によって行なわれる。ステップ101が終了すると、ステップ103の加工工程に進む。
【0018】
ステップ103では、穴あけ、ネジ立て、油穴あけ加工が行われる。油穴としては、クランクシャフトの軸受部15やシリンダヘッドの動弁系へ供給される潤滑油通路5がある。
【0019】
ステップ103が終了すると、ステップ105に進み、シリンダブロック1は切粉除去などを行うために洗浄される。
【0020】
ステップ105の洗浄工程が終了した後は、ステップ109へ進みクランク穴6の加工が行われる。ステップ105から109へ進む間に、ステップ107でベアリングキャップ7(図3)や加工治具が組付けられる。このステップ107の説明については後述する。
【0021】
クランク穴6はクランクシャフトが装着される部位であるため、高度の加工精度が要求される。そのため、粗削りと仕上げ加工に分けられて加工工程が進む。
【0022】
また、クランク穴6はシリンダ間に形成された隔壁10に形成され、夫々のクランク穴6にクランクシャフトが装着・支持されるため、穴の精度だけでなく、各クランク穴6の同軸性が要求される。そため、クランク穴加工は、各クランク穴6を同時に加工するラインボーリング加工が行われる場合がある。
【0023】
クランク穴6にクランクシャフトを支持する軸受が装着されない場合には、クランク穴6にホーニング加工を行い、クランク穴6に軸受の機能を与える場合もある。ホーニング加工については、後に説明する。
【0024】
ステップ109が終了すると、ステップ111に進み、シリンダボア9の加工が行われる。シリンダボア9内は図示しないピストンが往復摺動するため、クランク穴6と同様に高度の穴精度が要求される。そのためクランク穴加工と同様に、シリンダボア9の加工も粗削り加工と仕上げ加工を別に行うのが一般的である。
【0025】
ステップ111が終了するとステップ115に進み、シリンダボア9のホーニング加工が行なわれる。このステップ111からステップ115の間にシリンダブロック1を加熱する加熱工程(ステップ113)が存在する。この加熱工程については後で詳述する。
【0026】
このホーニング加工は、シリンダボア9の表面に潤滑油保持用の微少な溝(クロスハッチ)を加工するために行なわれる。このクロスハッチによってピストン側面とシリンダボア9内面との間に潤滑層が形成され、ピストンの滑らかな往復摺動を可能にしている。
【0027】
かかるホーニング加工は、外周面に砥石11が取付けられた砥石ホルダ12に回転運動、上下運動を与えることによってシリンダボア9内壁を加工する(図3)。
【0028】
ステップ115のホーニング加工が終了すると、ステップ117に進み、再び、シリンダブロック1を洗浄して、一連の加工工程が終了する。
【0029】
このように、シリンダボア9の加工が他の加工工程より後に行なわれるのは、シリンダボア9を先に加工して、後から他の加工工程を行うと、他の加工工程中にシリンダブロック1に加工歪みが発生し、シリンダボア9の真円度が悪化するためである。
【0030】
次に加工治具の取付け工程について説明する。ここでの加工治具とは、ダミーのシリンダヘッド(以下ダミーヘッドという。)をいう。図3にダミーヘッド13をシリンダヘッド1に組付けた状態を示している。このダミーヘッド13は、最終的にシリンダブロック1とシリンダヘッドを組付けた際の荷重状態を想定して加工を行うための治具である。かかる治具を用いれば、最終的にシリンダヘッドを組付けた際に、その組付け荷重によって変形したシリンダブロック1のシリンダボア9が真円となる。
【0031】
このダミーヘッド13とシリンダブロック1との間には、最終的に組付けられる図示しないシリンダガスケットか、またはそれに類似するダミーのガスケットが介挿される。これは、シリンダガスケットはシリンダブロック1やシリンダヘッドに応じたビード形状や、ストッパーが設計され、これらの形状によってもシリンダブロック1に加わる荷重状態が変化するので、前記シリンダガスケットを装着してなるべく実機に近い荷重状態を再現するためである。
【0032】
ダミーヘッド13の取付け工程は、ベアリングキャップ7の取付け時と同時期(ステップ107)に取付けるのが望ましい。なぜなら、クランク穴6についても高度の穴精度が要求されているため、クランク穴6加工時にダミーヘッド13が取付けられていれば、シリンダヘッドの組付け後にクランク穴6精度の悪化を抑止することができるからである。
【0033】
次に加熱工程について説明する。シリンダブロック1を加熱する目的は、シリンダブロック1を加熱して加工することにより、エンジンが熱膨張しても、シリンダボア9の真円度をある程度確保するためである。
【0034】
この加熱工程は、シリンダボア9のホーニング加工直前(ステップ113)に行われる。つまり、ホーニング加工によってシリンダボア9の熱膨張後の真円度を決定付けることになる。シリンダブロック1の熱膨張や、ヘッドボルト14の締付荷重によってシリンダボア9の長径と短径の差は数十ミクロン程度になるが、かかる程度の差であればホーニング加工で修正は可能である。
【0035】
また、ボーリング加工時にシリンダブロック1を加熱して加工しても、ホーニング加工時に温度が低下していれば、結局、低温度の状態でシリンダボア9の真円度が確保されることになり、内燃機関が稼動して温度が上昇した状態のシリンダボア9の真円度が確保されなくなる。ボーリング工時とホーニング加工時の両方で加熱することも考えられるが、加工時の温度が上昇すると、シリンダブロック1の硬度が低下し、加工性が悪化したり、刃具の寿命が短縮したりする問題も生じてくる。したがって、本実施例のようにシリンダブロック1を加熱して加工を行う工程はなるべく限定する方がよい。
【0036】
ただし、加工性や刃具寿命の問題が解決されるのであれば、シリンダブロックを加熱して中ぐり加工行っても特に問題はない。
【0037】
図4(a)は、エンジン稼動時のシリンダボア9周辺の温度分布をシリンダデッキ側から見た図である。図4(a)中の破線が温度分布を示し、シリンダボア9の中心から破線までの距離長いほど温度が高くなっていることを表わしている。
【0038】
図4(a)からも判るように、シリンダボア9の配列方向に温度が高くなっている。これはシリンダボア間19はシリンダボア9A、9Bに挟まれる位置関係にあり、シリンダボア9A内での爆発による熱とシリンダボア9B内での爆発による熱を交互に受けるためである。一方、部位18はシリンダボア9B内での爆発による熱については受熱しやすい位置にあるが、シリンダボア9A内での爆発による熱は受熱し難い位置にあるため、シリンダボア間19より温度が低くなっている。
【0039】
また、図4(b)はシリンダボア9の軸方向の温度分布を示す。図4(b)からも判るようにクランク室側よりデッキ側の温度が高く、クランク室側に向かって温度が低くなっている。したがって、加熱部位としては、シリンダボア間の部分を中心に、デッキ近傍を加熱すればよい。図4(a)中16は、シリンダブロック1を加熱するヒータを示し、上記の通り、シリンダボア間を効率良く加熱できる位置に配置される。
【0040】
図5(a)は従来の加工方法によって加工されたシリンダブロックにダミーヘッドを取付け加熱した場合のシリンダボアの長径r1と短径r2の比(r1/r2)の温度に対する変化量を示したグラフである。
【0041】
図5(b)は、従来の加工方法によって加工されたシリンダブロックを加熱した際のボアの変形状態を示したものであり、前記長辺r1と前記短辺r2が示されている。
【0042】
金属の熱膨張量は、金属の上昇温度に比例するため、ある程度熱膨張が進むとそれ以上シリンダブロック1を加熱しても、シリンダボア9の長径r1と短径r2の比r1/r2に大きな変化が見られなくなる場合がある。したがって、斯かる変化が見られない場合には、シリンダブロック1の温度に対するr1/r2の変化率が小さくなり始める温度で真円を確保すれば、それ以上温度が上昇しても、r1/r2が大きく変化しないため、シリンダボア9の真円度が確保されることになる。
【0043】
よって、シリンダブロック1の加熱温度は、予め図5(a)のような温度に対するr1/r2のグラフを得て、温度に対するシリンダボアのr1/r2の変化率が小さくなり始める温度を把握して、その温度まで加熱すればよい。
【0044】
このように、シリンダボアのr1/r2の温度に対する変化率から加熱温度を決定すれば、加熱温度を抑制することができ、加工時の加工性の悪化を防ぎ、また、砥石11などの刃具の寿命を延ばすことができる。
【0045】
更に、加熱時間を短縮することができることに加え、加熱エネルギーを最小限に抑えることができる。
【0046】
例えば、図5(a)中のX度が内燃機関の稼動温度であるとする。しかし、加熱工程ではX度まで加熱しなくても、Y度まで加熱すれば、X度での真円度もある程度確保されることがr1/r2の変化率から判る。
【0047】
また、内燃機関の稼動時の温度を測定して、該温度までシリンダブロックを加熱して加工するこも可能である。この場合、自動車の内燃機関であれば、内燃機関の回転数が2000rpmから3000rpmの範囲にあるときの温度に加熱することが望ましい。内燃機関はかかる回転数範囲で使用される場合が最も多いからである。
【0048】
一般に、シリンダブロックは、各加工工程を自動搬送装置によって搬送されるので、加熱装置はホーニング加工前に設けられる。
【0049】
加熱装置に搬送されたシリンダブロック1は、図4(a)に示すようにシリンダボア9内にヒータ16が挿入され所定温度になるまで加熱される。シリンダブロックがオープンデッキタイプのウォータジャケット(W/J)17構造であれば、ヒータ16をW/J17に挿入することもできる(図3)。
【0050】
このオープンデッキタイプのW/J17構造であれば、ダミーシリンダヘッドにヒータ16を組み込んで、ヒータ16がシリンダブロックのW/J17に挿入される構造を採用することもできる。このような加熱構造を採用すると、ホーニング加工時においてもシリンダブロック1の加熱が可能であるため、より真円度の高いシリンダボア9を形成することができる。
【0051】
以上の実施例は、シリンダボア9をシリンダブロック1に直接加工した場合の例であるが、ライナを鋳込んだシリンダブロックであっても、ライナを圧入したシリンダブロックでも適用できる。この場合、試験などによって、加熱温度や加熱箇所などを新たに調べる必要がある。
【0052】
また、鉄系のシリンダライナを用いれば、ヒータとしてIHヒータを用いることができる。つまり、電磁誘導加熱も可能である。
【0053】
また、上記実施例のほか、全ての工程においてシリンダブロックを稼動状態時の温度まで加熱してもよい。この場合、全ての加工穴、加工面の精度が向上する。このほか、精度が要求される加工工程において、シリンダブロックを加熱することも可能である。
【0054】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、シリンダブロックが熱膨張した状態でシリンダボアの真円度が確保されるため、実際に内燃機関の稼動時におけるシリンダボアの真円度が向上する。
【0055】
また、請求項2に係る発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加え、必要最小限の加熱温度でシリンダボアの真円度が確保できる。これにより、シリンダボアの加工性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】シリンダブロックの斜視図である。
【図2】シリンダブロックの加工工程のフローチャートを示す図である。
【図3】図1のA−A断面を示す図である。
【図4】シリンダブロックの温度分布を示す図である。
【図5】シリンダボアの温度に対する変形度合いを示す図である。
【符号の説明】
1…シリンダブロック
2…シリンダデッキ
6…クランク穴
7…ベアリングキャップ
9…シリンダボア
11…砥石
12…ホルダ
13…ダミーヘッド
14…ヘッドボルト
16…ヒータ
17…ウォータジャケット[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for manufacturing an internal combustion engine, and more particularly to a processing method used for forming a cylinder bore in a cylinder block.
[0002]
[Prior art]
A cylinder block (cylinder) for inserting and sliding a piston is formed in a cylinder block of the internal combustion engine. The major role of the piston inserted into this cylinder bore is to receive the explosion pressure and transmit that force to the crankshaft via a connecting rod. In order to effectively fulfill such a role, the piston is equipped with a piston ring for sealing so that the explosion pressure does not escape from between the inner wall of the cylinder bore and the side surface of the piston.
[0003]
Since the piston and the piston ring are formed in a shape close to a perfect circle, the shape of the cylinder bore is also required to be perfect in order to satisfy the sealing function between the piston ring and the cylinder bore.
[0004]
However, even if the cylinder bore is machined to a perfect circle, if the cylinder block and cylinder head are assembled with the head bolt after machining, the cylinder head and cylinder block will be deformed by the tightening load of the head bolt, and the cylinder bore will be deformed. The roundness deteriorates, and the sealing function cannot be satisfied.
[0005]
Therefore, conventionally, when processing a cylinder bore of a cylinder block, a dummy cylinder head is mounted on a deck surface of the cylinder block with head bolts (Japanese Patent Laid-Open No. 06-339852).
[0006]
In other words, the roundness of the cylinder bore is maintained substantially the same as the load applied to the cylinder block after the cylinder head is actually assembled, so that the circularity of the cylinder bore is maintained even after the actual cylinder head is assembled. I was
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
By the way, the roundness of the cylinder bore is required not immediately after the cylinder head is assembled but when the internal combustion engine is actually operating.
[0008]
During operation of the internal combustion engine, combustion is performed in a combustion chamber surrounded by a cylinder head and a cylinder block, so that the temperature of the cylinder block and the like has risen significantly since the time of assembly.
[0009]
The cylinder block and the cylinder head may be thermally expanded due to the temperature rise, and the roundness may be reduced.
[0010]
Therefore, an object of the present invention is to manufacture a cylinder bore that suppresses a decrease in the roundness of the cylinder bore even when the internal combustion engine is operating.
[0011]
[Solution]
According to a first aspect of the present invention, there is provided a method of processing a cylinder block of an internal combustion engine, comprising: honing a cylinder bore after heating the cylinder block to a predetermined temperature. This is a method for processing a cylinder block.
[0012]
According to the first aspect of the invention, the roundness of the cylinder bore is ensured in a state where the cylinder block is thermally expanded, so that the roundness of the cylinder bore when the internal combustion engine is actually operated is significantly improved.
[0013]
The invention according to claim 2 is the internal combustion engine according to claim 2, wherein the predetermined temperature according to the invention according to claim 1 is a temperature at which a change rate of a ratio of a long side and a short side of the cylinder bore to the temperature starts to decrease. This is a method for processing a cylinder block of an engine.
[0014]
Considering the characteristic of the metal that the amount of thermal expansion is proportional to the temperature, if the cylinder block is heated to some extent, the deformation of the cylinder bore will be substantially similar to the temperature rise. Therefore, when the rate of change of the ratio of the long side to the short side after the cylinder bore deformation due to thermal expansion with respect to the rising temperature starts to decrease, if honing is performed to ensure roundness, the trueness is increased even if the temperature further rises. Roundness can be secured.
[0015]
Therefore, according to the second aspect of the invention, the roundness of the cylinder bore can be ensured at the minimum necessary heating temperature.
[0016]
【Example】
FIG. 1 is a perspective view of a cylinder block 1 of an in-line four-cylinder engine. The cylinder block 1 is made of an aluminum alloy casting. The cylinder block 1 taken out of the mold has a mounting surface (cylinder deck) 2 for a cylinder head (not shown), a mounting surface 3 for an oil pan (not shown), a chain cover ( The front and rear surfaces 4 for mounting (not shown) and the like, screw holes for head bolts and accessory mounting bolts, lubricating oil passages 5, crank holes 6 for supporting a crankshaft (not shown), and the like are machined.
[0017]
FIG. 2 shows a flowchart of the processing step. In step 101, first, the cylinder deck 2, the oil pan mounting surface 3, the front and rear surfaces 4, and the like are ground. Such facing is mainly performed by milling. When Step 101 is completed, the process proceeds to Step 103.
[0018]
In step 103, drilling, tapping, and oil drilling are performed. As the oil hole, there are a lubricating oil passage 5 supplied to a bearing 15 of a crankshaft and a valve train of a cylinder head.
[0019]
When step 103 is completed, the process proceeds to step 105, in which the cylinder block 1 is washed to remove chips and the like.
[0020]
After the completion of the cleaning process in step 105, the process proceeds to step 109, where the crank hole 6 is machined. While proceeding from step 105 to step 109, the bearing cap 7 (FIG. 3) and the processing jig are assembled in step 107. This step 107 will be described later.
[0021]
Since the crank hole 6 is a portion where the crank shaft is mounted, a high degree of processing accuracy is required. Therefore, the processing steps are divided into rough cutting and finishing.
[0022]
Further, since the crank holes 6 are formed in the partition walls 10 formed between the cylinders and the crankshafts are mounted and supported in the respective crank holes 6, not only the accuracy of the holes but also the coaxiality of each crank hole 6 is required. Is done. Therefore, in the crank hole processing, line boring processing for simultaneously processing the crank holes 6 may be performed.
[0023]
When a bearing that supports the crankshaft is not mounted in the crank hole 6, honing processing may be performed on the crank hole 6 to give the crank hole 6 a bearing function. The honing process will be described later.
[0024]
When step 109 is completed, the process proceeds to step 111, where the cylinder bore 9 is machined. Since a piston (not shown) reciprocates in the cylinder bore 9, a high degree of hole accuracy is required as in the case of the crank hole 6. Therefore, similarly to the crank hole machining, the machining of the cylinder bore 9 is generally performed separately from the rough machining and the finish machining.
[0025]
When step 111 is completed, the process proceeds to step 115, where the honing of the cylinder bore 9 is performed. There is a heating step (step 113) for heating the cylinder block 1 between step 111 and step 115. This heating step will be described later in detail.
[0026]
This honing is performed to form a minute groove (cross hatch) for retaining lubricating oil on the surface of the cylinder bore 9. By this cross hatch, a lubricating layer is formed between the side surface of the piston and the inner surface of the cylinder bore 9 to enable smooth reciprocating sliding of the piston.
[0027]
In such honing, the inner wall of the cylinder bore 9 is machined by giving a rotary motion and a vertical motion to a grindstone holder 12 having a grindstone 11 attached to the outer peripheral surface (FIG. 3).
[0028]
When the honing processing in step 115 is completed, the process proceeds to step 117, where the cylinder block 1 is washed again, and a series of processing steps is completed.
[0029]
As described above, the reason why the machining of the cylinder bore 9 is performed after the other machining process is that if the cylinder bore 9 is machined first and then another machining process is performed, the cylinder block 9 is machined into the cylinder block 1 during the other machining process. This is because distortion occurs and the roundness of the cylinder bore 9 deteriorates.
[0030]
Next, a process of attaching the processing jig will be described. The processing jig here refers to a dummy cylinder head (hereinafter, referred to as a dummy head). FIG. 3 shows a state where the dummy head 13 is assembled to the cylinder head 1. The dummy head 13 is a jig for performing processing assuming a load state when the cylinder block 1 and the cylinder head are finally assembled. If such a jig is used, when the cylinder head is finally assembled, the cylinder bore 9 of the cylinder block 1 deformed by the assembly load becomes a perfect circle.
[0031]
A cylinder gasket (not shown) to be finally assembled or a dummy gasket similar thereto is inserted between the dummy head 13 and the cylinder block 1. This is because the cylinder gasket is designed with a bead shape and a stopper corresponding to the cylinder block 1 and the cylinder head, and the load applied to the cylinder block 1 changes depending on these shapes. This is for reproducing a load state close to.
[0032]
It is desirable that the mounting process of the dummy head 13 be performed at the same time as the mounting of the bearing cap 7 (step 107). This is because the crank hole 6 is also required to have a high degree of hole accuracy, and if the dummy head 13 is attached during the machining of the crank hole 6, it is possible to suppress the deterioration of the accuracy of the crank hole 6 after the cylinder head is assembled. Because you can.
[0033]
Next, the heating step will be described. The purpose of heating the cylinder block 1 is to secure the roundness of the cylinder bore 9 to some extent by heating and processing the cylinder block 1 even if the engine thermally expands.
[0034]
This heating step is performed immediately before the honing of the cylinder bore 9 (step 113). That is, the roundness of the cylinder bore 9 after the thermal expansion is determined by the honing process. The difference between the major axis and the minor axis of the cylinder bore 9 is about several tens of microns due to the thermal expansion of the cylinder block 1 and the tightening load of the head bolt 14, but if such a difference can be corrected by honing.
[0035]
Even if the cylinder block 1 is heated and processed during boring, if the temperature is lowered during honing, the roundness of the cylinder bore 9 is eventually secured at a low temperature, and The roundness of the cylinder bore 9 in a state where the temperature has risen due to the operation of the engine cannot be ensured. It is conceivable that heating is performed during both boring and honing, but when the temperature during processing increases, the hardness of the cylinder block 1 decreases, resulting in poor workability and a shortened tool life. Problems arise. Therefore, it is better to limit the process of heating and processing the cylinder block 1 as in this embodiment as much as possible.
[0036]
However, as long as the problems of workability and tool life can be solved, there is no particular problem even if the boring is performed by heating the cylinder block.
[0037]
FIG. 4A is a diagram showing the temperature distribution around the cylinder bore 9 when the engine is running, as viewed from the cylinder deck side. The broken line in FIG. 4A indicates the temperature distribution, and indicates that the longer the distance from the center of the cylinder bore 9 to the broken line, the higher the temperature.
[0038]
As can be seen from FIG. 4A, the temperature increases in the direction in which the cylinder bores 9 are arranged. This is because the cylinder bores 19 have a positional relationship sandwiched between the cylinder bores 9A and 9B, and alternately receive heat due to the explosion in the cylinder bore 9A and heat due to the explosion in the cylinder bore 9B. On the other hand, the portion 18 is located at a position where heat due to the explosion in the cylinder bore 9B is easily received, but the heat due to the explosion in the cylinder bore 9A is at a position where it is difficult to receive the heat, and thus the temperature is lower than that between the cylinder bores 19. .
[0039]
FIG. 4B shows an axial temperature distribution of the cylinder bore 9. As can be seen from FIG. 4B, the temperature on the deck side is higher than that on the crank chamber side, and the temperature decreases toward the crank chamber side. Therefore, as the heating portion, the vicinity of the deck may be heated around the portion between the cylinder bores. In FIG. 4A, reference numeral 16 denotes a heater that heats the cylinder block 1, and as described above, is disposed at a position where the space between the cylinder bores can be efficiently heated.
[0040]
FIG. 5A is a graph showing a change amount of the ratio (r1 / r2) of the major axis r1 and the minor axis r2 (r1 / r2) of the cylinder bore to the temperature when the dummy head is mounted on the cylinder block processed by the conventional processing method and heated. is there.
[0041]
FIG. 5B shows a deformation state of the bore when the cylinder block processed by the conventional processing method is heated, and the long side r1 and the short side r2 are shown.
[0042]
Since the amount of thermal expansion of the metal is proportional to the temperature at which the metal rises, if the thermal expansion proceeds to some extent, even if the cylinder block 1 is further heated, the ratio r1 / r2 of the major axis r1 and the minor axis r2 of the cylinder bore 9 changes greatly. May not be seen. Therefore, when such a change is not observed, if a perfect circle is secured at a temperature at which the rate of change of r1 / r2 with respect to the temperature of the cylinder block 1 starts to decrease, even if the temperature further rises, r1 / r2 Does not change significantly, the roundness of the cylinder bore 9 is secured.
[0043]
Therefore, as for the heating temperature of the cylinder block 1, a graph of r1 / r2 with respect to the temperature as shown in FIG. 5A is obtained in advance, and the temperature at which the rate of change of r1 / r2 of the cylinder bore with respect to the temperature starts to decrease is grasped. What is necessary is just to heat to that temperature.
[0044]
As described above, if the heating temperature is determined from the rate of change of the cylinder bore with respect to the temperature of r1 / r2, the heating temperature can be suppressed, the workability during machining can be prevented, and the life of the cutting tool such as the grindstone 11 can be reduced. Can be extended.
[0045]
Further, in addition to shortening the heating time, the heating energy can be minimized.
[0046]
For example, assume that X degrees in FIG. 5A is the operating temperature of the internal combustion engine. However, it can be seen from the rate of change of r1 / r2 that the heating step does not require heating to X degrees but heating to Y degrees also ensures a certain degree of roundness at X degrees.
[0047]
It is also possible to measure the temperature at the time of operation of the internal combustion engine and heat the cylinder block to the temperature to perform processing. In this case, in the case of an internal combustion engine of an automobile, it is desirable to heat the internal combustion engine to a temperature when the rotation speed of the internal combustion engine is in a range of 2000 rpm to 3000 rpm. This is because the internal combustion engine is most often used in such a rotational speed range.
[0048]
Generally, a cylinder block is transported by an automatic transport device in each processing step, and therefore, a heating device is provided before honing.
[0049]
As shown in FIG. 4A, the cylinder block 1 conveyed to the heating device is heated until a predetermined temperature is reached by inserting a heater 16 into the cylinder bore 9. If the cylinder block has an open deck type water jacket (W / J) 17 structure, the heater 16 can be inserted into the W / J 17 (FIG. 3).
[0050]
In the case of this open deck type W / J17 structure, a structure in which the heater 16 is incorporated in the dummy cylinder head and the heater 16 is inserted into the W / J17 of the cylinder block can be adopted. When such a heating structure is employed, the cylinder block 1 can be heated even during honing, so that the cylinder bore 9 having higher roundness can be formed.
[0051]
The above embodiment is an example in which the cylinder bore 9 is directly machined in the cylinder block 1. However, the present invention can be applied to a cylinder block in which a liner is cast or a cylinder block in which a liner is press-fitted. In this case, it is necessary to newly check the heating temperature, the heating location, and the like by a test or the like.
[0052]
If an iron-based cylinder liner is used, an IH heater can be used as a heater. That is, electromagnetic induction heating is also possible.
[0053]
In addition to the above embodiment, the cylinder block may be heated to the temperature in the operating state in all the steps. In this case, the accuracy of all the processing holes and processing surfaces is improved. In addition, it is also possible to heat the cylinder block in a processing step requiring precision.
[0054]
【The invention's effect】
According to the first aspect of the invention, the roundness of the cylinder bore is ensured in a state where the cylinder block is thermally expanded, so that the roundness of the cylinder bore when the internal combustion engine is actually operated is improved.
[0055]
According to the second aspect of the invention, in addition to the effect of the first aspect, the roundness of the cylinder bore can be ensured with a minimum necessary heating temperature. Thereby, workability of the cylinder bore is improved.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a perspective view of a cylinder block.
FIG. 2 is a view showing a flowchart of a processing step of a cylinder block.
FIG. 3 is a view showing an AA cross section of FIG. 1;
FIG. 4 is a diagram showing a temperature distribution of a cylinder block.
FIG. 5 is a diagram showing a degree of deformation with respect to a temperature of a cylinder bore.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF SYMBOLS 1 ... Cylinder block 2 ... Cylinder deck 6 ... Crank hole 7 ... Bearing cap 9 ... Cylinder bore 11 ... Whetstone 12 ... Holder 13 ... Dummy head 14 ... Head bolt 16 ... Heater 17 ... Water jacket