JP2004025678A - 焦点調整装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】2値画像用であるか多値画像用であるかに拘らず像担持体に対する光書込装置の焦点調整を容易かつ正確に行うことができるようにする。
【解決手段】焦点調整作業時に、互いに濃度の異なる複数のパターンG1〜G9、及び、各パターンG1〜G9に付加された調整値情報(調整モータ22a,22b及び調整ねじ28a,28bの回転回数に対応した数値)を含むパターン画像Gに基づいて、用紙P上に画像G′を形成する。LEDヘッド227の位置が感光体ドラム222に対する合焦位置からずれるにしたがって、用紙P上における画像G′の各パターンG1′〜G9′の濃度が低下する。用紙P上に画像が形成されなかったパターンのうちで最も濃度の低いパターンに付加されている数値の入力を受け付け、この数値に対応する回数だけ調整モータ22a,22bを回転駆動することにより、LEDヘッド227を合焦位置に変位させる。
【選択図】図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子写真方式の画像形成装置において、画像データに基づいて変調された光を照射して像担持体表面に静電潜像を形成する光書込装置の焦点を調整する焦点調整装置、及び、この焦点調整装置備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機やレーザプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置では、光書込装置の発光素子からディジタル化された画像データに基づいて変調した光を照射して像担持体表に静電潜像を形成し、この静電潜像を現像剤によって顕像化した後に用紙等の記録媒体に転写して画像を形成する。この画像形成装置に用いられる光書込装置には、レーザ方式と固体走査方式との2つのタイプがある。
【0003】
レーザ方式の光書込装置は、1つのレーザ発光素子から発光されるレーザビームを回転多面鏡等で広角度に偏向するので、光路長の長い光学系が必要となり、画像形成装置の小型化及び低コスト化の実現が困難になる。
【0004】
一方、固体走査方式の光書込装置は、1ライン分に相当する個数(600dpiの解像度のA3サイズの画像に対応する場合には約7000個)のLEDやEL等の発光素子をアレイ状に並べ、各素子の光をセルフォックレンズ等からなるレンズアレイによって集光して像担持体表面に照射する。即ち、固体走査方式の光書込装置は、各発光素子が像担持体に1つの画素を書き込むため、光学系の光路長を短くでき、画像形成装置の小型化及び低コスト化を実現し易い。このため、近年では固体走査方式の光書込装置が主流を占めている。
【0005】
固体走査方式の光書込装置において光路長を短くし過ぎると、焦点深度が浅くなって焦点ずれ(焦点ボケ)が発生し易いが、この焦点ずれは光書込装置と像担持体との距離を調整することで解消できる。そこで、画像形成装置の組立時に作業者は、画像形成で得られた画像を目視によって観察しつつ光書込装置と像担持体との距離を手動により調整する作業が繰り返し行われていた。
【0006】
ところが、従来の光書込装置と像担持体との距離の調整作業では、非常に煩雑かつ困難な作業の全てを人手に頼っていたため、調整作業に熟練を要するとともに、作業時間が長時間化する問題がある。
【0007】
このような焦点調整に関する技術として、例えば、▲1▼特開昭62−166372号公報には、発光素子の配列方向について焦点距離が不均一となるように光書込装置を像担持体に対して傾斜させた状態で画像形成を行った後、傾斜角度を保ったまま光書込装置を平行移動させて再度画像形成を行い、2度の画像形成において最も焦点のあった2つの画素位置の情報に基づいて、光書込装置に対する像担持体の傾斜角度及び焦点距離のずれ量を演算するようにした構成が開示されている。
【0008】
また、▲2▼特開平7−270673号公報には、焦点距離を変化させながら光書込装置の点灯及び消灯を繰り返して画像パターンを形成し、画像濃度が最も低くなる位置に光書込装置を配置するようにした構成が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記▲1▼に開示された構成では、焦点調整のために煩雑な演算を行う必要がある。また、上記▲2▼に開示された構成は、2値画像用の像担持体に関するものであり、多値画像用の像担持体に関する焦点調整の技術については、何ら記載されていない。
【0010】
この発明の目的は、2値画像用であるか多値画像用であるかに拘らず像担持体に対する光書込装置の焦点調整を容易かつ正確に行うことができる焦点調整装置及び画像形成装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
(1)画像形成領域における主走査方向の各画素に対応して並設した複数の発光素子から照射される光の焦点位置を像担持体表面に一致させる光書込装置の焦点調整装置であって、
それぞれが互いに異なる調整量に対応した濃度を有する複数のパターンによって構成されたパターン画像を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶しているパターン画像に基づく画像形成処理を行う画像形成手段と、調整量に基づいて発光素子の光の焦点が像担持体表面に一致するように発光素子の光の照射方向について像担持体表面に対する光書込装置の位置を変位させる変位機構と、を含むことを特徴とする。
【0012】
この構成においては、互いに異なる調整量に対応した濃度を有する複数のパターンによって構成されたパターン画像に基づく画像形成処理が行われるとともにパターン画像に基づく画像形成処理結果における各パターンの濃度に応じた調整量に基づいて発光素子の光の焦点が像担持体表面に一致するように光書込装置の位置が変位される。光書込装置の発光素子の焦点が像担持体表面と一致しなければ焦点がボケるために各パターン画像の濃度が低下し、像担持体表面に対する光書込装置の焦点の誤差が大きくなるにしたがって濃度の薄いパターン画像から順に記録媒体上に画像が形成されなくなる。したがって、記録媒体上において形成されなかったパターン画像の濃度に応じた調整量に基づいて、光書込装置が像担持体表面に対して適正な位置に位置するように、光書込装置が自動的に変位される。
【0013】
(2)前記変位機構は、発光素子の光の照射方向についての像担持体表面に対する光書込装置の位置を移動部材を介して変位自在にして保持する保持部材、移動部材に光書込装置の位置を変位させる駆動力を供給する駆動源、及び、前記調整量に応じて駆動源の動作を制御する駆動制御手段を含むこと特徴とする。
【0014】
この構成においては、光書込装置が移動部材によって発光素子の光の照射方向についての像担持体表面に対する位置を変位自在にした状態で保持部材において保持され、駆動制御手段が制御する駆動源から移動部材に対して光書込装置の位置を変位させるための駆動力が調整量に応じて供給される。したがって、光書込装置は、駆動制御手段から調整量に応じて移動部材に供給される駆動力により、発光素子の光の焦点が像担持体表面に一致するように変位した状態で保持部材において確実に保持される。
【0015】
(3)前記変位機構は、前記記憶手段に記憶されたパターン画像に基づく画像形成処理により画像が形成された記録媒体を参照して決定された調整量の入力操作を受け付ける入力部を備えたことを特徴とする。
【0016】
この構成においては、パターン画像に基づく画像形成処理結果を参照して決定した調整量、又は、パターン画像に基づく画像形成処理結果から検出した調整量が、入力部を介して変位機構に入力される。したがって、発光素子の光の照射方向における光書込装置の像担持体に対する位置が、パターン画像に基づく画像形成処理結果を参照して決定した調整量、又は、パターン画像に基づく画像形成処理結果から検出した調整量に応じて、発光素子の光の焦点が像担持体表面に一致するように正確に変位される。
【0017】
(4)前記変位機構は、前記記憶手段に記憶されたパターン画像に基づく画像形成処理により画像が形成された記録媒体の読取データに応じた調整量に基づいて発光素子の光の照射方向について像担持体表面に対する光書込装置の位置を変位させることを特徴とする。
【0018】
この構成においては、パターン画像に基づく画像形成処理結果である記録媒体上の画像の読取データに応じた調整量に基づいて、発光素子の光の焦点が像担持体表面に一致するように発光素子の光の照射方向における光書込装置の像担持体に対する位置が変位される。したがって、パターン画像に基づく画像形成処理によって画像が形成された記録媒体を画像読取装置に読み取らせることにより、発光素子の光の焦点が像担持体表面に一致するように発光素子の光の照射方向における光書込装置の像担持体に対する位置が自動的に変位される。
【0019】
(5)前記パターン画像を構成する各パターンは、画像形成領域における主走査方向の略全域に連続することを特徴とする。
【0020】
この構成においては、光書込装置における主走査方向の略全域に連続する複数のパターンからなるパターン画像に基づく画像形成処理結果に基づいて光書込装置の焦点調整作業が行われる。したがって、主走査方向の略全域における光書込装置の適正位置からの誤差が記録媒体上の画像の濃度から認識され、光書込装置が主走査方向の全域にわたって適正位置を基準として片側に偏っている状態であるか、又は、光書込装置の主走査方向の中間部が適正位置に位置している状態であるかが確認され、光書込装置の調整すべき方向が正確に特定される。
【0021】
(6)前記画像形成手段は、前記パターン画像を構成する各パターンの濃度に応じて各画素径を変更することを特徴とする。
【0022】
この構成においては、光書込装置の焦点調整作業時に、各画素径を変化させることによって濃度差を与えた複数のパターンによって構成されるパターン画像が形成される。したがって、多値画像感光材料によって構成された像担持体を用いる画像形成装置における光書込装置の焦点調整作業時に調整量の決定に使用される複数のパターンが互いに異なる濃度で適正に形成され、各パターンの濃度の差異が記録媒体上に明瞭に表現される。
【0023】
(7)記画像形成手段は、前記パターン画像を構成する各パターンの濃度に応じて画素数の異なる2値パターンを形成することを特徴とする。
【0024】
この構成においては、光書込装置の焦点調整作業時に、所定領域内の画素数を変化させることによって濃度差を与えた複数のパターンによって構成されるパターン画像が形成される。したがって、2値画像感光材料によって構成された像担持体を用いる画像形成装置における光書込装置の焦点調整作業時に調整量の決定に使用される複数のパターンが互いに異なる濃度で適正に形成され、各パターンの濃度の差異が記録媒体上に明瞭に表現される。
【0025】
(8)前記画像形成手段は、パターン画像を構成する各パターンの濃度に応じて発光素子の発光時間を制御することを特徴とする。
【0026】
この構成においては、光書込装置の焦点調整作業時に、各画素径を変化させて濃度差を与えた複数のパターンによって構成されるパターン画像を形成するために光書込装置の各発光素子の発光時間が制御される。したがって、多値画像感光材料によって構成された像担持体を用いる画像形成装置における光書込装置の焦点調整作業時に調整量の決定に使用されるパターン画像が、発光素子の発光時間の制御によって容易に形成される。
【0027】
(9)前記画像形成手段は、パターン画像を構成する各パターンの濃度に応じて発光素子の発光出力を制御することを特徴とする。
【0028】
この構成においては、光書込装置の焦点調整作業時に、各画素径を変化させて濃度差を与えた複数のパターンによって構成されるパターン画像を形成するために光書込装置の各発光素子の発光出力が制御される。したがって、多値画像感光材料によって構成された像担持体を用いる画像形成装置における光書込装置の焦点調整作業時に調整量の決定に使用されるパターン画像が、発光素子の発光出力の制御によって容易に形成される。
【0029】
(10)前記パターン画像は、各パターンの濃度に対応した調整量を表す調整量情報を含むことを特徴とする。
【0030】
この構成においては、光書込装置の焦点調整作業時に記録媒体上に形成されるパターン画像を構成する各パターンに、そのパターンの濃度に対応した調整量を表す調整量情報が付加して形成される。したがって、記録媒体上におけるパターン画像の形成状態に応じた光書込装置の焦点位置の調整量が調整量情報を参照して容易に認識される。
【0031】
(11)前記変位機構は、前記画像形成手段による画像形成処理前に、発光素子の光の焦点が像担持体表面に一致すると予想される位置から像担持体に近接又は離間する方向に変位した位置に光書込装置を変位させることを特徴とする。
【0032】
この構成においては、予め発光素子の光の焦点が像担持体表面に一致すると予想される位置から像担持体に近接又は離間する方向に変位した位置に光書込装置をずらせて装着した状態でパターン画像の画像形成が行われる。したがって、光書込装置の位置を適正位置に調整するために光書込装置を移動させるべき方向が予め特定され、パターン画像に基づく画像形成処理結果としての単一の記録媒体上の画像から、光書込装置の位置を適正にするための調整方法が正確に認識される。
【0033】
(12)(1)乃至(11)のいずれかに記載の焦点調整装置を備えた画像形成装置であって、焦点調整装置によって像担持体に対する位置を調整した光書込装置から画像データに基づいて変調した光が照射される像担持体を介して電子写真方式の画像形成を行うことを特徴とする。
【0034】
この構成においては、互いに異なる調整量に対応した濃度を有する複数のパターンによって構成されたパターン画像に基づく画像形成処理結果における各パターンの濃度に応じた調整量に基づいて発光素子の光の焦点が像担持体表面に一致するように光書込装置の位置が変位された状態で画像形成処理が行われる。したがって、光書込装置の発光素子から照射された光が像担持体表面に結像した状態で正確な画像が形成される。
【0035】
(13)原稿の画像を読み取る画像読取装置を備え、焦点調整装置の画像形成手段によって記録媒体に形成されたパターン画像を画像読取手段で読み取り、読み取ったパターン画像の読取データに基づいて焦点調整装置における光書込装置の調整量を決定する制御手段を設けたことを特徴とする。
【0036】
この構成においては、互いに異なる調整量に対応した濃度を有する複数のパターンによって構成されたパターン画像に基づく画像形成処理結果である記録媒体の画像が画像読取装置において読み取られ、その読取データに基づいて光書込装置の位置の調整量が決定される。したがって、焦点調整作業時には、パターン画像に基づく画像形成処理で画像が形成された記録媒体を画像読取装置にセットして読取処理を行わせるだけで、発光素子の光の照射方向における像担持体に対する光書込装置の位置が発光素子の光の焦点が像担持体表面に一致する状態に自動的に変位される。
【0037】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の実施形態に係る焦点調整装置を適用したディジタル画像形成装置の構成を示す図である。ディジタル画像形成装置1の上面には、透明ガラスからなる原稿台111が配置されている。原稿台111の上面は、自動原稿搬送装置(ADF)112によって開閉自在に被覆されている。ADF112は、原稿セットトレイ上にセットされた原稿を1枚ずつ自動的に原稿台111上へ給送する。
【0038】
ディジタル画像形成装置1の内部において、原稿台111の下方には、画像読取部110が配置されている。画像読取部110は、第1の走査ユニット113、第2の走査ユニット114、光学レンズ115及び光電変換素子(CCDラインセンサ)116を備えている。走査ユニット113には、原稿画像面を露光する露光ランプユニット、及び、原稿画像面における反射光を所定の方向に反射する第1ミラーが搭載されている。走査ユニット114には、第1ミラーを経由した原稿画像面における反射光をCCDラインセンサ116に導く第2ミラー及び第3ミラーが搭載されている。光学レンズ115は、原稿画像面における反射光をCCDラインセンサ116上に結像する。画像読取部110は、この発明の画像読取装置であり、ADF112との関連した動作により、ADF112によって原稿台111上に給送された原稿の給装自動搬送される原稿の画像を所定の露光位置において読み取る。
【0039】
画像読取部110によって読み取られた原稿の画像は、画像データとして図示しない画像処理部へ送られ、所定の画像処理が施された後にメモリに格納される。メモリ内の画像データは、出力指示に応じて制御部200によって画像形成部210の固体走査型の光書込装置であるLEDヘッド227に転送される。
【0040】
LEDヘッド227は、制御部200により、メモリに格納されている画像データ、又は、外部の装置から転送されてきた画像データの供給を受ける。LEDヘッド227は、供給された画像データに応じて点灯する発光素子アレイ、及び、発光素子アレイから照射された光を像担持体である感光体ドラム222上に結像させるセルフォックレンズ等のレンズアレイを備え、後述する帯電器223によって所定の電位に均一に帯電した感光体ドラム222の表面を画像データに基づいて変調された光によって露光し、感光体ドラム222の表面に静電潜像を形成する。
【0041】
この発明き画像形成手段である画像形成部210には、感光体ドラム222の周囲に、感光体ドラム222の表面を所定の電位に帯電させる帯電器223、感光体ドラム222の表面にトナーを供給して静電潜像をトナー像に顕像化する現像器224、感光体ドラム222の表面に形成されたトナー像を記録媒体である用紙に転写するローラ方式やブラシ方式や図に示すチャージャ方式の転写器225、用紙を除電して感光体ドラム222の表面から剥離し易くする除電器229、及び、感光体ドラム222の表面に残留したトナーを回収するクリーニング器226等が備えられている。
【0042】
画像形成部210においてトナー像が転写された用紙は、定着ユニット217に搬送されて加熱及び加圧を受ける。これによって、用紙上に転写されたトナー像が、一旦溶融した後に用紙上に堅牢に定着して画像を形成する。
【0043】
ディジタル画像形成装置1の内部の用紙搬送方向における画像形成部210の下流側には、定着ユニット217の他に、用紙の裏面に再度画像を形成するために用紙の前後端を反転させた後に両面ユニット255に導くスイッチバック搬送路221、画像が形成された用紙に対するステープル処理等を行う後処理機構、及び、用紙の収納枚数に応じて上下に移動する昇降トレイ261を有する後処理装置260を備えている。定着ユニット217を通過してトナー像が定着された用紙は、必要に応じて選択的にスイッチバック搬送路221から両面ユニット255を経由して画像形成部210及び定着ユニット217を再度通過した後、排紙ローラ219によって後処理装置260内に導かれ、所定の後処理が施された後に昇降トレイ261上に排出される。
【0044】
ディジタル画像形成装置1内において画像形成部210の下方には、給紙部250が配置されている。給紙部250は、手差トレイ254、両面ユニット255、用紙トレイ251〜253、及び、これらトレイ251〜254又は両面ユニット255から繰り出された用紙を画像形成部210に搬送する用紙搬送路256を備えている。両面ユニット255は、スイッチバック搬送路221において前後端を反転された用紙を一時収納する。両面ユニット255は、用紙トレイ251〜253と同様の通常の用紙トレイと交換可能にされている。
【0045】
図2は、上記ディジタル画像形成装置の制御部の構成を示すブロック図である。ディジタル画像形成装置1の制御部200は、ROM202及びRAM203を備えたCPU201にパターンデータ記憶部204、画像データ記憶部205及び画像データ入力部206を接続して構成されている。CPU200には、操作部301、定着部302、給紙部303、帯電部304、現像部305、転写部306、LEDヘッド227、ADF112、画像読取装置110及び調整モータ22a,22b等の入出力機器が接続されている。CPU201は、この発明の駆動制御手段及び制御手段であり、ROM202に予め書き込まれたプログラムに基づいて各入出力機器を統括して制御する。この間に入出力されるデータがRAM203に一時格納される。
【0046】
パターンデータ記憶部204は、後述するパターン画像の画像データを記憶するこの発明の記憶手段である。画像データ記憶部205は、画像処理後の画像データを記憶する。画像データ入力部206は、外部のスキャナ等の装置からの画像データの入力を受け付ける。操作部301は、CPU201から供給される表示データに基づいて図示しない操作パネル内のディスプレイを駆動するとともに、オペレータによる同操作パネル内のキー操作の内容をCPU201に入力する。定着部302は、CPU201から供給される制御データに基づいて定着ユニット217のヒータを駆動する。
【0047】
給紙部303は、CPU201から供給される制御データに基づいてトレイ251〜254又は両面ユニット255に配置されている給紙ローラや用紙搬送路256内の搬送ローラ等に回転力を供給するモータやクラッチを駆動する。帯電部304は、CPU201から供給される制御データに基づいて帯電器223の電源部を駆動する。現像部305は、CPU201から供給される制御データに基づいて現像器224の現像バイアス電源やモータを駆動する。転写部306は、CPU201から供給される制御データに基づいて転写器225の電源部を駆動する。また、CPU201は、図示しないドライバ回路を介して前面側調整モータ22a及び背面側調整モータ22bを駆動する。この調整モータ22a,22bについては後述する。
【0048】
図3は、上記ディジタル画像形成装置におけるLEDヘッドと感光体ドラムとの位置関係を示す図である。LEDヘッド227は、LEDアレイ基板12とレンズアレイ13とを備えている。LEDアレイ基板12には、複数のLED(発光素子)11が感光体ドラム222表面の回転軸方向(主走査方向)の略全域にわたってアレイ状に並設されている。各LED11は、感光体ドラム222の表面を介して用紙P上に形成すべき画像の主走査方向における各画素に対応している。レンズアレイ13は、LEDアレイ基板12上の各LED11に対向する複数のレンズによって構成されている。
【0049】
LEDヘッド227が感光体ドラム222の表面に対して適正な距離に位置にしている状態で、画像データに基づいて各LED11から照射された光が、レンズアレイ13によって感光体ドラム222の表面に結像する。したがって、用紙P上に画像データの内容が忠実に再現された画像を形成するためには、感光体ドラム222に対するLEDヘッド227の距離が主走査方向の全域にわたって適正な値となるようにディジタル画像形成装置1内にLEDヘッド227を取り付ける必要がある。
【0050】
図4は、調整機構を含む上記LEDヘッドの外観図である。LEDヘッド227は、調整機構2を介してディジタル画像形成装置1内の所定の位置に取り付けられる。調整機構2は、ディジタル画像形成装置1の前面側フレーム31及び背面側フレーム32、並びに、LEDヘッド227を支持するフレーム30内に設けられている。LEDヘッド227の長手方向(主走査方向)の両端は、フレーム30の両端から突出した支持軸21によって前面側フレーム31及び背面側フレーム32に支持されている。
【0051】
前面側フレーム31及び背面側フレーム32には、それぞれ前反面側調整モータ22a及び背面側調整モータ22bが設けられている。調整モータ22a,22bの回転により、LEDヘッド227の両端の感光体ドラム222に対する距離が変化する。LEDヘッド227をディジタル画像形成装置1内の所定位置に装着した後、調整モータ22a,22bを所定量だけ回転させてLEDヘッド227の両端と感光体ドラム222との距離を変化させることにより、LEDヘッド227の焦点調整を行う。
【0052】
図5は、上記調整機構の構成を示す図である。また、図6は、同調整機構における調整動作を示す図である。LEDヘッド227の両端部には、ヘッド支持部227aが延出して形成されている。ヘッド支持部227aには、LEDヘッド227の長手方向(図中、矢印Xで示す主走査方向)に直交する垂直方向(図中、矢印Yで示す方向)に突出した当接ピン23及び支持ピン24が設けられている。
【0053】
ヘッド支持部227aから上方に突出した当接ピン23の上端は、支持軸21の一部に摺動自在に外嵌した移動体25の傾斜面25aに下方から当接する。ヘッド支持部227aから下方に突出した支持ピン23の下端は、フレーム30に形成されたU字状の長孔30aに係止される。LEDヘッド227は、一端がフレーム30に係止されたスプリング26の他端に係止されており、スプリング26の弾性力によって常に上方に付勢されている。
【0054】
LEDヘッド227の上方には、前面側フレーム31と背面側フレーム32との間に架け渡された支持軸21が位置している。支持軸21の両端部には、スプリング27が外嵌している。スプリング27の一端は支持軸21の周面から突出したフランジ部21aに当接し、スプリング27の他端は支持軸21に外嵌した移動体25の内側面に当接している。したがって、移動体25はスプリング27の弾性力によって支持軸21の端部方向に付勢されている。
【0055】
ディジタル画像形成装置1の前面側フレーム31及び背面側フレーム32には、調整ねじ28a,28bが螺合するねじ孔31a,32aが形成されている。ねじ孔31a,32aに前面側フレーム31及び背面側フレーム32の外側から螺合した調整ねじ28a,28bの先端は、移動体25の側面に当接する。また、調整ねじ28a,28bの前面側フレーム31及び背面側フレーム32の外側の端部は、前面側フレーム31及び背面側フレーム32の外側に固定された前面側調整モータ22a及び背面側調整モータ22bの回転軸に固定されている。したがって、前面側調整モータ22a及び背面側調整モータ22bを駆動することにより、調整ねじ22a,22bが回転し、移動体25がスプリング27の弾性力により、又は、この弾性力に抗して支持軸21の軸方向(主走査方向)である矢印X方向に変位する。
【0056】
移動体25が矢印X方向に変位すると、移動体25の傾斜面25aにおける当接ピン23の上端の当接位置が矢印X方向及び矢印Y方向に変化する。移動体25の傾斜面25aにおける当接ピン23の上端の当接位置が印Y方向に変化することにより、スプリング26によって上方に付勢されているLEDヘッド227がスプリング26の弾性力により、又は、この弾性力に抗して上下方向に変位する。
【0057】
即ち、図6に示すように、前面側調整モータ22aを正転駆動して調整ねじ28aを回転させ、スプリング27から作用する矢印Fo方向の弾性力によって移動体25を矢印X1方向に後退させると、移動体25の傾斜面25aにおいて当接ピン23の上端が当接する位置が上方に変位し、図示しないスプリング26から作用する矢印Fu方向の弾性力によってLEDヘッド227が矢印Y1方向に変位する。また、前面側調整モータ22aを反転駆動してスプリング27から作用する矢印Fo方向の弾性力に抗して調整ねじ22を反対方向に回転させ、移動体25を矢印X2方向に前進させると、移動体25の傾斜面25aにおいて当接ピン23の上端が当接する位置が下方に変位し、図示しないスプリング26から作用する矢印Fu方向の弾性力に抗してLEDヘッド227が矢印Y2方向に変位する。背面側においても背面側調整モータ22bの回転駆動によって、同様の動作が行われる。
【0058】
このようにして、前面側調整モータ22a及び背面側調整モータ22bの回転駆動による調整ねじ28a,28bの回転によってLEDヘッド227が矢印Y1又はY2方向に変位し、LEDヘッド227と感光体ドラム222の表面との距離Hを調整することができる。図5に示したように、調整機構2はLEDヘッド227の主走査方向(X方向)の両端において同一の構成を備えているため、LEDヘッド227と感光体ドラム222の表面との距離HをLEDヘッド227の主走査方向の両端において個別に調整することができる。また、移動体25の矢印X方向の移動量は調整モータ22a,22b及び調整ねじ28a,28bの回転量に1次関数的に比例するとともに、当接ピン23の上端が当接する移動体25の傾斜面は移動体25及びLEDヘッド227の変位方向を含む平面において直線によって構成されているため、LEDヘッド227の変位量は調整モータ22a,22bの回転量に1次関数的に比例する。即ち、LEDヘッド227と感光体ドラム222の表面との距離Hは、調整モータ22a,22bの回転量に応じて一定の割合で変化する。
【0059】
以上の構成において、当接ピン23、移動体25及び調整ねじ22a,22bがこの発明の移動部材に相当し、フレーム30が同じく保持部材に相当し、調整モータ22a,22bが同じく駆動源に相当する。また、これら当接ピン23、移動体25、調整ねじ22a,22b、フレーム30及び調整モータ22a,22bがこの発明の変位機構を構成している。
【0060】
図7は、上記ディジタル画像形成装置におけるLEDヘッドの焦点調整時に使用されるパターン画像を示す平面図である。ディジタル画像形成装置1においてLEDヘッド227と感光体ドラム222の表面との距離を適正にして画像データの内容を用紙P上に正確に再現するために行われる焦点調整作業では、図7に示すパターン画像Gについて用紙P上に画像が形成され、この画像形成結果に基づいて調整ねじ22が操作される。
【0061】
このパターン画像Gは、互いに濃度の異なる一例として9個のパターンG1〜G9、前面側及び背面側を示す「F」及び「R」の文字、並びに、各パターンG1〜G9の濃度に応じた調整量を表す数値(この発明の調整量情報である。)によって構成されている。各パターンG1〜G9は、主走査方向の略全域に匹敵する長さの帯状を呈している。各パターンG1〜G9の濃度は、LEDヘッド227から照射された光が感光体ドラム222の表面に結像する合焦位置にLEDヘッド227が位置している状態から、調整ねじ22を所定方向(例えば、LEDヘッド227が感光体ドラム222から離間する方向)に一定量ずつ(例えば、1回転ずつ)8回繰り返して回転操作することにより、LEDヘッド227を感光体ドラム222の表面に対する合焦位置から徐々に離間させた9段階の各状態で画像形成を行った際のそれぞれの濃度にされている。
【0062】
各パターンG1〜G9の右側に付された数値は、濃度に応じた調整量を表しており、調整ねじ22の回転数を表している。例えば、最も濃度の薄いパターンG1に付されている数値“1”は、焦点調整作業時における画像形成において用紙P上に最も濃度の薄いパターンG1が形成されなかった場合には、調整ねじ22を1回転させることによってLEDヘッド227を感光体ドラム222の表面に対する合焦位置まで移動させることができることを表している。この数値は、1回転刻みである必要はなく、2回転刻み、0.5回転刻み又は0.25回転刻み等、各はターンの濃度と調整ねじ22のピッチ等との関係に応じて作業者が操作可能な回転数とすることができる。
【0063】
なお、パターン画像Gは、多数のディジタル画像形成装置1において、LEDヘッド227を感光体ドラム222の表面に対する合焦位置から徐々に離間させた9段階の各状態で画像形成を行った結果に基づいて作成することにより、LEDヘッド227の個体差による調整不良の発生を抑えることができる。
【0064】
図8は、多値画像感光材料を用いたディジタル画像形成装置における焦点調整作業に使用されるパターン画像の形成方法を示す図である。多値画像感光材料によって感光体ドラム222が構成されている場合、主走査方向及び副走査方向ともに、nドット間隔(図ではn=5)の点画像によって各パターンG1〜G9が形成される。nは画像形成特性に応じて設定すればよく、点画像の位置も縦横共に同一でなく千鳥配列にしてもよい。各画素に対応したLEDアレイ227のLED11の発光時間又は発光出力を画像データに応じて変化させて各パターンG1〜G9の濃度を再現する。濃度が高い場合には各LED11の発光時間を長く又は発光出力を大きくして図8(A)に示すように各ドット径を大きし、濃度が低い場合には各LED11の発光時間を短く又は発光出力を小さくして図8(C)に示すように各ドット径を小さくする。
【0065】
図9は、2値画像感光材料を用いたディジタル画像形成装置における焦点調整作業に使用されるパターン画像の形成方法を示す図である。2値画像感光材料によって感光体ドラム222が構成されている場合、各ドット径を変化させることができない。そこで、LEDアレイ227のLED11のうち発光させるLED11の数を変化させて各パターンG1〜G9の濃度を再現する。濃度が高い場合には発光させるLED11の数を多くして図9(A)に示すように黒画素を増加し、濃度が低い場合には発光させるLED11の数を少なくして図9(C)に示すように黒画素を減らす。
【0066】
図11は、上記の焦点調整装置の第1の処理手順を示すフローチャートである。まず、光書込装置であるLEDヘッド227の組立を行い(s1)、組み立てたLEDヘッド227を調整機構2に装着する(s2)。ここで、制御部200のCPU201は、調整モータ22a,22bを回転駆動し、合焦位置Hから所定の方向にずらした位置にLEDヘッド227をセットする(s3)。このようにして調整機構2にセットしたLEDヘッド227をディジタル画像形成装置1に装着し(s4)、パターン画像Gに基づく画像形成処理を実行する(s5)。
【0067】
焦点調整作業時には、ディジタル画像形成装置1の操作部301のディスプレイ301aには、図12に示す焦点調整画面310が表示されている。この焦点調整画面310内には、前面側濃度状態入力部311及び背面側濃度状態入力部312が構成されている。操作部301のディスプレイ内に表示された前面側濃度状態入力部311及び背面側濃度状態入力部312は、この発明の入力部であり、s5におけるパターン画像Gに基づく画像形成処理により用紙P上に形成された画像G′の前面側及び背面側において、再現されている最も濃度の薄いパターンに付加されている数値の入力操作を受け付ける。
【0068】
作業者が、ディスプレイ301aに表示された焦点調整画面310の表示にしたがって、前面側濃度状態入力部311及び背面側濃度状態入力部312に用紙P上の画像形成状態を入力すると(s6)、制御部200のCPU201は、ROM202に予め格納されているプログラムにしたがって調整モータ22a,22bを回転駆動する(s7)。ROM202には、前面側濃度状態入力部311及び背面側濃度状態入力部312に入力された数値と調整モータ22a,22bの回転量との関係が記憶されている。前面側調整モータ22a及び背面側調整モータ22bは、前面側濃度状態入力部311及び背面側濃度状態入力部312に入力された数値に応じた回数だけ回転する。
【0069】
これによって、調整ねじ28a,28bが必要量だけ回転し、LEDヘッド227が合焦位置Hに位置する。この状態で、再度画像形成処理を行い、LEDヘッド227が合焦位置に位置していることを確認する(s8)。なお、s8の処理は省略することができる。このようにして、作業者は、焦点調整作業時にパターン画像Gに基づく画像形成処理によって得られた用紙P上の画像G′の形成状態を読み取り、この結果を操作部301に入力する作業を1回のみ行うことにより、自動的にLEDヘッド227を像担持体222の表面に対する合焦位置に位置させることができる。
【0070】
以上のようにして、作業者は、焦点調整作業時には、図7に示したパターン画像Gに基づく画像形成処理を行い、用紙P上における画像の形成状態に応じて調整機構2に含まれる調整モータ22a,22bを回転駆動させることにより、感光体ドラム222の表面に対するLEDヘッド227の距離を適正にすることができる。例えば、図7のパターン画像Gに基づく画像形成処理の結果、図10に示す画像G′が用紙P上に形成された場合、前面側においてパターンG1′及びG2′が形成されておらず、背面側においてパターンG1′〜G4′が形成されていないことから、作業者は、パターンG3′に付記されている数値“3”を前面側濃度状態入力部311に入力し、パターンG5′に付記されている数値“5”を背面側濃度状態入力部312に入力する。CPU201はこれに応じて、例えば前面側調整モータ22aを2回転、背面側調整モータ22bを4回転、回転駆動することにより、主走査方向の前面側及び背面側の両端部において感光体ドラム222の表面に対するLEDヘッド227の距離を適正にすることができる。
【0071】
図13は、上記の焦点調整装置の第1の処理手順を示すフローチャートである。まず、光書込装置であるLEDヘッド227の組立を行い(s11)、組み立てたLEDヘッド227を調整機構2に装着する(s12)。ここで、制御部200のCPU201は、調整モータ22a,22bを回転駆動し、合焦位置Hから所定の方向にずらした位置にLEDヘッド227をセットする(s13)。このようにして調整機構2にセットしたLEDヘッド227をディジタル画像形成装置1に装着し(s14)、パターン画像Gに基づく画像形成処理を実行する(s15)。
【0072】
制御部200のCPU201は、作業者がs15におけるパターン画像Gに基づく画像形成処理によって画像が形成された用紙Pを原稿台111上に載置した後に操作部301内のスタートキーを操作すると、画像が形成された用紙PK 読取処理を行う(s16)。CPU201は、用紙P上に形成された画像の読取データから前面側及び背面側のそれぞれにおいて再現されている最も薄い濃度のパターンに付加されている数値を読み取り(s17)、読み取った数値に対応する回数だけ前面側調整モータ22a及び背面側調整モータ22bを回転駆動する(s18)。
【0073】
これによって、調整ねじ28a,28bが必要量だけ回転し、LEDヘッド227が合焦位置Hに位置する。この状態で、再度画像形成処理を行い、LEDヘッド227が合焦位置に位置していることを確認する(s19)。なお、s19の処理は省略することができる。このようにして、作業者は、焦点調整作業時にパターン画像Gに基づく画像形成処理によって得られた用紙P上の画像G′の形成状態を読み取り、この結果を操作部301に入力する作業を1回のみ行うことにより、自動的にLEDヘッド227を像担持体222の表面に対する合焦位置に位置させることができる。
【0074】
以上の処理により、主走査方向の前面側及び背面側におけるLEDアレイ227の感光体ドラム222の表面に対する適正位置(合焦位置)からの現在位置のずれ量の入力操作、又は、読取処理を行い、このずれ量に応じた回数だけ調整モータ22a,22bを回転駆動してLEDヘッド227を感光体ドラム222の合焦位置に位置させることができる。
【0075】
しかし、LEDヘッド227の両端部が適正位置を基準として感光体ドラム222に近づき過ぎているのか、離れ過ぎているのかを認識することはできない。例えば、図7のパターン画像Gに基づく画像形成処理の結果、図10に示す画像G′が用紙P上に形成された場合、LEDヘッド227と感光体ドラム222との現在の位置関係として図14(A)又は(B)に示す状態が考えられる。
【0076】
LEDヘッド227の全体を合焦位置Hに位置させるためには、図14(A)に示す状態であれば、LEDヘッド227の前面側では調整ねじ28aを時計方向に2回転させてLEDヘッド227の位置を下げ、背面側では調整ねじ28bを時計方向に4回転してLEDヘッド227の位置を下げる必要がある。また、図14(B)に示す状態であれば、LEDヘッド227の前面側では調整ねじ28aを反時計方向に2回転させてLEDヘッド227の位置を上げ、背面側では調整ねじ28bを反時計方向に4回転してLEDヘッド227の位置を上げる必要がある。
【0077】
このように、パターン画像Gに基づく1回の画像形成処理結果のみからは調整ねじ28a,28bの回転方向を特定することができないため、このままでは、調整ねじ28a,28bを所定方向に回転させた後に、再度パターン画像Gに基づく画像形成処理を行い、2回分の画像形成処理結果から調整ねじ28a,28bの回転方向を決定する必要が生じてしまう。
【0078】
そこで、ディジタル画像形成装置1に取り付ける際にLEDヘッド227を予め合焦位置Hよりも感光体ドラム222に近接した側、又は、感光体ドラム222から離間した側の何れかに位置させておき、この状態でパターン画像Gに基づく画像形成処理を行う。これによって、感光体ドラム222の表面に対するLED227の現在の位置関係が、図14(A)の状態、又は、図14(B)の状態の何れかに限定され、調整ねじ22を回転操作すべき方向が容易に認識できる。
【0079】
但し、例えば、LEDヘッド227を予め前面側を上側にして傾斜させた状態でディジタル画像形成装置1に取り付けた場合、図14(B)の状態だけでなく図14(C)の状態となる可能性がある。この場合、LEDヘッド227の前面側では調整ねじ28aを時計方向に2回転させてLEDヘッド227の位置を下げ、背面側では調整ねじ28bを反時計方向に4回転してLEDヘッド227の位置を上げる必要がある。
【0080】
ここで、パターン画像Gを、主走査方向の中央部分を省いた両端部分のみのパターンで形成し、焦点調整作業時に消費される現像剤(トナー)を節約することも考えられる。しかし、主走査方向の中央部分を省いてパターン画像Gを形成すると、図14(B)の状態であるか図14(C)の状態であるかを判定できない。このため、主走査方向についてできるだけ広い範囲に連続するパターン画像を形成することが好ましい。この場合、各パターンG1〜Gnを主走査方向の長さが短い複数個のパターンを主走査方向に並べて構成することもできる。
【0081】
なお、上記の実施形態では単一のLEDヘッド227を備えた白黒(モノクロ)のディジタル画像形成装置1を例に挙げて説明したが、複数個のLEDヘッド227を配置した多色ディジタル画像形成装置においてもこの発明を同様に実施することができ、これによって特に大きな効果が得られる。
【0082】
【発明の効果】
この発明によれば、以下の効果を奏することができる。
【0083】
(1)互いに異なる調整量に対応した濃度を有する複数のパターンによって構成されたパターン画像に基づく画像形成処理を行うとともにパターン画像に基づく画像形成処理結果における各パターンの濃度に応じた調整量に基づいて発光素子の光の焦点が像担持体表面に一致するように光書込装置の位置を変位させることにより、記録媒体上において形成されなかったパターン画像の濃度に応じた調整量に基づいて、光書込装置が像担持体表面に対する合焦位置に位置するように光書込装置を自動的に変位させることができ、焦点調整作業を簡略化することができる。
【0084】
(2)移動部材によって発光素子の光の照射方向についての像担持体表面に対する位置を変位自在にした状態で光書込装置を保持部材において保持し、駆動制御手段が制御する駆動源から移動部材に対して光書込装置の位置を変位させるための駆動力を調整量に応じて供給することにより、駆動制御手段から調整量に応じて移動部材に供給する駆動力によって発光素子の光の焦点が像担持体表面に一致する状態で光書込装置を保持部材において確実に保持することができる。
【0085】
(3)パターン画像に基づく画像形成処理結果を参照して決定した調整量、又は、パターン画像に基づく画像形成処理結果から検出した調整量を、入力部を介して変位機構に入力することにより、発光素子の光の照射方向における光書込装置の像担持体に対する位置を、パターン画像に基づく画像形成処理結果を参照して決定された調整量、又は、パターン画像に基づく画像形成処理結果から検出した調整量に応じて、発光素子の光の焦点が像担持体表面に一致するように正確に変位させることができる。
【0086】
(4)パターン画像に基づく画像形成処理結果である記録媒体上の画像の読取データに応じた調整量に基づいて、発光素子の光の焦点が像担持体表面に一致するように発光素子の光の照射方向における光書込装置の像担持体に対する位置を変位することにより、パターン画像に基づく画像形成処理によって画像が形成された記録媒体を画像読取装置に読み取らせて発光素子の光の焦点が像担持体表面に一致するように発光素子の光の照射方向における光書込装置の像担持体に対する位置を自動的に変位させることができる。
【0087】
(5)光書込装置における主走査方向の略全域に連続する複数のパターンからなるパターン画像に基づく画像形成処理結果に基づいて光書込装置の焦点調整作業を行うことにより、主走査方向の略全域における光書込装置の適正位置からの誤差を記録媒体上の画像の濃度から認識又は検出することができ、光書込装置が主走査方向の全域にわたって適正位置を基準として片側に偏っている状態であるか、又は、光書込装置の主走査方向の中間部が適正位置に位置している状態であるかを確認して光書込装置の調整すべき方向を正確に特定することができる。
【0088】
(6)光書込装置の焦点調整作業時に、各画素径を変化させて濃度差を与えた複数のパターンによって構成されるパターン画像を形成することにより、多値画像感光材料によって構成された像担持体を用いる画像形成装置における光書込装置の焦点調整作業時に調整量の決定に使用される複数のパターンを互いに異なる濃度で適正に形成することができ、各パターンの濃度の差異を記録媒体上に明瞭に表現することができる。
【0089】
(7)光書込装置の焦点調整作業時に、所定領域内の画素数を変化させて濃度差を与えた複数のパターンによって構成されるパターン画像を形成することにより、2値画像感光材料によって構成された像担持体を用いる画像形成装置における光書込装置の焦点調整作業時に調整量の決定に使用される複数のパターンを互いに異なる濃度で適正に形成することができ、各パターンの濃度の差異を記録媒体上に明瞭に表現することができる。
【0090】
(8)光書込装置の焦点調整作業時に、各画素径を変化させて濃度差を与えた複数のパターンによって構成されるパターン画像を形成するために光書込装置の各発光素子の発光時間を制御することにより、多値画像感光材料によって構成された像担持体を用いる画像形成装置における光書込装置の焦点調整作業時に調整量の決定に使用されるパターン画像を、発光素子の発光時間の制御によって容易に形成することができる。
【0091】
(9)光書込装置の焦点調整作業時に、各画素径を変化させて濃度差を与えた複数のパターンによって構成されるパターン画像を形成するために光書込装置の各発光素子の発光出力を制御することにより、多値画像感光材料によって構成された像担持体を用いる画像形成装置における光書込装置の焦点調整作業時に調整量の決定に使用されるパターン画像を、発光素子の発光出力の制御によって容易に形成することができる。
【0092】
(10)光書込装置の焦点調整作業時に記録媒体上に形成されるパターン画像を構成する各パターンに、そのパターンの濃度に対応した調整量を表す調整量情報を付加して形成することにより、記録媒体上におけるパターン画像の形成状態に応じた光書込装置の焦点位置の調整量を調整量情報を参照して容易に認識又は検出することができる。
【0093】
(11)予め発光素子の光の焦点が像担持体表面に一致すると予想される位置から像担持体に近接又は離間する方向に変位した位置に光書込装置をずらせて装着した状態でパターン画像の画像形成を行うことにより、光書込装置の位置を適正位置に調整するために光書込装置を移動させるべき方向を予め特定しておき、パターン画像に基づく画像形成処理結果としての単一の記録媒体上の画像から、光書込装置の位置を適正にするための調整方向を正確に認識又は検出することができる。
【0094】
(12)互いに異なる調整量に対応した濃度を有する複数のパターンによって構成されたパターン画像に基づく画像形成処理結果における各パターンの濃度に応じた調整量に基づいて発光素子の光の焦点が像担持体表面に一致するように光書込装置の位置が変位された状態で画像形成処理を行うことにより、光書込装置の発光素子から照射された光が像担持体表面に結像した状態で正確に画像を形成することができる。
【0095】
(13)互いに異なる調整量に対応した濃度を有する複数のパターンによって構成されたパターン画像に基づく画像形成処理結果である記録媒体の画像を画像読取装置において読み取り、その読取データに基づいて光書込装置の位置の調整量を決定することにより、パターン画像に基づく画像形成処理で画像が形成された記録媒体を画像読取装置にセットして読取処理を行わせるだけで、発光素子の光の照射方向における像担持体に対する光書込装置の位置を発光素子の光の焦点が像担持体表面に一致する状態に自動的に変位させることができ、焦点調整作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態に係る焦点調整方法が利用される固体走査方式の光書込装置を備えたディジタル画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】上記ディジタル画像形成装置の制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】上記ディジタル画像形成装置におけるLEDヘッドと感光体ドラムとの位置関係を示す図である。
【図4】調整機構を含む上記LEDヘッドの外観図である。
【図5】上記調整機構の構成を示す図である。
【図6】同調整機構における調整動作を示す図である。
【図7】上記ディジタル画像形成装置におけるLEDヘッドの焦点調整時に使用されるパターン画像を示す平面図である。
【図8】多値画像感光材料を用いたディジタル画像形成装置における焦点調整作業に使用されるパターン画像の形成方法を示す図である。
【図9】2値画像感光材料を用いたディジタル画像形成装置における焦点調整作業に使用されるパターン画像の形成方法を示す図である。
【図10】上記焦点調整作業時における用紙上のパターン画像の形成状態の一例を示す平面図である。
【図11】上記の焦点調整装置における第1の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】上記ィ時足る画像形成装置の操作部における焦点調整画面の一例を示す図である。
【図13】上記の焦点調整装置における第2の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】上記焦点調整作業時における調整前の感光体ドラムに対するLEDヘッドの取付状態を示す図である。
【符号の説明】
1−ディジタル画像形成装置(画像形成装置)
2−調整機構
22a−前面側調整モータ(駆動源)
22b−背面側調整モータ(駆動源)
23−当接ピン(移動部材)
25−移動体(移動部材)
28a,28b−調整ねじ(移動部材)
30−フレーム(保持部材)
201−CPU(駆動制御手段、制御手段)
222−感光体ドラム(像担持体)
227−LEDヘッド(光書込装置)
G−パターン画像
H−適正位置(合焦位置)
P−用紙(記録媒体)

Claims (13)

  1. 画像形成領域における主走査方向の各画素に対応して並設した複数の発光素子から照射される光の焦点位置を像担持体表面に一致させる光書込装置の焦点調整装置であって、
    それぞれが互いに異なる調整量に対応した濃度を有する複数のパターンによって構成されたパターン画像を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶しているパターン画像に基づく画像形成処理を行う画像形成手段と、調整量に基づいて発光素子の光の焦点が像担持体表面に一致するように発光素子の光の照射方向について像担持体表面に対する光書込装置の位置を変位させる変位機構と、を含むことを特徴とする焦点調整装置。
  2. 前記変位機構は、発光素子の光の照射方向についての像担持体表面に対する光書込装置の位置を移動部材を介して変位自在にして保持する保持部材、移動部材に光書込装置の位置を変位させる駆動力を供給する駆動源、及び、前記調整量に応じて駆動源の動作を制御する駆動制御手段を含むこと特徴とする請求項1に記載の焦点調整装置。
  3. 前記変位機構は、前記記憶手段に記憶されたパターン画像に基づく画像形成処理により画像が形成された記録媒体を参照して決定された調整量の入力操作を受け付ける入力部を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の焦点調整装置。
  4. 前記変位機構は、前記記憶手段に記憶されたパターン画像に基づく画像形成処理により画像が形成された記録媒体の読取データに応じた調整量に基づいて発光素子の光の照射方向について像担持体表面に対する光書込装置の位置を変位させることを特徴とする請求項1又は2に記載の焦点調整装置。
  5. 前記パターン画像を構成する各パターンは、画像形成領域における主走査方向の略全域に連続することを特徴とする請求項1又は2に記載の焦点調整装置。
  6. 前記画像形成手段は、前記パターン画像を構成する各パターンの濃度に応じて各画素径を変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の焦点調整装置。
  7. 記画像形成手段は、前記パターン画像を構成する各パターンの濃度に応じて画素数の異なる2値パターンを形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の焦点調整装置。
  8. 前記画像形成手段は、パターン画像を構成する各パターンの濃度に応じて発光素子の発光時間を制御することを特徴とする請求項6に記載の焦点調整装置。
  9. 前記画像形成手段は、パターン画像を構成する各パターンの濃度に応じて発光素子の発光出力を制御することを特徴とする請求項6に記載の焦点調整装置。
  10. 前記パターン画像は、各パターンの濃度に対応した調整量を表す調整量情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の焦点調整装置。
  11. 前記変位機構は、前記画像形成手段による画像形成処理前に、発光素子の光の焦点が像担持体表面に一致すると予想される位置から像担持体に近接又は離間する方向に変位した位置に光書込装置を変位させることを特徴とする請求項1に記載の焦点調整装置。
  12. 請求項1乃至11のいずれかに記載の焦点調整装置を備え、焦点調整装置によって像担持体に対する位置を調整した光書込装置から画像データに基づいて変調した光が照射される像担持体を介して電子写真方式の画像形成を行うことを特徴とする画像形成装置。
  13. 原稿の画像を読み取る画像読取装置を備え、焦点調整装置の画像形成手段によって記録媒体に形成されたパターン画像を画像読取手段で読み取り、読み取ったパターン画像に基づいて焦点調整装置における光書込装置の調整量を決定する制御手段を設けたことを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
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