JP2003048510A - 車両の前席用シートベルト構造 - Google Patents

車両の前席用シートベルト構造

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JP2003048510A
JP2003048510A JP2001238623A JP2001238623A JP2003048510A JP 2003048510 A JP2003048510 A JP 2003048510A JP 2001238623 A JP2001238623 A JP 2001238623A JP 2001238623 A JP2001238623 A JP 2001238623A JP 2003048510 A JP2003048510 A JP 2003048510A
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    • B60R22/18Anchoring devices
    • B60R22/22Anchoring devices secured to the vehicle floor
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    • B60R22/00Safety belts or body harnesses in vehicles
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Abstract

(57)【要約】 【課題】センターピラーがなく、いわゆる観音開き式ド
アを備えた自動車の前席用シートベルト装置の乗員拘束
性能を、相対的に乗員着座位置の低い場合であっても、
後席乗員の乗降性等を妨げることなしに、最適に保つ。 【解決手段】ラップ・アンカー42が設けられたアンカ
ー・ブラケット44、リア・ドア3に設けられアンカー
・ブラケット44を上下方向に移動可能に支持する支持
部材62、リア・ドア3の開時にアンカー・ブラケット
44をリア・ドア3の開閉に支障のない位置まで上方に
駆動すると共に、リア・ドア3閉時にはアンカー・ブラ
ケット44を下方に駆動する駆動機構50、及び、リア
・ドア3閉時に、アンカー・ブラケット44が下方に移
動して係合するよう、リア・ドア3より下方の車体に固
定されたアンカー・ピン64、を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、いわゆる観音開き
式構造のドアを備えた車両に適する車両の前席乗員用シ
ートベルト構造に関する。
【0002】
【従来の技術】乗用車等の車両において、前席用3点シ
ートベルトのウェビングを巻き取るリトラクター、ウェ
ビングを乗員の車外側上方で摺動可能に支持するショル
ダー・アンカー及びウェビングを乗員の車外側下方で固
定支持するラップ・アンカーは、車体のセンターピラー
に配置されるのが通常である。一方、センターピラーが
なく、いわゆる観音開き式ドアを備えた車両において、
これら、前席用シートベルトのリトラクター、ショルダ
ー・アンカー及びラップ・アンカーが、後席乗員の乗降
性等に配慮してリア・ドアに設けるものが知られている
(特開2001−105864)。
【0003】しかし、ラップ・アンカーを、車体のセン
ターピラーに配置した場合、ラップ・アンカーの位置
(アンカー・ポイント)が、ドア下縁よりも下方に配置
されるのに対し、上記のように、ラップ・アンカーをリ
ア・ドアに配置した場合、リア・ドア開閉に支障をきた
さぬよう、ラップ・アンカーをドア下縁よりも上方に配
置することとなり、アンカー・ポイントが、高くなるた
め、乗員着座位置の高い車両においては何ら問題を生じ
ないが、乗員着座位置が相対的に低い車両においては、
問題を生じる可能性がある。つまり、シートベルトによ
る乗員拘束時に、ウェビングによる乗員拘束位置が相対
的に高くなり、乗員拘束が最適に行なわれ得ない可能性
がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の問題
点に鑑みなされたもので、センターピラーがなく、いわ
ゆる観音開き式ドアを備えた自動車の前席用シートベル
ト装置の乗員拘束性能を、相対的に乗員着座位置の低い
場合であっても、後席乗員の乗降性等を妨げることなし
に、最適に保つことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明の第1の構成は、車室内に前後席を備えると共
に、車体側面の単一開口がフロント・ドアとリア・ドア
とにより開閉可能であって、上記フロント・ドアがその
前部に固定されたヒンジを介して車体に対して回転可能
に固定され、上記リア・ドアがその後部に固定されたヒ
ンジを介して車体に対して回転可能に固定された車両
の、前席用シートベルト装置であって、該シートベルト
装置が、乗員を拘束するウェビング、上記リア・ドアの
下部に設けられ上記ウェビングを衝突時に保持可能に巻
取るリトラクター、上記リア・ドアの上部に設けられ上
記ウェビングを摺動可能に支持するショルダー・アンカ
ー、上記ウェビングを前席乗員の車内側下方において摺
動可能に支持し、それ自体を上記車体に対して着脱操作
可能であるタング・バックル部、及び、上記ウェビング
を前席乗員の車外側下方において固定支持するラップ・
アンカーを備えたものにおいて、該ラップ・アンカーが
設けられたアンカー・ブラケット、上記リア・ドアに設
けられ上記アンカー・ブラケットを上下方向に移動可能
に支持する支持部材、上記リア・ドアの開時に上記アン
カー・ブラケットを上記リア・ドアの開閉に支障のない
位置まで上方に駆動すると共に、上記リア・ドア閉時に
は上記アンカー・ブラケットを下方に駆動する駆動機
構、及び、リア・ドア閉時に、上記アンカー・ブラケッ
トが下方に移動して係合することにより、上記ウェビン
グに作用する荷重を、上記アンカー・ブラケットを介し
て車体側にて受けるよう、上記リア・ドアより下方の車
体に固定されたアンカー・ピン、を有する。
【0006】上記構成によれば、駆動機構がアンカー・
ブラケットを上下方向に駆動するもので、リア・ドア開
時には、上記アンカー・ブラケットは、上方に移動して
リア・ドア開閉の支障となることがなく、リア・ドア閉
時には下方に移動してアンカー・ピンと係合することに
より、ウェビングに作用する荷重をラップ・アンカーが
設けられたアンカー・ブラケットを介して、リア・ドア
より下方の車体に固定されたアンカー・ピンで受けるこ
とが出来る。
【0007】本発明の第2の構成によれば、上記駆動機
構が、電気的に発生する駆動力を利用する電動式駆動機
構である。
【0008】上記構成によれば、少ない構成部品で上記
駆動機構を実現することが出来、省スペース化、省コス
ト化を図ることが出来る。
【0009】本発明の第3の構成によれば、上記電動式
駆動機構が、回転力を発生するモータと、上記モータの
回転力をリンクへ伝えるギアと、上記ギアにより伝達さ
れたモータの回転力をその先端に結合されたアンカー・
ブラケットの上下方向の移動力として伝えるリンクと、
上記リンクに結合され上方への引張力を生じさせるバネ
と、上記アンカー・ブラケットを、上記アンカー・ピン
に係合した位置で支持部材に保持させるストッパー・ピ
ン、とにより構成される。
【0010】上記構成によれば、リア・ドアが閉状態か
ら開状態へ移行時は、アンカー・ブラケットを瞬時に、
リア・ドアを開放するに支障のない位置まで上昇させる
ことが出来るとともに、逆にリア・ドアが開状態から閉
状態へ移行時は、アンカー・ブラケットを徐々に下降さ
せることで、アンカー・ブラケットを確実に上記アンカ
ー・ピンに係合させ、上記アンカー・ピンに係合した後
は、リア・ドアノブに連動したストッパー・ピンによ
り、確実に上記アンカー・ピンに係合した位置を保持さ
せることが出来る。
【0011】本発明の第4の構成によれば、車室内に前
後席を備えると共に、車体側面の単一開口がフロント・
ドアとリア・ドアとにより開閉可能であって、上記フロ
ント・ドアがその前部に固定されたヒンジを介して車体
に対して回転可能に固定され、上記リア・ドアがその後
部に固定されたヒンジを介して車体に対して回転可能に
固定された自動車の、前席用シートベルト装置であっ
て、該シートベルト装置が、乗員を拘束するウェビン
グ、上記リア・ドアの下部に設けられ上記ウェビングを
衝突時に保持可能に巻取るリトラクター、上記リア・ド
アの上部に設けられ上記ウェビングを摺動可能に支持す
るショルダー・アンカー、上記ウェビングを前席乗員の
車内側下方において摺動可能に支持し、それ自体を上記
車体に対して着脱操作可能であるタング・バックル部及
び上記ウェビングを前席乗員の車外側下方において固定
支持するラップ・アンカーを備えたものにおいて、上記
ラップ・アンカーが設けられたアンカー・リンク、上記
リア・ドアに設けられ、上記アンカー・リンクを車体前
後方向に枢動可能に支持し、上記リア・ドアが閉じてお
り、かつ上記タング・バックル部が係合しているとき
に、上記ウェビングから作用する引張力により、上記ア
ンカー・リンクを車体の前下方向に枢動可能とする枢支
部材、上記リア・ドアが開いており、かつ上記タング・
バックル部が脱離しているときに、上記アンカー・リン
クを上記リア・ドアの開閉に支障のない位置まで移動さ
せるよう、上記アンカー・リンクに結合され、車体の後
上方向への引張力を生じさせるバネ、及び上記リア・ド
アが閉じており、上記タング・バックル部が係合してい
るときに、上記アンカー・リンクが枢動して係合するこ
とにより、上記ウェビングに作用する荷重を、上記アン
カー・リンクを介して車体側にて受けるよう、上記リア
・ドアより下方の車体に固定されたアンカー・ピン、を
有する。
【0012】上記構成によれば、リア・ドア開で、タン
グとバックルの脱離時には、上記アンカー・リンクは、
車体の後上方向に枢動してリア・ドア開閉の支障となる
ことがなく、リア・ドア閉で、タングとバックルの係合
時には、車体の前下方向に枢動してアンカー・ピンと係
合することにより、ウェビングに作用する荷重をラップ
・アンカーが設けられたアンカー・リンクを介して、リ
ア・ドアより下方の車体に固定されたアンカー・ピンで
受けることが出来る。
【0013】また、リア・ドアが閉状態から開状態へ移
行時は、アンカー・リンクを瞬時に、リア・ドアを開放
するに支障のない位置まで上昇させることが出来るとと
もに、逆にリア・ドアが開状態から閉状態へ移行時は、
上記アンカー・リンクを徐々に下降させることで、上記
アンカー・リンクを確実に上記アンカー・ピンに係合さ
せることが出来るうえ、少ない構成部品で、上記駆動機
構を実現し、省スペース化、省コスト化を図ることが出
来る。
【0014】本発明の第5の構成によれば、車室内に前
後席を備えると共に、車体側面の単一開口がフロント・
ドアとリア・ドアとにより開閉可能であって、上記フロ
ント・ドアがその前部に固定されたヒンジを介して車体
に対して回転可能に固定され、上記リア・ドアがその後
部に固定されたヒンジを介して車体に対して回転可能に
固定された自動車の、前席用シートベルト装置であっ
て、該シートベルト装置が、乗員を拘束するウェビン
グ、上記リア・ドアの下部に設けられ上記ウェビングを
衝突時に保持可能に巻取るリトラクター、上記リア・ド
アの上部に設けられ上記ウェビングを摺動可能に支持す
るショルダー・アンカー、上記ウェビングを前席乗員の
車内側下方において摺動可能に支持し、それ自体を上記
車体に対して着脱操作可能であるタング・バックル部及
び上記ウェビングを前席乗員の車外側下方において固定
支持するラップ・アンカーを備えたものにおいて、該ラ
ップ・アンカーが設けられたアンカー・リンク、上記リ
ア・ドアに設けられ、上記アンカー・リンクを車体前後
方向に枢動可能に支持する枢支部材、上記枢支部材に連
結され、上記リア・ドア閉時に、上記アンカー・リンク
を車体の前下方向に枢動するモータ、上記リア・ドア開
時に、上記アンカー・リンクを上記リア・ドアの開閉に
支障のない位置まで移動させるよう、上記アンカー・リ
ンクに結合され、車体の後上方向への引張力を生じさせ
るバネ、上記リア・ドア閉時、上記アンカー・リンクが
枢動して係合することにより、上記ウェビングに作用す
る荷重を、上記アンカー・リンクを介して車体側にて受
けるよう、上記リア・ドアより下方の車体に固定された
アンカー・ピン、及び上記アンカー・リンクを、上記ア
ンカー・ピンに係合した位置で保持させるストッパー機
構、を有する。
【0015】上記構成によれば、リア・ドアが閉状態か
ら開状態へ移行時は、アンカー・リンクを瞬時に、リア
・ドアを開放するに支障のない位置まで上昇させること
が出来るとともに、逆にリア・ドアが開状態から閉状態
へ移行時は、アンカー・リンクを徐々に下降させること
で、アンカー・リンクを確実に上記アンカー・ピンに係
合させることが出来る。
【0016】
【発明の効果】本発明によれば、センターピラーがな
く、いわゆる観音開き式ドアを備えた自動車の前席用シ
ートベルト装置の乗員拘束性能を、相対的に乗員着座位
置の低い場合であっても、後席乗員の乗降性等を妨げる
ことなしに、最適に保つことが出来る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図
面に基づいて説明する。まず、車体構造及びドア構造に
ついて説明する。
【0018】車両の車室内には、図1に示すように、そ
の前後方向に前席21及び後席(不図示)が配置され、
これら前席21及び後席に着座する乗員が、それぞれ乗
降するための前席用乗降口13aと後席用乗降口13b
が、車体の少なくとも一方の側面に設けられている。
【0019】前席用乗降口13aは、図1に示すよう
に、その前端部をフロントドアヒンジ4によりこのヒン
ジ部4を支点として回転するよう車体に支持されたフロ
ントドア2で開閉され、同様に後席用乗降口13bは、
その後端部をリア・ドアヒンジ5によりこのヒンジ部5
を支点として回転するよう車体に支持されたリア・ドア
3で開閉され、いわゆる観音開き式構造のサイドドアが
形成されている。
【0020】また、これらの乗降口13a、13bは、
両ドア2,3によって開閉自在に覆われる連続した1つ
の開口13を形成し、センタピラーレス構造の車体が構
成されている。
【0021】一方、リア・ドア3前端の上部、及び下部
にはリア・ドア3を車体にロックするためのロック部材
14,15が設けられ、フロント・ドア2後端の中間部
にはリア・ドア3のストライカ16をロックするための
ロック部材(不図示)が設けられている。
【0022】リア・ドア3のロック部材14、15は、
フロント・ドア2が、開かれた後、ロック解除が可能と
なるよう構成されているため、本実施形態の観音開き式
構造のドアは、フロント・ドア2が優先して開放され、
リア・ドア3はフロント・ドア2の開放後において、そ
の開放が許容される。
【0023】次に、前席用シートベルトの構成、及び配
置について説明する。前席用シートベルト装置は、図2
に示すように、乗員を拘束するウェビング31、上記リ
ア・ドア3の下部に設けられウェビング31を衝突時に
保持可能に巻取るリトラクタ32、ベルト支持点のうち
の1つで、リア・ドア3の上部に設けられ上記ウェビン
グ31を摺動可能に支持するショルダー・アンカー3
5、他の1つのベルト支持点で、上記ウェビング31を
前席乗員の車内側下方において摺動可能に支持し、それ
自体を上記車体に対して着脱操作可能であるタング・バ
ックル部36、さらに他の1つのベルト支持点で、ウェ
ビング31を前席乗員の車外側下方において固定支持す
るラップ・アンカー42を有する。
【0024】上記構成部品のうち、タング・バックル部
36は、フロアパネル18にブラケット26を介して固
定され、上記ウェビング31を前席乗員の車内側下方に
おいて摺動可能に支持し、それ自体を上記車体に対して
着脱操作可能である。
【0025】リトラクタ32は、リア・ドア3における
センタピラーと同等の剛性を有するリア・ドア前部構造
体内に設けられ、ウェビング31を巻取るよう構成され
ている。
【0026】ショルダー・アンカー35は、上記リア・
ドア前部構造体の車室側の上部に、前席21のヘッドレ
スト24の位置と対応するように取付けられている。
【0027】即ち、リトラクタ32から引き出されたウ
ェビング31は、上記リア・ドア前部構造体の車室側表
面に配置されるドアトリム(不図示)の上端部から、車
室内へ引き出され、ショルダー・アンカー35のベルト
ガイド孔を通したのち、タング・バックル部36に設け
られるバックル36bに接続可能なベルト着脱用のタン
グ36aを経た後、その端部が、リア・ドア前部下方位
置に設けられるラップ・アンカー42に固定されてい
る。
【0028】次に、ラップ・アンカーの構造及び作動に
つき、下記の三つの実施形態について、図面に基づき説
明する。 <第1実施形態>第1実施形態のラップ・アンカーは、図
2及び図3に示すように、ラップ・アンカー42が設け
られたアンカー・ブラケット44、上記リア・ドア3に
設けられ、アンカー・ブラケット44を上下方向に摺動
可能に支持する支持部材62、リア・ドア3の開時にア
ンカー・ブラケット44をリア・ドア3の開閉に支障の
ない位置まで上方に駆動すると共に、リア・ドア閉時に
はアンカーブラケット44を下方に駆動する駆動機構
(電動式駆動機構)50、及びリア・ドア3の閉時に、
アンカー・ブラケット44が下方に移動し、下端に設け
られた切欠部と係合するようリア・ドア3より下方の車
体に固定された、アンカー・ピン64、より構成され
る。
【0029】さらに、上記駆動機構(電動式駆動機構)
50は、回転力を発生するモータ51、上記モータ51
の回転力をリンク55へ伝えるギア53、ギア53によ
り伝達されたモータ51の回転力により回転し、先端部
に設けられた長穴内でアンカー・ブラケット44に設け
られたピンを摺動させることによりアンカー・ブラケッ
ト44を上下動させるリンク55、上記リンク55に結
合され上方への引張力を生じさせるバネ57、及び、リ
ア・ドアノブ(不図示)とケーブル54により連動さ
れ、アンカー・ブラケット44が、下方へ移動し、上記
アンカー・ピン64と係合した位置を保持するよう支持
部材62に設けられたストッパー・ピン59、より構成
される。
【0030】次に、上記構成による第1実施形態のラッ
プ・アンカーの作動について説明する。リア・ドア3
が、開状態から、閉状態に移行した場合、リア・ドア3
の状態変化は、リア・ドア3に設けられたリア・ドアス
イッチ(不図示)、又は、タング・バックル部36に設
けられたバックルスイッチ(不図示)の出力電圧変化に
より検出される。
【0031】上記リア・ドアスイッチ、又は上記バック
ルスイッチの出力電圧変化を検出すると、リア・ドア3
が、開状態から、閉状態に移行したと判定し、確認用タ
イマをスタートさせる。上記確認用タイマが、カウント
動作中、再度、上記リア・ドアスイッチ、又は上記バッ
クルスイッチの出力電圧変化を検出した場合、リア・ド
ア3が、開状態へ復帰したと判定し、制御を中止し、ラ
ップ・アンカー42の位置は、変化しない。
【0032】一方、上記確認用タイマが、カウント動作
中、上記リア・ドアスイッチ、及び上記バックルスイッ
チのいずれの出力電圧変化も検出することなく、所定時
間経過した場合、リア・ドア3の閉状態が確認されたと
して、モータ51を図3において時計回り方向(図3の
矢印方向)へ回転駆動する。上記モータ51の回転力
は、ギア53を介して、連結されているリンク55へ伝
達され、リンク55は、反時計回り方向(図3の矢印方
向)へ回転駆動される。しかし、上記リンク55の先端
部に連結されているアンカー・ブラケット44は、支持
部材62により、上下方向のみの移動に規制されている
ことから、アンカー・ブラケット44は、バネ57によ
る上方向への引張力に抗して、下方向へ移動する。
【0033】アンカー・ブラケット44の下方向への移
動は、リア・ドア3下方の車体に固定されたアンカー・
ピン64が、アンカー・ブラケット44の下端部に設け
られた切欠部に係合することにより終了し、同時に、支
持部材62に設けられたストッパー・ピン59が、アン
カー・ブラケット44の上端部に嵌合する。
【0034】すなわち、アンカー・ブラケット44は、
図3に示すように、車体に固定されたアンカー・ピン6
4により、下端部を支持され、リア・ドア3に設けられ
た支持部材62とストッパー・ピン59により上端部を
支持された状態で、下方向への移動を停止し、モータ5
1は、ロック電流検出により通電を中止する。
【0035】逆に、リア・ドア3が、閉状態から、開状
態に移行した場合、リア・ドアノブ(不図示)が操作さ
れることで、リア・ドアノブとケーブル54によって連
結されているストッパー・ピン59が、支持部材62と
アンカー・ブラケット44の嵌合を解除する方向へ移動
し、リンク55に設けられたバネ57の上方向への引張
力によって、アンカー・ブラケット44は、瞬時に、支
持部材62により、規制される位置まで上方向へ移動す
る。
【0036】<第2実施形態>第2実施形態のラップ・
アンカーは、図4及び図5に示すように、ラップ・アン
カー46が一体として設けられたアンカー・リンク4
8、リア・ドア3に設けられ、アンカー・リンク48を
車体前後方向に枢動可能に支持し、リア・ドア3が閉じ
ており、かつタング・バックル部36が係合していると
き、ウェビング31から作用する引張力により、アンカ
ー・リンク48を車体の前下方向に枢動可能とする枢支
部材66、上記リア・ドア3が開いており、かつタング
・バックル部36が脱離しているとき、アンカー・リン
ク48をリア・ドア3の開閉に支障のない位置まで移動
させるよう、アンカー・リンク48に結合され、車体の
後上方向への引張力を生じさせるバネ58、及び、リア
・ドア3が閉じており、タング・バックル部36が係合
しているとき、上記アンカー・リンク48が枢動して係
合することにより、ウェビング31に作用する荷重を、
上記アンカー・リンク48を介して車体側にて受けるよ
う、上記リア・ドア3より下方の車体に固定されたアン
カー・ピン68、より構成される。
【0037】次に、上記構成による第2実施形態のラッ
プ・アンカーの作動について説明する。リア・ドア3
が、開状態から閉状態に移行し、タング・バックル部3
6が係合される際、乗員によりウェビング31に引張力
が加えられ、この引張力は、ラップ・アンカー46に伝
達される。
【0038】これより、ラップ・アンカー46は、枢支
部材66を回転中心として車体前下方向へ回転移動を開
始し、ラップ・アンカー46は、バネ58による車体後
上方向への引張力に抗して、車体前下方向へ移動する。
【0039】上記車体前下方向への移動は、リア・ドア
3の下方車体部に固定されたアンカー・ピン68が、ラ
ップ・アンカー46と一体であるアンカー・リンク48
の下方部に設けられた切欠部に係合することにより終了
する。
【0040】アンカー・リンク48とアンカー・ピン6
8が係合した状態は、ウェビング31が、リトラクタ3
2と、ショルダー・アンカー35と、タング・バックル
部36とラップ・アンカー46間に張架され、リトラク
タ32によるウェビング31の引張力が、ラップ・アン
カー46に伝達されることにより、保持される。
【0041】逆に、リア・ドア3を、閉状態から、開状
態に移行させるため、タング・バックル部36におい
て、タング36aを、バックル36bから脱離させた場
合、ウェビング31の引張力は、消失するため、アンカ
ー・リンク48に設けられたバネ58の車体後上方向へ
の引張力によって、アンカー・リンク48は、瞬時に、
枢支部材66を回転中心として回転し、車体後上方向へ
移動する。
【0042】<第3実施形態>第3実施形態のラップ・
アンカーは、図6に示すように、上記の第2実施形態の
構成に、枢支部材66を枢動可能とするよう枢支部材6
6に連結されたモータ69、及び上記アンカー・リンク
48を、上記アンカー・ピン68に係合した位置で保持
させるストッパー機構67、を追加することにより構成
される。
【0043】上記構成によれば、第2実施形態のラップ
・アンカー46が、乗員またはリトラクタ32による引
張力を利用し、アンカー・リンク48を枢動したのにか
えて、上記第1実施形態のモータ制御と同様に、リア・
ドア3の状態変化を、リア・ドア3に設けられたリア・
ドアスイッチ(不図示)、又は、タング・バックル部3
6に設けられたバックルスイッチ(不図示)の出力電圧
変化により検出し、リア・ドア3の開状態から閉状態へ
の移行が確認された場合、モータ69を図6(b)にお
いて時計回り方向(図6の矢印方向)へ回転駆動させ、
これにより、連結された枢支部材66とアンカー・リン
ク48が、バネ58による車体後上方向への引張力に抗
して、車体前下方向へ移動する。
【0044】上記車体前下方向への移動は、リア・ドア
3の下方車体部に固定されたアンカー・ピン68が、ラ
ップ・アンカー46と一体であるアンカー・リンク48
の下方部に設けられた切欠部に係合することにより終了
し、同時に、第1実施形態と同様に、ストッパー機構6
7により、アンカー・リンク48が、この位置で保持さ
れる。
【0045】逆に、リア・ドア3が、閉状態から、開状
態に移行した場合、第1実施形態と同様に、リア・ドア
ノブ(不図示)が操作されることで、リア・ドアノブと
ケーブル65によって連結されているストッパー機構6
7によるアンカー・リンク48の保持が解除され、アン
カー・リンク48に設けられたバネ58の車体後上方向
への引張力によって、アンカー・リンク48は、瞬時
に、枢支部材66を回転中心として回転し、車体後上方
向へ移動する。
【0046】以上のことから、リア・ドア3が、開状態
から閉状態へ移行し、タング・バックル部36におい
て、タング36aが、バックル36bに係合されると、
乗員の手を煩わせることなく、第1実施形態であればラ
ップ・アンカー42が、第2実施形態、及び第3実施形
態であればラップ・アンカー46が、いずれも自動的に
低い位置まで低下するため、乗員着座位置が相対的に低
い車両においても、ウェビング31による乗員拘束位置
が適切な高さとなり、シートベルトによる乗員拘束を最
適に行なうことが可能となる。
【0047】また、リア・ドア3が、開状態から閉状態
へ移行し、シートベルトによる乗員拘束時、ウェビング
31から作用する荷重を、第1実施形態であれば、リア
・ドア3に設けた支持部材62と車体に固定されたアン
カー・ピン64により、あるいは第2実施形態及び第3
実施形態であれば、第1実施形態と同様に、リア・ドア
に設けた枢支部材66と車体に固定されたアンカー・ピ
ン68により、いずれも、車体とリア・ドア3に分散し
て伝えることが出来る。このため、リア・ドアと車体の
負担が軽減されることになり、リア・ドア及び車体の変
形、破損等が防止され、延いてはシートベルトの拘束性
能を確保することが可能となる。
【0048】さらに、第1実施形態によれば、リア・ド
ア3が、開状態から閉状態へ移行した場合には、モータ
51により徐々にアンカー・ポイントを低くし、アンカ
ー・ブラケット44を、確実に、アンカー・ピン64に
係合させ、逆にリア・ドア3が、閉状態から開状態へ移
行した場合には、バネ57により、アンカー・ブラケッ
ト44を、瞬時に、リア・ドア3が開状態となるのに支
障のない位置へ移動させることにより、リア・ドア3を
支障なく開閉させ、信頼性を向上させるとともに、シー
トベルト装着時のアンカー・ポイントを適切な高さとす
ることで、乗員の安全性を確保することが可能となる。
【0049】同様に、第2実施形態によれば、リア・ド
ア3が、開状態から、閉状態に移行し、タング・バック
ル部36において、タング36aが、バックル36bに
係合された場合には、リトラクタ32によるウェビング
31の引張力により、また、第3実施形態によれば、モ
ータ69の回転力により、徐々にアンカー・ポイントを
低くし、アンカー・リンク48を、確実に、アンカー・
ピン68に係合させ、逆にタング・バックル部36にお
いて、タング36aが、バックル36bから脱離され、
リア・ドア3が、閉状態から、開状態に移行する場合に
は、バネ58により、アンカー・リンク48を、瞬時
に、リア・ドアが開状態となるのに支障のない位置へ移
動させることにより、リア・ドア3を支障なく開閉さ
せ、信頼性を向上させるとともに、シートベルト装着時
のアンカー・ポイントを適切な高さとすることで、乗員
の安全性を確保することが可能となる。
【0050】また、上記ラップ・アンカーの位置移動
が、第1実施形態であれば、モータ51、ギア53、リ
ンク55、バネ57、ストッパー・ピン59、により、
あるいは第2実施形態であれば、枢支部材66、バネ5
8、により、第3実施形態であれば、枢支部材66、バ
ネ58、モータ69、ストッパー機構67、により、い
ずれも、少ない構成部品で実現され、省スペース化、省
コスト化を図ることが可能となる。
【0051】なお、本発明は上述した実施の形態に限定
されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で適
宜変更することが可能である。たとえば、第1実施形態
において、上記ラップ・アンカー42の位置移動のた
め、駆動機構50をモータ51により実現したが、油圧
装置などによることも勿論可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のシートベルト構造を備えた車両の側
面図。
【図2】 リア・ドアと第1実施形態を有するシートベ
ルト装置を室内から見た縦断面図。
【図3】 第1実施形態のラップ・アンカーを室内から
見た側面図。
【図4】 第2実施形態のラップ・アンカーを室内から
見た斜視図。
【図5】 第2実施形態のラップ・アンカーの部分側面
図及び部分正面図。
【図6】 第3実施形態のラップ・アンカーの部分側面
図及び部分正面図。
【符号の説明】
3…リア・ドア 31…ウェビング 42、46…ラップ・アンカー 44…アンカー・ブラケット 48…アンカー・リンク 50…駆動機構(電動式駆動機構) 51…モータ 53…ギア 55…リンク 57、58…バネ 59…ストッパー・ピン 62…支持部材 66…枢支部材 64、68…アンカー・ピン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹下 弘明 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 大塚 正志 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 奥川 博司 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 Fターム(参考) 3D018 BA16 CA08

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車室内に前後席を備えると共に、車体側面
    の単一開口がフロント・ドアとリア・ドアとにより開閉
    可能であって、上記フロント・ドアがその前部に固定さ
    れたヒンジを介して車体に対して回転可能に固定され、
    上記リア・ドアがその後部に固定されたヒンジを介して
    車体に対して回転可能に固定された車両の、前席用シー
    トベルト装置であって、 該シートベルト装置が、乗員を拘束するウェビング、上
    記リア・ドアの下部に設けられ上記ウェビングを衝突時
    に保持可能に巻取るリトラクター、上記リア・ドアの上
    部に設けられ上記ウェビングを摺動可能に支持するショ
    ルダー・アンカー、上記ウェビングを前席乗員の車内側
    下方において摺動可能に支持し、それ自体を上記車体に
    対して着脱操作可能であるタング・バックル部、及び、
    上記ウェビングを前席乗員の車外側下方において固定支
    持するラップ・アンカーを備えたものにおいて、 該ラップ・アンカーが設けられたアンカー・ブラケッ
    ト、上記リア・ドアに設けられ上記アンカー・ブラケッ
    トを上下方向に移動可能に支持する支持部材、上記リア
    ・ドアの開時に上記アンカー・ブラケットを上記リア・
    ドアの開閉に支障のない位置まで上方に駆動すると共
    に、上記リア・ドア閉時には上記アンカー・ブラケット
    を下方に駆動する駆動機構、及び、リア・ドア閉時に、
    上記アンカー・ブラケットが下方に移動して係合するこ
    とにより、上記ウェビングに作用する荷重を、上記アン
    カー・ブラケットを介して車体側にて受けるよう、上記
    リア・ドアより下方の車体に固定されたアンカー・ピ
    ン、を有することを特徴とする車両の前席用シートベル
    ト構造。
  2. 【請求項2】請求項1に記載された前席用シートベルト
    装置において、 上記駆動機構が、電気的に発生する駆動力を利用する電
    動式駆動機構である、ことを特徴とする車両の前席用シ
    ートベルト構造。
  3. 【請求項3】請求項2に記載された前席用シートベルト
    装置において、 上記電動式駆動機構が、回転力を発生するモータと、該
    モータの回転力をリンクへ伝えるギアと、該ギアにより
    伝達されたモータの回転力をその先端に結合されたアン
    カー・ブラケットの上下方向の移動力として伝えるリン
    クと、該リンクに結合され上方への引張力を生じさせる
    バネと、上記アンカー・ブラケットを、上記アンカー・
    ピンに係合した位置で支持部材に保持させるストッパー
    ・ピン、とにより構成されることを特徴とする車両の前
    席用シートベルト構造。
  4. 【請求項4】車室内に前後席を備えると共に、車体側面
    の単一開口がフロント・ドアとリア・ドアとにより開閉
    可能であって、上記フロント・ドアがその前部に固定さ
    れたヒンジを介して車体に対して回転可能に固定され、
    上記リア・ドアがその後部に固定されたヒンジを介して
    車体に対して回転可能に固定された自動車の、前席用シ
    ートベルト装置であって、 該シートベルト装置が、乗員を拘束するウェビング、上
    記リア・ドアの下部に設けられ上記ウェビングを衝突時
    に保持可能に巻取るリトラクター、上記リア・ドアの上
    部に設けられ上記ウェビングを摺動可能に支持するショ
    ルダー・アンカー、上記ウェビングを前席乗員の車内側
    下方において摺動可能に支持し、それ自体を上記車体に
    対して着脱操作可能であるタング・バックル部及び上記
    ウェビングを前席乗員の車外側下方において固定支持す
    るラップ・アンカーを備えたものにおいて、 該ラップ・アンカーが設けられたアンカー・リンク、上
    記リア・ドアに設けられ、上記アンカー・リンクを車体
    前後方向に枢動可能に支持し、上記リア・ドアが閉じて
    おり、かつ上記タング・バックル部が係合しているとき
    に、上記ウェビングから作用する引張力により、上記ア
    ンカー・リンクを車体の前下方向に枢動可能とする枢支
    部材、上記リア・ドアが開いており、かつ上記タング・
    バックル部が脱離しているときに、上記アンカー・リン
    クを上記リア・ドアの開閉に支障のない位置まで移動さ
    せるよう、上記アンカー・リンクに結合され、車体の後
    上方向への引張力を生じさせるバネ、及び上記リア・ド
    アが閉じており、上記タング・バックル部が係合してい
    るときに、上記アンカー・リンクが枢動して係合するこ
    とにより、上記ウェビングに作用する荷重を、上記アン
    カー・リンクを介して車体側にて受けるよう、上記リア
    ・ドアより下方の車体に固定されたアンカー・ピン、を
    有することを特徴とする車両の前席用シートベルト構
    造。
  5. 【請求項5】車室内に前後席を備えると共に、車体側面
    の単一開口がフロント・ドアとリア・ドアとにより開閉
    可能であって、上記フロント・ドアがその前部に固定さ
    れたヒンジを介して車体に対して回転可能に固定され、
    上記リア・ドアがその後部に固定されたヒンジを介して
    車体に対して回転可能に固定された自動車の、前席用シ
    ートベルト装置であって、 該シートベルト装置が、乗員を拘束するウェビング、上
    記リア・ドアの下部に設けられ上記ウェビングを衝突時
    に保持可能に巻取るリトラクター、上記リア・ドアの上
    部に設けられ上記ウェビングを摺動可能に支持するショ
    ルダー・アンカー、上記ウェビングを前席乗員の車内側
    下方において摺動可能に支持し、それ自体を上記車体に
    対して着脱操作可能であるタング・バックル部及び上記
    ウェビングを前席乗員の車外側下方において固定支持す
    るラップ・アンカーを備えたものにおいて、 該ラップ・アンカーが設けられたアンカー・リンク、上
    記リア・ドアに設けられ、上記アンカー・リンクを車体
    前後方向に枢動可能に支持する枢支部材、上記枢支部材
    に連結され、上記リア・ドア閉時に、上記アンカー・リ
    ンクを車体の前下方向に枢動するモータ、上記リア・ド
    ア開時に、上記アンカー・リンクを上記リア・ドアの開
    閉に支障のない位置まで移動させるよう、上記アンカー
    ・リンクに結合され、車体の後上方向への引張力を生じ
    させるバネ、上記リア・ドア閉時、上記アンカー・リン
    クが枢動して係合することにより、上記ウェビングに作
    用する荷重を、上記アンカー・リンクを介して車体側に
    て受けるよう、上記リア・ドアより下方の車体に固定さ
    れたアンカー・ピン、及び上記アンカー・リンクを、上
    記アンカー・ピンに係合した位置で保持させるストッパ
    ー機構、を有することを特徴とする車両の前席用シート
    ベルト構造。
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