JP2002030378A - 結晶化発熱温度制御による鉄基永久磁石合金の製造方法 - Google Patents

結晶化発熱温度制御による鉄基永久磁石合金の製造方法

Info

Publication number
JP2002030378A
JP2002030378A JP2000215414A JP2000215414A JP2002030378A JP 2002030378 A JP2002030378 A JP 2002030378A JP 2000215414 A JP2000215414 A JP 2000215414A JP 2000215414 A JP2000215414 A JP 2000215414A JP 2002030378 A JP2002030378 A JP 2002030378A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
iron
phase
crystallization
temperature
rare earth
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000215414A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshio Mitsugi
敏夫 三次
Hirokazu Kanekiyo
裕和 金清
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Proterial Ltd
Original Assignee
Sumitomo Special Metals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Special Metals Co Ltd filed Critical Sumitomo Special Metals Co Ltd
Priority to JP2000215414A priority Critical patent/JP2002030378A/ja
Publication of JP2002030378A publication Critical patent/JP2002030378A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/032Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials
    • H01F1/04Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials metals or alloys
    • H01F1/047Alloys characterised by their composition
    • H01F1/053Alloys characterised by their composition containing rare earth metals
    • H01F1/055Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5
    • H01F1/057Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and IIIa elements, e.g. Nd2Fe14B
    • H01F1/0571Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and IIIa elements, e.g. Nd2Fe14B in the form of particles, e.g. rapid quenched powders or ribbon flakes

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Hard Magnetic Materials (AREA)
  • Permanent Field Magnets Of Synchronous Machinery (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉄基合金磁石に添加する希土類元素の組み合
わせや比率を系統的な手法で決定し、優れた磁石特性を
付与する。 【解決手段】 硬磁性相を含む2以上の準安定相を有す
る微細結晶型鉄基合金磁石を製造する方法であって、希
土類元素R(RはPrまたはNd)と、希土類元素Rよ
りも原子番号Aの大きな希土類元素R’と、希土類元素
Rよりも原子番号Aの小さな希土類元素R”とを含有す
る鉄基合金を用意する工程と、鉄基合金の溶湯を急冷
し、それによって、アモルファス相が体積比率で全体の
90%以上を占める急冷合金を作製する工程と、急冷合
金を加熱して、鉄基合金中で結晶成長を進行させる熱処
理工程とを包含する。そして、R、R’、およびR”の
組成比率を調節することによって、1つの結晶相の結晶
化発熱温度を585℃〜615℃に制御するとともに、
他の結晶相の結晶化発熱温度を610℃〜640℃に制
御し、微細で均一な結晶組織を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種モータやアク
チュエータに好適に使用される微細結晶型鉄基合金磁石
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】少なくとも硬磁性相を含む2以上の準安
定相を有する微細結晶型合金磁石の研究開発が進められ
ている。例えばFe3B/Nd2Fe14B系微細結晶型磁
石の場合、軟磁性相であるFe3B微結晶と硬磁性相で
あるNd2Fe14B微結晶が均一に分布し、交換相互作
用によって両者が磁気的に結合している。これらの微結
晶はナノメートル(nm)オーダーのサイズを持ち、両
微結晶相が複合化した組織(ナノコンポジット組織)を
構成していることから、「ナノコンポジット磁石」と呼
ばれる場合がある。
【0003】このような微細結晶型の鉄基合金磁石は、
軟磁性相を含んでいても、硬磁性相との磁気的結合(交
換相互作用)によって優れた磁石特性を発揮することが
できる。また、Nd等の希土類元素を含まない軟磁性相
が存在する結果、全体として希土類元素の含有量が低く
抑えられる。このことは、磁石の製造コストを低減し、
磁石を安定に供給するうえでも好都合である。
【0004】微細結晶型鉄基合金磁石は、溶融した原料
合金を急冷してアモルファス化した後、熱処理によって
微結晶を析出・成長させる(結晶化する)という方法を
用いて製造される。
【0005】アモルファス状態の急冷凝固合金は片ロー
ル法などの超急冷法を用いて作製されるのが一般的であ
る。急冷法は、例えば、回転する冷却ロールの外周表面
上に溶湯状原料合金を流下し、溶湯原料合金を冷却ロー
ルと短時間だけ接触させることによって原料合金を急冷
・凝固させるものである。この方法による場合、冷却速
度の制御は冷却ロールの回転周速度を調節することによ
って行われる。
【0006】急冷によって凝固し、冷却ロールから離れ
た合金は、周速度方向に薄く且つ長く延びたリボン(薄
帯)形状になる。このような急冷凝固合金の薄帯は破断
機によって破砕され薄片化したのち、粉砕機によってよ
り細かいサイズに粉砕されて粉末化される。
【0007】その後、結晶化のための熱処理が行われ
る。この熱処理によって、Fe3B等の鉄系硼化物やN
2Fe14Bの微結晶相が生成され、磁石特性が付与さ
れる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来、微細結晶型鉄基
合金磁石の性能を向上させる目的で、種々の添加元素を
組み合わせ、それらの組成比率を最適化しようとする試
みが行われてきた。しかしながら、添加元素の組み合わ
せや組成比率を決定する系統的な方法は知られておら
ず、これらの決定は試行錯誤的に行われていた。このた
め、新規な組成を持つ高性能の鉄基合金磁石を開発する
ためには、非常に多くの時間と労力が必要であった。
【0009】本発明は、かかる諸点に鑑みてなされたも
のであり、その主な目的は、系統的な手法で添加元素の
組み合わせや組成比率を決定し、それによって優れた磁
石特性を発揮する鉄基永久磁石合金の製造方法を提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明による鉄基永久磁
石合金の製造方法は、組成式がRx(100-x-y-l-m) y
M1lM2m(at%)で表現され(R=La、Ce、P
r、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、H
o、Er、Tm、Yb、およびLuからなる群から選択
された2以上の元素、T=Fe、Co、およびNiから
なる群から選択された少なくとも一つの元素、Q=Bお
よびCからなる群から選択された少なくとも一つの元
素、M1=Cu、Ga、Si、Al、およびPbからな
る群から選択された少なくとも一つの元素、M2=N
b、Mo、Ti、およびZrからなる群から選択された
少なくとも一つの元素)、組成範囲を限定する記号x、
y、l、mが、それぞれ、1≦x≦6、15≦y≦2
5、0.01≦l≦0.4、および0.05≦m≦5の
関係を満足し、少なくとも硬磁性相を含む2以上の結晶
相が混在する鉄基永久磁石合金を製造する方法であっ
て、元素R、M1、およびM2の組み合わせと組成比率
とを調節することによって、1つの結晶相の結晶化発熱
温度を585℃〜615℃に制御するとともに、他の結
晶相の結晶化発熱温度を610℃〜640℃に制御する
ことを特徴とする。
【0011】本発明による鉄基永久磁石合金の製造方法
は、組成式が(Ndx-x'R’x')T (100-x-y-l-m)y
lM2m(at%)で表現され(R’=Pm、Sm、E
u、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およ
びLuからなる群から選択された少なくとも一つの元
素、T=Fe、Co、およびNiからなる群から選択さ
れた少なくとも一つの元素、Q=BおよびCからなる群
から選択された少なくとも一つの元素、M1=Cu、G
a、Si、Al、およびPbからなる群から選択された
少なくとも一つの元素、M2=Nb、Mo、Ti、およ
びZrからなる群から選択された少なくとも一つの元
素)、組成範囲を限定する記号x、x’、y、l、m
が、1≦x≦6、0<x’≦4.5、15≦y≦25、
0.01≦l≦0.4、および0.05≦m≦5の関係
を満足し、少なくとも硬磁性相を含む2以上の結晶相が
混在する鉄基永久磁石合金を製造する方法であって、N
dの少なくとも一部をNdよりも原子番号の大きな希土
類元素R’によって置換することによって前記各結晶相
の結晶化発熱温度を上昇させ、それによって1つの結晶
相の結晶化発熱温度を585℃〜615℃に制御すると
ともに、他の結晶相の結晶化発熱温度を610℃〜64
0℃に制御することを特徴とする。
【0012】本発明による鉄基永久磁石合金の製造方法
は、組成式が(Ndx-x'R”x')T (100-x-y-l-m)y
lM2m(at%)で表現され(R”=La、Ce、お
よびPrからなる群から選択された少なくとも一つの元
素、T=Fe、Co、およびNiからなる群から選択さ
れた少なくとも一つの元素、Q=BおよびCからなる群
から選択された少なくとも一つの元素、M1=Cu、G
a、Si、Al、およびPbからなる群から選択された
少なくとも一つの元素、M2=Nb、Mo、Ti、およ
びZrからなる群から選択された少なくとも一つの元
素)、組成範囲を限定する記号x、x’、y、l、m
が、1≦x≦6、0<x’≦4.5、15≦y≦25、
0.01≦l≦0.4、および0.05≦m≦5の関係
を満足し、少なくとも硬磁性相を含む2以上の結晶相が
混在する鉄基永久磁石合金を製造する方法であって、N
dの少なくとも一部をNdよりも原子番号の小さな希土
類元素R”によって置換することによって前記各結晶相
の結晶化発熱温度を低下させ、それによって1つの結晶
相の結晶化発熱温度を585℃〜615℃に制御すると
ともに、他の結晶相の結晶化発熱温度を610℃〜64
0℃に制御することを特徴とする。
【0013】好ましい実施形態において、前記2以上の
結晶相として鉄系硼化物相とR21 4B型化合物相とを
含有し、前記鉄系硼化物相の結晶化発熱温度をT1、前
記R214B型化合物相の結晶化発熱温度をT2、Ndと
置換される希土類元素の原子番号をA、x’が0at%
における前記鉄系硼化物相の結晶化発熱温度をT1(x'
=0)、x’が0at%における前記R214B型化合物相
の結晶化発熱温度をT2( x'=0)とした場合に、 T1=α1(A−60)+T1(x'=0) (0<α1≦1
0)、 T2=α2(A−60)+T2(x'=0) (0<α2≦2
0) を満足する。
【0014】好ましい実施形態において、前記2以上の
結晶相として鉄系硼化物相とR21 4B型化合物相とを
含有し、前記鉄系硼化物相の結晶化発熱温度をT1、前
記R214B型化合物相の結晶化発熱温度をT2、Ndと
置換されるN個の希土類元素のうちのi番(1<i≦
N)の元素の原子番号をAi、x’が0at%における
前記鉄系硼化物相の結晶化発熱温度をT1(x'=0)、x’
が0at%における前記R214B型化合物相の結晶化
発熱温度をT2(x'=0)とした場合に、 T1=Σαi1(Ai−60)+T1(x'=0) (0<α
i1≦10) T2=Σαi2(Ai−60)+T2(x'=0) (0<α
i2≦20) を満足する。
【0015】本発明による鉄基永久磁石合金の製造方法
は、組成式が(Prx-x'R’x')T (100-x-y-l-m)y
lM2m(at%)で表現され(R’=Nd、Sm、E
u、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およ
びLuからなる群から選択された少なくとも一つの元
素、T=Fe、Co、およびNiからなる群から選択さ
れた少なくとも一つの元素、Q=BおよびCからなる群
から選択された少なくとも一つの元素、M1=Cu、G
a、Si、Al、およびPbからなる群から選択された
少なくとも一つの元素、M2=Nb、Mo、Ti、およ
びZrからなる群から選択された少なくとも一つの元
素)、組成範囲を限定する記号x、x’、y、l、m
が、1≦x≦6、0<x’≦4.5、15≦y≦25、
0.01≦l≦0.4、および0.05≦m≦5の関係
を満足し、少なくとも硬磁性相を含む2以上の結晶相が
混在する鉄基永久磁石合金を製造する方法であって、P
rの少なくとも一部をPrよりも原子番号の大きな希土
類元素R’を用いて置換することによって前記各結晶相
の結晶化発熱温度を上昇させ、それによって1つの結晶
相の結晶化発熱温度を585℃〜615℃に制御すると
ともに、他の結晶相の結晶化発熱温度を610℃〜64
0℃に制御する。
【0016】本発明による鉄基永久磁石合金の製造方法
は、組成式が(Prx-x'R”x')T (100-x-y-l-m)y
lM2m(at%)で表現され(R”=LaおよびCe
からなる群から選択された少なくとも一つの元素、T=
Fe、Co、およびNiからなる群から選択された少な
くとも一つの元素、Q=BおよびCからなる群から選択
された少なくとも一つの元素、M1=Cu、Ga、S
i、Al、およびPbからなる群から選択された少なく
とも一つの元素、M2=Nb、Mo、Ti、およびZr
からなる群から選択された少なくとも一つの元素)、組
成範囲を限定する記号x、x’、y、l、mが、1≦x
≦6、0<x’≦4.5、15≦y≦25、0.01≦
l≦0.4、および0.05≦m≦5の関係を満足し、
少なくとも硬磁性相を含む2以上の結晶相が混在する鉄
基永久磁石合金を製造する方法であって、Prの少なく
とも一部をPrよりも原子番号の小さな希土類元素R”
を用いて置換することによって前記各結晶相の結晶化発
熱温度を低下させ、それによって1つの結晶相の結晶化
発熱温度を585℃〜615℃に制御するとともに、他
の結晶相の結晶化発熱温度を610℃〜640℃に制御
することを特徴とする。
【0017】好ましい実施形態において、前記2以上の
結晶相として鉄系硼化物相とR21 4B型化合物相とを
含有し、前記鉄系硼化物相の結晶化発熱温度をT1、前
記R214B型化合物相の結晶化発熱温度をT2、Prと
置換される希土類元素の原子番号をA、x’が0at%
における前記鉄系硼化物相の結晶化発熱温度をT1(x'
=0)、x’が0at%における前記R214B型化合物相
の結晶化発熱温度をT2( x'=0)とした場合に、 T1=α1(A−59)+T1(x'=0) (0<α1≦1
0) T2=α2(A−59)+T2(x'=0) (0<α2≦2
0) を満足する。
【0018】好ましい実施形態において、前記2以上の
結晶相として鉄系硼化物相とR21 4B型化合物相とを
含有し、前記鉄系硼化物相の結晶化発熱温度をT1、前
記R214B型化合物相の結晶化発熱温度をT2、Prと
置換されるN個の希土類元素のうちのi番(1<i≦
N)の元素の原子番号をAi、x’が0at%における
前記鉄系硼化物相の結晶化発熱温度をT1(x'=0)、x’
が0at%における前記R214B型化合物相の結晶化
発熱温度をT2(x'=0)とした場合に、 T1=Σαi1(Ai−59)+T1(x'=0) (0<α
i1≦10) T2=Σαi2(Ai−59)+T2(x'=0) (0<α
i2≦20) を満足する。
【0019】本発明による鉄基永久磁石合金の製造方法
は、体積比率で90%以上がアモルファス組織である鉄
基急冷凝固合金に対して結晶化のための熱処理を施すこ
とによって硬磁気特性が発現しうる合金組織を形成する
鉄基永久磁石合金の製造方法であって、合金組成を構成
する希土類元素R、添加元素M1、およびM2の組み合
わせ、ならびに含有濃度を変えることによって前記急冷
凝固合金の結晶化発熱温度を制御することを特徴とす
る。
【0020】本発明による鉄基永久磁石合金の製造方法
は、硬磁性相を含む2以上の準安定相を有する微細結晶
型鉄基合金磁石を製造する方法であって、希土類元素R
(RはPrまたはNd)と、希土類元素Rよりも原子番
号の大きな希土類元素R’と、希土類元素Rよりも原子
番号の小さな希土類元素R”とを含有する鉄基合金を用
意する工程と、前記鉄基合金の溶湯を急冷し、それによ
って、アモルファス相が体積比率で全体の90%以上を
占める急冷合金を作製する工程と、前記急冷合金を加熱
して、前記鉄基合金中で結晶成長を進行させる熱処理工
程とを包含し、希土類元素R、希土類元素R’、および
希土類元素R”の組成比率を調節することによって、前
記熱処理工程後における結晶粒径の平均が1nm以上5
0nm以下の微細組織を形成する。
【0021】好ましい実施形態において、希土類元素
R、希土類元素R’、および希土類元素R”の組成比率
は、前記準安定相のうち最も結晶化発熱温度が低い相の
結晶化発熱温度と最も結晶化発熱温度が高い相の結晶化
発熱温度との差異を5℃以上25℃以下にするように調
節されている。
【0022】本発明のボンド磁石は、上記何れかの製造
方法によって作製された鉄基永久磁石合金の粉末を用い
て形成されていることを特徴とする。
【0023】本発明の回転機は、上記ボンド磁石を備え
ていることを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】急冷法によって高性能R−T−B
系磁石を製造するための有効な手段として、急冷合金中
に生成するべき或る結晶相(例えば硼化物相)の結晶化
発熱温度を例えば585℃〜615℃にし、他の結晶相
(例えばR214B型化合物相)の結晶化発熱温度を例
えば610℃〜640℃に制御する方法がある。このよ
うな範囲に各構成相の結晶化発熱温度を調節すれば、再
結晶化熱処理によって均一で微細な組織を形成すること
ができ、磁気特性に優れた鉄基合金磁石を得ることがで
きる。
【0025】本発明者は、R−T−B系鉄基永久磁石合
金を急冷法によって製造する場合において、希土類元素
Rの少なくとも一部を希土類元素Rよりも原子番号の大
きな希土類元素R’や希土類元素Rよりも原子番号の小
さな希土類元素R”を用いて置換することによって構成
相の結晶化発熱温度を高い精度で制御できることを見出
し、本発明を想到するに至った。
【0026】具体的には、本発明者の種々の実験によ
り、以下の知見が得られた。
【0027】(1) 希土類元素Rの0.1at%以上
を希土類元素Rよりも原子番号の大きな希土類元素R’
で置換することによって、軟磁性相および硬磁性相の結
晶化発熱温度を0.1℃以上上昇させることができる。
【0028】(2) 希土類元素Rの0.1at%以上
を希土類元素Rよりも原子番号の小さな希土類元素R”
で置換することによって、軟磁性相および硬磁性相の結
晶化発熱温度を0.1℃以上低下させることができる。
【0029】(3) 希土類元素Rの少なくとも一部を
希土類元素R’および希土類元素R”で複合的に置換す
ることによって、軟磁性相および硬磁性相の結晶化発熱
温度を最適化することが容易に行えるようになる。
【0030】図1は、希土類元素RとしてNdを含むR
−T−B系急冷合金について、Ndの原子番号よりも大
きな原子番号Aを持つ希土類元素R’または小さな原子
番号を持つ希土類元素R”を添加した場合の、添加希土
類元素の原子番号AとFe3B相(FeやBの一部が他
の元素で置換された化合物を含むものとする)の結晶化
発熱温度との関係を示している。Ndの原子番号Aは6
0である。図1には、希土類元素の添加量x’が0.1
at%、1.0at%、2.0at%、および4.5a
t%の場合の結晶化発熱温度が示されている。また、F
3B相の結晶化発熱温度として好ましい領域を図1中
において破線で囲んでいる。
【0031】これに対し、図2は、図1と同様の条件の
もとで、添加希土類元素の原子番号AとR2Fe14B相
(FeやBの一部が他の元素で置換された化合物を含む
ものとする)の結晶化発熱温度との関係を示している。
なお、R2Fe14B相の結晶化発熱温度として好ましい
領域を図2のグラフ中において破線で囲んでいる。
【0032】上記の図1および図2からわかるように、
NdをNdよりも原子番号Aの大きな希土類元素で置換
することによって、Fe3BおよびR2Fe14Bの何れの
相についても、結晶化発熱温度を上昇させることができ
る。同様に、NdをNdよりも原子番号Aの小さな希土
類元素で置換することによって、Fe3BおよびR2Fe
14Bの何れの相についても、結晶化発熱温度を低下させ
ることができる。
【0033】なお、添加する希土類元素の原子番号と結
晶化発熱温度の増加量との間には、図示されるように線
形的な関係がある。したがって、複数種類の希土類元素
を組み合わせて添加する場合、選択する希土類元素の原
子番号と添加量(置換量)とを計算し、所望の結晶化発
熱温度を得ることが可能になる。
【0034】例えば、Ndを希土類元素として含み、鉄
系硼化物相およびR2Fe14B型化合物相の微細結晶組
織を持つ鉄基合金磁石を製造する場合を考える。この場
合において、鉄系硼化物相の結晶化発熱温度をT1、R2
Fe14B型化合物相の結晶化発熱温度をT2、Ndと置
換される希土類元素の原子番号をAとする。また、Nd
以外の希土類元素を添加しない場合(添加量x’=0a
t%の場合)における鉄系硼化物相の結晶化発熱温度を
1(x'=0)、R2Fe14B型化合物相の結晶化発熱温度を
2(x'=0)とする。このとき、下記2式がほぼ成立す
る。
【0035】T1=α1(A−60)+T1(x'=0)
(0<α1≦10) T2=α2(A−60)+T2(x'=0) (0<α2≦2
0) ここで、α1およびα2は、添加量x’に依存するが、
原子番号Aには依存しない係数である。α1およびα2
は、実験により求められる。
【0036】また、N種類の異なる希土類元素でNdの
一部を置換する場合、置換する希土類元素のうち、i番
(1<i≦N)目の希土類元素の原子番号をAiとする
と、下記の2式がほぼ成立することになる。
【0037】T1=Σαi1(Ai−60)+T1(x'=0)
(0<αi1≦10) T2=Σαi2(Ai−60)+T2(x'=0) (0<α
i2≦20) ここで、αi1およびαi2は、1<i≦Nを満足するi番
目の希土類元素を単独で添加し、Ndと置換した場合の
係数である。これらの係数は、前述したように、添加量
に依存する。
【0038】上記の式を利用することによって、従来の
試行錯誤的な方法に比べて大幅に短縮された時間で、磁
石の各構成相が目的とする結晶化発熱温度を示す最適な
組成を決定することが可能になる。
【0039】以下、本発明による鉄基永久磁石合金の製
造方法を説明する。
【0040】本発明では、まず、組成式がRx
(100-x'-y-l-m)yM1lM2m(at%)で表現される
鉄基合金の溶湯を作製する。ここで、Rは、La、C
e、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、D
y、Ho、Er、Tm、Yb、およびLuからなる群か
ら選択された少なくとも一つの元素であり、Tは、F
e、Co、およびNiからなる群から選択された少なく
とも一つの元素である。Qは、B(硼素)および(炭
素)からなる群から選択された少なくとも一つの元素で
ある。また、M1は、Cu、Ga、Si、Al、および
Pbからなる群から選択された少なくとも一つの元素で
あり、M2は、Nb、Mo、Ti、およびZrからなる
群から選択された少なくとも一つの元素である。
【0041】組成範囲を限定する記号x、y、l、およ
びmは、それぞれ、1≦x≦6、15≦y≦25、0.
01≦l≦0.4、および0.05≦m≦5の関係を満
足する。
【0042】ここでは、図1および図2に示される線形
的な関係に基づき、希土類元素の組み合わせを選択し、
鉄系硼化物相の結晶化発熱温度を585℃〜615℃に
制御するとともに、R2Fe14B相の結晶化発熱温度を
610℃〜640℃に制御している。
【0043】次に、上記合金溶湯を急冷することによっ
て、体積比率で90%以上のアモルファス相を含む急冷
凝固合金を作製する。その後、この急冷凝固合金に対し
て、結晶化のための熱処理を施し、鉄系硼化物相とR2
Fe14B相を生成し、成長させる。平均粒径が1〜50
nmの微細組織を形成する。こうして、2種以上の微細
結晶相が混在する鉄基永久磁石合金が作製される。
【0044】本発明によれば、希土類元素の組み合わせ
および組成比率を調節することによって、各構成相の結
晶化発熱温度を最適化することができ、その結果、熱処
理後の結晶組織を均一に微細化し、磁石特性を向上させ
ることが可能になる。
【0045】次に、本発明における組成範囲の限定理由
を説明する。
【0046】[組成限定理由]希土類元素Rは硬磁性相
(例えばR2Fe14B)の生成に必要な元素である。本
発明における希土類元素Rは、PrおよびNdの一方ま
たは両方の元素を90原子%以上含有し、残部が他のラ
ンタン系列元素またはYの一種以上の元素を0%以上1
0%未満含有することが好ましい。PrおよびNdの何
れか一方の元素は、一軸結晶磁気異方性を持つR2Fe
14B型結晶構造を持つ化合物相の生成に寄与するからで
ある。希土類元素の組成比率が1原子%を下回ると、保
磁力発生の効果が少なすぎるので好ましくない。一方、
希土類元素Rの組成比率が6原子%を超えると、Fe3
B相およびNd2Fe14B相が生成されず、軟磁性相で
あるNd2Fe233相が主相となってしまうため、保磁
力が著しく低下してしまう。以上のことから、希土類元
素Rの組成比率xは、1≦x≦6であることが好まし
い。また、希土類元素Rの組成比率xのより好ましい範
囲は、1≦x≦5.5である。
【0047】希土類元素R’および/またはR”は、急
冷合金の結晶化発熱温度を制御するために必須の元素で
あり、希土類元素の原子番号が増加するにつれて一次関
数的に結晶化発熱温度が増加する。希土類元素Rに対す
るR’の含有量が増加するにつれて、上記一次関数の傾
きが増加する。このため、希土類元素の合計含有量に占
める希土類元素R’および/またはR”の組成比率が
4.5原子%より多くなると、上記一次関数の傾き(結
晶化発熱温度の変化量)が大きくなりすぎるため、良好
な磁気特性が得られなくなる。希土類元素R’および/
またはR”の量は4.5原子%以下であることが好まし
く、0.1原子%以上2原子%以下であることが更に好
ましい。
【0048】元素M1は、急冷合金の結晶化発熱温度を
下げるのに寄与する。元素M1の組成比率lが0.01
原子%を下回ると、結晶化発熱温度低下の効果が少なく
なるので好ましくない。一方、元素M1の組成比率lが
0.4原子%を上回ると、硼化物相の結晶化発熱温度と
2Fe14B型化合物の結晶化発熱温度とが重なりあ
い、良好な磁気特性が得られなくなる。このため、元素
M1の組成比率lの好ましい範囲は0.01≦l≦0.
4である。
【0049】元素M2は、急冷合金の結晶化発熱温度を
上げるのに寄与する。元素M2の組成比率mが0.05
原子%以上5原子%以下の範囲から外れると、結晶化発
熱温度上昇の効果が少なくなる。元素M2の組成比率m
の好ましい範囲は0.05≦m≦5である。
【0050】他の金属元素として、Cr、V、Mn、お
よびTiからなる群から選択された少なくとも一つの元
素M3を添加しても良い。この元素M3は、保磁力向上
に寄与する。ただし、元素M3の組成比率nが0.01
原子%より少ないと、保磁力向上効果が充分に発揮され
ず、7原子%を超えて多くなりすぎると残留磁束密度B
rが低下し、減磁曲線の角形性も劣化してしまう。この
ため、元素M2の組成比率mは0.01≦n≦7である
ことが好ましく、0.05≦n≦5であることが更に好
ましい。
【0051】Qは、B(硼素)および、Bの一部を置換
したC(炭素)から構成される。Bは、軟磁性相(例え
ばFe3B)および硬磁性相(例えばR2Fe14B)の両
方にとって必要な元素である。Qの組成比yが15〜2
5原子%の範囲から外れると、所望の永久磁石特性が発
揮されないため、Qの組成比率yについては15≦y≦
25であることが好ましい。更に、Qがこの組成範囲を
外れると、融点が上昇し、溶解温度および貯湯容器の保
温温度を高める必要が生じ、アモルファス生成能も低下
するので所望の急冷合金組織が得られにくくなる。Qの
組成比率yのより好ましい範囲は17≦z≦20であ
る。
【0052】上記元素の残余は、T、すなわち、Fe、
CoおよびNiからなる群から選択された少なくとも一
つの元素である。Coは、Feの一部と置換し、キュリ
ー温度を向上させる。キュリー温度の上昇は、磁気特性
の温度変化依存性を減少させ、磁気特性を安定化させ
る。また、CoによるFeの一部置換は、合金溶湯の粘
性を改善するという機能もあり、溶湯流下レートの安定
化にも寄与する。Coに代えて、あるいはCoとともに
NiでFeの一部を置換してもよい。Tの全体に対する
CoやNiの存在比率は、0原子%以上50原子%であ
ることが好ましく、0.01原子%以上30原子%以下
であることがより好ましい。
【0053】次に、図面を参照しながら、本発明の好ま
しい実施形態を説明する。
【0054】本実施形態では、例えば、図3に示す急冷
装置を用いて原料合金を製造する。酸化しやすい希土類
元素RやFeを含む原料合金の酸化を防ぐため、不活性
ガス雰囲気中で合金製造工程を実行する。不活性ガスと
しては、ヘリウムまたはアルゴン等の希ガスや窒素を用
いることができる。なお、窒素は希土類元素Rと比較的
に反応しやすいため、ヘリウムまたはアルゴンなどの希
ガスを用いることが好ましい。
【0055】[急冷装置]図3の装置は、真空または不
活性ガス雰囲気を保持し、その圧力を調整することが可
能な原料合金の溶解室1および急冷室2を備えている。
【0056】溶解室1は、前述の磁石合金組成になるよ
うに配合された原料20を高温にて溶解する溶解炉3
と、底部に出湯ノズル5を有する貯湯容器4と、大気の
進入を抑制しつつ配合原料を溶解炉3内に供給するため
の配合原料供給装置8とを備えている。貯湯容器4は原
料合金の溶湯21を貯え、その出湯温度を所定のレベル
に維持できる加熱装置(不図示)を有している。
【0057】急冷室2は、出湯ノズル5から出た溶湯2
1を急冷凝固するための回転冷却ロール7を備えてい
る。
【0058】この装置においては、溶解室1および急冷
室2内の雰囲気およびその圧力が所定の範囲に制御され
る。そのために、雰囲気ガス供給口1b、2b、および
8bとガス排気口1a、2a、および8aとが装置の適
切な箇所に設けられている。特にガス排気口2aは、急
冷室2内の絶対圧を真空〜50kPaの範囲内に制御す
るため、ポンプに接続されている。
【0059】溶解炉3は傾動可能であり、ロート6を介
して溶湯21を貯湯容器4内に適宜注ぎ込む。溶湯21
は貯湯容器4内において不図示の加熱装置によって加熱
される。
【0060】貯湯容器4の出湯ノズル5は、溶解室1と
急冷室2との隔壁に配置され、貯湯容器4内の溶湯21
を下方に位置する冷却ロール7の表面に流下させる。出
湯ノズル5のオリフィス径は、例えば0.5〜2.0m
mである。溶湯21の粘性が大きい場合、溶湯21は出
湯ノズル5内を流れにくくなるが、本実施形態では急冷
室2を溶解室1よりも低い圧力状態に保持するため、溶
解室1と急冷室2との間に圧力差が形成され、溶湯21
の出湯がスムーズに実行される。
【0061】冷却ロール7は、Cu、Fe、またはCu
やFeを含む合金から形成することが好ましい。Cuや
Fe以外の材料で冷却ロールを作製すると、急冷合金の
冷却ロールに対する剥離性が悪くなるため、急冷合金が
ロールに巻き付くおそれがあり好ましくない。冷却ロー
ル7の直径は例えば300〜500mmである。冷却ロ
ール7内に設けた水冷装置の水冷能力は、単位時間あた
りの凝固潜熱と出湯量とに応じて算出し、調節される。
【0062】図3に示す装置によれば、例えば合計10
kgの原料合金を10〜20分間で急冷凝固させること
ができる。こうして形成した急冷合金は、例えば、厚
さ:20〜40μm、幅:2mm〜3mmの合金薄帯
(合金リボン)22となる。
【0063】[急冷方法]まず、前述の組成式で表現さ
れる原料合金の溶湯21を作製し、図1の溶解室1の貯
湯容器4に貯える。次に、この溶湯21は出湯ノズル5
から減圧Ar雰囲気中の水冷ロール7上に出湯され、水
冷ロール7との接触によって急冷され、凝固する。急冷
凝固方法としては、冷却速度の高精度の制御が可能な方
法を用いる必要がある。
【0064】本実施形態では、溶湯21の冷却凝固に際
して、冷却速度を102〜107℃/秒とすることが好ま
しい。
【0065】合金の溶湯21が冷却ロール7によって冷
却される時間は、回転する冷却ロール7の外周表面に合
金が接触してから離れるまでの時間に相当し、その間
に、合金の温度は低下し、凝固する。その後、凝固した
合金は冷却ロール7から離れ、不活性雰囲気中を飛行す
る。合金は薄帯状で飛行している間に雰囲気ガスに熱を
奪われる結果、その温度は更に低下する。
【0066】本実施形態では、ロール表面速度を7m/
秒以上30m/秒以下の範囲内に調節することによっ
て、ほぼアモルファス状態にある急冷合金薄帯を作製す
る。ロール表面周速度が7m/秒未満では、結晶相が発
生・成長するため、目的とするナノコンポジット磁石特
性が得られなくなるので好ましくない。一方、ロール表
面周速度が30m/秒を超えると、急冷凝固合金の全体
がアモルファス相となってしまうため、後の結晶化熱処
理工程を行う場合、結晶化プロセスが急激に進行し、組
織の制御が困難になるため好ましくない。
【0067】なお、本発明で用いる合金溶湯の急冷法
は、上述の片ロール法に限定されず、双ロール法、ガス
アトマイズ法、ストリップキャスト法、更には、ロール
法とガスアトマイズ法とを組み合わせた冷却法などであ
ってもよい。
【0068】[熱処理]本実施形態では、熱処理をアル
ゴン雰囲気中で実行する。好ましくは、昇温速度を5℃
/秒〜20℃/秒として、550℃以上850℃以下の
温度で30秒以上20分以下の時間保持した後、室温ま
で冷却する。この熱処理によって、アモルファス相中に
準安定相の微細結晶が析出・成長し、ナノコンポジット
組織構造が形成される。本発明によれば、M1やM2の
働きによって、Fe3B相やR2Fe23B型結晶構造を持
つ化合物相の結晶成長温度が制御され、高い磁気特性を
発揮する上で好適な均質微細結晶が成長する。
【0069】熱処理雰囲気は、合金の酸化を防止するた
め、50kPa以下のArガスやN 2ガスなどの不活性
ガスが好ましい。0.1kPa以下の真空中で熱処理を
行っても良い。
【0070】熱処理前の急冷合金中には、アモルファス
相以外に、Fe3B相、Fe236、R2Fe14B相、お
よびR2Fe233相等の準安定相が僅かに含まれていて
も良い。本実施形態の場合、熱処理によって、R2Fe
233相は消失し、R2Fe14B相とFe3B相が結晶成
長する。そして、最終的な結晶粒径の平均が1nm以上
50nm以下、標準偏差σが10nm程度以下の均質微
細組織(ナノコンポジット構造)が得られる。なお、磁
気特性向上の観点から、結晶粒径の平均は1nm以上2
1nm以下の範囲にあることがより好ましい。
【0071】本実施形態の場合、α−Feのような軟磁
性相が存在していても、軟磁性相と硬磁性相とが交換相
互作用によって磁気的に結合するため、優れた磁気特性
が発揮される。
【0072】なお、熱処理前に急冷合金の薄帯を粗く切
断または粉砕しておいてもよい。
【0073】熱処理後、得られた磁石合金を微粉砕し、
磁石粉末(磁粉)を作製すれば、その磁粉から公知の工
程によって種々のボンド磁石を製造することができる。
ボンド磁石を作製する場合、合金磁粉はエポキシ樹脂や
ナイロン樹脂と混合され、所望の形状に成形される。こ
のとき、合金磁粉に他の種類の磁粉、例えばSm−Fe
−N系磁粉や硬フェライト磁粉を混合してもよい。
【0074】上述のボンド磁石を用いてモータやアクチ
ュエータなどの各種の回転機を製造することができる。
【0075】本発明の鉄基永久磁石合金の粉末を射出成
形ボンド磁石用に用いる場合は、粒度が150μm以下
になるように粉砕することが好ましく、より好ましい粉
末の平均粒径は1μm以上100μm以下である。ま
た、圧縮成形ボンド磁石用に用いる場合は、粒度が30
0μm以下になるように粉砕することが好ましく、より
好ましい粉末の平均粒径は50μm以上200μm以下
である。さらに好ましい範囲は50μm以上150μm
以下である。
【0076】(実施例と比較例)以下、本発明の実施例
と比較例とを詳細に説明する。
【0077】試料No.1〜No.6の各々について、
純度99.5%以上のNd、Fe、Co、Bの材料を用
いて総量が15gとなるように秤量し、石英るつぼ内に
投入した。試料No.1〜No.6の組成は表1に示す
通りとした。ここで、試料No.1〜No.4は、本発
明の実施例に相当し、試料No.5〜6は、比較例に相
当する。
【0078】
【表1】
【0079】表1において、例えば「R」と表示してい
る欄の「Nd3.5Tb1」は3.5原子%のNdおよ
び1.0原子%のTbを添加したことを示し、「B」と
表示している欄の「18.5」は18.5原子%のB
(硼素)を添加したことを示している。
【0080】溶湯作製に用いた石英るつぼは、底部に直
径0.8mmのオリフィスを有しているため、上記原料
は石英るつぼ内で溶解された後、合金溶湯となってオリ
フィスから下方に滴下することになる。原料の溶解は、
圧力が1〜3kPaのアルゴン雰囲気下において高周波
加熱法を用いて行った。本実施例では、溶湯温度を13
50℃に設定した。
【0081】合金溶湯の湯面をArガスで加圧すること
によって、オリフィスの下方0.7mmの位置にある純
銅製ロールの外周面に対し溶湯を噴出させた。ロール
は、その外周面の温度が室温程度に維持されるように内
部が冷却されながら高速で回転する。このため、オリフ
ィスから滴下した合金溶湯はロール周面に接触して熱を
奪われつつ、周速度方向に飛ばされることになる。合金
溶湯はオリフィスを介して連続的にロール周面上に滴下
されるため、急冷によって凝固した合金は薄帯状に長く
延びたリボン(幅:2〜3mm、厚さ:20〜30μ
m)の形態を持つことになった。
【0082】本実施例で採用する回転ロール法(単ロー
ル法)の場合、冷却速度はロール周速度および単位時間
当たりの溶湯流下量によって規定される。なお、流下量
はオリフィス径(断面積)と溶湯圧力とに依存し、実施
例ではオリフィスは直径0.8mm、溶湯噴射圧は13
〜33kPaとし、流下レートは約0.5〜1kg/分
であった。本実施例ではロール表面速度Vsを20m/
秒に設定した。
【0083】アモルファス相が50体積%以上を占める
急冷凝固合金とするためには、冷却速度は102〜107
℃/秒であることが好ましく、この範囲の冷却速度を達
成するには、ロール周速度を9m/秒以上に設定するこ
とが好ましい。
【0084】こうして得た急冷合金の薄帯に対し、結晶
化発熱温度ピークを示すDSCプロファイルを測定し
た。図4は、本発明の実施例である試料No.1〜2、
および比較例である試料No.5についてのDSCプロ
ファイルを示すグラフである。曲線の低温側ピークはF
3Bの結晶化発熱温度ピークを示し、高温側のピーク
はR2Fe14Bの結晶化発熱温度ピーク(グラフ中にて
「矢印」を付記している。)を示している。
【0085】図4からわかるように、比較例では、Fe
3B相の結晶化発熱温度が高くなりすぎたため、Fe3
相およびR2Fe14B相の結晶化発熱温度ピークが近接
しすぎ、両ピークの分離が不充分である。そのため、比
較例ではFe3B相の結晶化が完了する前にR2Fe14
相の結晶化が進行し、組織の微細化および均一化を充分
に達成することができなくなる。
【0086】次に、試料No.1〜6の急冷凝固合金に
対して、表1に示す温度で6〜10分間保持する熱処理
工程を行い、室温まで冷却した後、磁気特性を測定し
た。測定は、熱処理済みの合金薄帯を長さ3〜5mmに
切断した後、VSMを用いて行った。測定結果を表2に
示す。
【0087】
【表2】
【0088】表2からわかるように、実施例(No.1
〜4)は、比較例(No.5〜6)に比べて優れた磁気
特性を示している。
【0089】透過型電子顕微鏡を用いて結晶化熱処理後
の合金組織を観察した。この観察によって求めた平均結
晶粒径Dを表2に示す。表2からわかるように、比較例
における平均結晶粒径Dが80nmを越えているのに対
し、実施例における平均結晶粒径Dは何れも50nmを
下回っている。
【0090】
【発明の効果】本発明によれば、従来知られていなかっ
た新しい合金設計手法に基づき、各構成相の結晶化発熱
温度を所望の温度範囲内に制御することが可能となるた
め、結晶組織を均質に微細化し、それによって特性の優
れた鉄基合金磁石を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Nd(原子番号A=60)の一部を他の希土類
元素(原子番号A=57〜59、61〜71)で置換し
た場合において、希土類元素の添加量x’とFe3B相
の結晶化発熱温度との関係を示すグラフである。
【図2】Nd(原子番号A=60)の一部を他の希土類
元素(原子番号A=57〜59、61〜71)で置換し
た場合において、希土類元素の添加量x’とR2Fe14
B相の結晶化発熱温度との関係を示すグラフである。
【図3】(a)は、本発明による微細結晶型鉄基合金磁
石のための急冷合金を製造する方法に用いる装置の全体
構成例を示す断面図であり、(b)は急冷凝固が行われ
る部分の拡大図である。
【図4】実施例(試料No.1〜2)および比較例(試
料No.5)のDSC曲線を示すグラフである。
【符号の説明】
1b、2b、8b、および9b 雰囲気ガス供給口 1a、2a、8a、および9a ガス排気口 1 溶解室 2 急冷室 3 溶解炉 4 貯湯容器 5 出湯ノズル 6 ロート 7 回転冷却ロール 21 溶湯 22 合金薄帯
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01F 1/053 H02K 15/03 C H02K 15/03 H01F 1/04 H A Fターム(参考) 4K018 AA27 BA18 BB07 BC01 BD01 KA46 5E040 AA03 AA04 AA19 BD03 CA01 HB11 NN01 NN06 NN18 5H622 AA03 DD04 DD06 QA02 QA03

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成式がRx(100-x-y-l-m)yM1l
    m(at%)で表現され(R=La、Ce、Pr、N
    d、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、E
    r、Tm、Yb、およびLuからなる群から選択された
    2以上の元素、T=Fe、Co、およびNiからなる群
    から選択された少なくとも一つの元素、Q=BおよびC
    からなる群から選択された少なくとも一つの元素、M1
    =Cu、Ga、Si、Al、およびPbからなる群から
    選択された少なくとも一つの元素、M2=Nb、Mo、
    Ti、およびZrからなる群から選択された少なくとも
    一つの元素)、組成範囲を限定する記号x、y、l、m
    が以下の関係を満足し、 1≦x≦6、 15≦y≦25、 0.01≦l≦0.4、および 0.05≦m≦5、 少なくとも硬磁性相を含む2以上の結晶相が混在する鉄
    基永久磁石合金を製造する方法であって、 元素R、M1、およびM2の組み合わせと組成比率とを
    調節することによって、1つの結晶相の結晶化発熱温度
    を585℃〜615℃に制御するとともに、他の結晶相
    の結晶化発熱温度を610℃〜640℃に制御する鉄基
    永久磁石合金の製造方法。
  2. 【請求項2】 組成式が(Ndx-x'R’x')T
    (100-x-y-l-m)yM1lM2m(at%)で表現され
    (R’=Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、
    Er、Tm、Yb、およびLuからなる群から選択され
    た少なくとも一つの元素、T=Fe、Co、およびNi
    からなる群から選択された少なくとも一つの元素、Q=
    BおよびCからなる群から選択された少なくとも一つの
    元素、M1=Cu、Ga、Si、Al、およびPbから
    なる群から選択された少なくとも一つの元素、M2=N
    b、Mo、Ti、およびZrからなる群から選択された
    少なくとも一つの元素)、組成範囲を限定する記号x、
    x’、y、l、mが以下の関係を満足し、 1≦x≦6、 0<x’≦4.5、 15≦y≦25、 0.01≦l≦0.4、および 0.05≦m≦5、 少なくとも硬磁性相を含む2以上の結晶相が混在する鉄
    基永久磁石合金を製造する方法であって、 Ndの少なくとも一部をNdよりも原子番号の大きな希
    土類元素R’によって置換することによって前記各結晶
    相の結晶化発熱温度を上昇させ、それによって1つの結
    晶相の結晶化発熱温度を585℃〜615℃に制御する
    とともに、他の結晶相の結晶化発熱温度を610℃〜6
    40℃に制御する鉄基永久磁石合金の製造方法。
  3. 【請求項3】 組成式が(Ndx-x'R”x')T
    (100-x-y-l-m)yM1lM2m(at%)で表現され
    (R”=La、Ce、およびPrからなる群から選択さ
    れた少なくとも一つの元素、T=Fe、Co、およびN
    iからなる群から選択された少なくとも一つの元素、Q
    =BおよびCからなる群から選択された少なくとも一つ
    の元素、M1=Cu、Ga、Si、Al、およびPbか
    らなる群から選択された少なくとも一つの元素、M2=
    Nb、Mo、Ti、およびZrからなる群から選択され
    た少なくとも一つの元素)、組成範囲を限定する記号
    x、x’、y、l、mが以下の関係を満足し、 1≦x≦6、 0<x’≦4.5、 15≦y≦25、 0.01≦l≦0.4、および 0.05≦m≦5、 少なくとも硬磁性相を含む2以上の結晶相が混在する鉄
    基永久磁石合金を製造する方法であって、 Ndの少なくとも一部をNdよりも原子番号の小さな希
    土類元素R”によって置換することによって前記各結晶
    相の結晶化発熱温度を低下させ、それによって1つの結
    晶相の結晶化発熱温度を585℃〜615℃に制御する
    とともに、他の結晶相の結晶化発熱温度を610℃〜6
    40℃に制御する鉄基永久磁石合金の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記2以上の結晶相として鉄系硼化物相
    とR214B型化合物相とを含有し、 前記鉄系硼化物相の結晶化発熱温度をT1、前記R214
    B型化合物相の結晶化発熱温度をT2、Ndと置換され
    る希土類元素の原子番号をA、X’が0at%における
    前記鉄系硼化物相の結晶化発熱温度をT1(x'=0)、x’
    が0at%における前記R214B型化合物相の結晶化
    発熱温度をT2(x'=0)とした場合に、 T1=α1(A−60)+T1(x'=0) (0<α1≦1
    0) T2=α2(A−60)+T2(x'=0) (0<α2≦2
    0) を満足する請求項2または3に記載の鉄基永久磁石合金
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記2以上の結晶相として鉄系硼化物相
    とR214B型化合物相とを含有し、 前記鉄系硼化物相の結晶化発熱温度をT1、前記R214
    B型化合物相の結晶化発熱温度をT2、Ndと置換され
    るN個の希土類元素のうちのi番(1<i≦N)の元素
    の原子番号をAi、x’が0at%における前記鉄系硼
    化物相の結晶化発熱温度をT1(x'=0)、x’が0at%
    における前記R214B型化合物相の結晶化発熱温度を
    2(x'=0)とした場合に、 T1=Σαi1(Ai−60)+T1(x'=0) (0<α
    i1≦10) T2=Σαi2(Ai−60)+T2(x'=0) (0<α
    i2≦20) を満足する請求項2または3に記載の鉄基永久磁石合金
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 組成式が(Prx-x'R’x')T
    (100-x-y-l-m)yM1lM2m(at%)で表現され
    (R’=Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、
    Er、Tm、Yb、およびLuからなる群から選択され
    た少なくとも一つの元素、T=Fe、Co、およびNi
    からなる群から選択された少なくとも一つの元素、Q=
    BおよびCからなる群から選択された少なくとも一つの
    元素、M1=Cu、Ga、Si、Al、およびPbから
    なる群から選択された少なくとも一つの元素、M2=N
    b、Mo、Ti、およびZrからなる群から選択された
    少なくとも一つの元素)、組成範囲を限定する記号x、
    x’、y、l、mが以下の関係を満足し、 1≦x≦6、 0<x’≦4.5、 15≦y≦25、 0.01≦l≦0.4、および 0.05≦m≦5、 少なくとも硬磁性相を含む2以上の結晶相が混在する鉄
    基永久磁石合金を製造する方法であって、 Prの少なくとも一部をPrよりも原子番号の大きな希
    土類元素R’で置換することによって前記各結晶相の結
    晶化発熱温度を上昇させ、それによって1つの結晶相の
    結晶化発熱温度を585℃〜615℃に制御するととも
    に、他の結晶相の結晶化発熱温度を610℃〜640℃
    に制御する鉄基永久磁石合金の製造方法。
  7. 【請求項7】 組成式が(Prx-x'R”x')T
    (100-x-y-l-m)yM1lM2m(at%)で表現され
    (R”=LaおよびCeからなる群から選択された少な
    くとも一つの元素、T=Fe、Co、およびNiからな
    る群から選択された少なくとも一つの元素、Q=Bおよ
    びCからなる群から選択された少なくとも一つの元素、
    M1=Cu、Ga、Si、Al、およびPbからなる群
    から選択された少なくとも一つの元素、M2=Nb、M
    o、Ti、およびZrからなる群から選択された少なく
    とも一つの元素)、組成範囲を限定する記号x、x’、
    y、l、mが以下の関係を満足し、 1≦x≦6、 0<x’≦4.5、 15≦y≦25、 0.01≦l≦0.4、および 0.05≦m≦5、 少なくとも硬磁性相を含む2以上の結晶相が混在する鉄
    基永久磁石合金を製造する方法であって、 Prの少なくとも一部をPrよりも原子番号の小さな希
    土類元素R”で置換することによって前記各結晶相の結
    晶化発熱温度を低下させ、それによって1つの結晶相の
    結晶化発熱温度を585℃〜615℃に制御するととも
    に、他の結晶相の結晶化発熱温度を610℃〜640℃
    に制御する鉄基永久磁石合金の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記2以上の結晶相として鉄系硼化物相
    とR214B型化合物相とを含有し、 前記鉄系硼化物相の結晶化発熱温度をT1、前記R214
    B型化合物相の結晶化発熱温度をT2、Prと置換され
    る希土類元素の原子番号をA、x’が0at%における
    前記鉄系硼化物相の結晶化発熱温度をT1(x'=0)、x’
    が0at%における前記R214B型化合物相の結晶化
    発熱温度をT2(x'=0)とした場合に、 T1=α1(A−59)+T1(x'=0) (0<α1≦1
    0) T2=α2(A−59)+T2(x'=0) (0<α2≦2
    0) を満足する請求項6または7に記載の鉄基永久磁石合金
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記2以上の結晶相として鉄系硼化物相
    とR214B型化合物相とを含有し、 前記鉄系硼化物相の結晶化発熱温度をT1、前記R214
    B型化合物相の結晶化発熱温度をT2、Prと置換され
    るN個の希土類元素のうちのi番(1<i≦N)の元素
    の原子番号をAi、x’が0at%における前記鉄系硼
    化物相の結晶化発熱温度をT1(x'=0)、x’が0at%
    における前記R214B型化合物相の結晶化発熱温度を
    2(x'=0)とした場合に、 T1=Σαi1(Ai−59)+T1(x'=0) (0<α
    i1≦10) T2=Σαi2(Ai−59)+T2(x'=0) (0<α
    i2≦20) を満足する請求項6または7に記載の鉄基永久磁石合金
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 体積比率で90%以上がアモルファス
    組織である鉄基急冷凝固合金に対して結晶化のための熱
    処理を施すことによって硬磁気特性が発現しうる合金組
    織を形成する鉄基永久磁石合金の製造方法であって、 合金組成を構成する希土類元素R、添加元素M1、およ
    びM2の組み合わせ、ならびに含有濃度を変えることに
    よって前記急冷凝固合金の結晶化発熱温度を制御する鉄
    基永久磁石合金の製造方法。
  11. 【請求項11】 硬磁性相を含む2以上の準安定相を有
    する微細結晶型鉄基合金磁石を製造する方法であって、 希土類元素R(RはPrまたはNd)と、希土類元素R
    よりも原子番号の大きな希土類元素R’と、希土類元素
    Rよりも原子番号の小さな希土類元素R”とを含有する
    鉄基合金を用意する工程と、 前記鉄基合金の溶湯を急冷し、それによって、アモルフ
    ァス相が体積比率で全体の90%以上を占める急冷合金
    を作製する工程と、 前記急冷合金を加熱して、前記鉄基合金中で結晶成長を
    進行させる熱処理工程とを包含し、 希土類元素R、希土類元素R’、および希土類元素R”
    の組成比率を調節することによって、前記熱処理工程後
    における結晶粒径の平均が1nm以上50nm以下の微
    細組織を形成する鉄基永久磁石合金の製造方法。
  12. 【請求項12】 希土類元素R、希土類元素R’、およ
    び希土類元素R”の組成比率は、前記準安定相のうち最
    も結晶化発熱温度が低い相の結晶化発熱温度と最も結晶
    化発熱温度が高い相の結晶化発熱温度との差異を5℃以
    上25℃以下にするように調節されている請求項11に
    記載の鉄基永久磁石合金の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項1から12の何れかに記載の製
    造方法によって作製された鉄基永久磁石合金の粉末を用
    いて形成されたボンド磁石。
  14. 【請求項14】 請求項13に記載のボンド磁石を備え
    た回転機。
JP2000215414A 2000-07-17 2000-07-17 結晶化発熱温度制御による鉄基永久磁石合金の製造方法 Pending JP2002030378A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000215414A JP2002030378A (ja) 2000-07-17 2000-07-17 結晶化発熱温度制御による鉄基永久磁石合金の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000215414A JP2002030378A (ja) 2000-07-17 2000-07-17 結晶化発熱温度制御による鉄基永久磁石合金の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002030378A true JP2002030378A (ja) 2002-01-31

Family

ID=18710840

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000215414A Pending JP2002030378A (ja) 2000-07-17 2000-07-17 結晶化発熱温度制御による鉄基永久磁石合金の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002030378A (ja)

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102592775A (zh) * 2011-01-17 2012-07-18 三环瓦克华(北京)磁性器件有限公司 一种高性能钕铁硼烧结磁体及其制造方法
CN103632829A (zh) * 2012-08-20 2014-03-12 南通万宝实业有限公司 复合纳米晶钕铁硼磁条及其制造方法
CN103805827A (zh) * 2014-01-16 2014-05-21 宁波金科磁业有限公司 纳米非晶低钕复相钕铁硼的制作方法
CN103871701A (zh) * 2014-03-04 2014-06-18 南京信息工程大学 一种高剩磁镨铁磷永磁材料及制备方法
CN104332264A (zh) * 2014-10-13 2015-02-04 宁波尼兰德磁业有限公司 一种提高烧结钕铁硼磁体性能的方法
CN104575901A (zh) * 2014-11-26 2015-04-29 宁波格荣利磁业有限公司 一种添加铽粉的钕铁硼磁体及其制备方法
CN105023685A (zh) * 2014-04-15 2015-11-04 Tdk株式会社 磁铁粉末、粘结磁铁以及电动机
CN105070447A (zh) * 2015-08-23 2015-11-18 宁德市星宇科技有限公司 一种高性能含钬铸片磁体及其制备方法
CN103779064B (zh) * 2014-01-13 2016-02-03 宁波金科磁业有限公司 非晶态制备钕铁硼磁钢的方法
CN105702403A (zh) * 2016-01-18 2016-06-22 浙江东阳东磁稀土有限公司 一种烧结钕铁硼磁体及制备方法
CN106971801A (zh) * 2017-04-05 2017-07-21 东莞市嘉达磁电制品有限公司 一种加La做N45的钕铁硼配方及其加工方法
CN107564645A (zh) * 2017-08-30 2018-01-09 北京航空航天大学 一种具有低剩磁温度系数高温用钐钴永磁材料及制备方法
CN107858501A (zh) * 2016-10-09 2018-03-30 南通大学 一种去除残余应力洞的工件表面激光冲击工艺
CN111341513A (zh) * 2020-03-21 2020-06-26 余姚市宏伟磁材科技有限公司 一种高磁性能的钕铁硼磁体及其制备方法
CN111540557A (zh) * 2020-04-30 2020-08-14 福建省长汀金龙稀土有限公司 一种钕铁硼磁体材料、原料组合物及制备方法、应用
WO2021217890A1 (zh) * 2020-04-29 2021-11-04 南京公诚节能新材料研究院有限公司 一种用于稠油表面张力处理的合金材料及其应用方法
WO2021244315A1 (zh) * 2020-06-01 2021-12-09 厦门钨业股份有限公司 钕铁硼磁体材料、原料组合物及其制备方法和应用

Cited By (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102592775A (zh) * 2011-01-17 2012-07-18 三环瓦克华(北京)磁性器件有限公司 一种高性能钕铁硼烧结磁体及其制造方法
CN103632829A (zh) * 2012-08-20 2014-03-12 南通万宝实业有限公司 复合纳米晶钕铁硼磁条及其制造方法
CN103779064B (zh) * 2014-01-13 2016-02-03 宁波金科磁业有限公司 非晶态制备钕铁硼磁钢的方法
CN103805827A (zh) * 2014-01-16 2014-05-21 宁波金科磁业有限公司 纳米非晶低钕复相钕铁硼的制作方法
CN103871701A (zh) * 2014-03-04 2014-06-18 南京信息工程大学 一种高剩磁镨铁磷永磁材料及制备方法
CN103871701B (zh) * 2014-03-04 2016-02-24 南京信息工程大学 一种高剩磁镨铁磷永磁材料及制备方法
CN105023685A (zh) * 2014-04-15 2015-11-04 Tdk株式会社 磁铁粉末、粘结磁铁以及电动机
CN104332264A (zh) * 2014-10-13 2015-02-04 宁波尼兰德磁业有限公司 一种提高烧结钕铁硼磁体性能的方法
CN104575901A (zh) * 2014-11-26 2015-04-29 宁波格荣利磁业有限公司 一种添加铽粉的钕铁硼磁体及其制备方法
CN105070447A (zh) * 2015-08-23 2015-11-18 宁德市星宇科技有限公司 一种高性能含钬铸片磁体及其制备方法
CN105702403A (zh) * 2016-01-18 2016-06-22 浙江东阳东磁稀土有限公司 一种烧结钕铁硼磁体及制备方法
CN105702403B (zh) * 2016-01-18 2017-09-12 浙江东阳东磁稀土有限公司 一种烧结钕铁硼磁体及制备方法
CN107858501A (zh) * 2016-10-09 2018-03-30 南通大学 一种去除残余应力洞的工件表面激光冲击工艺
CN106971801A (zh) * 2017-04-05 2017-07-21 东莞市嘉达磁电制品有限公司 一种加La做N45的钕铁硼配方及其加工方法
CN107564645A (zh) * 2017-08-30 2018-01-09 北京航空航天大学 一种具有低剩磁温度系数高温用钐钴永磁材料及制备方法
CN111341513A (zh) * 2020-03-21 2020-06-26 余姚市宏伟磁材科技有限公司 一种高磁性能的钕铁硼磁体及其制备方法
WO2021217890A1 (zh) * 2020-04-29 2021-11-04 南京公诚节能新材料研究院有限公司 一种用于稠油表面张力处理的合金材料及其应用方法
CN111540557A (zh) * 2020-04-30 2020-08-14 福建省长汀金龙稀土有限公司 一种钕铁硼磁体材料、原料组合物及制备方法、应用
WO2021244315A1 (zh) * 2020-06-01 2021-12-09 厦门钨业股份有限公司 钕铁硼磁体材料、原料组合物及其制备方法和应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6695929B2 (en) Method of making material alloy for iron-based rare earth magnet
JP4023138B2 (ja) 鉄基希土類合金粉末および鉄基希土類合金粉末を含むコンパウンドならびにそれを用いた永久磁石
US7261781B2 (en) Nanocomposite magnet
JP4858497B2 (ja) 鉄基希土類系ナノコンポジット磁石粉末の製造方法
US7297213B2 (en) Permanent magnet including multiple ferromagnetic phases and method for producing the magnet
US7208097B2 (en) Iron-based rare earth alloy nanocomposite magnet and method for producing the same
JP4766045B2 (ja) 鉄基希土類系ナノコンポジット磁石およびその製造方法
JP2002030378A (ja) 結晶化発熱温度制御による鉄基永久磁石合金の製造方法
JP3365625B2 (ja) ナノコンポジット磁石粉末および磁石の製造方法
JP2003213331A (ja) Fe基軟磁性合金の製造方法及びFe基軟磁性合金
US20090129966A1 (en) Iron-based rare-earth-containing nanocomposite magnet and process for producing the same
JP3801456B2 (ja) 鉄基希土類系永久磁石合金およびその製造方法
JP4120253B2 (ja) ナノコンポジット磁石用急冷合金およびその製造方法
JP3264664B1 (ja) 複数の強磁性相を有する永久磁石およびその製造方法
JP2003286548A (ja) ナノコンポジット磁石用急冷合金およびその製造方法
JP3773484B2 (ja) ナノコンポジット磁石
JP4670179B2 (ja) 複数の強磁性相を有する永久磁石およびその製造方法
JP4457453B2 (ja) 微細結晶型鉄基合金磁石およびその製造方法
JP2002064009A (ja) 鉄基希土類合金磁石およびその製造方法
JP2007201102A (ja) 鉄基希土類永久磁石およびその製造方法
JP4715245B2 (ja) 鉄基希土類ナノコンポジット磁石およびその製造方法
JP3763774B2 (ja) 鉄基希土類合金磁石用急冷合金、及び鉄基希土類合金磁石の製造方法
JP4529198B2 (ja) 微量の希土類金属を含む鉄基永久磁石およびその製造方法
JP2001244107A (ja) 鉄基合金永久磁石粉末およびその製造方法
JP2000182814A (ja) ナノコンポジット磁石用原料合金の製造方法、ならびにナノコンポジット磁石粉末および磁石の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070118

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20070608

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081009

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081014

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081211

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090602

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20091027