JP2001511467A - ポリオルガノシロキサンを基とするバインダーを含む二酸化チタン粒子の分散体 - Google Patents

ポリオルガノシロキサンを基とするバインダーを含む二酸化チタン粒子の分散体

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、光触媒作用を有する二酸化チタンの粒子の分散体であって、液相が、少なくとも1種の架橋用触媒と、 ・次式(I): 【化1】 又は ・次式(II): 【化2】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、基材を処理するために用いることができる光触媒作用を有する二酸
化チタンの粒子の分散体に関する。
【0002】 二酸化チタンはその光触媒活性によって有機又は生物有機化学的分子の分解を
可能にするということが知られている。 この光触媒作用を有する二酸化チタンを支持体上に付着させると、この支持体
の表面は酸化性になり、そこに付着した汚れ、特に有機性の汚れは光酸化によっ
て分解される。この表面は自浄性であると言われる。
【0003】 基材の表面への二酸化チタンの付着は、二酸化チタン粒子の分散体から実現す
ることができる。半透明の表面を得るためには、小さい寸法、特にナノ粒子寸法
(nm規模の粒子寸法)を示す粒子の分散体を用いるのが好ましい。対照的に、
μm規模の寸法の二酸化チタンは白色表面を与える。 処理される表面は、ガラス、プラスチック、建築材料(モルタル、コンクリー
ト、テラコッタ)、セラミックス、石材、紙又は木材であることができる。
【0004】 これらの支持体上の二酸化チタンの付着物は、処理された表面がしかるべき場
所に配置され且つこの表面が時間がたっても自浄性を維持するようにするために
、支持体に強く接着しなければならない。また、粒子を支持体に接着させるため
のバインダーが二酸化チタン粒子の光触媒作用に対して敏感ではないことも必要
である。
【0005】 この目的で、粒子を基材に接着結合させるための様々なタイプのバインダーを
提供するいくつかの方法が実施されている。 第一の方法は、バインダーの前駆体を含む二酸化チタン粒子の分散体を基材上
に高温条件下で塗布することから成る。例えば二酸化チタン粒子とチタネート又
はシリケートタイプの有機金属バインダーとの分散体を用いることが提案されて
いる。この場合、この粒子はシリカ又は二酸化チタンのフィルムの形に保たれる
(この原理は、例えば国際公開第WO97/10185号パンフレットに開示さ
れている)。この無機バインダーは、光分解性ではないという利点を示す。 第二の方法は、有機バインダーを含む二酸化炭素粒子の分散体を基材上に低温
条件下で塗布することから成る。このバインダーは二酸化チタン粒子の光触媒特
性の作用下で分解してはいけないという問題がある。これを達成するために、例
えばシリコーンからバインダーを選択することが提案されている。 しかしながら、推奨されているシリコーンバインダーは光触媒作用を有する粒
子との接触の際に分解はしないものの、常に均質で固い接着性コーティングをも
たらすわけではないということが観察されている。得られたコーティングは単に
指で擦っただけで取り除かれてしまうということがたびたびある。
【0006】 従って、本発明の1つの目的は、低温条件下で基材表面に光触媒作用を有する
コーティングを形成させるのに用いることができる二酸化チタン粒子と非光分解
性バインダーとの分散体を提供することにある。 本発明の別目的は、用いた際に均質で固い接着性コーティングをもたらすかか
る分散体を提供することにある。
【0007】 これらの目的で、本発明は、光触媒作用を有する二酸化チタンの粒子の分散体
であって、その液相が少なくとも1種の架橋用触媒と、下に定義されるような式
(I):
【化3】 又は式(II):
【化4】 のいずれかの少なくとも1種のポリオルガノシロキサンとを含む、前記分散体に
関する。 これらの目的で、本発明はまた、基材を処理するためのこの分散体の使用にも
関する。
【0008】 本発明に従う分散体は、化学的に中性であり、この分散体が塗布される基材と
相互作用を起こさないという利点を示す。 この分散体はまた、安価なバインダーを用いるという利点をも示す。 さらに、この分散体は、ある使用条件下において、透明又は半透明コーティン
グをもたらすことができる。
【0009】 まず最初に、本発明は、光触媒作用を有する二酸化チタンの粒子の分散体であ
って、この分散体中の液相が、 ・次の平均式(I):
【化5】 {ここで、MはRii 3SiO1/2であり、 DはRii 2SiO2/2であり、 QはSiO4/2であり、 ここで、Riiは同一であっても異なっていてもよく、1〜8個の炭素原子を有
する直鎖状若しくは分枝鎖状アルキル基、又は6〜12個の炭素原子を有する置
換若しくは非置換アリール基、又はアリール基が6〜12個の炭素原子(これら
炭素原子は随意に1〜4個の炭素原子を有する直鎖状若しくは分枝鎖状アルキル
若しくはアルコキシ基で置換されていてもよい)を有するアルアルキル、アルキ
ルアリール、アリールオキシアルキル若しくはアルコキシアリール基(これらの
アルキル若しくはアルコキシ基は1〜4個の炭素原子を有し且つ直鎖状若しくは
分枝鎖状である)を表わし、 α、β及びδはそれぞれM、D及びQ単位の珪素原子のモル分率を表わし、 α+β+δは1であり、 αは0.10以下、好ましくは0.010以下であり、 βは0.85以下であり、 δは0.10以上であり、 Riは同一であっても異なっていてもよく、1〜4個の炭素原子を有するアル キル基を表わし、 εは珪素原子1個当たりのO1/2i単位の平均数を表わす}; 又は ・次の平均式(II):
【化6】 (ここで、M、D、Ri及びεは前記の意味を有し、 TはRiiSiO3/2であり、 ここで、Riiは前記と同じ意味を有し、 α、β及びγはそれぞれM、D及びT単位の珪素原子のモル分率を表わし、 α+β+γは1であり、 αは0.20以下、好ましくは0.010以下であり、 βは0.60以下であり、 γは0.30以上である) のいずれかの少なくとも1種のポリオルガノシロキサンを含む、前記分散体に関
する。
【0010】 分散体のポリオルガノシロキサンは、式(I)又は式(II)においてRiがエ チル又はメチル基であるものが好ましい。平均式なので、このポリオルガノシロ
キサンはシラノール末端基(Ri=H)を示すこともできるが、この末端基は全 末端基の20%より多くを占めないものとする。
【0011】 本発明の第一の好ましい態様に従えば、本発明に従う分散体は、式(II)にお
いて ・各単位T=RiiSiO3/2についてのRiiがメチルであり、 ・各単位D=Rii 2SiO2/2についての置換基Riiの一方がメチルであり且つ置
換基Riiのもう一方がオクチルであり、 ・βがせいぜい0.10の値を有し、 ・γが少なくとも0.70の値を有する ポリオルガノシロキサンを含む。
【0012】 本発明の第二の好ましい態様に従えば、本発明に従う分散体は、式(II)にお
いて ・各単位T=RiiSiO3/2についてのRiiがメチルであり、 ・各単位D=Rii 2SiO2/2についての2個の置換基Riiがメチルであり、 ・βがせいぜい0.30の値を有し、 ・γが少なくとも0.70の値を有する ポリオルガノシロキサンを含む。
【0013】 本発明の第三の好ましい態様に従えば、本発明に従う分散体は、式(II)にお
いて ・各単位T=RiiSiO3/2についてのRiiがプロピルであり、 ・各単位D=Rii 2SiO2/2について2個の置換基Riiがメチルであり、 ・βがせいぜい0.40の値を有し、 ・γが少なくとも0.40の値を有する ポリオルガノシロキサンを含む。
【0014】 本発明に従う分散体はまた、架橋用触媒をも含むこともできる。この架橋用触
媒は、有機チタン化合物(例えばチタン酸アルキル)又は有機錫化合物(例えば
ジアルキル錫ジカルボキシレート)から選択することができる。 チタン酸アルキルが好ましい。 この触媒の使用は、ガラス基材の処理に分散体を用いる際に推奨される。
【0015】 本発明に従う分散体の液相は、前記のポリオルガノシロキサンのみを含むこと
もでき、また、溶剤を含むこともできる。 本発明に従う分散体の液相の溶剤は、水性であっても有機性であってもよい。 この溶剤は、有機溶剤であるのが一般的である。溶剤は、用いるシリコーンポ
リマーについての溶剤、例えばD4(オクタメチルシクロテトラシロキサン)若
しくはその他の揮発性シロキサン、ホワイトスピリット、C1〜C8アルコール又
はアルカン若しくはシクロヘキサンのような脂肪族若しくは芳香族炭化水素から
選択することができる。 溶剤の選択は、ポリオルガノシロキサンとの適合性(相溶性)に従って行なわ
れる。かくして、最終コーティングの透明性を変えることができる。 特に半透明性又は透明性がより高いコーティングを得るためにコーティング中
の二酸化チタンの濃度を下げることが望まれる場合には、本発明に従う分散体に
溶剤を含ませるのが好ましい。
【0016】 本発明に従う分散体の光触媒作用を有する粒子は、せいぜい100nm、特に
10〜50nmの範囲の寸法を示す二酸化チタン粒子であるのが好ましい。この
直径は、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定される。 結晶相の性状は、大部分がアナターゼ結晶形であるのが好ましい。「大部分」
とは、二酸化チタン粒子中のアナターゼの割合が50重量%より高いことを意味
する。この粒子は、80%より高いアナターゼ含有率を示すのが好ましい。 結晶相の結晶度及び性状は、X線回折によって測定される。
【0017】 透明性がより高いコーティングを得るためには、単分散二酸化チタン粒子を用
いるのが好ましい。単分散とは、分散指数がせいぜい0.5、好ましくはせいぜ
い0.3である粒子を意味するものとする。この分散指数は、次の式によって与
えられるものである:
【数1】 (ここで、Φ84は全粒子の内の84重量%がΦ84値よりも小さい直径を有するこ
とになる粒子直径であり、 Φ16は全粒子の内の16重量%がΦ16値よりも小さい直径を有することになる
粒子直径であり、 Φ50は粒子の平均直径である) によって与えられる。 分散指数を決定する際に用いられる直径は、ブルックヘイブン(Brookhaven)
タイプのXDC装置を用いてX線によって監視される分散体の粒子の遠心沈降に
よって測定される。
【0018】 分散体の単分散粒子は、チタン塩の酸化又は高温熱分解ではなくて、いわゆる
溶液状での又は湿式経路による製造法(チタン塩の熱分解、熱加水分解又は沈殿
)から由来するものであるのが好ましい。これらは例えばヨーロッパ特許第03
35773号明細書に記載された方法によって得られた二酸化チタン粒子である
ことができる。
【0019】 この方法は特に、少なくとも1種のチタン化合物Aを、次の(i)〜(iv)か
ら選択される少なくとも1種の化合物Bの存在下で、且つ、せいぜい5nmの寸
法を示すアナターゼ二酸化チタン種結晶の存在下{(種結晶中に存在するTiO 2 )/(種結晶を導入する前に加水分解媒体中に存在するTiO2で表わしたチタ
ン)の重量比として0.01%〜3%の範囲の量}で、加水分解することから成
る製造方法であることができる: (i)・カルボキシル基1個並びにヒドロキシル及び(若しくは)アミン基少な
くとも2個 又は ・カルボキシル基少なくとも2個並びにヒドロキシル及び(若しくは)アミン基
少なくとも1個 を有する酸; (ii)下記の式の有機燐酸:
【化7】
【化8】
【化9】 (ここで、n及びmは1〜6の範囲の整数であり、 pは0〜5の範囲の整数であり、 R1、R2及びR3は同一であっても異なっていてもよく、ヒドロキシル、ア
ミノ、アルアルキル、アリール若しくはアルキル基又は水素を表わす); (iii)酸性媒体中で硫酸塩イオンを放出することができる化合物; (iv)前記の酸の塩。
【0020】 従って、この粒子の製造方法はいくつかの工程を含み、最初に、チタン化合物
A、前記の化合物B及び二酸化チタン種結晶を含む出発溶液を調製する工程を含
む。 この出発溶液は加水分解されることを予定されるものであり、完全に水性であ
るのが好ましい。別の溶剤、例えばアルコールを随意に添加することもできるが
、但しその場合には用いられるチタン化合物A及び化合物Bがこの混合物中に実
質的に可溶であることを条件とする。
【0021】 チタン化合物Aとしては、チタンのハロゲン化物、オキシハロゲン化物又はア
ルコキシド、硫酸塩及びより特定的には合成硫酸塩が用いるのが一般的である。 合成硫酸塩とは、非常に純粋な塩化チタン溶液からのイオン交換によって又は
硫酸とチタンアルコキシドとの反応によって製造される硫酸チタニル溶液を意味
するものとする。 この製造は、ハロゲン化又はオキシハロゲン化チタンタイプのチタン化合物を
用いて実施するのが好ましい。本発明においてより特定的に用いられるハロゲン
化又はオキシハロゲン化チタンは、弗化チタン、塩化チタン、臭化チタン及び沃
化チタン、並びにオキシ弗化チタン、オキシ塩化チタン、オキシ臭化チタン及び
オキシ沃化チタンである。 特に好ましい態様に従えば、チタン化合物はオキシ塩化チタンTiOCl2で ある。 加水分解されるべき溶液中に存在させるチタン化合物Aの量は臨界的ではない
【0022】 出発溶液はさらに前記の少なくとも1種の化合物Bを含む。本発明の範囲内に
入る化合物Bの非限定的な例としては、特に次のものを挙げることができる: ・ヒドロキシポリカルボン酸、より特定的にはヒドロキシジ−又はヒドロキシト
リカルボン酸(例えばクエン酸、マレイン酸及び酒石酸); ・(ポリヒドロキシ)モノカルボン酸(例えばグルコヘプタン酸及びグルコン酸
); ・ポリ(ヒドロキシカルボン)酸(例えば酒石酸); ・ジカルボキシアミノ酸及びその対応するアミド、例えばアスパラギン酸、アス
パラギン及びグルタミン酸; ・ヒドロキシル化された又はヒドロキシル化されていないモノカルボキシアミノ
酸、例えばリジン、セリン及びトレオニン; ・アミノトリ(メチレンホスホネート)、エチレンジアミノテトラ(メチレンホ
スホネート)、トリエチレンテトラアミノヘキサ(メチレンホスホネート)、テ
トラエチレンペンタアミノヘプタ(メチレンホスホネート)又はペンタエチレン
ヘキサアミノオクタ(メチレンホスホネート); ・メチレンジホスホネート、1,1−メチレンジホスホネート、1,2−エチレ
ンジホスホネート、1,1−プロピレンジホスホネート、1,3−プロピレンジ
ホスホネート、1,6−ヘキサメチレンジホスホネート、2,4−ジヒドロキシ
ペンタメチレン−2,4−ジホスホネート、2,5−ジヒドロキシヘキサメチレ
ン−2,5−ジホスホネート、2,3−ジヒドロキシブチレン−2,3−ジホス
ホネート、1−ヒドロキシベンジル−1,1−ジホスホネート、1−アミノエチ
レン−1,1−ジホスホネート、ヒドロキシメチレンジホスホネート、1−ヒド
ロキシエチレン−1,1−ジホスホネート、1−ヒドロキシプロピレン−1,1
−ジホスホネート、1−ヒドロキシブチレン−1,1−ジホスホネート又は1−
ヒドロキシヘキサメチレン−1,1−ジホスホネート。
【0023】 前記のように、前記の酸のすべての塩を化合物Bとして用いることもできる。
特に、これらの塩はアルカリ金属塩、より特定的にはナトリウム塩、又はアンモ
ニウム塩である。 これらの化合物はまた、硫酸及び硫酸アンモニウム又は硫酸カリウムから選択
することもできる。 前記の化合物Bは、脂肪族タイプの炭化水素部分を有する化合物であるのが好
ましい。この場合、炭化水素主鎖の長さは炭素原子数15個を越えないのが好ま
しく、炭素原子数10個を越えないのがより一層好ましい。 化合物Bの量は臨界的ではない。チタン化合物Aのモル濃度に対する化合物B
のモル濃度は、0.2〜10%の範囲にするのが一般的であり、1〜5%の範囲
にするのが好ましい。
【0024】 最後に、出発溶液は、特定的な態様で用いられる二酸化チタン種結晶を含む。 まず第一に、本発明において用いられる二酸化チタン種結晶は、X線回折によ
って測定してせいぜい5nmの寸法を示すものでなければならない。3〜5nm
の範囲の寸法を示す二酸化チタン種結晶を用いるのが好ましい。 次に、(種結晶中に存在する二酸化チタン)対(種結晶を導入する前に加水分
解媒体中に存在する(即ちチタン化合物Aによってもたらされる)TiO2で表 わしたチタン)の重量比は0.01〜3%の範囲にする。この比は、0.05〜
1.5%の範囲にすることができ、この範囲にするのが好ましい。粒子寸法は種
結晶の割合と関連するので、種結晶に関するこれら2つの条件(寸法及び重量比
)を一緒に前記の方法に適用することによって、二酸化チタン粒子の最終寸法を
正確に調節することが可能になる。かくして、5〜100nmの範囲の寸法の粒
子を得ることが可能になる。
【0025】 アナターゼの形の二酸化チタンの沈殿をもたらすためには、アナターゼの形の
二酸化チタン種結晶を用いる。一般的に、これらの種結晶は寸法が小さいので、
むしろ結晶度の低いアナターゼの形で存在する。これら種結晶は、二酸化チタン
から成る水性懸濁液の形で提供されるのが一般的である。これらは、既知の態様
でチタン塩を塩基で中和する方法によって得ることができる。
【0026】 次の工程は、この出発溶液を当業者に周知の任意の手段によって、一般的には
加熱することによって、加水分解することから成る。加熱による場合、70℃以
上の温度において加水分解を実施するのが好ましい。また、最初に媒体の沸騰温
度より低い温度において操作し、次に加水分解媒体を沸騰温度で安定段階に保つ
こともできる。 加水分解を実施したら、母液から沈殿した固体を分離することによって得られ
た二酸化チタン粒子を回収する。次いでこれらを水性液状媒体中に再分散させて
、二酸化チタン分散体を得る。この液状媒体は、酸性であっても塩基性であって
もよい。
【0027】 いわゆる溶液又は湿式経路沈殿法から得られた二酸化チタン粒子、特に約10
0℃の温度における加水分解を伴う前記の方法から得られた二酸化チタン粒子は
、多孔質であるため、その他の方法から得られた二酸化チタン粒子よりも低い屈
折率を示すということが観察された。この特性は、ガラス基材上にコーティング
を作るのに粒子を用いる場合に、得られるコーティングもまた低い屈折率を示す
ので、非常に有益である。屈折率が高い二酸化チタンの層は担体ガラスの光反射
の増加をもたらし、その結果その光透過性の低下をもたらすので、この光学的な
利点は非常に重要である。実際、ある種の用途、特に自動車に備え付けるための
ガラスの分野においては、高い光透過レベルを有することが必須である(フロン
トガラスについては、最低光透過率75%が必要である)。
【0028】 分散体の粒子は、少なくとも70m2/gのBET比表面積を示すのが好まし い。 BET比表面積とは、「ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサ
エティー(Journal of the American Chemical Society)」、第60巻、第30
9頁(1938年)に記載されたBrunauer-Emmett-Teller法から確立されたAS
TM法D3663−78に従って窒素吸着によって測定される比表面積を意味す
るものとする。分散体の形で提供される本発明に従う粒子の比表面積を測定する
ためには、分散体から液相を取り除き、次いで粒子を真空下で150℃の温度に
おいて少なくとも4時間乾燥させることから成る測定プロトコルに従うことが必
須である。
【0029】 分散体の粒子はまた、約2.4の相対密度をも示すのが好ましい。「約」とは
、相対密度が2.4±0.2であることを意味するものとする。かかる相対密度
値は、慣用のアナターゼ型二酸化チタンの相対密度の3.8と比較して低い。こ
の相対密度は、細孔容積の測定によって算定される。
【0030】 これらの比表面積及び相対密度の特徴は、いわゆる溶液又は湿式経路の製造方
法から得られた二酸化チタン粒子、特に約100℃の温度における加水分解を伴
う前記の方法から得られた二酸化チタン粒子について、得ることができる。
【0031】 本発明に従う分散体の粒子と前記ポリオルガノシロキサンとの間の割合は、用
途に応じて変化する。コンクリート上のコーティングとしての分散体の用途のた
めには、粒子の割合は、粒子とポリオルガノシロキサンとの混合物の重量の少な
くとも5重量%を占めるのが一般的である。他方、ガラス上のコーティングとし
ての分散体の用途のためには、粒子の割合は、粒子とポリオルガノシロキサンと
随意としての架橋用触媒との混合物の重量の少なくとも10重量%を占めるのが
一般的であり、少なくとも50重量%を占めるのが好ましく、最大で90重量%
を占めるのが一般的である。 本発明に従う分散体の溶剤は、二酸化チタン粒子としての固体含有率が少なく
とも0.5重量%となるような量で存在させるのが一般的である。 架橋用触媒を分散体中に存在させる場合、この架橋用触媒の量は、ポリオルガ
ノシロキサンと触媒との混合物の重量に対して少なくとも5重量%にするのが一
般的であり、最大で50重量%にするのが好ましい。
【0032】 本発明はまた、前記の製造方法にも関し、この方法は、単に前記二酸化チタン
粒子と前記ポリオルガノシロキサンとを混合することから成る。
【0033】 分散体中に用いることができるポリオルガノシロキサンは、周知のものであり
、商品として入手できる。
【0034】 二酸化チタン粒子もまた商品として得ることができる。これらは様々な形で提
供されることができる。 これらは、まず第一にローヌ−プーラン(Rhone-Poulenc)社から「S5−3 00」の名で販売されているもののような二酸化チタン粒子の水性分散液、又は
前記のヨーロッパ特許第0335773号明細書に開示された方法に従って得ら
れる分散液であることができる。
【0035】 塩基性の水性分散液は酸性の水性分散液よりも透明度が高いコーティングを与
える分散体をもたらすことが観察されたので、塩基性の水性分散液を用いるのが
好ましい。ガラス上に塗布する場合、塗布の前にガラスをNaOHで活性化させ
れば、この差を低減させることができる。
【0036】 これらはまた、二酸化チタン粒子の有機分散液であることもできる。これらは
、二酸化チタン粒子の水性分散液から製造することができ、相間移動は、例えば
次の方法の内の1つに従って実施される: ・アセトン又は所望の溶剤を用いて遠心分離によって洗浄し、有機溶剤中に再分
散させる; ・水と溶剤との混合物が不混和性であり且つ共沸混合物を形成する場合には、水
/溶剤混合物を共沸蒸留する; ・溶剤が水と混和性であり且つ水の沸点より高い沸点を有する場合には、回転式
蒸発器を用いて水を蒸発させる; ・粒子が負に荷電している場合には、水性分散液をカチオン性移動剤(この移動
剤は特に第四級アミン若しくは第四級アンモニウム塩から選択することができる
)を含む有機媒体と混合し、又は粒子が正に荷電している場合には、水性分散液
をアニオン性移動剤(この移動剤は特に第四級アミン若しくは第四級アンモニウ
ム塩から選択することができる)を含む有機媒体と混合する(この方法は、より
特定的には英国特許第988330号明細書に記載されている)。
【0037】 二酸化チタンの粉体を用いることもできる。かかる粉体は商品として入手でき
、ロディア・シミー(Rhodia Chimie)社によって販売されているG5又はDT 51D粉体を挙げることができる。粉体はまた、前記の水性分散液を噴霧するこ
とによって得ることもできる。 特に透明な表面処理を得ることが望まれる場合には、粉体は透明度が低下した
コーティングをもたらすのが一般的であるので、本発明に従う分散体は、分散液
の形の粒子から製造するのが好ましい。
【0038】 本発明はまた、基材の表面の処理に前記の分散体を用いることにも関する。 ポリオルガノシロキサンは、粒子を基材に結合させるためのバインダーとして
の働きをする。 基材は、様々な種類のものであることができ、例えばガラス、ポリマー(プラ
スチック)、建築材料(例えばモルタル、コンクリート若しくはテラコッタ)、
セラミックス、石材、木材、金属又は紙であることができる。
【0039】 アルカリ性基材の処理、特にコンクリートの処理の場合には、前記の第三の態
様に規定した分散体、即ち式(II)において ・各単位T=RiiSiO3/2についてのRiiがプロピルであり、 ・各単位D=Rii 2SiO2/2について2個の置換基Riiがメチルであり、 ・βがせいぜい0.40の値を有し、 ・γが少なくとも0.40の値を有する 少なくとも1種のポリオルガノシロキサンを含むものを用いるのが好ましい。
【0040】 ポリオルガノシロキサンが例えば基材の保護(撥水性等)のような固有の特性
を示す場合に、二酸化チタン粒子と混合されてもそれらの特性が変わらないこと
が観察された。これは例えば第三の好ましい態様のポリオルガノシロキサンを用
いたコーティングの場合のことであり、このポリオルガノシロキサンは、アルカ
リ性基材にしっかり接着したコーティングであってさらにこのタイプのポリオル
ガノシロキサンバインダー特有の撥水特性をも提供するコーティングを得ること
を可能にする。
【0041】 塗布は、任意の慣用の方法、例えばローラー、ブラシ、スプレーガン、スプレ
ーを用いて実施することができる。
【0042】 以下、実施例によって本発明を例示するが、これら実施例は本発明の範囲を限
定するものではない。
【0043】 実施例 例1:式(I)のポリオルガノシロキサンの調製 碇形撹拌機を備えた容量2リットルのジャケット付き円筒形ガラス反応器に、
オルト珪酸メチル4モル(609g)、オクタメチルシクロテトラシロキサン3
モル(890g)、水酸化カリウム39%を含む水酸化カリウム水溶液1.6g
及び水72gを入れる。この全体を70℃に加熱し、70±3℃において温度安
定段階を6時間保つ。この反応混合物を次いで冷却し、次いで30重量%水溶液
としての塩酸0.41gを添加する。この反応混合物を最後に濾過助剤(Clarce
l)の存在下で濾過する。
【0044】 シリコーンオイル1247gが得られた。このオイルは、1.32mm2/秒 の動粘度及び次の平均式(29Si−NMRによって測定)を有していた。
【化10】
【0045】 例2:式(II)のポリオルガノシロキサンの調製 2リットルの反応器にジメチルジクロルシラン3.5モル及びプロピルトリク
ロルシラン3.5モルを装入する。温度を60℃にし、次いでエタノールと水と
の混合物(エタノール6.12モル/水6.6モル)を2時間かけて撹拌し且つ
80℃に加熱しながら流し込む。次いで酸性のエタノールを120℃において1
時間50分の蒸留によって除去する。 次いでエタノール166g及び水5.7g(所望の粘度に調節するため)で洗
浄することによって残留塩素を除去し、次いで120℃において1時間5分蒸留
を実施する。100℃に冷まし、重炭酸ナトリウム(11.1g)を用いて10
0℃において1時間中和を実施する。濾過の後に、樹脂515gが得られた。
【0046】 この樹脂は、25℃において87.7mm2/秒の動粘度を有していた。 29Si−NMRによれば、このポリオルガノシロキサンの平均式は次の通りだ
った。
【化11】
【0047】 例3:式(II)のポリオルガノシロキサンの調製 還流凝縮器を備え、櫂形撹拌機で撹拌される窒素下の不活性な丸底ガラスフラ
スコに、無水エタノール282g及びカリウムシラノラート(水性水酸化カリウ
ム、オクタメチルシクロテトラシロキサン及びヘキサメチルジシロキサンを反応
させることによって得られ、Rhodorsil Cata 104という名前で知られているもの
)0.30gを装入する。この触媒は、12%水酸化カリウム溶液と同じくらい
のモル数のシラノラートを含む。この全体を65℃に加熱し、次いで平均重合度
50のトリメチルシリル末端基含有ポリメチルヒドロシロキサン流の導入を開始
する。4時間30分かけてこのポリマー200gを流し込む。温度が75℃に上
昇する。ポリメチルヒドロシロキサンを流し込み終えた後に、この温度を3時間
保つ。全体を冷却した後に、Solution 110{ローヌ−プーラン・シリコーンズ(
Rhone-Poulenc Silicones)社製の燐酸のシリル化エステル}0.59gを用い て中和を実施する。次いで回転式蒸発器を用いて5mmHg下で70℃において
蒸発を実施する。
【0048】 ポリマー294gが回収された。このポリマーは、25℃において30mm2 /秒の動粘度を有していた。 29Si−NMRによれば、このポリオルガノシロキサンの平均式は次の通りだ
った。
【化12】
【0049】 例4:対照用ポリオルガノシロキサンの調製 機械式撹拌機、温度計及び滴下漏斗を備えた500ミリリットル三つ口丸底フ
ラスコに、前もって3Åのモレキュラーシーブを用いて乾燥させたエタノール3
00ミリリットル及びKarstedt触媒(ヘキサン中10%)10マイクロリットル
を窒素雰囲気下で装入する。この混合物を65℃において撹拌し、ポリメチルヒ
ドロシロキサン(平均重合度DPn=50)40gの滴下を開始する。かなりの 量の水素の発生が観察される。Si−H流体流し込み速度を調節して、水素流量
及び反応の発熱を制御する。ポリメチルヒドロシロキサンを流し込み終えた後に
、混合物を1時間撹拌する。
【0050】 次いで、1−オクテン36gを滴下により流し込む。添加後に、Si−H官能
基が全部消費されるまで反応混合物を60℃に加熱する。次いで、過剰分のアル
コール及びオクテンを蒸発させる。透明で僅かに着色したオイル80gが回収さ
れた。29Si−NMRにより、次の構造が明らかにされた。
【化13】
【0051】 例5:二酸化チタン粒子の塩基性水性分散液の調製 ヨーロッパ特許第0335773号明細書の教示に従って、種結晶の存在下で
二酸化チタンナノ粒子の水性分散液を調製する。 1.9モル/kgオキシ塩化チタン溶液A394.7gに、以下のものを順次
添加する: ・36%HCl 42.02g ・クエン酸 4.73g ・精製水 547.1g ・分散アナターゼ種結晶(TiO2力価10g/kg、寸法5〜6nm) 11 .36g(溶液Aのチタンに対してTiO2として表わして0.2重量%)(温 度が75℃に達した時に添加)。この温度を2時間維持する。 この混合物を沸点にし(0.8℃/分)、その温度に3時間保つ。 次いでこの溶液をデカンテーションし、再びスラリーにし、中和してpH6に
し、塩化物及びNa+イオンが取り除かれるまで洗浄する。
【0052】 次いで粒子をNaOHと共に再分散させて、pH9及び固体含有率約12%に
する。 TEMによって測定した寸法は45nmだった。XDC分析は、凝集物のない
単一集団(即ち単分散であること)を示し、分散指数が0.2だった。 X線分析は、粒子の80重量%がアナターゼTiO2形にあることを示した。 これら粒子は多孔質であり、相対密度は2.54g/ccだった。
【0053】 例6:二酸化チタン粒子の塩基性水性分散液の調製 ヨーロッパ特許第0335773号明細書の教示に従って、種結晶の存在下で
二酸化チタンナノ粒子の水性分散液を調製する。 1.9モル/kgオキシ塩化チタン溶液A394.7gに、以下のものを順次
添加する: ・36%HCl 42.02g; ・クエン酸 4.73g; ・精製水 501.7g; ・分散アナターゼ種結晶(TiO2力価10g/kg、寸法5〜6nm) 56 .8g(溶液Aのチタンに対してTiO2として表わして1重量%)(温度が7 5℃に達した時に添加)。この温度を2時間維持する。 この混合物を沸点にし(0.8℃/分)、その温度に3時間保つ。 次いでこの溶液をデカンテーションし、再びスラリーにし、中和してpH6に
し、塩化物及びNa+イオンが取り除かれるまで洗浄する。
【0054】 次いで粒子をNaOHと共に再分散させて、pH9及び固体含有率約12%に
する。 TEMによって測定した寸法は25nmだった。 X線分析は、粒子の80重量%がアナターゼTiO2形にあることを示した。
【0055】 例7:二酸化チタン粒子の有機分散液の調製 例5の分散液の固体含有率を10%に低下させたもの200gを丸底フラスコ
に導入する。前もってイソステアリン酸15gを添加しておいたオクタメチルシ
クロテトラシロキサン(D4)180gを添加する。次いでVigreuxカラムを用 いて蒸留を実施するために加熱を実施する。水/D4組成が約40/60である
共沸混合物が97℃において蒸留される。D4は丸底フラスコに回収する。3時
間後に、D4中のTiO2の懸濁液(固体含有率10%)が得られた。
【0056】 例8:二酸化チタン粒子とポリオルガノシロキサンバインダーとの分散体の合成 例1〜4のポリオルガノシロキサン及び例5〜7の二酸化チタン分散液又は市
販のS5−300二酸化チタン分散液から、分散体を製造する。
【0057】8.1.分散体1(比較例) 酸性S5−300分散液(HNO3、pH=1)を用いる。XDC分析は、こ の粒子が凝集物のない単一集団(単分散)粒子であり、それらの分散指数が0.
41であることを示した。TEMによる粒子寸法の測定は45nmを与えた。そ
れらのBET比表面積(前記のプロトコルに従って測定)は250m2/gより 大きかった。X線分析によって測定した結晶構造はアナターゼだった。
【0058】 この分散液の固体含有率10%に低下させたものを例4のポリオルガノシロキ
サンと、二酸化チタン82.4重量%及びポリオルガノシロキサン17.6重量
%の割合で混合する。 次いでこの混合物をガラス基材上に塗布する。 塗布は、前もってアセトンで洗浄して次いで空気中で乾燥させておいたガラス
板上にブラシを用いて実施する。このコーティングを次いで空気中で放置して乾
燥させる。 得られたフィルムは不均質であり、白色であり、非接着性だった。これは単に
ガラス板上で指を動かすことによって取り除かれた。
【0059】8.2.分散体2(本発明に従う) 前記のS5−300分散液の固体含有率を10%に低下させたものを、例1の
ポリオルガノシロキサンを基とする下記のものを含む混合物M1と混合する: ・例1のポリオルガノシロキサン 5重量%; ・ポリ(プロピルシリケート) 5重量%; ・チタン酸ブチル 1重量%; ・ガソリンE(Petrol E) 89重量%。
【0060】 ポリ(プロピルシリケート)とは、HClを用いてオルト珪酸プロピルを酸加
水分解し、次いで重硫酸ナトリウムで中和し、濾過することによって製造される
、平均式(SiO2)(O1/2n−Pr)2.04のポリ(プロピルシリケート)を意
味するものとする。これはバインダーである。 ガソリンEは、常圧において96〜113℃の範囲の沸点を有する脂肪族炭化
水素から成る画分である。
【0061】 S5−300分散液と混合物M1とは、二酸化チタン20.1重量%及び例1
のポリオルガノシロキサンとチタン酸ブチルとの合計79.9重量%の割合で混
合する。 得られた混合物を次いでイソプロピルアルコールで希釈して、二酸化チタン1
.3重量%の固体含有率を示す分散体を得る。 分散体1についてと同様にガラス板上への塗布を実施する。 得られたフィルムは均質であり、半透明であり、しかし僅かにオフホワイト色
であり、固かった(1週間での鉛筆硬度は5Hだった)。
【0062】8.3.分散体3(本発明に従う) 例6の塩基性二酸化チタン分散液を用いる。 この分散液を前記の混合物M1と混合する。 分散液と混合物M1とは、二酸化チタン20.1重量%及び例1のポリオルガ
ノシロキサンとチタン酸ブチルとの合計79.9重量%の割合で混合する。 得られた混合物を次いでイソプロピルアルコールで希釈して、二酸化チタン0
.75重量%の固体含有率を示す分散体を得る。
【0063】 前記のようにガラス板上への塗布を実施する。 得られたフィルムは均質であり、半透明だった(これを通して読み取ることが
可能だった)。1週間での鉛筆硬度は7Hだった。
【0064】 このフィルムの光触媒活性を測定した。光酸化試験は、本発明に従って処理さ
れたガラスと接触させたイソブタンガスの分解を監視することから成る。 これを行なうためには、被検ガラスと、反応器の総容積の20%に等しい量の
イソブタンとを反応器に導入する。試験装置は、300〜400nmの範囲で最
大発光を示す1〜6個の低圧UVA(長波長紫外線)ランプと、その周りを回る
ターンテーブルとから成る。評価されるべきガラスを含ませた反応器をターンテ
ーブルに置く。ガラスの評価されるべき面がUVA放射線側に向くようにする。
それらの位置及び点灯したランプの数に応じて、それぞれのガラスは30W/m 2 までの範囲のUVA照射を受ける。8〜22時間照射を続ける。次いでガスク ロマトグラフィーを用いてO2の量を監視することによってイソブタンの光分解 の進行を定量的に測定する。この進行は、O2消失速度定数(モル/時間/cm2 )を用いて表わされる。
【0065】 空気のみの存在下においてポリオルガノシロキサンに対してこの試験を実施し
た場合にはO2の消費は何ら示されず、この樹脂はUVA放射線下で分解しなか った。 TiO2及び空気の存在下において樹脂に対してこの試験を実施した場合にも 依然としてO2の消費は示されず、樹脂はUVA放射線下で光分解しなかった。 イソブタン及び空気の存在下では、樹脂及びTiO2を含む板は17時間にわ たって1〜1.5%のO2の消費を示した。これは板の光触媒活性を反映する。
【0066】8.4.分散体4(本発明に従う) 例6の粒子の分散液を、例3のポリオルガノシロキサンを基とする下記のもの
を含む混合物M2と混合する: ・例3のポリオルガノシロキサン 7重量%; ・チタン酸ブチル 5重量%; ・ヘキサメチルジシロキサン 88重量%。
【0067】 例6の分散液と混合物M2とは、二酸化チタン15重量%及び例3のポリオル
ガノシロキサンとチタン酸ブチルとの合計85重量%の割合で混合する。 前記のようにしてガラス板上への塗布を実施する。 得られたフィルムは均質であり、半透明(これを通して読み取ることが可能)
であり、固かった。
【0068】8.5.分散体5(本発明に従う) 例7の二酸化チタン分散液を用いる。 石油エーテル中に8重量%に希釈した例2のポリオルガノシロキサン及び全体
に対して1重量%のTiO2を含む本発明に従う分散体を製造する。 この分散体を、固体含有率1重量%の例7の二酸化チタン分散液を200g/
2の割合で前もって吹き付けておいたコンクリートスラブ上に、これもまた2 00g/m2の割合で吹き付ける。
【0069】 得られたフィルムは均質であり、接着性だった。コンクリートの色はフィルム
によって悪影響を受けなかった。 コーティングはポリオルガノシロキサン単独のものと同等の撥水特性を示すこ
とが観察された。コンクリートの吸水性は、本発明に従う分散体で処理したもの
は、ポリオルガノシロキサン単独でコンクリートを処理した場合と同じくらい低
かった。
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Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光触媒作用を有する二酸化チタンの粒子の分散体であって、
    液相が、 ・次の平均式(I): 【化1】 {ここで、MはRii 3SiO1/2であり、 DはRii 2SiO2/2であり、 QはSiO4/2であり、 ここで、Riiは同一であっても異なっていてもよく、1〜8個の炭素原子を有
    する直鎖状若しくは分枝鎖状アルキル基、又は6〜12個の炭素原子を有する置
    換若しくは非置換アリール基、又はアリール基が6〜12個の炭素原子を有する
    アルアルキル、アルキルアリール、アリールオキシアルキル若しくはアルコキシ
    アリール基(ここで、アルキル若しくはアルコキシ基は1〜4個の炭素原子を有
    し且つ直鎖状若しくは分枝鎖状であり、アリール基の炭素原子は随意に1〜4個
    の炭素原子を有する直鎖状若しくは分枝鎖状アルキル若しくはアルコキシ基で置
    換されていてもよい)を表わし、 α、β及びδはそれぞれM、D及びQ単位の珪素原子のモル分率を表わし、 α+β+δは1であり、 αは0.10以下であり、 βは0.85以下であり、 δは0.10以上であり、 Riは同一であっても異なっていてもよく、1〜4個の炭素原子を有するアル キル基を表わし、 εは珪素原子1個当たりのO1/2i単位の平均数を表わす}; 又は ・次の平均式(II): 【化2】 (ここで、M、D、Ri及びεは前記の意味を有し、 TはRiiSiO3/2であり、 ここで、Riiは前記と同じ意味を有し、 α、β及びγはそれぞれM、D及びT単位の珪素原子のモル分率を表わし、 α+β+γは1であり、 αは0.20以下であり、 βは0.60以下であり、 γは0.30以上である) のいずれかの少なくとも1種のポリオルガノシロキサンを含むことを特徴とする
    、前記分散体。
  2. 【請求項2】 前記ポリオルガノシロキサンが式(I)又は式(II)におい
    てRiがエチル又はメチル基であるものであることを特徴とする、請求項1記載 の分散体。
  3. 【請求項3】 前記ポリオルガノシロキサンが式(II)を有し、 各単位Tが式RiiSiO3/2においてRiiがメチルであるものであり、 各単位Dが式Rii 2SiO2/2において置換基Riiの一方がメチルであり且つ置
    換基Riiのもう一方がオクチルであるものであり、 βがせいぜい0.10の値を有し、 γが少なくとも0.70の値を有する ことを特徴とする、請求項1又は2記載の分散体。
  4. 【請求項4】 前記ポリオルガノシロキサンが式(II)を有し、 各単位Tが式RiiSiO3/2においてRiiがメチルであるものであり、 各単位Dが式Rii 2SiO2/2において2個の置換基Riiがメチルであるもので
    あり、 βがせいぜい0.30の値を有し、 γが少なくとも0.70の値を有する ことを特徴とする、請求項1又は2記載の分散体。
  5. 【請求項5】 前記ポリオルガノシロキサンが式(II)を有し、 各単位Tが式RiiSiO3/2においてRiiがプロピルであるものであり、 各単位Dが式Rii 2SiO2/2において2個の置換基Riiがメチルであるもので
    あり、 βがせいぜい0.40の値を有し、 γが少なくとも0.40の値を有する ことを特徴とする、請求項1又は2記載の分散体。
  6. 【請求項6】 前記液相が架橋用触媒を含むことを特徴とする、請求項1〜
    5のいずれかに記載の分散体。
  7. 【請求項7】 前記架橋用触媒が有機チタン化合物又は有機錫化合物から選
    択されることを特徴とする、請求項6記載の分散体。
  8. 【請求項8】 前記液相がシリコーンポリマーについての溶剤から選択され
    る有機溶剤を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の分散体。
  9. 【請求項9】 前記粒子がせいぜい100nmの寸法を示す二酸化チタン粒
    子であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の分散体。
  10. 【請求項10】 前記粒子と前記ポリオルガノシロキサンとの間の割合が、
    粒子が粒子とポリオルガノシロキサンとの混合物の重量の少なくとも5重量%を
    占めるようなものであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の分
    散体。
  11. 【請求項11】 ポリオルガノシロキサンと触媒との混合物に対して少なく
    とも5重量%の量で架橋用触媒を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいず
    れかに記載の分散体。
  12. 【請求項12】 前記二酸化チタン粒子と前記ポリオルガノシロキサンとを
    混合することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の分散体の製造方
    法。
  13. 【請求項13】 基材の表面の処理に用いるための、請求項1〜11のいず
    れかに記載の分散体。
  14. 【請求項14】 アルカリ性基材の表面の処理に用いるための、請求項5記
    載の分散体。
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