JP2000245275A - 養液栽培方法及び定植部材 - Google Patents

養液栽培方法及び定植部材

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JP2000245275A
JP2000245275A JP11047666A JP4766699A JP2000245275A JP 2000245275 A JP2000245275 A JP 2000245275A JP 11047666 A JP11047666 A JP 11047666A JP 4766699 A JP4766699 A JP 4766699A JP 2000245275 A JP2000245275 A JP 2000245275A
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nutrient solution
planting member
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crop
water retention
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Shingo Okumura
真吾 奥村
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Toto Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 作物の均一で健康的な成育を実現する養液栽
培方法と、同方法の実施に使用する定植部材を提供す
る。 【解決手段】 一定量の養液を収容した液槽の上部に栽
培棚をほぼ水平に設け、前記栽培棚に作物の定植部材を
取り付け、前記定植部材の作物が養液を吸収可能にして
作物の栽培を行う方法において、前記定植部材に、定植
された作物の根部外周を包囲し、且つ養液中へ一定の深
さ浸漬するスカート状の保水シートを設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、主として一定量
の養液を収容した液槽の上部に栽培棚をほぼ水平に設
け、同栽培棚に作物の定植部材を取り付け、前記定植部
材の作物が養液を吸収可能にした状態で作物の栽培を行
う養液栽培技術の分野に属し、更に云えば、作物の均一
で健康的な成育を実現する養液栽培方法と、同方法の実
施に使用する定植部材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、土を使用せずに、作物を養液で栽
培する技術は種々の方式が開発され、実施されている。
例えば三つ葉、ほうれん草など背があまり高くない作物
のほか、トマト、キューリなど背の高い作物でも養液栽
培が行われている。
【0003】図3に示した従来例は、液槽1に収容した
養液2の液面上に、メッシュ構造の栽培棚3をフロート
4を利用して浮かべ、同栽培棚3へ定着したウレタンス
ポンジのような定植部材5に、三つ葉、ほうれん草のよ
うに背があまり高くない作物6を植えて栽培する方法、
装置である。これは通例養液を一定方向へ流す流水方式
に多い構造である。この養液栽培方法及び装置の場合、
作物6の湿気中根の繁茂はあまり期待できない。わずか
に栽培棚3の上側に湿気中根がヒゲのように見える程度
である。液面上に浮かべた栽培棚3は養液の液面と共に
揺れ動き易く、作物の液中に漬かった水中根11の成
育、或いは棚上部分の茎、葉の立ち姿の不安定な栽培環
境となることを否めない。
【0004】一方、図4に示した従来例は、作物6を手
入れする姿勢に無理のない高さに構築した支持具7へ液
槽1を吊り支持せしめ、該液槽1の蓋を兼ねる栽培棚3
へ作物6を植え付ける養液栽培方法、装置である(例え
ば特開平8−294335号公報記載の発明など参
照)。この栽培方法及び装置の場合は、液槽1へ当初満
杯状態に収容した養液2の液面Wが時間の経過と共に次
第に下がって栽培棚3の下側に液面上の空間9が発生し
拡大することを予定する。作物6の根は、前記空間9内
で繁茂する湿気中根10と、常時養液2の中に浸漬した
状態で成長する水中根11との2種類を生じさせ、作物
6の健康的な成育を促進する。これは所謂滞水式と呼ば
れる構造である。但し、同様な構造の装置であっても、
適時に養液2をある程度のレベルまで補給する栽培方法
も実施される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来、各種作物の養液
栽培技術の研究により、湿気中根の存在と働きの重要性
が認識されている。湿気中根が繁茂すると、これが空気
中の酸素を吸収するため、たとえ水中根が養液中の溶存
酸素を吸収できなくとも養液中の酸素の欠乏による酸欠
状態を招かない。よって、曝気による養液中への酸素補
給が不要であり、それでも作物6の根の傷み、葉の黄ば
み等の弊害は見られず、作物6は健康的に育つことが確
認されている。
【0006】上記の観点によれば、図4に示した栽培方
法及び養液栽培装置は、栽培棚3の下側に発生する液面
上の空間9が湿気中根10の繁茂を促進することが十分
理解され、且つそれなりの栽培成果を上げている。実際
に、湿気中根10は空間9内において綿のように多く増
殖することが確認されている。
【0007】ところが、図4に示した栽培方法及び養液
栽培装置を通常の実用規模で実施した場合、同じ液槽に
おいてさえも、作物6(植物)の成育状態にかなりのバ
ラツキが発生し、収穫量ないし品質に問題のあることが
判明した。
【0008】その原因を種々検討した結果、次のような
事実が注目された。
【0009】栽培の当初、定植部材はその低部を通例1
cm程度の深さ養液面下に浸漬させる。ところが、栽培
棚の設置状態、又は液槽の設置状態に若干の角度でも傾
斜を生じていると、その栽培棚へ取り付けた定植部材に
関しては、前記傾斜の高い方の場所と低い方の場所では
定植部材の低部が養液面下に浸漬する深さに大きな差を
生じ、それが栽培期間中ずっと継続する。高い場所の定
植部材は液面中に浸漬していないか又は浸漬していても
極めて浅い場合がある。逆に、低い場所の定植部材は、
その低部が液面中へ深く浸漬し過ぎている場合もある。
前者の作物は栽培当初の大事な時期に養液の吸い上げが
不足しがちとなり、発育不良をきたし易い。逆に後者の
作物は、養液中に長く漬かり過ぎて、結局、湿気中根の
発育が不十分となり、やはり発育不全を生じ易いと考え
られる。
【0010】その他、定植部材の栽培棚への取付け状態
の不均一によっても、前記した作物の発育不良ないし発
育不全の結果を招来することが考えられる。
【0011】従って、本発明の目的は、液槽の設置状
態、栽培棚の設置状態に多少の傾きを生じたり、又は定
植部材の栽培棚への取付け状態に多少の不均一が生じて
も、そうした事由による作物の成育状態と品質のバラツ
キ、ひいては収穫量の変動を未然に確実に防止できるよ
うに改良した養液栽培方法、及び同方法の実施に使用す
る定植部材を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの手段として、請求項1記載の発明に係る養液栽培方
法は、一定量の養液を収容した液槽の上部に栽培棚をほ
ぼ水平に設け、前記栽培棚に作物の定植部材を取り付
け、前記定植部材の作物が養液を吸収可能にして作物の
栽培を行う方法において、前記定植部材に、定植された
作物の根部外周を包囲し、且つ養液中へ一定の深さ浸漬
するスカート状の保水シートを設けることを特徴とす
る。
【0013】請求項2に記載した発明に係る養液栽培用
の定植部材は、一定量の養液を収容した液槽の上部に設
けた栽培棚に取り付けられ、定植された作物が養液を吸
収可能にして作物の栽培を行う定植部材において、定植
された作物の根部外周を包囲し、且つ養液中へ一定の深
さ浸漬するスカート状の保水シートを設けていることを
特徴とする。
【0014】請求項3に記載した発明は、請求項2に記
載した養液栽培用の定植部材において、保水シートは、
親水性、保水性及び吸水性のあるスポンジ材、ロックウ
ール、紙材、織布または不織布をスカート形状に形成さ
れていることを特徴とする。
【0015】請求項4に記載した発明は、請求項2に記
載した養液栽培用の定植部材において、保水シートは、
親水性、保水性及び吸水性のあるスポンジ材、ロックウ
ール、紙材、織布または不織布により定植部材と一体的
構造に形成されていることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施形態及び実施例】図1は、請求項1〜4に
記載した発明に係る作物の養液栽培方法及び同方法の実
施に使用する定植部材の代表的な実施形態及び実施例を
示している。
【0017】一定量の養液2を収容した液槽の上部に栽
培棚3をほぼ水平に設け、前記栽培棚3に作物6の定植
部材5を取り付ける。栽培の当初は、前記定植部材5へ
定植した作物6の種子が養液を吸収可能であるように、
同定植部材5の低部を養液面下に例えば1cm程度の深
さDだけ浸漬させる。即ち、当初の養液2は点線で示し
た液面レベルW1まで収容して作物6の栽培を開始す
る。但し、作物6が発芽した苗であり、下方へ伸びた根
を有する場合は、その根が養液面へ届けば足りる場合、
定植部材5の低部を直接養液面下へ浸漬しなくとも良い
場合がある。栽培の開始から養液2の補給をしないと、
作物6による吸い上げ及び蒸発などによって、養液2の
液面レベルは時間の経過と共に降下して、実線で示した
液面W2のようになる。
【0018】本発明の栽培方法の特長は、要するに、前
記定植部材5に、定植した作物6の根部の外周を包囲
し、且つ養液2の中へ必ず常時一定の深さ浸漬する長さ
のスカート状の保水シート12を設けていることであ
る。
【0019】図示例の定植部材5は、上端の直径が7c
m、下端の直径が5.5cm、高さが6cm程度の大き
さの倒立円台形状(小さな植木鉢形状)に成形され、且
つ底面と周壁面に多数のスリット13を設けて作物6の
根及び液の通過が容易な篭構造とした合成樹脂の射出成
形品とされ、その内部に作物の培地14として例えば石
綿、スポンジなどが充填されている。一方、保水シート
12は、親水性、保水性及び吸水性のあるスポンジ材、
ロックウール、紙材、織布または不織布のシート状物を
丸めて止着することにより円筒形状に形成されており、
前記定植部材5の外周面へきっちりはめ込んで取り付け
られている。ちなみに、保水シート12の長さは9cm
位であり、定植部材5の下方へ長く垂れ下がっている。
【0020】したがって、栽培の当初、定植部材5の低
部の1cm程度が養液2の中に浸漬する養液レベルW1
を設定したものの、仮に液槽の設置状態、栽培棚8の設
置状態に傾きを生じていたり、又は各定植部材5を栽培
棚8へ取り付ける深さにバラツキを生じ、それがために
前記浸漬の深さDにバラツキが生じたとしても、特に浸
漬の深さDが浅い場合には、保水シート12が養液2を
吸い上げて培地14へ到達させるので、作物6による養
液2の吸い上げを補完する結果となり、さして問題にな
らない。ということは逆に、栽培当初の浸漬の深さD
を、従前の例の半分程度(0.5cmぐらい)に浅めに
設定することにより、一方では浸漬の深さDが大きすぎ
る不都合を未然に防止し、他方では浅すぎる場合に保水
シート12が養液の吸い上げ不足を補完する作用を積極
的に利用できることになり、もって作物6の成育のバラ
ツキを解消することが可能である。
【0021】その上、養液2の液面が時間の経過と共に
降下しても、保水シート12はその長さの限度に依然と
して必ず常時養液2の中に浸漬した状態を保つから、前
記養液の吸い上げ作用の補完効果を期待できる。のみな
らず、液面の降下により発生する空気中で発育し繁茂す
る湿気中根10の成育環境(特に湿度の環境)を個々の
作物毎に閉鎖状態に保ち、所謂乾きにくい環境を作る。
よって、同湿気中根10の繁茂を一層促して、作物6の
健康的な成育を可能にする。もとより、保水シート12
は、水中根11が下向きに発育し伸長することは決して
阻害しない。
【0022】ちなみに、図1の実施形態でサラダ用野菜
「ルッコラ」を養液栽培するにあたり、本発明のように
保水シート12を使用した場合と、使用しない場合とを
検証した結果を以下に示す。「ルッコラ」を9月29日
に播種し、11月16日に収穫した場合の例である。
【0023】 (項目) (保水シートなし) ( 保水シートあり) (備考) 根の重量 29g 66g 4株当たり 葉の重量 43g 71g 4株当たり 葉の長さ 21cm 33cm 4株当たり 葉の枚数 8枚 10枚 1株当たり (観察記録)「保水シートあり」の場合、湿気中根は定
植部材の底面全面及び保水シートの内周面にへばり付く
ように目一杯繁茂していた。そして、根の全体が生き生
きしていた。一方、「保水シートなし」の場合、湿気中
根は定植部材の底面の中央部に偏って少し細目に繁茂し
ていた。
【0024】要するに、保水シートを使用した本発明の
養液栽培方法の場合は、作物の成育がすばらしく良く、
健康的に大きく育ち、見た目にも立派な作物となり、品
質の良さを認識させるし、収穫量が増えることが明かで
ある。
【0025】なお、本発明の栽培方法に使用される定植
部材5及び保水シート12の構造、形態は上記の実施形
態、実施例の限りではない。
【0026】定植部材5は、播種用又は幼苗植え付け用
のいずれであっても良い。また、培土を必要とする構
造、又はウレタンフォームブロックのように自身が培土
を兼ねる構造であっても良い。保水シート12は円筒形
状の限りではない。定植部材5の外周の全長(全周)に
及ばない隙間(スリット)有りの形状とか、対称的な半
割り形状、その他極端には相撲の下がり、又はしめなわ
の如くぶら下がるスカート形状であってもそれなりの効
果を奏する。下方へすぼまる錐形、又は逆に下方へ拡大
するラッパ形状である場合も含む。
【0027】或いは定植部材5と保水シート12は、親
水性、保水性及び吸水性のあるスポンジ材、ロックウー
ル、紙材、織布または不織布などのシート状物により図
2のように一体的構造に形成したもので実施することも
できる(請求項4に記載した発明)。
【0028】
【本発明が奏する効果】請求項1〜4に記載した発明に
係る養液栽培方法及び定植部材によれば、作物の成育を
均一にして、しかも健康的に大きく育てることができる
ので、品質と成熟度、鮮度に優れた作物の収穫、そし
て、収穫量の増産に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る栽培装置の実施形態を概念的に示
した断面図である。
【図2】本発明の定植部材の一例を示した断面図であ
る。
【図3】従来の栽培装置を示した断面図である。
【図4】従来の栽培装置を示した断面図である。
【符号の説明】
2 養液 1 液槽 3 栽培棚 5 定植部材 6 作物 12 保水シート

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一定量の養液を収容した液槽の上部に栽培
    棚をほぼ水平に設け、前記栽培棚に作物の定植部材を取
    り付け、前記定植部材の作物が養液を吸収可能にして作
    物の栽培を行う方法において、 前記定植部材に、定植された作物の根部外周を包囲し、
    且つ養液中へ一定の深さ浸漬するスカート状の保水シー
    トを設けることを特徴とする、養液栽培方法。
  2. 【請求項2】一定量の養液を収容した液槽の上部に設け
    た栽培棚に取り付けられ、定植された作物が養液を吸収
    可能にして作物の栽培を行う定植部材において、 定植された作物の根部外周を包囲し、且つ養液中へ一定
    の深さ浸漬するスカート状の保水シートを設けているこ
    とを特徴とする、養液栽培用の定植部材。
  3. 【請求項3】保水シートは、親水性、保水性及び吸水性
    のあるスポンジ材、ロックウール、紙材、織布または不
    織布をスカート形状に形成されていることを特徴とす
    る、請求項2に記載した養液栽培用の定植部材。
  4. 【請求項4】保水シートは、親水性、保水性及び吸水性
    のあるスポンジ材、ロックウール、紙材、織布または不
    織布により定植部材と一体的構造に形成されていること
    を特徴とする、請求項2に記載した養液栽培用の定植部
    材。
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