JP2000154013A - 活性シリカの製造方法 - Google Patents

活性シリカの製造方法

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JP2000154013A
JP2000154013A JP10326945A JP32694598A JP2000154013A JP 2000154013 A JP2000154013 A JP 2000154013A JP 10326945 A JP10326945 A JP 10326945A JP 32694598 A JP32694598 A JP 32694598A JP 2000154013 A JP2000154013 A JP 2000154013A
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acidic
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Katsuyuki Kataoka
克之 片岡
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Ebara Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の活性シリカ製造技術の「水ガラス酸
性化工程」及び「モノマシリカ重合工程」が不要であ
り、重合シリカの粘度測定が不要であり、製造工程も
従来より著しく簡単で、活性シリカの製造所用時間が
数分程度と非常に短時間であり、pH調整工程が不要
で、アルカリ剤および酸の両方が不要であり、製造中
のシリカのゲル化トラブルが発生しない、活性シリカの
製造方法を確立する。更に、製造した活性シリカの保
存中のゲル化トラブルがない使用法を確立する。 【解決手段】 撹拌しているアルカリ性珪酸ナトリウム
水溶液中に、第2鉄塩の酸性水溶液を添加し、混合する
ことにより、Si/Feモル比が0.3 以上、pHが2.0以下の
鉄含有シリカ酸性水溶液を製造することを特徴とする活
性シリカの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、浄水場における浄
水処理などの凝集処理工程に使用する活性シリカの新規
な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】浄水処理ではその処理工程の一つとして
凝集処理工程がある。凝集処理では凝集剤を使用してお
り、その無機凝集剤としては、主として、硫酸アルミニ
ウム(以下、“硫酸バンド”ともいう)、ポリ塩化アル
ミニウム(以下、“PAC”と略す)が利用されてい
る。凝集処理は、凝集沈殿工程、砂ろ過工程、凝集分離
工程などを含む。上記の硫酸バンド、PACなどの無機
凝集剤は、単独使用では一般に十分大きなフロックが形
成されない。そのために凝集沈殿工程や砂ろ過工程で固
液分離速度が小さい。凝集分離工程から排出される汚泥
の沈降濃縮脱水性も悪い。特に、浄水処理の原水の富栄
養化が進みミクロキスチスなどの藻類が多量に含まれる
原水では、硫酸バンド又はPACのみでは極めて沈降性
の悪いフロックしか形成されない。沈降性の悪いフロッ
クは浮上してしまうこともあり、藻類の効果的除去がで
きない。
【0003】凝集剤は、硫酸バンドやPACに限られる
ものではない。浄水処理以外の排水処理分野では、各種
の合成高分子凝集剤がフロック形成を促進するために多
用されている。しかし、合成有機高分子凝集剤の浄水処
理への使用にはその安全性に心配があり、認可されてい
ない。
【0004】このように、浄水処理では安全性の高い凝
集剤として、従来、硫酸バンドやPACのみが使用され
てきたが、最近飲料水中のアルミニウムイオンがアルツ
ハイマ症の一原因になる可能性が指摘され、今後の浄水
処理において、硫酸バンドやPACなどのアルミニウム
系凝集剤の使用を中止できないかとの要望も出てきてい
る。
【0005】浄水処理分野では安全性の高い凝集助剤と
して、日本では昭和30年代に米国のBaylis氏が
見出した「活性シリカ」の使用が検討された。活性シリ
カとは、シリカモノマが重合して高分子になった状態の
シリカをいう。モノマシリカは凝集促進効果はないが、
重合して高分子になったシリカは顕著な凝集促進効果を
発揮するので、「凝集活性のあるシリカ」略して「活性
シリカ」と呼ばれている。Baylis法とは、次のよ
うにして活性シリカを得る方法をいう。すなわち、水ガ
ラスを水で希釈してシリカ(SiO2)濃度1.5%の水
溶液とし、これに硫酸を加えてpH8.5に調整し、室
温において2時間撹拌してシリカモノマを重合させる。
重合させることにより、高分子状態になったシリカ、す
なわち活性シリカを得るという方法である。しかし、B
aylis法は、活性シリカ製造時のゲル化(液全体が
ゼリー状に固まる現象)トラブルが頻発し、安定して活
性シリカを製造することが非常に難しかった。そのため
我が国では、実用化されなかった。
【0006】しかし最近、活性シリカを再評価しようと
する動きが出てきている。例えば、特公平4−7579
6号公報「水処理方法および水処理用凝集剤」には、
「シリカモノマーの極限粘度の約2倍以上の極限粘度を
有する重合シリカと、水中で水酸化物を形成しうる金属
の可溶性塩を、該金属に対する珪素のモル比が2以上と
なる条件で処理対象水中に注入撹拌する」という重合シ
リカを利用した凝集処理法が開示されている。この重合
シリカは、「活性シリカ」の別称である。
【0007】特公平4−75796号公報開示の活性シ
リカ製造方法を図2に示す。この従来法は図2に示すよ
うに、希釈された強アルカリ性の水ガラス水溶液と鉱酸
を混合しpHを2以下に調整する「水ガラス酸性化工
程」、そのあと苛性ソーダを添加してpH4に上げシリ
カモノマを2〜6時間重合させる「モノマシリカ重合工
程」が必要である。さらにpH調整用の酸、アルカリ剤
が不可欠である。
【0008】本発明者が本技術を詳細に検討したとこ
ろ、次の様な問題点があり、さらに優れた技術を開発す
る必要がある。 シリカモノマーを重合させて所要極限粘度の重合シ
リカを調整するのに必要な時間が2時間から6時間を要
する。従って、活性シリカの作成に長時間を要する。
【0009】 シリカ濃度、水温、 撹拌強度、pHな
どの微妙な変動によって所要重合時間が大きく変化する
ため、重合時間の設定が非常に難しく、重合時間の設定
を誤ると重合中にシリカのゲル化トラブルを引き起こ
し、凝集剤として使用不能となる。特に、シリカ濃度を
4%以上に高めると製造中のシリカのゲル化トラブルが
極めて起き易くなる。また、モノマシリカの重合時間が
不足すると、凝集効果の悪い凝集剤しか得られない。そ
して、極限粘度の測定には熟練者でも1時間以上かかる
ので、現場において極限粘度を測定しながら重合時間を
制御するという方法は実際には不可能である。
【0010】 酸、アルカリが必要なため、製造コス
トが高くなり、pH調整が2段階で必要になるため製造
工程が煩雑である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な従来の活性シリカ製造技術の欠点を解決した新規な活
性シリカの製造方法を確立し、次の課題を解決すること
を目的とする。 (1) 「水ガラス酸性化工程」及び「モノマシリカ重合工
程」が不要な、活性シリカの製造方法を確立する。 (2) 重合シリカの粘度測定が不要で、製造工程も従来よ
り著しく簡単である。 (3) 活性シリカの製造所用時間を数分程度と非常に短時
間とする。 (4) pH調整工程が不要で、アルカリ剤および酸の両方
が不要である。 (5) 凝集剤製造中のシリカのゲル化トラブルが発生しな
い、活性シリカの製造方法を確立する。 (6) 製造した活性シリカの保存中のゲル化トラブルがな
い使用法を確立する。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記課題は、以下の本発
明の活性シリカの製造方法により解決された。すなわ
ち、本発明は、アルカリ性珪酸ナトリウム水溶液を撹拌
しながら、第2鉄塩の酸性水溶液を添加して混合するこ
とによって、Si/Feモル比が0.3以上、pH2.
0以下の鉄含有シリカ酸性水溶液を製造することを特徴
とする活性シリカの製造方法、である。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
活性シリカの製造方法を図1に示す。すなわち、図1に
示すように、アルカリ性珪酸ソーダ水溶液(好ましく
は、水ガラス水溶液)を撹拌しながら、第2鉄塩の酸性
水溶液を添加・混合するという極めて簡単な操作で、凝
集効果の大きい褐色で透明の鉄イオン含有活性シリカを
容易かつ短時間(数分)に製造できることを見出した。
この結果、従来技術(図2)における「水ガラス酸性化
工程」及び「モノマシリカ重合工程」が不要となり、ま
た、pH調整用の酸・アルカリ剤を不要とすることがで
きた。
【0014】本発明において、アルカリ性珪酸ソーダ水
溶液のシリカ(SiO2 )濃度は、3〜12重量%が好
ましく、4〜10重量%がより好ましい。アルカリ性珪
酸ソーダ水溶液のpHは、11〜13が好ましく、1
1.0〜12.0がより好ましい。アルカリ性珪酸ソー
ダ水溶液としては、水ガラス水溶液、珪酸ソーダ水溶
液、珪酸カリウム水溶液等が好ましく、特に、水ガラス
水溶液が好ましい。また、本発明において、第2鉄塩の
酸性水溶液の鉄(Fe)濃度は、1.5〜10重量%が
好ましく、5〜8重量%がより好ましい。第2鉄塩の酸
性水溶液のpHは、0〜1が好ましく、0〜0.5がよ
り好ましい。第2鉄塩の酸性水溶液としては、塩化第2
鉄水溶液、硫酸第2鉄水溶液、ポリ硫酸第2鉄水溶液等
が好ましく、特に、塩化第2鉄水溶液が好ましい。アル
カリ性珪酸ソーダ水溶液と第2鉄塩の酸性水溶液との比
率は、Si/Feモル比で0.3以上であり、0.5〜
3.0が特に好ましい。撹拌しているアルカリ性珪酸ナ
トリウム水溶液中に、第2鉄塩の酸性水溶液を添加する
時間としては、3分以下が好ましく、特に0.5〜1分
が好ましい。また、反応温度としては、8〜100℃が
好ましく、特に15〜40℃が好ましい。本発明の活性
シリカの製造方法で得られた、鉄含有シリカ酸性水溶液
のpHは、2.0以下であり、特に0〜1.0が好まし
い。
【0015】以下に本発明者の研究過程中に見出された
重要知見を箇条書きにまとめる。 [1] 所定シリカ濃度のアルカリ性珪酸ソーダ水溶液を撹
拌しながら、第2鉄塩の酸性水溶液を急速に添加して混
合することによって、透明で褐色の凝集効果が大きい凝
集剤を短時間(数分間)で製造できる。この液は製造直
後から卓越した凝集効果を示す。その反対に、強酸性第
2鉄塩(塩化第2鉄、硫酸第2鉄、硝酸第2鉄、ポリ硫
酸第2鉄など)水溶液を撹拌しながら、これに珪酸ソー
ダ水溶液を添加すると、凝集効果が著しく劣る活性シリ
カしか製造できない。このように添加順序の違いによっ
て凝集効果に大きな相違が出る原因は、添加順序によっ
てシリカモノマの重合挙動が大きく変化し、珪酸ソーダ
水溶液に第2鉄塩の酸性水溶液を添加する本発明の製造
方法では、シリカモノマの重合度が大きくなるためと考
えられる。
【0016】[2] アルカリ性珪酸ソーダ水溶液に強酸性
第2鉄塩の酸性水溶液を添加・混合した時点でのSi/
Feモル比が0.3以上となるようにすることが、凝集
効果の大きい活性シリカを製造するために重要であり、
Si/Feモル比が0.3未満であると得られる活性シ
リカの凝集効果が劣る。
【0017】[3] 珪酸ソーダ水溶液に第2鉄塩水溶液を
添加・混合した後の混合液のpHが2.0を超えると、
活性シリカの製造中又は製造後短時間で、水酸化第2鉄
が析出するトラブルを引き起こす。
【0018】[4] 珪酸ソーダ水溶液に対し第2鉄塩水溶
液を徐々に添加すると、シリカが瞬間的にゲル化するp
H中性領域を通過するため、液全体がゲル化してしまう
ので好ましくない。撹拌されている珪酸ソーダ水溶液に
第2鉄塩水溶液を短時間に添加することによつて、短時
間で珪酸ソーダ水溶液(pH11程度)のpHを2以下
に持ち込むことが重要である。
【0019】[5] 酸性第2鉄塩水溶液の鉄濃度は1.5
重量%以上にすることが好ましく、鉄濃度が1.5重量
%未満では、シリカの活性化反応が不十分になるためか
凝集効果が悪くなる。
【0020】以上の知見から完成された本発明の製造方
法では、図2の従来法のような「水ガラス酸性化工程」
や「モノマシリカ重合工程」を設けずに、強力なフロッ
ク形成促進作用を持つた鉄含有活性シリカを容易にかつ
短時間に製造できる。また、pH調整用の酸、アルカリ
が不要であり、本発明は水ガラスと第2鉄塩だけで効果
的な活性シリカを製造できる。このように、酸・アルカ
リを使わないので作業環境の安全性が高い。
【0021】本発明によって従来技術(図2)のような
「水ガラス酸性化工程」および「シリカモノマの重合工
程」及びpH調整用の酸・アルカリが不要になつた理由
は次の様に考えられる。すなわち、珪酸ソーダ(水ガラ
ス)水溶液に第2鉄塩酸性水溶液を添加混合するとする
と、アルカリ性のシリカモノマ分子が酸性の鉄塩水溶液
の添加によって短時間の間pH中性領域を通過してから
最終的に酸性になるので、pH中性領域を通過する過程
でシリカモノマの重合が速やかに進行し(モノマ状シリ
カの重合はpH中性領域で極めて急速に進む)、鉄塩溶
液が均一に混合された時点でシリカが重合シリカすなわ
ち活性シリカの状態で存在するためと考えられる。つま
り、珪酸ソーダ水溶液に対し第2鉄塩酸性溶液とを混合
する工程が従来技術の水ガラス酸性化槽、シリカモノマ
ーの重合槽を兼ねていると推定できる。
【0022】浄水場などにおいて凝集処理を行う原水
に、本発明の製造方法による活性シリカを注入し、凝集
撹拌槽で撹拌すると、速やかに非常に大きなフロックが
形成され、沈殿槽及びろ過槽で高速度で固液分離でき
る。そして、本発明の製造方法による活性シリカは、凝
集剤中にアルツハイマ症の一因の恐れがあると指摘され
ているアルミニウムを含まないので浄水処理に特に好適
である。
【0023】浄水処理の場合、 本発明の製造方法による
活性シリカの適正注入率は、シリカ(SiO2)として3
〜10mg/リットル程度になる場合が多い。また、活性シ
リカ液中に第2鉄イオンが共存しているので、本発明の
製造方法による活性シリカのみを原水に注入すれば、別
途に無機凝集剤を添加しなくても良好な凝集を行えると
いう利点を有する。
【0024】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。ただし、本発明は以下の実施例のみに限定されるも
のではない。 実施例1(本発明の活性シリカの製造例) JIS3号水ガラス原液(シリカ濃度30%)を水道水
で希釈し、シリカ濃度8%の珪酸ソーダ水溶液(pH1
1.65)を作成した。この水溶液100gを撹拌しな
がら、塩化第2鉄濃度20%(Fe濃度6.9%)水溶
液100gを一挙に(ほぼ1分で)添加・混合し、本発
明の活性シリカを作成した。上記の方法に従って作成し
た活性シリカの組成は、シリカ濃度4%、塩化第2鉄濃
度10%、Si/Feモル比1.08、pH約1.5で
ある。
【0025】比較例1 塩化第2鉄濃度20%(Fe濃度6.9%)水溶液10
0gを撹拌しながら、シリカ濃度8%の水ガラス水溶液
100gを一挙に添加混合した。
【0026】実施例2(凝集試験および凝集剤保存性調
査) カオリンを水道水に添加し、SS20mg/リットルの懸濁
液を作成し、実施例1又は比較例1で作成した活性シリ
カ剤又は塩化第2鉄を添加し、ジャーテストを行った。
ジャーテストの条件は、撹拌回転数150rpm3分、
50rpm10分である。凝集剤注入後のpHを6一定
とした。水温は24℃であった。凝集剤の注入率はFe
として3mg/リットルである。ジャーテスト時のフロック
生成時間と撹拌終了後のフロック沈降速度及び撹拌終了
5分後の上澄水濁度を測定した。結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】塩化第2鉄のみを注入した場合及び比較例
1で作成した鉄含有シリカ液を注入した場合と比較し、
本発明の活性シリカは最も凝集効果が大きく、緩速撹拌
中にフロックが底に沈降し転がりながらぺレット状に変
化することが認められた。
【0029】
【発明の効果】 従来の活性シリカ製造法(図2)で
不可欠であった「水ガラス酸性化工程」、「シリカ重合
工程」が不要となり、また重合シリカの極限粘度の測定
も不要になつた。この結果、凝集剤の製造工程が著しく
単純化でき、熟練技術者がいなくても、浄水場において
容易に製造できる。また活性シリカ製造の所用時間が数
分と非常に短時間である。 活性シリカ製造中のゲル化トラブルが全く起きな
い。 活性シリカ製造に酸、アルカリ剤を必要としないの
で、活性シリカ製造コストが従来より削減され、作業上
の安全性が優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の活性シリカの製造方法を示す図であ
る。
【図2】従来の活性シリカの製造方法を示す図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 撹拌しているアルカリ性珪酸ナトリウム
    水溶液中に、第2鉄塩の酸性水溶液を添加し、混合する
    ことにより、Si/Feモル比が0.3以上、pHが
    2.0以下の鉄含有シリカ酸性水溶液を製造することを
    特徴とする活性シリカの製造方法。
JP10326945A 1998-11-17 1998-11-17 活性シリカの製造方法 Withdrawn JP2000154013A (ja)

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Cited By (5)

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