JP2000061307A - 高分散型水蒸気改質触媒及び水素製造方法 - Google Patents

高分散型水蒸気改質触媒及び水素製造方法

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JP2000061307A
JP2000061307A JP10246567A JP24656798A JP2000061307A JP 2000061307 A JP2000061307 A JP 2000061307A JP 10246567 A JP10246567 A JP 10246567A JP 24656798 A JP24656798 A JP 24656798A JP 2000061307 A JP2000061307 A JP 2000061307A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 活性金属であるルテニウムを高分散担持し、
しかも長期間維持する実用強度を備えた高分散型水蒸気
改質触媒と、該触媒を使用した分子量の高い低廉なナフ
サや灯油相当の液状炭化水素を原料とする水素製造方法
を提供する。 【解決手段】 (a)酸化アルミニウム、(b)周期表
2族、3族及びランタノイド金属の酸化物よりなる群か
ら選ばれる少なくとも1種、(c)粘土又は粘土鉱物か
ら選ばれる少なくとも1種、(d)金属ルテニウムを含
んでなる高分散型水蒸気改質触媒で、初期破壊強度が5
0kgf以上、水蒸気強度劣化試験後、及び熱履歴強度
劣化試験後における破壊強度が40kgf以上であるこ
とが好ましい。硫黄含有量0.2ppm以下、芳香族化
合物含有量30容量%以下、炭素数1以上、常圧におけ
る蒸留範囲300℃以下の液状炭化水素からなる原料と
水蒸気を上記の触媒に接触させ、水蒸気/炭素比2.8
〜10、原料供給量10h−1以下、反応圧力2気圧以
上に保って水素を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水蒸気改質触媒
と、該触媒を使用する水素製造方法に関し、詳細には、
活性金属であるルテニウムを高分散担持し、しかも長期
間維持する実用強度を備えた高分散型水蒸気改質触媒
と、該触媒を使用した分子量の高い低廉なナフサや灯油
相当の液状炭化水素を原料とする水素製造方法に関す
る。
【0002】
【技術背景】炭化水素を原料に水素を製造する方法とし
て、水蒸気改質法が広く用いられている。無触媒部分酸
化法等に比べ、電力原単位(製品単位量当たりの電力使
用量)や設備費が低廉だからである。従来の水蒸気改質
法では、使用する触媒はNi/アルミナ等のNi系触媒
であり、原料炭化水素は天然ガスから軽質ナフサ程度に
限られている。
【0003】ところで、水素の用途は、水添脱硫、間接
脱硫、直接脱硫、深度脱硫、芳香族溶媒抽出等、石油業
界の分野だけでも多岐に亘る。この他にも、一酸化炭素
の製造、各種の還元反応等の用途がある。また、近年、
環境保全対策として、ディーゼルエンジンからの排ガス
中の窒素酸化物を低減させるために、燃料である軽油中
の硫黄分削減が重要となるなど、水素の需要は高まって
いる。更に、大気温暖化の原因物質の一つである二酸化
炭素の固定化・再資源化の研究開発も活発に行われてお
り、この技術開発には水素の安価な供給が不可欠と言わ
れている。
【0004】従って、水素製造コストを引き下げること
は、化学工業に対して経済的な効果を与えることは勿論
であるが、この他に環境保全技術の進展に対する寄与も
少なくない。水素製造コストを引き下げるためには、原
料炭化水素に市場価格の低廉なナフサや灯油相当の液状
炭化水素を用いること、水蒸気改質反応時の式1で表さ
れる水蒸気/炭素比(以下、S/C比と記す)を少なく
することが最も有効な方法である。
【0005】
【数1】式1 S/C比 =反応器に供給される水蒸気のモル数/反応器に供給さ
れる炭化水素(C)のモル数×n
【0006】しかし、液状炭化水素の分子量の増加と共
に触媒上への炭素析出が著しくなるため、分子量の高い
低廉なナフサや灯油相当の液状炭化水素を原料とする場
合、長期連続運転はできない。触媒上への炭素析出を抑
制する試みは、従来のアルミナを担体としたNi系触媒
でも実施されている。例えば、特開昭50−18378
号公報によると、活性助成分として希土類を少量添加し
た触媒が提案されているが、この触媒を使用する場合で
あっても、原料炭化水素はメタンからブタンまでの軽質
留分であり、ナフサ相当以上の液状炭化水素を用いるこ
とはできない。この触媒で、原料炭化水素をナフサ相当
以上の液状炭化水素とする場合は、炭素析出を抑制する
ために、S/C比を相当高く設定しなければならず、運
転操作が煩雑になる外、水蒸気原単位(製品単位量当た
りの水蒸気使用量)が増加し、経済性に優れたナフサや
灯油相当の液状炭化水素を原料とする利点が失われる。
【0007】このように、現在、幅広く用いられている
Ni系触媒では、使用できる原料炭化水素の炭素数に限
界がある。このような理由から、ナフサや灯油相当の液
状炭化水素を原料とする水蒸気改質による水素製造法の
実用化は極めて難しいと言われている。
【0008】一方、Ru系触媒は、炭素析出抑制効果を
保有しているため、Ni系触媒より少ないS/C比条件
で水蒸気改質反応を行うことができる点で注目されてい
る。このようなRu系触媒の例として、アルミナ担体に
ルテニウムを担持させたもの(例えば、笠岡ら「燃料協
会誌」59巻、25頁(1989年)、岡田ら「触媒」
35巻、224頁(1993))、アルカリ金属酸化物
又はアルカリ土類金属酸化物に酸化セリウムを担持した
担体を用いたもの(特開平4−265156号公報)、
ジルコニア担体を使用したもの(特開平2−30230
4号公報、特開平2−286787号公報)、ルテニウ
ム前駆体としてルテニウム酸ナトリウム等のアルカリ塩
を使用したもの(特開昭60−227834号公報)等
を挙げることができる。
【0009】しかし、Ru系触媒は、原料中に含まれる
硫黄分によって、容易に酸化(被毒)される。被毒され
た触媒上では炭素析出が極めて起こり易く、硫黄被毒が
炭素析出の引き金になる欠点を有する(例えば、岡田ら
「燃料協会誌」68巻、39頁(1989年))。この
ように、Ru系触媒は、炭素析出抑制性に秀でていて
も、原料中の硫黄分による被毒が起こり易く、被毒され
れば、この触媒系の最大の長所が失われ、実用上極めて
問題になる。
【0010】ナフサより軽質の炭化水素中に含有される
硫黄化合物は脱硫行程で殆ど除去可能であることから余
り問題にならないが、灯油相当の液状炭化水素は、難脱
硫性の硫黄化合物を含むため、硫黄分を完全に除去する
ことは難しい。従って、これらの炭化水素を原料とする
水蒸気改質触媒には、炭素析出抑制性の他に耐硫黄被毒
性を備えることが強く求められる。
【0011】このように、従来の水素製造技術にあって
は、ナフサや灯油相当の液状炭化水素を原料とする以
上、炭素析出と硫黄被毒を如何に抑制するかが問題とな
る。また、安価に水素を供給するには、市場価格の低廉
なナフサや灯油相当の液状炭化水素を原料とする外、水
蒸気原単位を抑制することも重要である。この水蒸気原
単位の上昇を抑えるためには、現行のS/C比の条件下
でナフサや灯油相当の液状炭化水素の改質反応を実施す
る必要がある。つまり、現行S/C比の条件で炭素析出
を強く抑制することが要求される。
【0012】これらを満足させるためには、上述のNi
系触媒等の公知の触媒では不可能であり、またこれらの
触媒の多少の改良で対応することも困難である。また、
水蒸気改質反応は化1に示すような吸熱反応であるた
め、触媒は、外熱式反応炉内の細長いリアクターチュー
ブ(tubular reactor)に充填される場
合が多い。このような場合、触媒には、反応器下部では
充填触媒の重量が掛かり、また反応器での差圧が掛かる
ため、これらに耐え得る強度が必要になる。触媒強度が
これらに耐えられない場合、触媒の破損や粉化が起こ
り、この結果、更に差圧が増しプラントの運転が困難に
なる。しかも、触媒片や触媒粉が下流機器に到達する
と、流量制御、圧力制御に支障を生じ、機器故障に繋が
ることも予想される。
【0013】
【化1】C+2nHO→(m/2+2n)H
+nCO △H=40kcal/c−mol
【0014】一般に、アルミナ担体の触媒では、破損や
粉化を避けるために、予め担体を反応温度以上の温度で
焼成して強度を向上させる方法が一般的であるが、水蒸
気改質触媒では、水蒸気存在下に長期間曝されること
や、プラントの停止や運転開始時に急激な温度変化が起
こること等により、強度の低下が見られる。これを避け
るためには、アルミナを更に高温で焼成し、α−アルミ
ナ化することが考えられるが、α−アルミナ化した担体
は、比表面積が極端に小さくなり、活性金属を高分散さ
せることが困難となる。とりわけ、優れた触媒活性が望
まれる灯油相当の液状化炭化水素の水蒸気改質用の触媒
にあっては、多量の活性金属を高分散状態で担持させる
必要があり、上記のα−アルミナ化した担体の使用は極
めて難しい。このように、現在、炭素析出抑制能を有す
る活性金属を高分散担持できる比表面積と細孔容積を持
ち、水蒸気改質反応の実用に耐える強度を維持し、耐硫
黄被毒性能を備えた触媒が待たれるが、殆ど見当たらな
い。
【0015】
【発明の目的】本発明は、水蒸気存在下であっても強度
低下が少なく、ある程度の比表面積と細孔容積を有し、
しかも耐硫黄被毒性能を示す成分を含有する担体に、炭
素析出抑制能に秀でるルテニウムを高分散担持した触媒
と、この触媒によるナフサや灯油相当の液状炭化水素を
原料とする水素製造方法とを提供することを目的とす
る。すなわち、本発明は、炭素析出抑制性、耐炭素析出
性、及び耐硫黄被毒性を有し、かつ高温で長時間の水蒸
気改質反応下であっても触媒強度を維持する高活性触媒
と、市場価格が低廉なナフサ、更に輸送性に優れる灯油
等の鉱油を原料とする安価な水素製造方法との提供を目
的とする。
【0016】
【発明の概要】本発明者等は、上記目的の耐硫黄被毒性
を有する触媒を追求した結果、(1)周期表2族、3族
及びランタノイド金属の酸化物よりなる群から選ばれる
少なくとも1種を含んだアルミナ複合物担体に、活性成
分であるルテニウムを高分散状態で担持した触媒が適し
ており、(2)このルテニウム高分散触媒は、CO吸着
量を、ルテニウムの活性点量及び分散性の指標として選
定できるとの知見を得た。
【0017】この知見の下に、更に検討を進めたとこ
ろ、(3)本発明者等の先願に係る特開平9−1058
6号公報記載の触媒の上記複合物担体を調製する際の原
料を特定のものとすれば、60%以上の高い分散度でル
テニウムを担持した触媒を得ることができ、先願におけ
るCO吸着量を指標とする選定行程を省略できること、
(4)この触媒を用いれば、灯油相当の鉱油を原料と
し、従来のNi系触媒を用いた軽質ナフサ水蒸気改質と
同等の運転条件で水蒸気改質を行う場合でも、原料炭化
水素中に存在する硫黄化合物により触媒が被毒されるこ
とは少なく、触媒上への炭素析出も抑制されることを見
出し、特開平9−173842号公報記載の触媒を提案
した。
【0018】本発明者等の更なる検討の結果、(5)ア
ルミナ複合物担体に粘土又は粘土鉱物を含有させた触媒
においては、炭素析出抑制能を有するルテニウムを更に
多量に、かつ更に高分散状態で担持できる程の高い比表
面積と大きな細孔容積を持ちながらも、ナフサや灯油相
当の液状炭化水素を原料とした水蒸気改質反応の使用に
耐得る強度を長期間維持し得ることを見い出し、本発明
の高分散型水蒸気改質触媒を提案するに至り、またこの
触媒を使用する水素製造方法を提案するに至った。
【0019】すなわち、本発明は、〔1〕(a)酸化ア
ルミニウム、(b)周期表2族、3族及びランタノイド
金属の酸化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種、
(c)粘土又は粘土鉱物から選ばれる少なくとも1種、
(d)金属ルテニウムを含んでなることを特徴とする高
分散型水蒸気改質触媒、〔2〕初期(未使用状態)の破
壊強度が50kgf以上、所定の水蒸気強度劣化試験
後、及び熱履歴強度劣化試験後における破壊強度が40
kgf以上であることを特徴とする高分散型水蒸気改質
触媒、〔3〕硫黄含有量0.2ppm以下、芳香族化合
物含有量30容量%以下、炭素数1以上、常圧における
蒸留範囲300℃以下の液状炭化水素からなる原料と水
蒸気を上記〔1〕又は〔2〕の触媒に接触させ、水蒸気
/炭素比2.8〜10、原料供給量10h−1以下、反
応圧力2気圧以上に保つことを特徴とする水素製造方
法、を要旨とする。
【0020】本発明の触媒は、ルテニウム分散度が60
%以上、一酸化炭素吸着量が、50℃において、標準状
態換算で0.9ml/g以上であることが好ましい。ま
た、上記の(b)成分がセリウムである場合、ルテニウ
ムは、セリウムとの原子比(以下、「Ce/Ru比」と
記す)が10未満となるように、0.5〜5質量%担持
させたものが好ましい。更に、本発明の水素製造方法
は、本発明の触媒を単独で使用してもよいし、他の触媒
と併用することもでき、併用する場合は、本発明の触媒
を反応器の上部に、他の触媒を反応器の下部に、1:9
〜10:0の比率で充填して行うことが好ましい。
【0021】本発明の触媒は、(a)成分の酸化アルミ
ニウム又はその前駆体、(b)成分の周期表2族、3族
及びランタノイド金属の酸化物、又はこれらの前駆体よ
りなる群から選ばれる少なくとも1種、及び(c)成分
の粘土又は粘土鉱物から選ばれる少なくとも1種を含む
担体原料に、オキシ酸から選ばれる少なくとも1種を加
え、800〜950℃で焼成して活性アルミナ複合物担
体を調製し、この担体にルテニウムを0.5〜5質量%
担持させ、アルカリ水溶液で不溶・固定化した後、60
0〜950℃で還元処理して得られるものである。この
還元処理に先立ち、100℃以下で乾燥しておくことが
好ましい。
【0022】(a)成分の酸化アルミニウム又はその前
駆体は、通常のアルミナの外、水酸化アルミニウム、硝
酸アルミニウム等のように、800〜950℃での焼成
により酸化アルミニウムを生成するAl化合物が用いら
れる。但し、α−アルミナ等の比表面積が極端に小さい
ものは、使用を避けることが望ましく、(a)成分とし
てアルミナを用いる場合は、その比表面積は、60m
/g以上であることが好ましい。
【0023】(b)成分の周期表2族(以下、2族と略
す)、3族(以下、3族と略す)及びランタノイド金属
の酸化物、又はこれらの前駆体(以下、第3成分という
ことがある)を用いる目的は、本発明の触媒に耐硫黄被
毒性を付与するためことにある。すなわち、本発明の触
媒の活性成分であるルテニウムは、水蒸気改質反応時の
炭素析出抑制性に優れるが、一旦、硫黄に被毒される
と、この特性が弱まり、硫黄被毒と炭素析出の両面から
触媒性能が損なわれるが、(b)成分は、この硫黄被毒
を防止し、触媒性能を維持することができる。
【0024】2族元素の酸化物としては、Be、Mg、
Ca、Sr、Ba、Raの酸化物を挙げることができる
が、特にMg、Baの酸化物が好ましい。3族金属の酸
化物としては、ScやYの酸化物を挙げることができる
が、Yの酸化物が好ましい。ランタノイド金属の酸化物
としては、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm等の酸
化物を挙げることができるが、Ce、Laの酸化物が好
ましい。これらの2族、3族、ランタノイド金属の酸化
物は、いずれか1種を単独で用いてもよく、また2種以
上を組み合わせて用いてもよい。また、2族、3族、ラ
ンタノイド金属の酸化物の前駆体としては、例えば炭酸
塩を挙げることができるが、これに限定されるものでは
ない。
【0025】(c)成分の粘土又は粘土鉱物を用いる目
的は、ルテニウムを高分散担持することにある。すなわ
ち、ルテニウムを高分散担持させるためには、活性アル
ミナ複合物担体の比表面積を160m/g以上にする
ことが重要であるが、該担体の主成分であるアルミナ
は、この高比表面積を持つとある程度の強度しか有せ
ず、また水蒸気の存在下で水蒸気改質反応温度に長時間
曝されると、そのアルミナの持つ強度が極端に低下し、
触媒の強度を維持できないことがある。粘土又は粘土鉱
物は、高温で焼成すると、焼固するものであり、アルミ
ナの上記性質を補って、高比表面積の活性アルミナ複合
物担体の強度を向上させ、また水蒸気改質反応温度にお
いて担体の強度の低下を抑制し、維持することができ
る。
【0026】粘土又は粘土鉱物としては、800〜95
0℃での焼成で焼固することができるものであれば、ど
のようなものでも用いることができ、例えば、イライ
ト、カオリン、モンモリロナイト、バーミキュライト、
ボールクレー、ベントナイトが好ましく使用できる。
【0027】上記(a)〜(c)成分に加えてオキシ酸
を用いる目的は、本発明の触媒の担体を多孔質化するこ
とにある。すなわち、オキシ酸は、容易に熱分解して脱
炭酸を起こすため、上記(a)〜(c)成分に加えて加
熱することにより、担体の多孔質化を促進することがで
きる。
【0028】オキシ酸としては、800〜950℃での
焼成により、脱炭酸を起こして、熱分解するものであれ
ば、どのようなオキシ酸でも使用でき、例えば、グリコ
ール酸、乳酸、ヒドロアクリル酸、α−オキシ酪酸、グ
リセリン酸、タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン
酸等の脂肪族オキシ酸、サリチル酸、m−オキシ安息香
酸、p−オキシ安息香酸、浸食子酸、マンデル酸、トロ
バ酸等の芳香族オキシ酸、これら脂肪族オキシ酸や芳香
族オキシ酸をアルキル化処理したもの(すなわち、オキ
シ酸のカルボキシル基の一部をメチル化等のアルキル化
処理したもの)等、種々のものを挙げることができる。
これらオキシ酸は、1種単独で、また2種以上を混合し
て用いることができる。2種以上を用いる場合には、脂
肪族オキシ酸と芳香族オキシ酸を併用してもよい。
【0029】上記の(a)〜(c)成分の配合割合は、
次の通りである。(b)成分は、酸化物として、触媒基
準で、3〜30質量%、好ましくは5〜25質量%、よ
り好ましくは7〜20質量%である。3質量%未満で
は、本発明の触媒に耐硫黄被毒性を充分に付与すること
ができず、水蒸気改質反応において、硫黄被毒を受け易
く、しかも炭素析出を伴うようになり、本発明の触媒の
所要の性能を長期間に渡って安定に保つことができない
虞れがある。30質量%を越えると、触媒の機械的強度
や比表面積の向上に寄与する(a)成分の含有量が相対
的に少なくなり、実用に耐える強度が得られ難いばかり
か、担体上に活性成分であるルテニウムを高分散させる
ことが困難となる。(b)成分が酸化物として上記範囲
で存在するとき、原料中の硫黄化合物は担体上の(b)
成分の酸化物に硫黄化合物が吸着、吸収されるため、本
発明の触媒の活性成分であるルテニウムは硫黄被毒が起
こり難くなり、また実用強度も充分となって、本発明の
触媒の寿命が延長し、またルテニウム高担持量高分散状
態触媒を実現できる。
【0030】また、(b)成分がセリウムである場合、
Ce/Ru比が10未満、好ましくは2〜9.9とする
ことが適している。Ce/Ru比が2未満では、水蒸気
改質原料中に含まれる硫黄分の担体での吸着、吸収が不
充分となり、残存硫黄分によるルテニウムの被毒が起こ
るばかりか、触媒上に炭素析出が起こることがある。逆
に、Ce/Ru比が10以上では、セリウムに対するル
テニウム量が少なくなりすぎ、充分に安定した触媒活性
を得られないことがある。
【0031】(c)成分は、触媒基準で、3〜30質量
%、好ましくは5〜25質量%、より好ましくは7〜2
0質量%である。3質量%未満では、粘土又は粘土鉱物
の焼固による触媒の強度の向上、及び強度の低下を抑制
する効果が得られない。30質量%を越えると、粘土又
は粘土鉱物の焼固による触媒の強度の向上、及び強度の
低下を抑制する効果は充分に期待できるが、比表面積の
向上に寄与する(a)成分の含有量が相対的に低下し、
担体上にルテニウムを高担持量高分散させることが困難
になる。
【0032】上記の(a)〜(c)成分に加えるオキシ
酸は、活性アルミナ複合物担体100質量部に対して、
1〜70質量部、好ましくは3〜50質量部、より好ま
しくは7〜30質量部である。1重量部未満では、担体
の多孔質化が充分に進まず、所要量のルテニウムを担持
させることができないばかりか、ルテニウムの分散度も
低くなってしまう。70重量部を越えると、担体の多孔
質化は進むが、担体中にマクロ孔が生じたり、焼成時の
オキシ酸の不完全燃焼による炭素残渣が見られる場合が
あり、触媒性能を損ねる要因が増える。
【0033】本発明における活性アルミナ複合物担体
は、上記(a)〜(c)成分、オキシ酸の他に、本発明
の効果を損ねない範囲において、その他の有機、無機化
合物等の成分、例えば、離型剤等を用いてもよい。
【0034】この活性アルミナ複合物担体は、上記
(a)〜(c)成分とオキシ酸とを均一に混合し、所望
の寸法と形状を有する成型物に成形した後、800〜9
50℃に加熱焼成して、多孔質の活性アルミナ複合物担
体として調製される。
【0035】このとき、オキシ酸を粉末状で用い、
(a)〜(c)成分の粉末と機械的に乾式混合してもよ
いし、またオキシ酸をオキシ酸が解離しない有機溶媒や
分散媒等に分散させ、これを(a)〜(c)成分と湿式
混合してもよい。(a)〜(c)成分及びオキシ酸の混
合順序は、何ら限定されない。上記湿式混合の際の有機
溶媒や分散媒は、飽和・不飽和炭化水素、芳香族化合
物、脂環式化合物等の極性の低いものが好ましく、また
加熱、焼成時に残渣が残らないもの、腐食性ガスや有害
ガスの発生が無いものを選ぶことが好ましい。
【0036】(a)〜(c)成分及びオキシ酸は、いず
れも50メッシュ、好ましくは100メッシュ、より好
ましくは200メッシュの篩を通過するものがよい。更
に、上記のように湿式混合した担体原料を成型物とした
場合には、担体原料が溶媒や分散媒を含むが、これら溶
媒や分散媒は完全に除去した後に、成型物を焼成するこ
とが望ましい。成型物から溶媒や分散媒を除去するに
は、常圧又は減圧下、常温又は加熱下で乾燥すればよ
い。但し、加熱によって乾燥する場合は、オキシ酸を分
解させないように、加熱温度の上限を90〜100℃と
するのが望ましい。
【0037】担体原料を成形するには、加圧成形、押出
成形等の種々の手段によることができ、特に、加圧成形
によることが好ましい。この加圧成形としては、打錠成
形、射出成形、プレス成形等が挙げられるが、触媒が用
いられる水蒸気改質反応条件を考慮すると、打錠成形が
好ましい。成形物の形状は、球状、楕円球状、紡錘状、
角柱状、円柱状、中空状、打錠状等の種々の粒状体の
他、膜、その他の任意の形状でよく、特に限定されない
が、一般の水蒸気改質反応に用いられている円柱状、中
空状、打錠状の粒状体が好ましい。
【0038】このような成型物、すなわち担体基材を、
酸性雰囲気、例えば空気中で、800〜950℃に加熱
焼成することによって、多孔質の活性アルミナ複合物担
体を調製することができる。焼成時間は、通常、1〜2
0時間である。1時間未満では、オキシ酸の加熱分解が
不充分であり、得られる活性アルミナ複合物担体の比表
面積や細孔容積が所望値に達せず、本発明の触媒におけ
るルテニウムの高担持量高分散状態を得ることができな
い。加えて、アルミナ及び粘土又は粘土鉱物の焼固も不
充分であり、実用強度が得られない場合もある。これら
は、20時間以内で充分に行われるため、20時間を超
える焼成は必要ない。
【0039】このようにして調製される活性アルミナ複
合物担体は、比表面積160m/g以上、好ましくは
170m/g以上、より好ましくは180m/g以
上である。比表面積は、大きいほど反応性が向上する
が、入手できる原料からみて、通常、240m/g程
度が上限であると言える。また、この担体の細孔容積
は、0.2〜0.4ml/g、好ましくは0.25〜
0.4ml/gである。この担体の比表面積や細孔容積
が、上記値に満たない場合は、(d)成分であるルテニ
ウムの所要量を担持させることができないばかりか、ル
テニウムの分散度も低下する傾向にある。
【0040】本発明では、以上の活性アルミナ複合物担
体にルテニウムを担持させるに先立ち、担体の飽和吸水
量を求める。すなわち、予め担体を秤量し、これに水を
ビュレットにて滴下して担体内部まで充分に水を吸収さ
せ、飽和吸水量を測定する。次いで、この飽和吸水量と
等量のイオン交換水又は蒸留水に所定量の三塩化ルテニ
ウム水和物を溶解させ、この水溶液を担体に含浸、吸収
させる。このときの三塩化ルテニウム水溶液の温度は、
三塩化ルテニウムの加水分解を避けるために、50℃未
満、特に室温が好ましい。
【0041】続いて、担体に担持させた三塩化ルテニウ
ム量よりも過剰量の7〜10Nのアルカリ水溶液を担体
上に滴下して、化2に示す例のように、三塩化ルテニウ
ムを水酸化物に変換して、ルテニウムを担体上に不溶・
固定化させる。このような不溶・固定化処理により、三
塩化ルテニウムの塩素は、塩化アンモニウムの形になる
ため、この後の洗浄工程において、脱塩素を効率的に行
うことができる。
【0042】
【化2】RuCl+3NHOH→Ru(OH)
3NHCl
【0043】なお、担体上に(d)成分のルテニウムを
担持させるには、上記の三塩化ルテニウム水和物に限ら
ず、三塩化ルテニウム無水物、ルテニウム酸カリウム等
のルテニウム酸塩、硝酸ルテニウム等のルテニウム塩等
の水溶液を用いることもできる。
【0044】また、ルテニウムの不溶・固定化に用いる
アルカリ水溶液としても、上記のアンモニア水の外、炭
酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム等の水溶液を用いることもできる。但し、アルカ
リ金属を含むアルカリ水溶液を用いる場合には、触媒中
にアルカリ金属イオンが残存しないように、ルテニウム
の不溶・固定化の後、充分に水洗することが必要であ
る。アルカリ金属イオンが触媒中に残存すると、ルテニ
ウムの分散度が低下するばかりか、水蒸気改質反応中に
反応器出口付近のアルカリ金属濃度が高くなり、装置運
転の妨げになることもある。
【0045】本発明において、(d)成分のルテニウム
の担持量は、後述する還元処理後の触媒基準で、0.5
〜5質量%、好ましくは1〜4質量%、より好ましくは
1.3〜3.5質量%である。ルテニウムの分散度のみ
を改善するのであれば、その担持量を減ずればよいが、
ナフサや灯油相当の液状炭化水素を原料とする水蒸気改
質反応に用いる触媒にあっては、所要のレベルの活性点
量と分散度を兼ね備えることが触媒性能を維持する上で
重要である。ルテニウムの担持量が、0.5質量%未満
では、ルテニウムの分散度は所要のレベル以上となるも
のの、活性点量は所要のレベルには至らず、初期活性は
充分であっても、運転中、温度等の運転条件に些細な変
化や変動が起こると、活性低下を起こす虞れがある。5
質量%を越えると、活性金属粒子の間隔が狭まるため、
シンタリング等を起こす虞れがある。
【0046】活性アルミナは、従来より触媒担体として
広く用いられているが、従来の活性アルミナは、比表面
積、多孔質性が小さいため、上記のような多量のルテニ
ウムを一度に担持することができない。そこで、従来
は、二段含浸や三段含浸等の多段含浸法、あるいは高濃
度の塩化ルテニウム水溶液を用いる高濃度含浸法が採用
されているが、これらの方法による場合は、ルテニウム
が触媒上に蒸発乾固する割合が高く、触媒性能を損なう
問題が懸念されている。これに対し、本発明の活性アル
ミナ担体は、比表面積と多孔質性が改善されているた
め、ルテニウム化合物の水溶液中のルテニウムの量(仕
込量、モル数)の95%以上を一段含浸にて担持させる
ことができる。また、この比表面積と細孔容積の改善に
伴う強度上の問題は、粘土又は粘土鉱物の使用により改
善することができ、従って本発明の触媒は、実用に耐え
る強度を有し、しかもその強度を長期間維持させること
ができる。
【0047】本発明では、所要担持量のルテニウムを6
0%以上もの高分散率で担持させることができる。すな
わち、本発明では、前述したように、ルテニウム化合物
の水溶液を活性アルミナ複合物担体に含浸させた後、ア
ルカリ水溶液にて担体上に不溶・固定化するが、この不
溶・固定化時に担体上に担持されないルテニウム種とア
ルカリ種との錯体(例えば、紅色のアミン錯体)を生じ
ることがないため、担体にルテニウムが効率よく担持さ
れることが理解される。
【0048】また、担体上に水酸化ルテニウムを不溶・
固定化した後、この水酸化ルテニウムの酸化を抑制する
ために、本発明の触媒の還元処理に先立ち、100℃以
下、好ましくは90℃以下、より好ましくは50℃以
下、減圧又は常圧下で、乾燥することが望ましい。還元
処理の際に酸化物が存在すると、還元度が不均一になる
こと、酸化物は還元され難いため酸化物のまま触媒表面
に残存すること、が予想され、還元度の不均一や酸化物
の残存は、ルテニウムの分散度を損なう原因となること
がある。
【0049】乾燥は、ヘリウム、アルゴン等の希ガス、
あるいは窒素等の不活性ガス気流中で行うことが理にか
なうが、100℃以下で操作すれば、空気中であって
も、酸化物の生成量は僅少であり、問題にならない。空
気中での乾燥では、乾燥温度は低ければ低いほど、酸化
物の生成を抑制する点で有利になるが、乾燥温度が低す
ぎると、乾燥時間が著しく長くなるため、現実的でな
い。従って、乾燥時間は、乾燥温度、乾燥対象物の量等
の条件に応じて適宜に選定すればよいが、通常は、1〜
2時間程度が好ましい。
【0050】このようにして乾燥した担体上のルテニウ
ム種を比較的低温で還元処理することにより、均一に
(すなわち、分散度の高い状態で)担持させたルテニウ
ム種をそのままの状態(すなわち、分散度の高い状態)
で還元することができる。
【0051】一般に、ルテニウムの分散性の低下は、シ
ンタリング(焼結)によって起こり、このシンタリング
による分散性の低下には、少なくとも2つの原因が挙げ
られる。その1つは、担体自体のシンタリングであり、
折角、活性金属を高分散させても、熱履歴により担体が
シンタリングすると、活性金属の粒子間隔が狭まり、分
散性が低下する。他の1つは、活性金属自体のシンタリ
ングである。本発明では、担体の焼成温度を水蒸気改質
反応温度以上とし、かつ活性金属として融点が高いルテ
ニウム(金属ルテニウムの融点は2450℃)を選択す
ることにより、水蒸気改質反応中(吸熱反応)の担体及
び活性金属を熱履歴の受け難いものとすることができ
る。
【0052】また、担体に不溶・固定化したルテニウム
種、すなわち還元処理前のルテニウム種は、水酸化物で
あり、この水酸化ルテニウムは、60〜80℃程度の低
い温度領域で金属ルテニウムまで還元されるが、極めて
微粒子状の活性金属の場合、極一部の活性点が熱履歴を
受けることも考えられる。従って、本発明では、実プラ
ントで長期間安定した触媒性能が保持できるように、ル
テニウム種の還元温度を、還元温度としては比較的低目
の600〜950℃、好ましくは700〜900℃、よ
り好ましくは800〜900℃とする。950℃を越え
る高温で還元を行うと、ルテニウム金属の凝集やシンタ
リングによる金属表面積の減少の外に、担体の細孔の閉
塞、あるいはアルミナのα相への転移が起こり始めるた
め、触媒活性が著しく低下する。還元用ガスは、水素ガ
ス、水素・水蒸気混合ガス、一酸化炭素等を用いること
ができる。中でも、水素ガスや水素・水蒸気混合ガスが
好ましく、水素ガスが特に好ましい。還元時間は、還元
温度、還元用ガスの通気量等の条件に応じて適宜選択す
ればよいが、1〜20時間程度が実用的である。
【0053】以上のようにして得られる本発明の触媒
は、比表面積が160〜240m/g、CO吸着量
が、50℃において、標準状態換算で、0.9ml/g
以上、ルテニウム金属の分散度が60%以上と極めて優
れた値を有し、また初期の破壊強度が50kgf以上で
あり、しかも所定の水蒸気強度劣化試験後、熱履歴強度
劣化試験後ともに、40kgf以上であり、水蒸気改質
触媒として高い活性と実用に耐える強度を、長期間、安
定して持続する。
【0054】これらの値は、ルテニウム金属活性点が触
媒表面上に充分に存在していること、担体が触媒表面上
に充分露出していること(すなわち、微粒子ルテニウム
が高分散状態で担持された触媒では、担体の表面露出に
与えるルテニウム粒子の影響は小さく、担体が触媒表面
に充分露出することになるのに対し、微粒子ルテニウム
がシンタリング等により積層状や塊状になった触媒で
は、これら積層状や塊状のルテニウムに覆われた分だ
け、担体の表面露出が減少する)、担体に含まれる粘土
及び粘土鉱物が焼固し充分な強度を付与していること等
を意味している。
【0055】一般に、水蒸気改質法では、改質反応が吸
熱反応であることから、熱効率を考えて反応器(触媒
層)が長い。そのため、触媒層下部に位置する触媒に
は、触媒の重量と、反応中の差圧が掛かる。従って、触
媒は、その触媒重量及び差圧に耐える強度が必要であ
り、40kgf以上の強度が要求される。反応中の触媒
の強度が40kgfに満たない場合は、反応中の触媒の
破損や粉砕の虞れがある。触媒が破損あるいは粉砕する
と、触媒粉の目詰まりによる反応器中での差圧が増大
し、あるいは触媒粉が反応器から流出し、下流機器の破
損や故障を引き起こし、長期に安定した運転ができなく
なるばかりか、装置に対する多大な損失を与えることと
もなる。
【0056】上記の水蒸気強度劣化試験とは、充填触媒
体積に対し単位時間当たり12.5×10倍量の水蒸
気流通下において、還元処理前の触媒を800〜950
℃で1000時間保持した後の強度の低下を検証する試
験を言う。また、熱履歴強度劣化試験とは、還元処理前
の触媒を30℃から30℃/分の昇温速度で800〜9
00℃まで急速加熱し、同温度で100時間保持した
後、30℃/分の降温速度で30℃まで急速冷却する操
作を10回繰り返した後の強度を検証する試験を言い、
プラントにおける停止及び運転開始時の急激な温度変化
を模擬した試験である。なお、水蒸気強度劣化試験にお
ける水蒸気流通量は、原料をLHSV=10hr−1
通油する条件でのS/C比に相当する。また、触媒の初
期破壊強度とは、還元処理前の触媒の強度を言う。
【0057】また、触媒の比表面積が160m/g未
満では、担体の有するルテニウム分散性能が低下するた
め、所要のルテニウムの分散度を持たない虞れがある。
触媒がルテニウムの活性点量を多く有していても、高分
散されていなければ、充分な反応性を示さない虞れがあ
る。更に、CO吸着量は、ルテニウムの活性点量を示す
が、0.9ml/g未満では、活性点量が少なく、充分
な反応性を示さない虞れがある。
【0058】本発明の触媒(還元処理後の触媒)のルテ
ニウム分散度は、触媒にCOを吸着させた場合、触媒の
有するルテニウムのモル数に対する吸着したCOのモル
数の割合であり、式2で表される。また、ルテニウム保
持率は、活性アルミナ複合物担体への含浸に用いたルテ
ニウム化合物の水溶液中のルテニウムのモル数に対する
触媒に含まれるルテニウムのモル数の割合であり、式3
で表される。このルテニウム保持率は、誘導結合プラズ
マ発光分析(ICP分析)によって求めることができ
る。ルテニウム保持率が高いほど、ルテニウムが効率よ
く担体に担持されたことを意味する。
【0059】
【数2】式2 ルテニウム分散度(%)=〔触媒の吸着COモル数/触
媒中のルテニウムモル数〕×100 式3 ルテニウム保持率(%)=〔触媒中のルテニウムモル数
/含浸用水溶液中のルテニウムモル数〕×100
【0060】ルテニウムの分散度は、COが金属ルテニ
ウムに選択的に化学吸着する性質を利用して、触媒中に
含まれるルテニウムのうち、実際の触媒反応に関与でき
る活性点の割合を百分率で示したものである。従って、
シンタリングや蒸発乾固等によって表面から隠れたルテ
ニウムや、金属の凝縮等によって表面に露出できないル
テニウムがあれば、そこではCOの吸着は生じず分散度
の値は低くなる。本発明による触媒では、0.5〜5質
量%のルテニウムのうち、60%以上が反応に寄与でき
る活性点になる。これは、触媒表面上に数多くの活性点
が存在していることと、活性アルミナ複合物担体も触媒
表面に充分露出していることを示すものである。従っ
て、本発明の触媒によれば、ナフサから灯油相当の液状
炭化水素を原料とした水蒸気改質反応を、長期間にわた
って、安定して、高収率にて行うことができる。
【0061】また、原料中に硫黄分が含まれていたり、
反応温度や、原料供給量が変動しても、上記担持量のル
テニウムにおいて、ルテニウムの分散度が60%以上あ
れば、活性点が多いため、これらの影響を受け難く、触
媒性能は損なわれ難い。逆に、ルテニウムの分散度が6
0%未満であるときは、活性点数が少ないので見掛けの
反応速度は低下し、また活性アルミナ複合物担体が触媒
表面上に露出し難くなるため担体効果が薄れ、更に活性
点が少ないことから原料中の硫黄分や運転条件の変動等
によって触媒性能が悪化することが懸念される。
【0062】以上詳述した本発明の触媒の存在下で水蒸
気改質する本発明の水素製造方法において、原料として
は、硫黄含有量が0.2重量ppm以下、芳香族化合物
含有量が30容量%以下、炭素数1以上、常圧における
蒸留範囲が300℃以下の液状炭化水素が好適に用いら
れる。このとき、S/C比2.8〜10、原料供給量1
0(vol/vol)h−1以下、好ましくは3(vo
l/vol)h−1以下、反応圧力2気圧以上とし、反
応温度は750〜900℃、好ましくは780〜850
℃が適している。反応方式は、特に限定されるものでは
ないが、固定床あるいは移動床反応装置を利用するバッ
チ式、半連続式、あるいは連続式操作が好ましい。
【0063】なお、上記の原料供給量は、充填触媒の体
積に対する時間当たりの原料の供給体積の比であり、式
4で表される。
【0064】
【数3】式4 原料供給量〔(vol/vol)h−1〕=〔時間当た
りの原料の供給体積〕/〔充填触媒の体積〕
【0065】本発明の水素製造方法では、本発明の触媒
を単独で使用してもよいし、本発明の触媒以外の触媒と
併用してもよい。併用する場合は、本発明の触媒を反応
器上部に、該触媒以外の触媒を反応器下部に、1:9〜
10:0の比率で充填することが好ましい。
【0066】
【実施例】以下の実施例において、生成物の分析は、ス
テンレス(SUS)製管(内径3mm、長さ2m)に、
60〜80メッシュの充填剤(Unibeads−C、
GLサイエンス社製)を充填し、これを分離カラムとし
て取り付けた熱伝導型検出器(TCD)付きガスクロマ
トグラフ(GC−9A、島津製作所製)にて行った。
【0067】担体及び触媒の比表面積及び細孔容積は表
面積測定装置(ベルソープ28、ベルジャパン社製)に
より、触媒上へのCO吸着量はTCDガスクロマトグラ
フを内蔵した自動吸着装置(R6015、大倉理研製)
により、それぞれ測定した。
【0068】CO吸着量の測定手順は、触媒を試料管に
入れ、キャリアガスにHeガスを用い、還元ガスに水素
ガスを用いて、先ず、水素ガスを流して還元温度まで加
熱し4時間還元を行い、次いで、Heガスに切り替えて
50℃まで冷却し、その後、COガスを試料管に一定量
流してCO吸着量を測定することにより行った。
【0069】触媒の破壊強度(DWL:dead we
ight load)は、木屋式硬度計(木屋製作所
製、測定範囲0〜50kgf)にて測定した。測定に用
いた試料は、乾燥器で充分乾燥させたものをデシケータ
で30℃以下になるまで冷却し、20〜30℃の範囲で
測定した。30試料を測定し、最高値と最低値を除いた
平均値を触媒の破壊強度とした。触媒の水蒸気強度劣化
試験は、還元前の触媒を加圧流通式反応器に5ml充填
し、窒素等の不活性ガスを通気しながら、圧力0.88
6MPa(8kg/cmG)で、900℃まで昇温し
た後、63リットル/hrの水蒸気(原料をLHSV=
10hr−1で通油する条件でのS/C比に相当)を導
入し、圧力0.886MPa(8kg/cmG)、温
度900℃で、1000時間保持することにより行い、
この触媒を乾燥器で充分に乾燥させ、触媒の破壊強度を
測定した。触媒の熱履歴強度劣化試験は、マッフル炉に
還元処理前の触媒を入れ、昇温速度30℃/分以上で8
00℃まで急速加熱し、同温度で100時間保持した
後、触媒を取り出して降温速度30℃/分以上で30℃
まで急速冷却し、直ちに30℃/分以上で800℃まで
急速加熱する操作を10回繰り返すことにより行い、こ
の触媒の破壊強度を測定した。
【0070】触媒のルテニウム担持量は、誘導結合プラ
ズマ発光分析(ICP分析)によって確認した。
【0071】液状炭化水素中の硫黄分の定量は、電気伝
導法で測定し、平均分子式は、CHN法で得られた水
素、炭素含有量を基に、C1022とした。触媒への
析出炭素量は、炭素分析装置(Model EMIA−
110、堀場製作所製)で測定した。
【0072】また、表1から2における原料の転化率
は、式5で表される。
【数4】式5 原料転化率(%)=〔(M−M)/(M)〕×10
0 M:原料の液状炭化水素の炭素モル数 M :生成ガス中の炭素モル数
【0073】実施例1 活性アルミナ粉末50.0g、酸化マグネシウム粉末
1.6g、イライト粉末1.6g、及びリンゴ酸粉末
0.5gを瑪瑙乳鉢を用いて充分に混合した。この粉末
(200メッシュ)を、打錠成型器(FK−1型、シス
テムズエンジニアリング社製)を用いて、成形圧20ト
ン/cmで、直径3.2mmの円柱状(ペレット)に
成形し、マッフル炉にて空気中、800℃で3時間焼成
し、担体ペレットを得た。焼成中に発生したガスは、マ
ッフル炉に設けた排気管から水流ポンプを用いてドラフ
トチャンバー内に排気した。担体ペレットは、比表面積
193m/g、細孔容積0.33ml/gであった。
【0074】三塩化ルテニウム・水和物(RuCl
nHO、ルテニウム含量36質量%)1gを水に溶解
して容量50.2mlとし、この水溶液25ml中に上
記の担体ペレット35.8gを室温で1時間漬浸した。
ペレットを、水溶液から取り出し、付着している水溶液
を除去した後、ロータリーエバポレーターを用い、約
2.7kPa(約20mmHg)程度の真空下、赤外線
式ホットプレートで約40℃に加熱して、水分を除い
た。
【0075】次いで、ペレットを、7Nアンモニア水約
1L(市販試薬特級の約2倍希釈)中に移し、30℃に
保ちつつ、スターラーで2時間ゆっくり攪拌して、ルテ
ニウムを不溶・固定化した。このペレットを、ブフナー
漏斗を用いてアンモニア水から回収した。回収したペレ
ットをイオン交換水で充分洗浄した。洗浄は、濾液の一
部に硝酸銀水溶液を滴下し、塩化銀の白色沈殿が生じな
くなるまで行った。洗浄したペレットは、真空乾燥器中
45℃で15時間乾燥した。
【0076】乾燥後のペレットを通常の加圧流通式反応
装置に充填し、圧力0.297MPa(2kg/cm
G)、600℃、GHSV1000(v/v)h−1
8時間、マスフローコントローラで流量調整した水素で
還元し、触媒Aを得た。
【0077】触媒Aは、ルテニウム0.5質量%、酸化
マグネシウム2.9質量%、残りイライトとアルミナか
らなり、比表面積181/g、破壊強度(DWL)50
kgf以上であり、CO吸着量0.9ml/g(STP
(標準状態)換算値)であった。担体にルテニウムを担
持させないときは、CO吸着が見られないことから、こ
の値はCOのルテニウム上への吸着量を示すものであ
る。ルテニウム分散度は、前記式3で計算した結果、8
5.1%であった。水蒸気強度劣化試験後の破壊強度4
0kgf、熱履歴強度劣化試験後の破壊強度47kgf
であった。触媒Aの性状を表1に示す。
【0078】反応器に触媒Aを10ml充填し、この反
応器に、原料油としてJIS1号灯油を脱硫したもの
(硫黄化合物0.1重量ppm以下、密度0.792g
/cm、分子量144、分子式C1022)を水蒸
気と共に導入し、水蒸気改質反応を、反応温度750
℃、反応圧力0.297MPa(2kg/cmG)、
S/C比2.8、原料供給量0.5(v/v)h−1
行った。なお、耐硫黄被毒性を評価する意味で、硫化水
素を上記の反応系内に導入した。その濃度は8容量pp
mに調整した。反応結果を表2に示す。
【0079】実施例2 活性アルミナ粉末50.0g、酸化イットリウム粉末
4.0g、ベントナイト粉末2.9g、サリチル酸粉末
1.7gを使用し、焼成温度850℃とした以外は、実
施例1と同様にして担体ペレットを調製した。担体ペレ
ットは、比表面積196m/g、細孔容積0.32m
l/gであった。
【0080】担体ペレット39.6gを、三塩化ルテニ
ウム・水和物1gを含む水27.8mlに浸漬し、還元
温度700℃とした以外は、実施例1と同様にして触媒
Bを調製した。触媒Bは、ルテニウム0.9質量%、酸
化イットリウム7.1質量%、残りベントナイトとアル
ミナからなり、比表面積180m/g、初期破壊強度
50kgf以上、水蒸気強度劣化試験後の破壊強度41
kgf、熱履歴強度劣化試験後の破壊強度50kgf、
CO吸着量1.7ml/g(STP)、ルテニウム分散
度83.7%であった。
【0081】触媒Bの性状を表1に、反応温度770
℃、反応圧力0.494MPa(4kg/cmG)、
S/C比3、原料供給量3h−1で、実施例1と同様に
して触媒Bを用いて行った水蒸気改質反応の結果を表2
に示す。
【0082】実施例3 活性アルミナ粉末50.0g、酸化セリウム粉末4.4
g、モンモリロナイト粉末4.2g、トロバ酸粉末4.
1gを使用し、焼成温度870℃とした以外は、実施例
1と同様にして担体ペレットを調製した。担体ペレット
は、比表面積200m/g、細孔容積0.34ml/
gであった。
【0083】担体ペレット44.3gを、三塩化ルテニ
ウム・水和物2gを含む水31mlに浸漬し、還元温度
800℃とした以外は、実施例1と同様にして触媒Cを
調製した。触媒Cは、ルテニウム1.6質量%、酸化セ
リウム7.4質量%、残りモンモリロナイトとアルミナ
からなり、比表面積193m/g、初期破壊強度50
kgf以上、水蒸気強度劣化試験後の破壊強度46kg
f、熱履歴強度劣化試験後の破壊強度50kgf、CO
吸着量2.9ml/g(STP)、ルテニウム分散度8
0.3%であった。
【0084】触媒Cの性状を表1に、反応温度800
℃、反応圧力0.886MPa(8kg/cmG)、
S/C比3、原料供給量0.7h−1で、実施例1と同
様にして触媒Cを用いて行った水蒸気改質反応の結果を
表2に示す。
【0085】実施例4 活性アルミナ粉末50.0g、酸化セリウム粉末11.
2g、カオリン粉末11.2g、クエン酸粉末18.1
gを使用し、焼成温度900℃とした以外は、実施例1
と同様にして担体ペレットを調製した。担体ペレット
は、比表面積213m/g、細孔容積0.36ml/
gであった。
【0086】担体ペレット46.6gを、三塩化ルテニ
ウム水和物4gを含む水32.6mlに浸漬し、還元温
度850℃とした以外は、実施例1と同様にして触媒D
を調製した。触媒Dは、ルテニウム3質量%、酸化セリ
ウム14.8質量%、及び残りカオリンとアルミナから
なり、比表面積196m/g、初期破壊強度50kg
f以上、水蒸気強度劣化試験後の破壊強度47kgf、
熱履歴強度劣化試験後の破壊強度50kgf以上、CO
吸着量4.7ml/g(STP)、ルテニウム分散度7
0.9%であった。
【0087】触媒Dの性状を表1に、反応温度830
℃、反応圧力0.886MPa、S/C比3、原料供給
量1.4h−1で、実施例1と同様にして触媒Dを用い
て行った水蒸気改質反応の結果を表2に示す。
【0088】実施例5 活性アルミナ粉末50.0g、酸化セリウム粉末27.
2g、ボールクレー粉末27.2g、安息香酸粉末5
2.2gを使用し、焼成温度930℃とした以外は、実
施例1と同様にして担体ペレットを調製した。担体ペレ
ットは、比表面積199m/g、細孔容積0.32m
l/gであった。
【0089】担体ペレット35.5gを、三塩化ルテニ
ウム水和物4gを含む水24.8mlに浸漬し、還元温
度900℃とした以外は、実施例1と同様にして触媒E
を調製した。触媒Eは、ルテニウム3.9質量%、酸化
セリウム25質量%、残りボールクレーとアルミナから
なり、比表面積188m/g、初期破壊強度50kg
f以上、水蒸気強度劣化試験後の破壊強度50kgf、
熱履歴強度劣化試験後の破壊強度50kgf以上、CO
吸着量5.4ml/g(STP)、ルテニウム分散度6
2.3%であった。
【0090】触媒Eの性状を表1に、反応温度860
℃、反応圧力0.494MPa、S/C比3又は5、原
料供給量7h−1で、実施例1と同様にして触媒Eを用
いて行った水蒸気改質反応の結果を表2に示す。
【0091】実施例6 活性アルミナ粉末50.0g、酸化セリウム粉末42.
6g、バーミキュライト粉末42.6g、クエン酸粉末
95.0gを使用し、焼成温度950℃とした以外は、
実施例1と同様にして担体ペレットを調製した。担体ペ
レットは、比表面積196m/g、細孔容積0.32
ml/gであった。
【0092】担体ペレット28.6gを、三塩化ルテニ
ウム水和物4gを含む20.0mlに浸漬し、還元温度
950℃とした以外は、実施例1と同様にして触媒Fを
調製した。触媒Fは、ルテニウム4.8質量%、酸化セ
リウム30質量%、残りバーミキュライトとアルミナか
らなり、比表面積193m/g、初期破壊強度50k
gf以上、水蒸気強度劣化試験後の破壊強度50kg
f、熱履歴強度劣化試験後の破壊強度50kgf以上、
CO吸着量6.4ml/g(STP)、ルテニウム分散
度60.5%であった。
【0093】触媒Fの性状を表1に、反応温度900
℃、反応圧力0.297MPa、S/C比3又は10、
原料供給量9h−1で、実施例1と同様にして触媒Fを
用いて行った水蒸気改質反応の結果を表2に示す。
【0094】実施例7 活性アルミナ粉末50.0g、酸化セリウム粉末5.3
g、カオリン粉末14.1g、酒石酸粉末6.9gを使
用し、焼成温度900℃とした以外は、実施例1と同様
にして担体ペレットを調製した。担体ペレットは、比表
面積205m/g、細孔容積0.34ml/gであっ
た。
【0095】担体ペレット47.3gを、三塩化ルテニ
ウム水和物2gを含む33.1mlに浸漬し、還元温度
800℃とした以外は、実施例1と同様にして触媒Gを
調製した。触媒Gは、ルテニウム1.5質量%、酸化セ
リウム7.6質量%、残りカオリンとアルミナからな
り、比表面積190m/g、初期破壊強度50kgf
以上、水蒸気強度劣化試験後の破壊強度49kgf、熱
履歴強度劣化試験後の破壊強度50kgf以上、CO吸
着量2.5ml/g(STP)、ルテニウム分散度7
5.2%であった。
【0096】触媒Gの性状を表1に、反応温度800
℃、反応圧力0.886MPa、S/C比3、原料供給
量1h−1で、実施例1と同様にして触媒Gを用いて行
った水蒸気改質反応の結果を表2に示す。
【0097】実施例8 実施例7の触媒Gを用いて、原料油として、脱硫して硫
黄分を0.1重量ppm以下にしたナフサ留分液状炭化
水素(密度0.658、分子量79.1、分子式C
5.513.1)を用い、実施例7と同様にして水蒸
気改質反応を行った結果を表2に示す。
【0098】実施例9 実施例7の触媒Gと、市販の水蒸気改質触媒(G−56
H−1、日産ガードラー社製触媒、ニッケル:18質量
%、KO:0.4質量%、残りアルミナ)Hを用い、
触媒G:触媒H=1:9の割合で反応器の上部に触媒G
を、下部に触媒Hを充填し、実施例8と同様にして水蒸
気改質反応を行った結果を表2に示す。
【0099】比較例1 実施例9の触媒Hを用い、実施例7と同様にして水蒸気
改質反応行った結果を表4に示す。
【0100】比較例2 活性アルミナ粉末50.0g、ベントナイト粉末12.
7g、リンゴ酸粉末6.3gを使用し、焼成温度900
℃とした以外は、実施例1と同様にして担体ペレットを
調製した。担体ペレットは、比表面積210m/g、
細孔容積0.34ml/gであった。
【0101】担体ペレット54.7gを、三塩化ルテニ
ウム水和物2gを含む38.3mlに浸漬し、還元温度
800℃とした以外は、実施例1と同様にして触媒Iを
調製した。触媒Iは、ルテニウム1.3質量%、残りベ
ントナイトとアルミナからなり、比表面積190m
g、初期破壊強度50kgf以上、水蒸気強度劣化試験
後の破壊強度49kgf、熱履歴強度劣化試験後の破壊
強度50kgf、CO吸着量2.5ml/g(ST
P)、ルテニウム分散度85.2%であった。
【0102】触媒Iの性状を表3に、反応温度800
℃、反応圧力0.886MPa、S/C比3、原料供給
量1h−1で、実施例1と同様にして触媒Iを用いて行
った水蒸気改質反応の結果を表4に示す。
【0103】比較例3 活性アルミナ粉末50.0g、酸化セリウム粉末4.1
g、クエン酸粉末5.4gを使用し、焼成温度900℃
とした以外は、実施例1と同様にして担体ペレットを調
製した。担体ペレットは、比表面積213m/g、細
孔容積0.34ml/gであった。
【0104】担体ペレット41.6gを、三塩化ルテニ
ウム水和物2gを含む29.1mlに浸漬し、還元温度
800℃とした以外は、実施例1と同様にして触媒Jを
調製した。触媒Jは、ルテニウム1.7質量%、酸化セ
リウム7.5質量%、残りアルミナからなり、比表面積
189m/g、初期破壊強度50kgf、水蒸気強度
劣化試験後の破壊強度0kgf、熱履歴強度劣化試験後
の破壊強度18kgf、CO吸着量3.0ml/g(S
TP)、ルテニウム分散度80.3%であった。
【0105】触媒Jの性状を表3に、反応温度800
℃、反応圧力0.886MPa、S/C比3、原料供給
量1h−1で、実施例1と同様にして触媒Jを用いて行
った水蒸気改質反応の結果を表4に示す。
【0106】比較例4 活性アルミナ粉末50.0g、酸化セリウム粉末5.3
g、イライト粉末14.1gを使用し、焼成温度900
℃とした以外は、実施例1と同様にして担体ペレットを
調製した。担体ペレットは、比表面積180m/g、
細孔容積0.29ml/gであった。
【0107】担体ペレット47.3gを、三塩化ルテニ
ウム水和物2gを含む33.1mlに浸漬し、還元温度
800℃とした以外は、実施例1と同様にして触媒Kを
調製した。触媒Kは、ルテニウム1.5質量%、酸化セ
リウム7.7質量%、残りイライトとアルミナからな
り、比表面積163m/g、初期破壊強度50kgf
以上、水蒸気強度劣化試験後の破壊強度47kgf、熱
履歴強度劣化試験後の破壊強度49kgf、CO吸着量
1.9ml/g(STP)、ルテニウム分散度55.7
%であった。
【0108】触媒Kの性状を表3に、反応温度800
℃、反応圧力0.886MPa、S/C比3、原料供給
量1h−1で、実施例1と同様にして触媒Kを用いて行
った水蒸気改質反応の結果を表4に示す。
【0109】比較例5 活性アルミナ粉末50.0g、酸化セリウム粉末5.3
g、モンモリロナイト粉末14.1g、酒石酸粉末6.
9gを使用し、焼成温度900℃とした以外は、実施例
1と同様にして担体ペレットを調製した。担体ペレット
は、比表面積206m/g、細孔容積0.33ml/
gであった。
【0110】担体ペレット50.7gを、三塩化ルテニ
ウム水和物2gを含む35.5mlに浸漬し、不溶・固
定化、乾燥、及び還元操作を行わず、触媒Lを調製し
た。触媒Lは、ルテニウム1.4質量%、酸化セリウム
7.6質量%、残りモンモリロナイトとアルミナからな
り、比表面積193m/g、初期破壊強度50kgf
以上、水蒸気強度劣化試験後の破壊強度48kgf、熱
履歴強度劣化試験後の破壊強度50kgf、CO吸着量
0.4ml/g(STP)、ルテニウム分散度11.8
%であった。
【0111】触媒Lの性状を表3に、反応温度800
℃、反応圧力0.886MPa、S/C比3、原料供給
量1h−1で、実施例1と同様にして触媒Lを用いて行
った水蒸気改質反応の結果を表4に示す。
【0112】比較例6 実施例7の触媒Gと実施例9の触媒Hを、0.5:9.
5の割合で反応器に触媒Gを上部に充填し、実施例9と
同様にして水蒸気改質反応を行った結果を表4に示す。
【0113】
【表1の1】
【0114】
【表1の2】
【0115】
【表2の1】
【0116】
【表2の2】
【0117】
【表2の3】
【0118】
【表3の1】
【0119】
【表3の2】
【0120】
【表4の1】
【0121】
【表4の2】
【0122】Ni系触媒(触媒H)を用いて、炭素数の
多い灯油(平均炭素数10)を原料にして水蒸気改質反
応を行う比較例1では、触媒上に炭素析出(析出量3.
5質量%)を起こし、原料転化率が2.9%と低い。一
方、本発明の触媒を用いる実施例1〜7では、同条件で
も、触媒上への炭素析出(析出量0.3質量%)が少な
く、原料転化率も99.5%と高く維持できる。従っ
て、金属ルテニウムが持つ炭素析出抑制能の効果が判
る。
【0123】実施例9と比較例6から明らかなように、
本発明の触媒とNi系触媒を併用して使用する場合、本
発明による両触媒の充填比率において、原料転化率を高
く維持できることが判る。
【0124】実施例1〜9と比較例2から明らかなよう
に、原料中に硫化水素が存在していても、触媒が第3成
分を有するときは、金属ルテニウムの硫化水素被毒が起
こり難く、従って炭素析出をよく抑えることができる。
これは、触媒が第3成分を有するときは、これが硫黄化
合物を吸着、吸収し、触媒の活性点を保護して、原料転
化率を高く維持することを意味する。
【0125】比較例3は、触媒の初期破壊強度及び原料
転化率も満足できる値であるが、水蒸気強度劣化試験後
及び熱履歴強度劣化試験後において、触媒の強度の低下
が著しい。粘土又は粘土鉱物を配合する本発明の触媒で
は、この触媒の強度の低下は、大きく改善され、実用強
度を維持することができる。これは、粘土又は粘土鉱物
が焼固することにより、触媒の強度の低下を抑制し、実
用強度を維持することを意味する。
【0126】オキシ酸を使用しない比較例4では、ルテ
ニウムの分散度は、高々55.7%であるのに対し、オ
キシ酸を配合する本発明では、ルテニウムの分散度は、
60〜86%にまで改善され、また比表面積について
も、比較例4では136m/gであるが、本発明では
177〜196m/gまで改善される。これは、オキ
シ酸の配合より、多孔性が改善される結果、ルテニウム
の分散度が向上することを意味する。更に、比較例4で
は、活性点量は充分であるといえるが、上述のように、
比表面積とルテニウムの分散度が小さいので、原料転化
率(80.3%)が低い。
【0127】ルテニウムの不溶・固定化、乾燥、還元操
作を行わない比較例5では、ルテニウムの分散度が1
1.8%と低く、原料転化率もそれに従い2.8%と低
くなっている。
【0128】
【発明の効果】以上のように、本発明の触媒は、実用レ
ベルの強度を有すると共に、その強度を長期間維持し、
耐硫黄被毒性と耐炭素析出性能を備えたものであり、ナ
フサや灯油相当の液状炭化水素の水蒸気改質を行う工業
的プロセスにおいて、高転化率の優れた反応成績を長期
間安定して持続させることができる。また、本発明の方
法は、廉価な原料を用いて、水素を効率よく製造するこ
とがてきる。更に、本発明の触媒と現行触媒とを併用し
ても、装置の大規模な改造や、装置の新設を行う必要が
なく、若干の装置改造程度で、低コストの水素製造を行
うことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C01B 3/40 C01B 3/40 (72)発明者 鈴木 崇 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内 (72)発明者 岩波 彦一 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内 (72)発明者 吉成 知博 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内 Fターム(参考) 4G040 EA03 EA06 EB16 EC01 EC04 EC07 4G069 AA03 AA08 AA09 BA01A BA01B BA10A BA10B BA11B BB02A BB02B BB04A BB04B BC08A BC10B BC15A BC34A BC38A BC40B BC41A BC43B BC70A BC70B CC17 DA06 EA02Y EB19 EC03Y EC07Y ED03 ED07 ED08 FA02 FB07 FB08 FB14 FB30 FB44 FB64

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)酸化アルミニウム、(b)周期表
    2族、3族及びランタノイド金属の酸化物よりなる群か
    ら選ばれる少なくとも1種、(c)粘土又は粘土鉱物か
    ら選ばれる少なくとも1種、(d)金属ルテニウムを含
    んでなる高分散型水蒸気改質触媒。
  2. 【請求項2】 初期破壊強度が50kgf以上、水蒸気
    強度劣化試験後、及び熱履歴強度劣化試験後における破
    壊強度が40kgf以上であることを特徴とする請求項
    1記載の高分散型水蒸気改質触媒。
  3. 【請求項3】 硫黄含有量0.2ppm以下、芳香族化
    合物含有量30容量%以下、炭素数1以上、常圧におけ
    る蒸留範囲300℃以下の液状炭化水素からなる原料と
    水蒸気を請求項1又は2記載の高分散型水蒸気改質触媒
    に接触させ、水蒸気/炭素比2.8〜10、原料供給量
    10h−1以下、反応圧力2気圧以上に保つことを特徴
    とする水素製造方法。
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