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最強のGPSはどれだ! 高級スマートウォッチ3台を徹底比較

走行中の距離やペースを測れるスマートウォッチは、ランニングやウォーキングを楽しむユーザーにとって、もはや定番アイテム。しかし、「どれを選べばよいかわからない」という人も多いでしょう。そこで、GPS精度が高いとされるハイエンドなスマートウォッチ3本を徹底比較します。

高精度のGPS精度を搭載しつつ、高価格な3モデルをテストします

高精度のGPS精度を搭載しつつ、高価格な3モデルをテストします

最強のGPS決定戦の走者3モデルはこちら

GPS精度が高いとされる、3〜4万円台で買えるミドルスペックのスマートウォッチ3台の実力を確認するべく比較テストを前回実施。それぞれ微差はあったものの、いずれのモデルも高い精度を誇る優秀なGPSを搭載していることが明らかになりました。今回はその第二弾として、各ブランドの顔とも言える価格もGPS精度も高いハイエンドモデルを比較します。

今回テストする3モデルは以下です。
・ガーミン「fenix8 Sapphire AMOLED 51mm」
・ファーウェイ「HUAWEI WATCH Ultimate(グリーン)」
・スント 「VERTICAL Titanium Solar」

いずれも11万円を超える高価格な3モデルを、ランナーにとって重要なGPS精度とディスプレイの視認性にフォーカスして徹底比較。ランニング中に求められる距離計測の精度と、走行中におけるディスプレイの見やすさなどの要素を検証します。テストをスタートする前にそれぞれのスマートウォッチを簡単に解説しましょう。

第一走者:ガーミン「fenix8 Sapphire AMOLED 51mm」

「GPS精度と言えばガーミン」と言われるほどの信頼を誇るガーミン。そんなメーカーの顔であり、機能をほぼ全部載せしたフラッグシップモデルが「fenix8 Sapphire AMOLED 51mm(以下、fenix8)」です 。「fenix8」の中にもバリエーションがありますが、今回は有機ELディスプレイを採用した51oサイズを試用します。

ガーミン「fenix8 Sapphire AMOLED 51mm」、価格.com最安価格166,800円、2024年8月29日発売

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「fenix8」の個性的な機能は、声でスマートウォッチを操作できる「音声コマンド」です。ペアリングしたスマートウォッチを携帯する必要がありますが、時計に向かって「ランニングスタート」と指示を出せば、ボタンで操作することなくランニングモードが開始できます。ほかにも「心拍数を教えて」や「今日の目標は?」と呼びかけることで、多機能な「fenix8」を快適に操作できます。

多機能で階層の複雑な「fenix8」だからこそ、「音声コマンド」の実力が発揮されます

多機能で階層の複雑な「fenix8」だからこそ、「音声コマンド」の実力が発揮されます

・重量:92g(シリコンバンドモデル)
・ディスプレイサイズ:1.4インチ
・駆動時間:スマートウォッチモード / 約29日間、GPSモード / 約84時間、マルチGNSSモード:約68時間
・GPS:GPS / GLONASS / Galileo /みちびき / BeiDou / GNSSマルチバンド/ SatlQ(衛星自動選択モード)

第二走者:ファーウェイ「HUAWEI WATCH Ultimate」

次に紹介するのが、高級感のあるデザインとさまざまなスポーツに対応する機能性を両立させたフラッグシップモデル「HUAWEI WATCH Ultimate」です。タフなボディには、スマートウォッチでは初となるジルコニウムベースのリキッドメタルを採用。耐摩耗性、耐腐食性にすぐれており、雪山から砂漠まで、あらゆる環境に対応します。

ファーウェイ「HUAWEI WATCH Ultimate(グリーン)」、価格.com最安価格127,512円、2024年10月9日発売

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ランニングやゴルフといったフィールドスポーツ用の機能が充実していますが、特筆すべきは、プロダイバーも認める防水性能です。ダイビングウォッチさながらの 100m防水を実現し、「ダイビングモード」でログを取得しながら、安全にダイビングが楽しめます。

新色として追加された「グリーン」を試用します

新色として追加された「グリーン」を試用します

・重量:約76 g(ベルト含まず)
・ディスプレイサイズ:1.5インチ
・駆動時間:スマートウォッチモード / 約14日間
・GPS:GPS / GLONASS / Galileo /QZSS / BeiDou / GNSSマルチバンド

第三走者:スント「VERTICAL Titanium Solar」

3本目は、長年アウトドアユーザーから信頼され続ける時計ブランドであるスントの一本。「VERTICAL Titanium Solar」は、冒険を楽しむためのツールとしての耐久性と豊富な機能が魅力です。高度なGPS機能に加えて、オフライン環境でも確認できる詳細な地図機能、ランニングをはじめとするさまざまなアクティビティモードなど、冒険心を刺激する数々の機能を備えています。

スント「VERTICAL Titanium Solar」、価格.com最安価格114,310円、2023年6月9日発売

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時計前面にソーラーパネルが搭載されており、省電力モードでGPSを作動させた際には、約500時間ものバッテリー駆動が可能となるそう。電力が限られるアウトドア環境でも安心して使用できます。今回テストする3本の中では唯一、ディスプレイにバッテリーの持ちがよいMIP液晶を採用しているとはいえ、驚異的な駆動時間です。

ソーラー充電による驚異的なバッテリー性能が魅力です

ソーラー充電による驚異的なバッテリー性能が魅力です

・重量:74g
・ディスプレイサイズ:1.4インチ
・駆動時間:スマートウォッチモード / 最大約30日間(ソーラー使用で約60日間)、GNSS モード + デュアルバンド / 最大約65時間(ソーラー使用で約90時間)、省電力 GNSS モード / 最大約500時間
・GPS:GPS / GLONASS / Galileo /QZSS / BeiDou / デュアルバンドGNSS

3台同時に使用してGPS精度をチェック!

ここからは実際に着用して、各スマートウォッチのGPSの精度と屋外でのディスプレイの視認性をチェックします。なお、心拍数は3台同時に使うと計測にバラつきがでるため、今回は確認しません。

アウトドアで使えるモデルらしく、カラフルな3本が揃いました

アウトドアで使えるモデルらしく、カラフルな3本が揃いました

正確に距離を計測するため、400mトラックを使用してランニングを行います。計測は3回、すべて同じレーンを走るのに加えて、狭い場所を走ったときでも詳細な軌跡を記録できる「トラックランモード」を使用します。3台ともハイエンドモデルらしく、“何レーンを走るか”まで細かく設定できるなど、精度の高い計測結果が期待できそうです。

高級モデル三台を着用したリッチな走行テストの開始です

高級モデル三台を着用したリッチな走行テストの開始です

ガーミン「fenix8」は、完璧に近いGPS精度

まずはガーミン「fenix 8」の記録から確認。3回の走行のうち、一度だけ410mが記録されましたが、残りの2回は正確に400mが記録されています。ランニングフォームや、周囲の環境によって誤差が出ることはありますが、GPSは完璧に近い精度で機能しているようです。

公式スマホアプリ「Garmin Connect」では、ランニングの軌跡がきれいなオーバルを描いています

公式スマホアプリ「Garmin Connect」では、ランニングの軌跡がきれいなオーバルを描いています

続いて、ディスプレイの視認性をチェックします。「fenix 8」シリーズの中で最大の51mmモデルを使っていることもあって、とにかく画面が大きい! 心拍数、ペース、距離、タイムの4項目を表示した状態で確認すると、数字も大きく見やすいです。フォントのデザインや太さもちょうどよく、ランニング中のペース調整もスムーズでした。

数値の配置場所を自由にカスタマイズできます

数値の配置場所を自由にカスタマイズできます

「HUAWEI WATCH Ultimate」は視認性◎

「HUAWEI WATCH Ultimate」の結果は、走行距離0.39km、0.42km、0.41kmと数値にバラつきが見られました。すべて400mから20m以内のズレですが、完璧とは言えない結果です。さらに、走っていて気になったのが、重量感です。腕と接するケースの表面がツルツルしていることで時計が動いてしまい、重量以上の重たさを感じました。

計測数値にはバラつきがありました

計測数値にはバラつきがありました

ディスプレイの視認性は抜群! 有機ELディスプレイは、細かい数字もくっきりと表示され、走行中のチラ見でも、数値を把握しやすかったです。バックライトが明るいため、場所の明るさに左右されずに画面を確認できることは、スポーツ中に使用するスマートウォッチとしては、大きなメリットと言えます。

1.5インチの大型ディスプレイは数値も大きい

1.5インチの大型ディスプレイは数値も大きい

数値にバラつきが見られたスント「VERTICAL Titanium Solar」

スント「VERTICAL Titanium Solar」は、走行距離にバラつきがみられました。430m、422m、421mと、400mから20〜30mほどのズレが生じています。走行の軌跡も、ほかの2モデルに比べて滑らかではありません。

移動軌跡が描くオーバルは、滑らかではありません

移動軌跡が描くオーバルは、滑らかではありません

GPS性能にはバラつきがありましたが、MIP液晶の視認性はかなり良好です。近ごろは有機ELディスプレイが主流ですが、直射日光下ではMIP液晶のほうが見やすいのは定評どおり。MIP液晶はすっかり旧モデルみたいな扱いになっていますが、屋外を走るランナーにとっては“まだまだ現役”で使えるディスプレイという印象。改めてその実力を実感しました。

MIP液晶は直射日光があたる中でも、くっきり数値を表示できます

MIP液晶は直射日光があたる中でも、くっきり数値を表示できます

計測結果のまとめ

今回のテストでは、GPS精度と視認性のどちらも抜群なガーミン「fenix8」が最も高く評価できる結果となりました。次いで、GPS精度にバラつきの生じた「HUAWEI WATCH Ultimate」、大きくブレが出てしまったスント「VERTICAL Titanium Solar」の順位となりました。

左から、ガーミン「fenix8」、スント「VERTICAL Titanium Solar」、「HUAWEI WATCH Ultimate」

左から、ガーミン「fenix8」、スント「VERTICAL Titanium Solar」、「HUAWEI WATCH Ultimate」

とはいえ、スマートウォッチはGPS性能がすべてではなく、どのモデルも個性溢れる機能を搭載しています。「fenix8」には、ランニング中でも操作しやすい「音声コマンド」や、ランニングに特化した機能が充実。「HUAWEI WATCH Ultimate」には、ランニングだけでなく、100m防水を生かした水泳やダイビングなど、さまざまなアクティビティに対応できます。また、スント「VERTICAL Titanium Solar」は、圧倒的なバッテリーの持続時間と、直射日光にも影響されない高い視認性はランナーにはうれしいポイント。自分のライフスタイルに合わせた最適な一台を選びましょう!

今 雄飛
Writer
今 雄飛
ミラソル デポルテ代表。自転車、トライアスロン、アウトドア関連のライターとしても活動中。趣味はロングディスタンスのトライアスロン。
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関原元気(編集部)
Editor
関原元気(編集部)
出版社にてメンズファッション誌やWebメディアの編集に長年従事し、現在は「価格.comマガジン」にて、PC、スマートフォン、スマートウォッチ分野を担当。ユーザー目線で、デジタルガジェットの面白さを届けます。
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