大手携帯キャリアのメインブランドと比べて毎月のスマホ料金が安い、オンラインプランやMVNOの格安SIM。料金が安いのはうれしいが、通信速度も気になるところ。実際はどうなのかを探るべく実施している人気回線の通信速度調査。2024年12月12日・16日に行った今回は、スピードテストの上り・下り平均速度とアプリダウンロード平均速度がすべて前回からスピードダウンする結果となった。
スマートフォンの通信速度は時間帯や場所によって変化する。たとえば、休憩時間にあたる平日昼の12時台や、プライベートでの通信が増える夕方から深夜、都市部のターミナル駅周辺のように人口が極端に集中する場所においては、通信が混雑して回線速度が低下しやすい。ただ、その度合いは通信会社ごとに異なっており、重要な比較要素のひとつと言える。
本調査では、人口密度の高い地域に東京都千代田区の東京駅周辺、対照となる低い地域に長野県佐久市の佐久平駅周辺を選定。通信が集中する12時台と18時台、そして比較的通信が少ない14時台において、合計10回線の通信速度を調査している。
今回の調査日は東京駅周辺が2024年12月16日(月)、佐久平駅周辺が12月12日(木)。測定にはモトローラの「moto g50 5G」を用いた。
調査方法は以下のように「Googleのインターネット速度テスト」と「Playストアからのアプリダウンロード」の2通りを実施した。
【調査方法1】
端末のブラウザー(Chrome)でGoogleが提供しているインターネット速度テストを使用し、各地点・各時間帯で3回測定した上り/下り通信速度の平均値を算出した。
【調査方法2】
実際の体感速度に近い状況として、アプリのダウンロード時における通信速度を測定。「通信速度モニター」(Lufesu Inc.)による通信速度を表示した状態でPlayストアからアプリをダウンロードし、その間の速度推移を「moto g50 5G」の動画スクリーンショット機能で記録。測定終了後に動画を確認し、ダウンロード中の下り平均速度を算出した。限られた時間内で測定を行うために、開始から1分が経過した時点でもアプリのダウンロードが終わらない場合はインストールを中断し、その時点までの平均速度を求めている。
調査対象の回線は以下のとおりだ。本調査はこれまで大手キャリアのサブブランドおよびMVNOの格安SIMを対象に実施してきたが、2023年4月から対象回線を刷新し、大手キャリアのオンラインプランと楽天モバイル、サブブランド、MVNOから合計10回線を選択した。すべて5Gネットワークを利用できる状態で調査を行っている。
(1)ahamo
(2)povo2.0
(3)LINEMO
(4)楽天モバイル
(5)ワイモバイル
(6)UQ mobile
(7)IIJmio(みおふぉん)モバイルサービス(タイプD)
(8)mineo(Aプラン)
(9)イオンモバイル
(10)BIGLOBEモバイル(タイプD)
調査結果を詳しく見ていこう。まずは休憩中のユーザーが利用することで混雑しやすい12時台の結果からだ。
12時台の測定結果の平均値(東京駅周辺:2024年12月16日、佐久平駅周辺:2024年12月12日実施。単位はMbps、以下同様)
12時台の地点別の測定結果(左:東京駅周辺、右:佐久平駅周辺)
スピードテストの全体の平均は下りが34.98Mbps(前回は40.54Mbps)、上りが11.75Mbps(同12.38Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はワイモバイルが130.43Mbpsで最も速く、LINEMOが119.05Mbps、povoが39.68Mbpsと続いた。上り通信速度もワイモバイルが32.85Mbpsで最も速かった。
アプリのダウンロード速度は全体の平均が23.91Mbps(同23.89Mbps)だ。回線別に見てみると、ここでもワイモバイルが62.42Mbpsで最も速く、LINEMOが48.30Mbps、mineo(Aプラン)が45.73Mbpsと続いた。
●スピードテスト下り平均速度のトップ3(12時台)
1位 ワイモバイル:130.43Mbps
2位 LINEMO:119.05Mbps
3位 povo:39.68Mbps
●アプリのダウンロード速度のトップ3(12時台)
1位 ワイモバイル:62.42Mbps
2位 LINEMO:48.30Mbps
3位 mineo(Aプラン):45.73Mbps
次は休憩時間が明けてスマートフォンの利用も落ち着き、速度も回復してくる14時台の結果を見てみよう。
14時台の測定結果の平均(東京駅周辺:2024年12月16日、佐久平駅周辺:2024年12月12日実施)
14時台の地点別の測定結果(左:東京駅周辺、右:佐久平駅周辺)
スピードテストの全体の平均は、下りが65.42Mbps(前回は84.34Mbps)、上りが11.96Mbps(同14.95Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はLINEMOが220.88Mbpsで最も速く、ワイモバイルが148.12Mbps、UQ mobileが103.00Mbpsと続いた。上り通信速度はワイモバイルが34.63Mbpsで最も速かった。
アプリのダウンロード速度は全体の平均が33.75Mbps(同39.31Mbps)だ。回線別に見てみると、ここでもLINEMOが74.93Mbpsで最も速く、UQ mobileが56.76Mbps、ワイモバイルが54.90Mbpsと続いた。
●スピードテスト下り平均速度のトップ3(14時台)
1位 LINEMO:220.88Mbps
2位 ワイモバイル:148.12Mbps
3位 UQ mobile:103.00Mbps
●アプリのダウンロード速度のトップ3(14時台)
1位 LINEMO:74.93Mbps
2位 UQ mobile:56.76Mbps
3位 ワイモバイル:54.90Mbps
最後は、会社や学校が終わり再び通信が混雑し始める18時台の結果だ。
18時台の測定結果の平均(東京駅周辺:2024年12月16日、佐久平駅周辺:2024年12月12日実施)
18時台の地点別の測定結果(左:東京駅周辺、右:佐久平駅周辺)
スピードテストの全体の平均は下りが46.17Mbps(前回は44.08Mbps)、上りが12.25Mbps(同9.37Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はLINEMOが125.69Mbpsで最も速く、ワイモバイルが87.80Mbps、ahamoが72.54Mbpsと続いた。上り通信速度はpovoが20.82Mbpsで最も速かった。
アプリのダウンロード速度は全体の平均が25.47Mbps(同25.99Mbps)だ。回線別に見てみると、ワイモバイルが48.96Mbpsで最も速く、LINEMOが34.96Mbps、ahamoが33.97Mbpsと続いた。
●スピードテスト下り平均速度のトップ3(18時台)
1位 LINEMO:125.69Mbps
2位 ワイモバイル:87.80Mbps
3位 ahamo:72.54Mbps
●アプリのダウンロード速度のトップ3(18時台)
1位 ワイモバイル:48.96Mbps
2位 LINEMO:34.96Mbps
3位 ahamo:33.97Mbps
それでは、すべての時間帯における平均速度をもとにランキングを求めてみよう。参考として前回(2024年11月)と前々回(2024年10月)の調査結果も併記する。まずはスピードテストの下り通信速度からだ。
スピードテストの下り通信速度ランキング
今回の1位はLINEMOで155.21Mbps(前回は108.38Mbps)、2位はワイモバイルで122.12Mbps(同142.12Mbps)、3位はpovoで57.73Mbps(同80.54Mbps)だ。10回線全体の平均速度は48.86Mbps(同56.32Mbps)だった。
次は、スピードテストの上り通信速度の結果だ。
スピードテストの上り通信速度ランキング
今回の1位はワイモバイルで27.22Mbps(前回は20.26Mbps)、2位はLINEMOで21.12Mbps(同25.49Mbps)、3位はmineo(Aプラン)で15.06Mbps(同12.60Mbps)だ。10回線全体の平均速度は11.99Mbps(同12.23Mbps)だった。
最後は、Playストアからのアプリダウンロード速度の結果だ。
アプリダウンロード時の下り通信速度ランキング
今回の1位はワイモバイルで55.43Mbps(前回は53.38Mbps)、2位はLINEMOで52.73Mbps(同46.80Mbps)、3位はmineo(Aプラン)で36.97Mbps(同37.50Mbps)だ。10回線全体の平均速度は27.71Mbps(同29.73Mbps)だった。
今回2024年12月の調査では、スピードテストの上り・下り平均速度、Playストアからのアプリダウンロード速度がすべて、前回2024年11月と比べてスピードダウンする結果となった。
スピードテストの上り平均速度は2%の低下だが、スピードテストの下り平均速度は13%、アプリダウンロード平均速度は7%低下しており、全般的に下り通信速度のスピードダウンが目立つ。特に、アプリダウンロード速度は前回と比べてpovoが34%、UQ mobileが24%低下しており、調査対象ではKDDIグループの回線におけるスピードダウンが気になった。
10回線全体の平均速度推移(2023年12月〜2024年12月)
次回の調査は2025年1月上旬〜中旬の実施を予定している。新年を迎えた各社の通信速度がどのように変化していくか、引き続き注目したい。